地域とともにある学校の在り方に関する作業部会(第11回)・学校地域協働部会(第10回)合同会議 議事録

1.日時

平成27年11月13日(金曜日)9時30分~12時

2.場所

文部科学省 13階 13F1~3会議室

3.議題

  1. 答申(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

明石委員、加治佐委員、松田委員、天笠委員、生重委員、井出委員、浦崎委員、関委員、竹原委員、平岩委員、牧野委員、山野委員、若江委員、貝ノ瀬委員、貞広委員、田崎委員、藤田大輔委員、藤田裕之委員、宗岡委員

文部科学省

河村生涯学習政策局長、小松初等中等教育局長、徳田大臣官房審議官、里見政策課長、谷合社会教育課長、塩崎参事官、渡辺地域・学校支援推進室長、藤原学校運営支援企画官、枝家庭教育支援室長、助川民間教育事業振興室長

5.議事録

中央教育審議会
生涯学習分科会  学校地域協働部会(第10回)
初等中等教育分科会  地域とともにある学校の在り方に関する作業部会(第11回)
合同会議

平成27年11月13日(金曜日)

【明石部会長】 
  おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから、中央教育審議会生涯学習分科会学校地域協働部会と初等中等教育分科会地域とともにある学校の在り方に関する作業部会との合同会議を開催いたします。
  本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。合同会議は、今回で4回目となります。
  今回は、便宜的に私が議事進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  去る10月26日の前回の合同会議において、答申(素案)について御審議いただきました。また、パブリックコメントを11月6日まで実施いたしました。本日は、前回の合同会議における意見及びパブリックコメント等を踏まえ、答申(素案)を更に修正した答申(案)を御審議いただきたいと思います。
それでは、議事に入る前に、配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【渡辺地域・学校支援推進室長】 
  それでは、お手元の議事次第を御覧いただけますでしょうか。
  配付資料といたしましては、資料1-1が答申(案)【溶け込み】、資料1-2が答申(案)【前回からの見え消し】、資料2が答申(案)に関する参考資料、資料3-1が答申案のポイント、資料3-2がこれからのコミュニティ・スクールの仕組みの在り方のイメージ図、資料3-3がコミュニティ・スクールの拡大・充実の姿のイメージ図、資料3-4が地域全体で未来を担う子供たちの成長を支える仕組みの活動の概念図、資料3-5が今後の地域における学校との協働体制の在り方として、こちらも目指すべきイメージ案、資料3-6が地域学校協働活動を推進するための体制(イメージ案)、資料3-7が学校と地域の効果的な連携・協働と推進体制(イメージ案)、資料4が今後のスケジュールでございます。
  さらに、参考資料1が第102回中央教育審議会総会における主な意見、参考資料2が前回の合同会議における主な意見、参考資料3が意見公募結果の概要、参考資料4が学校地域協働部会委員名簿、参考資料5が地域とともにある学校の在り方に関する作業部会の委員名簿でございます。以上でございます。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。それでは、本日の議事に入りたいと思います。
  まず、事務局より、答申(案)の内容について御説明を頂き、その後、章ごとに時間をある程度区切って御議論をしたいと思っております。
  それでは、まず事務局より、10月19日から今月の6日まで実施されたパブリックコメントの結果及び前回審議しました答申(素案)に対する意見の反映等の状況を踏まえて、御説明をお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
  失礼いたします。おはようございます。事務局の方から修正案について御説明させていただきます。「はじめに」から第2章までの修正については私の方から、3章以降については、渡辺室長から御説明いたします。
  まず、お手元に参考資料3を御用意ください。明石座長の方から御紹介がありました意見募集の結果概要が、参考資料3にまとめられております。
  10月19日から11月6日の19日間において意見募集をさせていただきました。総意見数といたしましては、合計195件という件数でございます。テーマ別ということで、そこの下に列挙しておりますけれども、これからのコミュニティ・スクールの仕組みの在り方について150件、コミュニティ・スクールの総合的な推進方策について83件、地域における学校との協働体制の在り方について3件、その他13件となっております。全てを取り上げることは困難ですので、2ページ以降に概要をまとめております。
  第2章、これからのコミュニティ・スクールの在り方と総合的な方策の御意見。
  まず、コミュニティ・スクールの仕組みの在り方ということで、コミュニティ・スクールを、一律に導入を促すのではなく、学校や地域の実情等を踏まえた柔軟な在り方とする必要がある。現行の学校運営協議会の教育委員会・学校による任意設置の規定は、堅持する必要がある、という御意見を多数頂いております。
  学校運営協議会の機能のひとつで教職員の任用に関して教育委員会に意見が述べられることについては、廃止すべきであるという御意見。
  法定されたコミュニティ・スクールではないが、類似の取組を行っている自治体は多くあり、こうした実態・実情に応じた取組を評価する必要がある。
  コミュニティ・スクールについては学校運営への支援に特化し、教職員・保護者・地域住民はもとより、子供の意見が反映できるようにする必要がある。
  コミュニティ・スクール実施校を増やすことを意図した小中一貫教育の推進は行うべきではない。
  コミュニティ・スクールの総合的な推進方策に関しての御意見ですが、地域との連携・協働は重要だが、コミュニティ・スクールが学校の負担とならないようにする必要がある。また、地域連携を担当する教職員の定数措置が必要である。
  学校運営協議会の特定の委員の強圧的な発言で混乱が生じないように留意が必要である。
  学校運営協議会と学校評議員制度との相違点を明確に記載すべきではないか。
  第3章、地域における学校との協働体制の今後の方向性について、高等学校等に係る地域学校協働活動について、より具体的な記載が必要である。
  3ページ、「地域学校協働本部」の活動は、学校や地域の負担の増大とならないようにする必要がある。
  そのほか、全体に通ずる話ですが、「審議のまとめ」には、国立学校や私立学校に関する記述がないが、これらの学校についても何らかの記載が必要ではないか。このような意見を頂いているところでございます。
  これらの御意見への反映につきましては、これから御説明する中で、途中、パブリックコメントへの対応として御紹介させていただきたいと思っています。
  それでは、お手元の資料1-2、答申(案)の修正案を御覧ください。見え消しの形で、赤字で書いているところが、今回の変更点です。パブリックコメントにおける御意見、あるいは、前回合同部会における御意見を踏まえて、修正を反映させていただいております。
  「はじめに」ですが、こちらは、審議のまとめを取りまとめたというところから、答申(案)をまとめたというところに変更しております。したがって、後段部分ですが、「本答申では」ということで、具体的に1章から4章で何が提言されているかの記述、そして、最後の段落において、「本答申(案)全体を流れている理念は、未来を創り出す子供たちの成長のために、学校のみならず、保護者や地域住民等も含め、国民一人一人が教育の当事者となり、社会総掛かりで教育の実現を図るということである。こうした理念の実現は、本審議会がこれまで議論を積み重ねてきた、学習指導要領の見直しの方向性、チームとしての学校の在り方、教員の資質能力の向上のための改革など、教育の内容・方法等を含めた一連の教育改革が総体として目指すべきものであることは言うまでもない。本審議会としては、本答申(案)が他の教育改革とあいまって、新しい時代を見据えた教育への転換に寄与することを切に願う」ということで、この答申と他の答申が、今、まとめられようとしておりますが、それらもあいまって教育改革をしっかりとしていこうというメッセージを込めております。
  3ページ第1章の修正点を御説明いたします。【ポイント】という部分が、提言に係る部分だけに書かれておりましたので、節ごとにポイントをまとめ、要約をお示しするという形で統一しております。そのほか、1以降に小見出しを付けさせていただいております。1章全体の構成として、どのような内容が入っているのかが一目で分からない状況もありましたので、少子高齢化、グローバル化等の進行に係る内容、地域社会の教育力の低下という内容ということが分かるように、体系的に少し整理をさせていただいたというものです。
  次の4ページ、前回の御意見の中で、地域社会の教育力の低下に伴って何が課題であるかということで、「これからの時代において、地域社会での教育の充実に向けて、様々な機関や団体等が連携しネットワーク化を図っていくことが求められている」と、ネットワーク化社会という御意見がありましたので、その点について入れております。
  4ページ以降、全体、行間があいたり、体裁が少し変に見えたりしてしまっていますが、見え消しを反映した最終的なバージョンにおいては、全てそれは整っておりますので、その点、御留意いただければと思います。
  5ページ、先ほど紹介の中にありませんでしたが、パブリックコメントの中で、「日本語指導が必要な外国人児童生徒」の課題についても触れられていましたので、その点を課題の中に挙げさせていただいております。
  その下、注釈の2から4まで加えておりますのは、学校運営協議会と学校評議員の違い、仕組みの差というのが分かりにくいということで、この点に注釈を加えさせていただいた修正です。
  6ページ、教育改革、地方創生等の動向に関して、リード文4行を付けさせていただいています。これら様々な動きがあるということは分かるけれども、それらがどう総体として動いているのかというのが分かりづらいということで、(3)の下4行、「昨今の学習指導要領の改訂や教員の資質能力の向上等、様々な学校教育を巡る教育改革の方向性や地方創生の動向において、子供の成長過程における地域・社会との関わりの重要性や学校と地域の連携・協働の重要性などが示されている。これから検討するに当たって、押さえるべき動向は、以下のとおりである」という形で、これら全体が、地域との連携が必要だという大きな方向性につながっていく動きであるということを明確に示させていただきました。
  指導要領の改訂の部分で、大幅に削除しているような見え方になっていますが、これは本文ではなく、できるだけ本文をすっきりさせるという観点から、注釈の方に整理をさせていただきました。
  8ページ、こちらも若干文言を圧縮するという観点で削除している部分があります。
  9ページ、本文をできるだけ簡略化し、注釈に回させていただきました。
  10ページから、学校と地域の連携・協働の必要性ということで、これもどのような理由が挙げられるか、少し項目を整理し、小見出しを書かせていただいております。これからの時代を生き抜く力の育成の観点、地域に信頼される学校づくりの観点、地域住民の主体的な意識への転換の観点、地域における社会的な教育基盤の構築の観点、そして、子供たちを守り、支える観点から、学校と地域の連携・協働が必要であるという整理をさせていただいております。
  10ページ、「これからの時代を生き抜く力」というところに、修正が入っておりますが、これは3章の部分から1章に転記させていただきました。
  10ページの下、主体的な意識への転換という部分も、第3章の第1節のところで書かれた部分を1章の方にまとめさせていただいた内容です。11ページ、子供たちを守り、支える観点、この部分の修正も、後ろから前に持ってきました。
  そして、それらの観点を踏まえて、学校と地域のパートナーとしての連携・協働関係への発展ということでまとめております。新たな関係として、相互補完的に連携・協働していく関係に発展させていくパートナーの考え方は、これまでも示されたとおりです。
  11ページ、これからの学校と地域の連携・協働の在り方についてです。これもポイントを要約として示させていただきました。
  13ページ、前回、御意見の中で、「住民自らが学習し、地域における教育の当事者としての意識・行動を喚起していく」という御意見がございましたので、その点をここに加えさせていただいております。
  学校を核とした地域づくりの推進という観点でございますが、ここにおいても、「自立した地域社会の基盤を構築していく」というような観点、あるいは、「パートナーとして連携・協働し、互いに学び合っていく」というような視点について加えさせていただいております。最後の「地域によっては、公民館等の社会教育施設を一つの拠点として」というところについては、新しく加えさせていただきました。
  14ページ、パブリックコメントの中で、国立・私立の扱いについて何らかの記述が必要だという御意見がありましたが、この点を加えております。「子供たちの生きる力を育成する観点からすれば、学校と地域の連携・協働は、公立学校にとどまらず、国立・私立においても重要なものである」とあります。しかしながら、学校運営協議会の仕組みというのが、公立学校の管理運営の改善の仕組みのため、第2章では、公立学校を中心に述べています。第3章の地域学校協働活動についても公立学校を中心に述べていますが、「国立学校や私立学校が所在する地域においては、それらの学校の教育方針や地域の実情を踏まえつつ、地域学校協働活動に取り組むことが期待される」と整理させていただいております。
  続きまして、16ページ、これもポイントを加えさせていただきました。第2章の直下のリード文については、これは作業部会として議論してきた内容ですので、答申の取りまとめに当たっては削除させていただきました。
  17ページからは、軽微な修正を加えておりますが、説明は割愛させていただきます。
  19ページ、第2節のポイントの部分、要約のところに3行加えております。これは本文中に書かれている表現ではありますが、制度的位置付けに関する検討として、「全ての公立学校が」から始まっておりますので、まず、「なぜコミュニティ・スクールの仕組みの導入が必要なのか」ということをそこに要約させていただきました。今抱えている課題を解決するという観点、あるいは、地域との連携・協働体制を確立していくという観点から、コミュニティ・スクールの仕組みの導入が有効であるということでのつなぎを加えております。
  パブリックコメントの意見の中で、教職員の任用に関する意見については、廃止すべきであるという御意見がありました。この点に関しては、22ページにありますように、現行の機能の取扱いということで、心理的抵抗を払拭していく。新たに導入しようとする積極的な検討を促すという観点から、柔軟な運用を確保する。それらがこの提言の中に書かれております。その点で御理解いただきたいと考えております。
  22ページの赤字の修正の部分は、今後、人事評価の仕組みが取り入れられていきますので、そのことについても少し御紹介をさせていただきました。つまり、任命権者が任用を行うに当たっては、学校運営協議会の意見だけではなく、当然、その市町村教育委員会の内申、あるいは人事評価の結果等、総合的に勘案しながら行っていくことになるということに触れているところです。
  24ページ、学校支援の観点ですが、この点については、協働という視点を入れながら整理しています。第3章とのつなぎで、「第3章で示す地域学校協働本部との連携・協働にも留意する必要がある」と加えております。
  25ページ、小中一貫教育への対応が(5)として書かれておりますが、先ほど御意見の中で、実施校を増やすことを意図した小中一貫教育の推進は行うべきではないと触れられておりました。ここで整理させていただいているものは、コミュニティ・スクールを増やしていくために小中一貫教育をどうするということではなくて、小中一貫教育を推進するに当たって、今の学校ごととなっているコミュニティ・スクールの仕組みについて、柔軟な仕組みとしていく必要があるということが提言されておりますので、この点については御理解いただきたいと考えております。
  なお、26ページの23、24行目ですが、これもパブリックコメントの中で、中高一貫教育ということについての記述の追加が、御意見としてありました。小中一貫教育以外にも、幼稚園を含めた中学校区全体の連携、中高一貫教育など、その点の配慮を書いております。
  26ページの修正は、教育再生実行会議の第六次提言の内容を、抜粋という形で表現を合わせていただいたという観点の修正です。
  27ページ、学校評議員の部分は、前の方に注釈を持ってきたことによる関係の整理です。
  パブリックコメントの御意見の中で、類似の仕組みを行っていることについて、評価をする必要があるという御意見がありました。28ページ、こうした様々な類似の仕組みを、コミュニティ・スクールへの過渡的な段階の姿と捉えながら、しっかりと推進していくということが書かれていますので、この点についても御理解いただきたいと考えております。
  なお、加えさせていただいたのは、これもパブリックコメントの中に、学校評議員制度に更に学校運営協議会を重ねていくことによって、屋上屋を架することにならないかという御意見がありました。既にこの提言の中には、発展をしていく、移行していくという考え方を示しておりますので、同じものを二つ設けるという考え方はとっていないわけですが、改めてその点を基準にさせていただきました。なお、新たに「学校運営協議会を置く場合には、教育委員会の判断により学校評議員を廃止、活動を停止するなど、それぞれの学校の実情に応じて、効率的・効果的な活用を図ることが重要である」ということを加えさせていただいております。
  34ページ、第3節のポイントを加えさせていただいております。都道府県・市町村の教育委員会における推進方策も、要約という形で加えさせていただきました。
  それに伴い、36ページに書かれていた提言のポイントの部分、これは1に入れられておりましたので、第3節の下にポイントの部分を移行したという形での修正です。
  38ページから39ページにかけて、マネジメントの観点の記述があります。この点については、中教審の教員養成部会において、別途教員養成の在り方について御議論がされており、それとの連動を図った形での修正です。
  39ページ、教員の養成の観点です。「教職課程においてその取扱いの充実を図るべく、関係法令及び教職課程の編成に当たり参考とする指針(教職課程コアカリキュラム)の整備のための検討を進める」と書いてあります。教員養成課程において、学校と地域の連携・協働という視点を盛り込んでいく視点での修正です。また、「都道府県教育委員会が実施する教職員の研修機会・内容の充実を促し、必要な支援を行う」という記述も加えさせていただいています。
  先ほど御紹介したパブリックコメントの中で、地域連携担当教職員について、「負担にならないような配慮」ということがありました。39ページ、「地域連携を担当する」という見出しの下、上から4行目から、「学校全体の業務の効率化・最適化を図ること等を通じ、当該職員が地域との連携に力を発揮できる環境の確保を図る」ということを、前回の修正に加えさせていただいています。
  続きまして、40ページ、コーディネーターが学校運営協議会の委員として活躍していくことの期待、この点にも触れさせていただいております。
  41ページ、一番下の32行目に、「高校生等の若者」というフレーズを書かせていただいています。地元の大学生あるいは高校生等の若者を積極的に巻き込みながら、活躍の機会や場を設け、そして、学校運営協議会委員の育成、確保の観点からも有効だということで、子供たちの意見を学校運営協議会に反映するという観点、視点にもつながる話です。
  続きまして、42ページ、負担軽減について、強くパブリックコメントでも御意見がございました。42ページの23行目から、更に文科省として、「学校現場における業務改善のためのガイドライン」を作成・公表しています。このようなものを普及しながら、教職員が業務を効率的・効果的に進めることができるように、しっかりと支援をしていく、推進のための具体的方策にもその旨を書かせていただいております。
  46ページ、そして、48ページ、都道府県・市区町村の推進方策の中にも、地域連携担当の教職員の明確化ということに伴って、先ほど御紹介した業務の効率化・最適化を通じながら、地域との連携に力を発揮できる環境を確保するということ、そして、「業務改善のガイドライン」等を踏まえた業務改善の推進について触れさせていただいております。
  重要な点を触れ忘れましたが、パブリックコメントの中で、一律にコミュニティ・スクールについては導入していくのではなくという御指摘がありました。現在の記述としては、33ページ、コミュニティ・スクールというのは、学校、教育委員会の自発的な意志によって設置されることが望ましいこと、そうしたこと等も踏まえながら、一律に義務化をすることにはしないという結論を出しておりますので、この点については御理解いただきたいと考えております。
  説明は以上です。

