平成27年8月5日
教育課程企画特別部会
1.2030年の社会と子供たちの未来
(1)新しい時代と社会に開かれた教育課程の必要性
(2)前回改訂の成果と次期改訂に向けた課題
2.新しい学習指導要領等が目指す姿
(1)新しい学習指導要領等の在り方について
(2)育成すべき資質・能力について
1.育成すべき資質・能力についての基本的な考え方等
2.特にこれからの時代に求められる資質・能力等
3.発達の段階や成長過程のつながり
(3)育成すべき資質・能力と、学習指導要領等の構造化の方向性について
1.学習指導要領等の構造化の在り方
2.学習活動の示し方や「アクティブ・ラーニング」の意義等
3.学習評価の在り方について
4.学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策
(1)「カリキュラム・マネジメント」の重要性
(2)学習指導要領等の理念の実現に向けて必要な支援方策等
5.各学校段階、各教科等における改訂の具体的な方向性
(1)各学校段階の教育課程の基本的な枠組みと、学校段階間の接続
1.幼児教育
2.小学校
3.中学校
4.高等学校
5.特別支援教育、特別支援学校
(2)各教科・科目等の内容の見直し
1.総則
2.国語
3.社会、地理歴史、公民
4.算数、数学
5.理科
6.生活
7.音楽、芸術(音楽)
8.図画工作、美術、芸術(美術、工芸)
9.芸術(書道)
10.家庭、技術・家庭
11.体育、保健体育
12.外国語
13.情報
14.主として専門学科において開設される各教科・科目
15.道徳教育
16.特別活動
17.総合的な学習の時間
6.今後の検討スケジュール等
本論点整理は、2030年の社会と、そして更にその先の豊かな未来を築くために、教育課程を通じて初等中等教育が果たすべき役割を示すことを意図している。
グローバル化は我々の社会に多様性をもたらしつつある。また、急速な情報化や技術革新もまた、人間生活を質的に変化させている。こうした社会的変化の中で、教育の在り方も新たな事態に直面していることは明らかである。
本論点整理は、学校を変化する社会の中に位置付け、また、教育課程全体を見渡し、学校段階間、教科等間の相互連携を促し、教育課程のみならず初等中等教育の総体的な姿を描くことを目指すものである。
※1 15年後の2030年には、少子高齢化が更に進行し、65歳以上の割合は総人口の3分の1に達する一方、生産年齢人口は総人口の約58%にまで減少すると見込まれている。同年には、世界のGDPに占める日本の割合は、現在の5.8%から3.4%にまで低下するとの予測もあり、日本の国際的な存在感の低下も懸念されている。
また、グローバル化や情報化が進展する社会の中では、多様な主体が速いスピードで相互に影響し合い、一つの出来事が広範囲かつ複雑に伝播し、先を見通すことがますます難しくなってきている。子供たちが将来就くことになる職業の在り方についても、技術革新等の影響により大きく変化することになると予測されている 。子供たちの65%は将来、今は存在していない職業に就く(キャシー・デビッドソン)との予測や、今後10年~20年程度で、半数近くの仕事が自動化される可能性が高い(オズボーン)などの予測がある。また、2045年には人工知能が人類を越える「シンギュラリティ」に到達するという指摘もある。
※2 アラン・ケイ「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」
※3 これまでに2回実施。
※4 補足資料参照。
※5 補足資料参照。
※6 補足資料参照。
※7 補足資料参照。
※8 補足資料参照。
※9 補足資料参照。
※10 中学校の教科構成を元に例示。
※11 補足資料参照。
※12 補足資料参照。
※13 補足資料参照(「アクティブ・ラーニング」に関するこれまでの議論の整理)。
※14 補足資料参照(週時程の工夫や短時間学習等についての整理)。
※15 幼稚園と保育所との関係については、これまでも幼稚園教育要領と保育所保育指針の作成に当たり教育内容の整合性を図ってきており、今後も引き続き、幼稚園と保育所との連携を進めていく必要がある。また、認定こども園法の規定により、幼保連携型認定こども園教育・保育要領を策定するに当たっては、幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性の確保に配慮しなければならないこととされている。
※16 教育基本法(平成18年法律第120号)第5条第2項
※17 「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)」 (平成20年1月中央教育審議会)(抜粋)
6.教育課程の基本的な枠組み
(1)小・中学校の教育課程の枠組み
2. (小学校の授業時数(年間の総授業時数)においては、)小学校第4学年から第6学年にかけては現在の週27コマから1コマ増加し、週28コマを年間35週以上にわたって行うこととなる。これについては、学校では、一週間の中で、各教科等の授業以外にも、特別活動として児童会活動やクラブ活動が行われているほか、個別の児童に対する補充指導や生徒指導といった取組もなされている、9.にあるとおり学校が組織力を高め、教育課題に組織的に対応するに当たっては、校長や副校長、教頭、主幹教諭、教師との間の情報交換や意思疎通のための時間の確保なども必要である、ことなどから、学習指導要領上の標準授業時数を増加する場合、週28コマが限度と考えられる。
