外国語ワーキンググループ(第10回) 資料4

1.現行学習指導要領の成果と課題
(1) 経緯
(2) これまでの成果と課題
(小・中・高等学校における成果と課題)
2.小・中・高等学校を通じて育成すべき資質・能力と教育目標、内容、評価等について
(1)小・中・高等学校を通じて一貫して育成すべき外国語教育における資質・能力の整理と教科等目標について
(2)小・中・高等学校を通じて一貫した指標形式の目標の設定等について
(3)生徒の英語力の目標設定
3.学校段階ごとの改善・充実について
(1)小学校における外国語教育の改善・充実
(2)小・中連携の改善・充実
(3)中学校における改善・充実
(4)高等学校における改善・充実
4.学習評価の改善・充実
5.教科書・教材の改善・充実
6.必要な条件整備等について
(1)現状・成果・課題
(2)指導体制に関する改善の方向
(3)小学校外国語教育における必要な指導体制の改善・充実
1小・中・高等学校に共通する指導体制の改善
2教員養成・採用・研修

[別紙]
外国語教育の改善・充実については、第2期教育振興基本計画等を踏まえ、文部科学省に設置された「英語教育の在り方に関する有識者会議」による報告(平成26年9月)において提言がまとめられているところであり、中央教育審議会諮問においても、同報告の提言を踏まえつつ検討を行うことが求められているところである。これらを前提に、本ワーキンググループにおいて、有識者会議の提言、これまでの取組みの実施状況、及び中央教育審議会の「論点整理」(平成27年8月)  を踏まえ検討を行い、次のとおり議論の詳細「外国語WGにおけるとりまとめ(案)を補足するものとして整理した。

1.現行学習指導要領の成果と課題
(1)経緯・背景
○ グローバル化が進展する中で求められる人材育成に対応するため、小・中・高等学校を通じた外国語教育においては、教育課程の改善・充実が図られてきた。また、政府の提言等 においては、英語教員の英語力・指導力の強化や、生徒が英語を使う機会を増やすために必要な指導体制の強化に関する方向性が打ち出された。
○ これらを踏まえ、国による研修支援や先進的な取組への支援を行うとともに、教育委員会や学校においては、教員及び生徒の英語力などの目標を設定し、研修の充実や外国語指導助手の配置などに取り組んできた。一方で、教員の英語力・指導力、指導内容、教科書・教材、指導体制に関する多くの課題が指摘されている。
○ このような中で、平成25年6月の教育再生実行会議第3次提言(「これからの大学教育等の在り方について」)において、グローバル化に対応した小学校英語学習の早期化、教科化、中・高等学校の高度化を含めた初等中等教育段階からの英語教育の抜本的拡充について検討が求められ、同月閣議決定された第2期教育振興基本計画にも明記された。
○ これらを踏まえ、文部科学省より、平成25年12月13日に「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」が公表され、同計画において示された方向性について、その具体化に向けて専門的な見地から検討を行うため、「英語教育の在り方に関する有識者会議」(以下、有識者会議という。)が設置され、平成26年9月に小・中・高等学校を通じた英語教育改革について提言がまとめられるとともに、同年4月より、それまでの提言を踏まえた取組み を開始した。
(グローバル化の進展の中での外国語教育の重要性)
○ グローバル化が急速に進展する中で、子供たちの将来の社会的・文化的・職業的な環境を考えると、外国語によるコミュニケーション能力は、これまでのように一部の業種や職種だけでなく、生涯にわたる様々な場面で必要とされることが想定されている。第2期教育振興基本計画に掲げられたグローバル人材育成 において今まで以上にその能力の向上が課題となっている。
○ 近年、アジア諸国をはじめ、グローバル化の進展の中で、世界的に小学校の英語教育の早期化、多言語教育の充実とともに、高等学校卒業時における外国語教育の高度化等に関する取組が進んでいる 。
○ 我が国では、現状の日常生活においては、人々が英語をはじめとする外国語を使用する機会は限られている。しかしながら、東京オリンピック・パラリンピックを迎える2020(平成32)年はもとより、現在、学校教育で学ぶ児童生徒が卒業後に社会や世界の舞台で活躍するであろう2050(平成62)年頃には、我が国は、多文化・多言語・多民族の人たちが、協調と競争する国際的な環境の中にあることが予想される。そうした中で、国民一人ひとりが、様々な場面において、外国語を通じて互いの社会的・文化的な背景を理解しつつ、考えを伝え合う機会が格段に増えることが想定される。
○ このように、今後は、外国語の様々な情報や国際的な交流の中で、外国語とその背景にある文化を理解し、必要な情報を選択、整理し、コミュニケーションを行うために必要な情報や考えを発信する力がますます重要になる。国語教育に加え、外国語教育の重要性が一層高まるのである。
このような中で、国際共通語としての英語力をはじめとする外国語を通じたコミュニケーション能力の向上は日本の将来にとって不可欠である。今後の外国語教育においては、一定の基礎的な知識・技能とそれらを活用して主体的に課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を育成することは、児童生徒の将来の可能性の広がりのために欠かせない。
〇 併せて、社会のグローバル化の進展への対応は、外国語さえ習得すればよいということではない。日本人としての歴史・文化等の教養とともに、思考力・判断力・表現力等を備えることにより、自ら情報や考えなどを発信し、相手とのコミュケーションができなければならない。外国語教育と併せて、国際社会に生きる日本人として、日本人としてのアイデンティティを育成するため、我が国の歴史・伝統文化等に関する学習の一層の充実が必要である。
(これまでの成果と課題を踏まえた検討)
○ これまで外国語教育では、幾多の議論を経て現行の学習指導要領が実施され、小・中・高等学校を通じて、多くの特色ある取組と成果が見られるようになってきているが、なお一層の充実が課題となっている。
○ 現行の学習指導要領は、発達の段階に応じて言語や文化についての理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、4技能を総合的に育成することにより、コミュニケーション能力を育成することを重視している。また、児童生徒が生涯にわたり外国語を学習する基盤が培われるよう、基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに、思考力・判断力・表現力等を育むために、発表や討論など知識・技能の活用を図る学習活動を発達段階に応じて充実させてきた 。
○ 一方で、各学校段階での指導改善による成果が認められるものの、児童生徒の学習意欲に関する課題があるとともに、学校種間の接続が十分とは言えず、進学後に、それまでの学習内容を発展的に生かすことができていない状況が見られる。また、中・高等学校において、特に「話すこと」及び「書くこと」などの言語活動が十分に行われていないことや、コミュニケーションを行う目的・場面・状況に応じて表現することなどに課題があると考えられる。
○ 検討に当たっては、平成25年度以降、政府提言において示された新たな英語教育改革の方向性ともに、今般の学習指導要領全体の改訂の方向性、各種調査結果や先行事例より得た成果と課題を踏まえ、より一層の外国語教育の充実を図るための学習指導要領改訂に向けた検討を行った。全体として、外国語教育を通じて育成すべき資質・能力の整理の下で、これらを育成するために必要な1小・中・高等学校を通じた一貫した目標、内容、2教科書・教材、3必要な教員の養成・採用・研修、外部人材の確保などに関する今後の方向性について検討を行った。
(2)これまでの成果・課題
(現行の学習指導要領)
○ 小・中・高等学校を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、4技能を総合的に育成することをねらいとしている。このねらいを実現するため、学習指導要領に、
・平成23年度より小学校5、6年生において、コミュニケーションの能力の素地の育成をねらいとして、外国語活動を週1コマ実施すること
・中学校では授業時数を週3コマから週4コマ(約3割増:105時間⇒140時間)へ充実し言語活動を各領域で1項目追加するなど充実を図るとともに、従来の「聞く」「話す」を重視した指導から4技能のバランスが取れた指導への改善を図り、教材の題材には日常生活、風俗習慣、物語、地理、歴史、伝統文化や自然科学などから、生徒の発達段階、興味関心に即して適切な題材を取り上げること
・高等学校では選択必履修から「コミュニケーション英語Ⅰ」の共通必履修に変更するなど科目構成を変更し、生徒が英語に触れる機会を充実するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、授業は英語で行うことを基本とし、その際、生徒の理解の程度に応じた英語を用いるよう十分配慮すること
を明示した。
また、指導語彙を充実するため、高等学校で「コミュニケーション英語Ⅰ」、「コミュニケーション英語Ⅱ」及び「コミュニケーション英語Ⅲ」をすべて履修した場合、高等学校で1,800語程度、中・高等学校を通じて3,000語程度を指導することとした。
(生徒・教員の英語力の目標設定)
○ これまでの政府の提言 において、学習指導要領を踏まえ、各学校段階で求められる英語力の達成目標を設定し、英語の指導改善や生徒の英語学習のモチベーション向上などに取り組み、接続する学校が連携しながら、それぞれの段階で求められる英語力を着実に身に付ける指導を推進してきた。
○ これらの生徒の英語力の目標については、「第2期教育振興基本計画」(平成25年6月14日閣議決定)において、英語教育の成果指標として、中学校卒業段階で英検3級程度以上、高等学校卒業段階で英検準2級程度~2級程度以上を達成した中高生の割合を50%とすることとされている。併せて、英語教員に求められる英語力の目標(英検準1級、TOEFL iBT80点、TOEIC730点程度以上)を達成した英語教員の割合(中学校:50%、高等学校:75%)が掲げられた。
〇 第2期計画においては、生徒の英語力を測り戦略的な改善につなげることが提言され、これまでアンケート調査で行ってきた「英語教育実施状況調査」とともに、平成26年度より、高校3年生、平成27年度中学3年生も対象とし英語4技能を測定する大規模なフィージビリティ調査を行った。これら調査では、4技能とも課題があり、特に、「話すこと」「書くこと」に課題がみられるため、文部科学省において、平成27年6月に「生徒の英語力向上推進プラン」を公表した。これに基づき、各都道府県においても生徒の英語力等の目標設定の下で「英語教育改善プラン」を策定し、英語教育改善のためのPDCAサイクルの構築を図るとともに、国においては、中学における全国学力・学習状況調査の英語の実施に向けた検討 を行っている。
(小学校の成果・課題)
○ 小学校では、コミュニケーション能力の素地を育成するという観点で、外国語活動を通じた学習の成果が見られる。平成26年度に実施した「小学校外国語活動実施状況調査」 においては、小学生の72.3%(71.8%)が「英語の学習が好き」、、また89.4%が「英語が使えるようになりたい」と回答 するとともに、中1の生徒の約8割が小学校外国語活動で行ったことが、中学校外国語科で役立っていると回答があった。
また、外国語活動導入前と比べて、中1の生徒に「成果や変容がみられた」と感じる英語担当教員の割合は78%となっており、英語の基本的な表現に慣れ親しんでいる、英語を使って積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が育成されている、英語で活動を行うことに慣れているといった指摘がなされている。
○ 「外国語活動」の成果として、意欲だけではなく、聞いたり話したりすることに必然性のある場面で、実際に外国語を用いてコミュニケーションを図る活動を通して、自分の思いや自分の伝えたいことを相手に伝える、相手の伝えたいことを聞き取ろうとする態度が育成されつつある。また、言葉が十分ではないため、何とかそれを言葉だけでなくジェスチャーなどでも伝えようとすることにより、相手の目を見る、笑顔で話をしようといった相手意識を育てることができるとの指摘があった。
さらに、外国人と臆することなくコミュニケーションを図ろうとする態度の育成や、小学校で外国語活動を経験した中学生の聞く力や話す力が高まったという指摘もある。
○ 先進的な事例においては、小学校低学年、中学年から外国語活動を取り入れるとともに、中学校とのカリキュラム上の接続を意識した取組などが行われており、生徒の英語学習に対する意欲が中学校以降も維持され、英語力が向上している状況が見られる。
○ 一方で課題もみられる。小学校高学年は、抽象的な思考力が高まる段階であるにも関わらず、外国語活動の性質上、体系的な学習は行わないため、児童が学習内容に物足りなさを感じている状況が見られるとともに、中1の生徒の7割以上が小学校で「英語の単語・英語の文を読むこと」、8割以上が「英語の単語・文を書くこと」をしておきたかったと回答していることから、中学校において音声から文字への移行が円滑に行われていない場合が見られる。
○ また、先進的な事例では、小学校低学年、中学年から高学年まで外国語活動に取り組む学校があるが、これらの中には高学年で学習意欲が低下する傾向が見られる例もある。そのような課題に対応して、高学年に「読むこと」及び「書くこと」を系統的に指導する教科型の外国語教育を導入した例では、児童の外国語の表現力、理解力が深まるとともに学習意欲の向上が認められる取組もある。
○ このように、外国語活動は、児童が自らの考えを英語で表現するための十分な語彙や表現を身に付けることは意図されていないが、先進的な事例の中では、中学年よりコミュニケーションに積極的に関わろうとする態度が育成され、高学年においてコミュニケーションの基礎を養う活動が行われている例が見られる。今後、小学校中学年から学習を開始し、英語学習への動機付けをさらに高め、コミュニケーション能力の素地を養うことで、小学校卒業時までに慣れ親しみや体験的理解に加えてコミュニケーション能力の基礎を身に付けさせることも期待される。
○ 小学校の今の「外国語活動」は、単元のゴールを決めて行う活動は充実しているが、単元同士の関連付けが弱く、単元ごとで完結しているという実態があることなどを踏まえ、学習内容の系統性を踏まえつつ、様々な単元を通して繰り返し学習できるような指導内容等を検討することが必要であるとの指摘もあった。
○ 小・中連携の観点からは、小学校において中学校での指導を意識した指導が、中学校においては外国語活動を踏まえた指導が不十分であるとの指摘が多くあった。例えば、外国語活動で慣れ親しんだ音声や基本的な表現を中学1年生の導入時に生かしておらず、生徒の意欲が減退するなどの事例などがあり、これらの課題に対する改善が急務である。
○ 併せて、外国語だけに限らず、世界には様々な言語や文化があることや、国語教育と関連付けて外国語教育を充実させていくことなどを通じて、言語への関心を高めることが重要である。
(中学校の成果・課題)
○ 中学校では、文法はコミュニケーションを支えるものであり、言語活動と効果的に関連付けて指導することや、様々な活用を通じて定着を図るなど、コミュニケーション能力の基礎の育成に向けた授業改善が見られる。また、教師と生徒の親和関係の構築、授業を英語で展開すること、ペア・ワークやグループ・ワーク等の活動を中心とした授業展開などの成果が見られる。
○ 先進的な実践事例においては、単元目標と関連付けながら、考えながら話す言語活動や、小学校・高等学校との接続を意識した授業、高等学校と連携した学習到達目標の作成が行われている。また、文部科学省が平成25年3月にまとめた「各中・高等学校の外国語教育における「CAN-DOリスト」の形での学習到達目標設定のための手引き」を踏まえ、教育委員会が中心となって県下の全中学校がCAN-DO形式で学習到達目標を設定する地域が増加 し、これら取組を行うことで、年間指導計画を見直す視点や、指導と評価の改善につなげる視点を持つようになるなどの成果が見られる。
〇 一方で、平成27年度に行った中学3年生を対象とした英語力フィージビリティ調査によれば、英語4技能とも課題が見られ、またCEFRA1上位以上の割合が「聞くこと」(20.2%)「話すこと」(32.6%)、「読むこと」(26.1%)、「書くこと」(43.2%)など4技能がバランス良く育成されていない。特に、「書くこと」の得点者はA1上位レベル以上の割合が43.2%と高いが、一方で、無解答者が12.6%となるなど全体にバラツキが見られた。
〇 同調査では、「話すこと」や「書くこと」のテストスコアが高いほど、普段から聞いたり読んだりしたことについて自分の考えを英語で書くなどしている生徒の割合が高いという結果とともに、意欲が高く4技能バランスよくスコアを取得している好事例においては、CAN-DO形式の目標設定による指導の改善、パフォーマンス評価等を行うなど共通点が見られた。
〇 また、他の調査 によれば、「訳す」、「覚える」、「先生の説明を聞く」、「文法の問題を解く」という活動がよく行われており、自分の気持ちや考えを話したり書いたりする活動は生徒が「よくしている」と回答している一方で、ペア・ワークやグループ・ワークが繰り返し練習になり、実際のコミュニケーションには生かされない状況がみられるなど、習得した知識が活用されていないことが指摘されている。さらに、家庭学習も、「単語練習」、「単語の意味調べ」、「問題を解く」といった内容が多く、7割の生徒が英語を使用する家庭学習をしていないなどの結果もあるとの指摘があった。
○ 更に、中1前半~中2後半が、英語が苦手になる時期である 。文法が難しいという回答もあるが、書けない、聞けない、話せないというつまづきや、文法の説明・練習、キーセンテンスの暗唱と練習などに追われていて、自分の考えを英語で表現したりすることは重要であると思いながらも十分実行できていない。
○ 多くの中学校教員が、授業の半分以上で英語を使っていると回答しているが、生徒と英語でやりとりができていない、「学校や身の回りの話題に関する自分の考えを英語で言うことができる」は6割弱の中学生が「できる」と答えているが、「自分の気持ちや考えを話す」活動が少ないと「できる」と答えられる生徒が少なくなる との指摘もあった。
〇 また、中学校の取組み事例からは、外国語を理解し考えながら表現する言語活動が行われているか、伝統文化や自然科学など現行の学習指導要領に示された題材について、コミュニケーション能力を育成するという視点で扱っているか、単元ごとの適切な目標設定が行われているかといった点で課題が見られるとの指摘があった。例えば、単元の目標にコミュニケーション能力を身に付けることを設定しながら、単元の終わりになると、文法や文構造の知識等を問うような評価になるなど、設定した目標に沿った授業が行われていない指導も多く見られる。
○ 教員の英語使用状況において、
・「発話の半分以上を英語で行っている」のは、中学校1学年は44.5%、2学年は42.9%、3学年は41.2%、
・生徒が英語で言語活動をする場面を半分以上設定しているのは、中学校1学年は52%、2学年は47%、3学年は43%
・英検準1級程度以上の教員の割合は27.9%となっており、生徒が英語に触れる機会を充実する観点から、英語をはじめとする外国語で行う授業の取組を一層推進する必要がある。
○ 平成27年度におけるCAN-DO形式での学習到達目標は、17.4% の学校が設定し、その中で、達成状況を更に把握している学校は66.8%にとどまっており、全ての学校において設定する地域と設定していない地域があることから今後の指導における影響が大きく、学校の指導改善等につながる取組として促す必要がある。
(高等学校の成果・課題)
○ 高等学校では、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養うことを目標としており、聞いたり読んだりしたことに基づいて英語で話したり書いたりすることによって表現するなどの機会を多く持たせる言語活動を通じて、生徒の英語力向上が見られる。
〇 一方で、平成26、27年度に行った高校3年生を対象とした英語力フィージビリティ調査 によれば、依然として4技能全てにおいて課題がある。前年度同様に、特に「話すこと」「書くこと」について課題が大きい。一方で、4技能いずれにおいてもCEFRA1レベルの人数の割合が減少し、CEFRA2レベル以上が増加するなど改善が見られる。 また、「書くこと」の無回答の割合が減り(約30%→18%)、得点者は10%以上増加(約70%→80%)など改善も見られた。
〇 同調査では、普段から聞いたり読んだりしたことについて、「話すこと」「書くこと」の試験結果が高いほど「自分の考えを英語で書いたりしていたと思う」と答えた生徒の割合が高いという結果とともに、普段から生徒の意欲が高く、4技能バランスよくスコアを取得している好事例においては、CAN-DO形式の目標設定による指導の改善、パフォーマンス評価等を行うなど共有点が見られた。
○ また、他の調査 によれば、高等学校の授業における指導において、音声・文法指導が中心となっており、「話す」「書く」活動が少ないという指摘もあった。
○ 生徒が英語に触れる機会を充実し、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、授業は英語で行うことが浸透しつつある。普通科等の授業において、発話を「おおむね英語で行っている」又は「発話の半分以上を英語で行っている」教員は、平成22年度の「英語Ⅰ」では15%だったが、平成25年度の「コミュニケーション英語Ⅰ」では53%、同「英語表現Ⅰ」では47%と大きく増加している。
○ 授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、生徒の英語による言語活動を授業の中心としようとする姿勢が見られる。普通科等の授業において、「おおむね言語活動を行っている(75%以上)」又は「半分以上の時間、言語活動を行っている(50~75%程度)」のは、平成25年度の「コミュニケーション英語Ⅰ」担当教員が41%、同「英語表現Ⅰ」担当教員が42%となっている。
○ 外国語を用いて何ができるようになるかという観点から、各学校においてより具体的な学習到達目標を設定しようとする傾向が見られる。CAN-DO形式で学習到達目標を設定している普通科等の学科は、旧課程の平成23年度は4%、新課程の平成25年度は34%と大きく増加している。
○ 先進的な事例においては、CAN-DO形式の学習到達目標を作成することによって、教科書や教材を、目標を達成するために積極的に活用したり、教員間で指導や評価の内容・方法が均質化されたりした例や、それらのことによって生徒の英語力が向上した例が見られる。
○ また、教育委員会が中心となって域内の全高等学校がCAN-DO形式による学習到達目標を設定する取組を推進するとともに、中・高等学校の接続を意識した研修を実施することで、年間指導計画を見直す視点や、指導と評価の改善につなげる視点を持つようになるなどの成果が見られる。
(学習到達目標と学習評価について)
○ 現行の学習指導要領は、「コミュニケーション能力」の育成を外国語科の目標として掲げており、多くの学校において、その目標に沿った授業が行われている。
○ そのような中、「国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的施策」(H23)等が示されたこともあり、中・高等学校において「英語を用いて何ができるようになるか」という観点から、4技能に関する学習到達目標を、いわゆるCAN-DO形式で設定する取組が進んでいる。
○ 教科の目標に掲げられている「言語や文化についての理解」や、「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成」などについては、観点別学習状況の評価において「言語や文化についての知識・理解」及び「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」などが観点例として示され、中・高等学校においては、そのうち、「外国語表現の能力」や「外国語理解の能力」の観点と併せて評価に活用する取組が進められてきた。
○ このような取組を進めることを通して、一部の中・高等学校において、指導計画・評価と関連した授業改善や英語力の向上などの成果が見られるようになった。本ワーキンググループでは、総則・評価部会における検討を踏まえ、外国語教育において求められる資質・能力とともに、観点別学習状況の評価について議論 したが、引き続き、具体的な整理が必要である。
○ 教員の英語の使用状況は、全体的には改善されつつあるものの、「発話をおおむね英語で行っている」教員は、平成25年度普通科等の「コミュニケーション英語Ⅰ」では15%、同「英語表現Ⅰ」では14%にとどまっており、なお一層の推進が必要である。
○ 英検準1級以上等を取得している教員の割合は、平成22年度が49%、平成25年度が53%で、3年間で4%の伸び(27年度へ)にとどまっており、教員自身の英語力を更に引き上げる必要がある。
○ 高等学校におけるCAN-DO形式での学習到達目標の設定は、平成23年度の4%から平成27年度の●%に増加はしているが、域内全ての高等学校において設定を終えている地域と現時点でほとんど設定が進んでいない地域があるなど、ばらつきが大きいことから今後の指導における影響が大きいと考える。
○ CAN-DO形式で学習到達目標を設定はしていても、それが実際の指導や評価において十分には活用されていない現状がある。学習到達目標を設定する意義や方法とともに、年間指導計画・単元計画の作成や評価において活用されるよう周知する必要がある。
○ 中・高等学校でそれぞれどのような指導と評価が行われているかについてお互いに情報不足で、中・高等学校の連携が不十分であるとの指摘もある。
(中・高等学校に共通する課題)
○ 生徒の英語力については、第2期教育振興基本計画で掲げられている目標の下の達成状況は、これまでのアンケート調査によると中学校3年で約3割、高校3年で約3割となっている。今後、生徒の英語力のより的確に把握・分析し、学校における指導改善や生徒の学習意欲向上につなげることが重要である。
○ また、生徒に質の高い英語力に触れる機会を充実させる観点から、英語担当教員の英語力向上を一層進める必要がある。この点については、平成27年度の行政事業レビューなどの指摘をも踏まえ、英語教育の英語力向上のための取組を推進する必要がある。
〇 中・高等学校については、英語教育の目標としてコミュニケーション能力を身に付けることを設定しながら、「何ができるようになったか」よりも、「どれだけ語彙や文法等の知識を身に付けさせたか」を中心とした授業が行われているとの指摘がある。この場合、学習を通じて「知識として何を知ったか」が重視されがちとなり、コミュニケーション能力の育成を意識した取組も不十分であるとの指摘もある。
○ 小・中連携、中・高連携が十分でなく、各学校種間の学びが円滑に接続していないという状況も見られる。

