教育課程部会 外国語ワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

平成27年11月30日月曜日15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 外国語教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

<未定稿>
【松本主査代理】  それでは,3時になりましたので,中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会外国語ワーキンググループを始めさせていただきます。
本日は,前回示された本ワーキンググループの検討事項に沿いまして,事務局より3件について御報告をまずいただきます。1点目は本ワーキンググループでの検討における論点についての説明,2点目は小・中・高を通じた英語教育強化の取組に関する御報告などをいただいた後に,3点目として,岐阜県教育委員会学校支援課,山田課長補佐より岐阜県における英語教育強化に関する取組について御報告いただくことになっております。その後,論点等について御議論いただければと思います。
それではまず,事務局より資料確認等をお願いいたしたいと思います。
【圓入室長】  それでは,お手元の資料の御確認をお願いしたいと思います。その前に,本日でございますが,所用により吉田先生がお休みということで,本日は松本主査代理に進行をお願いさせていただきました。よろしくお願いいたします。
まず,議事次第をごらんいただければと思います。資料1から資料7までございます。
資料1は,前回第1回のワーキンググループで頂きました主な意見でございます。
資料2は,前回の資料と同様の資料でございますが,このワーキンググループで御検討いただきたい現時点の検討事項でございます。後ろに付いているのは,後ほど御説明いたしますが,昨年の有識者会議に関連するもの,それから,中教審の8月の論点整理に関係するものの抜粋を添付しております。
資料3でございますが,A3の大きな資料でございます。これも中教審8月にまとまりました論点整理の補足資料から抜き出した,大きく拡大したA3の資料と,もう一つホチキスどめしているのが,本日後ほど御議論いただく,小・中・高を通じて一貫した目標設定のイメージということで事務局の方で御用意したたたき台資料がございますので,御確認いただければと思います。
資料4は,後ほど御報告させていただきます,既に先取りした取組を行っています,特にきょうは小学校のお取組で研究開発を行っている学校の状況とか自治体の例ということの資料が添付されているものでございます。
資料5につきましては,公立小・中学校における短時間学習の実施状況ということで,暫定版・速報値をお配りしております。後ほど御説明いたします。
資料6が,本日は岐阜県の英語教育強化に関するお取組を進めていただいている山田課長補佐から後ほど御発表いただく資料ということで,印刷したものをお配りしています。
最後に,1枚で資料7,今後のスケジュールを配付させていただいております。
そのほか,机上の参考資料で冊子のファイルとか,それから,前回の資料につきましては,机上の左上の方に黒いカバーになっておりますけれども,タブレット端末ということで,その中に第1回目の資料が入っておりますので,適宜御参照いただければと思います。資料につきましては以上でございます。
【松本主査代理】  ありがとうございました。何か不足しているものがありましたら,挙手お願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは,まず1点目,論点についての説明,そして,次に,小・中・高を通じた英語教育強化に関する取組に関する御報告,それから,3番目に,教育課程の編成・実施状況調査より,小・中学校における短時間学習の実施状況の速報結果について,事務局より御報告お願いいたします。
【圓入室長】  それでは,こちらの方から,資料の2,3,4,5の方をちょっと駆け足になって恐縮ですが,御説明させていただきたいと思います。
本日御議論いただきたい内容でございますが,資料2の1ページ目をごらんいただければと思います。こちら,全体の検討事項例ということで挙がっておりますが,その1ページ目に最初にございます,1番の小・中・高を通じて教育すべき外国語教育における資質・能力というところがございます。前回御説明いたしましたので省略いたしますけれども,特にマル1,育成すべき資質・能力の可視化という観点から,マル2の小・中・高を通じて児童生徒の学びを円滑に接続させるための小・中・高を通じた一貫した目標,内容,それから,学習過程の在り方,それから,発達段階に応じてどのように充実を図るかという論点がございます。これをまず一つ目の本日の御議論いただきたい内容ということで,後ほど御意見頂ければと思います。
それから,関連しまして,2番の外国語教育の改善というところでございます。最初の柱書き5行ほど,これは目標のような形で書いております。それに沿って,丸の最初でございますが,繰り返しになりますけれども,小・中・高校を通じて一貫した教育目標(指標形式の目標を含む)ということでございますが,目標全体の設定の在り方,指導内容,学習過程の在り方に関する御意見を頂ければと思います。それから,丸の二つ目,それに併せて,言語能力を向上させるための国語教育と外国語教育との連携ということでも関連して御意見があれば是非頂きたいと思います。
次のページ,2番目の最初の丸でございます,小学校の外国語の活動型,教科型の在り方,こちらにつきましても,目標から内容,中には短時間学習の活用ということもございますけれども,そういった全体像から目標,内容,具体的なところまで御意見を頂きたいと思います。関連して,二つ目の丸,小・中連携の在り方ということも,論点の方として挙げさせていただきたいと思います。
以上のことを,実はきょうたくさん報告事項ございますけれども,次の第3回におきましても,続けてこの二つの論点,検討事項につきましては集中して様々な観点から御議論をいただきたいと思っております。最後にスケジュールのときにも御説明いたしますけれども,2回ほど事例なども御報告させていただきながら御意見を頂きまして,第4回には,それまでに頂いた御意見を少し整理して論点メモなどを御提示して,こちらの外国語ワーキングとしての意見を一旦整理させていただきたいと思っております。8月にまとめました中教審の論点整理の中にも,特に今回は小学校外国語の早期化・教科化ということから一定の方向性を年内,年明けにやるという宿題を頂いております。そういったスケジュール観も少し共有していただきながら,きょうから,それから,次回,次々回というところに少し焦点を当てて集中して御議論をいただきたいと考えておりますので,どうぞよろしくお願いします。
それで,資料2のちょっとついでにということで,論点の参考資料を御説明いたします。ページがなかったので申し訳ございません。附箋を貼らせていただいているところに飛んで,申し訳ありませんが,ごらんいただきたいと思います。昨年9月の英語教育の在り方に関する有識者会議でまとめましたときに,小・中・高に一貫した目標の在り方に関する改善の方向性というものが少しありますので,御参照いただければと思います。附箋が貼ってあるところはございますでしょうか。
(3)番で小・中・高共通の事項ということでございます。ここに書いているのは先ほどの論点のとおりでございまして,特に指標形式の目標を含めた在り方ということで,何々ができるようにするということを国の目標としてもお示しをしてはどうかと,引き続き検討を行うということがまず書いてございます。
そのページの下の方に,小・中・高一貫した指標形式の教育目標の設定の在り方について少し書いてございます。次のページの方に行かせていただきたいと思いますが,その目標を設定する位置付けといいますか,効果も是非この中教審のワーキングの中でも御意見を改めて頂きたいと考えております。効果と致しまして,なぜ設定するのかというところの根本的な話になりますけれども,(1)から(4)ということでこの当時報告ではまとめていただきました。各学校に国が一定の目標をお示しすることに応じまして,具体的な学校におけます学習到達目標につきましては,各学校でそれぞれの実情に応じて作成することが想定されるということです。
その場合の効果,(1)でございますけれども,まず設定することで児童生徒にどのような英語力が身に付くか,それから,英語を用いて何ができるようになるのかあらかじめ明らかにすることができるということ,またそうした情報を児童生徒や保護者と共有することで授業の狙いが明確になるとともに,児童生徒への適切な指導を行うことができるというところが1点目でございます。
2点目でございますが,特に学習指導要領に基づいて学習到達目標を設定し,指導と評価を設定する際に,文法や語彙等の知識の習得にとどまらず,それらの知識を活用してコミュニケーションを図れるよう,4技能の総合的な能力の習得を重視することが期待されるということでございます。
3点目でございますが,校内でも教員により指導方法が大きく異なることがあると当時御指摘いただいておりましたけれども,その中で,目標の策定を通じて教員間で指導に当たっての共通理解を図り,均質的な指導を行うことができるということでございます。
4点目でございますが,評価に関連しまして,面接・スピーチ・エッセイ等のパフォーマンス評価などによって,言語を用いて何ができるかという観点からなされることが期待され,更なる指導と評価の一体化とそれらの改善につなげることができるということを昨年9月におきましてはおまとめいただきました。
その次の丸も御参照いただきたいと思います。一方でその作成に当たっては,これまで特に中・高の学校で作っていただいたという御経験上いろいろな御意見頂きまして,留意点が挙がっておりました。国や教育委員会含めてそういった活動が円滑かつ効果的に進むよう支援していくことが必要という,まず前提でございますけれども,(1)でございますけれども,そういった目標に掲げられた内容を形式的に達成すればよいのではなく,事業を通じて教員が児童生徒の状況を把握しながら英語力の向上を支援していくことが必要と。
2点目は,目標を作成すること自体が目的となってしまわないように,研修等を通じて教員の共通理解を図ることが求められるということでございます。
次のページをお開きいただきますと,3番目でございますが,小・中・高等学校を通じた目標設定に当たっては,早期の段階から高度な水準を求めることがないよう計画し,児童生徒の学習意欲を維持・向上させるような配慮が必要と。学校の中におきましては,発達段階に応じということと,学校それぞれのやはり段階がございますので,そういった状況に応じて進めていくという配慮ということでございます。
(4)は,その目標が設定されていく中で,それらと入学者選抜や資格・検討との関わりがどうなっていくか検討する必要があると,そういった御意見を一旦まとめさせていただいております。
これらも参考にしながら,本日御紹介いたします,今度,資料3でございますけれども,こちらの前回もお配りした論点整理をごらんいただければと思います。これは前回御紹介しましたので,資料はもう具体的なところの御説明は省略いたしますけれども,1ページお開きいただくと,きょうは特に小学校,中学校ということも少し含めて,目標から指標形式の目標までということを添付したり,論点整理で整理されたものから有識者会議で一旦提示したものを一つとじにしておりますので,是非御参照いただければと思います。
それとはまた別に,もう一つ,こちらの表紙がちょっと似たようなもので申し訳ございませんが,事務局の方でまとめている,先生方に御議論いただくたたき台ということで御用意した資料がございます。A3の資料でもう一つホチキスでとめているものがございます。
1ページ目が,全体の聞くこと・読むこと・話すことから書くことまでの小学校から高校までの指標形式の目標のイメージでございます。1ページおめくりいただきますと,作成中という形でのたたき台になっております。
