教育課程部会 教育課程企画特別部会(第22回) 議事録

1.日時

平成28年10月17日(月曜日) 12時30分~14時30分

2.場所

スタンダード会議室虎ノ門ヒルズFRONT店
東京都港区虎ノ門1-22-14 ミツヤ虎ノ門ビル

3.議題

  1. 「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」に関する関係団体からの意見聴取
  2. その他

4.議事録

〈第2会議室〉
【無藤主査】    それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会の第22回を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございました。
  今回、前回に引き続きまして、関係団体からのヒアリングを行います。本日は16の団体からの御意見を頂戴いたしますので、前回御了承いただきましたけれども、会場を二つに分けて行うことといたします。
  それでは、これより関係団体からのヒアリングを行います。まず事務局から、配布資料の確認をお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    本日は、資料1から18を配布しております。部屋分けにかかわらず、全ての団体からの御発表資料を配布させていただいております。また、本日のこちらの会場での御発表については、資料2に一覧を添付しておりますので、御参照ください。不足等ありましたら、事務局までお申し付けください。よろしくお願いします。
【無藤主査】    よろしいでしょうか。それでは、ヒアリングということでございます。
  各団体の皆様、本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。この時間帯にお見えになっている団体は、4団体でございます。全国国公立幼稚園・こども園長会様、全日本中学校長会様、全国高等学校長協会様、全国公立小・中学校女性校長会様、以上でございます。
  それでは、各団体様から御発表を開始したいと思います。意見交換は、4団体の発表全てが終わった後に行いたいと思います。
  それでは、全国国公立幼稚園・こども園長会様から発表をお願いいたします。
【全国国公立幼稚園・こども園長会】    失礼いたします。全国国公立幼稚園・こども園長会会長、関でございます。よろしくお願いいたします。
  「次期学習指導要領等に向けた審議のまとめ」における幼児教育に関しまして、「環境を通して行う教育」「幼児の自発的な活動としての遊びを中心とした生活」「一人一人に応じた総合的な指導」等は、従来から国公幼が大切にしてきた教育です。今回、幼児教育から高等学校を卒業する段階までに育みたい資質・能力を整理し、幼児期には自発的な活動である遊びや生活の中で、各学校段階の各教科等で系統的に示されることは、学校教育の一貫性を示すものであり、幼児教育の重要性について更なる理解を得る好機と捉えております。このような中、現行の学習指導要領等に基づく実践の成果と今日的な諸課題を踏まえて、新しい時代にふさわしい学校教育の在り方を示していることに賛同し、「次期学習指導要領等に向けた審議のまとめ」に関する本会の意見を述べさせていただきます。
  まず、内容に関しまして、「育成を目指す資質・能力」「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の明確化と評価。幼児教育から系統的に「資質・能力」を整理し、各段階での捉え方を明確にされたことは、教育の一貫性として大変分かりやすいと思います。
  また、5領域という考え方は継続ということですので、5領域の内容を踏まえた上で、5歳児の後半に狙いを達成するために、幼児が身に付けていくことが望まれるものを、具体的な10の姿として整理したものが出されています。
  5歳児終了時の姿を幼稚園と小学校の教員とで共有するということは大変大切なことで、小学校に入ってから、ゼロからのスタートではなく、つながって教育が進められていくと考えます。このことに関しては、幼稚園・こども園側としましても、具体的な姿をしっかり捉えるということで、大変良いことだと思っております。
  ただし、この具体的な10の姿は、他児との比較や一定の基準に対する達成度についての評定に捉えるものではないと示されています。この点には丁寧な御説明が必要かと思われます。個々の発達や状況を踏まえ、何々ができるようにするといった誤解を生じないようにしていただきたいと思っております。
  また、これらのことを家庭に対して周知するということも、大変重要なことであると捉えております。幼児の育ちを保護者と共有していくことは大変必要であり、周知方法等の在り方も検討していただきたいと思っております。
  2点目、幼稚園等におけるカリキュラム・マネジメントについてです。「社会に開かれた教育課程」の編成を目指して保護者や地域とともに実施していくことができるのが、地域の幼児教育の核として地域に根差した教育実践を行っている国公幼の強みであると思っております。既に少しずつではありますが、園全体で進めているところも増えてきています。
  なお、幼稚園等におけるカリキュラム・マネジメントの在り方を示す際には、子供の姿、地域の実情が、それぞれ異なることを踏まえることが必要だと思っております。
  3点目、学びや指導の充実と教材の充実。幼児教育は、自発的な活動の遊びや生活の中で、自分から環境に関わり、具体的な体験を通して、感じたり、気付いたり、考えたり、工夫したりすることを通して、資質・能力を育んでまいります。このことは、国公幼では従来から教育理念として実践を進めてまいりました。正にアクティブ・ラーニングそのものという捉え方をしております。
  また、その際に、教員の教材研究は必須であり、その重要性も熟知しているところであります。改めて幼児の体験を広めたり深めたりしていくための教材の本質について捉え直し、継続的な教材研究の必要性を明確にしていくことは、大変意味があることと考えております。
  次に、現代的な課題を踏まえた教育内容の見直し。視聴覚教材等についてですが、具体的な種類や内容が、やや読み取りにくいと感じております。直接的・具体的な体験の重要性を第一に、体験の補完、体験の深まり等に有効に活用することを、分かりやすく記していただけたらと思っております。園においても、幼児が教員とともにタブレット等で調べたり視聴したりすることが増えております。教材の内容や活用の仕方を具体的に示すことが必要ではないかと思っております。
  続きまして、必要な条件整備等についてです。教育活動の質の維持・向上のためには、教員の研修・研究はなくてはなりません。研修・研究の進め方を各園・各地域で工夫しているところではありますが、預かり保育等の推進等により、なかなか研修時間が確保できないという現状もありますので、時間や機会の確保等について触れることも検討していただきたいと思っております。
  また、幼児教育専門の指導主事の配置につきましては、国公幼といたしましても、各地域で要望しているところです。幼児教育アドバイザーの育成と配置、幼児教育センターの設置など、幼児教育の推進体制の整備が始まったところではありますが、このことが更に拡大し、各地域に整備された保育所や幼保連携型認定こども園等においても、今回の「幼児期に育みたい資質・能力」「5歳児の終了時までに育ってほしい姿」等の理解を推進して、幼児教育の質の向上につながることを望んでおります。
  最後に、伝達・周知等についてでございます。今まで述べさせていただいたところと重なるところもございますが、お許しください。幼児教育の在り方が示されることで、学校教育の一貫性に基づく幼児教育の重要性の認知が更に進むと思っております。しかし、一方で、理解の仕方によっては早期教育に結び付く懸念もございます。新しい概念を、各自治体、学校関係者、保護者、社会等が共通理解できるように、今後、行政や学校関係者等への分かりやすい解説等による周知の徹底をお願いいたします。
  また、新幼稚園教育要領を実践し実効性を発揮できるのが国公幼であると思っております。日本の幼児教育全体の質向上に寄与していきたいと考えております。地域の幼児教育の核としての存在に対して、引き続き御支援をお願いしたいと思っております。
  以上でございます。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは続きまして、全日本中学校長会様よりの御発表をお願いいたします。
【全日本中学校長会】    全日本中学校長会でございます。よろしくお願いいたします。今回の「審議のまとめ」に対する意見は、全国の校長会に意見を求めまして、それを集約して、今回、これをまとめてまいりました。「審議のまとめ」の項目に基づきまして、1番から4番まで四つにまとめてございます。
  まず1番、改訂の基本方針についてでございますが、今回の改訂は、非常に幼児教育から大学教育改革まで幅広く進められていること、さらに、一番大きな入試という問題について更に踏み込んでいることから、大変実効性の高い改革になることを期待しております。
  次の(2)と(3)は関連するものでございますけれども、必要な条件整備については、地方財源のみに頼ることなく、是非国の予算を確保していただいて、確実に推進していただきたいと思います。
  それから、(3)「社会に開かれた教育課程」「カリキュラム・マネジメント」など、これは教員がそれに専念できる環境が必要となります。ですので、それらの推進には、教員定数の拡充・改善、それから加配、更には専門スタッフやICT環境など、様々な条件整備が、これらを実現するための鍵を握ると思われますので、(2)(3)併せまして、是非国の予算の確保をお願いしたいと思っております。
  それから、次の(4)と(5)も関連いたしますが、今回の改訂、「審議のまとめ」の中で、「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」という視点が示されています。今後、「何を」とか「どのように」「何が」というものが具体的に示されるとは思いますが、これがないと、結構現場によって学びの質の格差が生じるのではないかと。
  かつての総合的な学習の時間の当初もありましたけれども、この辺も示していただければと思いますし、更にそれの前提というか、その基になる「未来の創り手となるために必要な資質・能力」、これの具体的なものが見えてこないと、非常に分かりづらいのではないかと。この「何が」という三つの視点と、それの前提となる「未来の創り手となるために必要な資質・能力」というものを、より具体化して共有化する必要があるのではないかということでございます。
  それから2番目、具体的な改善の方向性について。最初のところにも出ましたが、入試改革ということが今回出ていて、これに基づいて授業改善がなされる可能性が非常に高まってまいりました。現在進められている大学入試改革と歩調を合わせながら、是非高等学校入試の改善の方も進めていく必要があると思います。これは教員の意識改革につながるだけでなく、上級学校合格をもって学校教育の成果とするような保護者の意識改革にもつながるのではないかと期待されます。
  続きまして、(2)キャリア教育についてでございますが、今回、「キャリアパスポート」の活用ということが具体的に出ております。この「キャリアパスポート」の活用の促進というのが具体的にどのようなものであるのか、明確にしていただきたいなと思います。まだまだ現場の方では、キャリア教育イコール職場体験的な意識が残存しておりますので、この「キャリアパスポート」の活用について、是非具体的に示していただければと思います。
  3番、学校段階別ですが、小・中・高連携がより円滑にできるようになるためにも、あらゆる活動でカリキュラム編成を推進してほしい。例えば小・中における9年間を見通したカリキュラムであるとか、こういったものを一部の自治体ではやっている場合もありますけれども、こういったものも編成を推進していただければと思います。
  それから、(2)部活動について。これは、ここの項目に関する御意見が非常に多かったんですけれども、これを集約しました。現状の課題を示していただいて、その改善策に言及していることは、大変画期的だと思っております。全日中としましても、これらの改善策について、学校現場における業務の適正化に向けて、そこで示された方策等を含めて、今後も関係団体と連携して具体化を進めていく必要があると思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。
  それから、4番、その他。教員の定数拡充・改善はもとよりですが、それに加えて、「チーム学校」という概念が出ておりますけれども、その「チーム学校」における専門性を有するスクールカウンセラーやソーシャルワーカー、それから幼児教育アドバイザーなど、こういったものの体制整備を積極的に進めていただきたいと考えております。
  どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは引き続きまして、全国高等学校長協会様からの御発表をお願いいたします。
【全国高等学校長協会】    失礼いたします。全国高等学校長協会の方から、今回の「次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ」に対して、意見を述べさせていただきます。
  学習指導要領改訂の方向性、これについては、正にこのとおりだと思っておりまして、本協会としても、この方向で改訂が進められることに対しては賛同するものでございます。また、アクティブ・ラーニングの視点から授業改善に向けた取組を活性化していく、このことも大変重要だろうと思っております。
  こういうような流れの中で、本協会が全国の校長を対象にして調査をしたところによりますと、「アクティブ・ラーニングの視点から授業改善を行う」ということと「学習内容の削減は行わない」ということが、果たしてうまく両立できるのか。あるいは、アクティブ・ラーニングを進めていくということが、学力の3要素をしっかり向上させることにつながるのか。この辺りのところについて、正直不安を感じている学校が多数ございました。
  多くの学校では、これを契機に授業改善を積極的に推し進めていって高校生の学力向上を図りたいという、そういう機運が、非常に今、盛り上がっております。しかし一方では、今お話ししたような不安を抱えている学校も多いことも事実でございます。今回のこの改革を成功させる上で、是非多くの学校が抱いているこれらの不安が解消できるような取組、あるいは広報活動等々を、今後是非積極的に行っていただきたいということを要望いたします。
  それから、2点目です。学習内容は削減しないということでございますけれども、一方で、「審議のまとめ」でも指摘をされておりますように、例えば歴史系の科目、あるいは生物などの科目では、その主たる教材である教科書で扱われる内容が、現在、非常に膨大になってございます。是非改善の際には、今回の学習指導要領改訂の趣旨を生かしたような教科書が作成されるよう御配慮をお願いしたいと思っております。
  それから3点目ですが、この学習指導要領の改訂は、現在進められております高大接続改革と極めて緊密な関係があると思います。新たに実施が検討されております高等学校基礎学力テスト、これを生徒の学力向上や学校教育における指導方法・指導内容の改善につなげるという趣旨には、全く同感のものでございます。
  続きまして4点目ですが、これも「審議のまとめ」にも書かれておりますが、この改訂の理念を実現するためには、人材、予算、時間、情報、施設・設備といった資源の整備が不可欠だと思っております。特にカリキュラム・マネジメントをしっかり学校で定着させること、あるいは、授業の中で主体的・対話的で深い学びをしっかり行うためには、当然のことながら、教材研究をする時間、あるいは学習評価の充実を図る時間、生徒一人一人の学びを充実させるために少人数によるきめ細かい指導など行っていくことが不可欠で、そのためには教職員定数の拡充、これを是非推進をしていただきたいと思います。これなくしては、なかなかこの教育内容・指導方法の改善・充実には至らないと思っております。
  併せて、教員が担うべき業務に専念できる環境の整備等、これももう既に、今、国の方で方向性を打ち出されておりますけれども、是非これを積極的に推し進めていただきまして、教員がより良い授業を行うための準備、あるいは生徒としっかり向き合うための時間、これが確保できるための改善策を進めていただきたいと思います。
  5点目でございます。現実的な部分において、高等学校教育は、どうしても大学等の入学者選抜の方法、あるいは選抜内容の影響を受ける面が多いわけでございます。現在、高大接続改革の中で、大学入試改革も検討されておりまして、大学入学希望者学力評価テスト、あるいは各大学が実施をされます個別選抜の内容についての検討が進められていますが、是非この中身を、新しい学習指導要領の方向性に沿ったものにしていただきたいと思います。
  大学入試改革の中で、一部の選抜だけが新しい学習指導要領の改訂の方向性に沿ったものにして、ほかの部分は現在と同じような形で入試を行うという、そういう不統一な形で大学入試が行われてしまいますと、受験生も大変混乱しますし、また、負担が生じる、そして、高等学校教育全体に及ぼす影響も大きいと思います。是非こういうようなことがないように、文部科学省の方が責任を持って、各大学の入学者選抜方法改善の方向性を管理をしていただきたいと思います。
  それから、もう1点、ここには書いてございませんが、付け加えをさせていただきたいと思います。これは、今回、高等学校の各教科・科目等については、現行の学習指導要領から標準単位数を増加させないようにという配慮が見られておりますけれども、現実に一部の科目では、履修の順序性が新たに定められるというところもございます。これによりまして、特に1年生の教育課程については、必履修科目を入れてしまいますと、それ以外の科目を設置するという余裕がないという状況が生まれ、窮屈な教育課程を組まざるを得ないということになるのではないかという懸念も出ております。全体の方向性としては致し方ない部分もあるわけですけれども、そういうような声が多く出ているということについても付け加えをさせていただきたいと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは続きまして、全国公立小・中学校女性校長会様より御発表をお願いいたします。
【全国公立小・中学校女性校長会】    全国公立小・中学校女性校長会会長の佐々木直子と申します。「次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ」に関する意見を述べさせていただきます。
  2030年以降の未来を見据えて、従来各学校独自で作成してきた教育課程編成における大きな改革を促す学習指導要領の改訂だと読み取っております。文科省が世界をリードするカリキュラム改革を行うという、そのような意気込みが伝わるものだと感じております。
  現行の学習指導要領で重視されてきた全ての学習の基盤となる言語活動の充実が、次期学習指導要領においても継続して重視されているということは、高く評価できます。同様に重要視されている情報活用能力における小学校段階からのプログラミング教育は、各教科等の学習の充実につながるよう、取り組ませる学年や実践する教科等の指導事例を、早い段階で具体的に示していただくことをお願いしたいと考えております。
  また、アクティブ・ラーニングとカリキュラム・マネジメントというのは、一体として捉えることにより、確実に日常の授業改善と、学校組織と学校経営の改革・改善を促して、学校力を高めることができると考えています。この点においては、校長のリーダーシップが求められることは当然のことながら、一人一人の教員の授業力を高めるということが、非常に重要な課題であると考えます。この点、各学校の地道な校内研究によって、より一層の充実が望まれます。
  しかし、学校によって取組内容の差が、この点はやや大きいと思われることもあります。小学校においても、年間3回の研究授業を実践している学校、また、6回実践する学校があるという具合に、やや違いがございます。より広く充実を図っていく必要があると考えます。また、高等学校教育に直接つながる観点から、特に中学校における校内研究の充実も重要視されてくると考えます。教科の枠を越えた指導法の研究や、学校ごとのカリキュラム作りに、今回の改訂で取り組みやすくなると予想されますので、今回の改訂を踏まえて、小学校・中学校の校内研究が、より活性化する方向に進めていければと考えます。
  先ほど述べたように、アクティブ・ラーニングの実践を確実に、より早く広めるためには、教員の授業力向上が喫緊の課題です。この課題解決のためには、教員の経験年数に応じたきめ細かな研修システムを、国や教育委員会が適切に定めることが必要であると考えます。現在行われております初任者研修のみならず、2年次から5年次の研修、7年次、10年次、12年次、15年次、20年次、25年次等、その経験年数に応じた力量を高め続ける教師を育成するための研修制度を築くことも重要だと考えます。
  また、アクティブ・ラーニングの実現において、児童生徒が学び方を学ぶという視点も重要です。例えば児童生徒の発達段階を踏まえて、小学校の低学年・中学年においては、様々な学習方法を身に付けさせ、高学年・中学生では、自ら学習方法を選択して主体的に学ぶ児童生徒を育成することができます。さらに、自ら課題を設定して課題解決を図る探究的な学びの場を、各学年、計画的に年間指導計画に位置付けて、組織として取り組む実践が定着すると、学びの質の高まりにつながると考えます。
  そして、全ての教科等や諸課題に関する資質・能力に共通する三つの柱の一つとして掲げられました「学びに向かう力・人間性等」は、数値評価に適さない要素も含まれるため、これらについて観点別学習状況評価の対象外としたことは適当だと考えます。しかし、この評価が記述式となり、それぞれ各教科の評価の項目に位置付けられることは、現場の過重負担となることが予想されます。どうかこの点は、まとめて記述するなどの御配慮を頂けると助かります。
  この「学びに向かう力・人間性等」について、この文言がこのまま進んでいくということであるならば、この考え方そのものは非常に賛同しております。道徳は各教科で指導する内容だという要素を強めたい、また、指導者にしっかり意識してほしいという願いを感じ取れます。しかし、「人間性」という言葉の大きさには、やや抵抗があります。
  この「人間性」という言葉には、先の一つ目、二つ目の、「知識・理解」「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」そして「学びに向かう力」これらも含めたものとも捉えられると考えます。もし「等」を付けるのであれば、どの教科・領域にも見せていただきましたらば共通して記述されている「態度等」でもよいのではないかなと考えます。どうしても「人間性」という言葉に重きを置きたいという考えであるならば、せめて「等」という表記は必要がないのではないかと考えているところです。