【渡辺地域・学校支援推進室長】 
  続きまして、第3章及び第4章につきまして説明させていただきます。
  第3章、第4章におきましては、特に前回の合同部会での意見、パブリックコメントの意見などを踏まえて修正しております。その中で、前回の部会におきまして、地域学校協働本部(仮称)のイメージがまだ分かりにくいといった御指摘を頂いております。したがいまして、地域学校協働本部(仮称)のより具体的なイメージや今後の国・都道府県・市町村における地域学校協働活動を推進していくための取組について、より分かりやすくなるように、事務局として修正させていただいております。
  49ページを御覧いただけますでしょうか。第3章でございます。第1節のところで、地域における学校との連携・協働の意義についてということでございますが、廣田補佐から説明がございましたように、第1章や第2章との体裁を合わせるという観点で、第3章、第4章におきましても、節ごとに、その概要的なポイントを枠囲みで整理しております。49ページの6行目のところが、このポイントという形で、この節の中身のエッセンスをまとめさせていただいたものでございます。
  さらに、これも先ほど廣田補佐から若干説明がございましたが、第1章、第2章、第3章のつながりがよくなるようにした方がよいのではないかというような観点の御指摘を頂きまして、第3章第1節に書かれておりました地域の教育力に関する課題のうち、第1章第1節と重複しているような部分を整理させていただきまして、基本的に、この49ページで削除されている部分の重要な中身については、第1章第1節にまとめた上で、第1章第1節の冒頭を修正させていただくという整理をしております。したがいまして、49から50ページに削除されている分というのは、基本的に第1章に移っております。さらに、50ページの7行目におきまして、重要なエッセンスをまず整理した上で、18行目以降の記述につなげていくという構成にしております。
  続きまして、51ページ、第2節でございます。第2節、地域における学校との連携・協働の現状等につきましては、前回の部会で、今回なぜ新たに地域学校協働本部(仮称)という新しい体制に発展していく必要があるのか、その背景、必要性、その危機感について説明してほしいという重要な御意見を頂きました。この御意見を踏まえまして、これまでの学校支援地域本部などの取組をしっかりと振り返った上で、どんなことが評価できるのか、何が足りないのか、なぜ新しい体制に発展させていかなくてはならないのかということを解説しております。
  51ページの7行目のところは、この節のポイントをまとめております。
  それから、53ページでございます。53ページ以降で、これまでの地域における学校との連携・協働の現状を振り返ってきたところでございますが、ここをもう少し具体的に、どういうところが進んできていたのかということを検証しております。例えば、16行目でございますが、学校支援地域本部、放課後子供教室につきましては、特に放課後子供教室の取組が始まって10年以上が経過している。その顕著な成果としては、地域住民にとっても比較的参画しやすい学校支援活動を通じて、地域の大人たちが、学校という場で子供に寄り添い、成長を支える「最初の一歩」となる活動として定着してきている。さらに、そういった活動を経て、多くのボランティアの参画を得て、活動の充実につながってきているということは評価できるということではないかと考えております。
  続きまして、54ページに入ります。前回、公民館のこれまでの貢献でありますとか今後の役割についての記載が十分ではないのではないかという御意見を頂きまして、4行目から、こういった地域学校協働本部(仮称)の取組は、ここ10年程度の間に進められてきたものであるが、地域によっては、こうした取組が始まる以前から公民館等の社会教育施設により長年にわたり社会教育活動を通じた地域の活性化のための諸活動が進められてきており、このような活動が、学校支援活動等の円滑なスタートや、その後の定着につながってきているのではないか、このような公民館等の社会教育施設による社会教育活動は、現在においても、学校支援活動の連携の場の一つとして機能しているのではないかということを、まず評価させていただいています。
  しかしながら、これまでの活動を振り返ってまいりまして、何が課題となっているかということを、2つ目のぽつのところで整理しております。22行目に記載しておりますけれども、これまでの学校支援地域本部等の取組は、成果を上げてきてはいるものの、しかしながら、地域によっては、参画する地域住民や保護者が一部の限られた者にとどまり、活動内容についても限定的な内容になってしまっていることもある。さらに、住民の方によっては、地域で子供の成長を支えるということをしっかりと自覚した上で取り組んでいないというような方も一部には見られるということでございます。
  さらに、55ページの19行目にも書いてありますけれども、依然としてこれまでの活動というのが、ともすれば地域から学校への一方向の活動内容にとどまっている場合もあったのではないか。子供と住民が共に活動することで地域の教育力の向上や地域の振興にもつながるという意識は必ずしも十分ではなかったのではないか。地域の活性化に向けた取組はなお発展途上にあるのではないかといった課題が挙げられると整理しております。
  27行目でございますが、第1章でもかなり説明しているように、現在、学校や地域が抱える複雑化・多様化した現代的課題に社会総掛かりで対応するためには、いわゆる「教育は学校の役割」といった固定化された観念から離れ、学校における「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて、地域の住民等がそのパートナーとして活動により主体的に参画する。さらに、活動を通じて、地域の住民等が持続可能な地域社会の創生につなげていくということが必要だろうと。そのために、これまでの学校支援地域本部等の事業を振り返って、それを地域における学校との関係を連携・協働という新たな関係に発展させていくことが必要であるということを整理しております。
  その上で、56ページに入ってまいりまして、第3節、地域における学校との協働体制の今後の方向性について、この節におきましては、新たな地域学校協働本部(仮称)が、これまでの学校支援地域本部とどのように異なり、今後どのように整備していくかということにつきまして、より分かりやすくなるように説明を加筆しております。
  まずポイントとして、この節の概要をまとめております。
  その後に、1、地域における学校との協働体制の目指す姿ということで、これも前回説明しておりますけれども、57ページの方にも記載しております。3行目以降に記載しておりますように、これまでの活動を振り返って、これまで、ともすれば一方向的な学校支援という側面が強かったところもあるのではないかということで、今後は、共通の目標に向かって相互に意見を交わしつつそれぞれの資源を最適に組み合わせて達成を目指す「協働」という要素、さらに、これまでの学校支援地域本部や放課後子供教室など、ともすれば個別に活動されていくということが多かったのではないかということを検証いたしまして、その活動を有機的に結び付けていくこと、さらに、活動のネットワークも広げていくということを強調させていただいて、「支援」から「連携・協働」、個別の活動から総合化・ネットワーク化を目指し、地域と学校が連携・協働して、地域全体で未来を担う子供たちの成長を支えていくそれぞれの活動を合わせて「地域学校協働活動」と総称し、その活動を推進する今後の新たな体制を、地域が学校と協働する枠組みとして、「地域学校協働本部(仮称)」に発展させていくということが重要であるということを述べております。
  その下の(2)におきましては、14行目以降で、地域学校協働本部(仮称)に必須の要素、この地域学校協働本部(仮称)には何が必須かということをより明確にしようという観点で、22行目にありますが、そもそも地域と学校が子供の育成の方針など目指すべき方向性を共有しつつ、「支援」から「連携・協働」、「個別」の活動から「総合化・ネットワーク化」へと発展させていくことを前提とした上で、次の3要素、すなわち、1番目がコーディネート機能、2番目が多様な活動、これはより多くの様々な地域住民の方、さらには、企業の方、団体の方などの参画によって多様な地域学校協働活動を実施していくということ、さらには、そういった活動が継続的なものであり、かつ安定的に実施されていくということ、こういった要素が必要であるということを再整理しております。
  さらに、どういった活動が行われるかというのは、様々なケースがあるかと思います。例えば、放課後子供教室から始まり、次に学校の授業の支援が加わり、さらに、郷土学習の共同企画などを実施するという場合もあれば、登下校の見守りから入っていくような、様々なパターンがあると思います。したがいまして、34行目にありますように、地域学校協働本部(仮称)の構築に向けては、このような様々な活動の全てを最初から行うということを求めるのではなく、それぞれの地域における学校との協働活動の進展状況に応じて、まずはその地域と学校の子供たちの成長にとって何が重要であるかを地域で共有しつつ、学校と地域との連携・協働関係を構築していくことが重要であるということを記載しております。
  さらに、7行目以降で、この地域学校協働本部(仮称)とこれまでの学校支援地域本部等がどう違うかということをもう少し分かりやすく説明しようという観点で、8行目に書いておりますけれども、地域によっては学校支援地域本部が既に設置され、地域と連携した学校支援活動を展開している場合がある。このような場合においては、学校支援地域本部の機能をベースとして、引き続きその活動を発展させながら、徐々に、コーディネート機能を強化し、より多くのより幅広い層の活動する地域住民の参画を得て、活動の幅を広げ、更に継続的な地域学校協働活動を実施していくことで、徐々に地域学校協働本部(仮称)へと体制が進化していくことが期待されるとしております。
  また、地域や学校の実情やそれまでの経緯によって、地域学校協働活動を実施する組織体制や発達の度合いは様々な違いがあり、それぞれの違いを踏まえつつ、整備を進めていくことが望まれる。例えば、学校支援地域本部があるところにおきましては、そこがベースになるというのが基本ではないかと思いますけれども、放課後子供教室において企画運営会議等の機能があれば、そこをベースにしてそのコーディネート機能を発展的に整備していくことで、活動が広がっていき、放課後子供教室を超えた活動をやっていく。正に、そういった形で総合化・ネットワーク化が進んでいくというような場合もございます。そういった形で地域学校協働本部(仮称)への体制が進化していくケースにおきましては、様々なケースが考えられるということを改めて強調しております。
  さらに、23行目にありますけれども、その名称につきましても、これまでの学校支援地域本部という制度につきましても、それぞれの地域独自の名称を使っておりますので、今後も地域学校協働本部(仮称)という形で活動する際にも、地域独自の名称を考えていただいて使用するということを妨げるものではないというふうに、我々としては考えております。
  33行目でございます。これはパブリックコメントにおきまして、高等学校等に係る地域学校協働活動について、より具体的な記載が必要ではないかという御意見を頂きました。これを踏まえまして、高等学校等の所在する地域の小学校や中学校に係る地域学校協働活動に高等学校等や高校生等が参画する、若しくは高等学校等がその所在する市町村の住民等と地域学校協働活動を実施するといったような取組が考えられる。このような取組を促進していくためには、学校が所在する地域において、都道府県教育委員会と市町村教育委員会とが密に連携をとって、効果的な活動になるように努めていくことが必要であるとしております。
  59ページでございます。地域学校協働本部(仮称)の有する可能性と留意点というところでございます。パブリックコメントにおきまして、地域学校協働活動は、学校や地域の負担とならないようにすることが必要ではないかという貴重な御意見を頂いております。この点につきましては、既に16行目以降にも書いてありますように、この協働の取組の基礎は、まず、地域住民等による学校支援の取組によって地域との接点が作られ、地域と学校が子供の教育に関わることを通じ、相互の信頼関係が醸成されていく中で徐々に形成されていくものであるということを記載しております。加えて、学校と地域住民、地域住民同士の信頼関係の醸成には、どの地域においても相当数の時間と経験の蓄積を要するものと十分に認識し、地域の特色や実情を踏まえつつ、協働体制をつくっていくことが重要であるということを重ねて記載させていただきました。
  59ページの25行目以降に、地域における学校との協働体制の整備の方向性を書いております。このような地域学校協働本部(仮称)、更に地域学校協働活動を全国的に推進していく考え方の理念といたしましては、全国どの地域においても子供たちが地域の協力を得て成長していくことができるようにすること、また住民が子供たちの成長を支える地域学校協働活動に参画する機会を得ることができるようにすることが必要である。こういった観点を踏まえ、目標といたしましては、地域学校協働本部(仮称)が、早期に全小・中学校区をカバーして構築されることを目指す。その際には、複数の小学校や中学校等を対象とするなどして地域学校協働本部(仮称)を整備していくなど、それぞれの地域や学校の特色に応じて効果的な協働体制の整備を図っていくことが重要であるとしております。これは前回、主に小学校区というような記載が資料等にあったことを踏まえ、事務局でも検証いたしました。重要なことは、全国どこにいても、子供たちが地域による協力を得て成長していくことであろうということで、「全小・中学校区をカバーして」という表現にしております。自治体においては、小学校区ごとに本部を整備していくこともあるでしょうし、小・中学校区を合わせて複数の学校で整備していくというような形、場合によっては、中学校と高校が連携して整備していくという形、様々なケースがあるということを、ここでも改めて強調しております。
  このように、全国どこの地域においても地域学校協働活動が推進されていくよう、都道府県及び市町村の教育委員会において、域内の地域学校協働活動を円滑かつ効果的に推進するための体制の整備その他の施策を講じることが必要ではないか。これは地域の実情によって様々な体制の整備ということがあるでしょうから、組織体制を整備することだけではなくて、コーディネーターの配置でありますとか、情報提供、理解促進等、様々なことが考えられる中で、必要な施策を進めていくということではないかと思っています。
  そのことにつきまして、11行目におきまして、体制整備としては、都道府県や市町村の教育委員会において、それぞれの地域や学校の特色や、域内における体制整備の進捗状況に応じて、それぞれの判断で必要な施策を講じていくことが必要であるという趣旨で整理させていただいております。
  60ページから61ページにかけまして、第4節、地域における学校との協働のための取組の推進についてということで、四角囲みのポイントを整理しております。
  それから、61ページの2行目以降、地域における学校との協働のための体制の整備といたしまして、重要なことは、学校区における活動の連絡調整役たる地域コーディネーター、それから、その地域コーディネーター間の連絡調整などを行ったりする統括的なコーディネーターの必要性、その双方の配置促進や機能強化が重要であるということを記載しております。
  まず地域コーディネーターにつきましては、18行目以降にありますように、持続可能な体制の整備。非常に活躍したコーディネーターがやめてしまったら、もうそこで止まってしまうということではなく、持続可能な体制として、人材育成、人材確保の仕組みなどを整備していくことが必要であるということを強調して整理しております。
  62ページ、地域コーディネーターとなる人材の育成・確保につきまして、まず求められる役割として、様々な役割があるということを踏まえ、都道府県や市町村においては、このような資質・能力を有する地域人材の確保に努めるとともに、このような資質・能力を育成していくことを目指して、人材育成を進めていくことが重要であるとしております。
  63ページを御覧になっていただけますでしょうか。前回の会議で、統括的なコーディネーターのイメージがまだ分かりにくいといった御指摘を頂きました。ここを踏まえまして、特に統括的なコーディネーターにつきましては力を入れて加筆させていただいております。まず、統括的なコーディネーターの必要性としまして、5行目以降でございますけれども、これまで、地域コーディネーターの活躍により、様々な活動が徐々に発展を遂げてきております。特に学校と地域との連携が生じ発展を遂げてきた都道府県や市町村において、新たなステージとして地域学校協働本部(仮称)の体制の整備を目指していく上で、地域コーディネーター間の連絡調整や、地域コーディネーターの資質向上、育成、それから、未実施地域の取組開始の支援等を図っていくということで、この統括的なコーディネーターが重要になってきているのではないかということを記載しております。