それぞれの,例えば2ページ目は聞くことということで,赤く囲んだところが,例えば国の指標形式の主な目標ということでのイメージと捉えていただきたいと思います。これを御議論いただくために,上の方には,CEFRの指標の解説とか,それから,段階ごとに想定される学校種・教科,科目等を書かせていただいたり,その下の方を読んでいただきますと,例えば御参考の状況として,授業における主な言語活動(言語の使用場面の例)を挙げさせていただいたり,その下の方では言語の働きの例をとりあえずイメージを持っていただいて御議論いただけるようにたたき台として御用意させていただいております。
また,最後の欄は言語活動の例ということです。今回の論点整理のテーマの一つ大きな理念と致しまして,社会に開かれた教育課程であるべきということがございました。例えば一つ題材を受けまして,小学校から高校まで一つ社会との接点を模索するような題材を設定して共通話題を設けた場合,フェアトレードを挙げております。これは必ずしも学習指導要領に入るということではなくて,具体に学校の方で取り上げていただく場合はこういった形があり得るのではないかということでテーマをそれぞれ聞く・話すごとに挙げさせていただいた題材がございます。これは今回と,先ほども申し上げましたように,次回にわたって是非具体の御意見を頂きたいということで御用意いたしましたので,適宜御参照いただきたいと思います。
次に移らせていただきたいと思います。済みません,小学校の外国語の在り方につきましては,前回大杉室長から論点整理の方で御説明がありましたので,省略させていただきたいと思います。
次の資料4でございますけれども,ちょっと分厚いものをごらんいただければと思います。こちらは,小・中・高を通じた英語教育強化に関するお取組ということの状況の現状の説明でございます。ちょっと復習として御紹介したいのが,後ろの方からおめくりいただきまして,77ページをごらんいただければと思います。これが平成25年に教育再生実行会議などで御提言いただいた後,26年度から先取りした事業を開始しているものの概要でございます。
現在,29拠点,都道府県中心に受託いただいておりますが,おめくりいただくと,これは国立と私立の方まで受託いただいているリストがございます。今この中で行われていることというのは,昨年度は体制整備から,例えばCAN-DOリストの作成を小・中・高の先生方にお集りいただいたり,委員会の方に御協力いただきながらまとめていただいたりということをやっておりましたが,この4月からは,例えば小学校の高学年は年間70単位時程度間の授業を開始したり,早期化ということでは,多いのは1年生からやっている地域が多いですけれども,3・4年生は外国語活動型ということで週一コマ始めていただいているという地域でございます。
特に教科化におきましては,79ページをごらんいただきますと,補助教材の資料を添付させていただいております。これまでの外国語活動の「Hi, friends!」のイメージというのは,左側にありますとおり,単元ごとにそれぞれこれにのっとって例えば学校では独自教材を活用するということがございます。
右側の方をごらんいただきますと,昨年度の有識者会議で方向性が出ました三つの方向性というのが,教科化の関係で補助教材としてまず作成して4月以降活用いただいているという状況でございます。三つ二重丸がまずありますけれども,アルファベットの文字や単語などの認識,それから,日本語と英語の音声の違いやそれぞれの特徴への気付き,語順の違いなど文構造への気付きということに取り組んでいただくということ,若しくは題材の充実ということで今現在取り組んでいただいているという状況でございます。
80ページにはそれぞれの,例えばワークシートやデジタル教材を使って,どのように児童の興味関心を引きながら学んでいただくかということの事例を少し紹介しております。こういったお取組を実施されてきた自治体さん,学校さんから今の状況もお伺いをして資料をまとめたのがこちらの資料になっております。
それで,2ページの方にお戻りいただければと思います。こちら,拠点事業の中で取組の状況をまとめたものでございます。まず主な取組につきまして,3番目をごらんいただきたいと思います。先ほど申し上げました,3・4年生は大体ほとんどの学校において週一で1こま,5・6年生は教科型で週1コマプラス,例えば4月から週2コマ始めており,それから,一部,短時間学習ということで始めていただいているということでございます。
ほとんど小学校からCAN-DO形式の学習到達目標を設定していると。教材も先ほど申し上げたような補助教材や新しい補助教材を使いながら,独自教材も併せて実施するということでございます。それから,中には,特色ある取組と致しまして,国語教育との連携,短時間学習の特にいろいろなバリエーションを取り入れて実施しているというものでございました。
3ページから5ページにつきましては,そういった柱ごとにそれぞれの実施状況と,例えば今の時点での,今まで4月以降取り組んできた段階で例えば一定の成果や効果として感じられることを自由記述で報告をいただいております。3ページの真ん中辺りごらんいただきますと,例えばCAN-DOの話になりますと,児童に「つけたい力」が明確になってきたとか,楽しく工夫して指導できるようになったというお話とか,丸の四つ目をごらんいただきますと,5・6年生の英語科の授業において学習内容の定着が見られるようになったという,カリキュラムがかなり明確になることでの一定の効果が感じられているということ。
それから,課題の方でございますが,これはCAN-DOを設定するということよりは,例えば新たに読む・書くといった,慣れ親しむということの指導を始められたことの課題が若干挙がっていると思いますけれども,そういった中でも,例えば丸三つ目でございますが,読む・書くということで具体的な目標と学習内容を段階的・系統的に示す必要がもっとあるというふうに感じておられるというような課題がございました。どこまで内容を設定するかというのは国の方がまだお示ししておりませんので,かなりそれぞれの学校の状況に応じて,教育委員会の御指導に応じて設定をして工夫をされているという状況でございます。
また,次のページをごらんいただきますと,今度は教科型を中心にした教材の開発・活用ということでございます。真ん中の方,成果・効果と課題というところをごらんいただきますと,書くと読むということを4月以降進められると,まだ半年ちょっとでございますけれども,意欲を持ち始める児童が増えてきたと。それから,5・6年生の英語科の授業において学習内容の定着が見られる。アルファベットの大文字だけじゃなくて小文字の方も指導されていますが,習熟度が大幅に上がった,意欲も高まっているというような,そういったお声を頂いております。
また,課題の方をごらんいただきますと,今,小学校5・6年生から中学校の書く・読むにどのようにつなげていくか,接続するかということが課題に挙がっておりますけれども,中学校での書くこと・読むことの内容の捉えの違いを小・中の教員がお互いに理解し,より中学校の指導に生かしていくということを更に感じたというような御意見とか,アルファベットや英単語を場面設定なしにただ単に繰り返し書くという活動を行った学校さんもありまして,そういった場合にはやはり児童の意欲の低下が見られたという反省を込めた御意見などもありました。それから,3・4年生でございますが,活動型ということで「Hi, friends! 1」を使っている学校は「1」を改良して使ってらっしゃるところが多くございましたけれども,今のままではちょっと内容が合わない部分があると。もう少し3・4年生に合わせたものが必要というような御意見もあったと思います。
次の5ページをごらんいただきますと,国語との連携はまだまだ数が少なくございまして,成果・効果を感じられるほどまでには至っていないという状況ではございました。ただ,熱心に取り組んでおられる学校も,言葉の仕組みということだけではなくて,例えばカリキュラムを並べてどこが連携できるのかということを意識して検討している教育委員会もございました。成果・効果という意味では少ないですが,他教科と関連付けた学習内容を設定することによって,活動の中で児童の積極性が見られるようになってきたというような御意見。課題としては,ローマ字習得の話も前回もございましたけれども,どういった段階でどのように行うのかということを具体に検討すべきということが御意見として幾つかございました。
次が短時間学習でございます。全ての学校で行っているわけではございませんのと,当時この事業をスタートしたときには,25年12月に文部科学省の方が提示しておりました。まだ中教審論点整理で年間70時間という時間が提示されていない頃でもございましたので,まずは一コマ分に近く短時間学習をやってみようという学校さんが幾つかあったというのが現実的なところでございます。
その成果・効果を見ますと,英語を聞くことに対する関心・意欲が高まったとか,既習の表現を活用したり歌詞をヒントにしたりして会話の幅が広がったというようなコメントを頂いております。課題としては,時間の確保,これは時期によっては難しいということで,ずっと毎週同じ形で繰り返しやっているというよりは,それを何とか学校行事なども,他教科との関係も,兼ね合いも相談しながら取り入れていらっしゃるという状況でございます。そのほか,短時間学習について,より具体的かつ系統立った学習効果を狙い,内容を改善する必要がもっとあるというようなお声が多くございました。
次のページ,6ページ目は,そのほかの全体に関する記述ということでございます。赤字の方,ざっとごらんいただきたいと思います。成果・効果については,学級担任の方がかなり主導的に行っている例がございまして,実際にアンケートの自由記述もお書きいただいておりますけれども,かなり一定の効果を感じてらっしゃるというふうに私ども受け止めております。また,課題の方は,まだまだやはりカリキュラム作成やカリキュラムマネジメント的なことが,教育委員会の御指導の下で学校を挙げて取り組んでいただいておりますけれども,時間の確保などを含めてかなり難しいというようなお声もありました。それから,研修の方でございますけれども,まだまだこれから様々な実践的なものを積む必要があるというような御意見もございます。
こういった状況の御報告を,7ページ以降は個別にデータなどもお示しして,今の取組の状況の御報告ということではございますが,お配りしておりますので,適宜御参照いただければと思います。
ちょっと飛びますけれども,14ページ,15ページは,例えばイメージを持っていただくということで,短時間学習に関する取組事例ということも学校さんの御了解を頂いた上で少し御紹介させていただいております。15分から毎日9分という例もあります。
16ページは,国語との連携ということで,言葉の仕組みだけじゃなくて,言葉の働き・役割というところをどのように連携しながら定義付けしながら生かしていけるのか,連携できるのかということを,今,ほんとにカリキュラムを並べながら検討されている例でございます。
17ページ以降は,特に教科型ということで,新しい補助教材,そのほか独自教材,市販の教材を活用してお取り組みいただいたところの状況の御報告です。これは時間がないので,17ページと18ページだけごらんいただきたいと思います。特に主なところですが,(1)から(4),先ほど御説明いたしました昨年の有識者会議の方向性ということで,どのような効果を感じているかということを頂いております。
ちょっと飛びますけれども,18ページの方もごらんいただきたいと思います。上段の方をごらんいただきたいと思いますが,そういった三つの方向性を基に取り組んだ結果,まずはどういうふうに教材をうまく活用しながら進めていただいていたかということですが,多くの学校が現在の「Hi, friends!」の,これは3・4年生も5・6年生も「1」と「2」を,基本的な枠組みを活用しながら,新たな指導内容を工夫して加えて実施していたということが総括的には見てとれました。やはり今の学級担任の先生方がこれまでの成果を生かしながら実施するということもあるかと思いますけれども,それぞれ「Hi, friends!」の単元構成をベースに実施されているということでございます。
19ページ以降も,済みません,時間がないので,適宜御参照いただければと思いますが,教材の活用の状況から感じられた成果や課題が出ておりますので,御参考までにと思います。
