教育課程部会 理科ワーキンググループ(第7回) 議事録

1.日時

平成28年4月26日(火曜日) 16時30分~19時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方について
  2. 資質・能力の育成のために重視すべき理科の評価の在り方について
  3. 必要な支援、条件整備等について
  4. 理科を通じて育成すべき資質・能力について
  5. その他

4.議事録

【大島主査】    では、定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会理科ワーキンググループの第7回を開催いたします。本日は、お忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
  まず、会議に先立ちまして、今月14日に起こりました熊本を中心とした九州地方での一連の地震によって残念ながら尊い命を落とされた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地の皆様に心からお見舞い申し上げたいと思います。
  現在、我が国では、被災地において昼夜に関わらず救命・救助活動を行っておられる関係機関の方々を初めといたしまして、国を挙げて多くの人々がそれぞれの持ち場で支援に当たっておられます。被災者の方々の一刻も早い救援を心からお祈り申し上げたいと思います。
  それでは、初めに、文部科学省に人事異動がございましたので、事務局から御報告をお願いいたします。
【金城教育課程課課長補佐】    はい、よろしくお願いいたします。
  まず、4月に教科調査官に着任いたしました鳴川でございます。
【鳴川教科調査官】    鳴川哲也と申します。どうぞよろしくお願いします。
【金城教育課程課課長補佐】    そして、同じく4月の人事異動で米原の後任で教育課程課の課長補佐を拝命いたしました金城でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、続いて、事務局から配付資料について御確認をお願いいたします。
【金城教育課程課課長補佐】    それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますように、資料1から資料10、また、参考資料1から3、そのほか机上に別途参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。
  また、机上にタブレット端末を置いておりますけれども、その中に本ワーキンググループの審議に当たり参考となる関係する審議会の答申や関連資料等をデータで入れております。詳細はタブレット端末の下に置いています目次をご覧ください。
  以上でございます。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。
  では、これより議事に入ります。
  なお、本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
  それでは、これより、議題(1)として「アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方について」、そして議題(2)として「資質・能力のために重視すべき理科の評価の在り方について」、議題(3)といたしまして「必要な支援、条件整備等について」、議題(4)としまして「理科を通じて育成すべき資質・能力について」の自由討議を行います。まず事務局から資料に基づき説明いただきました後、自由討議を行いたいと思います。あと、今回は7回目で、次回が最後になると思いますので、そのスケジュール感を持って議論を進めていきたいと思います。
  それでは、議題(1)について、事務局より説明をお願いいたします。
【金城教育課程課課長補佐】    はい、よろしくお願いいたします。
  まず、少し飛びまして資料2をお開きください。本日御議論いただきたい事項について整理している資料でございます。本日は4点ございます。まず1点目といたしまして、枠囲みのところにございますが、理科における見方や考え方について、また、アクティブ・ラーニングの三つの視点、特に「深い学び」を実現するための指導の在り方についてを議題(1)として御議論いただきます。続きまして、2点目といたしまして、資質・能力の育成のために重視すべき理科の評価の在り方についてでございます。3点目といたしまして、必要な条件整備等について。最後に、4点目といたしまして、理科を通じて育成すべき資質・能力について、特に高等学校の理数科において育成すべき資質・能力についてを御議論いただきます。
  続きまして、資料3でございますが、この資料3は、前々回になりますが、第5回のワーキンググループで既に説明をしてございます。本日御議論いただきます見方や考え方、また、アクティブ・ラーニングの三つの視点についてまとめておりますので、適宜御参照いただければと思います。
  それでは、資料4-1をご覧ください。理科における見方や考え方の案でございます。これまで各分野について見方についての御議論を頂いたところでございますけれども、本日は、その見方や考え方についての御議論でございます。見方や考え方につきましては、教科ならではの思考の枠組みであり、教科の本質の部分となっておりますけれども、これまで領域別に特徴的な見方を整理したことを踏まえまして、見方・考え方のたたき台を作成したものでございます。枠に囲っておりますけれども、「自然の事物・現象を量的・関係的、質的・実体的、多様性・共通性、時間的・空間的などの視点で捉え、探究の過程を通して科学的に考え、多面的、総合的、発展的に考察すること」としております。
  また、下の方には、学校種ごとの違いということで、小・中・高のそれぞれの見方や考え方を記載しておりますけれども、違いといたしましては、小学校の理科において、2行目でございますけれども、「問題解決の過程を通して」ということでございます。中学校・高校につきましては、そこを「探究の過程を通して」と表現しております。
  続きまして、4-2でございますけれども、この4-1で示しました見方や考え方につきましては、アクティブ・ラーニングの三つの視点、特に深い学びに関わってまいりますので、このアクティブ・ラーニングの三つの視点からの不断の授業改善について、理科においてはどうなのかということを整理したものでございます。
  まず1点目といたしまして「深い学び」についてでございますが、理科の学習では、自然の事物・現象について、「科学的な見方・考え方」を用いて、知識・技能を習得したり、思考・判断・表現したりする学習を通じて「科学的な見方・考え方」が更に成長するとともに、より主体的に取り組む態度が育成されるのではないかと整理しております。具体的な事例としましては、自然の事物・現象から問題を見いだし、見通しを持って課題や仮説の設定や観察・実験の計画を立案したりするなど課題解決に向けて科学的に考える学習場面や、学習の過程を振り返って変容を自覚する学習場面を設けることといった場面において、見方や考え方を働かせながら深い学びにつながるのではないかと整理しております。
  また、2点目といたしまして対話的な学びという観点で、例えば、課題の設定や検証計画の立案、観察・実験の結果の処理、考察・推論する場面などで、個人で考え、その後、意見交換したり、議論したりして、より多面的・総合的に考察し、自分の考えをより妥当なものにする学習場面を設けること、このように整理しております。
  3点目といたしまして主体的な学びの過程ということでございますけれども、例えばということで、観察・実験の結果を分析・解釈して仮説の妥当性を検討したり、全体を振り返って改善策を考えたりする学習場面であったり、得られた知識・技能を基に、次の課題を発見し、また新たな視点で自然の事物・現象を把握したりする学習場面を設けることといった形で整理してございます。
  こうした三つの視点に基づく授業改善が各教科の内容の理解の深まり、育成すべき資質・能力の獲得につながっていくものと考えております。
  この対話的な学びであったり主体的な学びは教科共通で理解でき、また、イメージのしやすい視点でございますけれども、1点目に挙げています「深い学び」につきましては、なかなかイメージがつかみにくいといった面がございます。この4-2につきましてはたたき台としてお示ししたものでございますけれども、本日の議論の中で理科における「深い学び」とは何かといった視点で是非積極的な御議論を賜ればと思っております。
  説明は以上でございます。どうぞ御審議をお願いいたします。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  それでは、これより意見交換の時間とさせていただきたいと思います。本日は全部で議題四つありますけれども、まず議題の最初で、(1)として「アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力のために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方について」、御意見、御議論を頂きたいと思います。大体17時20分ほどをめどに議論をしていただきたいなと思っています。まず、御意見のある方はあらかじめ名札を立てていただきますと、私の方で順次指名させていただきます。また、発言の際にはマイクのスイッチのオン、発言の後にはオフをお願いします。
  それでは、御議論の方、よろしくお願いいたします。では、まず、川村委員、お願いいたします。
【川村委員】    よろしくお願いいたします。質問1点なのですけど、資料4-1につきまして、資料のタイトルが「理科における見方や考え方(案)」となってございますが、従来、学習指導要領及びその解説、例えば今、手元では小学校のものを見ておりますが、この目標の中では科学的な見方や考え方というような表現が出ております。従来のこの科学的な見方や考え方というのと、資料4-1の理科における見方や考え方、一見似ているけれども、どういった位置付けでまた新しいこういった資料が出されたのか、そこの補足説明をお願いできたらと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。では、事務局の方で御説明いただけますでしょうか。お願いいたします。
【平野教育改革調整官】    失礼いたします。御指摘のように、これまで理科の学習指導要領においては、科学的な見方・考え方を養うということを掲げてやってきたところでございます。今回、総則・評価部会で示されましたように、各教科における見方・考え方というものをそれぞれの教科ごとに一旦整理しようということでオーダーが来てございますので、ここでは理科における見方や考え方という形でとりあえず置かせていただいております。ただ、表現として、これから学習指導要領を書いて現場に伝えていくという段階で、科学的見方・考え方というものの方がなじむので、そっちの方がよいのではないかというような御意見もあろうかと思いますし、またあるいは、従来、理科の文脈の中で科学的な見方・考え方と言っていたものと、ここで言う理科における見方・考え方というのが必ずしも一致しているのかというところが、ちょっと微妙なところがあるかなというところもございますので、その辺も含めてまた御意見を頂ければと思っております。
【川村委員】    ありがとうございます。
【大島主査】    よろしいでしょうか。そういうことも含めて本日議論をするということで、よろしくお願いいたします。
  続きまして、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】    資料4-1と4-3についてです。
  まず、4-3の資料に各領域、エネルギー、粒子、生命、地球、4領域が示されていて、その下にアンダーラインを付した箇所があります。エネルギーについては「量的・関係的な視点」、粒子については「質的・実体的な視点」などなどです。次に、資料4-1に戻って、上のちょっとポイントの大きな文字で記されている3行のところですが、重要なキーワードが並んでいて、とてもよいと思っておりますが、資料4-3と対応させないでこの3行だけを独立させて見ると、対になっているキーワードが何となくひっかかってしまいます。最初にひっかかったのが、「量的」と「質的」という言葉の組合せです。そんなことを思いながら繰り返しこの3行を読んでみますと、私の読み方が適切でないのかもしれないのですが、問題解決、探究の流れの中で前半部分を読み取ったのです。資料4-3に記された各領域のキーワードをここに持ってきているという意図はよく分かるのですが、次のように対の言葉を組み替えると、非常に問題解決的、探究的な学習の流れの中で読めるようになるのではないかと思いますので、ちょっと具体的に対案といいましょうか、案を申し述べてみます。
  「自然の事物・現象」、ここまでは問題ありません。次に、「実体的」と「関係的」を中黒でつなぐ。そうすると、児童生徒がある事象の実態を見て、つかみ、問題を見つけて、課題を把握する、その過程は実態を伴ったものだと読み取れるようになる。そして、その実態のある事物・現象には量的な関係性があるのか、言い方を換えると、何か変化をさせる原因があるのかなという考えに進んでいく。原因といいましょうか、何か要因があれば、実験で確かめられるかなと考えることになる。何か関係的なものがちょっと見えないなということになれば、とりあえず観察の方で問題解決に入っていけるのではないかなということになります。そこで、「実体的・関係的、」更に「質的・量的、」という組合せにすると日本語として読みやすくなり授業や観察実験が構想しやすくなるなと、そういう感想というか、意見なのですけど。しかし、資料4-3のキーワードを生かしているわけなので、致し方ないのかな、どこかできちんとその説明を書き込めばそれでよいのかなとも思います。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。資料4-1の第1行目の特にキーワードの1番目ですよね、「量的・関係的、質的・実体的」といったときに、その順番を「実体的・関係的」、あと「質的・量的」、クオリテーティブ、コンティテーティブという、そういうことも含めてのお話だと思いますけれども、御指摘がございました。ありがとうございます。今のことに関して何かコメントございますでしょうか。資料4-3との関連で整理されると、4-1というのはよいとは思うのですけど、これだけ見せられると御提案の形でまとめた方がよいのではないかという御提案かと思いますけれども、ちょっとそれはまた考えさせていただくということで、ありがとうございます。
