外国語ワーキンググループ(第10回) 資料3-1

1.現行学習指導要領の成果と課題
○ グローバル化が急速に進展する中で、外国語によるコミュニケーション能力 は、これまでのように一部の業種や職種だけでなく、生涯にわたる様々な場面で必要とされることが想定され、その能力の向上が課題となっている。
○ 我が国では、外国語を日常的に使用する機会は限られているが、現在、学校で学ぶ児童生徒が卒業し活躍する社会や世界の舞台は、多文化・多言語の中で、国際的な協調と競争の環境の中にあることが予想される。そうした中で、国民一人一人が、様々な社会的・職業的な場面において、外国語を用いて互いの考えを伝え合い理解し合うことが一層重要になることが想定される。
○ 小・中・高等学校におけるこれまでの外国語活動及び外国語科では、発達段階に応じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度や、情報や考えなどを理解したり伝えたりする力の育成が目標として掲げられ、「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の4技能(以下「4技能」という。)などを総合的に育成することをねらいとして現行の学習指導要領に改訂され、様々な取組を通じて充実が図られてきた。
○ 一方で、各学校段階での指導改善による成果が認められるものの、児童生徒の学習意欲に関する課題があるとともに、学校種間の接続が十分とは言えず、進学後に、それまでの学習内容や指導方法等を発展的に生かすことができていない状況が見られる。
○ また、中・高等学校において、文法・語彙等の知識がどれだけ身に付いたかという点に重点が置かれた授業が行われ、外国語によるコミュニケーション能力の育成を意識した取組、特に「話すこと」及び「書くこと」などの言語活動が十分に行われていないことや、習得した知識や経験を生かし、コミュニケーションを行う目的・場面・状況等に応じて適切に表現することなどに課題がある。
○ 今回の学習指導要領の改訂においては、これまでの成果とともに、これらの課題の改善を図る必要がある。

2.育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方について
(1)教科等の特質に応じ育まれる見方・考え方
○ 各教科等を学ぶ意義として、それぞれにおいて育成すべき資質・能力の三つの柱を整理し、その中核となる各教科等の本質に根差した「見方・考え方」を整理することとなっている。「見方・考え方」とは、様々な事象等を捉える各教科等ならではの視点や、各教科等ならではの思考の枠組みであるとされており、こうした「見方・考え方」と育成すべき資質・能力の関係について、外国語教育においては、以下のように整理を行う。
○ 外国語教育においては、特に、他者とコミュニケーションを行う力を育成する観点から、社会や世界との関わりの中で、外国語やその背景にある文化の多様性を尊重し、外国語を聞いたり読んだりすることを通じて様々な事象等を捉え、情報や自分の考えなどを外国語で話したり書いたりして表現することが、「外国語教育における思考の枠組み」であると考えられる。
○ そこで、外国語教育において育まれる「見方・考え方」は、「社会や世界、他者との関わりの側面から言語を捉え、外国語やその背景にある文化の多様性を尊重し、コミュニケーションを行う目的・場面・状況等に応じて、外国語を聞いたり読んだりして情報や自分の考えなどを形成・整理・再構築し、それらを活用して、外国語を話したり書いたりして適切に表現し伝え合うために考えること」とする。
○ 外国語教育では、このような「見方・考え方」を働かせながら、知識・技能を習得したり、知識・技能を活用して実際のコミュニケーションに関連付けて定着させたりすることによって、外国語の技能を習熟・熟達させることが求められる。外国語教育では、このような一連の学習過程を経て思考を深め、自分の思いや考えを表現することなどを通じて、子供たちの発達段階に応じた「見方・考え方」が成長することが重要である。

(2)小学校・中学校・高等学校を通じて育成すべき資質・能力の整理と、教科等目標の在り方
○ 本ワーキンググループにおいては、外国語教育について小・中・高等学校を通じて育成すべき資質・能力を、「論点整理」に指摘された三つの側面とともに、言語能力向上の観点については、言語能力の向上に関する特別チームにおける議論を踏まえ、特に、他者とのコミュニケーション(対話や議論等)の基盤を形成する側面から、外国語教育の目標を資質・能力全体を貫く軸として重視しつつ、他の側面(創造的思考、感性・情緒等)からも育成すべき資質・能力が明確となるよう整理することを通じて、更に外国語教育の改善・充実を図る。
○ 小・中・高等学校を通じて、外国語で他者とコミュニケーションを図る基盤を形成するため、外国語教育の目標においては、4技能のバランスの取れた育成を踏まえつつ、外国語やその背景にある文化に対する理解を深め、他者を尊重し、聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながら、外国語でコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図ることとする。併せて、身近な話題から社会や世界、他者との関わりの中で幅広い話題までを取り上げ、外国語で情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝え合ったりすることができる外国語によるコミュニケーション能力を養うため、目標、指導内容、学習・指導方法、学習過程、学習評価等の在り方について一体的に検討する。
○ 学校段階ごとに育成すべき資質・能力を、次のように整理した(別添7参照)。
(小学校外国語活動)
◎外国語の見方・考え方を働かせ、コミュニケーションの目的を理解し、見通しを持って目的を実現するための活動を通して、聞いたり話したりすることに慣れ親しませ、コミュニケーション能力の素地となる資質・能力を、次のとおり育成する。
1 外国語を用いた体験的な活動を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、日本語と外国語の音声や語順等の違い等に気付いた上で、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませるようにする。
2 外国語を通じて、身近で簡単なことについて、聞いたり話したりして自分の考えや気持ちなどを伝え合う力を養う。
3 外国語を通じて、言語やその背景にある文化の多様性を尊重し、聞き手・話し手に配慮しながら外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。
(小学校高学年)
◎外国語の見方・考え方を働かせ、コミュニケーションの目的を理解し、見通しを持って目的を実現するための言語活動を通して、聞いたり話したりするとともに、読んだり書いたりすることに慣れ親しませ、コミュニケーション能力の基礎となる資質・能力を、次のとおり育成する。
1  外国語を通じて、言語の働きや役割などを理解し、読むことと書くことに慣れ親しませ、外国語の音声、語彙・表現を聞くことと話すことに用いて実際のコミュニケーションの場面において活用できる基本的な技能を身に付けるようにする。
2  外国語を通じて、身近で簡単なことについて、読んだり書いたりすることに慣れ親しませながら、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことのうち、特に聞いたり話したりして自分の考えや気持ちなどを伝え合う基礎的な力を養う。
3  外国語やその背景にある文化の多様性を尊重し、相手に配慮しながら外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。
 (中学校)
◎外国語の見方・考え方を働かせ、コミュニケーションの目的を理解し、見通しを持って目的を実現するための4技能による総合的な言語活動を行うことを通して、簡単な情報や考えなどを外国語で交換することができる資質・能力を、次のとおり育成する。
1 外国語を通じて、言語の働きや役割などを理解し、外国語の音声、語彙・表現、文法を、4技能(聞くこと、読むこと、話すこと、書くこと)を用いた実際のコミュニケーションの場面において活用できる技能を身に付けるようにする。
2 外国語でコミュニケーションを行う目的・場面・状況等に応じて、日常的・社会的で具体的な話題について理解したり表現したり、簡単な情報や考えなどを交換したりするなどして伝え合うことができる力を養う。
3 外国語やその背景にある文化の多様性を尊重し、聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながら、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。
(高等学校)
◎外国語の見方・考え方を働かせ、コミュニケーションの目的を理解し、見通しを持って目的を実現するための4技能による総合的な言語活動を行うことを通して、情報や考えなどを外国語で的確に理解したり適切に表現したり伝え合ったりすることができる資質・能力を、次のとおり育成する。
1 外国語を通じて、言語の働きや役割などを理解し、外国語の音声、語彙・表現、文法を、4技能(聞くこと、読むこと、話すこと、書くこと)を用いた実際のコミュニケーションの場面において活用できる技能を身に付けるようにする。
2 外国語でコミュニケーションを行う目的・場面・状況等に応じて、社会や世界、他者との関わりの中での幅広い話題について、情報や考えなどの概要・詳細・意図を的確に理解したり、それらを活用して適切に表現し伝え合ったりすることができる力を養う。
3 外国語やその背景にある文化の多様性を尊重し、聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながら、自律的・主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

