教育課程部会 外国語ワーキンググループ(第4回) 議事録

1.日時

平成27年12月21日月曜日15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 外国語教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

<未定稿>
【吉田主査】  そろそろ時間ですので,皆さんお集まりですので,始めさせていただきたいと思います。
ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会外国語ワーキンググループを開催いたします。
本日は,「中教審・論点整理」及び「本ワーキンググループの検討事項」に沿って,事務局より1,外国語教育において求められる資質・能力について,2,小・中・高一貫した目標設定の在り方について,それから,3番目として,外国語ワーキンググループにおける検討事項に対する主な意見などの説明を頂いた後に,それぞれ意見交換をする時間を設けて,論点等について御議論いただければと思っております。
それでは,まず事務局より資料確認等をお願いいたします。
【圓入室長】  それでは,お手元の資料を御覧いただければと思います。
今日は資料1から7まで御用意しております。資料1は,これまで第3回まで頂きました主な意見の未定稿でございます。
資料2を御覧いただきますと,これはパワーポイントの形になっていますけれども,学習指導要領等の構造化のイメージという資料があるかと思います。それに関連して,参考資料で資料番号でございますけれども,先日の言語能力の向上に関する特別チーム,資料が,これは議事次第から添付しておりますが,御参考までにお配りしております。
資料3は,いつものA3の資料ということで,今日御議論いただくように,少し修正したものをお配りしております。関連して,4技能プラス統合型の指標形式の資料も少し修正したものをお配りしています。
資料4につきましては,これまで御検討いただいておりました検討事項に対する主な意見というものを,資料1ではなくて,まとめさせていただいたものを御用意しております。こちらにつきましては,前回にもお話しさせていただきましたように,中教審の論点整理の中に,年内若しくは年明け以降に,例えば小学校の方でございますけれども,授業時数の議論を小学校部会で行われるということで,そこに向けて外国語ワーキングとしても,この範囲の中でございますけれども,どういった意見,主な論点があったかということを報告させていただくために集約をさせていただきたいと思っております。今日は,主な意見案ということで,資料4を御用意しておりますけれども,本日の会議までに頂いたことをまとめまして,年が明けて1月12日,次回ございますが,そこで論点として改めて御議論いただいて,その後,予定されています小学校部会などに御報告していくというようなスケジュールを想定しております。この資料の作りは,また御説明いたしますけれども,主な意見だけではなくて,こちらの中教審の諮問にありましたように,去年の有識者会議の報告,それから,中教審の論点整理から関連するものも添付させていただいております。
その次の資料が資料5ということで,資料4に関連いたしまして,前回も御意見いただきました小学校の3年生から5・6年生までの新しい外国語教育の年間指導計画ベースでイメージなるものを御議論のために御参考までに御用意しております。関連して,現在使われております「Hi, friends!」の年間指導計画例というものもお配りしております。
資料6でございますが,これは以前もお配りはしているんですが,今日の資料4の御議論のために御用意しております,初等中等教育の英語教育の推進に係る取組という資料でございます。関連して,御参考でございますが,中教審の教員養成部会の答申案の資料をお配りしております。これからの学校教育を担う教員の資質・能力の向上について,A3の資料と分厚い資料がございますが,後ほど御紹介いたします。
資料7が1枚もので今後のスケジュールということでございます。
あとは,机上に前回までの資料がいつもの黒いタブレットの中に収められておりますので,適宜御参照いただければと思います。
また,中教審の論点整理につきましては,左肩上のドッジファイルの中に一番上にとじ込んでおりますので,こちらについても適宜御参照いただければと思います。
不足等ございましたら,事務局まで御一報いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【吉田主査】  ありがとうございました。
資料は皆さん大丈夫でしょうか。
それでは,まず外国語教育において求められる資質・能力,それから2番目の小・中・高一貫した目標設定の在り方について,事務局から説明をお願いしたいと思います。
【圓入室長】  それでは,資料2と資料3を使わせていただければと思います。
資料2でございますが,前回のときにも大杉室長から少し御依頼がありました中教審の総則・評価特別部会というものがございまして,そこで各教科共通して御議論いただきたいことということをお伝えさせていただいたと思います。その中の1つとして,中教審の論点整理にございました,これから育成すべき資質・能力の在り方についてということを,まず本日は御議論いただければと思っております。
資料2の1枚目は,既に論点整理の中に提示されている資料でございます。全体の構造図ということで,各教科学習で求められること,総合的な学習,特別活動,道徳教育と柱がございますけれども,本日は外国語教育における,横で見ていただくと「個別の知識や技能」,「思考力・判断力・表現力等」,それから,一番右側の「学びに向かう力,人間性等」というものについて,大まかなイメージということで,2ページ目でございますが,御用意いたしましたので,御覧いただきながら御議論いただければと思っています。
ただ,こちらにつきましては,本日御意見いただいて,例えば総則・評価特別部会に御報告し,また各教科がまとまってくると思いますけれども,そのときになって,またこちらの外国語ワーキングの方にも全体としてどのように議論していくかということで,キャッチボールをしながら議論いただくということになろうかと思います。
それでは,2ページ目を御覧いただければと思います。外国語活動の小学校から高校までということで,縦列で御覧いただければと思います。一番左側の個別の知識や技能ということでございますが,外国語活動から高校までということでございますけれども,小学校の活動,それから教科のところにつきましては,今現在,これまでも御議論いただいたことを踏まえまして,例えば,外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさを体験する。積極的に外国語を聞いたり,話したりする活動から,教科の5・6年生の方にいきますと,聞くこと,話すことに関する知識・技能,それから,積極的に外国語を読んだり,書いたりすることと書かせていただいております。
中・高につきましては,知識・技能,それぞれ4技能を今のところ書かせていただきました。
真ん中の「思考力・判断力・表現力等」というのは,「知っていること,できることをどう使うか」と書いておりますけれども,それぞれこれまでの目標でも挙げさせていただいたことを,少し簡潔に書かせていただいております。小学校の外国語活動のところを御覧いただきますと,簡単な語句や表現を使って,自分のことや身の回りのことについて,積極的に友達に質問したり質問に答えたりする能力と。その下の教科のところでは,なじみのある定型表現を使って,自分の好きなものや1日の生活などについて,友達に質問したり質問に答えたりする能力ということでございます。
ここで併せて,右の方に目線を移していただきますと,こコマでが「思考力・判断力・表現力等」でございますが,今回の論点整理でございました「学びに向かう力,人間性」というところでございます。ここには,外国語を用いてコミュニケーションを図ることの楽しさや言語を用いてコミュニケーションを図る大切さを知り,相手意識を持って外国語を用いて積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度などということで,一旦書かせていただいております。
前回の御意見の中にも,相手意識を持ってという御意見をたくさん頂いていたかと思います。そういった要素をこの中に入れさせていただきました。必ずしもこれが今の目標,文言と一致してはおりませんけれども,大体のイメージとして,このような3つで並べさせていただいたということがございます。
併せて,中学校・高校の方も御覧いただきますと,中学校もこれまで目標の絵でも描かせていただいたような内容でございますが,例えば聞いたり読んだりしたことを活用して話したり,書いたりする発信する能力ということは共通して書かせていただきながら,中と高,それぞれの学校段階で,中学校につきましては具体的で身近な話題について,学校,地域,他教科での学習内容等と関連付けて,互いの考えや気持ちなどを英語で伝え合う力と。高校につきましては,1つ目の丸ですけれども,日常的な話題から時事問題や社会問題まで幅広い話題について,情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝え合ったりする力というところまでを,思考力から表現力まで置かせていただきました。
右側を御覧いただきますと,本日の資料では,とりあえず「学びに向かう力,人間性等」につきましては,中・高,同じ記述にしておりますけれども,他者を尊重しということで,前回,情意面の関係で御意見を頂いたところを入れさせていただいております。こういった形で,とりあえず事務局で御用意させていただきましたので,また後ほど御意見を頂ければと思います。
その補足の資料として,3ページを御覧いただければと思います。1回目のあたりから,言語力の向上の関係で特別委員会がございまして,そちらからも報告をさせていただいております。以前,平成19年のときにも協力者会議がございましたときの資料を報告書案ということで前段に添付しております。こういったことを踏まえまして,今回の中でも御議論をという御説明をさせていただきましたけれども,仮にこれを踏まえますと,外国語教育,次期指導要領の中でどのようなことが求められる資質・能力なのかということを下の緑色の中に入れさせていただいております。これにつきましては,上段の報告書で言いますと,丸3の言語の果たす役割として他者とのコミュニケーション,対話や議論の基盤を形成する観点を重視しつつ,上の箱であります上記1番,2番の観点から求められる資質・能力の明確化を図ることを通じて,外国語教育をさらに改善・充実を図るということで,資料を御用意させていただきました。
下の丸5つは,前のページで御説明させていただいたものを改めて挙げさせていただいております。こういった形で,言語力向上につきまして,各教科に求められておりますけれども,外国語教育の中ではどのように整理していくかということをまず御議論いただければと思います。
また,次のページでございますが,中教審の論点整理の中にこういった資質・能力を育成するに当たりまして,学びのプロセスをどのようにするかということも各教科に御議論いただくように求められております。その要素のイメージということでまとめさせていただいております。必ずしも一方通行の流れではないということを小さく書いておりますが,ここは左から右,少し御覧いただければと思いますけれども,これまで御説明させていただいたような資質・能力を少しプロセスとしてイメージしたものでございますので,御意見があれば,後ほど頂ければと思います。
また,最後のページでございますが,「『英語』において特に重視すべき思考力・判断力・表現力等の例」ということで,ワーキング用に御用意させていただいております。これまで説明してきたことと関連いたしますけれども,今まで4つの技能という言葉を使っておりましたが,思考力・判断力・表現力ということを表すときには,これは初めて御説明いたしますけれども,それぞれ4つの領域ということで,それぞれの付けていただきたい力というものを整理してはどうかという御提案でございます。さらに,技能統合ということで,前回までもいろいろ御意見を頂いておりますが,その力ということでの整理をしております。
