資料1 教育課程部会幼児教育部会(第3回)における検討事項

教育課程部会幼児教育部会(第3回)における検討事項

1. 幼児期において育みたい資質・能力について

論点1

○前回の幼児教育部会における議論や幼児教育の特性を踏まえ、小学校の各教科等における教育の前倒しと受け取られないようにしつつ、幼児期において育みたい資質・能力の明確化を図るには、どのような工夫が必要か。(資料2、資料4)

(参考)
(前回の幼児教育部会における論点)

○「教育課程企画特別部会 論点整理」に示された育成すべき資質・能力の基本的な考え方等を踏まえ、幼児教育の特性に配慮した幼児期において育みたい資質・能力をどのように明確化するか。

(前回の幼児教育部会の議論の整理)

  • 個別の知識や技能は、幼児期の場合、何を知っているか、何ができるかというより、何を知ったり、何に気付いたりしているのかといった視点が大事。・思考力・判断力・表現力等は、興味や関心がまずベースにあって「知っていること、気付いたことを使って、考えたり、試したり、表現したり」といった表現方法がよいのではないか。
  • 学びに向かう力、人間性等は、幼児期は環境を通しての指導がベースであることから、「どのように環境と関わって、より充実した生活を送るか」という表現が適当。
  • 5領域の内容については、資質・能力の三つの柱に沿って整理していく必要があるのではないか。

2. 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化について

論点2

○前回の幼児教育部会の議論や幼児教育の特性を踏まえ、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化を図る際、以下の視点から改善すべき点はないか。(資料3、資料4)
・論点整理「育成すべき資質・能力について」(資料4 資質・能力等関係資料 論点整理 抜粋P8~P13)を踏まえた視点
・平成22年以降の幼児を取り巻く環境の変化、幼児の育ちの変化、今後の社会の質的な変化、国際社会における幼児教育に対する認識の高まり、いわゆる非認知的能力の重要性の指摘、新しい時代と社会に開かれた教育課程(論点整理抜粋P1~P4)等を踏まえた視点
・幼稚園教育要領における5領域との関係や、要領全体とのバランスの視点
・「前の学校段階での教育が次の段階で生かされるよう、学びの連続性が確保されることが重要である。」と論点整理(論点整理抜粋P13)において提言されていることを踏まえた、小学校教育からの視点
・「次期改訂に向けての課題」(論点整理抜粋P5~6)を踏まえた視点

(参考)
(前回の幼児教育部会における論点)

○幼児期の終わりまでに育ってほしい姿をどのように明確化するか。

(前回の幼児教育部会の議論の整理)

