資料3 教育課程企画特別部会(第12回、平成27年7月22日)における主な意見(未定稿)

平成27年8月5日
教育課程企画特別部会

1.社会の質的変化等と学校教育の課題、前回改訂の成果と次期改訂に向けた課題等について

  • 今回のこの論点整理の全体的な位置づけや意義について、総括的なまとめを冒頭に記してはどうか。積み重ねてきた教育の在り方を、より将来に向けた新しい状況に対応できるようにすることが重要。そのときに、グローバル化、イノベーションの変化、また、困難を抱えた子供たちがいるといった社会的な変化のなかで、どのような方向付けをするかということが大事であり、その解決の仕方として、学校種や教科の間を超えて、総合的、統合的に教育の在り方を考える必要がある。また、社会の変化の中でどのように資質・能力を考え、それをどう評価をするかという点で、量的な評価だけでなく質的な評価の在り方も考える必要がある。さらに、教員がどのようにしてその能力を発揮できる環境にあるかということも重要。
  • 全体的に、出た意見をバランスよく取り入れていただいていると感じた。前々回の98年改訂から、次の現行学習指導要領の改訂に行くときは、異例の反省という言葉も出るくらい大きな転換があった。現行学習指導要領になってからは、基礎学力も回復し、いろいろな意味でバランスが取れてきたが、時代も進んで一層推し進めなくてはいけない点がある。それは、こういう資質・能力が社会で求められるようになったということ、それに伴って学校も、教科の内容だけではなく、そのような資質・能力を育てるための方法を検討してアクティブ・ラーニングなどを充実させていく必要がある、というのが、一番わかりやすい改訂の流れではないか。
  • 前改訂のありようについての反省と、次に向けての方向性に関する部分について、もう少し踏み込んだ書き方をしてはどうか。これについて、改訂を重ねるたびに教科等の存在が非常に大きくなって融通が利かなくなっているような現状があるため、これをどう乗り越えるのかが今回のテーマではないか。そのような点では、前回の改訂で生きる力を言語活動の充実等で何とか各教科に浸透させようとしたことへの評価がどのようにあり、だからこちらに行くのだという流れがもう少し展開されるべき。教育課程が随分融通が利かなくなっているということや、各学校の日常や教育活動に必ずしも影響力を及ぼしておらず機能していないという実態、それを踏まえて、全体の学校生活や教育課程全体がどうある姿なのかというあたりのことがもう少し書き込まれてもよいかと思う。
  • 全体として非常によくまとめられていると思う。一点、なぜ今回の学習指導要領が改訂される必要があるのかということを、国民の皆さんや教員の先生方に理解してもらうためのポイントがよりわかりやすく示せたらいいと思う。今どのような課題があり、こういう点で学習指導要領の改訂が必要ということに関して、まとめ的な部分がいるのではないか。自分としてはそれに関して5点ほどあると考えている。一つは、社会が変化し、今までの特定のものを特定に学ぶという学校教育から、一生学び続けるということがあった上で学校教育はその中に組み込まれるという構造に変わったこと。二つ目は、いまや日本の社会はグローバル社会に組み込まれて、国民はグローバル人材として生きていく必要があり、学校としてもグローバル人材を育てなくてはいけないということ。三つ目は、今までは学校と社会が分離し、学校は社会の準備段階と言われていたが、今は学校と社会が結びついて動いており、それに合わせて学校教育も変わらなければいけないということ。四つ目は、子供たちにもそのための資質・能力と知識理解が必要だということ。五つ目は、この資質・能力や知識理解が各教科の本質と結びつくことが必要であり、それは教科横断的に結び付けて学校のなかで実現することが必要ではないかということ。このようなアピールが必要ではないかと思っている。
  • この改訂はなぜ必要か、改訂を通してどのような日本人になってほしいと思っているのかということをより端的に見せていくことが必要ではないか。例えば、構成について、見出しの立て方を、現状の学習指導要領の効果、現状の学習指導要領の課題、これから求められる日本人像、そのために必要なこと、などとして整理するとよりわかりやすくなるのではないか。
  • 「学校とは、社会への準備段階であると同時に…」という学校の役割に関する部分については、大変重要な部分であるので、より輪郭をはっきりさせるよう、示し方や論理展開を工夫できないか。
  • 貧困の連鎖を断ち切るために学校教育こそがとても大切な役割をはたすということを言葉で明記していただいたい。子供たちの学びやこれからの社会の変化以上に、今起きてしまっている困難さを、学校での12年間こそが未来に対するレバレッジになるんだというスタンスを表明することが大切ではないか。
  • 10年後20年後を視野に入れて、少しでも今すでに分かっているような科学的根拠を入れていただければと思った。「科学的知見の蓄積」という文言など、既に少しずつ書いていただいているが、言葉がもう少し端的な方がいい。2015年の段階ではPDCAサイクルをより広めていくことが必要であると思うが、10年後を視野に入れたときには、「プラン」の前に「リサーチ」や「アセスメント」を入れることも必要ではないか。より指導効果をあげるためには科学的根拠に基づいた教育を行うことが必要で、そのためには個々の子どもの状況を科学的にとらえることが必要であり、そうすることはまた世界に新しい教育モデルを提示できる一つの方法ではないか。
  • 障害の有無にかかわらず、様々な人と関わりながら学ぶという点は入れていただいて非常に良かったが、ぜひここに、生まれ育った環境のよしあしに関わらずということも入れてほしい。今の学校教育は家庭環境で非常に差が出てきているという実情がある。
  • 社会の質的変化等と学校の教育課題のところに、クリティカルシンキング(批判的思考)の観点を追加してほしい。前例を踏襲しないで複雑な問題を創造的に解決する力を身に付けるにはクリティカルシンキングや、主体的・探究型学習、リフレクションなどが重要。クリティカルシンキングは「批判的」と訳されることも影響し、日本の学校教育の中で最も弱い部分と捉えている。一方、世界ではどんどんこの部分を開花させようとしており、このクリティカルシンキングを定着させることが今の学校教育の課題ではないかと考えている。
  • 今までやってきた教育がすべて否定されるわけでもなく積み重ねが非常に重要であるので、現場として今までやってきたことが評価されていないというかたちで受け取ることのないような流れを書いてほしい。今まではこのような形でやってきて、そこをしっかり評価し、さらにこれからの時代に合ったというところを載せていただきたい。
  • 「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質」とあるが、平和という言葉がいろいろな意味に捉えられて難しいところであるが、自由ということも非常に大事であるので、ぜひ豊かで自由な民主国家と入れていただきたい。
  • 「探究」と「探求」、「協働」と「協同」と「共同」といった用語の漢字について、それぞれどのような意味合いでこれを使っているのかということを整理して使い分けをすることが必要。

