教育課程部会 外国語ワーキンググループ(第8回) 議事録

1.日時

平成28年4月26日火曜日10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 外国語教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

<未定稿>
【吉田主査】  それでは,定刻となりました。まず,会議に先立ちまして,今月14日より続く,熊本県を中心とした九州地方での一連の地震によって,尊い命を落とされた方々の御冥福をお祈り申し上げます。それと同時に,被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げます。現在,我が国では,被災地において昼夜を問わず救命・救助活動を行っておられる関係機関の方々をはじめとして,国を挙げて多くの人々がそれぞれの持ち場で支援に当たっておられます。被災者の方々の一刻も早い救援を心からお祈り申し上げます。
それでは,ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会外国語ワーキンググループ(第8回)を開催いたします。
本日は,事務局より資料の確認の後,本ワーキンググループにおけるこれまでのまとめを行うため,教育課程部会等で提示された資料を基に,さらに御意見を頂きたい論点について御議論いただく予定でおります。
それでは,まず,事務局より資料確認と平成27年度英語教育実施状況調査,それから,小学校の新たな補助教材等についての御報告をお願いいたします。
よろしくお願いします。
【圓入室長】  それでは,資料の御確認をお願いしたいと思います。お手元の議事次第を御覧いただければと思います。
配付資料でございますが,資料1は,いつもこれは更新させていただいております主な意見,分厚うございますけれども,それを続けます。
次の資料2の方は,第1回から配付させていただいております。本ワーキンググループで検討いただきたい主な事項でございます。
資料3でございますけれども,きょう,御議論いただきたいということで,事務局で御用意させていただいた資料でございまして,外国語ワーキンググループにこれから取りまとめを行っていただくということでございますが,そのためのイメージということで,骨子のような形でのものを御用意しております。クリップで留めておりますのは,きょう,御議論いただきたい論点の参考資料というものをそのまま添付しておりますので,後ほど御紹介いたします。
資料4も,きょう,御議論いただきたい主な論点の関係の資料でございまして,外国語教育における目標から学習プロセス,評価というものを国と学校という視点でのイメージというものを改めて整理いたすための資料を御用意しております。
資料5につきましては,今後のスケジュール,資料6につきましては,御参考ということで後ほど発表させていただく英語教育実施状況調査でございます。
続けて,御報告事項を御説明させていただければと思います。まず,机上の方のみの資料配付となっておりますが,茶封筒の中に小学校の3・4年生の絵本を配付させていただいております。こちらは,昨年度になりますが,秋以降中心になりますけれども,こちらのワーキンググループで一度,年間の小学校3年生からの指導計画(案)というものをイメージでお出ししております。その一部を絵本化させていただきまして,今現在,26年度から先行して,次の学習指導要領の方向性を捉えながら,先取りした取組をしていただいている学校で御活用いただきまして,その結果を,また今年度におきましても途中で検証をさせていただいて,その次のステップとしては,学習指導要領の改訂というものが今年度末に予定されておりますので,そういった方向も踏まえまして,補助教材でなくて,新しい教材の開発というところに生かさせていただきたいと考えているものでございます。後ほど説明の紙を置いてありますので,御参照いただければと思います。
それから,きょう,御提供いただきましたのはピンクの冊子で,済みません,分厚うございますけれども,後ほど郵送させていただきたいと思いますが,投野委員から,これは科研費による研究ということでの成果の報告書を頂いております。これは以前にも,ワーキンググループでも一部御紹介を頂いておったかと思いますので,机上に配付させていただきました。
それから,資料のきょう,お配りしております6番になりますが,英語教育の実施状況調査を少しだけ御紹介させていただければと思います。それはここ四,五年ほどでございますが,間が抜けている部分もありますけれども,調査を続けさせていただいているものでございますが,27年度,これは12月1日現在ということで調査した結果をこの4月の初めに公表させていただいたものでございます。
毎年実施するということで,以前は全国平均的なところを公表させていただいておったんですが,内容の方も少し御覧いただければと思いますけれども,英語教育の実施状況調査ということで,アンケート形式によるものでございますが,生徒の英語力,教員の英語力,それから,CAN-DOリストがどのくらい各学校で設定されているか。それから,英語の授業の時間における使用状況,英語担当教員の使用状況というようなことを,平均値を概要の方にお示しをさせていただいております。ちょっとこのきょう,印刷したものの最後の方に,さらにまとめた概要というものを付けておりますので,少し御参照いただければと思いますが,併せて4つのデータを県別で公表させていただいております。こちらにつきましては,昨年,一昨年は教員の先生方の英語力ということで,第2期教育振興基本計画に提示されております英検準1級程度ということでの状況というものを県別でお示しをさせていただいております。今回は,4つまでに増えておりますが,生徒さんも,英語力というものも,これはアンケートでございますので,各学校,教育委員会さんの方針に沿って,英検何級程度というものを御報告を頂いているものでございます。
いろいろな御意見もあろうかと思いますが,背景としては行政改革,行政事業レビューの指摘も受けながら,こういったものをお出ししておりますが,一番の趣旨といいますか,目的といたしましては,こういったデータをお示しすることで,高かった,よかったとか,そういったことではなくて,いろいろな英語教育に関わる教育施策の取組の状況を公表させていただいて,各地域,今回は都道府県でございますけれども,どういったところに課題があるかということを,改めていろいろなデータを見ていただきながら検証していただき,その課題に対して,次のステップにはどのように改善が進むかということを検討いただくという趣旨で提示をさせていただいております。
今回,併せて各都道府県,全県でございますが,英語教育の改善プランというものを策定頂きました。これまでは数県,作っておられなかったんですけれども,それも文部科学省の方で全て公表をさせていただきたいと考えております。こういったことで,国の方でも,今回の資料の中でも,評価まで含めて議論いただいておりまして,そのPDCAサイクルを確定するということもうたわれておりますが,各地域におかれましても,こういった調査結果を参考に,それぞれの課題,検証,検討ということで,次の改善というための方向性を打ち出していただくというPDCAサイクルを地域で確立していただくということでの趣旨を,まだまだ十分御説明し切れておりませんが,各教育委員会さんにもお伝えをさせていただきたいと思っておりますので,御参照を頂ければと思っております。
御報告は以上でございます。
【吉田主査】  ありがとうございます。今の御報告について,何か皆さんの方から御質問なり,御意見ございますでしょうか。既にある程度,この資料に関しては皆さん御存じではないかと思いますけれども,何かございますか。よろしいでしょうか。
それでは,続きまして,資料3の外国語ワーキンググループのまとめの骨子について,事務局より説明をお願いしたいと思います。
【圓入室長】  それでは,資料3,クリップ留めしてありますものを御覧いただければと思います。これが最初にお話しいただきたい資料でございますが,外国語ワーキングにおける取りまとめのイメージということでございます。この資料,ホチキス留めしているものの後ろにもう1枚付いております。併せて御覧いただければと思います。後ろに付いております一枚物の横のパワーポイントの絵でございますが,これをまず御説明いたしますけれども,次期学習指導要領改訂に向けた検討の進捗状況,現在の検討の状況というのを書いておりますが,先日来,教育課程部会小学校部会でも提示されている資料でございまして,今後でございますけれども,各教科のワーキンググループごとにおきまして,右側の1番から6番という柱で,これは教科横断的な論点ということもございまして,この柱で議論していただき,まとめに入らせていただくという予定をしております。ですので,きょう頂いた御意見をさらにこれまでの意見とともに整理をさせていただきまして,5月30日が次回でございますが,次回には全体のこの1番から6番までの骨子になっておりますが,基に文書を提示させていただいて,次回,御議論いただくということを想定しております。
それで戻りますが,最初の資料の外国語ワーキングにおける取りまとめイメージということで,資料を御覧いただけると思いますけれども,こちらも1番からまず6番という柱を立てております。最初の破線の囲みですが,言わずもがなですけれども,こちらのワーキングで今まで御議論いただいたことにつきましては,外国語ワーキングで1月12日に一旦まとめていただいておりますけれども,その後,小学校部会ですとか,関係部会にも報告を頂いているという内容がございますし,また,26年9月にまとまっております有識者会議の報告も前提にということで議論がスタートしておりますので,これまで第7回まで頂いた御意見と併せて整理をさせていただきたいと思っております。
その中でも,この1番から6番までの柱の中でまだまだ,少し教科横断的な事項として十分御意見を頂けていない事柄がございますので,それを中心にということでのこの紙の整理をしております。
1番は,いろいろと頂いておりますデータもございますので,その状況を基に整理をしていきたいと思いますが,2番,3番を御覧いただければと思います。育成すべき資質・能力を踏まえた教科課程の構造の在り方とカリキュラム・マネジメントと。これについては,特にこれまで小学校部会の報告というのがございましたので,短時間学習,柔軟なカリキュラムの設定ということでの意見というものは一度,まとめさせていただいておりますが,小学校に限らずということだと思いますけれども,外国語教育を充実するためのカリキュラム・マネジメントの意義や,効果的な実施の在り方ということを1つ,論点に挙げさせていただいております。
また,次の3番でございますけれども,育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方についてでございます。こちらにつきましては,前回,少し資料も御提示をしておりますけれども,まだまだ十分そのときに御意見を頂けていないと感じておりまして,特に他教科の検討の状況も見ながら,きょうはとりあえず御参考ということで頂きたいので,3行ほど書かせていただいておりますけれども,各教科毎に,外国語教育の特性に応じて育まれる見方,考え方ということで,どのようなプロセスを経て「深い学び」につながるかということで,菱形のところを御覧いただきたいと思いますが,「外国語の学習を通じて,言語やその背景にある文化を尊重し,聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながら,情報や考えなどを活用して,幅広い話題について外国語を話したり書いたりして適切に表現し合うこと」ということで,その見方,考え方を一旦書かせていただいております。
後ほどざっと見ていただきたいと思いますが,別添形式でパワーポイントの資料,前回もお出ししたものも加えさせていただいておりますが,きょう御議論いただきましたら,各教科ともそういったものを作成されているんですけれども,それに反映をさせていただきたいと考えております。
次の(2)でございますが,これはこれまで三つの柱で資質・能力の整理というものをしていただいておったかと思います。それについても,改めて全体を見渡して御議論いただきたいということでございます。後ほどちょっと別添の資料で御説明させていただきたいと思います。