  最後に、この学習指導要領が学校現場で理解され、確実に実践されるためには、次に示す手厚い条件整備が不可欠です。これからの日本の未来は教育にありと社会全体共通理解し、人材育成こそ未来を築く礎と考えて、教育にしっかりと予算を付ける国になりたいものです。真の「チーム学校」の実現に向けて、手厚い人的配置と環境整備が最も重要だと考えております。国や教育委員会における予算化について、具体的に次のような観点でお願いいたします。
  一つ目は、日本語指導教員・特別支援教員の教員定数配置。二つ目は、「学校図書館アドバイザー」となる司書の全校配置。三つ目は、理科支援員、地域コーディネーターの全校配置。四つ目は、学習指導要領を全教員に配布をしてほしい。五つ目は、次期学習指導要領の基本方針をパンフレットとして全教員・保護者に配布していただきたい。あと、予算の方です。学校図書館用の図書購入経費、児童用パソコン設置費用、放課後や土曜日を活用した補修体制を組むための人材配置費用等の支援をお願いしたい、予算化をお願いしたいと考えます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは、4団体からの御発表を頂戴いたしましたので、意見交換の時間に入りたいと存じます。委員の皆様におかれましては、いつものようにネームプレートをお立ていただいてということでよろしくお願いいたします。4人の御発表のどの点でも結構ですので、よろしくお願いいたします。
  早速お願いいたします。
【山脇委員】    この中で、小学校に関係して女性校長会の先生にお聞きしたいと思うんですが、前回、私は教職員団体のヒアリングを聞かせていただいたんですが、そのときはほとんど小学校からの英語教育の導入についての議論が非常に多くて、ほとんどその導入するということで、先生方、パニックになっているのではないかと思われるほどの反応だったんですね。ほかの私どもが一生懸命話し合ったアクティブ・ラーニングとかそういうことについてよりも、まず小学校からの英語教育の導入、時間やら人員配置やら全てのことで、ほとんど先生方の心配がそこに集中していると感じたんですが、女性校長会としてはどんな反応がありますでしょうか。
【全国公立小・中学校女性校長会】    英語教育につきましては、ここまでグローバル化した社会を子供たちが生き抜いていかなければならないという現実を考えたときに、今回提案されているような中身で進めていくということは、やむを得ないことだと考えています。現在も、五、六年生におきましては実際行っています。学校によっては、1年生、2年生から実際やっているところもあるのが現状です。
  ただ、ALTのネイティブの外国人講師の指導が中心であるということは否めません。我々教師が英語をきちっと教えるだけの力を付けていくためには、それなりの、先ほど申し上げておりますが、きちっと研修体制が必要だと考えます。その研修体制をもって指導する力は、現場の教師には私はあると考えています。
  問題は、時数に関することです。その時数が、今現在、総合的な学習の時間等で1時間行っていますが、あと1時間プラスしなければならないという点で、今回の御提案は、一律に45分の一コマを増やせという方向ではなく、各学校の実態に応じて、帯単元、15分のショートの時間を3回重ねるということも加味するという中身で、現場を配慮した提案になっていると私は考えています。
  そのようなことで、もう実際にそんな話題が校長会でも出ておりますけれども、基本的には進めていくべきだという考えで、先生方、教員を納得させながら、我々校長はリードしていく立場であると考えています。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。それではほかの委員の方、いかがでしょうか。油井委員、お願いします。
【油井委員】    全国高等学校長協会の宮本先生にお伺いしたいんですが、先ほど中学校長会の方からも、高校入試の改善の問題が指摘されていたと思うんです。私は地歴教育の専門なものですから、その点でお伺いしたいんですけれども、中学の社会科歴史分野は、かなり日本史中心になっているせいで、高校入試に当たって、ほとんど日本史の出題しかでなくて、世界史の出題がない学校が多いと聞いているんです。ところが今度、「歴史総合」という科目が新設されるとなると、これは世界史と日本史の統合科目ですので、高校入試の在り方も同時に検討していただかないと、うまく対応できないんじゃないかということを危惧している。それが第1点です。ですので、高校入試改革については何か御検討が進んでいるのかどうかということを、一つ教えていただきたい。
  それから二つ目は、「歴史総合」に関係しますけれども、伺うところ、高校現場で教えている先生の間では、日本史の担当者と世界史の担当者というのは分かれていることが多いと聞いています。今度、統合科目が初めて新設されるわけですので、一体誰が教えるのかということが、かなり現場で問題になるんじゃないかと思うんですけれども、仮に世界の先生や日本史の先生がそれぞれ担当されるにしても、かなり研修をきちっとしないと対応できないんじゃないかと思うんですが、そういう点についての何か検討が始まっているかどうかをお伺いしたいです。
【全国高等学校長協会】    まず第1点、高校入試の件ですが、高等学校の入学試験の学力検査問題は、中学校の学習指導要領で定められた内容に準拠して出題をする。逆に言うと、学習指導要領に定められていない内容については出題ができないということですので、今回の改訂で中学校の学習指導要領も変わっていきます。世界史の部分についてもかなり学習するような形になっていきますので、それを受けた形で高等学校の学力検査問題が作られていくことになりますので、今度は世界史の部分もしっかりと入れたような形で、多分出題をするとなるだろうと思っています。
  それから2点目のところですけれども、先生がおっしゃられたとおりで、高等学校の場合は日本史専門、世界史専門となっていて、教える教員が大学でもそういう形で勉強してきているわけです。日本史の方は日本史の研究をされて、そしてそのまま日本史を教えていますので、世界史も同じですから、そこはなかなか自分の今まで学んできたこと、教えてきたことを、どう今回の新しい改訂の方向性を踏まえた形で教えるにあたって壊していくかというところが、すごく大きいと思います。
  ただ、今回の「歴史総合」で言えば、歴史に対する見方や考え方をしっかり子供たちに身に付けさせるということが、新しい科目の目的ですので、そこのところについては、それぞれの専門の先生方がしっかり話し合っていく中で、多分、共通理解ができていくだろうと思います。今でも日本史は日本史、世界史は世界史、それぞれの科目を通して歴史に対する見方や考え方をしっかり身に付けさせることということは、変わりがないわけですから。
  ただ、今までやったことがないので、先生がおっしゃったとおり、相当これは研修をしっかりして、お互いの教員が理解をしていかないと、この新しい科目ができてきた趣旨が生かされないと思いますので、相当早い段階から丁寧な研修と、あるいは研修に必要な資料をしっかりと作って提示をしていただくということが不可欠ではないかと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは清水委員、どうぞ。
【清水委員】    よろしくお願いします。高等学校長協会の方にお願いをしたいんですけれども、私、高校の教員と校長ということで、この1枚目の真ん中辺に、アクティブ・ラーニングが学力の3要素の向上につながるのかということに対して不安を感じている学校が多数あったと書かれていたんですが、私自身は、アクティブ・ラーニングの視点で取り組むことというのは、この3要素の向上にはかなり大きな影響を与えるのではないかなと捉えているわけですが、どの部分にどのような不安があるのか、何か具体的な話があったら、お聞かせいただけると有り難いなと思います。
【全国高等学校長協会】    一つは、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善ということに対する理解が、まだ学校によっても先生方によっても十分ではないというところもあると思いますが、一番大きいのは、子供たちに主体的に学ばせるということをやっていくということをしていけば、知識を教えていく時間が少なくなるのではないかという危惧を持っていらっしゃる方がたくさんいて、子供たちに活動させる、調べさせるということと、知識をしっかり定着させるということが、果たしてうまく両立できるのかというところに対する不安が一番大きいのだと思います。
  ですから、この辺については、具体的な事例ですとか、やり方ですとか、そういうことを今後しっかりと啓発をしていっていただく中で、恐らくかなりの部分は解消されると思いますが、まだまだその辺のところ理解が十分ではないというところが、一番大きな原因ではないかと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  山脇委員。
【山脇委員】    済みません、幼稚園・こども園長会様に伺いたいんですけれども、下から10行目ぐらいのところに、家庭に対しての周知が必要で、周知方法について、これからの検討課題とさらりと書いていらっしゃるんですが、家庭に対しての周知というのが一番難しく、そして重要だとは思っておりますが、専門家として、どのような形でこれを実行していけばいいとお考えでいらっしゃいましょうか。
【全国国公立幼稚園・こども園長会】    ありがとうございます。「審議のまとめ」の中には、ドキュメンテーションとかポートフォリオ、視覚的に訴えてという記述がございました。一つは、視覚的に訴えるということ。子供たちの活動の姿が見える、その活動の姿、遊びの姿に意味付けを少し記して、経験していますよと視覚的に訴えるということは大切だと思う一方、私たちが子供たちの毎日の生活の中でそのような記録写真を撮っているときにも子供は動いているという状況がありますので、担任の先生がいつも記録を撮りためるというのも難しいということで、こちらは具体例はあったんですけれども、そこの方だけに行ってしまうと危険性があるかなというところで、あとは、幼稚園・こども園、公立の場合は基本的には送り迎えをしているという状況がありますので、積極的な働き掛けというのは、話し掛けるとか、そういう機会を設けるということも少し充実させていくということも、一つ考えられるのではないかと思っております。
  規模に関しましても、適正なというか、お母さんたちと関わる、保護者と関わる時間がとれる人数も、園児の数という形があると思いますので、直接対話をするというか、保護者の方とも、そういうことも充実させていきたいなと思っております。
【無藤主査】    ありがとうございました。ほかにはございますでしょうか。
  私からも。中学校長会にですけれども、部活動の問題について触れておられます。これは「審議のまとめ」でもかなりのページ数を割いて議論が整理されていたと思いますけれども、先ほどの御発表の中でも、例えば休養日の設定等、比較的軽減する方向というのが一つ出されているように思いますけれども、同時に、中学生における部活動の意義も大きいと思いますので、その辺りを考えながら、今後、ある程度校長会として統一的な方向を出すことをお考えなのか、あるいは、むしろ各学校や地域やいろいろな事情の中で、様々な取組、やり方という、多様性とでもいいますか、そういう方向をむしろ進めるということなのかということと、もう一つ、それと関連して、特に中学校の教員の勤務の過重、非常に勤務時間が長いということについて、どうやら半分近くが部活動に関連するところのようでありますけれども、そうすると余計に教員の勤務時間の軽減のためにも、部活動というものを何らかの意味で縮小するなり別な形にするなりということも必要かもしれませんが、その辺の見通しなどをもう少し教えていただければと思うんです。
【全日本中学校長会】    ありがとうございます。まだ全国としてこういう方向を出すとか、また、地域の実情に応じて、まだそこは煮詰めていませんけれども、確かに地域によっていろいろ実情があることは確かだと思います。今後検討させていただきたいと思っております。ただ、部活動イコール教員の勤務実態に密接な関連がありますので、それと両方を見据えて詰めていかないと、この問題はなかなか解決しないんじゃないかなと、そのようには考えております。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。ほかにはございますか。神長委員、どうぞ。
【神長委員】    失礼いたします。遅れまして大変申し訳ございません。もしかしたらもう既に議論をしたところかもしれません、御質問したところかもしれませんけれども、お許しください。
  全国国公立幼稚園・こども園長会の御意見をお伺いいたしまして、今回の本当に中教審の中の議論と重なるところがあり、大変心強く思い、読んでおりました。それで、1点ですけれども、先ほどの中学校と同じようなところもあるんですけれども、幼稚園・こども園の先生方も大変忙しい時間を過ごされていると思いますし、今、運営の多様化という多機能のものを取り入れるという中では、非常に限られた時間の中で学びの指導の充実を図っていくということがあるかと思うんですけれども、本当に教材研究等も、アクティブ・ラーニングの視点からふだんに行っていくということはすごく大事ですけれども、その辺について何か見通しがありましたらば、お教え願いたいと思います。
【全国国公立幼稚園・こども園長会】    全国でこういう方針ということはございませんけれども、幼稚園の場合、限られた人数、規模が割と少ない規模でございますので、園単位での研究だけではなくて、近隣の幼稚園と一緒に合同の研究を進めていく。その際に、1時間、2時間という時間をなかなか確保できない状況もございますので、本当に短時間でも時間が作れるような形を各園長が作っていくというところで、あと、事務処理に関しての簡便化ということ、書類作成等のものも時間を削減しながら、あと、会議に関しましても、幼稚園もかなり効率化を図るという形で考えております。私のところですけれども、ペーパーベースではなくて、パソコン上の議案をみんなでという形で、なるべくペーパーレスにしていくという努力も進んでいるのではないかと思います。
  最後に、場所によっては、幼稚園の教員も非常勤が7割ということもございますので、本当にその辺で人的配置ということは、幼稚園の場合は、文科省の方から、国の方からの予算ということではございませんが、地方交付税という形で補助を頂いております。その辺も国公幼といたしましては働き掛けていきたいと思っております。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。ほかには、委員の皆さん、ございませんか。よろしいでしょうか。
  では、一通り御意見頂戴できたと思いますので、ここで前半のセッションを終了ということにさせていただきます。御発表いただきました団体の皆様、誠にありがとうございました。頂いた様々な御意見につきまして、事務局にて整理の上、答申に向けた議論に反映させていただくようにしたいと存じます。
  以上でございます。
【西川教育課程企画室専門官】    ありがとうございました。それでは、後半ですけれども、予定より早く終わっていますので、13時30分から後半を開始させていただきたいと思います。委員の皆様におかれましては、少し御休憩ください。御発表いただきました団体の皆様、本日はこれで終了となります。本当にありがとうございました。
(  休  憩  )
【無藤主査】    それでは、後半の皆様おそろいになったということでございますので、後半を始めたいと存じます。
  各団体の皆様、本日はお忙しい中、御足労いただきまして、ありがとうございました。この時間帯にお見えになっている団体は、公益社団法人経済同友会様、一般社団法人新経済連盟様、公益社団法人日本青年会議所様、日本労働組合総連合会様、以上4団体でございます。
  それでは早速、各団体様からの御発表を開始したいと存じます。意見交換は、4団体の発表全てが終了してから行いたいと存じます。
  では、まず、経済同友会様からお願いいたします。
【公益社団法人経済同友会】    それでは初めに、お手元の方にチャートがあると思いますけれども、同友会の教育分野での活動について、1ページ目に簡単にまとめていますので、御参照ください。
  今年度は、教育改革委員会で、私、天羽と、それと小林いずみ委員長と、2名の体制で進めております。そのほかにも、後ほど意見表明の際にも御紹介しますが、実践活動として経営者による交流活動を、「学校と経営者の交流活動推進委員会」で推進しております。首都圏の中学校・高校を中心に、出張授業のほか、先生方や保護者の方への研修会を行っており、1999年度の開始以来、約1,800件を超える活動を展開しております。
  2ページ目になりますけれども、次に、同友会で2014年に公表した「学習指導要領改訂に向けた意見」について、簡単に紹介させていただきます。本意見は、政策委員会の教育改革委員会と、それと実践活動を行う「学校と経営者の交流活動推進委員会」で合同で議論し、まとめたものでございます。今回、改めて学習指導要領に対して意見表明の機会を頂きましたが、本意見に基づいて、後ほど意見や要望を述べさせていただきます。
  チャートの3ページから5ページまでですけれども、これは後ほど述べさせていただく要望等は、本意見をベースにまとめておりますので、ここでは時間の都合もありますので、3ページ、4ページ、5ページというのは、紹介は割愛させていただきます。
  次に、6ページです。さて、今回、中教審での審議結果として、学習指導要領改訂の方向性を示していただきましたが、その内容は、このチャートの6になります。2014年に私どもが出した意見と重なる部分について、青い点線で囲みを入れています。御覧になっていただければすぐ分かりますけれども、多くの部分で私どもの意見と重なっており、方向性についてはおおむね賛成いたします。
  次、ページ7、こちらの方に、指導要領改訂の方向性に対して、同友会として意見を述べさせていただきます。こちらの意見は、先ほど紹介しました2014年に出した意見をベースにして考えております。
  まず1番目、何を学ぶかということについては、非常にシンプルに書いてあります。まずは日本語で自らの考えを明確に伝えられる能力を養成することが必要と考えます。その上でグローバル化に対応した教育を充実させていくべきですと。次に、社会の一員としての自覚や職業観の醸成を促す教育として、道徳教育の充実や、初中等段階からのキャリア教育の導入、最新の社会情勢についての教育義務付けを期待します。社会とのつながりを重視した教育の推進を望みます。さらに、今回、学習内容の削減を行わないという方向性が示されていますが、これには120%賛成いたします。学校でしっかりと学ぶ時期は非常に大切にすべきと考えております。
  次に、7ページ、2番になりますけれども、どのように学ぶかですが、まずは自らの考えや意見を持つための基礎作りとして、読書や作文に慣れ親しむことが有効だと考えております。その上で、考えや意思を第三者に伝える訓練として、グループディスカッション、またディベート等の双方向の対話・議論形式の授業を取り入れていくべきですと。したがって、アクティブ・ラーニングの導入にも賛成でございます。
  また、グローバル化教育イコール英語教育と捉えがちですが、多様な人種、国籍の人々と接する機会が増えていく中で、自分と異なる個性を受け入れる姿勢というのが、まず必要と考えております。その上で、小学校低学年からICT等も活用して英語になじませていくことが必要だと考えます。したがって、小学校からの英語の教科化に賛成です。また、英語に限らず、ICT等を利用した教育の推進によって、教育現場の効率化にもかなりの期待を置いております。
  次に8ページ目になりますけれども、最後に、何ができるようになるか、これに関していけば、着実に実行できる体制作りを期待していますと。この点は最も重要だと考えております。ここで二つ、意見を述べたいと思います。
  一つは教員の教育力・マネジメント力向上と。これは各学校におけるカリキュラム・マネジメントを実践していく上で不可欠だと思っております。教員の資質・能力として、教育力は当然必要でしょうけれども、マネジメント能力というものも非常に重要と考えております。教員の多忙化の問題が指摘されていますが、教育環境の変化を十分に検証するとともに、着実に指導要領を実行できる体制・環境整備が求められます。
  例えば具体的には、業務の効率化と重点化によって、教員間の業務分担の見直しが必要なんじゃないかと。あとは、これは企業では当然のこととして導入されていますが、優秀な教員を適正に評価して、また、評価に健全な差をつけていくということが求められていますと。また、実務家教員を、これまで以上に積極的に採用していくということを期待しております。
  9ページ、最後のページになりますけれども、着実に実行できる体制作りに向けて、もう一つ必要なことは、社会全体での教育の推進です。私どもが言う「チーム学校」での実現によって、社会全体、すなわち保護者、地域、経済界で教育を支援し、改革を推進していくことが必要です。教員が教えることが難しい分野、例えばキャリア教育、最新の社会情勢等の教育については、冒頭に御紹介した経済同友会の交流活動をはじめとする外部資源を有効に活用すべきじゃないでしょうか。また、経営者が、学校での学びを将来どのように社会で役立つか、実体験に基づいて子供たちに伝えることは、学びことの意義を自覚させると確信しております。我々は、それに関しては協力を惜しみません。経済同友会として、学校教育と真摯に向き合い、積極的に関わっていく所存でございます。
  以上が経済同友会の意見となります。御清聴ありがとうございました。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは引き続きまして、新経済連盟様からの御発表をお願いいたします。
【一般社団法人新経済連盟】    本日は、どうもありがとうございます。新経済連盟の幹事を務めておりますトランス・コスモスの船津と申します。お手元の資料に基づいて、意見を述べさせていただきます。
  まず表紙をめくっていただきまして、2ページ目、3ページ目に、まず新経済連盟、名前のとおり、新しい比較的若い経済団体でございます。三つの理念ということで、イノベーション、アントレプレナーシップ、グローバリゼーションと掲げております。要は、未来に向けて大きな変化、世界的に、もちろん日本も巻き込んで、大きな変化を遂げております。その未来に向けて、我々は何をすべきかと。そういう観点で、今回、教育の問題についても考えてございます。
  3ページ目に基本的な考え方ということで書いてございますが、教育というのは、国家の最も基本的で、かつ最も重要なインフラであると。そういう観点で、これからの未来に向けて、三つのテーマについて特に強化していくべきであろうということで、この後、述べております。
