教育課程部会 情報ワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成27年12月22日(火曜日)17時00分~19時00分

2.場所

文部科学省東館3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 情報教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【堀田主査】  それでは、定刻より少し早いんですけれども、おそろいになりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の情報ワーキンググループの第3回を開催させていただきます。
本日はお忙しい中、また遅い時間にもかかわらず御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
まず、事務局から、配付資料について御確認をお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  失礼いたします。
それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載をしておりますとおり、資料の1と2、それから委員の皆様方限りの資料が入ってございます。そして、参考資料が1と2、またタブレット端末の方でございますけれども、関係資料、また本ワーキンググループの前回までの配付資料等をデータで入れさせていただいております。不足がございましたらば、お申し付けいただければと思います。
【堀田主査】  ありがとうございました。それでは、本日は、初めに総則・評価特別部会における検討状況について、事務局より御説明を頂きたいと思います。お願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。総則・評価特別部会(第2回)が先頃開催されまして、本ワーキンググループも含めた各ワーキンググループの検討状況についてお伝えをさせていただいたところでございます。
特別部会におきましては、論点整理に沿った検討が各ワーキンググループで進められていることに対して感謝の意が述べられますとともに、以下五点をお伝えいただきたいということで託かってまいりましたので、羽入主査に代わってお伝えをさせていただきます。
一点目でございますけれども、情報活用能力、それから言語能力等々、御議論を頂いている中で、他教科の検討にも関わるような重要な内容につきましては、可能な限り早い段階で議論を行い、総則・評価特別部会、それから各教科のワーキンググループにおいてもしっかり検討できるようなスケジュールをお願いしたいということが一点目でございます。
それから二点目でございます。「社会に開かれた教育課程」という観点から、学習指導要領の法的な性格を踏まえつつも、教員のみならず教職課程で教員を目指す学生さんや、学校に関わる地域の方々がそれを読んで、趣旨が十分伝わるような構成や文章とするということを検討の中で心掛けていただきたいということでございます。
三点目でございます。発達に応じた内容の系統性という縦の軸、それから現代的な課題に教科横断的に対応していくという横の軸の双方を意識しながら、それぞれの教科等が持つ意義を明確にするという観点から、育成すべき資質・能力について御検討を進めていただきたいということでございます。
それから、四点目でございますけれども、卒業後、特定の学問分野や職業に進む場合だけではなく、どのような職業に就くとしても生かすことができるような教科の本質的な学びを重視し、資質・能力を御検討いただきたいということでございます。
それから五点目でございますけれども、各教科別ワーキンググループにおいて、教科の特性や独自性を踏まえた検討を進めていただく一方で、総則・評価特別部会あるいは年明けからは校種別部会も一部スタートしますけれども、そちらにおける全体的な構成に関わる議論の状況も踏まえながら御議論を進めていただきたいという、以上五点を全ての教科別ワーキンググループ等にお伝えしておりますので、御報告をさせていただきました。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。この五点のうち、私どもと関わるところ、ちょっとだけ確認をさせていただきますと、一つ目の、他教科の検討にも関わる重要な内容。私どもが考えている情報活用能力の育成というのは、教科「情報」や技術・家庭科の技術領域だけではなく、各教科等に関わるものだとすると、これは可能な限り早い段階で議論を行い、ほかのワーキンググループに先駆けて議論して、総則・評価特別部会に上げて、その上で、総則・評価特別部会から各教科、ほかのワーキンググループに委託していただくという形をとる必要があると。したがって、私どもは議論を急がなければならないというのが一つ目ですね。
三つ目のポイントは、目標や内容の系統性という縦の軸と同時に、今度は教科横断的な横の軸というのがあって、情報活用能力の育成は教科横断的に関係する部分があるだろうというようなことですね。
四つ目のポイントになりまして、どのような職業に就くとしても必要な能力として、汎用的な能力として考える必要があるということで、情報活用能力はこれに該当するということですね。これを、総則・評価特別部会から検討の依頼として頂いたということで、私どもは、これを踏まえて検討を進めていくという必要がきょうはございます。
この後、他教科の検討にも関わることだということで、きょうは三つの柱に合わせた整理、それを小・中・高でどういうふうにするかというような話と、もう一つ、アクティブ・ラーニングとICTを活用する学習活動ですね。子供が学習の道具としてICTを使うということですけど。そこについての観点、この二つのことについて、きょうは総則・評価特別部会からの検討依頼を踏まえた議論をしていくということになります。
それでは、本日の議題に入りますが、本日は、資料1の一番最初のところにございますように、検討事項として二つあります。この二つを検討していく前に、まずは事務局から、前回のワーキンググループでどのような意見が出たかについて御整理をお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  失礼いたします。それでは、資料2を御覧いただきたいと思います。資料2は、前回、11月24日におけます主な意見、「未定稿」とさせていただいております。先生方の御意見を内容別にうまくまとめるというところがまだちょっとできておりませんので、大変恐縮でございますが「未定稿」とさせていただいております。
では、簡潔に御紹介をさせていただきたいと思います。
最初の御意見でございますけれども、情報の分野は特に変化が激しく、高校卒業までに何を学ぶべきかを全ては予見できないという特徴がある。学びの本質として、どのような知識や物の見方が残るのかという整理が進むとよい。学び直して自分の知識や技能の質を上げていこうとする態度を身に付けることが、しっかりとできるとよいのではないかという御意見。
次の○でございますが、コンピュータ技術の根底には普遍的なものがある。社会に出てから生かし活用できるよう、情報の科学的な理解の基礎を身に付けさせなければならない。それをどのように社会に当てはめていくのか、活用していくのかが情報活用の実践力と情報社会に参画する態度に相当するのではないかという御意見。
三つ目でございますが、コンピュータは、原理・原則をしっかり押さえていれば理解し使っていくことができる。そうした工学的な基礎知識と、コンピュータに計算させた結果をどう分析し生かしていくのかということが重要な部分ではないかという御意見。
四つ目の御意見でございますが、科学的な理解を足掛かりとして、知識・技能、思考力・判断力・表現力等、態度の互いの関連を考えていくと、うまく整理できるのではないかという御意見。
一番下でございますけれども、「思考力・判断力・表現力等」が課題である。「個別の知識・技能」を使ってどのような力を付けるのか、どのような力が付いているから「学びに向かう力、人間性」につながるのかが重要であるという御意見。
おめくりいただきまして、2ページ目の最初の○でございます。問題を発見し解決するための知識については、人間自身がどのように情報を処理しているかという視点もある。また、情報の背景にある「他者」や「対話を通して」といったプロセスに関連するキーワードが入ってくると、各教科等における情報活用能力育成にも広げていくことができるのではないかという御意見。
次の〇でございますが、小学校においても、基本的なスキルの指標が必要ではないか。また、情報の基本的な知識や概念は小学校のうちから学んでおくべきという御意見。
少し飛びまして、下から3番目の〇でございます。子供にとっては体験せずに学んでもおもしろくない。活用して、今、使ったものの裏にはこういう科学や技術があるでありますとか、小・中学校で活用してきたものがどういう原理で動いているのかを高校で知るであるとか、科学的な理解は今まで学んできたことの種明かしという整理にするとよいのではないかという御意見。
その次の〇でございます。先行的に体験があって、それを後追いで知識で強化していくというふうな考え方は重要である。小学校、中学校で種明かしできる部分もあるのではないかという御意見。
その次でございますが、現実のものとコンピュータの中のものを見せながら行っていく科学的な理解に関する学習は、何回もスパイラルとして学んでいくことが必要ではないかという御意見。
その次でございます。情報の科学的な理解を教科「情報」のコアの部分としていくことが必要なのではないかという御意見。
その次、「思考力・判断力・表現力等」は、学習の過程に絡んでいるのが特徴であろう。学習のプロセスに基づいた目標になるとよいのではないかという御意見。
その次でございますが、小学生にも分かる言葉で、「3観点から見てみたら」ということが伝えられるとよいのではないか。情報の観点を鮮明に出していき、繰り返し学ぶことでいろいろなものがつながっていくのではないかという御意見。
その次でございますが、発達・発育曲線のようなものが情報活用能力にもあり、情報の科学的な理解は、小学校では実践力や態度と同じではなく、高校ではウエートが高くなるといった曲線が描けるのではないかという御意見。
その次の〇でございますが、教科「情報」においては、情報学の基礎的な部分として、コンピュータの仕組み、ネットワークの仕組み、セキュリティを必修科目にすることができるのではないかという御意見。
次と、その次の御意見でございますけれども、よいユーザーを育てるために情報科があるのではないか。よいユーザー、インタープリターを育てていきたいという御意見。
その次の御意見でございますが、現在、中学校で行われている学習をもう少し引き上げるような形も考えられるのではないかという御意見。
4ページ目の最初の〇でございます。技術・家庭科の「情報に関する技術」と情報科の学びの連続性をどのように実現していくかが重要であるという御意見。
その次でございますが、情報の科学的な理解については、情報科学が抜け落ちているようなイメージがあり、情報科の内容に特化して考えたときには少し足りないのではないか。その一方で、物事の考え方の手法についても、情報科において示していけるとよいのではないかという御意見。
その次でございますが、選択科目の内容につきまして、別な内容の積み上げにするのか、同じ内容の高度なものにするのかについて、十分議論する必要があるという御意見。
その次でございます。高等学校におきましては、情報以外の教科においても、問題解決していくような学びを行っていく必要があるのではないかという御意見。
最後二つは文言等に関する御意見でございますが、「情報手段」という言葉で曖昧になっているところがあり、「情報技術」という言葉に代えることも検討する必要があるのではないかという御意見。
最後でございます。言葉の理解で混乱が生じないよう、最終的にまとめるときまでに整理が必要である。このような御意見を頂いているところでございます。
また、本日、恐縮でございますが、資料としてはお配りをさせていただいておりませんけれども、前回のワーキンググループの後に先生方から文書で御意見を幾つか頂いております。その中で、特に御発言のなかった部分だけで恐縮でございますけれども、簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
まず、野部委員からの御意見でございますけれども、情報分野に興味を持つ生徒を見出すのも大事なことであるというような御意見。
また、フルーエンシーを身に付けることが一つの目標ではないかというようなこと。
コンピュータは、人間が記述したとおりに動いており、間違いを命令するとそのとおりになってしまうということを知るのが大事ではないかというような御意見でございます。
また、情報の科学的理解につきまして、プログラムに焦点が当たっているが、モデル化、シミュレーション、データベースといったことが必要ではないかという御意見。
それから、問題解決につきまして、本質はいろいろな手法を学ぶということだと思うが、現実は調べて発表するということが中心であって、情報の整理の仕方などについて若干置き去りになっているのではないかと、このような御意見を頂いているところでございます。
それから、白水委員から頂いております。発達段階につきましては、この年まで待たないとこれは教えられないというふうに考える必要はないのではないか。それよりも、学びの連続性を見据えて、各学校段階、学年なりの分かり方を保証するという視点でカリキュラムがデザインできるとよいのではないかという御意見を頂いております。
また、津賀委員から頂いている御意見がございます。高等学校の情報科の共通必履修科目、現行の「社会と情報」、「情報の科学」につきまして、その一部は中学校や小学校へ移行することが考えられるのではないかというようなこと。
また、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力、人間性等については、より深めるとか、より広げるとかいったような課題設定はあり得るが、選択科目を履修しないと学ぶことができないということがないような配慮が必要ではないか、このような御意見を頂いているところでございます。
若干長くなりましたが、以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。それでは、資料1の一枚目にある検討事項二つ、これを今からやっていくわけですけれども、まずは検討事項1から進めてまいりたいと思います。
