教育課程部会 外国語ワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

平成27年10月26日月曜日10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 外国語教育の改善充実について

4.議事録

<未定稿>

【圓入室長】  おはようございます。定刻ちょっと前ですけれども,皆様お集まりいただきましたので,ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程企画特別部会外国語ワーキンググループを開催させていただきたいと思います。
開会に当たりまして,文部科学省初等中等教育局国際教育課長の小林より御挨拶させていただきたいと思います。
【小林国際教育課長】  先生方,おはようございます。中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会に新たに設置されました外国語ワーキンググループの第1回会議の開催に当たりまして,一言御挨拶申し上げます。
このたびは,委員の皆様方におかれましては,本当に御多用な先生方ばかりなんですけれども,本ワーキンググループの委員をお引き受けいただきまして,まことにありがとうございます。
文部科学省では,もう既に御案内のとおり,昨年11月の中教審総会におきまして,初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について諮問をさせていただきました。その後,中教審初等中等教育分科会教育課程部会の下に,教育課程企画特別部会を立ち上げまして,14回の審議を経まして,今年8月に論点整理をまとめさせていただいたところでございます。論点整理では,各学校段階,各教科等における改訂の基本的な方向性を示しており,これを受けて各部会やワーキンググループにおいて具体的な議論を進めていくこととしております。
本ワーキンググループでは,昨年度の英語教育の在り方に関する有識者会議の報告における議論も踏まえつつ,小・中・高等学校を通じた一貫した教育目標の在り方や,小学校における早期化,教科化に向けた具体的な対応等,論点整理において示された方向性をより具体化するべく,専門的な見地から御意見を頂きたいと考えております。また,既に一部,本日もご参加いただいている先生方とは,インフォーマルな意見交換を通じまして既にいろいろ御検討いただいておりますので,そういったものも事務局から提供させていただけたらと思っております。また,後ほど御紹介ございますけれども,ほかのワーキンググループともまた連携をして進めていくということになるかと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
このワーキンググループの議論は,平成27年度,本年度末頃までを目途に8回程度開催しまして,一定の方向性を示していただきたいと考えており,その結果については,教育課程部会等での議論を更に踏まえ,最終的には,中教審として平成28年度中,来年度中に取りまとめていただく予定の答申に反映させていただくことを考えております。
委員の皆様方におかれましては,是非それぞれの御専門の御知見や御経験を踏まえ,様々な観点から御意見を頂きたいと思いますので,どうぞくれぐれもよろしくお願いいたします。
【圓入室長】  それでは,議事に先立ちまして,本部会の主査及び主査代理について御報告させていただきます。資料2の初等中等教育分科会教育課程部会の運営規則に基づきまして,本部会は教育課程部会の決定により,設置されております。主査及び主査代理は,教育課程部会長から御指名いただくということになっております。こちらにつきましては,既に教育課程部会長と御相談させていただきまして,本日は御欠席でございますが,吉田研作委員を主査に,それから,石鍋浩委員,そして,本日,御欠席ではございますが,松本茂委員,2名に主査代理をお願いさせていただいておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
それでは,次に,委員の皆様を御紹介させていただきたいと思います。資料1ということで,ワーキンググループの名簿を配付させていただいておりますので,御参照いただければと思います。名簿順に御紹介させていただきます。
まず,石鍋浩委員でいらっしゃいます。
【石鍋主査代理】  おはようございます。東京都港区立御成門中学校校長,石鍋と申します。よろしくお願いします。
【圓入室長】  続きまして,江原美明委員でいらっしゃいます。
【江原委員】  おはようございます。神奈川県立国際言語文化アカデミアから参りました。江原と申します。よろしくお願いします。
【圓入室長】  続きまして,酒井英樹委員でいらっしゃいます。
【酒井委員】  信州大学の酒井と申します。よろしくお願いします。
【圓入室長】  続きまして,佐々木正文委員でいらっしゃいます。
【佐々木委員】  おはようございます。東京都立武蔵野北高等学校の佐々木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【圓入室長】  続きまして,髙木展郎委員でいらっしゃいます。
【髙木委員】  横浜国大の髙木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【圓入室長】  続きまして,種村明頼委員でいらっしゃいます。
【種村委員】  全国連合小学校長会で調査研究部長をしております。種村と申します。よろしくお願いいたします。
【圓入室長】  続きまして,投野由紀夫委員でいらっしゃいます。
【投野委員】  東京外国語大学の投野です。よろしくお願いします。
【圓入室長】  続きまして,長谷川知子委員でいらっしゃいます。
【長谷川委員】  経団連で教育と人材育成を担当しております。長谷川と申します。よろしくお願いいたします。
【圓入室長】  続きまして,平岡昌子委員でいらっしゃいます。
【平岡委員】  広島県神石高原町立油木小学校の平岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【圓入室長】  続きまして,藤村徹委員でいらっしゃいます。
【藤村委員】  京都市立大宅小学校から参りました。藤村でございます。よろしくお願いいたします。
【圓入室長】  続きまして,本多敏幸委員でいらっしゃいます。
【本多委員】  千代田区立九段中等教育学校の本多と申します。よろしくお願いいたします。
【圓入室長】  続きまして,渡部正嗣委員でいらっしゃいます。
【渡部委員】  島根県教育センターの渡部と申します。よろしくお願いいたします。
【圓入室長】  ありがとうございます。なお,本日は御欠席でいらっしゃいますが,主査である吉田委員,それから,主査代理でいらっしゃいます松本委員,それから,松川委員がワーキンググループの委員に就任をされております。
委員の御紹介は以上でございます。
次に,文部科学省の関係者を御紹介させていただきます。文部科学省初等中等教育局国際教育課の小林でございます。
【小林国際教育課長】  小林でございます。
【圓入室長】  続きまして,同じく国際教育課の英語教育改革プロジェクトマネジャーの葛城でございます。
【葛城英語教育改革PM】  葛城でございます。よろしくお願いします。
【圓入室長】  続きまして,同じく国際教育課の主任学校教育官の齋藤でございます。
【齋藤主任学校教育官】  齋藤でございます。よろしくお願いします。
【圓入室長】  続きまして,同じく国際教育課外国語教育推進室の教科調査官,中学校担当教科調査官の平木でございます。
【平木教科調査官】  平木です。どうぞよろしくお願いいたします。
【圓入室長】  同じく高等学校担当の教科調査官の向後でございます。
【向後教科調査官】  向後でございます。よろしくお願いいたします。
【圓入室長】  続きまして,座席表でいきますが,教育課程課の教育課程企画室の大杉でございます。
【大杉室長】  大杉です。よろしくお願いいたします。
【圓入室長】  同じく教育課程課の教育改革調査官,平野でございます。
【平野教育改革調査官】  平野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【圓入室長】  最後に,私は国際教育課外国語教育推進室の圓入でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは,議事に入ります前に,石鍋主査代理から一言,御挨拶いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【石鍋主査代理】  改めまして,皆さん,おはようございます。本来であれば,主査の吉田委員からの御挨拶,又は主査代理の松本委員からの御挨拶かとは思うのですけれども,本日,欠席ということで,代わりに御挨拶を申し上げます。
先ほど小林課長からもございましたように,本会は,中教審教育課程企画特別部会の論点整理及び英語教育の在り方に関する有識者会議の報告等に基づきまして,更に今後の教育,外国語教育の改善・充実に向けた検討を頂くという会になっていると,私,理解をさせていただいております。是非皆様方の忌憚(きたん)のない御意見を頂いて,次期学習指導要領を非常に充実したものとするために,意見を出していければよろしいのかなと思っておりますので,是非とも御協力のほどをよろしくお願いをいたします。是非活発な御議論をよろしくお願いします。
以上でございます。
【圓入室長】  ありがとうございました。この後より,石鍋主査代理に議事の進行をお願いさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【石鍋主査代理】  それでは,これより議事に入らせていただきます。初めに,本ワーキンググループの審議等については,初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき,原則公開により議事を進めさせていただくとともに,第6条に基づきまして,議事録を作成し,原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは,事務局の方から配付資料の確認をお願いいたします。
【圓入室長】  それでは,配付資料の確認をさせていただきたいと思います。本日は,議事次第に記載しておりますとおり,資料1から資料10,そのほか,机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら,事務局までお申し付けいただければと思います。一部の資料につきましては,附箋を貼っている資料でございますが,本日,この場限りの資料として提供させていただいているものでございます。こちらの附箋が張ってあるものにつきましては,お帰りの際は机上に置いたままにしていただければと存じます。
なお,机上の左上の方にタブレットの端末を置いております。タブレットの上に,その中に入っております資料という形での目次がございますけれども,こちらにつきましては,本グループの審議に当たり参考となるものということで,適宜活用を頂きたいと考えております。御参照いただく場合に,お手数ですが,机上に配付しております使用方法のペーパーはございませんけれども,済みません,適宜,御参照させていただきたいと思っています。また,本部会の設置に係りまして,新たに中央教育審議会初等中等教育分科会の委員になられた先生方におかれましては,辞令を本日,机の上に置かせていただいております。封筒の中に入っておりますので,御確認の方をお願いしたいと思います。
以上でございます。
【石鍋主査代理】  ありがとうございました。それでは,諮問,教育課程企画特別部会論点整理,改訂の検討体制,今後のスケジュール等について,事務局から説明をお願い申し上げます。
【大杉室長】  失礼いたします。改めまして,教育課程企画室長の大杉でございます。
それでは,資料の説明をさせていただきますけれども,ワーキンググループ,教科ごとの議論を深めていただきますが,こうした教科ごとの議論を深めていただくと同時に,後ほど御説明させていただきます論点整理もございますように,今回の議論におきましては,教科横断的な視点で,しっかりとカリキュラム全体のことを捉えていこうということが一つ,大きな柱になってございます。そうした観点からワーキングを進めていただくに当たっての説明ということと,それから,事務局の方も国際教育課と教育課程企画室教育課程課で連携して当たらせていただくということになりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
それでは,お手元に緑色のパンフレットがございますけれども,それから,本日の資料6,資料7あたりを中心に,それから,少し関連の資料も触れる形で御説明をさせていただきます。私,全てのワーキングでこの御説明をさせていただいておるんですけれども,なるべく短くやるんですが,大体開始して40分ぐらいにどうしても行ってしまうというような状況でございます。なるべく短くやらせていただきますけれども,そのようなスケジュールでということで,よろしくお願いいたします。
