教育課程部会 幼児教育部会(第6回) 議事録

1.日時

平成28年3月30日(水曜日)10時00分~12時30分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館 文部科学省3階3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議事録

【無藤主査】  皆様、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会幼児教育部会第6回を開催いたします。皆様、御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございました。
それでは早速、議事に入りたいと思います。
本部会の審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により議事を進めさせていただいてございます。また、第6条に基づき、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うということでございますので、よろしくお願いいたします。
なお、本日、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があるということで、これを許可しておりますので、御承知おきください。
それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料14、参考資料1、2、その他机上に教育課程企画特別部会の論点整理をはじめといたしました参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局の方にお申出を頂きたいと思います。
なお、いつもどおり、机上にタブレット端末を置いておりますけれども、その中には、本部会の審議に当たりまして、参考となる幼児教育関係の諸資料、それから小学校の学習指導要領の解説、関係する審議会の答申、本部会の過去の配付資料等のデータで入れております。
御参照いただく際には、お手数でございますけれども、机上に配付しております使用方法を説明いたしましたペーパーをごらんいただきたいと思います。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。
次に、配付資料の説明をお願いしたいのですけれども、その前に、教育課程部会小学校部会から、本部会に対して共有すべきことがあるということでございますので、事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程課教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは、資料11以降が他のワーキンググループ等に関する資料になってございますので、少し後半の資料をごらんいただければと存じます。
まず、資料11でございますけれども、総則・評価特別部会におきまして、アクティブ・ラーニングの視点、特に、「対話的な学び」「主体的な学び」「深い学び」という三つの視点がございますけれども、このうち「深い学び」の観点からおまとめを頂いたものと、学習評価の改善に関する資料でございます。
おめくりいただきますと、アクティブ・ラーニングの視点ということでございまして、1ページ目は、その三つの視点、それから、特定の型ではないということ、実践例については、型や方法の紹介ではなく、授業改善の事例、子供たちのどのような変容につながったのかというような事例の蓄積としてお願いしたいということでございます。
また、2ページ目、「深い学び」の視点とございますけれども、やはり、アクティブ・ラーニングの三つの視点、「対話的な学び」と「主体的な学び」はよく分かるのだけれども、「深い学び」とは何かということがなかなか理解しにくいというお声を頂いているところでございます。これは、現在、各教科のワーキングにおきまして、各教科の特質に応じた「深い学び」とは何かということを御整理いただいておりますので、まだ御提示し切れていないということが一つの原因でございますけれども、そういったことを踏まえつつ、「深い学び」とは何かについて、改めて整理を頂いております。
「深い学び」の視点の三つ目の丸でございますけれども、資質・能力の育成や学習の深まりの鍵となるものとして、「見方や考え方」ということが重要ではないかということ。こうした「見方や考え方」を習得・活用・探究を見通した過程の中で働かせながら思考・判断・表現し、「見方や考え方」を成長させながら、資質・能力を獲得していくことが「深い学び」であろうということを改めて御整理いただいた上で、2ページ目の下、「見方や考え方」についての意義の整理、3ページ目には、資質・能力の三つの柱との関係性の整理、また、子供たち一人一人の「見方や考え方」ということの重要性、そして、教科横断的に「見方や考え方」を育んでいくことによって、物事を多面的に捉えたり、より広範な事象を捉えたり、ということが可能になるのではないかというような御整理を頂いており、現在、各教科等ワーキングにおいて、各教科等の特質に応じ育まれる「見方や考え方」とは何かということの明確化について、取り組んでいただいているところでございます。
続きまして、学習評価でございますけれども、24ページ目でございます。学習評価、「目標に準拠した評価」ということを小・中・高を通じて考えていくということ。そのために、各教科の目標を、資質・能力の三つの柱に基づき構造化するということ。
そして、観点別評価につきましては、教科・校種を超えた共通理解に基づく組織的な取組を促すという観点から、27ページ目にございますけれども、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」、この三つの柱で各教科を考えていくということでございます。
25ページ目の上にございますように、知識といった場合は、事実的な知識を獲得するということのみならず、構造化された概念的な知識の理解ということも含むということでございます。また、「思考・判断・表現」、そして「主体的に学習に取り組む態度」と資質・能力の柱の整理をしていただいております。「学びに向かう力・人間性」というものは少し幅広いものでございますけれども、そのうち観点別評価を通じて見取ることができる部分と感性や思いやりなど個人内評価を通じて見取る部分があるということ、観点別評価においては、この見取ることができる「主体的に学習に取り組む態度」を見取っていくということ。また、今回、「関心・意欲・態度」を改めまして、「主体的に学習に取り組む態度」とすることの意義についても、丸の四つ目に整理を頂いているところでございます。
続きまして、資料12が小学校部会でございます。小学校部会はこれまで数回開催していただいておりまして、特に今回、外国語教育の充実に伴う時数の増ということがございますので、それに伴うカリキュラム・マネジメントの在り方、重要性ということについて御議論をいただいております。
資料12を紙を2枚めくっていただきますと、小学校部会におけるこれまでの議論のとりまとめということでございます。論点整理におきまして、小学校の時数の考え方については、全体に先立ち考え方を整理するようにという宿題を頂いておりましたので、それに基づいて先んじて整理をさせていただいたところでございます。
その「とりまとめ」の2ページ目、全体で申しますと4というページ数が付いているところでございますけれども、「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた小学校の教育課程に改善・充実、これは引き続き御議論いただくことになりますけれども、小学校教育を通じてどのようなことを育成すべきか、特に、このペーパーで言いますと3ページ目でございますけれども、全体でいうと5ページ目、低学年、中学年、高学年それぞれの課題に応じた小学校の6年間という期間は子供たちにとって幅のある期間であるという認識のもと、それぞれの課題に応じた対応を考えていく必要があるのではないかということ。特に低学年につきましては、そのページの二つ目の丸でございますけれども、学力差がその後の学力差につながらないように、あるいは基礎的な知識・技能の定着、語彙量、感性、それから様々な気付きを得ていくことを通じて、学習の素地を形成していくということ。また、次の丸に、低学年の学びがゼロからスタートするわけではなく、幼児教育で身に付けたことを生かしながら、スタート・カリキュラムの重要性ということを御整理いただいております。
その後、「カリキュラム・マネジメント」の意義、そして、7ページ目は言語能力の育成、これは国語と外国語双方を通じてということでございます。9ページ目には、小・中・高を通じた国語教育の充実。11ページ目は、小・中・高を通じた外国語教育の充実。それに伴いまして、時数の増ということが出てまいりますので、15ページ目にございますように、弾力的な時間割編成ということの中での「カリキュラム・マネジメント」、そして、そういった小学校の取組を支える様々な方策ということでございます。教材でありますとか指導体制、それから「カリキュラム・マネジメント」に関する研究ということも含めてやっていくということでございますので、御紹介をさせていただきます。
それから、資料13は、生活・総合のワーキングの資料となってございます。こちらの幼児教育部会と足並みをそろえながら、例えば、4ページ目の部分は、幼児教育、小学校教育の接続期についての考え方、本日も御議論いただきますけれども、5ページ目のように、しっかりと幼児教育の学びをつないでいくにはどうしたらよいのか、そして、その場合、教科の内容でつなぐのではなくて、各教科で育む「見方や考え方」の育成ということで、しっかりとつないでいくということ。また、幼児期の育った姿をしっかりと小学校側で受け止めて、それをいかにつないでいくかという視点が大事であること。それから、6ページ目は、生活科の構造をどのように整理していくかということ。7ページ目、8ページ目は、学びのプロセスの在り方、これもまだまだ御議論いただいておりますので、形が変わっていく可能性がございますけれども、こういった形で御議論を頂いているところですので、御紹介をさせていただきました。
以上です。
【沓澤子育て支援指導官】  続きまして、私の方から、本日の検討課題を中心に御説明させていただきたいと思います。
資料2をごらんいただきたいと思います。こちらは、本日、御検討いただきたい検討事項をまとめたものでございます。大きく4点ございます。1点目は、幼児期における特別支援教育の在り方についてでございます。資料3が関連する資料となってございます。一人一人の子供の状況や発達の段階に応じた教育を行うという観点においては、幼児教育と特別支援教育というのは親和性を有していると言われます。幼児教育等における特別支援教育につきましては、論点整理におきまして、全ての学校や学級に、発達障害を含めた障害のある子供たちが在籍する可能性があることを前提として、一人一人の子供の状況や発達の段階に応じた十分な学びを確保し、障害のある子供たちの自立や社会参画に向けた主体的な取組を支援するという観点が重要であるということが提言されているところでございます。
このような論点整理を踏まえまして、特別支援教育部会においては、以下のような検討を行ったところでございます。1点目が、各教科等の目標を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援の改善・充実でございます。これに関しましては、資料3の2ページの上のところでございますけれども、主な意見のところですが、総則だけではなく、各教科等においても配慮の例を示すことが必要ではないかという意見。それから、障害別の配慮のみならず、学習過程で考えられる困難さに対する配慮の例を示すことが考えられるのではないかという意見が出ているところでございます。
それから、丸2の合理的な配慮の提供も含めた「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の位置付け並びに作成・活用の方策についての明確化でございますけれども、これにつきましては、配付資料3の4ページの中段のところでございますけれども、合理的な配慮の提供に関しましては、合理的な配慮の考え方を示す必要があるのではないかという意見。それから、「個別の指導計画」、「個別の教育支援計画」につきましては、「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の作成・活用の留意点を示すことが必要ではないかという意見が出ているところでございます。
なお、幼稚園の「個別の教育支援計画」、「個別の指導計画」の状況でございますけれども、これに関しましては、配付資料3の12ページの下の表のところでございますけれども、「個別の指導計画」につきましては47.3%、「個別の教育支援計画」につきましては38.6%ということで、他の学校種、特に小学校、中学校と比べまして、相対的にちょっと低いという状況になっているところでございます。
それから、丸 3、特別支援教育コーディネーターを中心といたしました校内体制の確立等の観点等の明確化、この点に関しましては、配付資料3の5ページのところですけれども、主な意見といたしまして、特別支援教育コーディネーターの役割は不可欠である、それから、校内体制の在り方を示す必要があるのではないかという意見が出ているところでございます。
なお、特別支援教育コーディネーターの状況につきましても、主な意見の上のところでございますけれども、幼稚園では約60%ということで、これも小中学校のおおむね100%と比べまして、相対的にちょっと低いという状況になってございます。
それから、検討事項の4番目の共生社会の形成に向けた障害者理解の促進、交流及び共同学習の一層の充実、この点に関しましては、資料3の5ページの丸5のところでございますけれども、主な意見といたしまして、学習指導要領の総則において、共生社会の形成に向けた障害者理解の促進を示す必要があるのではないかという意見が出ているところでございます。
このようなことを踏まえまして、幼児期における特別支援教育について特に配慮すべき事項としては、どのようなことが考えられるかということが1点目の検討事項でございます。
続きまして、資料2の2ページ目でございます。2番目の検討事項といたしまして、幼児教育において育みたい資質・能力、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化等についてでございます。これに関しましては、各教科等で共通で作成する資料でございますとか、これまでこの部会で御意見を頂きました資料で、再整理をいたしましたので、それについて御意見を頂きたいと思っております。関連する資料といたしましては、資料4から資料5でございます。