  1点目は、グローバルな社会。ますますグローバル化していきますが、世界共通言語としての英語教育。もちろん現在も英語教育はなされているわけでありますが、もう少し日本の英語教育は、効率的に実際に使える英語教育というのができるのではないかという観点で述べております。
  その次に、もう一つは、IoTも言われていますとおり、現在もそうですが、未来に向けては、ますますIoTということで、情報技術が社会全体のバックグラウンドに潜んでおりまして、それが世界を動かしていきます。そういう観点で、最も基礎になりますプログラミング教育、そしてIoTの理解というのが大変重要であろうというのが2点目です。
  3点目は、大きく変化する未来社会において、キャリア教育の中で、ある意味で起業家精神、あるいは新しい社会で、自分が個人が今の子供たちが、どういうポジションを積極的に自らを肯定できるキャリアを形成できるのかと、非常に重要であろうという、この3点で述べております。
  めくっていただきまして、5ページ目を御覧いただきまして、今回の次期学習指導要領全体を通しての意見でございます。一つは、10年に一度の見直しということで来ておるわけでありますが、ドッグイヤーと言われて久しくございます。1年が7年のスピードで動いているという観点で言いますと、もう少し頻度を高める見直しのスパンというのは短くてもいいのではないかと思います。それから、学習内容を決めていく場合に、ITというものと社会というものの観点、そういう観点で見ていく必要があろうと、こういうことです。
  三つのテーマの、まず英語です。7ページ目を御覧ください。一言で言うと、しっかりと国際社会とコミュニケーションできる、あるいは情報発信できる英語教育が必要だということであります。8ページ目、一言で言うと使える英語ということでございます。
  具体的に「審議のまとめ」に対する個別意見ということで、9ページ、10ページ目にまとめてございます。まず、指導要領案の中にございます、小学五、六年生で英語を教科化する、小学三、四年生では「外国語活動」として英語教育を行うと。これについては率直に評価をしたいと思います。
  2点目、コマ数のことでございます。小学五、六年生で70単位、三、四年生で35単位と予定されて、水色の大きな資料の中の256ページに記載されてありますが、これについては是非確実に実行されるように、改めまして求めたいと思います。
  3点目であります。英語というものが入ってくることによる他科目との授業数の取り方の問題でありますが、これにつきましては、あるいは夏休み、長期休業を短縮するとか、あるいは土曜日の授業等々含めて、いずれにしましても調整が必要だとは思いますが、ただ、そのことで英語教育がこぼれ落ちていくというのではなく、確実に優先的に検討を進めていただきたいということでございます。
  10ページ目、更に意見でございますが、頂いた資料の254ページに、CEFRの言語に関する4技能というくだりがございますが、その中で、特に日本は、話すやり取り、インタラクション、それから発表する力、プロダクション、こういうところが弱いと思うんですが、これについて、是非細かく具体的に使える英語を身に付けさせることを行っていただきたいと思います。
  ただ、ここで、こういう視点で、やり取り、発表という形で254ページに記載がございまして、これは大変評価できると思っております。その上で、具体的な力を付けるような教育内容に、具体的に落としていただければと思います。
  11ページ目は資料でございますが、ともかく日本人の英語力というのは、最も先進国の間では低いという事実でございます。あと、12ページ目に、新経済連盟の会員企業、今、約500社ございますが、実際に社員採用あるいは教育という中で英語がいかに重要かということは、アンケートを取りまして、その結果を記載しております。
  13ページ目から、今度はプログラミング教育です。14ページ目、言われているとおりであります第4次産業革命の中、もっとあらゆる分野で必須であります。あらゆるものがITをバックグラウンドにして動いていきますので、その基礎的な理解というのが重要だということでございます。
  15ページ目飛ばしていただきまして、16、17と、具体的な「審議のまとめ」に対する意見を述べております。まず1点目です。16ページの上ですが、小学校からのプログラミング教育に焦点が当てられていまして、これについては率直に評価をしたいと思います。
  ただ、1点、既存の教え方です。プログラミング教育の教え方でありますが、既存の各教科の学習を通じてプログラミング的思考を学ばせると、そういう流れになっておりまして、これは非常に難しいことだと思っておりまして、むしろプログラミングはプログラミングそのものを教育する必要があって、各教科の中で、あるいは音楽との対比とか、いろいろなところに記載がございますが、それは甚だ応用問題でありまして、そうなると、全科目教える教師が、プログラミング的発想というものを、あるいはプログラミングを具体的に理解していなくちゃならないという、非常に難しい応用問題的な流れのように感じます。
  したがいまして、プログラミングは、しかとプログラミング教育と教えることが、最もプログラミン的思考に近付く話ではないかということであります。また、17ページの一番下に書いていますが、そのための共通のプログラミング教育の到達基準とか到達目標のような具体的な目標設定というのが必要であろうと思います。
  最後に、キャリア教育、18ページ目、19ページ目、20ページ目と書いておりますが、「審議のまとめ」に対する意見としては、21ページ目に書いてございます。問題意識は、前後するんですが、スライド23、日本の子供たちの自己肯定感あるいは前向きな意欲というのが非常に低いという、これは若者白書に出ております。これは問題だなということで、自己肯定感を高めるような教育、そういうものが中心にあるべきで、未来の社会、今の子供たちが大人になり社会人になる頃には、職業・職種の種類も、先ほどのIoTをバックグラウンドにして、非常に大きな変化があると思います。そういう意味で、適切な的確な前向きなキャリアに対する教育というものが、大変重要であろうと考えてございます。
  以上、意見を発表させていただきました。ありがとうございました。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは引き続きまして、日本青年会議所様より御発表をお願いいたします。
【公益社団法人日本青年会議所】    失礼いたします。私、公益社団法人日本青年会議所、本年度、教育部門の担当をさせていただいております矢野と申します。よろしくお願いいたします。こちらの方、意見書を基に個別的に御説明の方をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  本年度、私どもとしましては、2010年に運動指針を掲げまして、教育部門につきましては、「『生き抜く力』と『生かされることへの感謝』がはびこる社会の実現」、これを基に、10年間の運動を、今、展開をしておるところでございます。
  まず、第1部の基本的な方向性につきましては、おおむね書かれている内容に当会としても賛成でございますが、更に、コミュニティー・スクールや地域学校協働活動、これらについて、まだまだ形式上なところが非常にあり、現場として浸透されていないというところ、また取り組みに対して積極的にそれを広げていく必要があるというところを書かせていただきました。
  それから、先ほど新経済連盟様からもございましたとおり、自己肯定感を養う教育については当会としても長年にかけて取り組みを行っており、その根本的な原因としては、自国を愛する心や郷土愛が欠けている、そして教育現場の中で養う土台作りが根本的に足らないのだという認識です。自国を誇りに思う国民の割合は先進国の中でも一番下という調査結果が出ていますが、自分の国を誇りに思う、自らが住まう地域、その根底には自己肯定感を持つ国民を教育の現場で土台作りを学校だけではなく、地域が一体となって取り組む環境の重要性を推進させていただいております。
  それと、続きまして4番の枠組みの改善と「社会に開かれた教育課程」というところで、こちらにつきましては、建国の歴史、歴史教育の必要性を書かせていただいております。自国の歴史を知らない民族は滅びるというある学者の話があります。今、抽象的に出ている内容、また、世界史について非常に熱く語られているけれども、自国ではそこまで行っていない。今回、ここの必履修科目で「歴史総合」という形になったのは、非常に評価できるところではありますが、さらにこちらの部分を幼少の頃から義務教育課程でしっかりと学ぶ必要があるということを、書かせていただいております。
  また、私どもの組織は全国にネットワークを有しており、各地域で青年会議所の運動を展開しています。また組織構成も自ら社業を持ちながら地域の活性化を目的として活動しております。キャリア教育については、多種多様な業種で構成されているメリットを最大限に生かし、学校教育のそれぞれの場面で活躍できるかと思いますので、是非とも御活用いただきたい旨を書かせていただいております。
  続きまして第2部の方に移りまして、先ほどの「歴史総合」についてもそうですけれども、公民科についても、本年18歳選挙権の年齢下げがありましたが、当会としましても、本年度、特に政治参画意識を高めるような運動を、小学校や中学校、それから高校という形で、出前授業という形でさせていただいております。こちらをもっと学校と連携した取組がなされることがあれば、更に充実したものになるのではないかと考えております。政治参画教育の更なる重点化、こちらの方を提言させていただいております。
  そして道徳教育についても、今回は「特別の教科  道徳」という形で格上げとなりました。現状の量的課題や質的課題が今まであったところを、しっかりとアクティブ・ラーニングで対話していくというところの方向性が出されておりますけれども、それが本当にうまく活用できるのか、運用できるのか、また、教材面のところについても、まだまだ見ていく必要があるなと思っております。是非ともこちらにつきましては、当会の方でもいろいろなプログラムがございますので、御活用の方を頂きたいと思っております。
  それと、今まで当会としましても一方的な発信が非常に多くあったというところで、更に数値的根拠に基づいた運動の展開というのも、当会としてはさせていただいております。また具体的には、こちら書かせていただいているとおりではあるんですけれども、実際に子供に対しての教育はもちろんですけれども、それを、一番手本となる親に対しての教育、これが学校の中で何とか生かせることができれば、またより良いものにつながるのではないかと思っておりますので、そちらの取組も含めて御検討いただきたいという旨を書かせていただいております。
  以上でございます。ありがとうございました。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは引き続きまして、日本労働組合総連合会様からの発表をお願いいたします。
【日本労働組合総連合会】    ありがとうございます。日本労働組合総連合会から意見を申し述べさせていただきたいと思います。
  連合は全国に組合員約860万人ほどおりまして、全ての都道府県に県ごとの組織を持っており、更にまた、地域ごとにも多くの組織を持っているという状況であります。今日は、3点に絞って、意見として述べさせていただきたいと思います。
  連合は、この間、若年労働者1,000人に対しまして、「労働教育に関する調査」を行ってきているところであります。その中では、学校において「働くことや労働組合の意義について学んだことがある」という方が70%ほど、「働く上で必要な労働法などに関する知識を学んだことがある」という方は55%という状況になっているところであります。
  ただ、一方で、実際、働いてどうなったのかということであります。「働いて困った経験がある」というのが大体60%でありまして、そのうち3人に一人が「何もしませんでした」と回答をしているところであります。そういった意味で、若年労働者の多くの方は、働いて困ったときに、それまで学んだ知識を活用する方法が分からないという状況でありまして、ブラックバイトであるとかブラック企業などがあり、そこでは労働法令違反が横行している状況に対して、なかなか具体的な改善策に動くことができないということが、ここからも明らかになっているのではないかと思っています。
  また、連合としましても、「何でも労働相談ダイヤル」といいまして、様々な電話相談を受けているところであります。特に20代からの相談内容については、賃金未払いであるとか、最低賃金が守られていないのではないかということが17%でありますし、セクハラ、パワハラなどの差別関係が15%ということでありまして、なかなか実際働くことになってから、多くの問題というのが社会の中には存在しているというのが明らかになっているのではないかなと思っているところであります。
  そういった中で、「次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ」の中で、51ページから52ページに書いてありますが、キャリア教育の項目がございます。その中は、「将来の夢を描くことばかりに力点が置かれ、『働くこと』の現実や必要な資質・能力の育成につなげていく指導が軽視されている」との指摘があったとの記載がございます。かなり多くの方が、学校を卒業すれば働くという道を歩んでいくのでありまして、そういった意味で、この指摘というのは極めて重要ではないかなと思っているところであります。
  教育の場から労働の場への円滑な接続ということを求めてきたわけでありますけれども、より具体的には、ワークルールなどについてしっかりと知識を学び、活用する力を付けることが重要だと考えています。そういうことから、現行のキャリア教育に加えて、働くことの意義や労働法、要するに働くルールの教育ということも充実させることが重要だと考えているところであります。
  続きまして、教職員の長時間労働の是正の関係でございます。連合の外郭団体に、連合総研というのがございます。そこで小・中学校教員の労働時間の調査結果をまとめておりますけれども、1日平均労働時間が13時間という状況でありまして、長時間労働というのはかなり大きな問題になっているということとなっています。
  次期学習指導要領におきましては、新たに外国語などの正式な教科が打ち出されてきているということでありますし、また、高等学校においては、「地理総合」であるとか「歴史総合」「公共」をはじめとしまして、様々な科目が新設・再編がされるということになっています。これ自体は必要なことではあるかと思いますが、一方で、長時間労働を強いられる教員にとっては更なる負担となるという状況が想定をされます。
  学校で働く教職員、今後10年間で4万5,400人の自然減となるわけでありますけれども、一方で、文科省においては2万9,760人の定数改善を要求するとしております。教職員の負担軽減につながるような定数改善が確実に行われるよう、国民的な合意形成の基に進めるべきだと考えているところであります。また、文科省からも、「学校現場における業務の適正化に向けて」で示されておりますし、これについてもしっかりと行う必要があると考えているところであります。
  次に、学習指導要領見直しに当たって、その環境改善が重要だということについて記載をさせていただいているところであります。全教科で子供同士の対話などを通じて知識を深めるアクティブ・ラーニングの導入であるとか、学習内容を削減しないで授業時間を柔軟に組み立てるカリキュラム・マネジメントの推進に伴い、学校現場に大きな変化がもたらされるのではないかと考えています。また、「社会に開かれた教育課程」ということもございますし、より良い学校教育を通じてより良い社会を創ることが想定をされているのではないかと思います。
  このような次期学習指導要領の見直しに当たっては、子供の理解度や学校現場の実態に合わせた対応ということが重要だと考えているところでございます。これについても、「審議のまとめ」の62ページから63ページ、「チームとしての学校」という記載がされております。更にまた、64ページにも業務適正化等々含まれておりますけれども、ここにも勤務時間管理の適正化ということが記載されておりますが、こういう教職員の配置、施設設備などの教育条件整備を確実に行うというのが重要かと思います。
  様々な教育分野において、新たな教育内容を増やすという議論が多々ありますけれども、イコールそれは、その体制をどうやって組み立てていくのか、どう環境を整備していくのかということも、是非とも併せて考えるべきです。
  以上、日本労働組合総連合会からの意見に代えさせていただきます。ありがとうございました。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは、意見交換の時間に入りたいと存じます。委員の皆様、御質問、御意見おありの場合には、ネームプレートをお立ていただければとお願いいたします。
  清水委員からどうぞ。
【清水委員】    ありがとうございました。新経済連盟様に教えていただきたいことがございます。今、お話しいただきました中の、14ページ、15ページ、プログラミング教育のところですけれども、その中に書かれている文言では、「ある程度のプログラムを作り上げる能力」、「ある程度のプログラム」という言葉と、15ページの方には「シンプルなプログラムを組み立てることができる」というキーワードがあるわけですが、この「ある程度のプログラム」「シンプルなプログラム」というのは、どのぐらいのレベルのもの、どのような内容のものかということが、もし具体的なものがございましたら、御示唆いただけると有り難いなと思います。
【一般社団法人新経済連盟】    ありがとうございます。いろいろな言葉の使い方をしておりますけれども、小学校教育という低学年のことで言えば、多分、ゲームで遊んでいると思うんですね。非常に興味を持っている。そしてゲームがスマホなりゲーム機の中で動く向こう側に、プログラムが走っているわけですけれども、簡単なものであれば、今でもそういう講座の中で言えば、小学生が簡単にものを動かすぐらいのことはできます。シンプルなプログラムというのは、その程度のものですね。
  あるいは、多分、今も高校だと情報科、中学だと技術家庭でプログラミングをやっていると思うんですけれども、その中でも簡単な、道路がある、信号機を動かすとか、そういうものがプログラミングで動くという、こういうものは簡単なものだと思うんですが、そのぐらいのイメージと、実際にプログラムというのは何なのかと。何かアルファベットと数字みたいなのが並んでいるわけですけれども、そういうものが走って動いているという、そういう関係性というんですか、そういうことを含めて最も基礎的なという、そんなイメージでございます。
【無藤主査】    ありがとうございます。それではいかがでしょうか。どうぞ。
【上田委員】    ありがとうございます。同友会様にお伺いしたいんですけれども、キャリア教育の推進に当たっては、社会全体で教育に関わっていくことが重要だと。これ、とても重要なことだと思います。特に子供さんたちが、将来自分がどういう方向にキャリアを進めていくのかということの、いろいろな例をしていくことは、学習のモチベーションを高める上でも極めて重要で、こういう点について、どういう形でのコラボレーションが可能とお考えでしょうか。
【公益社団法人経済同友会】    これは先ほど私の方から話があった、要するに「学校と経営者の交流活動推進委員会」の中でかなり推進した、1999年から、先ほど言った1,800ぐらい、いろいろなことをやっております。その中で、経営者の人たちというのは、大きなある事業をやっていきながら、その中で、人材は会社をつくるんです。要するに、いい人材がいる会社というのは必ず成長します。そういうことを経験した人が、子供さん、中学校とか高校に行って、その中でこのようになるべきでしょうということを話していくというのは非常に効果があって、特に学生だけではなくて、一番重要なのは、PTAとはいいませんけれども、御両親の方にもそういう話をしていくというのは非常に重要な活動だと。
  ですから、先ほど話ししました「チーム学校」という一つの問題というのは、この中でもうたってありますけれども、教員の質の向上というのは非常に重要だと思っておりますけれども、でも、もはやそれだけではできない。ですから、社会、経営者、いろいろな人が一緒になって、「チーム学校」という編成をやっていけばいいんじゃないのかなと。というような形で、この中で提案をしてあります。
  そのHOWに関しては、これは私事で申し訳ないんですけれども、私の女房が、少し英語ができるので、地域の小学校に行って、ボランティアで教えようとすると。そうすると、もう徹底して学校の先生から張り倒されていまして、うちの女房が頭に来て、どうして私はここで一生懸命子供のためにやろうとしているのに、周りにいる先生が、そういうような何となく違うみたいなことをいろいろプレッシャーを受けて、全くおかしいということを、うちの女房も随分言っていたことがあるんですけれども、そういうことを含めて、本当に何かロールモデルを作って、一緒になって、地域、あと経済界が一緒になって、こういうことをやったらできるというのが、そういうものをもっと増やしていくというのは、私は非常に重要なことだと。
  各県に一つ二つそういうロールモデルを作れば、そうすると、どんどんいろいろなそれが、スターティング・スモール、小さくてもいいから全国に広がっていくんじゃないのかなと、そのように思ったりもします。私見で申し訳ないんですけれども。
【無藤主査】    ありがとうございます。では、山脇委員。
【山脇委員】    札を上げた後に天羽さんがいいお話をしてくださったので、それに関連してしまうんですけれども、経済同友会さんと、それから新経連さんは、もろ手を挙げて小学校からの英語授業の導入に賛成していらっしゃるんですけれども、つまりどういう授業が小学校からの理想的なものだとお考えなのか。今の段階では、基本的には算数も国語も体育も教えていらっしゃる学校の先生が、十何年前に大学で習った英語を呼び戻して、それで教えるという形になるのが現実的というか、今、想像できることですが、この2団体のお二人は、どういうことが、もろ手を挙げていらっしゃる理想的な小学校からの英語教育だと思われますか。
【一般社団法人新経済連盟】    ありがとうございます。では、新経連から。小学校のことを申し上げています。ここではその先のことは余り申し上げていませんが、中学、高校、大学と、今、大学の入試に、TOFELなり英検なり、民間の英語の試験を使うという、つまり本格的に「聞く」「話す」、そういうものが強化されていくという流れに、もう既にお書きになっていて、そういう流れにあります。