そのほか,このページで行きますと,29ページ以降は,例えば群馬県教育委員会のお取組とか,それから,私立でございますけれども,学校法人光華女子学園の取組事例が41ページ以降,66ページ以降は島根県の教育委員会,これは地方の中でも複式学級のお取組という,少しタイプが違った取組ですけれども,そういったものも添付させていただいております。最初のページに今感じられていらっしゃる成果・課題も添付しておりますので,適宜御参照いただければと思います。後ほどまた教科調査官からも補足させていただければと思います。
それから,次の資料5をごらんいただければと思います。これは隔年で行っています文部科学省の調査で,教育課程編成実施状況調査から抜粋した速報値・暫定版でございます。まだまだ最終的な確認をしましたら若干の数字の修正もあるかもしれませんので,御了承いただきたいと思います。現時点で回収率約98%ということでございます。
まず,短時間学習の実施状況でございます。まずは実施した学校は,小学校においては約74%,中学校で約64%が実施されているというデータがございます。週当たりの実施状況・実施日数をごらんいただきますと,大体四,五回以上というところが多くございますし,黄色いところをごらんいただきたいと思いますが,日数も四,五日以上ということが多いところでございます。
次のページ,2ページをごらんいただきますと,学校の方でやはり目的をどのように設定しているか,効果・成果をどのように感じていらっしゃるかというものをここから書いております。(4)のマル1をごらんいただきたいと思います。目的として考えるものを選択肢で挙げましたところ,小学校で一番多くございましたのは,繰り返し学習による基礎的な知識・技能の定着が約9割,その次に朝学習を通じた児童の1日の生活リズムの定着,そのほか,学習習慣の定着が続いております。中学校も似たような傾向が出ているかと思います。
マル2,短時間学習により指導の成果や児童の変容は見られたかと。「とてもみられた」,「みられた」というのを合わせると小・中ともにやはり9割以上ということで,非常に効果も感じていらっしゃるという状況が報告されております。
マル3で,具体的な成果や変容でございますけれども,これも基本的な知識・技能が身に付いた,それから,生活リズムが整うようになったというところを挙げていただいております。
3ページはそのグラフにしたものでございますので,ごらんいただきたいと思います。
4ページ,課題でございます。いろいろ成果・効果を感じていらっしゃると思いますが,一方でどういったことを課題として捉えているかということでございます。(5)番をごらんいただきますと,短時間学習の効果的な指導内容・方法そのものについて御回答としては一番多くございました。70%以上小・中ともあります。その次に,教材・教具等の開発や準備の時間ということでございます。そのほか,評価とか,それから,指導のための年間指導計画・指導案の作成といったものが続いているという状況でございます。
次の(6)の方をごらんいただきたいと思います。通常の授業及び短時間学習以外の授業形態の実施状況でございます。若干多いところを黄色で塗っておりますが,例えば夏季・冬季等の休業日の期間に集中して行うなど,宿泊も含む,例えば外国語であれば,イングリッシュキャンプ,イングリッシュセミナーみたいなものがございますけれども,そういったもの,それから,土曜授業が続いておりますけれども,まだ特に実施していないところが一番多いという状況はございます。
5ページ以降がその具体的な内容でございます。今回は外国語活動だけではなくて,そのほか幾つか選択肢を挙げて調査をさせていただいております。一番多かったものと致しましては,小学校でございますけれども,読書活動,それから,漢字の練習,計算練習が黄色いところをごらんいただきますと続いております。
それぞれの実施校のうち,そのうち授業時間に今含めて実施している割合だけとりあえず速報値では挙げさせていただきました。外国語活動が実施割合としては少ないですけれども,そのうち授業時間に含めて実施している割合が42,55と書いてありますけれども,比較的多かったという結果が出ております。これは,ただ,どの自治体も同じようにやってらっしゃるというよりは,意識的に一部の自治体さんが全学校に例えば教材とかいろいろなものを御用意されてやっているというところは特にこういう形になっておったので,全国的にこういう傾向があるということではないということは御理解いただきたいと思います。
6ページが中学校の方でございます。これは適宜御参照いただければと思います。
7ページが,ここから,小学校における外国語活動の状況でございます。1回当たり大体やはり15分が多い。学級担任のみで実施しているケースが多い。それから,全学級が同時に一斉に行う場合が55.9%,学級ごとに時数は確保しながら柔軟に設定する学校も32%はあるという状況でございます。まだまだ少ないので,週当たりの実施回数は1回が多く,時間の設定は,一番多いのは朝学習・午前の始業前,午後の授業前が多いと。それから,教材はまだまだ独自作成の教材ということで,私どももお伺いすると,様々な教材があるということは幾つかお伺いはさせていただいております。
8ページは,小学校の今度はアルファベットや単語などの練習の学習ですけれども,やはりこれも15分,担任の方が中心になって指導していると。一斉に行うか柔軟に行うかは,44.9,39.9%それぞれございました。多いのは,やはりまだ週当たり1回以上,時間の設定も先ほどと同じような傾向がありまして,独自教材を用意して実施されているという傾向がございました。
今回,短時間学習についてはこういった形で速報値を御紹介いたしましたけれども,今のこういった現状を踏まえながら,いずれ次回,次々回含めて外国語のワーキングとしてはどのように短時間学習を捉えていくかというところの御意見をこの中では頂ければと思っております。
まずは,ほかの外国語以外もかなりの学校で実施されているので,それをどう捉えるかということもありますが,全体についてはまた別途補足する必要があれば,教育課程課さんの方からお話があると思いますけれども,また別の,例えば小学校部会や他のワーキングなどでの御議論になると考えております。あくまでこちらでは外国語ワーキングとしてどのような方向性が出せるかということを,きょうは,何時間必要かとかそういうことではなくて,まず今日は目標設定の在り方ということで,そもそもの在るべき姿を御議論いただきたいと思いますが,最初の回で状況について御紹介をさせていただきました。
御説明につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。
【松本主査代理】  ありがとうございました。
それでは,ただいまの御説明につきまして,何か御質問があれば,挙手をお願いしたいと思います。御意見等については後ほど時間をとってやりますが,何か不明な点等はございますか。よろしいでしょうか。
それでは続きまして,岐阜県教育委員会学校支援課,山田課長補佐より,岐阜県における英語教育強化に関する取組について御報告いただきたいと思います。山田先生,お願いします。資料は,お手元の資料6になります。
【山田課長補佐】  それでは,岐阜県教育委員会の山田と申します。これから,本県におけます小学校高学年の英語科の取組につきまして,英語拠点校の取組を中心として話をさせていただきます。
まず初めに,英語拠点校区事業というものを本県は行っておりますので,その事業について簡単にその特徴を説明させていただきます。特徴が三つあると考えておりまして,一つ目が,文科省指定の二つの強化地域を含め,県内全域で本事業を展開しているということ。それから,二つ目が,いずれの地域についても小・中・高がチームを組んで取組を行っているということ。小・中・高の学び合いが非常に活発に行われていると思っています。それから,三つ目が,拠点校を会場校とした,全小・中・高等学校を対象の悉皆研修を行っているということ。以上の三つが特徴かなと思っております。
では,この拠点校の小学校についてですが,まず初めに,昨年度小学校5年生だった児童の様子をごらんいただきたいと思います。
(映像上映)
【山田課長補佐】  音声聞こえましたでしょうか。この児童は,英語の授業は嫌いというふうに言っていました。理由は簡単で,分からないし,できないと。他教科も,英語に限らず学習全般的にあんまり得意ではないというような子供でありました。この学校の先生方は非常に取組を工夫,改善されました。
今年度,この子,小学校6年生になりました。そのときの様子です。先日行ったパフォーマンステストの様子です。
(映像上映)
【山田課長補佐】  この子は今,英語が大好きと言っています。この子に限らず,どの子もできるようになりたいと思っていますし,分かるようになりたいと思っていると思います。そういう子供たちの純粋な願いに応える英語教育をしたいと思っております本県として,大事にしていることが五つあります。それがごらんの五つです。
このうち,やりとりと,考えながら話すということについて,子供自身がどう思っているか。自分たちはやりとりができていると思っているか,考えながら話すことができていると思っているかどうかということについての結果がこちらです。昨年の6月と12月,小学校5年生,今年の6月,同一の集団ですが,おおむね右肩上がりの結果になっています。
ちなみに,中学校の結果はごらんのとおりで,授業が好きということも含めて,こちらもおおむね右肩上がりといいますか,こういう結果になっています。
それからもう一つ,これは英検の結果です。昨年の小6と中3がそれぞれ受けた結果です。この数字がいいかどうかはこれだけでは判断できませんので,今年も同じテストを受けますので経年で見ていきたいと思っています。
こういった現時点で残していらっしゃる拠点校の取組につきまして,大きくごらんの2点から紹介をさせていただきたいと思います。まず学習到達目標です。大事にしていることは,具体化を図ることと,小・中・高を通じた目標にすることの2点です。そのために必要と考えることが,目標を構成する要素を決めて小・中・高でそろえること,それから,目標を具現した発話例や筆記例を英語で表記すること,そして,高校,中学校,小学校の順番に目標を決めることの三つであると考えています。
こちらは,平成25年度に県教育委員会が作成した,話すことの学習到達目標の一部です。この全体像につきましては,お手元の資料の真ん中,このパワポの資料の続きに「資料編」というふうなタイトルから始まっているものがありますが,ここの,右肩に資料1-1と付した資料がございますが,こちらが話すことと書くことの目標です。
これの一番左の一番上の箱,3年生の,やりとりの要素が強い言語活動における目標が今スクリーンに映してあります。ごらんのように,本県では,話題,内容,表現方法,程度を四つについて、目標を構成する要素と決めております。そして,これは資料1-1の一番左の上の目標のすぐ下にあるLesson2の目標ですが,この目標を具現した発話例も英語で表記してございます。それが資料1-3になります。ちなみに,資料1-2は,聞くことと読むことの目標例です。
こういった県版の目標例を参考にしながら,英語の拠点校が作成している学習到達目標は,大きく三つに分けることができます。一つ目は技能別の目標,もう一つは技能別を作った上で話題別の目標,三つ目が技能別プラス活動別の目標です。2番と3番はこういった分け方,つまり,技能ではなくて話題や活動で分けて目標を作った方が授業に生かしやすいのではないかという仮説の下で今,検証をしていただいています。
1番の技能別の目標については,お手元の資料の2-1から幾つか例を付けさせていただいております。例えば資料2-1でいいますと,これは話すことの目標です。一番上に高校1年生の目標があって,その下,中学校3年,2年,その裏側に行って中学校1年,そして,一番下に小学校6年という目標がございます。ちなみに,その次の資料2-1は,聞く・読む・書くについての目標で,これも同様に上から高1,中3,中2,中1,小6です。これを作ったのは中学校ですので,中学校の部分はちょっとボリュームがあるのですけれども,こういった目標が作られています。一番下にある小学校の部分だけを一覧表にしたのが,その次の資料2-3です。こういった目標が例えば作られているということでございます。
