教育課程部会 教育課程企画特別部会(第25回) 議事録

1.日時

平成28年11月14日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」に係る意見聴取の結果等について
  2. 答申に向けた意見交換
  3. その他

4.議事録

【無藤主査】    それでは、出席予定の委員、おそろいということです。定刻ですので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会第25回を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集をいただきまして、ありがとうございました。
  本日でございますけれども、「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」に寄せられましたパブリックコメントの結果及び皆様に御出席もいただきましたが、関係団体ヒアリングの結果のまとめにつきましての御報告を頂きます。その上で、「答申に向けて記述の充実を図る事項」についての御議論を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  それでは、事務局から配付資料についての御確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    配付資料でございますけれども、本日は議事次第記載のとおり、資料1から8、その他机上に参考資料を配付させていただいておりますので、不足等ございましたら御連絡ください。
  また、いつものように机上のタブレット端末ですけれども、関係答申、資料等をデータで入れております。詳細は、議事次第裏面に目次がございますので、こちらをごらんいただきたいと思います。
  また、いつものように学習指導要領等の見直しに関しまして、各団体から届けられました要望の一覧を机上の紙ファイルに置いて配付しております。机上の黄色のファイルになっておりますので、適宜、御参照いただければと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  それでは、議事に入ります。
  本日も報道関係者より会場の撮影及び録音の申出がありましたので、これを許可してございます。御承知おきください。
  さて、本日でございますけれども、審議まとめに係る関係団体からの意見聴取の結果及び審議のまとめに係るパブリックコメントの結果につきまして、事務局より御報告を受けます。
  その後に、条件整備に関して平成29年度概算要求の状況、高大接続改革の進捗状況、その他について御報告をいただきます。その後、答申に向けての記述の充実を図る事項についての御議論を頂戴したいと思います。
  それでは、まず、審議のまとめに係る関係団体からの意見聴取の結果及び審議のまとめに係るパブリックコメントの結果につきまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、お手元、資料1-1、それから資料1-2をごらんいただければと思います。
  まず、資料1-2からでございますけれども、先生方にも御協力をいただきまして、3回にわたって2グループに分けて、また最後は同時にという形で意見聴取を行っていただきました。団体の一覧が資料1-2という形になってございます。それぞれの団体から提出のありました資料は、先ほどの黄色いファイルですので、少しお手元に、ごらんいただければと思います。
  なお、その黄色ファイルの下に水色のファイルがございまして、これは書面で様々な団体から、ヒアリング団体以外の団体や関係の方々からお寄せいただいた要望等の一覧ということになってございます。
  黄色のファイルの方をごらんいただきますと、第1回、第2回、第3回、第4回ということで、それぞれ先生方にも御協力いただきながらヒアリングをさせていただいた内容を全てとじさせていただいております。ヒアリングの対応をされなかったグループもあると思いますので、適宜、こちらもごらんいただければというふうに思いますけれども、時間の関係もございますので、これらの概要を資料の1-1としておまとめさせていただきました。黄色ファイルも少しごらんいただきながら、お耳で資料1-1の方をお聞きいただければと思いますけれども、4回にわたって50の関係団体から意見聴取を行わせていただきましたけれども、学習指導要領改訂の基本的な方向性については、積極的に評価をいただきました。今後に向けて、例えばアクティブ・ラーニング等、片仮名の用語について具体的に明示できるような分かりやすいような説明、あるいはパンフレットの配付や説明会等を通じて理念を分かりやすく周知していく必要があるというような御意見を多数頂いたところでございます。
  また、指導要領の理念の実現に向けて、全ての団体がそれぞれの観点から、加配定数の改善・充実など、条件整備の重要性について御指摘を頂きました。また、特にICT環境の整備ということで、プログラミング教育や情報活用能力ということからも、子供の学びを充実させるためにパソコン、あるいは無線LANの整備のための措置が必要ではないかという御意見を頂いたところです。
  また、外国語教育の充実に関しましては、その必要性ということは概ね理解できるというコメントを頂きましたけれども、実施に向けた課題といたしまして、専科教員やALT等の人的配置、あるいは効果的な教材の作成や教員の研修といった条件整備、授業時数の確保の方策、こういったものについて検討していただきたいという声を頂いたところでございます。