1つ目のテーマにつきましての資料はこコマでですけれども,関連して3につきましては,資料2の御意見いただいた方向で,また併せて資料3も修正してまいりたいと思います。青字のところが関連した修正でございますので,適宜御参照いただければと思います。
御説明は以上でございます。
【吉田主査】  どうもありがとうございました。
ただいまの説明にありました外国語教育において求められる資質・能力について,今から30分ぐらいかと思いますが,一応御意見など,皆さんございましたら,伺いたいと思います。
なお,御意見のおありの方は,名札を立てていただいて,順番にこちらで指名させていただきますので,よろしくお願いいたします。
いかがでしょうか。どなたからでも結構ですけれども,何か御意見ございますでしょうか。
では,本多さん,お願いします。
【本多委員】  資料2の2枚目の資質・能力の3本の柱に沿ったというところの「積極的に」という文言についてなんですけれども,外国語活動の小学校に「積極的に外国語を聞いたり」,その右側に「積極的に友達に質問したり」ということと,外国語の小学校の方に「積極的に外国語を読んだり」,そして中学校と高等学校は一番右に「積極的に」という言葉が入っているんですけれども,これが私としては分かりにくかった。というのは,積極的に外国語を聞いたり話したりするというのを個別の知識や技能の中にこういったものを入れるべきなのか,一番右のところに全て「積極的に」というのを置くべきなのかというところの「積極的に」といういわゆる情意面のところをどうするかという問題が気になりました。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。
今の本多さんの御意見も含めて,ほかの方も,確かに「積極的に」といろいろなところでいろいろな形で出ていますけれども,御意見がおありでしたら。
では,松本委員,お願いします。
【松本主査代理】  「思考力・判断力・表現力等」における「積極的に」というのは,傾聴するという意味合いとか,あるいは積極的に関わるという意味で使っていると思うんですよね。そのコンテクストにおいては,大きな問題はないかもしれませんが,ただコミュニケーションというのは必ずしもいつも積極的である必要もないような気がするんですよね。場合によってはコミュニケーションを避けるという手段も必要というか,判断も必要になるかと思うので,特に右側の方は「適切にコミュニケーションを図る」とか,「その場に応じて」とか,「その目的や相手に応じて」というようなニュアンスが伝わるようにした方がいいのではないかと前々から思っていたんです。ただ,現行の学習指導要領には「積極的に」ということが明記されているので,何か「適切に」と言ったときに,「えっ,何でそこが変わったの」と余りフォーカスされると逆効果なのかなという気はして,少し私の中でも揺れているんですけれども,確かに「積極的に」という部分に関しては,私も再考した方がいいのではないかと思います。
【吉田主査】  ありがとうございました。
では,順番に高木委員からお願いします。
【高木委員】  評価のところから少し考えたいんですけれども,この資料2の全体に関しては,実は評価に関することに私は大きく関わってくると思いますので,私は英語のことは余りよく分かりませんで,そのあたりは逆に教えていただきながら,評価について,まずきちんと先生方に全体像をつかんでいただきたいと思って,これから発言をいたします。
この1枚目の図は,論点整理の緑色の冊子の中にもあるんですが,あの中の図の27ページのところに描かれているもので,これは全ての教科でこの3つの「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力等」,「学ぶに向かう力,人間性等」で考えていこうということで,これは現行の学校教育法30条の2項から,この流れはずっと引き継がれてきているものだということを,まず確認しておかないといけないことだと思いますので,この図を新たに描き替えて,そういったことをするということではないんだということが大変大事になってくると思います。
それから,2枚目のところなんですが,たたき台になっているところなんです。個別の知識・技能というのは,割と英語の方では4技能をCAN-DOリストのところでうまく入るなと思っているんですが,入りにくいのは,どの教科もそうなんですけれども,「思考力・判断力・表現力等」というのを,一体それぞれの教科でどういうふうに定義していくかということが非常に難しくて,ここの関係が出てくると思っています。
さらに,「学びに向かう力,人間性等」なんですが,これは私見ですが,現行の学習指導要領では関心,意欲,態度の項目は,他の観点に係る重要な要素として,他の観点との関わりの中で一番右側のところを出してくるというのが,現行はその形になっています。これは,平成22年3月24日の児童生徒学習評価の在り方についての報告の中に明記されていることで,それはきちんと行っていくべきだと思っています。
ところが,この「学びに向かう力,人間性等」は今回枠がかなり広がっていまして,コンテンツベースとコンピテンシーベースのそれぞれの学力を同時並行的に行っていくとなると,この3つ目の枠の中身が単にコンテンツベースとコンピテンシーベースそれぞれの重要な観点だけを抜いたり,それぞれを統合した形で書いていいものなのかどうか,そのあたりが非常に大きく関わってくるかなと思っています。このあたりをどういうふうにするかは,全体の枠の中で決めなければならないので,英語だけの話には,多分ならないだろうなという見通しを持っています。
それからもう一つ,これは英語の部会の中ではほとんど御議論されていないんですが,4枚目のプロセスの図で,上の目的に応じたコミュニケーションのプロセスの中には,「言語活動」という言葉が出ているんですが,今回の論点整理の中にもアクティブ・ラーニングが出てきていて,アクティブ・ラーニングを簡単に言うと,見通しと振り返りと言語活動という言い方がありますので,このあたりが,上のところに振り返りはあるんですが,実は見通しの部分をどういうふうに捉えていくか。それと,言語活動との関係がどういうふうになっているか。この図ではよく分かりません。内容的に私は分からないので,そのあたりを教えていただきたいと思う。意見というか,質問を含めて2点申し上げました。
【吉田主査】  ありがとうございます。
なかなか難しい,基本的な問題というところだと思いますが,では,江原委員,お願いします。
【江原委員】  私のコメントも,高木委員に似ているんですけれども,2ページ目の表を見たときに,現在の中学校・高等学校の観点別の評価は,コミュニケーション,関心力,態度,情意面ですね。この表で言うと右側なのかなと。それから,外国語表現の能力,外国語理解の能力というと技能面ですから,これで言うと左側なのかなと。
非常に困るというか難しいのは,現状ですともう一つのものは外国語では言語文化についての知識・理解という,割と言語材料についての知識とか,あるいは社会文化知識としての知識ということで,真ん中の本当は人間の営みに非常に大事な思考力,ブルームのタキソノミーという言葉があるんですが,あの中に入っているような6つの階層構造が全部ここに入ってくるのかなと思って,私の端的な質問は,これが将来的に評価,それから評価の観点ということになったときに,どこがどうなるのかなというのが非常に難しい。現状の外国語の枠組みだと,前々回かな,本多委員かと思うんですけれども,「考えながら英語を使うのが大事だ」とおっしゃって,私はそれがすごく大事だと思っています。その考えるという,最終的には創造的に考えるというところが現状の外国語教育の観点別にはなかなか入りにくいんだけれども,そこが今度ここに入ってくるのか。そのあたりの仕分けというか,そういうものが難しいなと思いました。
【吉田主査】  ありがとうございます。
確かに真ん中の「思考力・判断力・表現力等」というのは,今までの枠組みの中では,お二人がおっしゃるように捉えにくい部分かなと思いますね。
では,長谷川委員,お願いいたします。
【長谷川委員】  私のコメントは,私は経済団体の代表ということで,特に教育者ということを専門にしているわけではないので,少し論点がずれているかもしれないんですが,この2ページ目のたたき台を見ておりまして,基本的に書いてあることには全面的に賛成なんですけれども,ベースとなる出発点といいますか,なぜ4技能をバランスよく総合的に身に付けなければいけないのかというところ。なぜ今,英語力が求められているのかということについての前段があった方が,より分かりやすいのではないか。
その目標は,例えばグローバルに活躍できるリーダー人材になるとか,いろいろあるとは思うんですけれども,産業界のことで言いますと,なぜ今,英語によるコミュニケーション能力ということを非常に強調しているかというと,実際にそれがビジネスの現場で必要だということがあります。いわゆる新興市場国,インドですとか,ブラジルですとか,いろいろなところがありますけれども,そういうところに行って,実際に現地の社会のニーズや要望を踏まえた商品やサービス事業を設計して,それを現地の顧客ですとか,従業員と協力しながら組み立てていって成功させなければいけないと。そういう中で,まさに英語を使って,お互いの要望を聞いて,こちらの言いたいことも言って,その話し合いの中でお互いが納得できるソリューションを見出していかなくてはならないという現実のニーズがあって,そういうことを言っているというのがあります。
例えば,先ほどお話のあった積極的にコミュニケーションを取るのがいいかどうかというのも,まさに最終的に英語を使ってどういうことを目標にしていくのかというイメージがあった方が,より分かりやすいのではないかなと感じました。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。
具体的にもう少しした方がいいのではないか。そういう御意見のように思いますが,ほかの方,はい,では,松本委員,どうぞ。
【松本主査代理】  先ほど,江原委員がおっしゃった点なんですけれども,今,4技能の外部試験を利用した能力を図ることが必要ではないかという議論をされている中で,この「思考力・判断力・表現力等」については,今までどちらかというと評価が薄かったスピーキングとライティングのテストの中で非常に重要な項目になってきているので,外部試験等を現場の先生方が慣れることによって,ある意味どういうことを評価するのかということがより明確になるのではないかと思います。ですから,英語力調査の分析が進んでいますけれども,そちらの方でも,この点は明確に出てくるのではないかなと。
ただ,逆に言うと,左側とどう差別化するのかという部分が難しいのかもしれないですけれども,どういうインタラクションをするかとか,質問されたことについて,どう論理的に自分の意見を書くかという部分については,大きな枠というか,構造をこっちで見て,それぞれの文法や語順とか,単語の選択について左側で見るというような関係性で整理すれば,それほど現場は混乱しないのではないかなと思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。
いろいろな捉え方というか,今までがほとんど左側中心の英語教育という,技能中心というか,知識中心だったものが,新たに先ほどの高木委員,あるいは江原委員がおっしゃったような観点で真ん中の「思考力・判断力・表現力等」というのが入ってきたわけですから,しかもこれはかなり重要な部分になっていますので,それをどういう形で関連付けていくか。今,松本委員がおっしゃったのは,1つの考え方と思いますが,評価の観点からした場合に,果たして本当にどういう形でやっていけばいいのかというのは,これからきちんと考えていかなければいけないと思います。
ほかの方で,何か御意見ございますか。
はい。では,どうぞお願いします。
【石鍋主査代理】  少し細かいところになりますけれども,4枚目のプロセスの要素のイメージのところで,一番下に「技能統合型の活動を通じた英語による」云々というのがあって,米印に例示が書かれてはいるんです。2技能以上を効果的に組み合わせて統合的に活用。括弧の中が例示だと思うんですけれども,聞くと読むを使って,その概要や要点を的確に把握して云々となっていて,このまま読むと,この括弧内が全てなのかなと思えてしまうんですね。これは,学校現場の教員というのは,こういうのを見ると,ああ,そうか。聞いたり読んだりして得た情報について,その概要や要点を的確に把握してやればいいんだなと思ってしまいがちなので,できれば2技能以上のものを2つ,3つ例示をしていただいた方が,技能統合型の活動のイメージがしやすくなるのではないだろうかなと思っています。