初めに、資料4でございますけれども、幼児期において育成すべき資質・能力の整理のイメージについてでございます。今まで、幼児教育部会において、幼児期において育みたい資質・能力をどのように捉えるかについて議論を行ってまいりましたが、この部会における議論等を踏まえまして整理したペーパーがこの資料4でございます。
育成すべき資質・能力につきましては、お手数ですが、資料13の先ほどの生活科の資料の6ページを見ていただきたいと思います。このような形で他の教科等につきましては、資質・能力の三つの柱をこのような形で整理させていただいているところでございますけれども、幼稚園の場合は、このように三つの柱を縦に並べて整理するのではなく、総合的な指導の中で一体的に行っているということでございますから、資料4の方に戻っていただきますと、一番下の学びに向かう力、人間性、これを土台といたしまして、そのほかの資質・能力が重なり合うようなイメージで資質・能力を捉えております。
なお、2枚目の幼稚園教育要領の構造化のイメージでございますけれども、こちらの方は、前の部会の方で頂いた意見に基づきまして、赤字の三つの柱の括弧書きのところでございますけれども、こちらの修正をさせていただいているということになってございます。
続きまして、資料5でございます。幼児教育における「見方や考え方」の整理のイメージでございます。先ほど、大杉室長の方から御説明があったとおり、総則・評価特別部会におきましては、育成すべき資質・能力の育成に当たりましては、各教科の本質に根ざした見方、考え方が重要であるということがされておりまして、見方、考え方は、様々な事象等を捉える各教科ならではの視点や、各教科ならではの思考の枠組みであるとされているところでございます。このような考え方のもと、幼児教育の特性を踏まえまして、見方、考え方につきまして整理をいたしましたのがこの資料5でございます。
幼児教育におきましては、総合的な見方、考え方である事象を捉えることを目指しておりまして、本来分けられるものではございませんけれども、あえて分けるとすればこのような形になるというものを示しておるものでございます。
見方、考え方の記述の部分につきましては、総合的な指導を行う際の視点ということでございますので、幼稚園教育要領の各領域の冒頭に示してある、括弧書きのところでございますが、いわゆる領域の意義付け、ここに書いてあります記述を手掛かりにいたしまして、幼稚園教育要領なども勘案してここの部分を記述させていただいております。これらが総合的に育成されまして、小学校の各教科、領域等の見方、考え方につながっているというふうなイメージ図になっているものでございます。
続きまして、資料6でございます。幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の再整理のイメージでございます。今まで、幼児教育部会におきまして、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿について御議論いただいたところでございますけれども、2030年の社会や子供たちの未来を見据え、また、社会情勢や子供を取り巻く変化、それから、論点整理や部会における議論を踏まえまして整理をさせていただいたものが資料6でございます。
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿につきましては、この部会の方で似たような項目を整理すべき、言葉の整理をすべきという御意見が出たことから、資料6の下の部分にございます12あった項目の方を、例えば、道徳性の芽生えと規範意識の芽生えを統合したり、それから、いろいろな人とのかかわりと生命尊重・公共心等の公共心の部分を統合いたしまして、社会生活との関わりとするなど、10項目に整理させていただいたところでございます。
それから、2ページ以降が、具体的な個別の項目の再整理となってございます。こちらの方は、育ってほしい姿につきましては、資質・能力によって整理すべきという御意見があったことから、基本的には、資質・能力の三つの項目が包含されるような姿で、文言の方を整理させていただいているところでございます。
続きまして、資料7でございます。こちらは、先ほども室長の方から簡単に触れていただきましたけれども、幼稚園教育と小学校教育の接続の資料でございます。論点整理におきましては、幼小、小中、中高の学びの連携・接続について、学校段階ごとの特徴を踏まえつつ、前の学校段階での教育が次の段階で生かされるよう、学びの連続性が確保されることが重要であるという提言を頂いているところでございます。
また、先ほど御説明あったように、総則・評価特別部会では、各教科の本質に根ざした「見方や考え方」が示され、幼児期では、生活全体を通じて総合的な指導を行う中で、ものの見方や考え方等が培われるということがされております。
幼児教育と小学校教育の接続を考えるに当たりましては、幼児教育における学びを、生活科を中核といたしましたスタートカリキュラムを通じて、各教科の特質に応じた学びにつなげていく必要がございます。その場合、単に内容における接続ではなく、資質・能力でのつながり、さらにはものの見方、考え方のつながりも考えていく必要がありまして、それを整理させていただいたのが、この資料7のペーパーになっているということでございますので、これにつきましても御意見を頂けたらと思っております。
それから、資料8でございます。こちらは、アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた幼児教育における学びの過程ということで、前回、幼児教育部会の方で提示をさせていただきまして、御意見を頂いたところでございます。前回の意見といたしましては、行きつ戻りつであったり、循環するイメージが必要という意見があったところでございますので、この図の一番の上のところに循環するようなイメージの矢印でございますとか、それぞれの学びの過程の部分の矢印などを入れさせていただいているところでございます。
それから、三つ目の検討事項でございます。幼児期にふさわしい評価の在り方についてでございます。資料2の3ページの中段からでございますけれども、現在、幼稚園教育における評価につきましては、幼稚園教育要領の第3章に規定されているところでございます。また、幼稚園幼児指導要録におきましては、他の幼児との比較や一定の基準に対する達成度についての評定によって捉えることはせずに、幼児の発達の実情から向上が著しいと思われるものについて、記入することが求められているところでございます。
また、論点整理におきましては、幼児に育成すべき資質・能力を育む観点から、教育目標・内容と指導方法、評価の在り方を一体として検討する必要があるということを言われておりまして、幼児教育にふさわしい評価の在り方を検討するなど、幼児教育の特性に配慮しながら、その内容の改善、充実が求められるという提言を頂いているところでございます。このような提言を踏まえまして、幼児教育にふさわしい評価の検討に当たりましては、以下の事項について御意見を頂きたいと考えてございます。
一つ目は、幼児教育が学校教育であることを踏まえつつ、幼稚園教育要領等に示すねらい等に加えて、5歳児につきましては、先ほど御説明いたしました現在検討中であります「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」も新たな手掛かりといたしまして、幼児一人一人のよい点や可能性などを評価する評価の在り方とその留意事項について、2点目は、ポートフォリオをはじめとする多面的な評価の在り方について、3点目は、子供の評価について保護者と共有するための工夫の在り方について、4点目は、幼児教育にふさわしい評価の方向性を踏まえた、指導要録の改善の在り方について、最後が、幼児教育における幼児の学びを小学校の教員が指導上参考とできるような工夫の在り方についてでございます。
それから、4点目の検討事項が、新しい幼稚園教育要領等の理念を実現するための必要な方策についてでございます。こちらは2点ございまして、1点目がカリキュラム・マネジメントの確立についてでございます。論点整理で示されました「カリキュラム・マネジメント」の三つの側面を踏まえまして、幼稚園教育要領等における「カリキュラム・マネジメント」について改善すべき点はないかという点につきまして、御意見を頂ければと考えてございます。論点整理におけるカリキュラム・マネジメントの三つの側面につきましては、以下の参考のところに示させていただいているとおりでございます。
それから、5ページ目でございます。幼稚園教育要領等の理念の実現に向けた必要な支援方策についてでございます。新しい学習指導要領の理念を各幼稚園等において着実に実施するためには、以下の点についてどのような改善が必要かということで、5点示させていただいているところでございます。1点目が、幼児教育と小学校教育の接続の一層の強化の観点、2点目が幼児教育に係る教職員の資質・能力の向上の観点、三つ目が幼児教育にふさわしい評価の方向性を踏まえ、その評価の質の向上する観点、それから、各都道府県や市町村における幼児教育の推進体制の充実の観点、最後に、その他、幼児教育の質の向上の観点でございます。これらについて御意見を頂ければと考えてございます。
大変長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。今、事務局から御説明いただきましたけれども、本日、いろいろ議題がございます。1番目が、幼稚園における特別支援教育の在り方について。2番目が、幼児期において育みたい資質・能力、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化等について。その中で五つございます。丸1が、資質・能力の三つの柱に沿った、幼児教育を通じて育成すべき資質・能力の整理イメージのたたき台という資料がございました。2番目が、幼児教育における見方、考え方の整理イメージのたたき台についてです。3番目が、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の再整理イメージのたたき台です。4番目が、幼児教育と小学校教育の接続についてのイメージの案があります。そして、5番目、アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、幼児教育における学びの過程のイメージのたたき台がございました。以上が2番目の議題ですけれども、3番目は、幼児教育にふさわしい評価の在り方について、そして、4番目ですけれども、新しい幼稚園教育要領等の理念を実現するための必要な方策についての議論ということでございます。
終わりは、きょうは御存じのように12時半までということですから、今、10時半ですので2時間ございます。その中で特に2番目の資質・能力、育ってほしい姿に一番長い時間を割きたいとは思いますけれども、それぞれどれも重要な課題でございますので、発言していただければと存じます。
なお、私の理解しているところでは、3月中にある程度まとめという話でしたけれども、上の会議に報告するのは4月当初ではなく少し先のようですので、恐らく、もう1回、4月二十何日ですかね、会議があると思うんですけれども、そのあたりで議論を加えられるとは思います。しかし、今日、かなり事務局が図にまで整理していただきましたので、是非、御意見を頂戴したいと思います。
それでは、早速ですけれども、幼児教育における特別支援教育の在り方についてでございます。どなたからでも結構ですけれども、御意見をお出しください。名札を立てていただければと存じます。よろしくお願いいたします。
今日は、一番の御専門の小枝先生が、年度末ということでおいでいただけなかったんですけれども、もちろん、これは個別に事務局の方でいろいろお聞きいただけると思いますが、いかがでしょうか。山下委員、お願いします。
【山下委員】  それでは、私の方から特別支援教育について、一言御意見を述べさせていただきたいと思います。
過去、教育委員会において幼稚園等の現場などを訪問してきた自分の経験などから、やはり、幼児期における特別支援教育というのは、年々大きな課題になってきているのかなということを実感として思っています。今回の改訂において、幼小中高の特別支援教育は充実するという方向で、特別支援教育部会では論議が進んでいるように認識しているんですけれども、幼稚園における特別支援教育というのは、是非、充実していただきたいと私は思っているところです。
障害というだけではなくて、日々の幼稚園の活動において、困難を持っている子供というのはたくさんいると思うんです。そういった配慮というのは、これからますます必要になってくると思います。例えば、今後、幼稚園教育要領解説などの場において、そういった困難さごとに提示を示すなどして、工夫をしていくのがよいのではないかなというふうにも思っています。障害というだけではなくて、日々の幼稚園の活動の中で、特にそういった点が先生方の参考になっていくのではないかと思っています。
特別に配慮が必要な子供というのは、その子の状況に応じて個別の指導計画をしっかり作成する、そして、関係機関との連携に関する個別の教育支援計画がとても大事になってくるということになりますけれども、先ほど事務局から御紹介があったように、幼稚園における個別の指導計画や個別の教育支援計画の策定率が、小学校と比較すると低いという現状にあるというお話でした。やはり、大事なこととしては、幼稚園の先生一人一人が抱えることがないように、特別支援教育コーディネーターという制度がありますので、そういったことを中心として、園内外の体制を整えていくことだとか、教職員に対する特別支援教育の研修の充実、さらにはもう一つ進んでいくと、研修だけではなく、養成段階での学習といったことも必要になってくるのではないかと思っています。
この春から、障害者差別解消法が施行されていくわけですから、やはり、合理的配慮について教職員がしっかりと意識していくこと、そして、共生社会の形成に向けて障害のある幼児との交流共同の充実なども望まれていくのではないかと思っています。
最後に、幼稚園については、他校種と比べて、やはり、比較的に職員の規模などが小さい園も非常に多くございますので、結果として、特別支援教育コーディネーターの配置が低い、計画の策定ができていないというような課題もあると思うんです。ですから、幼稚園教育要領に規定する際には、幼稚園の教員に過度の負担が掛からないということも配慮した上で、幼児期における特別支援教育の充実を図っていくということを是非進めていただきたいと思っています。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。ほかに。では、渡邉英則委員、お願いします。