  それを考えるときに、今、高大接続ということが言われて、それもお考えになっておられるわけですが、できることであれば、英語を小学校の、今は5、6が多少やっている、3年辺りからつながる、小学校の英語教育が無駄にならないで中学につながり、それが無駄にならないように高校につながり、無駄にならないように大学につながり、社会に出ていったときに使える英語になるという、そういう時間の使い方が望ましいのではないかという考えに立っております。
  小学校でどういうことかというと、もちろん今、中学校の教育の中で、単語の数とか文法のこととか、いろいろありますが、もう少し基本のところで、まず英語に親しんで、聞いて話す、しゃべる、子供たちが面白がる、面白がって使うことが、何だ面白いな、英語ってこういうことなんだという、英語嫌いをなくすような、そういうところから入っていき、もちろんしっかりしていくのであれば、中学校で教える英単語の中の、どうですか、3分の1なのか、4分の1なのか、ありますけれども、そのレベルのものを押さえていく。
  これは諸外国で、さっきCEFRの例とか、要するに中国も韓国もアジアの国もみんなやっているレベルのものがあるので、そういうところから学べば、おのずとそういう法則といいますか、そういうものが出てくると思うんですが、そんなイメージでおります。
  日本人は本当に英語を使うことにシャイで、もともと能力的にも、そういう耳とあれを持っていないので難しいんですが、でも私の友人で、例えば外人が来て、動物園行って子供たちの団体に会うと、何か面白そうに自分に話し掛けてくる子供たちもいると。だからうまく引き出してあげれば、別に日本人がシャイでナイーブで英語が下手なんだではなくて、教育の方法で幾らでもそれは変わるんだろうと、そんな問題意識です。
【公益社団法人経済同友会】    私の考え方は非常にシンプルで、まず小学校、こんなのは文法とかやっても全く意味がないので、私的に言うと、慣れることだと思います。だから、聞く英語。常に周りに英語が飛び交っているという。そこからだと、私の経験上、私も長く海外に住んでいたんですけれども、ものを読んで覚える英語よりも、耳に入ってきて音で覚えるという。だから小学校は、そういうようなことを全部いけばいいんじゃないのかなと思います。
  中学校に入ってくると、私のこれも経験で言って申し訳ないんですけれども、大体2,000単語あれば、大体しゃべられます。コミュニケーションはできます。でも、中学校の二、三年ぐらいになってくると、どうして英語というのはやった方がいいんだろうという、WHYということを学校の先生方がちゃんとうまく説明しないと、なかなか嫌いな人が出てくると思います。
  ですから、こういう経営者の人たちが、いろいろな形でそういう中学校に行ったりして、いろいろ話しするというのは、非常に僕は重要だと思いますし、高校になってくると、それをどんどん使って、異文化交流といいますか、海外に行っていろいろなことをする、そうすると、英語でしゃべることによって、いろいろな人と友達ができたり、また、いろいろなものが新しい形で自分の身に付いてくるという、そういうような形のうまいステップを踏んでいくと、私はいいんじゃないのかなと。
  ところが、最初からいろいろな文法なんていうのは、必要といえば必要なんでしょうけれども、先ほど言いましたように、中学校ぐらいでは、大体本当に2,000単語あれば大体しゃべられます。ですから、文法中心というよりも、中学校ぐらいにはしゃべる英語ということをやっていくといいんじゃないのかなと思います。
【山脇委員】    そうしますと、国語や算数の先生がジャパニーズイングリッシュを聞かせるということは、聞く英語がスタートだとすると、まずいという御意見ですね。
【公益社団法人経済同友会】    はい。無理だと私は思います。ですから、本当に低学年のときに、ちゃんとした英語、特に今は、何も先生が全てしゃべれるなんてとても思えませんから、ネットでもいいし、ICTでもいいので、いろいろな形で聞く。CNNを私は聞けとは言いませんけれども、でも入っていけば、いろいろな英語の情報は入ってくると思います。ですからそういうことを中心にやればいいし、それを先生にしゃべれということ自体、私はこれは無理なんじゃないかなと、そのように思っております。
  ですから、ここでも私言ったように、それぞれ実務家教員の人も含め、いろいろなITを使ったりして、そういうのはもっとうまく活用していくということを本当に考えていかないと、なかなかいい形の英語教育ができないんじゃないのかなと思います。
【無藤主査】    ありがとうございました。ほかの委員の皆さんは。
  油井委員、お願いします。
【油井委員】    先ほどのキャリア教育との関係で、同友会の方にお伺いしたいんですけれども、1999年以来、1,800件を超える学校と経営者の交流活動をされているということですけれども、それは多分、正規の教科ではないんじゃないかと思うんですけれども、どういう形で、どんなお話をされて、どういう効果を上げているかというのを伺いたいです。
  それから、関連して連合の方にもお伺いしたいんですけれども、キャリア教育といった場合に、理想ばかりいくんじゃなくて、実際の労働現場の現実というものを生徒たちに知らせる必要があるというお話だったと思うんですけれども、その場合に、何か連合として、学校と連携されるような活動というのは何かされているのかどうか、教えていただきたいんですけれども。
【公益社団法人経済同友会】    私は1999年には同友会にいなかったので、それから20年近いアクティビティーがどうだったというのは、データとしては持っています。ただ、そこの委員長の方に聞くと、PTAの方や先生が、一緒に相談に乗ってあげるとか、小学校・中学校に行ったりと。ここに書いてあるんですけれども、そういう形の中で自分の経験とかをいろいろな形でしゃべってあげる。私、実際現場には行ったことないので、実務のところで、ここに書いてある正規教科ですと、総合的学習の時間や進路指導、そういうことをやっているみたいです。ただ、私が聞いている話では、それだけじゃないと思います。
  ですから、1,800件の中で、いいことや悪いことがあるんでしょうけれども、少なくとも、そのままで止まらずに、それをやることによって、高校とか中学校の校長先生は非常に評価が高いということを聞いております。ですから決して後ろ向きのことじゃなくて、そういうことに。経営者もPTAとして、生徒から見れば異文化の、また違った次元の人。そういう人と接して話しすることというのが非常にプラスになっていると。
【日本労働組合総連合会】    ありがとうございます。連合としましては、ホームページ上に、「はたらくを学ぼう  れんごう学園」という小・中学生向けのコーナーを設置して、それで啓発をしております。また、連合の中にも様々な業界の方おりますので、多様な体験をしていただいています。
  労使で近隣の学校と連携をしまして、これは昔からですが、工場見学を含めて進めてきているという状況となっています。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  私の方からも質問というか、感想ですけれども、新経連様からの方の発表で二つほどですが、一つは、最後の方で、チャレンジ精神、あるいは起業家教育という、非常に大事な御指摘いただいたと思います。これらについては、小・中学校の中で考えると、総合的な学習の時間のようなところで、子供たちが「自分たちがどんなことをできるか」を考えながら、正に小さい規模でのある種の起業というんですか、アントレプレナー的な働きというのができるかなと思って、そういう方向も考えたいと思いました。ありがとうございました。
  もう一つがプログラミングという部分でありますけれども、目指すべき姿という中で、14ページですけれども、二つ目のところで、「自分の行いたいことを具体化するために必要なプロセスを因数分解して理解し、それらを、論理的な整合性をとりつつ有機的に組み合わせていく、という思考様式」と記されてありまして、これが正にプログラミング思考というものを端的に整理していただいたと分かりました。こういうことをしっかりと育てなければならないということは、全く同感でございます。
  中学の場合には技術科、高校の場合には情報科が既に用意されておりますので、そこでかなりプログラミング言語に立ち入ってできると思います。小学校の辺りが非常に難しくて、今の教科などが混み合った中でどうするか、いろいろ思案してございますけれども、このプログラミング思考の定義を改めて見たときに、自分の行いたいことを具体化すると。それを論理的に分解し、組み合わせて実際に動くようにするということとして理解しているんですけれども、例えば実際の活動例で言うと、ロボットを動かすときに、ロボットを動かすための幾つかの変数があるわけです。距離とか速さとか、そういうことですけれども、それに対応したコマンドといいますか、簡単な言語がありまして、それを組み合わせると、あるところからあるところまで移動させるとかというのができると。これが幾つかの会社から発売されて、既に学校現場で一部取り入れているようですけれども、例えばそういうことを、理科とか算数、あるいは総合の時間を使いながら行うということで、そこではまだプログラミング言語というところまでは行かないのかもしれませんけれども、ただ、そういうものを動かすコマンドの組合せ、極めてシンプルですけれども、例えばそんなことをできないかなと、今思いました。そういうことに向けて、いろいろな教科などのモデル単元というんですか、そういうものを是非国の方で出してほしいと願っているところですが、その辺りのやり方というのはいかがなものでしょうか。
【一般社団法人新経済連盟】    ありがとうございます。今、無藤様がおっしゃられたようなことが非常に現実的で、子供たちの興味も引く。本当は科目の時間がとれればいいんですけれども、これはさっきの英語も全部一緒ですが、限られた中でするというのは大変難しい。ですけれども、多分、プログラミングの場合、正に言われたように、理科とか、家庭科というのは小学校もあると思いますけれども、家庭の中にも、もはや避けられない。家の中でもそういうのが動いているので、何かそういう概念も併せて、そういうところでの時間どりもうまく、全部押さえる必要はないわけで、されたら、とてもいいんじゃないかなと思います。
【無藤主査】    ありがとうございました。まだちょっとだけ時間がございますが、ほかによろしいでしょうか。では、一通りお聞きできたかと思いますので、ここまでとさせていただいてよろしいでしょうか。
  それでは、本日、ここで終了ということにさせていただきます。御発表いただきました団体の皆様、誠にありがとうございました。頂きました御意見につきましては、事務局にて整理の上、答申に向けた議論に反映させていただきたいと思います。
  それでは最後に、事務局より今後の日程につきましての御連絡をお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    皆様、本日は足元お悪い中、ありがとうございました。次回でございますが、10月31日月曜日、13時から15時、場所は本日と同じスタンダード会議室、虎ノ門ヒルズFRONT店にて開催をいたします。次回も冒頭より2会場に分かれての開始となりますので、詳細は追って御連絡を申し上げます。
  なお、本日の資料につきまして郵送を御希望される方は、机上に資料を残しておいていただけましたら、後ほどお送りさせていただきます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは、ここで本日の教育課程企画特別部会を閉会いたします。皆様、ありがとうございました。


――  了  ――




〈第3会議室〉
【天笠主査代理】    それでは、ただいまより、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会の第22回を開催いたします。
  本日は、お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  今回も、前回に続き、関係団体からのヒアリングを行います。本日は、16の団体から御意見を頂くことになっておりますので、前回、御了承いただきましたとおり、会場を二つに分けて行っております。
  それでは、これより関係団体からのヒアリングを行います。
  まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    本日は、お手元の議事次第にございますように、資料1から資料18を配付しております。会場分けにかかわらず、全ての団体様から頂戴しました発表資料を配付させていただいております。不足等がありましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。なお、こちらの会場の資料でございますが、資料11以降でございますので、御確認を頂ければと思います。
【天笠主査代理】    各団体の皆様、本日はお忙しい中、御足労いただきまして、ありがとうございます。
  この時間帯にお見えになっている団体は、公益財団法人日本中学校体育連盟様、公益財団法人全国高等学校体育連盟様、公益財団法人日本学校体育研究連合会様の三つの団体でございます。
  それでは、各団体様から御発表を開始したいと思います。意見交換は、三つの団体の発表が終わった後、行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  まずは、日本中学校体育連盟様からお願いいたします。
【日本中学校体育連盟】    では、日本中学校体育連盟、資料11です。
  日本中体連専務理事の菊山といいます。どうぞよろしくお願いいたします。今日は、こういう機会を御提供いただきまして、感謝申し上げます。
  では、まず、次期学習指導要領への期待ということで、6点ほど述べさせていただきます。
  1番としては、今までよく言われている「する」「みる」「支える」プラス「知る」という新しい観点が入り、多様な視点から子供たちは学びができるということ、更にそこに健康課題、あるいは自然災害への対応力の強化、こういったことが入ったことに対して、とても安心感を持ちました。
  続いて、2番としては、共生・協働の社会が求められている中で、人間としての感性という言葉が強く出ていることは、大きな期待感が持てると思っています。
  大きな3番としては、これまで現場ではつい見落としがちだった総則の章が大きく改善されるということがありますので、これに対しては各校長をはじめ大きく期待を持っていると聞いております。
  4番としましては、三つの学力に合わせた3観点での学習評価になるということ。
  5番目としては、文言として「教員は学校で育つ」という言葉が入っています。こういった言葉が、教師を目指す者、あるいは今、現職に就いている者にも大きな力になると読ませていただきました。
  6番として、私たちが直接関わっています部活動ですが、引き続き学校教育の一環であることが明記されていること。それから、教育課程との関連が一層明確になるという考えがあること、時に弊害とも言われていますけれども、生徒のバランスの取れた生活、あるいは教員の負担軽減、指導者の研修、教育、様々な団体との連携、こういったものが重要だと更に捉えられたことは期待できるところだと思っています。
  続いて、現実の中学校の様子を含めながら、お話をさせていただきます。
  0として、中学校の放課後のあり方と書きました。なぜ0にしたかというと、教育課程外ということをちょっと意識して、0という数字を付けさせていただきました。もう先生方も御存知かと思いますけれども、授業とは違った子供たちの顔がグラウンドとか、体育館とか、音楽室とか、様々なところで見えております。
  多くの教員は、そこはもう本当に真剣勝負、授業とは違った意味で真剣に子供と対応している時間だと思っています。その中から、生徒理解力ですとか、指導力、そういうプラスの面が非常に多くの教員の力になっていると考えております。
  生徒の方からいうと、居場所作り、異年齢の生徒による居場所作りというのは、なかなかほかにありません。全ての子供たちにとって、貴重な時間帯だと思っています。
  さらに、学校の中でいうと、いわゆる教育技術の伝達ということが非常に大きな問題になっているわけですけれども、部活動だけではありませんけれども、ベテランの先生と若手の先生が共に、生徒を介して指導の姿を見せ合う。そういったことが、指導技術の伝達という意味で若手教員の育成の場になっていること。
  3段落目に、今回、新しく出てきた「社会に開かれた教育課程」との関連付け、こういったことも大きなポイントになるだろうと思っています。
  最後2行に書きましたけれども、今現在、様々な課題があることは私たちも十分認識しておりますので、関係する方々が是非集まって、お互いの知恵を絞って、持続可能な部活動が更に続いていくことを願っているところです。これが進むことによって、教員本来の生徒と関わる楽しさ、あるいは学校教育のやりがい、そういったものを持ち続けることが可能だろうと考えております。
  円グラフを二つ載せました。昨年の夏、私たちが本連盟の60周年を記念して、全国の中学生、1万人近く、9,000人ぐらいのデータを取りました。左側が男子ですけれども、運動部が83%、文化部6%、89%の子が放課後の活動に参加しています。右側の方は女子ですけれども、運動部61%、文化部31%、約92%の中学生が放課後の活動に入っていると、こういった現状があるということを御理解ください。
  続きまして、2ページです。一番上に、「授業集中」「行事団結」「部活熱中」と三つ書きました。多くの学校では、授業、行事、部活、この三本柱でそれぞれ熱のある教育活動を展開しているだろうと考えております。言葉の中にもあったわけですけれども、今回、人間性の育成ということが出ていることに非常にうれしく思いましたし、期待を持っているところです。
  段落の下の方ですが、特に日本人がスポーツに求めるものとして、当然、強さ、速さ、うまさを求めるわけですけれども、それ以外に、部活動、運動部の中で人間性、取り組む姿勢、あるいは周囲との関係、こういったことも学校の部活動では指導をしています。要するに、卒業するまでの過程で、勝つことだけではないんだということを、どの顧問も強く求めていると私たちは理解しております。
  まとめとしまして、意義・効果として三つ、第1には教員が指導しているということ。それぞれ専門ではないかもしれませんが、学校の教員が指導しているというのがポイントです。二つ目とすれば、全ての学校、今、約1万600校ありますけれども、平等に、経済的負担も余りなく、参加が保証されているということ、これが部活動の強さです。第3に、最初にも言いましたけれども、「する」「みる」「支える」「知る」のうち、特に「支えるスポーツ」、大会においては、子供たちは選手として出るだけではなく、負けた場合には審判に当たります。あるいは、もともと大会役員として生徒が携わってくれています。そうした支えるスポーツの場にもなっているということです。
  マル1からマル10まで細かく書きましたので、後でお読みいただければと思います。私たちは、①の真剣に正面から向き合う時間だということを強く訴えたいと思っております。
  続いて、弊害です。2行目に、一つの活動に偏った活動や生活が望ましいとは思っておりません。全国の中には、どうしても行き過ぎな顧問がいることも事実です。そういった者については、日本中体連をはじめ、各都道府県中体連を通して指導や啓発に努めているところだと思っております。
  5行目、生徒の心身全体の成長を目指す点が不足していることが見受けられる、こういったことは私たちも課題だと思っております。
  二つ目のポイントとしては、やはり教員の長時間勤務、この大きな原因が部活動ということですので、教員の勤務状況の改善、運営体制の改善、充実、報酬補償の確保、こういったものが弊害、あるいは解決のポイントだろうと考えています。
  3ページ目に入ります。まとめとして、マル1、マル2、マル3  とまとめました。生活の偏り、疲労や他の活動への不参加、教員の荷重負担、勝利至上主義といったものです。
  大きな2番につきましては、これまでにもありますので繰り返しませんけれども、是非、学校教育の一環ということであれば、教育委員会、それから管理職、この上に立つべき人たちが現状把握をしっかりしていただいて、指導性を発揮してもらいたい、これを強く訴えたいと思います。
  大きな3番の多忙感の解消につきましては、学習指導要領に沿った指導を展開するために定数改善、マル2に手当の拡充と書いたのですが、現場とすれば、お金も確かに欲しいけれども、時間もより欲しいというのが現実の感じだと思っています。
  大きな4番、部活動支援員につきましては、これまでも何回か話をしてきたことですけれども、最後の4ページにまとめております。免許・資格を持っていてほしい、研修の機会を与えてほしい、位置付けを明確にして欲しい。任務分担、大会の引率だけではなく、先ほど言った審判等は相互審判ですので、そういったことも十分に理解してほしい。
  大きな5番の教科体育につきましては、マル1、スポーツというのはルールが当然変わってきます。それによって用器具が変わるわけですけれども、その予算措置がなかなかうまくいかないという点が一つ。それから、マル3に書きましたが、中学校の体育とすれば、全小学校に体育専科を配置していただけると、つながりがとても強くなると感じております。
  大きな6番、総則体育につきましては、今後の日本のことを考えると、マル1からマル4、健康寿命のこと、高齢化社会のこと、医療費のこと等々を書かせていただきました。
  まとめになります。一番最初に言いましたが、約90%の生徒が参加している活動を是非充実していただきたいと思っています。
  最後に、二つだけ言って終わりにしたいと思います。前回のとき、学習指導要領を全教員に配付していただきました。私、そのときは校長として現場にいたのですが、非常に校内研修等々で役立てることができました。是非これは続けていってほしい、それが1点目です。
  二つ目は、スポーツ庁等の様々な御指導を頂いて、私たちは今、活動しております。これまでもスポーツ庁、特に学校体育室の方からは指導、助言を頂いておりますので、今後ともそれを是非続けていただいて、お互いの理解を深めていただければと感じております。
  以上です。ありがとうございました。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。
  それでは、続きまして、全国高等学校体育連盟様から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【全国高等学校体育連盟】    全国高体連で専務理事を務めております奈良と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  本日は、次期学習指導要領の改訂に向けた「審議のまとめ」に関する意見発表の場にお声掛けを頂きました。ありがとうございます。