それでは,資料6からごらんいただければと思います。1枚めくっていただきますと,次期学習指導要領改訂に向けた検討体制という組織図がございます。中央教育審議会教育課程部会,これが次期改訂に向けた全体の取りまとめを行っていく部会になりますけれども,この下に,先ほど申し上げたような教科横断的な視点で検討の方向性を決めていただくということで教育課程企画特別部会を設置し,8月まで14回にわたり議論を重ねていただきました。その成果としておまとめいただいたのがこの緑色の論点整理ということになるわけでございます。
秋からはこの下に,ごらんのとおり22のワーキング,専門部会を設置しまして,それぞれ議論を深めていただくということになってございます。下をごらんいただきますと,左側の四つ目に外国語ワーキングがございますけれども,ごらんいただけますように,国語ワーキングとの間にブリッジが架かってございまして,その間に言語能力の向上に関する特別チームというのが設置されております。これにつきましては,論点整理の中に,英語教育,外国語教育と国語教育,しっかりと連携を図りながら進めていくようにということがございますので,この連携を図るために設置した特別チームでございます。国語ワーキング,外国語ワーキング,それぞれの議論とこの特別チームの議論をうまくつなぎながら,年度末,若しくは年度頭の取りまとめということに持っていきたいというような組織体制になっているわけでございます。
スケジュールにつきましては,資料7をごらんいただければと思いますけれども,次期学習指導要領改訂に関する今後のスケジュールということでございます。10月からということになっておりますけれども,ここに至るまでに,昨年11月の文部科学大臣からの諮問というのがございまして,それを受けた8月の論点整理,それを受けて,今回,学校段階別・教科別に議論を深めていただくためのワーキングの設置という流れでございます。
このワーキングにおきましては,平成27年度末から年度明けをめどに,それぞれ学校段階・教科別の議論を取りまとめていただきまして,二つ下ですが,28年,教育課程部会又は教育課程企画特別部会における議論を踏まえて,審議のまとめということで,全体の取りまとめをこの上の部会でやっていただくということでございます。
その間に,平成27年内から年明けということでございますけれども,小学校の授業時数の在り方につきましては,外国語教育の在り方も含めて少し特別な議論が必要でございますので,これは少し早めに,年内から年明けをめどに,これも教育課程企画特別部会又は教育課程部会におきまして,一定の結論をということになります。これに関しましては,先ほどの組織図にあります小学校部会,それから,こちらの外国語ワーキング,それから,総則特別部会,これらの議論をうまくつないでいく必要があるということになるわけでございます。
そして,最終的には,平成28年度内に中教審としての答申をお出しいただく,このような段取りとなってございます。
このスケジュールどおりに進みました場合,下にございますように,小・中・高等学校におきましては,教科書の作成,検定・採択等を経まして,小学校は32年,2020年度から,中学校は翌年,高校はその翌年と,年次進行というようなスケジュールが予定されているわけでございます。
それでは,緑色の冊子の方の説明をなるべく簡単に申し上げたいと思います。緑色の冊子をお開けいただきますと,1ページ目,目次で,論点整理というのがございます。その後,53ページまでが本文になってまいります。53ページまでお開きいただきますと,企画特別部会の委員名簿がございまして,それを1枚お開きいただいて,緑色のページをくっていただきますと,審議の状況ということで企画特別部会14回にわたった議論の経過が記されてございます。
これをおめくりいただいて,緑色のページをお開きいただきますと,これが昨年11月の大臣の諮問事項ということになってまいるわけでございます。さっとごらんいただいていると思いますので,改めて詳しく触れることはいたしませんけれども,ごくごく簡単に,今の子供たちが社会で活躍する頃の社会の在り方,将来の予測は困難になっていくような社会の在り方,そういった中で,子供たちにどのような力が求められていくのか。そして,また,教育の在り方はどういうことが求められていくのか。前回改訂の現行の指導要領の様々な成果ということも踏まえながら,更に課題とされている根拠を示しながら説明するでありますとか,社会参画というようなところ,子供たち一人一人の得意分野を伸ばしていくというようなところ,これに対応するために,諮問理由の2ページ目になりますけれども,新しい時代に求められるような学習指導要領の在り方ということを考えていく必要があるのではないかということ,ESDなど,新しい教育の取組の成果などを踏まえながら,何を教えるかという知識の質や量の改善はもちろんのこと,どのように学ぶか,そして,どのような力として身に付けていくのか,こうした観点から改訂を行っていく必要があるのではないかということでございます。
この主題1,2と具体的にございますけれども,具体的には三つの柱,教育目標,内容と学習指導方法,評価の在り方を一体として捉えた指導要領の基本的な考え方をどうしていくべきか。これがこの論点整理としておまとめいただいた内容ということになるわけでございます。
そして,第2にということで次のページの真ん中辺になりますけれども,教科・科目の見直し,新たな教科・科目等の在り方,これを各ワーキングでこれから中心的に御議論いただくわけでありますけれども,英語につきましては,第2にの一番初めの丸にございますような点が既に諮問の内容として記されているわけでございます。
そして,最後に,諮問理由,更に次のページの一番下になりますけれども,こうした理念を実現するために,カリキュラム・マネジメントの条件整備を始めどのような支援が必要かということでございます。
これが諮問内容ということになりまして,これを受けて基本的な考え方をおまとめいただいたのが,冒頭の方に戻っていただきまして,論点整理の本文というわけになるわけでございます。
1枚,目次をめくっていただきますと,2030年の社会と子供たちの未来ということがございます。2030年とございますが,先ほど申し上げましたように,小学校では2020年からの実施が予定されている。指導要領,10年ごとの改訂ということが予定されておりますけれども,その中で2030年頃までの実施が予定されているのではないかということでございます。
本文,今,冊子の冒頭の方に戻っていただいております。冒頭の方で目次を1枚おめくりいただきますと,本文が1ページから開始されてございまして,2030年の社会と子供たちの未来,2030年頃の社会の在り方を描きながら,子供たちの未来,そして,指導要領の在り方を描いていく必要があるのではないかということでございます。
その中で,今回,教科を超えて教育課程,学習指導要領が目指す方向性としてお示しいただいたのが本文3ページ,社会に開かれた教育課程ということでございます。これからの教育課程の在り方,社会や世界の状況を幅広く視野に入れ,よりよい学校教育を通じてよりよい社会を作るという目標を社会と共有していくための教育課程。
また,4ページ目,めくっていただきまして,子供たちにこれから求められる資質・能力というものをしっかりと育んでいく教育課程,また,三つ目でございますけれども,そういった目標を実現するに当たり,学校教育を学校内に閉じずに,地域等との連携を図りながら,社会と共有,連携しながら実現していく教育課程,この方向性を目指していこうということでございます。
5ページ目には,前回改訂の成果と次期改訂に向けた課題ということでございますけれども,前回改訂の成果,学力をバランスよく育むということ,言語活動の教科を越えた導入などを通じまして,また,現場の真摯な取組も相まって,近年,学力改善傾向にあるということが結果にも現れていると指摘されております。こういう観点から考えれば,前回改訂の理念,バランスのとれた確かな学力の育成でありますとか,言語活動,体験活動の重視ということをしっかりと受け継いでいく必要があるということでございます。
一方で,6ページ目,次期改訂に向けての課題ということでございますけれども,諮問にもございましたような社会参画の意欲,しっかりと根拠を基に自分の主張を展開していくような力,主体的に判断し,行動するということ,力を引き出していくということ,これはまだまだ課題があるという観点からは,生きる力,学力のみならず,豊かな心,健やかな体,これを総体的として捉えた生きる力の理念をしっかりと教育課程,あるいは教科の授業への浸透や具体化を図っていく必要があるのではないかということであります。
したがいまして,6ページ目の一番下にございますように,言語活動の充実などの成果を踏まえながら,これからは,更に教育課程の全体像を念頭に置いた教科活動の展開という観点から,指導要領,教育課程の在り方について,さらなる見直しを図っていく必要があるのではないかということでございます。
そうした観点から,7ページ目下にございますように,新しい学習指導要領,何ができるようになるかという観点からそれを,何を学び,どのように学ぶのかということを考えながら構成していく必要があるのではないかということ,また,学習プロセス,学びや知識等に関する様々な知見の蓄積を生かしていく必要があるのではないかということでございます。
これからの子供たちに求められる資質・能力といたしましては,例えば12ページにございますように,将来の予測が困難で,複雑で変化の激しい社会,グローバル化の進展する社会の中でどのような力を育んでいくべきか。変化の中に生きる社会的存在として,様々な情報や出来事を受け止め,主体的に判断しながら,自分を社会の中でどのように位置付け,社会をどのように描き,他者と一緒に生き,課題を解決していくのかということ。その中で様々な情報や情報手段を主体的に選択し,活用していくための力や,物事を多角的に吟味し,見定めていく力なども求められるのではないかということ。
それから,13ページ目の方には,グローバル化する社会の中でということがございますけれども,言語や文化に対する理解を深め,国語で理解,表現,外国語で理解,表現したりするようにできることが必要であるのではないかということ。また,様々な日本文化の理解,文化の理解,多様な人々との協働というようなことも求められるのではないかということ。
こうした多様な資質・能力ということが求められるわけでございますけれども,この論点整理の後半には補足資料というのがございまして,カラーの様々なスライドが付いてございます。それを少しお開きいただきますと,大体冊子の中頃になりますけれども,スライドの27というのがございます。後半のカラーの補足資料の中の右下にスライド番号が付いてございますけれども,スライドの27というところをお開けいただければと存じます。大体冊子で言うと中頃になってまいります。スライドの27,下の部分になりますけれども,そういったあまた資質・能力がございます中で,これを学習指導要領,教育課程に落とし込んでいくためには,大体の構造化ということを,大きな柱立てということをしていく必要があるのではないかということで,立てさせていただいているのがこの三つの柱でございます。何を知っているか,何ができるか,知っていること,できることをどう使うか,どのように社会,世界と関わり,よりよい人生を送るか。各教科,それから教育課程全体で求められる資質・能力を育成することが求められる。資質・能力をこの三つの柱に落とし込んで整理していこうというのが今回改訂の全体を貫く考え方ということになるわけでございます。
そのような中で幼児教育から高等学校までを見通した形で,そして,15ページ,本文の方に戻っていただきますけれども,15ページにございますように,教科の文脈の中で育まれた力と,また,それを汎用的な能力に高めていくための教育課程の構造上の工夫,双方をしっかりと考えていくということ。
16ページの一つ目の丸にございますように,教科を学ぶ本質的な意義ということと,それらの関係性の関連付けや内容の体系化,資質・能力の全体像の整理ということの双方をやっていく必要があるのではないかということでございます。また,こうしたことを実施していくための学習評価の重要性ということが19ページから,それから,こうしたことを実現するためには,まさに様々な方策,教員養成の在り方,それから,様々な環境の整備ということが必要になってまいりますので,そうしたことも含めて22ページ,23ページ,24ページ,25ページ,26ページまでまとめさせていただいているところでございます。指導要領の在り方に留まらず,そういった全体的な在り方ということをしっかりと整理していただいているということでございます。
ここまでが大体総論的な話になってまいります。これを踏まえまして,各学校段階・各教科等における改訂の具体的な方向性ということで,26ページからでございます。特に外国語教育におきましては,28ページから,少し小学校,中学校,高等学校,学校段階別に記されておりますけれども,実は外国語教育につきましては,御承知のとおり,本日の資料にも幾つかございますけれども,諮問に先立ちまして,例えば教育振興基本計画におきます,既に打ち出されております方向性でありますとか,25年12月の文科省の改革実施計画,それから,有識者会議で26年9月におまとめいただきました提言といったことを踏まえまして,この諮問,それから,この論点整理という流れが既にあるわけでございます。