  また、部活動、教育的意義はもちろんのことでありますけれども、教員の負担軽減の観点、あるいは子供たちの総合的な学びということを確保していくという観点から、指導体制の在り方の見直しや教育課程との関連付けの検討が必要ではないかという御意見、また、教員が授業準備等にかける時間を確保していくために、業務効率化の推進や条件整備により多忙を解消していく必要があるのではないか、あるいは教員の多忙化の解消、子供たちの学びの充実のためには、企業なども積極的に学校と連携・協働したいという声を頂きました。
  また、今回の、特に高等学校教育の改革、改善の実効性を高めていくためには、高校教育と大学教育を接続する大学入学者選抜の改革が不可欠であるという御意見、また、資料1-1の2ページ目になりますが、幼児教育については、今回、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」ということを10の姿として示すということで御意見を頂いておりますけれども、資質・能力と関連させた示し方の工夫や、これが何かしら一定の評価の基準のようなものとなり、達成度を評価するという方向性にならない子供たち一人一人の学びの効果ということを見ていくということが重要ではないかということ、あるいは視覚障害、聴覚障害、肢体不自由及び病弱の特別支援学校に対しましては、幼稚園、小中高等学校の学習指導要領等の改善内容についても十分な周知を図る必要があるのではないかということ、また、知的障害者である児童生徒に対する各教科等で、育成を目指す資質・能力を明確にしていくということ、そして各教科等の目標及び内容の取り扱いを整理し分かりやすく示すという全体の改訂の方向性と併せた改訂が必要ではないかということで御意見を頂いたところでございます。
  これが関係団体、4回にわたって行わせていただいた意見聴取の結果ということでございます。
  それでは、次に資料の2でございます。資料の2をごらんいただければというふうに存じますけれども、審議のまとめに対してパブリックコメントという形で意見募集をさせていただいたものの結果でございます。
  今回、意見募集の結果、2,974件の御意見を頂いておりまして、全て御意見をファイルとじにいたしますと、こちら手元にございますけれども、この分厚いドッチファイルの3冊分の御意見を頂いたところでございます。これは、現在、情報公開ということで誰でもごらんいただけるという状況になってございます。
  そして、このパブリックコメントに関する各種法令等を参考にしまして、今回寄せられた意見、大部でございますので、資料2の形で概要という形をとらせていただきました。10月26日の教育課程部会でも既に報告をさせていただいておりますけれども、これから資料2に基づきまして、パブリックコメントの概要を御説明させていただきます。
  1枚目でございますけれども、意見募集、9月9日から10月7日ということで行わせていただきました。郵送、FAX、電子メールで2,974件、内訳はごらんのとおりでございます。
  また、意見提出者の属性による分類ということも、ごらんのとおりでございます。
  2ページ目以降が主なテーマに関する意見の概要ということでございます。
  先ほどの発表団体からの意見の内容とも少しかぶってまいりますけれども、意見が寄せられたテーマは多岐にわたりますけれども、中でも指導要領実現のために必要な業務改善などに係る条件整備、あるいは小学校における外国語教育の充実のための諸条件の整備、部活動の在り方の改善等に御意見が寄せられたところでございます。
  また、個別の項目といたしましては、海洋教育、主権者として求められる力、特別支援教育、多様性と教育等に関する御意見が寄せられたところでございまして、これらを事務局において整理し、寄せられた御意見の例を以下のとおり概要としてまとめさせていただきました。
  まず、改訂の基本的な方向性と、業務改善などの条件整備でございますけれども、「何を学ぶ」かにとどまらず「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」を視野に議論されていることを評価するということ、こうした教育は子供たちに準備されるように条件整備を図っていく必要があるということ。情報化やグローバル化の進展の中で、未来社会で必要となる資質・能力を着実に身に付けていくことが求められる。「ゆとり」か「詰め込み」かといった不毛な対立の視点は、前回改訂で既に乗り越えられている。量的確保を前提としながら、知識と理解の質を高めるという改訂の趣旨を着実に進めていくべきであるということ。外国語教育の充実、アクティブ・ラーニングの視点などが重要であるとしても、既存の教育内容の精選なしに実現できるのかどうか。新しい施策の実現のためには、業務の効率化や教員定数の拡充など条件整備が不可欠であるという御意見。授業内容について、消化不良を起こさないよう具体的な実践例、具体例などの提供が求められるという御意見などでございます。
  部活動、あくまで生徒の学校生活、学生生活の一部であるべき、教科等の学習が悪影響を受けることがあってはならないということ。教育課程外の活動であることや、自主的・自発的な参加であるということを徹底し、休養日や部活動時間の在り方には適切な配慮が必要ではないか。複数の学校や地域単位での部活動運営を可能にすることや、外部指導員制度の導入など、少子化等の取り巻く環境が変わる中で、運営体制も改善していく必要。顧問を教員に強制しないということなどの御意見を頂いております。
