教育課程部会 教育課程企画特別部会(第14回) 議事録

1.日時

平成27年8月20日(木曜日) 15時00分~17時30分

2.場所

文部科学省 東館3階 講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 論点整理(案)について
  2. その他

4.議事録

【羽入主査】    ただいまから中央教育審議会教育課程企画特別部会第14回を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集頂きまして、まことにありがとうございます。
  最初に、事務局から配付資料等について御確認をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に掲載しておりますとおり、資料1から資料3及び参考資料を配付させていただいております。不足がございましたら、事務局にお申し付けください。
  それから、本日、今までマイクが少し調子が悪かったということもございまして、スピーカーを増強しましたり、試験的にしております影響で、少し今までと聞こえが違うということもあるかもしれません。なるべくマイクを口元に近づけてはっきりとお話しいただければ、大変ありがたく存じます。
  恐縮ですが、以上です。
【羽入主査】    それでは、本日の議事ですけれども、前回に引き続きまして、この部会の論点整理(案)について審議頂きたく思います。本日は、資料1としてお配りしております論点整理(案)について、本部会としての取りまとめを行ってまいりたいと考えております。
  また、本日は、報道関係者等より会議の録音の希望もございまして、これを許可しておりますので、御承知おきください。
  それでは、まず事務局から資料に基づいて御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、お手元に資料1を御用意いただければと思います。論点整理(案)を、前回頂いた御意見、それから事務局に寄せていただいた御意見を踏まえまして修正させていただいたものであります。
  目次をおめくりいただきまして、1ページからごらん頂けますように、章立てのほかに、今回、小見出しを付けさせていただいているところであります。本資料につきましては、事前にお送りさせていただいておりますところですので、本日は小見出しを追うような形で、またそういった部分の主なものを触るような形で御説明をさせていただければと思います。
  また現在、脚注は整理中でございます。脚注につきましては、例えば1ページの下の脚注2でありますとか、補足資料10ページ、11ページというふうに記させていただいておりますけれども、これらにつきましては資料2をごらん頂ければと思います。例えば資料2の10ページをお開き頂きますと、脚注2に連動させるような形で、我が国の学校教育制度の変遷という資料を付けさせていただいているところです。
  このような形で、資料と補足資料の連動をさせていただいておりますけれども、まだまだ脚注は整理中でございますので、最終段階までにきちんと整えてまいりたいと思っております。
  それでは、資料1の1ページ目からごらん頂ければと思います。小見出しをごらん頂くような形でおめくりいただければと思いますけれども、冒頭の部分は新たな学校文化の形成ということで整理をさせていただいております。
  その上で2ページ目でございますけれども、「学校」の意義ということで、これからの社会とのつながりの中で学校教育を展開していくことの重要性について整理をさせていただいております。
  また、そういった意義を踏まえた社会に開かれた教育課程ということで、3ページ目でございます。3ページ目の社会に開かれた教育課程の中の二つ目の丸の部分に、重要なポイントをマル1、マル2、マル3ということで整理をさせていただいております。
  4ページ目、こういった教育課程の在り方が、世界をリードする役割を期待されているということ、また日本の子供たちの学びを支え、世界の子供たちの学びを後押しする役割が期待されているということであります。
  (2)につきましては、前回改訂までの成果ということと、5ページ目、次期改訂に向けての課題ということを分けて小見出しを付けさせていただいております。
  次期改訂に向けての課題というところでは5ページ、6ページですが、6ページ目、「社会に開かれた教育課程」の視点に立ちまして、教育課程の要素全体が相互に有機的に関係し合って機能するようにしていくという観点から、見直しを図っていくということを整理させていただいているところであります。
  7ページ目、新しい学習指導要領が目指す姿につきましては、「何ができるようになるのか」「何を学ぶのか」「どのように学ぶのか」という観点から、まず学習プロセス等の重要性を踏まえた検討ということで整理をさせていただいております。
  また、8ページ目からは、人生を主体的に切り拓く学びという観点から、指導要領の在り方、キャリア教育なども含めて考えていくということであります。
  9ページ目ですけれども、育成すべき資質・能力について、教育基本法等の理念を踏まえつつ現在的な課題ということで、三つの要素から人間の在り方を少し整理させていただいております。
  こういった在り方を踏まえつつ、資質・能力の要素について検討ということで、海外の事例等も踏まえつつ、10ページですけれども、資質・能力の要素、「何を知っているか」「何ができるか」「知っていること・できることをどう使うか」「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」ということを、三つの柱として整理させていただいております。
  また、11ページの、特にこれからの時代に求められる資質・能力につきましては、変化の中に生きる社会的存在としてということ、またこの中で、11ページ目の一番下ですけれども、我が国が、科学技術・学術研究の先進国として、将来にわたり存在感を発揮していくために必要な観点等も追加させていただいてところであります。
  また、二つ目として、グローバル化する社会の中で求められる資質・能力、それからこういった特に重視すべき資質・能力の要素と、三本柱の関係性も整理させていただいております。
  13ページは発達段階や成長過程のつながり、13ページの下からは構造化の在り方ということでございますけれども、まず14ページの頭の部分で教科等の本質的意義、またそれを踏まえた教育課程の総体的構造ということで整理をさせていただいております。
  15ページの下からが学習活動、いわゆる「アクティブ・ラーニング」の意義等ということでありますけれども、16ページの冒頭の部分で「アクティブ・ラーニング」の意義について整理をさせていただいた上で、指導方法の不断の見直しという中で、17ページの1、2、3という深い学び、対話的な学び、主体的な学びという観点から、アクティブ・ラーニングの視点に立った指導方法の改善について整理をさせていただいております。
  続いて、18ページ目からが学習評価の在り方についてでございますけれども、評価の三つの観点ということ、また併せて評価に当たっての留意点を19ページに整理させていただいているところであります。
  20ページ目からカリキュラム・マネジメントの重要性、20ページ目の下から21ページ目の上にかけて、カリキュラム・マネジメントの三つの側面を整理しまして、教育課程に全体を通しての取組、学校全体としての取組の重要性を記させていただいております。
  22ページ目からが必要な支援方策ですけれども、まずは教員への国際的評価と課題ということで、これまでの強みを生かしつつ、さらなる改善を図っていくということ。23ページ目は、チーム学校でありますとかコミュニティ・スクール、また教科書等も含めまして、必要な環境の整備ということを整理させていただいております。
  また、24ページ目は新しい教育課程が目指す理念の共有ということで、本論点整理を広く広報していくことの必要性なども整理させていただいております。
  24ページ目からが、各学校段階、各教科等における改訂の具体的な方向性ということでありますけれども、本企画特別部会におきましても各教科ごと、若しくは各学校段階ごとにそれぞればらばらに検討がなされてしまうのでは、こういった整理をしていく意味が乏しいという御指摘を頂いておりましたので、24ページのまず冒頭の部分で縦のつながりと横のつながり、また教育課程全体と教科等の構成要素が目指す方向性を往還させながら議論していくことの必要性を整理させていただいております。
  これにつきましては、本日、参考資料を配付させていただいておりますけれども、教育課程企画特別部会参考資料ということで、次期学習指導要領改訂に向けた検討体制でございます。こういった体制のもと、秋以降、議論を深めていくことが考えられますけれども、それぞれの学校種に関わる部会、また下側の一番左にありますけれども、総則・評価に関わる特別部会、こういった部会におきまして縦のつながり、横のつながりをつなぎながら、各教科ごとのワーキンググループの検討をつないでいくという検討体制を考えているところでございます。
  資料1にお戻り頂きまして、(1)幼児教育、25ページ、小学校でございますけれども、小学校の部分は特に外国語教育を中心に、例えば26ページの丸の三つ目でございますけれども、「語彙や表現などを繰り返し活用した言語活動から、自分の考えや気持ちなどを聞き手を意識しながら伝えようとするコミュニケーション活動までの総合的な活動を展開し定着を図るため」といった表現を追記させていただいているところであります。
  また、27ページ目の1番上に、ICT等の活用についても追記させていただいているところであります。
  27ページ目下から中学校でございますけれども、28ページ目の外国語教育につきましても、同様に追記をさせていただいているところであります。
  28ページ目から29、30ページ目までが、高等学校教育の部分でございます。それから、特別支援教育がマル5ということになります。
  ここまでが学校段階別等の整理になってまいります。
  それから、31ページ目から各教科・科目等の内容の見直しでございますけれども、教科をつなぐ役割、果たす総則、それから国語、33ページ目は社会、地理歴史、公民でございます。社会、地理歴史、公民につきましては、前回までの御議論も踏まえまして、34ページの一つ目の丸のところに、小・中・高のつながりという観点からの見直しの観点を記させていただいております。
  また、34ページ、35ページ、算数、数学、理科につきましても、先ほどの特に重視すべき資質・能力の観点の修正を踏まえた修正を施させていただいているところであります。
  36ページ、生活科、音楽、芸術、図画工作、美術、書道、家庭、技術・家庭等につきましても、適宜、表現の修正を図らせていただいております。
  また、38ページのマル11、体育、保健体育でございますけれども、体育、保健体育の丸の三つ目になりますが、危険の回避や事故の防止等につながる学習等についての表現を、前回の御議論を踏まえて追加させていただいております。
  マル12から外国語でございますけれども、これにつきましても39ページ、丸の二つ目の中で、例えば「国際共通語としての」という言葉を追加させていただいております。
  40ページの下の部分で、先ほどと同様に、ICTを活用した効果的な言語活動の工夫ということも追記させていただいております。
  41ページ、情報、それから14番目の専門学科において開設される教科・科目、この部分は少し表現が分かりにくいという御指摘もございましたので、一番下の丸を中心に表現を整理させていただいております。
  また42ページ、道徳、冒頭になぜ道徳を学ぶのかという整理をという御指摘を頂きましたので、一つ丸を追加して記述を加えさせていただいております。
  また43ページ、特別活動につきましても記述をもう少し手厚くという御指摘を踏まえて、記載を追加させていただいているところであります。
  以下、45ページからの別紙につきましても、適宜、表現の修正等を図らせていただいているところであります。
  事前にごらん頂いているということもございまして、本日は少し御議論の時間を頂くために簡単な説明にとどめさせていただきましたけれども、事務局からは以上になります。
【羽入主査】    ありがとうございました。
  それでは、意見交換の時間とさせていただきたいと思いますが、皆様のお手元の資料の中に今後のスケジュール(予定)と書いてあるのがあるかと思いますけれども、ここでのこのような形での論点整理の議論は今回が最終となることになっております。したがいまして、既に頂きました御意見をできる限り事務局の方で反映させていただきましたが、なるべく今回御発言頂き、そしてさらに充実したものにしていきたいと思っております。
  なお、既に前回、ほぼ全体の議論が流れとしてはでき上がったかと考えまして、私と事務局で小見出しを付けさせていただいております。全体につきまして、どうぞ活発な御議論を頂きますようにお願いいたします。
  では、いつものように名札を立て、それから挙手など、何かの形でアピールをしていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
  では、荒瀬委員どうぞ。
【荒瀬委員】    ありがとうございます。前回、所用で欠席をいたしまして、資料は拝見しておりますので。ただ、少しニュアンスが異なってしまうかもしれませんが、まず資料1の4ページから6ページにかけて、前回改訂の成果と次期改訂に向けた課題ということでおまとめを頂いています。ここで今までといいますか、現行の学習指導要領の何が問題であるのか、どういった課題が残っているのか、それをどのように乗り越えていくのかということでありますが、こういった振り返りが次の学習指導要領の改訂のときにまた再び行われるというのでは、結局10年間のブランクがあいてしまう。まさにPDCAサイクルを回すということで、チェックの部分を不断にしておかなければならないと思っております。