あと,戻ってしまって恐縮なんですが,2枚目の「外国語活動小学校」,「外国語小学校」,「外国語中学校」という縦列を見ていったときに,個別の知識や技能のところは,よく読むと理解ができるんです。例えば,外国語の小学校のところで,3行目に「積極的に外国語を読んだり,書いたりする」,その下に「文字を用いて」云々。ああ,これはやはり文字が入ってくるんだなというのは分かるんですけれども,聞く,話すを上の外国語活動と比べると,消えているので,ああ,文字を中心にやればいいのかなと思い込んでしまう。
ただ,読めば,「聞くことに関する知識・技能」,「話すことに関する知識・技能」と入っているんですけれども,日本語の表現が上と対比をしやすく書かれているので,逆に現場の先生はかなり軽重を付けてしまうのかなというおそれを私は感じてしまったので,感想を述べさせていただきました。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。
では,投野委員。よろしくお願いします。
【投野委員】  私は2ページ目のところを1点言いたいですね。この間,プレゼンしたときにも言ったんですけれども,CEFR的な技能でいくと,1人の人が4技能を全部同じようなレベルで身に付けるということが現実的に少し難しい場合があると思うんです。例えば,重要技能としてはかなり高級な高度なレベルまでいっているんですけれども,それを読み取った後の発表というのが,そのレベルと同じ語彙や構造を使って発表できるとは必ずしも限らない。なので,ここの大きな目標としてそれを書き込めるか分からないんですけれども,例えば「思考力・判断力・表現力等」あたりの一番下の高等学校レベルで見ると,「聞いたり読んだりしたことを活用して話したり書いたりしたり発信する能力」というのが,これをB1からB2と規定すると,同レベルで入れて出すということができるような力を付けなければいけないとした方がいいのかどうかは,今後検討する必要があると思います。それが1点。
それから,最後のページの「『英語』において特に重視すべき」というところも,領域というのが新しく出たということなんですけれども,向こうのCEFRでいくと,4技能の領域を分けている中で,話すことと書くことにはインタラクションというのが向こうでは設けられているんですね。つまり,これだと全て一方通行の感じの記述になっていて,受けるだけ,出すだけという感じの記述に偏りがちかなと思いました。最後の技能統合の部分も,何か一方的に聞いたり,読んだりした後,それをそしゃくした後,一方的に出すみたいな感じになっているので,そこはもう少しインタラクティブな側面を入れないと,レベルが上がっていくときに,そういうインタラクションが上手にできるという部分が表現できる側面が必要かなと思いました。
【吉田主査】  ありがとうございました。
ほかの方,それでは,種村委員,どうぞ。
【種村委員】  2枚目なんですが,先ほども話が出ましたが,「積極的に」というところなんですが,評価のところです。多分,このことを基にしながら,どの学校も評価をして,そして通知表を付けていくという作業になっていくんですが,例えば知識・技能のところに「積極的に」が入ったときに,知識・技能に「積極的に」を入れると,学校はどう評価していくのかなということがまず問われるかなと。なかなか難しい問題があるなということで,私は入れない方がいいなという感じを持っているということです。
「思考力・判断力・表現力等」のところも一緒です。「積極的に」というのを「思考力・判断力・表現力等」に入れていいのかなということを考えれば,先ほどの「適切に」というのであれば,そこに思考力・判断力・表現力が伴いますので,「適切に」だったらここに入れられるかなと。
あと,これは今,評価の問題点ではあるんですが,学力の3要素をいろいろ整理して,学校現場では大体4観点,国語で言うと5観点になっています。そのときに,関心,意欲,態度の評価がかなり難しい。現場の中では,関心,意欲,態度が「積極的に」と言うと,何回手を挙げたかと,何か違う観点で評価をしてしまう。違う観点というか,もう少し違う奥深いものがあるのでしょうが,やはり目に見えやすい評価にしてしまうということになったときに,次の学習指導要領が告示されたときにこの論点整理の中に出ていましたが,この3要素で,ちゃんと3観点を中心にやっていきましょうとなったときに,この3観点目の「学びに向かう力,人間性等」のところの「積極的に」という言葉だけで,もしかしたらまた今の問題点がそのまま再現されてしまうのではないかという心配があります。
だから,ここの表現をもう少し現場が適切に評価できるような表現にならないかなと。「積極的に」はもちろん子供たちのイメージとしては積極的にどんどんやってもらいたいんでしょうが,言葉だけが独り歩きして,「積極的に」だから何回手を挙げればいいとか,何回関わったらいいとか,そういう評価にならないような工夫がないかなと読んでいて感じます。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。
それでは,平岡委員,お願いします。
【平岡委員】  2枚目なんですが,これを見せてもらって,大きく2つ感じることがありました。
1つは,小学校と中学校・高等学校が資質・能力においてつながっているなということと,小と中の間にある程度の差があるなということを思いました。その差があるということに関してなんですが,知識・技能においても,読む,書くが「積極的」という表現がどうかということは後にして置いといて,積極的に文字を用いてコミュニケーションを図るというふうに中学校と高校の知識・技能と差を付けてある。あくまで小学校においては,聞く,話すことが中心だよということが見て取れるというところ。
そして,情意面のところです。学びに向かうというところにおいても,楽しさ,大切さを知りというふうに,現行の成果が出ていたと思いますが,それを引き継いでいるということ。そして,中学校以降は,相手を「聞き手・話し手,読み手・書き手」とありますが,小学校では「相手意識」とまとめてある点。ここに差があるということが非常に私は小学校の発達段階においては,そこは非常に大事なところではないかなと感じます。
また,思考力・判断力・表現力においても,中学年の簡単な語句や表現を引き継いで,高学年がなじみのあるというふうに段階を追って,思考力・判断力・表現力においてもレベルを上げていくというあたりが中・高と差が付いているところは非常にいいなと思います。やはり学習する子供の視点に立って育成すべき資質・能力が整理されているというところは非常にいいなと感じたことが大きく1点あります。
先ほどから「積極的に」というところが議論されていますが,今,小学校においても意欲,関心のところは手を挙げた回数ではなくて,学習の中において,その単元の目標に関する点において子供たちが積極的であったかどうかということであって,発表する回数であるとか,ノートがたくさん書いてあるとか,そういった点ではないということを踏まえると,小学校においても,今,外国語活動ですが,「積極的」というのはたくさん発表しているとか,そういうことではなくて,言語を扱おうとする態度そのものを見取っていることではないかなと感じます。それについては,私自身がまだ整理はでてきいないので,皆様の議論をお聞きしたいなと感じます。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。
それでは,これから酒井委員,渡部委員,佐々木委員,本多委員という順番でいきたいと思います。
では,酒井委員,お願いします。
【酒井委員】  お願いします。2枚目の資料で2点,意見を言わせてください。
まず1点目は「個別の知識や技能」についてですが,先ほど,江原委員も言われましたように,これは従来,言語文化についての知識・理解というところを技能面のところもしっかり位置付けたというのは,大変評価をしたい。これはなぜかというと,例えば,中学校の学習指導要領の言語活動の4技能の(ア)や(イ)ですかね。例えば,書くことで言うと,符合や文字を正しく書けることとか,あるいは正確に文で表現できることというものは,どちらかというと文脈から離された活動で,英語の学習指導要領の中にも書いてありますが,いわゆる言語材料を理解したり,練習したりするための活動で習熟できるようなものになっているわけです。
ここになかなか思考力・判断力・表現力を必要とするような言語活動が実現しづらい。むしろ今,英語教育にとって必要なのは,実際に英語を使用して,自分の考え等をお互いに伝え合ったり,理解し合ったりする活動と思いますので,そういう意味では基本的な技能の面をしっかりと知識・技能ということで,それをどう応用するかということの図式が見えたのは大変よいことだなと思いました。
2点目は,そういう意味で,真ん中にありますが,「思考力・判断力・表現力等」。これは,外国語教育における,あるいは外国語を使ったときの思考力・判断力・表現力とは何かと考えたときに,1つ文脈というのは考えるべき事柄になるかなと思うんですが,もう少し具体的に言うと,今,指導要領で言われているのは「状況に応じて」。この「状況」というのは,場面と相手ということだと思いますが,それともう一つ,4枚目の資料にもありますが,「目的に応じて」。この観点でいかに言語を使っていくか,知識を使っていくかということが,思考・判断・表現に関わってくる力なのかなと思っています。
少し例を出します。小学校でも同じことだと思うんですけれども,例えば,「What sport do you like?」と聞かれたら,「Baseball.」一言でもしっかりコミュニケーションできているわけですけれども,では,「自己紹介してごらん」と言われたときに「Baseball.」一言では自己紹介にならないわけですよね。そういう意味では,状況に応じていかに言語を使用していくことが適切なのかを考えて使える力というのは,実は小学校の段階から必要であろう。そういう意味では,「適切に」という言葉が,高校の段階で入っているわけですけれども,これをしっかり小学校から位置付けていくことで,思考・判断・表現の具現化は可能ではないかなと思いました。
以上です。
【吉田主査】  どうもありがとうございます。
それでは,渡部委員,お願いします。
【渡部委員】  資料2の2枚目について,何点かお願いいたします。
まず,「コミュニケーションを図る」という言葉がちょこちょこと出てくるわけですが,現場の先生と話している中で非常に感じるのは,このコミュニケーションというものが,以前ほかの先生からも御指摘があったんですけれども,非常に思考や感情,情報の伝達のみのところで考えられていると。要は,話すだけとか,そういうところで,コミュニケーションの重要なところというのは,例えば意思の疎通など,気持ちが通じる,つまり相互の理解といいますか,そこのところに迫っていく必要がある。そのための思考であり,判断であり,表現であるということを考えると,この「コミュニケーション」という言葉については,若干説明をしておかないと,表面的なコミュニケーションの楽しさというと,何か外国の人と話をして楽しかった,で終わってしまうようなところが多々あるのではないかなということを懸念しております。
3枚目の「言語力の育成方策について」という資料の(2)の丸3ですね。「他者とのコミュニケーションに関すること」として,「自己を表現し,他者を理解するなど」と,お互いの考えを深め合うというところ,このあたりを強調していく必要があるかなと思いました。
それから,2点目。これは,先ほど,石鍋委員の話もあったことと関連するんですが,2枚目に書いてある小学校の外国語活動,小学校の外国語のところで,言語を用いてコミュニケーションを図ることの大切さを知る,そして文字を用いてコミュニケーションを図ることの大切さを知ると。これは,あたかも系統的な形で書かれているんですが,これを系統的なものだと先生方が取ってしまうと,小学校の外国語では文字というところがかなり強く出てしまうのかなと。この言語を用いてコミュニケーションを図るというのは,全体に係ることですので,ここで並べて書くと誤解が生じるのではないかなということを感じました。