2.育成すべき資質・能力等について

  • 育成すべき資質・能力に関するところの記述で、育成すべき資質・能力について、これだけ詳しく言及していることは大きな目玉。学校教育法で定める要素に結び付けて育てたい資質・能力の3つの柱を示しているところは、これまで議論してきたことを明確にしていてよいと思う。このうち、3つめの柱である「どのように社会、世界と関わり、よりよい人生を送るか。人間性や学びに向かう力」については、今回本当に重要なことと捉えているので、もう少し丁寧に説明していくことが必要。
  • 育成すべき資質・能力については、これをたたき台にして構造化していくことをこれからやっていくと思うが、「特にこれからの時代に求められる資質・能力等」のところで、いくつかの教育が並列に書かれているが、この段階ですでにもう少し構造化していくことができればと思う。育成すべき資質・能力について、どのような順番で何をすればこれに到達できるかということを、全体としてもう少し明らかに書き込むことが必要。
  • 様々な得意分野の能力を伸ばしていくことも重要であるが、犯罪学的に見れば社会適応のためには人としてのバランスの良さが非常に大事であるので、苦手を少しでも克服しつつ、得意分野を目指して、バランスのよい人として育っていくべきということを入れていただきたい。
  • 義務教育学校を制度化する法改正が成立したが、これについての言及や、9年間でカリキュラムを作っていくという視点が言及されてもよいと思う。
  • 教育課程の構造上の工夫が必要という点について、これが総合的な学習の時間や特別活動の設定に関連してどのようなつながりがあるかということを具体的に書いていただけると、それぞれの意義が明らかになるのではないか。
  • 幼小の連携の観点で、学びの連続性というところだけに目が行くと、誤解も多いのではと懸念。幼稚園、認定こども園、保育所といった多様な就学前の教育・保育施設を考えた上で幼児教育の充実を図っていくとなると、ここには前の学校段階での学びが次の学校段階の中で生かされていくようにというニュアンスが伝わる内容があった方がよいと思う。
  • 総合的な学習の時間は、高校で職業教育を主とする学科については、課題研究等と置き換えることができる規定があるため、総合的な学習の時間や課題研究等、という形で入れていただけると、それを専門に扱っている学校の人間にとって非常にありがたい。
  • 育成すべき資質・能力のところに、インターアクションとか議論、反論、自己主張をするといった内容を入れてはどうか。最近では高校生が英語のディベート大会などを非常に頑張っているが、母語である日本語を通しても、各教科のなかできちんと自分の主張をはっきりさせていくことをもう少し強調してもいいのではないか。協働はすばらしいことであり、最後は平和な社会を皆目指しているが、やはり意見のぶつかり合いがないと本当の意味での平和な社会は生まれてこないと思う。
  • ICTという言葉について記載が少ないため、もう少し議論があっていいと思う。これには3つ視点があると思うが、一つはICTのインフラ整備。もう一つは、教材。教科書をタブレット型にし、常に更新して最新の情報を与えることができるようにすること。もう一つは、世の中が物理的なものづくりの世界からロジカル、バーチャルな世界に変わってきている中で、もっと若いうちからプログラミングの知識やICTを使って、チームワークでパーツをシームレスなシステムやプラットフォームにする体験を豊富に積ませること。これからは、プログラミングの授業が他の様々な教科を架橋する大事な接着剤の役割を果たしていくと思うので、そのあたりのことも記載していただきたい。
  • 今、日本の高校までの教育で欠けているのは近現代の歴史であり、日本文や異文化にアプローチしていくための足場に関する教育が根本的に欠けている。国語においても、前近代や古典に対する若い人たちの関心のなさが強調されていたと思う。これらをどのように立て直し、ここに書かれているような異文化への理解や自国とグローバル双方における歴史の展開を考える力などを身に付けるかということも、もう少し具体的に書きこんでいく必要があるのではないか。

