教育課程部会 幼児教育部会(第9回) 議事録

1.日時

平成28年6月21日(火曜日)17時15分~18時30分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館 文部科学省東館3階3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 幼児教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【無藤主査】  それでは、定刻になりましたので、ただ今より中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会幼児教育部会の第9回を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席いただきましてまことにありがとうございます。
議事に入ります前に、本日付けで事務局に異動があったということでございますので、御報告をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  御報告申し上げます。幼児教育課長の伊藤学司でございます。
【伊藤幼児教育課長】  本日付けで、前任の淵上の後を受けまして、幼児教育課長を拝命をいたしました伊藤学司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤主査】  よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと存じます。本部会の審議等につきまして、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により議事を進めさせていただいてございます。また、第6条に基づき、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただいてございます。よろしくお願いいたします。
なお、本日でありますが、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がございました。これを許可しておりますので、御承知おきください。
それでは、事務局より配付資料の確認及び説明をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料3、それから、参考資料の1と参考資料の2、それから、机上配付といたしまして、幼児教育部会の取りまとめ案の見え消しのもの。それから、前回第8回の幼児教育部会の主な意見の方をお配りさせていただいております。不足等がございましたら、事務局の方にお申し付けいただきたいと思います。
また、いつもどおり机上にタブレット端末を置いております。その中には、本部会の審議に当たりまして参考となる幼児教育関係の資料でございますとか、小学校の学習指導要領の解説、関係する審議会の答申等を入れておりますので、御参照になる場合は机上に配付しております使用方法等を御覧いただきながら操作いただきたいと思っております。
それでは、続きまして、配付資料の説明をさせていただきます。初めに資料の1でございますけれども、幼児教育部会の取りまとめの案でございます。机上に配付しております見え消しのものも併せて御覧をいただきたいと思います。
この資料は、前回の幼児教育部会の意見や、その後追加で頂きました意見を中心に修正をしているものでございます。主な意見といたしましては、めくっていただきまして2ページ目の上から二つ目の丸でございます。預かり保育など、教育課程以外の活動が多くの幼稚園等で実施されていることなどから、カリキュラム・マネジメントが幼児教育においても重要であることを追記してございます。
それから、3ページ目の一番上の丸でございますけれども、幼児教育における「見方・考え方」について、広がっていくイメージがあるとよいという御意見を踏まえまして、そのような修正を図っているところでございます。
その二つ下の丸のところでございますけれども、幼児教育の「見方・考え方」が小学校以降の「見方・考え方」の基礎となり、これらを統合することの基礎ともなるといった御意見を踏まえまして、そのような修正を図っているところでございます。
4ページ目のところでございます。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の4のところでございますけれども、道徳性・規範意識の芽生えのところで、決まりを作ったりすることにつきまして追加をしてございます。
5ページ目の10の豊かな感性と表現のところでございますけれども、冒頭のところに「みずみずしい感性を基に」というふうなことを追加させていただいております。
その下の二つある丸のところでございますけれども、こちらの方は「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」がどういったものか分かりにくいというふうな御指摘があったことから、この「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の性格でございますとか留意事項について記載をさせていただいているところでございます。
ページが飛びまして7ページ目の上から一つ目の丸のところでございますけれども、指導要録だけでなく、小学校と情報共有の工夫を図ることというふうなことを追記させていただいております。
その下の丸のところでございますけれども、最後の部分でございますが、幼稚園等と家庭が一体となって幼児と関わる取組を進めていくことが大切であるというのを追加させていただいているところでございます。
その下の4の資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実の丸が三つあるところでございますけれども、こちらの方も委員の御意見で、幼稚園における主体的な遊びの明確化、それから友達同士の関わり。それから、戸外で遊べる環境が重要であるというふうな意見があったことから、それらの内容を追加させていただいているところでございます。
8ページの方にいきまして、(3)の現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しのところの上から四つ目の丸のところでございますけれども、非認知的能力を育むところでございますが、前向きな見通しを持つといった内容を追加させていただいているところでございます。
その二つ下の丸のところ、社会に開かれた教育課程の重要性のところでございますけれども、こちらの方に、身の回りの物を大切にする意識を育むといったことを追記いたしますとともに、これらの意識を育む際に、園内外の行事を活用することも有効であるという内容を追加させていただいているところでございます。
その下の視聴覚教材等のところでは、幼児がより深く知りたいと思ったり、体験を深めたいと思ったりした場合の活用方法について追記をさせていただいているところでございます。
