教育課程部会 言語能力の向上に関する特別チーム(第6回) 議事録

1.日時

平成28年6月23日(木曜日)

2.議事録

【亀山主査】
 定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会言語能力の向上に関する特別チームの第6回を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただき、まことにありがとうございます。
 では早速、事務局から配付資料についての確認をお願いいたします。

【平野教育改革調整官】
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1、その資料1の別添資料として別添1から3までを配付させていただいております。その他、机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。
 なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には、本特別チームの審議に当たり参考となる、関係する審議会の答申や関連資料等をデータで入れております。詳細は、次第の裏面の目次をごらんください。
 以上でございます。

【亀山主査】
 ありがとうございます。では、早速議事に入ります。
 初めに、本特別チームの審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うことにさせていただきます。よろしくお願いします。
 本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、それを許可しておりますので、御承知おきください。
 前回の本特別チームにおいて、「言語能力の向上に関する特別チームにおけるこれまでの議論の取りまとめ(案)」について意見を頂いたところです。前回頂いた意見、その後メール等で頂いた意見等を踏まえまして、本日配付している資料1の「言語能力の向上に関する特別チームにおけるこれまでの議論の取りまとめ(案)」となっております。本日は、この「取りまとめ(案)」について意見交換を行います。なお、全体のスケジュールもありますので、本日で「取りまとめ(案)」の議論については、一応の目途をつけたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、事務局より、本日意見交換を頂く資料1「言語能力の向上に関する特別チームにおけるこれまでの議論の取りまとめ(案)」について説明をお願いいたします。

【平野教育改革調整官】
 失礼いたします。それでは、お手元配付資料に基づきまして御説明させていただきます。
 本日2回目ということでございますので、主に前回からの変更点を中心に説明させていただきたいと思います。
 まず資料1の1ページ目でございますが、1の(1)につきましては特段変更ございませんで、ここには「言語」と「言語能力」等についての関係を整理したものでございます。
 (2)教育課程全体を通じて育成すべき資質・能力と言語能力について、1ページ目下からでございますけれども、2ページ目の上の方、若干、文言の追加をさせていただいて、表現の調整ということでさせていただいております。
 それから3ページ目、(3)言語能力に関する課題についてというところでございますけれども、ここにつきましても少し丁寧に説明をする観点から、前回の御意見も踏まえて修正をさせていただいております。
 3ページの上の方の赤字になっているところにつきましては、前回の御意見で、言語能力は既に備わっているものなので、改めて育成するものではなくて、その向上を図るというような表現にすべきだという御意見があったことを受けた修正でございます。
 真ん中あたりの「対話の不足によって」というところについては、そういった部分についての御指摘がございましたので、それを加えさせていただいたところでございます。
 3ページ目の下の方、2ポツ、言語能力を構成する資質・能力についてと(1)言葉の働きと仕組みについてのところでございますけれども、言語として同じ働きと書いておりましたものを、「共通の」という方がより適切ではないかという御意見を頂きましたので、そのような形で修正させていただいております。
 それから4ページ目でございますけれども、一つ目の白丸で赤字になっているところでございます。これも趣旨は一緒でございますけれども、もう少し丁寧に書いた方がいいのではないかということで御意見を頂きましたので、そういった形で少し丁寧に書かせていただいております。
 それから5ページ目の赤字になっているところ、幾つかありますけれども、これも少し表現ぶりについて御指摘を頂いておりますので、それを踏まえた表現ぶりの修正をさせていただいております。
 それから6ページ目でございます。(3)言語能力を構成する資質・能力が働く過程についてというところでございますけれども、これは下の方、コミュニケーション能力についての定義というものが、どこで使われていた定義なのか、出典をという御指摘を踏まえまして、「コミュニケーション能力を育むために」というコミュニケーション協力推進会議の審議経過報告から引っ張ってきたということを書かせていただいております。
 それから7ページ目、ちょうど下の方に赤字で書かせていただいております下から二つ目のパラグラフがあるわけでございますが、これについて前回、「認識から思考へ」、「思考から表現へ」と。それがまた「認識から思考へ」とスパイラルに回っていくんだということが分かるような記述を追加すべきという御意見ございましたので、それを踏まえて追加させていただいたものでございます。
 8ページ目につきましても幾つかの赤字の部分ございますけれども、これも表現ぶりについて御意見を頂きましたので、それを踏まえて修正させていただいたものでございます。
 これに関連して別紙1、2についても若干変更してございますので、別紙1、2をごらんいただけますでしょうか。
 別紙1の方につきましては、前回は話し言葉、書き言葉、それから言葉の位相というのをまとめて書いていたんですけれども、これは分けて書いた方がいいだろうという御意見を頂きましたので、これを分けて書かせていただいて、あと最後に、言葉の位相というのは非常に分かりにくいと。専門用語ではないかということもありましたので、少し分かりやすいように説明書きを加えさせていただいております。
 それから学びに向かう力、人間性のところは、少し表現が分かりにくいという御指摘がございましたので、それを踏まえて若干、表現ぶりを一部修正させていただいております。
 それから別紙2の方につきましては、左側の赤字になっている部分は別紙1と同じ趣旨の修正でございます。
 右側のところに、前回、学びに向かう力、人間性というものが別紙2には出てこないのではないかという御指摘を頂きまして、何とかそれが見えるようにということでしたので、こういった形で右側に書かせていただいて、「認識から思考へ」「思考から表現へ」、この両方に関わる、こういったプロセスの中で下支えしているということが分かるように書かせていただいたものでございます。
 それから本文の方にまた戻っていただきまして、9ページ目3ポツ、言語能力の向上のための言語活動の充実、及び、「国語科」「外国語活動・外国語科」の改善・充実についてという部分でございます。前回、ここについてはたくさんの御指摘を受けましたので、かなり構成も含めて見直しております。
 (1)のところは大きい修正はございませんけれども、国語科、外国語活動・外国語科だけではなくて、まずは全ての教科において言語活動を充実させていく必要があるということを述べさせていただいているところでございます。
 それから10ページ目でございますけれども、(2)「国語科」「外国語活動・外国語科」における改善・充実についてというところで、三つほどパラグラフを追加させていただいております。
 今(1)で申し上げましたとおり、言語能力の育成というのは全ての教科を通じて育成を図るべきものでございますけれども、特に国語科と外国語活動・外国語科の果たすべき役割が非常に大きいということを述べさせていただいた上で、国語科と外国語活動・外国語科において、目的というのは、最終的には基本的な目標として共有化しているんだということを、ここで書かせていただいております。
 当然、教科の趣旨や目的によって重点の置き方は異なるところがございますけれども、この言語チームで別紙1に整理していただいたような資質・能力というものは、最終的に目指す目標としては共有化しているんだということを書かせていただいているところでございます。
 その上で、それぞれのワーキンググループにおける検討の状況というのを、ここに書かせていただいているところでございまして、10ページ下からが国語ワーキンググループにおける検討の状況ということでございます。
 11ページの上段の方につきましては、幾つか赤字で修正入れさせていただいておりますけれども、これも少し分かりやすく丁寧に書くということでの表現ぶりの修正でございます。
 11ページの中頃からの外国語活動・外国語科についてのワーキンググループについての検討状況を書かせていただいたところでございますが、12ページの方でございます。12ページは、少し赤字で書かせていただいております部分につきましては、前回は(3)、今回で言いますと14ページのあたりに書かせていただいた記述を、連携というよりは外国語科、外国語活動において改善をしていこうとしている方向性と位置付けた方がいい内容だろうということで、少し移動させていただいた上で加筆させていただいたものでございます。
 黒ポチで始まっているパラグラフでございます。導入に当たって――小学校における小学校3年生、4年生からの中学年における外国語活動、それから5年生、6年に付ける外国語の教科化を導入するに当たってということでございますけれども、そういったものが外国語を学習する初期段階であることを踏まえて、学業に固有の特徴への気付きを意識させることが必要であると。
 特にマル1でございますけれども、国語と英語の音声の違いやそれぞれの特徴への気付き、マル2としてアルファベットの文字や単語などの認識、マル3、語順の違いなど文構造への気付きなど、言語能力向上の観点から「言葉の仕組みの理解」などを促す指導を行うことが必要であるということを書かせていただいております。
 それから13ページ、(3)言語能力向上のための、「国語科」と「外国語活動・外国語科」の連携についてということでございます。ここにつきましては、前回、具体的にどういうことを今後するのかが分かりにくいという御指摘がございましたので、今回の学習指導要領の改訂に当たって、学習指導要領及びその解説書でやるべきことと、あるいはその現場の実践を通して進めていくものとに分けて書かせていただくということで、再整理させていただきました。
 まず13ページの(3)、一番上でございますけれども、連携の意義、目的というところでございまして、この「国語科」と「外国語活動・外国語科」については、ともに「言語能力を構成する資質・能力」を育成することを目標としておりますので、学習の対象となる言語は異なりますけれども、中身を見ていきますと、指導内容ですとか指導方法については、かなり共通する部分があるというところでございます。
 したがいまして、こういった学習指導要領に示す指導内容を適切に連携させたり、各学校において指導内容や指導方法等において適切な連携を図ることによって相乗効果が生まれて、それぞれの教科等における学習が一層充実して、言語能力の向上につながっていくのではないかと考えられるところでございます。
 本特別チームにおいても、以下のような効果が期待されると指摘されたところであると、そういう趣旨のパラグラフを追加させていただいております。
 その下、黒ポツで幾つか書かせていただいております。ここについて大きい変更はございませんが、少し構造を整理させていただいたというところでございます。
 最初の黒ポツについては、外国語と日本語の違いに気付くことと、それから共通性に気付くところが非常に重要であるというような趣旨のところ。
 それから、共通する資質・能力、汎用的能力やスキルといったようなものを、母語である日本語で培ったものをベースに外国語で生かすことが可能になるということでございます。
 3番目の黒ポツでございますけれども、特に日本語の指導において、母語であるということがゆえに意識的に育成する機会が少ないような資質・能力がございますので、そういったものについては外国語を併せ学ぶことによって気付かせることができて、日本語についての資質・能力の向上にもつなげることができるであろうと。さらに、それは翻ってというか、そのことを通じまして、外国語の資質・能力の向上にも資するだろうということでございます。
 具体的には、そこの幾つか「例えば」ということで書かせていただいているものでございますけれども、単一の言語の学習からは単一の言語体系の知識ですとか、その言語体系によった思考方法ですとか、そういった言語で担保されたコミュニケーションの仕方などしか学べないけれども、複数言語を学ぶことによって、知識や思考、表現に幅ができて、様々な状況に適した思考や表現ができるようになるということ。
 それから、個別言語によらない上位処理能力という側面でございます。推論能力ですとか談話的能力、一般的な世界に関する知識、メタ認知能力などについては、母語と外国語の能力の間で相関関係が見られるというようなこと。
 3番目でございますけれども、それぞれの言語の特徴を相対的に捉えられることによって、言葉とは何かというようなもの。言葉についてのメタ言語意識が呼び起こされる機会が増えるというようなこと。14ページの上でございます。失礼いたしました。
 それから、学習意欲や、その言語一般への関心を高めるようなことも期待できるだろうということでございます。
 現に実際に取り組まれている連携の事例の中でも、そういった効果が挙げられているということを書かせていただいております。
 14ページの中頃、連携の方向性というところを大きく加筆させていただいております。「言語能力を構成する資質・能力」につきまして、そういったものを指導内容について実際に詳細に見ていきますと、どの言語を運用するときにも必要な要素という部分と、それぞれの言語を運用する上で必要な要素というようなものに大きくは特徴付けられるであろうということでございます。
 具体的には、どの言語を運用するときにも必要な要素としては、言葉の働きや役割に関する理解ですとか、思考力・判断力・表現力のこの三つの側面に即した力や考えを形成し深める力といったようなものについては、ある程度共通性があって、共通に育成していくべきものではないかということ。
 それから、それぞれの言語を運用する上で必要な要素としては、特に言葉の特徴や決まりに関する理解ですとか、それらを使い分ける技能といったようなものについてが挙げられるのではないかということでございまして、特に後者につきましては、異なる言語と比較することを通じて、当該言語固有の特徴に気付くことが、言語への関心の高まりや知識・技能の習得のきっかけ、思考力・判断力・表現力等の育成の助けになるのではないかということを、ここで書かせていただいております。
 実際の指導に当たっては、こういった部分を十分意識した上で指導できるようにしていくということが必要でございますので、具体的には、先ほど申し上げましたように、学習指導要領と各学校における対応と分けて、以下書かせていただいております。
 まず学習指導要領等に示す指導内容における連携ということでございますけれども、これについては、現行の学習指導要領及び指導要領解説の記述を改めて今回の改訂に合わせて見直した上で、きちんと系統性や関連性が見えるような形にしていくことが必要であろうということでございます。
 具体的には15ページ以下でございますけれども、先ほど見ていただきました別紙1の言語能力を構成する資質・能力の各項目。具体的には、特に言葉の特徴や決まりに関する項目としての音声、話し言葉ですとか、文字、書き言葉、語句、語彙、文の成分、文の構成、文章の構造というようなもの。あるいは他者とのコミュニケーションの側面に関する項目としては、相手との関係や目的、場面、文脈、状況等の理解というようなものがございますけれども、そういったものについて、それぞれの実際の指導内容が、どういった系統性や関連性があるのかをきちんと改めて精査していくことが今後の学習指導要領の実際の改訂作業の中で求められるということでございます。
 その際、前々回だったかと思いますけれども、本特別チームにおいて一度御議論いただきました別紙3、小学校における国語科と外国語活動・外国語科の連携についてのイメージ案ございます。これはあくまでたたき台、イメージ案でございますけれども、こういったような形で、ある程度分かりやすく、その関係性について整理していくことが必要ではないかということでございます。この別紙3につきまして、あくまで現行の学習指導要領の指導内容をベースに整理したというものでございますので、この別紙3を更に今回の改訂の作業の中でブラッシュアップしていくことが必要であろうと考えているところでございます。
 このほか、特にいろいろ御指摘ございました小学校におけるローマ字の学習に関しましては、国語科で日本語のローマ字を学習すると同時に、外国語活動・外国語科で英語のアルファベット表記を学習いたしますので、若干混乱が見られるというところについての御指摘が多数あるわけでございます。このため、それぞれの教科等において指導する際に、日本語のローマ字表記と英語のアルファベット表記の違いが、まず音の構成が違うということと、それから発音と表記の対応関係が違うんだということ、こういったことについてきちんと触れながら指導するということについては、次の指導要領の改訂の中でしっかり盛り込んでいきたいというところでございます。
 それから、各学校における指導内容や指導方法等における連携でございます。こういった具体的な連携の方策といたしましては、育成する資質・能力に応じて、両教科等で指導する内容の系統性や関連性を考慮して指導計画を作成することや、両教科等において同じ題材を用いた言語活動や同じ種類の言語活動を通して指導するようなことが考えられるわけでございますけれども、ただ実際には学校や児童生徒の状況は様々でございますし、使用している教科書等の教材も、必ずしも同じ会社のものを使っているわけでもございませんので、そういったものを踏まえながら、各学校において具体的な連携の在り方を個別に検討していく必要があるというところでございます。
 15ページ、次の一番下の白丸でございますけれども、こういったことを踏まえますと、各学校現場で教員が「国語科」と「外国語活動・外国語科」の指導内容の系統性や関連性、使用する題材や言語活動の種類等について十分に理解した上で、言語能力の向上の観点からのカリキュラム・マネジメントを実現できるような取組を進めていくことが必要であろうということでございます。
 16ページでございます。そのために例えば、16ページの一番上でございますけれども、学習指導要領改訂後の学習指導要領の趣旨や内容の周知・説明に当たって、先ほど示しました別紙3のような連携のイメージ案をブラッシュアップしたものを使うなどして、学習指導要領に示す指導内容の系統性や関連性について教員に理解を図っていくことが、まずは必要ではないかということでございます。
 それから、研究開発学校や各種予算で実施しておりますモデル事業等がございますけれども、そういった各種事業の実施校において、言語能力の向上に向けた「国語科」と「外国語活動・外国語科」の指導の連携を推進して、具体的な連携の取組に関する成果を検証しながら、いい事例を集めて、それを普及していく作業がこれから必要になってくるのではないかということでございます。
 実際、その各学校において指導内容や指導方法等を連携させる際には、共通する資質・能力を育成することと、それぞれの言語に固有の特徴や違いの理解や使い分ける技能などを習得するという二つの面があるわけでございますが、そういったところを連携の目的として十分に意識してやっていくことが必要ではないかということでございまして、具体的には連携を図るに当たっての幾つかの視点があるわけでございまして、それについて、これまでこの特別チームにおいて頂いた御意見を基に、少し整理して例示をさせていただきますと、以下の四つのような観点での連携が考えられるのではないかというところでございます。
 一つは指導する時期や順序を踏まえた効果的な連携ということで、共通する資質・能力を育成するための指導内容や方法等を、両教科等において同じ時期に扱ったり、一方の教科で扱った後に、その指導を振り返りながらもう一方の教科で扱うような連携と。
 それから、言語活動で扱う種類における連携ということで、文章表現ですとか発表、議論・討論、交渉などの同じ種類の言語活動を扱うということ。
 それから、言語活動で扱う題材ということで、例えば「道案内」や「推薦状」など、同じ題材を用いた言語活動を扱う。
 それから、教材において使用する題材の工夫による連携ということでございまして、例えば国語科において、日本語の作品を読む際に外国語の翻訳を参照したり、外国語科において、同等・類似の意味を持つ日本語と外国語のことわざを比べたりするような題材の工夫が考えられるのではないかということでございます。
 それから、両教科だけではなくて、社会科や理科などの他教科との連携も少し意識した上で、そういったところで扱うテーマや文章を題材とした場合に、その題材を読み進めるために必要な既有知識を他教科、社会科や理科というようなところで学習した上で、国語科や外国語科で活用するような教科間の連携も、ほかの教科との連携も十分意識してやるのも考えられるということを少し加えさせていただいております。
 実際、17ページの上でございますけれども、こういったものについては、先ほども申し上げましたとおり、研究開発学校や各種学校の実施校において成果を検証していて、良い事例については広く普及をしていくことが必要ではないかということを書かせていただいております。
 (4)は、言語能力の向上に向けて、「国語科」と「外国語活動・外国語科」の連携を教科するための条件整備ということでございまして、ここについては、ここに前回は少し連携の具体的方策となるものも入っていたんですけれども、それについて(3)の方に移動させていただきまして、少しすっきりした形でまとめさせていただいております。
 今、幾つかの観点でまとめさせていただいておりますけれども、学校全体としての指導体制という観点。それから18ページでございますけれども、教員の指導力という観点。その他、ICTの活用等、その他の条件整備ということでまとめさせていただいております。
 全体としては以上でございます。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