そして,4枚目,5枚目ですが,技能と領域というところが出てまいりました。たしか昭和の学習指導要領では,「3領域4技能」という言い方がされておりましたが,この領域というのは,意外と先生方はなじみのない言葉というか,ニュアンスとしては技能が4つのスキルであるとすれば,領域というのはそれを用いて学習する言語活動であったり,学習内容であったりという理解をしているんですが,その言葉がきちんと定義されずに出てくると,先生方は非常に混乱するのかなという気もしております。
また,今度は領域というのが,最後のところ,何とかの力と書いてあるんですが,領域というのは力であるのかというところを考えてみる必要があるのかなと思います。又は,その頭のところに書いてありますが,「複数の領域を統合的に活用」とあります。領域というのは活用するものか。要は,ここで技能や領域がかなり混同してきているのではないかなということを懸念しております。
最後に,「相手意識を持った」,「他者を尊重した」という言い方が出てきます。これは非常に大切なことだと思うんですが,この大きな資料,「小・中・高を通じた目標及び内容の主なイメージ」というところで赤で修正が入ったものがございます。ただ,相手意識を持ったというのが,コミュニケーション能力に係る形容詞としてのものであるのかというところを少し考えなければいけないかなと考えています。そもそもコミュニケーション能力を形容する言葉として「相手意識を持った」というのを限定的に使ってしまうのかというところが少し気になりました。また,「相手意識」という言葉と,「他者を尊重した」という言葉にどのような具体的な違いが込められているかというあたりもきちんと説明をしないと,言葉だけで先生方にはなかなか伝わらないのかなということを感じました。
長くなりました。以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。
それでは,佐々木委員,お願いいたします。
【佐々木委員】  2枚目のたたき台について,2点,気の付いたところで,1点目は今お話のありました文言ですけれども,小学校のところに出てきた「相手意識」という言葉が既に使われている言葉なら申し訳ないんですけれども,「相手意識」という言葉の捉え方が一般の先生方や一般的にすんなり落ちるか,共通理解が持てるかどうかと言ったら,先ほど見たときに少し気になったところです。
2つ目は,右側の「学びに向かう力,人間性等」ですが,中学校と高校のところが同じになっているということですけれども,やはり今まで学んできた経過から言うと,高校のところでも少し文言を変えていった方がいいのではないか。先ほど,「積極的」という言葉が話題になっていますけれども,高校では,先ほど,長谷川委員からあったように,コミュニケーションを何のためのコミュニケーションなのかということを意識していって,例えば,何かの課題解決に向けてのコミュニケーションなのか,よりその場のレベルの高いものを生み出すものなのかとか,いろいろコミュニケーションの目的を考えたものができないといけないかなと思いました。言葉とすると,どういう言葉を使っていいのか分からないんですけれども,「積極的に」というところがいろいろな捉え方があるのであれば,私はコミュニケーションというのは「円滑なコミュニケーションを図ろう」ということや,先ほど出た「適切な」といったところで,お互いが理解し合っていいものを生み出していくようなコミュニケーションというイメージが湧けばいいのかなという感じがいたしました。
以上2点です。
【吉田主査】  ありがとうございます。
続きまして,本多委員,お願いします。
【本多委員】  私も渡部委員と佐々木委員と同じところなんですけれども,もう少し発言させていただきますと,まず「相手意識」というのが,相手という存在がいるということなのか,相手のことを考えられるというところなのかということ。特に小学校のところで,資料3の目標の改善例のところに書かれているんですけれども,これは両方とも相手意識を持ったということですけれども,多分具体的に言うと,左の方は相手の存在,そして,尊重するということだろうし,高学年の方は,話し手や聞き手のことを考えられるということかなと自分なりに解釈をしてみました。
中学校と高等学校のところなんですけれども,「尊重」と「配慮」という2つの言葉がありまして,先ほどの目標のところを見ると,中学校の方が「他者を尊重し」ということで終わっていて,高等学校の案の方は,「他者を尊重し,聞き手・話し手,読み手・書き手に配慮しながら」というのがあります。
それで,資料2の2枚目の右側の中学校と高等学校が同じ文言になっているんですけれども,これについて,私は賛成なんですね。中学校と高等学校で,この部分に関しては,さほど差はないのではないかなという思いがあります。もちろん,言葉の上で何かしらの段階付けをすることが可能かもしれないんですけれども,基本的に中学校と高校ではこの辺に関しては,同じスタンスでいいのではないかなと思います。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございました。
それでは,藤村委員,お願いします。
【藤村委員】  2枚目の資料についてです。
先ほどから出ています「積極的に」という言葉なんですが,外国語活動の現在やっている,いわゆる聞いたり,話したりするということについての「積極的に」というのは,非常によく理解もできます。これは,先ほどから出ていますように,子供たちが話をしていく中で,自分の知っていることを使いながら相手とのやり取りをする。いろいろリアクションも含めて積極的に取ろうとする姿ということがイメージできるのですが,小学校の外国語のところに,「積極的に外国語を読んだり,書いたりすること」となると,文言としては非常に並んでいてきれいに見えるんですけれども,かなり文字に重点を移すという意味合いに取れてしまうのではないかな。それが,ずっとこの間から出ています小学校のPreA1も含めてですけれども,そコマで文字については,さほど明確にこうやって取り組んでいるというのは出ていなかったように思うんですけれども,こういうふうに出てしまいますと,かなりここに重点を置くように変わるんだなとどうしても捉えてしまうのではないかという危惧が私もしましたので,話をしたいと思いました。
それからもう一点,酒井委員から話がありました。私も大賛成で,子供たちが習ったことを場面が変わった中でどう生かすことができるか,使うことができるかというのは,すごく大事なことだと思っています。ですから,先ほどありましたように,「Baseball.」と言ったときに,「Baseball.」だけでは伝わらないので,情景が変わって,場面が変わったときに,その言葉,習ったことを,うまく表現も含めて使ってコミュニケーションできるということがすごく大事なことだということで,「積極的に」というよりも,幾つかある中で適切にそれを使うという方が,私もいいのではないかと思いました。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。
まだいろいろ皆さん,御意見おありかと思いますけれども,今言っていただいた部分だけでも,これを全部取り入れて書き直すのは大変なことかなと思います。
ただ,最初に高木委員もおっしゃったように,評価との関連できちんとした形で整理して書かないと,ただ,これをばらばらに書いても意味がないので,そこのところも考慮した上で皆さんの御意見を取り入れた形でできるだけもう一回考えて書き直していきたいと思います。
それでは,まだ次の議題がありますので,次に移っていきたいと思います。続いて,資料4の外国語ワーキンググループにおける検討事項に関する主な意見を基に御議論を頂きたいと思います。
まず,事務局より説明もありましたように,「中教審・論点整理(平成27年8月)」を踏まえて,小学校の外国語教育などの議論について,部会で御議論いただくため,これまでの外国語ワーキンググループにおける論点を一旦整理させていただきたいと思います。
それでは,事務局から説明をお願いいたします。
【圓入室長】  それでは,資料4と5と6を使わせていただきたいと思います。まず4でございますけれども,これがこれまで頂いた御意見,資料1というのがかなり大部になりますけれども,そこから少しエッセンスといいますか,主立ったものを検討事項の順番に整理をさせていただいたものがございます。
1ページ目を御覧いただければと思います。まず,今までも御説明を何度かさせていただきましたけれども,前提として中教審の諮問のときに昨年9月に有識者会議でまとめていただいた今後の英語教育の在り方に関する報告書というものがございます。それも踏まえて審議をするということもございますので,そういったこともこの中に入れさせていただきながら,こちらで頂いた御意見を今日,前の方に書いております。
1番目が「小・中・高を通じて一貫して育成すべき外国語教育における資質・能力」ということで,これまで前半で御審議いただいた資料2に関連することでございます。その中で,主な意見ということで,今まで頂いたものを1ページの後段に整理しておりまして,先ほど来,頂いている御意見としては,「他者を尊重し」とか,丸の2つ目は,これは中学校のことで御意見いただいたものですけれども,相手を大事にしながら伝え合う,相手の考えに共感する,協力しながら問題を解決するといった情意面の話ですとか,3つ目の丸は高校段階でも必要であるという御意見を頂いたものを並べさせていただいております。
また,そういったことにつきまして,後ろにも出てくるんですけれども,CAN-DOに入れることはどうかという論点が1つありますけれども,よりコミュニケーションについて明確にする必要があるということで,場合によっては解説書などに明記してはどうかという御意見も頂いていたかと思います。
次のページを御覧いただければと思います。2ページは続けまして,求められる資質・能力の関係でいきますと,先ほども御議論いただきましたように,技能統合についての御意見というものがございましたので,そこを挙げさせていただいております。
2つ目の丸は,これも1回目,2回目あたりにも頂いておりましたけれども,求められる資質・能力というときに,どうしても英語教育が中心に去年も御意見を頂いておりましたけれども,産業界をはじめ,社会から期待されている英語力とは何かという御議論が1つあったかと思います。高校卒業段階までに育成すべき資質・能力というものをまず掲げていただきながら,そこから中学校・小学校に達成すべきものを一体的にお示ししていただく必要があるのではないかということを挙げさせていただきました。
2ページ目に小さな文字が続けて書いてありますが,これは中教審の論点整理の関連部分の抜粋でございますので,こちらについては適宜御覧いただきながら,御意見いただければと思います。
4ページ目に移らせていただきたいと思います。外国語教育の改善ということで,ここから小・中・高を通じて一貫した教育目標の在り方,指導内容,学習過程の在り方ということで意見を整理させていただいております。主な意見のところでございますが,まずは国の目標の在り方ということですけれども,これまでも技能統合型というのがございましたけれども,より一層そういった言語活動を重視する必要があるのではないかということを最初に書かせていただいております。
一方で,情意面の話がコミュニケーションの議論でも頂きましたけれども,指標形式の目標ではどのように設定するのかということ。場合によっては,指標形式の目標のところでは,そもそも英語で付けるべき力に的を絞ってもいいのではないかということも御意見として頂きましたけれども,一方でCAN-DOのお話でございましたけれども,指標形式の目標というのは,汎用性のあるものであるべきではないかと。そういったときに,思考力・判断力・表現力とどのように関連付けていけばいいのかという御意見を頂いていたかと思います。
5ページに移らせていただきたいと思います。少しここから具体的なお話になってまいりますけれども,今日も修正版をお配りしておりますが,事務局からたたき台でお配りしたA3の資料で,指標形式の目標の資料をお配りしておりましたけれども,それに対するコメントを頂いていたかと思います。大枠としては適切ではないかということを最初の丸にも書かせていただいております。その中でも,PreA1から,例えば小学校段階ではA1までということでございましたけれども,簡単な語句やアルファベット,定型表現なども掲げているということはよいことではないかと。それが中学校にどうつながっていくかという御意見を頂いていたかと思います。