  一番のポイントは、先ほど御説明頂いたところでもお話がありましたが、いかにしてこの内容、方向性を共有して、実践に生かしていくのかということが非常に重要であろうかと思います。その点につきまして、具体的に進行状況を常に不断に確認できることを考えなければならないのではないかということを、まず思う次第であります。
  2点目は8ページのキャリア教育につきまして、これは教育課程部会で発言をさせていただいたのですけれども、キャリア教育につきまして脚注も付けていただき、また補足資料としても載せていただいておりまして、より丁寧に書かれているので大変結構であろうかと思うのですが、このキャリア教育につきましても、かつてキャリア教育・職業教育特別部会で議論をして、答申としてまとめたものが十分に定着していない、あるいは共有されていない面があろうかと思います。ですから、例えばキャリア教育というと、職業準備教育であるというイメージが大変強く現場にはありますし、場合によっては教育委員会でもそのようなお取り扱いをなさっているところもありますので、先ほど申しました不断の評価というものを一層進めていくべきだと思っております。
  3点目といたしましては、43ページから44ページのところでありますが、こちらには特別活動、総合的な学習の時間につきまして丁寧に御説明を頂いているわけなのですが、この特別活動や総合的な学習の時間というのが、現状ではどうしても学校の中心から少し外れている、ないしは特別活動の中で、とりわけ部活動は学校の方針の一つの大きな柱になっている面もありますので、ここのところにカリキュラム・マネジメントの発想というのをしっかりと持っておかないと、それらの取組を通して児童生徒にどのような力を付けていくのかということが不明確になるのではないかという心配を少ししております。
  それから、4点目でありますが、英語教育につきまして大変充実した書きぶりで、全く結構かと思うのですが、それこそ10年前に小学校英語を導入しようという際の教育課程部会の議論の中で、私の記憶では言語教育をしっかりやっていこうと。これは母語である日本語教育を置いてはできないのだということでありました。
  それに関わりまして、先ほど御説明を頂きました参考資料、次期学習指導要領改訂に向けた検討体制(検討中)〈案〉とありますけれども、この中で、特に下の方のワーキンググループが並んでいる中で、特別チームとして言語能力の向上に関する特別チームという、この横串が国語ワーキンググループと外国語ワーキンググループだけにかかっているかのような印象を受けるのですが、言語能力の向上に関する特別チームというのはもっと幅広く様々なところに関わっていなければ、例えば右の三つ目にあります生活・総合的な学習の時間ワーキンググループとか、考える道徳への転換に向けたワーキンググループとか、あるいは各教科の取組の中にも、これは形の上でも関わっていなければならないし、実質的にもそこで言語力が育成されなければならないと思います。ただ単に、国語と英語だけ、外国語だけのお話ではないのではないかと思いますので、その点、御検討いただければと思います。
  それから、五つ目といたしまして、教育課程部会であるとか、別途展開しております高大接続システム改革会議ときちっと連動しなければ、ここでの議論がここだけの議論で終わってしまうことにならないように。他の会議に出ておりますと、どうもそれぞれの会議の関係が、委員の重なりはありますし、そこでの御発言等もあるわけですけれども、本当の意味で全体としてきちっと重なりを見出していかなければならないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  最後、用語のことでありますが、「きょうどう」という言葉につきまして、これも教育課程部会で申し上げたか、こちらで申し上げたか忘れましたけれども、今回も三つの「きょうどう」が出てきております。回数を数えますと、ともに同じの「共同」が1回、協力の「協」に「同じ」は1回、あとは協力の「協」に「働く」が15回となっているわけですが、こうして同じ「きょうどう」というのを、これ読めば明らかに意味の違いというのを意識して書いていらっしゃるというのは分かるのですが、どこかに注などを付けていただいて、どのような意味であるのかということを書かないと、それこそこの間からずっとこの会議でも議論になっておりましたが、批判的思考力という言葉がなかなか共有されないということにも関わって、是非この「きょうどう」につきましては三つの違いを明記していただきたいと思います。
【羽入主査】    ありがとうございました、大変重要な点を御指摘いただきました。幾つか確認しておきたいのですが、私どもが今回まとめました論点整理に関して、今、荒瀬委員がおっしゃったように、PDCAサイクルあるいは不断の見直しが必要であるということをここに書くことによって、何らかの影響といいますか、それに伴う実効性があるものになるかどうかということを少し、そうなったら望ましいと思って事務局に伺いたいと思います。
  それともう一つ、言語教育についての図の書き方は工夫することが可能なのかどうか。横串としての言語についての考え方というのがあろうかと思いますが、その2点は大変重要なことではないかと考えます。
  その他「きょうどう」をはじめとする用語の使い方の統一、他の審議会との統一性も大変気になってきたところでございますけれども、そういった点について現時点で事務局から何かお話し頂けるようなことはありますでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    まず、PDCAサイクルの件は大変重要と存じますので、どういった形で、例えばどの部会で、どういった責任を持ってやっていくかという具体的な御相談は必要かと思いますけれども、是非何らかの形で盛り込ませていただければと思います。
  二つ目の言語能力は御指摘のとおりでございまして、言語活動を含め、外国語と国語に限ってやるわけではないということの誤解がないようにしてまいりたい。これはまた、この検討体制の中での役割分担の話になってくるかとも思いますが、今回、論点整理にも整理させていただきましたように、英語の小学校における教科化ということも含めまして、国語教育と英語教育の連携を図っていこうということを具体的に詰めていく必要があるということと、一方で国語や英語で培った言語能力もベースにしながら各教科で展開していくという、二つの少し質の違う議論が両方一緒になってくると思っております。
  その二つをこの特別チームで担うのか、それとも後者の方をこの特別チームでやることとし、前者についてはまた学校種別の部会でありますとか、ほかの部会で担うのかということは整理をさせていただきながら、誤解のないようにしてまいりたいと思っております。
  それから、ほかの部会との連携でございますけれども、この論点整理の中でもかなり意識をしてそういった議論を取り込ませていただいており、また御議論の中でも高大接続、教員養成、チーム学校の議論も参照していただきながら、議論を進めていただいたと思っております。今後、それぞれ、高大の方はまた近々ペーパーが出されることになっておりますし、また教員養成も中間まとめの後の動きというものがございますので、秋以降の我々の検討体制も含めて、それでも有機的につながるような工夫をしてまいりたいと思っております。
【羽入主査】    ありがとうございます。事務局でも随分、そういった連携については工夫をしてくださってきたと思いますけれども、最終的にそのような形で、実効性のあるものにしていただきたいと思います。ありがとうございます。
  今回はとても静かなのですが、おしまいになるとだんだん混んできますので、早いうちに御発言頂けるとゆっくり御発言頂けるかと思いますが、いかがですか。天笠委員、いかがですか。
【天笠主査代理】    全体を通しまして、大分分かりやすくなってきた。その一つは、それぞれのところに小見出しが入ってきているというところが、その一つのポイントになっているところかと思います。先ほど御説明もありましたように、小見出しを追いながら中身をチェックしていくというんでしょうか、見ていくという読み方もできるわけであります。それで、おおむねこの小見出しはこの小見出しでよろしいかと思います。
  片や、小見出し自体が全体の趣旨をどれほど象徴しているかどうかというのは結構難しい、それでもあるのではないかと思うので、かえって小見出しが中身そのものとうまく整合し切れないような箇所もまたなきにしもあらずということで、もう一度全体を通してそのあたりの修正はすべきことの一つかと思いました。それは改めて、ある程度全体がより見えてきてからという話の一つになるのかと思いました。
  それから、今御指摘のあった4ページから6ページにかけての前回の改訂に関わったような記述と、それを踏まえた上での次に向けての記述は、私はそういう点で大変重要な箇所だと思っております。
  そうしたときに、6ページのところ等々ですけれども、基本的には一つ一つの文章に脚注があってもいい箇所ではないか。要するに傍証となるデータを一つ一つ付けるべき箇所で、現状では基本的にここに記された認識も私は持っているのですが、これらについてそのことを支える、傍証するデータが一つ一つ必要な箇所ではないかと思います。この現状ですと、そのあたりのところが、こういう考え方もありますということでとどまるような話にもなってしまうので、少なくともこういうことについては、いろいろな調査等々があるわけですので、そのデータ、そういった意味ではもう一つの補足資料にも当然それがあるわけでありますので、それらとの照らし合わせ等々を含めて、ここのところを押さえておく必要性があるのかと思います。
  その上でですが、私はそういう点からして、今回のこの論点整理というのが、例えば現場の先生方の立場から読むと、御承知のように、今、学力を、状況調査等々にかなり多くのエネルギーを割いて、その成果を得ようと現場では努力されている。ほどなく、その結果等々も改めてこの夏公表されるところまで、今は来ているのではないかと思います。
 そういうこれまでの、言うならばA問題対応、B問題対応を含めた学力を支えていくというか、育てていく、その努力と、今回、ここで資質・能力というところによりポイントを置いて、そこを突き詰めていこうという例示からすると、今育っている学力と資質・能力を探求していくということをどういう文脈として考えているのか、あるのか、あるいは今取り組んでいる実践というのは何をどういうふうにしていくというのが、ある意味でいうと、これはどこら辺のどういう文章を確かめていくと、そのあたりのところのつながりとか、新たなる実践への展開が必要なのかどうなのか等についての言及がよりあると、現場の立場からすると、今の取組と次への橋渡しというか、次への展開がより見えてくるのではないかと思います。
  そういう点では、5ページから6ページあたりのところについて、あとその先になると非常に各論というのでしょうか、よりそれぞれの話になってしまいますので、そういう取組というか、言及があってもよろしいのかと思います。
  あとはもう一つ、20ページから22ページにかけて、カリキュラム・マネジメントに関わってということですけれども、大分整理されてこれが記述されてきているというのが現在捉えている印象であるのですが、今回のときに20ページから21ページにかけてのマル1、マル2、マル3についての理解が大切になってくるかと思いますけれども、今回、強調しているのは、言うならば教科間の関連というのでしょうか、あるいは教科相互の関係を捉えて、各教科で育てる資質・能力とともに教科を横断したり、教科の関係をそれぞれ探求したりしながら事柄の本質を見極めていこうという能力が必要なのだと。
  ついては、教育課程全体を捉えたり、各教科間のつながり等々をしっかりと捉えるような物の見方、考え方、あるいは学校の立場からすれば、教育課程の運用の仕方とか授業の工夫ということで、マル1の大切さとか重要性というのは今回強調されている点であるかと思います。マル2、マル3というのは、ある意味でいうと、現在の学習指導要領が基本的な方向性を示した中教審等々でも、PDCAサイクル等々の必要性ということは既に指摘されているわけでありますので、その上で、今回、マル1というのは新たにそういう教育内容間の関係をより重視する。そのためにカリキュラム・マネジメントの必要性解釈等々ですとか、先ほど御指摘があった総合的な学習の時間とか、特別活動をカリキュラム上しっかりと位置付けて、各教科との関連を図るべきだというところからすると、さらにマル1についての言及とか指摘があっていいのかなということが一つ。
 もう一方においては、組織として教育活動を捉えていくのだという、その両面がカリキュラム・マネジメントの言葉を使っていくポイントになるわけで、そして学校全体の取組についての言及がありますので、その両面をうまくセットしてこのところに書いていくと、ここの部分の趣旨がより伝わっていくのではないかと思います。
【羽入主査】    ありがとうございました。今、天笠委員がおっしゃってくださいました、先ほど荒瀬委員の御指摘にもございましたけれども、新しい課程の作り方をどうするかということを、過去を踏まえた上で、そして現場に混乱が起こらないような形で示していくことが重要なのではないかと思います。
  それから、カリキュラム・マネジメントのことは天笠委員がいつも御発言くださっていましたけれども、その位置付けが大きな縦軸になるような形でもう一度精査することが重要かと思います。
  それでは、奈須委員、髙木委員、池野委員、平川委員の順でお願いいたします。
【奈須委員】    よろしくお願いします。とてもよくまとめてくださって、分かりやすくなったかと思っています。
  7ページのところですけれども、下のほうに、これ以下のものについて小見出しを付けてくださって、とてもよく分かると思います。学習プロセス等の重要性を踏まえた検討ということを今後指導要領でやっていくのだと。これが今回、一つ大きな視点だということは、国際的な動向なので大切にしてほしいということは、私や三宅先生などが申し上げていたことだと思います。いい小見出しだと思います。