(小・中・高等学校を通じた指標形式の目標の設定)
○ 併せて、前述1.のような課題を踏まえ、児童生徒の1各学校段階の学びを接続させること、2習得した知識・技能を活用し、思考・判断・表現する力を育成するため、「外国語を使って何ができるようになるか」という観点からの教育目標になるよう改善・充実を図る。
○ 次期学習指導要領の改訂においては、語彙や文法等の知識がどれだけ身に付いたかにとどまらず、習得した知識・技能が実際のコミュニケーションにおいて活用され、思考したり表現したりすることを通じて育成すべき力を明確にする。このため、それらの育成すべき力について、国際的な基準 などを参考に、外国語学習の特性を踏まえて知識・技能や思考・判断・表現力を一体的に育成し、小・中・高等学校一貫した目標を実現するため、そこに至る段階を示すものとして段階的に実現する指標形式の目標(CAN-DO形式の目標)を設定する。
○ また、「主体的に学習に取り組む態度」は、児童生徒が言語活動に主体的に取り組むことが外国語によるコミュニケーション能力を身に付ける上で不可欠であるため、極めて重要な観点である。習得した知識・技能を活用し、思考・判断・表現する力を身に付けコミュニケーションを行うことで児童生徒に自信が生まれ、「主体的に学習に取り組む態度」が一層向上していくため、両者は不可分に結び付いている。児童生徒が興味をもって取り組むことができる言語活動を易しいものから段階的に取り入れたり、自己表現活動の工夫をしたりするなど、様々な手立てを通じて児童生徒の「主体的に学習に取り組む態度」の高まりを目指した指導をすることが大切である。
○ 各学校においては、指標形式の目標を踏まえた学習到達目標を設定し、それらに関する深い理解や資質・能力の育成が図られるよう、学習内容等を設定することが求められる。
○ これらに基づき、例えば、国際共通語としての英語を通して「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という観点から、卒業後、どのような職業等に就くとしても生かすことができるような資質・能力を、児童生徒が将来の進路や職業などと結び付けて「主体的に学習に取り組む態度」等を含めて育まれるようにする必要がある。併せて、学習・指導方法、評価方法の改善・充実を一体的に図っていく必要がある。
○ 指標形式の目標は、外国語教育の目標に沿って、高等学校卒業時において共通に求められる資質・能力を発達段階に応じた形で明確にした上で、小学校中学年段階から他者とのコミュニケーションを想定した「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと(やりとり、発表)」、「書くこと」の領域ごとに示すとともに、複数の技能を組み合わせて効果的に活用する技能統合型の言語活動をより重視した目標を段階的に設定する。これらを踏まえ、外国語教育において育成すべき資質・能力を育む学習過程の改善・充実を図ることとする 。
○ 求められる生徒の英語力として、国の第2期教育振興基本計画に掲げられている学習指導要領に基づき達成される英語力の目標を基に、中学校卒業段階で国際的な基準であるCEFRのA1レベル程度以上、高等学校卒業段階でCEFRA2~B1レベル程度以上を達成した中高生の割合を50% の実現に向けた目標・内容等を想定した改善・充実を行う。
○ 高等学校卒業段階で求められるレベルは、高校生の多様化を踏まえ、「外国語を通じて、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりすることができる力」(必履修科目でCEFRのA2レベル、選択科目でCEFRのB1レベル相当を想定)を育成するための科目の見直しを検討する。このことに伴い、指導する語彙数については、これまでの実績や諸外国における外国語教育の状況などを参考に、小学校で600~700語程度、中学校で1、600~1、800語程度、高等学校で1、800~2、500語程度(高等学校で必履修科目及び選択科目を全て履修した場合、小・中・高等学校を通じて4、000~5、000語程度)を指導することとして整理した (別添●)。