  本連盟は、高校生の健全な発達を促すために、体育、スポーツ活動の普及、発展を図ることを目的とした全国組織であります。その目的達成のために各事業を展開しておりますが、特に夏、冬に実施しております全国高校総体、「インターハイ」と呼ばれておりますけれども、この実施は本連盟の中心事業であります。一方、このインターハイに選手として出場する高校生は、全国約120万人の運動部活動に所属する生徒の約2.3%、毎年、2万7、8千人といったところであります。そういった状況ですので、当然ながら部活動に所属する全ての生徒、ひいては高校生全体の健全育成が究極の目的であることを前提として、お話をさせていただきたいと思います。
  さて、お手元の資料は、A41枚で、資料12となっておりますが、大きく4つの項目に分けてお示ししてあります。時間のこともありますので、その中で3点に絞って、本日はお話をさせていただきたいと思います。
  まず、大きな一つ目として、資料の項目番号1、部活動の教育的効果等についてです。その中には更に五つの項目があります。そこに記載した内容の全てが従前から言われていることであり、今更ながらという感はありますけれども、高校生を取り巻く様々な環境が、私たち大人が想像する以上のスピードで、本当に急激に変化する中、改めてという意味で、ここでは(2)社会性を育むということに絞ってお話をさせていただきたいと思います。
  少子高齢化が加速度的に進む中、併せて人間関係の希薄化が一層進んでいます。その原因に、他者との直接的な関わりを持とうとしない若者たちの増加、また、直接的な他者との関わりをもたなくとも一定の充足感を得ることが可能な状況があります。その一つの背景として、インターネットやゲーム機器などなどの発達が挙げられます。
  特に、スマートフォンの普及による影響は極めて大きく、その高い利便性がある一方、中でも無料通信アプリの利用は、高校生のコミュニケーション手段や、生活スタイルそのものにまで大きな影響を及ぼしているという実態、現実があります。もちろん、その利便性を否定するものではありませんが、学校現場ではその利用方法や、やりとりの内容そのものが大きなトラブルの原因になっていることも事実です。そして、この状況は、今後、更に進んでいくことと思います。
  総務省が全国の高校生を対象に実施した実態調査によれば、全体の99%がネット接続機器を持っており、また、その中のスマートフォンの保有率は84%、更に1日当たりの平均利用時間で2時間以上と回答した高校生が56%となっています。また、私自身がこの春まで所属していた学校の同様の実態調査においても、1日の平均利用時間136分という結果を得ております。これについては、学校内では実態より少し短めに出ているのではないかという分析もありましたが、総務省との調査結果とも一致しているという実態があります。
  一方、部活動は、個々の目標に加え、集団として共通する目標の達成に向け、様々な葛藤の中で課題を乗り越えていくことが一つの前提として挙げられます。そして、その目的達成に向けた過程では、否が応でも直接的な人間関係が生じます。前述した状況にある高校生にとって、それらの経験は自己理解、他者理解、協調性などなど、社会人として生きていく上で必要な社会性を学ぶ絶好の場となります。しかし、これらの学びは、「部活動だから」とか、「部活動でなければ」といったものでは決してないと考えます。当然ながら、学校教育全体が有機的に機能し展開されることで、個々の生徒にとってより効果的な教育となります。このことは、次期学習指導要領が意図する一つの方向性である「2030年の社会や、その先の豊かな未来作りを担う高校生の育成」にとって重要な視点と考えております。さらに、この視点は、お手元の資料の項目番号2の(4)、また項目番号3の(1)及び(2)にも結び付く内容、視点と考えています。
  次に、大きな二つ目として、項目2、部活動を取り巻く現状の諸課題についての中から、(1)持続的な指導体制の確保に係る問題について述べます。部活動顧問教員の負担感・多忙感につきましては、国際間比較で日本の教員の労働時間が最も長く、その大きな原因の一つが部活指導であるとされています。その状況につきましては、先ほど中体連の菊山先生のお話にもあったことと重なりますけれども、高等学校の現場におきましても全く同様の状況があります。しかし、このことにつきましては、スポーツ庁においてで「詳細な実態調査」、また「客観的な医学的知見などに基づくガイドラインの策定」、更には「外部人材の活用」などに向けて取り組まれており、中・高で共通する課題であることから、高体連といたしましてもその方向性について感謝しつつ期待を持っております。
  その中で、「外部人材の活用」につきましては、今、申し上げましたとおり、方向性としては大変有り難いことであり推進して頂きたいと考えておりますが、「教科の専門性を有した教員が教科指導と併せて部活を指導する」、ここに大きな教育的な意味があるわけで、外部人材の導入イコール顧問教員の業務改善にはなり得ても、生徒にとってより質の高い教育の提供に直結するのかという点については、引き続き慎重な議論が必要と考えます。さらに申し添えるならば、次期改訂の基本方針の中にもございますとおり、教員定数の拡充など指導体制の確保に向けて積極的な議論を引き続きお願いしたいと思います。
  最後に、大きな三つ目として、項目番号2の(2)運動環境の整備と、項目番号4の(2)持続的な部活動の指導体制の確保についてというところで、共通する内容として一つ述べさせていただきます。全ての学校に、全ての部活動指導ができる教員が配置されているわけではありません。逆に、高い専門性を有しながら、その指導力が十分に活用されていない教員の存在もあります。また、施設や設備の面の充実においても各学校間で温度差があります。これらの課題改善に向けて、学校の枠を超えた指導制度体制の確立。二つ目として、退職教員の中で高い専門性を有する教員を部活指導者として活用する。三つ目として、学校施設の整備、充実と解放枠の拡大などが挙げられると思います。
  次の時代の日本や世界を担う生徒の育成に向けて、より質の高い教育を提供するため、限られた人材、設備を最大限に活用することが可能となるよう、制度上の規制や従前の改善にとらわれないという視点から、是非、今後の検討、議論を進めていただければと考えております。
  以上です。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。
  それでは、続きまして、日本学校体育研究連合会様、御意見の御発表をお願いいたします。
【日本学校体育研究連合会】    公益財団法人日本学校体育研究連合会の本村でございます。今日は、このような場を設けていただきまして、ありがとうございました。
  1番の所ですが、私どもの会について、昭和22年の発足です。そして、37年、平成25年ということで発展してきたもので、加盟団体は各都道府県に学校体育研究団体があるわけですが、その保健体育部会の統括をしています。通称、学体連と申しております。
  では、具体的に意見の方に入らせていただきます。
  2番、第1部についてでございます。
  まず、(1)です。予測し難いところではありながらも、2030年の社会を見据え、子供たちの未来に向かって、「育成を目指す資質・能力」を「何を理解しているか、何ができるか」「理解していることを・できることをどう使うか」「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」の三つの柱で構成しているのは、大変分かりやすいと受け止めます。
  そして、第1部構成を「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「子供一人一人の発達をどのように支援するか」「何が身に付いたか」「実質するために何が必要か」という論点でまとめられていることから、具体的で改訂の方向性が非常に明確だと受け止めております。中でも、「学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策」を挙げていただいているのは画期的だと思います。つまりは、理念の実現に対する期待が高く持てるというような受け止めをさせていただきました。
  しかも、平成10年にうたわれた「生きる力」の理念について、現代的な意義を踏まえて、より具体化することを目指していることから、学校現場でのこれまでの実践等がこれからも生かされ、発展、充実させることができると思います。なれてきたのに、また指導要領が変わるのかと、そういう現場の声が一部でありながらもありますが、そうした声を払拭することができるのではないかと考えております。
  そのためにも、周知徹底が必要だと思います。平成10年の改訂時、やはり説明不足があったかと思います。そのような説明不足の繰り返しはしてはいけない。そのためにも、学校、教員、保護者はもとよりですが、実は教員養成課程を持つ大学にも丁寧な情報提供、あるいは資料提供が必要ではないかと考えております。
  それとともに、重要なことは条件整備と考えます。小学校の専科教員、教員定数の改善、充実等の条件整備が必要不可欠なのは、これまでの発表にもあったとおりでございます。体育においても、特に小学校高学年における専科教員の充実を強く希望したいと思います。なぜならば、高学年にもなると、児童の身体能力や動きが俊敏になるとともに、個に応じた専門的な指導が必要となるからです。つまり、技能差、体力差が著しくなってくるということです。もう一つ、小学校の女子児童に運動の二極化が指摘されております。こうしたことからも、専科教員の必要性が高いと考えます。また、中・高等学校における武道指導の充実のため、教員研修及び外部人材の活用を一層進めていただくことを強く希望したいと思います。
  さらに、人材育成の面ですが、中核となる教員の育成が重要な課題と考えております。そのためにも、授業研究、「審議のまとめ」の方でも国際的に評価されているという記述がございますが、その授業研究に関する文部科学省の研究指定校、あるいは研究推進校、これらの制度の一層の充実をお願いしたいと考えております。
  (6)の所ですが、以下、第1部に関して幾つかの意見、質問等でございます。マル2の方です。生きる力と知・徳・体との関係性、これは非常によく分かりますが、育成を目指す資質・能力の三つの柱との関係性について一層明確にしていただきたい。特に、学びに向かう力、人間性等との関係について更に補足していただくと、実は学校現場での実践的研究が進みやすくなるのではないか。その辺の関係性をもう少し理解すべく、加筆いただければ有り難いのではないかという受け止めをしております。
  アクティブ・ラーニングは、指導要領上、これまで指導法としては踏み込んだ記述はなかったわけですが、大変効果的だと考えます。中でも、高等学校に関する言及を強くしていただけたら、なおよいのではないかと思っております。
  評価の3つの観点ですが、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3つの観点で整理されております。これは、育てたい資質・能力の三つの柱の関係性から非常によく整理され、解説なされていることから、学校現場でも非常に理解しやすく、受け入れやすいと考えております。ただ、体育の場合、実技教科ですから、知識・技能については実践上の課題として難しくなったとも考えております。「分かる」と「できる」をうまく関連付けた指導と評価が、今後の大きな課題になろうかと考えているところです。
  特に小学校では、現行、体育の領域では知識の内容を取り扱っておりません。その理由は、まずもって体を動かそう、仲間との触れ合いを大切にしよう、運動することが大好きになってほしいという願いがあるからです。もとより、分かることで一層できるようになり、運動の楽しさを更に味わうことができるようにしていかなければなりません。学校現場と学体連等との連携を密にして、指導と評価、PDCAサイクル等によって学習成果を更に高めていくことが、私どもに課せられた課題だと受け止めております。
  五つ目です。評価に当たっての留意点等ですが、「意欲」が「審議のまとめ」ではほとんど使われていないのは一体なぜだろうというのが素朴な疑問です。意欲を持って自ら課題解決に向かう姿を、学びに向かう力とするのであれば、その旨、もう少し丁寧な説明があれば、学校現場は分かりやすいのではないか。意欲の向上については、今なお各学校現場の主要な研究テーマであり続けているからです。どこの学校の研究報告書を見ても、研究テーマの方で「意欲」という言葉がたくさん見受けられます。この意欲が消えていくのか、それとも、どういう表記になるのか、そのようなことを少し懸念しているところです。
  6番の所です。評価に当たっての留意点等で、高等学校における指導要録の様式の改善に踏み切っていただきたい、また、そのような方向性を「審議のまとめ」の方に書いていただいていますが、是非進めていただきたい。少なくとも高1では、義務教育とのつながりから指導要録改正が必要ではないでしょうか。
  次、3枚目でございます。第2部についてです。
  3行目の方に目を移していただきたいと思います。各教科等における見方、考え方と、小・中・高一貫した学校段階間の接続を踏まえ、各教科等において育成を目指す資質・能力の整理、各教科等における教育のイメージ、学習過程のイメージ、これらを体系的にまとめていただいたことは、これまでになく画期的なことだと思います。その意味で、ワーキンググループの御努力に敬意を表したいと思います。このことから、学校現場では理論と実践を一体のものとして意図的に、系統的に、そしてまた発展的にその理念の実現、これを目指した授業研究が取り行われるのではないかと考えております。
  部活動については、これまでになくその在り方について紙面を割き、教育課程との関連を図った学校教育活動の一環としての重要性と、その方向性を示していただきました。示唆に富む内容と考えております。これまでも発表がございましたとおり、行き過ぎた勝利至上主義、それに伴う体罰等の問題、休養日等の設定、少子化を踏まえた指導体制の確立、外部人材の活用等、様々な課題を乗り越えて、子供たちが豊かなスポーツライフを送ることができるよう、学校、保護者、地域、行政、スポーツ団体等が一体となって連携、協働していかなければならないと思います。なお、学校体育・スポーツが競技スポーツ、そして地域スポーツ、生涯スポーツの基礎作りである、このことをしっかり踏まえた対応が今後とも求められると思います。
  (3)です。体育、保健体育についての見方、考え方として三つ挙げてございます。生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現する資質・能力の育成、二つ目に健康の保持増進のための実践力の育成、三つ目に体力の向上、これが重要と明記されておりました。実は、これは現行の私どもの教科目標の具体的目標、その3つを改めて押さえていただいているということから非常に有り難いし、この3つは保健体育科教育の原点と再確認ができたのではないかと思っております。したがって、体育と保健の一層関連を図った指導の改善、充実を進めていきたいと考えています。
  五つ目です。体育科、保健体育科において育成を目指す資質・能力の整理が、三つの柱に即して、小・中・高一貫して示されました。これも重要なことであり、授業研究の狙いが明確になると考えております。さらに、教育のイメージ、学習過程のイメージも提示されたことから、広い視野を持って授業作りの構想を描くことができるものと考えます。得てして、授業作りはどうも狭いところを見詰めてしまうということがございますが、このようなイメージがしっかり示されたことによって、広い視野を持って授業作りの構想を描くことができるのではないか、非常に示唆に富む内容を提示いただいたと考えております。
  ただ、体育科、保健体育科において育成を目指す資質・能力の整理については、小・中・高における学びに向かう力、人間性等の欄ですけれども、この欄で現行の教科目標の最終的に実現を目指す目標、このことを私どもは究極的目標と申し上げているのですが、この究極的目標と同じ文言が示されている、これが少し気になっております。なぜなら、育成を目指す資質・能力の三つの柱の一つになっているからです。現行の指導要領では、先ほどの3番の所に示してございましたように、三つの具体的目標の実現を目指すことによって最終的な目標、つまり究極的目標の実現を図ることができる、このように捉えているからであります。
  最後のページです。4はお読み取りいただければと思います。
  ※印の所で今回の「審議のまとめ」は、過去に比して具体的で一貫性のある内容であると同時に、育成を目指す資質・能力の整理、イメージ等々を一覧表にまとめて、構造的に示されました。このことによって、新しい学習指導要領の趣旨を生かした授業作り、授業研究に極めて効果的ではないか。学体連としては、学校現場と一体となって、今後も改善、充実に努めてまいりたいと思っております。
  以上でございます。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。
  それでは、これより意見交換の時間に入りたいと思います。御質問、御意見のある委員の方は、ネームプレートで合図していただければ、私の方から御指名させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  では、平川委員。
【平川委員】    ありがとうございました。平川と申します。よろしくお願いいたします。
  おっしゃっていること、本当にごもっともだと思いながら拝聴させていただきました。現在、部活動は、生徒にとって本当に大切な教育活動であること間違いなくて、授業中とは違った生徒たちの姿が見られて、私も現場の一校長として大変重要な活動であることは間違いないと捉えております。
  その中で、2点ばかり御意見を伺わせていただきたい点がございます。一つは、部活動は、今、保護者などから過度な要求なども多い中で、教員の善意によるものであるということを知らないようなこともあるのではないかと思っております。部活動は、学校教育活動ではありますけれども、あくまでも教育課程外であるということをもう少し明確にしていって、世の中の理解、具体的には保護者であるとか、地域、あるいは教員自身にも、きちんと教育課程外であるということを明確にするべきではないかという点について、どのような御意見をお持ちかということを教えていただければと思っております。
  2点目に、山間地とか離島は部活動の維持が難しかったり、あるいは都市部においても子供の人口が減少している等で難しい面が多々あると思っております。今後、学校同士の提携、アライアンスですとか、学校とクラブ、地域クラブとのアライアンスなどでも大会に出られるようにならないか。現在、学校単位でないと、なかなか大会に出られないということがありますので、そこを何とか多様性を認める形で、より質の高い部活動にするべきではないかと思っておりますので、その辺りの御意見を伺いたいと思っております。場合によっては学校管理下ではない形も考えていかなければいけない、という時代に入っているのではないかとも言われている中で、この辺り、どのような御意見をお持ちかということを是非伺わせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【天笠主査代理】    それでは、それぞれのところで御意見をお願いしたいと思いますが、もう一つ私の方から、今の平川委員に加えさせていただけますでしょうか。それは指導体制という、校内にという意味ではなくて、広い意味において、それぞれのレポートの中にもありましたように、関係団体ですとか、教育委員会ですとか、地域ですとか、そういう広がりの中での在り方というのもまた一つのテーマではないかと、そういう御指摘もあったかと聞かせていただきました。そういう意味で言うと、部活を支えていくこれからの体制の在り方について何かお考えがありましたら、今の平川委員の質問に加えていただければ、お願いできればと思います。
  まず、中学校体育連盟様からお願いします。
【日本中学校体育連盟】    多少、個人的な意見も含めてということで御理解ください。
  保護者等々から過度な要求、保護者が先生方のサービスだということを知らないということは、確かにあるかと思います。私も現場にいたときには、年度当初、保護者会で、先生方の熱意によって、好意によって活動ができるのだということを言っていました。校長みずからが説明してほしいということを、都の中体連のときもお話ししています。これは、各中体連、47都道府県でも同じようなことをやっているかと思いますので、まず校長先生自身にそこを強く関わっていただきたいということが一つあります。
  それから、二つ目の生徒減少に伴ってのチーム編成、あるいは活動単位のことですけれども、今、現実に私たちも合同部活動は認めております。二つ、ないしは三つの学校で、足らない者同士が集まって参加する。これは平成16年度辺りから認めてきております。
  そうはいってもなかなか、競技によっては参加の子供たちが少なくなり、運営することが非常に厳しくなってきているということはあります。合同チームの作り方、編成の仕方については、私たちの大きな課題の一つとして研究をしているところです。ただ、合同チームを作るといっても、先ほど先生からありましたけれども、山間部、あるいは離島などだと、どれだけ探しても島に一つしか学校がなければ、合同の作りようもない。
  東京などでも、島同士で行き来できないということで、島からこちらへ出てきたときに初めて合同チームができるという現実もあるわけです。そのように各地で様々な条件が違いますので、そこは柔軟に対応していかなければいけないと思っています。
  ただ、中体連というのは、基本は学校単位ということが今も続いておりますので、学校を基本として大会を運営する。これを変えるとなれば、かなり検討していかなければいけないと思っています。やはり基本的には教員が監督であり、引率者であるという大原則は今のところ続いております。
  それから、三つ目の指導体制の在り方ということですけれども、例えば地域総合型スポーツクラブが全国にかなり動いてきております。できれば、そのようなところとのタイアップがうまくできないか。それ以外に、市や区がやっている社会体育の中に部活動も一部入れていただいて、活動を応援していく。そういったことはこれから考えていかなければいけないだろう。背中合わせではなくて、向き合って情報を共有していく必要があるということは、私たちも認識しております。
  以上です。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。
  続きまして、高体連、お願いします。
【全国高等学校体育連盟】    一つ目の過度な要求というか、これは現場を扱っていた者として、運動部活動に限らずというか、むしろそれ以外のことが多くて、ここは運動部活動に絞って話をさせていただきますと、私立学校と公立学校の違いは少なからずあるかと思います。私は公立学校に所属していたので、その立場で話をさせていただきます。