9ページの(4)の三つ目の丸のところでございますけれども、子育ての支援について連携・協働しながら取り組むといった内容を追記させていただいているところでございます。
10ページ目の一番下のところでございます。(2)の「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」の充実の丸のところですけれども、こちらの方でアクティブ・ラーニングの三つの視点について、11ページの上の方に書いてある部分でございますが、この視点について、発達の過程により柔軟に対応していくことの必要性について追記をさせていただいているところでございます。
11ページの6の必要な条件整備等の丸が二つあるところでございますけれども、こちらの方では、研修時間の確保が困難になっている現状から、研修の重要性というふうなことを一つ項目を起こして追記をさせていただいております。それから、園内研修や、研修の際に多様な立場にある教師との交流の機会の確保が重要であるといった内容を追記させていただいているところでございます。
二つ目の丸の一番最後のところですけれども、幼稚園教員の養成課程を有する大学・学部への期待について追記をさせていただいているところでございます。
資料1の説明に関しましては以上でございます。
続きまして、資料2でございます。幼稚園教育要領の改善のイメージのたたき台の案でございます。こちらの方でございますけれども、見方といたしましては、この資料2の右端の列が、現行の幼稚園教育要領の構成になってございます。それから、右端の列が、現在審議をしております小学校の総則の改善のイメージのたたき台。資料3でお配りしているものの2枚目に書いている部分でございますけれども、こちらの方を資料3の右側に記載してございます。それから、中央の列が、今回お示しをいたします幼稚園教育要領の改善のイメージのたたき台の案でございます。
こちらのたたき台の案につきましては、幼児教育の特性を踏まえまして、幼稚園教育の基本の内容は引き継ぎつつ、幼小接続の一層の強化をする観点から、可能なところにつきましては、小学校の改善のイメージのたたき台等の共通化を図っているところでございます。この真ん中の列の赤字の部分は、小学校の学習指導要領の改善のイメージのたたき台との相違点でございます。アンダーラインの部分は、現行の幼稚園教育要領との相違点でございます。
特に変えている部分といたしましては、資料2の2ページ目の第3のところでございますけれども、こちらの方に、これまで幼稚園教育要領の第3章に位置付けておりました指導計画の作成に関する事項を、こちらの方に移しておるところでございます。
それから、めくっていただきまして3ページの真ん中の列の第2章でございますけれども、こちらの方に、新たに幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を位置付けるというふうなことにしてございます。大きく現行の幼稚園教育要領との相違点は、この2点ではないかと思っております。
それから、参考資料1でございます。こちらの方は、内閣府の方で設置をされました幼保連携型認定こども園の改訂に関する検討会の開催の要綱でございます。本部会の無藤主査が座長を務められるとともに、めくっていただきまして2枚目に別紙とございますけれども、こちらの方がメンバーになっておりまして、無藤委員のほか神長委員、鈴木委員、砂上委員、田中雅道委員、山下委員、横山委員、渡邊郁美委員、渡邉英則委員にも参画をしていただいているところでございます。去る6月6日に第1回の検討会が開かれまして、今後、3枚目にあります検討課題例の事項について検討が行われるというふうに伺っているところでございます。
それから、参考資料2でございます。社会保障審議会児童部会保育専門委員会の中間まとめの骨子(たたき台)でございます。こちらは現在、厚生労働省の方で検討が行われております、保育所保育指針の改定のための委員会が取りまとめた中間まとめの骨子のたたき台でございます。
時間の関係で全てを説明することはできませんけれども、5ページ目をお開きいただきたいと思います。(2)に、保育所保育における幼児教育の積極的な位置付けのところの下の方に、括弧で教育内容についての記載の在り方というところがございます。こちらの方に、5領域の構成について、各領域に「ねらい」「内容」「内容の取扱い」を記載するなど、認定こども園、幼稚園との更なる整合性を図ることが適当とされております。また、その下の丸のところに、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を念頭に置く必要があるというふうな記載がございます。
配付資料、参考資料の説明につきましては以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。今、事務局から御説明いただきましたけれども、本日は幼児教育部会取りまとめの案、それと幼稚園教育要領の改善イメージ(たたき台案)、この二つについての議論を進めたいと存じます。
どなたからでも結構でございますので、御意見を頂戴できればと思います。御意見のある方は、いつものように名札を立てていただければと思います。何かございますでしょうか。嶋田委員、お願いします。
【嶋田委員】  失礼いたします。本当に全体として非常によく整理されていまして、事務局の方々の御苦労に本当に感謝いたします。
今回、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が5領域との関係とともに具体的に示されるということは、幼児教育の成果が小学校教育のスタートになるのではないかなと考えております。併せてこの姿に迫る指導も、自発的な活動としての遊びを通して育てるというふうになっております。このことは、やはり小学校側も十分に考えていかなければいけない意味があることだなというふうに思います。
幼児教育の目標というのが、義務教育及びその後の教育の基礎を培うというふうに学校教育法にもありますとおり、義務教育の基礎であれば、幼小の接続だけを意識すればいいわけですけれども、その後の教育の基礎となると、やはり義務教育終了以降も社会的自立の基礎を培う意味で、主体的な活動としての遊びを通しての学びというのが、幼児教育の最初から最後まで重要であるというような認識につながるのではないかなと思います。また併せて、豊かな将来を築くための学びの基礎というようなメッセージも捉えられる。そして、これを学校教育全体で理解を深めていかなければいけないのではないかなというふうに思います。
また、教育要領の構成も、小学校の総則と対比させているような形で、非常に見やすくなっています。ただ、ここの第1章の中に節がないのは、これからまた整理をしていくという意味ですかね。そういうところが整理されていくと、もっともっと幼児教育と小学校教育というのはつながっていくのではないかなと思います。
【無藤主査】  第1章については、見やすくする、その中の節立てをどうするか、まだちょっと細かいことは検討しておりませんけれども、考えていただく必要があると思います。ありがとうございます。