(3)資質・能力を育む学習過程の在り方
○ 外国語教育では、4技能をバランスよく指導することによって総合的な外国語によるコミュニケーション能力を養うことが目標の中核を成している。併せて、言語は通常、人との関わりの中で用いられるため、他者を尊重し、聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながらコミュニケーションを図ることが求められる。例えば、聞き手の理解の状況を確認しながら話しているか、相手の発話に反応しながら聞き続けようとする態度を示しているか、などといった相手への配慮が求められることになる。
○ 外国語教育においては、このようなコミュニケーションを行う目的・場面・状況等に応じて、情報や考えなどを、外国語で聞いたり読んだりして的確に理解したり、外国語を話したり書いたりして適切に表現し伝え合う力を育成するため、三つの柱に沿った資質・能力を踏まえた一連の学習過程の改善・充実を図る必要がある。
○ このような学習過程では、児童生徒が、1設定されたコミュニケーションの目的・場面・状況等を理解・設定する、2目的に応じて話したり書いたりすることで情報や意見などを発信するまでの方向性を決定し、コミュニケーションの見通しを立てる、3目的達成のための対話的な学びとなる、具体的なコミュニケーション(技能統合型)を行う、4言語面・内容面での自らの学習のまとめと振り返りを行うというプロセスを経ることで、学んだことの意味付けを行ったり、既得の知識や経験と、新たに得られた知識を言語活動へつなげ、思考力・判断力・表現力等を高めていくことが大切になる。これらのことを踏まえた上で、外国語教育におけるアクティブ・ラーニングの視点に立った学びを推進する学習過程へ改善する必要がある。
○ 以上を踏まえ、本ワーキンググループでは、小・中・高等学校で一貫した目標(指標形式の目標を含む)の下で、発達段階に応じた学習過程とのイメージについて整理した(別添10参照)。
○ このような発達段階に応じた学習過程を経ることによる思考力や判断力の高まり、外国語による表現力の向上、自律的・主体的に学習する態度の育成などを通じ、情報や考えなどを的確に理解し適切に伝え合う外国語によるコミュニケーション能力を育成することが重要である。
○ 外国語教育において育成すべき資質・能力の向上を図るためには、こうした学習活動を繰り返し行うことが重要である。なお、これらの学習過程は、必ずしも一方向の流れではなく、指導のねらいに応じて、戻ったり繰り返したりする場合があること、単元全体を通して「身に付けさせたい力」を育成するのであって、一単位時間の中で育成すべき全ての学習内容を実施する必要はなく、その一部のみを取り扱う場合があること、単元によってそれぞれの学習活動に軽重を付けて扱うものであることなどに留意する必要がある。

(4)「目標に準拠した評価」に向けた評価の観点の在り方
○ 現行の学習指導要領においては、「関心・意欲・態度」、「知識・理解」、「技能」、「思考・判断・表現」の観点について、各教科等の特性に応じた観点(「外国語」については「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」、「外国語表現の能力」、「外国語理解の能力」、「言語や文化についての知識・理解」)を示し、評価規準の設定や評価の方法等の工夫改善例が示されている 。
○ 「論点整理」において示された「目標に準拠した評価」に向けた評価の観点について、教科を超えた共通理解に基づく組織的な取組を促す観点から、外国語教育における観点別評価の観点については、資質・能力の三つの柱を踏まえ、外国語教育の目標と一体的に検討する必要がある。本ワーキンググループにおいては、これまでの取組も踏まえつつ、「論点整理」に沿って、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、「主体的に学習に取り組む態度」の三つの観点を整理した(別添●参照)。
○ 「知識・技能」については、語彙・表現や文法などの知識の習得にとどまらず、それらを活用して実際のコミュニケーションを図ることができるような知識として習得されるとともに、コミュニケーションを行う目的・場面・状況等に応じて、自律的・主体的に活用できる技能が外国語の習熟・熟達に向かうものとして評価することについて留意する。
○ また、「学びに向かう力、人間性等」については、「主体的に学習に取り組む態度」として観点別評価を通じて見取ることとしている。
○ 現行の観点別学習状況の評価における「関心・意欲・態度」の観点は、それが独立してあるものではなく、「他の観点に係る資質や能力の定着に密接に関係する重要な要素でもある」とされ、対象となる学習の単元における四つの観点は、単元における学習と一体的に評価が行われる必要があるものとされている。
○ このことを踏まえ、「主体的に学習に取り組む態度」以外の2つの観点のうち、その単元において最も重視する観点に示されている評価内容、例えば、「思考力・判断力・表現力」として「外国語を用いて○○することができる」とする観点から評価を行う事項を、「主体的に学習に取り組む態度」の項目として「外国語を用いて○○しようとしている」としても捉え、その単元、または複数の単元において「思考力・判断力・表現力」及び「主体的に学習に取り組む態度」の両面からの評価を行うこととする。このような評価を行うことによって、児童生徒がコミュニケーションへの関心を持ち、自ら課題に取り組んで表現しようとする意欲や態度を身に付けているかどうかを評価することが重要である。
○ 各学校の目標に準拠した観点別評価における具体的な評価方法としては、学習到達目標の設定により、「外国語を用いて何ができるか」という観点から、単元全体を見通した上で、授業の中で育成すべき観点の絞り込み重点化して、単元全体の授業を通して、全ての観点から評価することが重要である。
その際、前述2.(3)の資質・能力を育む学習過程を通じて、筆記テストのみならず、面接、エッセー、スピーチ等のパフォーマンス評価、活動の観察等の多様な評価方法から、その場面における児童生徒の学習状況を的確に評価できる方法を選択して評価することが重要である。