それから,マル2の話題別ですけれども,これは現在,小学校と中学校が合同で作成を進めています。子供たちに身近なもので,伝え合う値打ちがあって,そして,中学校の教科書に出てくるものという観点からごらんの6点の話題を決め出して,それぞれの話題について目標を作っておられます。このうち,こちらはこの右の下の学校・ふるさとという話題について作った目標の中の小学校5年生と6年生の目標の一部です。こういった対話,やりとりができるようになることを目標にその学校は今,実践をしていただいています。
なお,この学校・ふるさとの目標の他学年についてといいますか,全体像については,お手元の資料の最後にある,資料6-1が小学校です。学校・ふるさとという話題に関する小学校,下から1・2年,3・4年,5年・6年。資料6-2が中学校です。これは左からですけれども,1,2,3年といった目標が設定されています。
続いて,言語活動の取り扱い(指導方法)についてです。これまではといいますか,現状の外国語活動では,小学校ならではの指導にスポットライトが当たる傾向がもしかしたらあるかもしれません。そういった指導はもちろん大事で,今後活動のままであろうが,教科になろうが,相手は小学生で変わりませんから,こういう指導は大事にされるべきなのですが,ここに加えて,教科になるということを考えると,小・中・高等学校で継続させる指導とはどういう指導があるのかということが考えられる必要があると思っております。
本県においては,少なくともこのような,例えば6点の指導といいますか,言語活動の取り扱いは継続させる必要があるのではないかと考えています。このようなことを踏まえて実際行われている指導としては,このようなことが現在小学校で行われています。
ここでは,指導例1のSmall Talkの指導といいますか,言語活動に取り組んでいる子供の様子をごらんいただきたいと思います。このSmall Talkは,既習表現を継続的に使用することでその定着を図ることと,それから,相手が言ったことに一言感想を返し,相手が言ったことに関係のある質問を返す,そういったfollow-up questionsをしていくなどのconversation strategiesの定着を図るという,大きく二つのことを狙いとして行われているものです。
小学校5年生です。今年の10月の授業です。「What do you like about Japan?」という質問から対話が始まっています。
(映像上映)
【山田課長補佐】  続いて,短時間学習についてです。今,拠点校で行われている短時間学習は,内容の種類で分けると,大きくごらんの四つに分けることができます。一番多いのは1と2で,全校一斉にテレビ番組を視聴するといったもの,それから,当該単元で慣れ親しんだ表現をすぐに使わせることによって1時間のレギュラーの授業とレギュラーの授業の間をつなぐということ,この1と2が一番多いですが,ここでは,3番の,学習後あえて期間を置いて,前の単元で慣れ親しんだ英語表現が使えるようなそういう可能性のある活動に取り組ませているという実践の様子をごらんいただきたいと思います。
小学校4年生の実践で,金華山という山がこの学校の近くにはあるんですが,それを当てるGuess whatゲームです。既習のものとしては,「What’s shape?」とか「What’s color?」とか,そういった表現が既習です。
(映像上映)
【山田課長補佐】  これ,時期的に山が紅葉しているので,いろいろな色があるよということをヒントで出しています。
(映像上映)
【山田課長補佐】  続いて,短時間学習の中のこのマル4番の読んだり書いたりするという内容です。この学校は毎日10分短時間学習を行っています。そのうち,木曜日が読む・書くの指導をする短時間学習です。年度の初めには,「Hi, friends! Plus」を使って,書き順の例ですけれども,指導をしたりとか,アルファベットの文字の認識を深めるような指導をされた後,10分のうち初めの5分が全校放送でALTがあるテーマについて話をします。後半5分が,ALTが話した内容,その話の中に出てきた単語を各教室が取り上げて,中学年では絵と単語を結び付けるという学習,高学年はその単語を書き写すという,そういった指導が行われています。
それから,読む・書くについては,短時間学習ではなく45分の授業でも指導が行われております。一番多い事例は,例えば体験学習の思い出マップを作ろうといったような書く必然のある活動をどこかの単元のどこかの時間の位置付けるという,そういう指導が一番多いです。
加えて,中学校での指導方法を適用している例もございます。これは毎時間聞いたり話したりしたことについて,授業の終末10分ぐらいの時間をとってお手本を見ながら書き写すという,そういう活動です。ここも年度初めに「Hi, friends! Plus」を活用したり,初めに自分の名前を書いて,次,単語を書いて,話した文全部を書いてというようなこと。それから,一番大きな特徴は,毎時間行っているということで,子供自身が成長の実感ができるということが挙げられると思います。
これが,ちょっと薄いですけれども,小学校5年生ですが,これも11月です。書いた英文です。お手本を見ながら書いています。読む・書くについては,文科省が実施された調査の結果からも,子供の意識が高いと。書いてみたい,読んでみたいという意識が高いと出ていますけれども,実際に子供の様子を授業中拝見すると,やはりかなりその意識は高いなと,意欲は高いなということを感じています。この10分間の時間も子供は非常に集中しますし,一生懸命書いているというような姿が見られます。
最後です。現時点での課題と今後の取組ということです。一つ目が,外部試験による評価を継続していきたいと思っています。二つ目が,学習到達目標の改訂です。資料で付けさせていただいた目標はあるのですけれども,まだまだ改善の余地がたくさんありますので,ここの改訂をしていきたいということ。それから,小・中・高等学校でどの言語材料を繰り返すのか,どういった言語活動を繰り返すのかという,小・中・高で繰り返す言語材料と言語活動の検討を進めていきたいと思っています。それから,インプットの在り方や,読む・書くの目標をどうするか指導の改善などについてですね。
あとは,やはり本県の小学校の先生方にお話をお聞きすると,教科化になりますよということで,今やっている授業の何をどう変えなくてはいけないのかという不安がやっぱりかなり大きいです。まだそこについては余り県が先走ってどうこう動くべきことではないかもしれませんけれども,英語科の授業の例,イメージを県内の小学校の全ての先生方と共有していくために,授業例のDVDを作って配布するというようなことも来年度やっていきたいなと思っております。
以上で終わります。どうもありがとうございました。
【松本主査代理】  ありがとうございました。
今の山田先生の御発表に対して御質問を受けたいのですけれども,私から2点質問させていただきたい。スライド2枚目の英語拠点校区事業ですけれども,小・中・高で学び合うというふうに先生おっしゃったのですけれども,高校1校に対して中学も1校で小学校も1校なのかということと,全部で何校指定されているのかというのを教えていただけますか。
【山田課長補佐】  高校はどの地区も1校です。小・中学校は,中学校は1校で,あと,その校下の小学校。ですので,地域によっては2校のところもありますし,1小1中でしたら小学校1校ということです。学校数は,ですから,6地域ありますから,高校が6校,中学校も6校,小学校は10校あります。
【松本主査代理】  分かりました。あと,スライドの8枚目ですけれども,小・中・高を通じたというところの右下の枠ですけれども,高校から始めて,中学,小学校と下ろしていかれたということですけれども,その理由を教えていただけますか。
【山田課長補佐】  現状はどういう状況かといいますと,小・中・高それぞれ作った学習到達目標を持ち寄って,接続部分のそごがないかを見て整合を図るというようなことが現実的には行われています。理想としては,最終的に高校の卒業段階でどういった子供の姿を目指すかということから下りてくるのがよいのではないかというふうに考えて,今このような動きをとろうとしています。
【松本主査代理】  分かりました。ありがとうございました。
では,ほかの委員から御質問いただきたいと思います。どうぞ。
平岡委員,お願いします。
【平岡委員】  これからの指導というところで,小学校ならではの指導に加えて,小・中・高等学校で継続させる指導というところがあったと思うのですが,小学校ならではの指導というのは具体的にはどういったものを指しておられるのかなと,そこをちょっとお聞きしたいと思います。
【山田課長補佐】  例えば拠点校や,それから,今回紹介したのは一部特例校の実践もあるのですが,開始学年が5年生ではなくて,3年生とか,中には1年生からやってらっしゃる学校もあります。学年が初期の段階の子については例えばインプットを重視した指導をするとか,あとは,小学生の子たちは,中学生と比べると曖昧な状態に寛容性が比較的高いですので,例えば子供たちに聞かせる英文を余りこちらがコントロールし過ぎずにALTに話をしてもらうとか。
あとは,外国語活動を通じて人間教育というか,道徳教育というか,そういったことをされているという実践も多くあって,つまり,英語を使って,相手の,こういうことができるのだとか,こういうようなことが好きなのだというふうなことを発見できるとか,それで自尊感情を高めるとか,仲間意識を持たせるとか,そういったことが今,非常に大事にされていますし,それは小学生の発達段階に合っていると実際思います。ただ,これは中学校の英語の指導もやっていることなので小学校だけではないのですけれども,小学生により合った内容と思って,そういった指導はこれからも大事にされるべきではないかと思っています。
【松本主査代理】  平岡委員,よろしいですか。
【平岡委員】  はい。
【松本主査代理】  ほかの方,お願いします。
種村委員,お願いします。
【種村委員】  最初に5年生のお子さんだったでしょうか,ビデオが出まして,その後,6年生のときのビデオが出ました。かなり成長しているというビデオだったのですが,この取組を通してあのヨウコさんが育ったという部分でどういうふうに分析をされているのか。どの子もそうなっているのか。それとも,ある指導が役立っているとか,それも含めて何かあればちょっとお話をいただければと思います。
【山田課長補佐】  一人一人の子供に目を向けると,現実的には様々です。全員が同じような速度で上達していきませんし,身に付いていきませんし,英語に対する興味関心が同じように高まるということは多分ないと思います。ただ,例えばこういったグラフのように,全体的な傾向としてはこのような状況が見られると思います。
また,英語の指導の仕方で,この指導は効果が上がるというふうに今現在で断言できるものは正直ありませんが,ただ,本県の課題として,これは中学校でも課題だったのですけれども,その授業中に子供たちに取り組ませたいパフォーマンスがあって,その対話例をチャンツ等で子供たちに覚えさせて,そして,それを発表というか,そのやりとりをそのまま言うというふうな感じの指導が少なからずありました。なので,そういった状況を脱したいということで,一番下の考えながら話すというようなことも今大事にしています。
あとは,何かになり切って何かを言うとかいうようなことも比較的あったのですけれども,それはなかなか子供の本当の気持ちが乗ってこないので,そういった活動をするときにもありますけれども,基本的には自分が本当に思った気持ちや考えを伝え合わせるということは,これは拠点校だけではないのですけれども,大事にしていただいているので,そういった指導がもしかしたら効果を上げているのかもしれないなと思っています。
【松本主査代理】  よろしいでしょうか。
ほかの方はいかがですか。
はい,お願いします。藤村さん。
【藤村委員】  ここに短時間学習ということについていろいろと説明があったのですが,この場合の短時間というのは,いわゆる45分の中に位置付けた短時間学習ということなのか,それとも,今日も話になると思うのですけれども,いわゆるモジュールとかを1時間とか言うてますよね。そういう中での短時間学習なのか,その辺はいかがでしょうか。
【山田課長補佐】  これはいわゆるモジュールで,朝の時間とか,5時間目が始まる時間に行われているものです。
【藤村委員】  ということですね。じゃ,45分間の中に入っているものではないということです?