  3ページ目、指導方法と評価の在り方、カリマネということでございますけれども、アクティブ・ラーニングを受けて授業改善の活性化ということは賛同、そのためには研修や教材研究、授業準備に教員が時間をかけられるよう業務の適正化や条件整備が必要。指導要領においては、指導方法や評価の具体まで立ち入って規定すべきではないということ、創意工夫が促されるよう画一的な指導が求められないようにする必要があるということ。カリキュラム・マネジメントの考え方により、子供たちの実態、地域の実態に即した教育課程が作られることが重要であるということ、特色を無視した一方的な管理強化につながらないようにという御意見を頂いたところでございます。
  小学校の外国語教育でございますけれども、その必要性は理解できるが、中学校の学習内容をただ前倒しするのではなく、体験的な学び、話せる聞き取れる英語、外国語活動は専門の免許を持たない小学校教員の努力によって成功に導かれてきたということ、教職員の勤務体制、教育課程の編成に混乱を招かないような環境整備が必要。小学校高学年では、ほぼ毎日6コマを行っている状況であり、1コマ増は児童の負担が大きいということ、短時間学習も提案されているのが、既に読書活動、計算等に使っていることも考慮が必要。また、具体的な事例や教材を示してほしいということ。年間35時間増につきましては、一律ではなく地域や学校の状況に応じて設定できるようにすることに賛同、教員の負担も大きいため専科教員やALTの配置が必要という御意見を頂いております。
  また、小学校、特にプログラミング教育でございますけれども、その重要性は理解できる。ただ、10年先にどのような技術が通用しているかということを考えながら何を教えるかということを考えていくことが必要。プログラミング教育のイメージがまだまだ共有されにくいということ、各級、学校段階、各教科でどのような内容を展開していくのか、各学校で全て計画していくことは困難であるので、具体的に示してほしいという御意見を頂いております。
  また、4ページ目以降は、各教科ごとにそれぞれ御意見を頂いた内容でございます。例えば国語における文字文化や言語文化の継承・発展、論理的な文書を読んだり書いたり、根拠に基づいて議論することを重視すべき。
  地歴につきましては、地理専門の教員が不足している現状や、今後、高等学校におきまして日本史と世界史を融合させた歴史総合ということの内容を考えると、検証機会の充実、指導体制の充実が必要であるということ。一方で、「歴史総合(仮称)」の内容については、世界史と日本史を関わらせながら近現代史を重視するということは意義深いという御意見、また、通史的に歴史的事実を学ぶことは重要であるということ、特定の歴史の捉え方のみを指導する内容とならないようにすべきということ。
  公民科につきましては、現代社会における諸課題を学習した上で、「倫理」や「政治・経済」につなげていくべき。「公共(仮称)」においては、社会に参画する際の選択・判断の基準となるような概念ということを中心に学習していくことが重要であるということ。
  家庭科、技術・家庭科につきましては、家庭科は衣食住をしっかり指導するとともに、高等学校では現代社会の中で必要となる、例えば金融経済取引なども重要ではないか。技術につきましては、ものづくりができるということだけではなく、倫理観の育成や社会の一員として世の中で役に立つ働きをすることの意義、小・中・高を通じたプログラミング教育の充実など。また、技術と家庭ですけれども、中学校ですと合わせて週1ということで、3年生では週それぞれ0.5時間となってございますけれども、それで授業時間が少し少ないのではないかという御意見。
  道徳教育につきましては、「特別教科  道徳」につきましては、その評価の在り方について引き続き工夫改善が必要。「考え議論する道徳」に転換を図ること、教科書に適切な資料が掲載されるなど、その充実を図ることに賛成するこという御意見でございます。
  最後、5ページ目でございますけれども、教科横断的なテーマに関する御意見ということでございます。
  海洋教育、海に囲まれている海洋国家である我が国の教育においては、海運などこうした日本経済や国民生活を支える重要な役割を担っているということが正確に理解されるようにということ。また、グローバル化の中で、領土や国土に関して領海・EEZなど海洋の重要性、意義の理解に関する内容が盛り込まれることなどでございます。
  主権者として求められる力、特定の教科・領域だけではなく、義務教育段階から計画的に教育活動全体を通じて取り組むこと、現実に行っている身近な問題や政治課題などを自ら考え議論し、できることを行っていくというスタイルの学習を推進すること、政治に対する見方、考え方の枠組みを理解していくことなどの重要性ということで御意見を頂いたところでございます。
  特別支援教育につきましては、障害者権利条約の理念や方針に基づいた特別支援教育の実現ということ、また、特別支援学校、特別支援学級、通級、通常の学級の指導など、子供たちの実態に合わせた連続性のある教育課程の編成ということ。また、教職員定数の改善、児童生徒数の増に伴い過大化・過密化する特別支援学校の改善、また免許状の保有率の向上などの条件整備が必要であるという御意見でございます。