2.小・中・高等学校を通じて育成すべき資質・能力と教科目標、内容、評価等について
(1)小・中・高等学校を通じて一貫して育成すべき外国語教育における資質・能力の整理と教科等目標の在り方
○ 次期学習指導要領においては、前述のような成果・課題を踏まえつつ、小・中・高等学校を通じて育成すべき資質・能力を、中教審「論点整理」で提示された「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、「学びに向かう力」の三つの柱 を踏まえた整理を学校段階ごとに行った。特に、中教審「論点整理」においても指摘された言語能力向上の観点から、他者とのコミュニケーション(対話や議論等)の基盤を形成する観点を資質・能力全体を貫く軸として重視しつつ、外国語教育の目標を整理した。併せて、外国語教育で特に課題となっている1各学校段階の学びを円滑に接続させること、2習得した知識・技能を活用し、思考・判断・表現する力を育成するため「外国語を使って何ができるようになるか」という観点から一貫した教育目標(4技能に係る具体的な指標の形式の目標を含む)の設定などについて「外国語WGにおけるとりまとめ(案)」(●頁参照)において提示した。
○ それに基づき、外国語を「どのように使うか」、例えば、国際共通語としての英語を通して「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という観点から、卒業後、どのような職業等に就くとしても生かすことができるような資質・能力を、児童生徒が将来の進路や職業などと結び付け主体的に学習に取り組む態度等を含めて育まれるようにする必要がある。このため、学習・指導方法、評価方法の改善・充実を一体的に図っていく必要がある。
○ 言語能力の向上に関する各種会議等 においては、言語の役割として三つの側面 が議論されている。中央教育審議会教育課程企画特別部会「言語能力の向上に関する特別チーム」における議論も踏まえつつ、外国語教育としては、他者とのコミュニケーション(対話や議論等)の基盤を形成する側面を、資質・能力全体を貫く軸として重視しつつ、他の側面(知的活動、感性・情緒等)からも育成すべき資質・能力が明確となるよう整理することを通じて、外国語教育を更に改善・充実することが必要である。
例えば、外国語教育の目標等において、「小学校では相手に配慮しながら」、「中・高等学校では他者を尊重し、聞き手、話し手、読み手、書き手に配慮しながら」外国語でコミュニケーションを行うという視点を明確にしつつ、その中で育成すべき資質・能力を整理しておく必要がある。
○ 様々な情報や考えなどを理解し表現していくという知的活動の側面に加えて、相手を尊重しながら伝え合うこと、相手の考えを理解し、共感し、協力しながら問題を解決するという情意的な面も重要であり、これらが小・中・高等学校を通じて培われていくことを目標において明確にしてコミュニケーション能力を育成することが重要であり、学習指導要領の解説なども含めて明記することが必要である。
○ また、伝え合う、或いは表現するということだけではなく、考えながら読んだり、考えながら聞いたりすることも重要であり、4技能を総合的に育成するためには、表現を支えるものとして情報や考えなどを理解する力をしっかり付けていくことが必要である。
○ このように外国語教育において育成すべき資質・能力については「三つの柱」を踏まえながら、外国語の目標などにおいて、特に課題となっている発信能力を高めるとともに、他者を尊重し、コミュニケーションを行う目的・場面・状況に応じたコミュニケーション能力を向上するなどの観点から改善・充実を図る必要がある。
(2)小・中・高等学校を通じて一貫した指標形式の目標の設定等について
○ 前述(●)のような課題を踏まえ、児童生徒の 1各学校段階の学びを円滑に接続させること、2 習得した知識・技能を活用し、思考・判断・表現する力を育成するため「外国語を使って何ができるようになるか」という観点からの教育目標になるよう改善・充実を図る。
○ 次期学習指導要領の改訂においては、語彙や文法等の知識がどれだけ身に付いたかにとどまらず、習得した知識・技能が実際のコミュニケーションにおいて活用され、思考したり表現したりすることを通じて育成すべき力を明確にする。このため、それらの育成すべき力について、国際的な基準であるCEFR などを参考に、外国語学習の特性を踏まえて小・中・高等学校一貫して教科目標を実現するため、そこに至る段階を示すものとして段階的に実現する指標形式の目標(CAN-DO形式の目標)を設定する。
○ また、「主体的に学習に取り組む態度」は,児童生徒が言語活動に主体的に取り組むことがコミュニケーション能力を身に付ける上で不可欠であるため、極めて重要な観点である。習得した知識・技能を活用し、思考・判断・表現する力を身に付けコミュニケーションを行うことで児童生徒に自信が生まれ、「主体的に学習に取り組む態度」が一層向上していくため、両者は不可分に結び付いている。児童生徒が興味をもって取り組むことができる言語活動を易しいものから段階的に取り入れたり、自己表現活動の工夫をしたりするなど、様々な手立てを通じて児童生徒の「主体的に学習に取り組む態度」の高まりを目指した指導をすることが大切である。
○ 各学校においては、指標形式の目標を踏まえた学習到達目標を設定し、それらに関する深い理解や資質・能力の育成が図られるよう、学習内容等を設定することが求められる。
○ また、これまでの外国語教育の成果と課題を踏まえ、各学校が適切に学習到達目標を設定し、育成すべき資質・能力についての達成状況を明確化できるようにするため、国として、小・中・高等学校において目指すべき教育目標を、実際のコミュニケーションにおいて重要な4技能を統合的に活用することを想定したより具体的な形で一貫した指標として示すこととする。
○ 指標形式の目標では、CEFR などを参考に、これまでの英語等の目標に沿って、「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やりとり、発表)」「書くこと」の技能ごとに示すとともに、複数の技能を組み合わせて効果的に活用する「技能統合型」の言語活動をより重視した指標形式の目標を段階的に設定する。併せて、外国語教育において育成すべき資質・能力を育む学びのプロセス(学習過程)の改善・充実を図ることとする。
○ 小・中・高等学校を通じた児童生徒の学びを接続することを意識した国の教育目標(指標形式の目標を含む)・内容を具体的に示すとともに、各目標を達成するために効果的な言語活動が行われるよう、学習指導要領等の解説や指導の参考となる事例を示すなど、その全体像を各学校が十分に理解し教育課程を編成できるよう支援を図っていく必要がある。
○ 教育課程企画特別部会「論点整理」を踏まえ、18歳の段階で身に付けておくべき力は何かという観点から、高等学校卒業時において共通に求められる資質・能力を明確にした上で、中学校・小学校卒業段階において児童生徒の発達段階を踏まえて育成すべき資質・能力を示すことが必要である。
(小学校段階における指標の設定)
○ 小学校では、現在の外国語活動で活用されている国の教材例「Hi, friends!」などを活用して「聞くこと」及び「話すこと」を中心に取り組んでおり、CEFRA1レベル全般を取り上げている研究報告 があった。このことも踏まえ、小学校中学年から高学年の学びを円滑に接続させるため、第3学年から導入される外国語活動では「聞くこと」及び「話すこと」を中心としつつ、高学年にかけて段階的に文字を「読むこと」及び「書くこと」を系統的に加えていくような、児童の発達段階に応じた汎用性のある指標形式の目標を検討する。
○ 本ワーキンググループにおいて提示する「小・中・高等学校を通じて一貫した指標形式の目標イメージ」では、CEFRを参考に、小学校第3学年から中学校までに関し、Pre-A1(A1への準備段階)、A1及びA2に相当する各レベルにおいて身に付けるべき言語能力が段階的に発展していくことで小学校から中学校の接続が円滑に行われるような指標を検討する。
例えば、中学校では、文法的に正しい文を構成しないと発話できない生徒が多く見られるという実態について指摘があることから、小学校において身近なことについて、簡単な語句を用いた自己表現によってコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し、中学校においてはそのことを生かして段階的に資質・能力を高めていくような指標を設定することが必要である。
○ 学校における学習のみをもって外国語を習得することは困難であるため、学校における学習が、卒業後においても、生涯にわたって自ら外国語を学び、実際にコミュニケーションの場面で使おうとする動機付けに結びつくようにすることが重要である。
 [関係資料]・小・中・高等学校を通じて一貫した目標設定の在り方について
・外国語教育の目標と学習過程の全体像(案)イメージ
・「外国語」等における小・中・高等学校を通じて国の指標形式の目標【技能ごと】(イメージ)たたき台
(小・中・高等学校を通じた一貫した指標形式での教育目標の設定における留意点)
○ 小学校から中学校、中学校から高等学校の学習を円滑に接続させるため、一度学習したことを繰り返し学習できるような指標の設定が必要である。
○ 「聞くこと」及び「読むこと」の受信技能(receptive skills)の指標については、例えば、「必要な情報を把握・整理して概要(詳細)を話して(書いて)説明できるようにする」など、学校等において実際に評価が可能な目標を設定することが必要である。
○ これまでの研究開発校の成果・課題にあるように、各学校で学習到達目標(CAN-DO形式の目標)を独自に設定している状況が見られることから、小・中・高等学校の学びを接続するためには、国が示す教育目標に沿って、自治体等において地域の実情を踏まえながらモデルとなる学習到達目標(CAN-DO形式の目標)を提示するなどの取組が期待される。このような取組を通じて、各学校が段階ごとの目標を共有することが重要である。
○ 指標形式の教育目標を次期学習指導要領において提示することで、それらを踏まえた授業を科学的に検証してフィードバックを行い、改善につなげることが必要である。
○ 日本の教科書では、実際のコミュニケーションで必要な語彙が統一して作成されておらず、各教科書の内容にかなりのばらつきがあるとの指摘を踏まえ、国が示す教育目標と教科書で扱われている語彙、表現等との関係性などを示すことが必要である。
○ 次期学習指導要領においては、子供たちに求められる資質・能力を育成する観点から目標や内容が設定される方向性であり、学習指導要領の名宛人が学校であることは変わらないが、教育目標や指導内容は「~といった資質・能力を養う」「~できるようにする」という形の表現が中心になされると期待している。指標形式の目標で示される「○○ができるようにする」という表現についても、こうした方向性の中で実現できるよう、総則・評価特別部会、小学校部会等の関係部会などにおける全体の議論の中で整理が必要である。