【亀山主査】
 御説明ありがとうございました。では、これから意見交換の時間とさせていただきます。まず資料1の1ポツ、そして2ポツ、3ポツの順で御意見を頂きたいと思います。御意見のある方は、あらかじめ名札を立てていただきますと、私の方で順次指名させていただきます。また、発言が終わりましたら元に戻してください。御発言の際にはマイクのスイッチのオン、発言後にはオフをお願いいたします。いかがでしょうか。
 1ポツに関しては、何か特別にございませんか。よろしいですか。
 では、2ポツに入ります。2ポツについて、いかがでしょうか。お願いします。島田委員。

【島田委員】
 島田です。2ポツの4ページ、上から3行目、丸で始まっているパラグラフであります。このパラグラフの構造なんですが、一方ということで、言語は固有の特徴(仕組み)を持っているとも言えると。その話が続くのかなと思うと、母語と外国語の両方を深く習得するためには、普遍的性質とともに固有の特徴があるのだと。そこまでが一つのパラグラフであるのかなと思うと、それに続けて、それに支えられた世界を切り分ける力があるという、どうも二つ目のトピックが始まってしまっているように思います。それに支えられた世界を切り分ける力というところ以下は、新しいパラグラフの方が良いのではないかと感じました。恐らくこれ、英語のパラグラフだと、だめなパラグラフなのではないかと思いました。
 以上です。

【亀山主査】
 ありがとうございました。この点につきまして、いかがでしょうか。

【松本委員】
 同じ箇所なんですけれども。事務局から丁寧に書き加えましたという御説明があったんですけど。ここの赤字の部分と、この丸全体なんですけど、ここだけすごく違和感を感じます。せめて、「母語と外国語の両方を深く習得するためには」という部分は削った方がいいんじゃないかなと思います。
 何かこれだと、言語そのものの知識を増やすというようなイメージが、どうしても私にはあって、言語能力を高めるという感じにはならないので、この部分ですね。今の島田委員の御意見も参考にしつつ、もう少し。ちょっと丁寧し過ぎるので、書き直していただければと思います。