  また、多様性と教育に関しましては、性的多様性に配慮するということ、子供たちがお互いの違いを肯定的に捉え、多様な人々がともに生きる社会の実現に不可欠な他者への共感や思いやりを子供たちに培う教育の実現が重要ではないかという御意見を頂いたところでございます。
  本日は、答申に向けた御議論を頂きますけれども、こうした関係団体、あるいはパブリックコメントの御意見なども踏まえながら本日御議論を頂ければ幸いでございます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  今、御報告いただきましたけれども、それも踏まえ、後ほど答申に向けて記述の充実を図る事項についての御議論を頂戴したいと思います。
  その議論に入る前に、幾つか報告事項がございます。議事次第に沿って文部科学省より御報告いただきたいと思います。そして、全ての報告が終わった後に、10分程度ですけれども、質疑の時間をとらせていただきたいと思います。
  まず、初等中等教育局概算要求の主要事項及び財政制度審議会の資料への文部科学省の見解につきましての御説明をお願いいたします。
【黄地財務課企画官】    財務課の黄地でございます。資料3-1の方をごらんいただければと思います。こちらは、平成29年度の概算要求の主要事項でございます。お時間の関係もございますので、特に教育課程に関する部分だけを御紹介申し上げます。
  1枚目をお開きいただけますでしょうか。まず、第1といたしまして、「次世代の学校」創生のための指導体制強化等ということで、定数改善を要求してございます。こちらにつきましては、また後ほど詳しく御説明いたします。
  2ポツでございます。教育課程の充実といたしまして、学習指導要領の改訂に伴い、解説書の印刷ですとかカリキュラム・マネジメントの研究など、様々な事業を要求しているところでございます。
  3ポツの道徳教育の充実といたしましては、保護者向けの分かりやすいパンフレットですとか、強化の無償給与に関する経費を盛り込んでございます。
  4ポツの全国的な学力調査の実施にいたしましては、例年どおり、また来年度もやるということで要求してございます。
  1枚おめくりください。右の3ページをごらんいただければと思いますが、インクルーシブ教育のシステムの実現など、特別支援教育の充実に関する経費を盛り込んでございますほか、その下の9ポツでございますが、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールの実現等をはじめ、キャリア教育・職業教育の充実に関する経費も盛り込んでございます。
  続きまして、1枚おめくりください。4ページでございますが、12番といたしまして、初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成ということで、後ほど担当より詳しく御説明申し上げますが、小・中・高を通じた英語教育の強化事業、あるいはスーパーグローバルハイスクール等に関する経費を盛り込んでございます。
  簡潔でございますが、概算要求の主要事項は以上でございます。また、後ろに詳しい資料を付けさせていただいておりますので、お時間があるときにお目通しいただければと思います。
  続きまして資料3-2をごらんいただけますでしょうか。こちらは「次世代の学校」指導体制実現構想ということで、教職員の定数に関する要求の概要でございます。総額といたしましては、来年度は1兆5,185億円ということで、対前年度86億円の減でございます。こちらにつきましては、自然減の枠内で真に必要な事項に絞って改善を要求した結果、自然減の枠内でおさまっているというものでございます。大きくの3つの柱を立てて要求してございます。
  まず1点目でございますが、学習指導要領の改訂に向けた定数改善の要求ということで、小学校の専科指導の充実、またアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善に関する定数を要求してございます。
  2ポツの多様な子供たち一人一人の状況に応じた教育ということで、特に今、政府で進めております一億総活躍社会の実現の観点から、通級指導の充実、また外国人児童生徒等の教育の充実につきまして、こちらは、これまでは加配定数で措置していたものを、今回、基礎定数化ということで要求してございます。基礎定数化を実現することによって、計画的・安定的な人員配置が可能になるものと考えてございます。また、このほか、貧困等に起因する学力課題の解消、例えば経済的に困難な御家庭の集まる地域においては、学力がかなり低い傾向が見られることも勘案しまして、特にこういった学校に対する措置を集中的に行うための定数改善を要求してございます。そのほか、いじめ・不登校の未然防止・早期対応の強化、また、統合校・小規模校への支援に関する定数を要求しております。
  3番目といたしまして、「次世代の学校・地域」創生プランの推進ということで、ミドルリーダーが不足しているということも踏まえまして、指導教諭の配置促進、また「チーム学校」の実現に向けた指導体制の基盤整備ということで、学校事務職員、養護教諭、栄養教諭等の定数の改善を要求してございます。3番目といたしまして、「先導的実践加配制度」の創設ということで、全国のモデルになるような取組を行う学校について、実証研究を促進する観点から加配を要求しているということでございます。
  今回の実現構想は、平成29年から38年までの10か年の計画でございますが、10か年トータルといたしましての改善数は約3万人でございます。一方、自然減は4万5,400人ということで、差し引き1万5,640人ということで、この考え方につきましては、厳しい財政状況を勘案し、特に必要性の高い事項に限定して定数の改善を要求することによって、追加的な財政負担を求めないようにするという考え方の基に要求したものでございます。