  次は、塚田委員、お願いいたします。
【塚田委員】    資料4-2のアクティブ・ラーニングの三つの視点、特に深い学びを実現するための指導の在り方について発言いたします。これまで、何をもって「深い学び」とするかということについては議論されていましたけれども、やはりまだ混沌としている感じがします。私は、全国学力・学習状況調査の小学校・中学校で共通して設定している理科の活用の枠組み、つまり、B問題の四つの枠組みが深い学びを実現するための指導の在り方の視点になると考えます。その四つの視点とは、一つ目が適用、二つ目が分析・解釈、三つ目が構想、四つ目が検討・改善、この四つです。これら四つの視点のどれかが実現された授業が理科における「深い学び」と考えてよいのではないかと考えました。つまり、これらの四つの視点というのは、分かったレベルという知識から、さらに、有意味に使えるレベルの知識として学習した原理原則の意味や根拠、理由が説明できる学びを求めているものであって、資料4-2の丸1で示されました科学的な見方や考え方が更に成長していくための学習の視点とも考えられます。既に平成24年度と3年空けて平成27年度の2回の全国調査を実施しており、国研から問題の解説書や報告書又は「授業アイディア例」の中で、この四つの活用の視点、理科における「深い学び」としての活用の視点の四つは現場にもうかなり浸透しつつあります。このことからも、小・中学校においては深い学びを実現するための指導の在り方の視点としてこの四つの視点が参考になるのではないかと思って、一つ提案させていただきたいと思います。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。資料4-2に関連して四つの視点として、適用、分析、構想、検討、これが深い学びと非常に重要な関連を持っているのではないかという御指摘でございました。
  次、後藤委員、お願いいたします。
【後藤委員】    私も、資料4-2の丸1の方の「深い学び」についてなのですけど、確かに「科学的な見方・考え方」を用いて、そしてそれが今度更に成長させるという点はそうだと思うのですけれども、小学校の単元というか、内容を見ますと、もともと学習内容に出会ったときの子供たちというのは、既有の見方や考え方とか素朴な見方や考え方で解釈をして学習に入っていくのですね。それを実証していく過程の中で実証して再現性、そして客観性を加えて科学的に判断して、科学的な見方や考え方に変容させていくわけなのですが、こういう学習がほとんどなのですね。つまり、科学的な得たものといいますか、科学的な見方や考え方、常にそれを基に次の段階でそれを成長させるような、また高次な科学的な見方や考え方の場面に持っていく単元内容の方が少ないと思います、小学校段階ですけど。多分それは中や高になると、当然、小とか中とかで得られた科学的な見方や考え方を用いてできてくるのだと思うのですけれども、その点で考えると、もう少し深い学びの段階というか、いきなり科学的に育ってきた見方や考え方を持ってなければそういう深い学びにならないという論調ではなくて、やっぱり素朴な概念を子供なりに変容させていくところが理科の特性です。その理科の特性は非常に深い学びのベースとなって関係していくのだというようなところは押さえられておいた方がよいのではないかなと、これを見て思いました。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。深い学びですね、これについて特に小学校についての御指摘でございました。
  次、田代委員、お願いします。
【田代委員】    まず、資料4-1ですけど、先ほど小林委員が整理されたような方が、事務局は説明はしづらいかもしれませんが、読んだときに分かりやすいかなと感じました。
  それと、数学の方でもう既に使われている言葉なので、変えるのが難しいのかもしれませんが、文の末尾が「発展的に考察すること」と書いてあります。けれども、私の「考察」という言葉のイメージからすると、どちらかというとブラッシュアップするとか物事を明らかにするというか、分析的にしていくというのが考察なので、何となくこの「発展」という言葉と相性がよくない気がしています。となると、「多面的、総合的に考察して、発展的」などと修正することが考えられます。つまり、集中しておいて最後は拡散的というか、そういうふうにした方が「発展」と言葉の相性がよいと思っています。でも、算数・数学の方ではもう「発展的に考察する」という言葉が使われているので、それほど強いこだわりはないです委員の皆さんが応援してくれるなら、再検討していただければと思います。
  次に、資料4-2になります。これも先ほど塚田委員が言ってくれましたけど、全国学力・学習状況調査で示している四つの視点というのが大事だということについて、私も賛同します。この4-2、見ていただくと、例えば丸1の説明のところで、「理科の学習では、自然の事物・現象について、『科学的な見方』を用いて」、「用いて」と書いてあるので、ここがいわば「適用」になると思うのです。先ほど後藤委員が言われたように、科学的な見方や考え方が既に備わっているのがおかしいとすれば、「子供たちが持っている科学的な見方や考え方を用いて」とすると、適用ということが当てはまるかなという気がします。
  それから、丸2の「例えば」の2行目のところですね。「個人で考え、その後、お互いに意見交換したり、議論したりして、より多面的・総合的に考察し」と書いてあるのですけど、ここは全国学力・学習状況調査でいえば分析・解釈ということに当たるので、こういう視点も大事ということになると思います。
  それから、その次の行で「考えをより妥当なものにする学習場面を設けること」とか、丸3の「例えば」のところにある「観察・実験の結果を分析・解釈して仮説の妥当性を検討したり、全体を振り返って改善策を考えたりする」というところは、正に改善という四つ目の視点になります。となると、抜けているのが3番目の視点で「構想」というのがあります。構想というのは、丸1の「例えば」のところを見てもらうと、「自然の事物・現象から問題を見いだし、見通しをもって課題や仮説の設定や観察・実験の計画を立案したりするなど課題解決に向けて科学的に考える学習場面」と書いてあるのですが、ここの「課題解決に向けての過程を構想する学習場面」というようなことで捉えるとすると、自分たちで実験を計画したりプロセスをデザインするということになります。このようなことをここに入れておくと、正にこれからの教育で目指そうとしている自ら何かをデザインする、構想するという力を理科でも育てていくのだということになってとてもよいのではないかと感じました。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。2点御指摘があって、一つ目は、資料4-1の最後の部分と、あと資料4-2に関して、「構想する」の部分が四つの塚田委員の御指摘のあった中で欠けているのではないかということで、丸1のところで検討してはいかがかという御提案だと思います。ありがとうございました。
  ほかに何かございますでしょうか。じゃあ、川村委員、お願いします。
【川村委員】    はい、ありがとうございます。資料4-2が出ましたので、ちょっと感想じみたコメントになりますけれども、丸3になります。アクティブ・ラーニングの三つの視点の丸3で主体的な学びの過程についての例示がありますけれども、例示の中身を見ますと、例えば、「観察・実験の結果を分析・解釈して仮説の妥当性を検討したり」というのは、論理の方法でいう帰納法であったり、次の「全体を振り返って改善策を考えたりする」、自然の探究の評価のこと、次の「得られた知識や技能を基に、次の課題を発見したり」、もしかしたら仮説形成に当たるようなところで、探究の過程ではあるのですけれども、これらを踏まえることが主体的な学びの過程なのかどうか、ちょっと例示としてしっくりこないなというところが感想になります。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。
  鮫島委員、お願いいたします。
【鮫島委員】    同じく資料4-2の深い学びの過程という部分についてなのですけれども、これまで御意見出されていた理科の活用に関しては、私もそのとおりだと思うのですが、それとはもう一つ違った視点から、この会議の多分第1回ぐらいから議論されていることだと思うのですけれども、育成すべき資質・能力の三つの柱を踏まえたカリキュラムデザインのための概念ということで、「何を知っているか、何ができるか」、「知っていること、できることをどう使うか」、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という三つの柱があったかと思うのですけれども、その三つ目の「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という部分が、この資料4-2の中で急に薄くなってきたような気がします。でも、この部分が逆に理科の活用と同じく「深い学び」につながる視点だと思うので、その部分が少し出てくるとよいかなと思います。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。社会との関わり、三つある中でのその結び付きがちょっと資料4-2では薄いのではないかという御指摘ですね。ありがとうございます。
  あとほかに何かございますでしょうか。いつも最後の方になるとどんどん挙がってくるので。あ、挙がっていらっしゃいますね。江崎委員、お願いいたします。
【江崎委員】    「理科における見方や考え方」という、その「理科における」という表現と、それから、資料4-2の方になると「科学的な見方・考え方」が鍵括弧付きで入っています。それぞれ「科学的な」というのと「理科における」というもののすみ分けというか、区別を明確にしておかないと、現場の先生は今まで「科学的な見方・考え方」というのに非常に親しんでいるので、それとの違いはどこなのかと迷います。区別をはっきりさせなければならないと思います。例えば、「科学的な見方・考え方」が土台にあり、その中で理科としてはこういうところに特徴がありますよというような示し方がよいのか、考えてはいないのですけれども、何らかの違いを出さなければいけないだろうということが一つ。
  それから、現行の指導要領の解説の中では、「科学的な見方・考え方」に対しての記述が小学校・中学校では書きぶりが違っています。その辺り、実際に作っていく際には小・中の整合性が必要だと思います。高校になると「自然観」というような言い方をしています。小・中・高、現場の先生方は小・中・高連携などが進んでいて、小学校の内容を勉強しています。小学校と中学校と高校の一貫性がどこにあるのかという部分は、今後、検討していかなければいけないと思います。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。「科学的な見方・考え方」、過程の全体を見たときに、その整合性をきちんととるということと、あともう一方で「理科における」という観点と「科学的な見方・考え方」をきちんと整理していくということですね。混在して使わないようにというのは多分一番大事なことなのかなと思います。
  では、古田委員、お願いいたします。
【古田委員】    初回から折に触れて発言させていただいておりますが、資料4-2の丸1の「例えば」のところに「自然の事物・現象から問題を見いだし」とあります。この表現が出てくるたびに気になっております。「自然の事物・現象」の「自然」には、身の回りや日常生活の中にある現象という意味が含まれていると思いますが、読み方によっては、いわゆる野や山などの自然環境をイメージする方もいると思います。自然の事物・現象から疑問や課題を発見するには、機会が限られる校外学習や旅行だけでは不十分です。この表現ですと、特に都市部の子供たちにとって、理科の学びにおける課題発見の意味を狭くさせてしまうのではないのかなと思います。限られた機会だけではなく、継続的に触れている現象から気づきが導かれると思いますので、日常生活、生活圏の事象も含んでいるということを明確に示したほうが良いと思います。【大島主査】    はい、ありがとうございます。自然の捉え方ですね、それを、定義が多分いろんな方によって異なるので、ある程度共通理解として課題として挙げておく必要があるのではないかということかと思います。ありがとうございました。
  ほかに何か御意見ございますでしょうか。本日は皆様、少しおとなしい感じですかね。いつもなかなか時間どおりに終わらないので。いや、それが決して悪いとは言ってないのですけれども。この点については何回かの議論を重ねて、それが反映されて本日の資料になってきていると思うので、ある程度議論がこういう形で皆様収束してきているのではないかなと思いますので、もしここでどうしてもということがなければ、次の議題に移させていただきたいかなと思います。いろいろ御指摘があった文言に関しては、ちょっと検討させていただければなと思います。
  では、次の議題に移りたいと思います。では、議題(2)ですね。(2)に関しましては、事務局から御説明をしていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
【金城教育課程課課長補佐】    はい、よろしくお願いいたします。資料5をお開きください。「資質・能力の育成のために重視すべき理科の評価の在り方について(案)【たたき台】」というものでございます。
  この評価につきましては、過去2回にわたって御議論いただいたところでございまして、赤字の箇所、修正点でございますが、前回の御意見を踏まえて修正した点について、簡単に御説明いたします。
  まず、1枚目の「知識・技能」のところでございますけれども、小・中学校のところで中ほどに「観察・実験など」というふうに「など」を追加してございます。これは高校との並びをとり、幅広く読めるようにということで追記してございます。