それから,次のページ,2ページ目をお開きいただきたいと思いますが,資質・能力を育む学習過程の在り方ということでございます。きょう,先ほど追加でお配りした,これは以前にもお配りしているんですけれども,3月14日の総則・評価部会の資料1-1の方も御参照いただきながら,改めて御意見を頂ければと思います。アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の育成との関係について,特に「深い学び」を実現する観点からということで,アクティブ・ラーニングの3つの視点と授業改善という柱と,それから,先ほど御紹介しました2ページ目には,各教科の特性に応じ育まれる見方や考え方の方向性,3ページ目にわたって書かれております。こういったことを踏まえながら,教科横断的にということで,今,議論が各教科ワーキングで進んでおるという状況でございますので,こちらの外国語教育の中でも御意見をさらに頂ければと考えております。
次の(4)でございますが,「目標に準拠した評価」に向けた評価の観点の在り方でございます。こちらも同じように,総則・評価部会でお配りした資料,後ろの方に,学習評価の改善に関する主な論点ということで,これも以前,お配りした資料が付いておりますけれども,これに沿ってさらに整理をさせていただければと思っております。特に外国語教育におきましては,小さな字で書いておりますが,評価の3つの観点というのもございますけれども,各学校におきまして,これから学習到達目標を設定するということで御意見を頂いておりますので,国と学校段階でどのようにそういったものを縦串,横串で整理をしていくかということについて,本日も少し議論を頂ければと思っております。
続きましては,3ページでございますが,4番で資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実ということでございまして,こちらにつきましては,各教科とも求められているのが科目構成の見直しをするもの,特にこれは高校をイメージしておると聞いておりますが,こちらについても,後ほどの2つ目の議題といたしまして,中・高校についてももう少し議論を頂きたいと思っておりますので,そこでの議論をこちらの柱の中に整理をさせていただきたいと考えております。
あとは(2),(3)と続いておりますが,こちらについても,是非関連して御議論いただければと思います。
5番目は,学習・指導の改善充実や教材の充実ということでございますが,ここにつきましては,一度,特別支援教育ということで入れさせていただいておったと思いますが,まだ,小学校の外国語活動の例ということで,その配慮の例というものをお示ししているのみでございまして,まだまだ議論,もう少し御意見を頂ければと考えております。
それから,「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」に向けた学習・指導の改善充実ということで,こちらについては,ICTをより積極的に活用しながらということでございましたので,前回もICTの活用の資料ということでお出しをしているんですが,まだまだ御意見,十分頂ける時間がなかったということもありますので,本日も御意見をいただければと思います。
さらに(3)では,教材の在り方ということでございますが,こちらについては,前回まで小学校の教材,教科書,教材の在り方についても,今まで,御議論頂いていたり,それから,中・高の教科書の改善ということもいろいろと御意見を頂いておりますので,後ほど中・高の改善の議論をしていただくときにも,御意見を関連して頂ければと思っております。
最後に6番でございますが,必要な条件整備ということで,こちらについても,小学校部会に御報告させていただいている資料には,養成・研修・採用という方向性,それから,ALTの活用ということも書かせていただいておりますけれども,これについても御意見があればということで構成しております。
最後のページ,裏面を御覧いただきたいと思います。今,これまで御説明させていただいたものは,教科横断的な柱ということで一定の構成が示されておりますので,これで一旦まとめさせていただきたいと思っておりますが,それとは別に,外国語ワーキングとして,やはり様々な論点がございまして,しっかり書かせていただいた方がいいと思いますものございます。丸で並べておりますが,これも今まで御議論いただいて,順番に頂いた論点でございますけれども,これについては,まとまった形で議論の詳細ということで,また別立ての別紙で,もちろん一体でお示しをしていきたいんですけれども,しっかり書かせて整理をさせていただきたいと考えております。後ほど中・高の御議論もございますし,小・中・高一貫して,やはりまだお気付きの点などもあろうかと思いますので,後ほど御議論を頂ければと思っております。
それ以外の資料,ざっと御説明させていただきたいと思いますが,ダブルクリップで留めている資料,ほとんど参考資料に近いものでございますけれども,少しめくっていただきますと,参考ということが右肩に書いてあります。中・高校における現状・課題の改革の方向性ということでございます。これについては,恐らく後ほどの議事進行では分けて議論いただくことになるかと思いますけれども,これまで委員の先生方からプレゼンテーションをしていただいたこと,それから,御意見なども踏まえて,その骨格となるようなものを,きょう,御議論いただくために参考として御用意させていただいております。
特に2番目以降につきましては,中学校,高等学校ということで論点を用意しておりますが,中学校につきましては,小・中の連携という点では,御意見いただいたものは小学校部会に御報告しておりますけれども,中学校は例えば,小学校が教科化されたことを踏まえまして,どこからスタートすればいいのかといったような,そういったこともよくお問い合わせがあるんですけれども,もう少し中学校そのものの議論をしていただければということと,2ページ目以降は,高等学校のことを書かせていただいておりますけれども,一度,もう御提案を頂いているものと,それから,科目の見直しの方向性というのは,先ほどの横断的な項目にも入っておりましたけれども,その方向性をもう少し文章化させていただきたいと考えておりますので,論点を御提示しております。また,中・高につきましては特に教科書・教材の改善・充実という御意見があったかと思いますので,そういったものを掲げさせていただいております。
さらに参考資料を御覧いただければと思いますが,この横書きの目次で,大きな文字でございます外国語ワーキングにおける取りまとめイメージの別添資料というものをきょう,御用意しております。これはこれまで毎回,追加をさせていただいておりましたけれども,先ほど申しました取りまとめのイメージの後ろに付いてくるような資料ということで,各教科ともこれに近い形で資料を御用意して,議論されているという状況のものでございます。
改めてこれは変更したところを中心に御覧いただければと思いますが,2ページ目の方をお開きいただきますと,資質・能力の柱に沿って整理をしていただいたものでございます。これが先ほど最初に御説明いたしました,三つの柱で整理をするというところでございますけれども,全体の議論の進捗や他教科との関係も拝見いたしまして,もう少し整理を明確にした方がいいというところ,主に赤字を中心にして入れさせていただいております。
例えば,今,委員の先生方の中には言語能力向上の委員会に御参加いただいている方もいらっしゃるかと思いますが,その言語能力向上ワーキンググループの中で示されている資質・能力の整理の方向性なども踏まえて,少し知識・議論のところを明確にさせていただいたり,それから,総則・評価部会,他部会でも御議論があります,学びに向かう力,人間性というところでございますけれども,今まで関心・意欲・態度だったところを,これからは主体的に学びに向かう態度ということで,どのような支援をしていくかというところを少し整理をさせていただいたものを添付させていただきますので,後ほど御意見をいただければと思います。
さらに,少し飛びますけれども,8ページを御覧いただければと思います。これも各教科とも同じような形で御提示をして,議論をされておりますが,学校段階別に,最初の3つの資質・能力の柱に沿って,どのような目標といいますか,教育の方向性とするかということを表したものです。これはたたき台ということでございますので,そういう御議論を頂ければと思いますが,最初に御説明いたしました,各教科の特性に応じ,育まれる見方や考え方というものをこの二重丸のあたりで少し触れながら,どのような資質・能力を育成するかということで,1,2,3と3つの方向性というものをお示ししております。教育の目標に該当するようなところになるかと思いますけれども,これも3つの資質・能力の柱に沿って整理をしていくという形で表させていただいております。その下に,その目標を踏まえた具体的な指標形式の目標を提示していくという構成で整理をさせていただきました。
少し飛ばせていただきますが,10ページ,11ページは,前回も御紹介したものですけれども,今,横断的に議論が求められている物の見方・考え方というところがきょう,御議論いただいて整理をされましたら,こちらのページもそれに合わせて修正をさせていただきたいと思っております。
それで少し,12ページ以降は修正を今回しておりませんので,御説明は省略いたしますけれども,全体のそういった教科横断的な柱に基づいて修正をしましたら,この12ページ以降も合わせて,もう一度洗い直すといいますか,見直しをして,次回,御提示をさせていただければと考えております。
その上で,18ページは,高校の科目の見直しも,これは以前お示ししたものです。後ほど御議論に活用いただければと思います。
最後の24ページは,観点別評価の整理ということで,ちょっと赤字になっていないんですけれども,最初に申しました整理の仕方をすると,この評価の観点も,また整理をし直していく部分が出てきますので,それに合わせて少し修正を加えておるものでございます。
25ページは前回と変わっておりませんが,御参照いただければと思います。
ちょっと説明が長くて恐縮ですが,それに合わせて,きょう,御用意しております資料として,資料4がございますので御覧いただければと思います。資料4は,外国語教育における目標,学習プロセス,評価の構造ということで,また,絵を用意しておりますけれども,この1ページ目に,最初に申し上げましたように,国の目標から評価の方向性,それから,それが学校にどのように落ちていくかということで,学校の目標からCAN-DOの位置付け,それから学習指導案の作成ということで,国がお示ししている,今,学習プロセスを経てどのように,例えば学習指導案を作成して進めていただくかと。それから,学習評価がどのようになるかということを表しております。
2ページ目以降は,小・中・高ということで,現行の指導要領も少し活用させていただきながら,仮にこの方向性で案をお示しをさせていただくとすればということで,イメージを添付させていただいておるところでございます。これにつきましては,先ほど申し上げましたように,教科横断的に資質・能力の整理をする,目標を整理するというところと,これまでCAN-DOというと,25年3月に文部科学省の方で手引をまとめており,その後,各都道府県でも研修を経て,今回,100%策定されているようなところがたくさん出てきておりますが,そういった蓄積もございますので,学校の視点も含めてどのような形でCAN-DOを位置付けるか。今ここでは「~することができる。」,「~している。」と表現しておりますけれども,上の目標に照らし合わせて見ていただきますと,ここは知識・技能のところから思考・判断・表現というところで,「~している。」,「できる。」というところを入れておりますが,こういったところをきちんと学校の目標として位置付けていただく,明確にしていただくと。それに沿って,単元ごとなのか,複数の単元にわたった目標や評価基準というのがあろうかと思いますけれども,その関係性などを,きょう,是非これまでの蓄積を踏まえて御意見を頂いて,整理をさせていただきたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【吉田主査】  ありがとうございました。かなりいろいろございますけれども,まず,きょうの審議の方向ですけれども,まず一番最初に,先ほどの資料3の3番目,先ほど指摘もありましたけれども,育成すべき資質・能力を踏まえた教科・科目の目標と評価の在り方について,これの特に1番の評価等の特色に応じ育まれる見方や考え方ですね。「深い学び」というのは見方や考え方と捉えているようですけれども。それと,2番目の小・中・高を通じて育成すべき質・能力の整理と,教科等目標の在り方についてなどの教科横断的に検討が求められている論点について,まず最初に御議論を頂きたいと思っています。