  小見出しを付けてくださったことによって、結局ここに丸が四つあるのですが、学習プロセスということについていろいろあるけれども、4点重要な事項があるという整理をしてくださっていていいと思いますが、そうなったときに一番最初の丸の最初の2行の部分ですけれども、「こうした検討の方向を底支えするのは、『学ぶとはどのようなことか』『知識とは何か』といったことに関する科学的な知見の蓄積である」と。こういったことを基盤に教育課程について考えることが国際的な動向であり、日本もそうしていただきたいというのが、私などのお願いしてきたことだと思います。
  すると、ここから後の部分です。「学びを通じた子供たちの真の理解」というところのちょっと桁が違うのかと思っておりまして、むしろこの蓄積である以降のことが一つ目、そして次の丸の「また、学習のプロセスにおいて」が二つ目というふうに四つ並んでいるのかなと。この四つの具体的なポイントの上位に本当は最初の2行は来るという構造なのかなと。もし可能であれば、ちょっと短いですけれども、最初の1行半を一つ目の丸としていただいて、その内実として、今回の改訂のポイントとしては四つ主要な点があるという整理にしてくださってもいいかと思っておりました。
  「学ぶとはどのようなことか」「知識とは何か」ということに関する科学的な知見を検討の底支え、下敷きにするのだという一つの枠組みがあって、その具体例は四つある。今後の検討によって、「学ぶとはどのようなことか」「知識とは何か」に関する科学的な知見から、今後、各教科等の編成においてはと、いろんなことが拾い出せる可能性はあるわけで、するとこの四つ以外にもあるでしょうし、特に最初の一つの丸だけが特別に上位にあるということでもないのかなと思って、もし可能であればということ、小見出しを付けてくださったことによってはっきりしたので、かえって構造が見えやすくなったと同時に、ここにちょっと違和感を感じたということが一つ目でございます。
  もう1点ちょっと飛びますが、27ページですけれども、ちょっとこれはテクニカルなことなので、事務局の方で御検討頂いて、この表現でいいかということを御確認くださればいいのですけれども、二つ目、三つ目の丸になります。このところは小学校の外国語の学習についてどのような枠組みで実施していくか、その一つの可能性として短時間学習ということでいかがでしょうかという話が出てくるところでございます。
  こういった短時間学習で、もしうまくいかないということになった場合ということが最後にありまして、二つの丸ともに下の最後の2行ですが、「再度当部会において小学校の教育課程全体を見通した観点から検討を行い、平成27年内から平成28年当初を目途に結論を得る」という文章になっていますけれども、この検討あるいは結論を得るということを実施する体制が当部会かどうか。というのは、これでよければいいのですけれども、この検討という意味や、結論を得るということが実際に何を指すのかによると思いますけれども、もしかすれば、ひょっとしたら教育課程部会、あるいは中教審の総会なのかと思ったりしたものですから、事務局でこの2行の記述が何を実際に指し示すのかということを御確認頂いて、これでよければ全くいいですし、もしこれが誤解を招くような表現だということであれば、より適切な表現にという可能性があるのかと。ちょっと御確認いただければと思いました。
【羽入主査】    ありがとうございます。御指摘の点、検討させていただきたいと思います。
  では、髙木委員、お願いします。
【髙木委員】    ここまで積み上げてきて、毎回出るたびに内容が充実してきて、ここまでのまとめができたと思っております。さらにまた、これは続くものというふうに私は理解しておりまして、特に参考資料で出ております検討体制の中、先ほども議論がありましたが、まず評価のところから申し上げますと、総則・評価特別部会でこれから検討を加えていかなければいけないということがございますので、そこをまず一つ御提案というか、お話をしておきたいと思います。
  今回の資料の19ページの「評価に当たっての留意点等」というところの最初の丸、それの中ほどから最後のところにかけて、「主体的な学びの過程の実現」ということで、学教法の30条の2項から出てきている基礎的・基本的知識・技能の習得と思考・判断・表現、さらには主体的に学習に取り組む態度というところから評価を考えていく中で、特に子供たちの関心・意欲・態度が非常に大事であり、特にこれから指導の在り方、いわゆるアクティブ・ラーニングなど等を含めて日々の授業での評価と、関心・意欲・態度がどういうふうに見取りをしていくかという具体的な評価の内容まで今後踏み込んでいきませんと、学校の中での評価というのが現在でもやりにくいという、やりにくいというのはもう少しお勉強していただくと、どうやって評価していいかが分かるはずなのですが、一般的にはそういう意見が出ている。
  できましたら、そういうところの全体の評定と評価の関係、それに今度、総則ではカリキュラム・マネジメントとの関係になってくると思います。このあたりは、また道徳の評価を含めて、さらに考えていかないといけないと思っておりますので、総則・評価特別部会というのは全体の総則、さらにはカリキュラム・マネジメント、それから授業の実践としてのアクティブ・ラーニングと絡めて検討できる部会であるといいと考えております。それが第1点です。
  二つ目でございますが、先ほど荒瀬委員からご指摘がありました、言語能力の育成の向上に関する特別チームという箇所でございますが、実は言語能力というのは私は国語と外国語が主たるものだと考えております。それは言語ということに関する能力。
  ただ、もう1点、現行行われております各教科等における言語活動の充実というのは、全ての教科に関わって、言語活動を通して各教科それぞれの求めている学力の育成になりますので、現行の学習指導要領を継承しながら、次の学習指導要領でももう一度各教科等における言語活動の充実の意味と、各教科における能力の育成ということもどこかで検討していかなければいけない。ここまで言語活動の充実が小中学校でやっと一般化され、高校でもちょっとやってきてくださるところも今出てきていますので、是非その点を進めるような内容にしていければいいと思っております。
【羽入主査】    ありがとうございました。サジェスチョン頂きましたので、それを手がかりに修正していきたいと思います。
  それでは、池野委員。
【池野委員】    ありがとうございます。私は、この論点のまとめ自体はとてもよくできていると思っているのですが、特に多分、この論点の整理をいろいろな下位の部会とか、実際のときにどういうふうに理解されていくのかということがまず大事だろうし、これを読んでいただく学校や学校の先生方がどのように理解してもらえるか、あるいはどういう役割をそれぞれに期待しているのかという問題点があるのではないかと思うのです。
  これ自体を具体的に進めていくときに、一体この論点の整理がどういう基本的なキーワードによって作られていて、それが結果、それぞれの役割としてどのようなものが、例えば文部科学省の全体の中の問題とか、教育委員会とか、学校のそれぞれにどういうことを求めているのか。極端に言うと、各先生方にはどういうことを新たに課題として課しているのかということが伝わらないと、これは、結局は学習指導要領のために作られたものだけになってしまう。確かに学習指導要領の改訂のために作っているのですけれども、本来の狙いは学校や教師が行う教育実践を改善するために、私たちは何を求めているか、何をここで示したのかということが伝わるように何か工夫できないかというのが私の意見です。
  例えば今回の論点の中をキーワード的に挙げれば、六つぐらいあると思うのです。学校自体が21世紀の学校に変わらないといけないということとか、社会に開かれた教育課程、教育課程もずっとあったのだけれども、社会に開かれていないといけないということとか、資質・能力が重要で、それは教科だけではなくて、広く教育全体の中でカバーして行わないといけないとか、カリキュラム・マネジメントやPDCAサイクルを通して教育が常に改善されて、子供たちの広い意味の学力が向上するように努めないといけないとか、各キョウのホンシツと連携を常に行わないといけないとか、学びの成長といいますか、最終的には子供たちが実際に学んでいくときのものが成長して、常に向上して、より高いレベル、あるいはより深いものに変わっていかないといけないものが、私たちがお願いして、学習指導要領の中に盛り込まないといけないものを主に六つ私は挙げましたけれども、そういうものが伝わらないと、これは結局、各教科の個別の教科書に準じた指導の改善にとどまってしまって、教育全体の中の見通しを持った改善にはなかなかつながらないと思うのです。
  論点の整理も非常によくできていると思うのですが、最終的にこの部会が提案したものは、多分、最終的には概念図とか、簡単な概要みたいなものになるのかもしれませんけれども、何をどういう形で私たちは学習指導要領改善のために議論してきたのか。そのキーになるものは一体どんなもので、学校や各先生方の実践にこういう点を求めて、教育の改善を学習指導要領を通してお願いしていますというメッセージが伝わるような工夫が欲しいというのが私の意見です。
  最初的に論点の整理、それ自体はこれである程度オーケーだと思うのですが、先生方に1枚ものでもいいので、こういう点がポイントになりますということが欲しいというのが私の個人的な意見です。
  そういうものをしないと、これ全部を読んで、一体何をどうしていいのかというのは、先生方のメッセージにならないのではないかということがちょっと危惧されたということが私の意見です。
【羽入主査】    ありがとうございます。1枚ものにまとめるというのは、いつも私は事務の人に言っているんですが、これをA4、1枚にまとめことができるとよいかと思って伺っておりました。やってみましょうか。
【大杉教育課程企画室長】    是非やらせていただきたいと思います。資料2に、ページ数で申し上げますと23ページ、24ページがございます。スライド番号24の部分はまさに資質・能力の三本柱を踏まえたイメージで、その中にアクティブ・ラーニングと学習評価、カリキュラム・マネジメントの重要性が書かれていて、それのさらに細かいものが、戻っていただいてスライドの23、この中を見ていただくと、三本柱が何であって、アクティブ・ラーニングの視点が何であってということを少し書かせていただいておりますけれども、まだまだ分かりやすいものとは言えないと思っておりますので、このようなイメージをベースにしながら、御指摘のようなものを是非御用意してみたいと思います。
【羽入主査】    ありがとうございます。既にできていたかもしれないことをちょっとお伺いしました。
  それでは、平川委員。
【平川委員】    ありがとうございます。こちらの方を読ませていただいて、本当にすばらしくまとめていただいてありがとうございます。
  今回、私、皆勤賞で中教審に出させていただきまして、本当に私自身が勉強になりました。この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
  現場の意見としましては、何と申しましても、現実、これを日々の授業でどうしていくかということで、論点整理の4の(2)の学習指導要領等の理念の実現に向けて必要な支援方策等の22ページと23ページ、特に23ページの環境の整備というところでございます。いかにしてこのアクティブ・ラーニングを現況の学校でやっていくか。今、池野委員からは1枚もののということですけれども、日々の授業に追われて、先生たちへの理解ということは、部活動もあったりしてできないのが現実でございます。
  一つ、魔法の杖にはならないかもしれませんけれども、教科書におけるARの活用というのがいいのではないかと思っています。AR、これは教科書のコピーですけれども、こういうコピーにスマホをかざしますと、30秒から1分のショートムービーが流れます。教科書ではとまった画像、例えば英語でティナ・イン・ニューヨークという単元がありますけれども、それをかざすとニューヨークの絵になって、ティナと何とかさんが話しているというのをテープやCDで聞くのではなくて、画像が流れて、会話をしている様子ですとか、 問いかけの中で君はどう思うかという質問を画像で投げかける。それで言語活動を生徒にさせたり、こういったことが実現できるのではないかと思っております。
  先生にこういうのがありますよということで、実はこの教科書に、これは小学校の教科書ですけれども、スマホをかざしてやったところ、「あっ、こんなのがあるのですか。」、「これはちょっと授業で使いたいのですが。」というふうに言ってくださる50代の先生や20代の先生がいまして、本当にこれは使いこなせるなという感覚がございまして、是非御検討頂きたいと思っています。
  実はこの文面の中で、前回もどなたか先生がおっしゃっていたと思うのですが、ICTの記述が非常に少ないところを少し残念に思っておりまして、かといって学校現場のICTは、はっきり言いますと遅れております。今、学校の現場は昭和のままでございます。ですけれども、生徒たちや教職員が家に帰りますと、こういう中で生きていまして、平成にもちろんなっているわけです。
  ただ、1人1台のタブレットが支給されたとしても、宝の持ち腐れになってしまうというのは目に見えておりまして、そんなことよりも、この教科書を使ったARのひも付けの方が費用的にも、例えば一つの教科書で50ぐらいのひも付けをしまして、1冊50ぐらいのひも付けをして、自由にこの中から先生たちがかざして、教材研究をしなくてもその場で子供たちに提供できますというので、大体150万円から250万円です。こういうような試算もございまして、何とかICT、ARを入れて授業をしていただけないかと思っております。
  ちょっと申し上げると、実は教育現場でのICTが遅れているので、先生たちも困っているのが現実です。例えば何か調べものをして、子供たちの教材研究をしようと思っても、職員室にHTTPのつながっているパソコンは3台しかありません。なので、自分のを結局使っちゃうんです。