【沓澤子育て支援指導官】  資料の右上のところにも書いているとおり、今後小学校の総則の改善イメージの方も修正をされるというふうに聞いておりますので、それと合わせるような形で、幼稚園の方も改善を図っていきたいというふうに考えております。
【無藤主査】  ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょうか。では渡邉委員、お願いいたします。
【渡邉(英)委員】  ここまで本当にまとめていただいたことに対して感謝をしたいと思います。やはり小学校教育と幼稚園教育がここまで対比されながら、幼稚園教育の重要性みたいなのが、今までも言ってはいたんですけれども、やはり小学校教育につながるということがすごい意識されて、幼児教育ということが大事だということが言われたということに関しては、僕はすごく大切なことだろうと思う。ただ、これをどうやって実際に、本当にある意味実践のところに落としていくかとか、小学校の先生方と話をしている中で、幼児教育の大事さがどう伝わっていくかという話とかというのが、やはりこれからの流れの中ですごく大事なことなんだろうと思います。
なかなかやはり口で、遊びを通して学ぶという言い方はできるんですけれども、それが本当にどういう学びなのかとかということ自体をどういうふうに実践していくかというのは、多分小学校の先生だけでなくて幼稚園の教諭であろうと、それから保護者であろうとなかなか分かりづらいところが残ってはいるんだろうと思います。ただ、やはりきちんと整理をされてくる中で思うのは、幼稚園教諭のステータスをもうちょっと上げるというか、小学校の先生よりすごいことをやっているとは言いませんけど、小学校の先生と同じようなことを、本当は幼稚園の先生もやっているというような、そういう意識というか、保育所だけがクローズアップされそうなところがあるんですけれども、待機児童とか。でも、本当には幼児教育がなぜ大事かというのは、幼稚園教育にスポットが当たって、そのことの大事さというのは、少なくとも幼児教育というのがどういうふうに行われることなのかということがやっぱり理解されながら、それが社会的にもきちんと認められていくというプロセスを経ていくということが大事だと思うと、そういうことをどう実現していくかということに関しては、ここまでできておしまいではなくて、その先のところを丁寧に取り組んでいくという責任があるんだなということを感じました。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。では、阿部委員、お願いいたします。
【阿部委員】  本当にまとめていただいてありがたいと思っています。一つ、これからだとは思うんですけれども、3ページの三つの柱に踏まえて、いろいろ三つの具体性ということ、1、2、3というふうに括弧の中に入っていますが、基本的には単語というんでしょうかね、言葉が並んでいるだけで、子供の姿がなかなか浮かんでこないということがあろうかと思うんです。ですから、この中のこういった言葉をもう少し詳しく具体的な言葉と添えて、子供の感性とか、そういったものの創造性とか、子供たちが普段行われているようなことがイメージできるような、どういうものをそれに指すのかということを膨らませて書いていただきたいなというのが思うところです。
【無藤主査】  ありがとうございます。その辺りはこの取りまとめ、報告案の中に記す部分と、幼稚園教育要領の本体と、更に解説書等がありますので、その辺の、どの辺でどこまで書くかはちょっと一緒に検討していきたいと思います。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。では、田中委員。
【田中(孝)委員】  本当にありがとうございます。ここまでまとめていただいて、御苦労があったかなというふうに思います。ありがとうございます。
私も大きくは、特に変更をということでは全くなくて、すごく期待するなというふうに思いますのが、自分の中でももう少し整理が必要かなと思っているところが、「ねらい」と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」、この関係をどんなふうに自分の中で整理をつけたらよいのかなというところは、こういった議論をしながらでもちょっと考えているところなんですけれども、ここの辺りも総則でこの関係をきちんと示していくということがこれからなされていって、第2章のところで「ねらい」を示されたところにまた併せて「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」というのが表されていくということで、この関係も意識しながら、理解が進むような構成になっているのかなということはすごくありがたいなと思います。ありがとうございました。
【無藤主査】  ありがとうございます。10の姿という部分、今回取りまとめ案で、10の姿が書かれた後に注釈的に文章が足されているんですけれども、そういうことが多分大事なので、その辺の書き方ですね、それを十分配慮したいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。では、大方委員、どうぞ。
【大方委員】  本当に事務局の皆様に感謝したいと思います。ずっと議論してきたことが、前回の意見のことも全て反映していただきまして感謝したいと思いますし、こちらの資料の図の資料1の方の13ページに、24ページ、25ページ、そしてポップコーンの26ページのところも、どういう図にすれば分かりやすいかということで様々な意見が出されたかと思いますけれども、より分かりやすく精査していただいて、本当に感謝したいと思います。
この5領域を通して心情、意欲、態度として言ってきた遊びの大事さということが、より幼児教育をやる方々が、外的な活動ではなく、そのことの内的なもの、内面的に子供たちが遊びを通してこういう力が育っているんだということを、幼児教育をやる皆さんがより自信を持って、私たちがやっている遊びを通して、環境を通してと言ってきたことは、こういうすばらしい力を結果育てるためにやってきたんだということの自信につながるような示し方になっていると思いますし、そのような理解をしていただけたらと思いますし、小学校の先生方も、この三つの力につながるもととして、実はこういうことが内的に育っているからこそ幼児教育の遊びが大事で、体験が大事だという理解が深まることを祈りたいと思いますし、私たちもそのように学生にも伝えていかなければいけないなと思いました。事務局の皆さんに感謝したいと思います。
【無藤主査】  ありがとうございました。では、桶田委員、お願いします。