それから,その後,一旦そこで区切って,資料3の参考として,今,いろいろ御説明いただきましたけれども,中・高等学校における現状,課題,改革の方向性について御議論を頂き,そして,最後に,まとめに向けて全体にわたって御意見を頂きたいと思います。
それでは,まず教科横断的に議論を求められている論点について,御意見,御質問等ございましたら,大体11時5分前後まで使って御発言いただけたらと思います。また,いつものように,御意見のおありの方は名札を立てていただければと思います。どなたからでも構いませんので,まずは,この資料3のところを中心に議論していきたいと思います。どなたか何かございますでしょうか。
何かございますか。どなたからでも。
一応この資料3の(1)のところに,参考というので,たたき台という形で書いてある文言がまずございますので,それをまず1回,ちょっと読んでいただいて,これでいいのか,もう少しこういうことを考えなきゃいけないんじゃないかとか,もっとこういうふうに工夫する必要があると,御意見がありましたら是非頂きたいと思いますが,いかがでしょうか。
1番だけでなくて,2番のところも,資質・能力の三つの柱ということで一応書いてございますので,その辺も含めて何かございますか。全体として,やはりこの部会では,結構技術的な面だとか,CAN-DOであるとか,そういう語学教育に直結している部分が非常に多く議論されてきたかと思うんですが,もう少しこういう「深い学び」に相当する部分ですか,そういうことについての御意見が頂けるといいのかな。ほかの教科に関しては,その辺をかなり議論しておられるというところがありますので,いかがでしょうか。何かございますか。
じゃ,どうぞ石鍋さん。
【石鍋主査代理】  まず,中学校の状況を見ますと,三つの柱の中で思考・判断・表現という部分がなかなか深まっていない実情が私の学校も含めございます。それは英語だけではなくて,もう国語科でもそうですし,数学でも,理科でも,ほかの教科でもそうなんですけれども,実際に獲得した知識や技能をどのように活用して思考・判断・表現につないでいくかというところは,非常に難しいなと考えているのは実情です。ただ,それはきちんと意識をしなければ,いつになってもその力を付けることができないということで,今,この外国語の(1)番のたたき台を見てみますと,私なりに考えられるのは,1つは,様々なものを活用すると書いてありますけれども,表現し,伝え合うことという,中学校の英語の授業を見ていても,伝え合いまで本当に行っているのかと,自分の思いとか願いを入れて伝え合いまで行っているのかと。一方的に伝えている部分はあったとしても,どうしても相手の気持ちをここに出ているように配慮しながら,やり取りができているかというと不十分な部分はあるんだろうと思われます。その辺をやはりこれからの学習指導要領等にどのように表記していくか,そのあたりは1つのポイントになろうかなと。それがないと,また知識・技能獲得中心に行ってしまいがちかなと感じます。
もう一つは,校長としての話なんですけれども,中学校になりますと当然のごとく教科担任制になりますので,カリキュラムを横断的に考えるというのは,かなり校長が意図的に教員に対してPRをしていく必要があります。そうでないと,どうしても教科の中で教員は考えてしまって,思考・判断・表現を1つ例にとったとしても,国語科での思考・判断・表現で考えを終着まで持っていってしまうという嫌いがあると思うんですね。ですから,そのあたり,どうして国語科ではこういうことをやって思考力・判断力・表現力を高めようとしているのか,深めようとしているのか,それを英語科で何か使うことはできないのか,そういったような意識を持って,校長がリーダーシップを発揮しなければならないというところで,これは総則とかそういったところに書いてもらうことになるかもしれませんけれども,非常にポイントは大きいなと思っています。
ちょっと感想めいたことになっちゃって,まとまりないですが,ひとまず口火を切らせてもらいました。
【吉田主査】  ありがとうございます。今,最後におっしゃったことは,まさにきのうの小学校部会でお話しされた内容そのものです。ですから,やっぱり教科横断的に見て,それぞれの教科が独自のものを作るのがいいんだけども,それが全く独立しちゃって,ほかと関係ないとなってしまうと余り意味がないなと。ですから,そこは総則のところをどう扱うか,今後,小学校部会でも,それは検討していくということになっています。
ほかの方,どうですか。じゃ,本多さん,お願いします。
【本多委員】  たたき台のところで,最終的に,外国語を話したり書いたりして適切に表現し伝え合うことということで,プロダクションのところにかなり重きが置かれて,伝え学びということで,その前の情報や考えなどを活用してというところの思考・判断力のところに関して,もう少し聞くこと,読むことあたりの文言を入れておいて,バランスよく記述することはできないのだろうかということを思いました。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。ほかにもいかがでしょうか。じゃ,酒井さん。
【酒井委員】  お願いします。「深い学び」に関してですけれども,別添資料の10ページ,11ページのところに,目的に応じたコミュニケーションのプロセスという図がありますけれども,特に10ページの下のところです。1,2,3,4,目的を設定したり理解して,実際にどのようにしたらよいかという方向性を考えて,コミュニケーションを行い,そして,それに成果があったかどうか,あるいは言語的によかったのかどうかということを振り返る。これ自体がかなり思考・判断・表現力を求められるもので,いわゆる一般的な,認知的な思考・判断というよりは,外国語科に特有の思考・判断・表現と捉えてよいのではないかなと思うわけです。ですので,この目的に応じたコミュニケーションのプロセスをいかに充実させるか。このさせ方の程度によって,深さが決まってくるのではないかなと思います。
従来,多くの指導では,どんな読み物教材でも一様に,読み方を変えずに読んでいたりとか,どんなライティングの活動であっても,目的に応じて書き方を変えるということをせずに,言われたように書かせるという,先生が指導して書かせるということが多く行われてきたと思いますが,そういう意味では,アクティブという意味では,この目的に応じてどんなふうに書いたらよいか,こういうところを考えさせたり,あるいはその目的は何なのかということを子供たちに捉えさせる。そういうことが「深い学び」につながるという意味では重要なのかなと思っています。
併せてですけれども,ICTの例示のところで,別添の25ページ,26ページですけれども,ここの「深い学び」の例として挙げられている活動というのは,まさにどのようにコミュニケーションしたらいいのかとか,あるいは何でこのテレビ会議システムを使わなきゃいけないのかという目的を考えさせるようなページになっていると思うわけで,ここの例示のところの「深い学び」の具体例としては,とてもよいものだなと考えています。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。江原さん。
【江原委員】  「深い学び」ということが大きな今回の学習指導要領改訂の柱だとすれば,じゃ,その外国語における深い学びというのは何かというのが大事なのかなと思うんですけれども,教科横断的な視点から考えるのは非常に大事。ただ,ほかの教科で言う「深い学び」というものの具体的な思考,あるいは活動と外国語におけるそれとは多少ずれがあるかもしれないと思っています。例えば単語の知識とか,いわゆる力わざの知識というのがない子たちもそれなりにいろいろ考えながら,そういう子たちにとっては,例えば英語で自分のことを自己紹介するということ自体も,かなり「深い学び」になるのではないかなと思うんです。
ですから,ほかの科目と同じような例えば国語で行うような議論とか,その議論の深まりとか,それと同じものを外国語で求めてしまうと,以前にも議論にありましたように,外国語はやっぱり技能だよねということになってしまうので,外国語における深い学びというのは,この思考・判断・表現,じゃ,外国語,例えば中・高で言うと何なのかというと,それは,これはたしか松川委員が前回おっしゃったかもしれませんけど,例えば小学校で言えば,もうちょっとコンテクストのあるプロジェクトというか,活動とか,そういったものかなという,例えばそういう定義付けをしていった方がいいと思うんですね。
理想的に言えば,例えば国語とか社会とか,そういう科目でこういう「深い学び」についての理解が深まっていって,では,外国語では,やはりこういうところまでは外国語でもできるよねというふうにしていかないと,同じ座標,土俵で考えていくと,何か元に戻って,いや,やっぱり外国語は思考・判断でそこまで行かないからという議論になるので,そこは,外国語なりの思考・判断・表現の深まりとはどこまでのことを言うのかというのをはっきりさせ,そうすればCAN-DOとの結び付きもちょっと明かりが見えてくると思っています。
【吉田主査】  ありがとうございました。ほかの方でございますか。じゃ,松本さん。
【松本主査代理】  今の御意見に基本的に賛成なんですけども,このたたき台の中で,今までの学習指導要領にも使われているような表現が使われているんですが,前々からちょっとこの表現として適切なのかどうかと疑問に思っていたのは,文化を尊重するというのは分かるんですけど,子供のレベルで言語を尊重するというのは,どういうことなのかということが若干分かりづらいなと思っていました。
こちらの資料3の別添資料の方に,小学校の外国語活動については,言語の大切さや文化の違いに気付くというようなことが記述されているんですけど,それを意図しているとは思うんですが,もう少し分かりやすい言葉の方がいいのかなという気がしました。
それから,幅広い話題というのも,いわゆる様々な話題ということなんでしょうけど,それも若干,もう少し深掘りすることによって,今,出ているような深い思考というのにつながるのかなと。やはりどういう話題について何を考えるのかということが外国語教育の中でも大事だと思いますので,その点について検討する余地はあるかなと思いました。
それから,先ほど来お話が出ている,表現し,伝え合うことというんですけれども,この文末をどうするかというのは結構重要なことだと思うんですが,やはり別添の資料の方にあったと思うんですが,24ページのところを見ると,真ん中の思考・判断・表現というのに,真ん中へ行って,上の3つは「表現している。」になっていて,ここのは「表現したりしている。」,「伝え合っている。」となっているんです。ここら辺と連携がある程度必要なのかなと。
右の方の態度については,小学校については,「コミュニケーションを図ろうとしている。」と。中学校,高校については,「表現しようとしている。」と,高校の方には,「コミュニケーションを図ろうとしている。」というのもあって,この辺,どういう言葉を使うのかというのも結構重要なのかなと思いますので,この辺の連携についても考えていただければと思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか,どなたか。では,投野さん。
【投野委員】  この資料3の全体の取りまとめの項目を見ますと,やはり今,ちょっと我々が話をしてきているポイントのイメージを伝えている一番裏面の取りまとめのものとは,項目の立て方が大分違っていて,今回の多分,指導要領の大きな改訂は小学校に正式に入ると。下におろすわけだから,中学校をどうするか。それで,順繰りに難しくしていくとすれば,高校はどうするかというつなぎをCAN-DOで示せないかという大きな改革の方向が出ているわけでしたね。ですので,何かこの我々の部会の方で全体の取りまとめのイメージに沿ってやるにしても,やはりCAN-DOでつないでいるということのメリットがいろいろな形でほかのところにも波及していいんだというふうな感じの見せ方をできないかというのは個人的に思うことです。