3.資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実
(1)小学校の外国語教育における改善・充実
○ 小学校段階においては、高学年の「外国語活動」の充実により、児童の高い学習意欲、中学生の変容などの成果が認められる一方で、1音声中心で学んだことが、中学校の段階で音声から文字への学習に円滑に接続されていない、2国語と英語の音声の違いや英語の発音と綴(つづ)りの関係、文構造の学習において課題がある、3高学年は、児童の抽象的な思考力が高まる段階であり体系的な学習が求められることなどが課題 として指摘されている。
○ これらの成果と課題を踏まえて、中学年から「聞く」「話す」を中心とした外国語活動を通じて外国語に慣れ親しみ外国語学習への動機付けを高めた上で、高学年から発達段階に応じて段階的に「読むこと」及び「書くこと」を加えた、4技能を総合的・系統的に扱う教科学習を行うことが求められる。その際、これまでの課題に対応した教科化に向けて、新たに1アルファベットの文字や単語などの認識、2国語と英語の音声の違いやそれぞれの特徴への気付き、3語順の違いなど文構造への気付きなど、言語能力向上の観点から言葉の仕組みの理解などを促す指導を行うために必要な時間を確保することが必要である 。
○ 小学校高学年においては、
・教科としての外国語教育のうち基礎的なものとして、中学年からの高学年及び中学校への学びの連続性を持たせながら、これまでの体験的な「聞くこと」「話すこと」に加え、「読むこと」「書くこと」の4技能を扱う言語活動を通じて、より系統性を持たせた指導(教科型)を行う。その際、外国語の基本的な表現に関わって聞くことや話すことなどの外国語によるコミュニケーション能力の基礎を養う体系的な指導を行う教科として位置付ける。
・教科として位置付ける際、単に中学校で学ぶ内容を小学校高学年に前倒しするのではなく、身近なことに関する基本的な表現による4技能の豊かな言語活動を行うため、発達段階に応じて「読むこと」及び「書くこと」に慣れ親しみ、積極的に英語を読もうとしたり書こうとしたりする態度の育成を含めた初歩的な運用能力を養うことが考えられる。
例)馴染(なじ)みのある定型表現を使って、自分の好きなものや家族、一日の生活などについて、
友達に質問したり、質問に答えたりすることができる。
○ 併せて、小学校で学んだ語彙・表現などは中学校において、小学校とは異なる場面で使ったり別の意味で活用したりするなど、言語活動において繰り返し活用し定着を図る。さらに、中学校で学習した語彙・表現・文法事項等は高等学校においても意味のある文脈の中で外国語によるコミュニケーションを通して繰り返し触れることが重要である。その際、ICT等を活用した効果的な言語活動を行うよう工夫が求められるとともに、児童生徒が自らの学習活動を振り返って次につながる主体的な学びができるようにすることが必要である。
○ このような方向性を目指し、小学校高学年において「聞くこと」「話すこと」の活動に加え、「読むこと」「書くこと」を含めた4技能を扱う言語活動を展開し定着を図り、教科として系統的な指導を行うためには、年間70単位時間程度の時数が必要である 。また、中学年における外国語活動については、従来の外国語活動と同様に年間35単位時間程度の時数が必要である。
(2)短時間学習等の活用など、柔軟なカリキュラム設定に関する考え方
○ これまでの成果・課題を踏まえつつ、教育課程全体の枠組みの状況 を考慮すると、小学校高学年において年間35単位時間増となる時数を確保するためには、ICT等も活用しながら10~15分程度の短い時間を単位として繰り返し教科指導を行う短時間学習(帯学習、短時間モジュール学習。以下「短時間学習」という。) を含めた柔軟なカリキュラム設定の在り方とそのために必要な「カリキュラム・マネジメント」を、教育課程全体を見通しながら実現していくことが求められる。
○ 弾力的な授業時間の設定に関する研究開発学校等の先行的な取組状況や「教育課程の編成・実施状況調査」の結果及び、これまでの成果・課題等を踏まえ、今後、外国語の特性を踏まえた指導内容のまとまりや教育効果を高める観点から、短時間学習を行う場合には、学習指導要領が定める標準授業時数内で、その時間を年間授業時数に含め、その目標を明確にし、まとまりのある授業時間との関連性を確保した上で実施することが必要である。
○ 前述の調査結果や小学校での取組の現状を踏まえると、短時間学習については、授業時数内外で様々な教科も含めた取組が行われており、全ての小学校において、外国語に特化した短時間学習を一律に行うこととすることは困難な状況にある。このため、年間70単位時間における一定の短時間学習の在り方を横並びで求めるのでなく、ある場合には45分授業を60分授業の扱いにして、その中の15分を短時間学習として位置付けることや、また別の場合には外国語の短時間学習を2週間に3回程度実施する、さらに別の場合には夏季、冬季の長期休業期間において言語活動を行うなど、地域や各校の実情に応じた幅のある柔軟なカリキュラムの設定が必要であると考えられる。
○ 中学年においては、年間35単位時間、週あたり1コマ相当の外国語活動を、短時間学習で実施することは困難であり、小学校の教育課程全体を見通した「カリキュラム・マネジメント」が必要である。併せて、教員一人一人がカリキュラム・マネジメントの視点を持って、子供たちに必要な資質・能力を育成する必要がある。
○ カリキュラム・マネジメントを通じた弾力的な時間割の編成については、外国語教育や特定の学年にとどまらず、全ての教科等や学年全体を見通す視点が必要となることから、効果的な創意工夫の在り方について、国や教育委員会と小学校、関係団体が連携して調査研究を行い、その成果を普及させていくことが求められる。
○ 以上を踏まえた検討とともに、担当する教員が、その指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任を持って行う体制整備が必要であるといった観点から、教員養成、教員研修及び教材開発に関する条件整備が不可欠である。