  また、「思考・判断・表現」のところでございますけれども、小学校におきましては、同じように中ほどに「観察、実験などを行い」というのも中・高との並びをとってございます。また、3行目のところで「より妥当な考えを表現している」とございますけれども、これも中・高との並びをとりまして資質・能力ベースの表現に改めてございます。また、中学校の方に参りまして、「導き出した考えを根拠をもとに表現している」といったところ、これもまた資質・能力ベースの表現に改めてございます。高校におきましては、「科学的に探究し」というのがございますけれども、これは前回の御議論の中で、「知識・技能」のところに「科学的に探究する技能」というふうに「探究」というのがございまして、「思考・表現」の方にも含まれるのではないかといった御議論がございましたので、それを受けて、この「思考・判断・表現」のところにも「探究」というのを加えてございます。
  それから、右端の欄に参りまして、「主体的に学習に取り組む態度」でございます。小・中・高通じまして、知識・技能がどういった過程で獲得されたのかを明示すべきじゃないかといった御意見もありまして、「探究の過程などを通して」あるいは「問題解決の過程などを通して」といったものを3行目にそれぞれ追記してございます。また、小学校につきましては、自然の事物・現象を何に生かすのかを明確化すべきじゃないかということで、「自然の事物・現象の把握」というふうに「把握」を追記させていただいております。
  それから、1枚おめくりください。2枚目につきましては、この学習過程と評価の場面のイメージを持っていただくために例示したものでございます。課題の発見、探究、課題の解決と、それぞれの段階において資質・能力の三つの柱、それぞれどういったところで評価するかといったものを図示したものでございます。
  まず、課題の把握の段階で言いますと、「知識・技能」については、対象を観察し、既習の知識や概念を基にして、必要な情報を抽出・収集する技能、こういったものが評価できるのではないかと考えております。また、課題の探究(追究)につきましては、観察・実験を実行する技能であったり、結果を処理する技能、こういったものが評価できるんじゃないかと。また、課題の解決につきましては、観察・実験の結果を分析・解釈し、得られた事実や概念等に関する知識の再構築、また、情報収集等によって得られた新たな知識の獲得、こういったものが評価できるのではないかということで例示してございます。
  次に、「思考・判断・表現」でございますけれども、課題の把握につきましては、抽出・収集した情報について、それらの関係性や傾向を見いだすこと、また、見いだした関係性や傾向からの課題の設定、こういったところが評価の場面としてあり得るのではないかということで例示してございます。また、課題の探究(追究)につきましては、見通しを持ち、検証できる仮説の設定、また、仮説を確かめるための観察・実験の計画の立案、こういったものが評価の場面として考えられるのではないかということを例示してございます。また、課題の解決につきましては、観察・実験の結果を分析・解釈することであったり、情報収集することによる仮説の妥当性の検討や考察、こういった評価の場面というのが考え得るということで例示してございます。
  最後に、「主体的に学習に取り組む態度」でございますけれども、この態度につきましては、課題の把握から解決まで一貫して評価できるわけでございますけれども、例えば課題の把握の場面では、主体的に対象と関わろうとしたり、観察しようとする態度であったり、最後の課題の解決の場面でありましたら、学んだことを日常生活や社会に生かそうとする態度、こういったものが事前・事後で把握可能じゃないかということで、高等学校の基礎科目の段階で例示ということで記載させてございます。
  説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  それでは、議題(2)といたしまして、「資質・能力の育成のために重視すべき理科の評価の在り方について」、御意見、御議論を頂きたいと思います。同じように、皆様、名札を立てていただければと思います。じゃあ、まず、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】    資料5の2枚目の左端、学習活動例ということでフロー、流れが書いてありますが、この流れは多分フルコースです。このフルコースをたどる観察・実験が小学校3年生から高等学校3年生までの教科書と言ってよいか、学習指導要領で取り上げることになっていると言った方がよいのか、をざっと見るだけでも、全ての観察・実験がこのフルコースをたどるわけではないというのがおのずから見えてまいります。そうすると、例えば中学校の1年生のエネルギーの領域の実験を精査したところ、仮説の設定から最後まで流れるのはこの実験だけじゃないのというのがはっきり見えてまいります。そういう軽重、言い方がちょっと難しいのですが、このフルコースの中で評価するポイントはこの観察実験ではここにしようとか、何かそういう軽重が付けられるというようなことが現場の先生方に分かるようにできると、負担感が相当減るのかなという感じです。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。資料5の2ページ目ですね、これを全部に対して応用する、適用するというのは、なかなか現場の先生に対しては負担が大きいと思われるので、いわゆる重みとかも含めて今後検討していく必要があるということですね。ありがとうございます。
  じゃあ、2番目に挙げられました川村先生、お願いいたします。
【川村委員】    失礼します。2枚目の資料、高校の基礎科目の評価場面の例ですが、気になるのが一番右側の「主体的に学習に取り組む態度」の表現で、ほかの二つの項目は割と丁寧に学習活動のどのステップでどの評価をするかというのが書かれているのに対して、上から「主体的に対象とかかわろうとしたり、観察しようとする態度」から矢印で課題の解決のところまでというのが、先ほど現場の先生への配慮というのがありましたけれども、これを見ると、矢印の流れなのか、それとも連続している、つまり全ての場面で態度の評価をしてくださいというのか、なお分かりやすい表現があるとよいなという、ほかの二つの評価の視点と同じような書きぶりの方が望ましいかなと考えておりました。
  もう一つ、この右側の態度のところで、一番下の「学んだことを生かそうとする態度」のところに見合う学習活動はどこになるのかなと。態度の最初の「観察しようとする態度」、これ、多分、自然に対する気付きという、学習活動のところで、あ、子供が問題意識を持って、問題意識を浮かべていて、これは調べていきたいという態度が持てるかなと思うのですけれども、「日常生活や社会に生かそうとする態度」をどの学習例の場面で評価するのかという、一番左側と右側も一致している方が先生方はなおイメージしやすいかなと思いました。
  以上、意見でした。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。2ページ目の特に「主体的に学習に取り組む態度」、ここのところを2点御指摘を頂きました。ありがとうございます。
  では、続きまして、飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】    失礼します。私の方から2点ほど感想めいたものをお話しします。
  まず、資料5の2枚目ですけれども、こちらは、観点別学習状況の評価の3観点の中で、どういう場面でどういう力を評価していくかというような整理かと思いますが、一つ、課題の解決のところの「知識・技能」の中に入っております「観察・実験の結果を分析・解釈して考察したことから得られた事実や概念等に関する知識の再構築」とありますが、こちらは知識を再構築する資質・能力というふうに考えると、何か「思考・判断・表現」の方に入った方がよいのかなんていうことをちょっと感じました。
  それからもう1点は、評価全体のことに関しての感想ですが、観点別学習状況の評価というのは、特に小・中学校の先生方は非常に真摯に取り組んでいただいているわけですけれども、その中で、教師がこの観点別学習状況の評価で評価することによって、次の指導に生かしたりとか、子供にフィードバックをして次の学習に役立てたりということが従前から言われているわけですが、それに加えまして、子供自身が自分の学習を振り返って自分の力の向上や発揮というのを自覚していくような評価というのも、資質・能力の育成というものについて考えますと必要ではないかなと考えます。このことは、理科だけではなくて全ての教科に言えるようなことなのかもしれませんし、また、教師が子供の資質・能力を評価するということとは若干意味が異なるのかもしれませんが、子供が自分自身の力の発揮ですとか向上というのを自覚する、例えば自己評価をするですとか子供同士で相互評価するですとか、そういった場面で自分の力の発揮というのを振り返る、そういうことが子供の資質・能力というものを子供自身が振り返っていく。そういうことをすることによって資質・能力というのが更に育成していく、そういったことにつながるのではないかな、そんな部分でもあるのではないかと考えております。そういう意味でも、従前から言われている評価というものに加えて、そういった意味での評価というのについても考えていく必要があるのではないかと考えているところです。
  以上になります。
【大島主査】    ありがとうございます。評価という観点で御指摘を頂いたと思います。特に「知識・技能」に入っている課題解決のところの最初のポチですね、これがなかなか明確に全部三つのマトリックスに分けるというのが難しい中で、どちらかというと「思考・判断・表現」にも関連しているのではないかなという御指摘でございました。ありがとうございます。
  続きまして、赤石委員、お願いいたします。
【赤石委員】    資料5の1枚目の「主体的に学習に取り組む態度」の例示について意見を述べたいと思います。2点、「主体的」というキーワードと「日常生活と社会」の関連について、2点記されていますが、これ以外に、継続することや協働することも大切だと思います。そこで、諦めずに繰り返し観察・実験を行う態度や、多様な他者と関係性を導く態度などが評価の例示として入るとよいと思います。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。態度のところですね、諦めずに継続していくということと、あと協働していくということですね。それを含めた方がよいのではないかという御提案でございました。ありがとうございます。
  続きまして、田代委員、お願いいたします。
【田代委員】    それでは、資料5の最初の「資質・能力の育成のために重視すべき理科の評価の在り方について」の資料についてですが、小学校理科の部分で、「知識・技能」のところに、高等学校・中学校では、最後に「知識を身に付けている」という終わり方をしているのですが、小学校の方には「相互の関係などについて理解している」ということで、知識の押さえがないのですが、そのままでよいのかというのが一つ気になりました。
  それから、真ん中の段の「思考・判断・表現」、これも小学校理科のところですが、語尾が「より妥当な考えを表現している」と書いてあるのですけど、「より妥当」と言われると、何と比較して妥当なのかがちょっとよく分からないという感じがするので、例えばですが、「より妥当な考えを選択し、表現している」というふうにすると、自分なり、あるいは友達と、幾つか出てきた考えの中から自分のよりよいと思うものを選ぶという感じになるので、少し「より」の不安定さがなくなると思い、提案します。
  それから、小学校の方の「主体的に学習に取り組む態度」のところで、現在、小学校は日常生活への適用・活用がよく実施されているのですが、今回、語尾が「自然の事物・現象の把握に生かそうとしている」と終わってしまっています。先ほど古田委員が言われたように、「自然」という言葉だとなかなかすぐに日常生活とつながらないという感じになってしまいます。本当にこのままでよいのかなという思いです。この「態度」の記述だと、理科の中でとどまってしまって、日常生活に活用する態度まで意識できなくなるのではないかというのが気になったところです。
  それから2枚目ですが、2枚目の高等学校の基礎科目のところの「知識・技能」のところです。一番上に「対象を観察し」と書いてあるのですけど、今後また観点別の資料とかを作っていくときに、「対象」と言うとよく分からないので、同じ言葉の繰り返しになりますが、「自然事象」のままの方がよいのかなと思いました。
  それから、「知識・技能」の最初の項目に「既習の知識や概念を基にして、必要な情報を抽出・収集する技能」と書かれていますが、ここはたしか松浦委員の方から、文献や書籍の資料とかを使ってやるのではなくて、自分の持っている知識を使って考えるという話があって作られたところだと思います。「収集」というと何か集めなきゃいけないようなイメージがどうしてもあるので、「抽出・整理する」とか「抽出・分類する」とするべきかと思います。自分の既に持っているものを活用して考える場面だということをはっきりさせるために、「収集」ではなくて「整理」とか「分類」という言葉を使った方がよいのではないかと思います。同様に、すぐ隣の「思考・判断・表現」の部分にも「抽出・収集」とあります。そこも同時に直す必要があると思います。
  最後に、「主体的に学習に取り組む態度」のところも、「主体的に対象」と書いてあるのですけれども、ここも「対象」ではなく、「自然事象」としておいた方がよいのではないかと思いますし、本来、「たり~たり」にしなきゃいけないところかなという気がしました。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。幾つか御指摘がございました。そうですね、なかなかどういう形で整合性をとるかというのが難しいところかと思いますけれども、御指摘ありがとうございました。
  続きまして、塚田委員、お願いいたします。