例えばCAN-DOそのものは目標で設定していくと,だんだん上のレベルに行くにつれ統合的な技能になります。その統合的というところには当然,様々な情報集約して整理して,そして,自分の意見や気持ちや様々なことを言うとか,あるいはまとめるとか,そういうふうな技能が入ってくるわけですね。ですから,CAN-DOの目標そのものの中に,先ほどの思考・判断・表現というようなものが統合的に入ったようなものに既になっている部分があるわけですね。
それから,そういうものについて,CAN-DOを設定して共有することで,発達の仕方が見えてくるんだというようなことは1つ,言えると思います。
それから,あと,先ほど酒井先生が言ったことなんですけど,どういうふうにタスクを与えて,そして,CAN-DOの力が付くような授業をするのかという,その部分はタスクデザインの話になってきて,これもやっぱり外国語の特性を生かしたタスクデザインをちゃんとして,その中で思考・判断・表現が培われるようなタスクを作ればいいわけですね。これは目標を,CAN-DOでやる,プラスそれをどうインプリメントするかという問題なので,その部分は,逆にそういう部分でも,てこ入れしていくことができるんだよというふうに文言を書くべきだと思うんですね。
あと,最後は,CAN-DOをやることによって,学習上の見通しが付くわけです。だから,CAN-DOで目標を共通にする。学校も,どういう自分たちの位置がそこにあるか分かるし,先生も分かるし,学習者も分かるという部分が売りなので,そういうふうにすることによって,例えば学習ストラテジーとか,現状でこのぐらいの力しかないんだったら,こんなふうに何とか発表してみようとか,この場を切り抜けようとかというコミュニケーションストラテジーとか,そういうものも一緒になって育つわけですから,その部分が我々の外国語教育に非常に関連のある思考・判断・表現なんだということをうたっていくというか,そういう部分がインテグレートしたような書き方をするのが,我々が今まで議論してきたことを生かしたような文言の表記の仕方かなと思います。そうしないと,何かすごく今のこのまとめのイメージだけを見るとCAN-DOは矮小化されていて,つなぐということの意味が余りなくなり,おろしたはいいけど,どうやったらいいんだろうみたいなことがちょっと見えにくいような感じが個人的にはします。ですから,このあたりを注意した方がいいかなと思いました。
【吉田主査】  ありがとうございます。一言だけです。今,いろいろ皆さんのお話を伺っていて,確かに外国語の能力という観点から見た「深い学び」であったりというのは,もうおっしゃるとおりだと思うんですね。ただ,きのうの小学校部会の総則なんかの話をいろいろ聞いていても,それぞれの学科ごとに,また教科ごとにそれぞれ「深い学び」があったり,こういうことをやらなきゃいけないという目標がはっきりしているわけだけれども,それを通して子供が1人の人間としてどういうような成長を遂げていくんだろうという,人間としての成長みたいなものですね。だから,それが教科横断的な1つの見方,あるいは考え方というところにつながっていくんじゃないかと思うんですね。
だから,今おっしゃったことはすごく分かるんだけれども,何かしら,今の議論の進め方として,じゃ,今おっしゃっていたような,そういう外国語能力を進化させることによって,子供たちはどういう考え方を持つようになるんだろう,どういう見方の変化を身に付けていくんだろうという,もっと全体的な成長というのか,人間的成長みたいなことに関わる部分をもう少し具体的な表現で述べてくれないか。例えば今のいろいろな話のように,外国語を使ってこういうようなことができるようになってくるとか,分かるんだけれども,じゃ,外国語を使ってそれができることによって,人間的成長としてはどうなっていくんですかというような,何かちょっとそこが分かりづらいとは思うんですが,何となく求められているものというのは,その辺のことももう少し加味した形のものが求められているのかなと私はちょっと印象として持っています。
松本さん,お願いします。
【松本主査代理】  教科横断というのは,小学校の先生は複数の科目というか,全部教えているケースがあるので非常にしやすい。日本語ではこう表現をしていたものを英語ではどうやるというように,若干深めの学びに通じると思うんですけれども,中学,高校でそれをやろうとすると,もう教科書ができているときに全然違う内容のもので,じゃ,生物とリンクしたいと言ったときに,教えている時期が違ったりして,同じDNAを扱っていても時期が違う。そうすると生物の先生に特別授業をしてもらわなきゃならない。教科横断と言っても,かなり中学,高校は難しいと思います。
できることというのは,さっきの文化を尊重するというところをもうちょっと膨らませたらどうかと思うんですね。日本の文化が常識と思っていることが実は違う文化では非常識だとか,違う考え方があるとか,そういう視点を英語教育,今までもそういう視点で書かれているレッスンもあるかと思うんですけど,そういう点を強調すれば,外国の人の視点,外国の文化の視点というのを読んだり,それから,聞いたりした上で,それについて自分たちの意見を言うというものを入れれば,外国語教育の特徴というのは出てくるのかなと思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。ほかの方でいかがですか。
今おっしゃった文化のオーセンティーシティーを尊重する,理解するということをもう少し抽象的に言うと,多様性を共有するということですね。
【松本主査代理】  そうです。
【吉田主査】  そういうものを認められるようになり,その多様性を認めた上で自分をそこで発見していき,また,発揮していくというような道具として,言葉というのは非常に大事だ,外国語は大事だというような見方を持っていけば,多分ほかとつながるんじゃないかなという,ちょっと気はするんですね。だから,その辺をちょっと足すだけで随分違うのかな。
それから,さっき,江原さんがおっしゃったこととも関連するんだけれども,単なる技能的なものじゃないよと言ったときに,自分を表現していく思考力・判断力・表現力と言ったときに,よく言われるディスプレイ的なものに終始するのではなく,レファレンシャル的なものにもっと自分を,そこで本当に思っていること,自分の人間性をそこで発揮していくという意味で言葉を使っていくというようなことが外国語教育に求められている最終的な部分なのかなという気もするんですね。
それから,先ほどこの調査の結果について,室長からも少しありましたけど,それ以外にも,ベネッセさんがやっているような調査とか,酒井さんが前にお話しされていましたけれども,いろいろ見ていると,英語は使っていると言いながら,やっている活動はほとんどディスプレイであるというような形ですね。それだと,今言った多様な見方に対応できるような言語の使用は生まれませんね。ですから,何かそういうようなところと結び付けていけるような,それは,CAN-DOはすごいそれにぴったり当てはまっていると私は思うので,そこのところ,うまく結び付けられるような表現ができればいいのかなと思うんだけど,きついね。分かりませんが,いかがですか。何となく私が思っている,きのう,小学校部会に出たときの印象として,何かそういう印象を非常に強く持ったんです。
江原さん,どうぞ。
【江原委員】  吉田先生がおっしゃった小学校部会での議論を私は想像だけしているんですけど,以前,教育センターで働いていたときに,小学校の先生とお話をすると,本当に自己反省というか,教育についていろいろ深いお考えをお持ちで,反省することばかりだったんですが,その人間としての成長を考えたり,子供全体としてどういう視点になるのかと考えたりするのを,それを文言で表現して,例えば英語の先生方にそれを読んで授業実践していただくというのはかなり難しい問題で,それは例えば校長先生がカリキュラム・マネジメントの視点からみんなに言っても,そのトップダウンと,もう1つ,ボトムアップで1人1人の教員がそういう意識が本当にないと動かないです。
だから,これはまた1つの本当に漢方薬的なものをやらなきゃいけなくて,でも,外国語の学習指導要領として考えていくのは,じゃ,何をしたらよいのかという指針を示すことで,間接的にそういう意識が出てくるという方向に持っていった方がよいと思っていて,そういう点では,具体的には,じゃ,どうするかと言えば,CAN-DOの中に,投野先生がおっしゃったようなストラテジー的なものとか,あとは,こういうときにはこういうふうに工夫するとか,言葉というのは表現を読むんではなくて,言葉の背後にある,その人は何を求めているのかという,プラグマティックスクプラッティードなそういうインテンションも読むんだよとか,そういう具体的なものまで落とし込んでいくことによって,実践されている先生方が,ああ,そうなのか,やっぱり気持ちも読まなきゃいけないのか,やっぱり差別しちゃいけないんだ,多様な見方があるんだと,そういうふうに持っていくのがいいのかなと思いました。
【吉田主査】  最終的には多分そうだと思います。ただ,今回,書き方の問題として,まず全体を書いて,それから,外国語教育としては具体的に言うとこういうことですよという書き方の問題です。順番をそういうふうにしてほしいというような,何か印象を私は受ける。違います? 大体何となくそんな雰囲気ですよね。だから,そういうところをちょっと,きのう,聞いていてすごく感じ取ったものだから,今,発言させてもらったんですね。
ですから,皆さんおっしゃっていることは全部,これは入れなきゃいけない部分なので,外国語教育としての特性としては全て大事なんだけれども,もう一つ,ほかの教科とも共通する部分としてどうなのかなと言ったときに,あと一言,何か入れたらいいのかなという,何かそこだけのような気がするんだよね。だって,きのう,聞いていても,教科ごとばらばらですよ,はっきり言って。はっきり言ってばらばら。だから,そんなみんながみんな共通して言えるようなことはそんな載ってないです。ないんだけれども,ただ,議論としては,やはり何かそういうものは必要だねと。だって,1人の子供を預かっているんだからというような,そういう印象じゃないですかね。
酒井さん,お願いします。
【酒井委員】  先ほどは教科に特有の,特質のということで述べさせてもらいましたけれども,共通の,横断でと言うと,まさに他者とのコミュニケーションの言語の働き,役割を外国語を通して培っていると。この他者とコミュニケーションする力というのは,当然ほかの言語活動にとっても重要であり,共同的な学びにつながる視点ですので,あるいは共同的,対話的な学びにつながる視点ですので,ここのところは小・中・高一貫して育てていると。それは他教科にも影響を及ぼすし,当然,他教科での活動が外国語科の学びにもつながるという側面になるのではないかなと思います。
【吉田主査】  今のは非常に分かりやすい例だと思いますけど,ほかにも何かございますか。先ほどの文化の多様性だとか,そういうものを認める,許容するということと併せると結構行けるかなという気はするんですけどね。その辺をうまく集める。
じゃ,どうぞ。
【圓入室長】  ちょっと補足させていただきたいと思うんですが,今,酒井先生がおっしゃっていただいた関係で,この別添資料の4ページの方を改めて御覧いただければと思うんですが,横断的に各教科でも御議論いただく参考ということで,以前,報告書(案)の形でまとまっておりますが,言語力の育成ということでの観点が書いてあります。今,酒井先生がおっしゃったように,言語の果たす役割というところから,(2)の下の1,2,3と丸が付いている番号がありますが,知的活動,感性・情緒等に関すること,他者とのコミュニケーションに関することということで,外国語については,特に3番をかなりウエイトを置いた形で,改めて資質・能力を今回,見直しをさせていただいたということでございますが,他教科に比べますと,ちょっといろいろ御意見をお伺いししていると,1や2にも関連して少し外国語教育なりに捉えることは可能じゃないかと思いましたので,御参考いただければと思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。でも,この1,2に関しても比較的,今の議論の中でもちょっと出てきたのかなという気はしますが,ほかに何かございますか。