そうしたことを踏まえながら,少し外国語教育につきましては,他教科よりも手厚めにおまとめをさせていただいているところでございます。それが本文でいきますと49ページからがこの別紙というところになってくるわけでございます。英語教育の改善・充実につきましては,第2期教育振興基本計画等も踏まえまして,また,有識者会議も踏まえまして,諮問におきましても,こうした報告の提言を踏まえつつ検討を行うということが求められてきているところでございます。
本日の資料で申しますと,資料8の別紙という,こういう黄色のA3の二つ折りにした束がございますけれども,この束の一番後ろに,これまでの英語教育改革に関する経緯という流れの紙が付いているかと思います。こうした経緯を踏まえながら,論点整理,教育課程企画特別部会におきましても御議論を頂いたということでございます。こうした経緯を踏まえながらの別紙の整理ということになってくるわけでございます。
先ほどの別紙49ページの方に,少し行ったり来たりして恐縮でございますけれども,お戻りいただきますと,これを前提に,今後の在り方,特に今度,小学校教育の在り方ということが一つ大きなポイントになりましたので,これを中心に課題を整理するとすれば,以下のとおりということでございます。全部読み上げることはいたしませんけれども,小学校中学年における外国語活動と高学年における教科化の必要性についてということで,前回改訂において盛り込まれた外国語活動,小学校の充実の成果。その一方で,子供たちの読む,書くも含めた知的要求が高まっているという段階。そうした子供たちの知的要求なども踏まえれば,中学年からの外国語活動,高学年からの読みの総合的,系統的に扱う教科学習ということ,そして,これをやっていくということは,英語教育の充実ということのみならず,言語能力を向上させ,コミュニケーションを図ろうとする態度の育成でありますとか,幅広い言語の能力の向上という面から,国語力ということも含めた力の向上ということにつながるのではないかということであります。
また,50ページ目をめくっていただきますと,指導内容と指導のために必要となる時数についてということでございます。ここで記されておりますのは,小学校教育という段階でどのような教育を施すべきか,また,中・高という段階でどういう教育が求められるべきかということを踏まえながら,英語を使って何ができるようになるかという観点から,小・中・高一貫した指標の設定,それから,指導方法,評価方法等の改善,これが必要であるということでございます。
こうした枠組みの中でということでございますけれども,特に小学校高学年,教科化ということであれば,こういった,ごらんのような点を指導するために必要な時間を確保する必要があるのではないかということ。また,中学年におきましても,動機付けを高めていくということ。そうしたことを踏まえれば,高学年におきましては,現在の倍程度と考えられる70単位時間,また,中学年におきましては従来の外国語活動と同様の時間が必要ではないかということ。
また,同時に,中学校,高等学校の英語教育ということも,抜本的な質の改善ということが必要になってくるということ,特に前回改訂において,大幅な時数増を行った中学校における時数の最大限の活用という観点から,しっかりと改善のサイクルということを確立していく必要があるのではないかということ。
また,52ページでございますけれども,高等学校におきましても,同様な質の改善ということが必要ではないかということ。また,語彙や表現,語彙数等についても触れられているところでございます。
その際に,高学年における指導時間の確保についてということでございます。これにつきましては,繰り返し学習ということの効果ということも含めながら,短時間学習ということの可能性も含めた専門的な検討が必要になるということ。これにつきましては,今後,外国語ワーキング,それから小学校部会などを連携させながら,これは恐らく外国語教育,英語教育に留まらない,小学校で実施されている様々な短時間学習の在り方ということの総合的な効果の検証でありますとか,今後の方向性ということが必要になってまいりますので,教員養成,教育研修,教材開発といった条件整備も不可欠であるということも踏まえながら,しっかりと整理をしていく必要があるのではないかということであります。
また,最後に,教員の養成・研修,学校における指導体制の確立ということについても触れられているところでございます。
こうした検討をしていただいたということも踏まえながらでございますけれども,本文28ページに,小学校全体の整理がございます。小学校の2というものがございますけれども,この三つ目の丸でございます。国語や外国語を使って理解したり,表現したりするための言語に関する能力を高めていくためには,国語と外国語を,それぞれを充実させつつ,その違いや特徴に気付きながら,効果的に連携ということが求められるということ。このため,国語教育につきましては,ごらんのような充実を図りながら,また外国語教育と関連付けながら,理解するための指導を充実させていくということでございます。また,外国語教育につきましても,先ほど別紙でごらんいただいたような成果と課題を含めた方向性の中で,国語教育と関連付けながら,ごらんのような充実ということを図っていくということでございます。
その中で,中学年からの外国語活動,高学年からの教科学習ということが論点整理では提言されております。その時数につきましても,ごらんのとおり70,35ということが必要であると考えられるということ。一方で,これを確保するためには,外国語活動,外国語教育の中での効果的な在り方ということを十分に踏まえながら,短時間学習の在り方ということも,専門的な検討が必要になるということ。教育課程全体における短時間学習の位置付けの明確化など,専門的な検討が必要であるということであります。
こうしたことにつきましては,29ページ目の下にございますように,教育課程企画特別部会,あるいは教育課程部会におきまして,小学校の教育課程全体を見通した観点から検討を行い,30ページ上にございますように,27年内から28年当初をめどに一定の結論を得ると。他教科に影響する観点でございますので,少し早めの御検討をお願いしているということでございます。
30ページ目,中学校。中学校におきましても,先ほど申し上げたような外国語教育,前回改訂で大幅な時数増となった点をいかに生かしていくかということ。
それから,31ページ目,高等学校におきましては,特に外国語科,必修科目,科目構成の在り方も含めた検討ということが求められているところでございます。
また,外国語教育全体につきましては,教科の中で,42ページからおまとめいただいてございます。ここに各学校段階の学びを接続させるということ,英語を使って何ができるようになるかという観点から,一貫した教育目標を設定していくということを貫きながら,各学校段階でどのような改訂を行っていくべきか。先ほど別紙でざっと触れさせていただきましたので,繰り返しになりますので,詳しくは触れませんけれども,おまとめいただいている。
また,44ページ目の中頃には,英語以外の外国語の取扱いということも触れさせていただいているところでございます。
こうした全体の方向性の中ででございますけれども,48ページ目,今後の検討スケジュールということでございます。こうした論点整理を踏まえながら,教育課程企画特別部会の議論を踏まえつつ,各教科や学校段階に閉じた議論ではなく,カリキュラム全体としてどのような資質・能力の育成を目指すべきか。その中で各教科等が果たすべき意義は何かといった点を踏まえながら,検討を行うことが求められるということになってございます。
先ほど申し上げましたように,小学校の時数に関わることは,少し年度末,年内から年明けをめどに,そして,教科全体の議論といたしましては,今年度内から年度明けをめどに,少し2段階で議論を進んでいくというような形になりますけれども,先生方,いろいろ御意見を頂くことになると思いますけれども,この論点整理の内容ということを十分に踏まえていただきながら,この内容を更に進めていくためには,一体どういった課題があって,どうしていけばいいのかといった観点から御意見を賜れればと思っております。
それから,最後でございます。先ほど少し御紹介申し上げました言語能力の向上に関する特別チームの状況につきまして御紹介をさせていただきます。資料につきましては,きょうの資料9というところにお付けさせていただいているところございます。これが当日の資料ということになります。
時間の関係もございますので,詳細は省かせていただきますけれども,22日に第1回が行われてございます。当日の主な議論を御紹介させていただきます。
議論の中では,こうした国語教育と外国語教育をつないでいくという観点,大変新しい観点であるので今後の連携に期待したいというようなこと。また,既に学校現場で国語と英語,それから,ほかの社会科なども含めて,教員が連携して言葉化というような実践を行ってディベートするなどの事業も行っているというような実践の紹介もございました。根拠を持って説明するということが日本語でできないのであれば,英語でできるわけがない。国語と英語の連携は重要であるということ。また,英語の様々な構造,国語の様々な構造,書き方,読み方,それを言語の特徴と関連付けて教えていくということは大変重要なのではないかということ。校種を越えた連携も必要であり,教科や校種に閉じこもるのではなくて,しっかりとつながっていくという意識を持っていくということが必要ではないかということ。国語,それから外国語を通じて言葉の力というのをしっかり身に付けないと他教科の学習ということにも影響があるということ。
それから,コミュニケーションということの奥には感情,心というものがあり,そこも捉えながら議論していく必要があるのではないかということ。また,国語,英語という言葉の力ということと芸術,言語と非言語の表現の在り方,基となる心というところと共通することがあるのでその連携,例えば今回の検討では芸術ワーキングなどとの連携も必要なのではないかということ。子供の学びやすさという観点からも,言語の仕組みを考えていっていただきたいということ。
それから,評価の在り方。それから,言語活動と指導内容とのしっかりとした掛け合わせということの在り方。能力,身に付ける能力というものを意識した学習プロセスの在り方。
それから,英語ということを学ぶと,日本語の表現の曖昧さということ,それをよくも悪くも可視化していくということに役立つのではないかということ。非論理性を読み解くような力も言語能力として必要なのではないかということ。
いずれにいたしましても,この外国語教育の在り方と国語教育の在り方をしっかりと連携させていくということが重要であるというような御意見を頂きましたので,本ワーキングにおける議論につきましても,この特別チーム,あるいは国語ワーキングにしっかりとつながせていただきながら,議論を進めさせていただければと思っております。
大変長くなりまして恐縮ですけれども,私からは以上です。
【圓入室長】  続きまして,外国語担当の方から補足で御説明いたします。先ほど大杉室長からも御説明ありました,こちらのA3の資料に,本日,御議論を特に頂きたいと考えております資料がございます。これもお開きいただきつつ,こちらのワーキングで御議論いただきたいと,とりあえず事務局で入れさせていただいた検討事項のメモというのが資料8ということで2枚の紙なんですが,ございます。こちらをごらんいただければと思います。資料番号8ということでございます。
これまで外国語,特に英語教育の在り方ということで,平成25年度から様々な方向性が示され,それから,昨年度9月には,有識者会議におきまして,方向性を五つの改革ということでおまとめいただいておりました。この諮問文の中にも書いてございますように,これまで御議論いただいたことにつきまして,それを踏まえながら,引き続き中教審で議論をしていただく,検討を頂くということになっておりますので,A3の資料の後ろ,3枚目か4枚目,めくっていただきますと,縦版の英語教育の有識者会議の報告の概要というのがございます。五つの改革ということでお示しを当時,本日も御出席の先生方いらっしゃいますけれども,委員の方々におまとめいただきました。改革の主に1と2が学習指導要領から評価の在り方ということでの御提言でございました。また,関連して,今,高・大接続の関係でも議論が引き継がれ,改革の4では,学習指導要領の改訂を受けた教科書・教材の在り方,それから,改革5におきましては,指導要領の内容を実現するための学校における指導体制の充実ということで議論なされておりますが,この改革5につきましては,教員養成部会などの議論に引き継いでいただいているということで,こちらの方では改革の1,改革の2をベースに,今回,中教審の部会の方で論点整理,まとめていただいた御議論に,更にこちらの方では専門的に御議論を頂くという前提でございますので,どうぞよろしくお願いいたします。