【山田課長補佐】  ではないです。
【松本主査代理】  ほかにございますか。
石鍋委員。
【石鍋主査代理】  英語拠点校区のところですけれども,小・中・高それぞれ複数の学校がありますが,英語の教員とか,英語の担当の教員以外の例えば管理職の関わりとか,また,中・高における英語科以外の教員の関わりが何かあれば教えてください。
【山田課長補佐】  まず,中学校の英語科以外の教員の関わりというのはほぼありません。それから,管理職はかなり協力的に関わっていただいていると思います。例えば文科省指定の地域が二つあるのですが,そのうちの一つの地域の高等学校が,高等学校独自にスピーチコンテストを先日やられたのです。そのときにそこの高校の校長先生が小学校と中学校の校長先生に,「今度うちでスピーチコンテストをやるのだけど,もしよかったら,小学生,中学生出ないか」というふうに働き掛けをしていただきまして,小学生が非常に張り切りまして6人出場して,高校の体育館で行われていたスピーチコンテストの壇上に小学校6年生が端っこに座って発表をするというふうなことも。もちろん発表内容はあれですけれども。これは県の事業なので,こちらがお願いをし,こちらがコントロールすることが多いのですけれども,そういった学校間で独自にやってらっしゃる交流もかなりあって,それはもうひとえに校長先生方の御理解があるからそういうことができると思っています。
【松本主査代理】  ほかにありますか。
投野委員。次,佐々木委員。
【投野委員】  ありがとうございました。CAN-DOの内容に関してかなり具体的な,表現したいこととか,あとは場面や状況,トピックみたいなものも具体的に,あと,どのぐらいよくというのも入っていて非常にいいと思ったのですけれども,小学生に与えるときにはあれだとかなり長いと思うのです。先生側が評価するのには必要だと思うけれども,子供たちに与えるCAN-DOというのは特別何か作っておられるのかということです。
あとは,ALTの関わりはどんな感じなのでしょうか。かなり授業でALTが全部やってしまうような感じなのか,それとも,担任がやるのかとか,その辺がよく分からなかったので。
【山田課長補佐】  学習到達目標を子供と共有するというのは,今,我々の弱点の一つです。中学校や高校は比較的共有をして,子供たちのモチベーション向上につなげようとしているのですが,小学校については,こちらが作成したもの,小学校の先生方が作成されたものを小学生と共有するということはやっておりません。
それから,ALTの関わりは,ALT任せということはなくて,小学校でいいますと,学級担任の先生がやってらっしゃいますし,先ほどSmall Talkの実践をごらんいただきましたが,あれは5年生のある学級の担任の先生が英語の免許を持ってみえるので,その学年横持ちで交換授業をしながらやってらっしゃるということなので,教科担任制とまでは行きませんけれども,そういったことをやっていらっしゃる学校もあるということです。
【松本主査代理】  では,佐々木委員,どうぞ。
【佐々木委員】  ありがとうございました。高校の方で6校指定されているということですけれども,おそらく高校の状況を見ると,高校の生徒の学力差とか習熟度にそれぞれ学校で差があるのではないかなと思うのですね。そうすると,高校から目標を設定していって中・小と下ろしていくといったときに,高校と中・小のつなぎの部分での齟齬(そご)とか,学校の実態を見たときのずれみたいなものがあるのではないかなと思うんですけれども,その辺の調整はいかがだったのでしょうか。
【山田課長補佐】  検討しています。そこが結構難しいところで,理想としては高,中,小というふうに思っているのですけれども,様々実態がありますので難しいところだとは思いますが,生徒の状況が様々であるということについては,中学校では一つの教室の中で発生している状況ですので,そこで中学校で一つの目標を決めているということを考えると,高校は状況が様々ですけれども,目標を一つ決めるということは状況が様々だからできないというふうになると,じゃ,中学校はどうだろうということを私は個人的に思います。ただ,現実は難しいですけれども,学校の先生方と話し合いをしながら,どの程度,高,中,小の順番で決められるのかというのを今考えてやっているところです。
【松本主査代理】  ほかにございますか。
はい,本多委員。
【本多委員】  ありがとうございました。小学校における指導の中で,短時間学習のところと,それから,45分の授業もおそらくおやりになっていると思うのですけれども,そのすみ分けですね。特に短時間学習の中で効果が上がったもの,1単位の授業の中で効果が上がったものははっきり出ているのかどうかを知りたいのですけれども。
【山田課長補佐】  これも感覚の世界の話になってしまうので何か数値が出ているとかというわけではないのですけれども,どの先生方も口をそろえて言われるのは,先ほどの文科省からの御説明にもありましたけれども,授業をやって,授業をやって,間が空くので,要するに,忘れてしまうということですから,短時間学習で繰り返しその表現を使わせることによって,その次の時間,忘れている子供の人数が減ったというのはよく聞きます。
これは私見ですけれども,1時間の45分の時間をたっぷり使って行う指導で適していると私が思うのは,何らかのタスクベースの活動で何かの活動をやって最後に何かを作り上げるとか,そういったことはどうしても時間がかかりますから15分とか10分ではとてもできないと思うので,それは単元全体を通して行う指導でもあるのですけれども,そういった指導・活動に取り組ませる際は45分の授業を使って行うのが望ましいというか,45分使わないとできないのではないかと思っています。
【松本主査代理】  ほかにございますか。
渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】  岐阜県さんの方は,小学校1年生の段階からかなりやっておられるということですが,例えばこの例で小野小学校さんの到達目標が挙げてあります。1年生・2年生の段階でどれぐらいの時間を外国語に充てているのかということが1点。それと,高校から上から下してCAN-DOを作っていくということであれば,小学校3・4年生レベルというのは大体の全ての学校で同じであり,その下になる1年生・2年生というのはもっと下の目標になるかなと考えられるのですが,小学校1・2年生からやっている学校と,3・4年生から始めている学校での5・6年の段階での到達目標の差というのは感じますでしょうか。それとも,大体そろっているのでしょうか。
【山田課長補佐】  まず資料2-3の小野小学校といいますが,ここは1・2年が週17時間です。それから,1・2年からやっている学校と3年からやっている学校の6年の学習到達目標は,何をもってレベルと言うのかというのは難しいですけれども,同じではないと思います。
【松本主査代理】  えっ,今の,週17時間ってあり得ない。
【山田課長補佐】  ごめんなさい。年間17時間です。ごめんなさい,間違えました。
【松本主査代理】  聞き漏らしたのですが,違いはある?
【山田課長補佐】  違いはあると思います。学習到達目標の中身の違いはあると思います。
【渡部委員】  1年生からやっている方がかなり高いということ?