  でも、そのことを先生たちは嫌だと全く思ってなくて、それをどうこうしろということではなくて、そうやって苦労したユーチューブとか、いろんな画像で一生懸命拾ってきた教材研究を個々の努力で、授業で流しているわけですけれども、やっぱりすごく時間がかかりますし、もうきょうはいいやというときは、はい、教科書何ページ開いて、はい、何項見て、はい、ここ、そうだね、はい、以上というので、とまった画像のまま授業が行われているのが現実でして、それをARをひも付けすることによって生きた授業ができないかと思っている次第でございます。
  是非一言をこの環境の整備のところで、丸の四つ目のところに「教科書を含めて必要な教材や情報機器についても」とございますけれども、1人1台は望みませんので、ARのひも付けがアクティブ・ラーニングを推進していく上で非常に有効な手段であるという言葉を入れていただけると助かります。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございました。だんだんこれが現場のレベルになったときに、どういう状況になるかということを考えながら御発言を頂いているように思います。途中でございますけれども、鈴木大臣補佐官、一言お願いします。
【鈴木大臣補佐官】    済みません。懇親会ではもう一度お会いしますけれども、大臣との打ち合わせがありますので、失礼をさせていただきますので、その前にお礼だけ一言申し上げたいと思います。
  この部会だけでも14回、それ以外にも合同のいろいろな会合を含めますと、それから事前に事務局がいろいろとお邪魔をし、個別にも御指導頂いたこともありました。そういったことも含めまして、本当に多大なる御指導、御鞭撻を頂きましたことを心から御礼申し上げたいと思います。
  今回の企画特別部会の論点整理は、今までは人が引いてきた道をどうやってより速く追いつくかということであったのを、まさに道なき道をこれから自分たちで切り拓いていくんだと。そういう時代に差しかかり、そのことを本格的にやっていこうと。そういう歴史的な立ち位置での取組だというふうに私も冒頭からお願いを申し上げ、そして先生方の熱心な御議論によりまして、その大きな大きな第一歩がきょうここでまとめられつつあることについて、私も大変感激をいたしております。
  ここにお集まりを頂いた委員のメンバー、皆様方がまさに共作・共同の製作者でございます、これまでも、これからも。そういう意味でまさに、先ほど池野先生、平川先生からもお話がございましたように、これは別に学習指導要領を作るための議論じゃなくて、日本の教育現場を変えていくためのシナリオといいますか、そのための運動の一環でございますので、これをそれぞれの現場に伝えていくというのは大変だなと。
  実は今週の月曜日も福島でPBLをどう高校に普及していくかというために、50人の高校の教員と100人の高校生、中学生がちょっと入っていましたけれども、150人の合宿をやりました。そのときにもアクティブ・ラーニングとかPBLというのはどういうことなんだという、ある糾弾に近い質問を受けましたけれども、こういうやりとりを現場の皆さんと我々とでし続けていくことをまず我々がやることが、まさにそのスタートではないかということを申し上げました。
  是非これから、きょうお集まりのといいますか、この大作業に御参加頂いた委員の先生方とともに現場との対話をさらにさらに進めていければと思っていますし、この動きは、何度も申し上げておりますけれども、日本国内だけではなくて、OECDをはじめとする世界が注目しております。
  それから、もう一つ申し上げますと、来年はG7サミットが日本でございます。首脳会議は伊勢で行われるわけでありますが、それに先立って15年ぶりに教育大臣G7会合を倉敷市で行うことを決定いたしました。そうした議論にも今回の企画特別部会の論点整理で議論したことがまさにベースとなって、G7各国の首脳ないし教育の最高責任者と、そこにOECDやユネスコ、そういう国際機関も入ってくると思いますけれども、まさにグローバルな教育コミュニティの皆さんと協働していくという流れにもつながってまいります。
  そういう意味で本当に大事な、そしてまた非常に充実した論点整理を頂いたことを改めて感謝申し上げ、そして冒頭申し上げましたけれども、企画特別部会のもとに各種のワーキンググループが開かれますので、ワーキンググループの議論がまたこの企画特別部会全体としてシェアされ、そして最終的には中教審総会ということになりますので、引き続きの御指導、御鞭撻を様々な形でお願いすると思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  言葉は足りませんけれども、心よりの感謝の言葉を申し上げさせていただきまして、私の御礼の御挨拶にかえさせていただきます。本当に皆さんどうもありがとうございました。
【羽入主査】    ありがとうございました。鈴木補佐官にはいつも叱咤激励していただきまして、大変心強く存じております。どうもありがとうございました。
  それでは、引き続き、吉田委員、渡瀬委員の順でお願いいたします。
【吉田委員】    ありがとうございます。また外国語の問題をちょっとお話しさせていただきたいと思うんですが、26ページあたりからずっと外国語、あるいは外国語活動、外国語教育と、外国語という言葉でずっと統一されて、前半の部分はあるんですが、38ページ、39ページの外国語のところになりますと、突如として外国語は英語に全て変わっているわけです。もちろん日本の場合、外国語教育というと英語教育が中心になることは当然であって、分かるんですが、41ページの一番上に、英語以外の外国語についても、引き続き専門的な検討を行うことが述べられていることを考えると、ここで具体的に英語を使って何々ができるとか、英語の音声と日本語の音声の比較をするという、かなり具体的に英語等が入ってきている部分に関しては、例えば英語という形にするとか、英語以外にもいろんな外国語があること自体をもう少し明確にした方がいいのではないかと思います。
  唯一英語の中で、先ほども論点整理の最初のときに国際共通語としての英語というのを39ページに入れていただいたので、この国際共通語としての英語というのは、多分、唯一本当の意味で国際的なレベルで使われる英語、いろんな国の人たちは英語というツールを使ってお互いコミュニケーションをしていくということだと思うんです。ですから、そこにしかないわけです。あとは全部、英語と国語とか、英語の音声というか、英語の構造という形になってしまうと、どうもネイティブな英語しか頭に浮かんでこない。もう少しそこをきちんと分けていただけるとありがたい。そうしないと、41ページの上にある英語以外の外国語の重要性というのが浮かび上がってこないような気がしてしようがないんです。
  これは今後どう考えたって、日本の教育においては絶対必要なことだと私自身は思っていますので、その他の外国語にもっと目を向ける必要性をきちんと示す上でも、その辺の整理をしていただけるとありがたいと思います。
  それから、45ページのところに、これはいろんな調査の結果で、子供たちが外国語活動の中で「英単語・英文を読む」「英単語・英文を書きたい」と言っているということが書いてある。これは全部英語なんです。確かに英語ということで調査をやっているわけですが、これも外国語の一つだという認識をもう少しきちんと持たないと、何でもかんでも外国語は英語であるという発想は今後ちょっとまずいと思います。ですから、そこできちんとその辺が分けられるような、あるいは明示できるような形にちょっと工夫していただくとありがたいと思います。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。とても重要な御指摘だと思います。外国語イコール英語ということには少なくともならないように、それから英語だけが重要だということではないということを少し意識的に見直すことをしておきたいと思います。ありがとうございます。
  では、渡瀬委員、そして山脇委員の順でお願いいたします。
【渡瀬委員】    よろしくお願いします。昨日、事前配信されたものを読ませていただいて、これが最後のまとめになるのかなと思いながら、いつもよりちょっと丁寧に読ませていただきましたけれども、事務局の大量作品、本当に頭が下がる思いです。今までいろんな委員の先生方が発言された中でここが大事だと思うことが、ほとんど適所適所に盛り込まれているということを改めて感じました。
  私からは2点お願いいたします。1点、先ほど池野委員からこれを1枚にまとめられたらというお話がありましたけれども、私も昨晩、これを読みながら、何となく自分の中で1枚の図を描こうとしながら読んでいる自分がいました。先ほど大杉室長からは、23ページ、24ページの資質・能力のところの可視化された図のお話がありましたけれども、私は教科横断的に育成すべき資質・能力についての基本的な考え方ということと、それから各教科等との関係性、この二つを何とか縦横でマトリックス的に捉えよう、捉えようとしながら、なかなかそれがうまくいかないということがありましたけれども、それが可視化されたチャートのような縦横の関係になることが、総則を読むときの非常に大事な参考資料になるのではないかと考えますので、今度の新しい部会の総則・評価特別部会の仕事になるのかもしれませんけれども、そこのところがうまくいくといいと思っているのが1点です。
  それから、2点目ですけれども、41ページの情報の部分で、二つ目の丸の真ん中あたりに「プログラミングや情報モラルなどに関する学習活動の充実を」という部分がありますけれども、この情報モラルのところが、今いろんな事件が起こったり、今もニュースになっていますけれども、そういうものにも必ずデジタルの問題が関わってくることがありますので、この情報モラルというところをもう少し厚く入れてもいいのではないかと思います。欧米では、デジタルシチズンシップという言葉が今よく使われていると思いますけれども、情報モラルというより、シチンズシップ教育というと、もうちょっと広いような感覚を私は持ちますけれども、そういうことでプログラミングと並べて、これだけで終わってしまうのではなくて、もう少しここのところをしっかりと述べるといいのではないかと思うのと同時に、そのことが道徳の項目の中にもそういう内容が入ってもいいのではないか。これからの道徳教育の中に、そういうデジタル社会の中での道徳教育が必要になると思いますので、そういうものを入れるといいのではないかと思います。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。先ほど平川委員もおっしゃってくださっていましたけれども、情報に対するツールとしての情報と、それから情報をどういうふうに受け止めるか、その判断能力をどういうふうに養うかということも併せて、少し書き加えることが必要になるような気がしております。
  それから、渡瀬委員、1枚シートがもしできていたら、参考のために自分の。
【大杉教育課程企画室長】    一つだけ、済みません、御紹介を。これをごらん頂いて、是非アドバイスを頂きたいというシートをごらん頂ければと思いますけれども、資料2の106ページになります。何度か部会の資料にもさせていただいておりますが、少しおうちの屋根のようなものがあって、その下にカリキュラムの構造がありますけれども、教科学習と総合的な学習、特別学習、道徳教育が縦に並んでおりまして、その左側に、まさにこれらがカリキュラム・マネジメントの中で動かしていかなければいけないということ、またそれぞれについて三つの資質・能力の柱に応じたものがあって、これらがアクティブ・ラーニングの視点に立って、学びの中で身に付くということ、またこれらが総合的に働くことによって教科横断的な資質・能力が身に付き、一番上のピンクのところを目指していくという仮案・調整中というイメージ、こんなものもベースにしながら、是非アドバイス頂ければと思います。ありがとうございます。
【羽入主査】    ありがとうございます。委員の方々の気持ちとしては、私が勝手に解釈しますに、ここでの先生方へのメッセージのようなものが伝わる1枚ものであってほしいということがあろうかという気もいたしますので、事務局で御用意頂いた概念図のようなものはとても立派にできていると思うんですが、その思いを記すこともあろうかと思い、渡瀬委員が何か書いてくださっているのだったら、頂きたいと思った次第でございます。
  では、山脇委員、お願いいたします。
【山脇委員】    本当に事務局の皆様の御苦労がしのばれる論点整理だと思うんですが、読めば読むほどよく分からないのが42ページの道徳教育の最初の丸なんですけれども、「道徳教育を通じて育まれる道徳性とは、人間としてよりよく生きようとする人格的特性であり、『どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか』の根幹となるものである」。ここは分かるんです。「道徳性を資質・能力の三つの柱に照らせば」、この三つの柱というのは「何を知っているか」「何ができるか」「知っていること・できることをどう使うか」「どのように社会で云々」ということです。「照らせば、道徳性を構成する云々」というのをよく読んでみると、言わんとしていることは分かるのですが、日本語としていかがなものかというような、道徳教育は今回の教育課程の中で大きな位置を示していると思うのです。
  それで、最初の丸が道徳教育の必要性を端的に言おうとしている前文だと思うんですけれども、道徳性を資質・能力の三つの柱にわざわざ照らす必要があるのかどうかもよく分からないのですが、この文章をもうちょっと分かりやすく整理していただいた方がいいのではないかという気がいたします。
【羽入主査】    ありがとうございます。大変貴重な御意見を頂きまして、分かったつもりでいて、帰ってきて読んでも分かったつもりになるようなことではないように、初めて読んで分かっていただけるように事務局とも相談して、工夫をしたいと思います。どうもありがとうございます。
  それでは、神長委員、品川委員、山口委員の順でお願いします。
【神長委員】    私も皆様と同じような感想を持っておりまして、大変読みやすくてというよりは、ボリュームがたくさんありますので、読みこなすまでには大変時間はかかりますけれども、それでも全体を通して今回のこの会議で話されたことがとても整理されて、読みやすくなってきたと思っております。