【塚田委員】    資料5の小学校の「主体的に学習に取り組む態度」のところで、「自然の事物・現象の把握に生かそうとしている」ということがよく分からなかったです。中学校や高校の日常生活につなげるという観点でということは分かりますが、ここは小学校段階においても日常生活という文言を用いてもよいと思いました、ただし、学習したことを日常生活に生かすというのは、小学校段階だとかなりハードルが高いです。日常生活という他の場面、他の文脈に転移させようという視点はかなり高いので、その前段階として小学校では、今日学習して分からなかったことをもう一度勉強してみたいとか、今日の観察だけでは不十分だから、もう一度観察してみたい、あしたもう一度同じ実験をしてみたいというような、そのような学習に向けて新たな疑問とか視点を見いだすというようなことが小学校段階では必要なのかなと思いました。従って、「日常生活」という文言を小学校段階でも入れてもよいと思うのですが、その前段階を入れた文章としては、「問題解決の過程などを通して新たな疑問を持ったり獲得した知識・技能を身の回りの自然の事物・現象の日常生活に生かそうとしたりしている」ということで、前段階のところが必要かなと思いました。いずれにしても、小学校の段階では毎時間、自分で学びを自覚してやろうというよりも、教師が「今日はこれをやります」というふうに宣言してスタートすることが多いです。ですから、毎時間のつながりを子供自身が意識して、学びに向かう力というのを評価するには、学習の必然性とか学習のつながりということを子供自身が自覚できるようにするような文言が入ると新しさが出るのかなと感じたところです。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。子供自身、小学校の段階から自分で考えるというのをどうやって促していくかということの御指摘かなと思います。ありがとうございました。
  では、筒井委員、お願いいたします。
【筒井委員】    高校の方を見ていて、以前に比べると分かりやすくなったのですが、気になるのは、「主体的に学習に取り組む態度」のところで「探究の過程などを通して獲得した知識・技能を日常生活や社会に生かそうとしている」、という部分を読むと、日常生活や社会に生かすのは知識・技能であるというふうに読めなくもないというところです。高校で自然科学を学んだ結果として、もちろん知識や技能はそうなのですが、普段の生活の中での判断力に理科の学びを生かしていく、あるいは思考力を生かしていくというのは、かなり重要なことだと思います。なので、この部分をもう少し幅広く、理科の学習によって獲得した力を生かそうとするというような形に拡張できるような書き方にしてもらうとより良くなると思います。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。高校の過程の特に「主体的に学習に取り組む態度」というところで、知識・技能だけに関わらずということで、広義の形でここの言葉を考えるということかと思います。ありがとうございます。
  次、三浦委員、お願いいたします。
【三浦委員】    失礼いたします。まず一つは質問なのですけれども、資料5の1枚目のところ、私は高校なので、小学校のことについては分からないところもあるのですが、ざっと読ませていただいて、「知識・技能」のところで、二つ目のポチで観察・実験などを行って、それらの過程や結果を的確に記録しているってまとめてあるのですけど、記録するだけで、そこ、よいのかなというのをすごく、本当にさっと1回目読んだときに思いました。中学校のときのように、せめて記録して整理するというところで技能になるのではないのかなとちょっと思ったので、意見を言わせていただきました。
  それから、2枚目のところに行きまして、2枚目の方で、これも前々、前回と私の方から発言させていただいたのですが、高等学校の基礎科目の中で左側の探究の過程の学習例は、やっぱり現場の者から見ると理想郷の世界に入っていると思うのです。先ほど小林委員からも御意見がありましたけど、これを現場の授業の中でどうできるかといったときに、多くの課題があります。実際、探究の過程の学習例がどういうことができているかというと、例えばSSH校の中で課題研究の中でできる。それから、実は今、高校の方では総合的な学習の時間というのがありまして、そこを使って、理科に限らずなのですけど、一つの課題を設定して、それで年間を通してこういうプロセスを使っていくということで、この探究の学習活動例というのは実際にたくさんの学校が実施しているところなのですね。だけど、理科の中でこのプログラムを全部できるかというと、本当にそれは至難のわざで、ですから、この間も言いましたけれども、これは1時間の中で全部できるようになるわけじゃなくてもよいのだと。ステップ・バイ・ステップで今回はここの部分ができてもよい、次はこの部分ができてもよいというふうに小分けにして、最終的に全体ができればよいというような、何かそれでもよいのだよというふうなやんわりとしたものが学習指導要領の中に入っていただけたら、現場の教員としてはやってみようと。そして、恐らくそういう力というのは理科だけじゃなくていろんな科目を通じて培われていくものだと思うので、総合的な学習の時間を通して、あるいはほかのものを通してでも、プラス、プラスで最終目標に到達すると思うので、現場の教員がもっとやってみようって思われるような形に何か一文を加えるとか、何かしていただけたらちょっとうれしいかなという気もします。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。小学校の「知識・技能」に関する質問兼コメントですね。あと、2点目に関しては、先ほどの小林委員と共通して、小林委員はフルメニューっておっしゃっていたのですけど、それをこなしていくというのは全ての単元にとってはほぼ不可能に近いので、強弱というのですかね、そういうのを含めて整理していくということが一つ課題なのかなと思います。ありがとうございます。
  続きまして、江崎委員、お願いいたします。
【江崎委員】    先に細かい部分ですが、資料5の方の中学校の理科の「思考・判断・表現」のところで、「導き出した考えを根拠を」のところで、「を」、「を」と続きます。導き出した考えについて、更に根拠を基にというのもおかしな感じになってしまいます。多分、実験結果に基づいているということになると思うので、「根拠に基づいて考えを導き」という流れになるかと思います。「思考・判断・表現」では、高校・小学校それぞれ、子供がどう考えていったという考えの中で表現するという方がよいと思いました。
  次の高校の方で、「主体的に学習に取り組む態度」のところで、観察しようと、では実験がもう一つあるのだなというイメージがどうしても出てしまう。そうすると、関わろうとする、関わろうとしたりという方が実験を表現しているのかなと思われてしまう。そこの表記を考えておいた方がよいと思います。
  また、三浦先生もおっしゃったように、一通りフルメニューでやるというのは大変ですので、例えば1年間の理科の学習を通して、それぞれの場面が一通りできるようにしておきましょうとか、教科書の中でもそれぞれの場面が必ず1個入るようにしましょうというような扱い方をする。
資料に評価では「特に育成したい資質・能力に焦点化してもよい」とあります。現場でも1時間の授業で全ての観点で評価するということはもうしなくなっています。これは、そのことを書いていると思うのですが、同じように、全体的なカリキュラムを作る際に、ここではここら辺を少し重点的にやろうとか、そういう設計をしてもよいのかなということを書いておくとよいと思います。
  また、資料5の方に戻りまして、ここに書かれているのが理科の評価の全般的な基準というか、趣旨になってくると思います。そうすると、もう一つの資料7-2の方で「小学校・中学校・高等学校を通じて理科において育成すべき資質・能力(案)」というのがあり、ここに書かれている内容が一通りこの資料5の方に含まれているという確認ができればよいのだろうと思います。ですから、例えば「学びに向かう力、人間性」とかというのは「主体的に学習に取り組む態度」につながるって考えてくると、資料7-2に書かれている一通りの内容がこの資料5の中に読めるということになっていれば、資料5の方はすっと通ると思います。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。実際に何回か出ていましたけど、フルメニューをこなすのはなかなか難しいので、全体の年間のカリキュラムの計画を含めて考えていく必要があるのではないかということですね。あと、資料5と資料7-2ですね、やはり参考となる資料の整合性を考えていく必要があるのではないかということです。ありがとうございました。
  次に、じゃあ、古田委員、お願いいたします。
【古田委員】    一つ疑問と、一つコメントをします。
  資料5の2枚目の一番右のセルですが、一番下に「学んだことを日常生活や社会に生かそうとする態度」、「主体的に学習に取り組む態度」とあります。そういう態度が発現するのは理科の時間とは限らないのではないでしょうか。すると、それを評価しようとするとき、だれがそうした生徒の態度を観測するのか、そして評価に生かすことができるのか、疑問に思います。「日常生活や社会に生かそうとする態度」を誰が観測し、評価し評価に組み入れるのかということをどのように想定してこの資料を作成しているのかを明確にする必要があると思います。
  それから、同じ箇所につきまして、先ほどから議論しておりました資料4-2と照らし合わせますと、学んだことを日常生活や社会に生かそうとする態度が、「主体的に学習に取り組む態度」という項目の中で、いわゆる「やる気」として処理されるものなのだろうか、という疑問があります。資料4-2の丸3の最後から2番目の行には、「次の課題を発見したり、新たな視点で自然の事物・現象を把握したりする学習場面を設けること」とあり、「日常生活や社会に生かそうとする態度」はここに含まれるのではないでしょうか。新しい視点や発見、新たな課題を体得した技術や技能や知識を生かして取り組むことを期待し、それを学ぶべきこととして提示するなら、この「主体的に学習に取り組む態度」よりは「思考・判断・表現」の一番下のところに入る方が流れとしてはきれいです。今回の学習指導要領の柱の一つであるアクティブ・ラーニングを大きく取り上げた流れの中にもその妥当性が見いだされると思います。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。済みません、1番目、御質問ということで、これは評価として結び付けるときにどなたが評価するという。
【古田委員】    理科の先生だけがそれを担うことを想定するのは、現実的に不自然ですし、運用にも矛盾が生じます。
【大島主査】    なるほど、そういうふうに読み取れるということですかね。分かりました。評価するのは理科の先生だと思うのですけれども、それがなかなかここの文面からは、反対に、質問というよりかは、総合的学習みたいな形で別の先生が評価されるようにも読み取れるということなのですかね。ちょっと済みません、質問の意図がちょっと、私……。
【古田委員】    理科の先生だけにこの日常生活に生かそうとする態度が観測できるチャンスがそんなにあるのでしょうか。全ての生徒に公平に、です。日常生活は学校だけでもなければ、理科の授業だけでもありません。子供たちが学びを生かそうとしたという場面を誰が観測し、誰が評価に結び付けるのかが、リアルに想像すると不思議に思いませんか。
【大島主査】    分かりました。御指摘は分かりました。ちょっと考えさせていただくということかなと思います。はい、ありがとうございます。
  あと、幾つか御指摘が、例えば、先ほども出ていたように、「思考・判断・表現」ということと、この三つの枠組みで必ずしも今置かれているところではないところではないかという御指摘ですよね。そういう御指摘ということで承りました。ありがとうございました。
【大杉教育課程企画室長】    主査、済みません。先ほどの「日常生活や社会に活用しようとする」というところは、各教科共通に重要であり、また、評価の場面で結構大変でもありというところであろうかと思います。あくまで学習の中で読み取れる範囲でということであるので、実際、社会に出ていろんなことをやっているかどうかというところまで先生が見るわけではないのですけど、例えばほかの教科でも家庭科などで、じゃあ調理実習ができるからよいのかというと、それを実際に生活の中に役立てて生活をよりよく改善しようとしているかということを何らか生徒に振り返らせて、少し何か書かせて、学んだことをどういうふうに活用しようとしているかなんかを見ながら読み取ろうとしたりというような、いろんな努力を各教科でやっているということ。そして、それは今回の「社会に開かれた教育課程」という観点からはかなり大事なことでもあるということであろうかと思います。ですので、全てが読み取れるわけではないけれども、じゃあ、学習の中でどんな場面を設定して、それをなるべく読み取れるようにするかというような工夫とセットで、今後、議論していかなければいけないのかなと思っております。
  失礼いたしました。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  それでは、今現在として、小田委員、小林委員と鮫島委員、あと川村委員ですね、挙がっていますので、この中で一応議題(2)についてはまとめさせていただきたいと思います。
  では、小田委員、お願いします。
【小田委員】    失礼いたします。「深い学び」ということが本日のテーマになっておりましたけれども、子供たちが「深い学び」を追究していくためには、これは理科に限らず、どの教科でも同じだと思うのですけれども、その時間の中で見通しと振り返り、そういう場面をきちっと設定するということが非常に大切であると思います。そういった点で、この資料5の2枚目でございますけれども、見たときに、見通しと振り返りの例というのがございます。先ほどから御意見が出ておりますように、問題解決の過程、探究の過程を一つの授業の中で1時間の中で全てステップを踏んでいくということは、とても困難なことなのですけれども、やはりこの流れを意識しつつも、その問題解決の過程にメリハリを付けるのが見通しと振り返りの場面ではないかと思っています。そういった点で、この資料の見通し・振り返りというのは、そこに「見通しと振り返りの例」と書いてあります。それは、仮説の設定の場面、そして考察・推論の場面を一つの例ということで位置付けているという意味だとは思いますけれども、この資料を見たときに少し分かりにくいなというところがございます。学習の場面の中では非常に大事なところですので、もう少し記述が丁寧にあるとよいなと思います。「思考・判断・表現」のところ、右の方を見ると分かるのですけれども、少しそこをアンダーラインを引くとか同じ色で強調するとか、そんなことがあれば見ている者に非常に分かりやすいなと思いました。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。強弱を付けて、もう少し読んだときに分かりやすいようにという御指摘でした。
  続きまして、鮫島委員ですね、お願いいたします。