【山田課長補佐】  はい,そう思います。
【松本主査代理】  ほかにございますか。
文部科学省から何か御質問等ありますか。よろしいですか。
それでは,ありがとうございました。これまでの室長の御説明と,それから,今の山田先生の御報告とを踏まえまして,本日の検討事項についてこれから御議論いただきたいと思います。本日は二つの検討事項ごとに議論を進めさせていただきたいと思います。最初に小・中・高一貫した目標設定の在り方についてということで,今も少し質問が出ましたけれども,これについて最初に約20分程度御意見を頂ければと思います。その後,小学校外国語教育の在り方について御意見を頂ければと思いますので,御意見のある方は名札を立てていただければと。発言が終わりましたら,それを戻していただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
目標設定で,投野委員,どうでしょうか。口火を切っていただいて。
【投野委員】  はい。これを立てるということですか。
【松本主査代理】  もういいです。
ほかの方は,発言中に,次,私が発言したいという方は立てていただければと。
【投野委員】  今の実践でもあったように,小・中・高をつなぐという意味合いでは,やはりばらばらに各学校が目標を設定しているというふうなものから,何か地域内のつながりで連携したCAN-DOの共有というか,そういうことは非常に重要な気がします。
文部科学省の方でCAN-DOをもし学習指導要領の中に入れるとすれば,それが大きなバックボーンになるわけですけれども,実際にそれを教科書ベースぐらいまでに落として実行しようとすると,細かいCAN-DOが必要になります。そうすると,その細かいCAN-DOが各自治体や,あるいはその地域でどういうふうにシェアされるかという部分は結構大事な気がします。そうしませんと,小学校でやった内容を受け渡していく中学で全く違うタイプのCAN-DOを持っているというのは現実的に使い勝手が余りよくないと思うのです。ですので,そういう単位をたくさん作るみたいなことを率先してやっていくようなことが一つは必要かなと思います。
それからあと,やはりCAN-DOに先ほどの岐阜県の実践のように中身の肉付けをしてできるだけ共有するということが大事だと思うのです。同じCAN-DOの文言でも,レベルが違うとやる内容の言語表現が変わってきますので,そういう言語表現はここまでやったというところが何かしらCAN-DOに肉付けとしてないと共有はしにくいと思うのです。それは教科書がやってくれると思うかもしれないのですけれども,教科書側だとまだそれほど統一した作られ方をしていないので,教科書によってかなりやっている内容がばらける可能性があると思うのです。ですから,その辺のところを,ある意味根幹になっている力を付けるにはこういうセットの語彙と表現が必要だというようなことをCAN-DOと一緒に共有できるような,そういうふうな作り方がとてもいいのではないかなと思います。以上です。
【松本主査代理】  ありがとうございます。統一して,そして,できれば地域ごとにというのが理想であるということと,CAN-DOに肉付けした言語表現を明確にしていくと。ですから,岐阜県さんの取組というのが参考になるということかと思います。
ほかに御意見ありますでしょうか。
順番に回していった方がいいですか。
【渡部委員】  ちょっと一言,じゃ。
【松本主査代理】  では,渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】  済みません,意見というか,一つ質問ですが,私の理解が間違いかもしれませんので確認したいのですが,中学校3年生の段階で3級を50%,あるいは高校卒業段階で準2級から2級を50%という,例の閣議決定された数値がございます。最終的に高校卒業段階のレベルとして,英検で考えて準2級とかいうレベルであれば,CEFRとの関係が,要は,最終的にB2なのかB1なのかというところが,国の資料によっても書きぶりは違うような感じがしておりまして,最終的にそこはどこを目指していくかというところは何かお考えがありますでしょうか。
【松本主査代理】  文科省に対しての御質問ということでよろしいですか。
【渡部委員】  はい。
【圓入室長】  是非御意見頂ければということもあるのですが,きょうの資料3のこちらのイメージ図をもう一度ごらんいただいたらと思うのですが,これまで必ずしもCEFRとの関係付けは明確にしてきたわけではなかったと。ただ,先ほども閣議決定のお話を渡部委員からもお話しいただいたように,目標設定もあるということで,それを参照するのか,参考とするのかというのは御議論いただくところがあると思うのですが,この絵では,少なくとも小・中・高で右側のオレンジ色の部分を見ていただくと,ここのオレンジ色の一番左端を見ていただくと,何となくA2のところに合わせてございます。小学校に外国語活動早期化と教科化が入って,さらに小・中・高一貫してこういったことをやっていただいた暁には,卒業時のある一定のところがA2の近くに来ていると。
ただし,多様性ということで,有識者会議でもこれは書いてあるのですけれども,将来の進路といいますか,例えば留学も含めて,高校生はもう少し,一律の目標を設定するんではなくて,場合によっては,留学になればB1というところまでの必要性が出てまいりますけれども,そういった高校生の生徒さんの状況に応じた目標設定ももっと丁寧にしていただいて,指導の改善につなげていく必要があるのではないかということが昨年の9月の報告にありました。済みません,高い方はB1ということで,昨年の有識者会議でも,高校生の多様性に応じて設定いただければと。
【松本主査代理】  先ほどA2って。
【圓入室長】  A2からB1にまたがって多様性に応じて設定いただければということで頂いておりますので,そこも含めて,検討事項にもCEFRとの関係を挙げさせていただいておりますが,少し御議論をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【松本主査代理】  では,太田視学官。
【太田視学官】  ご存じのとおり,高校は3年間で七,八単位しかないところから二十何単位まであるので,一律の目標はもちろん設定できないということです。この図でもぎりぎり見れば分かりますように,大体B1ぐらいになっていて,伸びる人たちはずっと,ひょっとしたらB2まで行くかもしれないし。世界標準の目標は,我が国じゃなく世界は大体B1とかB2を目標にしているところが多いということも一応申し上げます。
【松本主査代理】  ありがとうございます。
追加何かありますか。よろしいですか。
では,向後調査官,お願いします。
【向後教科調査官】  御承知のように,高等学校は必履修科目と,それからさらに選択科目という違いもありまして,必履修科目で終わる生徒さん,それから,選択科目をたくさん取る生徒さんによっても異なってきますので,必履修を終わった段階でどの辺だろう,あるいは選択科目を取るとどの辺だろうというような複数の目で見ていく必要があるのではないかと思います。以上でございます。
【松本主査代理】  ありがとうございました。
ほかに。
はい,投野委員,どうぞ。
【投野委員】  今の世界レベルのことについてちょっと言いたいのですが,A2レベルぐらいまでで大体身の回りことはほぼ言えるようになるような力なのですが,我々で調査している範囲ですと,語彙的にいうと大体2,000語ちょっとくらいなのですね。ですので,高校の終わりぐらいまでは,先ほど太田視学官が言ったみたいに,B1からB2ぐらいの,かなり入れるのですけれども,実際に身に付くレベルとしては,A2レベルぐらいが十分できれば相当成功している教育レベルだと言えると思うのです。あとは,上位の3割ぐらいとかがB1,B2というレベルに上まで行ってくれて,それが実際にパフォーマンスとしてできるというぐらいになれば,かなり割といい方向だというふうに私は思います。
ただ,シラバスとしては,小学校に下げますと,やっぱり言語材料の内容的にはもう少し高度なものを入れていくという感じにどうしてもなってしまうのですけれども,そこであんまり上のものを入れ過ぎてしまうと,多分ついていけない子たちの層がたくさん増えるので,その辺に気を付けないといけないと思います。
【圓入室長】  補足で済みません。
【松本主査代理】  じゃ,室長,お願いします。
【圓入室長】  きょうの資料で,1枚目はたたき台ということで総表になっておりますけれども,1枚おめくりいただきますと,作成中の例えば聞くことというのをごらんいただきますと,赤囲みしているところの上に,とりあえず想定される学校種から科目等を書かせていただいております。A2が中学校・外国語プラス高等学校・外国語必履修科目程度,それから,B1,B2も選択科目ということで,一応その関係性についてはまだこれは決まったものではございませんけれども,一応の目安ということでこういったこともたたき台として御用意していますので,これをごらんいただきながら,この資料についても是非御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。
【松本主査代理】  ありがとうございます。
では,本多委員,お願いします。
【本多委員】  CEFRのA1とかA2,B1,B2,それぞれ幅がかなりあると思うのですけれども,CEFRの方に合わせていくという枠組みのものと,それから,小学校の3・4年,それから,5・6年で,中学校は一つの塊ですし,高校は一つのまとまりで一応案が出ています。この枠組みについてなんですけれども,小学校3・4年,それから,5・6と非常によく分かるのですけれども,中学校は中学校で一くくりにする目標をするのか,高校は,今お話がありましたけれども,一くくりにするのか。例えば中学,高校も大きく二つに分けて枠組みを作るとか,そういうことはあるのかということです。特に高校に関しては非常に幅が広いなと感じるのですけれども,そこら辺の枠組みに関して最終的にどういうふうに示していくのかというものがあるのかどうかというのをお願いします。
【松本主査代理】  文科省への質問が続きますけれども,いかがでしょうか。
【圓入室長】  ここは完全に学年,日本はどうしても学年制が強いところがありますので,この絵で行きますと,かなり学校段階ごと,しかも学年で二つ三つありますが,必ずしも今これで枠組みをそれぞれ中学校でA1というふうに決めているわけではございません。あくまで現状から,次の学習指導要領の改訂ではどこまで伸ばしていきたいかということも含めてここで御議論をいただきたいと考えております。まだ中学校3年生のフィージビリティー調査の英語の結果が出ておりませんが,やはり現状からどこまでかというのも少し踏まえていただきながら,投野委員おっしゃっていただいたように低い層の生徒さんたちもいらっしゃるので,そういったことも踏まえて御議論をいただければと思っております。
【松本主査代理】  よろしいですか。
【投野委員】  はい。
【松本主査代理】  ほかの委員の方。
江原委員,どうぞ。
【江原委員】  私,高等学校で教えていた経験がありまして,今,高等学校の先生方の研修を担当している立場からいいますと,先ほど太田視学官の話にもありましたように,高等学校は,レベルと言ったらいいのか,もともとの英語に関する知識の量が入学時でかなり違うのですね。だから,私がちょっと心配しているのは,例えばCEFRレベルでラベル付けが貼られると,この学校はA何とかで,この学校はB何とかでというのはちょっと危惧しています。