検討事項1は、各教科等においてアクティブ・ラーニングですね。「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」、これの視点に立った学習プロセスを進める際、ICTをどのように活用すれば「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」、この三つのキーワードの実現に効果的であるかということについてです。これについては、実は、もう各教科等のワーキンググループでいろいろディスカッションが始まっているところですので、そのことについて、まずは事務局から御説明を頂ければと思います。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。先ほど主査からもございましたように、各教科でのワーキンググループの検討状況や周辺状況を御紹介させていただきながら、御議論を進めていただければというふうに思っております。
資料1で申しますと、6ページ、7ページのポンチ絵の辺りが、きょう主に御議論を頂くところになってまいるかと思いますけれども、それの背景といたしまして、少し説明が必要かと思いますので、参考資料1、参考資料2というものを少し御説明をさせていただきます。
参考資料1でございます。これは、政府の産業競争力会議の方で、文部科学省の方から御説明をさせていただいた資料になります。当日、堀田主査も御出席になっておられましたけれども、文部科学省の初等中等教育局担当審議官より説明をさせていただいた、これから情報化というものがかなり加速度的になっていく中で、子供たちにどういった力を身に付けていくべきかということでプレゼンをさせていただいた資料になります。
下の方の半分にございますように、そういった社会情勢の中で、現代的な課題、これは企画特別部会の論点整理をそのまま引いてございますけれども、様々な変化の中でも何が重要かを主体的に考え、様々な人と協働しながら問題を解決に導き、新たな価値を創造していくとともに、新たな問題の発見・解決につなげていく。まさに、情報活用能力が最終的に目指しているところと共通する部分であろうかと思いますけれども、こういったことを論点整理でもおまとめいただいているところでございます。
一枚おめくりいただきますと、スライドの2ということで番号が付いてございますけれども、現代的な課題に焦点化した教育について、様々、教科横断的に対応していかなければいけないテーマがございますけれども、これらにつきましては、それを通じてどのような資質・能力の育成を目指すのかを整理し、指導要領の構造化の考え方の中で検討していくことが必要であるということで、論点整理でもおまとめいただいたところでございます。今回、情報化が急速に進展する中ということで御説明をさせていただいている資料でございますけれども、資質・能力といたしましては、様々な情報を主体的に活用して課題を解決したり、新たな価値を創造したりする能力、それからICTを手段として活用する能力。大きく申しますと、こういった能力が必要ではないかということ。
それから、そうした資質・能力をどのように育むのかという中で、アクティブ・ラーニングの視点からの創造的な学習プロセスにおけるICTの効果的活用。それから、教科横断的という意味では、カリキュラム・マネジメントということをしっかり実施していく、これらが重要ではないかということ。
それから、そうした学習指導要領の理念を実現するためには、そこにございますような様々な環境の整備ということが併せて必要ではないかということ。
こうしたことを、文部科学省の考え方としてプレゼンをさせていただいているところでございます。
既に、本ワーキンググループでも御議論いただいておりますように、資質・能力、三つの柱に沿って整理をしていこうということでございますけれども、ここに掲げましたようなことを三つの柱に沿って整理をしていきますと、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」。これは、まさにその課題解決や知的創造に向かう情意や態度等ということであろうということ。
左下、「何を知っているか 何ができるか」ということに向けては、課題解決、知的創造の基礎となる各教科の知識・技能や、ICTを手段として使いこなす力ということが必要であろうということ。
また、「知っていること・できることをどう使うか」という中では、課題解決や知的創造に向けて、情報を活用して思考・判断・表現する力、こういったことが重要であろうということ。
こうした力を、アクティブ・ラーニングの視点からの創造的な学習のプロセスの実現によって、しっかりと身に付けていこうという考え方でございます。
次のスライドの4に移っていただきますと、そうした力を育むという観点から、これまで現行の学習指導要領において行われている改善充実の状況。そして、それを踏まえた次期改訂に向けた検討の方向性ということでございまして、先ほど申し上げたような資質・能力を育んでいくということ。また、それをICTを効果的に活用しながら、アクティブ・ラーニングの視点に立った学習プロセスの中で育んでいくということ。
その他、情報科における共通必履修科目の在り方や、ICTを手段として活用する能力につきましても、アクティブ・ラーニングの視点に立ったプロセスの中でしっかりと育んでいくということなどを整理させていただいているところでございます。
スライド5にございますように、それらを小・中・高を段階を追って、また、その資質・能力というのが互いに関連し合うということをお示ししている図でございます。
そして、今回の検討事項の1と関連しまして、特に御覧いただきたいのが次のスライドの6でございます。アクティブ・ラーニングの視点に立った学習プロセスの充実ということでございまして、理科の例が掲げてございますけれども、理科の例で申し上げれば、単に知識・技能を習得するということのみならず、自然事象の中に問題を見出すということから始まって、それを振り返り次の問題解決へつなげていくという、こうした学習プロセスを子供たちが経験するということを通じて、ここに書いてあるような資質・能力も育んでいくということ。現在、各教科のワーキンググループにおいて、各教科におけるこうした問題解決のプロセスというものがどういうものであるかということを、検討いただいているところでございます。
そういった様々なプロセスの場面において、ICTを効果的に活用していくことが考えられる。それらを、どの場面でどのように活用するのが効果的かということを深めていく必要があるというのが、このスライドの6番でございます。
続きまして、参考資料2というものも御覧いただければと思います。各教科の議論の状況を全て御紹介させていただくことは、ちょっと時間の関係でできませんので、例えばということで、言語能力の向上に関する特別チームの検討状況を御紹介させていただきます。参考資料2を一枚おめくりいただきますと、言語能力の向上に関する特別チームにおける論点ということでございます。言語に関する資質・能力、三つの柱で整理していくということ。
それから論点の2でございますけれども、これを様々な思考のプロセスということに着目して考えながら、資質・能力の要素、学習活動の要素ということを考えていくということ。今回は、こうしたことの整理を、国語や外国語の検討にも生かしていくということになってございます。
一枚おめくりいただきますと、4ページに三つの柱に沿った整理というものがございます。ここにおきましては、言語に関する資質・能力、知的活動の側面、感性・情緒の側面、コミュニケーションの側面という、これまで言語力、国語力に関して整理されてきました、この三つの側面に沿って整理をしているところでございます。
そして、こうした能力を総体的に育むというためには、次の5ページ目にございます、様々な認知と思考のプロセスに着目した学習プロセス、資質・能力の要素ということをしっかり押さえて、各教科の中に実現していく必要があるということ。こうした学びのプロセスということの検討を、各教科でさせていただいているということでございまして、本日は、そうしたプロセスを各教科が検討する際に、こういった場面でICTを活用すると効果的ではないかといった検討が各教科において進むように、共通的な事項ということを、是非、御検討いただければというふうに考えているところでございます。
資料の1の方にお戻りいただきますと、一枚おめくりいただきますと、検討事項の1というところで論点整理の抜粋がございますけれども、アクティブ・ラーニングのプロセス、特に3ページ目にございますように問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程の実現。
それから二つ目、自らの考えを他者との協働等を通じて、広げ深めるような対話的な学びの過程の実現。
それから、子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる、主体的な学びの過程の実現。この三つの視点が大事だということになっておりますので、この三つを深めるために、ICTがどのような役割を果たせるかといったようなアドバイスも、是非頂ければというふうに考えております。
続きは稲葉補佐の方に移らせていただきます。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  それでは、この資料の4ページでございますけれども、4ページに、今の説明がありましたことを踏まえまして、そのことを、極めて簡潔にではございますけれども、まとめさせていただいているところでございます。
先生方、御承知のとおり、学びのイノベーション事業におきましては、「一斉学習」、「個別学習」、「協働学習」、こうした三つの学習形態の基に、ICTを活用した学習場面を10の類型に整理をするということで、指導方法の開発や指導の展開を促進するということをしてきたところでございます。
その一方で、先ほど説明がございましたとおり、この「論点整理」に示されておりますとおり、いわゆるアクティブ・ラーニングの充実が求められておりまして、ICTの活用はそのための重要な手段であろうということでございます。
そこで、今、大杉室長の方から説明がございましたとおり、そのアクティブ・ラーニングの視点に立ちました学習プロセスの在り方というものを、それぞれの教科等の特質に応じて明確にしようとしているところでございますので、そのプロセスにおけますICTの活用と「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」との関係を明らかにするということで、各教科におけますICT活用を、より効果的にしていただくというようなことなどが期待されるのではないかということでございます。
そこで、資料の5ページ、6ページにつきましては、先ほど大杉室長から説明があったような形でございますけれども、そういったことを踏まえまして、たたき台といたしまして、7ページの方に、例えばこのようなICTを活用した活動が考えられるのではないかというところをまとめさせていただいております。これは、大変雑駁なものでございますので、もっとこんな使い方があるといったことでありますなど、そういったような様々な御意見等が頂ければというふうに思っております。
なお、「対話的な学び」、「深い学び」、「主体的な学び」につきまして、特にここで境界線等は引いておりませんけれども、そういったことも含めまして、また幅広に御意見を頂ければというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田主査】  ありがとうございました。ということで、これから、ただいまの説明を踏まえた意見交換に入ります。検討事項1、ちょっとだけ確認すると、今のお2人の御説明でいくと、各教科等のワーキンググループというのがあって、そこで既に各教科ならではの学習活動を整理していると。それが、「深い学び」とか「対話的な学び」とか「主体的な学び」になるように、どういうふうにすればいいかというのを各教科等で検討されている。そこで、多分、ICTの活用というのは、必要なものとして検討いただけるだろうけれども、十分にICT活用のことを御理解いただいて検討していただけるように、私どもが、ここではこういう使い方がありますよ、こういうところが有効ですよみたいなことを、できるだけ情報提供しておいて、その上で各教科等でもんでいただければ、各教科等で確実に、その学習活動でICTが使われるようになっていくのではないかと。
したがって、私どもの議論の整理の方が少し先んじて、それを総則・評価特別部会に一旦引き取っていただいて、各教科で検討するところに回していただくという、そういうプロセスがあるということを御理解いただきたいと思います。
最後に稲葉補佐がおっしゃったたたき台、これを基に、大体、考えられる学習活動、教科によって少しずつ違うんですけど、そのプロセスとICTの活用がこういうふうに関係しているということについて、皆さんの御意見あるいはここがポイントですよみたいなことを頂きたいというのが、これからの意見交換になります。
御意見のある方は、いつものように名札を立てていただいて、発言が終わりましたら名札をもとに戻していただくということをやりまして、大体30分ぐらい、今から時間がございます。
どこからでもいいというふうにしたいと思います。このプロセスで、よくICTはこういうふうに使われるという情報提供とか、御自身の実践から言って、ここがみそだとか、いろいろな意見をどこからでも結構ですので言っていただいて、これを事務局として整理して、総則・評価特別部会に上げていくということをやりたいというふうに思っているわけです。
それでは、御意見をお願いいたします。
まず、安藤委員、小原委員、柴田委員の順番で行きましょう。どうぞ。
【安藤委員】  ありがとうございます。今、私の方で、文科省のICT活用教育支援アドバイザーの方をさせていただいております。それで、自治体や学校関係者の方と少しお話しさせていただく機会もあって、まさにこういったアクティブ・ラーニングとICTの活用に関して相談を受けております。これまでICTが無い中で授業を行っているところからは,やはりこのイメージが急にはつかめにくいとのことで,この論点の重要性を感じています。