【鮫島委員】    同じく、この資料5の2枚目の高等学校基礎科目における評価場面の例についてお話し申し上げたいと思います。私も現場の教員なので、このフルコースについてはいろいろ思うところがあるのですけれども、ただ、こういう形で学習活動例の横に3観点が示され、どういう場面で評価されるのかというのが示されたこの資料そのものは、すごく貴重なものだと思いますし、三つの観点がバランスよく評価されるということを示しているものであるので、非常に貴重なものだと思います。
  先ほど来、このフルコースを学校現場の中で授業の中で取り入れていくのはなかなか不可能に近いだろうという話の中で、強弱を付けるという話も出ているのですけれども、もし可能であれば、私の要望として、この学習活動例は実験・観察を伴う探究的な学習活動の一例だと思うのですけれども、それ以外の学習活動の例もお示しいただき、三つの観点がバランスよく評価されるのだよというところを示していただけると、より具体性もあり、現場の教員としてはヒントになるかと思います。もしこの一つの例だけで行ってしまうと、危惧されることとしては、先ほど来、強弱という話が出ていますが、ある一部分だけ、例えば知識・技能の二つ目の四角の中にある観察・実験を実行する技能とか、こういう部分だけが取り出されて、いわゆる形成的評価に近いものが重ねられていく、それで最終的な生徒の評価につながっていくことになりかねないのではないかと。この三つの観点をバランスよくやるというのは、この一連の学習過程の中で三つをバランスよく評価する、あるいはいろんなタイミングで評価していくということに意味があると思うので、どこか一部分だけを取り出して形成的評価を重ねるということではなく、総括的評価として生かされるものだと思うので、その部分が形跡的評価と総括的評価を区別して表現してもらうということも一つの方法だと思いますが、クリアになるとよいかなと思います。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。観察・実験が前提となったフルコースになっているので、そういう授業だけではないのでという御指摘でした。ありがとうございます。
  では、続きまして、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】    じゃあ簡潔に。資料5の「思考・判断・表現」の高等学校理科の4行のところです。先ほど江崎委員がちょっと御指摘になったところなのですが、今、朱書きで「科学的に探究し」というのが入っています。小・中学校は「考察」とか「分析」、「解釈」という言葉が入っているのですが、恐らくこの「探究し」の中にもう「分析」、「解釈」、「考察」まで入っているという理解でよいとは思うのですが、もし仮に「探究し、得られた結果を分析・解釈し」というと、言葉に言葉を重ねる形にやっぱりなるのですねという自問自答です。待っている間にそういうところに落ち着きました。
  あともう一つ、田代委員が御指摘になった資料4-1の大きな文字で書いてある3行の「発展的に考察する」という、この「発展」がやっぱり私もひっかかって、資料5と資料4-1が何か整合するような書きぶりがよいのかなという意見です。それで、資料4-1は、4領域を全部総合するとこういうことになりますよという意味合いで上位に持ってきて、この3行を更に各エネルギー等の領域に分けて領域固有の物の見方を主としてピックアップすると、エネルギーについては量的・関係的な視点と、そういう説明ができるのではないかなと。これも待っている間に思い付きました。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  では、川村委員、お願いいたします。
【川村委員】    失礼します。資料5の2枚目の学習活動例が、先ほどから現場であることを想定していろいろ御意見が出ているようです。また別の視点からここについての意見なのですけれども、これ、高校基礎ですから、多くの子供たちが高校の基礎を付した科目で理科の学習が終わる可能性がある。そうしたら、この時点で身に付けてほしい科学的な考え方は何かというのを考えたときに、やはり世の中に出て役に立つのは科学的な思考の方法だろうと私は考えます。それを高校の基礎を終えるまでには是非身に付けさせたい。教材に応じてどのような学習活動が必要かというのが決まってくると思いますので、高校の基礎を付した段階では、仮説を自ら形成するという思考の方法であるとか、あるいは帰納法で規則性、法則性を自分から見いだしていく、そういった論理の方法が分かっている。で、この教材、このテーマでは、じゃあこのステップを探究のプロセスをやっていくのですよと、先生が全部やらなくても、あ、そういったことで課題の設定、仮説の設定は絶対やらないといけないし、検証は自分たちで考えないといけないと、そういった軽重の付け方というふうになるのかなと思って聞いておりました。学習指導要領解説に書くかどうかは別として、そこら辺が理科の教員は分かっていれば、フルコースはこれですけれども、今回はこれで行くのですよということは納得できるのではないかなと考えています。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。
  三浦委員。
【三浦委員】    ちょっと言い訳をしゃべらなきゃいけないなと思っています。今、フルコースってなっているのですけど、これはすごく大事なので、これをなくせとかそういうものでは当然ありません、私の意見としては。私もSSH校に11年ぐらい勤務していて、この課題発見をしっかりさせて、仮説を作って、最終的に結果を処理し、考察して、それをまとめて発表するって、いかにすごいことなのか、生徒はどんなに力を付けていくものかというのは十分理解をしています。ただ、それを学校の中の日々の授業の中に入れると少し問題があるということなのであって、この探究の過程そのものは本当にすばらしいものなので、これを理想として絶対残しておいていただきたいということは、言い訳として言わせていただきたいと思います。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  議題(2)について皆様からいろいろな御意見を頂きまして、ありがとうございました。資料5の2ページに書かれているこのフルメニュー、フルコースを理解しながら、実際の現場を見ながら、これをどうやって実行できるかということですね。それを今後考えていくことが必要なのではないかということと、あともう1点、資料4からずっと見ていて、この資料内での整合性というのも幾つか御指摘があったので、例えば資料7と資料5ですね、資料7に書かれていることは資料5に反映されているかとか、あと、やはり資料4も5と関連していますので、その関連性などを整合性としてきちんと統一していくということも、何人かの委員の方から御指摘があったかと思います。
  では、議題(2)につきましては大体皆様の御意見も頂きましたので、最終的な表現などについては主査に一任いただきまして、まとめさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
  それでは、議題(3)に移りたいと思います。
  では、事務局から議題(3)について御説明をお願いいたします。
【金城教育課程課課長補佐】    はい、失礼いたします。議題(3)につきましては「条件整備」でございます。資料6-1、6-2が関係資料でございます。
  条件整備につきましては、第1回目のワーキンググループでもお示しいたしましたように、本ワーキンググループの検討課題のうちの一つでございます。6-1につきましては、これまで御議論いただいたものをまとめたものでございます。指導体制、また、実験器具等の整備充実、教材関係、また、入試の在り方といったもので、それぞれ御意見を賜っているところでございます。
  この中で実験器具等の整備充実について御議論いただきましたけれども、関係資料に基づきまして御説明させていただこうと思っています。資料6-2をご覧いただけますでしょうか。「理数教育充実のための総合的な支援」というタイトルを付けておりますけれども、現行の学習指導要領につきましては観察・実験活動が充実されたということでございます。この観察・実験活動の質の向上を図るために、人的・物的両面にわたる総合的な支援を実施してございます。
  資料の左側下方でございますけれども、物的支援といたしましては、理科教育設備整備費等補助金というものがございます。これは、観察・実験活動に必要な理数教育のための設備を整備するのに要する経費の一部を補助するものでございます。理科教育振興法に基づいて、公私立の小・中・高等学校等の設置者に対して経費の一部の補助を行っております。
  また、右側の方に人的支援というものがございまして、こちらは小・中学校におきます理科の観察・実験に使用する設備の準備・調整等を行う観察実験アシスタント、通称PASEOと呼んでおりますけれども、このPASEOの配置を支援する理科観察実験支援事業でございます。このような人的・物的な支援策がございます。
  それから、1枚おめくりいただきまして、ICT関係でございます。ICTの活用につきましても条件整備の一つとして考えられると思います。小・中・高等学校におけますICTを活用した効果的な実践事例ということで、考えられるものを例示・列挙させていただいております。
  例えば小学校においては、水の温まり方を示温テープ等を用いて実験する際、変化の様子をタブレットで録画し、再生した動画を見せ合うことで、自分の考えを根拠を持って説明することができる、こういった活用が考えられるのではないかと。
  また、中学校におきましては、実際に体験することが難しい気象の学習に際して、タブレット上でのシミュレーションで台風の進路を予測するといったようなことが、ICTを活用した効果的な授業として活用できるのではないかということで例示を挙げております。
  また、高等学校におきましては、生物の現象の仕組みのシミュレーション視聴ということで、なかなか授業の中でこういったものを取り扱うのは難しいということで、電子黒板を使用した科学実験の事前動画視聴などを活用いたしまして、より子供たちに対して効果的な学習ができるのではないかということで、これらの事柄を実践例として掲げております。
  説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  では、議題3といたしまして「必要な支援、条件整備等について」、御意見、御議論いただきたいと思います。大体目安としましてあちらの時計の15分でいろいろ御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
  早速、では、赤石委員、お願いいたします。
【赤石委員】    小・中・高等学校の理科教育設備の整備の予算として、資料6-2にありますように、今年度17.8億円の理科教育設備整備費補助金が計上されています。しかし、昨年度の理振協会による全国小・中・高等学校観察・実験機器充足調査の結果からは、まだまだ小・中・高等学校の理科観察実験機器は不足していることが分かります。この調査結果からは、教科書に掲載されている実験を行うための観察・実験機器の設備充足率、重点品目で小学校が61.0%、中学校が45.3%、高等学校では23.7%と、多くの学校で観察実験の設備整備が整っておりません。充実した理科室の環境で観察実験授業を児童生徒たちに体験させることができるように、実験・観察に関わる理科整備の充実が更に必要だと思います。併せて、観察・実験のできる場所、理科室や十分な消耗品費が確保されて、初めて理科の楽しさ、面白さを十分に体験できる理科室になるのだと思います。
  また、理科教育における観察・実験の支援として、同じように資料6-2のところですが、今年度2.6億円の理科観察実験支援事業に予算が計上されています。小・中学校に理科の観察・実験の準備・調整等を行う補助員が配置され、教員が観察・実験の指導に注力できるすばらしい制度だと感じます。今後は、安心・安全な理科実験を行うためにも、理科観察・実験支援事業の更なる充実が必要だと思います。同様に、高等学校においては、より専門性の高い理科実習助手の配置整備が重要だと思います。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  では、筒井委員、お願いいたします。
【筒井委員】    ICT機器の活用という観点から幾つか私の経験していることをお伝えしたいと思います。まず、なかなか実施する、使う学校が増えないというのが現状で、私は教育研究校ですので、毎時間のようにICT機器を使った授業を行い、それを研究会や学会で発表したりしますがなかなか普及しません。一つの大きな理由は、教科書に書かれていないからです。教科書の中にICTを活用した授業の実験例が出ていない。教科書会社に「どうして入れないのですか」と聞くと、機器を持ってない学校が多いので、学校で実施できないものが教科書に書かれていると、それはまたかえって生徒から見たときに不安を与えると。なので、多くの学校で実践されるためには、教科書でそういうものを使った実験などが紹介されるのと同時に、各学校に機器が普及していかないと定着しないと思います。コンピューターやタブレット端末とともにセンサーを購入するということを積極的に支援していただくと同時に、ICTのCはコミュニケーションですから、対話的な学びを促すためにはそういうツールが非常に有効であるということを明記した学習の指針が示される必要があると思います。
  また、私がICTを使った授業を紹介しても、年配の先生は反応が悪いです。昔からの機器を使った実験のやり方、グラフにプロットすることが理解を深めていくということの信念を持って指導されています。しかし、時間を短縮して生徒に議論させる時間を保障する、あるいは実験結果を予想することに時間をとるためには、実質的にICT機器を使わざるを得ないという状況がありますので、授業の在り方そのものを変えていく提案が必要になります。若手の先生は非常に興味を持ちます。私の授業を見学した先生には、本校に機器を借りたいということを申し出てくる方も多くいて、実際に我々の学校ではそういう方に機器のレンタルをしています。今の若い先生は、コンピューターやタブレット端末を使って授業することに気持ちが開けていますので、そういう授業実践例が普及していけば、多くの学校で授業の在り方そのものが変わっていくのではないかと思います。よって、そういう教材の提供と機器の普及ということの両面での支援が必要だと思います。以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。ICTに関するコメントで、ハードウエアだけではなくて、やはりソフトとしてのことですね、そういう普及するための手段もやはり両輪で考える必要があるという御指摘でございました。