  その上で、20行目で、統括的なコーディネーターの役割といたしまして、25行目以降にございますが、地域や学校の実情・特色に応じて様々なケースがあり得るが、主として、地域学校協働活動の未実施地域における取組の開始の支援、それから、地域コーディネーターの育成、候補人材の発掘・確保の支援、それから、それぞれの地域コーディネーター間の連絡調整など、様々なケースが想定されるところでございますけれども、64ページの4行目以降にございますように、重要なことといたしましては、統括的なコーディネーターにつきましては、地域コーディネーターのリーダー的な存在となるということでございますので、地域コーディネーターに求められる能力や資質に加えまして、例えば、地域コーディネーターや地域ボランティアを務めた経験があるなど、地域学校協働活動の経験が豊富であること、人材育成の能力やリーダーシップがあること、関係者からの社会的信望が厚いことなどが求められるとしております。
  その上で、18行目以降に、自治体によっては、既にこのような統括的なコーディネーターを活用しているところもあるが、その主な役割や資質能力については、明確になっていない。今後、自治体の判断により、このような新たな機能を担う統括的なコーディネーターを委嘱するなどして活用し、効果的で質の高い活動を行い、都道府県・市町村の広い範囲において学校地域協働の促進が図っていくことができるようにするためには、国は、統括的なコーディネーターに求められる資質・能力や主な役割といった事項について、明確化していくことが必要であるとしております。
  64ページの27行目で、統括的なコーディネーターと社会教育主事等との連携を記載しております。この中で、前回、社会教育委員によっては、活動状況や内容等にかなり幅があるのではないかということで、それをそのまま社会教育主事と同列で書くようなことはいかがなものでしょうかという御意見も頂きました。そこを踏まえまして、65ページの1行目からでございますけれども、まず、社会教育委員の役割を整理した上で、社会教育委員については、今後その活動の活性化を図るとともに、活動の実態に応じつつ、統括的なコーディネーター等に対して、必要に応じて、助言や情報提供を行うことが期待されるという形で整理しております。
  それから、65ページ以降、地域における学校との協働による活動の充実でございますが、この中では、66ページにおきまして、(2)活動場所の確保等ということで、前回、学校施設には学校教育以外にも様々な可能性があるという御指摘を頂きまして、20行目でございますが、学校は、子供たちの学習・生活の場であるのみならず、地域コミュニティ形成の核となったり、災害時に地域住民の避難所となったりと、多様な役割を担っているものである。地域の実情に応じ、地域住民が利用することも念頭におきながら、安全・安心で質の高い施設整備を行い、その活用を進めることが重要である。例えば、学校施設を整備する際には、地域への学校開放を前提としたコミュニティスペースを設けることや、日常的に地域住民が集う地域コミュニティの拠点となるものにすることが考えられると整理しております。
  それから、67ページの14行目に、先ほど高等学校に関する記載をもう少し具体的にということでございましたので、こちらにつきましても、高校生等が、ボランティアとして協働の輪に入るということにつきましても記載しております。
  68ページでございます。第5節、国、都道府県、市町村による推進方策についてということで、18行目から、ポイントを整理しております。
  69ページ、国の役割と推進方策でございます。その中で、基本的な枠組みの整備ということで、18行目以降に書かせていただいておりますが、これは先ほども申し上げましたけれども、地域学校協働活動を全国的に推進していくに当たっては、単に活動の数が増えればよいということではなく、学校や参画する住民にとって有意義な活動となり、子供たちの成長につながる効果的で質の高い活動となることが必要ではないか。このような目標・理念の下に、全国的に質の高い地域学校協働活動が継続的に行われ、子供たちが地域の協力を得て成長できるよう、また、継続的・安定的に地域の住民、保護者等がその活動に参加することができるよう、国は、都道府県や市町村において地域学校協働活動を推進するための体制整備その他の必要な施策を図っていくことについて、法令若しくはガイドライン等において明確にすることが必要であるとしております。
  こちらも、先ほど説明させていただいたように、都道府県や市町村におきましては、地域、学校の特色はかなり違いがある、さらに、今までの学校支援地域本部などの進捗状況についてもかなり差があるだろうということで、国が、法令若しくはガイドラインにおいてこういった方向性を明確にするということを何らかの形で記載するにしても、一律に全ての画一的な本部のようなものをがっちりと記載する、それを求めるということではなくて、地域の実情、それから、進捗状況を踏まえて、必要な施策を都道府県、市町村が検討した上で、そういった施策を行っていただくという方向で国として明らかにしてはどうかということを、検討しているところでございます。
  70ページ、(2)地域コーディネーターや統括的なコーディネーターをはじめとする人材の確保と資質の向上でございます。これは第4節でも述べておりますが、地域学校協働活動の全国的な推進のためには、やはり重要なことはコーディネート機能の強化であると考えておりまして、その上で、11行目以降にございますが、全国的に質の高い活動が行われるためには、それぞれのコーディネーターの質の確保が重要である。特に、地域における地域学校協働活動の進展により、地域コーディネーター間の連絡調整、地域コーディネーターの育成・資質向上、地域学校協働活動未実施の地域における地域学校協働活動の取組開始の促進等を行う統括的なコーディネート機能が重要となってきている。今後、都道府県や市町村において適切な人材を統括的なコーディネーターに委嘱することができるようにするためには、その求められる主な役割や資質等が明確となっていることが重要である。このため、国は、統括的なコーディネーター等に求められる主な役割、資質等について法令若しくはガイドライン等において明確化することが必要であるとしております。
  この点につきましては、具体的にどのような形で、すなわち、法令という形がいいのか、ガイドラインという形がいいのかにつきましては、事務局においても引き続き検討を続けているところでございます。
  さらに、我々としては、統括的なコーディネーターという新しいコーディネート機能強化ということをより明らかにすることを主に念頭には置いておりますけれども、地域コーディネーターにつきましても、都道府県や市町村におきます研修であるとか人材育成の参考となるような、何らかのガイドラインという形なのか、こういった役割、こういったシステムが求められるというようなことを示すということも考えております。
  23行目にございますけれども、その際には、それぞれの自治体の実情や方針によっては、統括的なコーディネーター等に関する職務を、地域学校協働活動に関する業務や調整の経験を有する社会教育主事や教育委員会の職員によって行うこともあることを踏まえて検討することが重要であるとしております。
  さらに、27行目以降、国は、それぞれのコーディネーターの活躍によって地域学校協働活動の促進に効果を上げている事例を収集し、市町村・都道府県教育委員会に情報提供を行うなど、その役割や効果的な活動内容について理解を図ることも重要であるとしております。
  36行目以降で、体制面・財政面における支援の充実として、こういった体制の整備を進めていくこと、コーディネート機能を強化していくということに関しまして、国としてもしっかりと財政面・体制面を支援していくということ。さらに、71ページ、11行目以降にございますけれども、都道府県、市町村、コーディネーター間における情報共有、ネットワーク化の支援を、国として行っていくことということを記載しております。
  22行目、都道府県・市町村の役割と推進方策でございます。これも先ほど説明しましたけれども、この地域学校協働活動を全国的に推進していく上では、各地方公共団体において、域内の子供たちの成長や地域の振興・創生に向けたビジョンを掲げ、域内の住民、保護者、学校及び様々な関係機関や団体間でそれを共有しつつ、積極的に地域学校協働活動を推進していくことが必要であるとしております。
  その上で、都道府県・市町村の教育委員会は、それぞれの地域の特色や方針を踏まえつつ、必要な施策を講じていただくということ、更に重要なのは、子供の成長を支え、地域づくりにもつながる地域学校協働活動をしていくためには、都道府県、市町村における社会教育部局と学校教育部局の連携強化が不可欠であり、総合教育会議の活用等を通じた地域振興、福祉、医療等を担当する首長部局とのパートナーシップを構築していくことも重要であるということを強調しております。
  72ページ、(1)都道府県の役割と推進方策につきまして、18行目以降では、都道府県の教育委員会は、域内全域において地域学校協働活動が推進されるよう、市町村間の調整や広域的な観点からの支援にその役割を重点化しつつ、域内全域での地域学校協働活動の充実・拡大や質の確保・向上に責任を果たしていくことが重要であるとしております。
  25行目以降は、それぞれの域内の地域や学校の実情・特色や域内のおける整備状況を踏まえて、それぞれ必要な施策を検討していくことが必要であるということで、28行目以降に例を記載しております。
  73ページの3行目、これも繰り返しでございますけれども、都道府県として重要な役割は、ビジョンに基づいて、首長部局とも連携しつつ、域内の市町村における取組を広域的に支援することにより、都道府県全域において地域学校協働活動の活性化をリードしていくことが期待されるということを記載しています。
  さらに、7行目以降で、都道府県は、特に地域とのつながりが深い域内の高等学校等の都道府県立学校に係る地域学校協働活動を中心として、そのニーズを踏まえつつ、取組を進めていくこと、その際には、市町村教育委員会との連携を図ることが重要であるとしております。
  15行目、市町村の役割と推進方策でございます。市町村の小学校や中学校は、住民にとって身近な存在であり、これまでも非常に重要な役割を地域と学校の連携の活動で果たしてきたわけでございますが、引き続き、非常に重要な役割を果たすということを示しております。22行目にありますように、市町村においても、域内の子供たちの成長に向けたビジョンをそれぞれの地域で共有しつつ、子供の成長のために何が求められるか、地域住民にとって何ができるかを検討しつつ、それぞれにとって必要な施策を検討していくことが必要であるとして、以下のような方策の例を74ページ、2行目以降に記載しております。
  最後に、第4章でございます。75ページでございますが、ポイントという形で、この章の概要を整理しております。
  76ページ、10行目にございますが、「チームとしての学校の在り方の検討」との関係性を考える上でも、「チーム学校」の実現を支える観点からも、コミュニティ・スクールや地域学校協働本部(仮称)の整備を促進するとともに、地域における学校と連携・協働による取組を総合的に進めていく必要があるとしております。
  さらに、14行目、これも前回の会議のときに、両者の関係というのは様々なパターンがあるでしょう、小学校区のみにとどまるようなものではないでしょうという御指摘も頂いておりますので、コミュニティ・スクールや地域学校協働本部(仮称)の整備は、必ずしも小学校や中学校等の個別の学校区単位で行われるものではない。地域においては、複数の小学校・中学校が連携して教育体制を構築している例や、従前より行われていた個別の学校区を越えた地域活動をベースに地域学校協働本部(仮称)の体制が構築される例も見られる。今後、コミュニティ・スクールと地域学校協働本部(仮称)の在り方を考えていく上で、複数校の連携・接続にも留意しながら、学校と地域の連携・協働体制を構築していくことも重要であるとしております。
  次に、両者の効果的な連携・協働のための方策といたしまして、前回、地域コーディネーターと統括的なコーディネーター、それから、コミュニティ・スクールにおける地域連携の推進を担当する教職員との関係が分かりにくいという御指摘もございましたので、29行目以降に整理しております。両者の円滑な連携に際しましては、地域学校協働本部(仮称)において主に連絡調整を担う地域コーディネーターと地域連携の推進を担当する教職員や学校運営協議会の委員との連携の強化を図ることが重要であるとしております。加えて、統括的なコーディネーターは地域コーディネーター間の連絡調整等を主な役割とするが、各学校区における個別の地域学校協働活動に関して学校側と連絡調整を行う場合もあり、このような場合には、統括的なコーディネーターと地域連携の推進を担当する教職員や学校運営協議会の委員との連携を強化していくことも重要であるとしております。
  38行目には、それぞれの地域や学校の特色により様々なケースがあるが、地域コーディネーターが、学校運営協議会の委員として地域における学校支援や学校運営に関する協議に参画したり、学校運営協議会の委員が、地域学校協働本部(仮称)における企画調整に携わるなど、それぞれの経験や考え方を、お互いの発展のために生かす人的配置の工夫も有効であるとしております。
  それから、前回、事務局を兼ねるということについて、むしろ逆に負担が出てしまうのではないかというような意見もございましたし、様々な両者の関係、両者の運用の在り方については様々なケースがございますので、特にここで具体例を示すということではなく、重要なこととしては、コミュニティ・スクールと地域学校協働本部(仮称)の体制や連携の在り方には様々なケースがあるということを前提として、14行目にございますけれども、国は、地域や学校の実情や特色に応じて、様々なケースがあり得ることを十分に認識しつつ、効果的な連携・協働の取組イメージや円滑に機能している実例を、都道府県・市町村の教育委員会、学校、地域学校協働本部(仮称)の関係者等に情報提供・発信することにより、その理解の促進を図ることが必要である。様々な事例を見ていただきながら、それぞれのコミュニティ・スクール、地域学校協働本部(仮称)の中で、どういった形で連携をしていけばうまくいくかということを周知していくということを考えていってはどうかということでございます。
  最後に、78ページでございます。これは、「はじめに」というものがありましたように、「おわりに」という形で、第1章、第2章、第3章、第4章の提言の重要なメッセージを最後に総括的に伝えて、将来に向けて、学校、地域、それぞれの関係者の参画を促していくということが重要ではないかということで、重要なポイントをまとめた上で、28行目にございますように、誰かが助けてくれる、のではなく、自分たちが「当事者」として、自分たちの力で学校や地域を創り上げていく。子供たちのために学校をよくしたい、元気な地域をつくりたい、そんな「志」が集まる学校、地域が創られ、そこから、子供たちが自己実現や地域貢献など、志を果たしていける未来こそ、これからの未来の姿である。このような未来を創り上げていくために、本答申(案)の内容が速やかに実施され、国民一人一人がその理念を共有し、手を取り合い、行動していく一助となることを切に希望するということで、未来に向けての今回の提言を、それぞれが当事者として考え、それを実現していただきたいという思いを最後にまとめて整理したところでございます。
  長くなってまいりましたけれども、第3章と第4章の説明については、以上でございます。
  なお、今回、御欠席でございます山口県教育委員会教育長の浅原委員から、事務局に意見のメモを頂いております。その主な意見をかいつまんで説明いたしますと、コミュニティ・スクールの導入の促進に加え、新たに地域学校協働本部(仮称)の体制を構築していくというイメージにつきまして、その両者を一体的に推進してみたいと思えるような表現にする方策が必要ではないか。コミュニティ・スクールや地域学校協働本部(仮称)を一体的に推進していくということの手順の例などを研究し、具体的に示す必要があるのではないかということを御指摘いただいています。
  まずは、地域学校協働本部(仮称)につきましては、前回、なかなかイメージが伝わりにくかったのかなと反省しておりまして、今回は、学校支援地域本部等をベースに、その活動を発展させていくというものであるという趣旨を強調しております。ですから、全く新しいものを、今までの学校支援地域本部等に加えて作ってくれということではございません。そこを強調させていただいているのが1点。
  さらに、第4章、先ほど説明させていただいたように、今後、国として、効果的なコミュニティ・スクールと地域学校協働本部(仮称)の両者の関係、両者の連携のイメージを、各自治体における事例も収集しつつ、それを積極的に情報発信していくということを考えております。
  それから、統括的なコーディネーターにつきまして、市町村教育委員会が統括的なコーディネーターの委嘱を行うというような雰囲気の表現が出ていたということでございますが、統括的なコーディネーターについては、都道府県に配置するのか、市町村に配置するのかが曖昧であるという御意見を頂いています。この点につきましては、想定されるのは、主に市町村におきまして、市町村域内の複数の学校を見るという形で配置することが想定されることが多いかと思いますけれども、当然、都道府県においても、そういった統括的なコーディネーターを配置して、都道府県域内における推進を図っていくことも当然想定されることかと思っております。
  その補足説明も含めまして、私からの説明は以上でございます。