【渡邉委員】  まずは、特別支援に当たる子か当たらない子かという子たちが増えてきていて、それを診断名が出るか出ないか親の受け止め方とかいろんなことがある。傾向として、例えば、私立が、多分、ちょっと手が掛かる子を入れたくないとか入れないという、それで、ある園に偏るとかという話がある。特別支援教育コーディネーターが幼稚園の設置は60%という数字だけで見てしまうと、多分、もうそういうのを作らなければいけないとか、個別の計画を作らなければいけないとなってしまうと、そこのところで受け入れができないというようなところがあるのではないか。そういうところでいうと、多分、幼稚園という入り口のところで、2歳から3歳ぐらいのところで、丁寧にどういうふうに関わるかとか、その保育をどうするかということをきちんと本当に充実させていかないと、まずは受け入れていかないというような園が多数まだあるんだろうと思います。
そのときに、今回の、僕は4番のところの共生社会の形成に向けた障害者理解の促進、交流及び共同学習の一層の充実というのは、その子と、ある意味では、クラスの子供たちとかがどういうふうに関わるか、病名とか診断名で見るわけではなくて、いろんな人がいてよいのだとか、それから、できるかできないかだけで見るわけではなくて、できない子でも一生懸命やろうとしたときとか、それから、できたことがすごくよかったというのをきちんと認めることというのは、幼児教育の根幹に関わることで、そういう中で、多分、保育者も、それから、ある意味で子供も親たちも、幼児教育はそうやって人と関わりながら学び合っていく、それも多様な子供たちがいる中で、相手の気持ちを理解していくというようなところにきちんと位置づいていくというためには、特別支援教育をどういうふうに位置づけるかというのはすごく大事なことで、ただ、どちらかといったらば、多分、1番目はよいのですけれども、2番目、3番目を先にこうやって言ってしまうと、窓口で排除されてしまうというか、入園を許可されないみたいな形にもなってしまうのではないか。どこの園にもいながら、その子たちがきちんと位置づかれていって、幼児期ぐらいのところで、普通級とか特別支援学級とかに分かれるわけではなくて、みんな、そうやっていろんな子がいてよいのだというような考え方が、これから小学校側にとか、中学校とかも、ある意味では社会にきちんと位置づいていくというような、幼児教育から発信するときの特別支援教育ということの位置づけというのは物すごく意味があるような気がしていて、そういう意味では、そういう幼児教育のほとんど基本的な考え方が、特別支援教育の考え方とぐっとクロスしてくるみたいなところが、何かしらで示せるということが大事ではないかなと思っております。
【無藤主査】  ありがとうございます。ちょっとだけ解説的なことを加えると、前半でおっしゃっていただいたグレーの子が多いとか、診断名が付かないというのは、現状、そのとおりだと思いますけれども、個別の支援計画というのは、基本的には保護者と相談が必要だと思いますし、個別の指導計画は多分、保護者と相談できていないとは思うんですけれども、実質的にはやはり保護者にお見せしなければならなくなるだろうと思うので、そういう意味でも、保護者との関係が重要で、作ればよいというものではない気がいたします。
後半は、本当に、幼稚園教育、幼児教育の根本理念に関わる大事な御指摘で、それをどう幼稚園教育要領の中に盛り込むかを考える必要があると思います。特に、原則と言いますか、ほとんどの幼稚園に特別支援の学級みたいなのが編成されることはないわけですので、あくまで、小学校以上でいう通常学級に入ってですから、その中でどの程度個別の特別な指導支援をするか、あるいはクラスの中の一人一人の子供を大切にする中で、その子も大事にするという話なのかのあたりも非常に難しいし、また、御指摘のように、私立幼稚園の多くにとって、やはり、受け入れ体制が整っていないという単純な理由もあるし、それから、担任の先生方が余り慣れていないとか、研修を受けていないという事情も現実にあるわけです。
非常に個別的事例ですけれども、私が関わっている、私のところの附属幼稚園なんかは2階建てで、階段とか段差がありますので、車椅子の子がもしいらっしゃったら工夫が必要なわけですけれども、様々な園の事情がありますので、そのあたりについて、幼稚園教育要領の問題でないかもしれませんけれども、是非、御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、北村委員、お願いいたします。
【北村委員】  ありがとうございます。先ほどの渡邉先生の後半のコメント、今、無藤先生もおまとめいただきましたけれども、本当に幼児教育において非常に大事だと思いますし、インクルーシブな教育の在り方ということを考えるときに、幼児教育だからこそ本当の意味でのインクルージョンができるのかなと思うんです。ただ、インクルージョンをしていくときに、障害というものだけを特別視するのではなくて、子供の持っているそれぞれの個性が全て多様なんだという考え方からインクルージョンの考え方は出発すべきだと思いますので、そこをそれぞれの教師たちがどう理解するかというのは非常に難しいところで、ほとんどの先生方は、そういうトレーニングを余り受けずに現場に出てこられていると思いますので、例えば、アンチバイアス教育について学ぶようなことなく現場に出ていると思いますので、そういったことを養成の段階からきちんとすることが大事ではないかなということが1点。
もう一つは、今のこちらの解説の方でも、一応、障害のある幼児への指導の在り方ということでいろんなことが書かれているわけですけれども、余り明示的に書かれていないのが、障害のない子たちの保護者が理解を深めるということも非常に大事なことで、本来は当事者なんですけれども、意識を持ちにくい周りの保護者が、特に小学校以降ですと、そういう障害のある子が入ったときに、その子たちが自分たちの子供の学習の妨げになるということを思う傾向などがありますけれども、幼児教育の場合は、むしろ、そういう子がいるからこそ、子供たちの学びが豊かになるんだということを、障害がある、障害のあるなしというのも、本来はその線引きがおかしな話かもしれませんが、いわゆる当事者ではない子供たちの保護者たちの理解を深めるような働き掛けも、きちんと明示的に幼稚園側が考えていく必要があるのではないかなと思っております。
【無藤主査】  大事なポイントありがとうございます。最初の方に出た幼稚園教員の養成課程のことは、幼稚園教育要領自体ではないんですけれども、この告示の後に御検討いただけるのかもしれませんが、今のところは、幼稚園教育の養成には障害児に関わる授業科目とか、特別支援教育の要件はないわけです。保育士の方には入っていますので、幼保両方やっているところは、障害児の保育も学びますけれども、その辺の検討は必要かなと思いました。ありがとうございます。
では、田中委員、お願いします。
【田中(雅)委員】  いろいろな地域がある私立幼稚園ですので、障害の子供が入りにくいという地域が恐らく関東の一部にはあるのだと思いますけれども、それぞれの行政、特に私立でいえば市町村レベル、これは全体の運営は県レベルなんですけれども、特別支援の関わりでいえば市町村レベルとどう関わりを持っていくのかという仕組みを作らないと、小学校との関係とも難しさがあります。
それを育んでいく風土というのをどう作るのかということをもうちょっと、ここの部会なのか分かりませんけれども、広く検討していっていただかないとならないかなと。中教審の委員でもある京都の門川市長が、私立幼稚園の担当のときから、特別支援の補助のシステムについて私立幼稚園に関わってきて、よくやってくれている。京都の私立幼稚園でいえば、全ての園で全ての子供が入っていますよねという地域ができているわけで、それをどういう仕組みで作っていくのかなということはもうちょっと考えていかなければならないと思います。
もう1点は、私の園でも大阪教育大学の支援のところに学びに行かせた職員とかがいるんですけれども、いわゆる現職の教員の中で、養成課程ではなかなか難しそうな気がするので、現職の教員が特に特別な支援が必要な子供に対する学びを深める仕組みをどこかで、これはもう正面立って考えてほしいなと。それを出したところに対して、例えば、私学であれば別の教員を入れなければならないわけですから、そういうような仕組みがあれば、それぞれの現場の学びというのはもう少し深まると思います。ここの部会の話ではありませんけれども、是非、大きな視点の中で検討していただきたいと思います。
【無藤主査】  ありがとうございます。前半に関わっては、一つは、この4月から幼児教育アドバイザーという制度が動くようですけれども、その中に組み込むというのはあり得ることでございますね、こういう特別支援についての助言ができるような人材を育てるという意味ですけれども。また、それと別に、いわゆる巡回相談というのが、私立幼稚園も含めてやるような地域が増えていると思います。
もう一つの問題は、障害があると言いますか、特別支援を要すると言いますか、お子さんがいる場合の加算措置の問題。これは、内閣府の子ども・子育て会議の方で、子ども・子育て支援制度の中で、基本的にそういうお子さん二人に一人ぐらい付けたいということで動いてはいるんですけれども、それの充実とか、どうしても自治体が間に入るので全部に普及してはいないと思いますけれども、やっぱり、そういう努力も必要かなと理解しました。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。とりあえずはここで切らせていただいて、いつでも思いついたら戻って結構ですので、御発言をお願いしたいと存じます。
それでは、2番目の議題ですけれども、幼児期において育みたい資質・能力、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化という部分について、よろしくお願いいたします。ここでは、ある程度長い時間をとりたいと思いますので、一度ならず御発言はできるかと思いますので、よろしくお願いいたします。どなたからでもというか、ここについては、是非、全員の御発言をお願いしたいと思います。いろいろな、いわゆる事務局の苦心の作と言いますか、ポンチ絵があるので読み取りがかえって難しいかもしれませんが。
田中委員、お願いします。
【田中(孝)委員】  失礼します。新しく図を作り直していただいて、すごくイメージと重なってくる部分が多くなっているなと思って、すごく有り難いなと思っています。
資料4についてなんですけれども、こちらは、個別の知識や技能の基礎、それから、学びに向かう力、人間性、思考力・判断力・表現力、このあたりが絡まり合いながらということを表現してくださろうという意図で赤い矢印が入っているんだろうというふうに理解しているんですけれども、これはスペースの問題かと思うんですが、個別の知識や技能の基礎と、思考力・判断力・表現力等の基礎、ここの間には矢印が入っていなくて、単純にスペースの問題のように思うんですけれども、図になると、ここだけないのが意図を持って書かれているように受け取られてかねないなということを思いますので、少し工夫していただければ、そういった矢印が表現できるのかなと、絡まり合っているということがより表現していただけるのかなということを思いました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。渡邉委員、どうぞ。
【渡邉委員】  詳しくは言わないんですけど、単純な話なんですけど、遊びを通して知るとか学ぶってこんなにおもしろいんだとか、そういうことを体験するということが幼児期の本当に一番基本なんだという話になると、資料4とか資料5の、難しいかもしれないけど、真ん中にどかんと、中心部分に遊びを通してとかというふうに、何か、遊びを通して本当に知ったりとか、知ったことをまた繰り返し、壊していってまた作り直していったりとか、そういう自分で感じたり気付いたりしながらいろんなことに視野を広げていくという、遊びを通して子供たちは知るということもどんなことかとか、学ぶということがどんなことかって、それを十分やることが幼児教育なんだという意味では、どこかに、各教科の領域のところの特質、見え方、考え方とか、それから、育成するという話の中でいくときに、どこかで遊びというものをどういうふうに出すかというのは、考えていただけたら有り難いなというのが最初に感じたものです。
【無藤主査】  ありがとうございます。遊びを通して学びの喜びを知るとか何とか、そういう感じですかね。
【渡邉委員】  そういう感じです。
【無藤主査】  まさに、総合的な指導と呼んでいるのが具体的にいえばそういうことになると思います。
桶田委員、お願いします。
【桶田委員】  ありがとうございました。最初に三つの柱というのが出たときには、この中身、どうなってくるのだろうと思ったのが、資料4になって、こういうふうに分かれていくんだという重なり具合も含めてとても分かりやすくなったと思います。
それで、資料4の2枚目の方になると、またちょっと分からなくなってしまうのが、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿と要領のことがここに並んでいる、つまり、私の中では資料4と資料5のこれがどう重なっていくのかなというあたりが、どう理解したらよいのかが、それぞれの理解にしかまだ自分の中ではなっていないので、この5領域のことと三つの柱がどう絡まるというあたりが、もう少し、どうやったらよいか分からないんですが、出てくると有り難いなと思ったことと、先ほどの渡邉先生のお話で、資料の5の真ん中に遊びがと言われたときに、私もこの5領域が重なっている姿はよく保護者の方に説明するんですが、真ん中の重なり具合の微妙なところが、なかなかどう重なるかによってまた理解が違ってきてしまうのかなと思っていたときに、遊びを真ん中に入れればよいのだということで、すごくすっきりしましたので、それはすごくよい考え方だなと思いました。
以上です。
【無藤主査】  そうですね。今見て気付いたけど、資料5の五つの丸は全部が重なる部分が必要かな。ちょっとそこまできのう見なかったですけど。ちょっと、これだけだと特定の領域だけがつながったりしかねないのでね。
事務局から何か補足はありませんか。みんな、多分、消化に追われている感じなんですけれども。資料4と5というか、そこに、むしろ皆さんの委員の意見を頂きたいということかな。あれば、どうぞ。
