○ ICTを使う、ICTを使って問題を解決していく能力を育むということがうまく定着しないのは、指導すべき内容が漠然としているからではないか。何年生ではどのような知識があり何ができるといった教育内容を明確にしていくことが大切であり、それが新しい時代の資質・能力とどのように関係するのかを明確にしていく必要がある。
○ 2030年にどのような状況になっているか、2030年に今の議論を振り返ったらどのように見られるか、次の次の改訂にうまくつながるかということまで考えながら検討する必要がある。
○ 情報活用能力調査では、子供たちは複数の情報をまとめることが苦手という結果であったが、これは世界的な傾向であり、情報量が増えてくると子供たちは、情報を見ては捨てることを繰り返し、複数の情報を時間をかけてまとめるということはしにくくなっている。複数の情報をまとめる力、統合する力を特に目標に据えるとよいのではないか。
○ 情報の科学的な理解に子供たちをどう引き込んでいくかは非常に難しく、どのように興味を持たせるかがデザインできるとよい。実用的な問題を解決するためのテクノロジーとして扱われると魅力的なのではないか。
○ 論点整理に示されたどのように学ぶかという3つの視点と連動して、それぞれに情報機器をどう活用するか、アナログからデジタルにどのように子供たちを引き込むかデザインできるとよいのではないか。
○ 小・中・高を通じた情報活用能力の育成は大切な視点であり、社会に出てから必要な力、学ぶ力そのものである。また、各教科でのICTの活用についても、学ぶ力と同時に各教科の深い学びを実現するために欠かせないものである。
○ 今日の大学生について、情報端末には触れているがリテラシーは高くない、コンピュータの仕組みを理解しアプリケーションを適切に使っているのではなく、使っているものだけ使えるという側面があると実感している。何をインプットして何をアウトプットしようとするのかを理解してコンピュータを使えることは、問題解決能力にも連動するのではないか。
○ 発達段階に基づいた議論がかえって制約になることのないよう、子供の学びを広げていく前向きな整理ができるとよい。
(プログラミング)
○ プログラミングの学習を通じて、コンピュータのことが分かった、目的を分解して理解できるようになった、協働的に問題を解決する姿勢が見られた、間違いを恐れず取り組むようになった等、生徒の変容が見られる。
○ 一つのプログラムを完成させるには試行錯誤しながら解決していくので、問題解決能力が身に付くのではないか。また、グループでプログラムを作る場合はしっかりとした話合いが必要であり、アクティブ・ラーニングにもつながっていく。
○ プログラミングには、仲間とコラボレーションする能力、ドキュメンテーション能力、分からないことを相手に質問して明確化し、相手が言い切れていない部分を共感する力なども必要であり、プログラミングの学習によってもこれらの力が得られるのではないか。
○ ビジュアルプログラミングでプログラムを作る楽しさを知るなど、発達段階に応じてどのように取り組むか考える必要がある。
○ プログラミング教育の必要性について、国家戦略等のレベルだけでなく、生徒に思考力を身に付けさせる学習手段、学習内容であるという、スチューデント・ファーストの発想で検討していくべきではないか。
○ プログラミングの入門的なところは様々な教材があり入っていきやすいが、最終的にどのあたりをゴールとするかは難しく、議論が必要である。
○ 中学校技術・家庭科でのプログラミングに関する学習は、計測・制御のためのプログラミングとの位置付けであり、学習指導要領の位置付け上、また授業時数の点でも、高度な内容は扱いにくいが、プログラミングを通して作りながら学ぶというスタイルで、情報の科学的な理解を深めることができないかと考えている。
○ 中学校技術・家庭科(技術分野)の授業時数の中で、プログラムに関する学習は6~7時間程度が実情であり、内容的にも、生徒のモチベーション維持の点でも厳しい。また、情報モラルについてもしっかり指導すべきであり、高等学校でしっかり指導するためには、中学校でもそれなりの時数を確保する必要がある。
○ 小学校におけるプログラミング学習については、総合的な学習の時間で行われている場合が多いが、教員の指導力次第であり、外部の力を借りなければならないのが実情である。
(情報セキュリティ)
○ 情報セキュリティについてやみくもに怖がるとか、情報モラルについて単に気を付けましょうとかいうことではなく、情報の特質やコンピュータの特質を踏まえた理解が期待されているのではないか。
○ 情報セキュリティについては、情報モラルや情報安全、コンピュータの使い方ということではなく、プログラミングの概念がないと情報セキュリティは理解できないというコンセンサスを持たなければならない。
(コンピュータの基本的な操作)
○ 中学校は、小学校である程度コンピュータが操作できるようになっていることを前提としているのが現状であるが、近年、小学校において、タブレットPCを導入する傾向があり、キーボードやマウス操作への慣れが変化しつつあるのではないかと懸念している。
○ どのように学ぶかというアクティブ・ラーニングの視点にICTは深く関わっており、学習評価の充実やカリキュラム・マネジメントの充実の上でのICT活用も意識し、効果的な授業づくり、多様な学習評価など総体として情報活用能力を育んでいく方向性について議論したい。
○ アクティブ・ラーニングは教科「情報」と相性がよい。教科「情報」で積極的に取り入れる方向で検討したい。
○ 現行の「社会と情報」、「情報の科学」について、生徒選択制を導入すると、「情報の科学」を選択する生徒が増えた。小・中学校から発達段階に応じて学んできていて、科学的な視点に興味を持つ生徒が増えてきたのではないか。
○ 現状では、「情報」を2学年に分割したり、第3学年に置いたりする学校もあるが、共通必履修の新科目については、小・中学校の学びの延長上の第1学年に置くことによって、各教科等における情報活用能力の育成のベースとなり、更に広がりを見せるのではないか。
○ 生徒が自分たちで情報社会に関連するテーマを見つけ、課題を解決するプロジェクト学習によって生徒が変わる。基礎・基本が不十分であることに気付き、各教科の学習に向かう。そのため、第1学年で行うこともポイントである。
○ 問題解決は、情報科の中核を占める内容であるが、どのように指導したらよいか分からないという教員も多い。何をどう教えたらよいのか、少し突っ込んだ議論ができるとよい。
○ 情報科において問題解決やプログラミングを学ぶ上で、スキルだけでなく、何をプログラミングする、何について問題解決するといった、扱う内容の議論も入ってくると、社会に出て使えるスキルと知識とがセットになっていくのではないか。
○ 情報科を担当する教員間の指導力の差が大きいのが実情である。
○ 地域によっては、免許外教科担任の教員が多く、そうした教員の指導力に課題があるのが実情である。
○ 教員の指導力向上のほか、教員養成課程の充実、教員採用も進めていかなければならない。
○ 学習内容としてプログラミングを本格的に導入するのであれば、相応のサポートとそのための人材育成が必要である。
○ 学校に整備されているネットワークは一人一台の環境を想定したものとなっておらず、始業と同時に一斉に使うとネットワークが破綻するといった状況である。ネットワークも含めて環境面の見直しが必要である。
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