【亀山主査】
 私も同意見です。何か言葉の違いといったところに、生徒の意識を集中させていく方向で議論が進んでいくと、分析的な能力ばかりが強調されていくような印象がございますね。
 同じところなんですが、一方、文法や語彙の構造は言語によって大きく異なっており、言語は固有の特徴を持っているとも言えると、この「とも言える」というのが若干ひっかかるんですね。言語は固有の特徴を持っているんですよね。ところがこれ、文章の構造で言うと、「とも言える」がないと、ちょっとおかしい感じもあるんですね。ですから、ここのところは、もうちょっと微妙に調整していただければと思いますが、よろしくお願いします。
 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【松本委員】
 良い点も指摘してよろしいでしょうか。7ページの赤く挿入された部分ですけど、この部分はすごく重要だと思うんですね。スパイラルになっているというか、相互の関係があると。だから、この項を是非活用して、今後も実際の学習指導要領の中にも生かしてほしいなと思います。何かまずいところだけ指摘しているとあれなので、いい点も指摘したいなと思いました。

【亀山主査】
 具体的にどういうふうに、つまり活用されるという場合……。

【松本委員】
 つまり、さっきの4ページの点とも関わっていますけれども、何か言語を取り出して、「はい、こういう違いがありますね。分かりましたか」というのではなくて、常に認識と思考が行ったり来たりしているんだ。その中で言語能力も高まっていくというのが、今度の学習指導要領の売りなんじゃないかと。そこに内容も、どう他教科のものをかましていくかというところがですね。
 だから、ここはすごく哲学的な部分になるんじゃないかなと思います。

【亀山主査】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、3に入ってもよろしいですか。吉田先生、どうぞ。

【吉田委員】
 12ページのところで外国語活動・外国語科なんですけれども。小学校について特に述べてある部分なんですけれども、上の最初の黒ポチですね。「小学校中学年において」というところと、そこから始まって、その次の赤で書いてある「導入に当たっては」というところなんですけれども、特に外国語活動また小学校における教科の場合、まだ時数その他の問題でもかなり非常に限定された、いわゆる外国語に触れる機会にしかないわけですよね。そういうような段階で、ここに特に赤で書いてあるような、特に、高学年の教科化に向けて、この音声の違いに、特徴に気付いたり、アルファベットの文字や単語の認識だとか、語順の違いの構造に気付くなどということを強調し過ぎると、結局それだけを教えてしまうという非常におそれを私は感じるので、むしろ何らかの形で、いわゆる「外国語を活用することによって」とか、「外国語を用いる過程で」とか、何かそういう文言をどこかに必ず入れていただかないと、1時間しかないよとか、2時間しかないよ、これだけやるんだよとなると、もう全部教えましょうと、上から明晰に教えてしまうんじゃないかと、非常に心配になっちゃうんですね。
 ですからその辺、活用を通してとか、コミュニケーションを通してという何か文言をどこか入れていただくと、もう少しこれがはっきりするのかなと思うんですけれども。

【亀山主査】
 ありがとうございました。私は先ほど、ある種、分析的な能力の向上といった方向へと議論が集中するので、若干その方向性が弱められるといいなと思ったんですが、先生がまさに今おっしゃられたことに関連すると思います。

【吉田委員】
 はい。

【亀山主査】
 事務局もよろしいでしょうか。
 もう一つ、2ポツの方で一つ私からもお願いがあります。
 10ページの一番上のところなんですが。ここは私自身、若干こだわりを持っているところなんですが、音や色、イメージ、身体表現などにより対象や事象を捉えることを主とする音楽や図画工作、美術、体育、保健等においては、捉えたことをどのように言語化するかという、この「捉えたこと」という表現に、もう少しうまい日本語がないかな。確かに「捉えることを主たる」になっているのと「捉えたことを」というのはいいんですが、ちょっと曖昧だなという感じなんですけれども。日本語としても、若干もたもたしている感じもあって。
 この文章を読むのは、別に小学生じゃないですよね。ということで、若干難しい表現というか、単語で認知、知覚とか、あるいは認識とか、そういう漢語で表現した方がいいんじゃないかなと。キャンベル先生、いかがですか。

【キャンベル主査代理】
 分かりますが、むしろ知覚とか認識というふうにすると、そこに半ば言語化されたものとしてという、論理的に捉えたというフィルターが掛かると思うので。捉えることのこの曖昧さといいますか、いろんなことを含意し得る言葉の方が、身体表現であったり、色であったり、感覚器官で捉えるものというのは、捉えるのにふさわしいんじゃないかなと思います。

【亀山主査】
 捉えるという方が、より総合的な意味を持っているということなんですね。

【キャンベル主査代理】
 そうですね。阻害しないといいますか……。

【亀山主査】
 排除しない。

【キャンベル主査代理】
 はい。排除しないと。

【亀山主査】
 じゃあ、いいですか。キャンベル先生に言われると何とも。では、一応ここは置いておくとして、もし何か良い案が最終的に見つかった場合に改めてということにしましょう。どうしても何か不適切だなと思われるようでしたら、先生方からもちょっとヒントを頂くなり、何らかのアドバイス、提案を頂きたいと思います。
 では、また3番に戻ります。酒井委員、お願いします。

【酒井(邦)委員】
 10ページの(2)なんですが、まず総論として国語と外国語の連携ということがきちんと共通の目標として設定されていることははっきりしていて、特にこの赤字の2番目の点が良いと思って。
 誤解を招かないためにも、3番目に、「この目標の達成に向けて」というところは、「この共通の目標の達成に向けて」とか、やはり、そこら辺を強調して、別紙1、2にあるような方向性を両方で共有するのだということを是非メッセージとしてきっちり打ち出していただきたいと思います。
 それから、12ページで先ほどから議論になっている真ん中の赤字のマル1、マル2、マル3とあるところです。マル1のところで国語と英語の音声の違いという表現がありますが、日本語と英語の音声の違いなので、ところどころ国語と書くか、日本語と書くかというところが、ちょっとぶれているところが散見されるので。ここは間違いなく日本語だと思うんですが、そこら辺のチェックをお願いしたいと思いました。
 それから14ページの連携の方向性なのですが。どういうふうにメリットがあるのかということを幾つかはっきりさせていく流れの中に、これが位置されていると思うんですけれども。もともと日本語を母語として育っている人が多いことを前提に一応お話をすると、日本語に関して小学生のレベルでかなりの資質・能力を有しているわけですが、外国語に関しては本当に初心者で、あらゆる教科から比べても最も、そういう意味では能力の発達段階が初期段階にあるわけですね。ですから、そのまま伸ばしていくと、その溝は埋まらないまま高校まで行ってしまうんですね。
 ですから、その連携をさせることによって、少しでも日本語と外国語の両者の能力の溝を埋めようという努力が大切だということを、きちっと項目を立てて打ち出していただけないでしょうか。
 つまり、やっぱりそのギャップを、そこを相互連携によって何とか、なるほど、外国語だと思って苦手だと思ったけれども、日本語、自分は国語は得意だから、それを使えば何とか理解から進むという生徒もいるでしょうし、自分は発音とかそういうところは割と得意なので、方言もうまいから、外国語もそういうふうにやってみると、案外取っ付きにくいことはないと思うとか、様々なそういう方向から溝を埋めるための方策になり得るということをきちっと出していくと、総合的に非常に、その能力を伸ばすという意味では、いい方向性になるだろうと思いました。
 以上です。

【亀山主査】
 ありがとうございます。今の御意見ですが、この連携の方向性、二つ飛びますね。そこにもう一つ加えるという形になりますでしょうか。

【酒井(邦)委員】
 はい。

【亀山主査】
 その文章の提案を頂けますか。

【酒井(邦)委員】
 じゃあ、後ほどでいいですか。

【亀山主査】
 はい。後で結構ですので、お願いいたします。非常に大事な視点だと思います。私自身も、そのあたりで苦しんだところがありますので。小学生、中学生、高校生、日本語能力と英語能力の間の一種の断絶、溝ですね。それが埋まっていく、埋められていくということが、この連携によって可能とあれば非常に大きな成果だと思われますので、是非書き加えていただければ幸いです。
 あともう一つ、今のところですが、先ほどの先生が御指摘くださった10ページの(2)の三つ目の丸で、「この共通の目標の達成に向けて」というふうにして、ここも若干、もう少し事務局にアイデアを頂けますか。最終的には私の方で取りまとめていく形にさせていただきますが、先生の方から要請がございましたので、文章上のヒントも頂ければと思います。

【酒井(邦)委員】
 はい。

【亀山主査】
 ほかにいかがでしょう。福田委員、お願いします。

【福田委員】
 今の14ページの連携の方向性についてなんですけれども。確かに日本語と英語の能力の差というのはあると思うんですが、それを、そのギャップを埋めるために何かをするというのは、何かちょっとこの会ではふさわしくないような気がするんですね。というのは、英語の能力ももちろん、この連携によって向上されていくと同時に、国語の能力、日本語の能力も、この連携によって更に良くなるという視点から考えると、ある一つの教科ないしは能力のギャップを埋めるためにこれをやっているんだと見えてしまうのは、私は余り良くないかなと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

【亀山主査】
 結構問題発言というか、問題性のある発言ですね。

【福田委員】
 はい。

【亀山主査】
 それが何か文脈からずれて際立って見えるような形では好ましくないかもしれませんけれども。言語能力の向上という側面から見た場合に、私は自然な提案として酒井委員の意見を受け止めたんですけれども、それが、今、先生がおっしゃられたような、このまとめ案の中に加えることは違和感を感じるということですよね。

【福田委員】
 そうですね。

【亀山主査】
 そのあたりちょっと、もし御意見ございましたら。キャンベル先生、お願いします。

【キャンベル主査代理】
 多分、折り合えるんじゃないかなと思います。つまり、今、酒井先生のお話では、特に英語の方に音声的なものですとか、発音ですとか、そういったことを連携を深めることによって気付かせ、ギャップが埋まると。そのギャップが、確かに発達の段階からすれば、全ての教科からすると英語が発達段階だということは、一般論としてどこでも、外国語である以上はあると思うんですし、それは逆に総合性といいますか、連携であり、どのようにそれが日本語、国語の理解や運用能力の上達につながるかということをしっかりと、例えばその一文であれば、それも書き込めば良いのではと思います。
 確かに英語のこのギャップを埋める、英語をどんどん学習を加速させるとか、進化させることだけが我々の、あるいはそこだけを見る片方だけの意見のというのは、ここでは多分なじまないと思いますので、そこを少し念頭に入れて、酒井先生、皆さんで文章を考えていけば良いんじゃないかと感じました。