  • 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を育成すべき資質・能力の三つの柱に沿って整理することによって、幼稚園から高等学校までを見通した体系的なものができるのではないか。
  • 自己肯定感について、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿として重視すべきではないか。
○資質・能力全体に係る御意見
・学びに向かう力は、幼児期にはこれらの個別の知識、技能や思考力・判断力・表現力等、それらを包括して、子供たちの情意の部分を丁寧に育てることが必要ではないか。三つの力は離れているものではなく、一体的に育まれることを表現するとよいのではないか。
・小学校以上を見ていくと、個別の知識・技能から入っているため、これを一番やらなければいけないという印象を持ってしまうのではないか。
・幼稚園といっても、3、4、5歳では全く意味が違ってくる。発達が一緒ではないということも押さえてほしい。
・3歳から5歳の3年間を一律に三つの柱でまとめるのはそぐわない。表現を工夫しないと勘違いされる部分が出てくる懸念がある。
・この個別の知識や技能の基礎と、思考力・判断力・表現力等の基礎というものは、どこかで分かれるというよりは、かなり融合しているようなところがあるので、そこのところをどのように捉えていくのかが重要である。
・幼児期は、学びの芽生えから自覚的な学びに向かっていく時期であることを表すことが必要。
・5領域の個別の項目を見ると、既に三つの柱の表現に近いものもあると思う。それをそのままの形、又は別な形で柱を見せるのか、5領域の中身も整理しながら明確にするか、小学校以上と同じ表現である必要はないが、それを受けながら改めて幼児教育の在り方を整理する必要がある。
・基礎の基本であるというところの出し方は、もう少し幼稚園のところは丁寧さが必要。
○個別の知識や技能の基礎に係る御意見
・幼児期の場合、特に、個別の知識や技能といったときに、何ができるかというよりは、何を知ったり、何を気付いたりしているのかという視点で子供たちの遊びを見ていくことは大事なこと。
・個別の知識や技能が何を指し示すか、基礎というものがどういう意味においてであるのか、既に達成されている幼児教育の質の高い実践をもっと計画的、意図的に進めていくことが可能になるようにするにはどうすればいいかということが大事ではないか。
・気付きというと、幼児教育においては、すぐに気付きだけということが一人歩きして、気付かせるという形の教育にならざるを得なくなる。感じ取るとか、感じるという感覚面を体験的に学んでいくことを重要視できるような文言が必要ではないか。
・「気付く」、「感じる」、「興味や関心を持つ」など、幼稚園教育要領第2章の5領域にある言葉を使うと、現場の先生は自分が行っていることを振り返ったり、足りなさに気付いたりできるのではないか。
・「感じる」というまず「心が動く」ということがあると考えると、知識や技能の基礎の最初には、子供が世界に関わりを広げていく、開いていくということがあるのではないか。
・個別の知識や技能というよりも、幼児教育は生活や社会、これから生きていくための知恵を付けるというイメージ。
・「感じて、知ったり、気付いたり」という表現の方が、先生方にとって納得がいくと思う。幼児期特有の活動がイメージできるような言葉に置き換えていく必要がある。
・何を知っているか、何ができるかというより、幼児期は、何がやりたくて、何を知りたくて、何ができるようになりたいかというところが大事ではないか。
・個別の知識や技能について、技能と書くのか、「生活技能」と書くのか、知識という書き方をするのか、「遊びを通した知識」にしておく方が、誤解を生まないのではないか。
・幼稚園で個別の知識や技能の基礎として経験していくことというのは、基本的に多様であって、かなり幅が広くなっていく。生活全般に関わるということがあり、それが小学校での教科の学習内容と1対1対応で通じるわけではないことを説明する必要がある。
・3歳、4歳の子供の個別の知識や技能とはどんなものなのかということのイメージが難しい。
・個別の知識や技能は、物事の在り方に気付くとか、いろいろなことに積極的に関わるとか、それに応じていろいろなことをするとか、行うとか、そういう部分が該当するのではないか。
○思考力・判断力・表現力等の基礎に係る御意見
・思考力・判断力を考えると、分析的な思考力や判断力を考えがちであるが、もっと子供の遊びの中で、創発的、偶発的、あるいは対話の中で協同的に起きるようなものをイメージしてよいのではないか。それが小学校以降の基礎になる。
・思考力は、「考える」とか、「感じる」とか、「気付く」とか、判断力であれば、「関係付ける」とか、表現力は、「伝える」とか、「対話する」とか、そういう文言があると分かりやすくなる。
・幼児の最初は、興味とか関心がまずベースにある。「知っていることとか、気付いていることを使って、考えたり、試したり、表現したり」というような表現の方がよいのではないか。
・子供にとって考えるということは、実際に砂を入れたり、水を足したり、体を使いながら身体性を伴って行っていくことではないか。思考を獲得していくファーストステップとして、子供がどういうふうな行動を取っているのかを見ていくと、幼児教育ならではの三つの柱が見えてくる。
・資料2にある思考力・判断力・表現力等の記述の下に、幼稚園教育要領第1章総則第1の幼稚園教育の基本にある内容を入れると、その特性が表れてくるのではないか。
・幼児教育では、子供たちがいろいろなものを動かしたり、作ったりする中で工夫するところとか、自分たちの工夫をいろいろな形で言い表すところなどに思考力・判断力・表現力等が出てくることから、そこを中心に考えるとよい。これは、幼稚園教育要領に既に幾つか書き表されている。
○学びに向かう力、人間性等に係る御意見
・幼児期は環境を通しての指導がベースにあることから、「どのように環境と関わって、より充実した生活を送るか」という表現が適しているのではないか。
・学びに向かう力、人間性等の部分は、別の言い方をすれば情意面であり、感情豊かに感じるというところから、自己調整できるようになっていくという流れである。表現が少し違うが、幼稚園教育要領にそれぞれ入っている。また、情意の意で言えば、意思の部分、最後まで粘り強く取り組むとか、難しいことに挑戦していくとか、そういうことになる。

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