じゃ,藤村さん,どうぞ。まず藤村さんからお願いします。
【藤村委員】  内容がなかなか抽象的で,難しい部分があるんですが,小学校で考えると,担任は基本的に全ての教科を指導していますから,いわゆる言葉を使って人と人とが関わって学び合うとか,先生が中心に進めていくということよりも,子供同士が学び合う姿勢がやっぱり大事だと思うんですね。それはどの教科にも,やり取りをしながら学んでいくというのはどの教科としても同じことであるので,その中には当然,人権的な配慮も必要だし,暴言が許されるわけがないし,相手を尊重するというスタンスは絶対必要だし,それはどの教科においても,小学校で一番大事にしているベース,いわゆる学級経営とよく言うんですけれども,そこをベースにして学習を積み上げていく。つまり,学級がぐちゃぐちゃになっている状態の中で,学習は積み上がっていかない。だから,そこを大事にして,小学校は指導を進めている。
当然外国語も同じで,あくまでもそれはツールであって,それぞれの内容はあると思うんですけれども,そこに向かうためには当然,そこをベースにしないと特にコミュニケーション活動はうまくいかない。ですから,それは全ての教科を通して身に付けていくことではないのかなと思っていますので,もちろん外国語としての特性はあると思うんですけれども,まずは,やっぱりやり取り,言葉を使って,相手を大事にしながら,それぞれ自分の思いや考えを伝え合うということに尽きるのではないかなと思います。
【吉田主査】  ありがとうございました。長谷川さん,どうぞ。
【長谷川委員】  もうほとんど御意見が出ていることと同じになるんですけれども,産業界の方でも,2030年のグローバル化にどうやって対応するかという議論を今,一生懸命やっておりまして,いわゆる第4次産業革命とか,そういう話の関連なんですけれども,そのときにいつも出てくるキーワードは,やはり多様性,ダイバーシティ・アンド・インクルージョンという言葉がいつもよく出てきまして,基本的には,異なる文化とか価値観を尊重する,多様性を尊重し,また,インクルードする。違うものを排除するんじゃなくて,インクルードするというところから,いわゆる創造性とかイノベーションが生まれてきて,それが経済発展にもつながるんだという話をずっと議論しておりますので,やはり外国語教育ということの,ただそのものではないんですけれども,これはかなり外国語教育に通じる話だと思いますので,そういったダイバーシティという言葉ですとか,インクルージョン,これは英語になっちゃいますけれども,そういった言葉,キーワードを入れていただくのもいいのかなと思いました。
【吉田主査】  ありがとうございます。では,渡部さん。
【渡部委員】  皆様の意見をつなげるような意見ではないかもしれませんが,外国語を話したり書いたりして適切に表現し伝え合うということ,これを「深い学び」にしていくということを考えたときに,1つ大事だなと思うのは,「深い学び」というのはやっぱり子供の姿をしっかりイメージしておかなきゃいけないんじゃないかなと。教員の教えるサイドでということも大事なんですが,恐らく子供たちが「深い学び」をしているときというのは,何らかの特徴があると思います。恐らくそういった「深い学び」をすれば,子供たちは次の学習に向かっていく,そういった「主体的な学び」につながるような発見であったりとか,あるいは感動であったりとか,そういったものを伴うような表現活動というのが「深い学び」ではないのかなと。
そうしたときに,やはりカリキュラム・マネジメントの中でクロスカリキュラム,教科横断的な学びというのは非常に有効だとは思うんですけれども,見方として,クロスカリキュラムを作っていくというのは非常に難しいということがまずあります。例えば他教科の学習内容を英語の中で取り入れる場合,例えば理科で勉強した,例えば環境問題を勉強して,オゾンホールのことを知ったと。そのことを基にして,教科書に出てくる,そういった環境問題の中で,英語を使ったディスカッションなどを通してさらに学びを深めていくということができると思います。他教科から自分の英語に持っていくと。
それから,もう一つは,英語で学んだことを他教科へ結び付けていく。例えば技術・家庭科で外国のものの何か作品を作ると。そのときのマニュアルが英語で書かれているんだけど,これをみんなで読んで,ちょっとみんなで作ってみようじゃないか,そんなことも考えられるかもしれません。いずれにしても,そういった学びを取り入れることは,かなり子供たちの「主体的な学び」につながるような「深い学び」になるんではないかなと思いますが,やはり松本先生がおっしゃったように,じゃ,それをどうカリキュラムとして作っていくかというのがすごく難しいところで,これはまた,教科書ベースの話になっていくのではないかなと思います。英語の中で他教科がどんなことが生かせるのか,あるいは他教科の中でほかの9教科なりをどんなふうに生かすのかというふうな,そうした連携したプラン作りをしてから教科書作りに入らないと,英語の教科書だけを作るんだというふうな発想,あるいは英語のカリキュラムだけを作るんだという発想ではうまくいかないのかなというふうなことを思いました。
最後に,こういったカリキュラム・マネジメント,最近,非常にはやり言葉のように使われているところなんですが,やはり避けたいのは,このカリキュラム・マネジメントという言葉で学校に全て委ねるというふうな解釈をとられるような表現は避けるべきではないかと思います。具体的にどのようなことをすればいいかというところをしっかり示していくことが大事じゃないかなと思いました。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。松本委員。
【松本主査代理】  今の御意見に付け加えるとすると,本来ならば,外国語の学習指導要領を策定するときに,ほかの教科の学習指導要領の委員と意見交換をする場というのがあるといいと思うんですけど,それは現実的に非常に難しいとするならば,各小・中・高段階の外国語の学習指導要領を執筆者,執筆の会議において,今までの他教科でどういうものが扱われたかということ,それほどドラスチックには変わらない部分が多いと思いますので,何年生に何をやるかというようなことを考慮した上で,教科用教材を作成するみたいなことを盛り込んでいくということは,1つとしてはあるかなと思います。
先ほどのたたき台のたたき台として提案したい文があるんですけれども,最後に,「適切に表現し,伝え合うこと」で終わっているから,何かしっくりこないんじゃないのかなと思っていて,最後を「他者とのコミュニケーションを図ること」にしてはどうかなと思うんですけど,そうすると,例えばですけども,長谷川委員の意見も取り入れると,「外国語の学習を通じて言語や文化の多様性を尊重し,」,それからほぼ同じです。「聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながら情報や考えなどを活用して様々な話題について,外国語を適切に使って他者とのコミュニケーションを図ること」のような感じにすると,尊重というところがもうちょっと具体的になるのと,話題と,「幅広い」というよりも「様々な」の方が分かりやすいような気がするのと,それから,話したり書いたりするということは何のためというものが入っていた方が何か育成する力としては分かりやすいような気がします。たたき台のたたき台でありまして,もっとたたいて。
【吉田主査】  ありがとうございます。かなり具体的にいろいろ出てきたような気がします。今の教科横断型で,共通の教科書云々というか,題材の話に関しては,先週の特別企画部会の中でも相当議論になった点です。やっぱり共通したもの,社会科であったり,理科であったり,共通した何かがそこにあるはずなので,それを全く別個にやってしまっていいんだろうかという,逆にそれをやっちゃうと,また詰め込み教育に戻ってしまうんじゃないかというおそれですね。ですから,そういう点なんかもやっぱり懸念されているのは事実なので,そういう議論はもう既に出てはいます。ですから,そういう点で,外国語の場合は,内容を他教科だとか,ほかのところから持ってくるというのは常識なので,be動詞ばかりやっているわけにいかないわけですから,そうなってくると,ほかの教科とどう連携していくかという教材内容ですね。そこのところ,非常に大事な部分なので,大切な議論だと思います。
ほかにいかがですか。また,もう時間的にもあれですので,続けて,中・高を中心とした,さっきの参考資料の方です。参考資料の方の内容についても,既に皆さん触れておられますので,これからまたしばらく,30分ほどこの参考資料の内容についても含めて,今やっている議論ももちろん続けても構いませんけれども,何か御意見がありましたら,お願いいたしたいと思います。
じゃ,松本さん,どうぞ。
【松本主査代理】  何度もすみません。参考資料の方の一番最後に書かれてある「中・高等学校について,指標形式の目標設定が教科書の改善につながるような整理が必要。」というところは非常に重要だと考えています。この間のこれの親委員会でも念を押して発言をしましたけれども,指標形式の目標設定は,したはいいけれども,実際に教科書の改善につながらないということでは困るということで,これに実効性を持たせるには,学習指導要領に指標形式の目標設定を明記するということをお願いしました。この会議においても,皆さんに,これについて同意していただければ幸いであるということです。
それに加えて,今回,小学校で英語が教科になります。そうすると,中学校の英語教育がとても心配であるという感想を持っています。これは,学習年限が長くなることによって,高校を卒業する段階での英語力のトップは今よりずっと伸びるという期待を持って,小学校の英語教育はすばらしい,やっていただきたいと思うんですが,中学に入る段階でもう差が付いている可能性があって,中学校というのは,学校差がない代わりに,学級の中に差があるという状況ですので,このCAN-DOを書いて,それにどうやって実効性を持たせていくかというのがすごく重要で,高校で今,高校では学校差があることによって,CAN-DOの設定が各校によってかなり違いが出てくるということがあると思います。
中学の場合は学級差がある,その中にあるみたいな,その中でどうやってこのCAN-DOをちゃんと評価に結び付けて,授業改善につなげていくかという大きな課題,今まで以上にあるような気がするので,その辺をどうするかも考えた上で指標の設定に取り掛かるべきだと思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。中学校は非常に大事だと私も思います。小学校から始まると,一体,中学校はどこからどう入って,どう出ていくのかと。松川委員,お願いします。
【松川委員】  ありがとうございます。中学校の英語教育についてなんですけれども,昨年度行われました4技能の学力テスト,これは抽出で行われたものなんですけれども,極めて具体的でちょっと恐縮なんですけれども,例えばあれは中3で受けていて,岐阜県でも何校かが抽出で受けているんですが,その結果を見ると,例えばライティングでこういう問題があるんです。12か月の中でどの月が好きかと。その理由を書くという問題があるんです。これは中3の問題としてはどう思われますか,ライティング。私は極めて易しいのではないかと思うんですが,これが無答がかなりあるということなんです。好きな月の名前を言って,それの理由を言うということは,極端な話,小学校でも,言うだけだったら言っているわけです。それを中学校で週4単位時間やって,3年間やって,中3の終わりになって,これが,2文程度の英文が書けない,全然無答だという子がかなりいるという現実は,私はなかなかちょっとショッキングなことではないかと思うんですね。
だから,こういう具体的な結果を照らして見ると,中学校でいろいろなことはやっているけれども,さっき,松本先生が言われたように,かなり学校内,学級内で差が出てきているわけですね。このことについて,やっぱり中学校の英語教育の充実というのを具体的にどう考えていくのかというのは,余りこの会の中でも議論されていないんですけれども,私は非常に危機感を持っているわけです。
