資料9-2 教育課程部会幼児教育部会(第4回 平成28年1月21日)における主な意見(未定稿)


教育課程部会幼児教育部会(第4回 平成28年1月21日)における主な意見(未定稿)


1.幼稚園における子育ての支援の在り方について

○ 幼稚園における子育ての支援とは何かということの一定の整理が必要ではないか。
幼稚園は、特に、地域の未就園の方々がこの時期にどういうことが家庭教育として大事なのか、また、遊びというものが子供の育ちにどういう意味があるのか、どういう体験をしておくことが幼児教育を含めた学校教育につながっていくか、インクルーシブも含めてどこの窓口に連絡したらいいかなどの情報提供を行う幼児教育センター的な位置付けとしてより明確にしていく必要がある。

○ 子供を通して保護者自身が子供の魅力や幼児期の教育の大切さに気付くことともに、それが地域へ広がっていくということがあるので、子育ての支援では、保護者自身をエンパワーメントしていくことが大事なのではないか。
今後の地域学校協働本部の中核を担っていくのは、恐らく幼稚園の保護者だと思うので、その担い手としての幼稚園の保護者を育てていくということが子育ての支援に埋め込まれるといいのではないか。

○ 保護者には多様な保育ニーズがあり、それに全て対応していくことは、機能的にも難しいのではないか。教育基本法第10条、家庭教育において、父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有すると規定されていることを踏まえ、今の時代に適切に対応した子育ての支援の在り方を論議していくことが必要ではないか。
また、現在、幼小の接続に関連して、子供の学びをどうつないでいくのか等について論議されているが、その中で、親も小学校に適切につないでいくという視点もあってもよいのではないか。

○ 育児不安だけではなく、育児困難感というのが今、問題となってきているので、そこに手を伸べるという、一歩踏み込んだ考え方を取り入れることも大事なのではないか。
全ての子育ての支援を幼稚園だけで行おうとせずに、心理の専門家であるとか、保健分野、小児保健の分野の専門家とか、福祉、医療の専門家を含めトータルでチームを組んで子育ての支援に当たるという考え方も取り入れてよいのではないか。

○ 行政として子育てに関する啓発活動を行っているが、回数が限られており、実際に周知するのは、直接保護者に関わっている幼稚園の先生ではないか。
市の行政としては、幼稚園の先生が子育て支援に関わることで市民一般に周知できる機会となり、また、子育て支援を教育委員会が実施していることであれば、小学校や中学校というように子育て支援の一つの流れができていくのではないかと考えている。

○ 子育ての支援の基本的な考え方として、保護者の方と子供の育ちを共感的に喜び合うこと、子供が育っていることを理解し伝え合えることが大切ではないか。先生が、保護者に対しても、小学校や園内の先生方に対しても、子供の育ちについてしっかりと語ることができる、伝えることができる力を付けるということが子育ての支援につながっていくと考えている。
また、就労している保護者の方の思いを共感的に理解することも必要ではないかと考えている。

○ 子供の育ちのために子育ての支援があるということを大事に考えたい。例えば、保護者が保育に実際に参加して、他のお子さんの様子や他の保護者の方の関わりの様子を見ながら、自分の子育てについて見直し、子育てについて前向きになっていくような、実際に教育課程内に行っている保育の重要さをもう少し前面に出るような方向で充実していけるとよいのではないか。

○ 家庭や地域の教育力の低下が指摘される中で、文化の視点で言えば、幼稚園は文化を豊かに実践している場だと言える。例えば、伝統的な行事が行われていたり、唱歌や童謡が歌い継がれたり、わらべ唄などの昔ながらの遊びが日常的に見られたりする。一方で、保護者を含めた地域全体が文化的な営みから遠ざかっている状況も場所によっては多いのではないか。そういった状況では、保護者はどうしてもマスメディアやネットからの情報に依存しがちである。
そう考えると、保護者が実際に文化に触れたり、実践できる場を園が提供したりしていくことが、これから必要ではないか。以前ある幼稚園で、お母さん方が集まって唱歌や童謡を歌うサークルをしている場面に遭遇した。そこからもれ聴いた歌声や、家で鼻歌混じりに親が唱歌を歌うのを聴いて、子どもが自然に覚えて口ずさんでいた、というエピソードを伺った。
小学校学習指導要領の音楽科の目標として「音楽経験を生かして生活を明るく潤いのあるものにする態度と習慣を育てる」とあるが、そこへの接続の観点から考えれば、周りの大人が文化を実践している姿に、子どもが直に触れることの重要性を感じている。幼稚園が、保護者が文化に触れたり実践できる場を提供したり、地域の一つの文化拠点となっていくことも、今後、子育て支援の一つの視点として重要になってくるのではないかと考える。