【亀山主査】
 福田委員。

【福田委員】
 そのギャップを埋めるというのに、ちょっとひっかかっただけで、両方の言語能力を上げていくことが重要であると思います。

【キャンベル主査代理】
 底上げをするという。

【福田委員】
 そうですね。それはすごい賛成というか、ここの会議での基本だと思いますので。ありがとうございます。

【亀山主査】
 松本委員、お願いします。

【松本委員】
 酒井委員がおっしゃっている部分、御発言の内容と、12ページの一番最後の丸が関わっているように、私には読み取れるんですけど。多分これを読むと、外国語を学習する時間が限られていると。前提として日本語の能力の習得が欠かせないので、国語教育も頑張ると、そういう読み方が間違っているという御発言なのではないかと。つまり、小学校中学年、高学年になったときには、ある程度日本語が習熟されているというのは酒井委員のお考えなんじゃないかなということと、それから英語力を上げるために国語教育を充実するんじゃないよと。ですから、ここのあれと全く違うことを御発言されているように私は思うんですけど。酒井委員、私の理解は間違っているでしょうか。

【酒井(邦)委員】
 ここで、12ページの一番下の点ですね。赤、赤とですね。ここで挙げられていることは、日本の特異性といいますか、違った要因が挙げられているだろうと思います。つまり、今でこそ外国人はかなり増えてきましたが、やはり我々がその外国語を実際に使う機会が限られているということにスポットを当てた一面でしかないんだと思いますね。むしろ大事なのは、今回、我々のミッションは、そこを是正するとかそういうことではないので、いかに生徒の言語能力を高めていくかという問題なんです。
 ですから、外的な状況が何であれ、我々は外国語が習得しにくいという別の内的な制約をいかに改善していくのかという教育のデザインを提案しようとしていると理解しているので、そこに何か齟齬があるわけではないと思います。
 逆にむしろ、先ほどのギャップを埋める、それから国語の底上げになるという立場をもうちょっとはっきりさせるためには、やっぱり我々の言語能力というのが基本的に備わっているものであるにもかかわらず、余りにも最初の母語の影響が強いために第二言語の習得がしにくくなっていると、そういう神経科学的な当然理由はあるわけです。ですから、そこをどう少しでもマネージしていくのかという問題設定だと理解しております。

【松本委員】
 そうすると、ここは書き換えなくていいということ。

【酒井(邦)委員】
 ええ。ここは、具体的にはどこが一番矛盾だとお感じなんでしょうか。

【松本委員】
 まず1文目から2文目というのが、この時間や状況が限定されているというのは、授業とか学校教育の枠組みでも、このことが問題視されていると思うんですね。例えば週4時間しか学習しないとかですね。
 言語能力の向上のためには、外国語の能力を育成する上でも。要するに、外国語の能力を育成する上でも、国語教育の一層の改善が必要だという部分が、何か外国語教育の時間が限られている、使う場所も限られている、それで国語教育を充実させないといけないという流れが、私としては、ちょっと違和感があるんですが。

【酒井(邦)委員】
 私の読みと。多分おっしゃる意味は、やっと分かったんですけれども。つまり、学校教育での時間の配分ということを考えたときに、どうデザインしていくかということですね。ですから、もしそのままいくのならば、外国語の時間をもっともっととるべきだというのがそれと。それは分かりました。
 それに関しては、授業時間数とか当然、既に制約があるわけですから、もっと課外の時間とか、朝の15分を確保するとか、もうちょっとそういう弾力的な時間を確保しつつ、日本語と両立させるという書き方に少し改める必要があるかと思いました。

【亀山主査】
 よろしいですか。

【松本委員】
 はい。

【亀山主査】
 ほかに何かございますでしょうか。キャンベル先生、お願いします。

【キャンベル主査代理】
 全体ですけれども、私も、特に3ポツの連携の意義であるとか目標、目的ですとか理念が、かなり具体的になっていて大変良かったと思います。
 これは先ほどの松本委員がおっしゃったように7ページ。ちょっと戻りますけど、7ページの認識から表現へというものが一つの循環であるということが明言されていて、ここではそれはどういうふうに、じゃあ、どういうらせんがあるのか。戻り、それが打ち返されて表現が認識を惹起するというようなことを、具体的にはここには書かれていないんですけれども、一つの基本的な、それこそデザインの基本線としては提示されて良かったと思います。
 ただ、そのことも含めて、我々の議論というものが、ファースト・リーダーが誰であるのか。そこからどういうふうにそれが伝わり、実際にカリキュラム・マネジメントに生かされるかということを、実は私はいまだによく分かっていないところがあります。
 連携の大切さやその理念ということを、これで分かりましたけれども、先生たちがこれを読む。それから教科書の出版社やその委員の先生たちがこれを読むということを考えると。。
 例えば15ページの最初の白丸のところに、五つの資質・能力に関する項目があって、その関連性を考慮し精査することを求められるということが書かれていますけれども、それがどこでなされるのか。そして次に16ページのところに、効果的な連携として、具体的にこういうことが考えられるんじゃないかということが並列されているんですけれども、ここがすごく大事だと思うんですね。
 ここを、いわば付録として入れることがいいのか。それぞれの項目の中で、これを読み、理解し、実際に形にしていく方々のことを考えると、もう少し具体的なこと、どういうふうにこの連携を考えるのかということがあった方がいいのではないか。認識から表現までの流れは分かるけれど、らせん的な、循環的なことを言っているので、例えば表現をしてみることによって、根本的なことを気付く。例えば日本語の中だと、敬語であったり、謙遜語であったり、そういったものであるが、英語の中でものを頼む、頼まれる文章を作る時にはどうするかつまり日本語のこのメンタリティーをそのまま英語に持っていくことはできず、その違いを知ることによって、表現から、このような認識の気付きが生まれるということを想像しますけれども、そこを少し具体的に書けないか。いわばこの16ページの付録の形をもう少し充足させられないか。あるいは、充足させながら中に少し織り込んでいった方がいいのか。
 15ページに先ほど申し上げた、系統性や関連性を精査することが求められるということはそのとおりだと思うんですが、具体的にどうしたらよいのかということがない。今回、加えていただいただけに、いろんな議論が具体的になっているために、その議論の先に、どういう課題、どういうレッスンが、例えば例としてふさわしいのかということが、ちょっと不足しているのかなと感じています。いかがでしょうか。

【亀山主査】
 若干フラストレーティングなんですね。

【キャンベル主査代理】
 そうですね。

【亀山主査】
 この点、僕も、事務局との事前の話し合いの中で、個別具体例をもう少し挙げていくことによって、この全体のまとめ案を、より実現可能なものにしたいと述べました。しかし、この取りまとめは、全体として総合的なものとして完成させる必要があるとのことで、個別具体例については、さらに次の段階で考えていくことになるのかなと今は理解しております。
 いかがですか。どうぞ。

【平野教育改革調整官】
 よろしいでしょうか。まず最初に、15ページの一番上の白丸の点につきましては、これは学習指導要領等に示す指導内容における連携を記載したパラグラフです。全体のところで書かせていただいておりますので、これから我々が実際に学習指導要領やその解説を作っていく作業の中で、この関連性を整理させていただくという趣旨で、ここには書かせていただいております。
 それから具体的な連携の事例については、これはほかの教科にも共通している部分なのですが、余りにも具体的な事例を示してしまうと、今度はそればかりをやってしまうような別な流れを生んでしまうという懸念もありまして、それだけやればいいんだとか、それをやらなきゃいけないんだみたいなふうになってしまっても困ると。やはり、そこは現場でちゃんと工夫したり考えたりする余地を残しつつ、イメージが湧くようにどう示していくかというところで、ちょっと工夫が必要な部分でございまして。
 それともう一つ、この連携の事例については、やはり、ある程度我々として具体の例示を示していく段階では、その効果を検証した上で、きちんと効果が上がったものを紹介していく作業が必要だろうというところでございますので、大枠を示させていただいて、今度はそのフレームの中で、実際に研究開発学校などで事例を積み重ねた上で情報発信をしていくという形で、ここは書かせていただいている状況でございます。

【キャンベル主査代理】
 いや、それはそのとおりだと思います。性格、特に最後におっしゃったことと、実際に成功を積み上げていくことをやっていただくということは重要だと思うんですけど。
 そこのパラドックスですよね。ここで論理的に非常に精緻に構造化されたものを示すと同時に、しかしこういうふうに具体的にそれを示す、具体例を盛り込むことによって、それだけでいいよと誤解されるという危険。それも回避をしたいということは分かります。
 ですが、ある程度の具体性、事例。こちらが、ある程度この時点で考え得る、あるいはこの論理的な構成、構造を打ち出すに当たって、実際に議論して、あるいは念頭に置いて考えた具体的な事柄ですね。それをどこかに、示せないかと。
 どこかで、これがこの文章の中なのか、あるいは別に別添として、例えば議論の中では、このような具体的な事例があったというふうに、それを分けて。つまり、指導をこういうふうにせよということではないということを形式で分かるような形で、単に論理的な構造化された理想的な青写真を示すのではないところまで、必要じゃないでしょうかと思います。

【亀山主査】
 具体例で、もう少し肉付けをすると。16ページの言語活動で扱う題材における連携というところ。例えば「道案内」「推薦状」。これ、逆にあることによって非常に貧弱なイメージ、貧弱な印象を与えかねないんですね。ですから、このあたりは、むしろ、もう少し何かあった方が。「ああ、そうだな」と納得させるようなものがないと、「えっ、こんなのでいいの」という感じになって、逆効果を生む結果になってしまう可能性があるんですね。
 だから、今、事務局の考えている大くくりで示すというその方向性と、若干このらせん的な方向性をぐらいで出すには、もうちょっと具体例が必要だということですね。きょう、たっぷり時間がありますので、もし委員の方々が納得されるようでしたら、若干書き加えもありかなと思います。
 これについて少し先生方の御意見を伺った後で、また個別に御意見を伺いたいと思いますが。中村委員、どうぞ。

【中村委員】
 今、キャンベル先生のおっしゃる趣旨を非常に分かった上で、今回、論点整理から、現場の先生方の、この中教審の発信というのは、非常に早く受け止められていたり、関心を持って情報を受け止めておられる中で、やはり先ほど事務局から説明があったように、事例はうまく出さないと、そうすればいいんだとか、そうしなくてはならないことに決まったというような受け止め方が一般的になりつつあるのかなと思います。
 そういう意味で、先ほどジレンマと先生が御指摘されたように、事例としては幾つかあるんだけれども、やはり創意工夫をしていただくのが大前提であるということをきちんと打ち出した上での幾つかの例示だということでの肉付けであれば賛成です。