  やはり学校に言えば必ず何かやってくれると。その要望、期待に応えるのは、一つ使命かと思います。ただ、できることとできないことの線引きをきちんとした上で、これ以上のことはできませんという話をやはりきちんと表明する。先ほどの平川委員のお話のとおりだと思います。
  現実的に、私どもも時代の変化とともに、学校に対する、又は教員に対する世の中の見方とか、受け止めが変わっている中で、大昔であれば、学校の先生の言うことであれば的な、又は学校に任せていればということで、よくも悪くもそういう状況があったわけですけれども、何か事あれば学校に、これはもう学校でお願いしますと。
  例えば、部活動で言えば、善意や熱意に支えられていますから、土曜日も日曜日も休みなく指導する顧問の先生はいい先生で、そうではない先生がいたとしたら、ちょっとさぼっているのではないかというような見られ方は現実的にあります。教員は、根っこのところで真面目ですから、やはり子供たちを前を置いたときには一生懸命やろうと、この善意は崩れるものではないと思います。それはお金の問題とかではないと、僕は思っています。
  ただ、A先生はこうで、B先生はこうだというような見られ方をするというのは、学校としては極めて不本意だと思っています。また、科学的な知見に基づいた休みを入れるとか、これは従前から言われていますけれども、そういったことをきちんとアピールすることが必要かと思っています。
  その中で、誤解を恐れずに言うならば、親教育というのが実は大事だと思っております。そこで留めておきます。
  二つ目の学校単位の枠にとらわれないというお話、これは菊山先生のお話とも重なりますけれども、冒頭に申したように、私どもはインターハイを中心の事業として抱えております。これは、学校単位がもう大前提です。ただ、種目によっては、学校の中に施設や指導する教員がいない、要はスポーツクラブとか、水泳とか、種目によっては外で指導を全て受ける。ただ、それでも学校に所属している、そして学校が登録していることが前提になりますので、これを乗り越えていくのは相当な議論が必要になるかと思います。制度の根底を変えていかなければいけないということになりますので、大きな取組になると思います。
  一方、私は、先ほどのお話の中でも触れましたけれども、教科を指導する教員が授業の時間ではないところで、部活動を通して子供たちに触れる、これが、うまく言えませんけれども、無限の教育につながっていく。それは日本の学校教育のスタイルというか、文化というか、それが今、問われているのかとも思いますけれども、そこの部分はまだ大事なのではないかと考えています。
  それから、指導体制の広がりについては、今のこととちょっと重なりますけれども、最後の方で1点提案させていただいた、学校の枠を超えた指導体制作りにもつながるかと思いますが、必ずしも専門性の高い教員がいない場合は、学校の枠にとらわれない、又は、地域にはそういう人材がいますので、そういう方々を、先ほどから言っている外部人材の活用という中で、もう少しきちんと制度を組み立てた上で導入していくことで広がりが出てくるのではないかと思っています。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございます。
  日本学校体育研究連合会様は、今のことについて何かありますでしょうか。もしありましたら、お願いします。
【日本学校体育研究連合会】    教育課程外の活動ということは、意外と保護者の方とか、地域の方は御存じないと思います。だから、ちょっと誤解が生じているのかなと。でも、学校の先生方はまずもって教育課程外だということは承知の上で、学校教育活動の一環として部活動に情熱を傾けていただいていると、そういうことだろうと思います。私ども学体連としては、体育の授業作りと運動部活動は非常に相関関係が高いということで、連携を深めていきたいと思っているところです。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。
  ほかの委員方。髙木委員、どうぞ。
【髙木委員】    今の意見の中にも少し出てきていましたが、私は部活動は大事だと思っていますが、最近、少子化になってきて、部の種類も大変少なくなってきているということ、今後、更にそういった問題で各学校の部活が少なくなり、複数の学校でチームを組むということも出ていると思います。奈良理事も今のところで少し言われましたが、特に中体連の問題です。
  日常的に指導していない部活で、スポーツクラブ関係が大会等を開いたときに、学校ではない部活に教員が引率していかなければいけないような状況がかなり出てきていると私は把握しております。そうしますと、社会体育と学校体育、又はスポーツクラブとの関係を、今後、明確にしていかないと、先生方自身の負担が大きくなる。さらには、スポーツクラブに参加している保護者たちは、教員が付いていかないと大会参加もできないと、中体連でなければできないということを言われて、学校に強い要望を出している事例もかなりあります。
  そういったことを含めまして、今後、大会運営の在り方とか、生徒の参加の在り方をもう少し考えていかないと、教員の負担とか、かえって言えば部活に対する教員の方の負担感も増えているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
【天笠主査代理】    それぞれから御意見いただきたいと思うんですが。
【髙木委員】    中体連だけでいいです。
【天笠主査代理】    中体連だけでよろしいですか。そういうことですけれども、ちょっとお待ちください。
  ほかに委員の方で、品川委員、ありましたらお願いします。
【品川委員】    どうもありがとうございました。大変勉強になりました。
  先ほど、天笠主査代理がちょっと指導体制のことをおっしゃっていたと思いますが、実は私は奈良先生と全く同意見で、部活動は子供たちの教育的ニーズを行動観察するすごくいいポイントだと思っているのです。それは、ただ授業場面で見られない場面が見られるだけではなくて、その子の脳の発達特性も見ることができるという意味においては、非常に大事だと思っているのです。
  一方、今、お話を伺っていると、もうちょっとこれは整理できるのでなはいかと、お三方のお話を聞きながら思っていました。実は、この資料の中にも「チーム学校」でという言葉が出てくるのですが、例えばコーチみたいなスポーツの専門指導、スポーツに限らず文化部もそうだと思うのですが、コーチングみたいな専門指導をおやりになる方と、別にちゃんと教員は教員として組織の管理というか、部活のマネジメントというのは絶対必要だと思っています。学校で言えば、学校長と担任みたいに管理職と分かれていると思うのですが、同じように「チーム学校」にした場合、教員は組織経営を専門でやる、ファシリテーターをやる、指導はそれぞれの専門家がやるというように分けることは可能なのかどうか。実際、私が取材していると、そういう学校を幾つも拝見して、実はうまくいっているということも見ているのですが、それは全然現実的ではないということなのか、ちょっと御意見を伺えればいいなと思いました。
【天笠主査代理】    それでは、予定している時間を超えつつありますので、今の御質問等々についてお答えいただいて、それで終了という形にさせていただきたいと思いますが、委員の方、よろしいでしょうか。
  そういうことで、まず髙木委員の方からありました中体連に対してということと、重ねて品川委員に対してありましたら言及をお願いいたします。
【日本中学校体育連盟】    まず、よく出てくるのは、確かに先生が言われたとおり水泳の場合、学校の部活動で、学校のプールで泳いでいる生徒さんよりも、地域のスイミングクラブで練習なさっている生徒の方が圧倒的に多いと思います。
  私どもの方でも、例えば水泳の場合は個人種目ですので、個人の場合は特例として外部指導者、あるいは保護者の引率も認めるということも、柔軟に対応しなければいけないだろうということでやっています。
  私の記憶では、学校の水泳部がどんどん少なくなってきた中で、やはり中学校体育連盟として水泳の大会も開催する。中体連の大会をやってほしい、そこに出たいという要望も強くありましたことで、日本水連さんと共同で、全中大会については主催をさせていただいています。これにつきましては、引率のときにけが、事故が起きた場合の補償の問題等々もあったと前任者からは聞いております。今は、個人種目の事故の場合は対応していただけると聞いております。
  それから、大会運営の在り方については、先ほど部活動支援員のところでも言いましたけれども、教員が相互審判でやっていますので、そういう外部の方が入ってこられた場合は、是非そういう人たちにも大会運営に入っていただくような、それは任用面での補償等も必要になってくると思っています。
【天笠主査代理】    続けてください。
【全国高等学校体育連盟】    品川委員から、専門的に指導できる人と教員の仕事分担というところですけれども、私、個人的な立場になりますけれども、これはやはり進めていくべきだと思います。ただ、その中で、完全にセパレートできるかというと、やはり子供が間にいるわけですから、それに対する安全上の問題だけではない責任というか、やはり教員が抱えなければいけない部分はあると思います。もう既に外部指導員の制度というのはありますから、私の学校にもいました。有り難い状況ではあるのですが、中にはトラブルもなくはなかったというのが実態です。
【品川委員】    すみません、私の質問が悪かったのですが、私が知りたいのは、私は教師が関わらなければいけないと思っているのです。ただ、教員が1から10まで全部やるのではなくて、専門指導は専門家が、要は簡単に言うと、今、子供たちの中に体育の家庭教師を付ける子供たちが結構いるわけです。そういうように体育こそ、スポーツこそ、今、非常に科学的知見が入っていて、ほかの学問よりも一番エビデンスベースで指導できるものなのです。
  そうすると、そこはそういう人たちがやりながら、かつ部活というのは、先ほど髙木先生がおっしゃっていたような、地域のスポーツとは全然違う意味がそこにすごくあると思うんです。教育的意味があるわけで、実は部活がうまくいかないと、そこからいじめにつながったりとか、ほかの行動上の問題も出てきますし、セルフコントロールだったり、犯罪学上、多忙であるということは逸脱からの回復にもつながるし、逸脱予防にもなるわけです。
  だから、教師が関わることは絶対必要だけれども、それをうまく分離、今、なかなか難しいとちょっとおっしゃっていた背景、では、どうすればそれがうまく分けられて、より「チーム学校」みたいな形でできるかという何か御意見があれば、教えていただきたい。何が邪魔をしているのかということです。そこが分かれば、また情報の出しかたも変わってくるし、いろいろな制度設計も変わってくるのではないかということをちょっとお聞きしたかったのです。
【全国高等学校体育連盟】    一つは、学校外の指導の専門家を入れる際、要するにその人が学校教育に対してどの程度の理解を持っているかということです。ここが一つ大きなことだと思います。つまり、自分の持っている専門性を強くする、例えばそれだけに絞った場合は、それについては極めて高い専門性があったとしても、それによって育まれる教育的効果に対する理解をどこまで得ているか。となると、採用の前提として、それをきちんと指導できる研修制度、資格とか、これが大事になってくるのかなと。僕自身は、どんどん入れてやっていくことについては全く、大いにやってほしいと思っております。
【天笠主査代理】    どうぞ。
【日本学校体育研究連合会】    大変重要な御指摘だったと思います。やはり学校の先生方は、体育以外の先生方も部活動の指導されているのです。そうすると、その先生の専門教科以外のところで部活動の指導をされることによって、生徒との信頼関係が非常によくなるのです。一方で、全然やったことがない、部活動の顧問はやりたくないという方がいらっしゃるのも確かです。それは、今、おっしゃったとおり、発達課題の対応等々、部活運営に当たっていただいたらいいと思うのです。その辺の運営に当たる人、それから教員も含めて専門的な指導ができる人、その辺の整理を校長先生を中心にやっていただいたらいいのではないかと思っています。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。
【平川委員】    一言だけ。        高体連さんの方で書いていらっしゃる持続的な部活動の指導体制の確保について、各学校任せではなく、国、教育委員会、関係団体、地域等の関係者で検討する体制作りとありますけれども、私が知りたいのは、中体連様、高体連様に任せることなく、行政として、具体的にはスポーツ庁の方でどのようなことをやっていただけるのか、ちょっとこの場をかりて教えていただけると助かります。よろしくお願いします。
【天笠主査代理】    これは事務方の方に質問という形になりそうですが。
【平川委員】    はい。
【八木学校体育室長】    スポーツ庁でございます。
  部活動の在り方につきましては、今年度の初めに教員の業務負担軽減のタスクフォースを設けまして、そちらの方で議論をしてまいりました。その中で、先ほどありました部活動をどう見直していくか。一つには、そうした外部指導者が来たときに、先ほど中体連、高体連も話されていたトラブルが多いと。あとは安全面、補償とか、そうしたものまとめて、来年度、ガイドライン等を作りたいと思っております。これを作るに当たっては、当然、中体連や高体連にも参加していただかなければならないですし、又は科学的な知見、いわゆる教員の業務負担だけではなくて、例えば長時間運動するのは生徒にどういう影響を与えるかというスポーツ医科学的な観点も調査した上で、ガイドラインを作っていきたいと思っています。今年、概算要求で全て要求しておりまして、来年度、速やかに実行していく予定でございます。
【天笠主査代理】    それぞれいろいろな御意見がありました。皆様の御意見については、また事務局の方で整理をお願いしまして、答申に向けての議論に反映させていただきたいと思います。改めて御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
【石田教育課程企画室専門官】    どうもありがとうございました。
  後半でございますが、先生方の後ろに時計ございます。35分から再開したいと思います。委員の皆様におかれましては、少し御休憩を頂ければと思います。
  また、御発表いただきました団体様、本日はこれで終了となります。誠にありがとうございました。
【天笠主査代理】    改めましてどうもありがとうございました。
(  休憩  )
【天笠主査代理】    それでは、これより後半を始めます。
  各団体の皆様、本日はお忙しい中、御足労いただきましてありがとうございます。この時間帯にお見えになっている団体は、全国連合小学校長会様、全国連合退職校長会様、公立小中学校事務職員研究会様、日本高等学校教職員組合様、全国町村教育長会様の5団体であります。
  それでは、各団体様からの御発表を開始したいと思います。意見交換は5団体の発表全てが終了してから行います。
  まず、全国連合小学校長会様からお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【全国連合小学校長会】    よろしくお願いいたします。全連小の調査研究部長の新宿区立西戸山小学校長の種村でございます。よろしくお願いいたします。
  発表の時間に限りがありますので、全ての内容をお伝えすることは難しいと思いますので、配付されている資料に基づき、ポイントを絞りお伝えさせていただきます。よろしくお願いします。
  初めに、1の改訂の基本方針等についてです。(1)学習指導要領等の指導内容の見直しにとどまらず、学び方や育成すべき資質・能力にも視点を当てていただいたことについては大変評価しています。今後の課題は、審議のまとめの内容が多面的・多角的に示されていますので、この内容の実現を図るための周知が大切だと考えます。
  (2)学校・家庭・地域が目標を共有して、連携・協働していくことはとても大切です。学校を取り巻く地域等の状況は一律ではありませんので、その地域に応じた条件整備をお願いしたいと考えます。
  (3)新しい時代に求められる資質・能力を育成していくためには、知識の量や質の両方が重要であり、授業時間数増の必要性も理解できます。審議のまとめを踏まえ、期待している成果につなげるためには、人的配置と環境整備とが欠かせないと考えます。
  続いて、2の学習指導要領等の枠組みについてです。(1)教育に携わる人全てが共有できるように、学習指導要領がその指標となる「学びの地図」として作成されることについては、とても良いと思います。ただ、カタカナ語や専門用語が多いので、学習指導要領に示す用語は少し精選した方がよいと思います。
  (2)教科・領域等で育成できる資質・能力はもちろんのこと、教科・領域等を超えて教育課程全体を通じて育成していく資質・能力も重要であると認識しております。多くの学校で具体的な取組が進みますよう、教科・領域等間の関係及び教科横断的なつながりを具体的に明示していただければと思います。
  (3)プログラミング教育については、その教育の意義や具体的な取組等について、学校現場では情報が不足しております。今後、プログラミング教育の内容等について、誰もが理解できる十分な説明が必要と思います。
  続いて、3のカリキュラム・マネジメントの確立についてです。
  (1)今般、学校教育において、いじめ防止対策等の取組、虐待に関わる対応、食物アレルギーへの対応等も大きな課題としてあります。つまり、教育課程編成にはリスクマネジメントの範囲まで求められております。学習指導要領の性質上難しいかもしれませんが、学びの地図ということであれば、その点も検討していく必要があると考えています。
  (2)今後、教科横断的な視点でその目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくことについては、とても重要な視点であります。学校において実際に効果ある取組をするためには、学校や教員のカリキュラム・マネジメントする力、そして教員の指導力が重要です。それを見据えての教員研修や参考となる事例集等の情報提供が必要と思います。
  4、授業改善についてです。これからの社会を自ら切り拓き、生きていける力を身に付けることができるよう、学校教育において深い学び等を実現することが最も大切にすべき大きな課題だと考えております。そのための指導法の改善の視点として、児童が主体的・能動的に学ぶためのアクティブ・ラーニングを意識した授業はとても重要であります。現場でその本質を捉え授業改善が進みますよう、国においてのその本質を確実に伝えるとともに、授業改善につながる研修をはじめ、教材開発や環境整備等をお願いしたいというふうに考えております。
  5の資質・能力の三つの柱と評価についてです。育成を目指す資質・能力を学校教育法第30条第2項が定める3要素と連動させたことについては異論はないのですが、学校教育法の三つ目の要素の主体的に学習に取り組む態度については、同様にせず、学びに向かう力・人間性」としてあります。しかし、評価については、学びに向かう力・人間性等は観点別学習状況の評価にはなじまないとのことから、「主体的に学習に取り組む態度」にしてあります。教員の中で認識の違いが生じないよう、分かりやすく趣旨を周知していく必要があるというふうに思います。
  また、今まで4観点の枠組で実施してきました「関心・意欲・態度」の観点については、本来の趣旨とは異なる表面的な評価が行われているという指摘があります。今回、「主体的に学習に取り組む態度」については、各学校が子供の姿や地域の実情を踏まえて、何をどのように重視するかなどの観点から明確にしていくことが重要であると示されていますが、「関心・意欲・態度」の評価の指摘のようなことが再度ないように、具体的で丁寧な説明が必要であると思われます。
  6の外国語教育についてです。(1)小学校中学年及び高学年で年間35単位時間の増となることについて、時間割編成を全小学校で一律の取扱いで行うのは困難であり、そのため地域や学校の実情に応じて、弾力的な時間割編成で行えるようにするのは理解できます。
  現状においても、教員の多忙化は大きな問題であります。さらに、外国語教育が導入されれば、教材研究、教材準備に割く多くの時間が必要となり、他教科の授業準備の時間や児童と向き合う時間などがさらに少なくなることが憂慮されます。
  したがって、教員の負担軽減ということだけでなく、外国語教育の質を高めるという視点からも、国の予算で専科教員やALT等の人的配置を是非ともお願いしたいと思います。
  また、ICT教材の開発・作成、ICT教材が使用できる環境整備等を図るとともに、研修の充実や英語教育強化地域事業の拠点校などの効果もある実践事例や時間割編成の資料を提供していただきたいと思います。
  (2)次期学習指導要領に基づいた教育課程が平成32年度に完全実施となります。審議のまとめでは、中学年は外国語教育の素地を養い、高学年では外国語教育の基礎を養うとあります。平成32年度に6年生になる児童は、次年度平成29年度の3年生、30年度には4年生です。中学年の素地を養う時期を飛ばすことがないよう、移行措置についてもしっかり検討し、対応していただきたいと思います。
  特に先行実施に活用できる5・6年生の英語教材や3・4年生の外国語活動の教材をICT教材も含め早めの提供をお願いしたいと考えております。
  7、特別支援教育について。障害児者の権利に関する条約に掲げられたインクルーシブ教育システムの構築を目指し、児童の障害の状態や発達の段階に応じた指導や支援を一層充実させていく必要があります。そのためには、家庭及び学校、関係諸機関との連携を十分に図り、児童の可能性を十分に発揮できる合理的配慮に基づいた指導法の工夫や人的・物的環境も含めた環境作りが重要となります。
  通常の学級において、障害のある児童が在籍していることが多い現状があります。その児童の可能性を十分に引き出し、伸ばすためには、教員の指導力や家庭の十分な理解、そして関係諸機関との関わりがとても重要です。特別支援教育のより一層の充実のためにも、審議のまとめで触れられている教員の指導に役立つ指導事例や家庭との連携の在り方の例示等、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の配置、通級による指導の充実等も含め十分な環境整備をお願いしたいと思います。
  8の終わりについてです。下の方の段落を御覧ください。審議のまとめに即して、学校教育を充実・発展させていくためには、実際に指導に当たる教員等の力量の向上を含め、学校全体の力を高めることは必須条件であります。加えて、現有の教員定数や現在の環境整備の状況では困難が生じるため、人的・物的等の条件整備は欠かせないと考えます。審議のまとめには、そのことがよく記述されています。是非、条件整備も含め総合的に体制等を整え学校教育が推進できるよう、お力添えを頂ければと思います。