そう考えたときに、今、これまでのICTを使う前の教育というんでしょうか、従来やっていた教育の中から何を置き換えてICT化するのかを、まずはイメージする段階が大切です。やはり一斉学習というのは、結果的には最初の基本として大事になってくる点があると思うんです。この一斉学習は,わかりやすく説明するということが重要で,資料にある全ての学習過程の中に,多かれ少なかれ含まれています。いきなりアクティブに行くのではなくて、段階を経てアクティブになっていくはずです。その中で、置き換えるという例でいえば,昔、掛図と言われていたようなもの。それが、実物投影機で大きく映す。教室の中で、全体で見ることができて、そしてポイントを指し示すというので、棒などで示したということがレーザーポインターに変わってというような、少しずつの置き換えがあります。置き換えることができてから,次はICTの特性をいかに引き出す,それができてから授業自体が変わり始め、最終的に授業が再構成されアクティブ・ラーニングの段階に移るわけなので,まず、今までの教育の中で何を置き換えるかということが、まずはスタートになると思っております。
それで、今、ちょうど宮城県の方で、MIYAGI styleというアクティブ・ラーニングに向けた段階的なICT活用のモデルというのを、公表したところです。私の方でも実は、そこで採用されているタブレット端末向け電子黒板アプリで関わっています。実物投影機、日常使いのICT機器として非常によくできているものだと思います。ただ、固定式なものなので、なかなか持ち運べないというものを、タブレットを使って置き換えることから始めて,アクティブ・ラーニングに向けて、段階的にその他のICT機器やICTの強みをどう活用していくというモデルなどをまとめたものになります。

ですので、アクティブ・ラーニングに向かう過程の一斉学習でわかりやすく説明するためのICT活用もポイントであると考えているということが一点です。
もう一点は、全体に関わることなんですけれども、ICT活用というと、どうしても機器を使うというイメージが強いように思っております。ですが、ICT機器で扱われる情報のほとんどがデジタル化されています。つまり,授業の中で手段としてICTを活用する場合は,デジタル化された情報の特性を生かして、授業の中で使うという視点も大事であると考えております。
【堀田主査】  ありがとうございました。
次、行きましょう。小原委員。
【小原委員】  小原です。よろしくお願いします。
幾つか申し上げたいことがあるのですけれども、まず第一点として、本校は東京都のICT普及支援校に指定されており、ICTをどのように活用するのかということで、タブレットを用いた研究を行っております。
タブレットを用いていろいろなアクティブ・ラーニング、情報に限らず、例えば保健ですとか国語ですとか、いろいろな教科・科目で実践をしておりますが、やはり子供たちを見ていると、最近、とても思うことは、ビデオに対して非常に親和性が高くなっているというような状況が見られるということです。
例えば本校でも、授業の内容を全く同じような形でビデオを撮って、それで配信すると。目の前に私がいるのに、わざわざビデオを見るんですよね。なぜかというと、ビデオだと自分のペースで学習をできたり、好きなところを何回も繰り返して見られたり、分かるところはどんどん飛ばしたりなど、これってやっぱりICTならではのことなのかなと感じています。そういう、個に応じた部分が非常に簡単にできるという特性があるので、彼らは、ライブよりもむしろビデオを好んで見るような傾向が見られるように思われます。どうも私のイメージですと、何で、ここに本人がいるのに聞かないのかなという思いはあるのですが、生徒にとっては、自分のペースで思いの通りに学習できる内容も魅力的なのかもしれません。
それから、カメラなどで写真を撮るという部分に関しても、非常に親和性が高く、それをぱっと撮って保存したり、それを比較検討評価したり、発表材料としたりと、そのような活動が非常にアクティブに展開できるという点が挙げられると思います。スマートフォン世代ということもあり、気軽に画像を記録し、それを上手に整理することによって、それを振り返ったりするような活動ができるようになる。例えば、ノートをパシャッと撮って、それをお互いに交換し合って、見せ合って、添削し合ったりですとか、自分の作品を撮影して発表資料にしたりとか、そういうような活動ができるようになるということは、ICTの一番の大きなメリットなのかなというふうに思われます。
あと、何と言っても、本校で一番多く使われているのが、やはり調べ学習の場面かと思います。
保健の授業などで、いろいろなことをインターネットを通じて調べるときに、タブレットが目の前にあれば、そこで簡単に調べることができる。百科事典の代わりに簡単に使うことができる。これは非常に大きなメリットで、先日も、たまたまインターネットがつながらなくて全然授業にならなかったなんていって嘆いていた先生がいたぐらいです。自由に机もレイアウトができて、タブレットがあれば、それを上手に活用することができるというのはとても大きいのではないかなと思っています。
そういうことも含めた上で、こちらの7ページのところを見てみると、問題解決の一連の流れが書かれているのかなという形で理解しているのですが、例えば「問題の発見」などいろいろな場面でも、調べ学習のようなものというのは絶対に必要になってくると私は思っております。なので、例えばこの「問題の発見」、これを見ると、完全に課題が教員から与えられているようなイメージがあるのですけれども、そうではなくて、多分、問題を発見するときには、基本的に自分で理想と現実のギャップを見付けて、その中から、どれが問題の本質なんだろうということを考えて、展開して、絞っていく。具体的な理想、具体的な現実に絞り込んでいくという作業が、多分、出てくると思われます。
その過程の中で、インターネットを通じて、今、世の中ではどういうことが課題になっているのだろうか、自分が着目したところが果たして正しいのだろうかというのをチェックするような場面が必要になってくると思っております、そういう場面でも、調べ学習的な調査活動というのは非常に重要になりますし、タブレット等のICT機器は必要不可欠なものであると感じております。 済みません、長くなりました。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。今、小原先生がおっしゃっていただいたことは非常に重要で、この教科でICTが役に立つみたいな桁の大きい話はいっぱいあるんだけど、どういう学習活動のプロセスで意味があるかということを議論しなきゃいけない時期に入っているということと、そうすると、例えば調べ学習はいいですよとか、個に応じた学習で、映像でこうやってやるといいですよとかいうことを、今、情報提供いただいたということですね。
でも、今、上に並んでいる問題解決のプロセスは、ちょっと固定的過ぎやしないかというようなことも。これは、まだたたき台ですので、今のような御意見を頂くと、だんだんこれがリバイスされ。ただ、汎用的なモデルとして私どもは提供し、それを各教科がどういうふうに、うちでは更にこうだというふうに御利用いただくという形になるということになります。
柴田先生。
【柴田委員】  神奈川の柴田です。よろしくお願いします。
参考資料1の6ページに、理科の授業の例として問題解決のプロセスが書いてあります。
私は、いろいろな学校、中でもスーパーサイエンスハイスクールの授業などをたくさん見てきたんですけれども、この問題解決のプロセスの中でICTを非常にうまく使っている事例を見てきました。特に、その中で感じるのは、情報活用の実践力の流れ、情報を収集して、処理・分析して発信するというような流れが、このプロセスの一つ一つの中で行われている授業をよく見ます。
小原委員もおっしゃったように、問題の発見のところにおいても、情報を収集して、分析して、問題の発見のレベルでも発表し合う、そういう学習活動がありますし、では、どんな実験をやろうかと、実験の方法も収集して、僕たちはこういう実験の方法を考えてやってみようと思いますという発表をするといった学習活動があります。
ですから、問題発見のこのプロセス、「問題の発見」とか「問題の定義・方向性の決定」とか、いろいろ段階が六つ示されていますが、それぞれの段階で情報を収集して、加工して、発信する、そのようなプロセスを繰り返しながら深めていくというような研究をしている学校が多いと思いました。
もう一つ関連して、そのプロセス、そのサイクルと同じように、「一斉学習」、「個別学習」、「協働学習」も、それぞれ織り交ぜながら繰り返してやっている授業など、大変すぐれた授業を見てきました。まず、個人で、自分の考えを持って、それをみんなに広める、そして深め合っていくと。こういうところにICT、タブレットを使ったりインターネットを使ったりと、この問題解決のプロセスの一つ一つが情報活用の実践力のサイクルになっており、そうしたサイクルを繰り返しながら学びを深めていくというような学習スタイルをしている学校がいくつかあったので御紹介しました。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございます。ということは、問題解決のプロセスというのと、ICTを活用した学習活動の大きさが少し違うよということですね。1対1対応じゃなくて。その中にサイクルが入るぐらいの桁だということですね。非常に貴重な御意見、ありがとうございます。
それでは、益川委員、野部委員、白水委員の順番で行きます。お願いします。
【益川委員】  はい、よろしくお願いします。
アクティブ・ラーニングの視点に立ったICT活用ということで、そういう意味では、この次の学習指導要領に向けて、今までの授業を踏まえて、ここで情報を活用すればいいというよりかは、その課題解決の授業であるとか、知識創造の授業であるとか、新しい授業形態を基に構造的に整理できるとよりよいのではないかと思っております。
特に、例えば今まで協働場面のような、実際に課題を解決していく過程での情報の在り方を中心に、そこを支えるための、課題解決したい問い作りのための一斉部分での情報の在り方であるなど、何かそういうような構造化をして整理していかないと、なかなか現場の先生は、各教科等における情報に対して、これまでと余り変わらない認識にとどまってしまうんじゃないかなというところを危惧しております。
そのようなところで見ていったときに、特に、例えば課題解決や知識創造のために、情報を集めて新しいものを解決したり作り出すというところのプロセスで、どうICTを使えるかというところを提案したり、あとは、その過程において、ほかの友達やクラスのメンバーがどういう考えを作っているのかというのを、共有して比較するためにICTが使えるんだということで、全体で知識創造していって、学びを広げて深めていくというところの使い方というところを各教科に提案できると、授業の、アクティブ・ラーニングの、より理想的な情報活用能力であるとか、知的創造であるとか、課題解決というのを引き上げていくような使い方で提案できるのかなというふうに思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。野部委員、お願いします。
【野部委員】  失礼いたします。私ども大阪の教育センターでは、動画で見るICTというのを作成しておりまして、幾つかの学校のICTの使い方をビデオで提供しています。その中で、昔は教員側から提示しているものが非常に多いのですが、最近では、子供たちが使っている活動をビデオに撮影していることも多いです。この絵と関連付けると、発表やプレゼンテーションという話し合いで個々がしているような絵になっております、もちろん個々のグループの発表もありますが、それを最後に先生がまとめるなど、それをつなげていくという部分がすごく大事ではないかなと思います。
「ICT活用」と言ってしまうと、どうしても先生方は、ICTを使って終わりのようなイメージを持たれることが多いようですけれども、実際には、ICTで作ったスライドを板書と一緒に使う、そうするとよりつながっていくということが、この頃増えてきていると思っております。特に、子供たちが書いたものをスライドに映す。それに対して、板書で横から意見をどんどんつなげていくという形で、ICTに固定せずに、どのように今までのものと新しいものをつなげていくことで、子供たちの学びもよりつなげていくかということを提示していくのも大事ではないかなというふうに思っております。もちろん、全てがICTの機器でつなげられるものであれば、それはそれでよいのですけれども、なかなかインフラ的に無理なこともあると思いますので、そういったところでも、うまく併用すれば使えるというふうな視点も大事であると思います。
【堀田主査】  ありがとうございました。今の野部委員の御意見は、私どもに求められているICT活用のモデルを幾つか御提示するときに、よく教室で行われている今までの学習活動と、うまくつなげて見せるようにした方が分かっていただけるし、教師の役割もはっきりしてくるということですかね。
【堀田主査】  ありがとうございました。今の野部委員の御意見は、私どもに求められているICT活用のモデルを幾つか御提示するときに、よく教室で行われている今までの学習活動と、うまくかぶせて、つなげて見せるようにした方が分かっていただけるし、教師の役割もはっきりしてくるということですかね。
【野部委員】  それと併せまして、機器的なものですね。インフラ整備でできていないところでも、このように使えば子供の学びは伸ばせるよというふうに提示していくということも大事ではないかなと思っております。
【堀田主査】  それは、インフラもそのぐらいあれば十分ですよみたいなメッセージにならないようにしないといけないですよね。
【野部委員】  もちろんそうです。
【堀田主査】  はい、分かりました。ありがとうございました。
白水委員、お願いいたします。
【白水委員】  まず、柴田委員の御発言に強く賛同したんですけれども、この図の見方について、私の解釈を補足しますと、問題の発見から次の問題解決へというのが、大きな問題についてのものに見えるんですが、実は、それを一つの授業の中で解いていく中にも、生まれてくる小さい問題を解くために何遍も回すという意図で作られたものかなというふうに思いますので、そのような受け止め方で展開していけるといいんじゃないかというフォローをさせてください。
さて,この図をどうやって出していくか、ICTをどうやって使えるかという話に移りたいんですが、ここについてはちょっと難しいのが、原則レベルの話を展開するか、もうちょっと活動レベルに行くかみたいなところの整理を、少し付けたいという気がしております。