  最後に、教員給与の改善といたしまして、特に部活動指導業務手当につきましては、これまで4時間で3,000円であったところを2割増といたしまして3,600円にする方向で要求したところでございます。
  この実現構想校をめぐって、特に財務省との関係では、様々な議論が今展開中でございますので、それの一端を御紹介申し上げられればと思います。
  資料3-3につきましては、11月4日に財政制度審議会におきまして財務省が提出した資料でございます。こちらにつきましては、3-5で文部科学省の考え方をお示ししてございますので、そのときに合わせて御紹介できればと考えございます。
  資料3-4の8ページをごらんいただけますでしょうか。こちらの資料3-4は、今年の4月7日の財政制度審議会の財政制度分科会に財務省が提出した資料でございますが、こちらの8ページでは、青枠のところを御注目いただければと思いますが、少子化が進展する一方で、特別支援や外国人児童生徒は増加している。こうした児童生徒にきめ細かく対応していくことは極めて重要であり、他の児童生徒に多様性の教育を行っていく観点からも、今後積極的に推し進めていく必要があるということを述べています。そうした観点から、特別支援、外国人児童生徒の数に応じた適正な教職員数を見きわめながら、必要十分な定数を配置するべきだと述べておるところでございます。すなわち特別支援や外国人児童生徒等の対応につきましては、基礎定数化を図るべきだということで財務省自身が4月の段階では打ち出していたところでございます。この考え方を示したのが、10ページでございます。こちらの図表をごらんいただければと思います。
  要すれば、4月時点の考え方といたしましては、加配定数の性質をより深く掘り下げまして、学校数やクラス数、児童生徒数に連動するようなものとして、例えば外国人や特別支援に関するものは基礎定数化をすべきではないかということを触れております。一方で、他の加配定数につきましては、政策的な措置ということで引き続き加配措置とすべきということで整理しているところでございます。先ほど御説明いたしました文科省の定数の要求につきましても、この4月の段階こういった考え方も踏まえまして要求したところでございます。
  一方で、先ほど御紹介申し上げました資料3-3の財制審の資料におきましては、また大きく方向性が変わりつつございますので、この点につきまして、資料3-5を用いて文科省の見解を御説明できればと考えてございます。3-5をごらんいただけますでしょうか。
  2枚ほどおめくりいただきまして、1ページをごらんいただければと思います。公立小中学校の教職員定数と児童生徒数の推移ということで、1ページの上の部分が財制審の資料を抜粋したものでございます。こちらで言っておりますのは、子供の数が減っている一方で、児童生徒40人当たりの教職員数は40%増加しているという内容でございます。
  これにつきましての文科省の見解といたしまして、資料の下の2ページをごらんいただければと思います。少なくても平成元年から平成17年までは第7次までの定数改善計画に基づきまして定数が増えていたところでございます。一方で、平成17年から平成27年に至るまでの直近の10年間の方に御着目いただければと思いますが、特別支援学校や特別支援学級を除いた通常学級の定数ということで考えてみれば、直近の10年間ではたった2%の増加にとどまっているということでございますので、財務省が言っているように、40%増というところと大きな乖離が見られるところでございます。
  続きまして、3ページをごらんいただけますでしょうか。こちらにつきましては、財制審の資料で言っておりますのは、いわゆるPT比、先生1人当たりの子供数でございますが、こちらについてはG5諸国と比べると遜色ないのではないかということが言われております。
  こちらにつきましての文科省の問題意識といたしましては、4ページの方をごらんいただければと思います。要すれば、比較する対象がG5諸国でいいのかどうかという視点でございます。比べるのであれば、政府の経済財政諮問会議の改革工程表で述べられておりますように、目標といたしまして、世界トップレベルの維持向上を目標とするということが政府方針で掲げられておりますので、世界トップレベルの国々と比較すべきではないかというのが、こちらの問題意識でございます。
  そういう視点で見てみますと、例えば下の左の表をごらんいただければと思いますが、フィンランド、エストニア、カナダ、ポーランドといった上位の各国の中では、いわゆるPT比は日本より水準が高いということでございます。一方で、G5諸国の状況といえば、その右の図をごらんいただければと思います。いずれもPT比は日本と同レベル、それかもっと条件が悪いところではございますが、いずれにしても、こういった国々はPISA調査は結果は日本より悪いというところがございます。
  続きまして、次の論点でございますが、若干ページ飛びますが、7ページの方をごらんいただけますでしょうか。ここで、財制審の資料で言っておりますのが、基礎定数にしても加配定数にしても生徒や子供、学級の割合を固定化すれば、子供の数の減少に伴って先生の数も減らせるのではないかという指摘でございます。こちらについての問題意識は、そもそも加配定数につきましては、地域の政策ニーズや個別の状況等に応じて政策的に措置するものでございますので、単純に固定化させたからといって教育環境が継続できるという性質のものではない点に御留意いただく必要がございます。