【沓澤子育て支援指導官】  無藤主査、よろしいでしょうか。
【無藤主査】  はい。
【沓澤子育て支援指導官】  今回の資料は、資質・能力の三つの柱に沿って改訂するということで、各教科の方で共通に資料を作っているということでございまして、2枚目のペーパーの真ん中にあるところ、この三つの柱が動かしているところが真ん中にありますけれども、ここの部分をもうちょっと詳しく解説したと言いますか、ちょっとコンテンツを入れた形で示しているというのが、この1枚目のペーパーになってくる、そのような関係の資料となっております。
【無藤主査】  はい。幼稚園教育要領にどう書き込むかというのはまだ少し先なんですけれども、いろいろ御発言いただきたいと思います。では、志民委員、お願いします。
【志民委員】  よろしくお願いいたします。資料4についてなんですけれども、先ほど、渡邉委員の方からありました遊びを真ん中にというようなアイデアもとてもすばらしい意見だなというふうに伺っておりました。やはり、そういった心情であるとか、それから意欲につながるようなところというのも、更に重視していく必要というのはあるのかなと感じたところです。例えば、私の専門の音楽のところで言いますと、伝わった実感とか、それからあと、自信ですね。伝わったことによる自信とか、伝え合う喜びとか、それから共有するような楽しさというものも、多分、一番下のあたりになると思うんですけれども、そういったところの重視をしていただけるとよいかなということ。それから、あと、左のところの個別の知識とか技能のところにも関わりますけれども、技能の更にもっと基礎となるような身体感覚や感性みたいなところも是非盛り込んでいただけるとよいかなと。これ、どこの円にというか、重なる部分になるのかもしれませんけれども、そういったことであるとか、もう一つ、これも以前の部会なんかでも発言させていただいておりますけれども、文化への憧れというようなところなんかも、そういった心情面、情意面につながっていくところとして、入れていただけるとよいかなと思いました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。全体にも関わりますが、特に幼児期の終わりまでに育ってほしい姿、10になりましたけれども、その中の豊かな感性と表現あたりを少し書き込めるかなと思いました。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。それでは、横山委員、お願いします。
【横山委員】  大部の資料の作成、どうもありがとうございます。随分細かな語彙のところも気を付けて作ってくださっているなというのを感じ取りました。
4と5なんですけれども、今、読み取りが難しいというのは、このそれぞれの資料で何を一番言いたいのかというのが見えないんだなという、細やかに丁寧に入れ込んでくださっているんですけれども、資料4のところでも、渡邉委員がおっしゃってくださったみたいに、幼児教育、ここは何が一番大切なのというのが遊びであるとかという部分が、ポンと見える形で書いていただけると、浮き上がるのかな。何分、平面に入れ込むのはとても大変なんですけれども、でも、この図で何を言いたいのかというの、一番のメッセージだと思うので、そこを書いていただければなと思います。
それから資料の5の方も同じなんですけれども、総合的な見方や考え方って、一体何だろうというのがないんですね。今、それこそ遊びを通してのところなんだと思うんですけれども、領域のところでこういった見方というのを書いてくださっているんですけれども、総合的というのは、それを重ね合わせて全部見ることなのか、そうじゃなくて、共通するようないろいろな状況に思いを巡らせたりだとか、好奇心を持つだとか、関心を持つとか、人との関わりみたいな、何か違う総合的な見方というのがあるんだと思うんですけれども、その一番大切なところが見えるような出し方、メッセージが見える図の書き方、ここまで出てきていたら、次の一歩というのが見えるとよいなと思いました。
【無藤主査】  ありがとうございます。なかなか難しいんですけれども、でも本質的な部分だと思います。ほかにいかがですか。
じゃあお願いします。大方委員。
【大方委員】  ありがとうございます。本当にこうやって図式化されるとよく分かるんだなと思って、細やかな資料をたくさん御用意いただいて、感謝を申し上げたいと思います。
これ、確認というか、伺いたいところになるんですけれども、資料5のところの一番下の赤のラインのところは、「遊びや生活を通した総合的な指導」と書いてあって、そして資料4のところの2ページ目の、領域と幼児期の終わりまでに育ってほしい姿のところは「遊びを通しての総合的な指導」という形になっているので、もし同じ意味ならば、「遊びや生活」とどちらも書いた方がよいのかなと思ったところです。「遊び」なら「遊び」の方がよいかなと。
それから、よく「環境を通して」というのが、資料8のところで、「環境を通して行う教育」から上がっていく、幼稚園教育要領の文言もそうなっていて、その一番下の濃い紺色の藍色のところの左のところは、「意図的・計画的に構成された環境」となっています。これが資料5になったときには、「環境を通して」というより、幼児教育の「意図的・計画的な人的・物的な環境の構成」ということが、大きく出ていると思うんですね。その辺のところが、実際に現場に下りていったときとか書くときに、言葉の使い方として、非常に計画性というのは大事だと思うんですけれども、「環境を通して」というイメージが、実際に現場の先生が共通理解しやすい方がよいのかなと。二つ、いろいろ見ると、ちょっとずつ誤差があるような感じがしました。
それから、社会的教育課程と言われたときには、入園前の姿もあって、生活活動が土台にあって、そこから分化した遊びというものが、幼児教育の集団保育の中でも出てくると思うので、遊びと生活を本当は並列させるというより、生活といったら、もっと大きな生きていく姿そのものの中の生活活動であり、そこからごっこ遊びというのが育ってくる部分もあるんじゃないかなと思いましたので、その辺の位置付けが混乱しないようにした方がよいのかなと思ったところです。
もう一つ、資料4のところの個別の知識・技能の基礎のところに、丸の中の一つ目が基本的生活習慣の獲得になっているんですけれども、基本的生活習慣の獲得というと、どうしてもしつけ的なイメージで、その部分だけが生活というふうにクローズアップされないように、今の子供たちにとっての生活活動の必要性というのは、もっといろいろな体験全部の生活が社会的に含まれると、これを見ると、生活習慣、生活、生活習慣の獲得は当然必要な項目なんですけれども、というふうに、これは私の質問でもあるんですけれども、御確認いただけたら有り難いと思いました。
【無藤主査】  今の辺りで、事務局から何かございますか。
【沓澤子育て支援指導官】  ありがとうございます。用語の整理につきましては、もう一度、横並びも見まして検討させていただきたいと思います。
今、大方委員の方から言っていただいた個別の知識・技能の基礎のところの、一番上のところの基本的な生活習慣の獲得のところですけれども、ここの部分につきましては、幼稚園教育要領の健康の部分の内容のところでのキーワードを抜き出して、書かせていただいているところということでございます。表現の仕方をちょっと工夫して、先生が今おっしゃられたように取られないような感じにしたいと考えています。
【大方委員】  ありがとうございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。
渡邉委員。
【渡邉委員】  「関連して」という言い方がよく分からないんですけれども、これ、生活科のさっきの資料13の7ページのところに、「育成すべき資質・能力の関係(案)」と書いてあって、思いや願いを持って活動・体験をして感じて表現・行動すると書いてあって、この整理の仕方とか、それから、そこに書いてある思考力・判断力・表現力の中に、例えば一番右側のところに、「伝えたり、交流したり、振り返ったりして表現する」とか「生活に生かしたり、生活を豊かにする」とか、真ん中もそうなんですけれども、「比較したり、分類したり」と。
多分、この幼稚園教育要領の言葉を使うと、言葉とか基本的生活習慣とかになっちゃうんですけれども、本当に学んでいくという言葉の中に、幼児期って、豊かな生活をする中で、子供たちが本当にいろいろな体験をしながら、そこでその生活をより豊かにしていくとか、友達と関わり合ったりとかというところでも学び合っていくとか、そうやって子供たちが成長していくんだというイメージで、その中に生まれてくるものがこういうもの、結果として出てくるのは、これから出てくる資料6みたいな話になってくるんだろうと思うんですけれども、それがどう育っていくかというのが、もうちょっと言葉を整理してやっていってもよいのかなというのもあったりするので、その辺の言葉の入れ方というか、幼児教育ってこういうものだというのを1枚の形の中に入れようとしていて、それがまた幼稚園教育要領になるのかもしれませんけれども、少しその辺のところは、生活科と、それから幼児教育のところで整理をしながら生活科と総合学習につながっていく、そもそも本当は、もっとベースになるものというのがどういうことなのかというのは考えてもよいかなと思いました。
【無藤主査】  ありがとうございます。生活科と多少生活とか遊びの意味合いが少し違うところがあるのですけれども、ただ、今回は特に幼・小のつながりが大事ですので、それを是非検討していただきたいと思います。
では阿部委員、お願いいたします。
【阿部委員】  ありがとうございます。まとまってきているかと思うんですが、もう少し加えて、先ほど志民先生の方からもありましたように、情緒面とか情操を育てるということとか、表現する喜びとか、やはりそういったところ辺りが、この赤いところに入るのか、今の思考力・判断力・表現力になるのか分かりませんけれども、子供たちが基本的に表現する喜びを持って、それから創造性とかそういったところで、クリエイティブなところがもう少し見えてくるような文言も加えていただければなと思っています。
【無藤主査】  ありがとうございます。是非その辺りを考えたいと思います。
では奈須委員、お願いします。
【奈須委員】  よろしくお願いします。資料4の方はよく分かるんですけれども、資料5が難しくなってきているんだと思います。これは実は小学校以降もそうだと思うんですけれども、資質・能力の三つの柱と見方・考え方というのは、どういう形態やどういう水準になっていて、どう絡むのかというのは、小学校以降もなかなか難しいところが本当はあるんだろうと思っているんですけれども、幼児になると、いよいよ難しいんだなという。総合的な見方や考え方という表現が、横山先生も言われましたけれども、この内実がはっきりしないのだろうなと思います。
ここで言われていることは、上に上がっていくと、教科に分化していく。教科というのは領域もありますし、いわゆるディシプリンですよね。世界を見る認識の方法が、発達的に、より分化していくんだと。この段階ではまだ未分化で、いろいろな対象も、ある意味で、よい意味でごちゃ混ぜになっているし、それに対してどうやって迫るかということも、少しはっきりしないということなんだろうと思いますけれども、ただ、総合ということは、もう一つ上の方の話で言うと、今度、各教科で学ばれたものが統合されて汎用的になるという話は、もっと逆に上の方で、小・中・高で行くとあるわけですよね。
例えば資料7を見ていくと、小学校教育の話があって、「教科等の特質に応じた『見方や考え方』や資質・能力を育むと同時に、教科横断的にそれらを総合・統合」すると。つまり、国語・算数・理科・社会で培われた見方が、単なる個別にその領域に収まっているわけではなくて、教科横断的に統合されてくると。これが汎用的になってくるとか、領域を越えて自在に活用が利くようになってくるという意味で大事なんだけれども、こういう意味での、個々で培われたものが、その領域を越境して汎用性を持つという話と、ここの幼児教育で言う総合という話は、多分、随分様相が違う話だと思うんですけれども、そこを両方とも「総合」という言葉を割と広く使っちゃうと、どうなのかなと思ったりして。つまり、領域に分化しないという意味では、低い年齢層で行われていることはそうなんですけれども、また、一遍分化したものが統合化されていくという話が上の方ではあって、その辺をどう考えるのかなと。
もう一つは、その意味で言うと、ここで言う幼児期に言う「総合的な」といっても、そういう分化したものが統合されているというものではなくて、まだ未分化であるとか、対象がそんなに枠が整理されてはっきりしていない、これは重なっているということもそうでしょうし、方法論的にもそんなに、これに対してこれをやれば合理的だとかということがはっきり見えているわけではなくて、問題解決の水準もそんなに高い水準ではないので、いろいろなことをいろいろな対象に対してやっている、でもそれが有効であるとか、自信を持つとか、面白いとかということなんだろうかなと思うんですけれども、何かこの「総合的な」という言葉で幼児期の特質を出そうとしていると同時に、これがちょっとぼんやりとしちゃうので、どうしようかなということだと思っています。済みません。
【無藤主査】  ありがとうございます。 それで、「総合的な」という言葉は本当におっしゃるとおりで、特に小学校以上の総合的な学習の時間が入りましたから、そこで言う総合は、まさに分かれたものをもう一度という感じがあるんですけれども、幼稚園の場合には、もともと分かれていないと言いますか、そういう意味でなんですが、ただ、幼稚園教育の中で総合的って、以前、大分前から使っている用語なので変えにくいというか、こっちが先だということなんでしょうけれども、ただ、見方・考え方の部分は、私、前回も発言した気がしますけれども、ある意味では分化していくことの芽があるということではあるので、それによって5領域の成立根拠が必要ですから、ちょっと表現が難しいんですけれども、それが必要だと思います。
それと、例えば「総合未分化」という言い方がよいかなと、私もいろいろ考えるんですけれども、何となく幼稚園教育の中に否定用語で表現したくないなというのが個人的思いなんですけれども、未分化の「未」ですね。何か「していない」とか「できない」とか「まだだよ」という言い方ではないポジティブな表現を探してはいるんですけれども、なかなか難しいので、是非案があれば教えていただければとは思っております。よろしくお願いいたします。
それでは宮原委員、お願いいたします。