申し訳ないんですが,時間がないので,このあたりの丸のところは少し省略をさせていただきますが,A1までの話で,特に中学校につなげての目標の中では,繰り返し小学校で学んだことを中学校でもエクスパイラルに学ぶような技能を身に付けていくような見せ方が必要ではないかという御意見があったかと思います。
5ページ目の後段の方では,国がお示しする目標と学校が設定する目標との関係に関する御意見を整理しております。国がお示しするものは,汎用性のある大枠でお示しするという御意見を頂いておりましたけれども,それに基づきまして,学校ではCAN-DOリストということで,これまでお取り組みいただいておりますけれども,学習到達目標として地域や学校の状況に応じた目標設定が可能となるよう検討してはどうかということでは,御意見を頂いていたかと思います。ただ,それをばらばらに設定するのではよくないということで,地域の中で目標を共有するということが非常に重要であり,それを踏まえて実際に教科書レベルでも実行するということでいくと,さらにどんどん細かい目標が必要になってくるのではないかというお話も頂いていたかと思います。
それに伴いまして,これは学習指導要領に位置付けるかどうかは別としてというお話を頂いておりましたけれども,何らかの形で目標との関係でいきますと,語彙や表現がセットに示され,一緒に共有できるような作り方にすべきではないかという御意見を頂いていかと思います。
次のページ,6ページ目にいかせていただきたいと思います。それをどのように表すのかということで御意見があったかと思います。国の目標としては,指導目標ということで,何々ができるようにするということでのお示しの仕方をしているのではないかという御意見を頂いておりました。これは,昨年の有識者会議のときから,何ができるようにするという形になっておりましたけれども,場合によっては何ができるという生徒目線の書き方というのはどうかという御意見もあったかと思います。ただ,これらについては全体の枠組みが掛かってくることもございますので,全教科に共通するようなお話になるのであれば,それは他の総則・評価特別部会や小学校部会などでの議論が必要ではないかという御意見も頂いていたかと思います。
6ページの後半でございますが,語彙数や表現ということで,たくさんの御意見を頂いていたかと思います。かなり細かくなってきますので,大きな方向性として頂いたことも申し上げますと,最初の丸でございますけれども,語彙や表現などにつきましては,小・中・高校を通じて,段階で繰り返し活用することを前提に検討するということ。それから,異語数と総語彙数という考え方で,前回御発表いただきましたけれども,そういった考え方を小・中・高を通じて示していくべきではないかというお話があったかと思います。
6ページから7ページに掛けまして,投野委員が御発表された内容になっておりますので,恐縮でございますが,少し省略させていただきたいと思います。
いずれにしても,小と中のつながりということでの捉え方がまず必要であって,それから,英語につきましては,昨年の有識者会議でも御指摘がたくさんございました教科書をどのように考えていくか,使い方を含めて改善していくかという御意見をたくさん頂いておりました。それに関連して,CAN-DO形式の目標や語彙の表現の関係はきちんと品質管理をして,教科書をよくしていく必要があるのではないかという御意見もあったかと思います。
次のページ,8ページに移りますが,これは評価に関連することでございます。まだまだ評価につきましては,別途特別部会で全体の御議論があるかと思いますけれども,頂いた御意見だけを拾わせていただきますと,CAN-DO形式の目標ということでの関連でいきますと,これを自己評価,それからパフォーマンス評価を組み合わせて,ポートフォリオとして子供たちが生涯にわたって学んでいく姿勢というものをより身に付けていけるようになればいいのではないかというお話もあったかと思います。
それから,次,少し飛びます。8ページから9ページに掛けては,有識者会議でかなり御議論いただきまして,例えば,9ページで「学習到達目標を設定する効果」と。これは,学習到達目標を指すときは,学校でということでございますけれども,そういったものを整理しておりますが,ここも含めて,後ほど御意見を頂ければと思います。
続けて10ページに移らせていただきたいと思います。言語能力を向上させるための国語教育と外国語教育との連携というものがございました。これは,現在,言語能力向上のための特別委員会の資料を今日もお配りしておりますが,そういうところでも御議論いただいたこととやり取りをしながら,ということでございます。具体的に頂いた御意見として,目標・指導内容全体について,それから言語の仕組みということでの御意見を挙げさせていただきました。
11ページに,こちらについては,これまでも特に小学校を中心に言語の仕組みに音声など関連しまして頂いているところも参考に添付しておりますので,併せて御意見いただければと思います。
12ページ以降にいかせていただきたいと思います。小学校の外国語活動,教科としての在り方ということでございます。13ページの方に,これは,もともと有識者会議で方向性が示されております中学年と高学年の目標そのものを併せて挙げておりますので,こちらも含めて論点整理で掲げられた年間の標準の授業時数が70時間ということがありましたけれども,改めて全体の御意見を整理し直させていただきたいと思っております。
目標の内容につきましては,その意味では余り具体的な昨年度に掲げさせていただいたものに対する御意見ということではなかったかと思いますけれども,これをどのように進めていくかということで,丸の6つ目でございますけれども,前回御意見を頂きましたのは,やはり「Hi, friends!」が平成23年度以降かなり定着をしてきているということで,1番目に書いてあります,これまでの成果を生かしながら,小学校教員の負担感を少しでも軽減するという観点も含めまして,「Hi, friends!」の単元構成など基本的な枠組みを基に,70単位時間の,例えば高学年の学習内容を設定し,具体的なイメージを共有していくという意味で議論してはどうかという御提案を頂いていたかと思います。
本日はこういった御意見,短時間学習のことも同じような御意見を頂いていたかと思いますので,資料5を御覧いただければと思います。あくまでもたたき台ということで,イメージということで御用意しておりますけれども,A3の1ページ目が3・4年生,2ページ目が5・6年生でございます。3ページ目が現行の「Hi, friends!」の1と2の年間指導計画の例というものを文部科学省から御提示させていただいておりますが,その概要ということでございます。詳細につきましては,別途A3の資料でもお配りしておりますので,また御覧いただければと思いますが,こういった形で御用意させていただきまして,本日,後ほど御議論いただければと思います。基本的には,前回に英語教育の教科地域拠点事業でもほとんどの小学校で取り組んでいただいておりましたのが,今の「Hi, friends!」の構成,枠組みを活用しながら,教科化の方向性を試行錯誤しながら取り組んでいただいていたということでございましたので,そういった事例も参考にさせていただきながら,前回のどのようなレベルにするかという御議論を投野委員からもお話しいただきましたけれども,5・6年生につきましては,PreA1というところだけではなくてA1のところまで,4技能を入れた形で赤字でございますけれども,例えば仮にイメージを描くとどのようになるかということも入れさせていただいております。
2ページ目の5・6年生につきましては,何時間がというのは置かせていただきまして,例えば短時間のイメージということでございますけれども,短時間学習に関しては,たくさんの御意見を頂いていたかと思います。きちんと45分でまとまりのある授業との関係を系統的に明確にして位置付けて行うべきということでございましたけれども,その中でも,前々回に御説明いたしました「基礎的な知識・技能を定着」,若しくは「身に付ける」という言葉がいいのではないかという御意見を頂きましたけれども,そういった例として上段の方に,これはLesson2のアルファベットについてということで,主な目標と活動例というのを書かせていただきました。仮にLesson2で45分の授業を行った後に,短時間で行う場合というのはどのようなことが考えられるのかという例を挙げさせていただいております。
また下の方にも,これは6年生のLesson6でございますけれども,学校の行事ということで,題材が挙がっておりますが,その例を掲げたときに15分ということで短時間学習を挙げております。学校の方で,場合によっては前回御意見を頂きました60分として意味のある場面設定の中で深まりのあるコミュニケーション活動をするという形も選択できるようなイメージというものも少し例示を入れさせていただいております。後ほど,こちらにつきましても御活用いただきながら御議論いただきたいと思います。
資料4に戻りまして,恐縮でございますが,14ページの方に移らせていただきたいと思います。短時間学習の活用ということで,お時間がございませんので,ここも御説明は省略させていただきたいと思います。先ほど御説明したように,「Hi, friends!」をベースにして,70時間の年間計画のイメージを提示し議論するということが多くの関係者の理解も得るようになるのではないかというお話も頂いておりましたので,資料5というものも用意させていただきましたけれども,あとは現在でも様々な取組を小学校で行っておられるということでございまして,45分プラス週二,三回,15分行うということもあろうかと思いますし,また60分ということもあると。
それから,もう少し長い時間でということで,16ページを御覧いただければと思います。「短時間学習等のイメージ」ということで,45分との関係で言う15分という話と,60分という話も挙げておりますけれども,これはあくまで事例でお伺いしただけでございますが,長めのモジュールを組み合わせたイングリッシュ・キャンプや補習合宿など,長期休業期間にも少しそれを位置付けていくということも例示で挙げさせていただいております。
そういった意味で,丸の3つ目,4つ目のところでございますけれども,あくまで標準の時間,年間70時間ということでございますが,その中に系統性を確保して位置付けるということが前提でございますけれども,こういった短期といいますか,長期といいますか,モジュールということで,まとまった時間で言語活動,アウトプット活動に充てていくということも含めて,柔軟に例示を示しながら方向性をまとめていただいてはどうかということで,今回,御用意させていただいております。
17ページ以降は,そういったことをいずれ小学校部会などにおいて全体的な視野で十分に検討することが必要ではないかということで,頂いた御意見を書かせていただいております。
18ページは,これまでの短時間学習などに関する御意見ですので,御説明は省略させていただきます。
19ページでございます。小学校のところまで御説明いたしましたけれども,併せて,より小・中の具体的な連携の在り方ということも御意見を頂いておりましたので,ここに関連の部分を挙げさせていただいております。ただ,これにつきましては,19ページの後段の論点整理から,次の20ページの後段にも少し踏み込んだといいますか,具体的に小・中の連携の在り方ということの御指摘を論点整理にも頂いておりましたので,それ以上に加えて,小・中の具体の学びの接続に何が必要なのかということをもう少し深めて御意見を頂ければと考えております。
21ページは,今まで御説明いたしました,特に小学校の外国語教育,教科化ということでございますが,非常に新しいこと,指導の在り方なども導入するということになりますので,特にその点,学校関係者の方々も皆さん不安であるという御意見をたくさんお伺いしているんですが,こういった学習指導要領の内容の御説明をしていくに当たりまして,やはり必要な指導体制といいますか,教材,研修・養成といったことも併せて,やはり必要なものを提示させていただくことが大事かと考えております。そういった意味で,ここの柱を設けさせていただいておりますが,中教審に関連しましては,養成・研修につきましては,養成部会がございまして,今日お配りしている資料で,A3の資料でこういったものがございます。済みません。番号が資料2-1になっておりまして,「答申案のポイント」というものがありますけれども,実は今日の同じ時間帯でこの案が取れるということで,今,審議をされているという状況でございます。こういった形で研修,採用,養成を一体的にどのような方向性に導いていくかということが,別途議論されております。