【明石部会長】 
  廣田補佐、渡辺室長、ありがとうございました。
  これまで審議してきたことを答申(案)に盛り込んでおります。本日は、この答申(案)に対する修正点を中心に御審議いただければと思っております。
  それでは、早速ですが、ただいま御説明いただいた答申(案)について、章ごとに時間を区切って進めたいと思います。
  まず、「はじめに」と第1章、時代の変化に伴う学校と地域の在り方についての修正点について、御質問、御意見ありましたら、よろしくお願いいたします。では、天笠委員。

【天笠副主査】 
  途中で失礼しますので、申し訳ございませんが、最初に切り出させていただきます。大きく三つ申し上げたいと思います。
  まず1点目、これは前回も申し上げたのですが、全体としてスリム化が必要なのではないかということ。関係の方々の御努力によって、二歩前進したと思うのですが、更にもう数歩前進させる必要があります。そのときの一つの観点は、読み手の立場に立って修正していただくというか、スリム化していただくというのが基本的に大切だと思います。
  今日の段階は、それぞれの立場の方の考え方を集約し、ある程度修正して、およそこういう形で見解が整った、まとまったということは、今の御説明等々を含めまして、よく受け止められたところだと思います。その上で、もう一段必要なのではないかというのは、やはり読み手の立場に立ち、その観点から全体でスリム化をしていくということが必要なのではないかと思います。一つの手立てとして、前回も申し上げたので、脚注に回していくとか、そのような手立てを、今回進められているのではないかなと思いました。
  それと同時に、もう一つは、やはり1章から最終章までの、章の間の重複をどのように捉えるのかということ。それぞれがそれぞれの章でまとめていかなくてはいけないところがあるので、重複はある程度やむを得ないということの立場が、ここには示されているのではないかと思うのですが、その辺りを了解した上で、もう一段調整を、是非全体を通して御検討いただきたいと思います。どうしても、一人、二人の人間が進めるものではなくて、こういう場における進め方ですので、いろいろなお立場の方をそれぞれ糾合しながら、できるだけ集約していくという、そういうスタイルですので、申し上げていても、一応限界があるかもしれません。しかし、読み手の立場に立ったときに、何をメッセージとして伝えようとするのか辺りのところで調整をお願いできればと思います。
  続いて、開かれた学校のことについてのコメントですが、私は、この社会に開かれた教育課程の関係からの提案を、どうこちらの部会も受け止めるかということの必要性や大切さというのがあると思うのですが、その部分がある意味では脚注の方に回ってしまっています。55ページの、随分飛んだところにそれについての部会のコメントがあるのですが、これはもう少し工夫が必要なのかなと思います。それは、ただ脚注に回すというよりも、やはりこの部会として、一定の見解を述べておく必要のあるという部分だと思いますので、そういう点では、「社会に開かれた教育課程」を強調するなり、リライトするような形でまとめていかれるといいと思いました。
  最後に3点目、今日配付された資料3-5と資料3-7、この二つのイメージ図についてコメントを加えさせていただきたいと思います。それは、この部会の成果物をイメージ図で表すと、資料3-7が、この部会なるが故の描かれたイメージ図ではないかと捉えています。それを、ある意味で言うと、肉付けするとか、あるいは、より丁寧に説明するためのものが、資料3-5になるのかなと思っていまして。それで、そのような点からすると、先ほど御協力された方のコメント等に共通するところがあります。資料3-7を、このイメージをどうお伝えするかということが一番私は大切だと思っています。これをどう一体的に理解していただくか。必要性、大切さがあるのではないかと思います。
  要するに、資料3-7だけだと、まだ途中経過ではないか。あるいは、その資料3-7をお伝えするための途中の経過として資料3-5がある。もちろん、これはいろいろと考え方があるかと思うのですが。という意味で、私は、この資料3-7を多くの関係者の方々にお伝えできるように全体として修正が進められるとよろしいかと思います。
  以上です。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。ほかに、「はじめに」と第1章。牧野委員、お願いします。あと平岩委員。