小学校部会でも言われていますけれども,中学校で英語が最も時間数を取っているわけですね。先生も生徒もそれなりに一生懸命やってきているのに,さっき言ったような具体的な結果を見ると非常に,ちょっとどうなのかなと。保護者の方もそういう具体的なことを知らないので。ですけれども,そういう個別具体の結果でこういうことが言えない,書けないということがはっきりしてくると非常に問題だと思うんです。
このワーキングの中でも,中学校の言語活動において,小学校でやったことも生かしながら,既修の語彙や表現を繰り返して活用するということで着実な定着を図る必要があると言われているんですけれども,さっきのような結果を見ると全然,小学校でそういうことは多分言ったことがあると思うんですけれども,それが繰り返されていないし,定着全然していないということなわけですね。
そのためには具体的にどうしたらいいかというと,私は,今の中学校の教科書というか,あの教材の作り方ではやっぱり解消されないのではないか。それぞれのレッスンごとに新しい表現が出てきて,そこそこ書いてあるけれども,ボリュームが全然足りないですね。既修のことが繰り返し出てくるようなページ数にもなっていないわけです。教科書というのがああいう形式でしか成り立たないとするならば,ほかにやっぱり既修の語彙や表現を繰り返して活用することを個々の先生に任せておくということではなくて,やっぱり別の教材を準備するということも含めて考える必要があると思うんです。時間数はあっても,正直申し上げて,ああいう薄っぺらな教科書で1ページをああだ,こうだとやっているだけで,結局,毎回毎回,新しいことをそれなりに頑張ってやっているんだけれども,中3の終わりがそういうことでは一般の人も納得しないんじゃないですかね。
だから,私は具体的にどうしたいいのかと。同じように教科書検定して,同じようなああいうカラフルな,一見きれいな教科書ですけれども,中身が非常に薄いという,ああいうものだけを生真面目にやっていても全然改善されないのではないかと。もう私は,圧倒的にやっぱりボリュームが足りないと思うので,教科書がああいうふうだとするならば,ICT教材でも何でもいいですけれども,もう少し先生方が加えて,使えるようなものを用意しなければ,私は,繰り返し活用してなんていうことは現実的には不可能だと思っております。だから,充実策というのは具体的にどう考えたらいいのかというのは,本当に私は小学校英語よりもはるかに重要な問題ではないかと思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。じゃ,本多委員。
【本多委員】  現場の教員として,かなり耳が痛かったんですけれども,好きな月についてということで,ちょっとここだけ感想をまず述べさせていただくと,恐らく先ほど松本委員がおっしゃった様々な話題について話し合われたり,書くような活動がなかなか行われていないんじゃないかというように私は思っています。中学生だとやっていないことに関しては,全然思い当たらない,思い描けないということがあって,そこら辺の応用力というのは非常に弱いところがあります。また,どう表現していいのかというのが分らない。そういうのをやはり表現させる機会を作っていくというのを授業の中でたくさん作っていかないと,なかなか様々なことについてできるようにはなっていかない。その1つの弊害が今現在,文法でのシラバスになっていて,その文法を中心に時間がかなり割かれていて,様々な言語活動に時間が割かれていないということだと思います。
あと,教科書の分量というのは,痛しかゆしというところがあって,余りにもリーディング的なものが非常に多くなると,それに非常に時間を割いてしまって,それを基にした活動というのを現場の中で割かない,そういう傾向がある。そこら辺のうまいバランスというのが必要になってくるんではないかなと思います。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。では,平岡委員,お願いします。
【平岡委員】  小学校が教科になってくるということは,やっぱり中学校,初めが,最初が変わらなければいけないと思います。どのようなつまずきがあるのか,そこを十分に把握しなければいけないということを受けて,きょうの資料の中に,国の指標形式の主な目標の中段に,中学校外国語のスタート段階での生徒の状況と外国語スタート段階における指導という,それが入っています。そこを見ると,考えるのに,1つは,小学校のことで,じゃ,中学校に入ったときの生徒の状況ということは,小学校が教科化になったときに,ここまで力を付けておかなければいけないということが1点あると思うんです。そうすると,必ず小学校でその力を付けて送り出す。先生おっしゃるように,差は出てくるかもしれないけれども,これだけ力を付けようとすれば,今,70時間となっています。35時間は45分でするけれども,あとを短時間学習でするということになると,それを学校に全部任せるとなると,付く力が異なってくるのではないかということが予想されます。ある程度小学校での短時間学習をどの程度するのかということを決めないと,例えば週2時間する学校もあれば,どこかでまとめて夏休みとかにする学校もあるでは,付く力に差が出てくるのではないかと思うわけです。
ですから,小学校の短時間学習を全て学校に任せて70時間をするというふうに,お任せしますということになると,学校の力によって,どう決めるかということが非常に差が出てくるんではないかということが予測されるので,ある程度,国で短時間学習はこれぐらいということを決めることがいいのではないかなと思います。
きょう,小学校の学習指導(案)が出ていますが,この中には全部で何時間して,45分を何こまし,短時間学習を何回するという例示がされています。また,おおむねどれぐらい短時間学習が必要,取ればいいのかということを,大枠を決めないと,学校によって,もう小学校の段階で大きな差が出て,中学校へ送り出すということが予想されるのではないかなということが1点あります。
もう1点は,中学校の側です。じゃ,引き受ける中学校の指導というところがありますが,この指導が非常に重要になってくるのではないかなということを思います。松川委員もおっしゃったように,指導する教科書,接続する教科書がどんなふうになっていくのか,その段階を教科書がどういうふうに作成されるのかということが非常に重要であることが1点と,もう1点は,指導が重要だと思います。小学校は現行の学習指導要領になるときに,各学校の先生が中学教員として出て,各学校に年間15時間,2年間で30時間の研修を行うということが位置付けられました。また,今回もいろいろな指導体制の充実ということで,小学校の先生が中学校の免許を取るという,非常に小学校にとってはまた新たな研修を繰り返ししていくということを余儀なくされています。小学校はここまで力を付けなくてはいけないということで,前向きに,他の教科もある中でもやっていかなくてはいけないと思っています。ですから,中学校の先生も,やはり英語の専門であるけれど,子供の専門としていかに指導していくかというところを,研修をしっかり組む必要があるのではないかなと感じます。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございました。渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】  先ほど松川先生の御意見,非常に私もそう思いました。私の県も,結果を見て,本当にショックを受けてしまったわけですが,この4月から現場に出まして,たまたま抽出された学校に赴任することになりまして,学校の実態などを見ながら,子供の学力差,学級の中での学力差というのはやはり大きな課題だなと感じておるところです。
1つは,松本先生が先ほどおっしゃったように,CAN-DOのことなんですが,私は,そういった学力差があるからこそ,CAN-DOをきちんと広めていかなきゃいけないんじゃないかと考えています。やはりCAN-DOの設定は,授業改善のものであるというのが大前提であり,子供にとっては,自分たちがどこに向かっていくのかというところが,道筋が分かるという利点があるように思います。
今までは,指導されても,勉強が分からないという子は一体この後,どこに行ったいいのか分からないと。結局,そのまま先生に放っておかれて,おまえは英語ができないなというふうな場合によってはレッテルを張られてしまったこともあるかもしれません。ただ,CAN-DOをしっかり設定して子供たちにも伝えることで,あなたは,今の段階では山登りの山頂のまだ3割に到達しているけれども,この後,この7割の道筋は,こういう道筋があるんだと。だから,それをこれから先,遅くなるかもしれないけど,生涯にわたって学んでいけばいいんだよというものを示すのがCAN-DOではないかのかなと。そこのところをしっかり子供に伝えることで,子供は決して,今の段階は,僕はここまでなんだけど,その先が見えることで光を感じる子も多いのではないかなと感じているところです。
ですので,まず,先生方にCAN-DOというのがそういうものであるということをしっかり認識していただく。今でもやはり単なる参照枠であって,子供たちに,あなたは何級ですというふうな形で評価するためのものであるというふうな捉え方の先生もいらっしゃいます。そこを変えていく必要があるかなと思いました。
それと,小学校から中学校へつなげていく力という話が出ていましたが,その力って一体何だろうというところで,ここは文構造とか,単語というところに余りフォーカス当てない方がいいんではないかなと感じています。例えば,ちょっと話が違うかもしれませんけれども,教科書を考えたときに,今の教科書は,中学校であれば140時間を埋めるための教科書である。その中に言語活動等は含まれてはいるものの,スパイラルに繰り返しながら活用していくという部分が非常に弱い。となると,例えば140時間分の教科書内容というよりは,例えば考え方として,100時間程度の教科学習的な内容と,40時間程度はスパイラルな活用,それが1年生から3年生までの教科書に例えば帯活動のようにぽんぽんぽんと入っていくようなイメージの教科書であれば,かなり言語活動は充実してくるんではないかなと。
小学校においても,70時間の教科書を作ってしまえば,じゃ,そこの中のどの部分を15分で取り出すのという議論が出て,それは非常に難しい。ただ,小学校で教えるべき内容というのを例えば50時間ぐらいに設定をして,あとの20時間をしっかりそれを使って活用していきましょうというふうな内容を教科書に盛り込んでいくことで,小学校で身に付く力はかなり出てくるんではないかなと。それは決して文構造レベルでの話ではないんですが,英語を活用するという力については,中学校につなげるものが出てくるんではないかなと。そういったことから,教科書の作成というのは非常に大きなポイントかなというふうなことを感じました。
【吉田主査】  どうもありがとうございます。じゃ,酒井さん。
【酒井委員】  中学校における改善・充実に関してですけれども,今までの議論の中で考えや気持ちを英語で伝え合う対話的な言語活動を充実するというところで来ていて,この方向性は賛成なんですけれども,併せてこの対話的な言語活動ということがメーンになったときに,受け止められ方として,考えや気持ちを書く,書いて伝える活動というものがおろそかになってしまっては,高校への接続,それから,小学校を受けての英語力の伸長ということからすると不十分になると思われます。そういう意味では,ちょっと書きぶりは迷いますけれども,自分の気持ちや考えを書く活動も重視しながら,なお一層対話的な言語活動を充実を図るとか,そういうような,両方大事なんだけれども,対話的な活動をさらに充実するというような書き方をした方がよいのではないかなと思いました。松川先生の御意見に賛同ですし,いろいろな調査を見ると,自分の考えを書く活動自体がなかなか行われていないという実態が中学校でもあると思います。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。長谷川委員,お願いします。