※18 今後の社会の在り方・変容を踏まえれば、大学における学習や社会生活において、主体性を持って多様な人々と協力して問題を発見し解を見いだしていくために必要な、以下のような思考・判断・表現等を行えるかどうかがますます重要となると考えられる(補足資料参照)。
(1)現在の状況から問題を発見・定義し、必要な情報を収集して解決のための構想を立て、計画を実行し、結果を振り返って次の問題解決につなげること(問題発見・解決とメタ認知)。
(2)問題発見・解決のプロセスの中でも、特に以下のような思考・判断・表現等が行えること。
1.推論、仮説の形成、2.学習を通じた創造的思考、3.適切な判断・意思決定、4.相手や状況に応じた表現や構成
(3)問題発見・解決のプロセスを、主体的に実行するだけではなく、他の考え方との共通点や相違点を整理したり、異なる考え方を統合させたりしながら実行していくこと。(cf. PISAの協同問題解決)
※19 文章を脚本にして実際に演ずるなど、創作的な言語活動も重要である。なお、演劇については、将来的には芸術科目としての設置を検討していくことも考えられる。
※20 1.小学校高学年において、コミュニケーションの能力の素地の育成をねらいとして、「聞く」「話す」の2技能を中心に慣れ親しませるため、外国語活動を年間35時間実施、2.中学校では授業時数を約3割(年間140時間)へ充実、3.高等学校では選択必履修から「コミュニケーション英語1」を共通必履修に科目構成を変更するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、生徒の理解の程度に応じて授業は英語で行うことを基本とするなど充実を図った。
※21 小・中・高等学校を一貫した教育目標・内容のイメージは補足資料参照。
※22 英語教育の改善・充実については、現状の成果や課題を踏まえた今後の在り方について高い関心が寄せられており、文部科学省に設置された「英語教育に在り方に関する有識者会議」等において議論が重ねられ、報告等もまとめられているところ。諮問においても、同報告の提言を踏まえつつ検討を行うことが求められており、こうした状況を踏まえ、小学校外国語を中心とした課題について、別紙において補足する。
※23 グローバルな社会課題を発見・解決できる人材や、様々な国際舞台で活躍できる人材を育成するため、スーパーグローバルハイスクール等の先進的な取組に関する検証も踏まえた検討が考えられる。
※24 補足資料参照。
※25 補足資料参照。
※26 なお、当部会の議論においては、次期改訂において目指す資質・能力を育む観点からは、教科学習と教科横断的な学びのバランスを図る観点から、総合的な学習の時間の授業時数を現在よりも増やすべきとの意見もあったところである。
英語教育の改善・充実については、第二期教育振興基本計画等※27を踏まえ、文部科学省に設置された「英語教育の在り方に関する有識者会議」報告(平成26年9月)において提言がまとめられているところであり、諮問においても、同報告の提言を踏まえつつ検討を行うことが求められているところ。これらを前提に、これまでの英語教育の実施状況や今後検討すべき小学校教育を中心とした課題を整理するとすれば、以下のとおりである。
※27 補足資料参照。
※28 補足資料参照。
※29 補足資料参照。
※30 さらに、仮に105時間(週3コマ程度)実施することについては、指導体制などの条件整備や小学生の生活への負担等を考えると、教育課程の特例としてではなく全国一律に実施することは極めて困難。また、現段階で教科ごとの指導の専門性が中学校以降ほど確立されていない小学校段階でこれを強いることは、英語嫌いを生み出すことにつながりかねない。今後、児童への指導に当たっては、英語の教科化に必要な指導者を確保するとともに、児童理解、学級経営を基盤とした授業の実施等に対応できる指導者が求められる。
※31 「授業は英語で行うことを基本とする」こととは、教師が授業を英語で行うとともに、生徒も授業の中でできるだけ多くの英語を使用することにより、英語による言語活動を行うことを授業の中心とすることである。これは、生徒が、授業の中で英語に触れたり英語でコミュニケーションを行ったりする機会を充実するとともに、生徒が英語を英語のまま理解したり表現したりすることに慣れるような指導の充実を図ることを目的としている。英語に関する各科目の「特質」は、言語に関する技能そのものの習得を目的としていることである。しかし、このような技能の習得のために必要となる、英語を使用する機会は、我が国の生徒の日常生活において非常に限られている。これらのことを踏まえれば、英語に関する各科目の授業においては、訳読や和文英訳、文法指導が中心とならないよう留意し、生徒が英語に触れるとともに、英語でコミュニケーションを行う機会を充実することが必要である(出典:高等学校学習指導要領解説・外国語)。
※授業との内容の系統性を確保して短時間学習の活動を可能とする場合※32
※32 補足資料参照。
70時間のうち、例えば、教科化に向けて、1.アルファベットの文字や単語の認識や2.国語と英語の違いや音声のそれぞれの特徴への気付きなどを一定の言語活動を含めたまとまりのある学習を行った上で、その内容に、ICTなども活用しながら15分程度の短い時間を単位とした活動を関連付けて「繰り返し学習」を行うことによって定着を図る。(1.関係では例えば年間15時間程度の短時間学習の実施が考えられるが、2.関係なども含め、更に効果が期待される短時間学習の可能性について、今後専門的に検討。)
※33 補足資料参照。
※34 補足資料参照。
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