活動レベルに行って、こういう活動がというのを出すときに、その出すときの影響も一緒に考えながら、こういうものを提言していけるといいなというふうに思いました。
原則の方のレベルでいきますと、ICTを使った協調学習、アクティブ・ラーニングというのをたくさん研究してきている中で、例えばこの三つはどうも必要らしいという提言はあります。具体的には、考えを外に出す「外化」をして、それをお互いに「共有」して、それを「再吟味」する、つまり一人一人が「振り返る」ということです。この三つの原則というのは、どの実践でも入っているんじゃないかというようなレベルのまとめ方はあります。
このそれぞれ、例えば子供の最初の考えがあるとアクティブ・ラーニングは進むんですが、例えばなかなか考えを言葉にできない子供がICTを使うことによって、物の形ですとか、ジェスチャーですとか、動き方とかというので考えを外に出しやすいですとか、共有のところで、その場でなく遠くの子供とやりとりできる共有ですとか、最後に再吟味というのが、記録の強みがICTは出ますので、ICTがあるととてもやりやすいというようなことが分かってきています。
これぐらいのレベルにとどめておいて、現場の先生方がそれぞれのステップで使い方を考えてもらうのと、もうちょっとここにあるような活動のキメで、具体的な要素を入れていくかというところが、私としては非常に判断が必要なところかと思っています。
その後者に行くと、一挙に現金な話に行ってしまいますが、活動が、ICTを使ったからこんないいことがあったと現場の先生が感じられるようなものをうまく仕組んでいく手はあります。こんな例があるかなというのを四つ並べてみたいと思います。
一つは、小原委員がおっしゃっていたビデオを繰り返して見るという、これはかなりいろいろなところで、非常に大事というのが見えてきています。この裏には、子供たちは1回見ただけ、1回話を聞いただけだと、全然ポイントをつかめていないというのが分かってきて、だからこそ、具体的に言うと、問題の定義、解決の方向性、解決方法の提案の辺りで、例えば「情報提示」という活動が、ICTの機能で非常に大事なところであります。
それから、問題を実際に解いていくという辺りで、シミュレーションというのがあるんですが、ここに「足場掛け」、スキャホールドと言いますけれども、問題を解くためにコンピュータが支援してくれると。すごく簡単な例で言うと、ゲームをやっていると、ルールも分からないんだけれども、フィードバックが返ってくるとゲームがどんどんできるようになるというような、この足場掛けの機能というのが、問題解決のときに非常に役に立ちます。これもICTならではだと思います。
もう二つが、一つが、記録の活用が、今、深い学びの方にあるんですが、これが主体的な学びにも関わってきて、この振り返りのところに、実は、自分が学んできた記録というのを取ってあって、ICTの上で見直すというのが、これも非常に人間の記憶の制約を超えるので効果的だということが分かっております。
最後、四つ目の調べ学習が、今、2番目、3番目のボックスの下にあるんですが、「次の問題解決へ」という下にも調べ学習を持ってくると、問題を解き終わって見付けた疑問を自分たちで調べる、学校の外で調べる、家庭で調べるというようなものにつなげていくので、ここもICTならではの使い方になるかと思います。反転学習の発展形のようなものです。
繰り返しますと、「情報提示」と「問題解決の支援」、それから「記録と振り返り」、その後の「調べ学習」という辺りが、狙って入れてみると非常に効果的な活動になるかなと思っております。
最後に、こういうふうに具体的な活動でいくか、それとももうちょっと原則を押さえて、この図の見方みたいなのを含めて提示していくかというところを、よく考えていきたいというふうに思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。貴重な示唆だと思います。
それでは、次は、小原委員は、もう1回あるということですね。先に佐藤委員と中川委員、清水委員でまずいきましょう。それから、小原委員に、次、行きます。
【佐藤委員】  失礼します。私の方からは、具体的な実践例を交えて、今までのお話に共通する内容をお話しさせていただきたいと思います。
まず、ICTの活用の場面は、ここに書かれているような発表の場面でありますとか、問題解決、振り返りとか様々あるんですが、一番の強みは、私は、やはりシミュレーションの部分かなと思います。特に教科横断的と先ほど出てきたと思いますが、高等学校の段階においては、数学とか理科と連携したようなデータ分析、シミュレーションというようなことが、今現在に実践としてやっている具体的な教材があります。
全体的なICTの活用という意味で、問題解決の学習において、例えばPDCAを回すときに大事なのは評価のフィードバックのところでありますとか、情報共有の部分に関しまして、今、もう10年ぐらいやっていますのが、一つはLMSですね。教育現場でMoodleを使っているんですが、その場で評価をしたり、情報を共有したりすることが瞬時にできてしまうということですね。例えば、40人、教室にいますが、全ての人間が発言するとなるとかなり時間がかかりますが、ある時間を取って、LMSを使って意見を出し合って、情報共有して。あるいは、その作り上げたものに対する評価を皆でフィードバックをすると。それによって、再構築をしていくような場面というのが、一番、教育効果が上がっているなというデータもあるんですが、そんなところが全ての教科で活用できるのではないかと思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
中川委員、お願いします。
【中川委員】  私の方からの最近の実践事例で、ICTが効果的に働いたというようなケースを御紹介させていただければと思います。
一つは、小学校で行ったプログラミング教育のケースなんですけれども、先週、ちょうど10時間の授業を終えまして、マインクラフトというゲームの中でプログラミングを覚えていくというツールを用いて、(マインクラフトを)御存じない方もいらっしゃるかもしれないので、レゴのブロックのようなものをソフトウエア上で実装して、レゴのブロックの場合は物理的にブロックがないといけませんけれども、コンピュータなので幾らでもブロックが使えるというので、何か構造物を造ってみましょうというような取り組みをします。構造物といっても、例えば一番簡単なもので言うと、縦3×横4の壁を造りましょうというものをプログラミングで行うと、その壁の造り方には幾つかの方法があります。このプログラムには制約というのもあって、実は、前に向いてしか作業ができないという制約がありますので、まず、そういうルールを覚えるということを、子供たちは身に付けながら、縦3個造って、それをループで4回やるというやり方にするのか、4の横ブロックを造って3回のループをやるのかというやり方もあれば、それを、向きをどういうふうな向きでやっていくのかという。結局造れるんですけれども、複数のアプローチがあるといった場合に、この複数のアプローチをみんながそれぞれの考えで実現し、コンピュータ上でやりますので記録が取れますから、それを、私はどういう形で実践したというのをリプレイしながら、みんなで、私はこういう考えでやりましたと。「ああ、気付きもしなかった、そんな考えがあったんですね」というような形で、ここで言うと記録という部分が、まずそういう形で実際に子供たちの気付き、たくさんほかの考え方があるんだなということを理解させるツールとして有効でありましたし、当然、これを発表でやるわけですから、言語活動としてのプレゼンテーション能力というところにも寄与します。
これは小学校のケースですが、中学校3年生の数学の授業でも同じようなことがあって、問題を解いていくプロセスが、デジタルペンでこの学校ではやっていただきましたので、どういうプロセスで解いていったのかという筆跡も、全部、実際にプレゼンテーションで、ここで私はこう考えましたと止めながら、式を解いていったと。
おもしろかったのが、デジタルペンですので、例えば括弧を書いて5秒とか10秒とか考える生徒さんがいらっしゃって、この子は、きっとこの後にやる因数分解を頭の中でやるスピードは余り速くなかったんですね。ですので、括弧をストロークごとに何秒掛かったというのを全部取りましたので、ここで止まったということは、君はこういうタイプの計算が苦手だね、ちょっとドリルやればということで、後フォローの宿題というか、スキルアップの課題というのも出していけ、記録から個別学習というところにも非常に参考になったケースかなというふうに思います。
あと、最後に、ちょっとこの資料の中にはないんですが、デジタルの共同空間で、共同作業を子供たちにしてもらうと、実は、小学校6年生のマインクラフトのケースだったんですが、これ、報告書にも書こうと思っているんですけれども、子供たちが一斉に先生に襲い掛かったんですね。デジタルの世界なので危ないことはないんですけれども、じゃれるというかたたくような行為をやります。通常、これは小学校6年生にもなると、転校してきた子供をいきなり冗談で殴るということはしないんですが、デジタルの世界だと簡単にやってしまう。現実の世界とデジタルの世界で、実はビヘービア、行動が少し異なるというところを加味すると、非常に初期の段階から、デジタルの中でも、作られたプログラムは壊してはいけないということや、デジタルの世界であっても人は傷付くんだよということを学んでもらうために、ソーシャルやバーチャルの空間で協働的にコミュニケーションをするというような学習というのも、今後は必要になってくるのかもしれない。こういった部分というのは、これまで、セキュリティという観点ではありますけれども、余り意識されてこなかったのかなということで、一つ、気付きで付け加えさせていただきました。
【堀田主査】  ありがとうございました。
清水委員、お願いいたします。
【清水委員】  よろしくお願いします。
先ほど示していただきました7ページの図につきまして、御意見もいろいろお聞きましたけれども、全般的に白水委員の意見に賛成です。こういった流れにつきましては、多くの学校の場合、教員が問題を与えてしまって、取り組むようなやり方。しかし、一番重要なことは、問題をいかに発見できるかという力の方が、重要なのではないかと思います。
訓練としては、こういった活動を繰り返して、次に大きな課題が与え、課題解決をしていくというような流れというのは重要なことなのではないかと思います。
そこで重要になってくるのが、各教科における適切な課題の設定に尽きるのではないかと思います。適切な課題でなければ、子供たちが興味を持てないなど、そういったことも起こり得ると思いますので、いかに各教科において適切な課題やテーマを子供たちに与えていけるかということを、しっかりと考えなければならないと思っています。
また、例えば、最近、英語で辞書ではなく電子辞書を使っているのではないかと思います。ただ、辞書は辞書のよいところがあるし、電子辞書は電子辞書のよいところがある。電子辞書を持っていない場合にはスマートフォンを使うこともあると思います。子供たちは、自分で判断して、自分で使いたいものを使えるような環境にもなっていると思うので、何を使うかは子供たちにどんどん任せていってもよいにではないかと思っています。あるものを自然に使って、自分の課題解決が進められればよいのかなと思います。
愚痴になりますけれども、学校においてはICT系のものは、整備がなかなか進んでいません。使いたくても使える状況にありませんが、将来は、そういったものが手元にあるだろうと思いますので、自分で、この場合は何が適切な媒体なのかということも考えながら、活動させるといいと思っています。
以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。
それではお待たせしました。小原委員、津賀委員で。あと、どうしても発言したい人がいましたら立てておいてください。時間的には、もうそろそろです。
小原委員。
【小原委員】  2回目ですので、簡単にお話をしたいと思います。
非常にためになるお話を聞いて、私もなるほどと勉強しているところなのですけれども、ふと気が付いたこととして、やはりICTの活用といってもいろいろなICTがあると思われます。例えば、すごい高性能のネットワークが組まれていて、LMSがあったり、あるいはいろいろなSNSのようなものが使えたりする中でICTを活用しようという場面と、ネットワークもなく、タブレット1台ぽかっとあるよというときのICT活用というのは、おのずと変わってくると思われます。
だから、恐らくこの計画が無事に完遂されて、すばらしいクラウドもできてということを念頭に考えていいという理解でいいのですよね。
【堀田主査】  何とも答えにくいですね。将来的にはそういうことになることを見越して、現在の現実でもできそうなところも踏まえて考えるとしか言いようがないですね。
【小原委員】  ということですよね。なので、クラウドや教育用の便利なシステムがあれば、先ほど言ったように、例えば記録の活用も、お互いに自分の作品を複数の目で見てもらってチェックしたり、それによって採点しながら自分のスキルを上げていったり、そういう機運も出てくると思われます。そうすると、この記録の活用も、「対話的な学び」の方にも入ってくるような形になってくると思われます。
やはり、どこまでのシステムでできるのかということによって、これの図のイメージって相当変わってくるような気がしております。なので、あるべき姿を基に作っていって、そこのあるべき姿じゃないところは、是非、このあるべき姿に近付けていきましょうという考え方で発想をしていった方が、将来性が見えていいのかなと感じました。まだICTが十分に普及していない状況を前提にしない方がよろしいのかとも感じています。
済みません、それともう一点だけ。少し話はそれてしまうかもしれないのですけど、やはりICT活用をバックで支える部分というのが、非常に大事になってくるのかなと思っております。
例えば、ICTを活用していく上で、それをフォローする人材とか、場面とかというのは絶対的に必要になってくると思うんです。機械だけ入ってきても、それを管理することに時間や力を奪われ、本来の授業に集中できていなかったり、活用が分からなかったりすると、活用自体がされないような状況になってくるかと思っております。、いつかどこかの場面で、恐らく何らかの議論がされるのではないかなとは思うのですが、ICT活用をサポートするための内容も、どこかで検討しておく必要があるのではないか、指摘しておく必要があるのではないかなと感じた次第です。