(学校が設定する目標等との整理)
○ 国が示す指標形式の教育目標は、CEFRを参考に汎用性のある簡潔なものとし、各学校が作成する学習到達目標(CAN-DO形式の目標)は、地域や学校の状況に応じた具体的な目標設定が可能となるように整理する必要がある。
○ 現在、各中・高等学校において設定されている学習到達目標は、「英語を用いて何ができるようになるか」という観点から学習指導要領を具体化し、それらに基づく指導及び評価を行うことにより、英語によるコミュニケーション能力を確実に養うことを目的としている。また、各学校において生徒の学習状況や地域の実態等を踏まえた上で学習到達目標を設定することを通じ、生徒が身に付ける能力を明確化し、教育活動を行う際に、具体的な指導及び評価の改善に活用することが可能となる。
○ 具体的な学習到達目標(CAN-DO形式の目標)は、学習指導要領における教育目標等に基づき、各学校において、それぞれの実情に応じて作成することが想定される。
その場合の効果として、以下の点を挙げることができる。
(1)学習到達目標を設定することで、児童生徒にどのような英語力が身に付くか、英語を用いて何ができるようになるか、あらかじめ明らかにすることができる。また、そうした情報を児童生徒や保護者と共有することで授業のねらいが明確になるとともに、児童生徒への適切な指導を行うことができる。
(2) 特に、学習指導要領に基づいて学習到達目標を設定し、指導と評価を行う際に、文法や語彙等の知識の習得にとどまらず、それらの知識を活用してコミュニケーションが図れるよう、4技能の総合的な能力の習得を重視することが期待される。
(3) 校内でも教員により指導方法が大きく異なることがある中で、学習到達目標の策定を通じて、教員間で、指導に当たっての共通理解を図り、統一的な指導を行うことができる。
(4) 評価が、面接・スピーチ・エッセイ等のパフォーマンス評価などによって「言語を用いて何ができるか」という観点からなされることが期待され、更なる指導と評価の一体化とそれらの改善につなげることができる。
○ 学校における学習到達目標の作成に当たっては、以下の留意点が挙げられる。国や教育委員会は、これらの点が円滑かつ効果的に進むよう支援していくことが必要となる。
(1) 学習到達目標に掲げられた内容を形式的に達成すればよいのではなく、授業を通じて教員が児童生徒の状況を把握しながら、英語力の向上を支援していくことが必要である。
(2) 学習到達目標を作成すること自体が目的となってしまわないように、研修等を通じて、学習到達目標を指導や評価に生かすことが求められる。
(3) 小・中・高等学校を通じた学習到達目標の設定に当たっては、早期の段階から高度な水準を求めることがないよう計画し、児童生徒の学習意欲を維持・向上させるような配慮が必要である。
(4) 学習到達目標の設定と入学者選抜や資格・検定試験との関わりがどうなっていくか検討する必要がある。
○ 各学校においては、学習指導要領の内容に基づき、生徒の育成すべき資質・能力を達成するための具体的な学習到達目標をCAN-DO形式を含めた形で設定する。その際、教科書等の教材、生徒の学習状況、授業時数等を踏まえつつ、学校各科目の単元ごとの学習到達目標を具体的に設定し、指導方法や評価方法の工夫・改善を図る。
 (指導する語彙、表現、文法事項など)
○ 小学校で学んだ語彙、表現などは中学校において、小学校とは異なる場面で使ったり別の意味で活用したりするなど、言語活動において繰り返し活用し定着を図るとともに、中学校で学習した語彙・表現・文法事項等は高等学校においても意味のある文脈の中で コミュニケーションを通して繰り返し触れることが必要である。その際、ICT等を活用した効果的な言語活動を行うよう工夫が求められるとともに、児童生徒が自らの学習活動を振り返って次につながる主体的な学びができるようにすることが必要である。
○ 新しい素材の導入に焦点が当たり、新出の文法事項ばかり教えている文法中心の授業が見られるが、今後は、語彙を定着させるための指導という観点から、既習の語彙を使って自己表現することや他者とのやりとりの機会をたくさん与えることが重要である。また、新しい表現を学ぶ際に既習の表現で言い換えたり、互いが理解できるように話し合ったりするような様々な言語活動において語彙をスパイラルに使う機会を設けるなど、コアとなる語彙は繰り返し使うことで定着を図ることが必要である。
○ 現行の学習指導要領では指導する新語の数が示されているが、教科書において出現する語彙数を量的に分析することにより、児童生徒が実際にコミュニケーションの場で必要な語彙について、どのような語彙をどの程度触れることが可能か客観的に検証し、教科書の改善・充実につなげていくことが必要である。このため、指導する新語の数とともに、教科書に出現する総語数を設定することの意義、役割などを明確に整理する。
○ アジア圏と日本の教科書を比較した研究 によると、日本の中学校第3学年の教科書では語彙の分量を増やすことに主眼が置かれ、コミュニケーションに必要な語彙が少ない一方、難しい単語がかなり出てきている状況が見られる。このことから、国が示すCAN-DO形式の目標との関係において教科書の語彙の質的改善を行う必要がある。
○ 実際のコミュニケーションにおいて必要な語彙のイメージと認識語彙との仕分けのイメージは 、学習指導要領の解説やその他の参考資料において提示することなどが考えられるが、その場合、研修等を通じて学校での理解が十分得られるようにする必要がある。
○ このことに伴い、指導する語彙数については、これまでの実績や諸外国における外国語教育の状況などを参考に、小学校で500~600語程度、中学校で1,600~1,800語程度、高等学校で1,800~2,500語程度(高等学校で必履修科目及び選択科目を全て履修した場合、小・中・高等学校を通じて4,000~5,000語程度)を指導することとして整理した (別添●)。
 (学習到達目標と学習評価の関係)
〇 各学校における学習到達目標の設定及び評価の取組による成果・課題を踏まえ、コミュニケーションを図ろうとする態度については、観察等による定性的な評価が適切に行われることが必要である。同時に、「〇〇ができるようにする」という形で教育目標を設定する外国語の各技能の評価については、学習評価の在り方に関する全体の枠組みの中で引き続き検討を行う必要がある。
○ CEFRの枠組みとして、学習者自身が「何がどこまでできるようになったか」などを能力記述文に基づいて自己評価することを求めている。ヨーロッパにおける自己評価の実践では、生徒に分かりやすい言葉やイメージで、外国語を学ぶことによって将来どのようになりたいかについてポートフォリオで提示し、生涯にわたる英語学習の姿勢を含めた力を付けるようにしている。今後は、小・中・高等学校を通じてパフォーマンス評価を行い、その結果を児童生徒と教員が共有し、課題の改善に向けた仕組みづくりについても検討する必要がある。
○ 例えば、これまで行ってきた数値による評価だけでなく、定性的な評価、「話すこと」ではこういうことができるようになったというような学習履歴を示し、それが小・中・高等学校で共有されていくという評価の在り方も考えられる。
○ 引き続き、全教科横断的な評価の在り方を踏まえつつ、外国語教育において小・中・高等学校の学びを円滑につなぐような評価の在り方について検討を行う。
(3)  生徒の英語力の目標設定
○ 次期学習指導要領の検討においては、高等学校卒業時の生徒の英語力として、国の第2期教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定) に掲げられている目標(中学校卒業段階で英検3級(CEFRA1レベル程度)程度以上、高等学校卒業段階で英検準2級程度~2級(CEFRA2~B1レベル程度)程度以上を達成した中高生の割合を50%) の実現に向けた目標・内容等の検討が必要である。
○ その際、第2期計画において掲げられている目標の実現に向けて取り組むとともに、高校卒業時に、生涯にわたり「聞く」「話す」「読む」「書く」4技能を積極的に使えるようになる英語力を身に付けることを目指すことが重要である。併せて、地域においても生徒の英語力の目標を設定し、調査による把握・分析を行い、きめ細かな指導改善・充実、生徒の学習意欲の向上につなげることが必要である。
○ また、これまでに設定されている英語力の目標だけでなく、高校生の特性や、留学も含めた進路等に応じて、高校卒業段階で、英検2級から準1級、TOEFL iBT57点程度以上などのスコアの段階についても、4技能を測定する客観的な目標として設定し、生徒の多様な英語力の把握・分析・改善を行うことが必要である。
○ 生徒の学習意欲を高めながら英語力の向上を図るため、各学校における取組も踏まえつつ、グローバル化に対応した世界標準の英語力育成を目指すことが必要との指摘もあった。このため、平成26年度以降、高校3年生、中学3年生を対象に世界基準を参照した英語力調査の経年比較調査を継続し、生徒の多様な英語力の把握・分析・改善を行うことが必要である。
○ なお、平成25年12月に文部科学省で取りまとめた「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」では、今後の新たな方向性として、最終的に高校卒業段階における目標にCEFR B1~B2程度(英検2~準1級、TOEFL iBT57点程度以上等)が示されている。このような目標を掲げる場合、学校教育だけで全ての生徒が達成する目標として設定するのは難しく、学校外で英語に触れる機会、様々な学習の場や支援を得ながら高校卒業段階における英語力の目標として設定することに留意すべきとの指摘があった。
○ 今後、審議がなされる第3期教育振興基本計画では、産業界をはじめ社会から期待されている外国語教育において育成すべき資質・能力を念頭に置きつつ、学校教育 を通じて、生徒がどのような英語力を身に付けるかが明確になるような目標設定を検討すべきである。
 (4) 言語能力を向上させるための国語教育と外国語教育との連携について
*言語能力の向上に関する特別チームにおける検討状況を踏まえ、再整理をする予定。
(目標・指導内容等全体に関して)
○ 言語能力の向上の観点から、国語教育と外国語教育のそれぞれを充実させつつ、国語と外国語の言葉の働きや、音声、文字、語句や単語、文構造、表記の仕方等の特徴や違いに気付き、言語の仕組みを理解できるよう、国語教育と外国語教育を効果的に関連付けて充実させていく必要がある 。こうした言語に関する能力を向上する観点からの外国語教育の充実は、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成や言語能力を高めることに大きな効果があり、国語の能力の向上にも大きくつながるものと考えられる。
○ 小学校段階においては、高学年の「外国語活動」の充実により、児童の高い学習意欲、中学生の変容などの成果が認められる一方で、1音声中心で学んだことが、中学校の段階で音声から文字への学習に円滑に接続されていない、2国語と英語の音声の違いや英語の発音と綴(つづ)りの関係、文構造の学習において課題がある、3高学年は、児童の抽象的な思考力が高まる段階であり体系的な学習が求められることなどが課題として指摘されている。
○ これらの成果と課題を踏まえて、中学年から「聞く」「話す」を中心とした「外国語活動」を通じて外国語に慣れ親しみ外国語学習への動機付けを高めた上で、高学年から発達段階に応じて4技能を総合的・系統的に扱う教科学習を行うことが求められる。その際、これまでの課題に対応した教科化に向けて、新たに1アルファベットの文字や単語などの認識、2国語と英語の音声 の違いやそれぞれの特徴への気付き、3語順の違いなど文構造への気付き等を促す指導を行うために必要な時間を確保することが必要である。
○ 国語教育と外国語教育とを関連付けながら充実させていくことについて、引き続き、関係委員会等の議論も踏まえつつ、検討する必要がある。例えば、「書くこと」において考えを根拠とともに示す文章を構成すると伸びる力は英語の力なのか、一般的な論理力なのか、また、それは国語で指導すべきなのかなどの観点が考えられる。このような観点から、国語で培った力を使いながら、外国語にも生かしていけるような言語能力の向上を図るため、国語教育と外国語教育をいかに関連付けてカリキュラム・マネジメントを図っていくか、教員同士がどのように連携していくべきかなどについて検討する必要がある。
(言語の仕組み(音声、文字、語句、文構造、表記の仕方等))
○ 言語の仕組みという観点では、例えば、小学校でローマ字表記を学習する際に、子供たちは子音と母音のつながりの認識を持つことになる。そのことが英語の音の仕組みを学習することにつながる観点から、国語と英語で指導の連携の在り方について検討する必要がある。
○ 小学校の「外国語活動」では、日本語と外国語の音や語順の違い、言語の面白さに気付き、言葉への興味関心が高まっていると感じるとの報告がある。このような流れを重視しながら次期学習指導要領改訂の検討を行う必要がある。
[関係資料:別添●、●] 言語能力の向上特別チームの関係資料
3.学校段階ごとの改善について
(1) 小学校における外国語教育の改善・充実
2.までとして前提に、これまでの成果・課題を踏まえ、以下のとおり整理している。
(小学校中学年における外国語活動と、高学年における教科化の必要性)
○ 前回改訂において、中学校における4技能を通じた学習の素地(そじ)として、「聞く」「話す」の2技能を中心に小学校段階でコミュニケーション能力の素地(そじ)を養うため、「外国語活動」(年間35単位時間)が創設された。
○ その後の「外国語活動」の充実により、児童の高い学習意欲、小学校で外国語活動を経験した中学生の成果や変容、指導に当たる教員の肯定的な捉え方といった成果とともに、教育課程の特例を活用して小学校低学年・中学年から外国語活動を取り入れることにより、中学校とのカリキュラム上の接続を意識した先進的な事例の成果が得られるなど、外国語活動を通じた学習の成果 が認められる。
○ 中学校で本格的に外国語学習を行う前に、小学校において外国語活動で外国語を用いてコミュニケーションを体験する楽しさや、言語や文化について体験的に理解をすることが、中学校において外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする意欲の高まりや、英語を聞く力や話す力もついてきているという成果につながっていることを踏まえると、教科としての外国語学習の前に、コミュニケーション能力の素地を養う外国語活動の実施が望ましいと考えられる。
○ 一方で、児童の「読む」「書く」も含めた更なる言語活動への知的欲求が高まっている状況にある。例えば、中学生1年生の8割が、外国語活動で「英単語・英文を読む」や「英単語・英文を書く」ことをもっとしておきたかったと回答 するなど、1小学校の外国語活動において音声中心で学んだことが、中学校での段階で音声から文字への学習に円滑に接続されていないこと、2国語と英語の音声 の違いや英語の発音と綴(つづ)りの関係の学習、文構造の学習において課題があること、3高学年は、児童の抽象的な思考力が高まる段階であり体系的な学習が求められることなどが課題として指摘されている。
○ こうした課題に対応するためには、現行学習指導要領の成果も踏まえつつ、中学年から外国語活動を通じて外国語に慣れ親しみ、「聞く」「話す」の2技能を中心に外国語学習への動機付けを高めた上で、高学年から発達段階に応じて4技能を総合的・系統的に扱う教科学習が必要である。
○ また、教科として系統的に学ぶことにより学習内容の定着を図る英語教育の充実は、言語能力を向上させ、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成や、国語を学ぶことに対する関心の向上にも大きな効果がある。
○ 言語能力の向上に関する議論を踏まえつつ、外国語教育としては、他者とのコミュニケーション(対話や議論等)の基盤を形成する側面を、資質・能力全体を貫く軸として重 視しつつ、他の側面(創造的思考とそれを支える論理的思考、感性・情緒等)からも育成すべき資質・能力が明確となるよう整理することを通じて、外国語教育を更に改善・充実 することが必要である。
○ このため、各学校段階を通して言外国語やその背景にある文化に対する理解を深め、他者を尊重し、聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながら、外国語でコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図る。併せて、身近な話題から幅広い話題について理解したり、情報や考えなどを伝え合ったりすることができる能力を養うため、目標、指導内容、学習・指導方法、学習過程、学習評価等の在り方について検討する。
(指導内容及び指導のために必要となる時数について)
○ 小学校教育では、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施すことが目的となる。小学校段階の学びを、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、教科ごとのより高い指導の専門性が確保されている中学校、高等学校段階までの一貫した学びに円滑に接続させることにより、更なる英語教育の質的向上を図る。このため、小・中・高等学校を通じて、英語の基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、次代を担うために必要な4技能を総合的に活用して思考・判断・表現する力を将来的に育むのに必要な主体的に学習に取り組む態度を養成していくことが重要である。
○ 次期改訂では、各学校段階の学びを円滑に接続させるため、小・中・高等学校を通じて育成すべき資質・能力を、前述の三つの側面を踏まえつつ、「英語を使って何ができるようになるか」という観点から、国として小・中・高で一貫した指標を設定し 、学習・指導方法、評価方法を改善することが必要である。
○ 小学校における改善の方向として、これまでの成果・課題を踏まえ、今後の小学校中学年における「外国語活動」の導入と、高学年でのより系統性を持たせた体系的な指導を想定し、次のような目標・内容の改善を図る。
(小学校高学年)
○ 小学校高学年においては、これまでの成果・課題を踏まえ、
・教科としての外国語教育のうち基礎的なものとして、中学年から高学年及び中学校への学びの連続性を持たせながら、これまでの体験的な「聞くこと」「話すこと」に加え、「読むこと」「書くこと」の4技能を扱う言語活動を通じて、より系統性を持たせた指導(教科型)を行う。その際、外国語の基本的な表現に関わって聞くことや話すことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う体系的な指導を行う教科として位置付ける。
・教科として位置付ける際、単に中学校で学ぶ内容を小学校高学年に前倒しするのではなく、身近なことに関する基本的な表現による4技能の豊かな言語活動を行うため、発達段階に応じた「読むこと」、「書くこと」に慣れ親しみ、積極的に外国語を読もうとしたり書こうとしたりする態度の育成を含めた初歩的な運用能力を養うことが考えられる。
例)馴染(なじ)みのある定型表現を使って、自分の好きなものや家族、一日の生活などについて、友達に質問したり、質問に答えたりすることができる。
・言語能力向上の観点も含め、文構造など言葉の規則性に関する気付きを意図的に促す指導や、文字の認識、単語への慣れ親しみも加えることで、発達段階に応じて、知的好奇心に応えるものとする。例えば、
1アルファベットの文字や単語などの認識
2国語と英語の音声の違いやそれぞれの特徴への気付き
3語順の違いなど文構造への気付き
等を促す指導を行う。
・国語教育を始め他教科等と関連付けた学習内容や言語活動を設定することにより、思考力・判断力・表現力や主体的に学習する態度を身に付けることも重視する。
(小学校中学年)
○ 小学校中学年においては、これまでの成果・課題を踏まえ、
・外国語学習への動機付けを高めるため、体験的に「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活動を通じて、発達段階に適した形で、言語や文化について体験的に理解したり、外国語の音声等へ慣れ親しんだりする。
・このため、中学年では、言語や文化についての体験的理解や、外国語の音声等への慣れ親しみ、コミュニケーションへの積極性を中心とする「外国語活動」(活動型)を行い、コミュニケーション能力の素地(そじ)を養うこととする。
・その際、身近で簡単なことについて考えや気持ちをなどを聞いたり話したりするコミュニケーションを充実するため、読み聞かせを充実する。
・初めて外国語に触れる段階では、児童に身近でわかりやすい場面で外国語によるインプットが重要である。中学年の発達段階を踏まえると、どのような場面かが明確であったり、同じ表現等が繰り返し扱われたりしている絵本教材は、非常に有効な教材である。
・また、指導内容・方法や活動の設定、デジタル教材を含めた教材の工夫、他教科等において児童が学習したことを活用するなどの工夫により、指導の効果を高めることが必要である。
○ このような方向性を目指し、小学校高学年において「聞くこと」「話すこと」の活動に加え、「読むこと」「書くこと」を含めた4技能を扱う言語活動を展開し定着を図り、教科として系統的な指導を行うためには、年間70単位時間程度の時数が必要である 。また、中学年における外国語活動については、従来の外国語活動と同様に年間35単位時間程度の時数が必要である。
○ 上記の方向性を踏まえた改善・充実を図るため、小学校教員の理解・共有を図る観点から、第5、6学年における年間70単位時間分の系統的な教科、及び第3,4学年における年間35単位時間分の学習内容についても、具体的なイメージ を共有しながら検討する。
(短時間学習等の活用など、柔軟なカリキュラム設定に関する考え方)
○ これまでの成果・課題を踏まえつつ、教育課程全体の枠組みの状況 を考慮すると、小学校高学年において年間35単位時間増となる時数を確保するためには、ICT等も活用しながら10~15分程度の短い時間を単位として繰り返し教科指導を行う短時間学習(帯学習、モジュール学習。以下、「短時間学習」という。) を含めた柔軟なカリキュラム設定の在り方と必要なカリキュラム・マネジメントを教育全体を見通しながら実現していくことが求められる。
○ 弾力的な授業時間の設定に関する研究開発学校等の先行的な取組状況や全国的な教育課程実施状況調査(平成26年度実績)などの、これまでの成果・課題等を踏まえ、次のような観点からの検討が必要である。
・ 短時間学習では、目的に応じてその時間に集中して、テンポ良く、効率的に繰り返し学習することを通じて効果が得られるというメリットがある。一方で、準備に過度な負担がかからないようにするための方法等について十分検討することが必要である。
・ 現在、英語教育の短時間学習を実施する小学校は少ないが、研究開発学校等の中で、短時間学習を通じて一定の効果を上げている学校もある。一方で、アルファベットや英単語を、場面設定をせずに単に繰り返し書く活動を行った場合、児童の意欲が低下するなどの報告もある。短時間学習を行う場合は、系統性を確保し、その効果を一層高めるため、教育課程における位置づけの明確化を図り、45分授業との一体的な指導計画に基づいて実施すべきである。
・ 従来は、短時間学習を授業時間外の扱いとし、授業内容との直接的な関係性を教育課程に位置付けていないことが多かったが、今後、外国語の特性を踏まえた指導内容のまとまりや教育効果を高める観点から、短時間学習を行う場合には、学習指導要領上の標準授業時数内で、その時間を年間授業時数に含め、その目標を明確にし、まとまりのある授業時間との関連性を確保した上で実施することが必要である。
・ 短時間学習を効果的に位置付けるため、その目的・実施のねらい、中心となる45分授業とそれを補完する短時間学習との関係性を明確にしたカリキュラムや、両者における指導の順序性などを検討していくことが必要である。
・ 前述の全国の小・中学校における短時間学習の状況の調査結果によると、算数、国語の学力向上を目的とする計算ドリルや読書活動など、実施状況は様々であるため、全ての小学校において、外国語に特化した短時間学習を一律に行うことは困難な状況にある。このため、年間70単位時間における一定の短時間学習の在り方を横並びで求めるのでなく、ある場合には45分授業を60分授業の扱いにして、その中の15分を短時間学習として位置付けることや、また別の場合には外国語の短時間学習を2週間に3回程度実施する、さらに別の場合には夏季、冬季の長期休業期間において言語活動を行うなど、地域や各校の実情に応じた幅のある柔軟なカリキュラムの設定が必要であると考えられる。
・ 外国語教育の特質に応じ、まとまった時間を活用して言語活動を行うことなどが効果的な場合には、夏季・冬季休業や、学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含め、これらの授業を特定の期間に行うことができるような方向性を検討し、各校の取組に柔軟な対応が可能となるようにすることが必要である。
(例) 短時間学習や柔軟なカリキュラム設定等のイメージ
・45分授業との関係を明確にした一定の効果が得られる15分程度の「繰り返し学習」などの短時間学習
・45分+15分などの組合わせにより、深みのあるコミュニケーション活動の設定
・イングリッシュ・キャンプ、補習などの夏季、冬季の長期休業期間における活用 等
○ 以上のような論点を踏まえた検討とともに、担当する教員が、その指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任を持って行う体制整備が必要であるといった観点から、教員養成、教員研修及び教材開発に関する条件整備が不可欠である。
・ 10~15分の短時間で円滑に効果的な学習を行うためには、児童の学習規律が確立されていることが前提となるため、低学年からの学びの在り方も含め、学校全体の学習規律の確保が必要である。
・ 短時間学習について、教員が指導できる指導計画、教材の整備、指導法の確立が必要である。
・ 指導計画については、学校が定めた標準の授業単位時間により実施される授業の指導計画と連動させ、短時間学習に適した活動が選定されることが必要である。
・ 教科化を前提とした場合、短時間学習を含めた学習における評価の在り方を確立することが必要である。
※授業の内容との系統性を確保して短時間学習の活動を可能とする場合
・ 教科化に向けて、70単位時間のうち、例えば、1アルファベットの文字や単語の認識、2国語と英語の違いや音声のそれぞれの特徴への気付きなどを一定の言語活動を含めたまとまりのある学習を行った上で、ICTなども活用しながら15分程度の短い時間を単位とした活動を関連付けて「繰り返し学習」を行うことによって定着を図る。(1関係では、例えば年間15単位時間程度の短時間学習の実施が考えられるが、2関係なども含め、更に効果が期待される短時間学習の可能性について、引き続き、専門的に検討。)
・ さらに、研究開発校等の取組の結果等を踏まえ、高学年における外国語教育において、「書くこと」「話すこと」だけではなく、「聞くこと」「読むこと」に関する短時間学習など、様々な可能性があるので、4技能を含めた活動として位置付けを明確にして検討。
○ 中学年においては、年間35単位時間、週当たり1コマ相当の外国語活動を、短時間学習で実施することは困難であり、小学校の教育課程全体を見通した「カリキュラム・マネジメント」が必要であると考えられる。→ 小学校部会の書きぶりへ修正
(2)小・中連携の改善・充実
○ 小・中学校の接続については、中・高等学校の接続と同様に、高等学校卒業段階で求められる資質・能力を明確にした上で、各学校段階で児童生徒の実態を踏まえて育成すべき資質・能力を明確にする必要がある。それらを実現するための目標を設定し、学校種間における具体的な接続につながる学習・指導方法等について検討が必要である。
○ 中学校では、小学校の「外国語活動」で学んだ内容が十分に生かされていないことや、言語活動が十分ではないという指摘も踏まえ、義務教育終了段階として、小学校での学びとの連続性を図りつつ、身近な事柄についてコミュニケーションを図ることができるようにする。併せて、高等学校における目標の高度化に対応するための基礎を培う観点から、発達段階に応じて、身近な話題についての理解や表現、簡単な情報や考えなどの交換ができる力を養うことが必要である。
その際、例えば、学校生活、地域行事、生徒の体験、他教科等での学習内容等と関連付けて、互いの考えや気持ちを外国語で伝え合う言語活動を中心とする授業を行うことを重視する。
○ 特に、前回改訂において大幅な時数増を行った中学校における指導を最大限に活用する観点からも、小学校段階で「聞くこと」「話すこと」に加えて「読むこと」「書くこと」を含めて学んだ語彙や表現などの学習内容、文字の認識や語順の違いなどへの気付きを生かして、中学校の言語活動において繰り返し活用することによって着実な定着まで高めることが重要である。
○ 小学校で学んだ語彙や表現などの学習内容は中学校の言語活動で、中学校で学習した語彙・表現・文法事項等は高等学校の学習において、意味のある文脈の中でコミュニケーションを通して繰り返し触れることができるよう、様々な言語活動を工夫し、言語の運用能力を高める。
(3)中学校における改善の方向
○ 中学校の外国語教育においては、4技能全てにおいて課題があるとともに、各技能がバランス良く育成されていないという課題がある。特に、書くことについてばらつきが大きい。義務教育終了段階として小学校での学びの連続性を図りつつ、中学校において身近な事柄についてコミュニケーションを図ることができるようにするとともに、高等学校における目標の高度化に向けた基礎を培う観点から、次のような改善を図る。
・中学校第1学年の開始時には、小学校高学年で基本的な語彙や表現を聞いたり話したりすることや、アルファベットの文字や単語を読んだり書いたりして文字で伝える有用性を知り、アルファベットの文字に慣れ親しんだことを生かした指導を行う。例えば、小学校で聞いたり話したりした表現を使って、数回のやりとりを通して、即興的に自分の思いや考えを伝え合う活動を行ったり、アルファベットの発音と綴りの関係を理解した上で、小学校で十分に聞いたり話したりした語彙や表現を実際に書いたり読んだりして、自分の思いや考えを実際に伝え合う体験する活動が考えられる。
・「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」などについて、中学校の発達段階に応じた、より具体的で身近な話題についての理解や表現、簡単な情報や考えを交換するなどして伝え合うことができる力を養うため、指標形式の目標設定などを工夫して更なる言語活動を充実する。
例) 短い新聞記事を読んだり、テレビのニュースを見たりして、その概要を伝えることができる。
・教科書の本文や、そこで取り上げられている題材や言語材料を、生徒が関心を持てるような身近な話題と関連付けて指導すべきである。例えば、学校生活における活動、地域行事、生徒の体験、他教科での学習内容等と関連付けて題材を充実し、互いの考えや気持ちを外国語で伝え合う言語活動を中心とする授業を行うことを重視する。
・また、言語活動を充実し、授業を実際のコミュニケーションの場面とする観点から、中学校においても授業を英語で行うことを基本とする 。
・小学校高学年の教科型導入を踏まえ、中学校ではより多くの外国語に触れることにより、学習内容の着実な定着を図る。また、コミュニケーションを円滑に図るために必要とされる基本的な文法事項については中学校で一通り活用できるようにする。
・日本人としてのアイデンティティに関する教育の充実(伝統文化、歴史の重視等)を図る。
○ また、中学校については、教育委員会、学校における英語教育に関する取組 も含め地域によって差があること、生徒の学習意欲に課題があること、児童生徒が学校の授業や英会話教室などで学び始めた時期が小学校入学前から中学入学前にかけて、相当のばらつきがあることが明らかになっている 。このような調査結果などの客観的なデータ等に基づいて、教育委員会、各学校における課題を把握・分析し、授業改善や環境整備に役立てることが期待される。
また、中学校においては、生徒にとって身近なコミュニケーションの場面を設定した上で、学習した語彙や表現などを実際に活用する活動を充実させるなど指導の改善を図る。併せて、新たに全国学力・学習状況調査における英語の実施 により、指導改善のPDCAサイクルを確立することが重要である。