そのうち,このA3の大きなオレンジ色と緑色のものでございますけれども,ざっくり申し上げますと,左側が現状で右側が今回の論点整理の中で,までに積み上げた議論をしていただいた方向性でございますが,当初から外国語につきましては,様々な課題があるということをきちんと分析をして,何が実際の課題なのか。それから,方向性に結び付けて,現状から,更に右側の方向性を改めて御議論というか,どうしたらいいのかということを議論を重ねてきたわけですが,ドッチファイルの方には,例えば小学校の外国語活動を導入して以降の現状・課題分析ですとか,それから,昨年度は高校3年生の英語力調査ということで,フィージビリティー調査ですけれども,7万人の調査結果というものをお付けし,それから,英語教育実施状況調査を23年度以降から毎年させていただいております。小・中・高のアンケート結果でございますが,こういった近年,様々な改革をしておるんですけれども,更に具体の課題がどういうところにあるのかということを押さえながら,次のステップに進んでいただくという形の御議論をお願いしたいと思っております。
それでは,資料8をごらんいただければと思います。先ほど大杉室長の方からも御説明ありましたように,論点整理が8月26日に出ましたものと,それから,更にちょっと細かい方向性としては,有識者会議でもまだまだ参考にさせていただけるのもございます。そういったことでの論点を踏まえながら,少し下の1番,2番,大きく検討事項について整理をさせていただきました。
1番目のところをごらんいただきますと,小・中・高等学校を通じて育成すべき外国語教育における資質・能力についてということを書かせていただいております。1は,先ほど論点整理の説明の中にありましたように,育成すべき資質・能力の可視化,構造化ということで1番から3番というものを挙げさせていただいております。2につきましては,これは有識者会議の方でも随分御議論いただきましたけれども,小・中・高の学びの接続はなかなかうまくいっていないというような課題の御指摘,たくさん頂いておりましたので,こちらにつきましては,1の関連,ちょっと踏まえながら,2ということで,小・中・高を通じて1,済みません,児童生徒の学びを円滑に接続させるため,小・中・高を通した一貫した目標・内容,それから学習過程の在り方などについて,発達段階に応じてどのように充実を図るかということを御議論いただくという点を挙げさせていただいております。
3としては,それに伴いまして横断的に御検討いただきたいということもございましたけれども,外国語教育としてアクティブ・ラーニングの視点に立った学びを推進する視点も踏まえ,どのように充実を図るかと。これはカリキュラム・マネジメントという説明も少し,簡単にありましたけれども,こういったことも,いずれ広範にわたって御議論を外国語教育としてもお願いしたいと考えております。
2番目でございますが,外国語教育の改善についてということでございます。元々の外国語教育の目標というのはございますけれども,そこを少しかみ砕いて,論点整理で頂いた御意見も含めて書かせていただいております。言語や文化に対する理解を深め,他者を尊重し,聞き手・話し手・読み手・書き手に配慮しながら,外国語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図るということ,それから,身近な話題から幅広い話題についての理解や表現,情報・意見交換等ができるコミュニケーション能力を養うため,目標,指導内容,学習・指導方法,学習過程,学習評価等の在り方について,次のような事項について検討いただきたいということを列挙させていただいております。
今,現行の指導要領に加えて,少し御議論いただきたいことを付加したような論点整理に出てきたものを書かせていただいております。
下の検討事項の説明に入らせていただきますけれども,最初の丸が最初に申し上げましたように,小・中・高の学びの接続ということで,一貫した教育目標,括弧で,有識者会議以降も御提言ありました指標形式の目標も含む形での目標の在り方ということを御議論いただくとともに,それに伴いまして指導内容ですとか,学習過程等の在り方,アクティブ・ラーニングの考え方を踏まえながらも,議論を頂くということでございます。
学校が設定する目標ということでは,本日のドッチファイルの資料にCAN-DOの手引ということで,以前,25年3月におまとめいただいたものがございますけれども,学校における学習到達目標を設定するということは3年ぐらい前から推奨させていただいてきております。そういった取組の事例も踏まえながら,国としてお示しすべきものというものは,具体にどのようなものが必要なのかということを御議論いただくということでございます。それに合わせて,指導する語彙数ですとか,文法事項,CEFRとの関係の整理をどうするかということも,論点として挙げさせていただいております。
続きまして,丸の二つ目でございます。言語能力を向上させるための国語教育と外国語教育の連携ということでございますが,これは先ほど大杉室長からも説明ございました,言語能力の別途の委員会との連携を図りながら御議論を頂くわけでございますが,外国語教育のこのワーキンググループにおきましては,外国語教育の視点からもこういったことが必要ではないかという御意見を頂きまして,並行して言語の会議がございますけれども,そちらの方に提案内容を報告させていただいて,連携を図っていきたいと考えております。
本日は,後ほど委員の皆様方に一言ずつ御意見いただきたいと思っておりますが,初回ということで,ざっくばらんに御意見を頂きたいところではあるんですけれども,回数も少ないものですから,特に最初に申し上げました小・中・高を一貫した教育目標の在り方と国語教育との連携につきまして,是非御意見を頂ければと考えております。
2ページ目の方をお開きいただければと思います。ここから小・中・高学校種段階ごとの課題といいますか,検討事項を挙げさせていただいております。小学校3・4年生の外国語活動の導入,それから,5・6年生の教科の在り方ということ。特に学習指導要領の内容の方向性ということをここで,論点整理を踏まえながら御議論を頂くわけでございますが,先ほどもお話がありましたように,短時間学習の活用の在り方を教育課程外ではなくて,教育課程内に結び付けて,関連付けて効果的な指導を行うにはどのようにしたらいいかということも御意見いただくわけでございますが,これは3回目,4回目,多分,御案内行っていると思いますけれども,11月,12月にかけて集中して候補日を挙げさせていただいておりますワーキンググループの中で御議論を頂きたいと考えております。
併せて小学校で外国語活動,3・4年生以後,入っていくということになりますと,中学校の連携ということが非常に重要になってまいります。これも論点整理で少し触れられておりますけれども,更に具体的な接続の考え方,それによる学習や指導方法の在り方,特に御意見が多かったのは,中学校はどうなるのかということも併せて御議論いただくということが必要かと考えております。
また三つ目の丸でございますが,中学校から高等学校の改善の方向性ということでございます。当然小・中の連携もありますが,中・高の学びの接続ということも御議論を頂きたいと考えておりまして,A3のオレンジ色の今後の改善の方向性にも,例示的に目標が書いてございますけれども,中学校は,授業時間数が増えましたけれども,なかなかちょっと今の4技能の結果というのがまだお示しできておりませんが,会議途中でも御報告できればと思いますけれども,中学校の課題を踏まえながら,より互いの考えや気持ちを英語で伝え合う対話的な言語活動を重視させるような在り方,それから,高校との接続ということで,授業は英語で行うことを基本とするということの導入についての御議論を頂きたいと思っております。
それから,高校につきましては,論点整理の中でも,それから補足資料の中にも絵が出ておりますけれども,科目の見直しということで,特に昨年度の高校3年生の英語力調査結果などでは,生徒さんの発信力が課題になるということが示されたわけでございますけれども,これまでの4技能総合型,必履修科目を含みますが,理解とともに発信能力の育成型をどのように考えていくのかということも,科目の在り方も見直しをするということで示されておりますので,具体の御議論をお願いしたいと考えております。
次の中・高連携も,併せて改訂の方向性を御議論いただくときに,是非御議論いただきたい点でございます。
次の5番目の丸でございますが,高等学校の科目等の見直しは,先ほど御説明したとおりで,1ポツ目は再掲でございますので省略いたしますが,2ポツ目の「専門教科『英語』の在り方」,これは外国語の在り方でございます。訂正させていただきたいと思います。専門教科の在り方というのも,前回改訂のときにも御議論を少しいただいているわけではございますけれども,現状,それから今後の方向性を踏まえますと,少し時間を頂いて御議論を,後半部分になると思いますが,是非頂きたいと思っております。
次の丸でございます。小・中・高の目標の在り方ということを御議論いただくとともに,これも後半になると思いますが,その学習評価の在り方というものを是非御議論を頂きたいと,御意見を頂きたいと思っております。ただ,こちらにつきましては,別途の会議の場が評価を議論いただく場もありますので,そこの動き,検討の状況を見ながら,是非御意見を頂きたいと思っておりますけれども,ただ,外国語につきましては,様々な調査結果を見ましてもなかなか,特に発信力の課題のところでございますが,その評価をどのように行って改善につなげていくのかということがまだまだ十分ではないということが課題として見えてきておりますので,特にCAN-DOの在り方,学習到達目標を学校で設定されておりますけれども,そういうところも含めながら,更に多様な評価方法ということでございますけれども,パフォーマンス評価ということも英語教育実施状況調査で調べさせていただいておりますが,なかなか進んでいないというような現状も含めまして,御議論いただきたいと考えております。
また,小学校の高学年の教科としての評価というものも,有識者会議では,こちらの中教審の方で専門的に御議論いただきたいとなっておりますが,こちらについても是非御議論を,小学校の議論をしていただくときには頂きたいと考えております。
最後に,個別でございますが,英語以外の外国語の扱いというものもございます。これは現行の学習指導要領にも,英語に準じた形でという形でなっておりますけれども,更にその必要性から,方向性ということも御議論を頂く機会を設けさせていただきたいと考えております。
最後に,3番目でございますが,学習指導要領の理念を実現するために必要な方策についてということで,1,カリキュラム・マネジメントの在り方,それから,2でございますけれども,特に先ほどの有識者会議で改革5でお示しさせていただいたような学校の指導体制,教員の先生方の英語力,指導力の向上,外国語指導助手などの外部人材の活用など,条件整備の在り方というのが今回の学習指導要領の改革の方向性の議論におきましては必要な,不可欠な議論かと思います。御意見としてはいただきながらと思いますけれども,別途の例えば中教審の教員養成部会ですとか,それから,先行して26年度から,改革の方向性を踏まえた様々な事業,取組が始まっております。頂いた御意見はそういった場に適宜つながせていただきたいと考えておりますので,併せて必要な御意見も是非頂ければと考えております。
御検討いただきたい事項の御説明は以上でございますが,後で御説明をいたしますけれども,最後に日程表を付けておりまして,第8回ぐらいの候補日というものも配らせていただいております。8回ございますけれど,今挙げさせていただいた検討事項で相当な盛りだくさんな状況でもありますので,一通り順番に御議論させていただきたいと思っておりますが,先ほど大杉室長からも話がありましたように,小学校部会等での連携というものを図りながら,会議以外でも,御相談も御意見も頂きたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【石鍋主査代理】  事務局からの御説明,ありがとうございました。
それでは,これまでの事務局からの説明につきまして,御質問等あればお受けしたいと思います。よろしくお願いします。
【種村委員】  今,御説明ありましたように,小学校部会の持ち方というのは,内容はどういう感じのものをやっているんでしょうか。
【大杉室長】  小学校部会におきましては,先ほどごらんいただいた小学校部会,中学校小部会,高校部会の本来的な役割というのは,各教科でおまとめいただいている資質・能力というのを見ながら,小学校段階,中学校段階,高校段階ということで,カリキュラム全体でこういう資質・能力を育んでいこうという,ある意味全体像と教科とのやり取りというのが必要になってきますので,これをやっていくというのが本来的な役割になってまいります。
一方で,小学校に関しましては,そこに時数の組み方ということが密接に関わってくるということになりますので,恐らく年末から年度明けを中心に少し集中的に開催をさせていただくと。ただ,教科ワーキングほど頻繁ではないので,恐らく数回という形になるかと思っております。