(3)小・中連携の改善・充実
○ 中学校では、小学校の「外国語活動」で学んだ内容が十分に生かされていないことや、言語活動が十分ではないという指摘も踏まえ、義務教育終了段階として、小学校での学びとの連続性を図りつつ、身近な事柄についてコミュニケーションを図ることができるようにする。併せて、高等学校における言語活動の高度化に対応するための基礎を培う観点から、発達段階に応じて、身近な話題についての理解や表現、簡単な情報や考えなどの交換ができる外国語によるコミュニケーション能力を養うことが必要である。
その際、例えば、学校生活、地域行事、生徒の体験、他教科等での学習内容等と関連付けて、互いの考えや気持ちを外国語で伝え合う対話的な言語活動を中心とする授業を行うことを重視する。また、授業を実際のコミュニケーションの場面とする観点から、中学校においても授業を英語で行うことを基本とする 。
○ 特に、前回改訂において大幅な時数増を行った中学校における指導を最大限に活用する観点からも、小学校段階で「聞くこと」「話すこと」に加えて「読むこと」「書くこと」を通して学んだ語彙・表現、文字の認識や語順の違いなどへの気付きを生かして、中学校の言語活動において繰り返し活用することによって着実な定着まで高めることが重要である。
また、中学校においては、生徒にとって身近なコミュニケーションの場面を設定した上で、学習した語彙・表現などを実際に活用する活動を充実させるなど指導の改善を図る。併せて、新たに4技能を測定する全国的な学力調査の実施 により、指導改善のPDCAサイクルを確立することが重要である。
○ 小学校で学んだ語彙や表現などの学習内容は中学校の言語活動で、中学校で学習した語彙・表現・文法事項等は高等学校の学習において、意味のある文脈の中でコミュニケーションを通して繰り返し触れることができるよう、様々な言語活動を工夫し、言語の運用能力を高めることが必要である。

(4)高等学校における科目構成の見直し
○ 高等学校の外国語教育においては、一部改善が見られるものの、依然として4技能すべてに課題がある。特に、「話すこと」及び「書くこと」における発信力について課題が大きい。併せて、中学校からの学びを高等学校に円滑につなげるとともに、高校生の多様化に対応した改善・充実の方向性に沿って見直しを行う必要がある。
○ このため、本ワーキンググループにおいては、外国語教育における資質・能力の整理を踏まえ、次のような改善の方向性に沿って科目構成にすることとしている。
(高等学校における改善・充実の方向性)
○ 高等学校卒業段階で求められる「外国語を通じて、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりすることができる力」(必履修科目でCEFRのA2レベル相当、選択科目で同B1レベル相当を想定)を育成するため、4技能を総合的に扱う科目として「英語コミュニケーション(仮称)」を設定する。
○ 中学校段階での学習が十分には定着していないといった課題のある生徒も含めた高校生の多様性や、外国語で行うことを基本とする授業を行うことが可能な科目の見直しとする。このため、必履修科目(特に学習の初期段階において)共通で学び直しの要素を入れることとする。
○ 中・高等学校について、活動を通して言語材料を使用させるよう、どのような教科書が望ましいかということを念頭におきつつ、指標形式の目標設定などの整理が必要である。例えば、外国語科の授業において言語活動の比重が低い現状から、学習指導要領の内容を実現するために言語活動が改善・充実されるような視点が必要である。このため、4技能総合型(必履修科目を含む)の科目に加え、発信能力育成型(「発表、討論・議論、交渉」などにおいて、聞いたり読んだりしたことを活用して話したり書いたりする技能統合型の言語活動が中心)の科目として「論理・表現(仮称)」を設定する。併せて、留学や進学などの目的に応じて高い英語力を目指す高校生もいるといった多様性を踏まえ、専門教科の科目構成を見直す(別添●)、学校設定科目などで対応できるようにする。
 (高等学校「外国語」の科目等の見直し)
○ 本ワーキンググループにおいては、外国語教育における資質・能力の整理(別添2)を踏まえ、次のような科目構成(別添●)にすることが適当であるとした。
○ 現行学習指導要領の「コミュニケーション英語」Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ等の課題を踏まえた科目見直しの方向性として、「英語コミュニケーション」Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(仮称)については、以下の通りとする。
1 中学校との接続が不十分であるため、中・高等学校の学びの接続を改善する観点から、現行の「コミュニケーション英語基礎」の要素を「英語コミュニケーションⅠ」(仮称、必履修科目)に組み込んで、中学校における学びの確実な定着を図るための内容を含めた見直しを検討する。
2 現行の教科書において、言語活動の割合が低く、文法や語彙の習得にとどまっている等の課題を踏まえ、例えば、目標と課題(タスク)の関係を明確に提示するとともに、英語を「聞くこと」や「読むこと」によって英文からの情報や表現を取り込み、それらを活用して課題解決のための英語を用いた言語活動を行うという流れで学習するものとする。
3 生徒が興味関心を持てるような、日常的な話題から時事問題・社会問題にいたるまで幅広い話題を提供するものとする。
○ 現行の「英語表現」Ⅰ・Ⅱの課題を踏まえた科目見直しの方向性として、現行の教科書の多くが文法シラバス中心で、科目の趣旨を生かし切れていないことを踏まえ、「論理・表現」Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(仮称)においては、4技能を活用しつつ、「話すこと」及び「書くこと」の技能を中心として、幅広い話題について発表(スピーチやプレゼンテーション等)、討論・議論(ディベートやディスカッション等)、交渉などの言語活動を行うことができる内容へ見直すこととする。
○ 専門教科「英語」の各科目については、より高度で専門的な科目構成・内容等を設定(別添●)することについて検討する。

(5) 英語以外の外国語教育の改善・充実
○ グローバル化が進展する中、日本の子供たちや若者に多様な外国語を学ぶ機会を与えることは、言語やその背景にある文化の多様性を維持・促進し、他の国や文化の尊重につながるため、英語以外の外国語教育の必要性を更に明確にすることが必要である。
○ また、次期学習指導要領改訂に向けて、英語以外の外国語教育における指標形式の目標設定を踏まえたカリキュラム研究、研修、教材開発などの取組支援が必要である。

(6)国語教育と外国語教育の効果的な連携の意義
○ 言語能力の向上の観点からは、国語教育と外国語教育をそれぞれ改善・充実しつつ、相互の連携を図ることで、国語で学んだことが外国語の表現活動に生かされたり、国語と外国語の特徴や違いに気付き、国語を学ぶことに対する関心が高まったりするなど、子供の学習に相乗的な効果が見られるとの例 が報告されているところである。
○ このような取組を踏まえ、言語能力の向上につながる効果的な連携につなげるためには、国語科と外国語科の指導内容について、そのつながりが可視化されることが必要である。「言語能力の向上に関する特別チーム」において整理された内容を踏まえ、各学校において、言語能力の向上に向けた「カリキュラム・マネジメント」が実施されやすくなるよう、例えば、言葉の働きと仕組みの理解や言語活動を通じて育成される資質・能力といった観点から、指導の順序性や、言語活動で扱う内容や方法などの具体的な連携の在り方についてわかりやすく整理していくことが求められる。