3.育成すべき資質・能力と学習指導要領等の構造化の方向性について

  • 今回の論点整理案を拝見して、とてもよくまとめられていると感じた。次回の議論の足場になるかと思うことについて一点。これまでの学習指導要領は、ややもすれば事実的な知識の網羅にすぎず、あるいは網羅的知識の体系にすぎなかったのかもしれないと理解している。原理的には、本当に学問的な体系に沿った知識であれば、それは当然資質・能力の育成に寄与するはずだという論理がここで確認されていいかと思うし、しかも資質・能力という中には、各教科の本質、教科ならではのものの見方、考え方が中核に入ってくるので、各教科の内容編成をする中でその教科の本質、その教科ならではのものの考え方が身に着くかということを、一つ大きな視点に据えて内容編成をしていくということかと考えた。このような観点から、もう一度学問的な体系とか、指導内容の体系、網羅という言葉が指し示す内実をもっと具体的に詰める必要があるかと思った。
  • 現行学習指導要領で盛られているような網羅的な指導内容や知識の体系について、この量を維持する必要があるのかといったことを今後どこかで議論すべきだと感じた。アクティブ・ラーニングに持っていくときには、総量を減らさざるを得ないという議論になるのか、それを減らしたときに学力低下のそしりを受けないようなロジックが作れるのか、というあたりを議論する必要がある。今後、教育課程編成原理を作る際のロジックをどのように作るかが大事。
  • 必要な資質・能力を定義し、そこから各教科等の在り方を見定めるというトップダウン式のやり方と各教科等を学ぶ意義を明確化して体系化するというボトムアップ式のやり方について、実際には、これは行ったり来たりしながらやらざるを得ないことであるので、後者にすべきという部分の表現はできればもう少し柔らかくしてはどうか。ボトムアップ式のやり方だけでは、各教科の本質をあげる際に、漏れが出てくるかという問題もある。両方を並行して連携しながら進めていくという方が現実的だし、うまくいくのではないかという気がする。
  • 教科横断的に身に付けさせるべきスキルのようなものについては、ある程度先に枠組みがあってもいいのではないかと思う。その枠組みをもとに、教科の中でそれについてどうアプローチするかということの検討を進めるのがよいのではないか。
  • 「教員の役割は、教えずに子供たちの活動を単に見守り、支援に徹することではない」という表現があるが、時には、子供たちの活動を見守ったり、適切な支援をしたりすることも必要だと感じているが、このままの表現では、これをやってはいけないととられがちになるのではないか。
  • 子供の脳の発達特性や教育的ニーズを具体的に見ていく、すなわちすべての子供の実態像を踏まえて指導していくというニュアンスをもう少し全面に打ち出していただければいいと思った。発達特性とか学習のスタイルを踏まえてメタ認知をあげながら指導しなければ効果はあがらないということが証明されている。
  • メタ認知の位置づけについて、学力の三要素のうちの主体性、多様性、協働性、学びに向かう力、人間性という要素のみに関わるように示されているが、これは一つ一つの知識やスキルを推進していく上でも非常に大事であり、これを別枠で示していただくと、これまでの議論も反映されるのではないかと思う。自分を外から見て、常に自分をコントロールしながら学習を進めていくという視点が書かれるといい。これに関連して、体験活動の充実を図ることが重要とあるが、これだけで主体性、多様性、協働性といった力をつけることを進めているようにはどうも思えず、振り返りを計画的に取り入れていく仕組みが必要であり、リフレクティブな学習活動という視点が入るといいと思った。