【キャンベル主査代理】
 それは出し方であると思うんです。何事であれ、実際に現場でそれを受け止めて、工夫をしたり、脚色をしたり、自分の現場に合ったものをこれから作っていただくための、それはそれとしての示し方というのは当然あると思います。最初から誤解されては困ると引き算でやっていくというのは、ちょっと低いところに流れていくといいますか、何もしなくてもいいということになりかねない。きれいな画餅といいますか、絵に描いた餅とならないためにも、創意工夫をしていただく必要があるのではないかと思います。これはファイナルアンサーではないということを強調しながら、少し具体的に加えた方がいいと思います。

【亀山主査】
 ですから、創意工夫が強く求められるとか、これだけじゃないよ、自分たちで考えてやらなければだめなんですよということがメッセージとして伝わる書き方がなされれば、今のジレンマは解消するかなとは思いますが、いかがですか。苦しいですか。
 どうぞ、松本委員。

【松本委員】
 私は、例えば別紙3にあるような示し方を今されていらっしゃいますよね。ですから、余り細かい例を出し過ぎてしまうと、今までの例から言うと、多分これが親会議の報告書になると、外国語と国語の学習指導要領を執筆する際に、これを無視することはできなくなっちゃうと思うんですね。それが学習指導要領に書かれたり、解説に書かれると、教科書会社はそのとおり、これを入れることになりますので。私はキャンベル先生のおっしゃること分かりますけど、余り細かく出すよりは、この別紙のような形で出された方がいいのではないかと思います。
 この別紙に関して言うと、15ページにありますけれども、言葉の特徴や決まりに関することについては出来上がっているんですが、もう一つのコミュニケーションの側面に関しては、まだできていないですよね。ですから、そういうのを作っていった方が、イメージを共有しやすくて、さっき、ちょっとこれはどうかとおっしゃったような「道案内」とか「推薦状」とか出てしまうと、それをやらなきゃということに、現場だけじゃなくて、多分、学習指導要領もそうなって、教科書もそうなってしまうと。だから、特定なものを出すことの危険性の方が、私はどちらかというと大きいかなと思います。

【亀山主査】
 そうなんです。出すか出さないかという問題になってしまうかもしれないですね。例示するかどうか。仮に例示がないとなると、何か本当に抽象的な提言になってしまうと、そういうおそれもあるということで。出すと、そこにこだわりが生まれてしまうということで。出すならば、もうちょっと洗練された幾つかのものを出してみたら。現場で非常に有益な、有効な題材となるものを出すという。
 どうぞ。

【松本委員】
 よろしいですか。だから、例えばと書かれてあるので、本当に例えばでならいいんですけど、例えばじゃなくなってしまうのがこれまでの慣習であるということを考えると、例えば、「外国語科において同等、類似な意味を持つ日本語と外国語のことわざを比べたりすること」とここに書いてしまうと、もう教科書には当然載ると思います。

【亀山主査】
 もう載っているんじゃないかと思うんですけどね。

【松本委員】
 はい。ですから、こういう例示がいいのかどうかというのは、私はちょっと疑問です。

【キャンベル主査代理】
 具体性を恐れずに、これは例であるということ。部外者から言うと、今までの日本のこの教育の世界やり方の問題なんですよ。だから、それがだめなんだということを、そのまま金科玉条にしてやるんじゃないよということを、どう伝えていくのかを考えていただくのが、皆さんの仕事じゃないかなと思います。

【松本委員】
 それが徹底されるなら賛成です。
多分、この会議だけで全てが決まっているわけではないので、ほかの多数の会議と連携しているので、キャンベル先生がお考えのような例示というのは、もう少し別の会議で出されるものじゃないかと思います。

【合田教育課程課長】
 いろいろ御指摘を頂きまして、ありがとうございます。私ども、まさにこういう場での御議論を学校現場や教科書会社にどう伝えていくのかについて、先ほど松本先生がおっしゃったような意味での難しさは十分踏まえながらやっていかなければならないなというのは、一つ重要な点としてございます。
 特に今回のように初めて学習指導要領の議論の中で外国語科と国語科について、それにまたがるような形で言語に関する資質・能力というものを議論していただいて、それをまた合わせ鏡にするような形で言語能力をどう高めていくかという非常に新しい議論をしていただいているときには、先ほど松本先生がおっしゃっておられたように、確かによほど慎重に情報発信をいたしませんと、何のためにそれをやるのか、どういう資質・能力を育もうとしているのかではなくて、どういう型の教育をするのかということが大変重視をされて、それが独り歩きする嫌いがあるのは確かに事実でございます。それは今までの私どもの文部行政の意思の伝え方にいろいろ課題があったからではないかというキャンベル主査代理の御指摘も全くおっしゃるとおりでございまして、それは私ども、拳々服膺していかなければならないと思っております。
 いずれにしても今回のこの問題につきましては、私どもとしては、一つは是非、これはまた御指導頂ければと思っておりますし、今回、随分、御指摘を踏まえて入れさせていただきましたが、なぜ、この言語チームで、このような議論をし、そういうことを踏まえて教育を行っていただくことが子供たちにとって大事なのかというその点を、是非是非骨太に共有をさせていただきたいと思っております。
 その上で今回、具体的な例、幾つか挙げていただいておりますけれども、これにつきましては先ほどキャンベル主査代理がおっしゃっていただいたように、オープンエンドと申しますか、これでおしまいということではなくて、これからこういったことをイメージをしながら、この本文にもございますように、研究開発学校でありますとか、あるいは教育課程特例校などでも取組をどんどん掘り起こしていただいて、このなぜ必要かという基本的な考え方と、そういう非常に多様な実践例というものが具体的にうまくかみ合っていくような形にしていく必要があると思っています。
 そのプロセスというのは、これから私ども、きょうの御議論なども踏まえて、中教審で全体像をおまとめいただくプロセス、それを基に学習指導要領を作っていくプロセス、それを基に解説を作っていくプロセス、それから、これまで以上に今回は、それを基にして、様々な具体的な学習活動例の掘り起こしと、それを例えば映像などでアーカイブ化して共有するような取組と、そういう幾つかの段階があろうかと思っておりますので、きょうの御議論を踏まえて、我々政策的にも、意識的にも、まさに国語科と外国語活動・外国語科をどう組み合わせていくかという観点で、そういう実践例の積み重ねということについて、学校の具体的な取組と研究者の方々と一緒になって取り組ませていただきたいなと。
 その観点からいけば、きょうお示しを頂いた、このレポートの素案というのは、それをトリガーに引く十分な情報量を入れていただいているのかなと思っております。済みません。

【亀山主査】
 いかがでしょうか。ということなので、まだまだオープンエンドであるということですので、安心して臨むことにいたしましょう。
 では、中村委員、どうぞ。

【中村委員】
 ちょっと別の観点からになるんですけれども。9ページの国語科、外国語科との連携の前段階として、全ての教科等における言語活動という部分に関してですけれども。遡って恐縮ですけれども、そもそもの2ページの白丸の二つ目でしょうか。言語能力が国語科、外国語科のみならず、全ての教科等における学習の基盤になると最初にきちんと位置付けていますので。今9ページのままですと、現行の言語活動の充実からのバージョンアップが少し見えにくい。やっぱり言語活動の充実の先に、全ての教科、領域における言語能力の向上ということが、(1)の見出しのところにおいても、例えばですが言語活動の充実と言語能力の向上についてという形で、明確に打ち出される必要があるのではないかと思います。
 と申しますのも、このチームで作ったイメージ案が、例えばこれが社会や理科の学習の中では具体的にどうなっているのか。この真ん中の黄色い資質・能力の言語能力ですので、私たちの教科、領域でやるにしても、それぞれの教科、領域でどのような言語能力が、その教科、領域の見方や考え方、あるいはアクティブ・ラーニングにおける深い学びの実現につながっているのかというのは、このイメージ案を基に何か説明できるようなものがあると、この言語能力の向上が全ての教科、領域の基盤であるということが明確になるかと思います。
 その上で10ページの文言なんですけれども、白丸の一つ目に、非常に今、私が申し上げたことが言葉になっておりますが。書き始めが音や色、イメージ、身体表現といった音楽、図画工作、美術、体育等においてはという、やや限定したような捉え方をされてしまうと、後段に書かれている自分の学びをメタ認知したり云々というようなのは、こうした実技教科以外でも当然重要な、教科の学びを支える言語能力だと思いますので、少しその辺が重要さが浮かび出るような、ここが書き方になるといいかなと思いました。済みません。

【亀山主査】
 ありがとうございます。今の点の御指摘、平野調整官、よろしいでしょうか。
 では、福田委員、お願いいたします。

【福田委員】
 1点目と2点目があるんですが、まず1点目なんですけど。13ページの下から3行目のところで、これは文言の問題なんですが。推論能力、談話能力云々というのが上位処理能力とありますが、これは汎用処理能力とか、あるいは汎用能力の方が正しいのかなと思います。
 例えば数列などの問題のときに、次のところにどの数字が入るのかなんていうのは、これは推論能力なんですが、言葉とは関係ない能力なので、上位とか下位とかという関係ではなくて、汎用の方がいいかなということです。
 それから18ページ目なんですが。これは私の知識不足のお話で申し訳ないんですが、一番上の丸の教員の指導力の向上というところで、二つ目の黒ポツ。教員養成カリキュラムにおける教科指導法に関する科目において、教員になる方も言語能力について学びましょうということなんですが、この教科指導法に関する科目というのは、社会科の科目とか、理科の科目とか、そういうところでも、この言語能力に関する学習を行ってもらおうという意味なんでしょうか。そのあたりはいかがでしょうか。

【平野教育改革調整官】
 教員養成カリキュラムにおける教科指導法に関する科目は、それぞれの教科ごとに指導法に関する科目が通常開設されて、それを履修することになっておりまして、それの中のどのぐらいのボリュームがというのは、多分教科の特性によって出てくるとは思うんですけれども、ある程度それに入れていこうということでございます。

【福田委員】
 そうしますと、この特別チームは、全ての教科の基礎能力としての言語能力を向上させようという立場から話をしていると思うので、やはり教員の方にも、理科の教科ではこうですよとか、国語科ではこうですよとかというよりも、全ての教科に関連するような形での学びを、先生になる方々にもやっていただいた方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