【桶田委員】  ありがとうございました。今まで何度も何度もお話をさせていただいたり、皆さんのお話を聞いたりして、随分理解できた部分もあるなと思いますので、それと併せてなんですが、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」、今現場でこれもだんだん広まっているんですけれども、やはり耳の中で残っているのが、幼児期の終わりの姿、「ほしい」がいかに大事がというところが抜けて、「姿」というところで思ってしまったり、1から10までの見出しだけを取り上げて、その見出しで自分がイメージしたことで感じてしまう。説明をよく読むと、最後に必ずいけるようになるという過程をいかに大切にしているかということが書いてあるんですが、どうも現場は焦ってしまうと、部分的なところで自分のところに引き寄せて理解してしまうところがあるので、これは丁寧に伝えていかなくてはいけないなということを思いました。
それから、評価に関わって、この「10の視点が評価の手立てともなる」と、「も」が入ることがとても大きいことなんだというのも、ずっと話を聞いていると分かるんですが、それがやはりひとり歩きしてしまうと、これが評価とだけになってしまったりするので、そこの現場とつないでいく丁寧さというのは、これから必要になってくるんだなと思いました。ありがとうございました。
【無藤主査】  今後大事なポイントになると思います。ありがとうございます。
では、志民委員、お願いします。
【志民委員】  私たちの議論ですとか意見を、この取りまとめにふさわしいような品格のある表現でまとめていただきまして、本当に心より感謝しております。18歳までの系統性を踏まえて、この接続の方を考えていくということで、幼稚園教育の理念が、小学校とか中学校の教育にも引き継がれていって、それが豊かに実りある教育につながっていくというようなことを、これから期待できるのではないかなというふうにとても大きな期待を持っております。
ただ、これは今回のこの部会の取りまとめに対してというよりは、例えば資質・能力ですとか、見方・考え方というような言葉がどれだけ理解してもらえるか、ちゃんと皆さんに伝わるかなというところは少し懸念もしているところはありまして、先日もちょっとネットの方で、能力のことを表面的に捉えて、それに対して見当違いな批判をしているようなものも、コメントを見たりもしましたので、この辺はやはり丁寧にというかシンプルに、本当は現場の先生方だけではなくて、保護者とか、それから社会全体に対して分かりやすく、そういう意味ではシンプルで、時にはストレートに伝えていくような努力をしていかなければいけないのかなと感じているところです。それは教育要領もそうですけれども、そのほかの機会でも丁寧に説明していくような、そういう機会があるとよいなというふうに考えています。ありがとうございました。
【無藤主査】  ありがとうございます。教育要領そのものをどう文章化するかとともに、伝え方についてもかなり配慮が要るというのは、本当にそのとおりだと思います。
白旗委員、お願いします。
【白旗委員】  皆さんも、本当にこの取りまとめについて話が出ていますけれども、私も読んでいて、かなりすーっと読めるようになってきまして、自分自身理解できるようになったなという気がします。これは事務局の皆様が非常に全体像から具体に向かうその道筋を明確にしていただいたからだなと思っております。
今回、何か話をするところでは最終回だというところでもありますので、いろいろな現場、幼稚園現場、それから学校現場に行かせていただきますと、やっぱり国から出たものについてはかなり細かいところまで読み込まれて判断をされるという感じで、印象として持っております。そうしますとちょっと言葉で、最後なので、自分としては一旦納得したんですけれども、ちょっと見たときに少しだけ気になったことがあったんですが、よろしいでしょうか。
これも読む人によっては、いや、それでよいんだということかもしれませんが、資料1で言いますと、机上配付資料の見え消しの方でちょっと見ているんですが、前の文章と今の文章で見たときに、一つは5ページなんですが、4ページの後ろの一番下の社会生活との関わり、5ですね。ここから入っていきまして、ここから話が、必要な情報というところに、社会生活との関わりで、情報に踏み込んでいっているんですけれども、最後の段落で。変えていただいたところで、「情報を適切に取捨選択するなどして役立てながら活動する」と。「適切に」という言葉が入っているんですけれども、かなり上の小学校、中学校、高校でも入っているような言葉なので、若干重くなるかなという気がしたところです。これも検討いただく一つということでお話しさせていただきました。
それから、11ページの方に飛びまして、特別支援教育の充実、幼児一人一人の特性に応じた指導の充実、10ページの頭からずっと続いてきていまして、11ページの上の丸のところですね。見え消しじゃなくてもよいのですけれども。「なお、幼児教育では」というところから3行あります。この中に、「障害のある幼児への指導にとどまらず、障害のない幼児への」というふうにもあるんですが、なかなかこの辺、ある、ないという二つにしてしまうのはどうなのかなという気もしまして。障害のある幼児というところに配慮していかなければいけないということはあるのですけれども、障害がないというよりは、全ての幼児への指導というような形にされたらどうかなという感じがしました。
最後に資料1のこの図の13ページですね。図のところです。こちらもかなり苦労されながらまとめていただいているなということで感謝をしているところなんですけれども。この三つの図ですね。遊びを通しての総合的な指導。本当に幼児教育があって、その上に小学校の低学年の教育があるとつくづく感じています。もっともっと今以上にやっぱりしっかりとこのつながりを考えていかなければいけないなと思っております。そうなると、ちょっとやっぱり言葉のところなんですが、知識や技能の基礎ということになっております。この知識や技能というところが少しどうかみ砕いたらよいのかなということを思ったんですけれども、少し固い表現があるので、柔らかくならないかななんて思っているところです。黒ポツの一番下のところですと、「身体的技能の基礎」。こんなのも技能の基礎のことを、小学校低学年の場合は動きという言い方もしていますので、やっぱり多様な動きという感じとか、その後ろも、「芸術表現のための基礎的な技能の基礎」という感じで、基礎の基礎というのがちょっと分かりにくいかなと。もう少し易しい言葉がないのかなと。ちょっと芸術専門じゃないんですけれども、もしあったらそういう置き換えをしていただく方がよいのかなと思いました。知識や技能とあるので、その基礎ということで入っておりますけれども、特に知識という言葉も入っておりませんので、少し幼児らしい柔らかい表現ができたらその方がよいのかなと思いました。細かいところばかりですが、以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。それぞれ大事なポイントなので、修正すべきことを修正しながら検討させていただきたいと思います。
それでは、宮原委員、お願いいたします。