【長谷川委員】  実は産業界というか,経団連の方でこの教育の問題を議論するといつも,やはり学力格差が広がっているということ,これは英語だけじゃないんですけれども,これに対する懸念の意見はかなり強く出ております。それは,要はトップレベル層とそうじゃない層との間の格差が広がっているんじゃないかということの懸念で,それを何とか解消してくれないか,できないかということなんですけれども,例えば今お配りいただいた資料の参考資料の7ページのところで,小・中・高を通じて一貫した目標設定の在り方という資料でも,一応中学校では目標を出して,それを全国的な英語の4技能学力調査でチェックして,改善のためのPDCAサイクルを回すとか,高校レベルについても目標を設定して,それを高等学校基礎学力テストでチェックして,改善のためのPDCAサイクルを回すというふうには書かれているんですけれども,実際に今,御紹介いただいたような英語の学力調査で,現時点での第2期教育振興基本計画の目標も達成していないということが出ている中で,じゃ,どうやってこの達成していない分を目標を達成するように,この改善のPDCAをどういうふうに回すのかという具体的なところがちょっと今までの資料などでは見えてこないというところがありまして,そういったことについて,もう少し具体的な記述ができるといいのではないかということで,その具体的な中身というのはもちろん専門家の皆様に御議論いただきたいんですが,教科書により違う副教材が必要ということなのかもしれませんし,また,今,実は中教審のこれは別の部会になりますが,教育の情報化の部会にもちょっと参加しているんですけれども,そちらの方では,ICTによる教育イノベーションということで,これから1人1台のそういう情報機器を小学校から配布していくようなことを今,検討されて,今度,それが成長戦略にも入る,そういう方向で検討を進めるということを聞いておりますので,もしそういうことであれば,例えばiPadですとか,そういうものを自宅学習で,家で個人で反復練習をするということなどには非常に向いていると思いますので,例えば授業時間を取れないのであれば,そういったことで学生,要するに生徒が個人で家でやるというふうなことも考えるとか,そういうのも入れて,基礎学力,一番習得しなくてはならない最低限の英語力を各学校段階で全員が習得していくといったようなことも検討すべきではないかと思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。じゃ,投野委員,お願いします。
【投野委員】  先ほど松川委員がおっしゃった量の問題ですね。それは,私がこの委員会の最初の頃に発表したときにもちょっと申し上げたんですけれども,中学校1,200語なんですが,中学3年間で一番心配なのは教科書です。中学3年間の全体を通して共通しているのは600語ぐらいなんですね。中学3年生ぐらいのレベルでみんなが出しているテキストを共通に見ると,中3のレベルのテキストで,共通語は400語ぐらいなんですね。ですので,コアになっている部分の語彙というものが何かというのがもうちょっとちゃんと盛り込まれている必要があるんですけど,そのためには,テキスト量が少ないので盛り込めなくなっているというか,今の現状ですとそういう部分がちょっとあると思うんです。量を増やすのは,松川先生がおっしゃったように,テキストを増やすとすると,やっぱり既修語,習っている語彙や文法で繰り返すみたいな部分を増やすというのはとてもいいアイデアだと思うんですけど,そうすると,もう分量はかなり厚くなっちゃいますから,扱いが難しいということがあります。
もう一つ,活動全体としての英語量を増やすということが多分言われているんだと思います。英語でやれということは,つまり,英語でやることによって,そこで既修語でやり取りしたりしてリサイクルする,そういう部分が大事だと思うんですが,そこは先生の技量が必要ということで,その部分は研修しないといけないというような部分が課題なんだと思います。いずれにせよ,教科書作りはもうちょっとちゃんとやる必要があり,私がきょう,出したピンク色の報告書ですけれども,これは海外のCEFRレベルで作っている100冊ぐらいのコースブックをレベル別に,どんな文法事項が出現しているかというのを整理したものなんですけれども,そうすると,やっぱり段階を追って表現に使える構造とか,そういうものがどんなふうに出てくるかというのがかなり客観的に分かります。それと語彙セットみたいなものをうまくCAN-DOリストにひも付けられるところはひも付けて,そういうもののセットで教科書を作るような提案をちゃんと教科書会社にして,あるレベルまでにこのぐらいの語彙と表現がちゃんと触れられるようなテキストはどういうものかというようなことについて,イメージを与えるということが1つは大事だと思います。
中学になってくると,小学校から上がってきて,途中,中学校でいろいろずれてくるんですが,それはやはり先ほど渡部委員がおっしゃったように,CAN-DOでつなげる方法をちゃんと我々が教えないといけないと思うんですね。この部分については,私は非常に重要だと思っていまして,中学が今,一番我々が注力しなきゃならないのは,下の方でできない子たちをどう引き上げるかというようなことをしっかり議論しないといけないと思うんです。トップはそのまま下に下げれば,上が一番到達度は上がると思うんですけれども,落ちこぼれている子たちを上手に上げる方法をCAN-DOを使ってどうやるかという,その部分をちゃんと物差しを共通にして,本当はここのレベルにいなきゃならないのに,あなたはここの下の方だから,この部分を補習教材でやりなさいとか,何かしらそういうレベルに合った教材を与えて引っ張り上げるみたいな,そういうことをちゃんとやる工夫が補助教材としても必要だと思うんです。そういうものが,全く物差しがないから今できていないんで,物差しをしっかりと共有することによって,そういう教材が作りやすくなるんじゃないかというのが私が個人的に感じていることです。その辺をやはり評価と,あと指導に結び付けていくということをちゃんとやっていったら,それをPDCAサイクルでチェックしていけばいいんじゃないかと思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。佐々木委員,お願いします。
【佐々木委員】  今,投野先生からもありましたように,格差というところは非常に今後,気になるところで,そういう点では,先ほど平岡委員からありましたように,小学校の時数確保と,どれだけできていくかということは,だんだん中・高校になって幅が広がっていく懸念というのが強いので,その辺は一番,小学校の時数確保というのが大事だなと思っています。
かつ満遍なく義務教育の中でどこの学校でもやっているという保証がないと,中学,高校での伸びというのはなかなか期待できない。そういう面では,出てきたようにCAN-DOの小・中・高を合わせたところでの流れというのはどうしてもやっぱり必要だなと感じています。格差について言いますと,これは主観的な感覚ですけど,今,高校の中でも学校間格差があります。学校の中での格差というのをやっぱり非常に感じているところがあります。というのは,高校の入試の場合に英語だけでとるわけじゃなくて,5教科トータルで,学力の場合に採点して入れるといった中に,英語の得意,不得意の差というのがここのところ,ちょっと広がっているんではないかなという感覚的なものがあります。できる子は本当にできる。ところが,内申書で5を取ってきていても60点台しか取れないとか,そういったところの中学校までの定着率とか,そういったものがちょっと疑問かなというふうなことを感じています。そういった格差を今後,3年生から始めるに当たって,だんだん広がっていかないようにはどうしていくかということをやっぱり非常に考えていかなければいけないと思っております。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございました。石鍋委員,どうぞお願いします。
【石鍋主査代理】  中学校の方は,いろいろ今,御意見いただいていて,私も中学校の校長なので非常にきついところもございますけれども,1つだけ言っておきますと,まず,中学校の教員,大分意識が変わって,努力している教員が増えたということは御承知おきください。ただ,なかなか結果が出ないということで,こういったことを言われてしまうのかなというのはあるんですけれども,ただ,さらに意識改革は必要であろうというのは思っております。
そこで,先ほど平岡委員がおっしゃった,小学校でここまで力を付けておくということを明確にしておくべきだというのは非常に重要なことで,そこを今度,中学校の教員がどこまで意識を持てるか。そのためには何が使えるのかと。今いろいろお話を伺っていますと,やはり1つはCAN-DO,小学校の卒業時点でどんな力を身に付けているのかというものを示してもらう。それがイコール実は中学校のスタートになるわけですね。そこを重ね合わせる形で示すことができるか,小学校の卒業時点と中学校の入学時点でCAN-DOという形で重ね合わせて示せれば,同じ尺度でというか,基準でつなげていくことができるのかなと思いました。
もう一つは,今まで中学校は入門期という言葉を使っていましたけど,もう小学校に入ってきますから,ちょっとそこの言葉は変わってくるんだと思います。例えば中学校前期とか,いろいろあると思うんですけれども,CAN-DOできちんと小学校の卒業時点の力を見取ることができれば,確実に中学校の指導の仕方は変わるわけですから,改善が図れると私は思っています。ただ,そのためには多少スパイラルに小学校でやったことを中学校の前期でやらねばならぬだろうと思いますので,そのあたりをどうやって中学校の段階に小学校でやったことを学習指導要領等で示してもらえるのか,その辺に工夫があると非常にやりやすくなるのかなと思っています。
最後に,先ほど本多委員がおっしゃっていたんですけれども,松川委員のことから出ていたところですけれども,調査問題で無答が多いというところ,これは,私も現場を回っていてよく感じます。これは,本多委員がおっしゃっていたように,書くことに対する指導,場の設定が非常に不足しているというのは全くそのとおりだと思います。ただ,これは今度,中学校側のCAN-DOの中に丸々を書けるようになるとかという,文言をうまく組み込むことで場の設定につながるんであろうと思います。ですから,CAN-DOをいかに使っていくかというのは非常に重要なポイントになってくるのかなと思っています。こちらの参考資料にも「一貫して」という言葉があるので,この一貫した示し方を是非きちんとしていただきたいなと思っています。
最後に,一部教員の陥りやすい部分としては,先ほどの書く活動でなかなか自分の思いが書けない,その1つに教員の減点主義があると思っています。どうしても教員は今まで自分が習ってきた経験を基にして,英文を書くと,三単現のsが欠けているから,そこでバツを付けるわけですね。つまり,減点でどんどん言っていくので,子供たちはたくさん思いを書こうとしても,そこでストップしてしまう,ここの部分を何とか変えていくということは必要なんだろうと思っています。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。松本委員,お願いします。
【松本主査代理】  3点ありますけれども,1つは,先ほど来から,中学生の英語力にどういう問題点があるかという御議論がありますけれども,それも分かったのは,英語力調査という大規模な調査をやったということでありますので,今後どういうPDCAサイクルと長谷川委員からもありましたけれども,それを確認するためにも,この1回で終わらせないで,定期的に行うということは絶対的に重要である。もう少し大規模にするというような拡大的に行っていただきたいというのが1点です。
それから,2点目は,量の問題については,松川委員,投野委員,大賛成です。投野委員は優しいので,教科書会社への提案というようなことでお話しされていましたけど,提案では絶対変わらないと思っています。中学校の先生は頑張っているという点では,石鍋委員がおっしゃったことに私も同意しますけども,頑張るためにも教材を変えなければいけないと。中学校の先生は大変忙しいですので,御自身で補助教材を集めるとか,投げ込み教材を作るというのはかなり難しい状況にありますので,教科書本体を変えなければいけないのと,長谷川委員がおっしゃったようなICT教材をどうするか。ICT教材まで検定の範囲に含めるのかどうかとかいうことを含めて,学習指導要領の中にCAN-DOを入れ込むということがもう最低限のことであると思いますので,英文の量についても学習指導要領の中に書き込めるかどうか。是非書き込んでいただきたい。総語彙数ですね。これを入れ込むことが重要だと思います。それが2点目。