だから,大枠のCEFRというのは言語材料とかそういうものとセットで段階付けがあるということなので,もう一つの考え方として,先ほど岐阜県さんの例にありましたように,例えばテーマとか内容とかそういったもので,日本の高校の卒業生はみんなこういうことについてはできるようにするのだよというふうにすれば,例えば同じ自己紹介でも地域紹介でも,その学校の生徒のレベルに応じて,知識に応じてそれなりのことができる。多分それがCAN-DOのスピリットなのかなといろいろな方と話をして理解しているので,そういう切り口も今回の議論で大事かなというふうに思いました。つまり,どの学校の生徒でも,私は私なりにこれができるというのが本来のCAN-DOの動機付けの道具としての役割なのかなと思うので。
一方で,投野先生のおっしゃるように,具体的な指導という点では,語彙とか構文とか表現等きちんと関連付けされていないと指導がしにくいというのもあるのですけれども,高等学校の多様性ということを考えたときに,みんなこれができる,でも,言語材料については差があっていいというようなことを共通理解した方がいいかなと思いました。
【松本主査代理】  非常に重要なポイントだと思いますので,江原委員の御意見に対しての御質問とか御意見等ありましたら,お願いします。
投野委員,どうぞ。
【投野委員】  今,江原委員がおっしゃったようなことは非常に重要だと思います。大きくB1とかとざくっと言い過ぎてしまうと,やはりそれだとかなり大雑把なくくりでラベルを貼るような感じになってしまうのは好ましくないかもしれません。やはりCEFRで5技能あって,5技能で一人のユーザーの人がいろいろなレベルをばらばらに持っているということがあるのですね。自分は読み書きできるけど話せないとか,そういうことのでこぼこがあるのを,先ほどの小・中・高で受け渡すCAN-DOでどういうことが自己評価的にはできているかとか,そういうようなちょっときめ細かい部分もやはりCAN-DOの受け渡しでは必要だと思うのです。そういうところでできている部分を評価してあげて,できない部分の底上げをするようなカリキュラムみたいなものを各レベルで作るという,そういうことをちゃんとやった方がいいと思います。
【松本主査代理】  ほかにございますか。
はい,渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】  私もA1だ,B2だというのが一つの評価のようになってしまうというのは賛成ではございません。これまでのCAN-DOを作るときというのは,例えば中学校の場合,学年別に作っておりました。手引もそのようになっております。今,私,島根県で今現在作りながら思うのは,これまでの学年での枠組みは非常に難しいなというふうに感じていて,むしろCEFRの枠組みを活用していく方がいいのではないかという気がしています。
例えば小学校5年生・6年生で作ろうと思ったときに,たまたま島根県でやっているのは複式学級でございますので,一体的にやっております。ところが,これ,5年生,6年生を分けるとしたら,何を根拠にここを分けていくのかと。島根県でも幾つか構成要素を考えて,それを系統的に並べていくのですが,系統的に並べたとしても,果たしてそこにどれだけの妥当性があるのか。例えば学校で作られたCAN-DOを見ると,1年生の段階では3文程度,2年生は5文程度というふうな言い方をよくされますが,果たしてこの3文というのが本当に英語の力を示す基準になるのだろうか。同じ自己紹介でも,3文でできるものもあれば,3文で十分にできる内容の濃い文章もあるかもしれない。そう考えると,分量というのはどうかなと。
そんなことを考えると,これまでは1年生,2年生,3年生でやっていたのですが,非常に言葉遊び的な感じになってしまう。であれば,もう少し大きな枠で捉えた方がいいのかなと。例えば中学校の先生は,中学校1年生でこれだけ,これを100%やる,中2でこれだけ100%やる,中3でこれだけ100%やるという形で達成しようという考えですが,むしろ中学校3年間で100%のものがあって,中1段階でそれが30%は達成していくというふうな考え方の方が何かしっくりするのではないかなというような気がしますが,いかがなものでしょうか。
【松本主査代理】  ありがとうございます。
今の御意見等に何か付け加えること,あるいは御質問等ありますか。
ほかに何かございますか。よろしいですか。
それでは,今の論点1に後で戻っても構いませんので,きょう二つ目の論点,小学校外国語教育の在り方について,御意見を賜ればと思います。
藤村委員,どうぞ。
【藤村委員】  今,岐阜の方の話でありましたけれども,モジュール,短時間学習のことは分かったのですけれども,いわゆる授業のこま数は年間35時間ですかね,岐阜の方。
【松本主査代理】  山田先生。
【山田課長補佐】  週二コマです。Small Talkの実践をしてらっしゃる学校は週一コマです。
【藤村委員】  ありがとうございます。短時間学習のことがずっと以前から話題になっていまして,年間70コマをいわゆるモジュールも含めてということで論点整理の中では出てきたと思うのですけれども,モジュール,いわゆる短時間学習をどう考えるかということですけれども,私はやっぱりモジュールというのは,いわゆる本単元の補助といいますか,そういう扱いにすべきなのではないかなと。つまり,そこがメインになって例えば毎日進んでいくということではなくて,先ほど出ていましたけれども,本単元を忘れるということがありますよね。子供たちは,1時間しっかり英語を聞いても,その次の時間までに忘れてしまいますので,それをやっぱり繰り返し覚える,そういう学習があって次の時間につながっていくと,そういうふうに考えています。ですから,短時間学習が基本的にはいわゆる補助としての時間であるべきではないかなと思っています。
年間70コマということになると,やっぱり本単元で必要な時間数は大体5年生でレッスン九つ,6年生で八つあるわけですけれども,大体4時間ぐらいを計算していますので,それで35時間という扱いをしているのですが,これから文字等を読んだり書いたりするということが入ると当然その時間ではできないので,おそらく時間内での短時間も含めて考えると,やっぱり一つのユニットで6時間ぐらいが必要なのではないかなと私は思います。
そうすると,仮に九つのユニットにしますと,54時間。そこにモジュールが大体10分とか12分とか15分とか辺りが平均値で出ていますので,繰り返しの時間としてはその程度がいいのではないかと。そうすると,1週間の二つのモジュール,2週間で45分ぐらいのモジュールがあると,時間と時間とがつながっていくのではないかなと時間的には思っています。
実際問題,小学校の方で毎日その時間を英語に充てていくというのは物理的にやっぱり厳しい。今,岐阜県の方は毎日されているという話でしたけれども,一般的には非常に難しいのではないかと。いわゆる拠点校とか特別の指定を受けている学校は当然そういうことも実践できるとは思うのですが,いわゆる一般的な学校でいいますと,国語や,それから,算数の計算,読書,漢字等のいわゆる学習がどうしても必要となりますので,そう考えると,モジュールは週二コマぐらいが妥当な点ではないかなと私は思っております。以上です。
【松本主査代理】  では,平岡委員,お願いします。
【平岡委員】  今,モジュールのことが出ましたので,私もモジュールのことについて小学校の英語の立場から話をさせてもらいたいと思います。今,短時間ということが国の方から出てはいますが,やっぱり外国語の授業は45分の授業ですることが望ましいと思います。ただ,時間的に難しいのであれば,そういう短時間学習も考えるということはあっても,短時間学習がいつも先に話に出てくるというのは,これはやっぱりおかしいなと思っています。やはり授業は45分で行うべきだなということを常々思っています。
どうしても難しいということでモジュールを考えていくと,私は広島県ですが,研究開発をしている広島県の学校の担当の先生とこの間話をしましたところ,その学校はドリル的な学習になってはいけないので,短時間学習を幾つか合わせて,例えば7時間とか合わせて一つの単元を作っているということでした。そうすると,その中にいろいろな活動を含めていくということから,最初は子供たちも,短い時間ですから非常に集中力があって活動に取り組んでいた。しかし,何時間かしてくると,いろいろな活動を散りばめているということから,意欲の減退が見られたということでした。短時間だけで単元を構成するので児童にとってはしんどいものもあり,英語嫌いだというふうに答える児童が増えたということも聞きました。
ということは,やはり短時間学習と45分の授業の関係性をはっきりさせる。今,藤村委員も言われたように,それをうまく関係性をはっきりさせるということ。つまり,70時間としての教育課程の系統性とか関連性を明確にしていくことがとても重要ではないかなと考えます。だから,短時間学習だけで単元を組むとかということがあってはいけないということと,繰り返し学習だけに短時間を使うということはやっぱりまずいのではないかなということを思います。
モジュール,短時間学習をどうしたら効果的にできるのかといったときに,今も岐阜県の方からありましたが,教材・教具の準備は,15分間,短時間をするためには非常に難しい。現場は大変混乱するということもあります。ですから,ICTの機器やコンテンツ等の教具の準備とか,それから,15分の授業を今まで小学校の教員は教科としてはやっていません。朝読書とか繰り返しの計算ドリルとかではやっていますが,15分を教科としてやっているということはありませんから,その15分を教科としてどう指導していくのか,そういった研修も行っていくという教育環境の整備と合わさって,この短時間学習を教科として扱うという,そういう視点が要るのではないかなと感じます。
【松本主査代理】  ありがとうございました。
では,酒井委員,それから,渡部委員で行きたいと。どうぞ。
【酒井委員】  今,モジュール,短時間学習の話が出ましたので,それについて意見を言わせていただきます。短時間学習は,中学校・高等学校の授業で見ても,帯学習とか,あるいは独立して,授業の本体の活動というのですかね,先ほどのタスクのような活動とは別にコンスタントにやっていく活動自体は中・高でもそう珍しいことではないので,短時間でやること自体が悪いわけではないと思うのですが,やっぱりそれを効果的に位置付ける必要はあるであろうと。そういう意味では,モジュールという言い方をすると,どうしても本体と切り離されて独立に行われていくような活動ですけれども,しっかりと練習活動ないしは短い時間でやることと,45分あるいは中心となる活動の関係,今言われたことと一緒と思いますが,関係をはっきりさせていくカリキュラムとか,順番性とか,目的意識みたいなものを明確に位置付ける必要があるであろうと思っています。
特に先ほどの強化拠点事業の感想にもありましたけれども,練習活動に入ってしまうと,結局機械的な活動に追われてしまうということですね。そうすると,文脈のないところ,あるいは目的のないところで練習をします。何のために子供たちはそれを練習するのか。つまり,基本的な,あるいは基礎的な知識・技能を何のために身に付けるかといったら,やっぱり言語使用をするためですので,その目的意識をしっかり高めるような工夫が必要になるのかなと思います。その意味では,今,意見として出ましたけれども,教科書や教材の類いの整備は必須条件になってくるであろうと思っています。