【宮原委員】  このページでいうと7ページの4の資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実のところの二つ目の丸ポツなんですけれども、2行目のところで、「教師は、戸外で幼児同士が関わり合ったり、自然との触れ合いが十分経験できる環境を構成していくことが重要となってきている」ということで、確かにそうなんですけれども、ちょっと教師にばかり何かをやってくれというような意味合いが少し感じられます。
確かにやることはかなり教師の方も比重が多いということも聞いていますし、中学校になってきたら、部活なんかも外に少し協力をお願いするなんてことで、あるいは部活そのものを1日減らすというような流れもある中では、ちょうどその次の9ページ目のところに、一番下のポツですけれども、子育て支援については心理士ですとか、小児保健の専門家ですとか、幼児教育アドバイザーなどの外部との連携・協働だとかという記載がせっかくございますので、教師のやる内容についても、割と企業なんかでも非常に出前講座とか、小学校は普通にやっていますけれども、何か外部の知見のある方に、特に自然に関しては、非常に企業もCSRの観点から、こういったところに注力していますし、そういうのに詳しいお父さん、お母さんも必ず園児にはいらっしゃるかと思いますので、そんな要素なんかをここに盛り込むと、非常に地域との連携ですとか、あと9ページ目の一番下なども、幼児期の教育のセンターとしての役割というところと結び付いてよいのではないかなという気がしました。この7ページ目の四角の4の二つ目のところは、丸ポツの二つ目は、そんな表現も少し加えられると、より教師だけではなくて地域全体を巻き込むというようなところを盛り込んでよいのではないかなと思いました。
もう一つ、あと8ページ目のところの下から三つ目のポツのところですけれども、これの4行目のところで、「前向きな見通しを持ったり、幼児が自分のよさや特徴に気付き」というところが、せっかくですから、自己肯定感みたいなところが少し言葉で入りますと、その上にちょうど非認知能力のところもありますし、自己肯定感と非認知能力辺りは少し次いで書かれるような場面をよく目にしましたので、こんな表現が少し入るとよろしいのではないかなと思いました。以上2点でございます。
【無藤主査】  御指摘の方向で工夫したいと思います。ありがとうございます。
では、山下委員、お願いいたします。
【山下委員】  おまとめいただき、ありがとうございました。私の方からは、11ページの教材の在り方というところで、教材の選択に当たっては、幼児の興味や関心に基づいてやっていくということはあるんですけれども、やはり幼児の発達に即したというような教材の選び方というか、そういうことも少し入れておいたらよいのではないかなというふうに感じました。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。それはポイントとして入れたいと思います。
では、田中雅道委員、お願いします。
【田中(雅)委員】  資料2の幼稚園教育要領改善のイメージのたたき台案の3枚目なんですが、第6として、幼児教育課程に係る教育時間終了後等に行う教育活動などという形で、いわゆる預かり保育の部分と、最後は子育て支援、子育ての支援で、今まで多分、「の」を入れていたところの、今の教育要領も「の」が入っているので。
【無藤主査】  ここは「の」は入らなくてよいのですか。
【沓澤子育て支援指導官】  はい、入れておきます。
【無藤主査】  分かりました。ありがとうございました。
それでは、横山委員、お願いします。
【横山委員】  大部の資料をこんなにすっきりまとめていただいてありがとうございました。今回、18歳までの育ちを見通していくということで、つながりを作るというのがポイントになっていたと思うんですけれども、つながりを作るということは、それぞれの教育の独自性を知るということなのかなというのをすごく学ばせていただきました。
幼児教育の独自性はどこなのかというのは、ここの議論でも繰り返しされてきているところなんですけれども、毎回そうだと思うんですけれども、外に出していくときに、変わったところの方がスポットを浴びやすいということがあるので、私もよく言うんですけれども、大きなところは5歳児までの幼児期に育ってほしいところだと言うんですけれども、そこに育てていくまでどういうところを大切にしているのか、変わらないところがどこなのかというのも併せて強く言っていけたらよいなというふうに思っています。内容に関してではないんですけれども、伝え方をどう伝えていくかということを、また考えていければというふうに思っております。ありがとうございました。
【無藤主査】  ありがとうございます。それでは、砂上委員、お願いします。
【砂上委員】  これまでの議論について、丁寧に今回のように取りまとめていただきまして深くお礼申し上げます。ありがとうございました。
私の方は、資料1の2ページ目の上から二つ目の丸ですね。カリキュラム・マネジメントのところに関してなんですが、恐らく今度のこの改訂において、カリキュラム・マネジメントという言葉が非常に重要になっていくかと思います。やはりこのカリキュラム・マネジメントということについて、以下の三つの側面から捉えることが必要であるということで、重要な論点を提示していただいているかと思うんですが、一つ、もう少しもし書き加える余地があるとしたら、これは園全体で取り組むんだというようなことを、少し明確にしておく必要もあるかと思います。もちろん主たる園長、主任ですとか管理者というところも非常に役割は重要ですが、園全体で取り組むということ。
あともう一つは、2で一連のPDCAサイクルを確立というふうにあるんですが、カリキュラム・マネジメントというのは、改善し続けるということが非常に重要であるというような点ですとか、あと教育活動と園の運営という二つの側面を合わせた形で行うというような、そういうカリキュラム・マネジメントで何をどうするべきかというところをもう少し、ここの取りまとめ案でなくてもどこかで丁寧に説明できると、現場の先生方も、新しい言葉ですのでなかなかまだ手のひらに乗り切らないところがあるかとは思うので、そういう工夫もしていけるとよいかと思っています。
あともう一つ、資料1の13ページ目に当たります図ですね。今後、資質・能力の三つの柱というところで、この図を用いて説明がなされることも多くあるかと思うんですが、幼児期の場合、資質・能力の三つの柱というところが、本来は非常に切り分け難いものをあえて三つの側面で捉えていくと、このような観点になるというようなところかと思いますので、その辺も丁寧にこの図の説明ができるとよいのかなと思います。例えば、知識や技能の基礎にある発見の喜びというようなことと、思考力・判断力・表現力等の基礎にある表現する喜びというところ、非常に喜びというところでは共通しているんですが、なぜこの二が違う丸に入っているのだというようなところも素朴に捉えると疑問としては出てくるかとは思うんですが、非常に基礎的な部分で未分化というか、本来絡まりあっているものをあえて分けると、このような位置付けになるというようなことであるとか、そういうところを少し丁寧に説明していく必要はあるのかなというふうにも考えています。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。いずれも分かりやすくする方向で必要だと思いました。