  私自身は幼児教育の立場から、小・中・高という教育を毎回毎回皆さんの御意見を伺いながら勉強させていただいたなと思いまして、感謝申し上げたいと思っております。私がここで学んだことを、是非全国の幼稚園や保育園、認定こども園の先生方にしっかり伝えていかなきゃならないという使命感も感じている次第です。
  連携や接続という視点からしますと、これまで20年度改訂から大分幼幼小・小中の接続ということで議論をし、実践を重ねて、あるところまで来ていると思うんですけれども、そういった円滑な接続から一歩出て、それぞれのカリキュラムといいますか、教育課程をもう一度、幼稚園の立場ですと小学校や中学校、18歳まで何を身に付けていくべきなのかという、発達と教育を見通す中から幼稚園のカリキュラムをもう一度見直さなくてはいけないし、それぞれの学校段階のカリキュラムを見直す一つの提案といいますか、方向が今回の報告書の中で出されていると思っております。是非これを今後活用しながら伝えていきたいと思っております。
  それで、お話ししたいことは2点ですけれども、前回もお話しさせていただいたんですけれども、特に教科のところで、幼児期に育まれたとか、幼児の体験が小・中・高の教科を学ぶことにつながっているという表記が大変分かりやすく、小・中・高の教科を担当する先生方から見ると、幼児期からつながっているということを読み取れますし、幼稚園の立場からしますと、今、子供たちが体験し、学んでいることが小・中・高につながっていくんだということを意識できる文章に触れるかと思うんです。ここをとても大事にしていきたいと思っているんですけれども、ページ数からしますと、社会のところで33ページなんですけれども、とりあえずはとてもよく分かるんです。
  言葉なんですけれども、33ページの二つ目の丸の3行目に、「幼児期に育まれたいろいろな人との関わりや思考力の芽生え等」というフレーズがあります。この思考力の芽生えという言葉ですけれども、社会を学ぶ中で幼児期にいろいろな、友達もそうですし、教職員もそうですし、地域の方もそうですし、いろいろな人と関わる体験という、そこの中でいろいろ関係を作っていったり、いろんなことを学ぶことはとても大事な体験だと思うんですけれども、思考力の芽生えという言葉が大変重くて、ここにあることにより意識はできるんですけれども、もしかしたらもっとほかの、例えば理科のところにも同じような自然との関わりとあったり、同じようなフレーズがあるんですけれども、思考力という言葉が抜けているんです。
  思考力ってもう少し大きな立場で書くといいますか、幼児教育の中にも表現力や思考力、芽生えを培うという言葉が入っていますので、ここはあえて思考力と、全部に関わってくるので、大きいかなという思いをしています。ですから、このフレーズの中でいえば、幼児期に育まれたいろいろな人との関わりなどの基礎の上に、小・中・高の教育を通じて育成すべき資質・能力というふうに、人との関わりを強調していただくと分かりやすいかと思っております。それが一つです。
  もう一つ、これはこれからの課題かと思っておりますけれども、こういった一貫した教育の中で、一部を幼稚園が幼児期の教育を担っているということを教員一人一人が認識していくためには、教員の研修というのは欠かせないと思っています。もちろんこういった趣旨等を学ぶということも大事ですけれども、実践の中で、幼児期の教育の場合には、生活や日常の子供たちの遊ぶといった中で体験していることが、意外と特別なことを計画して実践するよりも、心深く残る、将来の学びにつながっていくことがたくさんあるわけですから、そういった意味では一人一人がそういった実践を深く読み取るといいますか、子供たちの育ちをしっかりと見取っていくことは大事ですので、そういった先生たちの研修の在り方ということも一層工夫していかなくてはいけないと思いますし、幼児教育の場合には長時間の傾向がありますので、そういう中で研修の在り方というのは今後大きな課題かと思っております。
  併せて、そういった幼児期の日常の体験の中での学びが小学校以降の生活や学習の基盤になっているんだということを、これは先生だけではなくて、保護者、一般の方々に理解してもらうことも、教師の役割としてしっかり認識していかなくてはいけないかと思っております。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございました。
  それでは、品川委員、お願いいたします。
【品川委員】    ありがとうございます。昨晩、ちょうだいして拝読して、本当に細かくまとめていただきまして、それで先ほど事務局からも御説明頂きましたように、見出しが入ったことですごく分かりやすくなったと改めて思いましたので、事務局の皆さんと主査の先生に本当に御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
  それで、実際に読んでみて、では、次はどうなるんだろうと考えたときに、これが徹底されていくためには、大事なのは先ほどちょうだいした、これからの教科の検討体制と同時に、今まで以上に教員養成部会はこれをどう受け継いでくれるのかというところが問われてくるのかということを、きのうずっと考えておりました。是非教員養成部会の方で、これをいかに実践していける先生を育てていくのかという検討をしていただければと思っております。
  プラス、教員を養成する先生です。つまり大学の先生とか、大学のカリキュラムこそが問われてくるのかと改めて思っておりますので、そういったところも踏み込んで議論がなされていくといいということがまず1点目です。
  それから、先ほど来、先生方からA4の分かりやすいものを是非と、また主査からも精神の分かるものをという御意見がありまして、それは私も全く賛成はするのですが、例えば先ほど事務局から御説明頂きました資料2の23ページ、24ページ。分かりやすい。確かに分かりやすくあるんですけれども、例えばこれを見てしまうと、ああ、やっぱりアクティブ・ラーニングに移行するのねというふうに誤解を生みやすいということも一方で非常に危惧するわけです。8月は私、地方の講演とか取材が多くて、学校の先生方にお会いすると、今度から全部アクティブ・ラーニングになるんですねという発言が本当に多くて、大事なことこそ細部に宿るというか、精神は、それは読むのは大変かもしれませんが、ここは読んでもらってなんぼかなというのは、私はそこは強調したいと思っております。
  幼・小・中・高を10ページくらいにまとめるということは、是非是非やっていただくのもいいかなと思うんですが、まとめ過ぎてしまうと大事なことが全然伝わらなくて、また誤解されてしまう。今既に、いろんな学校の先生方にお会いすると、今度からアクティブ・ラーニング型になるんですねというほにゃらら型教育というのだけは勘弁したいなと思っておりますので、そこは是非注意をして情報発信をしていただければいいと思っております。
  あともう1点は、いつも私は驚くんですが、学習指導要領をお読みになったことがないという先生方は本当に多いので、そこへの介入とは言いませんが、そこへのアプローチがあるといいと改めて思いました。これが実現されるということを、是非是非期待したいと思っております。
  もう1点は、今まではあまり発言してなかったのですが、1回ぐらい言っていると思うんですけれども、改めてこれを読んだときに、知識を付ける、スキルを付けていくときに、40人で一斉にやるときにどうしてもなじめない子供たちは確実に出てくるわけです。そのときに、我が国が持っている学びの多様性というところを弾力的に使えるようなことができるといいのかということを、これを読みながら改めて思いました。例えば現状ですと、診断があれば通級指導室に行けるとなっていますが、例えば小学校で英語を始める、どうしてもアルファベットが覚えづらい、あるいは覚えられない子供たちが発達障害といって、ディスクレクシアといった診断がなくても通級指導教室の方で取り出されて、あるいは言葉の教室で取り出されて、高度な専門的な指導を受けられるような工夫があってもいいのかと思っていまして、それはここの部会ではなくて、もしかしたら次のところなのかもしれませんが、そういった視点も書いていただければいいと改めて思いました。
  もう1点は、これは今回のことではなくて、きっとこれからのことだと思うんですが、以前も申し上げたように、いくら教科教育を変えようが、教員養成を変えても、エビデンスは、ワーキングメモリが悪ければ、定着は悪いということが分かっているわけですから、例えばそういった脳科学的なエビデンスをエビデンスベースのエデュケーションにできるような文言がどこかにあると、より子供たちのメリットにつながるのかということを思いながら拝読しました。どうもありがとうございます。
【羽入主査】    ありがとうございます。今、品川委員から、今後、この論点整理がどのような形で議論されるのが望ましいかということをおっしゃっていただきましたし、先ほど髙木委員もそのようなことを触れてくださいました。そのような観点での御発言も含めて、どうぞしていただければと思います。
  では、山口委員、小川委員の順でお願いします。
【山口委員】    何度か発言をさせていただいたんですけれども、学習評価の在り方について議論を重ねてきたと思うんですが、そこについて1点だけ意見というか、もし検討できるのであればお願いしたいと思います。
  19ページのところですけれども、子供たちも、保護者もそうですけれども、評価の在り方というのは、直接、学校の評価や先生の評価につながるとは思いませんけれども、とても関心の高いところであると思っています。
  この評価については、これまでの指導要領の流れからも随分細分化してというか、説明ができるように少しずついい方向に変化してきているとは思うんですけれども、そこのところで一つ、19ページの下から三つ目の丸のところで、現在の関心・意欲・態度の評価に関しては、例えば「正しいノートの取り方や挙手の回数をもって評価するなど、本来の趣旨とは異なる表面的な評価が行われているとの指摘もあるところである」と。ここから云々かんぬんと書いてあって、そうではなくて、もう少し深いところを読み取りなさいと書いてあるのはよく分かるんですが、こう書かれたときに現場の先生は、ただ裁量というふうに今度なってきたときに、そこは本当にできるのか。
  ですから、こうやって書かれたときに、現場の先生がさらに困ってしまうところを、どういうふうに書き込めばいいのかというのは分からないんですけれども、非常に難しいと思いつつ何とかもう少し、現場の先生が読んだときにできないから、挙手の回数とか正しいノートという具体的な案件で評価するしかないからやってきたんだと思うんです。それを変えろというんだったら、具体的にどういうところを見たらというのを書いてあげないと、さらに先生たちは親からの評価、子供たちからの評価にさらされていくので、ここは何とかしてあげたいと思いました。
  また、子供の側から、私は子供ではありませんが、授業を受ける側からすると、関心・意欲・態度と言うけれども、そもそも関心が持てない、意欲が持てない授業だったらどうするんだという意見も、子供たちの側からはあると思うんです。
  ですから、そういったところの両方に応えていくというのは、なかなか難しい点は分かるんですけれども、こうやって書く以上は、私たちは大学ですけれども、大学も最近は自己評価ですとか、学生たちからの評価もされるようになって、板書が汚いとか、いつも同じ教材を使うなとか、いろいろ言われて、日々反省をしておりますが、実際、小学校や中学校はなかなかそこの評価までは、子供たちにさせたからといっていいとは思わないんですけれども、そういったところも何とか加味して、この四つの評価のうちの一つの、実は関心・意欲・態度はすごく重要なところだと思うので、ここを何とか表現も含めてできればありがたいと思いました。
【羽入主査】    ありがとうございます。別の評価の仕方でというふうに書く以上は、どういうふうに具体的に考えたらいいのかという、せめてその方向性だけでもお示しするといいかと思って伺っておりました。
  それでは、小川委員、上田委員、清水委員、お願いします。
【小川委員】    お願いいたします。本当にすばらしいものにまとめていただいて、私も昨日、読ませていただきながら、これまでの会議をずっと振り返ったりしておりました。この場にいて、皆さんと具体的に話をしながらという中でこの文字を読んだときにはとてもよく分かるんですけれども、先ほど来お話に出ていますように、これをこういう会議に出ていない方たちにどういうふうに伝えていくかということはすごく大事だと思う。
  もちろん、これはこれからのそれぞれのもっと具体的な指導要領レベルのための方向性を示したものが一番重要な役割だと思うんですけれども、少しずつでも現場に理解されるように、分かりやすい図というのは逆に誤解を招く部分もあるかもしれませんが、ある程度インパクトのあるアクティブ・ラーニングという言葉が出たときに、あんなに現場が把握したことは最近珍しいんじゃないかと思いましたし、小学校だけではなくて、中学校の方でそういったことを敏感に感じ取って、授業を変えていこうという、まずはその姿勢が大事なんじゃないかと思っていますので、是非これもメッセージを込めたものを簡単なペーパーにして出していただければありがたいということがお願いの一つです。
  それと、大変細かなことで恐縮なんですけれども、先ほど神長先生からもありました幼児教育の関連で、33ページの社会科のところの二つ目の丸で、幼児期に育まれた思考力の芽生え等の基礎の上に小・中・高、社会教育ですが、その間に実は1年生の生活科がございまして、そのあたりのところを何かできれば、もちろん生活から直に社会科や理科につながるわけではないんですけれども、この部分、それから35ページの理科の三つ目の丸のところに、「幼児期に育まれた自然との関わり等の基礎の上に」、理科につながっていますけれども、生活科があって、それから理科へというところを少し表現を考えていただければありがたいというのが1点。