以上です。
【堀田主査】  ごめんなさい、ちょっと。最後の話は、学校でICT活用がより行われるための体制みたいなね。
【小原委員】  そうです。
【堀田主査】  整備と人的な体制みたいなことも大事だということ。
【小原委員】  はい、そのとおりです。
【堀田主査】  あと、確かに、今、小原委員の御指摘のように、今ある、余りリッチでないICT環境を前提にこれを考えてしまうと、この学習指導要領が10年使われることを考えるとちょっとというのはあるし、かといって理想だけ書くと、それはできませんねというふうになるし、この辺のあんばいが、ちょっと事務局と相談したいと思いますけど。ありがとうございました。
津賀委員、お願いします。最後の発言になります。
【津賀委員】  先ほど大きなサイクル、小さいサイクルとありましたので、それはすごく賛同します。
この中で、シミュレーションの図についてこの図だけ見れば、与えられたデータ等から一つのシミュレーションをして結果を得るようなイメージを受け取りますが、そこに制御系のものを入れたり、センサをかませたりすれば、それから更に新たなデータを取り、得られたデータを活用して、それを更に分析するようなこともあるのかなと思います。
そういった面で見ると、コンピュータを使う、電子黒板を使うというものもありますが、もうちょっとセンサ系のものも一つぐらいあってもよろしいのかなと思います。特に、この図を他のWGにも諮るわけですよね。なので、そういう工夫もありかなと思います。
【堀田主査】  ありがとうございました。大体、皆さんに一通り御意見をいろいろ頂いたと思います。
私の方で一言だけ付け加えさせていただくと、皆さんの意見の中にもあったんですけど、ICT活用って、ある学習活動のところで行われる一方で、それは単発ではなくて、多分、つながっていくんですね。記録を取っておいたから後で振り返られるなど、さっき白水先生もおっしゃったように、そういう部分があると思うので、ばらに見えるんだけど、それがつながっているということをどうやって表すかというのは非常に重要かなと。そのことが、アクティブ・ラーニングにおいて、「深い学び」とか「対話的な学び」とかが場面では起こりつつ、「対話的な学び」が起こりつつ「深い学び」になったり「主体的な学び」になったりするということと関係するのかなと思いました。
たくさんの御意見、ありがとうございました。非常に貴重な御意見だったと思います。
それでは、次の課題ですね。検討事項の2の方に参りたいと思います。
検討事項の2は、資料1の一番最初のところに書いてございますけれども、小・中・高を通じて育成すべき、情報に関わる資質・能力、これについて、既に8月の論点整理が出ているわけですけど、この資質・能力の三つの柱があるということが、この間、御紹介されました。これによって整理すると、どんなイメージになるかということを考える。高校卒業時点で全ての生徒が持っている、選択じゃなくて必履修の科目によって持っているというのを考え、そして、それを基に小・中・高ではどういうふうに割り当てていけばいいかというようなことですね。そういうようなことについて検討するというのが、次なる課題です。
それでは、まず、これにつきまして事務局より、これまでの審議等につきまして御説明いただければと思います。お願いします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは、基本的に資料1に沿って御説明を申し上げたいと思いますけれども、周辺状況といたしまして、まず、また参考資料1を御覧いただきますと、先ほど、現代的な課題ということでスライドの1のところ、一番表ですね。一番下のところでございますけれども、社会の中で自ら問いを立て、解決方法を探索して計画を実行し、問題を解決に導き新たな価値を創造していくということがございます。先ほど、少し教員による課題の提示というところがございましたので、課題が与えられるものとして、問題の発見がイメージされているんではないかというような御議論がございましたけれども、各教科で議論しておりますのは、「自ら問いを立て」というところも含めて、その中で、小さいサイクル、大きいサイクルございますけれども、余り小さいサイクルまで教員を縛るということではなくて、大きいサイクルをイメージしながら、その中で、いろいろな要素ということをしっかり押さえていこうというような議論をさせていただいているところでございます。
なぜ、このようなプロセスの議論を各教科がしているかということで申しますと、そのアクティブ・ラーニングの要素をしっかり明らかにしようということは、もう一つあるんですけれども、まさにこのプロセスを経ることによって、資質・能力というものが身に付いていく。各教科における資質・能力というものが身に付いていくということ。
知識というものも、様々な情報がしっかりと体系化を、このプロセスを経ることによってされていって、しっかりとした概念的知識でありますとか物の見方、考え方とか、これを、今、各教科における物の見方、考え方は何かという議論も一方でさせていただいておりますけれども、それを身に付けるためには、まさにこういうプロセスが各教科において必要であろうというような、そんな議論をさせていただいているところでございます。
それを少し前提としながら、資料の1の8ページからになりますけれども、資質・能力の「三つの柱」による整理ということでございます。
前回も御議論いただきましたけれども、今回、各教科においては資質・能力を三つの柱で整理するということになってございます。したがいまして、それらと、その情報に関わる資質・能力との関係性ということをしっかり押さえていく必要があるということでございまして、そのためには、情報に関わる資質・能力も、三つの柱ということを前提に少し整理すると、どのような形になるかということを参考までにお示しいただくと、各教科においても議論がしやすいと、そのようなことであるというふうに考えております。
前回、御議論いただきましたように、9ページのように、情報活用能力との関係で申し上げると、捉え方、捉える角度の違いというようなことで、整理は可能ではないかというような御議論を頂いたところでございますけれども、これを更に一歩進めまして、少し事務局の方で用意をさせていただいたものが10ページになってまいります。
10ページでございますけれども、下にございますように、一番下の※に第4回総則・評価特別部会において使用予定の資料ということでございます。次回、1月18日の総則・評価特別部会において御議論いただき、各教科につながせていただきたいと考えているということ。そのために、情報活用能力というものから捉えると、これは少しどうなのかなという部分も、少しのりしろとして含ませていただいているものでございます。そののりしろは、下の括弧にございますように、各教科の視点からも分かりやすいといいますか、取り入れやすい、そういうことを少し考える必要があるということで、のりしろを入れさせていただいているようなところでございます。
具体的には、1)、2)、3)ということでございますけれども、情報活用能力の3観点8要素を基に、企画特別部会の「論点整理」の方向性も踏まえて整理ということでございますが、各教科におきまして、現在、いろいろな情報を活用して問題解決をしていくということ。それを、各教科の文脈において議論すると、どのような能力なのかということを議論している最中でございます。
そうした議論と結び付けるために、少し思考や創造等に活用される基礎的な情報としての教科等の学習を通じて身に付ける知識等というものを、あえて個別の知識・技能のところに入れさせていただいております。情報活用能力からしますと、これを知識として捉えるのは少し幅広過ぎるのではないかという御意見もあるということは承知しておりますけれども、こういった形で、次の問題解決の過程、それから、その過程でしっかりICTを活用していくということ、それを各教科においてしっかり考えていただくということのためには、各教科の学びが、しっかりそれにつながるということを意識していただく必要があるということで、ここはあえて各教科につなぐために少し入れさせていただいているところでございます。
そして、そういったものを活用しながら問題を発見・解決したり、考えを形成したりする過程や方法についての理解ということ。また、その過程において、コンピュータなどの情報手段が使われる。それについての理解と、その操作に関する技能ということ。そして、情報の特性の理解、情報手段の特性の理解、それから社会の情報化と情報が社会生活の中で果たしている役割や及ぼしている影響の理解。情報に関する法やマナーについての理解ということでございます。
2本目が、先ほどのプロセスにも関わってまいりますけれども、情報を活用して問題を発見・解決し新たな価値を創造したり、自らの考えの形成や人間関係の形成等を行ったりする能力でございます。
目的に応じて必要な情報を収集・選択したり、複数の情報を基に判断したりする能力。
情報を活用して問題を発見し、解法を比較・選択し、他者とも協働しながら解決のための計画を立てて実行し、結果に基づき新たな問題を発見する等の能力。
相手や状況に応じて情報を的確に発信したり、発信者の意図を理解したり、考えを伝え合い発展させたりする能力などということで、掲げ切れませんので、「など」ということにさせていただいております。
また、こうした過程においてしっかりと情報手段を活用できる能力ということも、併せて必要になってこようかと思います。
また、学びに向かう力、人間性等ということでは、情報を多面的・多角的に吟味し、その価値等を見極めていこうとする情意や態度等。
また、自らの情報活用を振り返り、評価し改善しようとする情意や態度等。
情報モラルや情報に対する責任について考え行動しようとする情意や態度等。
情報社会に主体的に参画し、その発展に寄与しようとする情意や態度等ということで、三つの柱に沿って整理をすると、仮にこういったことが考えられるのではないかということで、こういった点が足りないのではないかといったような御意見を、是非頂ければというふうに存じます。
また、11ページ目も併せまして御覧いただきたいと思いますけれども、幼児教育において培われる基礎の上に、小学校におきましては、様々な問題の発見・解決の学習を経験しながら、そこに情報や情報手段が活用されていることや、身近な生活と社会の情報化との関係等を学び、情報や情報手段によさや課題があることに気付くとともに、発達段階に応じた資質・能力を小学校教育の学びを深める中で身に付けていくということ。
中学校におきましては、情報を活用して問題を発見・解決したり、自らの考えを形成したりする経験や、その過程で情報手段を活用する経験を重ねつつ、抽象的な分析等も行えるようにするなど、発達段階に応じた資質・能力を本質的な学びを深める中で身に付けていくということ。
そして高校におきましては、問題を発見・解決したり、自らの考えを形成したりする過程や、情報手段等についての知識と経験を、より科学的な知として体系化していくようにするなど、発達段階に応じた資質・能力を本質的な学びを深める中で身に付けていくということ。
こうしたことを念頭に置きながら、今後は、情報科の科目の在り方ということも御議論いただくことになろうかと存じます。
また、こうしたことを実現していくためには、右側にございますように社会との連携。今回、社会に開かれた教育課程ということが大変大きなポイントになってございますけれども、外部が提供する学習プログラムとの連携や社会人講師との連携など、こういったことも大変重要になってこようかと思いますので、こうしたことも併せて御議論いただければというふうに存じます。
議論のたたき台ということで御説明をさせていただきました。
【堀田主査】  ありがとうございます。
ということで、これから御意見を頂こうと思うんですが、この10ページ、11ページのところですね。とりわけ10ページの1)と2)と3)に分けるというところですね。これが非常に急がれており、そして重要なお仕事ということになります。
1月18日の総則・評価特別部会に、情報ワーキンググループとしてはこういうディスカッションが行われ、大体、こういうふうな形で、今、整理されつつあるということを持っていかなきゃいけないんです。そこで、総則・評価特別部会で御議論いただいた上で、各教科のワーキンググループにこれをおろしていただいて、そして各教科の1番、2番、3番とこれをつなげていただくということをやらないと、教科「情報」や技術科の情報領域はともかく、各教科の中で、情報活用能力の育成あるいは情報に関わる資質・能力の育成に、十分にインパクトが与えられないということになるというわけです。
ですので、この今の10ページの表には、教科「情報」でということではなくて、各教科等で身に付けることも前提とした知識、理解、技能、あといろいろな能力、態度などが含まれているということを御理解ください。
その上で、10ページ、更には11ページについて、今から皆さんの御意見を頂きたいというふうにしたいと思います。時間としては40分ぐらいでしょうか、ございますので、これも、是非、皆さん一通り御意見を頂ければと思うところですが、早速、待ち構えていたように兼宗委員が挙げていらっしゃいますので、まず兼宗委員からいきます。お願いいたします。
【兼宗委員】  兼宗です。よろしくお願いします。
情報だけではなくて、小学校や様々な先生、教科にまたがるところですので、その先生方が教えたい教科の内容については、そちらで御検討いただければよいと思いますが、情報のワーキンググループとして押さえておかなければいけないことが、幾つかここに含まれているように思いました。何を危惧しているかといいますと、大きくは二つありまして、一つは操作関係です。パソコンでしたら、例えば、キーボードの操作というのが入っていたと思います。気にしておりますのは、一つは、パーソナルコンピュータからタブレットに移ってしまうのかどうかというところは、なかなか見通しが付けづらいのですけれども、そのときに必要になる基礎的な操作能力というものが、どこで培われるのか、トレーニングは不要なのかというところは、少し考えておきたいところです。それは、こちらから、情報のワーキンググループから言わないとどこでも扱われないことになってしまうのではないかということを、気にしています。