【種村委員】  ありがとうございました。多分小学校は英語の時数の問題と,あと,教科の問題もちょっと出てくるものですから,同時にこれをやっていくのか,その辺がちょっと分からなかったものですから,また,済みません。よろしくお願いいたします。
【大杉室長】  同時並行という形になってまいりますので,少し議論をしっかりつながせていただきながら,また,メンバーも,少しいろいろ重なるメンバーも出てくると思いますので,事務局の方でもしっかり議論をつながせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【石鍋主査代理】  そのほか説明についての御質問等ありますか。よろしいですか。また後ほど意見交換の時間がございますので,そのときにでもお話しいただければと思います。
それでは,本日は第1回でございますので,いわゆる初めての顔合わせとなります。是非皆様から,お1人ずつ順番に御意見を頂きたいと思います。先ほどの説明のあった教育課程企画特別部会論点整理,また,外国語教育のこれまでの検討状況等を踏まえまして,御意見をお願いいたします。再確認になりますけども,特に資料8,検討事項の1にあります小・中・高等学校を通じて育成すべき外国語教育における資質・能力について,また,もう1点,先日行われました言語能力の向上に関する特別チームの検討事項となっております国語教育との連携,その2点について御意見を頂ければと思っております。もちろんこれにとらわれることはございませんので,委員の先生方の御専門に関連しまして,日頃からお考えになっていること,取り組んでこられたことなどを含めまして御発言を頂いても結構でございます。
なお,限られた時間でありますので,大変恐縮ですが,1人当たり4分程度ということで御発言を頂きますよう,よろしくお願い申し上げます。
それでは,五十音順に参りたいと思いますので,江原委員の方から,突然で恐縮でございますが,よろしくお願いをいたします。
【江原委員】  なぜマイクが私のところに来たのか,今分かりました。では,4分ほどで。
私は今,主に中・高,高等学校の先生方の研修を中心にやっているんですけれども,いつも申し上げるのは,授業の中で心と体と頭を使うチャンスがあるといいと思っているんです。そういう点からしますと,小・中・高の連携した指導という英語教育ということを考え,外国語教育ということを考えるときに,心と体と頭を使うバランスをどういうふうに考えていくかということだと思うんです。特に小学校から中学校へ行くときの大きな問題の一つとして,英語嫌いが早く出てしまうこともあるのではないかということが言われていまして,それは,一つには,小学校の早期の頃から,英語が勉強となってやってしまい過ぎている。つまり,頭ばかり使ってしまって,心と体が使われていないことに起因するのではないかなと思っているんです。
もう一つ,言葉の習得ということを考えると,自然に学ぶというところはある程度,そんなに個人差がないかもしれないけれども,頭を使って意識的に学ぶというところは多分,個人差が出やすいところなんだと思うんですね。そこを余り小学校,個人差が出やすいところばかりで勝負させてしまうと,英語嫌いが出てくるのではないかなと,そんなことを考えました。
それが一つと,それから,発信力を将来的には付けるということで,英語の教員という立場からすると,英語を読むという受信の方はいろいろ積み上げがあるんですね,日本の英語教育。でも,発信ということでは今ないと。ただ,先生方は,生徒たちが発信すると喜んでいるし,非常に楽しいということは実感として分かってきている。だから,今度の改訂で,そういう発信力を付けるにはどうしたらいいかという先生方への支援も含めて行っていくといいと思います。
以上です。
【石鍋主査代理】  ありがとうございました。続きまして,酒井委員,お願いします。
【酒井委員】  よろしくお願いします。まず,ちょっと大きいところ,資質・能力のところで言いますと,コミュニケーション能力の育成が重視されてきて,その歴史は長いわけですけれども,その方向はなお一層強くなるということだそうなので,これはもう目的としてはしっかり理解をしておきたいなと思いました。
言語能力の向上のチームにも参加をさせていただきましたけど,その中で国語の方でも,言語の役割ということを意識した指導というのがなされています。これは英語のところで言うとコミュニケーション能力を意識した各指導ということになるのかなと思いますので,いろいろな力を付けるというときに,英語の教科としての特性としてのコミュニケーション能力の育成に主を置くという流れは,しっかり明確にしていきたいなと期待をしています。
その中で発信の部分です。伝え合う,あるいは表現をするということだけではなくて,考えながら読んだり,考えながら聞いたりという部分もとても大事な要素になってくるかなと思っています。ですので,力として4技能総合的にという言い方をしますけれども,そのときに,表現を支えるものとして理解の力もしっかり付けていくような,そういう力の見方を見ていけるといいのかなと思っています。
もう一つ,ここにアクティブ・ラーニングということがありますが,言語習得の観点で言うと,言葉を学ぶためには,たくさんのエクスポージャー,インプットですね,触れることと,実際に言葉を使っていくことというのが大事になってくるわけです。このどうやって学んでいくかというときに,アクティブ・ラーニング,これは英語に限らず使われる言葉と思いますけれども,特に思考・判断・表現を育成するための場と位置付いていると思いますが,これと教科の特性としての英語の学び方,これをつなげられるようなことが考えられるといいのかなと思っています。
二つ目ですが,外国語の目標のところですけれども,学ぶことと実際にできるようになるということにずれがある領域もあると。英語の場合,学年指定が2回前の学習指導要領からですか,取れています。その関係でなかなか学年ごとの到達度,あるいは指導目標の差というのが見えなくなってきているわけですけれども,実際は指導をするけれども,到達としてはある学年まで待つと。これは例えば国語の小学校の漢字の例でいくと,1年生で漢字を扱うけれども,2学年にわたって確実に定着をするようにするとか,こういうようなちょっと長い目で見た指導と到達目標の設定の仕方みたいなものが入ってくるといいのかなと感じています。
それから,国語との連携ですが,言語能力の向上のワーキングでも話をさせてもらったことを繰り返させてもらいますけれども,一つ,英語の中でも,言語活動を充実させるということで,英語を使った活動というのはたくさん行ってきたと思っています。これは中学校も,特に最近は高校で特に広がりが多いと思いますけれども,まだまだ足りない部分はありますけれども,その中で実際に英語を使うということに主が置かれてしまって,どういうことを考えながら言葉を使っているのか。それから,どういう判断をしながら言葉を使っているのかという,思考と判断の部分,そして,それをどう表現するかという部分がなかなか見えづらくなっている。あるいはそういう活動を通してどういう英語の力を付けたいのかということをなかなか見えづらく,短期的に単元構成をしているような現状がある。そういう意味では,CAN-DOリストの形の学習到達目標をしっかり据えることで,しっかり各指導の位置付けをしているというのが今の実情と思いますけれども,これがなお一層進むと同時に,英語の理解の能力,それから表現の能力の裏側にある思考・判断・表現のところの力を英語の教科の中でも何らかの形で重視できるような形になるといいのかなと思っています。
CAN-DOの形で表現をしていくと,例えば書くことでいくと,指導の中では特に具体的になりますので,例えば文と文のつながりを考えながら書く。その例として,先ほどおまとめいただいた中にも,考えを根拠とともに示すという,そういうような文章構成についても,CAN-DOの中に入れて指導するということも学校においてはあることがあります。そうすると,この考えを根拠を示しながら,伸びる力は英語の力なのか,それとも一般的な論理力なのか,国語で指導すべきなのか,こういうところの連携が上手にできていくと,国語で培った力を使いながら,また英語にも生かしていけるということで,そういう連携の仕方,言語能力としての連携の仕方というのが期待したいということをお話をしました。
もう一つ,言語の仕組みという観点でお話をさせていただきました。一つは,小学校を考えると,今後,読む,書くという4技能を入れるということで,教科の系統性の部分を特に重視される要素になってくると思いますけれども,例えば英語の特性として,音相認識ですね。日本語のモーラの認識と英語の音相認識が違うということで,小学校の多くでは,まずそこの音相認識を一生懸命やろうというところから書く活動に入っていくわけです。ここがもし国語の中で例えばローマ字を扱うときに,ただ単にローマ字表記を学ぶということではなくて,音の仕組みを学ぶということで指導していただけると,子音と母音のつながりという,その認識を持った子供たちならば,次のステップに行くことはたやすいであろうということで,ほかにも,学習者の学びやすいという点から,国語と英語の関係が,あるいは指導の連携みたいなものができるのではないかというお話をさせてもらいました。
今のところ,以上です。
【石鍋主査代理】  ありがとうございました。続きまして,佐々木委員,お願いします。
【佐々木委員】  よろしくお願いいたします。私の方は高等学校という学校の現場の方からの立場でお話をさせていただきます。
最初に,高等学校の大まかな現状ですけれども,平成25年に学習指導で現行の指導要領が始まりまして,3年目ですけれども,小学校での外国語活動を経験してきた子たちが高校へ入ってきている時代になっているということで,客観的な数字ではありませんが,見ていると,やはり授業は変化しているし,教員の方もそういうふうに改善をしていこうという動きが,大きなものがあるかと思います。
行政の方も,ALTですとか,JETプログラムによる指導員ですとか,そういった者を多く派遣してもらったりということで,内部的にも行政的にも,現行の学習指導要領にのっとって大きく授業を変えようといううねりはあるかと思います。ただ,先ほど申し上げたように,結果がすぐに出るかというとなかなか難しいところで,この状況においては,やはりしばらく見守っていただいて,その成果を待っていただきたいなと思います。
その中で,一方で,また課題になっているとか旧来言われていた訳読式ですとか,文法中心ですとか,そういったところの授業も残っているところは確かです。そういったところを改善しながら,現行の各種指導要領にのっとってやっていかなければいけないわけですけれども,次回の学習指導要領を見据えたときに,今やっているものが次回のものと変わっているかというと,今の路線は大きく変わってないと思うんですね。先ほど出てきた育成すべき資質・能力の三つの柱,今,これについても,現行のものを更に高度化していくとか,発信能力を少し高めていくとかいうふうなところで求めていくところであって,大きくその路線から今のところが異なっているというふうには,私の方ではちょっと認識をしてないので,今の路線をどうにか定着するところに力を入れていただきたいなと思います。
しかし,先ほどおっしゃった大きく変わっていない部分があるというのは,幾つかやはり課題があるわけで,高校については,先ほど出ました高・大連携での大学の入試,それとあと教員の研修ということと,あと教材というふうな,こういった大学入試ほか,条件整備のところでは,英語の授業をどう展開していくかはやはり大きな課題であるかと思います。そういったものを一体的に改善していって,今度の学習指導要領がいいものであるような方向に持っていっていただきたいな。つまり,各部のところでの議論だけではなくて,横のつながりのものを見ながら,学校におろしたときに一体感のある改革であってほしいなと思っています。
そういう意味では,先ほどの小・中・高を通じた育成すべき外国語教育というのは,これは今までに目に見えてなかったものですから,高校の教員も,果たして小学校ではどんな活動をしてきたのか,中学校ではどうだったのかと知らないまま高校での授業を行っている場合が多いかと思います。今度,もしできるのであれば,そういった小・中・高の流れが可視化された形で,是非教育に携わる者が小・中・高それぞれ異校種の状況を理解しながら授業に取り組んでいくということができればいいのかなと思っております。
様々課題はありますけれども,次回のところも期待するところがありますので,どうかよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
【石鍋主査代理】  それでは,続きまして,髙木委員,お願いします。
【髙木委員】  評価の視点から三つ,お話をしたいと思っています。一つ目ですが,外国語と国語との連携です。両方とも言語ということなんですが,言語の知識・技能のみだけではなくて,習得したことを活用できるような見方,考え方。評価の方から言いますと,それが思考・判断・表現というところに関わる連携になっていくと思います。この件につきましては,先ほど酒井委員が話された内容とかなり私も近い考え方を今持っております。