その中で,英語教育につきましては,新たな課題ということで,議論もなされておりまして,特にページでいきますと分厚い方の資料を御覧いただければと思いますが,39ページにその記述がございます。外国語教育の充実ということでございます。済みません。これは,印刷が38ページが抜けておりまして大変申し訳ないんですが,左側のところ外国語教育,真ん中の箱を見ていただくと,これがいわゆる研修の関係でございます。ポツが2つありますが,1つは各地域の指導者となる英語教育推進リーダーの養成を推進し,その推進リーダーが地域で研修を行っていただくわけですが,そういった中で御審議させていただくと。
もう一つのポツは,小学校のことを特に意識しておりますが,免許法の認定講習の開設支援をさせていただくことで,小学校英語の教科化にも対応するような中学校の免許状を併有することを促進するということも書かれております。
また,右側の箱を御覧いただきますと,これは養成の関係でございますけれども,1つ目のポツが大学,教育委員会等が参画して教員養成に必要なコアカリキュラムを開発し,課程認定や教職課程の改善・充実に活用する。それから,小学校につきましては,専門性を高める教科及び指導法に関する科目を教職課程に位置付けということが,この答申の中に掲げられるということでございます。
こういったことも併せて学習指導要領の改定の内容とともに打ち出していきたいと思っておりますが,資料6は以前御説明しましたので,御説明は省略をさせていただきたいと思いますが,1点だけ御紹介しますと,26ページ以降に,先ほど答申素案に御指摘があった小学校英語教科化に向けた認定講習の資料を付けております。この絵の中を御覧いただきますと,基本的には英語教育推進リーダーの養成というものが平成26年度から毎年500人育成させていただいて,中高の先生方はこのリーダーが講師として行っていただく研修を必ず受けていただくと。小学校につきましては,このリーダーの方が各学校におられる中核教員の方々に研修をしていただいて,中核教員の先生は校内研修をしていただくという形で進めてきておりますが,中核教員につきましては,必ずしも1対1で行われるとは思いませんけれども,なるべくその学校の中で,今後,早期教科化ということでの体制を作っていただくということも,役割を担っていただくようなイメージで,やはり専門性を身に付けていただくことが必要ではないかと。
中学校の免許を持っている小学校の先生はまだ非常に少ないという数値もございますので,例えば,夏休みや通信を利用して免許を取っていただくような御支援を来年度からさせていただければということで,今予算を要求させていただいておりますが,こういった答申や事業を通じた御支援などもございますので,今後新たに具体的には展開していくという段階の中で,学習指導要領の方向性と併せて,もっとこうすべきではないかという御意見も本日頂いて,そのまとめの中に入れさせていただければと思っております。
御説明につきましては以上でございます。
【吉田主査】  ありがとうございました。
全体として,かなりいろいろ今まで検討してきた内容を踏まえてですけれども,いろいろまだ考えなければ点があるということなんですが,これから残った時間,ほぼ40分ぐらいだと思いますけれども,その間,また皆さんから今の御説明をベースに,何か御意見その他がありましたら,また名札を立てていただいて,御意見を頂ければと思います。
いかがでしょう。どなたからでも結構です。
はい。それでは,種村委員,お願いします。
【種村委員】  先ほどの小学校2コマの扱い方なんですが,この9月末から10月に掛けて,各都道府県の研究部長さんに当たる方に全員にお集まりを頂いて,この外国語活動2コマに入ったときの課題と,若しくは道徳教育や学力調査についても情報交換をしてきました。その中で,その2コマの扱いについては,かなり現場の校長先生方は今後どうしていくかということで不安を持っています。
今,お話を頂きましたように,あとの1コマの1時間は外国語活動で取っていますので,もう一コマをどうするかという問題なんですが,例えばモジュールを15分掛ける週3回やって,それを35週やるということをした場合に,かなり各学校では学力向上のために算数や国語や読書活動など,かなりそちらに割いていますので,それはできる学校とできない学校があると。いろいろな部分でそういうお話がありました。かなりいろいろなことが出たんです。
今のお話は,圓入さんから頂きましたように,各都道府県の各学校,また各自治体の状況に応じて,モジュール若しくはいろいろなキャンプ等も含めて,そういう形で実施していただけると小学校はとても有り難いと。
ただ,それに伴って,各短時間学習やいろいろな形態での2コマの扱い方についてはそれなりの成果を上げなければいけませんので,それについては,それに応じた資料等をしっかり作成して,現場に選んでいただくという方向であれば,うまく円滑に持っていけるのではないかなと思っていますので,先ほど頂いたお話は,私は賛成です。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。
はい。では,藤村委員,どうぞ。
【藤村委員】  今の種村委員からお話がありましたように,小学校は英語だけをやっているのではありませんので,国語,算数,全ての教科にわたって子供たちに指導しています。もちろん,公立小学校ですから,様々課題のある子も学校によっては随分違いがあります。
モジュールをすることについては,私ももちろん賛成なんですけれども,どのぐらいの割合で使うかという話で,例えば15分を週3回。これは,現実,現場では無理だろうなと思っています。いいところ,週1回若しくは2回程度までが学校現場のモジュールを考えたら,そのあたりが限界ではないかなと思っています。
ですから,先ほど出ていましたように60分,45分プラス15分というようなことも検討しながら,モジュールについては,2週間若しくは3週間で1コマの扱い程度なのかなと現実的には思います。そうしますと,コマ数としては仮に2週間で1コマという扱いをしますと,年間35週としたら大体17時間ぐらいになります。3週間に1回としますと,3で割ると12ぐらいですかね。ですから,12から17時間ぐらいモジュールとして考えることができるのかな。70から17若しくは12を引きますと五十数時間ですね。五十数時間については,いわゆる45分の授業というのはどうしても必要なのではないかなと思います。
ここのたたき台に出ています5・6年生の年間指導計画イメージ案という中に,一応8時間ぐらいの扱いで作ってありますけれども,おおむね6時間ぐらいが実際の45分の活動になって,2時間分ぐらいがモジュール,あるいは短時間学習という形になるのかなと思って,これを見させていただきました。
子供はやはり忘れますので,先ほどと関連するのですが,新しく覚えて,それがある程度いい流れができたとしても,それが使えるようになるには時間が掛かりますし,ある程度できるだけ短いスパンで繰り返しをしていくということが必要なので,そういう意味ではモジュールというのはある意味では大事かなと思っています。
以上です。
【吉田主査】  それでは,本多委員,お願いします。
【本多委員】  今の話に続けさせていただきますと,仮に70時間取れるとして,短時間学習の入れ方,又は学校の組み方によって,児童の到達レベルというのはかなり変わるのではないかなということが考えられます。今,藤村委員がおっしゃったとおり,忘れるということは必ずあって,次の授業ではその復習から入るというのがあります。それで,短時間学習の15分間というのがどこに設置されるのか,又は45分,45分でいくのかということによって,かなり変わってくるのではないかなと思われます。
それから,もし15分の短時間学習ができた場合,例としてアルファベット文字を書き写すとか,そういったことがもちろん考えられるんですけれども,少し危険かなというのは,その時間が単にそういったドリル活動になる。それは,第1回のところでも意見が幾つか出ていましたけれども,それに関しては例示することも危惧するなというのがあります。
それから,もう一点だけ。CAN-DOの地域で作るのか,それから学校ごとで作るのかということに関しては,両方とも一長一短があるなというのがありまして,例えば,地域で中学校のことを考えますと,教科書が一緒ですから,当然共通したものが作れるんですけれども,例えば私は学校で作ったんですけれども,そうすると学校の先生方の意識というのがCAN-DOを作ることによって高まっていく。どういうような学習到達目標を立てていくのかというのが,中でコンセンサスができるんですね。だけれども,地域で委員を立てて作るとなると希薄になっていくということも考えられるなと。ここに関しては一長一短があるなという感想を持ちました。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。
では,佐々木委員,お願いいたします。
【佐々木委員】  私も小学校の時間設定に対する危惧です。今の設定はあれなんですけれども,各都道府県や地域によって差が出るということで,その児童の定着度が変わって幅が広がるということに大変危惧があるので,そこはやはり実施可能な全国それぞれの児童の付けられる力がある程度一定するような形で示さないと,中学校は当然その幅が広がった生徒が来るわけですし,高校となれば,さらに広域の地域が違う子たちが集まってくると。そうなると,もう本当に他教科で学力が高くても,英語だけこれだけ幅が違うということが高校で起きてしまう可能性がある。やはり小学校の時間設定,定着度をどう図るかというのは非常に大事な問題だと思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。
それでは,長谷川委員,お願いします。
【長谷川委員】  2点,発言させていただきます。
まず,この資料の第4の2ページ目の2ポツのところで,産業界をはじめ,社会から期待される英語力を念頭に,高校卒業段階までに育成すべき資質・能力をまずは検討すべきではないかということを入れていただいたんですけれども,この関連なんですけれども,実際には今,日本の生徒さんのほぼ8割以上が大学,又は専門学校に進学されるということを考えますと,高校卒業段階で実際に終わるわけではなくて,社会から求められる,例えば産業界から求められる英語力ということを考えた場合は,その後に大学の4年間,若しくは専門学校の4年間という段階があるということを考えますと,もちろんこれは学習指導要領について検討されているので,高校卒業段階ということになるんだとは思うんですが,念頭に置くこととしては,小学校の4年間と中高6年間と,それからその後の4年間の計14年間という形で英語教育全体を考えて,社会に出るときにどれぐらいの英語力が求められるかということから逆算して,各教育段階で達成すべき能力というのを考える視点が必要ではないかと思いました。また,そのときには各学校段階の接続,ですから,小学校と中学校,若しくは中学校と高校の接続も必要ですし,また高・大接続の観点というのも必要ではないかと思います。
それから,もう一つ,今,皆様から授業時間を確保すると,小学校・中学校においての授業時間数の確保のお話が出ておりますが,直接この論点に関するものではないんですけれども,基本的に,今地域の学校教育においてのチーム学校ですとか,地域の力を活用するということが随分話題になっております。やはり今地域社会にも,海外で活躍されているNPOの方ですとか,企業の方もいらっしゃいますし,又はスポーツマンで国際的に活躍されている方もいらっしゃいますし,そういった方の力を課外活動でも土曜,放課後でもいいのですが利用して,まず英語を使って何ができるようになるのか。英語が使えるとどういうふうに生活が変化して,また人生,知識や見方が広がるか。そして,活躍の場が広がるのかといったことを生徒に伝えていけば,何で英語を勉強しなければいけないかということに対する意欲というところでそれが高まれば,基本的には学校の授業時間だけで英語力を全て身に付けるというのはかなり難しいと思いますので,そういう意味で個人が英語を学ぶ意欲というものがそういうことによって得られれば,それで授業時間の確保ということ以外に,個人の学習意欲が高まるということになるのではないかと考えます。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございました。