(4)高等学校における改善の方向
○ 高等学校の外国語教育については、一部改善が見られるものの、依然として4技能すべてにおいて課題がある。特に、「話すこと」及び「書くこと」における発信力について課題が大きい。併せて、中学校からの学びを高等学校に円滑につなげるとともに、高校生の多様化に対応した改善・充実の方向性に沿って見直しを行う必要がある。
・幅広い話題について、情報や考えなどの概要・詳細・意図を的確に理解するとともに適切に伝え合い、外国語を用いて適切に表現し伝え合ったりすることができる力を養う。
・例えば、社会的な話題や時事問題等について情報や考えなどを的確に理解するとともに適切に伝え合い、外国語を用いて問題解決していく力を育成するコミュニケーション能力を養う。
例)ある程度の長さの新聞記事を速読して必要な情報を取り出したり、社会的な問題や時事問題について課題研究したことを発表したりすることができる。
・引き続き、授業を英語で行うことを基本とするとともに、言語活動の高度化(発達段階や生徒の英語力等の状況に応じた発表、討論・議論、交渉等)を図る。
・中学校で学習した語彙・表現・文法事項等に意味のある文脈の中でコミュニケーションを通して繰り返し触れることができるよう、様々な言語活動を工夫し、外国語の運用能力を高めていくことが必要である。
・専門学科等におけるより専門的で高度な内容を扱う科目設定の在り方等について検討が必要である。
〇 本ワーキンググループにおいては、外国語教育における資質・能力の整理を踏まえ、次のような改善の方向性に沿って科目構成を整理した。
(高等学校における改善・充実の方向性)
〇 高等学校卒業段階で求められる「外国語を通じて、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりすることができる力」(必履修科目でCEFRのA2レベル相当、選択科目で同B1レベル相当を想定)を育成するため、4技能を総合的に扱う科目として「英語コミュニケーション(仮称)」を設定する。、
〇 中学校段階での学習が十分には定着していないといった課題のある生徒も含めた高校生の多様性や、外国語で行うことを基本とする授業を踏まえ、必履修科目(特に学習の初期段階)において共通で学び直しの要素を入れることとする。
○ 中・高等学校について、指標形式の目標設定が、活動を通して言語材料を定着させるような(本多委員)教科書の改善につながるような整理が必要である。例えば、外国語科の授業において言語活動の比重が低い現状から、学習指導要領の内容を実現するために言語活動が改善・充実されるような視点が必要である。このため、4技能総合型(必履修科目を含む)の科目に加え、発信能力育成型(「発表、討論・議論、交渉」などにおいて、聞いたり読んだりしたことを活用して話したり書いたりする技能統合型の言語活動が中心)の科目として「論理・表現(仮称)」を設定する。併せて、留学や進学などの目的に応じて高い英語力を目指す高校生もいるといった多様性を踏まえ、専門教科の科目構成を見直す(別添●)とともに、学校設定科目などでも対応できるようにする。