二つ目ですが,観点別学習状況の評価と,それから,目標に準拠した評価における,目標に準拠した評価というのは質的なものですので,英語の方で言うCAN-DOリスト,到達目標との関係,これをどのように図っていくかが課題になってくると思っています。まさにどのように評価を示していくことから考える。そうしますと,実は小学校,中学校,高校という積み上げ型の考え方ではなくて,先ほど,今も直前に酒井委員が言われましたけれども,小・中・高の連携という形じゃなくて,高3でどのような学力を育成するか。そのためには中学までにどういうことをしておくか。さらには,小学校でどういうことをやるかということを考えると,あるいはそこで必要なカリキュラムなり,必要な資質・能力,さらにはそれに伴う評価ということをどういうふうに行うかという内容が見えてくると思っております。
例えば今までの国語においても,小学校,中学校というふうに積み上げてきますと,高等学校でどのような内容をするかというのは小・中の内容に相当大きく影響されていますが,実は現行の指導要領でいきますと,中学校3年生の内容というのはかなり高度な内容になっております。評価基準がB規準というふうに,本当にこれがB規準というか,もうとてもじゃないけど,Aの丸,丸,丸ぐらいの基準が書かれているわけで,そういったところから,やはり今回,発想を少し変えてみて,特に大学入学者選抜試験制度も変わってくるわけですから,学力の内容というのを一つ,検討する必要があるかなと思います。
併せまして,観点別学習状況の評価ということと重なりますと,きょうの論点整理の中の20ページのところに,評価のところが書いてあります。この論点整理の二つ目の丸,学校教育法30条の2項というものの中で,三つの評価の観点という方向に次期は変わっていくやに思われていますが,特にこの中で主体的に学習に取り組む態度,ここは大変,私は重要になると思っておりまして,知識・技能と,それから,思考・判断・表現,それぞれを統合できる評価項目とこの項目はなっていくのではないかと考えております。ですから,例えば英語で言えば,CAN-DOリストと思考・判断・表現とのことを,この主体的に学習に取り組む態度,今まで言われてきている言葉で言いますと関心・意欲・態度,この項目をかなり重視することによって,習得と活用の評価の内容をそこで評価できていくということになるのではないかと考えております。
以上です。
【石鍋主査代理】  ありがとうございました。では,種村委員,お願いします。
【種村委員】  私は,先ほど全国連合小学校長会の調査研究部長だというお話をさせていただきましたが,9月末から10月にかけまして,それぞれの都道府県に研究部というのがありまして,研究部長に該当する人を集めていろいろな話を聞いてきました。いろいろな話の中に,英語,道徳,学力調査を含めましてお話を聞いてきました。その中で英語にちょっと視点を当てて,今,お話をさせていただければ,やはり先ほど出ました省庁連携の中で,小学校は今,外国語活動をかなり楽しんでやっているという調査結果が出ています。それが英語になったときに,英語嫌いになるんじゃないかという心配が校長の中にはかなり多いと思っています。これはまだ概要が全部見えていないということもあるでしょう。いろいろな内容が見えていくに従って,その不安が少しずつ解消されるのではないかなと思っていますが,ただ,今,文科省さんが作っていただいたHi,friends!を基にしながら,外国語活動をやっていますが,かなり丁寧に作られていて,現場の先生方には好評です。
これが英語になったときに,外国語活動から教科の英語となったときに,それだけではなくて,やっぱりそれなりの中学校と同じように知識・理解も求められてきますので,そうなったときにどういうふうな指導ができるのかということは,今後しっかり私どももお話をしていかなければいけないかなと思っていますが,先々の方をちょっと見ていきますと,教科になったときには,学力調査が必ず出てくると思います。そのときに,小学校段階でどこまでというものがあるんですが,文科省さんがこの辺はこうだと言っていても,必ず学力調査,今でも全国の学力調査,どこが1位とか2位とか,そのためには,皆様方にお話しできないようなそれぞれの都道府県の御苦労があって,学力調査,学力を高めるための施策というのはかなりどこもやっているんですね。そのために,この英語が出てきたときに,それがまた出てくると。そうすると,そのためにどうやらなきゃいけないかとなったときに,本当に今は外国語活動で楽しんでいる,そういう部分が消えてしまわないかというのがちょっと心配です。
ですから,英語になったときにも,子供たちが楽しみながら,そして,中学校につなげていきたいという思いもありましょうし,小学校の方は,全教科が関係するものですから,それぞれの教科,算数にしろ,国語にしろ,それぞれの時数を減らしたくないという思いがありますので,その中で英語が入ったときに,もしほかの教科を減らさないのであれば,英語が1時間足されるという中で,論点整理の中にもありましたように,モジュールとかいろいろな話が論点整理の中にも示されていましたが,校長も,先生方も心配しているんですが,モジュール等,いろいろ入ってきたときに,今取り組んでいる,朝,モジュールをやっているところが結構あります。そういうときに,それで算数,国語の学力を高めるために,また読書活動に入れているところもあります。
それが今回の全国の都道府県の研究部長を集めたときに出てきたのは,うちは15分掛ける3回,朝,こうやっていますと。なおかつ,ほかのところで読書活動もやっています。これがなくなっちゃったらどうなるんだろうというすごい不安が校長先生方にはよぎっています。その辺を不安にならないようにどうするか。若しくはそれぞれの学校の独自性がある程度担保できるのかということも,私はいろいろな校長先生方,また先生方にお伺いしながら,この会でお伝えをしていきたいなと思っています。
あと,言語活動につきましては,かなり小学校では意識して,国語だけではなくて,全教科通じて言語活動をしっかり位置付けるように取り組んでいる状況かなというふうには思っています。
以上でございます。
【石鍋主査代理】  続きまして,投野委員,お願いします。
【投野委員】  よろしくお願いします。私は3年ぐらい前にCAN-DOの委員会に入っておりまして,ガイドラインを作ってきました。その後,私自身は,科研でCEFRをちょっと応用した日本の英語教育の枠のCEFR-Jというので,いろいろなデータを集めています。少し離れている間に,中教審の資料とかを見ると,当時はCEFRレベルに関する観念もちょっと,十分みんなで共有した理解が余りなくて,少しレベルが高めの設定だったりしたんですけれども,最近の資料は非常にチューニングがよくなっていて,これは持って帰るなという話なんですけれども,持って帰ってよく見たいぐらいな内容で,とてもよくできていると思います。
先ほどの資料8です。それの外国語教育の改善についての2番目のところについて,ちょっと意見を言いたいんですけれども,CAN-DOで小・中・高をつなぐというのは非常にいいアイデアだと思うんですが,やはりヨーロッパでやっているように,CAN-DOがまずできた後は,そのCAN-DOを実現するための語彙や表現,それから文法事項,そういうものの記述が必要になります。これを余り適当にやっていると,CAN-DOはスローガンのようになるんですけれども,それぞれの持っているイメージはかなりばらばらのまま教材ができたりするんですね。
この辺を今も非常に不安なのは,語彙量が全体に中学,高校と増えましたね。教科書を分析してみると,語彙の取扱いはかなり会社によってばらばらなんですね。ですから,やはりどういう機能の表現を身に付けさせたいから,こういう表現の文法や語彙をそこに仕込むというふうなことをある程度裏では考えておいた,そういう資料を用意して,それを基にした,内部資料でも,ちょっと補足資料でもいいから,法律としては出さなくても,そういう資料を基に教科書会社が作るとか,何かそんなような方法をちょっと,私としてはいろいろアイデアを出したいと思っています。
私のやっている科研の方で,今年の最後に,ヨーロッパのCEFRをレベル別にコースブックをコーパスデータにして,それを100冊ほど分析した資料を作っているんですね。レベル別にどういう文法がどのレベルで出てきているかというグラマーのプロファイルと,それから,あと,どういう語彙が使われているかというボキャブラリーのプロファイル,それから,あとテキストの特性ですね。どういうレベルで,どんな感じのテキストの分量や複雑さなのかというふうなプロファイル,そして,エラーのプロファイルです。これは学習者データを使っているんですけれども,レベル別の学習者がどんな間違いをするかというか,そういうプロファイリングをしたようなデータを公開します。ですので,そういうものを少し,現状の枠組みの中の裏資料みたいなもので充実させて,どういうふうに出していくかというのをしっかりと構築したものを,教科書会社がそういうものを資料として見たりすれば,もっといいものができるんじゃないかなと思うんです。その辺をちょっと提案していければなと思います。
以上です。
【石鍋主査代理】  それでは,続いて長谷川委員,お願いいたします。
【長谷川委員】  経団連の長谷川です。経団連という企業の団体に勤めておりますので,学生に接点があるのは基本的には新入社員の採用ですとか,若しくは若手社員にどういう素質・能力を求めるかということを,企業の人事担当の方のワーキンググループ,そのような集まりがございまして,そこで毎月,議論をしているんですけれども,そうした活動に限られます。そこでは新入社員に求める素質・能力ということで,定期的に全会員企業を対象にアンケートをやっておりますが,英語によるコミュニケーション能力はいつも上位に入ってきます。
それでは実際に英語によるコミュニケーション能力というのはどういう能力なのかといえば,基本的に英語でビジネスができるレベルということで,より具体的に聞けば,それは各社の業種ですとか,企業規模ですとか,若しくは文系なのか理系なのかといったことで違ってはくるんですが,TOEICで言えば,500点とか600点とか,700点ぐらいといった各社のそれぞれの基準がございますが,そういったレベルを求めているという回答がございます。
ですので,先ほどの髙木委員のおっしゃったことと若干似ているんですが,この資料8の1の小・中・高を通じて育成すべき外国,素質・能力というところについて言うと,逆に産業界の立場から言えば,大学を卒業した時点,若しくは専門学校等を卒業した時点で,いわゆる産業界が期待しているような英語でビジネスができるレベルに達するには,英語力に関して大学までに何をどこまでのレベルに達するのか,高校卒業段階ではどこまでのレベルに達する必要があるのかと,そういったイメージで逆算していただいて,各教育段階での育成すべき,達成すべき素質・能力ということを御検討いただければいいのではないかとまず思いました。
それから,2ポツの外国語教育の改善のところなんですけれども,先ほど述べた経団連のワーキンググループで,逆に現在の新入社員が最も弱いところ,これから,10年,20年後のグローバルビジネスの展望を踏まえて考えると,今の新入社員に最も不足を感じるところはどこかという議論もよくするんですが,大体3点ございまして,一つがすぐに正解を求める,また最初からやり方を聞きたがるということで,自分で試行錯誤をして自分なりの回答を見いだそうとする姿勢が足りないこと。
それから,2番目は,発信力が弱いという,この資料にもたくさん書いてございますが,自ら進んで自分の考えや思いを発信しようとしないこと。会議などの場で指名されれば,何か答えは持っているので,何も考えてないというわけではないんですけれども,自ら進んで意欲的に発信しようとしない,そういう発信力が弱いこと。
それから,3番目は,リベラルアーツが弱いということで,幅広い視野とか,教養がちょっと弱いということが指摘されています。ですから,これは英語教育に限ったことではないと思うんですけれども,外国語教育の改善について言えば,ここに書いてある外国語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成というのはやはり小・中学校から継続的に育成していかないと,会社に入ってからいきなりそういう態度が身に付くということはないと思いますので,ここのところは是非重視してやっていただきたいと思います。
以上です。
【石鍋主査代理】  それでは,平岡委員,お願いします。
【平岡委員】  失礼いたします。私は小学校の教員ですので,小学校の立場からこの外国語を考えるということで,お話をさせていただきたいと思います。
最初に申し上げたいのは,大学卒業とか,高校卒業でこれぐらいの力を付けるならば,中学校ではどれぐらい,小学校でどれぐらいという意見も出ていますが,じゃ,中学校でやっていることを小学校におろせば,それで英語教育が発展するのかというのではなくて,やはり発達段階があると思いますので,それに応じたカリキュラムを設定していくことが大事だなということを最初に言わせていただきたいと思います。