それでは、北村委員、お願いします。
【北村委員】  ありがとうございます。非常に僕自身も勉強させていただきながら、この議論をどういうふうに整理したらよいのかなと思ったら、すごくすっきり整理された事務局の方に、まずお礼を申し上げます。
非常に細かいところなんですが、2点ありまして、1点目は、この取りまとめという文章の性質がどういうものかによるので、必要ないコメントなのかもしれないんですが、余り幼児教育になじみのない人がぱっと読んだときに、最初に来て、5領域というのがぽんと出てきて、5領域という言葉だけがあって、5領域が何なのかというのがどこにも注だとかがないんですね。こういうものってできるだけ親切に作った方がよいのかなと思いますので、例えば最初に5領域ということが出てきたら、それで注を付けて、この中に入れ込む必要はないと思うんですけれども、注に5領域が何なのかということを示してあげると、初めてこれを読む人も非常に分かりやすいかなと思います。
二つ目は、先ほどの白旗委員のコメントを伺っていてなるほどなと思ったり、そうだなと思ったことがありまして。ここはちょっと文言のところで、5番の学びや指導の充実のところで、特別支援教育の充実、幼児一人一人の特性というところで、幼児一人一人の特性に応じた指導の充実というのが括弧に入って、丸が一つだけなんですね。しかも丸の中というのは、あくまでも外国語、日本語に適用するのが難しかったり、外国にルーツを持つような話だけですので、それを幼児一人一人の特性に応じた指導の充実というくくりの中にこれだけがあると、ちょっと狭いかなという感じがしますので、これはいろいろな御意見あるかと思うのすが、例えば、案としましては、先ほど白旗委員が、その上の丸で、「障害のある幼児への支援にとどまらず、全ての幼児への指導」ってすごくよい文章だと思ったんですが、そういうことを「なお、幼児教育では」というところで言っているので、むしろこの括弧の「幼児一人一人の特性に応じた指導の充実」というのはその上に持っていって、そして「なお」というのを取って、「幼児教育では」ということで、特別支援の話が続いてきてはいるんですけれども、幼児一人一人の特性に応じた指導というのが全ての子供にとって大事なんだというような形で、少しこのカテゴリーの中に丸が二つできるような形にしたらどうかなというのが、一つの御提案です。
もう一つは、これは前から申し上げていたことで、今ある丸の、「海外から帰国した幼児や外国人の幼児等」というので、「外国人の幼児等」とすると、やはり「外国人」というのが、これも前にこういうふうなんだということで、確かよいのだという話になった気もするんですが、何かちょっと国籍をやっぱり指してしまうような気がしてちょっと違和感があるんですが、これは確か以前に、これは外国人という記載にするというような話だったかなというふうには思っているんですが。一般的に最近、研究の方では、「外国にルーツを持つ」という言葉をよく使いますので、そちらの方が、いわゆる外国人ではなくて、日本人だけど、外国にルーツを持つような子供たちということでもう少し大きなくくりになりますので、ちょっとそこの部分では。なかなかこれは文章の性格上難しいのであれば無理に変える必要はないんですが、ちょっとコメントだけまた改めてさせていただきたいということです。
もし最後に、「幼児一人一人の特性に応じた」というところで、最近ですとやはりこういった格差社会の広がりなどの中で、多様な社会経済的な背景を持った子供たちとか、そういったことも含めて一人一人の特性に応じた指導の充実ということも、議論の中ではしてまいりましたので、もし仮に一人一人の特性に応じた指導の充実を少し増やすとすれば、子供たちのそういった社会経済、文化的な背景含めて、丁寧な指導というのが必要じゃないかというような文言がどこかに入っても、よいのかなというふうには感じました。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。多様な背景を持つ子供の問題と言いますか、特別支援教育の部会と総則の部会で同様の意見が出ておりますので、小学校以上の学校教育との調整が必要な部分なので、事務局で調整していただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、斎藤委員、お願いします。
【斎藤委員】  お願いします。教育現場の実践の改善のよりどころとなる、大変重要な内容が整理されたと、取りまとめを読ませていただきまして、本当にこうやってまとめていただいてありがとうございます。
これからの教育の在り方について、ほかの校種とともに貫かれる柱、それから道筋、それから幼児教育の特性が明確に示される、そういう内容になっているのではないかと思っております。幼稚園などに携わられる方々にとっては、今までの日々の実践の意味を見直したり、かみしめたりする重要な内容を整理していると思いますし、是非小学校以降の教員も、積極的にこの内容について把握し、そして読んでほしいと思っております。小学校以降の異なる学校種も、これらの資料と子供の実際の姿を手がかりにして、接続とは何かということについて考えたり、深めたりしていけるのではないかと、そのように考えております。
地方の手応えとして、今、様々な主体が幼児教育に注目して、その重要性について考える議論が始まっています。地方の自治体による幼児教育センターの設置に向けて努力されているところも、大変増えてきているという感じがいたします。今、このタイミングで幼児教育にとってこれが整理され、発信されることは非常に重要な時期だと思っておりますので、積極的に風を吹かせていただきたいと思っております。ありがとうございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。
では、嶋田委員。
【嶋田委員】  失礼いたします。先ほど幼児教育の価値を高めることというようなところがあったんですけれども、そういう視点で見ていましたら、見え消しのところの3ページのところで、上から三つ目の、「このような様々な体験等を通して培われた『見方・考え方』は、小学校の各教科の『見方・考え方』の基礎」。それから、「統合化することの基礎」というふうにあるんですけれども、統合するだけじゃなくて、やはり体験を通して培われたものだから、実生活や実社会に活用できるというような、活用の基礎というような、統合化だけでなくプラスアルファ、何か一つ言葉が入ると価値が高まるかなというふうに思います。
これが6ページの、同じように三つ目の、「小学校の各教科においても」というところの、「幼児期に育まれた『見方・考え方』や資質・能力を徐々に各教科等の特質に応じた学びにつなげていく」価値付けになっていくんじゃないかなというふうに思います。