(7)資質・能力の整理と学習過程の在り方を踏まえた教育内容の構造化
○ 外国語教育については、三つの柱に沿った資質・能力と学習過程の在り方を踏まえ、それらの趣旨を実現するため、次の観点から改めて教育内容の構造化を整理する必要がある。
○ 外国語に対する見方・考え方を育成する観点から、三つの資質・能力の育成を踏まえた小・中・高等学校を通じた目標、内容等を体系的に整理するとともに、子供たちを社会に送り出すまでに外国語教育においてどのような力を身に付けさせるのかという出口を明確にした上で、小・中・高等学校の外国語教育における内容の系統性を検討することが求められる。
○ それらについて、前述のような一連の学習過程を経ることが効果的であることを明確にするなどの改善を図ることが重要である。

(8)現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直し
○ グローバル化が進展する国際社会を主体的に生きるための資質・能力の観点から、外国語を通じて、世界の言語、生活・文化の多様性や、地球規模の諸課題、持続可能な社会の構築、情報化などにおける課題を把握し、その解決に向けて情報を選択、整理し、自分の考えを形成・表現する力を育成することが重要である。併せて、児童生徒が外国語を通じて社会や世界に関わろうとする態度を育成するためには、世界的なテーマを幅広く取り上げ、それらに対する児童生徒の関心を高めるとともに、キャリア教育の視点からも教育内容を改善・充実する。