【宮原委員】  私が感じたところを申し上げますと、資料7の2ページ目の下に書いてありますように、小学校を前倒しにしたようなイメージに取られかねないなというのが、この最後の文には「行うことを意図したものではない」とありますけれども、何か幼児教育のよいところが真ん中にドンとないようなイメージもありまして、先ほど渡邉委員さんが言われたような、1ページ目のちょうど重なっている部分辺りに「遊びの有効性」だとか、あとは、いずれにせよ小学校・中学校になりますと、認知能力みたいなところで評価されるところがありますから、幼児教育こそ、非認知能力と言いますか、何にでも関心を持つというところに非常に重きを置いて、小学校の前倒しではないというところの表現がどこかにできないかななんて思っております。
というのも、民間なんかは、私なんかも勤めていますと、大学がもう本当に企業の予備校みたいなことになっていたり、あるいは高校も、よい大学へ行くための予備校みたいになっていたり、何か世の中全体が前倒し前倒しで、早く早くというようなキャリアになっているような感じもしますので、幼児教育は逆に言うと、少し試行錯誤と言いますか、何にでも関心持って、なおかつ、失敗を繰り返すことの意義みたいなところを、幼児教育のよいところを少し真ん中に置きながら、なおかつ、結果的にそういう三つの柱の辺りが整理できればよいかなと思いまして、少し感覚的には小学校教育の前倒し的な印象も、私としては否めないなというところを感じた次第でございます。
以上でございます。
【無藤主査】  何とか誤解されない書き方、描き方が必要だと思います。資料7の2ページ目ですけれども、スタートカリキュラムのイメージ、これは小学校側、特に生活科との関連の中で作っていらっしゃるのかなとは思うんですけれども、下側は要するに幼児期の終わりまでに育つ姿10個出していて、これは非常に事務局の苦心だとは思うんですけれども、青い色が濃くなっていますよね。よく見ると分かるんですけれども、そこが上とつながっているんだけれども、グラデーションという表現で。
【宮原委員】  このグラデーションがそうなんですか。そこは気付きませんでした。
【無藤主査】  いろいろ、つながっているよという。だけど理解してもらわなければしようがないので、もうちょっと検討させていただきたいと思いますけれども。
じゃあ砂上委員、お願いします。
【砂上委員】  今回、資料4、資料5とまとめていただきまして、とても整理されてきたかとは思うんですが、先ほどから出ている総合的な指導ですとか遊びという、幼児教育のかなり重要な教育の方法という内容ということと、この育成すべき三つの資質・能力というところの関連が、うまく出せる必要があるかなと思います。
育成すべき資質・能力というと、どうしてもゴールのように捉えられるんですが、プロセスの中に、日々の活動の中に、この三つがバランス良くあるというか、教師がしっかりとこの三つの視点で子供の日々の活動を捉えていけるかどうかということと、あと、この三つを非常にバランス良く育てていくには、子供にとっては遊びが最も幼児期にふさわしいとか、子供の興味・関心から出発するということがとても大事なんだというところを、うまく言っていけるとよいかと思います。
特にこの思考力・判断力・表現力というのは、それを幼児なりに、3歳なら3歳なりの思考力・判断力・表現力というのを発揮できる経験がないと、これが身に付いていかないということなので、そこをゴールとしてというよりは、そのプロセスの中でこういうことをしっかり教師が捉えておいてバランス良く展開するということと、あと、資料5の方なんですが、この雲形で吹き出しになっているところの文章に少し整理が必要かなと思うのは、例えば健康のところですが、「健康で安全な生活を作り出す視点から捉え、いろいろな状況に思いめぐらせ、心や体を動かせること」とあるんですが、二つの文節のうち、この「捉え」という方は、多分大人、教師側の捉えだとは思うんですが、心や体を動かすのは、これは幼児が主語になってくると思うので、そこの整理が、「捉えて、動かせ、働かせる」というのが誰がやることなのかという整理が必要ではないかなと感じています。ですので、活動の中で子供が見せる姿として記述するべきところと、教師の役割として教師が考えるべき点というところの書き分けが必要ではないかと感じました。
以上です。
【無藤主査】  最後の御指摘の資料5は、見方・考え方が五つの領域について文を入れてあって、まだおっしゃるように、主語その他の整理が必要だと思うんですけれども、それぞれ一文で書いてあって、よく読むと分かるんですけれども、三つの資質・能力に合わせて、3フレーズというんですか、似た表現でそろえてあるということですね。そういうことも御覧いただきながら、御検討ください。
それでは白旗委員、お願いします。
【白旗委員】  資料を見ながら、本当に事務局の方で御苦労されて、一歩一歩前進しつつここまで来られているなということに、本当に敬意を表したいと思います。特に幼小の円滑な接続という点では、これほどしっかりと踏み出すという点で、非常に大きな、今回、改訂になるのかなと思っております。
ただ、今、大変有り難いと言いつつ、なかなかパッと見たときに、全体を理解するのが多少時間掛かるなというところがありまして、なぜ時間かかるのかなと思ったときに、一つは言葉の問題で、もう一つは資料の関係性の問題かなと思っています。
見方や考え方、これは重要な視点で、小学校以降につながるところということで説明もありました。それから、ずっと言われてきている資質や能力、三つの柱ということがありますが、この関係性って別物なのか一体化なのかという辺りが、資料7の最初のページの一番下のところを見ますと、「遊びや生活の中で、幼児期の特性に応じた『見方や考え方』や資質・能力を育む」ということは、別物だという言い方なんでしょうかね。この関係性がよく分からないと、今回の改訂ってこうなんだよと一言でまず言えて、その後に、三つの資質や能力の柱ということで言うとこういうことでという、まず全体を貫くようなものがあると有り難いなと思います。
その後に「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」ということになりますと、三つの柱があって、次に5領域があって、今度、10の姿というんですかね、あるので、これがどういう関係性になっているのかなということが明快になることによって、先生たちが頑張っていく方向性が見えるんじゃないかなということを、とても感じました。
総合という言葉も先ほど出ましたけれども、話そうと思ったんですけれども、無藤先生が分からないということでは、多分私などは絶対分からないなと思ったので、言うのはやめておきます。
以上です。
【無藤主査】  御指摘いただいたところの幾つかのたたき台の間の関係性は、私などはまだ、どう表せばよいかまで頭が行っておりませんので、事務局としてもそれぞれを作るというところでやっとここまで来たので、まさに今日から4月の下旬までの間にしっかり作らなければいけないと思いますので、是非その辺りの御示唆も頂きたいと思います。
それでは北村委員、お願いいたします。
【北村委員】  ありがとうございます。実は今、まさにコメントいただいた、関係性が見えないということを僕も感じていまして、特に次の議論にもつながるんだと思うんですが、この評価ということを考えるときに、評価の出発点がこれだと思いますので、これを踏まえて評価をしていくということを考えると、この関係性がよく分からないままに評価の話をしてしまうと、何を言おうとしているのかというのが見えてこなくなるかと思いますので、やはり今、三つの柱や見方・考え方というところ、この整理というのは、もう少し何かしなければいけないのかなと感じました。
もう一つ、先ほど御指摘あったことで、これもずっと議論してきて、この言葉を使っているので、もうこれでよいということなのかもしれないんですが、先ほど生活というのはもっと広い意味じゃないかというお話がありましたが、遊びや生活を通したというので、遊びは、でも確かに生活の中にあることでもあると思うと、単純に一般的な理解としては、「生活の中での遊びや多様な活動体験を通した総合的な指導」とか、何かそういった表現の方が、より適切な気はするんですが、ただ、ずっと幼稚園教育要領の中で、生活という言葉はこういう使い方で構わないんだということで広く理解があるのであれば構わないとは思うんですが、一般的に見たときに疑問を思う表現になってしまっているのかもしれないなと感じました。
【無藤主査】  遊びと生活というのは、どう簡潔に言い表せばよいか難しいんだろうと思うんですけれども、幼稚園教育要領の総則では、一番基本のキみたいな、最初の部分が「幼児期にふさわしい生活」とあって、その次に「幼児の自発的な活動としての遊び」となりますので、やはり生活が基盤で、その上で遊びが生まれて育っていくということなんだろうと思います。ただ、それをどう簡潔に言うかとか、指導との関連でどう表現するのか、もう少し拾えるような気がしました。ありがとうございました。
それでは桶田委員、お願いいたします。
【桶田委員】  資料7なんですけれども、幼稚園教育のピンクの中の2行目のところの、「得意なところや苦手なところ」という言葉がちょっと引っ掛かってしまいまして、できるできないを言っているように伝わらないかなと思いました。
「苦手」というよりも、「経験していない」とか、「まだそこまでやっていない」とか、入園する前も経験していなかったということになるので、先ほどの無藤先生の否定的な言葉になってしまうかもしれないんですけれども、未熟とか未発達とか未経験とか、そういう意味で何か言葉がないかと思う。苦手にすると、そこを頑張らせなくちゃいけないということになってしまいそうなので、経験の幅を広げていきたいんだという形になるとよいかなと思いました。
以上です。
【無藤主査】  その辺は検討できると思います。
では渡邊委員、お願いいたします。
【渡邊委員】  図の書き方のことになってしまうんですが、ちょっと違う考えもあると思うんですが、資料4のところで、先ほど真ん中に遊びとかを入れるということも出てきているんですが、私は、この一番白くなっているところに全体に、「遊びを通して総合的な指導」とか、どのような環境の中で育つのかというような、例えばこの資料8の一番資料に書いてありますよね、「環境を通して行う教育」、「幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき意図的・計画的に構成された環境」、「幼児期にふさわしい生活の展開」、この辺のところの文言が、この白いところ全般に来て、その上に個別の知識や技能の基礎とか、思考力・判断力・表現力の基礎とか、それから学びに向かう力、人間性等というのが来たらよいのではないかということで、先ほど全部を構造化する表があったらよいということでは、縦に書いてみなさいと言ったら書けないと思うんですけれども、何層化構造になるような、何か1枚そういうものがあると、この図が一つになってくるのではないかなと感じました。私も考えてみたいと思いますが。
それから、この学びに向かう力、人間性等というのは、三つがこうなるというよりは、どちらかというと、個別の知識や技能の基礎、思考力・判断力・表現力の基礎が総合的にできたものが、この学びに向かう力になってくるんじゃないかと思うので、みんな高層、上の方に重なってくるという形のものを平面で図式するというのはとても難しいんですけれども、何かそのように感じました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。それも是非検討してもらいたいんですけれども、三次元のCGにできていないので、なかなかどうすればよいかなと。
あとは、これ、非常に細かいどうでもよいことなんだけれども、世の中に出回ったときに白黒でも分かるようにしておかないと、我々委員はカラーの方がよいのですけれども、これをみんなコピーして読むので、そこまで考えるとますます難しいんですけれども、何とかやってもらいたいと思っております。
じゃあ寺岡委員、お願いします。
【寺岡委員】  よろしくお願いします。私も資料7なんですけれども、1枚目の小学校教育の方の点線の四角の中なんですけれども、たくさんの小学校教員も、これを目にして幼児教育とのつながりというのを意識するのであれば、「生活科を中心とした」という文言は、それはそのとおりで、生活科を中心としていくべきなんですけれども、じゃあ他教科は接続を意識しなくてよいのかというと、そんなことはなくて、国語では言葉遊び、音楽ではリズム遊び、体育ではボール遊び、身体遊び、図工では色水遊びとかといった、様々な遊びを通して気付きを促したり、学びを深めたりということを、小学校教育、特にスタートカリキュラムでは大事にすべきだと思いますので、是非先ほど来話題に挙がっている幼児教育で大切にしている「遊びを通して」という言葉を、小学校教育の中にも、確かに点線の中に「工夫」という言葉がたくさん入っているんですけれども、そこに、学習活動の工夫と言ってよいのかどうかは分からないんですけれども、幼児教育で大事にしてきた「遊び」ということを、教科教育の中でも大切にして学びを深めているんだよということが分かるような書き方をしていただけると、多くの小学校教員が、幼児教育とのつながりの中で小学校教育がスタートしていくんだなという、それも遊びという活動を通して。いずれ小学校では、その遊びという言葉が、学習活動とか思考活動と言葉が変わってくるんだと思うので、その辺の幼児教育とのつながりが、もうちょっと分かりやすくなるとよいのかなと思いました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。その点は、是非生活科の方にお伝えいただくのと、全体をとりまとめます総則の部会なので、そこでスタートカリキュラム、あるいはもう少し広い低学年教育について、最初に大杉室長から紹介ありましたけれども、検討していくので、そこで是非お願いしたいと思います。
ただ、多分、スタートカリキュラムというのは、現在言われているような、1年生の始まりの時期に生活科を中心としてということで、それを発展させる中で低学年教育全体という流れだと思うので、それがもうちょっと見えるように整理するということですね。ありがとうございます。
では田中雅道委員、お願いいたします。
【田中(雅)委員】  この部会で議論するべき内容じゃないのかもしれませんが、教育基本法の幼児期の教育の定義としては、幼児期の教育は生涯の基盤を培うという部分がありますよね。ここは学校教育としての幼児教育と小学校の学校教育としてをどうつなぐのかというのが今の議論だと思うんですけれども、どこかに、幸せな幼児期こそが生涯の基盤で、学校教育とはちょっと違う別のルートの根幹を築いていますよという部分とかを、先ほどの未分化の議論のところからそのことを考えていたんですけれども、幸せな芽の根幹を築いていて、それが幼児期の生活の中で分化を始めて小学校と結び付いていくというのは、それは学校教育のイメージとして非常によいのですけれども、その根幹の中で分化を始めていく中の非認知的な能力との関わりとか、その育ちというものが、学校教育だけではなくて、その子の生涯の幸せを支えていますよねというようなことが欲しいなというのを思ったということです。