(高等学校「外国語」の科目等の見直し)
〇 本ワーキンググループにおいては、外国語教育における資質・能力の整理(別添2)を踏まえ、次のような科目構成(別添●)にすることが適当であるとした。
〇 現行学習指導要領の「コミュニケーション英語」Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ等の課題を踏まえた科目見直しの方向性として、「英語コミュニケーション」Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(仮称)については、
1 中学校との接続が不十分であるため、中・高等学校の学びの接続を改善する観点
から、現行の「コミュニケーション英語基礎」の要素を「英語コミュニケーション
Ⅰ」(仮称、必履修科目)に組み込んで、中学校における学びの確実な定着を図るための内容を含めた見直しを検討する。
2 現行の教科書において,言語活動の割合が低く、文法や語彙の習得にとどまって
いる等の課題を踏まえ、教科書に基づく学習を改善する観点から、例えば,目標と
課題(タスク)の関係を明確に提示するとともに、英語を「聞くこと」や「読むこと」によって情報や表現を取り込み、それらを活用して課題解決のための英語を用いた言語活動を行うという流れで学習するものとする。
3 生徒が興味関心を持てるような、日常的な話題から時事問題・社会問題にいたるまで幅広い話題を提供するものとする。
○現行の「英語表現」Ⅰ・Ⅱの課題を踏まえた科目見直しの方向性として、現行の教科書の多くが文法シラバス中心で、科目の趣旨を生かし切れていないことを踏まえ、「論理・表現」Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(仮称)においては、4技能を活用しつつ、「話すこと」及び「書くこと」の技能を中心として、幅広い話題について発表(スピーチやプレゼンテーション等)、討論・議論(ディベートやディスカッション等)、交渉などの言語活動を行うことができる内容へ見直すこととする。
○専門教科「英語」の各科目については、より高度で専門的な科目構成・内容等を設定(別添●)することについて検討する。
(5) 英語以外の外国語教育の改善・充実
○ 英語以外の外国語の科目 を開設している高等学校等は708校(公立512校、私立194校、国立2校)で、前回調査より約1%減少した。(平成24年5月1日現在713校(公立502校、私立209校、国立2校))。扱われている言語数は15言語で、言語別に見ると中国語が最も多く517校(履修者数19,106人)、次いで韓国・朝鮮語が333校(11,210人)、フランス語が223校(9,214人)、ドイツ語が107校(3,691人)の順となっている。一部の言語では、CAN-DOリストの設定及び活用などに研究や研修が行われているが、全国的に指導法や教材研究の成果などが共有できていない。

○ グローバル化が進展する中、日本の子供たちや若者に多様な外国語を学ぶ機会を与えることは、言語やその背景にある文化の多様性を維持・促進し、他の国・地域や文化の尊重につながるため、英語以外の外国語教育の必要性を更に明確にすることが必要である。
○ また、次期学習指導要領改訂に向けて、英語以外の外国語教育における指標形式の目標設定を踏まえたカリキュラム研究、研修、教材開発などの取組支援が必要である