2.幼稚園における「教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動」(いわゆる「預かり保育」)の充実について

○ 若い先生は、いきなり子育ての具体的なアドバイスを保護者にはできないので、一緒に子供の自立をどう支えていくかということを保護者と考え合える関係を作りつつ、幼稚園として、子育ての支援の体制をいかに作っていくかということが課題ではないかと考えている。

○ 幼児の生活の現状を見ると、日本の子育ては母親に随分偏っているという感じを持っている。イクメンは増えつつあるが、まだまだ少数派であることから、もっと家庭における父親の育児参画というところを取り上げてもいいのではないか。
欧米と比べると、日本の父親の育児参加は非常に劣っており、最大の障壁は、長時間労働である。幼児期は、一番、子供のかわいい盛りでもあり、幼稚園に行く父親のドライブが掛かるような何か仕組みを考えて、また、その父親が、子供が小学校に入ったら、PTAなどといった活動に参画できるような世の中にしていくムーブメントを起こしていくことが必要。そのために、企業においても父親の育児参加を啓発していくことも重要ではないか。

○ 預かり保育の長時間化、就学前の長時間化ということを前提にすればするほど、教育課程外の教育活動の活動内容の一定の整理なり、示唆というものを幼稚園教育要領に明記しておく必要があるのではないか。
教育課程以外の預かり保育の時間を活用して、体験の質を向上させていくという視点も必要である。できるだけ教育課程内の時間と同じ担任の先生との関係性だけではなく、違うタイプの方と対話することを通じて、認知力が変わっていったり、社会への適応力が高まっていったり、また、昼間の教育課程への影響も期待できる。
この場合、預かり保育を担当する教師の役割というものが非常に大事になってくるので、そのための研修の視点なども整理する必要があるのではないか。
教育課程以外に行った教育活動について、預かり保育を利用していない保護者にも発信する必要がある。また、運動会の練習とか夏の暑い時期に教育課程内の活動をしたときには、教育課程以外の時間は静の時間にしていくとか、そのウエーブも考えておかないと、体験の質の向上にはならないので、こういった点も整理する必要がある。

○ 今後、預かり保育を受ける子供が増え、また、時間も長時間化する傾向を踏まえると、早朝、教育課程内の時間、午後、さらに夕方という、それぞれの時間で子供がどのように生活をしていたかということ全体を、見通しを持って把握することが幼稚園として重要になってくる。それぞれが細切れに変わっていくということではなく、1日の園生活全体をどう計画してデザインするかということの構想が必要になるのではないか。
預かり保育の時間が教育課程以外であるということがあるが、その保育内容の在り方の整理で、最低限何が保障されなくてはいけないのかということをもう少し明記しておく必要があるのではないか。
預かり保育では、幼児一人一人の個のニーズということが、もう少し尊重されなくてはいけないのではないか。人数が多くなって、異年齢であっても、同じ時間帯、同じ活動の流れで活動が進められていくときに、そこで子供が追い立てられたり、一人一人のニーズが軽んじられたりすることがないように、丁寧に見ていく必要がある。
また、預かり保育こそ、子供の1日の生活の見通し、子供の育ちの見通しを持てる教育が担当することが必要ではないか。

○ 家庭の子育ての支援ということを含めてであるが、家庭教育と地域の教育と施設における教育、この全てを面として、幼児教育をどう捉えていくのかという発想で整理していく必要があるのではないか。特に、今の保護者の方は自分の子育てを否定される情報を排除する傾向があることから、正しい情報をしっかりと発信していく必要がある。

○ 子育ての支援にも関係しているが、預かってもらうということのメリットだけが一人歩きしがちなところがあるので、このことに警鐘を鳴らすことが必要ではないか。優れた取組も実際にあるので、こうした取組が広まっていくことが大事ではないか。

○ 子供は24時間を生きているので、コアの4時間の教育時間、その後の預かり保育といった輪切りではなく、1日中全体を通して見る視点がとても大切なのではないか。また、その際の保育者の援助の在り方、狙いの持ち方というものも丁寧に見ていく必要があるのではないか。

○ 小学校の学童保育を含め、現場からは、人手が足りていないという声を耳にする。人員の確保と、先生方の勤務体制をどうやって作っていくのかというのは喫緊の課題であるので、そういった論議も必要ではないか。

○ 親が親になるチャンスを奪うような預かり保育であってはいけない。預かり保育の充実といった視点だけでなく、教育課程内の時間の充実を図った上で、預かり保育は子供がほっとする時間にするといった視点も必要ではないか。そういった意味で、預かり保育の上限の時間についても議論しておく必要があるのではないか。

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