【牧野委員】 
  全体に、とても思いのこもった答申になって、特にまた最後の「おわりに」で、とても強い気持ちが入っていて、新しい社会を迎えるに当たっての一つの格調のある答申と受け止めました。この修正案を作ってくださった事務局の御苦労に感謝したいと思います。
  その上で、「はじめに」のところですが、教育改革に関しての答申ですので、こういう形になるのだと思いますし、具体的には学校教育や教育の在り方、地域の在り方はこう考えるのだということだと思いますけれども、例えば、もう一つ、全体を貫くメタレベルのといいますか、大きな議論として、「おわりに」とも連動すると思いますが、これからの社会の在り方は、行政に依存したり、行政サービスの分配を求める社会から、むしろ住民が自分たちで創っていく社会になる、その意味では、教育の在り方や学校の在り方も、分配から創造へと組み換えられる必要があるというような議論をしておくことが必要なのではないかと思います。そうすることで、例えば、地方創生ですとか、一億総活躍といったことが、地域社会において具体的なイメージを結んでくる、そういう議論になってくると思いますので、可能でしたら、この「はじめに」のところで、全体を貫く一つのトーンとして、「おわりに」の最後のところに書かれています、従来のような、誰かが助けてくれるのではなく、という表現ではなくて、誰かにお任せではいけないということ、そうではなくて、やはり自分たちが主役になって、自分たちで主体性を持ってやっていくのだ、分配を求めることよりは、むしろ創っていくのだという議論の中に、この改革が位置付いているのだというような方向性を示していただけると、全体としてのトーンを整えることができるのではないかと思います。できましたら御検討いただきたいと思います。

【明石部会長】 
  では、平岩委員、お願いします。

【平岩委員】 
  牧野委員と同じく、すごく迫力のある報告書になってきたなという印象を持ちまして、とてもうれしく思いました。
  一つだけ、第1章について、目標やビジョンという言葉が出てきているんですけれども、この言葉は、私どもは実は特に大事にしていまして、人を巻き込む最初の作業というのが、目標やビジョンを定めることであります。第1章にちらっと出てきて、71ページの下の方で、「域内の子供たちの成長や地域の振興・創生に向けたビジョンを掲げ」という話が出てきて、なるほどな、そういうビジョンのことを言ってるんだよねという感じだったので、できましたら、第1章で、目標、ビジョンという言葉が11ページのポイントのところで入ってきて、もう少し言葉を足してくれるといいかなと思います。どういう目標、どういうビジョン、つまり、地域の子供たちをどう育てたいかという目標やビジョンを掲げというような表現になってくるといいかなと思います。これが定められて初めていろんなことが動き出す、どういう子供を育てましょう、どういう地域を創っていきましょうというメッセージがやっぱり掲げられてこそというところがありますので、第1章でそういう言葉を足してくださると、より良いかなと思いました。以上です。

【明石部会長】 
  ありがとうございます。では、廣田補佐。

【廣田参事官補佐】 
  補足させていただきます。
  平岩委員、御指摘ありがとうございます。12ページのところですが、今御指摘いただいた目標、ビジョンというところで、地域とともにある学校への転換の中の四角囲いになっているところです。学校の運営に備えるべき機能として、「子供たちがどのような課題を抱えているのかという実態を共有するとともに」の後ですが、「地域でどのような子供を育てていくのか、何を実現していくのかという目標・ビジョンを共有するために「熟議」」という、ここの中に目標・ビジョンの細かいことが書かれてしまっていますので、その扱いをどのようにするかということも含めて、検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

【明石部会長】 
  あとはいかがでしょうか。松田副部会長、どうぞ。

【松田副部会長】 
  大変迫力のある報告書になってきて、もう御努力に関して、本当にすごいなと思うところが多いんですけれども、先ほど牧野委員のお話ともちょっと関連するんですが、結局、そういう私たちがやるのだということというのは、こういう問題に関しては、学びを通じてというところが非常に大きなポイントになっていると思えるんです。
  結局、教育ということに参画していくということは、参画する自身が、やはり様々な学びを通じて、出会いや変化を感じ、それを次の人に伝えていくという、そのエネルギーを活性化させるためのこういう答申だと思いますので、そういう意味で、「おわりに」のところに、学び続ける社会を大人と子供も創っていくんだという力強い言葉はあるんですが、学び続ける社会というニュアンスとともに、学びを通じて社会を創っていくんだという、そういうような面も「はじめに」ないし「おわりに」のところで少し御勘案くださると、更に迫力が増すのかなと思いましたので、意見とさせていただきます。

【明石部会長】 
  あとはいかがですか。どうぞ、藤田裕之委員。

【藤田(裕)委員】 
  京都市の藤田でございます。
  2章以降にも関わることですが、この前段の部分で、二つだけ御質問、御意見を申し上げたいと思います。
  生涯学習社会という表現が、2章で少し出てきますが、全体を通して社会教育という言葉が非常に表に出ていて、生涯学習という言葉が少し弱いように思います。その中で、例えば、1章の中でも、地域住民の主体的な意識であるとか、子供も大人も育ち合う体制ということは、まさに理念としては生涯学習という概念ではないかなと思うのですが、その辺りが最初からもう少し貫いて出てもいいのではないかと思います。そのことによって、学校と地域、コミュニティづくりとか、連動とかいう、地域の担い手づくりというようなところにもつながっていくのではないかなという気がしました。
  それから、もう一つは13ページのところに、公民館等の社会教育施設があります。前回も公民館の重要性ということで御指摘があったので、それを踏まえて出しておられますし、そのことについて、私は、異論はないのですが。2章以降でも公民館の重要性が非常に強調されていますが、そこは否定しません。後ろ3章、4章辺りで、「学校そのものが公民館的な機能を備えて地域の核になっていく」という表現が出てきます。学校と別に公民館があるということが、余り固定化されない方が、地域によっては、公民館の役割を十分果たされるのはいいと思うのですが。
  ちなみに、京都市の場合で言いますと、全ての小学校に地域の方が利用できるコミュニティルームが設置されていて、学校そのものが公民館機能を持ち、そして、運動場も体育館も常に地域に開放されているという制度をとっております。その代わり、公民館という公の組織はありません。そのような地域も、これは京都市の特例だと思うのですが、そのような考え方も成り立つのではないかなと思います。学校運営協議会と地域学校協働本部の完成形としては、一つの学校の施設としての、核としての活用というのもあり得るのではないかなという意見です。

【明石部会長】 
  貴重な御意見ありがとうございました。井出委員、お願いします。

【井出委員】 
  先ほどの「はじめに」のところに戻るんですけれども、60ページの25行目以下に、「また、このような地域学校協働本部(仮称)」という書き出しで内容がまとめてあるんですが、実は、この中身をよく読んでいくと、これからの地域づくり、社会づくりというのはどういうことなのかわかります。先ほどの、学習を通して成長していく、それから、今の生涯学習ということも含めて考えていけば、ここに書いてあることって、すごくいいことが書いてあって、この視点を一番前に出すことができないかなと思います。「はじめに」のところの厚みをという御指摘があったものですから、もう一遍この部分のところを、ここは書きぶりが地域学校協働本部(仮称)について書いてあるわけですけれども、ここの理念をもう少し広げて前に持ってくると、これから私たちが創っていかなければならない社会というのはどういう社会なのかというところの、後から引っ張り出してくる引き出しにもなっていくと思うので、そんなにたくさん書く必要はありませんけれども、ここに指摘してあることは、答申全体にも関わってくるぐらいの中身をもう持っているというふうに読んでもいいかなと思っておりました。

【明石部会長】 
  非常にいいヒントをありがとうございました。山野委員、お願いします。

【山野委員】 
  牧野委員が先ほどおっしゃったところで、主体的になっていくという大きな方向性の中で必要だと思います。書き込みがもちろん「学校と地域との協働」ということですが、その学校・地域の協働の中に家庭教育も入れてくださっているように、子供や家庭が主体的になって、エンパワーされて、学校支援地域本部の活動の中で、元気になっていくということも大きなポイントだと思います。「はじめに」の書き込みの中に、当事者である保護者とか家庭というものが余り多く語られていないので、少し意識していただけたらと思いました。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。あと、よろしいですか。それでは、第2章の修正点について、御質問があればお願いいたします。
  なければ、私の方で一つ。先ほど天笠委員が言われた資料3-7がやっぱり非常に大事かなと思っておりまして、そこに、例えば、「チーム学校」という言葉との結び付きをどこかに明示しないと、チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会がありますよね。その答申もありますけれども、どこかに入れておかないと、言葉が一人歩きされたら困るのでということも含めて、どこに出すかということを含めて、検討していただければと思っております。では、なければ第3章。

【廣田参事官補佐】 
  よろしいですか。タイミングが難しかったのですが、山口県の浅原委員から1点御指摘を頂いております。
  都道府県・市町村の役割と推進方策の中で、45ページの上から5行目、「コミュニティ・スクールに対する不要感、不安感等の課題は、指定により一定程度解消され、その先に新しい学校の姿を見いだすことができる」とあります。この「一定程度」という言葉がとても弱いという御指摘を頂いております。
  実は、文科省の委託調査の研究成果で、資料2の38ページに「指定前後の課題に対する認識の変化」のデータがあります。特に教育委員会におけるネックになっていることとして、「教職員の任用に関するの意見の申出」で人事が混乱しないかがありますが、それが23%から0.6%に低減しています。「特定委員の発言で学校運営が混乱する」については、16%が2%になっています。このような実態を踏まえると、この「一定程度」ではなく、もう少し踏み込んで、例えば、「大きく解消されている」と言えないかという御指摘がありました。
  事務局として、38ページ一番上の「管理職や教職員の勤務負担が増える」というところも含めて、トータルで見たときに、「一定程度」というような表現でとどめていたわけですが、そのような御指摘を頂いております。少し工夫をさせていただければと思います。御紹介でした。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。では、第3章の地域の教育力の充実と、そのための地域における学校との協働体制の在り方について、御質問、御意見ありましたらお願いします。では、貞広委員、お願いします。

【貞広委員】 
  ありがとうございます。他の委員の方々もおっしゃっているとおり、ポイント等を取り出して書いていただく、また、理念の部分を充実させて書いていただくなど、分量は別として、とてもいいものになったと思います。感謝申し上げます。
  その上で、私の認識不足もあって、3点申し上げたいと思います。
  1点目が、3章の最初49ページ、表題が、「地域の教育力の充実と地域における学校との協働体制の在り方」となっていますが、一方で、ポイントの囲みの中の二つ目の四角には、「地域の教育力の再生」という言葉が使われています。今回想定している地域というのは、伝統的な地縁的なつながりをベースとした、いわゆる伝統的な地域とイコールではなく、むしろこれからの持続可能な社会をつくっていくための新たな地域と、そこでの教育力をつくっていくというベースで書かれているように思います。中身は、例えば、持続可能な地域社会をつくるとか、新たな関係性をつくるとか、地域住民自らが生活する地域をつくっていく地域コミュニティ形成とか、新しい視点で書かれているのですが、ここだけ「再生」となっているので、やはり内容と整合する形で、例えば、「地域の教育力の充実と新たな在り方の地域や教育力」とか、何か少し文言を工夫していただき、恐らくこのポイントのところだけを読む方もいらっしゃると思いますので、そこを工夫していただきたいということが1点です。
  もう1点は、コーディネーターの養成のところです。70ページに、地域コーディネーターや統括的なコーディネーターをはじめとする人材の確保に関わり、都道府県の教育委員会、市町村などが協力しつつ、コーディネーターを掘り起こしていかなければいけないということが書かれていますが、非常に重要な視点だと思う一方で、やはりもう少し、例えば、主な役割や資質等が明確となっている必要があります。地域の個々の人材を育てていくという、もう少し地道な視点も必要なのではないかと思います。
  例えば、41ページに、「人づくりと地域づくりの好循環」というとても魅力的なフレーズがあるのですが、やはり地域で育てた人たちが、このような地域のコーディネーターとなっていく。もっと、コーディネーターにならなくても、地道な地域活動に関わりながら、経験として学んでコーディネーターになっていくという、そういう養成のプロセスが、やはり地域としては理想なのではないかと思いますので、その視点も入れていただけたらという点が1点です。
  4章はまだですね。

【明石部会長】 
  第4章は、まだ。

【貞広委員】 
  分かりました。ありがとうございます。以上です。

【明石部会長】 
  非常に大事な、「再生」という言葉の解釈もありますけれども、この答申の中では、新たな地域を創っていくという面もかなり強調しておりますから、その辺、ちょっと考慮してください。では、竹原委員。

【竹原委員】 
  ありがとうございます。特にメッセージ性の強いフレーズが何か所もあって、これが響くといいと思っています。
  一つ気がついたことは、53ページで、地域コーディネーターの中には、ボランティア活動をしていて、コーディネーター役を務めるに至ったケースも増えてきていると書いてあります。最初はそういう方はいなかったかもしれませんが、10年間活動していて、リーダーシップを発揮し、既にコーディネートしている方もいらっしゃいますので、62ページにも反映して、入れていただければと思いました。
  それから、もう一つ、「チーム学校」の中でも、学校と地域がどうチームとなるかという図がありますが、そういうところと整合性があり、共通認識ができるようなつくりにした方がいいと思っています。
  それから、多くの人が参画するからこそ協働という言葉が出てきているので、「おわりに」にもそれが反映されたらと思います。当事者として参画するのは、学校の教師でもあり、保護者でもあり、そして地域であるということだと思います。