4.学習評価の改善
(1)現状と成果
(学習評価)
○ 現行の学習指導要領の下での学習評価は、平成22年3月の 中央教育審議会教育課程部会報告において、きめ細かい学習指導の充実と児童生徒の一人ひとりの学習内容の確実な定着を図るため、学習指導要領に示す目標に照らしてその実現状況を評価(目標に準拠した評価)していくことが求められている。
また、学習指導要領において示された基礎的・基本的な知識・技能、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等及び主体的に学習に取り組む態度の育成が確実に図られるよう、学習評価を通じて、指導の在り方を見直すことなどが重要とされている。
○ このことを踏まえ、平成22年通知 では、「関心・意欲・態度」、「思考・判断・表現」、「技能」及び「知識・理解」に評価の観点を整理し、各教科等の特性に応じた観点を示している。これら評価の観点については、各設置者は、学習指導要領に示す目標を踏まえ、この通知で示された外国語活動や外国語の評価の観点を参考に設定することとされている。また、各学校においては、観点を追加して記入できることになっている。更に、国立教育政策研究所の「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料」では、各学校において学習評価を進める際の参考資料として、評価規準の設定の方法や評価方法等の工夫改善例が示されている 。
○ 中・高等学校では各学校において「英語を用いて何ができるようになるか」という観点から、4技能に関する学習到達目標を、いわゆるCAN-DO形式で設定し、評価においても活用する取組が進んでいる。そのような取組の中で、複数の県の公立学校において、高等学校の英語の授業のかなりの部分が英語で行われ、自信をもって英語で発言する生徒が増えている事例も多い。
○ このような取組を通して、中・高等学校において、教員、生徒間において学習到達目標を共有し、課題を把握することで、指導と評価が一体的に行われ、授業改善や英語力の向上などの成果が見られるようになった。
(2)課題
(小学校)
○ 外国語活動への取組が充実してきたものの、地域や学校、教員によりその趣旨の理解や指導方法・体制などに差があるという指摘がある。また、英語母語話者若しくは母語話者レベルの外国語指導助手(ALT)や英語が堪能な外部人材が授業へ参加する回数、それらの質的な確保の状況から、地域や学校によって指導面でのばらつきがある。
○ 小学校高学年は、抽象的な思考力が高まる段階であるにも関わらず、外国語活動の性質上、体系的な学習は行わないため、児童が学習内容に物足りなさを感じていることが指摘されている。また、中学生1年生の7割以上が小学校で「英語の単語・英語の文を読むこと」、8割以上が「英語の単語・文を書くこと」をしておきたかったと回答していることから、小学校・中学校の間で音声から文字への移行が円滑に行われていないとの指摘があった。
○ 小・中連携の観点からは、小学校において中学校での指導を意識した指導が、中学校においては外国語活動を踏まえた指導が不十分である。また、小・中連携の取組の内容は、情報交換が多く、連携の効果が期待される取組を行っている例は少ない。
○ 小・小連携、小・中連携の研修では、「学級担任等による外国語活動の参加・協議」や「外国語活動の在り方に関する共通理解、具体的な活動についての共通理解や体験」などに関する研修を4~5割程度の学校で実施している。一方、「年間指導計画」や「単元計画指導案」の作成、検討などを実施している学校は全体の1~2割弱となっており 、効果的な指導法や指導計画の作成に関する研修機会は十分とはいえない。
(中学校・高等学校)
○ 中・高等学校では、英語を理解し考えながら表現できるコミュニケーション能力を身に付けることを目標として設定している。一方で実際には「4技能を用いて何ができるようになったか」よりも、「文法や語彙等の知識をどれだけ増やすことができるか」という視点で授業が行われているとの指摘があった。
また、日常生活、風俗習慣、物語、地理、歴史、伝統文化や自然科学など現行の学習指導要領に示された題材の扱いや、単元ごとの目標設定が適切に行われていないとの指摘があった。さらに、文法がコミュニケーションを支えるものとして捉えられていない、又は英語による指導が十分でないため文法事項を言語活動と効果的に関連付けて指導が行われていない事例もあるとの指摘がある。
○ 中・高等学校の教員の英語使用状況や 、生徒が英語で言語活動をする場面の設定状況をみると、未だ英語によるコミュニケーション能力を育成するには十分ではない状況にある。生徒が英語に触れる機会を充実する観点から、教員自身の英語力を向上するとともに、英語で授業を行う取組を更に推進する必要がある。
○ 特に、中学校では、文法訳読に偏った授業が一部の学校に見られ、また、小学校からの学びが円滑に接続されていないとの指摘があった。題材を工夫して生徒が興味・関心を持つ身近な話題について題材を工夫して実際にコミュニケーションを行うことが授業の中心となるよう改善する必要がある。
○ CAN-DO形式での学習到達目標は、全ての学校において設定する地域と現時点でほとんど設定が進んでいない地域があるなど、ばらつきが大きいことから今後の指導における影響が大きいと考えられる 。また、CAN-DO形式で学習到達目標を設定はしていても、それが実際の指導や評価において十分には活用されていない事例が見られる。学習到達目標を設定する意義や方法を周知するとともに、年間指導計画・単元計画の作成、学習評価において活用され学校の指導改善等につながる取組として促す必要がある。
(CAN-DO形式での学習到達目標と学習評価)
○ 平成25年3月に文部科学省でとりまとめた「各中・高等学校の外国語教育における「CAN-DOリスト」の形での学習到達目標設定のための手引き」では、「外国語を用いて○○できるようになる」という観点から評価を行う場合、観点別学習状況の評価における外国語の4つの観点のうち、「外国語表現の能力」と「外国語理解の能力」を評価するのに適しているとした。また、「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」及び「言語や文化についての知識・理解」の観点は併せて評価する必要があるとされた。一方で、「○○できる」という能力記述文で示すCAN-DO形式での学習評価は、目に見える行動だけが評価の対象となってしまう危険があり、「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」及び「言語や文化についての知識・理解」の評価にはなじまないとの指摘があった。
○ 中・高等学校でそれぞれどのような指導と評価が行われているかについて互いに情報不足で、中・高等学校の連携が不十分であるとの指摘もある。発達段階によっても効果的な指導方法は異なることから、指導計画の作成や内容の扱いにおいて、学校段階間の学びの円滑な接続に関する課題について共有し、実際の指導・評価を改善する必要がある。
(3) 学習評価に関する改善の方向
(小・中・高等学校の共通事項)
○ 指導と学習評価については、外国語における次期学習指導要領の目標・内容の改善に伴い、その特性を踏まえた多様かつ実践的な授業を展開するため、子供たちの多様な実態と発達段階に即した柔軟かつ優れた指導方法や学習評価の方法を確立する必要がある。
○ 指導について、英語学習への動機付けを維持しつつ、児童生徒の学びが小・中・高等学校間で円滑につながるような指導を行うことが必要である。学習評価は、評価によって学習者に学ぶ意欲を喚起し、自信を持たせるとともに、今後の学習に向けた指針として示されることが重要である。学習指導要領に定める目標に準拠した評価では、教員に対し、児童生徒一人一人の学習の確実な定着のために意欲的に取り組めるような授業の計画と、指導の改善を継続的に行うことが教員に求められている。また、そのために評価方法の妥当性・信頼性を担保するための改善・工夫が必要である。
○ 外国語活動・外国語の目標は、1言語や文化に対する理解を深め、2積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、3「聞くこと」、「話すこと」、「読むこと」、「書くこと」などのコミュニケーション能力を養うこととされている。各学校では、学習指導要領の目標・内容に基づき、単元ごとの学習到達目標の設定と、それに沿った指導計画を作成するとともに、前述の1から3に沿った効果的な評価を行う必要がある。
○ また、生徒に求められる英語力向上を達成するため、指導計画の作成に当たり、前述の3の技能部分に係る具体的な学習到達目標はCAN-DO形式で設定する。その際、教科書等の教材、生徒の学習状況、授業時数等を踏まえつつ、それら全体構想を教員間で十分に共有しながら、学校及び学年・科目ごとの学習到達目標を設定し、指導方法や評価方法を工夫・改善する。
○ 学校教育法第30条2項で示されている「主体的に学習に取り組む態度」 を評価するには「関心・意欲・態度」において評価を行うこととされており、学力の重要な要素として評価を行う必要がある。このような観点から、英語教育の評価の観点である「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」について積極的に評価を行い、それらを育んでいくことは重要である。
(CAN-DO形式での学習到達目標と学習評価)
○ 観点別学習状況の評価における「関心・意欲・態度」は、独立してあるものではなく、「他の観点に係る資質や能力の定着に密接に関係する重要な要素でもある」とされ、対象となる学習の単元における4つの観点は、単元における学習と一体的に評価が行われる必要がある。
○ このため、「関心・意欲・態度」以外の3つの観点のうち、その単元の最も重視したい観点に示されている評価内容として、例えば、「外国語表現の能力」として「○○できる」とする観点から評価を行う事項を、「関心・意欲・態度」の項目として「外国語を用いて○○しようとしている」と表現を置き換え、その単元における両面からの評価を行うことによって、生徒がコミュニケーションへの関心を持ち、自ら課題に取り組もうとする意欲や態度を身に付けているかどうかを評価することが重要である。
○ 具体的な評価方法としては、筆記テストのみならず、面接、エッセー、スピーチ等のパフォーマンス評価、活動の観察等の効果的な評価方法から、その場面における生徒の学習状況を的確に評価できる方法を選択することが重要である。
○ 小・中・高等学校における効果的な指導及び評価の在り方について、これまでの先行的な取組における成果・課題や、「英語教育強化地域拠点事業」(H26年度~)の状況を検証し、得られた結果を次期学習指導要領の改訂から全面実施に至るまで活用する。その際、評価が学びの改善につながるようなPDCAサイクルの構築を進める。
○ 次のような方向性を踏まえつつ、今後、大学等と連携協力による小・中・高等学校を通じた先進的な指導・評価の取組を、国が積極的に支援する必要がある。
(小学校)
○ 小学校中学年においては、これまでの高学年における外国語活動の実績を踏まえつつ、児童の発達段階に留意した指導内容や活動の設定、他教科等との連携強化を意識した効果的な指導方法等を更に充実・強化していく必要がある。
○ 小学校中学年から外国語教育を開始することを前提として、言語や文化についての体験的理解に加え、英語学習への動機付けを更に高め、コミュニケーション能力の素地を養うとともに、小学校高学年から卒業時までにコミュニケーションへの積極性やコミュニケーション能力の基礎を身に付けさせる指導法等の在り方について検討する。
○ また、高学年においては、児童の英語学習への動機付けを維持しつつ、小学校の学びを中学校へ円滑に接続させるため、小学校と中学校の連携の効果が期待される相互乗り入れの授業、カリキュラムづくりの連携、共通理解を図り相互の効果的な指導計画作成などを行う合同研修などの具体的な小・中連携による指導を更に充実・強化していく必要がある。
○ 小学校段階における評価の在り方については、先行事例における活動型及び教科型の評価の状況を検証するとともに、外国語学習の初期段階であることを踏まえ、中学年、高学年、それぞれの発達段階を踏まえた学習評価の在り方を検討する。小学校中学年では、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成に重点を置いて、これまでの高学年における外国語活動の実績を踏まえつつ、発達段階を踏まえた具体的な学習評価の在り方を検討する。
○ 小学校高学年では、教科として位置付けるに当たり、外国語の特性及び高学年の発達段階を踏まえながら、文章記述による評価 や、目標に準拠した評価における観点別評価などの適切な評価方法について、総則・評価部会等における議論を踏まえながら、学校教育全体の中でのバランスをとる方向で引き続き検討する。
○ なお、高学年においては、 語彙や文法の知識量ではなく、パフォーマンス評価等を通して、
・言語や文化に関する気付き、
・コミュニケーションへの関心や意欲、
・コミュニケーションを図ろうとする態度
・「聞くこと」や「話すこと」などの技能
について評価することも考えられる。
○ また、中学校における入学者選抜に外国語を課すことは望ましくないとの指摘があった。小学校段階の外国語学習の目標を踏まえ、学習者に過度の負担とならないように十分配慮することが必要である。このことは、小学校と中学校の接続を検討する際にも極めて重要である。
○ 小学校高学年の外国語が教科となった場合、中学校における入学者選抜における外国語の扱いについて、引き続き慎重な検討が必要であるとの指摘があった。
(中学校・高等学校)
○ また、文法の解説や訳読に偏った授業が一部の学校に見られるとの指摘を踏まえ、生徒が基本的な知識・技能を活用しつつ、話される内容や書かれた内容を的確に理解し、それを基に、思考・判断したことについて、主体的に話したり書いたりするなど互いの考えや気持ちを英語で伝え合う言語活動を展開することが重要であるとの指摘があった。
そのため、教科書本文の題材や、扱われている言語材料を、生徒が関心を持てる身近な話題、例えば、他教科の学習内容や、学校生活における活動、地域行事、生徒の経験等と関連付けて扱うなどして、実際の生活において必要な場面を想定した言語活動を取り入れるよう工夫することも必要である。そのためには、生徒が、既習の言語材料を単に「知っている」又は「理解している」だけでなく、繰り返し活用する活動を日頃から展開することが必要である。あわせて、生徒が英語に触れる機会を一層充実し、生徒の理解に応じた英語を使いながら思考力・判断力・表現力などを高めるため、高校への学びに円滑につなげる観点から、主たる教材である教科用図書に加えて多様な教材を活用しつつ授業を英語で行うことを基本とする方向で検討する必要がある。
○ 高等学校でも、現行の学習指導要領に引き続き、授業を英語で行うことを基本とする。
その際、その狙いが「生徒が英語に触れる機会を充実するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため」であり、また同時に「生徒の理解の程度に応じた英語を用いるよう十分配慮する」ことを前提としていることを理解することが重要である。
○ 中・高等学校では、目標・内容の改善・高度化に伴い、CAN-DO形式での学習到達目標設定、扱う言語活動の高度化(発表、討論、交渉等)に対応した指導、パフォーマンステストを活用した4技能の総合的な評価方法等について検討する。
また、中学校では小学校の内容、高等学校では中学校の内容との関連を十分留意した指導・評価が行われる必要がある。連携の効果が期待される相互乗り入れの授業、カリキュラムづくりの連携、共通理解を図り相互の効果的な指導計画作成や評価などを行う合同研修などを通して、具体的な指導・評価方法等について検討する必要がある。
○ その場合、中・高等学校段階における評価の在り方については、コミュニケーションへの関心・意欲・態度とともに、「英語を用いて何ができるか」という表現力・理解力に関する視点も重視し、指導改善において活用する。パフォーマンス評価 や観察等などの具体的な評価方法について検討を行う。検討においては、これまでの観点別学習状況の評価とともに、各学校におけるCAN-DO形式での評価及びパフォーマンステスト等を活用した効果的な評価の取組を検証し、それらの結果を広く普及・活用する。
〇 さらに、学校における英語の資格・検定試験の活用促進及び客観的な質保証を図る観点から、資格・検定試験が中学校・高等学校等において適切かつ効果的に活用されるため、大学、高等学校、中学校関係者、テスト理論等の専門家及び資格・検定試験の関係団体が参画する協議会 が設置されており、学習指導要領との関係性、生徒の受検のしやすさ(経済的状況に配慮した受験料、地域バランスに配慮した実施体制、受験回数等)等を含めた指針の提示、国際水準となっているCEFRとの関係を考慮した4技能を測定する試験の情報発信等がおこなわれている。このような場において、関係者による必要な情報交換、協議が進められ生徒の英語力向上に資するものとなることが期待される。

5.教科書・教材の充実
(1)現状と課題
(小学校)
○ 小学校における外国語活動においては、国により作成された小学校外国語活動教材例、「Hi, friends!」が希望する約2万校の学校に配布され、地域、学校、学級の実態に合わせて工夫・活用がなされている。また、児童の多くが外国語活動の授業や外国語学習に対して肯定的であり 、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が育成されてきている。
○ 中学1年生対象による調査 では、外国語活動の授業で、「もっと学習しておきたかったこと」の回答の割合として、「英語の単語を読むこと」が77.9%、「英語の単語を書くこと」が81.7%、「英文を読むこと」が77.6%、「英文を書くこと」が78.6%であり、音声中心の活動に比べ10ポイントほど高い数値である。小学校の外国語活動で音声中心に学んだことが、中学校での段階で音声から文字への学習に円滑に接続されていないこと、発音と綴(つづ)りの関係の学習や文構造の学習に課題があるなどの指摘があった。
○ このような状況を踏まえ、小学校の外国語活動が導入されて一定の成果を上げているものの、中学校での学習への円滑な接続を考えると、小学校高学年段階において、文字の扱いや文構造への気付きなど、中学校との接続を意識した指導に有効な教科書・教材が必要である。
(中学校・高等学校)
○ 生徒の言語活動の充実と、4技能にわたる総合的なコミュニケーション能力を育成するためのものとして教科書が活用され、学習指導要領の内容が授業に生かされているかどうかについて検証を行う必要がある。
○ 現在の中・高等学校の教科書の中には、その構成上、結果的に文法事項の定着を図る様々な活動に分量の多くがとられており、題材や言語材料を活用しながら、説明・発表・討論することを通じて、思考力・判断力・表現力などを育成するような言語活動の展開が十分に意識されていないと思われるものも見られる。例えば、高等学校の「英語表現」では、文法事項や語彙、表現方法について学んだことを、生徒自らが、実際のコミュニケーションの場面を考えながら書いたり、発表したりするなどの授業展開ができるような構成となるよう改善が期待されるものも見られる。
○ 文法事項についても、言語活動との関係で十分な文脈が与えられていないため、実際のコミュニケーションの場面で、その文法事項を使うことができるようになるための構成になっていない場合が多いとの指摘もあった。
○ このような状況を踏まえ、学習指導要領に基づき総合的なコミュニケーション能力を育成する言語活動の展開を重視した教科書が多数発行されるよう、各発行者に対して十分周知するとともに、(2)で示すような改善が求められる。
(小・中・高等学校の共通事項)
○ 先進的な取組を行う一部の学校においては、タブレットPC 、電子黒板、テレビ会議システム等を活用し、教室内の授業や他地域・海外の学校との交流学習において児童生徒同士による意見交換、発表などお互いを高め合う学びを通じて、思考力、判断力、表現力などを育成する取組が行われている。
○ 学校におけるICT教育に必要な環境整備と活用は、一部の学校・地域では進んでいるが、全国的に見ると外国語教育におけるICTの環境整備と活用は十分と言えないとの指摘があった。英語教育の充実・強化に当たり、これらの充実を各自治体や学校、教員に促す必要がある。
(2)教科書・教材に関する改善の方向
(小学校)
○ 外国語教育については、音声や映像を活用した効果的な教材開発と、それらを活用して効果的に指導を行う指導力が必要である。先進的な取組も含めたこれまでの外国語活動の成果・課題を踏まえ、小学校中学年では、発達段階に応じた外国語活動に必要な教材の開発を行う。小学校高学年では、英語の教科化に伴って教科書の整備が必要となる。
○ 高学年における外国語の教科化に向けて、有識者会議の報告を踏まえてアルファベット文字の認識、日本語と英語の音声の違いやそれぞれの特徴、文構造への気付きを促す指導ができるような新たな補助教材を開発し、平成27年度より、国の「英語教育強化地域拠点事業」における研究開発校等において試行的に活用しながら、その効果を検証が行われる。中学年についても平成28年度より、読み聞かせを充実するため発達段階に応じて開発した補助教材の検証を行うこととなっている。
〇 小学校中学年の外国語活動導入、高学年の教科化 に向けて教科書が整備されるまでの間、国において、それらの検証結果を踏まえ、次期学習指導要領移行期に各学校において活用することを想定した中学年、及び高学年における中学校との円滑な接続を意識した新教材を平成28年度より開発、29年度に提示し、平成30年度には先行実施を行う小学校で活用できるよう作成・配布する必要がある
○ あわせて、それらを効果的に活用するためには、教員の指導力の向上が必要である。ICTを用いた指導方法についての研修の充実を図るため、授業の展開を明確にイメージできるような映像等を用いた指導事例の作成や研修教材・研修マニュアルを作成し、普及を図る必要がある。
(中学校・高等学校)
○ 今後の英語教育において求められる教科書・教材の内容や構成については、世界的に広く用いられている教材を参考にしつつ、英語が第二言語ではなく外国語である我が国の環境も踏まえ、英語で行うことを基本とした授業を通した総合的なコミュニケーション能力の効果的な育成に資する教科書・教材の開発が必要である。
○ 今後の教科書・教材については、授業において効果的にコミュニケーション能力を育成するため、文脈に位置付けられた文法事項などの言語材料と、言語の使用場面や働きを意識した言語活動とが総合的、かつ、効果的に関連付けられた授業をより一層展開しやすいように構成等を工夫することが必要である。
○ あわせて、言語材料については、小・中・高等学校を通じて、学校段階間の学習内容を十分留意して、比較的易しいものから段階的に繰り返し触れることによって定着が図られるものが望ましい。
○ さらに、できる限り多くの英語に触れる機会を増やして英語を英語のまま理解することができるようにするとともに、思考力・判断力・表現力などを養うという観点が重要である。
○ 教科書・教材の作成・活用に当たり、次期学習指導要領の改訂において、そのような趣旨をより徹底するとともに、教科用図書検定基準の見直しに取り組むべきである。
(小・中・高等学校に共通する事項)
○ 小・中・高等学校の外国語学習においては、効果的な学習方法として、先進的な学習教材の活用事例の共有、発信を行う。さらに、音声も含めた学習効果の高いコンテンツの導入、個別学習や協働学習 などの学習活動に応じた多様な教材や、ICT活用を推進するためのハードウェアの充実を促進する。
○ 教育の情報化の推進については、学校における情報機器等の安定的かつ計画的な整備を促進するため、第2期教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定)で目標とされている水準の達成に必要な所要額(平成26年度から4か年にわたり総額6,712億円)を計上した「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画(平成26年度~平成29年度)」に基づき、地方財政措置を講じることとしている。これを十分に周知し、英語教育を含むICT活用に必要な環境整備、学習用ソフトウエア、ICT支援員の活用について、地方公共団体における予算措置を促進する。
○ 国において「デジタル教科書・教材」の導入に向けた検討 が行われたことを受けて、検定の対象となる教科書には、より効果的な音声や映像などが活用されることを期待する。