  次、飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】    失礼します。私の方から、指導体制ですとか支援というようなことに関して一つお話をします。普段研修所に勤めておりまして、小・中・高の先生方と接していて、特に理科の授業に取り組んでいる方々は非常に熱心に取り組んでいると私自身は感じております。その中でも一つ課題として私自身が感じているのが、高等学校の理科の課題点として一つあるものはあります。それは何かといいますと、現行の学習指導要領で基礎の付く科目、物理、化学、生物、地学から3科目を履修するということになったということで、その各科目の履修率というのが当然上がったわけですけれども、同時に、教員にとっても自分の専門外の科目を教えることが増えていったということがある。これが一つ課題ではないかなと感じております。現場の教員に話を聞きますと、この基礎の付く科目の中で観察・実験を実施するというものについて、正直、前の学習指導要領と比べまして十分でなくなってきているのではないかなというふうな感想を持っております。
  その要因として何が考えられるかというふうに考えましたら、まず、現場の先生方が言うのは、「標準単位が2単位になって、授業が週2時間になった」、これ、よく言われることなのですが、私自身は、それに加えまして、やはり専門外の科目を教える機会というのが増えていったということが、この観察・実験の実施が十分でないということに関係しているのではないかと感じているわけです。免許状は高等学校の理科ということですけれども、実際に教員採用試験では自分の専門とする科目に関する試験を受けて、そして採用されていくというケースもあるかと思いますので、特に近年、若い方がどんどん増えているという現状を見ましても、この点について何らかの支援というか、対策というか、そういったものを何か考えていく必要があるのではないかと感じているところです。
  以上になります。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。専門外の科目を教える場面が多くなっている中で、今後どうしていったらよいかという御指摘でございました。
  次、田代委員、お願いいたします。
【田代委員】    これまで余り議論されていなかったICT環境のことについて、4点ほど言いたいと思います。
  まず、ICT環境ですけど、大事なのは、黒板等と同じように、常時そこにあるというのがすごく大事なんじゃないかと思います。つまり、蛍光灯のスイッチを入れるように、プチッと入れたら、もうすぐ使える。先生が機材をガラガラ移動したりとか、設定が複雑だったりとか、「よし、今日はICTをやるぞ」という状態だと絶対普及しないと思うので、やっぱりカスタマイズはできるようにしてあったとしても、一番必要な機能だけがすぐ使えるような、そういう状態にしないとなかなか普及しないなと思っています。そういう点では、書画カメラとかプロジェクターなどは常に存在する空気のようになってきて、どこにでも使えるようなものになってきたのかなと思っています。これが1点目です。
  2点目は、ちょっと発想を変えて、購入者が教師なので、今、どうしても先生向きに発想してICTが使われているのですが、それこそ常時置いてあるなら子供たちがどんどん自由に触って、あ、こんな使い方があるのかって先生が逆にびっくりするような形で、普及させていく。こうした子供たちの発想から先生を動かすという逆転の発想というのもすごく必要なんじゃないかと思っております。
  また、メーカーさんに希望するのですけど、大体ICT機器はオフィス中心で作られるので、人数が6から20人ぐらいの対象にしたものが作られるのですけど、学校サイズはまだ相変わらず30ぐらいはあるので、是非学校にしっかり入って、30サイズで、あるいは40人サイズで使いやすいものというのを真剣に開発してもらえればなと思っております。
  3点目が、ICTの有効性には様々あって、拡大したり縮小したり、時間軸を超えていろんなことができたり、モデルを使ってシミュレーションしたり、イメージを膨らませたり、それから、これからだと子供たちの学習の記録をしっかり残したり、そんなようなことができるのがICTの有効性かと思います。今後、特に大切にされるべきICTの役割は子供たちの思考を見えるようにして、「深い学び」につなげるような活用の仕方ではないかと思います。ですから、できるだけ子供たちの思考を今までの方法では見ることができなかった部分を、ICT機器を使うと見られるというようなものを開発してもらうとすごくよいのではないかと思っています。
  4点目が、これは理科特有になるのかもしれませんが、ICTを使うといろんなよい面があるのですけど、やっぱり理科は実物を見せるというのもすごく大事です。ですから、実物を見せた上で、より実物をよく理解するためのICTの利用とか、実物を見る意味を持たせるための事前のICTの活用とか、実物そのものをうまく生かすようなICTの活用の工夫をしていかなければなりません。ではないと、どんどんバーチャル時代が進んでいるので、理科教育の場合、概念形成などに大きな影響が出てくるのではないかと思っております。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。ICTに関連して4点御指摘いただきました。ありがとうございます。
  では、後藤委員、お願いいたします。
【後藤委員】    私は、小学校と中・高の先生たち、中・高は専門の理科の先生が基本ですから、小学校は専門性の苦手な先生も含めてやっぱりいるということは、課題が違うのだと思うのです。当然それに対しての支援は違ってくると思っていまして、まず、小学校は、これも調査をしたときに分かったのですが、知識と技能に不安を抱きながら授業をやっている先生が大変多いということなのです。となれば、それに不安を抱かせないような、例えば今やっている人的とか、そういう支援をしていきながら、今まで大切にしている問題解決の追究の仕方は、ちゃんとそれは意識がすごく高いのです。だから、そういう部分の人ですね、急に先生たちは全てのことが一遍に身に付くわけはないので、そういう支援策がやっぱり有効だと思います。中・高の先生たちは、当然、スキルだとかというのは高いのですけれども、何に迷っていらっしゃるかとかできないかというと、やっぱり先ほどから出ているように、探究活動の時間がないということなのですね。その保障をちゃんとやってあげるような、これも人的なことなのか、あるいは内容の精査なんかも含めて考えていかなきゃならないのですけど、それをやると、今、話し合っている授業の理想に近付けるような場づくりとかができるのだろうと思うのですね。理想というか、それを実現させていくのがこれからだと思うのですけれども、そういう支援をそれぞれの校種に応じてやっぱり検討していくべきだと思っています。
  もう1点が、理振などで備品だとか消耗品だとかというのを学校に買えるというのは非常に有り難い。これは理科の推し進めてくれる一つの大きな政策なのですけれども、理科室そのものが、新しい学校は非常にすばらしい理科室が造れるのです。でも、古い学校って何十年も同じ理科室なのですね。それで、これからのアクティブ・ラーニングをやっていこうとするには、やっぱり理科室を造り替える補助を作ってほしいのです。かなりのお金が掛かると思いますが、それに見合った理科室の改善を図る補助って、一部あるようなのですけれども、全国の学校を小学校だけでも1万九千幾つですから、2万近いですから大変だと思うのですけど、そういうことを少し検討していただいてやっていただくと多分意識が変わります。小学校の教師は、理科の授業をやることによって他の教科の授業もうまくなっています。これはすごく感じています。というのは、非常に論理的に整理された問題解決する教科特性がありますから、このパターンが他の教科への転用が図りやすいのですね。だから私は、小学校に専科を入れるというのも一つなのですけれども、多くの小学校教員が理科の授業を経験して、その学び方や指導方法を身に付けることは大きな意味があると思っていますので、それを支援していただきたいというのがあります。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。理科がほかの先生、特に小学校ですね、ほかの教科にも役立つという御指摘と、あと、今まで消耗品としての支援でしたけれども、理科室のデザインも含めた抜本的な支援も必要なのではないかという御指摘、御提案でございました。ありがとうございました。
  次、小林委員ですね、お願いいたします。
【小林委員】    ちょっとここで言うべきことではないような気がするのですけど、資料6-1の「指導体制に関する考え方」の上から三つ目、「小学校は若手の先生が非常に増えてきており」という、ここのところは、教員養成大学で初等教育教員を中心に養成している立場の人間としては非常につらいといいましょうか、負のスパイラルに入っちゃっているのだなというのを痛感するわけです。それで、教員養成大学学部の初等教育教員養成のための器材、顕微鏡なり電流計、電圧計なり、多分、お寒い状況に大学もあるのではないのかなと。そこで十分に理科の観察・実験に必要な操作技能などなどの基本的なトレーニングが疎かにされたまま採用されて、また現場の方で研修で四苦八苦しているという、どこかで断ち切れないのかなという、ちょっと場違いかもしれませんけど、教員養成大学にも問題があるんじゃないかなという問題提起であります。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。大学ですね、教員養成も含めてちょっと検討する必要があるのではないかということですね。ありがとうございます。
  次、小田委員、お願いいたします。
【小田委員】    失礼します。この条件整備の問題が一番、自治体によって差が激しい問題ではないかなということを、私は今、痛感しております。設備もそうなのですけれども、例えば先ほど御紹介のありました資料6-2の人的支援でございます。確かにこういうふうに国の方ではよい事業を挙げていただいておりますが、一方、これを活用する自治体がなかなか手を挙げないというような、必要性が、優先順位が低いということではないかなと感じています。ここで言うことではないのですけれども、補助率が3分の1というのが少し厳しくて、これが2分の1だともう少し手を挙げる自治体もあるのではないかなと感じているところでございます。ICTもそうですけれども、本当に学校によって、自治体によってすごく大きな差があります。例えば本校では実は電子黒板が1台しかなくて、先ほど御紹介ありましたように、ガラガラ、ガラガラ、同じ階のいろんな教室を移動しております。けれども、他校から転勤した教員は、他校では教室に1台あったと。「すごく電子黒板が有効でよいということで、使いたい」と言うのですけれども、なかなかそれがままならない厳しい状況にもございます。ICTにしかり、設備にしかり、人的支援にしかり、やはり自治体が求めたのを積極的に取り組めるような支援を頂けたらよいなと感じております。
  それと、やはり指針のようなものがあればよいなと思っています。それは、理科の授業を充実するためには、こういったICT機器があればよい、こういう器具があればよい、こういう人的支援があればよい、そういう指針といいますか、チェックリストと申しますか、そんなものがあれば、分かりやすく現場の教員もその自治体の方に要望することができるなと思っているところでございます。
  それともう一つ、研修の問題です。先ほどから若い先生方が増えてきているというようなお話がございます。実は小学校の先生方、やっぱり女性の教員が多くて、はっきり、「私、理数系は苦手です」とおっしゃる先生も割合に多くいらっしゃいます。そういった先生方に初めに理科にしっかり出会っていただきたいなと思っているところです。その研修の体制であるとか、あるいは自主的に勉強をする場、若いうちに理科の方に引っ張って理科好きの先生方を増やす、そういう仕組みづくりも必要ではないかと考えております。そういった意味で、国の方でJSTがCST(コア・サイエンス・ティーチャー)という事業を実施してくださっておりました。本県でもその事業をずっと、国の支援がなくなっても続けているのですけれども、そこには若い先生方も手を挙げて研修を受けに来てくださいます。そして、研修を受けてCSTになった先生方は、先生方同士でネットワークを作って、更に自分たちの勉強会を続けているという例もございます。そういった若いうちから共に学ぶ、そういう研修の場というのを作っていくということもこれから大事になろうかと思っています。
  以上でございます。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。自治体によって温度差があるという御指摘と、あと研修の体制ですね、特に若い方にということで、先ほど後藤委員からもありましたけれども、やはり理科をすることによって他教科にも非常によい波及があるということなので、そういうことも含めて若い方にどういうふうに研修体制を整えていくかということかと思います。ありがとうございます。
  最後、川村委員、お願いいたします。
【川村委員】    ほかの地方の皆様とも同じような状況ですので、重なるところは簡潔に、またちょっと違うところを追加したいと思います。
  結局、最後は人なのだろうというのが私の考えですけれども、人材育成をとにかくやらないといけないという状況に地方はあります。御存じのとおり、現場で、小学校であると理科を教えているのは50歳代の方が多いと聞いておりますが、教育委員会の人事担当者の方は、「早く若い人が欲しい。教員養成系の大学どうですか」。ですから、先ほど小林委員からも教員養成系大学のことについて御発言がありましたが、そんなに恵まれた状況ではなくて、かなり苦労している地方の大学は多いのではないかと思います。もうそんなに悩んでいる時間はなくて、ここ数年のうちにどんどんと人が入れ替わる、そういった状況で、新しい人、若い人、教員養成をどうするか。それから、現職の教員の研修の話も出ておりますけれども、20年前、30年前の教育センターでやられていた理科教育の研修の数、予算と現在のものを比べると、格段の違いがあろうかと想像します。県の方でも、地方の方でも教員研修のお金は非常に困っている。もう一つ、教職大学院というのができておりますので、そこで中堅の教員をトレーニングして、現場に送り出して活躍していただくということがありますが、教職大学院のカリキュラムが例えば理数教育充実のために見合ったものになっているのか、カリキュラムの見直しも場合によっては状況を調べた上で必要であるのか、様々な方法をとらないと、次の学習指導要領、順調なスタートができないかなという危機感を地方では持っております。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。研修及び教員養成も含めて、人材育成に急務として取り掛かっていただきたいという御発言でした。ありがとうございました。