  さらに、8ページの方をごらんいただければと思いますが、通級指導を受けている子供の数や日本語指導が必要な外国人の子供の数は、今後も増加する傾向があるものと考えられておりますが、こういった点につきまして、おそらく財務省の試算の中では考慮されていないのではないかという問題意識がございます。そういった中で、単純に加配定数の割合を固定化して教職員の定数を減らすことになれば、教育環境がますます悪化するのではないかという問題意識でございます。
  続きまして、資料の10ページの方をごらんいただければと思います。財制審の資料によれば、青枠のところをごらんいただければと思いますが、要すれば、先生と外部人材の適切な組み合わせを費用対効果の観点から検証すべきではないかということでございますが、基本的に先生の役割分担と、先生の職務と外部人材の職務は全く異なるものに留意する必要がございます。こういったことからすれば、単純に外部人材を増やせば先生を減らせるといったものではないということでございます。
  より詳しく説明したのが、次の資料の11ページでございます。例えば特別支援教育について見れば、通級指導の担当教員については、「特別の教育課程」による正規の取り出しの授業ということで、特別の教育課程を実施できるのは教員免許を持った教員でなければできないことでございます。一方で、看護師や言語聴覚士、作業療法士などといった外部人材につきましては、児童生徒の個別の状況に応じて医療的なケア、あるいは医療的な観点からの先生に対する支援を実施する性格の外部スタッフでございますので、どちらかを増やせば先生を減らせるといったような関係ではない点に留意する必要がございます。
  同様のことが次の外国人等への日本語指導についても言えます。資料の13ページをごらんいただけますでしょうか。財務省の問題意識といたしましては、例えば日本語支援員を増やせば日本語指導の対象の教員も増やす必要はないのではないかといった問題意識でございますが、どのように組み合わせることについては、子供たちの日本語能力のステージに着目する必要がございます。中ほどにステージ1からステージ6ということで、子供の日本語能力の段階を示した図がございますが、例えば日本に来たばかりのステージ1以下の段階では、サバイバル日本語ということで、日常生活に必要な日本語を身に付けていただく段階でございますが、こういった段階では日本支援員といった外部スタッフを活用することが有効でございますが、いよいよステージ2以降ということで、学校教育を受ける段階になりますと、日本語と教科の統合的な指導というステージになりますので、こちらについては、この指導内容が正規の教育課程である以上、こちらは先生がしっかりと対応する必要がございます。
  続きまして、14ページをごらんいただけますでしょうか。特別支援教育について、財制審の資料によれば、幾つか問題点が指摘されております。具体的に文科省の見解を示したのが15ページ以降でございますので、15ページをまずごらんいただければと思います。
  まず、第1の論点といたしまして、海外では特別支援教育において学級規模と学力の間に有意な関連が見られないという研究例を紹介しているところでございます。そもそも論として、こちらについての見解といたしましては、今回要求している内容は通級指導でございますので、学級規模を引き下げる要求ではないという点、もう一つは、そもそも特別支援教育の趣旨によれば、学力だけでそういった成果を図ることが適切かどうかという視点でございます。15ページの下に特別支援教育の内容について解説してございますが、障害のある子供たちの自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するということが特別支援教育の重要な視点でございますので、こういった点からすれば、財務省が言っているように、学力についてのみ着目して成果を判断するということはおかしいのではないかということでございます。
  次の視点といたしまして、16ページをごらんいただければと思いますが、財制審の資料では、通級指導に関する教員一人当たりの児童生徒数は都道府県別で最大15倍もの差があるということでございます。そもそも15倍もの差があるというところ自体が、17ページにございますように、計算間違いでございます。時間の問題もございますので、説明ははしょりますが、いずれにしても、16ページでも書いてございますように、通級の子供が多い都府県ほど教員一人当たりの児童生徒数が多くなるという傾向が見られます。これについて、何を言っているかと申し上げますと、そういった自治体ほど一人当たりの指導時間が少ないということでございますので、そういった時間数の少なさが適切な状態であるのかどうかという点に着目する必要がございます。こういった点について、不適切な状態を解消するためにも基礎定数化が必要であると考えている次第でございます。