【平野教育改革調整官】
 そういった方向で検討させていただければと。

【福田委員】
 以上です。

【亀山主査】
 ありがとうございます。矢原委員、お願いします。

【矢原委員】
 失礼します。先ほど連携の方向性や具体例のところで自分も考えたことがあって、ちょっと遅くなりましたけれども、意見を申し上げます。本校での実践を踏まえてということで、お聞きください。
 14ページの連携の方向性のところで、どの言語を運用するときもという、この運用というのを、もう少し強調していきたいなと考えています。英語であっても、日本語であっても、どういう運用していくのか。
 資料の別紙3の方にも、例えば外国語活動・外国語科のイメージの右側の例として、順序を理解して話す、順序立てて話すなどがあるんですけど、これが意外と日本語でも、場面によってはできていないというようなこともあります。
 私が言いたいのは、そういう言語に運用していく上で、幾らか約束事というか、型のようなものがあって、それを理解して活用していくと、より自分の考えが伝わったり、より理解が深まるということ。
 先ほどの議論あった「道案内」とか「推薦状」なんですけど、それではなくて、どのような順序で伝えたら分かりやすいか、推薦がより相手に伝わるかというようなことだと思うので、相手、目的、場面に応じて、どのような順序で、何を正確に伝えた方がいいのか。そういった言語の運用という面では、日本語の、母語であるといっても意外とできていない。英語と一緒に学ぶことで、そういった順序だとか、構成だとかというものが、よりメタ認知できると考えています。
 それは、そういった言語の運用の仕方が、子供たちにとって引き出しが多くなればなるほど、例えば社会科であったり、理科であったり、いろんな授業の中で議論していくときに、より議論がかみ合っていくということは、より思考が深まっていくことにもなりますし、自分の考えを言語化するときにも非常に役に立つのではないかと思っているので、私がお伝えしているのも、言語を運用していくところを特に連携していくべきではないかと考えています。
 以上です。

【亀山主査】
 それ、具体的にどういう提言になりますか。この既に完成しようとしている取りまとめの中に、今、先生の提言を書き込むとするならば、どこでどうなりますか。具体的に。

【矢原委員】
 具体的にというか、言語を運用するという部分を少し増やしていただきたいなというのがちょっとあって。あと、先ほどの「道案内」「推薦状」というのは、題材という点での連携かもしれないんですけど、なぜその題材を使うのかというのは、やはり順序立てて相手に分かりやすく伝えるという意味で、そういう事例などがあるということだと思うので。
 もしここに連携の視点を入れるとしたら、言語の運用する上で約束事に幾らか気付かせる、又は活用させるような視点が入ってもいいかなと思っています。

【亀山主査】
 1行か2行増やすことによって、今の先生のおっしゃられたことは表現できますね。

【矢原委員】
 はい。

【亀山主査】
 これは先ほどキャンベル先生がおっしゃっていたこととも重なってくるんですよね。

【矢原委員】
 はい。

【亀山主査】
 少しここ、1行ぐらい、うまく書き添えて。つまり、なぜ道案内なのか、なぜ推薦状なのかということの意味合いについては、今、矢原委員から新しい視点が出されておりますので、それを踏まえて、このところ、一、二行書き加えていただけたらいいんじゃないかと思うんですが、先生の方から御提案いただけますでしょうか。後ほどでも。

【矢原委員】
 はい。

【亀山主査】
 最終的には、もう一度これを全体として見ることになりますので。ただ、それが最終的にどうなるか分からないんですけど。でも、一応ちょっと提案をお願いできればと思います。

【矢原委員】
 はい、分かりました。

【亀山主査】
 ほかにいかがでしょうか。中村委員、お願いします。

【中村委員】
 資料でいきますと10ページから11ページの国語科、外国語科の改善・充実の国語科の部分なんですけれども、やはりこのように、先ほど課長さんがおっしゃられたように、国語科だけでワーキングで内容を検討するのではなく、こういった場で検討されるからこそ見えてきたものというのは幾つかあろうかと思います。
 今10ページ、11ページにまとめられていることは、概論的といいますか。今回ここで検討したから、改めてその重要性が認識できたというところがもう少し、この改善の方向性として。余り具体的にしてしまうと、これからの作業を縛ってしまうことになるかもしれませんが、書かれていてもいいのかなと思います。
 例えば次の12ページに、外国語活動・外国語科の方では12ページの黒ポツの上から十何行目でしょうか、のところにコミュニケーションを図ろうとする態度を育んだりすることを中心とした外国語活動を導入することが求められるとあるわけですけれども。そのコミュニケーションを図ろうとする態度を育んだりすることは、国語科でも当然それは重要だということになりますが、それは、じゃあ国語科のどこに明確にうたわれているかというと、既に伝え合う力という言葉が入っているので、やっているというような、やや背景化した捉え方になってしまうかもしれませんので、そのあたりを国語科においても、同じように足並みをそろえていくという意味で、コミュニケーションを図ろうとする態度を学んだりすることを改めて重点化するということでありましたり、あるいはそういう点では今、国語科の教科の目標イメージは、コミュニケーションという言葉を使わずに、伝え合う力という現行の言葉をそのまま使っていて、多分、外国語科の方はコミュニケーションという言葉で教科の目標や中身のことを検討されていると思いますが、その辺、違う言葉のままでいいのかどうか。同じ言葉で共通して作れる部分はどこなのかというあたりの検討が今後あるといいかなと思います。

【平野教育改革調整官】
 失礼いたします。実際の指導要領の中での用語の使い方については、それぞれの教科で、これまでずっと使っていた言い回しとか、そういうのもある程度尊重しながらいきたいという部分もございまして。ころころ変えてしまうと、これは違う意味なのかどうかとかいって、また現場に混乱を与える可能性もございますので、そういったところは、ちょっと精査しながら使い分けさせていただければと思います。

【亀山主査】
 どうぞ。

【圓入外国語教育推進室長】
 補足させていただきますが、外国語ワーキングの中でも今回、今まで使っておりませんでした「伝え合う」というところ、こちらの言語のチームで御議論いただいたことを踏まえまして、小学校から高等学校まで、改めて目標の中に明確にしていく。コミュニケーション、何を目的としているのかということを、目的を明確にするという方向で見直しをする方向、議論されておりますので、その点では随分、共通性は出てくるかと思います。

【中村委員】
 ありがとうございます。

【亀山主査】
 ほかに何か御意見等ございますか。どうぞ。

【島田委員】
 別添3の資料です。今のお話に関係があるのかもしれませんけれども、この資料、15ページの丸の二つ目を読めば、これは言葉の特徴や決まりに関する項目の観点から精査した例であるということも分かります。それから、その上の丸を読めば、このほかにコミュニケーションの側面に関する項目があるんだということも分かります。しかし、この別添3だけを見ていると、言葉の働きの理解につながるところが全くないんじゃないかと思います。その点、これどうしていったらいいのかというふうに、ちょっと困っているんですけれども。
 コミュニケーションの側面に関する部分、あるいは言葉の働きに関する部分について、このようなまとめを今後作っていくお考えなりはあるかということを、ちょっと伺いたいということです。

【亀山主査】
 平野調整官、お願いします。

【平野教育改革調整官】
 実際、学習指導要領を作成していくのと並行して、協力者の協力を得ながら解説書を作っていきますが、この別添3は言葉の働きや仕組みの理解について、現行の学習指導要領をベースに作ったものですので、こういったものを新しい学習指導要領の中でどうなっていくかというものについては、言葉の働きや仕組み以外にも、共通する指導内容としてどういうものがあるのかを整理した形で、できればその解説書にきちんと。今、国語科では小中高を通じた系統表は載ってございますが、ああいったような形で解説書の中で示していくという作業を今後していきたいと思っております。

【亀山主査】
 ほかに何かございますでしょうか。
 ちょっとこれ、私の雑談なんですけれども、先ほど酒井委員からあった英語と日本語の言語能力の発達度の違いといいましょうか。つまり母語の能力がかなり、小学校段階ですけれども、習熟度が高い小学生ですね。例えば早生まれと遅生まれは随分違うと思うんですけれども。4年生の段階に入れば、そのあたりはかなり是正されているはずですが、そういった母語の壁によって英語、外国語の習得が若干後れるとかといったようなことがあるのかどうかということ。そのあたり、僕ちょっと関心があって、どうなのかという、ちょっと非論理的な質問なんですが。

【酒井(邦)委員】
 要するに日本語が、例えばヨーロッパの事情とかなり違うのは、系統的にももちろん違うということもあって、言語に基本的に、それぞれ固有に与えられているパラメーターが全然、日本語は違うわけですね。だから、それに対して対極にある英語を同時に学ぶということが、必ずしも易しくないわけです。つまり、それはちょうどフランス語圏の人が、例えばスペイン語とか、そういうヨーロッパ言語を学ぶのとは大分事情が違うわけです。これは英語とフランス語の親和性を考えても明らかだと思うんですが。
 ですから、その二つだけを二項対立にしてしまうと、そこのギャップが余りにも甚だしいために、どうしても母語に引っ張られるという現象が起きます。ですから、例えば発音も、日本語のように子音と母音が交代するような発音が英語にも表れてきたりとか、アクセントの位置も、英語らしいアクセントはそもそも日本語を片仮名化したものでとらわれてしまうとか、様々な母語に引っ張られる現象が起きます。
 ただ、その子供たちの誤りというのは決してランダムに起こしているわけではなくて、やっぱり日本語では正しいとされるような文法的な現象が、英語ではたまたま非文法的になると、そういうギャップがかなりあるわけです。
 ですから、なかなか英語と日本語だけでは解決しないと私は思うんですが、やはり、それ以外に別の言語が中間的にもあるとですね。例えば中国語があっただけで相当問題は解決します。つまり中国語の場合には、例えば語順でいけば、ヘッド・パラメーターが前の方に来る。例えば英語に近い語順をとるということになっています。それを日本語の場合には、漢文を日本語としての順番で読ませてしまうために、それに対する気付きもなければ、中国語として発音するということすらできません。
 ですから、例えば中国語の発音があるにもかかわらず、我々は日本語として漢字を読んでしまうために、それがかなりの制約になって中国語の発音がしにくくなってしまいます。ですから、漢字は読めて使えて覚えているにもかかわらず中国語は読めないという非常に奇妙な現象になるわけですね。
 ですから、そういうことが、それぞれの言語の個別の問題としてコンフリクトを起こしているわけで、それがベースにあります。
 ですから、基本的に人間の脳というのは保守的に、自分が母語と学んだものをベースに、全ての外界の情報を判断して、高速でそれを受容し、自分で組み替えて発信しているわけです。そこに対してかなりの負荷を掛けないと、発音や文法や、そういう意味概念の外国語へのスイッチは非常に難しいわけです。ですから、それを訓練として強要するのではなくて、自然な形で両立して、何とか両方とも高めていくという視点を与えるかどうかが、そういう意味では非常にチャレンジングなことをやろうとしています。
 ただ、要するにそれはあらかじめ最初の我々の生後からの数年間でほとんど脳ができてしまっているからそうなるのであって、かなり早い段階でいろんな言語に触れれば、そういう意味では、ああ、人間の言語はこういう幾つかのパラメーターを許すんだということ自身がしっかり定着するために、実は、むしろ多言語を学ぶ方が自然に、全ての言語がうまく理解できて運用できるということにもつながるんです。
 ですから、やはり一つしかないものに一つを足すというのは非常に大変で、親御さんも日本語もおかしくなるんじゃないかとか、2か国語でも大変なのに3か国語なんて絶対無理だとおっしゃるわけですが、基本的に人間の言語というのは複数の方言や、そういう世代語があることが当然ですので、そういうたくさんのパラメーターの中に日本語が位置付けられて、相対化して英語を学べば、ああ、そういうことだったのかと。結局それは脳が自然と解決してくれる問題なんです。
 ですから、そこを教育で人工的に筋道をなぜか立てて、まだ理屈の分からない小学生に対して無理なことをしてしまっては、やはり、かえって言語らしさが自然に習得する機会を奪うことにもなります。
 ですから、その自然に触れさせるということを、どう教育である程度確保していくのかということが問われると思います。