6.必要な条件整備について
(1)現状と成果
(小学校)
○ 小学校では、学習指導要領において、
・指導計画の作成と授業の実施については、学級担任の教員又は外国語活動を担当する教員が行うこととし、
・授業の実施に当たっては、英語母語話者や英語が堪能な地域人材の活用に努めるとともに、地域の実態に応じて外国語に堪能な地域の人々の協力を得るなど、指導体制を充実することとされている。
○ 平成23年度に小学校高学年に外国語活動が導入されて以降、多くの学校で学級担任とALTなど英語が堪能な外部人材とのティーム・ティーチングによる指導体制の整備・充実が図られてきた。小学校の教員は、その養成課程で外国語教育に必要な指導法等に係る養成を必ずしも経ていないが、現職研修等で外国語活動の授業づくりの習得に努め、工夫を重ねながら特色ある教育活動を行って成果をあげてきた。
○ ALT等の外部専門人材は、現在1万7,000人(うちJET が4,000人であり、また、自治体の直接任用、労働者派遣契約、請負契約によるもの、その他の地域人材を活用するものなどを合計すると約12,000人)となり増加傾向にある。
○ 教員とALTの連携による取組としてふるさと教材の開発や、外国語以外の教科でもALTを活用する取組も見られる。
(2) 課題
○ 小学校では、授業準備等の時間確保、教員の指導力、学級担任とALT等の外部人材との打ち合わせの時間確保、小・中の連携の具体的な工夫などが課題として指摘されている 。
○ ALTについては、地域や学校、教員によりその取組に差があり、補助的立場にあるALTに指導を任せてしまうという事例もある。また、ALTの労務管理上、一部に学級担任等とALTとがティーム・ティーチングができない状況もある。また、ALTの指導力の質向上や、JET-ALTへの生活支援の充実、地方自治体における財政負担、活用状況の地域間格差(半年に1回程度しか訪問がない学校も)がある。
○ 小学校高学年の英語教育が教科化される場合、より専門性の高い教科指導を行う指導者の養成・採用が必要である。一方で、現状は、小学校で専科指導を行っている学校の割合は低く 、小学校教員で中学校外国語科の免許状を有する者は約5%という状況で、必ずしも英語教育に関わっていない。
○ これまでの小学校の学級担任を中心とした外国語活動における成果を十分に認識しながら、小学校における指導体制の在り方を検討するとともに、次期学習指導要領の改訂と並行して準備段階における専科指導者の養成・確保への支援が急務である。
(中学校・高等学校)
○ 高等学校における言語活動の高度化及び高等学校に円滑に接続することを前提とした中学校における基礎的な言語活動に対応できる指導力、英語コミュニケーション力、異文化体験等を有した教員の養成・採用が課題となっている。
○ 学習指導要領において、指導計画の作成に当たっては、ネイティブ・スピーカーや外国人などの協力を得ることとされている。一部の地域では、実際の言語活動においてALTを積極的に活用しコミュニケーション能力向上を図るなどの取組がなされているが、中・高等学校の授業におけるALTの活用時間の割合は低い状況にある。
(小・中・高等学校に共通する課題)
○ 小・中・高等学校の教員の多くは指導力を向上させたいと感じているが、地域における研修機会が少ない、多忙により参加できないといった状況がある 。
○ これまでの各学校での取組は、各英語教員個人の指導に任され学校全体でチームを組んで取り組むことが少なく、生徒指導、部活動などの対応もあることから、学校内外で教材研究や研修を行う時間の確保や、それら成果の共有ができない状況にあるとの指摘があった。また、国や地方公共団体の指定校の研究成果や、大学等との連携による質の高い養成・研修等に関する情報が蓄積されておらず、それらの効果的な活用がなされていないとの指摘もあった。
○ このような状況を踏まえ、子供たちが外国語を通じて積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するため、学校内における教員や外部専門人材がそれぞれ専門性を連携して発揮し、学校組織全体で一つのチームとして力を発揮することが重要である。また、大学や外部専門機関との連携により、英語教員の養成・研修を改善・充実することが必要である。
○ 英語教員及び英語が多能なALT等の外部専門人材の配置や、地域における指導体制について、地域間、学校間における差があるため、必要な支援体制として、地域の英語教育を推進する指導者の確保、教育委員会と学校間の連携による効果的な養成・研修の実施、英語の外部専門人材を活用など、地域における戦略的な指導体制の強化が必要である。
(3)指導体制に関する改善の方向
1 小・中・高等学校に共通する指導体制
(地域・学校における指導体制)
○ 各学校においては、校長の方針や各教員の取組によって意識や取組の差があることが指摘された。各学校においては、英語教育を担当教員任せにせず、校長がリーダーシップを発揮し、学校全体の取組方針を明確にした上で、全教員の共通理解を図りながら、中核教員を中心とした校内の英語教育に係る指導体制の強化に取り組むことが重要である。また、指導体制の強化においては、1効果的な教材開発とともに、2生徒のコミュニケーション能力を総合的に育成することができる指導者の確保を含めた充実が必要である。
○ 地方自治体においては、各学校における英語教育充実のため、学校や地域全体で取り組むことが必要である。例えば、市町村単位で、地域の指導的立場にある教員が複数の小・中学校を受け持ち、英語教育担当指導主事や外部専門家等とチームを組んで指導に当たるなど、地域の実情に応じた柔軟かつ効果的な指導を行う体制づくりが期待される。
○ また、優れた指導力を有する教員を、地域の研修講師や小・中学校の接続を前提とした専科指導等が可能となる「英語教育推進リーダー」として養成する。
○ このような体制の中で、小・中・高等学校の一貫した英語教育や、小学校の英語教育の専門性の向上等を推進することが期待される。具体的には、「英語教育推進リーダー」と英語教育担当指導主事等が中心となって、小・中・高等学校の連携による研修や、教員委員会と大学・外部専門機関との連携による研修などを実施するとともに、各学校を訪問し、指導計画の作成やCAN-DO形式での学習到達目標を活用した授業改善などについて指導・助言を行うことなどが期待される。
○ 国や地方公共団体の指定校の研究成果や優れた先進的な取組、各地方公共団体において目標設定・評価を行う取組 、大学等との連携による養成・研修等の全体の成果・効果、課題を調査・分析し、域内の研修や各学校への指導・助言に生かすことが必要である。
(4)小学校外国語教育における必要な指導体制の充実等
○ 小学校外国語教育の改善・充実においては、校長がリーダーシップを発揮し、学校全体の取組方針を明確にした上で、全教員の共通理解を図りながら、各学校の中核教員を中心とした校内の英語教育に係る指導体制の強化に取り組むことが重要である。また、指導体制の強化においては、1効果的な教材開発とともに、2児童のコミュニケーション能力を育成することができる指導者の確保を含めた充実が必要である。
○ 地方自治体においては、各学校における外国語教育充実のため、学校や地域全体で取り組むことが必要である。例えば、市町村単位で、地域の指導的立場にある教員が複数の小・中学校を受け持ち、英語教育担当指導主事や外部専門家等とチームを組んで指導に当たるなど、地域の実情に応じた柔軟かつ効果的な指導を行う体制づくりが期待される。
○ また、小学校の外国語活動において、ALTや外国語が堪能な地域人材とのティーム・ティーチングを行いながら、児童の実態把握を、その発達段階に応じて指導に生かすことができる学級担任が果たしてきた役割は重要であり、一定の成果を挙げてきた。小学校中学年へ外国語活動を導入する場合は、学校や地域の実情を踏まえ、学級担任とALTと専科指導を行う教員による授業や、学級担任と英語が堪能な外部人材とのティーム・ティーチングを行うなど柔軟な指導体制が整備されることが必要である。
○ このような環境の中で、小学校高学年の教科化においては、外国語の指導力を備えた学級担任や、専科指導を行う教員を含めた、より専門性を重視した指導体制について検討する必要がある。現在、小学校の学級担任の役割として、指導計画立案、教材準備、授業における児童への働きかけ、評価などが求められる。
〇 これまでも、英語教育の専門性を重視した体制として、1担任を持ちながら高学年の教科担任として複数学級の専科指導を行う教員が授業を実施(その場合、他の教科の教員と専門性が求められる授業を持ち合いで対応)、2担任を持たず高学年の専科指導を行う教員が学級担任と連携しながら授業を実施 、3中学校区を基盤として中学校の英語担当教員が校区内の複数の小学校と連携して、研修会や、専科指導者としてティーム・ティーチングに参加する授業を実施する事例 などが少なからず見られる。
○ 次期学習指導要領の改訂においては、このような事例を想定した指導体制が重視される。このため、指導者の養成・採用・研修の充実が必要である。また、小学校の指導者は、次期学習指導要領改訂も見据えた中長期的な観点から専門性を有する指導者の英語力・指導力向上が必要であり、教員養成の改革とともに、現職研修の抜本的な拡充、採用における取組の改善などを一体的に進め、指導体制の強化を総合的に進めることが重要である。
○ 小学校高学年における外国語指導に求められる指導体制を強化するため、求められる教員と外部人材の資質・能力・資格要件などについて、次のような観点から具体的な指導体制の改善を進めることが必要である。
・児童への指導に当たっては、外国語教育に関する専門性を前提としながらも、児童理解の観点、他教科等と連動した学習内容・活動を行う観点から、学級経営を基盤とした授業の実施等に対応できる指導者が求められる。
・小学校では、児童の実態をよく知る学級担任が重要な役割を果たしているが、高学年の教科を指導する場合、学級担任が外国語の指導力に関する専門性を高めて指導する、あわせて専科指導を行う教員を養成・確保することにより、専門性を一層重視した指導体制を構築する。
・外国語活動において役割を果たしてきた学級担任の中で、更に小学校高学年の専科指導にも当たることができるようにするため、小学校の教科化において必要な新たな指導法等とあわせて修得が可能となる講習の開設支援等を行う。例えば、小学校の現職教員が、中学校教員免許(外国語)を取得し、外国語の教科化に対応して専科指導が可能となる環境を整備する。
・小学校高学年における英語の教科化に当たっては、小学校教育を理解し専門性を有する適切な人材に特別免許状を積極的に授与し活用することや、中学校等の英語担当教員の退職者等の外部人材を非常勤講師として活用するための支援 を行う。
・加えて、外国語講師や、補助的な役割を果たす外国語指導助手(ALT) 、英語が堪能な地域人材等の活用など、地域の実情に応じた柔軟な指導体制を充実させることが必要である。
・小学校における外国語活動では、外国語を使った活動を通じて、人とコミュニケーションを図る大切さや楽しさを体験し、国際理解を図り、視野を広げることを目的として、英語が堪能な地域人材等の外部人材の活用などによる指導体制の充実を図る。
・小学校における学級担任と外部人材の連携については、それぞれの役割を明確にしつつ、適切かつ適正なティーム・ティーチング等が行われるための体制整備の充実を図る。
・小中連携の観点も踏まえ、中学校の外国語担当教員が、例えば小学校の外国語の授業に参加したり、小学校の教員が中学校の外国語の授業に参加して相互の授業を参観したり、授業をティーム・ティーチングで行う取組などを進め、互いに理解を図る連携を進める。
○ 小学校段階では、積極的に外国語を聞いたり話したりすることを重視する必要があり、専門性の高い教員との連携、外部人材やICTの活用を含めた教材開発等を通じて指導の充実を図っていくことが重要である。
(中学校・高等学校)
○ 中・高等学校における英語指導に求められる指導体制を強化するため、求められる英語担当教員と外部人材の資質・能力・資格要件などについて、次のような観点から具体的な指導体制の改善を進めることが必要である。
・指導に当たっては、英語教育に関する高い専門性を前提としながらも、他教科等と連動した学習内容・活動の実施等に対応できる指導者が求められる。
・授業は生徒の理解の程度に応じた英語で行うことを基本としつつ、習熟度別指導や少人数指導などの工夫を可能とする指導体制を確保する。
・授業を英語で行うことを基本とすることを前提に、会話からディベートやディスカ
ッションなどで、実際に英語を活用するという観点から、外国語講師やALT、地域
人材の活用などによる指導体制の充実が必要である。
・外部人材の活用に当たっては、専門性を有する適切な人材に対しては特別免許状を
積極的に授与するための方策を講じる。
(例)
・英語担当教員と外部人材に求められる役割の明確化、連携の在り方
・外部専門人材として、ALT、英語が堪能な地域人材などの活用促進方策(配置拡大、ガイドラインの策定等)・ALT等向けの研修強化・充実   等
○ 中・高等学校段階では、言語活動の高度化に対応するため、外部人材やICTの活用を通じて指導の充実を図っていくことが重要である。
(外部専門人材の確保)
○ 児童生徒が英語に触れる機会を充実するため、英語を母語とする外国人やこれに準ずる者を教員として受け入れ、単独授業を含む教育活動全般に登用していくことも必要である。各都道府県教育委員会においては、文部科学省が示した指針 も参考とし適切に基準を定め、各学校が特別免許状制度を活用した効果的な英語教育を行えるよう、外国人も含め英語力・指導力の高い外部専門人を活用することが期待される。
また、英語が堪能な地域人材や英語担当教員の退職者等を非常勤講師として活用する
ための方策も講じる。その際、自治体においては、必要な外部専門人材の確保が困難な学校もあることに配慮した適切な配置等を行うことが必要である。
○ 児童生徒が英語母語話者や英語が堪能な地域人材とのコミュニケーションを通じて、
(1) 標準的な外国語の音声に接し、正確な発音を習得する、
(2) 間違いを恐れずに、外国語で情報や自分の考えを述べるとともに、相手の発話を聞いて理解するための機会が日常的に確保されること
が重要である。そのため、外国語講師、ALT、地域人材等の活用など、指導体制を充実させることが大切である。少なくとも、次期学習指導要領の実施が想定される2020(平成32)年度の前年度までに、その質を確保しつつ、すべての小学校にALTが参画できるよう確保するとともに、その活用の在り方について学校や地域全体で十分に検討する必要がある。
○ その際、学校と、PTA、国際交流関係団体、NPO等との連携による地域人材の活用や、研修の実施とともに、それらを支えるコーディネーター 等の活用など、社会との連携・協働による取組を進めることが必要である
○ JETプログラムについては、地方公共団体における採用数がピーク時よりも減少している中で、集中的に配置支援を行いながら、その採用を促すことが必要である。
【JETプログラムの周知】
・平成26年度より。総務省・外務省と連名で、JETプログラムによるALTの活用促進について周知。
・JET-ALTと日本人教師とのコミュニケーションの円滑化を図るためのJETプログラム・コーディネーターの配置(地方財政措置)を奨励(H26年度より都道府県、H28年度より市町村にも新たに措置)。
・地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正に伴い、各地方公共団体に設置されることになった総合教育会議において、JET-ALTの計画的な配置・活用について、首長と教育委員会が協議・調整することも有効。
○ JETプログラムの任期を終了したALTには、引き続き国内で就職したり国内外で活動する日本企業に就職したりすることを希望する者も少なくなく、関係機関や産業界とも連携しながら、そうした取組を支援 する。
○ 外国語講師、ALT、英語が堪能な地域人材等の外部専門人材の活用において、それらの質を担保しつつ、効果的かつ、適切な運用を図るためのガイドラインを整備することも重要と考えられる。今後、モデルとなるガイドラインを策定し、地方公共団体、各学校において地域の実情を踏まえた活用を促す。
[策定にあたり留意する点]※ガイドラインは別途作成
・英語母語話者や英語が堪能な地域人材等の外部専門人材については、意欲と能力のある者を積極的に活用。
・生きた英語に触れる機会の提供や児童生徒の英語学習への動機付け、異文化理解促進の観点から、授業等に関する研修を受講、又は一定程度の学校における指導経験等を有する人材を活用することが望ましい。
・その場合、小学校においては、教員が学級運営の観点から、指導計画の作成、授業の実施、評価を主体的に行うことが重要。
・英語に堪能な外部人材については、外国語指導法等について少なくとも一定の研修を受けていること、又はそれに相当する経験等が必要(教員資格や外国語教授プログラム履修歴等)。   等
2 教員の養成・採用
ア  現状・成果
○ 小学校に外国語活動が導入されて以降、その特性から、小学校の免許状に関し、例えば、英語教育指導法は必須となっていない。
○ 中学・高等学校の免許状に関し、大学の教職課程では「教科に関する科目」として、英語学、英米文学、英語コミュニケーション、異文化理解が柱となっているが、生徒のコミュニケーション能力育成に必要な指導力を向上するための改善をすべきとの指摘がある。
○ 公立学校における教員採用に関し、英語(英会話)の実技試験は、中学校で66県市、高等学校で55県市が実施している。資格・検定試験の結果により、採用試験の一部が免除される県市は17県市となっている。現在、国は、教育委員会に対し、高度な英語力と指導力を有する者の採用を促している。
イ  課題
○ 小学校高学年の英語教育を教科化するに当たり、より専門性の高い教科指導を行う指導者の養成が必要である。
○ 中学校では、高等学校における言語活動の高度化及び高等学校に円滑に接続することを前提として、基礎的な言語活動に対応できる指導力や英語力をもった教員の養成・採用が課題となっている。
【文部科学省「英語教育実施状況調査(H25)】
・公立学校の英語担当教員の英語力について、英検準1級以上、TOEFL iBTスコア80
  以上又はTOEICスコア730以上の者の割合は、全国平均で、中学校で28%、高等
  学校で53%となっている。
・高等学校の「コミュニケーション英語Ⅰ」の授業で「発話の半分以上を英語で行っ
  ている」教員は53%となっている。
・これらの状況について、都道府県間で違いが大きい。
○ 英語教員の養成を通じて、英語力に関し、4技能を通じて高いコミュニケーション能力と指導力が修得されるよう、教職課程の質を一層向上させる必要がある。
○ 小・中・高等学校を通じた英語教育改革の実施に当たっては、指導者としての教員の資質能力を向上させる観点から、教職課程を見直す必要がある。あわせて、教員採用においても英語力・指導力の高い者を採用する必要がある。
ウ  改善の方向
(小学校)
○ 教職課程では、小学校中学年から外国語活動を導入するに当たり、その目的、目標、指導法、授業実践、教材開発・活用法、教室英語の活用などに加え、児童の発達、他教科等での学習内容、学級経営等についての知識理解等を取り扱う必要がある。
○ さらに、小学校高学年の外国語を教科化するに当たり、小学校段階で系統的な指導を行うため、児童の発達段階に応じた、英語を「聞くこと」、「話すこと」、「読むこと」及び「書くこと」の4つの技能にわたる総合的なコミュニケーション能力を身に付けるための英語指導力を高める内容が求められる。そこで、教職課程において英語指導法に関する科目を履修させることについて検討が必要である。その際、学習指導要領の内容を踏まえた指導計画の作成、模擬授業、教材研究、効果的な評価方法などの内容を含むことが必要である。
○ 具体的には、例えば、小学校における英語指導に必要な、基本的な英語音声学、第二言語習得、実際の場面で使うことができる語彙、表現、文構造、文法の特徴に関する理解と運用、異文化理解、発達段階に応じた適切な指導法、小学校における教室英語など教職課程において実践的な内容を扱う必要がある。
○ あわせて、実践的な指導力を身につけるため、ALT等とのティーム・ティーチングを含む模擬授業、小中連携に対応した演習や事例研究などが取り扱われることが必要である 。
(中学校・高等学校)
○ 中・高等学校の教員には、英語で授業を行うことを基本とした指導力の向上が求められることから、大学の教職課程においても、これを念頭においた英語力向上に取り組むことが望ましい。教育職員免許法施行規則において、教員を養成する外国の大学で修得した単位について免許状の授与を受けるための単位に含めることができることとなっていることも踏まえ、各大学において、例えば、英語の指導法について、在学中の海外留学において修得した英語教授法などに関連した学修に単位を与える取組が進められることが期待される。
○ 中・高等学校の教職課程においては、学習指導要領の内容を十分に踏まえた構成とすることが必要である。このことを踏まえ、大学の教職課程の柱となっている「教科に関する科目」である英語学、英米文学、英語コミュニケーション、異文化理解について、4技能を総合的に育成するために必要な内容を明確にし、教職課程における改善・見直しを行う必要がある。
○ また、これら4つの科目がバランスよく配置される必要がある。特に、英語の構造と機能を理解し、コミュニケーションを行うため、英語音声学、第二言語習得理論を含めた英語学、4技能を総合的に指導する英語コミュニケーションの科目が充実されることが期待される。また、教職課程における改善・見直しに当たり、言語学、語用論・コミュニケーション理論などの充実についても検討が期待される。
○ また、「教職に関する科目」においては、生徒の英語による言語活動が中心となる授業を展開する力が求められることから、4技能を総合的に育成するための指導法や、パフォーマンス評価等の評価方法などを含め、発表・討論・交渉などの言語活動の充実に対応した指導計画の作成、CBI など実践的な指導法、効果的な指導による授業実践の映像を活用した演習、模擬授業や教材の効果的な活用に関する研究などを求めることとする。あわせて、学校での優れた授業実践の視察・研究や、マイクロ・ティーチング等の授業実践など、より実践的な内容にする必要がある 。
○ 英語教員となる者は、英語力・指導力を高めるとともに、異文化理解・異文化コミュニケーションへの認識を深めることが重要である。このため、英語教員養成を行う大学においては、例えば卒業までに短期間の海外体験(語学留学、交換留学、海外インターンシップなど)の機会が得られるよう配慮することが期待される。今後、文部科学省で進めている「トビタテ!留学JAPAN」などを含め、在学中の海外留学を積極的に活用することを奨励する。
○ こうした取組を通じて、養成段階における教員志望者の英語力を高め、英検準1級、TOEFL iBT80点程度以上などとすることが期待される。
(小・中・高等学校で共通する事項)
○ 教員養成については、より効果的な英語教員養成カリキュラムの開発が必要である。例えば、小・中・高等学校、大学、地域社会が連携して小・中・高等学校で既に優れた実践をしている英語教員が大学で授業を持ち、新たなカリキュラム開発に参加するなどの取組を支援する。
○ 教員の英語力・指導力の向上のためには、新たな外国語教育に向けて、その養成段階から見直すことが重要であるが、あわせて現職教員の研修も充実すべきである。次期の学習指導要領改訂に向けて、中央教育審議会教員養成部会において指摘 されたことを踏まえ、引き続き、具体的な対応について検討を行う。
※ 中央教育審議会教員養成部会答申「   」(平成27年12月)「英語教育については、小学校における英語の教科化への対応や中学・高等学校の「話す」「書く」の指導力の向上を図るため、大学、教育委員会等が参画して養成・研修に必要なコアカリキュラム開発を行い、課程認定の際の審査や各大学による教職課程の改善・充実の取組に活用できるようにする。また、小学校中学年の外国語活動導入と高学年の英語の教科化に向け、音声学を含む英語学など専門性を高める教科の科目とともに教職に関する科目を教職課程に位置付けるための検討を進めるべきである。」
○ また、次期学習指導要領の改訂に向けて、小学校英語の教科化、及び中・高等学校における言語活動の高度化などに対応した「教職に関する科目」、「教科に関する科目」等のモデル・プログラムとなるものについて調査・研究 を行い、各大学等におけるカリキュラムの見直しに当たり、活用することを奨励する。
(採用)
○ 英語教員の採用に当たり、高い英語力と併せて英語による指導力を評価する実技試験や面接等の取組が進められることが期待される。
○ また、養成段階における取組にあわせ、英語力の高い教員を採用するため、採用段階においても、英検準一級、TOEFL iBTスコア80程度以上の者を採用するような取組が期待される。
○ 今後の小学校では、英語教育の方向性を踏まえ、当面、前述のように学級担任が専科指導を行ったり、高学年の専科指導を行う教員が学級担任と連携しながら授業を実施したりする指導体制が想定されるが、専科指導を想定した小学校教員の採用選考に当たっては、採用段階における英語力の基準を設定することや、海外留学の経験、面接試験、模擬授業などによる実技試験等によってコミュニケーション能力などの専門性を考慮した採用 の実施を奨励する。
(教員研修)
ア.現状と成果
○ 将来の小学校における外国語教育の充実や、中・高等学校における英語教育の高度化に向けて、平成26年度から、国において、外部専門機関と連携して研修を実施している。また、自治体における研修への補助も開始した。
○ この研修参加者について、多くの教員の英語力が向上し、「これからの授業を英語で実施したい」と考える教員が大幅に増加 している。
イ.課題
○ 優れた教員ほど多忙であり、研修への参加や他の教員への指導に集中できないとの声が多い。また、小・中・高等学校の教員の多くは指導力を向上させたいと感じているが、地域における研修機会は十分とは言えず、教育委員会と大学・外部専門機関との連携が十分と言えない など、更なる充実を図る余地があると考えられる。
今後、現職の教員は、これまえで受けてきた英語教育とは大きく異なる指導法や評価
を行うことが求められ、それらに対応できる研修を行う必要がある。
○ 教員の英語指導力向上のためには、教職課程の見直しを進めるとともに、現職教員についても、適切に英語力・指導力を向上し、英語によるコミュニケーション活動を行うことができるよう、絶えず学び続けることが大切であり、現職教員の研修を大胆に進めることが重要である。
ウ.改善の方向
○ 教員の英語力・指導力の向上のためには、小・中・高等学校を通じた新たな英語教育に向けて、その養成段階から見直すことが重要であるが、併せて現職教員の研修も充実すべきである。そのため次期の学習指導要領改訂に向けて、教員の意識改革を進めるとともに、新たな英語教育に対応した研修を確実に実施することが必要である。その際、ICTも活用しながら、効果的な研修を工夫することが不可欠である。
(小学校の教科化に向けた対応)
○ 現職研修の充実に当たっては、教育委員会と大学・外部専門機関等との連携を図る体制を構築し、継続的な現職研修や養成カリキュラムの開発・実施につなげていくことが必要である。その際、例えば、現職の小学校教員が、初歩的な文字指導、外国語によるコミュニケーション活動、小中連携に留意した指導などが可能となり、外国語の教科指導に自信を持って当たることができるよう教科化に対応した新たな指導法等の修得 が可能となるよう、国は次のような研修等の支援を行う必要がある。
1小学校教科化に対応した「免許法認定講習」の開発・実施への支援等を行い、教科化に対応した新たな指導法等の習得とともに、中学校教員免許(外国語)取得が促進される環境を整備する。その講習を受講した教員は各校の「中核教員」として、教科化に対応するための校内体制の整備、校内研修等の実施などを担うことが期待される。
2 小学校教員が新たな指導法等の理論と実践の基本を学ぶことが全国どこでも可能となる放送大学など通信を活用した学習環境を整備する。
3「英語教育推進リーダー」研修を通じた実践的な映像資料の提供、新たな教材を開発・提示し、校内研修等において、それらが効果的に活用されるよう支援する。
(小・中・高等学校で共通する事項)
○ 平成26年度から開始した国による「英語教育推進リーダー」研修を受講した教員を中心に、次期学習指導要領の改訂に向けた域内研修の体制を充実し、研修成果を確実に波及させることで、域内教員の英語力・指導力を向上する。
「小・中・高等学校の英語教育推進リーダー」に期待される役割
国による「英語教育推進リーダー」中央研修(外部専門機関と連携した英語指導力向上事業)を修了し、
・各地域において「英語教育推進リーダー」が講師として各校の「中核教員」等を
対象に行う研修・助言
・地域の研究会・研究授業等における講師・助言者  等
「小学校の中核教員」に期待される役割
・校内指導計画の作成、校内研修、教材研究、指導方法・評価の共有・改善のため
の日常的な指導・助言、カリキュラム・マネジメント、専科指導 等