  簡潔に説明したところについては後ほど書面を御覧いただければと思います。これで全連小の発表を終わります。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。
  それでは、続きまして、全国連合退職校長会様からの発表をお願いします。
【全国連合退職校長会】    ただいま御指名を頂きました全国連合退職校長会教育課題委員会委員長を務めています田中でございます。
  平成26年11月の教育課程の基準等の在り方についての中教審への諮問以来、中教審教育課程企画特別部会等における熟議を重ねられ、このたび、次期学習指導要領に向けた審議のまとめを公表されたことに経緯を表します。
  また、本日はこの審議のまとめへの意見を申し述べる機会を与えていただいたことに感謝しております。御配付申し上げました資料を基に、次期学習指導要領の実現に不可欠な指導体制の確保を中心に意見を述べさせていただきます。
  学習指導要領を改善し、学校教育を一層充実させることは重要です。教育課程部会における審議のまとめ内容について、おおむね賛意を表します。以下、次期学習指導要領の実現に欠かせない指導体制について意見を述べさせていただきます。
  第1、教育は未来への先行投資であると心得、思い切った計画的な教員定数の改善により、子供一人一人に目の行き届く指導体制を充実する。
  その一つとして、全ての小学校で専科指導を進めるための教員配置を確実に確保すること。具体的に、第1点としては、4技能が指導できる英語科担当教員の確保、及び英語指導助手の全校への配置をお願いします。第2点としては、実験・実習・実技を重視する理科、音楽、図画工作、体育などの専科教員の配置が必要です。
  第2番目の柱として、義務標準法を改正し、障害のある児童生徒が通常学級に在籍しながら特別な指導を受ける通級による指導を担当する教員や外国人児童生徒の日本語指導等に対応する教員については、対象となる児童生徒数に応じて教員を確保する、この点を是非重視していただきたいと存じます。
  3番目の内容です。貧困等に起因する学力課題の解消に向けた取組、あるいはいじめ・不登校・自殺などの未然防止・早期対応の強化のため、必要な教員定数の拡充を図る。現実は一人の先生でも増やしていただければ、その先生の授業の関係で授業に参加しない先生が何人か出ることによって、生徒を細かく観察することができます。
  事故が起こってから児童相談とかあるいは警察等に訴えて出てしまっては、いじめとか不登校あるいは自殺などが防止できないという現状があることを是非御理解いただきたいと存じます。
  大きな柱の2番目、深い学びを実現する授業改善の視点であるアクティブ・ラーニングの実践には、これまで以上の教員の創意工夫と指導力の向上が必要であります。そのための校内研修や校外における研修に参加できる体制の整備を図る。是非、現場に行って、先生方の意見を伺ってください。校内研修は道徳等教育あるいは複数の学級がある学校においては、校内研修が盛んに行われている実態はすぐ理解できます。しかし、今回の新しい指導法等の改善に向けてについては、ますます先生方は専門的な知識を身に付けなければいけないということも先生方はよく理解しております。ところが、現状では校内研修及び校外での研修という機会が激減しております。その実態を是非御覧いただきながら改善していただきたいと存じます。
  3番目の柱、優れた資質・能力を有する教員を確保するため、教員養成を充実させるとともに、人材確保法を堅持し、教員の服務の特殊性に見合う給与等、処遇の維持・改善を図ること。
  手短ではございましたが、今年の8月3日、松野博一文科大臣の就任に当たりまして、そのときの発言、また初中局幹部の方が教育情報誌等に提供している記事を見ますと、次年度の通常国会へ義務標準法の改正案を提出されるということが公表されております。本会といたしましては、心から期待していることを申し述べさせていただきまして、意見発表を終わります。ありがとうございました。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。
  それでは、続きまして、公立小中学校事務職員研究会様からお願いいたします。
【公立小中学校事務職員研究会】    失礼いたします。全国公立小中学校事務職員研究会の鳥本と申します。本日は意見表明の機会を与えていただきましたことに心から感謝申し上げます。
  本会は子どもの豊かな育ちを支援することを学校事務のミッションとして掲げ、学校事務及び学校運営組織の在り方、また並びに事務職員の役割を追究し、そのために必要となる事務職員の資質・能力の向上を目指し、日頃活動を行っております。
  私たち事務職員は学校において単に事務処理を行うだけではなく、子どもの学びや学校の教育活動実現のための条件整備を中心的に推進し、教育目標を達成するためのマネジメント機能を担う職として、経営戦略を企画・提案し、教職員はもとより教育委員会や地域、企業等の連携あるいは協働により校長を補佐する役割を果たしながら、今言われておりますチーム学校の一員として学校運営に携わっているところでございます。
  今回の審議のまとめにおきましては、カリキュラム・マネジメント、アクティブ・ラーニング、そういった重要性、そして教員の資質・能力の向上といったことがかなり述べられていることに関しまして、それらがより実効性のあるものとなるための事項ということを考えてまいりました。そういったことにつきまして、意見を述べさせていただきたいと思います。
  特に第1部、学習指導要領等改訂の基本的な方向性のところで幾つか意見を述べさせていただきたいと思っております。この中で、全般的には実効性の高い教育課程の実現に向けて、明確な目標設定と確実な実行、それを支える条件整備、振り返り、改善が必要と考えております。このたびカリキュラム・マネジメントについて多く言及されていることによりまして、より実効性の高い教育課程の実現につながり、ひいては、よりよい学校作りにつながる好循環を生むものと考えております。
  9ページ「2030年の社会と子供たちの未来」の中で、学校教育への期待と教育課程の改善というところがございます。この中で、様々な課題として指摘されている問題を乗り越えて、子供たちに未来を創り出す力を育んでいくことができるよう、学校教育の改善、とりわけその中核となる教育課程の改善を図っていかなければならないと述べられていますが、ここのところ、この中では特にこれまで学校において教育活動をマネジメントするという体制があまり行われてこなかったという状況もあります。マネジメントを行う上で必要となる条件整備は、どっちかというと、あてがいぶちの財源といったものを工夫しながらこれまで対応してきたという経緯がございます。
  子供たちの置かれた状況から派生する課題を解決するためには、教育課程の改善のみならず、それを支える条件整備の充実、そして確保というものが重要になるのではないかと考えております。
  次に14ページのところにありますけれども、子供たちに求められる資質や能力と教育課程の課題というところで、義務教育9年間の流れの中で、例えば中学校区を1つの単位とした学校間の連携や協働といったものによる目指す子供像の共有や取組というものもここでは重要になるのかなというふうに捉えているところでございます。
  また、人材や予算、時間、情報、施設、設備、教育内容といった学校の資源をどう再配分していくのかという、そういったことが書かれているところでございますけれども、特に再配分ということだけではなくて、新たな資源の開発・調達、例えばこれまで全く関係性のなかった地域の人材を発掘したりとか、そういったことも、また必要ではないかというふうに考えております。
  20ページのところになりますけども、学習指導要領の枠組と改善というところで、教育課程とは、学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を子供の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画、そしてその編成主体は各学校にあると述べられているところがございます。義務教育9年間の学びの接続について共有できるように、各学校が設定する学校教育目標を、例えば学校間、接続する学校段階間、そういったところで作成する教育目標というような考え方もあるのではないかというふうに思っております。
  次、21ページのところでございます。「カリキュラム・マネジメントの3つの側面」というところで、三つ目のところにございますけれども、ここでは、これらに合わせて特に学校設置者である市区町村の財政的な支援の強化というところもかなり大きなポイントになるのではないかというふうに捉えております。
  23ページのところになりますが、「教育課程の実施状況の把握」というところでございます。ここでは、例えば大学で設置されている情報戦略室というような機能、IR機能と私たちは言っていますけれども、そういった機能を持った情報管理について担当を担えるような職員、そういったものを明確に校務分掌上に位置付けていくと。また、そこには事務職員もそういった役割を担っていけるのではないかと考えております。
  かなり飛びますけれども、60ページのところでございます。60ページ以降になりますけれども、「次世代の学校・地域」創生プランというのが打ち出されておりまして、そこの中でまたこれまでの中教審の様々な答申の中にも、学校と地域の人たちをつなぐためのコーディネート機能の充実が重要だということが多く書かれております。そのためには学校の組織内に地域連携担当教職員を配置するということによる組織的あるいは継続的な取組が必要であると考えます。
  学校事務の共同実施というものがございます。中学校区を単位とした組織で取り組まれている場合がほとんどでございますが、地域を包括した学校間の連携や協働、そういったものが社会に開かれた教育課程に大きな効果をもたらすというふうに考えておりますので、そのような地域連携担当教職員という役割を事務職員が担うということによって、その実効性が増すのではないかというふうに捉えております。
  61ページのところになります。「教員の資質・能力の向上」というところで、少し意見を述べさせていただきます。校長を支え、学校のマネジメント機能の強化の一翼を担う事務職員には、新しい学習指導要領等の理念を理解し、またカリキュラム・マネジメント機能を駆使しながら、他の教職員や地域とともに学校の教育課程を実現していく役割が求められると考えております。
  その役割を担っていくには、学校のマネジメント力強化のための資質・能力の向上が重要である、また必要であると考えておりますし、教育そのものの理解というものも事務職員にも必要であるというふうに考えております。
  教育課程を実現するための条件整備、そういったものを確実なものとするためにも、例えば国の研修センターでの研修のさらなる拡充、あるいは任命権者や学校の設置者による研修といったものの体系化あるいは充実というものが今後重要になると考えております。
  62ページの指導体制の整備・充実というところでございますが、ここでは実践事例のことがあります。授業改善や校内研修等、そういった実践事例だけではなくて、あるいは条件整備でこのような教育効果があったというような実践事例も合わせて参照できるような整備になるといいのではないかと思っております。
  また、学校を取り巻く新たな課題に対応していくということでは、事務体制の強化を図っていくこと、各学校における予算の運用や施設・設備等の活用などが効果的に行われるようにすると、このまとめでも書いていただいておりますけれども、学校事務の共同実施組織を有効に活用したり、あるいは学校経験のある事務職員を県教委や市区町村教委といったところで事務指導主事というような形で配置していくというようなことも、教育委員会と学校の連携強化を図る上では有効ではないかと考えております。
  64ページの「業務の適正化」でございます。教員だけではなくて、チームとしての学校に関わる全ての教職員が誇りと情熱をもって使命と職責を果たしていくことが重要であるというふうに、教員というふうに表現はありますけれども、ここは私たちは教職員というふうに捉えて読み込んでいるところでございます。
  64ページのところにあります「教材や教育環境整備・充実」、教科書を含めた教材あるいはICT機器を活用できる教育環境整備についての必要性が述べられているところでございますけれども、社会に開かれた教育課程の実現や地域とともにある学校作りを実現するためには、様々な地域の環境や文化、そういったものを含めた教育資源を統合して活用するということも必要でありますので、そういった視点も重要なポイントではないかと考えております。
  以上、何点か意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。
  それでは、続きまして、日本高等学校教職員組合様から発表をお願いいたします。
【日本高等学校教職員組合】    日本高等学校教職員組合の山尾でございます。冒頭、まず、各委員の皆様にはそれぞれの公務がある中、子供たち学校現場、地域や日本の未来のために真摯に審議されていることに日高教を代表して敬意を表したいと思います。ありがとうございます。
  審議のまとめに対する日高教の意見ですが、補完及び補強に資する観点で出しております。釈迦に説法的な部分が往々にしてあるかと思いますが、そうした観点ですので、お許しいただきたいと思っております。
  まず冒頭、1ページの16行目から25行目のところに、基本的な方向性のところを示しております。まず第1部に関してですが、基本的な方向性についてはおおむね賛成ではありますが、現状課題に対する視点、実施に向けた必要な方策等については更なる検討及び記載を求めたい。併せて、教職員及び関係者以外の方への理解促進の観点での文章化を一層図られたいというふうに考えております。
  第2部については、理念や方向性等は共感しますが、実施に向けた環境整備等の担保が不透明であり、特に高等学校段階における学校間、地域間における様々な格差の拡大が懸念されるのではないかという認識を持っております。上記と同様に、実施に向けた方策等の検討を是非お願いしたいと思っております。
  各項目については資料をお読み取りいただきたいと思いますが、幾つか具体的なものについて述べさせていただきます。27行目のところですが、2ポツ、審議のまとめに対する意見でございます。冒頭の「はじめに」のところに対するところですが、マル1、マル2で初等中等教育の説明、教職員及び関係者の定義付けというところを書いております。ここについては、より丁寧にこういった言葉の定義付け、導入部分からお願いしたいと思っております。特に、我々は様々な会議に出るんですが、教育関係者以外の会議に出て、「高等学校教育というのは高等教育だよね」ということを言われるような保護者さんとか社会人の方が多くおられるんです。やっぱり「初等中等」という言葉を教育関係者では十分理解できるんだと思うんですが、なかなか一般の方というのはそういったところ御認識ないという観点だと思います。併せて、「関係者」という文言、様々出てくるんですが、文章の前後を読み取れば、その関係者という人は推測はできるんですが、やはり学習指導要領を学ぶ、教職課程を学ぶ学生であるとか、そういった具体的なものも示していただければと思っております。
  続きまして、2ページ目の5行目でございます。(3)のところです。マル1、予測困難な時代に、一人一人が未来の創り手となるというところに対してですが、三つ目の丸のところ、17行目のところですが、社会の変化は加速度を増して複雑で予測困難という記載がございます。まさにそのとおりだと思います。それに対応し得る人材を育てるとともに、変わりゆく産業構造に合わせて必要な教育を施すことは大事である。併せて、指導要領や計画そのものが、その対応に追われてはならないことを是非記載していただきたい。これ審議の中でもある委員さんが言われていたと思うんです。リアクションよりアクションだというようなところを言われていました。我々もまさにそうだと思います。教育課程に基づく計画を作るんですが、それでゴールではなく、それに即した授業、指導がいかにできるかというところを我々としてもしっかり考えていきたいと思いますので、そういった観点での記載をお願いしたいと思っております。
  下の方、35行目のところ、(5)です。4ポツの学習指導要領のところで、マル1のところ、社会に開かれた教育課程の実現のところでございます。教育課程の実施について、放課後や土曜日等を活用した社会教育の連携ということが示されております。そうした学びの必要性というところは我々も重々認識しておりますし、協力もしっかりやりたい。ただ、一方、教職員の時間外勤務、多忙に拍車を掛けるおそれもありますので、その活用が安易に拡大しないような、そういったところの記載も是非お願いしたいと思っております。特に高校段階は地方の方では夏休みの短縮化、具体的には1学期の延長化、2学期の早期化、夏休みというと8月の頭から盆過ぎぐらいですが、そういったところの現状ございますので、そうするとやはり土曜日の振替とかいうのはなかなか現実厳しい状況がありますので、是非ともお願いしたい。
  続きまして、その下のマル2のところでございます。「学びの地図」、本当にいい言葉じゃないかなというふうに我々としても認識しているんですが、本当にそれが常に我々が持ち歩けるようなものになるのかなと。私、実は特別免許状で社会人登用で教員になったんですが、学習指導要領を最初に読んだとき、本当にこれは難しかったですね。言葉的には難しかった。そういう思いがありますので、是非ともそういった観点でしっかりお願いしたいと思います。
  3ページ目、お願いいたします。3ページの上のところですが、学習指導要領については、大綱的基準というのがを示されております。ここでは国としての根本的な考え方あるいはそれを定める責務をしっかり記載していただきたいと考えております。
  2ページのところ、前回までの改訂の経緯等々、記載はされているんですが、やっぱりここは根本的なところではないかと思うんです。これについては、18行目のところで教育課程の実施状況の把握において教育課程の実施状況等を定期的に把握していくことを求められると明示されているんですが、より具体的に重要な論点と思われますので、PDCAサイクル等にも言及されて、では、この作った基準のところをほんとうにどうなっているのか、義務を含めて、高校段階を含めてどうなっているのかというところの担保付けとして、そういったところの責務を書いていただきたいと思っております。
  続きまして、29行目辺り、(7)のところです。ではどのように学ぶかというところで、マル1、創意工夫に基づく指導方法の不断の見直しと授業研究についてのところですが、2部の方で後述されているんですが、今後、「特に高等学校においては、義務教育までの成果を確実につなぎ」と明示されております。特に公立高校においては、広域及び多くの中学校から生徒が入学しており、個々の生徒の学習状況にほんとうにばらつきが見受けられるという状況だと思います。校種間の情報共有も十分されていない状況にもあります。そうした状況が義務段階までの学習状況をつなぐための課題であるということもしっかり記載いただきたい。
  併せて、その下の丸のところですが、学習成果を校種間で確実につなぐためにも、義務教育段階での学習内容あるいは到達目標の明確化、それにともに、学び直しなどの必要性、習熟度別学習の方策など、具体的な方策についても記載いただければと感じております。
  続きまして、4ページ目のところでございます。4ページ目の14行目辺り、(8)のところです。特別支援の関係、インクルーシブ教育のところでございます。ここで30年度から高等学校の通級、今検討されていると思いますが、我々としてもそれは必要な部分として重々感じております。ただし、21行目のところで、やはり個々の教育支援計画等々をやりますと、これらは教職員の業務量の増加等にも言及していただくとともに、教職員定数の改善、そういったところにもしっかりここでも補足いただきたいと思っております。
  その下の(9)のところでございます。実施するために何が必要かというところであります。マル1のところ、社会に開かれた教育課程を実現するために追加すべき事項についてですが、教育課程の基準である学習指導要領等々、この校種別の関係性、国と地方自治体及び私学など学校法人等の関係性などにおける現状等についても、しっかり分析や評価をしていただいて、課題等も併せて記載していただきたい。特に公立高等学校段階において、国が教育課程基準を定めたとしても、設置者である自治体において様々に教育行政を担っているわけですので、特に財政的な側面で様々違っております。資料で付けておりますが、主幹教諭、東京・神奈川、そういったところは1校当たり6名配置されているんですが、県によっては20県ぐらいは全く主幹教諭が配置されていない高校もございますので、そういうようなところ、学校経営のマネジメントからするとやはりそういったところにも違いが出る。国としてもそういった観点もしっかり考えていただきたいというふうに感じております。
  下のマル2のところであります。指導体制の整備・充実のところで、次世代の学校指導体制の在り方等も触れられています。ただ、これは義務段階に対してですので、高校段階についてもしっかり併せて記載していただきたいと思っております。
  5ページ目のところの8行目辺り、そういったところでICT環境に関する記載のところがあります。教職員の活用に関する能力の向上はもちろんなのですが、ICTの機器の管理保守などについてはやっぱり専門性を持ったスタッフあるいは企業等に担う、そういうところを是非とも記載いただきたいと思っております。
  以上、早口になりましたし、意見の一部でございます。終わりに、今回の改訂は我々高校段階等が最も大きく関係していることも承知しておりますし、その趣旨についても理解するところです。我々も教育者としてしっかり子供たちのために実践することが大事であり、その負託に応えるべく頑張ろうと思っているんですが、ただ、そのためにはやはりそういったことが担保される環境というのが前提になければなりませんので、是非とも教職員が情熱を持って子供たちの学びを支えることのできる最終まとめにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。
  続きまして、全国町村教育長会様、お願いいたします。
【全国町村教育長会】    全国町村教育長会から御説明を申し上げます。本来ですと会長の中島が来て説明申し上げるところでございますが、都合によりまして、私、現在監事をしております千葉県一宮町の町田が説明させていただきます。
  大きな1番、教育委員会の状況というところを書いてあります。この状況の中で我々は教育を実施しているということを是非御理解いただきたいということで、ここに書きました。この説明は、2番目以降の中で説明していきたいと思います。