  それから44ページ、総合のところで、ここも随分と書き込んでいただいて大変ありがたいと思っておりますが、その中の一つ目の丸、これがOECD等で評価されているというところで、この書きぶりは総合に関心のある者にとってはすごく分かりやすいものですけれども、そうじゃない方がお読みになったときに理解がなかなか難しいかなということもありますので、こういったことについても補足資料の中に詳しく説明していただいている部分がありますので、そういったページ数を付けていただいたりするとありがたいかと思っております。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。今、小川委員がおっしゃってくださったように、ここで議論をしている私たちはもしかしたら勝手に解釈をしているかもしれないところもあり、初めてこの書類に接した方がどういうふうに読んでいただけるかという視点で、もう一度見直してみることが重要ではないかと思いました。
  それでは、上田委員。
【上田委員】    ありがとうございます。先ほどから議論しています1ページ、サマリーの作り方の指針についてちょっと考えてみました。これは多分、それぞれの項目の概念を箇条書きにするものではなくて、それでは何をやればいいかというメッセージが伝わらないので、逆にそれぞれの項目で、一体何が達成できれば成功と言えるのかというメッセージが現場の教員に伝わるものが望ましいと思います。
  例えば具体例で、先ほどから議論になっていますアクティブ・ラーニングと。何がメッセージかというと、多分私の意見では一方では座学ではありませんと。生徒さんが自分の頭で考えることは楽しいことなんだと分かるようなプログラムであれば、これは成功なんだと思うんです。あるいはグループで議論して課題を発見したり、解決するプロセスそのものに意義があるんだということを、生徒さんが実体験していただくということが重要であって、その具体的なプロセスは多分無限にあるということが重要なメッセージで、こういうふうに例えばアクティブ・ラーニングを伝えると、実際これまで現場の意欲的な先生方がやっていらっしゃったことが実は正しかったんだと。それをそのとおりにさらに進めていけばいいんだということを、むしろ確信していただけるようなメッセージが重要じゃないかと思います。
  逆にそういうことが伝わらないと、アクティブ・ラーニングとは何かというマニュアル的なプログラミングができて、それを実行して終わりということになると、逆にアクティブ・ラーニングの精神が生かされないので、こういうメッセージが伝わるようなサマリーがいいんじゃないかと思いました。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございました。今、アクティブ・ラーニングについて御説明頂きましたが、もしかして上田先生の中でサマリーの全体ができているということはないですか。とても貴重な御示唆を頂きましてありがとうございます。何を目指しているかということを少し明確にできると、教える立場にある先生方の手がかりになるかもしれないというふうにも思います。
  それでは、清水委員、お願いします。
【清水委員】    ありがとうございます。アクティブ・ラーニング等の話も出ておりますけれども、バランスよくアクティブ・ラーニングに取り組むことがすごく大事なのかと考えております。生徒の教育の活動、生徒の学びの実態を見ながら、どのタイミングでアクティブ・ラーニングを取り入れるべきなのか、そういったバランスのよい学習指導要領等のもとができればいいと考えております。
  今回、すごく見やすくなって非常にありがたいと思っております。言葉をいろいろ見ていくと、あちらこちらに理念というキーワードが入ってきているんですけれども、学習指導要領の理念が変わったのか変わっていないのかという、新しい学習指導要領の改訂に向けてということで、理念についてもう一度頭の方に触れていただいてもいいのではないか。その理念に基づいて、今後こういうふうな形にしていきますというメッセージを残していただいてもよいのかなと。その理念を受けて、さまざまな取組が考えられていっているのかと思いますので、そういったものを頭の方のどこかに書いていただくのもいいのかと感じました。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。その理念が、これまでの指導要領の理念とどういう関係にあるかということも示せれば、より分かりやすくなるだろうということでまとまりました。
  それでは、牧田委員。
【牧田委員】    ありがとうございます。私、地方教育行政に携わる者として、こうやってうまくまとめられる力が私にも欲しいと常々思っています。このまとめについては意見はございません。
  暗示されているように今後のことなんですけれども、私だけの感覚かもしれませんが、今、この特別部会でいろいろお話しされていることが世の中に出ていったときに、高校の新教科がばあーんと目玉として出ていって、今回の改訂というのは結局、高校の新教科設定なんだという誤解があるような気がしているんです。これからお話しされている内容がどんどん表に出ていって、明確になっていって、そういうこともなくなるかと思うんですけれども、今までの学力は何だという、振り子がどっちに振れたとかという、そんな話じゃなくて、もっとダイナミックで、全体を包み込むような新しい学力、学校の在り方というのを提案しているような議論だと思いますので、そこのところをもっとアピールできればと思います。
  それと、教育というのは夢や希望を語るもので、こういう時代の要請にあって、こんなこともしないといけない、あんなこともしないといけない。ただ、暗くなって下を向いて,学校の先生方がこんなの大変だわというのではなくて、この改訂案が非常にすばらしいので、それをうまくプレゼンして、これを明るく、こんなこともできるんだと。今までやっていた先生方がもっと自信を持って、もっとダイナミックに、もっと教師で夢を語るという授業を構成していくことも可能なんだという発信の仕方になればとてもいいと思います。
  結局のところは、教員の資質・能力、その中でも授業を作っていく力、子供を見取っていく力、そういう地道な部分かと思いますので、そう一朝一夕にいくものではございません。地道な働きかけがこれから必要かと思います。
  ですが、一方、取り巻いているいろんな問題がございまして、今、大学入試の改革が進められていますが、今、この論点整理でまとめられていることに自信を持って、そのとおりやっていけば、ちゃんと大学入試に間に合うんだと。これが非常に直球で、そこにつながっているんだということを実感できれば、すぐ学校は動いていくと思います。先ほどちょっと出ましたけれども、全国学力学習状況調査についても、もちろん入試にしても、全国学調にしても、それは評価のごくごく一部分でございます。ペーパーですから。ほんの一部分ではございますが、そこに今ここで議論されていることが出ていくような、反映されていくようなものであれば、みんな納得いくでしょうし、教育改革は進められていくと思いますから、その辺をうまく連携をとって、スムーズに流れていくといいかと思います。
  教科書改善についても同様です。いくら理念でやっても、先生方は指導要領を隅から隅まで読むということは難しいですから、教科書が、あるいは資料が変わっていけば、これはもっといいことが、楽しい授業になるなという希望が持てれば、授業改革が進むであろうと思われます。
  最後に、私、ここに参加させていただいて、私は職業柄もそうなんですが、校種、教科を解いた話というのをいつもしているんですけれども、こういう場で改めて考えさせていただいて、見方が自分の中で広がった、深まったと感じています。そういう校種やら教科を超えた議論というのがいかに大事で、いかに楽しくて、いかにこれからの教育を変えていくものであるかということもこの部会から発信できればと思います。それに併せて、指導主事の配置などもこれから考えていただければと。実質、数が少ないものですから、そこら辺も考えていただけるとありがたいかと思います。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。今、牧田委員がおっしゃってくださいましたが、全体的な感想やこれからの期待のようなことをお話しいただきまして、最後ですが、皆様に一言ずつ思っていらっしゃるところをおっしゃっていただけたらと思っております。今、「あ」から始めようか、それとも「わ」から始めようかと思っていましたところ、荒瀬委員が札を立ててくださいましたので、荒瀬委員からお願いしてよろしいでしょうか。恐縮ですが、1人1分ちょっとぐらいで。
【荒瀬委員】    ありがとうございます。今、牧田委員のおっしゃったことは私も大変共感いたしました。学校が元気でなければならないので、元気になるためにはどうすればよいのかというのを考えるのが、文部科学行政の根幹であり、県教育委員会の根本であると思うんです。ですから、福井県の先生方が元気でいらっしゃるのは、先生のような方がいらっしゃるからだと改めて思いました。
  それから、先ほど山口委員がおっしゃったことですけれども、そのことに関しましては、かつて山脇委員がおっしゃった教員の数を増やさなければどうにもなりません。これは評価をするときに現実にやっている学校というのは幾つもあって、それは何かというと、フレキシブルですけれども、常に40人が20人になっているとか、10人になっているとかいうわけではありませんが、フレキシブルではあるけれども、小人数の生徒と対応できる教員がいる学校はカウンセリングのような形で評価ができます。だから、次へつなげる評価ができます。どんな立派なお取組をなさっていらっしゃる学校も、結果的には評価が十分にできないというのは次につながらないので、これは今のお話と重なりますけれども、元気な学校を作っていくためには教員の数を増やすとか、それこそ条件整備をきちっとしていくことを国を挙げてやっていただかなければだめではないかと改めて感じました。本当にありがとうございました。
【池野委員】    ありがとうございました。今回のに参加させてもらって一番思ったことは、学校が変わることはどういうふうにすれは可能なのかということを考えさせられたことです。多分1番は、授業とか評価と言われる、先生方が多くやっておられる仕事をどういうふうにすれば変わって、学校や教育自体が変革して、今の時代に必要なものに変えることができるようなメッセージを我々が出すことができるのかということを考えさせられたと思っています。
  私たちが考えたり、こういうふうにまとめていただいたことが、学校の先生の実際の授業や評価のところに伝わればと思っています。学習指導要領を通して、そういうことに伝わることができます。どうしても上意下達的に伝わるしかならないのは、ある面、現実だと思うんですけれども、それ以上の何かのメッセージになることが大事ではないかと思っています。それこそ社会に開かれた教育課程そのものが、教育行政から学校、又は子供たちに携わっている先生方への大事な問題であるし、課題であると思っています。是非そういう方向に進むといいと思っておりました。ありがとうございました。
【上田委員】    今回、いろいろ勉強させていただきまして私自身も改めて理解したことは、日本の初等中等教育は世界的に見ても著しく成功している例であると思います。そういう意味で今回のものは、今まで何か大きな問題があって、それを根本的に変えないといけないというものではなくて、あくまでも今まで個々の現場の先生方が血のにじむような努力をされてきた、その成功の上に立って、それを評価した上で、さらに発展させていこうという位置付けであるということです。ですから、今まで努力してきたことを何か根本的に変えるというよりは、むしろ現場のいろんな先生方がされてきたことがよかったんだと。それをさらによりよい方向に進めていこうとしているんだということを再確認するようなメッセージを送るべきではないかと思います。
  以上です。
【小川委員】    失礼します。本当にここに来るたびに私自身、毎回勉強させていただきました。今回、新しい学習指導要領が目指しているのは、さまざまにしっかりバランスのとれた、いい学びを子供たちと一緒に作っていこうといったところがすごく大事になってくるのではないかということを改めて感じました。
  ただ、ここで議論されたことが、この後、学習指導要領にどのように反映されていくかという、これからがきっと大変な作業になっていくのではないかと思います。最後、現場におりたときに、例えば私は小学校ですけれども、先生方は英語が2時間増えたんだ、1時間増えたんだよねって、そういう表面的なことに終わらないように豊かな学びになっていくように、この後の作業は本当に大変だなと。ここまでは、あれがいい、これがいいという理想を申し述べてきましたけれども、これを現実にしていくことがこれからの正念場かと思っております。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
【神長委員】    ありがとうございます。私も学校段階、学校種を超えた話し合いというのはとても有意義だったと思います。アクティブ・ラーニングの話を最初伺ったときに、アクティブ・ラーニングってどうやるんだろうと思いながら見ていたんですけれども、よくよく考えてみれば、幼児期の教育の中にある直接的・具体的体験の中で学ぶといった子供たちの学び方が、だんだん子供自身が何を学ぶのかというのを自覚していくと、こんな形に展開できるんだなと。
  全く別な学校段階のことというよりは、むしろそれを見ながら、子供たちがどんなふうに学んでいくと、どんなことをそこで獲得していくと、こういった学び方につながっていくのかということで、改めて幼児期の体験、それまでの子供たちの生活を見直すことができたので、むしろこういう学校種を超えて議論することは、長いスパンで子供たちの育ちを見ていくとか、教育を考えるという目が大事だということを痛切に感じました。ありがとうございます。
【品川委員】    ありがとうございました。この会に参加するときに最初に思い出したことがあったので、それをちょっとお話ししたいと思うんですけれども、今から15年ぐらい前にアメリカにディスレクシアの読み書き障害の取材に行って、それがすごく進んでいると言われている公立学校を幾つか取材したんですが、驚いたのは、そこにあったのがおはじきだったり、お手玉だったり、けん玉だったり、あと習字のセットもあったりしたんです。