では,石鍋委員,お願いします。
【石鍋主査代理】  私から2つです。まず,本多委員からあったCAN-DOの関係なんですけれども,本多委員がおっしゃっていたように,校内で作ることによってコンセンサスを得ることができて,学校内の指導力改善,指導改善に結び付くというのは非常によく分かります。ただ,公立学校の現状を見ておいたときに,次の状況はベースに置いて検討する必要があろうと。
まずは,若手の教員が大都市では大変多くなってきて,1人で授業をやるのも苦しんでいる状況の教員がいる。もう一つは規模ですね。それが小規模の学校に配置された場合に,1人でそれを作っていかなければならない。そうなったときに,A校とすれば,そのA校の英語の教育だけがどうしてもスタートが遅れてしまうという状況が容易に推測されます。
そういったときには,やはり地区で作っていくものをある程度のモデルとして活用する。これは,地区が同じで教科書も同じだということから非常に有効な手立てであると思います。ただ,最終的には各学校で作れるというのを目指すべきだと僕も思いますけれども,スタートの時点は,やはりその地域の作成の意義と,各学校で作る意義を出しながら,少し地域的なものも考えていいんですよということを,是非トーンとして出してもらった方が,私はいいのかなと思っています。
あともう一点は,別の資料の方でしたけれども,大学の養成や現職教員の研修について少しありましたけれども,この英語教育改革の時期に非常に大事な視点だと思っています。現場の教員を見ていても,大学を出て,かなり新しい指導法を学んできているなと思える教員がいる反面,これは私が大学で学んだこととまるで変わらないなということで,今でも僕が勝負できてしまうなと。それは余計なことですけれども,思うような若い教員もたくさんいるんですね。
是非お願いしたいのは,まず大学のカリキュラムは当然変えてくると思っているんですけれども,それを期待していますが,変えたものを早めに学校現場にもPRをしていただきたい。今,大学ではこういう指導をしていますよというのを打ち出すことによって,学校側を変えていくという流れも作っていけるのではないかなと思っています。
もちろん,現職の教員の研修の情報を流すというのは大事なことなんですが,現場を見るとなかなか多忙だということで,それを一気に広げるというのは難しいところもありますので,大学の中身が大きく変わっていますよというところからアピールするのも1つの流れだろうと思っております。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございました。
それでは,酒井委員,お願いします。
【酒井委員】  2点,お願いします。まず,1点目ですが,資料4の19ページに関する小・中連携の件で発言をさせてください。特に3つ目の丸の1行目から2行目に当たる部分ですが,中学校の英語の指導です。今の石鍋委員の発言とも関わるかもしれませんけれども,今の学習指導要領で指導計画の作成上の留意点のところで学校や地域に応じてというところで,外国語活動の実施状況を踏まえながら指導計画を立てることにはなっているんですが,なかなか中学校の先生たちの方が,動きはここのところ,かなり前向きだなと実感はしているわけですけれども,小学校の学びを踏まえて,それに発展をさせるような形での授業改善というものを行っていることが多いかというと,必ずしもそうでない実態があったのかなと思っています。その意味では,「学校や地域の実態に応じて」ぐらいではなくて,もう少し一歩踏み込んで,小学校の外国語活動や外国語科で学んだことを踏まえてという形で,指導改善をしていくような文言を是非入れていただけるといいなと思っています。
よく耳にするのが,結局,やっていてもゼロからスタートと。中学校1年生はなかったことにして,みんな足並みそろえてスタートしましょうということでやってきている,やってきていない関係なしに,あるいはどんな力が付いているか関係なしに,旧態依然としたという言い方はおかしいですけれども,全教育課程のやり方をそのまま引き継いでいるということも意識の中で多く見られるかと思います。
今,小学校の方では相手意識,あるいは積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度面を大事に育みながら,特に音声によるコミュニケーションですけれども,培っていただいているのかなと思うんですけれども,文法的,あるいは音声面,あるいは文字の面でも子供たちの気付きを大事にしながら,明示的に教えるというよりは気付かせながら授業を組んでいることが多いわけですが,これが中学校になった途端ガラっと変わって明示的に教える。そして練習させるということでは,今目指そうとしているレベルを達成することはかなり難しくなるのではないかなと思いますので,中学校の部分,真ん中の部分という言い方が適切かどうかは分からないんですけれども,小学校を受けて,また高校に送り出す,そこの部分の記述を,是非しっかり位置付けていただけるといいなというのが1点目です。
2点目は,評価に関する事柄です。ページ数で言うと8ページ,それから最後のCAN-DOのところにも関係するかと思うんですけれども,今までの学習評価の在り方で言うと,どちらかというと領域ないしは単元が明確に存在しているような教科の場合には,それほど問題ではないというか,そのときの様子をそのときの力で測っていけば,しっかり学んだこと,あるいは伸びたことというのが見えてくるわけですけれども,英語力のように,どちらかというと,簡単な言い方で言うと,積み上げ式というんですかね。だんだんと力が高まっていくような場合というのは,むしろ今の評価の在りようというのはなかなか難しい部分があると考えています。
ですので,1つは,前回も少し話題になりましたけれども,もし評価の在りようについては他教科にも関わりますので,大枠を崩せないとするのであるのならば,評価のポートフォリオというところ,あるいは自分の進行具合が分かるような指標を,是非小・中・高関係なしにという言い方はおかしいですけれども,小学校でも小・中・高の目標,あるいはメルクマーク,ベンチマークをしっかり示すようなそういうものを学習指導要領に付け加えていただけるといいのかなと思っています。
これは,指導の方も,今自分の指導がどこに位置付いているのかということを明確に分かりながら計画を立てられますので,これが小学校の部分,中学校の部分,高等学校の部分と分断されてしまうと,どこに向かっていっているかが分からないと。結局,接続がうまくいかないということがあるかなと思いますので,是非その点を入れていただければと思っています。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございました。
では,渡部委員,お願いします。
【渡部委員】  先ほど,石鍋委員の方から公立学校におけるCAN-DOを作成するときの現状というのをお話しいただきましたが,非常に私も共感する部分がありまして,私のところでもガイド的なものを作って,全ての学校の先生方に作っていただきましたが,結局,作っただけで機能しないということが起こっています。
今度,学習指導要領が改定されたときが本当に勝負だなと思っています。各学校に1人しかいない英語の先生がきちんと指導ができるようにするためには,やはり行政としてどういうふうに動くかというところをしっかり考えていく必要があるな。私は指導主事の立場ですので,こういうことを言ったら,全国の指導主事から敵にされるような気もするんですけれども,例えば指導主事が全ての学校を回ってきちんと説明するとか,あるいは指導主事に対しての国での研修といったものを行って,とにかく学習指導要領改訂のときに徹底的にやらないと,また同じことの繰り返しになるかなという気がしています。
国で様々な事業をされていて,我々もそれに乗っかって,大変感謝しているところですが,やはり現場にとって役に立つ,必ずやれるというところを考えた事業にしていかなければいけないかなと思います。
事業は様々あるんですが,例えば大学と連携して,新たな事業が来年度から始まります。これについても,現在,我々検討させていただいているところなんですけれども,もちろんそういった指導者への支援とか,教員養成の支援というのも必要なんですが,これができるかどうかは分かりませんが,やはり国としても子供たちの学習自体を支援するようなものもあっていいのかなということも感じています。
授業をたくさん見させていただくんですが,やはり授業の中でモチベーションを上げることが非常に難しい。モチベーションを上げるのは,実際に英語を使うとき,あるいはコミュニケーションを図って達成感を感じたときであって,なかなかそれが授業の中でできていないというのが現状です。
例えば,ALTなんかは非常にたくさん入っているんですが,その活用状況もいま一つつながっていない。あるいは,ICTなんかも入っているんですが,子供たちのコミュニケーションの達成感などにつながっていないところを考えると,そういった部分での,例えば研究支援や指定校研究という部分も意義があるのではないかなと考えています。
違う課,青少年課の方ですか。イングリッシュ・キャンプなどの新しいものも入っていますが,こういったものが学校現場がより使いやすいものになっていくといいのかなと。その上では,我々行政のお金のやり取りのあたりが非常に難しいところがあって,やりたいと思ってもすぐに手が挙がらない状況もあると。このあたりのシステムも若干変えていく必要があるのかなということも感じております。
【吉田主査】  ありがとうございました。
もう御意見が終わった方は,札は下ろしておいてください。
では,佐々木委員,お願いします。
【佐々木委員】  教員の養成と研修についてですけれども,ここで議論すべきことかどうかは分かりませんが,先ほどあったように新学習指導要領並びに一連の英語教育改革を成功させるためには,教員の研修が重要だと思います。
今あったようなプログラムだとか,システムだとか,そういうものを設定していただくことは当然なんですけれども,あえて現場から申し上げますと,やはりそれを受けられる環境を学校の方に与えていただかないと,御存じのように本当に教員は忙しいと。いろいろなところが来ていて,物があって,研修を受けたくても受けられる時間がない。最近の若手又は中堅は,英語の先生方の話を聞いていても,非常に研修意欲は高いと思います。それで,英語教育をどうにかしようとか,変えていこうという意欲はありながら,なかなかいい物を見たりとか,お互いに議論したりとか,そういう時間がないと思うんですね。ですから,そういった環境を整えていただくということがこの成功の秘訣,1つのキーだと思います。
英語という1つの教科,科目であるかもしれないんですが,学習指導要領全体の科目の中の1つかもしれないんですけれども,やはりここ数年の英語科に対する負担ですとか改革に関しては,正直言って他教科とは違うものが大変大きいのではないかなと思います。ですから,わがままですけれども,やはり英語科というところの国の動きに乗った教科であるというところを配慮していただいて,それを担う教員への環境整備といったところは,是非お願いしたいなという要望でございます。
【吉田主査】  ありがとうございます。
それでは,松本委員,お願いします。
【松本主査代理】  先ほどの資料4の4ページと,資料3の2枚目に関わっていますが,国の目標についてです。先ほど,教科等の目標について,御苦労された文面が出てきましたけれども,やはり分かりにくさというのは,どのような文言を使ってもあるかなというのと,これを英語にした場合に,違いが出るのかなという問題もあって,基本的にはよりシンプルな方向にした方がいいのではないか。余り文言を付け足すと,さらに分からなくなるということです。