4.学習・指導の改善充実や教材の充実
(1)特別支援教育の充実、個に応じた学習の充実
1 特別支援教育の充実
○ 現行学習指導要領では、総則において、「個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行うこと。」(小学校学習指導要領の例。中学校、高等学校も同様)と記載されている。このことを踏まえ、外国語教育における指導の場面における適切な配慮が一層充実されるよう工夫を講じる必要がある。
○ 外国語教育において、児童生徒の資質・能力の育成を目指し、目標を達成するため、具体的な学習の場面で考えられる「困難さの状態」に対する「配慮の意図」と「手立て」を示していくことが適当である。
○ これらの対応に必要な教員研修・養成における改善・充実が図られる必要がある 。
(小学校外国語活動の例)
○ 音声を聴取することが難しい児童の場合、外国語と日本語の音声(音韻)やリズムと日本語との違いに気付くことができるよう、音声を文字で書いてみせる、リズムやイントネーションを記号や色線で示す、教員等が手拍子を打つ、音の高低を手を上下に動かして表すなどの配慮をする。また、音声を聴取する場面が分かるように、本時の活動の流れを黒板に記載しておくなどの配慮が必要である。
(小学校外国語科の例)
・ 1単語当たりの文字数が多い、長い文など複雑な文字情報になると、読む手がかりをつかんだり、細部に注意を向けたりするのが難しい児童の場合、外国語の文字を提示する際は、字体をそろえる、線上に文字を書く、語彙・表現などを記したカードなどを黒板に貼るなど、児童が見やすい位置や順序など、表記の仕方や貼り方に配慮することが考えられる。
(中・高等学校における外国語科の例)
・ 英単語には、発音と綴りの関係に必ずしも規則性があるとは限らないものが多く、発音しない文字がある単語、発音通りの綴りではない単語を書き写すことができない生徒もいる。それが要因で、英語に苦手意識をもつ生徒も少なくない。そのような場合には、手元に単語カードを置き、発音してから単語カードを見て書き写すようにするなど、その単語を繰り返し発音したり見たりする機会を十分に確保する、机間指導の際に書き方のポイントを個別に指導するなどの配慮が必要である。
・ 授業の流れや活動の変化に対処することが難しい場合、教科・科目などの枠を超えて、板書の仕方に規則性をもたせる、授業の流れに統一感をもたせる、ワークシートなどを活用して生徒がノートに書く情報を最小限にとどめたりするなどの配慮が考えられる。
・ 他社とコミュニケーションを行うこと自体に課題がある生徒については、ペア・ワークやグループ・ワークなどを行う場合、個々の生徒の特性に応じた配慮が必要である。
2 個に応じた学習の充実
○ 各種調査において、児童生徒の学習意欲に課題があることや、学校や英会話教室などで外国語を学び始めた時期が、小学校入学前から中学入学前の段階において相当のばらつきがあり 、児童の学力差や、学級間、学校間の差が見られるとの指摘もある。これらのことから、各学校の学習到達目標は全ての児童生徒に求められる外国語能力を達成するものとして設定し、地域や児童生徒の実態を踏まえて活用することが重要である。
○ 習熟に時間を要する児童生徒については、目標に到達しつつある過程を教員が適切に評価することによって、児童生徒の更なる学習を支援して学習意欲を維持したり、目標を超えた伸長が見られる児童生徒はその先を見通し、学習意欲が維持したりできるような個に応じた学習を行う必要がある。
○ また、中・高等学校においては、卒業時の学習到達目標を設定するにあたって、入学前の小学校や中学校での学習状況を把握し各学校や生徒の状況を踏まえて活用することなどの工夫が求められる。
(2)「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」に向けた学習・指導の改善充実
○ 外国語教育においては、質の高い学びに向けて、外国語によるコミュニケーションを通じて、自分の思いや考えが深まったり更新されたりすることを子供自身が認識できるような学習活動を設けることが大切である。その際、子供自身が、自分の思考の過程をたどり、それを話したり書いたりすることによって表現し、自分の学びを自覚することが重要である。特に、自分の学びを説明したり評価したりするための語彙や、思考を深めたり活性化させたりしていくための表現などを豊かにすることが重要である。
○ 「論点整理」において掲げられたアクティブ・ラーニングの方向性を踏まえ、質の高い学びを目指し、外国語教育においては、「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」が実現できているか、前述2.(3)の資質・能力を育む学習過程の質的改善を不断に見直し続けるこが重要であり、以下、それぞれの学びの過程について整理した。
1 ) 「深い学び」の過程については、言語の働きや役割に関する理解、外国語の音声、語彙・表現、文法の知識や、それらの知識を4技能において実際のコミュニケーションで運用する技能を習得し、実際に活用して、情報や自分の考えなどを書いたり話したりする中で、資質・能力の三つの柱に示す力が総合的に活用・発揮されるようにする。このため、授業において、コミュニケーションを行う目的・場面・状況等に応じた言語活動を効果的に設計することが重要である。
各学校段階における言語活動を設定するに当たり、アクティブ・ラーニングの視点から、下記のような視点に立って学びを改善し、子供の学びへの積極的関与と深い理解を促すような指導や学習環境を設定する。
・小学校では、その目標を達成するために、児童が外国語を用いてコミュニケーションを体験することが求められる。そのためには、児童が興味関心のある題材について自分の思いや考えを伝え合う活動の設定が重要である。
・中学校では、具体的で身近な話題についての理解や表現、簡単な情報交換ができる能力の育成が求められる。そのためには、互いの考えや気持ちなどを外国語で適切に伝え合う対話的な言語活動を重視し、単に自分の考えや気持ち、事実などを聞き手に正しく伝えたり、出来事や体験したことなどについて書いたりするだけでなく、聞いたり読んだりしたことをもとに問答したり意見を述べ合ったりすることや、感想、賛否やその理由を書いたりすることなど、複数の技能を統合した言語活動を豊富に経験することが重要になる。
・高等学校では、日常的な話題や社会問題など幅広い話題について、情報や考えなどを外国語を通して的確に理解したり適切に伝え合ったりする能力の育成が重要になる。そのためには、聞いたり読んだりしたことを活用して話したり書いたりする複数の技能統合型のスピーチ、プレゼンテーション、ディベート、ディスカッションなどに主体的・協働的に取り組むことが大切である。これらの活動では中学校と同様、例えば、当該の話題に関する資料を十分に読み込み、自分の考えと理由を伝え合い、それを基にして情報や考えなどを整理して書くというように、複数の技能を統合させて行うことになる。
2 ) 「対話的な学び」の過程においては、他者を尊重し、対話的な学びを通じて社会や世界との関わりを通じて情報や考えなどを伝え合う言語活動の改善・充実を図ることが重要である。このため、次期改訂においては、言語の果たす役割として他者とのコミュニケーション(対話や議論等)の基盤を形成する観点を資質・能力全体を貫く軸として重視しつつ、創造的思考とそれを支える論理的思考、感性・情緒を育成する観点からも求められる資質・能力が明確になるよう整理することを通じて、外国語教育の改善・充実を図る。
例えば、各学校段階で育成すべき「思考力・判断力・表現力」については、1小学校は、身近で簡単な話題について友人に質問したり質問に答えたりする力、2中学校では、互いの考えや気持ちなどを理解し、根拠を持って外国語で伝え合う力、3高等学校では、幅広い話題について、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝え合ったりする力であることをより明確にする。
各学校段階においては、
・小学校では、相手に配慮して外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度
・中・高等学校では、他者を尊重し、聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながら、外国語でコミュニケーションを図ろうとする態度
などを育成することについて明確にする。
また、対話的な学びの実現に向けて、コミュニケーションを行う目的、場面、状況に応じて、他者を尊重しながら対話が図られるような言語活動を行う学習場面を計画的に設けることなどが考えられる。
3 ) 「主体的な学び」の過程では、外国語を学ぶことに興味や関心を持ち、どのように社会・世界と関わり、生涯にわたってどのように学んだことを生かそうとするかについて、見通しを持って粘り強く取り組むとともに、自分の意見や考えを発信したり、評価したりするために、自らの学習活動を振り返って次の学習につなげることが重要である。このため、外国語教育においては、この学びの実現に向けて、コミュニケーションを行う目的・場面・状況等を明確に設定し、学習の見通しを立てたり振り返ったりする場面を設けるとともに、発達段階に応じて、身の回りのことから社会や世界との関わりを重視した題材を設定することなどが考えられる。
○ また、「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」に向けた学習・指導の改善充実のために、ICTやデジタル教材などを、身に付けるべき能力や児童生徒の現状(能力・適正や興味関心など)に応じて効果的に活用し、児童生徒の興味関心を高め、指導の効率化及び言語活動の充実を図る。
例えば、デジタル教材や電子黒板等を活用して、児童生徒にネイティブ・スピーカーの発音に触れさせ外国語と日本語の音声の違いに気付かせたり、インターネット等を用いてグループで情報収集、調査、発表、討論等をしたり、テレビ会議システムを活用して、外国の姉妹校と交流を通じて外国語で情報を伝え合う活動などが考えられる。
(3)教材の在り方
○ 外国語教育については、資質・能力の育成に向けた教育内容の改善充実のためには、教材の在り方を見直すことが必要である。特に、音声や映像を活用した効果的な教材開発と、それらを活用して効果的に外国語によるコミュニケーション能力を育成する指導力が必要である。
○ 小学校においては、先進的な取組も含めたこれまでの外国語活動の成果・課題を踏まえた取組を行うことが重要である。小学校における外国語教育の目標を実現するためには、主たる教材である中学年向けの外国語活動の教材や、高学年向けの教科書についても重要な要素の一つである。
○ 次期学習指導要領の趣旨を踏まえた中学年向けの外国語活動の教材や高学年向けの教科書を作成する際に参考となるよう、28年度中に27・28年度に開発した小学校中学年・高学年向けの補助教材の検証を行い、その検証結果を生かして、中学年での外国語活動の導入や高学年での教科化に対応した教材を29年度にかけて開発し、平成30年度には先行実施を行う小学校で活用できるよう作成・配布する必要がある。
○ その際、高学年向けの教材について、一定の効果的な短時間学習 等の活用など柔軟なカリキュラム設定を行うことが可能となる教材を作成するとともに、活用しやすいICT教材の開発が求められる。
○ 中・高等学校においては、教科書・教材の課題として、生徒が興味関心を持てる内容が不十分であることや、その構成上、結果的に文法事項の定着を図る活動に分量の多くがとられており、題材や言語材料を活用しながら、説明・発表・討論等を通じて思考力・判断力・表現力などを育成するような言語活動の展開が十分に意識されていないと思われるものも見られる。例えば、高等学校の「英語表現」Ⅰ・Ⅱでは、生徒が実際のコミュニケーションの場面を考えながら話し合ったり書いたりするなどの授業展開ができるような構成となるよう改善が期待されるものも見られる。
○ このため、生徒が発信したいと思える題材を扱うなどの工夫が必要であるとともに、中・高等学校において、どのような力を身に付けるべきであるかということを念頭におきつつ、学習指導要領における指標形式の目標設定などの整理を行う必要がある。その際、例えば、言語活動の比重が低い現状から、学習指導要領の内容の実現のために言語活動の改善・充実に資する題材となるような視点が必要である。
○ また、次期学習指導要領の趣旨を実現する観点から、外国語教育の指導を行う際には、多様な教材を活用していくことが期待される。
○ 特に高等学校については、科目の見直しに対応した言語活動を通じて資質・能力を育成する授業となるよう、教材の改善・充実を図ることが求められる。
○ 併せて、教材を効果的に活用するためには、教員の指導力の向上が不可欠である。そのため、授業の展開を明確にイメージできるような映像等を用いた指導事例の作成や研修教材・研修マニュアル等を作成し、普及を図る必要がある。
○ 外国語教育においては、デジタル教材の活用等によって児童生徒の興味・関心を高め、「深い学び」や「対話的な学び」及び「主体的な学び」につながるような学習活動に応じた多様な教材が必要となるため、ICT活用を推進するためのハードウェアの充実を促進する。