  それで、私はおまえはチャイニーズかと言われて、違うと言って、では、アメリカンかと。違うと。ジャパニーズであると言ったら、何で日本人のジャーナリストがここに来るんだ、いい教育は日本にあるぞと言われて、これは別にお世辞で言っているわけではなくて、本当にあったんです。それは何かといったら、我が国が伝統的に持っていたものだったということを改めて気づいた。それが15年前の、ちょうど会社を辞めて最初に取材に行ったときだったので、非常に強く印象に残っています。
  ですので、今回も実はこういう骨太のものを出していくときは、決して先生方を批判しているのではなくて、日本の先生だからできるということを、是非前向きな情報として出していただければいいと思いました。日本の先生方はできると思うんです。いや、できるんですよ、絶対に。ただし、正しく伝えていくとか、何をどうすることでこれが具現化できるのかというメッセージを出していく、伝えていくことがこれからの国の役割であり、各教育委員会の役割なのかと。私自身も講演をするときにはいつもそういうふうに伝えていますが、そこが大事なのかと思いました。
  もう一つはやっぱりバジェットの確保です。これは前も議論になりましたけれども、是非こういったところをカットされない、教育先行投資であるということを文科省だけではなくて、国民全体の総意になっていくことが、こういったことの実現につながるんだと思っております。どうもありがとうございました。
【清水委員】    どうも大変お世話になりました。これで大きな方向性が見えてきたのかと感じております。また、これまでまとめていただきました事務局の皆様には大変ありがとうございました。
  そして、この後の各ワーキンググループの皆さんに非常に期待をしているところでございます。さまざまな話が今後も出てくると思うんですけれども、それを実現させるためには学校をもっともっと元気にしなくちゃいけない。先ほど先生のお話がありましたけれども、教員を見ていると、今は現場に戻りまして私も学校を見ていると、この人ここに住んでいるのかと思うような人も何人か見受けられます。本当に忙しい中で子供たちをどう育てていくのか真剣に考えている者がほとんどでございますので、教員の数も何とかしっかり確保していただいて、教員のパワーがないと、どんなものを作っても絵にかいた餅になってしまうだろうという心配がありますので、その辺を是非お願いしたいと思います。
  また、教育の環境の整備は、正直言って、かなり遅れてしまっているのではないかと思います。特にICT関係につきましても、先ほどもお話がありましたが、ICTというものは単なる道具だと思います。実際、こういった道具を当たり前のように使える環境というものをあえて創って、当然あるものとして使えるような環境を是非創っていただきたいと考えています。
  最後に、こういった学習指導要領等を踏まえながら、社会、学校間のつながりのある教育活動がどの学校でもできるように期待しているところでございます。是非よろしくお願いいたします。
  以上です。
【髙木委員】    一番最初の会議のときに、学制から70年たって敗戦し、その後また70年たって、今日に来たということを述べました。まさに今が日本の教育の結節点にあるのかと。大学入試も変えなきゃいけない、さらにはこれからの先の70年の未来を創る、この会が最初の会になればいいと今も思っております。
  これまでも先生方がお話になったことと重なりますが、私は日本の先生方はよくやっていると思いますし、さらに言えば日本の先生方を私たちは信頼して、次の70年を創っていければと思っています。いつのころからか、社会や家庭から学校に対する要望が多くなってしまいました。そのためにも先生方を支え、さらには待遇の改善、人数の問題、学校への資本の投資、いろいろあると思います。
  最近、新聞で発表されました教員の勤務時間数から、我々の仲間では教師はブラック企業だという発言まで出るような状況になってしまっています。優秀な先生方が安心して日々の授業に向き合えるように、そしてそういった環境を創っていく。そのためにも今回行っている教育課程づくりが大事だと思いますし、それから社会の皆様に理解していただきたい。社会からの要望に応えるのではなくて、視座を学校に置いて、学校を基軸にして、そして学校を基点とした教育を社会が支えていただけるような学校教育の在り方を、大げさに言いますと国民全員で支えられる学校教育ができればいい。その転換のこの論点整理が第一歩になることを期待しています。
【羽入主査】    ありがとうございます。
  では、無藤部会長には最後にお話しいただくことにして、奈須委員にお願いしてよろしいですか。
【奈須委員】    ありがとうございます。先ほどからこの議論を分かりやすく伝えようということですけれども、難しくはないんですけれども、実は意外感があるので、伝えるのはなかなか難しいかと思っています。
  例えばこれからの時期、大学では秋のAO入試が始まりますけれども、AO入試は大学では学力によらない入試選抜ということをするんですけれども、AO入試で僕らはコンピテンシーを見ているつもりなんですけれども、それは学力と呼ばないという、つまり言葉の意味を転換していかなきゃいけないんです。学力、学習、知識といった言葉が何を指すかの意味を、この国全体で大きく変えていくという作業になるんだと思います。そこがずれる限り意思疎通ができない。だから、分かりやすくしようとしたときに、そこを正確にやっていかないと、分かりやすくするがあまりにそこを粗雑にしてしまうと、結局、誤解が誤解をというか、ボタンの掛け違いが広がっていくということだろうと思います。
  難しいことではないけれども、意外感がある。通俗的な理解とは違う。多くの人は、あるいはこのコップの中に水を入れるかのように子供に物が教えられると思っている人がまだいると思いますけれども、それは全くの間違いだという話に変えていかなきゃいけないということだと思うんです。だから、易しいようで難しいんだろうと思うんです。
  深い学び、対話的な学び、主体的な学びということが出てきましたけれども、そういった学びというのは新しい学びで、難しい学びのように思っている節がありますけれども、そうではなくて、ごく自然に社会の中では普通に人間がやっているのはみんなそうで、ここにいらっしゃっている皆さんが社会生活の中で学んでいるときには、必ず深い対話的で主体的な学びをしていて、つまり学校以外では普通にしているので、そこではずらしていくということだろうと思うんですが、学校も普通にしようというだけの話だと。
  生まれた瞬間から、また子供はそういう学びの能力を持って、これは亡くなった三宅先生がずっとおっしゃっていたことですけれども、もともとそのように学ぶ力というのは生まれながら子供も持っていて、だからそれを教えるんじゃなくて、それを顕在化して、洗練させればいいだけだという話なんだろうと思うんです。また、こういう学びを一度組めば分かりますけれども、子供は大歓迎で、とても喜んで学ぶ。つまり子供は生まれながらにして学びたがっている存在だという言い方を教育学でしますけれども、それはそういう学びの質であれば、それは学びたがっているので、そうでない質であれば学びたがってないんです。
  つまり学び、学習という概念の言葉の意味を転換していく。だから、多分終わったときには、そんなことだったかというぐらいあっけないことですけれども、そこの抵抗感はすごくあるんだろうし、でもそれが100年に及ぶ近代学校の総決算であるんだろうと思っています。何とかそこにたどり着きたいし、そこに向かっての知恵をまたみんなで出していくことが大事なんだろうと思いました。
【平川委員】    本当にお世話になりまして、ありがとうございました。私は校長ですので、この理念を先生たちにどう伝えて、どう子供たちのために本気にさせるか、ここに向けて頑張っていきたいと思います。なかなかチャレンジが許容されない時代になってきていまして、失敗するんじゃないかとか、足を踏み外しちゃいけないということで、縮みがちな時代になってきていますけれども、先生たちがチャレンジできるような温かい目で見ていただければと思っています。
  それと、研究校などの特別な学校だけじゃなくて、小中学校あるいは幼稚園、保育園、高校、本当に近くの学校、私も近所ではおせっかいおばさんで、近くの中学校にいろんなことを紹介したり、娘の小学校ではPTA会長をやっておりますけれども、どうか近くの3万校の公立学校に協力をしていただきたいと思いますし、公立学校の者としては開かれた教育課程、開かれた学校を目指していきたいので、のこのことお出ましいただきたい、どんどん来ていただきたいと思っております。国民全体で支えられたらいいというのは本当にそのとおりでございまして、保護者、教員、地域で三位一体になって子供たちの成長が支えられたらと思っております。本当に勉強になりました。ありがとうございます。
 最後に、三宅なほみ先生の御冥福をお祈りしたいと思います。いろいろありがとうございました。
【牧田委員】    ありがとうございました。私も皆勤賞でございまして、意地でも来るということだけを意識してやってまいりましたが、私自身、振り返ることで、次の道が開けると信じている人間でございまして、今回のこの議論がまさしくそうであったと。福井のよさを伝えたいという気持ちもございましたが、私自身の授業の作り方、カリキュラムの構成の仕方を振り返って、何がこれから使っていけるのか、残っていけるのかということを改めて考えさせられました。同時に教科の存在、それと校種のやる意味、本当に何をやるべきなのか、その教科で学ぶことは本当は何なのかということを改めて考えさせられました。
  それとこの会自体が、最初それぞれの思いというのが私自身分からなくて、どういうことを考えていらっしゃる方というのが分からなかったんですけれども、会を重ねるごとに議論といいますか、発言を聞く中でだんだん分かってきて、そうなると相対していたものが同じ方向を向いていくということが、これから大事なんじゃないか。対話することによって同じ方向を向いていくという大きな流れを作っていければいいかと思っています。大変勉強になりました。ありがとうございました。
【山口委員】    いろいろありがとうございました。私、こういう会議に出させていただいたのは初めてだったんですけれども、皆勤ではなかったんですけれども、最初2時間だった時間が2時間半になり、こんなに会議をやったら意見もなくなるだろうと思いつつ、最後のきょうまでいろんな意見が出て、多分これから続いても意見は出続けるんだろうと思いました。それだけ一人一人がこの国の未来であるとか、そこに教育というものがしっかり位置付けられているということを改めて感じました。
  また、私自身もそうですけれども、世間の人たちは現場の先生たちを、それこそ非難するというんじゃないですけれども、もっと学校しっかりしろみたいな雰囲気があるのかと思ったんですけれども、今回参加して、先生方が大変評価されているんだということを改めて感じました。ただ、それが現場に届いていないんじゃないかという危惧があるので、そういったこともメッセージとして伝えていければいいかと思います。
  元気な学校で元気な子供たちが育つ。ただ、深い学びということになると、私も今回参加して分かったんですけれども、2時間半拘束されてここに集中せざるを得なくなると、ほかのいろいろな雑音がなく、考えられるんだなと思って、ある種ここにいると余裕を感じたというか。ただ、実際、先生たちは日々のいろいろなことに追われて、なかなか集中して物を考えたり、子供たちのことを考える時間がないのかと思うので、先ほどから出ていますけれども、そこを国として予算も含めて、教員の数も含めてどう支援していくか。先生方自身が元気で、そして幸せであると感じなければいけないと思いますし、そういう雰囲気を作ることが、私は大学にいますけれども、優秀な人材が教員になっていく。
  教員というのは憧れの職業でなければいけないはずなんですけれども、先ほどブラックという言葉もありましたけれども、教員になんかならない方がいいよとなったら、本当にこの国は終わりだと思うので、そういう手当てというか、支援体制もしっかり作っていければと思いました。大変勉強させていただきましてありがとうございました。
【山脇委員】    いろいろありがとうございました。先ほども荒瀬委員をはじめ、いろいろな皆さんから御意見がありましたように、これをただの理想のものとしないためには、環境整備がこれから必要だと思います。
  まず一つは、先ほどからお話が出ています予算の確保です。OECDで最下位という教育予算というのは本当に恥ずべきことで、これで日本の教育がうまくいっているのは現場の先生たちが一生懸命やっていらっしゃるからであっで、国としてこれは誇れることではないということをきちんと私たちもみんな、そして財務省も自覚すべきだと思っております。これは財務省の方がいらしているかどうか分かりませんけれども、大きな声で言い続けるべきだと思っております。
  そして、それにも関係しておりますが、先生たちの人数も含めての待遇改善。人間というのは心身ともに余裕がないといい知恵も生まれてきませんし、行動も雑になってしまう。それは私たちの経験から分かっていることですけれども、先生方のあまりの忙しさ、そしてこれが今後まだ先生たちの人数を減らそうという動きもあるということは何としてでも阻止し、豊かな教育環境というのを創っていくことをみんなで肝に銘じなければ、この14回の会議もただの絵にかいた餅になってしまうと思います。
  そして、私ずっと毎回毎回関心というか、痛みといいますか、心に思っていたのは、羽入主査のすばらしい進行ということで、本当にいろいろありがとうございました。どうもありがとうございました。
【吉田委員】    参加させていただきまして、皆さんのいろんな御意見を伺わせていただいて、本当に感謝しています。非常にいい勉強になったと思います。