【無藤主査】  多分、どこかに教育基本法の引用が入っていましたかね。まさに教育基本法全体で言えば、生涯にわたる成長の基盤として幼児期の教育があるということで、その中で、幼稚園教育が学校教育であるというときに、義務教育及びその後の教育の基礎を培うという、二重構造だと思うので、おっしゃる表現ができるとよいなと思いました。
では田中孝尚委員、お願いします。
【田中(孝)委員】  先ほど各資料の関係性というか、そのものが分かるようにという中に、きっと資料の中に表されている、例えば資質・能力の三つの柱のことと、それからアクティブ・ラーニングの三つの視点ということも含まれているのかなと思いつつ、ちょっと気になったので、重なっていたら申し訳ないんですけれども、資料の4と資料の8を見せていただいたときに、資料の8にはアクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた幼児教育における学びの過程が示されていて、すごく御苦労されているんだろうなということを覚えていますが、その中で、幼児教育において育成されていく資質・能力の三つのものが絡まって育まれていくということがあるんだと思います。中に使われている言葉も同じものがあるんですけれども、これは共通のものじゃないはずなので、ここの辺りの関係も混乱しそうだなという気がします。アクティブ・ラーニングの三つの視点と、それから資質・能力の三つの柱、この辺りの関係も、何か分かりやすいものが現場としては欲しいなという感想を持つような気がいたします。
【無藤主査】  ありがとうございます。結局何人もの方がおっしゃったとおりなんですけれども、それぞれ今、たたき台で別々に出ているものの関係を表す、もう一つ図がある方がよいのですかね。かえって混乱するかは冷静に検討しますけれども。何か一つの図にあらゆるものを入れるのも、また難しいというか、読み取りにくいので、ちょっと検討してもらいたいと思っております。
では鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  私は資料7の方で、幼児教育と小学校教育の接続というところなんですけれども、2枚目を見ていて、今回新たに入ってきた特別の教科、道徳というのがあるんですね。私個人としては、道徳というと、どうしても正しい姿を教えるとか、良い姿にはめ込むみたいな教育のイメージがあったんですけれども、実は以前に道徳教育の専門家と話をしたときに、そうじゃないと。例えば廊下を歩いていてごみが落ちていたら、拾いなさいとか捨てなさいとかと言われてやるんじゃなくて、気が付いて捨てる、無意識に見せる生活の姿、そこが道徳なんだという話をされて、へーっと思ったことがあるんです。
今、現実に幼稚園教育要領の中でも、人間関係の中で友達のよさに気付きとか、いろいろそういうのがあって、今度、小学校の道徳の中では、自分の特徴に気付くとか、それから好き嫌いにとらわれないで接するみたいな表現が出てくるので、幼児期の生活の姿と重なってくるんですね。今まで先生方がおっしゃっていたように、例えば寺岡委員がおっしゃったように、他教科とのつながり、教育の連続性みたいなのというのはすごく大事なことだと思うので、前倒しではなくて、小学校以降の教育の一つの連続性を考えた上で、接続とかつながりというのをきちんと踏まえて見据えていくことというのは、すごく大事なんだろうなと思いました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。小学校以上の道徳は、考える道徳とか議論する道徳というキャッチフレーズの下で指導要領を作ってこられると思うので、それに対して幼稚園教育は、道徳性の芽生えとか規範意識の芽生えとか、ある意味では先行して道徳の基盤を検討してきましたので、その辺り、誤解されない表現に努めたいと思います。
では志民委員、お願いします。
【志民委員】  資料5の表現領域のところなんですけれども、「創造性を豊かに」というのがあります。ここの主語が何だろうかというところも、多少、この後、整えていく必要があるかなと思いますが、この創造性に関して、ちょっと発言をさせていただきたいなと思います。
創造性って何かを作り出すということだけではなくて、例えば音楽で言うと、聴くということにも創造性を働かせるということがあるんですね。例えば何か音を聴いて、これはすばらしいなとか、自分にとって意味があるなとか、そういった自分にとっての価値とか、それから美しさとか意味というものを見いだすということが、創造的な行為だなといつも感じております。
そういった自分の感じ方を広げていくということはとても大切なことではないかなと思っていますが、例えば身の回りにあるような音に耳を傾けるであるとか、それから何度も何度も音を出して、それにこだわって聴いてみるとかということは、幼児なんかはよくやることなんですけれども、そういった中から試行錯誤につながっていったりとか、自分にとってはこういう感じ方をするけれども、他人はどのように感じるだろうかとか、もっと良くするにはどうしたらよいだろうかという、そういった思考力とかというところにもつながっていくと思いますので、そういった創造的に聴くということも非常に大切だと考えております。それが芸術的な情操、価値観、そういった価値観を養っていく基盤になるのかなと思います。
どんなに美しい音楽でも、それに意味とか意義とかを感じない人にとっては、それは雑音でしかないので、そういった音楽の教科で言うところの見方や考え方ということで言いますと、そういった音とか音楽に対して、創造的に聴く、それに価値を見いだす、自分なりの意味や価値を見いだしていくということが、その見方や考え方につながっていくところかなと思っております。
それから、資料7の2枚目のところの、教科に関わっていくところの濃くなっているというところなんですが、前にも申し上げたかもしれませんが、音楽で言うと、全部濃くしてもらいたいなというのが本音ではあるんですけれども、特に社会生活との関わりということで、文化との関わりというところは、上の教科を見ていただきますと、最後のところに社会とか文化等との関わりというところがありますので、そういったところも重要ではないかなというところを、もう一度御検討いただければと考えております。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。その点、修正加えたいと思います。
では大方委員、お願いいたします。
【大方委員】  ありがとうございます。このたくさんの資料は、見れば見るほど非常に奥が深くて、すごく御苦労されていらっしゃって、もともとこの論点のところの元にたどって考えたときに、幼稚園で遊びを通した環境を通してとやっていることが、実際にそれはすばらしいということはみんな分かっているんだけれども、じゃあ何が育っているのかということ、どんな体験を子供たちがしているという部分が、解説書の方でも、「幼稚園においては他の幼児と支え合って生活する楽しさを味わいながら」とか、「活動に取り組む中で多様な体験をする」と書いてあることを可視化するというか、見えるような形で、この資料の7の2ページのような形で、こういうことを実際は子供たちはいろいろしていますよということを表現してくださる中での、このグラデーションも含めた努力をしていただいた結果ではないかと思うんです。
そのことを逆に言うと、幼稚園の先生、養成校の先生も含めて、そのことを教師が知って、役割として子供にちゃんと働き掛けるかどうかということが大事で、何となくふんわりと遊んでおけばよいということではなくて、そのための環境構成という、意図的・計画的ということも入っていたりする部分がありますので、何かそこを、幼稚園教育の中で教師の役割、さっき砂上先生がおっしゃったことにも関係するんですけれども、子供の部分と教師の役割の部分を、ここにどう実際のカリキュラムを作るときには絡めるのかなという部分を、ちょっと思いました。
それからもう一つ、さっき田中 雅道先生もおっしゃってくださっていた部分で、こういう幼児教育独自の大事さというのは、資料7の2ページで、誤解されないように、遊びの中に小学校の基になるこういうことが全部入っているんだけれども、一方で生きる力と幼稚園教育要領にも書いてある、こういう体験の中での根源的な思い出が、次の学校教育のいわゆる勉強ということではなくて、生きていくための文化、人とつながっていく文化、生きる幸せを感じていくというようなことを、できれば資料7の2ページのところに、これは生きる力につながっていくというのをどこかに入れてもらったらよいのかなとか、よい思い出作りがあって次の小学校の学びにつながるというような、何かポジティブなと無藤先生もさっきおっしゃっていましたけれども、肯定的な部分も含まれていくような表現があると、誤解がないのかなという気がいたしました。
それから資料5のところで、5領域ということも総合的ということでみんな理解しているんですけれども、若干分かりにくいところがあって、前回のときにも非常に議論してきた資料8のところの、5歳児後半の小学校との接続というんだけれども、最終的には5歳の後半の、この6歳の時点での接点のところで、最終的にどういう子供のイメージを持って共通理解をしていくかということが、この赤の総合的な見方・考え方の育成のところに入っていると、より一つの到達目標というか、教育課程上は分かりやすいのかなと。そうしないと、さっきの資料7の2枚目も、何か3歳でも4歳でも、全部初めからこれがスタートでカリキュラムになってしまうと、それはまた大きな誤解になってしまうので、最終的な5歳の後半の到達していくときの姿という部分が、どこかで見えたらよいのかなと思いました。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。今の最後の御指摘は、幼稚園教育要領に文章で書くときに、かなり気を付けるべき点ですね。ありがとうございました。
では北村委員、お願いいたします。
【北村委員】  済みません、2点あるんですが、1点目はもう既に御指摘もあったところなんですが、資料7の2枚目で、すごく事務局が頑張られて苦労されたんだと思うんですが、スタートカリキュラムのところのグラデーションが、ちょっと誤解を招く恐れもあるかなというか、多分これ、濃淡なので、あくまで全てに関わるんですよというメッセージが基底にある上だということは承知しているんですが、パッと見た人は幾らでも突っ込んでしまうというか、じゃあ国語の中では道徳性や規範意識、社会生活の関わりみたいなことは使わないのかとか、そんなようなことを、かえって余計な誤解を与える面もあるかもしれないので、ただ、同時につながりを明示化することというのも大事だと思いますので、難しいところだと思うんですが、少し検討が必要じゃないかなというのが一つコメントで、完全に最初からやめた方がよいという意味ではないんですが、少しそういうことを心配しているというコメントが1点と、2点目は、すごく具体的な話なんですが、資料8のところで、このアクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえたという、これはすごくよいと思うんですね。どのように最初に感動して、感動したことが気付きになって、そしてそこから予測をしたり法則性へという流れ、学びの流れなんかが描かれていて、見た人も比較的分かりやすいと思うんですが、例えば感触・感覚、試行錯誤とかの間で、両方向の矢印が、この段、それからその下の依存と自立、自己表現、ここも両方向の矢印があって、もちろんこれは行ったり来たりのプロセスということを表したいのかなとは思うんですが、上でアクティブ・ラーニングの遊びや学びのプロセスということで、左から右に向かって流れていくことを考えると、一方向の右向きの矢印で、こういう流れですよということにしておいた方が、何でもかんでも両方向になっているよりは、プロセスというイメージが伝わるんじゃないのかなということが1点と、もう一つ、下に何か言葉を少し付け加えるとすると、赤いところで安定感・安心感とかある中で、例えば自発性に加えて「主体性」とか、それから自己肯定感と好奇心の間に「協働性」とか、幾つか言葉がもう少し入れられるのかもしれないなとは思いました。ちょっとこれは具体的な。
【無藤主査】  ありがとうございます。資料7のグラデーションのところは、なかなか理解が難しいということなんだろうとは思うんですけれども、そういうものを一切入れないと、また逆に中学校の先生が見たときに、10の姿、直結して教科につなげかねないので、何らかのつながりを見せなきゃいけないなとは思っております。
じゃあ大杉室長。
【大杉教育課程課教育課程企画室長】  御指摘のとおりで、本当は全部関わるんですね。ですけれども、見方・考え方、ここで、上の教科のところに、主にどういう見方・考え方を育むのか、それで意識的につながりを意図しなければいけないところというような、少し※が小さいので分かりにくいので、これをちゃんとはっきりさせるように工夫したいと思います。ありがとうございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。
じゃあ神長委員、お願いします。
【神長主査代理】  もう既に皆さんの中から出ているところと重なるようなんですけれども、一つは、資質・能力と言いますか、育成すべき資質・能力である見方や考え方というものに対して、幼稚園教育要領の中では、そういった議論というのはこれまで少なかったなと。もちろん修了までに育てていきたいことと方向性を持って教育課程を作るという意味では、次の学校段階で生かされるようにということを念頭に置いて作成してきているわけですけれども、これは18歳まで幼・小・中・高と貫くところに意味があって、そういう視点から、生活や遊びの中で育ててきたことが十分育っていますかということを点検していく意味で、資質・能力という見方であえて見ていくというところがあると思うんですね。そのときに、そういう見方に対して、教育要領の中にどのように書き込んでいくのかと、それがどう伝わっていくのかということを、何段階かに分けて考えていかなくてはいけないんだと思うんですけれども、まずは誤解のないように、柱をきっちりしてから伝えていくということが大事だと思うんです。