4.学習評価の在り方について

  • 今回の新しい学習指導要領が目指す姿を実現していくために、学習評価をすることによってどのような学力を育成するかということを明示していく必要。目標準拠評価がなかなか学校に定着しておらず、社会的にもなかなか理解いただけていないという面があると思う。どちらかというと、相対評価の方がわかりやすいという話もあるくらいで、今回指導と評価を一体化させるためにも、わかりやすく、先生たちが行いやすい評価にしなくてはならない。小学校における観点別評価については、現在授業の中では質的な評価を行っているが、これを指導要録に評定として記載するときには量的な評価が行われており、質を量に読み替えるために無理が生じてきている。このような、評価、評定の難しさがあることを理解した上で、評価の在り方を考えていく必要。また、高校においては、未だに評定平均値をもとにしながら量的な評価が行われているため、これを質的な面からの評価に変えていかないと、授業において指導と評価の一体化が図れない。
  • 今回の改訂では評価ということが肝ではないかと考えており、評価についての説明の分量は、資質・能力について説明と同じだけあるといい。いろいろな資質・能力が必要といっても、最終的にどのような評価がなされるかということが先の教育を決めていくことにつながるとすると、やはりここである程度具体的な評価の在り方が示されるべき。今までは総括的な評価が多かったが、形成的な評価と総括的な評価がどうバランスよく組み合わさっていくべきかということが重要。一方、評価の仕方をあまりに具体的に書くと、今後はそれしか行われないという危険性もあるので、評価を通して子供の資質・能力をどう評価するかということをきちんと明示しながら、その後はいろいろなバリエーションで評価することができるような書き方が必要。
  • 学習評価の在り方について、学びに向かう力の意義も踏まえつつ…という部分があるが、このあたりももっと丁寧に書きこんではどうか。主体的に学習に取り組む態度、日本の子供たちの自己肯定感や学習意欲、社会参画が低いといった課題を解決していくためにも非常に重要なところである。
  • 高校を終えて大学に入ってくる学生たちを年々見ていると、中等教育で行われる評価をより充実させるということがとても必要だと感じる。評価の在り方については、様々な論点が出てきていると思うので、ここをもう少し充実、具体化していくことが必要ではないか。
  • 評価における先生の役割は、たたき台に書かれていることだけではなく、もっと根本的に子供たちの学習の価値を認めること。今あなたがやっていることの価値はここにあると明確化し続けていくことで、今求められている資質・能力が徐々に培われていく。そのため、教員の子供を見る目、それを培うことのできる研修、校内のシステムの在り方なども必要ではないか。
  • 評価といっても、各教科で評価の仕方は当然変わってくるべきところがあるので、そのあたりのところもわかるようにしてほしい。また、日本人が考える評価と世界のスタンダードの評価にずれがあると育っていく人間も変わってしまうので、世界はどのような人間を評価するのかというところが踏まえられる必要。評価の在り方は、子供たちに対する大きなメッセージにもつながるので、例えばどのような大学を求めるのかなど、評価がわかりやすい形で示されることをさらに検討していけばいいと思う。
  • 感性や思いやりを評価しないという記述について、その趣旨はわかるが、勉強や議論ができてリーダーシップもある子が陰でいじめをしていたりする場合、これをどう評価していくのかという問題がある。道徳の評価にも関わるが、そこの工夫をお願いしたい。例えば、自分自身で目標設定をして、それを乗り越えられたときに、自分で自分を評価するということがあってもいいと思っている。自己評価はメタ認知の発達に大きく影響する要素である。