3点目は,先ほど私が申し上げた言語や文化の多様性を尊重しというところですけれども,あくまでも外国語教育の場合は,評価については4技能,プラス,インタラクションを入れれば5技能というところで,英語を聞いたり,読んだり,話したり,書いたりという部分,あるいは伝え合うという部分で評価をするという枠組みは,その方がいいと考えますので,その辺も含めて評価という部分がそれほどまだ話し合いがされておりませんので,皆さんに話し合っていただきたいなと思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。江原委員,お願いします。
【江原委員】  松川委員がおっしゃった,大きな話をしていても結局できていないじゃないというのは,本当に非常に大事な点で,これから何をすれば英語力を伸ばしてあげられるのかということを考えたときに,教材という話が出てきました。私は,教材ともう一つ,大きなファクターは教員だと思っています。例えば同じ教科書を使っていた学校があるとします。4人の先生が同じ教科書で,違う集団の同じ学年の同じクラスを教えていたとします。平均点が大きく違うというケースがよくあります。結局,同じものを使っても,インターフェースは教員なんですね。
何を申し上げたいかといいますと,カリキュラム・マネジメントというのは,私は,ある意味タイムマネジメントではあるんだけれども,実は教員の認知リソースマネジメント,それから,体力マネジメントになると思うんです。何が言いたいかというと,これから評価の話になったときに,CAN-DOで何をしたらよいかというのを分かりやすく指針として示すことが大事だと思っていて,そこで気を付けなければいけないのは,量が増えたときに,それはやることが増えたのではなく,目標は同じなんだけれども,その目標に到達するためにスパイラルにするために,例えばテキストが増えたり,幾つか表面的に活動があったりということが分からないと,昔のフレームワークで考えると,教科書の例えば量が増える,活動が増える,そうしたときに,何か今までどおり語彙をやらなきゃということになって,時間だけ増えて,じゃ,やっぱりエンジョイコミュニケーションはカットかとか,そういうことになってしまう。
なので,じゃ,私の言いたいことは何かというと,資料4というのが渡されておりまして,「学習プロセス,評価の構造(イメージ)」というカラー版の縦の絵なんですが,CAN-DO指標で何をしたらよいのか。日本語で何をどうしたらいいのかと言いますけど,どう何をしたらいいのかと,余りそういうコロケーションはないですね。何をどうしたらいいのか。つまり,何というのが私は大事だと思っていて,そうすると,CAN-DOで明確に示していくことが大事であると。これから評価の議論,きょうは,全部はできないと思うんですけど,したときに当然3つの観点というのが入ってきます。どうすり合わせるのかと入ってきます。お願いしたいのは,現場の先生の認知リソースをこれ以上,取らないでほしい。つまり,今まで4観点で外国語表現の能力,理解の能力がCAN-DOだよね,4技能だよね。だから,文法とか,単語とかやっているんではなくて,何ができるかというのをこれからは大事なんですよということで,恐らく中学・高校の先生は理解して,4技能だよねということで,心ある先生は,観点別で言えば外国語表現の能力・理解の能力だよねでやってきている。それを今度はチャラにして,いや,今度,本来は3つなんだから,知識・技能,思考・判断・表現,主体的に学習に取り組む態度,ついては定期テストもちゃんと張り付けてください。こんなことを言い出したら,CAN-DOが飛んでしまいますので,是非目標というのは,これができることだということが分かるように。
ここからは私の提案なんですけど,今,カラーで見ていただいていますと,右側の学校というところに知識・技能,それから,思考・判断・表現とありますね。矢印があって,丸があって,「~することができる。」,「~している。」とありますね。これはよく読むと「~することができる。」と「~している。」というのは,実は上の思考・判断・表現のところとは限らないのか,違いますね。何を言いたいかというと,CAN-DOのところというのは,思考・判断・表現のところに当てはめてしまえばいいのではないか。乱暴ですけど。外国語関係の先生方は非常に,技能はどうするんだとリジッドに考えれば怒られてしまうんですけれども,私は,この3観点の評価をもし入れるんであれば,いや,CAN-DOというのはタスクなんだから,統合的ないろいろな部品を使って,使うこと,理解したり,使うことなんだから,これで言えば思考・判断・表現だよねぐらいの運用を許すぐらいでないと,いや,CAN-DOはあって,その3観点はあってというふうに,教員の認知リソースをできる限り取らないような方向でやっていただければなというのが私の願いです。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。時間的にも,おおよそこの特定の話題についてはいいかなと思うんですが,出てきた皆さんの意見の中で非常に大きい部分は,教科書の問題,教材はどうするかという問題,いわゆるペーパーベースの教材と,それから,ICTをどう組み合わせるか,これはもう既にいろいろなところで議論になっているわけで,ただ,検定基準をどうするかとなったときには,必ずそれに関しては学習指導要領の中に明記されているということが必要になりますから,それをいかにして学習指導要領の中に必要な部分に関しては入れていくかということが先ほど松本委員もおっしゃっていますが,そこがすごく大事になると思います。
ですから,小学校は,教材的に言うと余り多種多様なものは出てこないと思っていますので,大体5・6年生でみんなほぼ同じことができるようになっているという,先ほどの話じゃないですけれども,前提がある程度立つかなと思うんですけど,中学校は,6社,7社あるわけですから,そうすると,さっきの投野委員がおっしゃったように,3年生でも400語ぐらいしか共通したものがないという,これじゃ,高校入試は作れないと,そういう問題とどうしても関わってくるわけで,そこで引っ掛かっちゃったら,結局,中学校ではこの程度でいいんだなというので全部終わっちゃうわけです。ですから,中学校でもここまで行かなきゃ高校へ行けないんだというぐらいのつもりで,入試が設定されなきゃいけないということは,やっぱりそれぐらいの共通したものが必要になってくるとなると,先ほどから何名かがおっしゃっていますけれども,語彙数に関してももう少し上限を上げるとか,下限ですか,下限を上げるとかというようなところも考えていかなきゃいけないのかもしれません。
今,江原委員がおっしゃった評価に関しての問題というのは,きょうは十分にできませんけれども,一応文部科学省としては,この知識・技能,それから,思考・判断力・表現力,学習に取り組む態度というのを今回も出してきているわけで,それをどう今までのものと結び付けていって,がらっと変わったんじゃないよということをどうやって教員に印象付けていくかですね。でないと全く違うことをやらなきゃいけないとなったら,今おっしゃったとおり,これ以上取られては困るというのはよく分かりますから,そこのところをどう結び付けていくかということを評価の中で考えていく必要があるかなと思います。
いろいろお話を伺っていて,中学校はどこから始めるか。小学校が決まらない限りはなかなかこれは難しい。ただ,やっぱりそこのところでサイクリックな形で小学校でやってきたことも含めてどんどん中学校でそれを根付かせていくというやり方,考え方というのは,かなり中学校の場合は大事になってくるのかな。新しいことをどんどん,どんどん覚えるよりも,今までやってきたことをとにかくサイクリックに利用しながら,定着を図っていくという,いろいろな活動,いろいろなタスクを入れながらやっていくということを1つの柱にするという必要があるかもしれませんね。ですから,その辺もちょっと今後考える必要があるかと思います。
それでは,時間はほとんどないんですけれども,全体として,この点も忘れてほしくないとか,この点はもっとやらなきゃいけないというのがありましたら,どなたでもおっしゃってください。じゃ,藤村さん。
【藤村委員】  ここでの話をする中身ではないのかもしれませんが,先ほど平岡委員,それから,渡部委員の方からも,いわゆる小学校の英語科,あるいは中学の外国語活動のいわゆるこま数の問題ですね。新聞の方で,いわゆる35時間,5・6年の英語科は35時間,モジュールで一応どれだけするかというのは各地域なり,委員会サイドで教育課程を弾力的に運用してというようなことが報道としてされていますね。これは学校現場で言うと非常に混乱が起こっていまして,つまり,これは教科書を作るにしても,基本となるこま数が何時間ぐらいであるか,相当であるかということが明らかになっていないと,多分作れないんではないかな。あるいはICT活用して,モジュールの短時間学習の内容をこま数と連動させて仮に作ると想定しても,おおよその時間が決まらないと,それも実質作ることができない。やっぱりそこがはっきりするということが小学校の外国語活動もそうですし,5・6年の英語科につけてもやっぱり必要になってくるんではないかな。そこはできるだけ早く,およそこれぐらいの時間でというようなことがまず出るということ,それがないと,今,ここで話をしている高度化には行かないような気がするのです。つまり,各ばらばらな中でスタートして,本当に小学校どこも同じようなことができるのかどうかという,その辺に私は疑問を持っていますので,是非その辺を明らかにしていかねばならないんではないかと,そう思っています。
【吉田主査】  最初から,以前からの大きな課題ですね。非常に大きな課題。一応文面的に書いてあるものは,大体70とは書いてあるんですけど,ただ,それがどこまで本当に確保できるのか。確保しないと本当にばらばらになると思いますけどね。とにかくフレキシブルに運用するというのはある程度しようがない。しようがないけれども,最低これだけはちゃんとやりましょうということは,やっぱり意思として,我々のワーキンググループとしては出した方がいいのかなと思いますけどね。
ほかの方で何かございますか。大体よろしいでしょうか。
結構きょうは,実質的な内容についても皆さん議論いただけたかなと思います。ほかにも御意見がおありな場合は,事務局の方に論点整理をする際の資料として,御意見などをメールなどでお知らせいただければと思います。
最後に,次回以降の日程などについて,事務局の方からお願いいたします。
【圓入室長】  資料5を御覧いただければと思います。5月30日,第9回目でございますけれども,9時半から11時半ということで,場所は3F2の特別会議室を予定としております。本日まで御議論いただいたことを文章化していくということで,たたき台を御用意させていただいて御審議を頂く予定でございます。先ほど吉田主査からもお話がありましたように,まだ足りないところというのがあろうかと思いますし,なかなかまだまだ御質問なども含めてあろうかと思いますので,是非,一番多いのはメールで頂いたりしておりますけれども,後日,御意見を頂ければと思います。できましたら,5月初旬,連休がございますけれども,連休明けの頃ぐらいまでには御意見あれば是非頂きたいと思いますし,また,こちら側からも,頂いた御意見の中で少しお伺いしたいということがありましたら,御連絡をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました。
【吉田主査】  それでは,本日の中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会外国語ワーキンググループ(第8回)を終了させていただきます。本当にお忙しいところ,ありがとうございました。また今後ともよろしくお願いいたします。
―― 了 ――

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