5.必要な条件整備等について
○ 外国語教育に関する教員養成、教員研修及び教材開発に関する条件整備、小学校の中・高学年それぞれの課題に応じた指導体制の整備が不可欠である。
○ 小学校においては、中学年の外国語活動導入、及び高学年の教科化に対応するとともに、「カリキュラム・マネジメント」の中で、外国語教育や特定の学年にとどまらず、全ての教科等と学年全体を見通し、弾力的な時間割の編成を行う視点が必要になる。これを支援するため、小学校においては、効果的な教材開発及び指導者の研修・養成が課題となる。
(地域・学校における指導体制)
○ 小学校においては、校長の方針や各教員の意識によって取組に差があることが指摘された。各学校においては、校長がリーダーシップを発揮し、学校全体の取組方針を明確にした上で、全教員の共通理解を図りながら、中核教員を中心とした校内の英語教育に係る指導体制の強化に取り組むことが重要である。また、指導体制の強化においては、1効果的な教材開発とともに、2児童生徒の外国語によるコミュニケーション能力を総合的に育成することができる指導者の確保を含めた充実が必要である。
○ 地方自治体においては、各学校における外国語教育充実のため、学校や地域全体で取り組むことが必要である。例えば、市町村単位で、地域の指導的立場にある教員が複数の小・中学校を担当し、英語教育担当指導主事や外部専門家等とチームを組んで指導に当たるなど、地域の実情に応じた柔軟かつ効果的な指導を行う体制づくりが不可欠である。また、優れた指導力を有する教員を、地域の研修講師や小・中学校の接続を前提とした専科指導等が可能となる「英語教育推進リーダー」として養成する。
○ このような体制の中で、小・中・高等学校の一貫した外国語教育や、小学校にける外国語教育の専門性の向上等を推進することが期待される。具体的には、地域において、外国語教育のPDCAサイクル を通じて、「英語教育推進リーダー」と英語教育担当指導主事等が中心となって、小・中・高等学校の連携による研修や、教育委員会と大学・外部専門機関との連携による研修などを実施するとともに、各学校を訪問し、指導計画の作成やCAN-DO形式での学習到達目標を活用した授業改善などについて指導・助言を行うことなどが期待される。
○ また、そのような体制を確保しながら、養成・研修・採用を通じた充実を図っていくことが重要であり、小・中・高等学校におけるコア・カリキュラム開発 を踏まえた教職課程の改善・充実が必要である。小学校については、現職教員が外国語の指導に関する専門性を高めることができるよう、小中の学びの円滑な接続を図るために必要な内容を加えた認定講習の開設支援等を行う。併せて、専科指導を担う、専門性の高い教員の養成・確保や、外部人材の活用支援等により、専門性を一層重視した指導体制を構築する。
(外部専門人材の確保)
○ 児童生徒が生きた外国語に触れる機会を一層充実するため、当該言語を母語とする外国人やこれに準ずる者の教員や外国語指導助手等としての受け入れを一層推進し、単独授業を含む教育活動全般に登用していくことも必要である。各都道府県教育委員会においては、文部科学省が示した指針 も参考として適切に基準を定め、各学校が特別免許状制度を活用した効果的な英語教育を行えるよう、外国人も含め外国語の能力・指導力の高い外部専門人材を活用することが期待される。併せて、外国語が堪能な地域人材や外国語担当教員の退職者等を非常勤講師として活用するための方策も講じる。その際、自治体においては、必要な外部専門人材の確保が困難な学校もあることに配慮した適切な配置等を行うことが必要である。
(高大接続改革における外国語教育)
○ 高大接続改革の観点から、大学入学者選抜は、外国語教育に大きな影響を与えるものである。中・高等学校の次期学習指導要領の趣旨に沿った外国語教育が実現されるためにも、高大接続システム会議での検討を踏まえ、大学入学希望者が培ってきた資質・能力を多面的・総合的に4技能で評価するものに転換することが求められる。

お問合せ先

初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室

(初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室)

-- 登録:平成28年09月 --