併せて、「小学校の各教科においても」というところの一文で、「主に生活科等のスタートカリキュラムの中心で」というふうにあるんですけれども、スタートカリキュラムということ自体が、現在の小学校の学習指導要領の中では、幼児教育の成果を踏まえたものであったりとか、体験的な学習を重視したもの。幼児教育の成果を踏まえというのが、今回多分「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」にあるかなというふうに思います。それから、体験的な学習を重視したものというのが、合科的・関連的というふうに捉えていくと、恐らくこの一文で、「小学校の各教科においても、スタートカリキュラムの中で、生活科を核とした他の教科との合科的・関連的な指導を含め」というような文言に直した方がすっきりするのかなというふうに思います。
併せて、合科的・関連的な指導の中で、やはり人との関わりだとか、自然との関わりとか、社会の関わり、つまり幼児期の体験的な活動で学んできたことそのものが、まず生活科に入ってくると思うので、そこも一つ加えるとよいのかなというふうに思います。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。スタートカリキュラムその他は、小学校の方の取りまとめと調整する必要があるので、多分そういう方向が出てくると思います。
では、奈須委員、お願いします。
【奈須委員】  今、嶋田先生が言われたところなんですけれども、生活科のメンバーでもあるので。現行だと、今のままだと「小学校の各教科においても、主に生活科等のスタートカリキュラム」となっているんですが、今、嶋田先生がおっしゃったとおり、生活科の中にスタートカリキュラムがあるわけではなくて、生活科を中心にして合科・関連指導をしてスタートカリキュラムをやるんだということだろうと思います。合科・関連指導はスタートカリキュラムだけではないので、合科・関連指導ってスタートカリキュラムを作るためにあるというのではなくて、ずっと今までそうなので、またそこもちょっと気を付けなければいけないと思うんですけれども。主に生活科等、今、見え消し版だと消えちゃっているんですけれども、「中心にした」というのはむしろ残していただいた方がよいのかなと思っています。
それから、その後なんですけれども、「合科的・関連的な指導を含め」は、今の形だと、子供の生活の流れの中で、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が発揮できるような工夫ということになっているんですよね。そこは一遍終わって、更に「短時間学習なども含めた工夫を行うことにより、幼児期に育まれた『見方・考え方』や資質・能力を徐々に各教科等の特質に応じた学びにつなげていく必要がある」ということなんですけれども、つまり具体的な工夫の例示が、合科・関連指導ということと、短時間学習等ということで二つ出ているんだけれども、今のままだと、合科・関連指導という工夫は、子供の生活の流れの中でやること、そういうことをやるんだと。短時間学習が、この後ろにかかっているようになっているんだけれども、ちょっとこれでよいのかなと思ったんですけれども。
もっとフラットにすれば、例えば「主に生活科等を中心としたスタートカリキュラムの中で、一つの指導は合科・関連ですよね。合科的・関連的な指導や短時間学習なども含め、それは両方とも、実は多分子供の生活の流れの中で、「幼児期の終わりまでに育った姿」が発揮できるような工夫なんじゃないのかなと思ったんですけれども、どういうなのかなと思って。短時間指導という今回出てきたものを、幼児期から小学校につなげるときに、どういう工夫、効果を持つものとして意味付けるかというのは、ここはかなり大事なところで、生活科側としては。だから、分からないけど、生活科のワークの方で議論があったのに、私がミスっているだけかもしれないんですけれども、ちょっとここは確認をいただいて。どうせ今主査が言われたように、すり合わせをするんだと思いますけれども。私的には、多分合科・関連指導、それから短時間学習という二つの工夫などは、子供の生活の流れの中で、「幼児期の終わりまでに育った姿」が発揮できるような小学校的工夫だと思うんですよね。そうすることによって、幼児期に育まれた「見方・考え方」や資質・能力は徐々に各教科等の特質に応じた学びにつながっていくのかなと。ちょっとここ、分からないですが、語順と係り結びのこと、またちょっと確認をいただくとともに、生活科・総合のワーキングの方でまた確認をするんだと思いますけれども。
【無藤主査】  奈須委員がおっしゃるように、生活科の方でも検討していただかないとできないので、調整したいと思います。
では、田中雅道委員、お願いします。
【田中(雅)委員】  先ほど北村先生が言われた、5領域という言葉がやっぱり、我々普通に使っているんですけれども、初めて読んだ人にとってはその意味が分かりづらいというのはそのとおりだと思います。イメージとして、領域と科目はどう違うのかというのを説明すると、未分化の状態にいた子供が、科目という、一応分化した情報処理ができる状況に移っていく3・4・5歳の経過の中で、非常に私のイメージでは、言葉で言うと、木々の中にいて、目の前のものを情報処理していた子供から、雲の上に顔を出す5歳になってきて、いろんな世界を見渡した上で自分という位置を見られるようになってくる。その状況を領域という一つの遊びの中の様々な側面から分析するというものが、教育の中で大事という意味で領域という言葉を使っているというイメージでいるので、そこら辺りをもうちょっと丁寧に書いていくと、領域と科目とか、幼児期に何をしなければならないのかということのイメージがしやすくなるんじゃないかなと。できればそこで、最初の領域という言葉の中で言われている部分と同時に、未分化な状況から分化した情報処理ができていく過程の中を、こういう言葉で定義しているんだというようなものを入れていただけると、見た人も分かりやすくなるかなと。
【無藤主査】  ありがとうございます。これ自体は幼稚園教育要領にも書いてありますけれども、なぜ教科ではなく、幼稚園で領域かということをもう少しはっきりさせるという意味で大事な点だと思います。ありがとうございます。
山下委員、ございますか。
【山下委員】  2ページのところのカリキュラム・マネジメントの一番最後の丸のところなんですけれども、論点整理の中で、カリキュラム・マネジメントについて、社会に開かれた教育課程の観点から、学校内ではなくて、保護者や地域の人々を巻き込んだカリキュラム・マネジメントを確立していくことが重要というふうに書かれているわけですけれども、この最後を読んだときに、「家庭等」となっているので、多分この中に地域があるのかなと思っているんですけれども。それから、「協力を得ながら」が、巻き込んだという表現が協力ということになって、少しトーンダウンした感じを受けるんですけれども、こことのちょっと整合性を少し見ておいた方がよいのかなという感じはしました。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。宮原委員、どうぞ。