  続きまして、18ページをごらんいただけますでしょうか。財制審の資料の中では、外部人材の支援員を活用することで通級指導を設置していない自治体も存在するということで、こういった例もよく参考にすべきだという問題意識でございます。こちらについての文科省の見解といたしましては、こういった自治体はそもそも1,200ある自治体のごく一部であるということでございます。下の円グラフにございますように、こちらは特別支援教育総合研究所がまとめた調査の一部でございますが、通級が必要だけれども、現在は設置していないという自治体が6割程度ある一方で、2割程度の自治体が必要ではないと回答してございます。その理由が隣の棒グラフでございますが、一番多かったのが支援員の活用による指導・支援ができているからということで、これが15自治体ございまして、こちらについて財制審では強調してございます。ただ、先ほど申し上げましたように、調査対象の1,200自治体のうちのたった1%に過ぎないという点が今回の問題でございます。
  次に、続きまして19ページの方をごらんいただけますでしょうか。外国人児童生徒への対応につきまして、財制審の資料では、外国人が集まっている自治体は偏在しているため、自治体や当該地域の経済団体・企業と連携を図っていくことが必要ではないかということでございます。
  こちらについての問題意識といたしまして、20ページの方をごらんいただければと思いますが、そもそも義務教育の趣旨としては、外国人の子供が散在しているか、あるいは特定の地域に集中しているかに関わらず、どの児童生徒に対しても、どの地域に住んでいる子供たちに対しても、しっかりと教育の機会均等や水準の意思向上に責任を持つということが第一でございます。
  さらに言えば、その下の法人税収のところに御着目いただければと思いますが、例えば外国人の子供たちが集まっている地域で企業が一定の収益を出した場合であっても、その法人税は、一定部分は国の方にいくわけでございますので、特定の地域のみならず、国全体に対してもある一定の便益が出てくるということでございます。したがいまして、先ほど申し上げた義務教育の視点も踏まえますれば、地方だけに責任を負担、転嫁するのではなくて、国と地方が適切な役割分担のもとで義務教育の責任を果たすべきであろうということでございます。
  少しページ飛びますが、22ページの方をごらんいただければと思います。先ほどの集住地域では、企業や自治体が責任を持つべきではないかという論点でございますが、実際問題、その下の図表で御紹介申し上げているように、愛知県の例で言えば、企業・団体、個人、愛知県がお金を出し合って基金を設けて、日本指導のための支援をしている例もございますが、一方で、その右の方をごらんいただければと思いますが、神奈川県大和市のように、インドシナ難民の定住支援を行っている例ですとか、その下の長野県飯田市の例のように、満蒙開拓団を送り出した経緯があって、その後、帰国した方々を受け入れている例もありますので、企業の立地以外にも様々な要因で外国籍あるいは日本語指導が必要な日本人の子供が集まっている自治体がたくさんあるという多様性に着目する必要があるのではないかと思います。
  一方で、こういった自治体の中でも財政力が高いところ、低いところもあるという点についても御留意すべきでございます。
  23ページをごらんいただければと思いますが、先ほど紹介した愛知県も含めまして、外国人集住都市会議という市長さんの会議がございますが、先日、文部科学大臣、財務大臣あてに、基礎定数化も含めた要望が強く出されているところでございます。
  最後に、まとめといたしまして、24ページをごらんいただければと思いますが、要すれば、基礎定数化については時期尚早ではないかという問題意識を先方は持たれているようでございますが、その一番の理由といたしまして、下の赤線引いたところでございますが、外国人生徒の日本語指導や通級指導についても、教員と外部人材の役割分担や最適な組み合わせの検証が必要である、こういったエビデンスがまだ示されていないのではないかということを先方の問題意識として持たれてございます。
  これにつきましては、最後、25ページをごらんいただければと思いますが、今回、基礎定数化を要求している外国人児童生徒や通級指導、いずれにつきましても、補習ではなくて一定の要件のもと、正規の教育課程として位置付けるものでございます。こういった正規な教育課程を教えられるのは、法令上、免許状を持っている先生でしかなし得ませんので、先ほど申し上げましたように、外部人材の活用をもって先生の代わりにいたしてしまうといった意味で比較検証は適切ではないという点について、しっかりと説明する必要がございます。
  いずれにつきましても、しっかりとした反論を適宜打ち出して、最大限、定数がとれるように今後とも努力してまいりたいと考えてございます。
  説明は以上でございます。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  今御報告いただきました財務課企画官が別の用務のため退席ということでございますので、今の改正要求主要事項、特に文部科学省の見解の部分ですけれども、御質問のある方は挙手していただくか名札をお立ていただくと幸いですが、いかがでしょうか。油井委員、お願いします。
【油井委員】    ただいま御説明いただいた財政措置の概要については、主として、義務教育の小中学校の話のように受けとめたのですが、高等学校の場合はどういうふうにお考えでしょうか。
【黄地財務課企画官】    高校につきましては、国庫負担の対象ではございませんので、今回の実現構想には含まれていないところでございます。今回、高校につきましては、高校標準法に基づいて必要な定数が措置されているところでございますので、特に今回、こういった実現構想に合わせての措置は要求していないところでございまして、昨年度とほぼ同様の要求であるという状況でございます。いずれにいたしましても、さらに様々な御意見を頂戴して、必要な対応を来年度以降も図ってまいりたいと考えてございます。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  ほかにはございますか。特段、今、するということがないようですので、では、ここでありがとうございました。