これに結論があるわけではないんですけれども、きょうの資料4から、ずっと7の2までの議論の中で、資料4、資料5、資料6、資料7のところを重ねていきますと、資料7を中心にして見ますと、資料7は、とても重要なことを、この接続という中で表していると。育成すべきということを、どう次の学校段階に伝えていくかという意味では、資料7ってすごく大事だなと思っているんです。その7の2になると、これは多分、小学校の先生から見て、幼児期の教育の中で育成すべき資質や能力というのはどういうものがあるのかといったときに、非常に無理のないと言いますか、こういうものを育ててきているんだなと見ているんだと思うんですね。
その前に資料の5を見ると、これは幼稚園の先生の側から、接続を通して次の段階につながっていくためには、5領域のねらいや内容をどうつなげていくのかということを言わんとしている図だと思うんですね。何かこれが必要に応じて一枚一枚が増えてきてはいるんですけれども、幼稚園から小学校に行く、幼児期の教育から小学校に行く段階という、その育成すべき資質や能力という見方を貫いていくためには、幼稚園の側からも小学校教育をずっと見通していかなきゃ、つまり幼稚園の先生も小学校教育を分からなきゃいけないし、小学校の先生も幼稚園教育を理解しないと、結果的に育成すべきというものが育成されない結果になってしまうわけで、この両方の見方をどう1枚の紙に書き表していくかというところで、非常に苦労なさっているのかなと思います。
だから私の話は、一つは、この資料の7が、幼稚園の先生の側からと小学校の先生の側から両方から見て誤解がないというためには、これに何を足して何を削ったらよいのかというような、そういう視点から行ったり来たりしながら、この接続の時期というものを豊かにしていくことが大事かなということがあります。決して資料の7が小学校側だけという意味ではないんですけれども、5領域が接続期を通して次の段階の教科を通しての学習につながっていくためには、育成すべき資質や能力ということをきちっと位置付けていかなくてはいけないので、そのときに今までの幼児教育の考え方の中にどういう形で位置付いていったらよいのかということを丁寧に議論していくということが、この趣旨なのかなと思っています。そういう意味で、いろいろな課題があるなということを、今回、また改めて感じてはおります。
そのときに、一つ、先ほどの総合というところでお話しいたしますと、私も一言では言えないんですけれども、解説書の中に、この時期の教育は必然的に総合的にならざるを得ない、そうでないと教育は成立しないんだということを、解説の中に入れているんですね。そして教科等の学習が成立するというのは、恐らく1年生の4月に成立するというよりは、生活科が終わった3年のところで、教科的な学習というのがある意味ではスタートしていくんだと思うんですけれども、スタートしていくというのは、1年生から教科等の学習が始まっていますけれども、生活科という中で、生活の文脈を生かしながら学習するということをしているんだと思うんですね。
ですから同じ総合という中でも、必然的に総合的にならざるを得ないという幼児期の教育と、生活科で行っている、多分5歳の後半辺りからそうだと思います、単純にごっこ遊びで言えないぐらいに課題を意識して子供たちは活動していますので、5歳の後半辺りからは、生活の文脈を生かしながら総合的に指導していくということを考えなくてはいけないし、3年生以上になると、もう分化しているということを前提に、時間割に基づいた教科の学習がスタートしているわけですので、総合することを意識しながら子供たちの学びを豊かにしていくという意味で、同じ総合を使いながら、そこになぜ総合なのかということを付け加えながら説明していくことが大事かなと思いました。
【無藤主査】  ありがとうございます。今の神長委員の御指摘が、まさにこの3月末から4月末までの間にかなり詰めていかなきゃいけないので、今後とも是非御意見を出していただきたいと思います。
一通り出していただきましたが、何か更にというのはありますか。
じゃあ横山委員、お願いします。
【横山委員】  今の総合のところで、子供の発達の流れから考えると、未分化というか、まず世界に出合って全体で受け止めて、細かくそれぞれのものに分化されていって、分化したものが最後総合されるという、発達の筋道があると思うので、そういったところで、またここのところを見ていただけると、おぎゃーと生まれて、だんだんと分化、捉えていける世界に出合ってという子供の視点からまた見ていただけると、書きぶりってちょっと変わってくるのかなというのは、一つ思ったところです。
あともう一つは、それぞれの出てきているシートの関連性というところなんですけれども、そもそも何でこれをここで議論しているのかというと、新しい時代を生き抜く子供たちのための教育課程を作るんだということなので、元は大きくそこに流れている1本の子供の教育のねらいというか、このように育ってほしいというものがあります。そこの大きな柱について考えてみると、それぞれのシートがどのように位置付けられるのか、今出てきているものを1個のマップにということなんですけれども、元ある柱の中に位置付けるとしたらどのように位置付けていくんだろうかという、元のところに戻ってみるという見方も一つあるのかなと感じましたので、一言。ありがとうございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。是非考えたいと思います。
あと、補足的なことはございますか。
じゃあとりあえず、2番目の議題でしたけれども、ここまでとさせていただきます。残りちょうど30分でありますけれども、二つの議題ということでありますが、3番目ですけれども、幼児教育にふさわしい評価の在り方についてということでございますので、よろしくお願いいたします。またどなたからでもお出しいただければと思います。
じゃあ神長委員、どうぞ。
【神長主査代理】  学校教育においては評価というものはすごく大事で、意図した教育である限りにおいては、それが十分反映しているかどうかということを適切な評価をしていくということが、非常に重要であるということだと思うんですね。幼児教育においても、そういった考え方の下で、日常においては先生方が保育を振り返りながら、指導を振り返りながら、子供の姿を捉え直し、指導を反省し、次の日に生かすということを重ねてきているんだと思います。そういう中、子供の姿から自分の指導を考えていくという意味では、非常に幼児教育というのは丁寧に評価をしてきているのではないかなということを思います。
指導と評価の一体化という意味では、これまでの教育要領の中にも解説の中にも書かれておりますし、そのことは十分伝わっていることだと思うんですけれども、今回の先ほど来から議論している、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿ということが出てきますと、一人一人の良さや可能性を生かしながら子供の理解を深め、それによって子供の活動というものを理解しながら自分の指導を振り返り改善していくという、そういう中に、もしかしたら誤解がと言いますか、とても焦りを感じてしまうこともなきにしもあらずで、この評価のことというのは、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が明確にされていくということと、一人一人の良さや可能性を生かしながら子供と向き合っていく、評価をしていくんですよという、子供を理解し、それを評価としていくんですよということが重なっているんですよということを、しっかり伝えていく、その前には検討しながら伝えていくということになると思うんですけれども、ということが、すごく大事だと思います。
予想されることは、幼児期の修了までに育てておきたいことというか、終わりまでに育ってほしい姿ということが教育要領の中に表れてくると、それでは3歳からしっかりとこの観点についてやっていきましょうという、そういった見方に走ってしまうと、せっかく一人一人の持っている、今、伸びようとしている、育てようとしている、そこに焦点を当てながら、その子なりの一歩を丁寧に見ていきましょうというところが、うまくかみ合ってこないということになるので、子供たちの先ほどの生活や遊びに沿って総合的に指導していくし、子供の視点というのをとても大事にしながら、その結果、育ってきているものをしっかり見取っていくということをまず前提にしながら、でも満3歳からスタートしているわけですから、満3歳、3歳、4歳、5歳という中には、だんだんに共通の経験を経てくると、子供を見る視点の幅を広げていくことがすごく大事でして、そういう意味で、ここにも資料10の中で出ておりますけれども、幼稚園幼児指導要録というものが評価の一つとして出されていますけれども、このことをしっかりと、どのようにこの指導要録を作成していくかとかいうことについて、丁寧に解説していくことが大事ですし、育ってほしい姿ということが、具体的に園の先生方が理解しながら、ゆとりを持って3歳、4歳、5歳の姿を見ていくという、指導の継続性を図っていくということが大事かなと思います。
そういう意味で、ここに通知は出されていますけれども、これよりももっと丁寧に、この指導要録というものを扱っていくことが必要ですし、教育要領が完成したときには、それに連動して、この指導要録そのものも改善していくということが大事ではないかなと思います。
【無藤主査】  ありがとうございました。まさに御整理いただいたとおりなんですけれども、現在の幼稚園教育の中で評価についてどう示しているかというと、幼稚園教育要領上は極めて簡潔にしか書いていないですね。しかというか、簡潔に書いてある。要するに指導計画に伴って、当然ながら評価は必要だということになるわけで、それを受けて、今度は要録は法律上の義務規定なので、別に通知するわけですけれども、もう一つは、指導資料上で評価、子供理解について、あれ、多分、10年に1回ぐらい出しているんだと思うんですけれども、という組合せなんですけれども、神長委員御指摘のように、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿も、ある手掛かりというか、参考にして評価してほしいというときの、誤解をどう防ぐかということも考えていくと、幼稚園教育要領上も、もう少し踏み込んだ書き方、表現が必要かもしれませんので、そういうことも念頭に置いて、是非御議論お願いしたいと思っております。
では阿部委員、お願いいたします。
【阿部委員】  評価に関しては、私自身もそうですけれども、子供のよさを見取るということが一義にあるかと思っています。特に幼稚園、小学校もそうですけれども、子供のよさをどうやって見取っていくのかという観点で考えていけばよいのかなと思っています。
それで資料10に頂いた要録の方の最後のページが、基本的には要録という形で、幼稚園から小学校に上げていく法的なものです。左側がねらいということで、5領域と、それから、今、盛んにここで論議になっている整理された段階に行くんですけれども、多岐にわたっていて、果たして先生方が、そういう見方がどのようにして書いていくのかなという、その説明が基本的には必要になってくるだろうなということと、先ほど最初のところの特別支援の話で、個別の支援計画とか含めて、これを小学校にどうやってきちんとした形で伝えられるのかというのは、小学校においても、要録が幼稚園から上がってきても、実際にそれを指導として小学校は使っているかどうかとなると、甚だ疑問なところはいっぱいある。ですから個別に子供一人一人に対して支援体制をどうやって、自治体もそうですけれども、就学ということを考えたときには、ペーパーだけではなく、何らかの形でこれが生きるような施策というのは必要になってくるんじゃないかなと思っています。基本的には、幼稚園の先生方が子供のよさを見取る評価を一義に考えていったものが出来上がってくるとよいなというのは思っています。
【無藤主査】  ありがとうございます。子供の良さや可能性を中心としてということと、もう一つは最初の論点の整理で、ポートフォリオをはじめとする多面的評価というのがありまして、そういうことを入れ込みながら、小学校に対しては、要録の記載が中心にしても、更に豊かな情報をどう伝えるかも考える必要があろうと思いました。ありがとうございます。
では奈須委員、お願いします。
【奈須委員】  今回、この幼稚園に限らず、全体が資質・能力ということになって、これまで見えにくくなっていたものも全てはっきり示して、しっかり共有化していこうという動きだと思っています。それが幼児の場合は10の姿ということにして表れてきて、はっきり示すと、どうしてもそれに向かってわい小化されるだとか、あるいはそっちに向かって特定の部分が先鋭化するとかということがありがちなので、それをどう避けるかということだと思います。
ただ、目当てや見通しをしっかり示すということと、一人一人をあるがままに捉えて、そこを価値付けるということが、同じ方向なんだということを確認する必要があると思います。あるがままに捉えるためにはっきり示さないという方向ではなくて、むしろはっきり示すことによって、それから漏れ落ちるものや、それとは違うものがはっきり見えてきて、それをしっかり価値付けるような評価のシステムを作るということだと思っています。
具体的には三つ、原則論的に大事なことがあるかなと思っていて、一つは、10の姿で示すようなもの、はっきり示すようなものですが、そのはっきり示すということが、そこに表れとしての豊かさとか幅広さを許容するような示し方ということを、今後考えていく。10の姿自体はあれでよいと思うんですけれども、その10の姿がどういうものかということを現場に下ろしていくときに、そのイメージが、もっと広く豊かな、あるいは先生方ですらまだ見ていないような姿も今後起こり得るようなものだというものにしたいなと、まず思っています。
それから二つ目として、その子の良さを見ていく、いわゆる個人内的に評価していくと。他者との比較とか基準との比較ではなくて、その子ならではの良さを見ていくということで、一つは、時間的にその子の伸びを見ていくという個人内評価的なもの、成長ぶりを見ていく。それから、ある部分の育ちが、その子のほかの部分との内部連関において必然性を持ってくると思います。つまり全体性として捉える。ある部分の育ちが、ほかの部分の育ちや、その子ならではの必然性との関連で、今、ここが伸びているんだという見方。そういう意味での、時間的に、あるいはその子の内部連関的に、個人内の良さ、育ち、在りようということを見ていくということを示していくのかなと思います。
最後は、目標を示すからこそ、目標にとらわれない評価ということをやるということを打ち出したいなと思います。目指すべきものをはっきり示すと同時に、その活動の中で先生が目指していなかった、あるいは当初予定していなかった想定外の、でも価値的な良い姿があれば、そこを評価していくということを、少し自覚的にしていく必要があるのかなと思っています。