【亀山主査】
 ありがとうございました。私の個人的な記憶ですと、国語ができる子って結構英語が全然できないというパターンが結構多かったという記憶があって、それって一体何だったんだろうかみたいなことをちょっと思い出したものですから、非常に素朴な質問をしたんですが。本当は、そういった観点もあるといいなという思いも若干否めなくて。
 私は早生まれ、2月生まれなんですね。結構君は知恵遅れなのかと思うぐらいに、小学校1、2年のときなんて成績も悪かったし、そんなことで、かなり早い段階で英語を独りで勉強を始めたということがあるんですよね。自分なりにかなり特異な言語体験を積んできたかなという思いがあって、今回のこの言語能力の向上に関する特別チームには、私なりの特別な関心を持って、臨んできたということがございます。これ、総括の扱いみたくなっちゃって申し訳ないんですが。
 ここで私、勝手に意見を述べましたので、最後にお一人ずつ、このチームに加わって得た問題意識なり何なりを、ちょっと感想風に述べていただければありがたいんですが。では福田委員の方から、何でも結構ですので。

【福田委員】
 このような機会を得まして、大変すごく勉強になりました。ありがとうございました。
 酒井先生の御発言を受けてなんですけれども、やはり、この小学校、中学校、高校とかでバイリンガルができるわけでもないし、国語の能力に関しても、ベストセラー作家ができるわけでもないと。ただ、基礎教育においては、生涯学習の観点に立って、ああ、ちょっとやらなきゃいけないなといったときに、じゃあ、そこからゼロで始まるのではなくて、ある程度知識があると。さらに、その知識をどのように生かせばいいかというハウツーを知っている、あと学習の学び方を知っている。それを小学校とか中学校で学んでおけば、40になってから始めようと思っても、いろんなことができるんじゃないかと考えながら、今回これに取組をさせていただきました。
 今後とも日本の教育が向上すること、特に言語能力が向上することを願ってやっていきたいと思います。以上です。

【亀山主査】
 松本先生、いかがですか。

【松本委員】
 先ほど申し上げましたような認識から思考へ、思考から表現へという過程が単発的ではないということについて、最後確認がとれたのは良かったかなと思います。
 それから今回、言語そのものの構造とか語彙とか、そういうものに関する知識というのは若干、まだこの案の段階では、そこの部分が強調し過ぎてないかなという心配があって、最終的には言語能力を高めるという教育の在り方をこれから模索していくんだということが重要だと思います。
 それから今回は国語科と外国語科との連携というのが強調されて、それはそれで結構だと思うんですけれども、やはり内容面との関連性ですね。幾つか例も出ていますし、それから全教科で取り組むんだということが書かれてありますので、その精神を学習指導要領、各教科において、しっかりと受け止めてほしいなと思います。
 最後に酒井委員に質問ですが、先ほど小学生、無理やり教えてはならないというような御発言がありましたけれども。今回気付き、気付きというのはかなり書かれてあるんですが、その気付きが無理強いにならないのかという点が、私は非常に危惧している点なので、最後、酒井委員のコメントで、それについてお話しを頂ければ幸いです。

【亀山主査】
 ありがとうございます。矢原委員。

【矢原委員】
 このような機会を頂き、ありがとうございました。本校の教育課程特例校での実践を幾らか御紹介させていただいたんですが、今回、思考、表現という、こういうイメージを作る過程で、本校は特に思考、表現の基礎的な技能。約束事、約束事と言いましたけれども、そういった型を丁寧に教えていくことを中心にしてきており、それがどのように活用され、そして考えの形成であるとか、認識が深まったりというふうになっていたのかが、ある意味、自分なりにちょっと整理ができたというところもあります。
 本校で、そういった。本校は中高一貫教育校なので、6年間の過程を見ていって、卒業後のゴールのイメージということになるかと思うんですが、やはり社会に出ていった子供たちが、気付くとディスカッションの中で非常なリーダーとなっていくとか、大学の先生に、高校時代は言われなかったんですけど、レポートの書き方がうまいよと言われたりというふうに実感を、そのときよりも数年たった後。もしかしたら、もっと後になってくるかもしれないんですが、やっぱり実感する。それは、この学校で学んだからというふうにOBたちが言ってきているのが、この最近なので、そういったことにつながっているのかと私は感じていました。
 よければ、実践事例の方はたくさん提供させていただきたいと思いますが、本当にありがとうございました。以上です。

【亀山主査】
 中村委員、お願いします。

【中村委員】
 改めて言語能力が教育課程全体を貫いている重要な資質・能力であるということが確認できたなと思います。それは現行の言語活動の充実という中でもうたわれていることですが、やっぱり活動で終わってしまうのが、なぜその活動が必要なのかというところが、先生方が理解される前のところでの工夫で終わっているというあたり。そこが先ほど申し上げた、この認識から思考、思考から表現、松本先生が先ほどおっしゃっていたこれがまとめられたことによって、より、その言語活動を通した言語能力の育成が、また各教科、領域の内容を支えるものになるんだというところが明確になって、活動の工夫にもつながっていけるかと思います。
 と同時に、国語ワーキングだけでは見えてこなかった観点も、この委員会の中で幾つか見えてきたと思います。これ、島田先生が以前に発言されていたことですが、国語ではこれまで文章構成の工夫などは指導内容としてよく工夫されているんだけれども、一つの段落の中で、どの文をどこに出すかという、その段落内の文構造まで丁寧に扱おうとしたところは、やや手薄だったかもしれません。そういったところが国語科として学ぶことが、また外国語の活動にも子供たち、つながっていくんだというようなところが見えてきたのが大変勉強になったところです。
 是非またこれが、それぞれの学習指導要領、あるいは解説の中でしっかり、骨抜きにならないで位置付けられていくようになっていけばいいなと思います。ありがとうございました。

【亀山主査】
 島田委員、お願いします。

【島田委員】
 国語教育に携わりながら、ふだん、これまで余り考えてこなかったようなことを考える機会を与えていただきました。本当にどうもありがとうございました。
 全体の取りまとめとして、基本的な考え方のところから非常によくここまでまとまったなというような実感を持っております。今後は、これが具体化されていくところで、何度も言いますけれども、言語に共通するところの言葉の役割とか働きというようなところの指導というのが実のあるものとして実現されていくように注意深くまた見守りつつ、実践の開発等にも生かしていければと考える次第です。どうもありがとうございました。

【亀山主査】
 酒井委員、お願いします。

【酒井(邦)委員】
 まず松本委員からの御指摘なんですけれども、いかに教育というものを自然に与えられるかというところのぎりぎりの線が大事だと思うんですね。だから、決してこれは妥協ではない。しかし追求していく価値のある問題なんだろうと思うんです。
 ですから、そのときの発想として、やっぱり我々の持っている言語能力というのは実は幼少期の方が一番高くて、例えて言えば、本当に乳児期からスタートして、脳の発達に完成するにつれて、そういうフレキシビリティーはだんだん失われていきます。
 ですから、臨界期とか、いろんな仮説もあるわけですが、だから早期教育だということだけではないんですね。そのためには、どういう自然な教育の場を与えるかということに尽きるだろうと思います。
 ですから、大人の発想で、できるだけきれいにして、特徴だけをうまく捉えて気付かせるような教材や機会を与えれば、外国語はそのままマスターできるんじゃないかという発想自身が人工的なものになる嫌いがあるわけです。
 ですから、そういう場合には、それが強制して訓練のようになってしまいます。ですから、ひたすら同じように発音を繰り返させたり、反復練習が大事だということによって、何か同じ文型だけを繰り返し出せばいいということではないのだろうと。だから、十全な言語刺激というのは、まさに生に我々が使っている言語そのものを子供にいかに自然に与えられるかということに尽きる。であれば、その中から子供たちが自身の言語能力で発見していけば、それが気付きと言うかどうかはともかくとして、大きなジャンプにつながると思うんですね。
 ですから、人間の学習には大きく二つパターンがありまして、一つは訓練を重ねて徐々に段階的にスロープを上がるように上がっていくものなんですが、もう一つは、あるときにはっと気付くと、突然ジャンプしたように全てがつながるような、そういう段階が明らかにあります。ですから、それをむしろ狙って、最初の、特に3、4年生、中学年の段階が、ひたすらそういう環境を与えて待つと。先生が無理に教えるというような発想をむしろ捨てて、生徒と一緒に楽しむと。その中から子供たちが何かキャッチできるということから、それをある種のベースにして、次の外国語教育につなげていくと同時に、福田委員からの指摘があったように、それが日本語の能力に明らかにつながるわけです。
 というのは、これだけ日本語の能力に関しては、我々がほぼ理想的な形で身に付くにもかかわらず、なぜ国語にはこんなに個人差があるのかという問題が、私は一番関心を持っています。その問題が解けないと、理科や算数や算数嫌いがなぜ多いのかとか、そういう問題はなかなか解決しないだろうと思います。
 ですから、様々な言語にまつわる誤解を一つ一つ丹念に解きながら、やっぱり人間の能力を高めるということの道筋を自分なりに模索しているときに、この委員会が参加させていただいたのは、ある意味非常に刺激的であったということに感謝したいのと同時に、今後どう発展していくかを陰ながら見守りたいと思います。ありがとうございました。