  議題の(3)については、皆様のいろいろな御意見を頂きましてありがとうございます。そろそろ時間に、済みません、5分ほど超過してしまいましたけれども、なりましたので、議題(4)に移らせていただきたいと思います。
  では、事務局より議題(4)について説明をお願いいたします。
【金城教育課程課課長補佐】    失礼いたします。議題(4)につきましては、高等学校の理数科において育成すべき資質・能力ということでございます。
  まず、資料7-1をご覧ください。資料7-1は、これまで御議論頂きまして、理数教育のイメージを取りまとめておりますけれども、この一番上の高等学校の更に上の発展のところに、理数科、また理数探究を念頭に、理数教育で育む資質・能力を大まかに整理してございます。
  これに基づきまして、資料7-3で資質・能力の三つの柱に沿って再構成をさせていただいております。資料7-3をごらんいただけますでしょうか。
  理数科につきましては、理科と数学を横断いたしまして、この分野の学習を深めたいと希望する生徒の科学的・数学的能力を高めるために設定された教科でございます。この理数科の中には、今回新設する理数探究を必修化とする予定でございまして、現在、特別部会においても並行して御議論を頂いているところでございます。
  7-3の上のところに青字で記載しているところが理数でございますが、三つの柱に基づいて御説明させていただきます。
  まず、「知識や技能」につきましては、科学や数学における基本的な概念や原理・法則の体系的な理解、また、事象を科学的、数学的に探究するための知識や技能、また、研究倫理についての基本的な理解、こういったものを知識や技能として整理させていただいております。
  また、「思考力・判断力・表現力等」でございますが、事象を科学的・数学的に考察し表現する力。科学的・数学的な見方・考え方を活用したり、組み合わせたりできる力。また、探究的な学習を通じて課題解決を実現しようとする力。最後に、新しい進歩を生み出す創造的な力。こういった資質・能力が考えられるのではないかということで整理しております。
  また、「学びに向かう力、人間性等」でございますが、様々な事象に対して、知的好奇心をもって科学的・数学的に捉えようとする態度。事象に徹底的に向き合い、考え抜いて行動する態度。自らの学習活動を振り返って次につなげようとする内省的な態度。新たな価値の創造に向けて積極的に挑戦しようとする態度。最後に、研究に対する倫理的な態度。こういった資質・能力が考えられるのではないかということで整理をしております。
  この資料につきましては、別途、算数・数学ワーキンググループにおきましても御議論いただくことにしておりまして、理科と算数・数学それぞれにおいて御議論を賜ることにしておりますが、特段お気付きの点がありましたら御議論を賜ればと思っております。
  それでは、よろしくお願いいたします。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  それでは、議題(4)として「理科を通じて育成すべき資質・能力について」、御意見、御議論を頂きたいと思います。資料7-3は、理科だけではなくて、数学と、新しく今議論されている、前は理数探究科目が案としてはありましたけれども、それが今、理数科目という名前が案としてなっていますので、それを含めてこの7-3にまとめていただいております。何かございますでしょうか。小林委員、お願いいたします。
【小林委員】    ちょっと質問のような意見です。数学の専門の先生に「理科としては数学は道具です」なんて言うと、えらく怒られます。「哲学だ、言語なのだ」。ここの場で理数における数学は、あえて道具と言おう、道具として位置付けてよいのですかね。
【大島主査】    済みません、数学を道具としているという印象は特に感じなかったのですけど、何かそういうふうに感じられるのでしょうかね。
【小林委員】    数学における問題の設定と解き方というのは、やっぱり数学独特のものが、抽象の世界ですよね。我々は具体を扱うので、やっぱり思考様式が相当違うと思うのです。我々というか、理科の人間が数学だと思っていること、その考え方は、数学の学者さんから見ると「そうじゃないよ」みたいな。そういう話はここではもうよいのかな。
【大島主査】    いえ。数学の方でも御検討いただいていることかと思います。あと、私が言う立場ではないのですけど、数学、純粋数学と、最近、数理もありますので、だんだんそちらのメンタリティーも変わってきてはいるのではないかと。私がここで申し上げる話ではないのですけど、おっしゃっているような純粋数学だけではないのではないかなと思います。
  じゃ、平野さん。
【平野教育改革調整官】    ちょうど今、算数・数学ワーキンググループでも同様の議論をしている中で、数学の世界だけでもう数学化された課題・問題を数学的に解決するというものじゃなくて、いろんな実際の社会での事象から、それを数学の課題として設定して、数学の世界に移した上で数学のプロセスに乗せていくという、そういうのもやっぱり大事だろうということで御議論いただいているというような状況でございまして、何か自然事象を課題に設定する、その後、使う道具としての数学という視点だけではなくて、数学的な見方・考え方、思考法なりを身に付けていくと。それもちゃんと自然事象から社会事象も含めてですけれども、数学的な課題として設定して、数学的に考えていくというのも大事だろうということで議論しているので、必ずしも道具ということだと確かに御反発があるかもしれません。
【小林委員】    分かりました。何かうまくすり合わせができているようなので、了解しました。済みません。
【大島主査】    いえ、非常に大事な点かなと思います。多分、数学も今いろんな形で変わってきていますので、実際に機械学習、AIとかも数学と非常に密接な関連があるので、そういうことも含めて数学の方でも見ていただいているのではないかなと思います。
  ほかに何か御意見ございますでしょうか。赤石委員、お願いいたします。
【赤石委員】    資質・能力には各教科に共通した「学びに向かう力」があると思います。主体的・協働的な学習活動とつながるこういった各教科に共通した「学びに向かう力」は、どのように扱うかというのはちょっと分かりませんけれども、全ての教科で大事なものや特に理科との関係性の高いものは、この「学びに向かう力、人間性等」に加えた方がよいと考えます。そこで、議題(2)のところで述べた意見でもあるのですけれども、多様な他者と関係性を築く協働性に関わるような態度も入れておいた方がよいのではないかなと思います。
  以上です。
【大島主査】    協働的な学びも一つ大きな観点でございますので、それを検討するという御指摘でした。ありがとうございます。
  ほかに何か御意見ございますでしょうか。筒井委員、お願いいたします。
【筒井委員】    ここに書かれている育成すべき資質・能力に関しては、よく考えられていると思います。これに関連して気になるのは評価です。実際にこの教科「理数」の中に新しい科目を設けて、高校生にそれを履修させた場合、それを評価しないといけません。非常に発展的な科目になると思いますが、それを評価する観点としてどうすればよいのか。非常にチャレンジングなことですので、結果として必ずしも成果が出るという保証はないわけで、挑戦したこと自体を評価しないといけない。そういう点で他の教科・科目、学ぶべき内容が高校生のいわゆる知的な能力にある程度見合ったものを用意して、それがどれくらい定着・習得されているのかを見るのとは違ってくるので、新たな評価の観点が必要になるのではないか、ということが気になります。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。評価についての御指摘で、非常に重要な観点だと思います。
  次、飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】    失礼します。質問ですけれども、教科「理数」のところの育成すべき資質・能力の青字で書かれているものなのですが、これはその下の教科「理科」と「数学」を前提としての表現なのか、それとも独立しての表現なのか、これはどちらなのかというのをちょっとお聞きしたいなと思います。
【大島主査】    ありがとうございます。事務局から、平野さん、どうぞお願いいたします。
【平野教育改革調整官】    高校理科、高校数学だけではなくて、小・中・高の積み上げの上で、更に理科と数学をもっと専門的に深めていきたいという方たちを対象にした理数科という科目、さらに、今回は別途、理科と数学にわたる探究的科目という新しい選択科目について検討いただいている特別チームで御議論いただいている、その新しい科目で求めたい資質・能力というものも少し加味させていただいた上で書かせていただいたというものでございます。先ほど筒井委員から御指摘がありました評価の在り方についても、その特別チームの方で検討いただいておりまして、前回の配付資料、参考資料2で配らせていただいておりますけれども、やはり評価の在り方というのはペーパーテストになじむような科目ではないので、やはりかなり形成的ポートフォリオなんかを使ったような評価方法とか工夫していく必要があるのではないかということで、正に今御議論いただいているという状況でございます。
【大島主査】    ありがとうございました。今のお答えでよろしいでしょうか。
【飯田委員】    ありがとうございます。そうしますと、実は私も教科「理数」を履修する生徒を何回も持ったことがあるわけですけれども、高校1年生で最初は理数をやるのですが、その時点ではそれ以外に教科「理科」を履修する生徒と余り差がないというか、そこからだんだん差が出てくるわけですが、そういう意味では、例えば理科の中にあります「知識や技能」のところですね、「探究のために必要な観察・実験等の技能」ですとか、あと「思考力・判断力・表現力等」の「目的意識を持って観察・実験」ですとか、「学びに向かう力、人間性等」のところも「科学の必要性や有用性の認識」、こういったものも前提というか、まずはそういった力も身に付けた上でこの理数に取り組んでいくというような表現をするとしたならば、やはりこの観察実験についての表記なんかも理数の方に少し含めていった方がよいのではないかなと感じました。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  では、川村委員、お願いいたします。
【川村委員】    細かい点の質問というか、感想になります。教科「理数」の資質・能力(案)の「思考力・判断力・表現力等」の3番目の項目です。「探究的な学習を通じて課題解決を実現しようとする力」というのがここに入っていまして、どちらかというと情意面に関するような表記にも読み取れまして、ここが据わりがよいのかな、どうかと。問題解決能力であればずばりここだと思うのですが、「課題解決を実現しようとする力」というのが、読んだときにすぐに思考力などとの関連が分かりにくかったので。
  以上です。
【大島主査】    具体的な御指摘ありがとうございました。
  次、江崎委員、お願いいたします。
【江崎委員】    先ほど数学は道具だというような話がありましたけれども、資料7-3の方は印象として、数学と理科を併記して書こう、だから、数学的見方、科学的な見方というように両立させようという印象を受けます。資料7-1では、表題が「理科教育のイメージ」となっていますので、こうなるだろうと思います。高等学校の発展のところは、これが理数というふうになると、完全に理科だけになり、数学のスの字も入ってないような印象を受けます。ここの内容が理数の内容であるのであれば、高等学校の発展、下の方に「理数科、理数探究」とありますから、ここにやや数学的な表記が入ってくる必要があると思います。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。何回か出ました資料を通しての整合性ですね、検討していくということかと思います。ありがとうございます。
  ほかに何かございますでしょうか。この議題に関しましては、皆様の大体の御意見を得られたのではないかなと思います。本資料ですね、算数・数学ワーキンググループでも同様に御意見を頂く予定でございます。あと、幾つか表現のことでも御指摘がございましたので、最終的な取りまとめに関しましては主査に一任いただければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
  それでは、資料9及び資料10、参考資料3について、事務局より説明をお願いいたします。
【金城教育課程課課長補佐】    はい。まず、私の方から資料9に基づいて御説明いたします。
  この資料9の位置付けでございますけれども、表題「理科ワーキンググループにおけるとりまとめのイメージ(案)」とさせていただいております。これまでワーキンググループで配付した資料でありますとか御議論を文章化したものでございまして、次回が最終回ですけれども、ワーキンググループでとりまとめというイメージで作成したものでございます。本日は御議論いただく時間がございませんので、簡単にこの作りについて御説明させていただきます。
  全体構成は、こちらご覧のとおり、まず1点目としましては現行学習指導要領の成果と課題、2点目としまして教科等の目標と評価の在り方、3点目として教育内容の改善・充実、4点目といたしまして学習・指導の改善充実や教材の充実、また、5点目といたしまして必要な条件整備等となってございます。
  中には、ご覧いただきましたように、本日の議論を受けて記述予定といった項目も複数ございます。会議の後に本日頂きました御議論を事務局の方で盛り込んだ上で、具体的にはアクティブ・ラーニングですとかICT関係の御議論も賜りましたので、そういった項目を事務局の方で盛り込ませていただいた上で、次回のワーキンググループに前もって各委員の先生方には御紹介させていただきます。次回のWGでとりまとめる予定にしておりますので、是非積極的に事務局の方に御意見をお寄せいただきまして、その御意見を反映した上で次回のワーキンググループの方で御議論を賜る予定にしております。