【宮原委員】  私は12ページ目のところの、必要な条件整備等についてということで、少し気になりましたのは、二つ目のポチで、相互の園内研修の充実・強化とか、あと園外研修の機会の確保が重要だということが書かれていまして、確かにここに記載されているとおりのことも十分必要ですし、私ももっともだと思いますけれども、これの旗振り役と言いますか、ハブ機能みたいなところというのが、もしかしたら下の段の市区町村ですとか都道府県、幼児教育センターみたいになるのかもしれませんけれども、よく私立の保育園ですとか、あるいはそういったそもそも市区町村の待機児童の問題ですとか、結構私もお付き合いしているところでは、ここまで果たしてできるのかなというのが、マンパワーも含めてですけれども、その辺のところが、どこの旗振り役がこういうことを担うのかなということと、あと幼児教育研究センター、4月1日に、これは確か無藤主査が座長をやられた研究機関がありますけれども、こういったところも今後は旗振り役の一翼を担う組織になるのかどうか。これは質問なんですけれども、お聞かせいただければと思います。
【無藤主査】  もちろんそのとおりだと思います。幼児教育の振興に関わるものとして、国と都道府県、市町村、自治体とともに幼児教育センター等、また国立教育政策研究所の中の幼児教育研究センターなどというふうに、正確に言うとそうなるので、その趣旨が分かるようにしたいと思います。
それでは、寺岡委員。
【寺岡委員】  ありがとうございました。毎回この部会で、小学校の現場の人間として、幼児教育に携わる先生方の御意見を頂きながら、自分の指導観とか、教育観とか、子供観というのが毎回毎回見直されたり、変容していくことを実感しながら参加させていただきました。次期学習指導要領で、幼小の連携とか接続というものがより強調されて、三つの柱とかアクティブ・ラーニングの三つの視点という、幼小を貫く共通の考え方が示されていく中で、幼稚園の先生方が長年大切にしてきた、遊びや環境を通した教育や、子供たち一人一人の実態を大切にした教育というものを、小学校現場の教員が知り、自身の教育観や子供観や児童観が変容していくことを期待しつつ、これが小学校の先生方にもうまく伝わっていくようなものになっていくともっとよいなということを考えております。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。では、神長主査代理。
【神長主査代理】  本当に幼児教育部会で委員の方々といろいろ議論しながら話し合ってきたことが、よくこのたたき台の中にまとめられているなというふうに思っております。本当に積み重ねた結果、このような形で、これがまたその次の教育要領にどう反映していくか、どういうふうな言葉に置き換えられていくかというところでまた議論は必要かと思うんですけれども、これまでの議論が本当によくまとめられているなという感想を持っております。
そして、一つだけ私、ちょっと気になったところがあるのですけれども、6ページなんですけれども、先ほど領域の話が出ていたときに、確かに教科と領域、また領域のない子供たちの生活や遊びというところから考えていただきますと、二つ目の丸なんですけれども、これから教育要領の第2章の中に、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」ということがねらいや内容と併せて書かれるような形になっていくと思うんですね。そのときに、この2行目にあります、「5歳児だけではなく、3歳児、4歳児においても、これを念頭に置きながら指導が行われることが望まれる」という、これも大事なことだと思うんですけれども、ここに是非5領域にという、いわゆる5歳児だけでなく、3歳児、4歳児においてもこれらを念頭に置きながら、5領域にわたっての総合的な指導が行われることが望まれるという、そこにねらいや内容を総合的に指導していくんだということの結果、こういった「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」ということが見られるようになるんだということが、この2行の分の中に入ってくると分かりやすいかなと思います。これをただ降ろすのではないということを、ここでしっかり5領域との関係が言われるとよいのかなというふうに思っておりました。
これはまた感想ですけれども、幼児教育は学校教育の始まりですという、幼児期の教育の独自性と学校教育としての一貫性ということを、いつも幼児教育を語るときにはバランスよく組み合わせていくんだという話をしておりましたけれども、やはり今回のこの改訂の議論の中で、ようやく学校教育としての始まりが一つの形になって実を結んだのかなというような感想を持っております。とても良い議論だったかなと思っています。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。今日は、ここまでとさせていただきたいと思います。本日、様々な意見をお出しいただきましたので、事務局の方で論点ごとに趣旨を整理していただきたいと思います。また、限られた時間でございました。十分意を尽くさないこと、また後ほど思いつかれたことなどございますれば、更に意見、またお気付きの点をペーパーで事務局にお送りいただければというふうに思います。
それでは、次回の日程等につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  ありがとうございました。本日、御審議をいただきました資料1の幼児教育部会の取りまとめ案と、それから資料2の幼稚園教育要領の改善のイメージの案につきましては、今後主査と御相談の上整理をさせていただきまして、教育課程企画特別部会、教育課程部会において、事務局から幼児教育部会としての報告というふうにさせていただく予定となってございます。
また、前回も御説明いたしましたけれども、次回の幼児教育部会の開催につきましては、しばらく間を置きまして、前回ありましたけれども、内閣府の検討会の取りまとめが出てから、秋頃に開催をしたいと考えております。
最後でございますけれども、先ほど主査からお話がございましたとおり、ペーパーによる意見等も頂戴したいと考えております。ファクス、メール、郵送でも結構でございます。
それから、机上に配付しております前回の幼児教育部会の主な意見に対する意見も併せまして、7月4日月曜日までに頂戴いただければというふうに考えております。なお、いつもどおり本日の配付資料につきましては、机上に置いていただければ、後ほど郵送させていただきたいと思います。以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。それでは、第9回の幼児教育部会をこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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