【亀山主査】
 松本委員、よろしいですか。

【松本委員】
 ありがとうございます。

【亀山主査】
 では、キャンベル先生。

【キャンベル主査代理】
 ありがとうございます。おととしから、いわゆる親委員会にかかわっていて、外国語と日本語を俯瞰的な立場から、まず見て、整理をして、その上で、できるだけツールを作っていくことができないかということを提言した一人として、こういう場を実際に与えていただいて、最強の委員の方々にも集まっていただいて、私も入れていただいたことには大変感謝をしたいと思いますが、非常に充実した議論、毎回重ねるごとに、このことの難しさと。しかし、これは本当に10年前、20年前、これは日本だけではない、欧米においても、こういう観点から、こういう切り口から、言語活動、あるいは言語能力というものを総合的に見て具体的に教育、小中、高等教育の中にしっかりと位置付けるということは、これ実は私たちがここでやろうとしていることは、かなり先端的なことであるということも、まさに気付く、あるいは、その責任ということを重く感じるチームでもあったわけです。
 英語と日本語のそれぞれの特徴ということは、あるいは発展科学的な、その課題や問題ということももちろんあり、でも一方では教育。どういうふうに学習していくかということを、それぞれの母語、それぞれの言語を母語とする地域を比べていきますと、私は英語とフランス語についてはある程度言えるんですけれども、非常に若いときから、小学校のときからかなり、日本に比べて分析的といいましょうか、メタ言語的に言語というものが構想、音韻、あるいは表記を含めて、日本に比べてシンプルですけれども、かなりこれは分析的に、感覚ではない理屈として、文法というものを学び、いろんな歴史的な、例えば植民地支配であるとか、外国としての言葉を教えていくというような必然性。歴史的な経緯もあり、特にフランス語や英語においては、非常に強固な、それこそ自然ではない形で言語を教えるのに対して、日本では、これは非常に、ちょっと国語の先生たち、今の先生方に怒られるかもしれませんけど、非常に感覚的なといいましょうか。情緒であったり、感覚であったりというようなこと、あるいは社会の中に生きるということの、この中で習得していくことが重視されていく。それが今まで、そこを融通が、日本の教育の中では余りされていないような。それぞれの言語に対するアプローチの美点といいますか、長所というものがそれぞれに私はあると思うんですけれども、今回、さっき申し上げたように、外国語と日本語の教育の幾つかの橋渡し、通路というようなものを設けることによって、そして現場の中で、先ほど話にありましたように、研究開発学校などの実証を経ていくことによって、全体の底上げ。どちらかのこのギャップというよりも、全体の底上げを目指していくということは、これは大変、本当に5年、10年掛かるかもしれませんけれども、これは国内をはじめ海外に対してもコラボレーションしていって、大きな日本の発信型のこの教育の一つの拠点に、拠点的な課題になり得るんじゃないかと思いました。
 一方では、こういうふうにしていくことによって、恐らく国語の先生と英語の先生の間で、国境を通じて同時に、あるいはリンクしていく、連結していく幾つかの具体的なカリキュラムを作っていく中で、言葉であるとか、どういうふうに教えるかという方法ということが少しずつ確立していくに従って、言葉、言語能力の、もともとのこの資質、得意意識を持った生徒たちが、ますますそこに、そこが自分たちの学びを豊かにしていく非常にいい材料、いい状況、環境が生まれると思いますが、ちょっと悪い想像をしますと、もともとそうではない、不得意感覚を持った生徒たちが、今度は四つに組んで、外国語も国語も同じような、つまり言葉そのものに関心があり得意とする学生たち、生徒たちが、どんどん上達していくような中から取り残されていくといいますか、というようなことも起こりはしないかということ。これちょっと、こういう苦労が、本当にこういうことを考えないといけないかということは、是非、研究開発の中でも考えていただきたいと思いますけれども。
 閉ざされたものとしては、今度はもう一つ新たな閉ざされた教室の、この一つの在り方を作るのではなくて、ほかの教科を少し巻き込むといいますか、ほかの教科の中でも十分先生たちにも意識をしていただき、こういう総合的な相乗効果というものが、理科であるとか、社会であるとか、その中で十分生かされるような、あるいはそこで寄与できるようなプログラムを作っていくということも必要ではないかなと思いました。
 最後に、きょう私が少し語気を荒げて、本当にこれは絵に描いた餅。一番すっと通過できるような、それぞれの忙しい現場の中で「はい、分かりました」といって、それで済ませてしまうものになりはしないかということを申し上げたんですけど、これは多分、それは私の真意といいますか、私は本当にそう思っているので、そこのところを考えていただきたいと思うんですが。でも一方では、私たちはそれぞれの現場、あるいは立場の中で、具体的にこういうことはできるのではないか、できないかということを発言をして、あるいは考えて開発していけばいいかなと思います。
 何よりも今、必要性そのものが問われている人文科学、あるいは文化的な学びというものが、これほど人間の営為の根本に実は位置付けられていて、言語能力なくしては、経済活動であるとか、あるいは外交であるとか、国家安全であるとかというような、あるいは生活そのものの、非常に市民生活を行うことができないということが、このテーマ、チーム、そしてその成果が世の中に実際に受け入れられる、あるいは議論を呼び起こすことによって再認識、あるいは再評価されることを、最も私は期待をしたいと思っています。
 ちょっと大風呂敷なお話ではありますけれども、ここで我々が議論している意味が、最終的にはそういうところに結び付いていくことを次、期待したいと思っています。ありがとうございました。長くなりました。

【亀山主査】
 ありがとうございました。
 取りまとめ資料につきましては、おおよその合意が得られたと思っております。先生方から若干の文言等の新たな提案を頂くことになるかもしれませんが、事務局でその趣旨を整理し、まとめていくようにお願いしたいと存じます。また、最終的な表現ぶりにつきましては、各教科の議論、各学校段階別の部会の議論等も踏まえまして、主査代理とも調整しながらまとめていきたいと思いますので、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では、本日の審議はこれまでといたします。本日を含めて、これまで6回にわたり議論を頂き、ありがとうございます。本特別チームとしての取りまとめについては今回で一応の解決とさせていただきますが、それでは今回の議論をもって、本チームでの検討は終了することになります。委員の各位におかれましては御多用中、精力的に議論に参加いただきありがとうございます。
 平野調整官から一言。

【平野教育改革調整官】
 皆様、大変ありがとうございました。事務局を代表いたしまして、教育課程課長の合田からお礼の御挨拶をさせていただきます。

【合田教育課程課長】
 それでは、手短にお礼を申し上げたいと思っております。本当に6回にわたりまして、当代有数の碩学や教育実践家の先生方にお集まりいただきまして御議論いただきまして、まことにありがとうございました。
 先ほど申し上げましたように、言語に関する資質・能力ということで、中教審でこういう形で議論したというのは今回が初めてでございます。昭和33年に指導要領ができて以来60年たったおりますけれども、今回が初めてということでございまして、心から感謝を申し上げます。
 教科化とか必修化とかいったようなものではございませんけれども、今後の教育課程や、場合によっては学校教育全体の、ある種の非常に重要な通奏低音になるような骨太な議論をしていただいたと心から感謝を申し上げております。
 先ほどキャンベル主査代理からもございましたけれども、これまでの改訂と根本的に異なりますのは、今回の改訂におきましては、学習指導要領に書いてあるから、あるいは教科書に書いてあるから指導するということではなくて、その指導というものが何のためであるのか、どういう資質・能力を育もうとしているのかということをピン留めをして、目の前の子供たちに応じて指導をデザインし、実際に指導していくという大きなカリキュラムに関する基本的な考え方を展開していくのが、非常に大きな今回のポイントだと思っております。
 したがって、今回ここの場で御議論いただいた言語に関する資質・能力は一体何なのか、それから国語と外国語をどう連携していくのかということは、これはこれまでになく大きな要素だと思っておりまして、私もこれをしっかりと受け止めて、今後前に進めさせていただきたいと思っております。
 でき得れば、是非引き続き先生方の御議論を聞いていたいというのが率直なところでございますけれども、また場合によっては個別にいろいろ御相談を申し上げたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最後でございますけれども、私ども、学校教育の現場ということを考えますと、教育自体が目の前の子供たちの状況に応じまして意図的、計画的に行う作用ということになってまいります。そうなりますと、教育はいつもそうでございますが、完全な構成主義に陥るわけにもまいりません。完全な客観主義を参るわけにもまいりません。子供たちが自分で知を構成するということを前提にしながらも、教師がどういう形で客観性を保つべつ働き掛けるかという要素が大変重要になってくるのかなと思っております。
 きょうも御議論がございましたように、そのために我々大人がどういう仕掛けを作っていくのかというのが、やはり、これからの学習指導要領改訂や、新しい学習指導要領の実施における最大の難問かなと思っておりますので、構成主義や実証主義の折衷案というよりも、それをどう使用していくのかという観点で、きょうの御議論をしっかり踏まえさせていただきたいと思っております。
 本当に6回にわたりまして骨太の議論を賜りましたことを、重ねてお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

【亀山主査】
 では今後につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

【平野教育改革調整官】
 先ほど主査からもお話がありましたとおり、今回で本特別チームにおける取りまとめの議論につきましては一旦終了とさせていただければと思っております。今後、各教科等での横串を刺す観点や、各学校段階別の部会等の状況も踏まえつつ、全体をまとめる部会に報告していきたいと考えております。その議論の過程におきまして、もしかすると、本特別チームでもう一度御議論をお願いするような場面というのもあるかもしれませんけれども、そういった場合については別途御連絡をさせていただければと思っております。
 また、主査からもお話がありましたとおり、また本日言い尽くされなかった御意見がおありの方、あるいは少し文案をお考えいただくということで主査から依頼があった点につきましては事務局まで、1週間程度をめどに御意見を賜ればと思っております。頂きました御意見等につきましては、主査、主査代理とも相談させていただきたいと思います。
 なお、本日の配付資料は封筒にお入れいただき机上に置いていただければ、後ほど郵送させていただきます。
 以上でございます。

【亀山主査】
 それでは、本日の言語能力の向上に関する特別チームを終了させていただきます。ありがとうございました。

―了―

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程第三係

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2076)

初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室

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