5.学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策等について

  • グローバル化する中で世界と向き合うことが求められているなか、現場の先生方にそのような認識がなければ、それに合う子供たちを育てていくことは難しいと思う。学校現場で忙しくされている先生方はこれを感じられる環境にどれだけいるのかということが危惧される。そのため、先生方をサポートする校内研修や校外研修、教員養成の大学等とも連携しながら、いかに先生方が時代の変化などを感じてもらえるようなシステムを作っていくかということも非常に重要だと思う。
  • 教員の先生方がすべてを抱え込まなくてもいいよう、学校だけで生徒たちのすべての学びを支えなくてもよく、先生は社会と生徒の学びをつなぐコーディネータになるのだということも明記してはどうか。先生の労働時間の中ですべての学びを完結するのではなくて、その時間を軸にして生徒が放課後や休日に自分のプロジェクトを持つような、プラットフォームとしての学校の学びなのだということを意識できるようなことを表明したい。
  • 何もかもが学校にかぶせられている現状があるなか、すべてが学校の責任と捉えられかねないので、その辺に配慮をした書き方となればと思う。教員の守備範囲は今後の検討課題。
  • 保護者の位置づけについてもっと強調してはどうか。OECDでは、保護者というものを学校の最大のステークホルダーと位置付けて重視している。OECDスクールのプロジェクトのなかで、先生方が一生懸命頑張ってやってきたのを見て、保護者から、もっと協力できることがあった、なぜもっと頼ってくれなかったのかというお叱りの声であった。新しい学習指導要領の中で、これまで以上に社会に開かれた教育を作っていくとなった場合、子供たちの保護者こそが、同じ社会で生きている同士であると同時に、社会の窓口になるであろうし、新しい価値観に沿った新しい学びを進めるのであれば、保護者とその価値観を共有する必要がある。そのような意味で、もっと積極的に保護者の位置づけを明記してもいいと思った。
  • 新しい学習指導要領を変えていくときに、教科書をどのように取り扱うかということについてもっと議論をしていけたらと思う。
  • カリキュラム・マネジメントは幼児教育の中でも大事と考えており、幼児教育関係者にも注目して読んでもらいたい中で、「学校長」などとのみ書かれていたり、教科等の縦割りや学年を超えてという文章で書かれていると、幼児教育関係者はこれは小、中学校のことかなと単純に思ってしまうこともあるので、幼児教育についてもそこはぜひ強調していただきたい。特に幼児教育の場合には、教育課程というものをもって教育目標に向かうという考え方をしっかり持って日々の保育、教育を行っていかないと、修了までに育てたいことが十分に身につかないということもある。
  • 日々目の前の課題に追われる状況にある教員一人ひとりにとってみると、身に付けるのはなかなか難しいことであるが、視野を広くして物事を見極めることを意識していくためには、組織の一員としての自覚をしっかり持って教育に当たる姿勢が必要。管理職だけではなく教員一人ひとりがこういった自覚を持つべきという内容を付け加えていただきたい。
  • 各教科等の科目の見直しというところに幼児教育の内容がないが、学校段階ごとの見直しをしていくと、幼・小・中・高の並びの中で幼児教育についても連続して見直していかなくてはいけない内容もあり、今の子供の育ちの実情を踏まえてぜひ幼児期に体験しておかなくてはいけないこともあるため、幼児教育における教育内容の見直しにも言及していただきたい。

6.次回の議論に向けて

  • 現行の小学校の外国語活動の授業においては、小学校の学級担任の先生方の圧倒的な努力により、母語以外の言葉への興味をもたせるという点で大変成功している。外国語活動を経験した児童生徒は、外国語学習に対する非常に積極的な態度をもち、現在は、単なる体験活動ではなく、もっと英語という言葉を学習したいという意欲のある状況に至っている。小学校の高学年という発達段階を考えても、この意欲の高まりに応えるよう教育内容を充実させていくため、教科として英語の授業を教育課程に位置付ける必要がある。そのためには、一定の時数は必要。今までやってきた音声でコミュニケーション能力の基礎を育成するということに加えて、文字指導、文構造への気付きを通じて、英語という言語の特徴をある程度意識化させる段階に来ているのではないか。これはアクティブ・ラーニングのベースとなる言語力の育成にも資すると考えている。なお、教科としての位置付けにするためには、教材の整備や教員の指導力の育成等の面での条件整備が不可欠。
  • グローバル化に関連して、英語教育に加え、前の部会でご報告いただいたESDのような具体的な学校の取組についても触れてはどうか。

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