それと,外国語活動,小学校には物すごく劇的な変化が今回の学習指導要領の改訂でありました。小学校の現場は,子供たちのために,教員は,英語ができなくても何とかしなくてはいけないということで,本気で取り組んでいます。もちろん文科省から出ているHi,friends!の助けが非常に大きかったということもあると思います。ですから,今はどこの学校でも,楽しくて,遊んでいるというような実態ではなく,やはりコミュニケーション能力を身に付けようと,そういう態度を養おうとする授業が行われていると思います。
そして,この論点整理にもありましたが,小学校の児童は英語が好き,それから,英語を使えるようになりたいという意欲が高まっているという点がありましたが,意欲が伴うからかもしれませんが,意欲だけではなく,言語の使用場面を確実に設定して,コミュニケーションの取り方の具体を活動を通して行っていることによって,聞いたり話したりする態度にもつながっていると感じます。
また,高学年は,読むというためではなく,文字のことが,知的好奇心が高まっているという意見もありますが,読むために文字を見ているんではなくて,やはり話すための手掛かりとして文字を見ていると,これが小学校の実態だと思います。ですから,とにかく早くに書かせればいいと,そういった問題ではないのではないかと。ですから,そこは慎重に扱うことがこれから期待されるなと思います。
また,小学校の外国語活動では,今,日本語,国語との比較とか,国語との連携ということもありますが,非常に気付き力が付いているなということを思います。それは日本語と英語の違いについても気付いていますし,やはり自然の中でも,これは教師の視点の与え方にもよると思いますが,複数などの文法についても非常に気付いているという点。それから,今の外国語活動の非常によさということは,友達のよさという点にも気付いていると思います。ですので,この流れは非常に大事にして,次期指導要領改訂に向かわなくてはいけないと思います。
こういったいい点もありますが,課題として,今,小学校で考えているのは,やはり中学校との連携です。小学校の外国語活動で身に付いている,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が本当に中学校の話す,聞く,意欲・関心の部分ではなくて,話す,聞くといった領域に本当に役立っているのかどうかということから,やはり4領域で今後つなげていくということは非常に大事なことになるかと思います。
また,今,小学校の外国語活動の目標なんですが,この目標は,教師の捉え方によって,いろいろな捉え方が今,できている,出ているという実態があると思います。つまり,目標を立てるときの基準が教師によって曖昧になっていることから,指導にもそれが反映されますし,評価にも影響が出ていると思います。ですから,本当に態度として身に付いているのかということと,やっただけで終わるという,そこに大きな差が出ているのではないかと感じます。
また,小学校の今の外国語活動は,単元のゴールを決めての活動がほとんどですので,単元で完結しているという実態があります。ですので,アクティブ・ラーニングにもつながりますが,前の活動,前の言語材料を積み上げていくようなスパイラルでの学習ができていないので,今後,学習内容,指導内容の検討が必要であると思います。このワーキンググループを通して,小学校の児童にとって大きな学びはあるけれども,決して無理のない英語教育を検討していくことが非常に大事なことではないかと私は考えます。
以上です。
【石鍋主査代理】  続いて,藤村委員,お願いします。
【藤村委員】  失礼します。私も小学校の方で子供たちに授業の様子,中学校での授業の様子を見ておりますので,その関係でちょっと話をさせていただきます。
先ほど平岡委員からも話がありましたが,平成23年度に外国語活動が全国全ての小学校で週1時間取り組むということでスタートしました。それまでももちろん英語活動として,国際理解とか,あるいは総合的な学習で授業をしていました。そのときの様子は,もちろん聞く,話すを中心にしながら,楽しみながら聞く,話す活動ができればよいというような,ある意味曖昧な位置付けであったのかなと思っています。
23年度以降,全ての学校で外国語活動がスタートしてから随分変わってきたな。つまり,コミュニケーションの中身そのものが随分深まりのあるものになってきたと思っています。それは,先ほど話が合ったように単元のゴールを示して,そのゴールに向かって,子供たちが表現形式を学び,あるいは単語を学ぶということをしているわけですけれども,これは国語教育と大きな関係があると思っています。つまり,国語教育はもうそれ以前,10年ほど前,伝え合うということで,いわゆる言語能力を高めるということで,従来,皆さん方も多分そうだと思うんですが,受けてきた国語の教育というのは,登場人物の気持ちや感情を読み取るかとか,書かれている内容を読み取るとか,そういうことが中心であったと思うのですが,今は,国語科でもゴールを設定して,そのゴールに到達するために国語を読む,教材を読むというふうに大きく変わっています。小学校の教員ですから,もちろん国語の学習もしているわけですから,それと相まって,英語を本格的にスタートしたことで,それがうまく合わさって大きな成果を上げてきたのではないかと思っています。
あわせて,国語では余り1対1のやり取りというのはしない。しなかった。もちろんやることもあるんですけれども,それは中心にはしていません。全体に話をするとか,グループで話をするとか,そういうことで自分の思いを伝えるということが多かったと思うのですが,特にこの英語ということになりますと2人でのやり取り,自分の思いや,あるいは自分の伝えたいことを相手に伝える,相手の伝えたいことを聞き取ろうとする。ところが,言葉が十分でありませんから,何とかそれを言葉だけじゃなくて,ジェスチャーであるとか,そういうことで伝えようとする。つまり,相手の目を見るとか,それから,笑顔で話をしようと。つまり,相手意識をすごく育てることができてきたなと思っています。
この外国語教育に求められる資質・能力,この学習課程の中に,ここにも書いてありますね。小学校では相手意識,中学校では他者を尊重しということ。それから,高等学校では,聞き手,話し手,読み手,書き手に配慮しながらという表現がされている。これは資質・能力を高めるということで,すごく大事な視点ではないかなと思っています。国語教育の中ではもちろん言葉で,大事にしましょうね,お互いを大切にしましょうねと言うんだけれども,その具体的な姿がなかなかなくて,言葉だけに終わっていた部分があると思うんですけれども,特に外国語活動では,言葉ができないんですから,だから,あえて身振り手振り,あるいは笑顔とか,それから,お互いの目を見合うとかいうことがあるのではないかなと思っています。
ですから,今度は外国語活動を中学年,ということは,当然中学年ではそういう形になると思うのですけれども,英語科になった5,6年については,その2年間を踏まえて,いつまでもアイコンタクト,あるいはジェスチャーだけじゃいけないので,今度は言葉でどう相手を認めるかといった,そういう内容も入ってくるのかなと思います。今でしたら,先生は,褒め言葉で,グッドジョブとか,そういう表現を使って子供を褒めている。子供同士がそれを使っている姿が今,あまりないのですけれど,そういうことが大事になってくるのかなと思います。
それから,中学との関係になるわけですけれども,ちょうど小・中連携が大事だというのは,ずっと過去から,言われてきました。私の学校にも,中学の先生が小学校に来て授業をしてもらうとかいうこともあります。ところが,なかなか小学校がその接続をどうすればいいかということはイメージできなかった。中学は文字を,アルファベットをちょっと覚えさせてほしいというようなことも当然あるわけですけれども,それだけではどうかなと。要するにプラクティスだけでは絶対駄目だと思っているんですけれども,今年初めて小学校の教員が中学校のいわゆるTT,授業に週1回ずっと入っているんです。そうすると,特に入学時期の中学生の困りがあるということを初めて知ったと言ってました。
何かというと,例えばWhat do you何とかと,それを全部続けて書いてしまう。単語としての意識が子供たちにないから,ずっと続けて書いている。だから,子供にしては,書いたものが読めない,何て書いてあるのか。子供はここで困っているというのが一つあるということ。
もう一つは,ローマ字の学習をするときには4線を意識して書くんですが,小学校,特に6年で文字が出ても余り4線を意識してなかったんですが,文字の高さを意識できない。つまり,ある一定の2線というんですか,そこを基準にして上に行ったり,下に行ったりするわけですけれども,そこを意識できてないから,ばらばらの文字になってしまうということがすごく子供たちは困っていると。もちろん全ての子供ではないんですけれども,困りを感じたということでした。6年生,まだ,私ども英語科ということでしておりますので,文字を少し入れるときには4線,絵カードに文字を入れるときにも必ず4線を書いて,そこに文字を落とすというようなことをしています。それから,学習の終わり,単元の終わりに必ずそれを使った表現を掲示をする。掲示をして,それが次に生かせるようなこともしています。同時に,主語と主語とが下に続くように,要するに語順を意識した表示というのを今,行っております。
ですから,これから,そういう文字を高学年で当然導入することになるわけですけれども,中学でどこまで丁寧にされているかは分からないのですけれども,そういった丁寧な指導といいますか,内容というのが必要なのではないかなと思っています。
以上です。
【石鍋主査代理】  続いて,本多委員,お願いします。
【本多委員】  私は現在,中学2年生を教えています。昨年は中学1年生,その前が中学1年生,2年連続で,その前が高校3年生,2年生,1年生,その前がずっと中学を教えてきました。その経験を踏まえて発言させていただきたいと思います。
まず,国語の特に言語活動に関してのことですが,20年前,例えば英語科でディスカッションとかディベート,特にディベートを行ったときに,まずディベートとは何かというところから教えなければなりませんでした。現在は国語,又は社会科等でやっているということで,それがどういう活動であるかというのは,少なくとも分かっています。
それから,中・高の国語の授業でどんなことをやっているかというのを生徒と教員に聞くと,例えば何かまとまりのあることを話させるときには,その前にブレーンストーミングをやっていて,マッピングとか,附箋でまとめたりとかしている。それは実は20年ぐらい前に英語の授業の中でやっていたことが今,国語で行われている。
それから,ポスターセッションとか,それから,ビブリオバトルという,読んだ本の紹介です。それは高校1年とか2年ぐらいで,例えば夏休みに読んだ英語の本を,じゃ,英語でやってみましょうというのと実は活動としては重なっていたり,それから,スキットに関しても,中学1年生でスキットというのはたくさんやらせますが,国語の方でも,例えば故事成語の成り立ちをスキットで紹介させたりとか,そういうようなことが結構国語の中に入っていて,結構活動として重なっている。国語の方は母語ですので,言いたいことをいかに聴衆,聞き手に分かりやすく話すかというのが鍵になると思うのですが,英語の方は,言いたいことが必ずしも言えることとは限りません。ですから,言えることを相手に分かりやすくどう言っていくのかというのがすごく大切なところになっています。その言えることの幅を広げていくことが大切だと思っています。
よく見掛けるのですが,例えば英語でスピーチをさせるときに,日本語から英語に直させるということがよくあるのですが,確かに日本語で書くと,言いたいことはそのときの日本語の作文では書けるのですが,英語にするときに結局,和文英訳という非常に難しい作業になってしまうので,なかなかできない。初めから英語で考えて,言えることを言っていくという指導は結構大事なんじゃないかなと思っています。
昨年,一昨年,中学1年生を教えました。疑問詞のWhatとか,When,Where,Whoというのは結構もう知っていて,4月,5月の段階で使っても結構通じます。ところが,教科書の方では10月とか11月になって出てきます。こういったものは,どんどん口頭では使っていく必要があるなと。教科書で出てきたときに文構造とかを教えていくということは必要だと思います。
書くことは非常に時間が掛かります。中学1年生,恐らくアルファベットが書ける生徒は,本校の生徒で最初に50%を超えていると思います。ただ,全員正しく書けるようにするのに5月の終わりから6月の初めまで掛かります。その後,単語,文。特に文を書かせるとなると,非常に誤りが多いまま,中学2年生の今の段階でも初歩的なことで誤りが見られます。ですから,長い目でどんどん書かせていくことが必要だと思います。