もう一つは、非常に責任が重いと思っているのですが、本ワーキンググループの重要なテーマになっている倫理関係です。セキュリティ、モラル関係ですけれども。これについて、高校卒業までには全ての生徒にということは、もちろん同意ですけれども、小学校、中学校から、各教科に、タブレット等を使った学習というのが始まりまして、なおかつ先生が与えたテーマだけではなくて、児童・生徒が自分のテーマに沿ってということになりますと、非常に低学年から、セキュリティ的なリスクが関わってくるのではないかと思いまして、その辺りは気にしています、という意見表明です。
【堀田主査】  ありがとうございました。先ほどの小原委員の意見とも関係するんですけど、機器は発達していきますし、その環境は今は十分じゃないかもしれないけど、これからは入ってくるというのを考えたときの、その機器を使って問題を解決しようとしたときの、支えとなる操作技能というのはどこまでかということは、ちょっと見極めにくい部分はある。よく話題になるのは、キーボード入力みたいなのが要らなくなるんじゃないかと楽観的に考える人と、いや、タブレットの操作では要らないかもしれないけど、ちゃんとレポートを書くなどするようなときには、当面、要るでしょうと。この学習指導要領が生きている間は、多分、要るでしょうみたいな議論があると。なので、どこまで教育内容として入れておくかというのは、情報ワーキンググループからしっかりと提言しておかないといけないことの一つだと、私もそういうふうに認識しております。ありがとうございました。
津賀委員、行きましょう。
【津賀委員】  まず、情報活用能力対する思いが入っているなと思いながら見させていただきました。特に、3番の学びに向かう力、人間性等については、最後、情意、態度という表現でまとめてあり、この辺は非常にいいなと思いながら読ませていただいております。
それと、あと1番、2番のところで、1番目の黒ポチの三つ目ですかね。情報手段の操作に関する技能、それから2番目の方で、黒ポチの二つ目で、情報手段を活用する能力など、どちらも情報手段に関するスキルですが、レベルを分けていただいたことは非常によかったと思います。
ただ、先ほど御提案があった部分なんですけれども、1番目の黒ポチ、一つ目となります。この部分については、もし入れるとすれば、もう少し議論が必要かなというのが正直な気持ちです。というのは、立場上、小・中学校の研究発表会等の審査員もやらせていただいてますが、タイトルとしては、「情報活用能力を育む○○」とあっても、中身的には、果たしてそうかなというのが多いです。これを認めることで、情報活用能力という概念が広がり過ぎてしまうのではないのかという懸念があります。
あと、右側の方の11ページで言うと、「発達段階に応じた資質・能力」というものを発達段階別に例示いただいているものと理解しております。
高等学校、中学校については、その資質・能力というものを例示しているものと読めるんですが、小学校について、表現上の話だけだと思うんですが、例示と捉えていいのか、個人的には「とともに」という部分がどうしても気になってしまいまして、その辺はちょっと工夫いただけるとあり難いかなと思っております。
以上です。
【堀田主査】  津賀委員、非常に慎重に御発言いただいたと思うんですけど、一つ目の心配は、具体的には何が心配だということと、「とともに」は、具体的にはどういうふうにしたらいいと思うかということを、ちょっと踏み込んでしゃべっていただいていいですか。
【津賀委員】  一つ目については、確かに教科等の学習を通じて身に付ける知識等は、当然必要になります、情報活用能力は、こういった知識の上にのるものかなと思います。

二つ目については、できれば、高等学校、中学校と同じように「するなど」ぐらいで整理いただいておいた方が、教員の方は理解しやすいかなと思っております。
【堀田主査】  ありがとうございます。貴重な御意見を頂いていますが、柴田委員、白水委員の順番で行きます。お願いします。
【柴田委員】  では、10ページと11ページについて少しコメントしたいなと思います。
まず、10ページ、大変分かりやすく整理していただいたなという感想です。ただ一点、こういうふうにしていただくといいなと思ったところが、情報モラルのところなんですが、1)の個別の知識・技能のところは、一番下の情報に関する法やマナーについての理解。それから3)のところには、情報モラルという言葉が具体的に入っていて分かりやすいんですけれども、情報モラルって、実は思考・判断・表現のところが一番大事かなと。こういう状況において、どういう判断をするべきかということを身に付けるのが大事なので、是非、このローマ数字の2)の領域、思考・判断・表現等のところにも、多分、情報モラルの内容が溶け込んでいるんだと思うんですが、情報モラルは、全ての資質・能力の三つの柱にあるよというメッセージを出していただくと、よりよいかなというのが一点です。
それから11ページの方ですけれども、私はどうもこういう図をプレゼンテーション的に見てしまうんですが、まず、この表の横幅は何を意味しているのかなと思うんですね。多分、横幅は全ての児童・生徒が学んでいくことを意味しており、それを積み上げていくのかなと思うと、一番上の情報科の共通必履修科目というのが、幅が狭いのがすごく気になっているんです。やはり、これは高等学校の全ての生徒が学ぶということであれば、端から端まで幅広く表現していただきたいなというのと、やはり情報科の科目で学ぶのが、高等学校の情報活用能力を全部包含しているわけですから、そんなような表現をしていただくといいのかなと。それから、高等学校の情報活用能力は、全ての教科で学ぶ情報活用能力もあるし、教科「情報」で学ぶものもあると。それでいて、更に教科「情報」は、ほかの教科では学ばないような、前回、情報科のアイデンティティーという言葉で表したのですが、コアな部分が更に上積み、上乗せするようなイメージなのかなと。それは、薄っぺらいものではなくて、図としてできるだけ大きく表現していただきたいなというのが思いです。
それから、当然、中学の技術分野の役割も、この図にきちんと示していただくと、小・中・高の発達段階に応じたいろいろな教科・科目で育成するイメージが広がるのかなと思います。是非、そういった見せ方を工夫していただけるとあり難いなと思います。
以上です。
【堀田主査】  大変貴重な意見をありがとうございました。特に、11ページの図のところは、各教科のワーキンググループの審議がどんどん進んできて、それで慌てて情報としても、これは先に出さなきゃいけないんじゃないかという機運が高まって、突貫工事でどんどん毎日やっているものですから、私が十分にできていないところです。どうも済みませんでした。
皆さん、こういう意見を是非言っていただいて、取り入れて、1月18日に総則・評価特別部会に持っていくときには、すばらしいものになっているようにしたいというふうに思っていますので、是非、今のようなことも忌憚のない意見を頂ければというふうに思うところです。
白水委員、お願いします。
【白水委員】  何だか私の悩みを共有してほしいというようなコメントなんですけれども、10ページのまとめ、非常によくできているんですけれども、こうやって資質・能力目標を情報の観点で語ったときって、どうしてもほかの教科でもやりやすいように,非常に広範な言葉が、特に2)、3)には使われているので、もうやっているよと言われてしまう方向に働いてしまうかなという懸念が一方であります。
しかし、その一方で、7ページの学習活動の話を考えているときには、先ほどの発言にもありましたけど、やっぱり課題設定が大事とか、ICTを使う目的が大事とか、「ICTに振り回されるな」というような言い方をしてしまうので、ここが矛盾して、一体、どっちへ攻めていけばいいんだというのを、いつも自分でも悩んでいるんです。
けど、ここも、先ほどの議題とこっちの議題をどうやって整合的にしていきながら、情報を各教科に取り込みつつ、ICTの活用なんかにもつなげていくかというところがポイントだというふうに思います。
それでいきますと、これ、非常によくできているんですけれども、情報ならではの観点みたいなものを明確に示して、なおかつそこと教科の絡みを実現していけるといいんじゃないか。
具体的には、例えば1)のところで「クレジット」というのが例としてありますけれども、法やマナーというところで「クレジットを出す」みたいな話が、例えば2)のところでは、「情報の発信源を意識しながら、情報を取捨選択して使う」というような話。それで3番のところに来ると、その「情報源を大切にする」というような態度で、クレジットの話がこういうふうにつながっているんだというような肌理のものを、何とかうまく出していけるといいかなと。
それが、11ページの方に行きまして、高等学校、中学校、小学校のところに、何か例が入るとすごくビビッドになるんじゃないかと思います。例を入れてしまうと、それが非常に特定的になるので目立ち過ぎるという、ここも非常に矛盾があって難しいんですけれども。
秋田県の例で、先ほどの「クレジット、情報源ということは大事だ」というのが、高校のときまでに分かるようにするんだったら、それを先生方と地域の保護者が一体になって、小学生には一体どういう目標を立てるか。発達段階を地域で作ろうというICT教育をやっていたんですね。それが非常にかわいくて、小学生低学年の目標が、「人に物を借りるときにはちゃんと断る」という目標が書いてあって、そういうのが実はクレジットの出発点になるんだというようなものが一貫していくと、これは、情報教育ならではの観点であり、同時に、将来、ネットに行くときに情報源を大切にするという学びとつながるんじゃないか。何か、こういうタマ(具体例)を、知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、そして、この小・中・高というふうに一貫してデザインしていけると、非常に強力なのかなというふうに思いました。
以上です。
【堀田主査】  資料の作成において、また御協力をお願いしに参りたいと思います。どうもありがとうございます。
野部委員、お願いいたします。
【野部委員】  失礼いたします。先ほどの柴田委員が、情報モラルというのは全部に大事だということでおっしゃっていたのですが、そういう意味で言うと、それぞれのところの、例えば1番でしたら情報に関する法やマナーの理解、2番のところの「相手や状況に応じて情報を的確に発信したり」というところ。その辺りが情報モラルかなというふうに考えたのですが、これをもって11ページを見かえしたときに、資質や能力の中に、実は情報モラルが入っていると思いながらも、明確なものが何も分からない。小学校レベルではこれぐらいの情報モラル的なものを持っていてほしい。特に、今、兼宗委員がおっしゃっていましたけれども、今は、小学校の頃からいろいろなデジタル機器に触れる機会があります。
そうすると、小・中・高の段階では既にこれぐらいのこと、さっきの「相手に断る」と同じような形だと思うのですが、そういったことをもう少し明確に、こちらの方にもあってほしいかなというふうに感じました。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
ほかに。では、兼宗委員、もう1回、行きましょうか。お願いします。
【兼宗委員】  ありがとうございます。関連する話題なので、さっきの発言の補足をさせてください。
最初の話題では、各教科でこんなふうに使えますというようなヒントをこちらから提示するイメージだったと思うのですけれども、逆に、小・中・高の情報教育を考えたときには、やはり、こちらからピンポイントでお願いするというのが必要なのかなと思っております。先ほど申し上げた例では、例えば倫理教育を小学校でやらないと危険だということであれば、教科を指定してお願いをしないと、小学校のうちにやってくださいというと非常に不十分というように感じています。その辺りまでできれば、このワーキンググループで議論をしていただけるとあり難いかなというのが、個人的な希望になります。
私は、小学校の教育にそんなに詳しくありませんが、例えば文字の入力や簡単な検索は、例えば国語で辞書を引くのを、今まで紙の辞書だったのが、今度、タブレットでというふうな自然な流れかなと思いますし、国語にお願いをするという時期ではないかなと思います。
また、倫理に関しては、社会的なことが絡んできたり、それから道徳面も絡んできたりしますし、そういうことをこちらから、もちろん強制はできませんけれども、お願いするということが、是非お願いできたらと思います。
あと、もう一つ気になっていますのが、小学校でコンピュータが自然と各教科で使われていくだろうということは何となくイメージできるんですけれども、高校の情報という教科に行くまでに、やはり中学校3年間でどうなってしまうのか、というのが非常に気になっております。そこについても、先ほど議論の中で、幾つかシミュレーションとか、データ活用とか、統計とか出ていましたけれども、中学校の数学でそういうのを扱えないかというお話とか、それから先ほどの操作的な技能のこともそうですし、もうちょっと高度な倫理的なことも含めてですし、もちろんプログラムなども含めてなのですが、扱えるとしたら、技術科であるならば、例えばプログラムは計測制御に特化したものというイメージが非常に強いのですけれども、もう少し汎用的なものをきちんと扱っていけないかなど、そういったことを出していく必要があるのではないか。このような提案をワーキンググループとしては、是非、やっていただきたいと思っています。
【堀田主査】  今の意見は非常に貴重な意見で、私も、主査としてそういうふうに思っている一方で、これは、中教審というのは非常に構造的にワーキンググループとかいろいろな部会とかが作られていて、国語にこれをお願いします、数学にお願いしますというのは、逆にあっちから、これを情報でやってくれ、これは情報でやってくれと来ると、全部入れられるのかみたいな話が当然起こると。
なので、総則・評価特別部会という特別部会に、一度、これを上げて、そして各教科で検討していただくという構造になっているんですね。
とはいえ、こういうことをどの教科でまではちょっと特定できないかもしれないけど、こういうことを小学校段階で、ここまではやっておいた方がいいんじゃないかということは、私どもがしっかりと明確に打ち出しておかなきゃいけないことですので、それについては、私ども情報ワーキンググループがしっかりと考えをお伝えし、それで、きょう、教育課程課からわざわざ課長と室長がお越しになっているということですので、それは伝えていきたいというふうに思います。どうもありがとうございました。
中川委員、お願いします。次、清水委員に行きます。