○ 国・地方公共団体による地域の教員研修のシステムづくりに当たっては、地域の中心となる「英語教育推進リーダー」の養成とともに、そうした者が地域の研修の企画・運営に参加することが可能となるよう、後補充の定数措置や非常勤講師等外部専門人材の活用への支援を充実する。その際、研修の質の改善のため更なる取組を支援する。
○ 学級担任はじめ全教員が外国語教育に関する研修を受けられるよう、例えば、「中核教員」等が行う校内研修において活用される、具体的な授業の展開を明確にイメージできる映像等を用いた指導事例の作成や研修教材などの支援を充実する。
〇 研修に参加する教員の研修効果が高まるよう、その目的・趣旨等の周知徹底を図る。あわせて教員の負担軽減を図るため、研修期間を夏休み等に集中して行うことや、単位制にするなど、教員が研修に参加しやすい環境整備が必要である。
○ 引き続き、次期学習指導要領改訂に向けて、全体の現状や、学校、大学、教育委員会、学会等の関係者の意見を踏まえつつ、中央教育審議会等の場において、教育課程及び教員養成などの観点から、専門的に検討を行うとともに、先行して実施可能な取組について支援の充実を図る。
○ 研修に参加する教員の研修効果が高まるよう、その目的・趣旨等の周知徹底を図る。併せて教員の負担軽減を図るため、研修期間を夏休み等に集中して行うことや、単位制にするなど、教員が研修に参加しやすい環境整備が必要である。
○ 授業において、ICTを効果的に活用するためには、教員の指導力の向上が必要である。ICTを用いた指導方法についての研修の充実を図るため、授業の展開を明確にイメージできるような映像等を用いた指導事例の作成や研修教材・研修マニュアルを作成し、普及を図る。
○ また、教育委員会と大学が連携した研修内容を「免許法認定講習」や「免許状更新講習」 へ位置付けていくことを奨励する。
 

お問合せ先

初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室

(初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室)

-- 登録:平成28年09月 --