今、三つ申し上げましたけれども、そのような工夫をしていき、それを周知していくことで、ねらいや見通しをしっかり持ちつつも、一人一人のその子ならではのものを豊かに捉えるということが可能になっていくと。むしろその辺の考え方を変えていく今回チャンスでもあるし、小学校以降もそうなんですけれども、幼児教育はもともとそういう基盤があるので、そこをよい形で率先してお示しいただけるので、非常に可能性がある。その意味で、評価をこれまで以上に丁寧に書き込みたいんだけれども、書き込むことが従来のことを減殺しないどころか、従来の線を更に豊かにすることにつながるような工夫をしていきたいなと思っております。
以上です。
【無藤主査】  まさに奈須委員の御整理のような方向が、今回の改訂の方向だと思います。ありがとうございます。
では山下委員、お願いします。
【山下委員】  私からは2点ですけれども、これまでも幼小の接続に関わって、5歳の終わりまでに育ってほしいというのは言って示すことが大事じゃないかということで、その整理もお願いしてきたところなんですけれども、10個ぐらいにまとめていただいて本当に分かりやすくなったんですけれども、そこで懸念するのは、5歳にこういったイメージができたから、じゃあ4歳はこういう姿だね、3歳はこういう姿だねという、その基準みたいに下りていってしまうとどうかと思います。そこが懸念をしています。
ですからあくまでもそれは5歳の終わりに育ってほしいイメージであって、決して3歳、4歳を基準化するものではないということを、これまでも言ってきたように、それを大切にしていくことが大事じゃないかなと思っています。そしてまた、要録の方も、小学校の先生方から言うと、少しまだ書いている意味が分からないとか、いろいろな御意見もある中で、今回整理されていく資質・能力の三つの柱、こういった点で小学校に伝えていくという内容などの改善も必要ではないかなと思っています。
以上です。
【無藤主査】  まさにそうだと思いました。
では白旗委員、お願いします。
【白旗委員】  幼児期の評価というそのものなんですけれども、示されているところがありますけれども、実際の幼稚園の先生なんかは、非常にきめ細かく記録を取られていたりして、子供たちをよく見られているなと私はいつも思っています。
そういう中で、評価というものがどういう意味を持っていくものなのかということを考えていく必要があるなと思っていまして、小学校以降の学習の実現状況みたいな、十分満足とかおおむね満足とかという話では全くないと思っています。ただ一方では、評価をするということになれば、何か指標がないと、評価ということがなかなか難しい。余りにもばらけてしまうので、今出ております幼児期の終わりまでに育ってほしい姿というのは、一つの大きな参考になるということは間違いないと思っています。
ただ、これが学習、小学校以降のものとは違って、非常に、最初の特別支援の話とも関わってくるんですけれども、発達に幅があるものですから、指標といっても基準で、これより上か下かという話にならないようにしなければいけないなということが、とても感じているところです。
もう一つは、評価というものを出してきたときには、方法とかという話にもなってくるものですから、こちらも余り誤解を生まないようにはしていかないといけないと思っています。その方法というのが、評価しておしまいではなくて、それが子供たちの、資料2の4ページの上の方にありますけれども、よさや可能性を評価し、特に可能性ということであると、それを引き出せるような指導をどうするかということを、いつも循環して戻っていくような示し方をしていかないと、可能性というか、子供を決め付けてしまうような形にならないかなと、ちょっと恐れます。教師の指導と評価というのが、いつも一体化していくということです。
一番言いたいのは、その良い点ということで、小学校以降になると、劇的に自己肯定感というんですかね、有能感ですか、これがどんどん下がっていってしまう。中学校になると相当下がってしまうということがありまして、運動関係で聞いてみましても、かなり幼児期の段階でちょっと自信なくしてしまっているということで、評価をするということが、自分もできそうだという肯定感につながっていくような評価というものを大事にしていきたいなと。そのようにしていただけると有り難いなと思います。幼児期の段階で失速しないということが、何より教育の基盤かなと思います。
最後に、幼小の接続と言っていますので、内容的な接続もあれば、あと、形の上でもきちっと接続していく必要があるだろうと。要録だけでよいのかどうかというちょっと疑問は持っているんですけれども、幼児教育できちっと評価したものが、小学校教育で、特に低学年ですよね。低学年って非常にまだ成長の段階という点では、低学年と幼児期ってかなり一体のものもあると思いますので、小学校から見て使えるもの、幼児教育から見て小学校に是非伝えたいことということを結び付けていただけるような形を作っていく、形骸化させないということがとても重要かなと思っています。

【無藤主査】  最後の点、特に気を付けたいと思います。
では渡邉英則委員、お願いします。
【渡邉委員】  今、体育の話で、できるできないとか自己肯定感というお話も伺いながら、幼児教育って早期教育的なものがあったりすると、早くできた方がよいとか、何かできるかできないかというところを競い合うみたいなところがあったりすると、そちら側の評価に持っていってしまうと、何か人間というか、保育の中の豊かさみたいなのが消えていってしまうような気がしていて、現場の豊かな実践が生まれるような評価の仕方というのとか、豊かな実践の中で子供たちが豊かに育っていくということがどういうことかというのを考えるようなことを考えなきゃいけないんだろうとは思ってはいるんです。
そういう意味で言うと、知るとか学ぶということにも関係してくるんですけれども、教えてしまうとかという話じゃなくて、何か知るというところに、根源的には子供たちのいろいろな体験や活動があって、そこで意見を出し合う中で考えていくと。前にこの会ではなかったと思うんですけれども、結構子供たちと話していてショックを受けたのは、リレーの順番を決めようと言って、じゃんけんをしようと言ったら、ある女の子がじゃんけんは嫌だと言って、何でやるんだと言ったときに、にらめっこでやろうと言ったので、何でにらめっこかと分からなかったら、子供がぽろっと言ったのが、負けたときに笑いがあると言ったんですよ。要は笑って決められると。成長とか学びを味わったりとか学び合うというときに、大人が教えてしまったり、こうしなさいと決めてしまえば、どんどん子供たちは自分の意見も出さなくなるし、考えたりもしなくなるんだけれども、何かそのところで考えてみるとかというところの中で、ああ、こういうことが分かってきたとか、もっとこのようにやったら楽しいとか、それから面白いというような、そういうような深まっていくような評価の仕方というのでいくと、どこか文脈があったりとか、その子一人一人が成長していくときのストーリーというか、何かそういうものがきちんと多様にあるような評価の仕方をしないと、ただマルバツ的だったりとか、数値的だったりとかということに入っていってしまうと、幼児教育の子供の見え方というのが一面化していってしまうのではないかなと感じています。
【無藤主査】  ありがとうございました。
じゃあ北村委員と神長委員と大方委員。まず北村委員。
【北村委員】  基本的に今まで議論してきた豊かな学びをどのように生かしていくかというところは、自分自身もそれが非常に大事だと思っている上での発言と思っていただきたいんですが、小学校との接続を考えたときに、小学校の特に低学年の今の評価、例えば通信簿ですね。今、ちょうどうちの娘は2年生で、先週、通信簿をもらって帰ってきましたが、かなり、もちろんパフォーマンス評価が基本にはなっているんですが、ルーブリック的というか、小学校の低学年の今の評価の仕方って、随分配慮した評価になっていて、必ずしも何かができたできないだけで見ているわけではなくて、そういう意味では、そことのつながりを考える上で、きちんと小学校の特に低学年辺りでどういう評価をしているかということは、僕らも少しきちんと見て、どういったことがきちんと幼稚園の側から小学校に伝えられれば、小学校の先生たちがその子たちの個性というものを理解してくれるのか。小学校の先生たちが見ている視点というのがある。別にそこにこちらがおもねる必要は全くないんですけれども、ただ同時に、小学校の中で見ている視点というものがあることも事実ですので、そこを考えずに情報を幼稚園の側から小学校に上げても、小学校ではうまく使ってくれない側面が非常にあるのではないのかということを懸念しておりまして、これが幼稚園での評価の仕方を直接的にどう変えるかということにつながるかは分からないんですけれども、きちんとそこを見た上で検討していくことが大事じゃないかなということを、ちょっと一言だけ申し上げたいなと思いました。
【無藤主査】  確かに小学校の特に低学年の評価の議論はまた別にあると思うので、つなぎ方ですね、考えたいと思います。
では大方委員、お願いします。
【大方委員】  教育課程、カリキュラムの在り方が非常に重要になってくると思っていまして、特に教科書がない就学前というのは、小学校以上の評価の在り方と根本的に違う部分があって、子供理解ということが前提にあるということと、その上に立って、先ほどから出されている小学校の就学までの目指す姿ということをどうつなげていくかといったときの、一人一人の子供たちが、幼稚園で一番多いのは、何々して楽しむということがよくねらいに挙げられるんですけれども、本当にちゃんとその子は楽しんでいたのかとかいうことを、日々のカリキュラムの中での目標、ねらい、内容というものを、教師側がいつもPDCAサイクルで振り返りながら、初めて幼稚園に来たときには実は楽しめなかったけれども、それは決して悪いことではなくて、でも2か月、3か月たって、実はこのように楽しめるようになったよという部分をきちんと見取ったことを保護者と共有していくという、そのためにはカリキュラムの位置付け、日々のねらいと内容の選択、そしてそこにおける教師の役割があっての振り返り評価ということにつなげていただけたらよいのかなと思いました。
以上です。
【無藤主査】  評価が一連の指導過程の中にあるということだし、きょうはそこまで行きませんけれども、カリキュラム・マネジメントにもつながると。ありがとうございます。
じゃあ最後に、神長委員、お願いします。
【神長主査代理】  先ほどの非常に子供たちの発達に個人差が大きいということと、小学校に何を伝えたらよいのかという話と関連してなんですけれども、資料の10にあります幼稚園幼児指導要録について、幼稚園の指導要録の形式が後ろに載っておりますけれども、ここの一番の特徴は、指導の重点の個人の重点という書き方かなと思っているんですね。これは1年間を振り返って書くという、最初に書くわけではなくて、学年の重点は最初に書くんだけれども、1年間を振り返って、この子にはどういう関わり方をしてきたかということを書くということは、まさに子供のあるがままの姿を受け止めながら、そこを出発点にして指導を考えていくということだと思うんですね。
こういった考え方というのは、小学校に伝えていくのには非常に難しいかなと思います。学習の仕方が違うわけですから、そういう中にどう伝えていくかということなので、これに関しては、ここにこういう関わり方をしてきました、指導をしてきましたということを書くだけではなく、具体的にじゃあその子の良さが次の学校段階の中で発揮されるためにはどうしたらよいかという、私はこうしてきたけれども、この次の学校段階でもそのことは念頭に置いてくださいという書き方が必要なんだと思うんです。
その欄は、多分その下の欄に書きましょうということなんですけれども、ここには説明が全くありませんから、どれだけの人がそれを意識しているかというのは、まだまだ分からないなと思います。個人の重点を書くというのは、まさに一人一人のよさや可能性を生かしながら指導の継続性を図るという学校教育として大事な視点から、ここにあえて指導の重点を入れていて、そのことが具体的に次の学校段階の小学校の先生方が分かるような書き方の工夫は必要かなと思っています。
【無藤主査】  ありがとうございました。
もう12時26分ぐらいになりましたので、申し訳ないんですけれども、4番目の新しい幼稚園教育要領等の理念を実現するために必要な方策について、議論ができません。発言の御用意をいただいたと思いますけれども、是非事務局に直接、ペーパー等でお伝えいただければと存じます。
ということで、本日の議論、ここまでにさせていただきたいと思います。いろいろな御意見頂戴いたしました。特にたたき台としてのポンチ絵の部分については、詳細な御意見いただきましたので、事務局の方でいろいろと御検討を、更にお願いしたいと思います。
また、今申し上げたように、御発言できなかったこと、たくさんあろうと思いますので、是非ペーパー、メール等で事務局にお送りいただくようお願いしたいと思います。
また4月末に、この直したものを事務局から出しますけれども、基本的には私の方で、ある程度事務局と相談しながらまとめて、なるべく4月の末のところでは完成品に近いものにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは次回以降の日程につきまして、よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  次回は、紙で今後のスケジュールの方を入れさせていただいておりますけれども、4月の25日月曜日15時から開催を予定しております。場所の方は、文部科学省内の会議室を予定しております。
また、ただいま無藤主査の方からお話もございましたとおり、本日、時間の関係でご発言いただけなかった御意見の方を頂戴したいと思っておりますので、ファックス又はメールでお寄せいただければと思います。大変恐縮ですけれども、4月の9日金曜日までを目途に、こちらの方に送っていただければと思っております。
また、本日の配布資料につきましては、非常に大部でございますので、机上に置いていただければ後ほど郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【無藤主査】  ありがとうございます。それでは、第6回の幼児教育部会を終了させていただきます。皆様、ありがとうございました。

―― 了 ――

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