【中川委員】  ちょっと、他の教科へどのように影響が及ぼされるのかは、私の発言は余り意識していないのですが、2020年以降の社会を考えたときに、恐らくこの個別の知識・技能、判断・思考というところの、特にその1番目の部分で、ある情報をどういうふうに消費していくのか。それが、現実の社会の中にどう溶け込んでいるのかを学びましょうというふうにどうしても読めてしまうのですが、恐らく2040年の段階では、前回の私の説明、プレゼンテーションでもあったように、一つの推測としては、機械がデータを吐いて、クラウド上のデータの40%は機械が吐いているかもしれないというふうなことを考えた場合に、ここで学んでいる子供たちは、これから学ぶ子供たちは、情報を出す、知らないうちに行動の中で情報を出している、情報の主体になっているというケースが大いに想定されまして、それを、今、我々は、ITの業界ではIoTと言っていますが、という情報を知らずうちに提供してしまっていると言うとちょっとネガティブな言い方なんですけれども、情報をしている主体なのであるということを意識するような内容というのが、一番に盛り込まれるべきなのかなというのをちょっと読みながら思っていまして。それを、自ら提供した情報をどう分析していくのかということも、実は、社会で生きていく中でとても重要で。
一つのケースを言うと、弊社はアウトルックというメールとカレンダーのシステムを使っていますが、カレンダーの予定を全てログしていまして、1か月が終わるとエクセルにエクスポートをして、ピボットテーブルで分類して、何に何時間、時間を使っているのかというのを上司に報告します。それと、期の頭に、私はこれをやりますといったコミットメント、いかにも外資系っぽいんですが、それがマッチしているのかというのを説明するんですね。私の動きは間違っていませんよねとグリップしながら、年度末に評価を得るというのが最近の外資の。コンサルタントの皆さんも、多分、そういう働き方をされるんですが。というのが、何をやりなさいというのが明確に与えられていないので、自分でゴールを設定していくというやり方。
ちょっと済みません、脱線しましたが、データを吐く主体であるということを強く意識させるような内容というのが盛り込まれてもいいのかなというふうに感じました。
【堀田主査】  ありがとうございました。
清水委員、お願いします。
【清水委員】  お願いします。まず10ページの方を拝見いたしまして、非常によくまとめられていて、分かりやすいなと思いました。
ただ、気になるのが、やはりこの横線です。この三つの内容について、きっちりと線で分けてしまうとなると、少し前後するものも当然出てくるかなと思いますので、この辺は、プレゼンテーション資料等の作成の中で整理ができるといいのかなと思いました。
また、11ページですけれども、高校の教員なものですから、高校の方にどうしても目が行ってしまいますが、頭の段階で、「問題を発見・解決したり自らの考えを形成したりする過程や、情報手段等についての知識と経験を」というところは、どちらかというと小・中学校までで、ほぼ完了してきているような状態で、その上で科学的な知として体系化していくように結び付けていくのか。ちょっと分かりにくいかなと思いました。これが中学校までで完結、ある程度、出来上がってきてくれていると、高校としてはやりやすいのかなと思いますし、その辺の関係が、どこまで絡んでくるのかなというのが少し思ったところです。
また、全般的になんですけれども、こうやって資料をいろいろ見ていくと、逆に、「情報」って一体何だろうと、その定義が少し分かりにくくなってきているのか。多分、私の頭が悪いせいだと思うのですけれども、情報を活用して課題を発見するなど、いろいろなところで情報という言葉が出てきますが、一体「情報」とは何なんだろうと、少し分かりにくくなってしまっているのかなと感じたところです。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。今の意見も非常に重要な意見で、一応、ちょっと裏話をしておくと、とりわけローマ数字の1)のところは、情報と情報手段というのを分けて書いています。だから、同じような特性の理解でも、情報の特性と情報手段の特性というのを分けて書いています。つまり、これは意図的にですね。各教科の中では、情報を扱うというのは頻繁に行われていて、情報手段を扱うというのは、もしかしたら整備あるいは子供の、俺は使うけど私は使わないみたいなことも踏まえてあると思うし。
なので、情報と情報手段をちゃんと区別して書くことによって、情報の特性、これはさっき白水委員がおっしゃったことと関係するんですけど、入れるということもやっていこう。と同時に、情報手段の特性をうまく踏まえて、明確に活用できるような人にもしていきたい、そういう思いもあります。
だから、情報というのは何かというところまで、また定義からやり始めると、多分、聞いてもらえなくなっちゃうので、その辺をどういうふうに表すかというのは、ちょっと工夫をしたいと思いますし、情報と知識というのは、知識基盤社会においてどう区別されるべきなのかとか、そもそも情報手段とかはこれからいっぱい入ってきて、どの教科でも、それは別にアクティブ・ラーニングで普通に使うでしょうみたいにもしなったとしたら、いちいち情報手段、情報手段と言う必要があるのかなどですね。だから、それは平成8年に作られた情報活用能力の定義の時代と、時代背景が少し変わってきているということをどこまで考えて、これから10年を委ねるのかというのは非常に悩ましいところでございます。
だから、今のような御意見をいろいろ頂いて、また事務局と整理したいと思いますので是非と思います。
安藤委員、小原委員の順番で、まずこっちへ行きます。
【安藤委員】  まず、10ページの表です。情報に関わる資質・能力のイメージ(案)というところの一番上に、情報活用の実践力の中に、受け手の状況などを踏まえた発信という話が入っています。この発信というのは非常に大事なのですが、下の方に行くと、発信というのが、思考力・判断力・表現力のところにしか関わってこないように見えます。発信については,もう少し入れ込むことが大事だと思います。
もう一つは、先ほども御指摘があった箇所についてです。ちょっと今、うまく理解できていないのですが、この情報に関わる資質・能力のイメージを理解する上で、この1の個別の知識・技能というところに、教科等の学習の話が入っているというのは、どういうふうに理解すればよいのでしょうか。違和感があるので,すみわけするなどを検討していただけるといいのかなということです。
次に、11ページ目に関してです。小学校の段階というところで、先ほど兼宗委員の方からもお話があった点です。前回のときにも私の方で少しお話ししたのですが、やはり操作ができないことには,その先の活用も限られたことしかできません。特に小学校の段階で、段階的に、キーボードやOSの基本的な機器操作をきちんとできるようにしてほしいなと思います。
それとともに、情報モラルの話もあったんですが、特に小学校ではどうしても道徳的な情報モラルに終始しがちです。その辺は、この会議で情報の科学的な理解ということを議論していますので、小学校であってもある程度,情報を科学的に理解した上での情報モラル、セキュリティということも、やはり触れていく必要があろうかと思って聞いておりました。
次に、先ほどプログラミングという話があったので、少しだけお話させてください。私は現在、プログラミングに関する情報教育向上支援事業でプログラミングの実践を調査する文科省プロジェクトのメンバーです。その中で,小学校に視察等も行っています。その中で、子供たちは、ICTを使うという発想から、自分たちがコンピュータに働き掛けるんだというのが分かったときに、色々なことを試行錯誤を繰り返して工夫して創造する中で、協調的な場面が自然と見られるなど、自ら主体的に学ぶ姿勢が育つというところが、プログラミングの学習のスタイルとしては非常に効果的と思っております。
そう考えたときに、やはり小学校の段階で、デジタルなものづくり,つまり、自分がコンピュータを使うだけではなくて、自分からコンピュータに働き掛けることのおもしろさなど、そういうことは、小学生のうちでも少し体験しておいてほしいと感じております。
そして中学校の段階についてです。この中学校の内容は、結構あっさりと書いていただいていると思います。中学校の技術の話も先ほどあったところですが、中学校の技術では、プログラミングと計測制御も含めて、情報という分野について、ある程度、専門的に学習しています。ですので、中学校の段階でというと、今書かれている内容よりも,もう少しレベルを上げることが可能だと思います。今、この中身には、恐らく技術・情報分野の中身が入っていないように思えますので、含んでいないということを明記していただくのがよいと思います。つまり、技術での情報の内容を含んでいるのか含んでいないのかという話で、含んでいるなら現在の記述の内容のレベルを上げていただき,含んでいないなら,含んでない旨を書いていただければと思います。
ところで、今、宮城教育大学の附属中学校で、研究開発指定校として技術・情報科というのをさせていただいています。今は、そこの運営指導委員の立場で関わらせていただいているんですけれども、この技術・情報科では、結局、情報をどう扱うかという議論が先ほどあったときに、従来、僕らが、今、この場でやっているような、フェース・トゥ・フェースで、いわゆるアナログと言われる、原体験と言われるような、そういう情報を使う場面というのと、デジタル化された情報を活用するという場面の二つのフェーズがあるということです。中学校の技術では、やはりデジタルに特化した情報を活用するというところを特に深めることができると思います。その中で情報技術ということが出てくると思いますし、情報を加工するという意味で、プログラミングというのが、計測制御以外の部分でも入ってくるというのがあると思います。
一方、中学校のほかの教科では、そういった情報というのを幅広く捉えた情報活用をしていただいて、専門性の部分と幅広い部分の情報という、その二つのバランスがとれるような見せ方というのができればいいなと思っております。
済みません、長くなりました。
【堀田主査】  小原委員、行きます。時間がなくなってきていますので、今、上がっている人でやめますね。
次、益川委員、白水委員、兼宗委員、佐藤委員で終わりにします。よろしくお願いします。手短にお願いします。
【小原委員】  小原です。今、安藤先生がお話しされたことに私も全く同感でして、受け手の情報などを踏まえて発信・伝達できる能力というのが、やっぱり少し薄いのかなと。特に私が感じたのは、3)の学びに向かう力、人間性等のところにも、ここは、もう少し厚くしていいのではないかなと。
例えば、今、LINEでずっとスマートフォンから離れられないなど、利用方法に課題があるような場面を耳にしますが、それは、実は自分が発信することによって、周りがなかなか断り切れなかったなど、といったバックグラウンドも関係しているのではないかと感じています。バーチャルな社会の中でそういう話がされているのであれば、当然、それは社会とどういうふうに関わるの、自分が発信している内容が周りを縛っていることにならないかなど、そういうふうにつながっていくのではないのかなというふうにったので、3番の方に入れるというのも一つのアイデアなのではないかなと思いました。
それから、裏側の11番なのですけれども、これも、いろいろな方が御指摘されているように、情報科の共通必履修科目だけが出ているというのは、私としてはやっぱりちょっと違和感があって、中学校で技術・家庭があって、そこでいろいろ議論をして、それの上に教科「情報」というのが乗っているというのが今のイメージだと思われます。
なので、それはしっかり記述していくといいのではないのかなというのと、やはりその先には、大学の情報学というのにつながっていく部分も、当然、出てくると思うので、情報学で、今、日本学術会議で参照基準等も提案されているかと思いますので、そちらとの関連も、ある程度、明確にしていく必要もあるのではないかなと思いました。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございます。
益川委員。
【益川委員】  一つは、情報と情報手段の言葉の使い方について、よりわかりやすい表現に見直した方がいいのかなというふうなところを思います。
我々は、情報手段で全く問題ないんですけど、各教科の議論に落としていくときに、情報手段というところで、特別なものとして捉えられてしまうと残念だと思います。何か、もうちょっと世の中にあるような言葉で、例えば21世紀型スキルの整理であれば、情報と情報手段を情報リテラシーとICTリテラシーみたいな切り分け方もしています。委員の方の意見の中でも情報技術というような言い方もあります。よりわかりやすいい表現を検討した方がいいのかなと思います。
それから、例えばこの個別の知識・技能の問題の発見・解決の過程において活用される情報手段というところで、各教科の中でどういうふうに使ってもらうかによって、例えば小学校段階でも、キーボードをしっかり使っていくような、授業で表現する活動が入っているかどうかというところにも依存するので、何かそういうところと併せて、身に付けさせたい情報手段の使い方と、学習活動をうまくマッチングできるような形で、各教科の方に提案できるといいかなというふうに思います。
最後、三つ目ですけど、いろいろ個別の知識・技能ということで、今リストアップされていますが、ある教科のある単元のここだけ入るという限定的な形では情報活用能力の育成が限定的になると思います。、様々な情報の要素が、いろいろな教科のいろいろな単元の中にうまく散りばめて入れてもらえるようなお願いの仕方ができていくと、それが、例えば要になって、教科横断的に情報を媒介したつながりにもなると思うので、各教科にお願いするときに、いろいろなところで使えるところにできるだけ埋め込んでほしいという提案ができるといいと思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
白水委員。
【白水委員】  2回目で済みません。
全体戦略に関わるところなんですけれども、情報の中でもデジタル情報、それからICTという方にどれだけ踏み込むかというところの判断をしていきたいというふうに思っています。デジタルネイティブとして生まれてくるような子を考えたときに、中川委員がおっしゃっているのは、学校のインフラがどうなるかだけではなくて、今のこの指導要領で学んだ子供たちが社会に出たときに、完全にサイバー空間というのを前提にしないとまずいんじゃないかというところまで私たちが書けるのであれば、そこを全面的に出していく。そこの判断が必要だろうと思います。