  この中で、1か所だけ修正をお願いします。一番上の全国町村の数、これは10月10日に宮城県の富谷町が町から市へ変更になりましたので、この928が927に町の数が744に、したがって、市の数が791になるということで修正をお願いしたいと思います。
  それでは早速、大きな2番目の次期学習指導要領の方向性に関する意見について申し上げたいと思います。今回の学習指導要領の改訂、これは今までと違って総則が非常に大きく変わっている、これが非常に注目しているところでございます。今までは総則というのは見ないで各教科の内容を見ていたということですが、これが、総則の中身を構造的に見て理解しないと、学習指導要領が理解できないというところ、これが非常に画期的なものではないかと思います。総則の中の特に構造を刷新いたしまして、六つの章立てをしているということも非常に評価しているところでございます。
  たくさん申し上げたいことはございますが、大きく四つ申し上げます。最初のカリキュラム・マネジメントのことでございます。これは全体の考え方、そして方向性、これはこれからの学校の在り方を示すものとして非常に評価できるものではないかと思います。ただ、この「マネジメント」という言葉、これが校長等は比較的簡単に理解できるのではないかと思うんですが、教員全体がこれを理解をして実施に移しませんと、うまくいかないという危惧がございますので、教員全員が理解するには、かなりの時間が必要ではないのか。
  この理解を深めるために、国としても意を注いでいただきたいということでございます。それから、我々は小規模自治体が非常に多いわけでございます。その中で、特に六つの章立ての中でどのように学ぶか、そして実施するために何かが必要かというようなこと、これについては、今までどのように学ぶかということは各先生方がその学び、教授方法等々については改善をしながら実施してきたわけでございますが、これが一定の方向性を示していくということになるので、この辺の理解をしてかからなければいけないということが大きなところではないかと思います。これについても、是非示唆をお願いしたいということです。これは大きな自治体でも同様の示唆が必要ではないかなと思います。
  続いて(2)でございますが、主体的・対話的で深い学び、アクティブ・ラーニングということでございます。これは創造性や社会の中で活躍できる資質・能力を醸成する。この意味においては非常に有効な手段ではないかと考えております。ただ、教科の特質によって、そのアクティブ・ラーニングのやり方というんですか、こういうものは全て同じではないということであると考えます。したがって、各教科によって適切な形態というものを研究していく必要が出てくるのではないか。さらに、場合によっては教科を横断した視点に基づいて、指導について研修あるいは実践をしていくということが必要になってくるのではないかと思います。
  ただし、危惧しているところは、全ての先生がこのアクティブ・ラーニングでやらなければいけないというふうに捉えたときに、形だけの取組に終わってしまうと、かえってマイナスになってしまうのではないか。生きたアクティブ・ラーニングでなければいけないというふうに思うところでございます。
  このアクティブ・ラーニングを成功させるためには、ICT環境の構築は非常に活用するために有効であろうと、あるいは効果的であろうというふうに思います。したがって、各教室に電子黒板とか子供たちがタブレットを持って活動の中で電子黒板、タブレットで電子黒板に自分の意見を映し、そしてその内容を教師がうまく捉えて、次に進んでいくというような、そういう取組、これは是非とも必要ではないかなと思います。
  ただ、この電子黒板とかタブレットというのは非常にお金が掛かることでございます。大きな1番の四つ目に町村教育委員会、これは財政力が非常に弱いと書いてございますが、全くそのとおりでございまして、町あるいは村単独でこれを整備するというのはとても無理なことでございます。これは是非とも国の支援というものが必要であると思います。現在では地方交付税措置がされているというお話がございますが、これをより厚い交付税措置をお願いしたい。そして、この予算化に向けて、あるいは電子黒板とかタブレットの設置に向けて、国からの働き掛け、もっと強い国からの働き掛けを是非ともお願いしたいというふうに思います。
  次、3番目、小学校における外国語教育でございますが、これは今後ますますグローバル化が進展していく、そして小中学校の接続というような問題からも必要性は認めているところでございます。ただ、教員が今まで5、6年生の外国語活動といったものが教科となる。そしてさらに、3、4年生に外国語活動に広がっていくということ、そして、小学校の教員は外国語という知識が余り得意ではないというような現状があります。ですから、これに対する先生方の負担というのはかなり大きなものになってくるのではないかというふうに思います。
  是非ともこの辺のところは専科教員を配置していただきたいということでございます。
  それから、次の小規模校における実施体制という問題ですが、これは大きな1番のところにありますが、4番目に教科に対応した指導主事等の配置がほとんど行われていないという現状があります。したがって、この外国語の教科化に向けて、町として指導主事を学校に派遣をして指導に当たるということはほぼ不可能な状況になっているということがあります。この辺のところは是非何らかの対策を講じていただきたいということでございます。
  それから、その次、早急な教材等の整備、これは全く小学校で教科として外国語が行われていないわけでございますので、その辺の教材等を早急に整備して提示していただきたい。そして、どのような実践をしたかという、その有効な実践方法というものを是非お示しいただきたいということでございます。
  35単位時間を教育課程の中にいかに配分するか、これは我々は今、いろいろな方式を苦労して考えております。我々も考えますが、国でも研究して示していただきたいということでございます。
  最後のチーム学校でございますが、これの理念は私、非常にすばらしいものではないかなと思います。その一番上にあるように、地域人材というのは我々の町村では非常に少のうございます。したがって、理念はすばらしいんですが、これを実施するにはなかなか困難な部分も出てくるのではないかと思います。
  特に部活動、これに地域人材を利用するということであっても、部活動指導ができるような、そういう専門性を持った人が少ないというようなことがあると思います。また、そういう専門性があったとしても、学校の中で指導するということと社会の中で指導するということは形態がちょっと違いますから、地域の方々との学校との人間関係の構築をうまくやって、スムーズに学校の中でそれが生かせるということが大事ではないかなと思います。
  このチーム学校については、我々教育長としての思いとしては、各学校は非常に今、先生方は負担が増えている。その負担増をできるだけ軽減してあげたいということが切なる願いでございます。そういう意味で、このチーム学校というのは非常にありがたい取組ではないかと思います。先生方は、授業が終わったら次の時間の教材研究や授業の準備がゆっくりとできる、そういう環境を是非作ってあげたいなと思っているところでございます。
  以上です。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。
  それで、司会の進め方がちょっと不手際いろいろありまして、おわびを申し上げたいと思うんですけれども、これからそれぞれ御意見を頂きたいと思うんですが、予定している時間が、お伝えしていたのは当初2時半ということなんですけれども、大変申し訳ございませんですけども、全てを含めまして10分プラスさせていただいて、2時40分に全て終わりにさせていただきたい。お忙しい関係の方がたくさんいらっしゃるかと思うんですけれども、そういうことでよろしくお願いいたします。
  それぞれ御発表いろいろありがとうございました。これから私どもから御質問等々させていただきますので、よろしくお願いいたします。委員の方、ありましたら。まず吉田委員からお願いいたします。
【吉田委員】    どうも貴重な御意見ありがとうございました。何名かの方から、例えばアクティブ・ラーニングあるいは小学校の英語などに関して、やはり指導者の研修の必要性というのは皆さん大体言っておられたと思うんですけれども、今現在でも国また各教育委員会そして各学校でもいろんな形で研修というのはやっているわけですね。さらなる研修という、そういう印象をすごく受けるんです。また、小学校の場合ですと、例えば英語の専科の教員が必要であると皆さんおっしゃっておられる。あるいはALTを導入するということをおっしゃっておられますけれども、専科の教員もどういう知識を持って、あるいはどういう資質を持った人が必要なのかということが非常に大切じゃないかと思いますね。ALTも同じだと思うんです。
  そうしますと、そういう人たちも含めた何か研修の見直しというんですか、そういうものが必要になるかなという気がするんですけれども、何かこんな研修はどうだろうとか、今やっているけど、足らないんじゃないかとか、何かそういう具体的な御意見がございましたら、どなたから、小学校の方からでも結構なんですけれども、順番に……。
【天笠主査代理】    御指名していただいて。
【吉田委員】    ではまず、小学校の校長会の方から。それから、退職校長会の方からも出ていましたし、高等学校でも出ていました。今の町村の方も出ていたと思います。簡単で結構です。
【天笠主査代理】    それでは、全連小から。
【全国連合小学校長会】    2点御質問頂きました。アクティブ・ラーニングと小学校英語のということでの研修の必要性ということ。アクティブ・ラーニングは小学校では比較的私もやっているかなというふうに思いますが、ただ、もうちょっと深い学びをするためには、さらなる研修が必要かなと。その研修の在り方については、今後、小学校長会でもしっかり研究してやっていかなければいけない。具体的にどういう研修をすれば効果があるのかということは、はっきりここではこうというお話はできないかなと思っています。小学校英語については、今、外国語活動ということで話すということで、ALTと連携の下やっておる。これは学校によって随分ALTの使い方が違うので、何とも言えないんですが、ALTと協働でできているところと、ALTが主体でやっているところという状況があります。ALTが主体でやっているところは小学校教員はほとんど関わっていない状況がありますので、そこは基礎から研修しなければいけないということがありますし、ALTと協働でやっているところについては今後の発展で英語について読み書きが出てきますので、その辺をALTとどう協働してやっていくかということが必要となってくるかなというふうに思います。
  特に今回は2単位時間英語ということになりますので、その4観点をどういう形でやっていくのか。2時間で取るという地域もありますし、1時間は45分で取って、あとはモジュールでやるというところもありますし、その内容によって随分違うので、それぞれの必要性に応じてそれぞれの地教委が、又は県教委がやっていく必要があるのかなと思いますが、これも状況によって、研修のやり方が多少変えなければいけないのかなという認識は持っています。以上です。
【天笠主査代理】    退職校長会様。
【全国連合退職校長会】    アクティブ・ラーニングについては、OBとして議論したことがあるんですが、このような授業方法あるいは実践は従来の教育活動で我々がやっていたんだというOBの意見が圧倒的です。ですから、形ではなく、現実の先生方が取り組んでいる授業方法がますます充実する方に向けてほしい。
  例えば、30人、40人の子供を対象に、アクティブ・ラーニングで先生が子供たちに何か質問したとしても、1人、2人が手を挙げて意見を述べれば、それで現実は終わってしまう状況を見ます。したがいまして、ここに書かれているアクティブ・ラーニングでお互いに考えを述べ合いながら、それを役に立てようとするところまでいきますと、昔でいいますと、大学でのゼミですか、少人数で、ある一つの課題について議論する、そういうような形を小学校の段階から求めているとするならば、それなりのきちんとした整備がなければできない。したがって、私OBとしては、現実にある各教科の取組の中で、より充実した方向性を持って授業展開していけば、私はいいんではないか。これが高学年になればなるほど、子供の考え方を述べ合えば、矛盾するようなことが実際起こります。自分の経験では、昔、学校紛争というのがあったわけです。
【天笠主査代理】    少し短くしていただけますか。
【全国連合退職校長会】    分かりました。失礼いたしました。いわゆるアクティブ・ラーニングという形ではなくて、現実の教育活動が充実するような方向でお願いしたいと思います。
  それから次に英語教育ですが、これもいろいろ意見を伺うことによりますと、小学校で行う英語教育と小中で現実に行っている英語教育のかなりの取組の違いがあるので、そこら辺で混乱がないように是非お願いしたいと思います。
  失礼しました。
【天笠主査代理】    全国町村教育長会様。
【全国町村教育長会】    先ほど申し上げさせていただきましたが、アクティブ・ラーニングというと、確かに小学校においてかなりの先生が行っている、これは事実です。ただ、それがどのくらい深い学びになっているか。ただの話し合いをして発表させている。それだけに終わっていないかというところを私は危惧しています。それがきちんとした評価になって、そしてさらにそれから子供たちに深い考えを深めていくというような活動というものが是非とも必要ではないかと思います。
  ただ、危惧するのは、全ての先生がアクティブ・ラーニングをやっているわけではない。特に年配の先生は従来からの授業ということで、早くいえば固定観念がある。その中にアクティブ・ラーニングをやりなさいよと言ったときに、その先生方がどのようにしたらいいのかということがなかなか難しいのではないかなと思っております。
  それから、外国語活動については、これは小学校で外国語というのは初めて導入するわけですから、先生方はまだ白紙の状態であるわけです。ですから、それをどうやったらいいのかということについては、示唆をお願いしたいなというところでございます。以上です。
【天笠主査代理】    大変申し訳ございませんけれども、時間が限られております。それで、これから委員の私どもが御質問、御意見を申し上げさせていただきますので、それをあとそれぞれ受けてお答えいただくという形で閉じさせていただきたいと思いますので、委員の方からそれぞれどなたに対してということでも結構ですし、御意見等々お願いしたいと思うんですけれども、品川委員。
【品川委員】    ありがとうございます。意見は、いろいろと勉強になりました。一つ確認したいことは、皆さんがアクティブ・ラーニングにしてもカリキュラム・マネジメントにしても、頂いたこの資料を拝読しておりますと、より細かく事例を知りたいとか、具体的な把握方法の記載をというような御指摘が非常にありました。アクティブ・ラーニングというのは一つの型ではないというのを我々も非常に強調してきた過程がございまして、こういうやり方ですよというものではなくて、むしろそここそが教員の腕の見せどころと申しますが、そこが実は自由度があって、裁量権があるところなのに、かえってマニュアルとは言いませんけれども、具体事例を挙げれば挙げるほど、かえってそこにマニュアル化してしまう危険性はないのかなということをちょっと危惧、その辺の兼ね合いを皆さんがどのようにお考えなのかなということをまず1点思いました。
  あと、アクティブ・ラーニングにおいて、実は大事なのは、ICTのことを皆さんおっしゃっていますが、ICT、タブレットを入れればアクティブ・ラーニングになるわけでもないわけで、例えば学校図書館をどう利用するのかとか、そういった視点も本当はもうちょっとあってもいいのかなというようなことを聞きながら思いました。
【天笠主査代理】    渡瀬委員、お願いします。
【渡瀬委員】    どうもありがとうございました。全連小の先生からの御意見の中にありましたけれども、学習指導要領全体がカタカナ語の言葉を含めて専門の教育の用語が多くあって、なかなか共通理解が必要なのが気になるという部分がございましたけれども、カタカナの言葉ということでぱっと思い付くのはやっぱりアクティブ・ラーニングとかカリキュラム・マネジメント、プログラミング教育というようなことではないかと思いますが、審議のまとめの中にそのような言葉については割と分かりやすく説明されているかなというふうにも思います。ただ、それは私たちがそれを審議してきたからなのかもしれませんけれども、具体的にどういう点が、例えばその三つのことでいえば分かりにくいのかとか、それからそれ以外のところで例えばこういう言葉について分かりにくいんだということがもしございましたら、教えていただけたらと思います。
【天笠主査代理】    ということで、お答えできることについて応答していただければということで、私の方からは一つ、全国連合小学校長会様と全国町村教育長会様のことについてですが、弾力的な時間割の編成について理解できるというふうに書いてあるんですけれども、理解できるというのはどういうふうに理解したらいいのかどうなのか、要するに今回の場合、短時間学習という、そういうことを含めて時間割の弾力的な編成ということが、先ほどもお話しありましたが、これはどういうふうに現状では御判断いただいて、これはやっていけるということなのか、それともやっていくにはこういうことを考えなくちゃいけない、あるいはこういうことを求めたいんだという、そういうことについてそれが、どういうお立場、どうお考えなのか、この理解できるという中身の意味において、もう少し補足していただけるとよろしいんじゃないかと。全連小さんから一言ずつ、それぞれ今の品川委員の質問も含めまして、時間も限られていますけれども、お願いできますでしょうか。
  では、全国町村教育長会様からお願いします。
【全国町村教育長会】    アクティブ・ラーニングの形態について、固定観念を植え付けてはいけない、それはまさにそのとおりだと思います。私も申し上げましたように、適切な形態というのが教科によってあるだろうと。それについては、やはりこれから我々も研究していかなければいけないなと思っているところでございます。
  タブレットを導入すれば、それでいいのかということがございますが、これも子供たちはタブレットを持たせますと、これの理解は非常に速い。利用も先生方よりもずっと利用が早い。したがって、これをうまく使うということは、アクティブ・ラーニングをより効果的に行うにはやはり必要なものだというふうに思っております。
  それから、外国語の実施形態について、これは私はまだ固定してこれがいいということはありません。今、我々教育長が集まって話すときには、どういうのが一番いいんだろうねという段階で様々な意見を出しているところです。以上です。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。一言ありますか。
【日本高等学校教職員組合】    品川委員さんのところでアクティブ・ラーニングと、固定というところ、4ページ、資料のマル2、マル3のところでお示しはしているんですが、まさにそのとおりで、併せてアクティブ・ラーニングについては教職員団体としても現場の先生に概要版を教職課程がある大学の先生に来ていただいて、概要を説明してもらうと、皆さんやっぱりかなり来られるんです。ただ、そういったところもありますので、これから高校段階からすると、特に普通科の進学校、そういうところは今後勉強していかないといけない。併せて学校図書館については、そこにお示ししてありますので、是非こういったところを記載していただければと思います。以上です。
【天笠主査代理】    公立小中学校事務職員研究会様、何かありますか。
【公立小中学校事務職員研究会】    事例のマニュアル化が進んでしまって、自由度が失われてしまうということなんですけれども、例えば、教材を活用する場合、なかなか使い方が分からなかったりとか、先生方が分からないということがありますので、そういった内容をしっかりと、こういう使い方ができるよというのを実際に手に取って、そういう経験をしていただくということも重要ではないかと思ったりしております。
【天笠主査代理】    退職校長会様、何か。よろしいですか。
【全国連合退職校長会】    一般的な言い方で申し訳ないんですが、やはり各教科の先生方が学校独自ではなくて、同じ地区の先生方が集まって研究会、そういうものが充実しますと、外の情報が教員同士で中に入ってきて役に立つということが非常に効果があると思います。教育の専門家が上から一方的にこうだああだということももちろん重要なんですが、お互いに実践して、こういう工夫があるよということを交換できることは非常にいいと思いますので、教育委員会、行政の方にはそこら辺是非重点取っていただけたら。
【天笠主査代理】    全国連合小学校長会様。
【全国連合小学校長会】    アクティブ・ラーニングについてなんですが、主体的で大変深い学びといったときに、教科の特質に応じた見方・考え方が非常に重要になってきます。ここのところをさらにもう少し丁寧に教員の方に説明をしていただけると、アクティブ・ラーニングが実のあるものになっていくんじゃないかと考えます。
  それから、英語に関わった時間割編成なんですが、地域、社会に開かれた教育課程ということを考えたときに、様々な時間割の編成がありますけれども、その地域あるいは保護者が納得できる時間割編成をしていくというのがやはり課題になってくるというふうに考えているところです。以上です。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございました。これをもちまして後半のセクションを終わらせていただきたいと思います。
  御発表いただきました各団体の皆様、誠にありがとうございました。頂いた御意見は事務局にて整理の上、答申に向けた議論に反映させていただきますので、どうもありがとうございました。
  最後に事務局より今後の日程について連絡をお願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    本日は誠にありがとうございました。次回でございます。10月31日、月曜日13時~15時、場所は本日と同じ会場を予定しております。次回も冒頭より2会場に分かれての開催となります。詳細は追って御連絡を申し上げます。
  なお、本日の資料につきましては郵送を御希望される方は机上に資料を残しておいていただけましたら、後日、お送りをさせていただきます。以上でございます。
【天笠主査代理】    それでは、本日の教育課程企画特別部会は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


――  了  ――

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