そういう意味で,ほかの教科は分かりませんが,英語の場合に限っては,やはり外国語教育であるということを踏まえて,何らかの形でCAN-DOのような表記をしていただきたい。それは,最低限どういう力が,どの学校レベルにおいて到達されるかということを明示するとともに,つまりそれが小・中・高の接続をよりスムーズにするものになるということと,学習指導要領の読み手というのは,学校の先生はもちろんですけれども,教科書・教材を作る執筆者及び会社ということも考えて,より適切な教科書を作っていただくためにも,どのような力が育まれることになるのか,何ができるようになるのかということについては,国が大枠を示すということでよろしいかと思います。
余り細かいことまで踏み込むと,学習指導要領の法的な拘束力もあると思いますので,大枠を示して,それで大枠を示せば,先ほど,先生方からお話があったように,各学校,あるいは各地域でそれをブレークダウンするということは可能になるのではないか。枠組みがない中で,今CAN-DOを作っている中で,ばらばらになってしまうとか,思い付きで作ってしまうということがどうしても起きているので,指導面の改善のためにも,大枠をCAN-DOの形で示すことがいいのではないかと思います。
それに関連して,資料4の6ページ,7ページに関わるところで気になるところなんです。この間の投野委員の御発表は非常に勉強になりましたが,韓国,台湾,中国の教科書と日本の教科書を比べたときの1つの大きな違いとして,総語数が挙げられておりました。もちろん,これからアクティブ・ラーニングになって,生徒さんたちが教科書に示されていない英文をたくさん読むということが先進校で行われることは期待されますが,それでもやはり高校のレベル感を見ていると,下の学校は教科書を教えるというところの改善がどれだけ進むかというのは不透明な部分がありますので,最低限,各教科,科目,例えばコミュニケーション英語1であれば,どのぐらいの総語数の教科書を想定しているといったことを,できれば書き込むことができれば,指導改善に役に立つのではないかと思います。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございました。
それでは,平岡委員,お願いします。
【平岡委員】  前回を受けて,今回までに事務局から小学校の短時間学習についてのたたき台を出していただいて,イメージが持ちやすくなるなと感じました。それに関わってなんですが,その短時間学習のたたき台の中で,今の「Hi, friends!」の枠組みを基にして作られているということは,新たな教科化になっても,小学校の教員が非常に受け入れやすいのかなということを感じます。「Hi, friends!」の枠組みということになると,表現であるとか,語彙も引き継ぐということになるのかなと感じています。
前回,投野先生もおっしゃった,「Hi, friends!」はCEFRのA1レベル全般のことを取り入れられているということをおっしゃったと思うんですが,それを受けての小学校の外国語科になるのかなということで,非常に参考になるな,これを基にされているということは,いいなと感じているところです。
ただし,モジュールが45分とのバランスということを考えると,モジュールの方が同等であったり,多くなったりするというのは,先ほどからも出ているように,小学校の現場においては難しくなるなと思っています。このたたき台の中で,6年生の方が非常に勘違いされにくいのかなと思うのです。というのはなぜかというと,先ほどもありましたが,5年生の方は文字,アルファベットが主になっているので,それだけを短時間で扱っているように取られるのかなと。毎回出ていますが,機械的な繰り返しになっては,やはりモジュールの扱いとしてよくないということであると,6年生の方が単元の目標を踏まえた短時間の学習になっていて,意味ある場面設定の中で慣れ親しむという,現行で言うと「慣れ親しむ」の時間が非常に足りなくて,無理やりコミュニケーション活動に行っている。であれば,時数を増やすところは,意味ある活動の延長線というところが非常に大事かなと思うんです。
ただ文字は,長時間やっていると,子供たちが非常に抵抗感を示すということは,実際,私もやったことがありますが,だんだん時間が増えれば増えるほど,子供たちの意欲は減退していくということもあるので,例えばここの6年生の短時間にあるように,コミュニケーションの場面を入れるけれども,最後のところに文字を入れるとか,そういった扱いで行う。しかも,そのモジュールが余りにも多過ぎると,これは学校現場にはなじまないかなということもあるので,やはり45分が主流であって,その枠を越えたところで,何時間かがモジュールであるといったイメージが持ちやすいかなと感じています。
ただ,こうやってたたき台が出されているということに対しては,それを見て検討ができるのは非常に有り難いということ。それから,6年生の方が非常に短時間のイメージが持ちやすいかなということを感じました。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。
それでは,投野委員,お願いいたします。
【投野委員】  済みません。今日は声が余り出なくて申し訳ないです。
先ほど,酒井委員,松本委員がおっしゃったように,私も小・中・高をつなぐCAN-DOというのを明示して,文部科学省がそういう大枠を作るというのは,是非やった方がいいと思っています。そういうことで,やはり学習の目標,ゴールを先まで見せるということと,自分たちのいる位置というのを知る。そして,次にどうしたらいいのかというステップを先生も生徒も一緒に考えるという形で,CAN-DOを使ったプロセスの可視化というか,そういうものとストラテジーをちゃんと育んでいくという教育の仕方というのが非常に大事だと思います。
文部科学省がそれを大枠として持てば,自治体や学校が作っているCAN-DOを,それとどうリンクするかという作業をうまくすればいいわけで,大枠がある方が絶対にぶれずに自治体や各学校のCAN-DOも作りやすくなります。ですから,現状のものを少しリバイズするとか,いろいろな形でそういう大枠に結び付けていくということを是非やられたらいいと私は思っています。そうすることによって,多分研修も非常にやりやすくなるんですね。統一した研修ができやすくなる。
それから,教科書は,この間,少し私が情報を出したみたいに,もう少し細かいレベルのCAN-DOを落としていったレベルまで教科書会社にそういう材料を渡せれば,実はこの作成中というこちらの文部科学省で作っているもののところの大きな赤枠が全体指標なんですけれども,その下の方の「言語の働きの例」というところがあるんですけれども,実はこのレベルがCEFRでは極めて重要な言語表現のインベントリーを作るときに使われるレベルなんですね。このレベルの言語機能は,昔からこういう言語機能に関する本はいろいろたくさん出ているんですけれども,それはレベル別にきちんと整理しているという作業というのは,やはりCEFRとかが先鞭を付けてやっていることなんです。ですので,こういうものについてのはっきりしたリストがあると,とても助けになります。
そういう点でいくと,「Hi, friends!」は私たちのCEFR時代の項目をかなりカバーしているんですが,それは大きなレベルでの項目をカバーしているんですけれども,細かいレベルの言語機能まで下りていきますと,まだカバーできていない機能とかがたくさんあるんですね。ですから,A1レベルのことをどのぐらい小学校でやるかというのは,もう少しきちんと教科書会社の方に示してあげれば,よりいい教科書ができて,それを1時間の授業と45分のほかのモジュールみたいな部分をどう組み合わせるかみたいなことも,教科書の中で例を示したり,あるいはICTみたいなものを入れた形のモジュールと活動の連動するパターンなんかを作ったりとか,そういうことをちゃんとやっていくのに,そういう概念をうまく活用するみたいなことをしていくと,より効果的な活動の例になるし,あと研修を,そういうものを基にやると,小学校の先生も分かりやすいのではないかなと思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。
では,江原委員,お願いします。
【江原委員】  今,投野先生がちらっとだけおっしゃったストラテジーという言葉で,1つコメントさせていただきます。
最初にたたき台ということで観点別の評価も含めて少し話をしたところで,「学びに向かう力,人間性等」というところがありました。それについて,学び方を学ぶという要素が,この表の中には僕は見えなかったのです。元へ戻って申し訳ないんですけれども,なぜ今申し上げるかというと,小学校のレベルではそういう気持ちが積極的な態度と同時に大事なのかなと。どうやって工夫して学んでいこうか,うまくいったな,うまくいかなかったな,では,こう工夫しようか。そういうところが語彙数とか,そういうところも大事ですが,もしかしたらそういうところが非常に規定能力として大事なのかなと思って,今,コメントさせていただきました。
【吉田主査】  ありがとうございました。
時間もかなり迫っていますが,一言,どうぞ。
【松本主査代理】  一言だけ。投野先生が言われたことは大賛成なので,やはりそれは英語教育の改革にドライブを掛けるためには,学習指導要領の中に明記するということが大前提になると私は思うんですけれども,投野先生はどうお考えでしょうか。
【投野委員】  そうですね。この指標形式レベル,「指標」という言葉がいいのかどうかは分からないですけれども,そのレベルの何かしらのCAN-DOを入れてつなぐということを明示するのは,今回の改革では僕に言わせれば必須のことだと思いますね。そういうふうにしていかないと,とても曖昧な形のものに,何となくなってしまうのではないかという危惧があります。
【吉田主査】  ありがとうございます。
最後ですけれども,今日,いろいろな御意見を頂きましたが,1つ大事な部分というのは,やはり小学校,特に時数の問題を含めた問題で,今日出てきた御意見の中に,短時間学習というものもそれなりの活用方法はある可能性は十分あるだろうと。ただ,佐々木委員がおっしゃったように,これが学校間でばらばらな形になってしまったときに出てきた結果がどうなんだろうという非常に大きな不安が残る。また,種村委員が最初におっしゃったように,きちんとこういう短時間学習などをやったときの成果というものが,果たしてどこまで示せるのか。その成果というものが,単なる単語を幾つ覚えたという成果ではないので,きちんとコミュニケーションできるという形での成果をどうやって示していけるのか。その辺まできちんとした形で示されれば,短時間学習の活用ということも十分考えられることは考えられるのではないかと思うんですが,それ抜きに単純に時間数だけでやってしまうと非常に危険ではないかと私自身は個人的に思います。
あと,1月12日に最後もう一回ございますけれども,その後,小学校部会の方でこの話が出てきますので,それまでにまたきちんとした形でまとめていければいいなと思います。
それでは,本日の検討事項に関しまして,皆様の御意見をいろいろ頂きましたが,時間も参りましたので,本日はここまでとしたいと思います。
本日お出しいただいた御意見に関しましては,次回に向けて事務局で論点を整理していくようにお願いいたします。
なお,限られた時間内での討論でしたので,さらに御意見などお気付きの点がございましたら,今週中にペーパーで事務局にお送りいただければと思います。
それでは,最後に次回以降の日程について,事務局から御報告いただきたいと思います。
【圓入室長】  それでは,資料7を御覧いただければと思います。
次回は,先ほど吉田主査からもお話がありましたように1月12日,火曜日の9時から11時でございます。場所は,文部科学省の3階の1というところでございます。特別会議室になります。
ペーパーにて御意見をということでございましたが,いつものメールの方でも今週中に頂ければ,次の回に向けての作業に反映させていただくような形で検討させていただきたいと思います。
済みません。今回は直前になりまして,審議の内容について御連絡させていただいたこと,おわび申し上げます。また次回もどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【吉田主査】  それでは,本日のワーキンググループはこれにて終了させていただきます。本当に今日はありがとうございました。よろしくお願いいたします。よいお年を。

―― 了 ――

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