【明石部会長】 
  では、牧野委員、お願いします。

【牧野委員】 
  50ページのところですけれども、今の貞広委員と竹原委員がおっしゃったこととも関わるのですが、ちょっと気になりましたのが、50ページの見え消しの後から加えられた文章のところです。何となく強い個人が前提にされているようなイメージを持ってしまうのです。強い、競争して勝っていく個人も必要だと思いますけれども、どちらかといいますと、弱くてもちゃんと生きていける社会を創っていくということも考えなければいけないと思いますし、実は昨日まである地方に行っていまして、そこで政権与党の方々とお話をしていたのですが、何とおっしゃったかと言いますと、実は、一人親の家庭の子供の犯罪の再犯率はとても高いのだと。そして、議員の方々ですが、その議員の方々が持っていらっしゃる会社などでも、一所懸命、子供たちを何とか保護しようとして受け入れてはいる。しかし、どうしても犯罪に走ってしまう。また、犯罪に走ってしまう子供たちの受皿になっているのが、その方々がおっしゃる言葉で、裏の社会なのだというような議論が出ていました。そこで、今回の地域学校協働本部(仮称)の話をしますと、是非ともそういうものをしっかり整備して、地域社会で、子供たちが地域で健全に生活できるような、成長できるような仕組みを作るべきだとおっしゃるのです。
  その意味では、強い個人が競争に勝っていくというのも大事なのですけれども、やはり地域で育て合ったり、育ち合っていくといいますか、子供自身が当事者になっていくといいますか、そういうような視点が必要ではないかなと思います。それが18歳選挙権につながっていくと思いますし、さらには、地方創生という問題と関わって、その地域で新しいビジネスを創ったり、また、新しい生活の在り方を構想していくことにつながっていくのではないかと思います。是非とも、その辺りの視点を、第3章の冒頭に入れていただけると良いと思いました。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。では、田崎委員、それから、藤田委員、生重委員、井出委員、浦崎委員、お願いします。

【田崎委員】 
  第3章につきまして、前回いろいろと地域学校協働本部について申し上げました。今回見させていただいて、いろいろと国の支援ということで、70ページに、体制面・財政面における支援の充実等掲げていただいておりまして、大変有り難いと思っております。
  58ページに戻りますけれど、この1段目から5段目にも掲げてありますように、ある程度の期間を見越して、このような地域学校協働本部というのを立ち上げていくということだと思いますので、それも理解をできるところであります。
  7行目以降で、これまでの学校支援地域本部等から地域学校協働本部への発展ということで掲げてあります。県の立場から言いますと、今、市町村に対して、現状として、本県はまだ5割、従来の学校支援本部事業も立ち上がっていない状況の中であります。そのような意味で言うと、これまでの学校支援本部事業から地域学校協働本部へという前に、学校支援地域本部事業についても、まだできていないところについて、積極的に立ち上げていくのだという、そういう事柄を少し入れていただくといいのかなと思いました。
  参考資料3-2で、コミュニティ・スクール拡大・充実の姿のイメージのところでは、経過措置的な、いわゆるコミュニティ・スクールの導入に向けての時間的な流れといいますか、経過の措置として、自治体類似の仕組み等を掲げていただいておりますので、このような学校支援地域本部事業が経過的な措置としてあるのだというのが分かるような形でまとめていただく方が、市町村にとっては非常に腑(ふ)に落ちるというか、地域学校協働本部というのがいきなり出てくるよりも、非常に分かりやすいのかなという気がいたしております。是非よろしくお願いしたいと思います。

【明石部会長】 
  では、藤田裕之委員。

【藤田(裕)委員】 
  第3章、特に前回から大きく力を込めて書いていただいて、読みやすくなったなということを前提に発言させていただきます。
  大きな流れとして1点、前回も指摘させていただきましたが、この学校支援地域本部から地域学校協働本部に発展していく中で、質的に何が変わっていくのかという部分で、例えば58ページ、徐々にという項目ですが、10行目から1、2、3と三つ書いてあります。やはりその中に、何らかの形でコミュニティ・スクール、あるいは、学校運営協議会との連携が一層深まるというような観点が入ってくるべきなのではないのかという気がしております。従来、どうしても学校支援地域本部とコミュニティ・スクールが、それぞれの立場でやっているという部分があったとすれば、それを今回の地域学校協働本部という形に組織を発展的に動かしていくことによって、変えていけるという期待感で地域学校協働本部にしていくということを賛同しているのですが、そのようなことで言えば、ここの章でも、何のために地域学校協働本部にしていくのかというところがもう少し明確になった方がいいという気がしております。
  それから、その上で、その地域学校協働本部をどのぐらいの率でやっていくのか。後の方の章では、中学校単位では全て網羅できるようにという書き方がしてありますが、コミュニティ・スクールもやっている率がさほど多くない。そして、地域学校協働本部も学校支援地域本部もそれほど多くない。そうすると、双方が存在している地域というのは、全国的に言えば非常に限られています。先ほどの3-7の図でも、せっかく手をつないでいても、本当につなげる条件になっている地域というのはごく限られた地域になってしまうのではないかなと思いますので、やはり双方が整っている地域が圧倒的に多いという状況をつくるために、この地域学校協働本部も必置とまでは言いませんし、重要であるということではなくて、早急に全国展開するようなことが望ましいということがもう少し踏み込めないかなという期待感を持っています。大きなことはそういうことです。
  あとは細かいことですが、54ページ、これは表現的なところで、書き足していただいている22~23行目の「一部の限られた者にとどまり」とか、「意識が必ずしも十分でない者も見られる」という表現で書かれているのですが、私的には、このような表現は嫌いではありません。国のこのような答申のときに、少しネガティブ過ぎるような気がしますので、やはり「こういう取組が重要であり、そうした取組の中で意識のかん養が必要である」とか、その程度の方が、誰のことを十分でない者と言っているのかという感じになるので、私自身は嫌いな表現ではないですが、どうだろうかと思いました。
  それから、これも細かい点になりますが、72ページの9行目、「首長部局とのパートナーシップ」です。この首長部局とのパートナーシップについては、以前から申し上げているように、私の今の立場も含めまして、もっとこの地域学校協働本部においては重視すべきであろうと思います。ここのページには、「地域振興、福祉、医療等を担当する首長部局」と書いてあります。次のページ73ページの3行目には、「社会福祉や家庭教育を担当する首長部局」と、言葉が変わっており、家庭教育は全体的には教育委員会部局がやっている場合が多いのではないかと思いますので、表現の統一も含めて、首長部局との連携というのを強く言っていただくのは有り難いです。やはり地域振興、あるいは地域コミュニティづくりという意味で、首長部局との連携が入ってくるのが望ましいのではないかなと思った次第です。
  あとは、生涯学習社会というのが、せっかくこの章の冒頭のところで、大きな理念のポイントのところで出てきますので、生涯学習社会の構築というところを表現としてもう少し強めていただく箇所があれば、入れていただける余地があれば有り難いなと思いました。
  以上です。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。では、生重委員。

【生重委員】 
  全体として本当に力強く伝わってくる内容になっていると思います。本当にお疲れさまです。これだけいろいろなものを生かしながら書いてくださってというところで。
  私が何点か気になる点は、読み取りが浅いのかもしれませんが、統括コーディネーターは個人に特定されるものでしょうか。それぞれの地域によっては、NPOとか、集団として受けて機能を発揮している、例えば、杉並区もそうですが、私はNPOで受けさせていただいていますし、例えば、京都の山科ように、団体の長が受けていて、そこがスポーツ体験などで全面的に子供の貧困から全て生活リズムを、全てを賄っていくという体制は、個人ではなく、やっぱり背景として支えていく団体を持っています。そこに賛同している人たちがたくさんいて、一緒になって地域の中でチームが必然的にできているということがあるのではないかと思います。少し弱腰になっているかなと感じるのは、人がいないときは社会教育主事がやってもいいという書き具合が70ページにありますが、社会教育主事は社会教育主事の仕事があるのです。
  今回のこの新しい答申の中で、新規事業としての統括コーディネーターの予算化ということも考えられていると思います。ということは、今人材がいなければ、育つまで待てばいいのです。育つようにサポート、助言していくのが社会教育主事の本来の役目であって、「社会教育主事でいい」となってしまったら、人を育てないで社会教育主事に最初から統括コーディネーターにしてしまえばいい、兼任だよと。世の中を変えなければいけないというのをここまで書き切っていますから。それならば、逃げ道を作らないでいただきたいということです。
  それから、コーディネーターの研修も、もう少し明確に、複数回の段階的な研修を組んでいくということも含めて、分かるような書き方をしていただきたいと思います。ちなみに、また杉並区の話をいたします。初任者は5回、3時間半受けます。杉並区がではありません。現場も持ちながら受けますが、地域が地域の特性を生かすということを主体に置いて、5回受けているうちに、皆さん見事に育たれます。すばらしいです。私も講師で呼ばれていますが、そのようなことを考えると、やはり、単に誰かを呼んで話を聞いて、「はい、さようなら」のような研修を全国でやっているのはもったいないと思います。やはり継続です。1回、2回、どこかから呼んできても、あとはそこに社会教育主事が必要なのです。
  3年にわたって文科省の委託を受け、地域におけるコーディネーターの育成の手法については、何回も会議で出させていただいています。私としては、地域コーディネーターのベースは、全国のヒアリングも含め、そういうニーズに合わせたものとして、皆さんのお知恵を借りて作ってきていると思います。もっと、いろいろな方たちのこれからの更なる発展を考えた地域コーディネーター及び、統括コーディネーターの育成のところで、逃げ道を作らないでほしいということです。
  それと、もう1点ですが、これも反発を覚悟で発言します。65ページの上の赤い部分です。前回も指摘しましたが、県ごとに社会教育委員の役割がばらばらで、ほとんど形骸化しているところがたくさんあり、廃止されているところもあるのに、人間として配慮は必要だということはよく分かっているのですが、この組織に、必要に応じて助言や情報提供を行うことを期待すると書くのはいかがなものかと。それよりは、情報を共有化して、共に役割を任命する方向を見いだすとか、社会教育委員の有様も復活させて戻っていくというのは、私は賛同です。社会教育を担わなければいけない教育委員会としての役割を再確認することで、社会教育主事の育成の手法も、今後もっと工夫していくことになっていきます。その両方が相乗的に発展していくということなら、私は賛同しますが、今の体制では、必要に応じて助言や情報提供を頂かなくても結構なところが多いのではないかと思います。
  以上です。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。では、井出委員、お願いします。

【井出委員】 
  実は、私が言おうとしていたことをかなり生重委員が言ってくれたんですが、その前に、今、社会教育委員の話がありましたよね。社会教育委員が、幾つかの事業、あるいは事業を担当する個人に助言するということは、私は制度的にあり得ないと思っているんです。それは、友人同士、知人同士でやることはあってもね。なぜかというと、社会教育委員の会というのがあって、それは合議制ですから、個別のサジェスチョンを、その立場を意識して言うことはあり得ないかなと思っています。杉並で教育ビジョンを作るときに、その3年ぐらい前に、社会教育委員の会からの答申をもらったんですね。それは何かというと、これからの地域社会はやりとりが復活、つまり、コミュニケーションという言葉を使わないんですけど、やりとりを復活させていくべきだと。人間と人間との日常的な関わり合いというのを復活していくような、そういう仕組みを作っていく必要があるという答申を頂いて、教育ビジョンを作るときに、それをベースに、関わりとつながり、あるいは、循環と還元といった、そういったキーフレーズを入れていったんです。ですから、こういった事業を展開していく上で、組織として社会教育委員の会が助言をしたり、あるいは意見を表明したりしていくことは大いに歓迎すべきだと、また、そういうことができる社会教育委員の会にしていかなければいけないと思っていますけれども、社会教育委員という立場で何かをするというのは、あんまり現実的ではないかなという、これは感想です。
  言いたいことはそんなことではなくて、統括的なコーディネーターのところで、私、ずっとこの間イメージが固まらなくているんですけれども、63ページから64ページを見ていると、多分、これ、個人を想定できる記述なんですが、統括的なコーディネーターと言うから個人がすぐ思い浮かぶんですが、統括的なコーディネートを行うセクションというふうに読み替えると、そこに求められるのは、もちろん資質・能力もありますが、どんな機能を持たせるのかという議論が当然出てくるわけですね。ですから、統括的なコーディネーターという個人に求められる資質・能力という形に限定しないで、統括的なコーディネートをする個人あるいは組織あるいはセクションのありようについても触れておかないと、統括的なコーディネーターというのは一人がやるというイメージが固まってしまうんです。
  実は、もう言ったんで、それ以上は言いませんけれども、杉並の場合には、統括的なコーディネーターの役割を委嘱しているわけですね。NPOに委嘱して、地域コーディネーターの研修とか、育成とか、あるいは事業のマネジメントとか、そういったことをやってもらっていますので、もしこれを全国展開していくとすれば、個人の有能な統括的なコーディネーターに全てを託すとそのコーディネーターの持つべき資質・能力はこういうことでというふうに指定していくと、かなり難しくなる。だから、その辺は読みようによってはどっちでも取れるというのも一つの手かなという気がしました。
  また逆に、個人ということで限定して書いていくとすれば、当然、身分についても書き込んでいかないといけない。委嘱という形ですから、当然、これは準公務員というか、あるいは、しかるべき立場の身分を有するわけですけれども、身分について触れていないということは、どういう形で委嘱する、どういう身分の人になるのかなということもあるわけですね。これは統括的なコーディネートをするセクションというふうに、組織として位置付けた場合でも必要ですし、統括的なコーディネーターという個人として位置付けた場合でも、どちらも、組織の位置付け、個人の身分というのは、何らかの形で表現しておかないとあやふやになるという感じがします。
  さっき通り過ぎてしまったので、統括的なコーディネーターの関係でもう一つ感想を言いたいんですけれども、統括的なコーディネーターの仕事って、各学校の地域連絡教員との連絡調整というのが出てくるんですが、各学校における担当教員、どう見ても、これは兼務ですね。書き方が。つまり、学校の業務内容を整理して、人を生み出そうという表現がそこそこに書いてあるんですが、例えば、48ページは、学校全体の業務活動を整理していって、そこから人を生み出すという書きぶり。ということは、もう専任ではない、定数でもない、兼務でやる。その必要な人間は、学校の業務を改善して人を生み出せというふうに読み取れるんですけれども、多分、それだと失敗するだろうな。つまり、それほど単純な話ではないし、校務分掌で兼務してやれるほどのことでもないし、また、もしそこに専門性、統括的なコーディネーターと、あるいは統括的なコーディネートをする組織との連絡調整のような専門性を期待するとすれば、校務分掌の一つとして、学校の人材をやりくりして、今年はあなた、来年は私というような、そういうものではないだろう。そうすると、継続的に育成し、一定程度の資質・能力を担保していくとすれば、できれば、多分、駄目と言われるんでしょうけれども、定数にするか、兼務ではないような、非常勤で確保していく必要がある。その辺も、この書きぶりだと、何とかして学校の中からそういう人材をひねり出しなさいというふうに読み取れるので、ちょっと危険かなという感じはしました。以上です。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。では、浦崎委員、お願いします。