  私は専門ばかですから、英語のことしか話をしないという、外国語教育ばかりなんですけれども、ただ、私としては日本の教育は、先ほどから何度も出ていますけれども、世界の中でも優等生であるとするならば、その中でどうして外国語教育だけが劣等生なんだろう、成果が出ないという、それに対するある意味での責任感ももちろん強く感じていますし、何かしなきゃいけない、どうすればいいんだろうということで、絶えずそれに向かっていろんな形で物を考え、そして行動もしているわけです。
  学習指導要領は大体10年に1回変わるというのが今までの形だと思いますが、10年たったら世の中がらっと変わっていると思うんです。そのときに、今のままの外国語学校教育でいいのかという非常に大きな疑問があります。それを今変えておかなければ10年間変えられないとなったら、そのころには日本は沈没しているんじゃないかという、極端に言うとそこまですごく強く感じてしまっています。
  そういう意味で、今回参加させていただいて、いろいろ勝手なことを言わせていただきましたけれども、少しでも外国語教育が前進することを私としては期待しています。本当に皆さんの御意見をいろいろ伺わせていただきましてありがとうございました。
【渡瀬委員】    どうもありがとうございました。本当にたくさんの勉強をさせていただきました。私はもともと玉川学園という私立小学校の教員でありましたけれども、数年前から小学校ではなくて、幼・小・中・高を統括する学園共学部という部署におります。よく学園共学部で何をしているんだと言われると、あれもやって、これもやってという返事をしていましたけれども、今回、これに参加させていただいて、一言で答えるんだったらカリキュラム・マネジメントをしていますと答えればいいんだと思うと同時に、私自身が学校に戻って今後何をしなくちゃいけないのかということが少し分かったような気がしてまいりました。
  最後に、多分、幼・小・中・高の私立の学校からの参加は私だけだと思います。今までの発言の中で私立の学校がこうしたいということは何も言ってきませんでしたけれども、最後に今度の新しい学習指導要領の中で、これは私立に限らずですけれども、やるべき最低限のところをきちっとやった上で、そしてカリキュラム・マネジメントができた上で、校長の裁量権のフレキシビリティみたいなものがあることを望みます。私どもの学校長は大学の学園長でもあるんですけれども、大変アイデア豊かな方でありまして、たくさんの宿題をもらう中で、私もその中でもう少し校長の裁量権があって、フレキシビリティがあったら楽なのにと思うこともありますので、それを最後に付け加えさせていただいて、終わりたいと思います。本当にありがとうございました。
【羽入主査】    ありがとうございました。
  では、主査代理の天笠委員。
【天笠主査代理】    失礼いたします。二、三述べさせていただきたいんですけれども、まず一つは新しい時代という言い回しというんでしょうか、この論点整理の中に新しい時代ですとか、これからの時代ですとか、2030年の云々ということで、特に文言を修正するとかという意味合いではなくて、それぞれ前後の文脈の中でそういう言葉が使われるというのはよく分かることでありますので、ですからそういう意味でいうと、新しい時代という言い方が当然あっていいかと了解しております。
  その中にあって、一つは21世紀という世紀が持っている固有の課題、20世紀にはあまり顕在化しなかった、21世紀なるがゆえに生まれている、存在する、あるいはこれからも存在するであろう課題に、これから社会の中核を担っていく子供たちが直面していく、直面せざるを得ない、だからこそ新しい資質・能力というのを期待し、また育てていかなくちゃいけないんだというテーマがあるわけで、ですからそういう意味でいうと、私どもがある意味でいうと21世紀という世紀をどういうふうに認識しているかどうかという、我々自身が問われたと私は認識しております。
  そういう意味において、そういう21世紀に次の世代、これからも私たちはどういうふうに生きていくのか、あるいはこういういい生き方をしてほしいというメッセージとしてこれがあるのではないかと、私はこれを捉えさせていただいております。
  そういう意味でいろんな補足資料等々を見たときに、相当厳しい課題に直面せざるを得ないこともある程度想定されるし、あるいは我々がまだ見えない課題もきっと登場するのかと思うんですけれども、そういう世代に対して我々は期待を込めて新しい時代という言い方の中に希望と願いを込めて、その中で語っている。そういう意味において、新しい時代が持つ文脈、意味合いというのを、私は受け止めさせていただきたいと思います。まず、一つそれであります。
  一方において、今回の一つのテーマというのは(仮称)歴史総合ということで、あくまでも仮称なんですけれども、21世紀の課題に直面する私ども、あるいは次の世代等々というのは、その一つの教材、振り返りは20世紀の私どもが生きてきた、その痕跡に一つのヒントがあるのではないかとも認識しておりまして、だからこそ近現代史を学ぶということが、次の21世紀を生きる人たちにはより重要になってきたんじゃないか。そんなふうにもまた受け止めております。
  そういう意味で考えたときに、歴史総合という、これはあくまでも仮称でありますけれども、これがふさわしいのかどうなのか、そのふさわしいネーミングはワーキンググループになるのかもしれませんけれども、是非御検討いただきたいということであります。
  最後になりますけれども、8ページのところのそれなんですけれども、下から二つ目の丸のところにこういう文章があるんです。「学校教育に『外の風』、すなわち、変化する社会の動きを取り込み、世の中と結び付いた授業等を通じて子供たちにこれからの人生を前向きに考えさせることが、主体的な学びの鍵となる」ということですけれども、さらっと読み飛ばされてしまうかもしれませんけれども、この文言こそ現場の先生方にお伝えしたい、あるいは共有していただきたいメッセージかとこの文章を捉えていまして、ですからこれからこれにどういう思いを込めてお伝えできるかどうか、伝えていきたい。そんなふうにここの文章を捉えさせていただきました。
  以上です。
【羽入主査】    ありがとうございます。
【無藤教育課程部会長】    では、私、最後ということで恐縮です。来年、教育課程部会が開かれる予定でありますが、きょうの報告を受ける側ということを兼ねて、ここにいさせていただいた。委員の皆様方の御意見を主に拝聴するたけでおりました。
  何人かの委員の方がおっしゃったように、日本の学校教育は非常にすぐれた成果を上げてきたと思います。多くのすぐれた学校、たくさんのすぐれた教師がいるわけでありますが、今後、まさに21世紀、15年過ぎ、さらにでありますけれども、おそらく未知の新しい課題、解決が困難な、あるいは解決がまだ見当もつかないようなたくさんの課題が出てくる、そういう時代かと思います。そういう時代に挑戦して、日本を創り上げていける新たな人たちを養成する大きな課題で考えてみれば、これまでのすぐれた成果に甘んじることなく、それをさらに高いものにしていくのが学校に課せられた使命だということを改めて感じました。
  より具体的に、論点整理を改めて読みながら思ったことですけれども、一つはこれまでの、特にこの20年ぐらいの研究や授業実践を非常にしっかりと踏まえていただいていると思います。その分は最初のところで簡潔に書いてありますけれども、国際的な成果、我が国の成果を十分踏まえているのではないかと思うんです。
  その特徴というのは、私は二つの点だと思います。一つは子供の学びの在り方、そのプロセスを十分検討しているということです。もう一つは、それと連動しながら、教師の指導の在り方を具体的なところまで入って検討しているという点で、学び側と指導する側の両方の組み合わせというものに入り込んでいって、単なる理念、理想論ではない、実践に十分入っていける枠組みに到達してきていると私は思っております。
  今後9月以降、学習指導要領に具体的な文言レベルまで落とし込むという作業をグループごとにするかと思います。その際に一つ、幼・小・中・高全体の大きな枠がきょうの論点整理で見えていること、これが非常に大きな武器になると思います。ここまで学習指導要領を何度も改訂している中で、幼・小・中・高全体の大きな見通しが整理されたことはなかったと思うので、そういう意味で非常に大きな成果が今あると思います。
  しかしながら、それを形にするのはなかなか難しい作業だろうと思います。学習指導要領というのは基本的には極めて短い文章にエッセンスを盛り込むように作られますので、どうしていくか。また今回、全体的な幼・小・中・高、あるいは全ての教科等を通した枠組みが提示されましたけれども、それを今後、校種別、教科別のグループに分かれて議論するときに互いの調整が必要になると思うんですけれども、その作業の工夫は既に先ほど御意見がありましたが、是非事務側にもお願いしながら、おそらくここにいらっしゃる多くの委員の皆様にも御協力をお願いするかと思うんですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
  以上です。
【羽入主査】    皆様、本当にありがとうございました。14回にわたり大変不行き届きな進行に御協力頂きましたことを、委員の皆様に心から感謝申し上げます。時間的な制限がある中で委員の皆様が極めて端的に御発言頂きましたことに、心から感謝申し上げます。また、事務局も大変な作業をしてくださいまして、本当に厚くお礼申し上げます。そして、さらに毎回多くの方々に傍聴頂きました。これからこの部会で話し合われましたことがふさわしい形で伝わっていくことを望んでおりますので、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
  今後、部会の方からワーキンググループで議論をなされます場合、一つだけ期待したいことは、新しい指導要領が人に伝わる言葉で記されることが私の個人的な望みでございます。
  本当に長い期間、かなり集中的に皆様、御無理頂いた形で御参加くださいました。改めまして委員の方々に心からお礼申し上げますとともに、私にとりまして大変重要な学びの機会を与えてくださいましたことを感謝申し上げます。
  それでは、これで議論はひとまず閉じたいと思いますけれども、事務局から何かございましたらお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    先生方、本当にありがとうございます。ここでお礼申し上げます。事務局を代表いたしまして、教育課程課長の合田からお礼の御挨拶を申し上げます。
【合田教育課程課長】    事務局を代表いたしまして、一言心からお礼を申し上げたいと思っております。
  1月29日から7カ月間、14回ということで、審議時間だけでも30時間を超えているということでございます。それに加えまして、先ほど鈴木大臣補佐官からもおっしゃっておられましたけれども、事務局、特に大杉などが夜討ち朝駆けで先生方にお時間を頂きまして、本当に大変な御尽力を頂きましたことを心から感謝を申し上げたいと思っております。事務的には大変不行き届きでありまして、いろいろ御迷惑をおかけいたしましたけれども、大変すばらしい御手腕を発揮頂きました羽入先生をはじめ、先生方の質の高い御議論に私ども本当にお知恵を頂いたという状況でございます。
  先ほど来、話がございましたように、私どもの文部科学省の責任は、学校あるいは先生方を元気にすることでございます。これには三つほど手段があると私どもは思っております。
  一つは、きょうもお話がございましたけれども、リソースの確保ということでございます。学校をしっかり支えるリソースを確保するということでございまして、霞が関村もみんな教育は大事だと思っております。どう大事で、どこにリソースを配置する必要があるのかということを、財務省とがっぷり四つに組んで議論を進めさせていただきたいと思っております。
  二つ目は仕組みの改善でございまして、これがまさにこれから、大変立派な土台を作っていただきました指導要領の改訂、今年度、来年度にかけてこれの構造を作り、棟上げをしていくという作業でございますけれども、これを各教科の中でどう横軸を通すかということについてさらに議論を進めさせていただきたいと思っておりますが、その際、何よりもきょうお集まりの委員の先生方が頼りでございます。引き続き、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  それから、三つ目はムーブメントだと思っております。先ほど来、お話がございましたように、きょうここまで14回あった議論を間違いなく正確に伝える。そして、学校の先生方、保護者、地域、経済界などさまざまな方々の御意見を是非対話の形で聞いていく。ジュクヒガタの議論も1回言っていただいたところでございますけれども、これにつきましても是非先生方のお力添えを頂きたいと思っております。私どもそのためには、文科省の会議室を飛び出してでもいろいろな方と対話する機会を、是非先生方に御尽力いただきながら設けさせていただきたいと思っております。
  心からのお礼でございますけれども、他方で、大変恐縮でございますが、率直に申し上げまして、これからが行政の立場からすれば、さらに塗炭の苦しみだと思っております。これまで以上に私も大杉も満身創痍になろうかと思っておりますけれども、是非先生方に助けていただいて、お知恵を頂きながら、とにかくやり切りたいと思っております。
  重ねての心からのお礼を申し上げまして、私のお礼の御挨拶とさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。
【羽入主査】    ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
  なお、今回頂きました様々な御意見ございましたので、それに関しては調整をしながら、主査と無藤部会長の方に一任させていただくということでよろしゅうございますでしょうか。
  それでは、改めまして皆様に心からの感謝を申し上げますとともに、これで今回の教育課程企画特別部会を終了させていただきます。本当にありがとうございました。


――  了  ――

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