  説明は以上でございます。
【大島主査】    はい、ありがとうございます。
  大杉室長からもお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    はい、失礼いたします。ちょっと資料9について補足的な説明をさせていただきます。いずれも大変重要な項目なのですけれども、今回、特にポイントになりますのは3.の(2)というところ、ページ数で言いますと、4枚めくっていただきまして5枚目の(2)というところでございます。「資質・能力の整理と学習過程の在り方を踏まえた教育内容の構造化」というところでございます。(3)のところに少し学習過程の話が入ってしまっておるのですけれども、この話は(2)のところに書きながら、(3)のところはもう少し情報化でありますとかグローバル化といった、正に現代的な課題に個別にどう対応していくかという項目を入れさせていただく予定でございます。
  この3.の(2)が重要であるということの理由が、先ほどのフルコースの議論とちょっと絡みます。今回、学習過程の明確化ということを議論させていただいたことの理由は幾つかございますが、一つは教科書、特に高校ですね、教科書が変わらないとなかなか学習の在り方も変わらない。教科書が変わるためには、単に「こういう学習活動を授業でやってくださいね」と留意点で書くのではなくて、しっかりとそれが指導内容と掛け合わされている必要があると。それが指導要領で実現できれば教科書も変わっていくであろうというような、そんなようなことも一つあったということでございます。
  もう一つは、知識に関しまして、今回、理科だけではなくて、教科横断的に、本日も実は芸術における知識、あるいは体育における知識、これ、随分明確化しておるのですね。これまでは知識というのはなかなか明確化するのは難しいだろうと言われていた分野でも、知識とは何かを明確化して、それを子供に自覚化させようという取組をさせていただいております。それは、単なる事実的な知識ではなくて、構造化された使える知識を目指していこうという今回改訂の共通の理念でございまして、これは正に見方・考え方を使いながら育んでいく理科の議論が今回の改訂の議論の先鞭を付けていただいたと思っております。そうしますと、構造化された知識というものを身に付けていくためには、一定のプロセスが必要になってくると。そうしますと、先ほどのフルコースは難しいけれども、せめてアラカルトでもこういうのは必要だよねと。一品料理じゃだめですよねということは、しっかりこの構造の中に埋め込んでいく必要があるということかと思います。かなりいろいろ乗り越えなければいけない課題、内容も必要な内容ということはしっかり教えていきながらも、質の高いプロセスをというのは、難しいことではございますけれども、是非今回の改訂をリードする立場であります理科の議論の中でこれをしっかり作っていただきますと、また改訂全体もしっかりと構造化されるということかと思いますので、是非最終回に向けて御議論を重ねさせていただければと思います。
  済みません、失礼いたしました。
  それから、資料10と参考資料3でございます。
  資料10は、小学校部会の議論についてでございます。
  小学校部会、言語能力の向上、それから外国語教育の充実という観点から御議論を頂いておりまして、特に外国語教育、今回、子供たちの知的欲求の高まりということを踏まえて、高学年から教科化、中学年から外国語活動ということになってまいりますと、中学年・高学年で35時間ずつ年間増えていくということでございます。そうした中で、柔軟なカリキュラム設定の工夫の一つとして短時間学習ということが挙がってきております。そうしますと、やはりカリキュラム全体の中で考えていく必要がございますので、外国語のみならず、全ての教科を見渡してそういった柔軟な工夫ということが必要になってくるということ。その際に、例えば理科においてそういう柔軟なカリキュラム設定の工夫というような議論があったときに、理科の特性に照らしてどうなのか、むしろ長時間ということはあるかもしれないけれどもと、実験・観察を含めてというような留意事項を教科別に明らかにしていく必要があると思っております。この点については、少し小学校の先生方にお集まりいただきながら、別途、専門的に議論させていただく場を設けさせていただきたいと思っております。
  それから、参考資料3でございます。
  小学校段階のプログラミング教育ということで、人工知能の進化等に伴いまして、私たち人間がしっかりと情報・技術を使いこなして創造的に考えていけるというようなことを目指していくべきであるということで、プログラミング教育に注目が集まっているところであります。実際、様々な民間の取組と連携して、小学校においてもプログラミング教育、現場でかなり導入されつつあるところでありますけれども、例えばそれが小学校段階で育む力ということに照らしてどうなのか、教科等の見方・考え方ということに照らして望ましい教育としてはどうなのか、日本のカリキュラムにふさわしい新たな教材を開発していく必要があるのではないかというような様々な課題があるところでございます。理科教育におきましても、様々シミュレーションに使っていくというようなことでうまく組み込んでいけば、効果的な学習になるかもしれないというような一方で、少ししっかりと、例えば生き物を観察しなければいけないところをICTで代替というようなことになってはいけないというような留意点もございますので、そういったことを明らかにしながら、小学校教育における効果的なプログラミング教育の在り方、小学校教育の強みを生かしながら進んでいけるように、この参考資料3の一番後ろにございますようなメンバーの方々、これに鳴川調査官なり私どもも加わって、理科の観点も少し議論したいと思っております。また、議論の状況に応じまして、適宜、先生方にも御知見を頂きたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  それでは、今の事務局の説明がありました資料9及び資料10、参考資料3について、何か御意見ございますでしょうか。
  あと最後、片平委員、もしコメントございましたら、是非お願いいたします。
【片平主査代理】    本日は四つの議題を取り上げ、それぞれに時間をかけたので、いろんな意見を聞くことができました。
  私からは、それぞれの事項に関して、気付いた点を述べたいと思います。
  1点目の議論に関しては、小林委員が指摘したように文章の整合性の問題があると思います。現在は、表の中のある部分部分から単語をとってきて、それをつなぎ合わせて文章を作っているので、初めてその文章を読んだ人が分かるかどうかは不明です。先ほどの指摘にあった「量的」・「質的」、「実体的」・「関係的」は、個々の表の中では確かに異なった組合せで用いられています。資料4-1の中では、「量的・関係的」、「質的・実体的」がペアになっており、その次の欄には、「多様性・共通性」が記されています。更に最後の欄には、「時間的・空間的」が書かれており、表の中の欄を比較しても、バランスの悪い状態になっています。表の記載事項を文章にしたときに、それが理解できる文章になっているかどうかについては、しっかり検討した方がよいと思います。
  次に、「深い学び」に関してです。一覧表の中の「深い学び」の定義だと、大体今まで書かれたものとあんまり変わらないという印象を持つ人がいると思います。ここでは、定義の中に、うまいキーワードを組み込むことが必要と思います。先ほど大杉室長が言われた教育内容の構造化ともすごくリンクするところです。教育学者で高久清吉先生は「よく分かった」という状態は、構造的に理解している状態と述べています。さらに、それが「深く分かる」とか「納得する」ような分かり方になると、「ああ、そうだったのか」というふうな分かり方になり、それを「全心的前進的な理解」と言っています。「深い学び」という言葉はすごく響きのよい言葉なのですが、それを具体的にどのように表現していくか、事例を挙げて説明する必要があります。
  2点目は、文部科学省が発表する資料に関してです。「図の方が分かりやすい」、「文章の方が分かりやすい」と意見が分かれると思うのですが、三浦先生がおっしゃっているように、やんわりと表記するためには言葉で書かずに図の方がよかったりします。他方、ほかとのバランスを考えると、ああいう矢印じゃなくて、ちゃんと書いた方がよいと思える箇所もあります。これらの点は、最終的には大島主査の御判断に委ねたいと思っております。さらに、ほかのワーキンググループとの調整が必要になってくると思っています。
  3点目は、必要な条件整備についてです。理振、アシスタントや助手問題、ICT問題には、本当にお金をかけていろんな工夫をしていかないと、これからの教育は大きく変わっていかないと思います。小林先生が指摘された国立大学の教員養成系の大学のみならず国立大学系の附属学校でもやっぱり同じようにお金がない状況で、実験・観察の授業を行っている現実があると思っています。
  実験室をすごくきれいにすることは本当に重要なことで、そこで学ぶ子供たちがすごく生き生きと学ぶようになります。あるいは、そこでの実際の授業がどんなふうに行われているのかと関心を示してくれる人が増えてきます。本日の皆さんの意見を基に、少しでも実験室や理科室がもっとICTが使えるようなよい環境に変わっていくよう努力していかないといけないなと思いました。
  4点目は、理数科で伸ばす能力の評価についてです。理数科では、知識・技能のところに「研究倫理についての基礎理解」が理科、数学と違って出てきます。「研究倫理」はとても重要なものですが、じゃあ、その基礎理解をどんなふうに評価するかというのはとても難しいと思います。昨今、大学人の我々も研究倫理が問われており、「倫理教育のプログラムをちゃんと受講したか」とチェックされる時代になってきました。高校生にどこまで求めたら良いかは分からないのですが、教える内容と、「何が分かったか」、「どういうことができるようになったか」をどう評価するかも抱き合わせて考えていく必要があると思いました。
  以上です。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  7回を重ねて、次回が最終回でまとめとなるわけですけれども、資料も出そろいまして、いろいろな形で複合して見るということができましたので、文章に関しては、やはり文章及び図面ですね、全体的な一貫性、整合性を見ながら、私、主査と、あと事務局の方にお任せいただければと思います。
  それはテクニカルな問題で、やはり一番大事なのは、大杉室長の御説明にもありましたけれども、資料9、これがとりまとめになりますので、その中の3.の(2)ですね、これが一つのエッセンスになるのではないかと思います。やはり三つの柱ですね、これを具体的に構造化することによって、教育の中で実際にどうやって実施していくかということに関連するかと思います。本日、いろいろ出ましたフルコースの議論がありましたけれども、それは本当に大事なことであって、それがアクティブ・ラーニングも含めて「深い学び」に結び付くということで整理されたかなと思いますので、アラカルトであったりとかいろんなメニューも含めてそれをきちんと整理していくということが、一つ大事なことではないのかなと思っていますので、理科が先陣を切っているということでございますので、是非まとめていきたいなと思っております。
  あと1点、アクティブ・ラーニングと関係してICTというのも非常に重要な観点で、これは、特に理科の場合には実験と観察とそれを強化するという位置付けにもなっていると思いますので、やはり実験・観察とうまく組み合わせるということと、あと、アクティブ・ラーニングの中での協働的な学びにもICTというのは非常に効果的に使われていますので、最近はクリッカーといっていろんな反応を見るというのもありますので、やはり強化していくというのですかね、ある意味、今まで理科で行われていた実験など、あとそういう分析も含めて、それを補完しながら、よい方向に持っていくという意味ではICTって非常によい観点だと思いますので、それを今後考えながら、あと、やはり教科書ですね、今、そういうのが取り上げられていませんので、学習の仕方からも指導要領をやっぱりパッケージで考えていくということが必要でございますので、ICTという新しい観点も含めながら、それをどう今後考えていくかというのが大事なのではないかなと思います。
  本日は、2時間半にわたって、長時間、皆様、御参加、御参集いただきましてありがとうございました。そろそろ時間も参りましたので、本日はここまでにしたいと思います。本日お出しいただきました御意見については、事務局で論点ごとにその趣旨を整理していただけるようにお願いいたします。
  あと、限られた時間内なので、皆様、活発に御議論いただきましたけれども、まだ御意見、あとお気付きの点がございましたら、是非ペーパーで事務局にお送りいただければと思いました。特に最後に説明のありました資料9ですね、「理科WGにおけるとりまとめのイメージ(案)」については、次回でとりまとめしていく考えでございますので、いま一度見ていただきまして、何か御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
  では、本日予定されていた議題はここまでとなります。
  最後に、次回以降の日程などについて事務局より御説明をお願いいたします。
【金城教育課程課課長補佐】    はい、失礼いたします。次回の日程について御説明いたします。次回は5月25日(水曜日)の4時からの開催を予定してございます。場所は、本日の隣の会議室になります文部科学省の3F2特別会議室にて開催を予定してございます。
  また、主査からもございましたように、ペーパーによる御意見等も頂戴したいと考えております。特に資料9の「とりまとめのイメージ(案)」について、これを中心に御意見を賜ればと思っております。ファックス又はメール、郵送でも結構でございます。本日の配付資料につきましては、机上に置いていただければ、後日、郵送いたしますので、よろしくお願いいたします。
  以上でございます。
【大島主査】    はい、ありがとうございました。
  それでは、本日のワーキンググループを終了させていただきたいと思います。長時間にわたりましてありがとうございました。

――  了  ――

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