【浦崎委員】 
  全体として、本当に魂が入ってきたなということで、もうこの冊子そのものを研修会のテキストにできるところまで近づいているなと思いました。
  その上で、高校関係のことで6点ほどお願いしたいと思います。
  まず、59ページの35行目からです。小・中学校に対して、高校がかなり遠慮がちな書き方がしてございます。実は、学校サイドから見ていると、このように書かざるを得ない部分、非常によく分かるんですけれども、今、地域サイド、自治体サイドから言いますと、高校との連携ということは非常にホットです。例えば、つい最近のマニフェスト大賞で、可児市議会が可児高校とのコラボレーションということで出したところ、二千四百数十件中のグランプリというようなことで、もうかなり注目を浴びているという実態がございます。ですので、これはもっと前面に出していただいても、アクセルを踏んでいただいていいかなと思っております。そうすることによって、結果的に、小・中学校の導入も一層加速していくと思っております。それが1点目です。
  2点目、67ページの8行目からです。高大接続に絡むことですけれども、これはもうはっきり、場合によっては第1章で言っていただいてもいいかなと思うんですけれども、高校と地域の協働というのは、高大接続にとっても非常に重要性が高いということですね。ある意味、入試制度改革よりも地域との協働を進めた方が、高大接続の理念をより高度に具現化できると感じております。ですので、そこら辺、もっと前面に出していただいていいのかなと思っております。
  3点目です。67ページの10から11行目、高校の連携相手として、商店街等がございますけれども、ここに自治体、あるいは地方公共団体、そして市民団体を加えていただくと、より一層、現実に即したものになるかと思っております。同じことは、29ページにも出てきたと思いますので、第2章の方ですけれども、そちらもできれば加えていただけると有り難いと思っております。
  その次、4点目です。71ページの23行目からになります。各地方公共団体が、子供の成長や地域の創生云々(うんぬん)という記載があります。これはとっても大事なことですので、これはもう第1章に記載していただいてもいいのではないかと思いました。こういうことがあるから、そもそも地域というのは人材育成もやっていかないといけないですよね。そのことについて答申しているのがこれですよということなので、一番終わりまで読んだら出てきたというのではなくて、これはもう最初に出てきてもいいくらいの重要なメッセージだと思っております。
  5点目です。76ページの35行目です。今、井出委員が言われたことと関連しますけれども、教職員が担うという書き方をすると、多くは教員というふうに受け止めて、教員はそんな暇はないぞということで終わってしまうところですね。ところが、これ、役回りとしてより適任だと思うのが、学校事務職員なんです。学校事務職員は、生徒が何か問題を起こしても、余り影響を受けないですよね。しかも、学校全体をニュートラルに見ている。しかも、行政や地域と直(じか)につながっている。お金とかも全て握っているということで、実は、学校の中で地域と一番つながりやすいのは、教員以上に学校事務職員だと思っております。ですので、ここに学校事務職員ということを書き加えていただくと、より理解が進むのではないかなと思っております。
  最後、6点目です。これは高校とは関係ありませんけれども、もうこれは先ほど申し上げましたように、テキストとしても使えるぐらいなのかなということ。あるいは、むしろテキストとしてどんどん使ってくださいねというようなことも含めて、教科書や参考書風に、重要なキーワードは本文中でもゴシックを使うとか、ここは大事だよというところにアンダーバーを引いていただくとか、そういうふうにすると、よりこの活用度が増えるかなと思います。地域との協働というのがより一層円滑に力強く進んでいくのかなということを思いましたので、御参考にしていただけると助かります。以上です。


【明石部会長】 
  ありがとうございました。では、関委員、お願いします。

【関委員】 
  先ほどから皆さん言われているように、非常に熱い答申になったのではないかなと私も感じます。その中で、先ほど藤田委員の方から、公民館の位置付けのようなお話があったかと思います。つい先般も国社研の研修会で、社会教育主事の研修会でお付き合いをさせていただいたんですが、全国それぞれの場所で、余りにも公民館とか社会教育に対しての捉え方に温度差があるなということを感じました。その中で、今回のこの答申の中では、そういうところもあるという形の表記をしていただいて、その両者がそれぞれの特性を生かしながら頑張っていけるような仕組みになればいいのかなというのは感じております。
  あと、66ページの活動場所の確保の中で、今回新たに加えていただいている赤い部分ですけれども、ここの部分は、学校という施設が、今後、生涯学習拠点としてきちんと位置付けられるということをかなり明確に打ち出していただいている方向性ではないかなと思います。確かに、竹原委員のところの東山田中学校コミュニティハウス等を見る中で、今、非常に薄れてきている地域のつながりみたいなものをもう一回そこで再構築する、その中で学校が生かされていく。それは本当にすばらしい方向ではないかなと思います。今後、こういったものが、我々、例えば、四国とか九州とかの方でも徐々に広がっていけばいいのかなと思っております。
  あと、先ほどから話が出ておりました統括的なコーディネーター、あるいは、地域コーディネーターの関係ですけれども、これは従来のイメージと同じようなものと捉えていいんですかね。今までであれば、常駐してそこで勤務する方ではなくて、地域コーディネーターは、特に、何時間か出てきて、その中で業務を達して、それに対して一定の報償費を頂くような方であったかと思うんですけれども、私どもは正直、この統括的なコーディネーターというものを、少なくとも教育委員会事務局の中に置いて、全体からいつでも求められれば、それに対して応えられるような役割を担っていただきたいという感じを持っていたんですけれども、そうなると、やはりきちんとした報酬を確保しなければいけないというイメージを持っております。そのときに何らかのきちんとした支援が頂けるものかどうか。もしその辺、何か今の段階でございましたら、教えていただけたら有り難いと思います。

【明石部会長】 
  では、谷合課長。

【谷合社会教育課長】 
  以前から、例えば、文部科学省でも、学校・家庭・地域の連携推進のために、コーディネーターの配置について補助事業を実施してきております。これから、例えば、コーディネーターの機能とか役割、今回新たな提案がなされておりますけれども、そういった新しい役割を担っていただくコーディネーターに対しても従来の支援が行えるように、そこは考えていく必要があると思っております。

【明石部会長】 
  もう1件、統括的なコーディネーターに対しては。

【谷合社会教育課長】 
  統括的なコーディネーターに対しても、基本的には地域コーディネーターと同じような形で支援を検討する必要があるだろうと思っております。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。では、藤田大輔委員、それから、宗岡委員、若江委員、山野委員、お願いします。

【藤田(大)委員】 
  57ページから58ページにかけて、いわゆる学校支援地域本部から地域学校協働本部へという、支援から協働へというニュアンスの変化を書いていますが、もう少し積極的な形で、例えば、子供を育てる責任を共有するというか、分担する、そのような意識を持った活動を期待しているというぐらいの、単に見守り、育てているのではなく、そこへどんどん関わっていくのだというところまで期待されている本部だというニュアンスを出していただきたいと思います。特に、子供の見守り活動もそうですが、単に見守っているだけで、その後、結局もう一歩が出なかったという、そこを出ていけるようなところのニュアンスを期待したいと思っています。
  以上です。

【明石部会長】 
  では、宗岡委員。

【宗岡委員】 
  学校を預かる者としての立場から、少し意見を言いたいと思います。パブコメの中の地域学校協働本部の活動は、学校や地域の負担の増大とならないようにする必要があるという部分についてですが、先ほどの事務局の説明でよければ、その部分は59ページの中ほどに書き込みがあります。そこを読んだときに、学校の負担の増大の可能性もあるが、これは徐々に、時間がたてば大丈夫だよと、そういう書き方になっています。それはある意味そうだと思いますが。ただ、これを読んだときに、新しい地域学校協働本部というのが出てきて、そして、コーディネーターとのコーディネートをやっていくという中で、「学校はまた何かに対応しなければならないのか」という、いわゆる負担増というところに少し答えられていないような気もします。私の読み込みが十分でないという部分もあろうかと思いますが。
  そのような中で、4章とも関係しますが、例えば、4章の76ページ下の方を見たときに、統括的なコーディネーターと地域連携の推進を担当する教員、そして、学校運営協議会の委員との連携を強化していくことが重要であるという書き込みがあります。これを読んだときに、では、誰が、どの機関がこの部分のコーディネート、強化していく部分のコーディネートの役割を担うのか。これは地域学校協働本部なのかどうなのかというところも、読み込みが浅くて分からないのですが。結局、学校と地域を結ぶ、手を結ぶところのコーディネート役というのを、最終的に学校が任せられるのではないかなというようなイメージも持ってしまうわけです。それに答えるのに、77ページに、「国は、様々ケースがあるので、効果的な協働のイメージを発信することによって、促進を図ることが必要である」ということが書かれています。是非、ここの部分を、そういうイメージを徹底させていただいて、学校の負担感をなくす、このパブコメに対する答えを、負担感を払拭するような取組を徹底してお願いしたいと思います。
  以上です。

【明石部会長】 
  では、若江委員。

【若江委員】 
  3点申し上げます。皆さんの意見と重複しているところが多いんですけれども、まず1点目は、今もお話がありました統括的なコーディネーターについては、やはり何をするのかということがまだ明確ではないと思います。ですので、少なくとも、井出委員からもお話がありましたように、個人ではないという、そういう明確な打ち出しが必要で、やはりコーディネーターの質的・量的拡大・向上と、うまく組織化ができるような、そういう機能をもう少しイメージするべきではないかなと感じました。
  それと、2点目は、学校支援地域本部と地域学校協働本部(仮称)なんですが、田崎委員や藤田委員からお話がありましたように、これから学校支援地域本部を作ろうというところが今また増え出してきている。それはなぜかというと、学校だけを支援するのではなくて、もう地域とつながっていかなければいけない。地域の課題を学校が一緒になって考えていかなければいけないと。正に今のようなことを実感しているので、今まで動かなかった学校支援地域本部を作っていこうというふうな動きになってきていると思うんですね。そういった人たちに、経過措置として学校支援地域本部のままでいいんですよ、でも、その先には地域学校協働本部(仮称)ですよというようなことになるのであれば、やっぱりもっとここの文章の中にそういった位置付けをはっきりと書くべきだなと感じました。
  それと、3点目は、言おうか言うまいかと思ったんですが、勇気を持って申し上げますと、いろいろなお話をお聞きしまして、私もやはりこの答申を使って、社内で正しく理解するために研修をしていこうとしたときに、たまたまなんですけど、第1章が終わった後、第3章を私は先に説明をして、それで、こんな動きがあって、その中で全てを統合しているのがコミュニティ・スクールという考え方なんですよというふうに、いつも社内ではそんなふうに言っていたんですね。ですので、この第2章と第3章の順番を変えるなんて言うと、もう大変なことを申し上げるということはよく分かっているんですけれども、実際、私は、今までのものを社内でそのように使わせていただいていまして、そうすると、一番抵抗感があるのがコミュニティ・スクールのことのような気がするんです。学校支援地域本部のことや、それを延長しての地域学校協働本部(仮称)というところは、割とスムーズに入ってくると思うんですね。それが理解できれば、コミュニティ・スクールが、「あ、そういうことか」というように、すとんと落ちるのではないかなと思いましたので、3点目は、私の独り言ということでお願いいたします。

【明石部会長】 
  では、山野委員。

【山野委員】 
  ありがとうございます。皆さんの御意見と重なるところがあるのかもしれませんが、先ほど学校にそこまでできるのかという御意見とか、反対に、学校ではない方からも。
  実は先日、沖縄の貧困問題で、島尻大臣と有識者の意見交換会に呼ばれたのですが、なかなかこういう学校を舞台にする動きとか、学校に期待を持った考えというのは、すごく抵抗感があったように思います。学校にそこまで任せられるのかとか、学校には壁が厚いのではないかというネガティブなこと、それから、学校が大変ではないかという意見になりがちです。事務局には、ポジティブなことも含めて、夢を持ってもらえるように、本当にすばらしくまとめて書き込んでいただいたと思っています。
  ただ、今おっしゃった、学校が負担に思えないように、「やれる」という夢が持ってもらえるようにするにはどうしたらいいのか。一つは、やはりつながっていくこと。前回、欠席させていただいたので、事務局に、先ほど先生がおっしゃったチーム学校との関係を入れた方がいいのではないかという意見を言わせてもらい、図に書き込ませてもらいました。この3-7の図では、三つの部会がそろって、強弱とか、大きさがとかが見えるといいと思います。先ほど竹原委員がチーム学校でも図が出ているとおっしゃっていたので、そことの整合性もありますが、全体が見えて、「このしんどいところはここがやっていく」とか、今出ているコーディネートという機能も、全体が見えるから、「ここのしんどい部分はこっち側がやる」、「うちはここをやる」と相互に見えるようにすることではないかということが1点です。そのコーディネート機能のところで書き込まれているのは、コーディネーター同士のネットワークですが、全体のそれぞれの相互作用が読めたらいいと思います。第4章にありますが、第3章のところでは、コーディネーターがどこまでやるのかと、チーム学校との関連もどうなのかなと少し思いました。そこが書き込めるのかどうか分かりませんが、つながっていくことで、全て学校がやるのではないということを、見せていくことができたらと思いました。是非、どこかにチーム学校を入れた図があった方がいいのではないかと思います。
  それから、細かいことですが、例えば、58ページの下から3行目で、先ほど谷合課長もおっしゃった、地域、学校、家庭という形で進んでいるので、下から2行目のところに、保護者という言葉があってもいいのではないか。それから、59ページの大きな2番の28行、29行目で、この辺りに親がエンパワーされていく、親が元気になっていくというようなことも書き込めたらいいのではないか、先ほどの例を具体的に言わせていただきました。
  以上です。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。では、貝ノ瀬委員。