その意味では、プログラミングというお話が出たんですけれども、例えば、プログラミングって、今、再燃しています。1980年代にも、1回、はやったんですけれども。そのときには、抽象的な概念、変数ですとかマイナスですとか、それから論理的な思考力の学びのためにプログラミングがありましたけれども、今のプログラミングというのは、例えばコードの学習ではなくて活用。そして、ツール単体ではなくてコミュニティーへの参加。そして、0から作るんじゃなくてリミックスでというのが、もう完全に前提になっている。一言で言うとコンピューテーショナル・パーティサペーション(computational participation)と言われるような、コンピュータの社会にどうやって参加するかという一手段として、プログラミングというのが世界的に位置付けられています。その動向を見ると、今、かじを切っておかないと、未来を生きる子供たちに恨まれるんじゃないかという思いと、きょうは悩みの共有ばかりなんですけれども、各教科と考えたときに、やはりアナログからデジタルへというトータルな構図の中で、余りとがった表現にしないというところのバランスを、どうとっていけばいいのか。
もし、コンピューテーショナルな参加というのが、当然、必要になってくるというところまで行くんであれば、小学校のところに、今はないですけれども、これから教科のA・B・Cというのが改編されて、情報の科学的理解というのが高校で中心になってくると、そこで落ちていく教科内容みたいなものを、皆さんが言うように前倒しでやりたいのであれば、例えば小学校の副読本というような内容で、その情報の、兼宗委員が訳されたようなアンプラグドなコンピュータ・サイエンスですとか、いろいろな要素というのを小学校に入れるというグランドデザインが考えられる。その覚悟を決めれば一気にデザインできるんですけど、そこまでかじを切っていいかどうかというところの判断というのが、非常に大きいところとしてある、という問題提起だけさせてください。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございます。
兼宗委員。
【兼宗委員】  情報提供だけですが、やはりきょうも話題に出ていますように、情報の定義というものが、ある程度、根拠が欲しいという気持ちがあると思います。先ほど小原委員からも話がありましたけれども、一応、日本学術会議の方で、この数年の間に情報学を定義するということで、参照基準というものが作られています。かなり参考になると思いますので、コメントとして紹介させていただきます。
【佐藤委員】  失礼します。3回を通じて、私がずっと言わせていただいてきたこと、情報学とはというのを、皆さんにこうやって取り上げていただいて本当にあり難いなと思います。そのとおりだと思います。情報学というものをしっかりと確立をして、それを扱う初等・中等教育ということで、最後に、10ページ、11ページのところを、私もずっと、ほぼ1時間ぐらい眺めているんですけれど、まず感想と、それからこうすればいいのではないかというアイデアを言わせていただいて終わりたいと思います。
まず感想なんですが、10ページのところに1)、2)、3)と分けていただいていて、何を知っていて、何ができるか。そして、どう使うか。そして、社会をというふうに分けていただいている部分。この内容を見たときに、現行の学習指導要領の共通教科「情報」ですが、それと、情報A・B・Cの中に含まれているところを、今度は全ての教科にということで、うまく散りばめて入れていただけたなという感想です。ここの文章を読んでいますと、恐らく、今、ここに積まれている資料の中の教科「情報」の中に出てきた現行学習指導要領の文章が盛り込まれているというところで、すごくうれしいなと思っています。
その半面、例えば1)の何ができるかのところを、全教科にこれを言っていいのかどうか、非常に悩ましいところもありました。しかし皆さんの御意見を聞いていまして、そうなればいいなと。例えばアナログとデジタルの情報の違い、これは、子供たちは体感的、経験的には分かっているでしょうけど、やはり教科「情報」としては、科学的な理解に裏打ちされたというところの違いがあると思うんですよね。なので、全教科にできる内容ということで、もう少し、例えばタブレットを使って何ができるかとか、タブレットを学習の中でどう使うとか、もう少し書き方を変えれば全教科に使っていただけるのではないか。ベースはこれでいいんですが教科「情報」のことになってくるので、ほかの教科の先生に、「こんなん、情報でやればいいやん」と言われそうな感じがして、今はなりません。しかし、10年後ということであれば、少し各教科に落とし込めそうな表現に変えたらどうかなという思いがする。皆さんの御意見をまとめた形になりますが。
11ページの方を見まして、これもすごく積み上げていただいてあり難いなと思っています。
そこで、先ほど小原先生と兼宗先生、そして白水先生の御意見にもあったことなんですが、まずは、こういうふうに御提案をさせていただきたいと思います。
教科「情報」共通必履修科目という枠を下までずどんと小学校まで落としていただいて、若干、線を細めていただいて、ピラミッドですかね、そのまますとんと落とすとちょっと幅広過ぎるという幅の問題もあるんでしょうけど、下まですとんと落としていただいて、小学校に「情報」という教科はありませんが、教科「情報」の下、中学校には技術・家庭がございます。じゃあ、小学校では、その科学的な理解、すなわち、今、プログラミングの話が白水委員からも出ていましたが、どこで扱うのとなったときに、国語の授業で扱えるわけがないやんと思うこともありますので、小学校では、総合的な学習の時間とか何か枠組みを決めて、すなわち教科「情報」の下、技術・家庭との継続性、そしてその下、小学校では総合的な学習の時間でやろうよとか、的を絞って、縦につながるように、科学的な理解に裏打ちされた情報学を、そこへ一つ持ってくると。
全体的な情報教育としましては、皆さん御議論されたような内容でいいと思うんですが、もう少しコアな部分の学問となったときには、プログラミングというのをそこへ入れていく方がやりやすい。そうすると必要なのは、人的支援もですけれども、やっぱり教材ですよね。小学校の先生が、プログラミングの教材を使って授業をするのかとなったときに、敬遠されないように、いやいや、これは総合的な学習の時間の中の教材として、全てのクラスでやってくださいねというような、何か提案の仕方があると思うんですね。そこを少し切り分けて、全教科でやってもらいたいところと、それから総合的な学習の時間でできるところ、そこのコアのところを技術・家庭、そして教科「情報」というふうに縦に積み上げていくというのはいかがでしょうか。これが、私の提案です。少し長くなりましたが、以上です。
【堀田主査】  では、小泉主査代理、一言お願いします。
【小泉主査代理】  大変貴重な多数の御意見、ありがとうございました。今回は、聞きに回っておりましたけれども、ちょっと最後にまとめて幾つか、質問をさせていただきます。もし答えがありましたら、後日、メールで頂きたいと思います。そして、提言をいくつか申し上げたいと思います。
まず、検討事項1についてですけれど、先生方の御意見を大体まとめてみますと、考えられるICTの活用法として、情報の保存という機能があります。あと、情報処理に関わるルーチンですよね、「サイクル」とおっしゃいましたけど、それに関する様々な手段があります。
そして、シミュレーションという、ある意味、コンピュータで特徴的な活用方法があります。この三つのツールが、7ページのいろいろな場面で生きているんだろうと思います。特に、デジタル化された情報の特性として、この三つが浮き上がってきているなという印象です。7ページのような見せ方は、他教科にとってはとても分かりやすいし、よいと思うんですが、一方で、情報、特にICTを授業に活用した場合の特性をどこかでキチンとまとめておくと、それと授業での活用方法をひも付けすることで、各教科が共通理解できるようになり、ICTを活用した授業の同じ場面がいろいろな教科で横断的に共有できるかなと思います。
一つ、これは質問なんですけれど、一番上の交流などに関わるコミュニケーションという部分の活用が、みなさんの意見には余り出てこなかったと思います。先ほどの発言の中に、これに関連しそうなLMSというキーワードが一つありましたけど、コミュニケーションという観点での活用が、どこかほかにあるのかなと思っていました。もし気付いたことがあれば、後日メールでお知らせください。
もう一つは、先ほど言いましたデジタル化の特性。例えば編集とか制作とかの部類に入ると思うんですけど、デジタル化された情報の特性を扱うのがICTの特長なので、そのような活用の事例がどこかにあれば、後日お知らせください。
それから、皆さん、インターネットの利用をさりげなく、暗黙のうちに提言されていましたけど、インターネットという巨大な情報のリソースをツールとして使うという手段のことを指していますね。これは、ICTそのものではないですけれど、大きな情報リソースとしてのインターネットの活用が、ほとんどの教科に関わってくるんだと思うので、これはこれで、どこかで明示的に提言した方が、各教科にとっては、手を付けやすいだろうと思います。
検討事項2なんですけれど、これは一言だけ。「情報モラル」というキーワードが、そこここに出ています。しかし、先ほどちらっと出ましたけど、情報セキュリティというキーワードが見あたらないんですね。これまで、情報モラルというキーワードの中に、規範意識としての情報モラルそのものと、情報安全というものがともに含まれてしまっている。ここに来て、情報セキュリティというキーワードが日本再興戦略の中にも出ていますので、情報モラルとは区別した上で明示的に入れておかなくてはいけないのではなかろうかと思います。特に情報セキュリティは、情報モラル以上に科学的な理解が必要とされる部分なので、そこは明示的にしておくのがちょうどいい時期ではなかろうかと思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
それでは、ちょっと時間、このまま行くと少し過ぎてしまいますが、本議題に関する意見交換はここまでとさせていただきます。
先ほど、大杉室長から、総則・評価特別部会からの検討依頼が五点ありましたけれども、これを受けて、私どもは、この今の10ページ、11ページを作っているわけですが、ちょっと時間がなかったこともあって粗い部分もあるし、全教科等で、各教科等で全てやっていただくことと、これはどう見ても情報でやることだよねというようなことも全部一緒に書かれて、それをどう分担するかは、1回、総則・評価特別部会のところでやっていただいてから各教科でもんでもらって、また戻していただいて、ここに返ってくる、そういう構造になっているものですから、今、ここで、これは国語でやってくれなど、そういうふうにはできないわけですね。なので、このような書き方になって。その結果、ちょっと曖昧な部分も。これは情報だなとか、これは教科かなとか思って書いているんだけれども、そこはどうしても曖昧にならざるを得ないということと、とりわけ、この11ページの方は、10ページを受けて、それを小・中・高でどうやってやるかみたいなことですので、更に曖昧ということが今のところあります。
しかしながら、この両方を1月18日には一つ上の部会に上げることになりますので、大変恐縮ですけれども、皆さん、是非、きょう頂いた意見や、あるいはまた更にこうしたらと。よく考えたらいいよという意見じゃなくて、こうしたらどうですかという意見を、是非、具体的に頂きたいと。それができるかどうかは、中教審の仕組みから言って、行政的に、今までの連続性から言ってできるかどうかというのは分からない部分もありますけど、是非、具体的に御意見を頂きまして、それを踏まえて、事務局と私、主査の方で、再度、検討して、責任を持って調整して、1月18日に総則・評価特別部会に提案すると。今度、その2日後が、この委員会になりますので、そこでまた次に報告するという形とさせていただきたいんですけれども、皆さんに御意見を頂くという話と、それを一旦預けていただいて、それまでにもむ時間がないので、ちょっと僕の方で責任を持って提案させていただいて、また御報告するということについて御一任いただけるかどうかということなんですけど、いかがでしょうか。
(「はい」の声あり)
【堀田主査】  ありがとうございました。それでは、主査一任とさせていただいたということで進めさせていただきます。
皆さんの御意見は非常に貴重ですので、いつぐらいまでにというのは、これから稲葉補佐が言っていただくと思いますけど、もう年末のお忙しいところだと思いますが、非常に重要なフェーズですので、大変恐縮ですけれども、メール等で御意見をお願いしたいと思います。
次に、今後のスケジュール、今のことも含めまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  次回でございますが、次回につきましては、1月20日水曜日、10時から12時の開催を予定としております。場所につきましては、現在、調整中でございますので、追って御連絡させていただきたいと思います。
また、今回につきましても、限られた時間内での御議論でございましたので、意見、お気付きの点などありましたらば、25日金曜日と申しましても、事実上は翌月曜日の朝までという……。

25日金曜日までに御提出いただけると大変あり難いかなと思っておりますが、事実上は28日の朝までは受け付けできるかと思っております。恐れ入りますが、是非、御意見をお寄せいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【堀田主査】  大体、あさっての朝、稲葉補佐が出勤したときまでという感じですね。だから、週末をうまく使っていただくとしたら、朝の段階で届いているようにしておいてねということですね。よろしくお願いいたします。
皆さんにもお願いばかりで大変恐縮なんですけれども、大事なフェーズということで御理解いただいてというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
予定時刻を2分過ぎてしまって、大変恐縮でございましたが、これで本日の情報ワーキンググループをお開きとさせていただきます。どうもありがとうございました。

― 了 ―

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