話すことに関しては,即興的に話すというのが余り中学校の現状として感じられません。例えば小学校で,「Who is your famous athlete?」と言って,「五郎丸」と答える。例えば単語で答えたとして,中学校で求められることは,私はそれに対して,じゃ,五郎丸はどんな人で,なぜ好きかというのを付け加えていくということが必要だと思っています。そういったことが現在されているかというと,中学校の中では恐らく一部しかやっていない。つまり,音読で終えてしまっているということが現状としてあると思います。アフターリーディングの活動でどんなことができるか,どんなことをさせられるかということが中・高の現場では大切ではないかなと思います。
最後に,「KUDAN CAN-DOリスト」が配付資料の中にございますので,これに関してちょっとだけ,せっかくですので説明させていただきます。本校では,英語を使って何ができるようになるというのを指導目標にしてきたので,到達目標を生徒に示すことが必要だということで作られました。したがって,教育委員会から作りなさいと言われて作ったものではありません。現在は,学力の幅というか,到達のレベルの差が非常に大きい学校でもあるので,一応最低のレベルと,それから,その次のレベル,例えば中学1年生だったらG1のところ,一番左のところというのはもうクリアして,次のG2に向けて努力しなさいと,そうやって先々を見通して努力させるというリストにもなっています。
以上です。
【石鍋主査代理】  それでは,渡部委員,お願いいたします。
【渡部委員】  失礼します。私は島根県教育センターというところで指導主事として働いておりますが,昨年度までは,島根県の教育委員会の方に3年おりました。指導主事という立場で学校現場で関わったことの中で幾つかお話をさせていただければと思います。
一つは,文科省の事業を受けておりまして,雲南市というところで小・中・高での新しい英語教育の在り方について研究を進めております。そのことについて,お話をさせていただきます。
それから,もう一つは,現在,中学校における課題,これは県内での私の受け止めなんですが,そのあたりについてお話をさせていただこうと思います。
まず,島根県の方でも英語教育地域拠点事業を受けておりまして,雲南市というところを中心に,今現在,2年目の研究をしております。今年度の取組の一番の中心が小・中・高をつなげるCAN-DOリストのための学習,CAN-DOリストの形での学習到達目標を設定するということ。そして,もう一つは,小学校高学年における評価の方向について,試作品を作っていこうということを考えております。
本当に暗中模索の状況の中でやっておりまして,小・中・高のCAN-DOについては,島根県では,実は中学校においては2年ほど前に,県でCAN-DOリストの作成の手引を作成しました。実はこれ,先生方に作ってもらおうと思ったときに,ぽーんと投げると,ほとんどの学校さんがコピーをされたりとかいうことがあって,せっかく時間を使って作るんであれば授業改善につながるものにしていきたないということから,島根県においては,教科書の単元からCAN-DOをボトムアップで作っていく方法です。各単元の目標を技能ごとに一つ絞って,一つの目標を設定する。それぞれの目標を蓄積することで,読むことについてはどんな力が付くか,書くことについてはどんな力が付くかという考え方で,教科書からCAN-DOステートメントを作っていくという考え方で作成しております。
雲南の方でもこの考え方で小・中とつなげていこうと。今現在やっていますのは,小学校においても,単元を策定をして,その単元にどんな目標を設定するかということを的を絞って,その目標を達成することでどんな力が付くかということを下から積み上げていく。同じような考え方で小・中のCAN-DOステートメントを作っております。
ところが,作りながら感じましたのは,出来上がったものの整合性といいますか,妥当性といいますか,そのあたりを検証していかないと非常にばらつきのあるものになってしまうということから,現在,我々の試作品では,投野先生のCEFR-Jのステートメントを参考にさせていただいて,下から積み上げて出来上がったものを整理していこうというふうなものを作っております。
それから,評価につきましては,とにかく学級担任の先生が評価できるもの。そして,子供たちが英語を嫌いにならないものということを目標にして作っておりまして,現在の試作品は,いわゆるパフォーマンステストをテストという名称ではなくて,評価アクティビティーという形で終わった単元の次の単元の中にアクティビティーとして盛り込んでいくというふうな形のものを現在,作っております。これについては,明日,ちょうど運営指導委員会がありまして,大学の先生方から御指導を受けることになっております。
中学校の現状なんですが,実は私個人的には,中学校は非常に課題が大きいなと感じております。島根県の方でも,例えば私,昨年度までは教育委員会にいましたので,文部科学省から受けたことを一生懸命発信をしていたんですが,やっぱり伝わらないということ。今年,教育センターに来まして,現場を歩きながら,それを痛切に感じます。例えば経験者研修などで先生方とお話をすると,例えば年間のレポートを書かなきゃいけないんですが,ある先生などは,「私はとにかく単語の力を付けることが表現力を高める第一歩だと思います」というようなことを,やっぱり一生懸命解かれるんですね。決して先生方は怠けているわけじゃないんだけど,ベクトルが違ってしまっている。先生方,本当に一生懸命やっていただいていて,今伝わっていないのは,私個人的には,やっぱり指導主事のせいだなと感じています。何を目指しているかというところをきちんと的確に伝えていかないと,先生方は本当に一生懸命なんだけれども,向く方向が違っているという状況があるのではないかなと感じています。
一つの方法として,島根県教育委員会の方では,こういったリーフレットを作って,先生方に現在求められている英語教育というようなものはこんなものですよということをできるだけ分かりやすく説明しようと考えて,現在,私は教育センターに来てからは,このリーフレットを持って,とにかく学校を歩こうと。様々な学校現場,あるいは教育研究会の現場でお話をしようということをやっておるところです。
中学校は非常にまだ課題が大きいんですが,もう一つの大変な課題があると思いますのは,やはり教科書でございます。中学校の先生方が一番何を頼りにしているかというと,もうこれは紛れもなく教科書です。「教科書の呪縛」がありまして,先生方はこの教科書を全て完璧に教えなければいけないということが非常に強く思われているところです。いろいろな話をするんですが,そこから思い切って変える勇気がない。ここはやはり次回の教科書をしっかり考えていく必要があるかと思います。例えば先生方は今,不定詞の勉強というと,「はい。2年生のユニットファイブです。」ということはちゃんと言えるんですね。けど,不定詞の勉強をするのは,その2年生のユニットファイブだけになってしまっていて,言語活動の中にスパイラルに組み込んでいこうという考え方がない。一つは,教科書の構造がそういったシラバスになっていることが大きな原因ではないかなと思います。
じゃ,言語活動の中でスパイラルに勉強できるような教科書はどんなものかということを今後しっかり考えていって,先生方に提供していく必要があるなというようなことを考えております。
済みません。長くなりました。以上です。
【石鍋主査代理】  委員の皆様,ありがとうございました。本来であれば,この後,少し意見交換という形で時間を設定したいところではあったんですが,実はもう時間が終わりの時間になってきております。どうしてもこの場で申し上げたいという方がいれば,1名ほどと思いますけれども,もしも今後8回まで予定されておりますので,その中での時間は取れるんではないかと思いますけれども,どなたか,ここだけは言っておきたいという方はいらっしゃいますか。
決して私は今,意見を止めたわけではないんですが,よろしいでしょうか。
済みませんでした。ありがとうございます。きょう,それぞれのお立場から,お考えの一端を御紹介いただいたという程度で終わってしまいましたけれども,時間がございますので,本日はここまでにさせていただきたいと思います。
本日,お出しいただきました御意見につきましては,事務局で論点ごとにその趣旨を整理していくように,よろしくお願いをいたします。
なお,本当に限られた時間になってしまいましたので,更に御意見,お気付きの点が今後出てくると思います。次回のこの委員会でということもありますが,それの以前であれば,ペーパーで事務局にメール等でお送りいただければと思っておりますので,よろしくお願いをいたします。
本日予定されておりました議題,ここまででございます。最後に,次回以降の日程などにつきまして,事務局より説明をお願いいたします。
【圓入室長】  ありがとうございます。次回につきましては,机上資料の一番後の方に,2枚ペラで日程の御案内を置かせていただいております。第2回は11月30日,月曜日ですが,15時から17時で,場所は同じこちらの会議室,15F特別会議室になります。
以降,月一,二回のペースで開催させていただきまして,27年度末から年明けに,こちらのワーキンググループの報告をまとめさせていただくわけでございますが,きょう,机上資料に会の候補日なるものを,先生方の日程を,調整をかなり御無理を申し上げて挙げさせていただいております。また変更などありましたら,事務局までお知らせいただければと思いますが,なかなか論点も多く,更に先生方,御多忙の中,何とかお集まりいただくという状況でございますので,場合によっては,本当に論点ごとにでも日を分けて御意見を頂く場を設けさせていただければと思っております。
主査代理からもお話がありましたように,ペーパーなどによる御意見も頂きたいと思っておりますので,メールやファクスなど,結構ですのでお送りいただければと思いますし,また,こちらからも,次の会のときの主要テーマにつきましては,またテーマにもよりますけれども,関係する委員の先生方にも事前に御意見も頂くようにやらせていただきたいと思っております。
なお,附箋が張ってあるものは,最初申し上げましたように,お帰りの際は,申し訳ありませんが,机上に置いていただければというお話をさせていただきましたが,ちょっと一,二分時間があるので御紹介させていただきますと,A3の外国語科,外国語活動の資料の後ろにこういった横の,済みません,次の学習指導要領の外国語等における国の指標形式の目標,どんなものをお示しできるかというものをお配りしております。こちらは第2回にも,少し御参照いただきながら御議論いただければと思っておりますが,この欄でいきますと,三つ目の列の行を見ていただくと国の指標ということで,事務局の方で用意させていただいたものがございます。
それに関連して,具体的にどのようなことが想定されるか。例えば主な言語活動でどのようなことが,活動がこの目標を基に考えられるかということを4番目に書いております,言語の働きの例,それから,今回のテーマが最初に論点整理の方でも説明させていただきましたように,社会に開かれた,社会とのつながりを意識した教育課程の在り方ということでもありますので,言語活動の例の本当に事例でございますけれども,例えばこんな題材なども含めて挙げていただけたらというものを技能ごとに,聞くことから,話すことから全て御用意させていただいているものでございます。これはあくまでイメージでございますけれども,学校現場での取組の状況なども適宜御紹介させていただきながら,また,小・中・高のこういったCEFRを参考にさせていただきながら御用意させていただいた議題につきましては,投野先生からも御提案いただきましたように,そのほか語彙数とか表現,文法事項ということも少し具体に御議論いただくということをちょっと準備をして,事前に御案内をして,御意見を当日,頂ければと思っております。
また参考で予算の資料を,済みません,初等中等教育の英語教育の推進に係る取組ということで配らせていただいておりますが,きょう,渡部委員からもお話がありましたように,昨年度から体制を作っていただいて,今年度から,例えば英語教育教科地域拠点事業におきましては,小学校3・4年生から外国語活動を始めていただき,それから,5・6年生は教科ということで,新しい補助教材も一部配付しながら,それから,評価の在り方も新しい取組を進めていただいているという内容になっております。
何ページかお開きいただくと,先ほど渡部先生がお話しいただいた雲南の取組の例も,先駆けて効果測定というものをしていただいて,これは英検さんを活用してということでございますが,次のページでも,高校の例ということで福井県の例を挙げさせていただいておりますけれども,こういった拠点事業の例,それから,外部専門機関と連携した研修から見えてきた課題などというものも適宜,御紹介をさせていただいて,御議論を頂きたいと思っておりますので,先生方におかれましても,きょう,時間が少なくて,なかなか御意見いただくのは難しいかと思いますけれども,より具体的な御意見を今後頂ければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【石鍋主査代理】  それでは,時間になりましたので,本日の外国語ワーキンググループ,終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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