【貝ノ瀬委員】 
  4章にも関わると思い、発言を控えていたのですが、基本的には、とてもよく書けていて、よく理解できました。ただ、大ざっぱに言うと、1章、2章で学校運営協議会の意義、そして、拡大促進。3章で、地域学校協働本部の意義が強調されて、4章で、両者は大事ですよと。学校づくりも大事だし、地域づくりも大事だし、両者が相まってやらなければ駄目ですと。そのとおりだと思いますが。
  ただ、もう少し踏み込んで考えると、そもそもこの議論が始まって、大臣から諮問を受けているというのは、コミュニティ・スクール、学校運営協議会についての必置について検討するということだったと思うのですが。その中で、コミュニティ・スクールを拡大促進していくということは、地域学校協働本部という仕組みも大事だと。それがあってこそ学校運営協議会も生きてくるのだということだろうと思います。そのような意味からすると、1章、2章に、先ほど京都の藤田委員もおっしゃっていましたが、やはり学校運営協議会の更なる充実ということになったときには、地域学校協働本部の取組がそれに資するというような書きぶりもあってほしいと思いますし、また逆に、3章の地域学校協働本部の方に、これを仕組みとしてしっかり持っていくということは、結局、学校運営協議会の充実にもつながるという、58ページに、もう少し書き込んだ上で、第4章で、両方とも大事ですよということにつながっていけばと思って読んでいました。
  ただ、やはり若江委員がおっしゃったように、全国的には、コミュニティ・スクール、学校運営協議会をやっているところは7%、学校支援地域本部事業は30~40%。

【谷合社会教育課長】 
  学校支援地域本部の方が大体3割です。

【貝ノ瀬委員】 
  3割ぐらいですね。両方ともやっていないというところが相当数あるということで、そうすると、これから両方やるということになっていくだろうと思いますけど。最終的には、両方やればいいのでしょうが、両方やるのは少しきついので、段階的にどのように取り組んでいくかというときに、うっかりすると、取り組みやすい方から始まり、両方にたどり着かないというか、共倒れにならないよう、取り組みやすさというが表現が欲しいと思います。具体的に申し上げるつもりはありませんが、例えば、分かりやすい資料3-7、協働のイメージのところに、学校運営協議会の機能として三つ書かれています。1、2、3と、プラス4、地域の協力や参画の促進とありますけど、ここに結局のところプラスされて、これはどういう形でプラスされるのかとも思いますが、もしこういうことでしっかりと学校支援について、学校運営協議会に位置付けていくということになれば、そこにこの地域学校協働本部が大きな役割を果たすのではないかなとも思うのです。ですから、そのように、相互に組み込まれているという形にならないと、どっちかがやればいいんじゃないかとか、どっちから始めて、どっちの方にもたどり着かない、両方ともたどり着かないというようなことにならないような、そういう心配をしますものですから。やはりなかなか学校の現場は多忙になっていますので、コーディネート一つするにしても、これは相当に反応があると思います。ましてや、この二つをやっていないところを取り組んでいくということになりますと、やはり段階的なステップが欲しいだろうと思うのです。その辺りのところを、第4章辺りで少し親切にしてあげる必要があると思ったのですが。
  感想ということで申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。あと10分弱になりましたので、第4章と「おわりに」の方に移りたいと思います。貞広委員、お願いします。

【貞広委員】 
  2回目で失礼いたします。
  私の認識不足ですが、勇気を振り絞って申し上げますが、4章のポイントのところで、コミュニティ・スクールと社会教育の体制としての地域学校協働本部とあります。1章からずっと読んでくると、社会教育の体制とは読むことができません。ここにいる委員は、御担当課や各作業部会の出自を御存じなので、「ああ、社会教育だな」と読めると思うのですが、「はじめに」のところも、「地域における学校との協働体制の在り方に関わる事項に関して審議をする」となっているので、普通に読んでいくと、コミュニティ・スクールと地域における学校との協働体制を支える地域学校協働本部という読み方でないと、私は、とてもこの社会教育というのが唐突に見えてしまいます。
  恐らくやり方は二つあって、この諮問されている、議論した事項にのっとり、社会教育ではなく、「地域における学校との協働体制の在り方」と書いて、すんなり読めるようにするか、それとも、やはり社会教育という視点、又は、大人の学びという視点も大事だということを考えるのであれば、「はじめに」のところに、二つ大事なのだと。だから、子供の学びの充実と、それに関わることで大人の学びの伸展を両輪として、新しい地域社会を創生していくと。だから、両者の観点は必要だという書きぶりがあると、「ああ、そうですね。社会教育ですね。そして、それが学校を支えるのですね。」という構造が見えるのですが。私が、いろいろと経験不足で、知識不足で、そのように読めました。
  実は前回、資料3-4の図が、とても不自然な感じがしました。「えっ、ここに社会教育ですか。」学校教育、家庭教育、社会教育の中に地域学校協働活動があるという図になっていますが、答申と対応させてなかなか読みにくかったのは、私自身の個人の受け取りですけれど、このような理由だったのかと思いました。先ほど松田委員から、学びを通じて社会をつくるということの重要性を「はじめに」に書いた方がいいのではないかというお話もありましたので、もしよろしければ御検討いただければと思います。
  以上です。

【明石部会長】 
  ありがとうございます。では、平岩委員、お願いします。

【平岩委員】 
  第4章のところか、「おわりに」のところかというところなんですが、学校の先生の負担感がすごく多いのではないかというパブリックコメントもありまして、そこが少し心配になってきました。両者の連携や、地域側から見たことはすごくよく書けているんですけれども、最後にやっぱり、非常に多忙である学校の先生たちとしっかり手を組んでやらないとうまくいかないのではないかという、その点に最後に触れて締まると、より現実味も増してくるかなと思いました。以上です。

【明石部会長】 
  では、藤田裕之委員。

【藤田(裕)委員】 
  4章の中で、私も貞広委員が先ほどおっしゃった、冒頭と2回出てきます「社会教育の体制としての」という表現は非常に違和感がありますし、この場では少し表現が違うのではないかなと思います。むしろ、チーム学校の核であるコミュニティ・スクールと、それを支援する地域学校協働本部とか、そういうような表現になるのではないかな。社会教育と言ってしまうと、学校教育に対立する社会教育のようなニュアンスが強調されるので、ふさわしくないように思いました。
  それから、最後の78ページの6行目と7行目、「何々するべきことを提言した」と、この2点で、コミュニティ・スクールを目指すことと、協働体制として地域学校協働本部構築を目指すことを提言したのですが、やはり提言の中身としては、コミュニティ・スクールと地域学校協働本部が連携して、新たな学校を核とした地域づくりを進めることが本当は入っているのではないかと思うので、そこはやはり「おわりに」のところで要るのではないかなという気がしました。
  それから、蛇足ですが、先ほどのお話の中で、統括地域コーディネーターについて一つだけ付け加えるとすれば、やはり個人であろうと、団体であろうと、オーソライズするというか、誰がどうやって選ばれて、地域から、あるいは、この人は統括コーディネーターだということで認められる人でないと、自称統括コーディネーターのような人を幾ら作っても全く空回りします。その辺りが一番落とし穴になるのではないか。その意味では、私は、この中で、教育委員会の職員が行うこともあり得ますが、例えば、退職した校長先生などを教育委員会あるいは事務局で発令するということもあり得るのではないかなと思います。
  ちなみに、京都市の場合は、コーディネーターという名前は付けておりませんが、退職した校長先生の社会教育主事を区役所に兼職させて、学校と地域コミュニティの連携をするというような形で配置しています。まだ京都市では地域学校協働本部、学校支援地域本部という形にしていないので、できませんし、まだなっていませんが、持ち帰って、そういう立場の人を統括コーディネーター的に機能させられないかということは、提案してみようかと思っております。

【明石部会長】 
  では、河村局長。

【河村生涯学習政策局長】 
  先ほどから、資料3-4とも関係いたしまして、社会教育と地域学校協働活動との関係について、コメントというか、御疑問を頂いていると思いますので、少しお話をさせていただきたいと思います。
  資料3-4、その図は、教育という分野を、学校教育、家庭教育、社会教育で、まず大きくフィールドを分けて書いております。これは教育基本法から発するところの教育の一つの分類概念であるわけですけれども、その中で、社会教育に連なるところで、緑の丸ですけれども、活動内容として、学校支援、土曜日・放課後活動、まちづくり、地域活動、子供の学習支援、これはいろいろと学校外で様々な困難などに当たっている子供たち、それから、もっと伸び伸びと学校がいろんなことをやっている子供たちも含めての学習支援とか、家庭教育支援活動ということが入っております。
  ここにありますように、教育課程外の土曜日の教育活動というのは社会教育でありますし、放課後子供教室も社会教育で分類されるものでございます。いずれも社会教育法上に、この活動内容が位置付けられております。ですから、学校支援については、これは実際に学校の授業の中で授業を補助するということは、確かに校長の管理下の話になりますので、学校教育をお手伝いしているという状態になるんですが、もう一つの見方をすると、社会教育としても様々な子供とどう対応するか、学校とはどういうものかということを勉強してきた、その成果を発揮するという意味では、社会教育活動という、その両面があるというのが学校支援活動でございます。
  社会教育に関しては、地域によっては非常に狭い活動に、行政というか、教育委員会の社会教育関係者が関わっている活動が非常に小さくなっている地域があることも現実であろうかと思います。そうすると、社会教育というのは、成人、大人に対する教育だけなのかとか、あるいは、公民館で行っている活動だけが社会教育というふうに捉えられがちな部分があるんですけれども、実は社会教育の可能性として、非常に広い、ここに今、緑の丸でつなげているような活動などを概念として含み込んでいる言葉であり、また、それの支援が行政として薄くなってしまっているという自治体の現状はありますものの、これからの可能性としては、もっと広く、社会教育が様々なところもネットワーク化し、行政であれば、首長部局の様々な部局ともつながり、また、地域の様々な団体、産業界、研究機関などともつながっていって、より大きな可能性をもう一回作っていくべきではないかというのが、社会教育政策としては議論されている方向、検討されている方向でございます。その観点が一つあります。
  それから、もう一つの、地域と学校との協働を支援ということだけではなくて、更に大きく発展させていくときに、それについて、今までも議論が出てきましたように、学校が全部それを前に進めるんだということになると、ものすごい負担感が出てくるのではないかという、その御懸念をむしろ払拭するために、この地域学校協働活動、これは一部はさっき申し上げたように、学校支援ということについては、正に学校の管理下で行うべき部分が入ってくるんですけれども、更に広い活動も志向するものとして、地域学校協働活動、また、その体制としての地域学校協働本部(仮称)ということを今までの部会では審議されてきたというふうに理解をしておりますので、これは支える行政の場としては、いろいろ行政の内部でまた委任したり協働したりということはあるんですけれども、基本、社会教育だということをむしろここで明示することによって、学校に全部覆い被(かぶ)さるものではないということをはっきりさせた方がいいのではないかということで、この文言が入っているのですけれども、このことについては、また委員の皆さんが、その書きぶりは余り適切ではないということでの御意見があれば、また承りたいと思いますが、ここに社会教育ということをあえて今の時点で入れたという理由、背景は、今申し上げたとおりです。

【明石部会長】 
  予定した時間が参りましたので、この辺にしたいと思います。各委員からの貴重な、また、非常に参考になる御意見を頂きまして、ありがとうございました。次回は最終回となります。答申(案)の最終確認を行ってまいりたいと思いますので、引き続き合同会議をしたいと思います。
  では、事務局の方から、次回以降の予定について、スケジュールをお願いいたします。

【渡辺地域・学校支援推進室長】 
  資料4、今後のスケジュールを御覧いただけますでしょうか。
  次回、この合同会議につきましては、12月7日月曜日の16時から18時を予定しております。議題といたしましては、答申(案)についてということで、文部科学省の3階の特別会議室で予定しています。当初の予定どおりに、年内に答申という形でまとめたいと思っております。ですから、この12月7日の合同会議を踏まえまして、その後、生涯学習分科会、初等中等教育分科会、総会に報告していくというイメージで考えております。以上でございます。

【明石部会長】 
  ありがとうございました。それでは、本日予定した議事を全て終わりましたので、これで閉会させていただきます。ありがとうございました。

――  了  ――

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生涯学習政策局社会教育課

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)