また,書く・話すだけではなくて,きょうの報告書,結果等を見ますと,聞くことの短時間学習,それから,言語使用の短時間学習というんですかね,いろいろな様々な可能性はあるわけで,そういう意味では4技能を含めて様々な側面の短時間学習,必ずしも書くだけの活動ではないというような位置付けを何とか明確にできるといいのかなと思っています。
それから,多く出されることで,やはり時間の確保ということが意見として出されることがあるかなと思いますが,これは何らかの形で15分がきちんと位置付く必要があるのかなと思います。小学校,中学校,高等学校余り変わりないと思いますが,1単位時間の中でフルに単位時間を目いっぱい学習に充てられるかというとそうではない。授業構成を見ると,ウォームアップから始まり,最後は振り返りで終わるとか,そういうことを考えていくと,毎時間毎時間,この短時間の中で更にウォームアップがあり,振り返りがありというようなことがあると,中身の時間自体はそうそう確保できるわけではないのかなと考えると,教育課程上,あるいはカリキュラム上,あるいは学校運営上,しっかり工夫をすることと,先生たちの構成をどうしていくかということの研修等も含めてバックアップが必要になるかなと思っております。
【松本主査代理】  ありがとうございます。
では,渡部委員,お願いします。次,髙木委員,どうぞ。まだ発言やっていないので。
【渡部委員】  そもそもこのモジュールの話が出たのが,おそらく一番初めに出た週3時間という話,これには激震が走ったわけですが,それが2時間になり。一つ気になるのは,先生方がこれを聞いたときに,2時間は大変だから,その1時間をモジュールでやるという発想,ここの部分が色濃く出てしまうことは好ましくないなと感じています。
そもそも3時間が2時間になり,その2時間でも大変だからどうしようかというところはあるのですが,やはりこの論点整理にも書いてあるように,これから小学校の英語教育としてこれからこういうことをしなければいけない,文字の指導もしなければいけないし,それと,論点整理の言葉をかりれば,指導の効果を更に高めなければいけないのだというところがある。そこをやっぱりしっかり大事にしていく必要があるのかなと。
そうしたときに,じゃ,なぜ70時間が必要なのかというところをしっかり議論していく必要があるような気がします。その中で,では,モジュールの良さを生かした活動は何ができるかと。モジュールというと,やはりまず反復ということ,それから,集中して短時間でやるということ,非常に効率よくできるということ,それから,テンポがある,こういった良さがあるわけですが,これは算数なんかのドリルのように毎回同じような活動について内容を変えてやるというのが原則だと思います。こういうモジュールに合った外国語教育の範疇は何かというところを考えていく必要があるということです。
それと,やはり学校でしかできないことをしなければいけないのではないかなと。例えばこれが定着という言葉を単に知識の定着というふうに誤解されて,単語練習させるとか,文字の練習をペンマンシップを使ってさせるというようなことがどんどん広がってしまうと,これはよくないのではないかなと。調査官の作られた資料にもありますが,一つの単元の中でその中の活動を行っていくと。最終的な単元のゴールの活動を充実させるために,モジュールの中でもそういった子供同士が関わる活動を入れていくというようなところは分かると思うのですが,先生方が誤解をされるような出し方をすると非常に危険なのではないかなと思っています。
ちなみに,島根県の拠点地域では,先生方口をそろえて言われるのは,モジュールより2時間にした方がいいと。現在,島根県では5・6年生は30時間設定しています。数字上は28時間というふうに平らにできるのですが,実際どの小学校も大体29時間ぐらいでやっておられる。それに更にプラスで30時間やっておられて,月曜日から金曜日まで全て6時間授業という形なのですが,やはりこの方が先生方はしっかり指導ができると。これを分けたときに,それぞれの準備も大変であるし,計画も大変であるということを考えると,今,先生方の考えはやっぱりこれを続けてきた方がいいというふうに考えておられる。そういった意見もございました。
【松本主査代理】  ありがとうございました。
では,髙木委員と,その次に石鍋委員,お願いします。
【髙木委員】  私の立場でお話しいたしますと,今,渡部委員が言われた短時間学習,週28,29,30って,これは企画特別部会等の話の中でも,先に70時間という時間が設定されてきて,内容はその後に出てきているわけですから,やっぱり内容をきちんとこれから考えていくと。その中で70時間というのはどういうふうに意味があるのかということを考える必要があるかなと思ったのが第1点です。
それに併せまして,小学校の場合には担任の先生が英語を御指導されるということの中で,先生方が一体何ができるか。ですから,先に英語の内容をいろいろ決めてしまうと,英語が不得意な先生方も今たくさんいらっしゃるはずで,研修等だけでそれはクリアできる問題なのかなということが考えられます。
それから,2点目なのですが,実は学習指導要領というのは教育の機会均等を保障するものでありますから,きょう岐阜県の中で出てまいりましたけれども,小学校1年生,2年生から既に英語を始めているということ自体,私としてはいかがなものかというふうに考えております。例えば小学校1年生で岐阜県から他の英語をやっていないところへ転校した子供たちが,それまでの授業とは全く違う授業を受けたときに,国民全体としての教育の機会均等は,それは保障されないのではないかと。
ですから,今後この英語をどうするかという中で,やはり小学校3・4年生の外国語活動,さらには5年・6年の英語活動というのがどうあるかというのをきちんと話をしていきませんと,単に大人になって英語が話せるか話せないかだけの話ではなくて,公教育としての英語がどういうふうな位置付けになっていくかということを是非考えていかなければいけないと考えています。以上です。
【松本主査代理】  ありがとうございます。
それでは,石鍋委員,お願いします。
【石鍋主査代理】  文科省が用意してくださった資料4の4ページ,小学校「教科型」への接続を意識した教材の開発のところの課題のところの丸が三つある二つ目ですけれども,私,ここが非常に頭に残ってしまいまして,アルファベットや英単語を場面設定なしにただ単に繰り返し書く活動を行った場合,児童に意欲の低下が見られたということがあります。実はもう一つの資料5の短時間学習の実施状況調査を見ますと,使用する教材の8割が独自作成の教材なのですね。となってくると,もしも短時間学習でスタートしたときに,決して短時間学習を100%否定するつもりはありませんけれど,独自教材でまずスタートするのかなと。そうなったときに陥りやすいのは,単に繰り返し活動を行わせてしまう,こういった短時間学習で,45分の1単位時間の中でもそういったものに,簡単に言えば,簡単な方へ,易きに流れてしまう,そんな心配があります。
ですから,このワーキンググループでもそうですけれど,是非単に繰り返し活動をするのではないですよと。小学校の教科化が図られた場合には,繰り返しをすればいい,それで時間を埋めればいいということではないということをやっぱり強く打ち出していただいて,それを文科省も打ち出していただくのは当然ですが,各自治体で消化していただいて,どういった内容にしていけばいいのかというのを主体的に考えていく。そんなような空気を作らないと,ちょっとここに陥る心配があるなと思って,意見といいますか,感想を述べさせていただきました。以上です。
【松本主査代理】  今の,確認ですけれども,先生の理想とするものは,45分なりを2回やった方がいいということですか。
【石鍋主査代理】  そうですね。私としては45分を2回やって,定着も図れるし,自分の思いや考えを少しでも言える,そんな時間をたくさん保障してあげた方がいいだろうとは思っています。
【松本主査代理】  そろそろお時間になってきましたけれども,ほかに御意見ありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
先ほど髙木委員からかなり大きな問題も提示されましたけれども,基本的にこの委員会では3・4年生の外国語活動,それから,5・6年生の英語がどうあるべきか、ということで,きょうは小・中・高の一貫性という接続も考えた上でのゴール設定,そして,5・6年生の教科としての英語については,45分2回なのか,もしそれが難しい場合のモジュールというのはどうあるべきなのかということについて御討議いただいたというふうに理解しております。まだ意見も出尽くしていないと思いますので,次回同じようなテーマで意見交換をしたいと思いますので,是非そのときにも御意見を賜ればと思います。
それでは,事務局の方に今日のバトンをお渡しします。
【圓入室長】  ありがとうございます。こちらの方からまたお知らせでございますけれども,資料7をごらんいただければと思います。最初の方でも御説明いたしましたように,きょう第2回目ということで,御議論をいただいた検討事項二つございましたが,こちらにつきまして,次回第3回におきましても少しお時間頂いて御議論をいただければと考えております。特に1点目の小・中・高を通じた一貫した目標設定の在り方につきましては,今回は学校,教育委員会のお取組から少しお話をいただいて意見を頂きましたけれども,次回は投野委員からCEFRとの関係も少しお話をいただいて,議論を深めていただきたいと考えております。
また,小学校の外国語教育の在り方につきましても,髙木委員からもお話しいただきましたように,そもそも,今日の資料でもお配りしておりますが,3・4年生の外国語活動から5・6年生の教科型へ向けた目標設定の大きな枠組みから,いろいろまだまだ御意見も頂きたいと。短時間学習についてたくさん御意見を頂いたのですけれども,そもそものところも御意見を是非頂ければということで,次回もお願いしたいと思っています。
また,第4回目は,そういった御議論いただいたものを少し論点の整理をしてまた議論を深めていただきたいと考えておりますし,小学校部会の設置がいつで,第1回目がいつというのは決まっておりませんが,そこに向けてどのような御報告を外国語ワーキングとしてさせていただくかというのを,この2,3,4回続いておりますが,是非まとめさせていただければと。
併せて,並行いたしまして,ほかの検討事項でございます。中学校,高校ということで順に御議論をいただきたいと思いますけれども,きょう頂いている小・中・高一貫した目標設定というのは,中学,高校も通じての御意見を頂きたいと考えております。今のところ,先生方,3月まで日程調整をお願いしておりますけれども,その中で検討事項のペーパーの事項について順番に議論いただきたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
事務局の方からは以上でございます。
【松本主査代理】  もし何か御意見等ありましたら,メール等でも事務局の方にお知らせいただければと思います。もちろん次回まで温めていただいて,その場で御意見頂くのが一番よろしいかと思います。
それでは,本日の外国語ワーキンググループはこれにて終了させていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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