  それでは、次の御報告をお願いしたいと思いますけれども、高大接続改革の進捗状況、平成28年度全国学力・学習状況調査結果及び英語教育に関する概算要求及びICT環境の整備に関する概算要求についての御説明をお願いいたします。
【濱口主任大学改革官】    失礼いたします。高大接続に関しまして、私の方から説明させていただきます。高大接続PTの濱口でございます。資料は4と書いてある色刷りの頭のものがございますので、それをごらんください。全体的には十数ページ付いておりますけれども、頭の1枚紙で概括的に御説明を申し上げます。
  まず、全体の進捗状況ですけれども、3月までは例のシステム改革会議の議論がございました。その後、ものによってですけれども、引き続き公開の場面の検討がされているもの、非公開の場面で検討がされているもの、種々ございます。この資料というのは、8月末の段階でもろもろの全体を全てセットにして一度公表している資料に一部アップデートを加えていると、そういう資料でございます。
  接続の中のそれぞれの種々の課題につきましては、この1枚紙にもありますとおり、もろもろのものがございますけれども、全体スケジュールとの関係で申し上げれば、本格的に各事項について制度化なり実施がされていくというものは、それは種々なのですが、来年度に向けて、今年度の検討が重要になっているものが多いという共通の特徴がございます。
  その上で、この1枚紙それぞれに目を落としていただきますと、黄色い高校部分、それから中ほどの入試の部分、それから最後の青色の部分の大学部分がございます。
  最初の1ポツ、高等学校の黄色の部分ですが、中を見ていただきますと、矢印が三つほど立ってございます。一番最初の教育課程の見直しと、二つ目の矢印の中の最初のポツの部分につきましては御案内のとおりでございます。二つ目の矢印の中の下のポツ、教員の資質能力の向上につきましては、現在、関係の法律案が国会で審議中でございます。それが1点です。
  それから、高校部分の二つ目として、矢印のもう一つ下の多面的な評価の推進の中で、これは幾つかポツが付いておりますが、一番最後のポツ、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の部分について申し上げます。これについては、4月以降、太線のところにもありますけれども、文部科学省の中に「検討・準備グループ」というものを作りまして、民間の先生方のお力もかりながら、手前どもの方で検討しているという状況でございます。ここの中の主な検討課題と申し上げますのは、このテストというのは、基礎学力の確実な習得と、それから学習意欲の喚起に向け基礎学力の定着度合いを見るという設計をしようとしておりますが、その中で考えておりますのは、一つは、それに合った名称をどうするかということと、それから、幾つかありますけれども、もう一つ大きなのは、民間の知見を積極的に活用するということを従前に言われておりますので、こことの関係性をどうするかというようなことを中心に検討しておるという部分でございます。それが大きな1ポツでございます。
  それから、二つ目、大学入学者選抜の緑色の部分でございます。これも矢印が二つ付いておりますが、上の矢印は、いわば共通テストであるところの「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の部分でございます。これも種々検討課題がございますけれども、当面優先して考えておりますのは、大きく二つございまして、一つは、特に条件付きというふうに申し上げておりますけれども、記述式をどう入れていくかという部分と、それから、英語の4技能を着実にどう評価を推進していくかという、この二つがございます。前者の記述式の導入につきましては、先般、新聞報道でもいろいろ出ておりますけれども、国大協の関係者からの御提案を踏まえまして、センターと大学がいわばこの採点評価にどう関わるかということを中心に、日程との関係で検討してございます。そこの中では、後の方にも資料が出てくるので後ほどごらんいただければと思っておりますが、2パターンを用意して、センターが段階表示までするというパターンの問題と、それから、そうではなくて、センターが形式的な評価の部分だけにとどめて大学の採点にお願いを委ねるという2つのパターンを考えようとしているものが二つでございます。
  それから、英語の4技能につきましては、民間の積極的な活用という部分がございますので、将来的には、この4技能とも全て民間にやっていただくということを前提に、当面、センターが現在2技能をやっておりますので、それも尊重するということで考えておるというのが、この共通テストでございます。
  もう一つ、入試の下の矢印である個別の入試の部分でございますが、これも問題意識を持っておられる大学はかなり積極的に取り組んでいただいてございます。それをこれからもさらにプロモートしていく必要がございますので、この二つ目の矢印の中の二つ目のポツにもありますとおり、今年度、手前どもで用意している予算事業がございます。これの中で各教科、あるいは主体性等の評価についてどういうふうにやっていったらいいのかというのを、複数の大学にそれぞれコンソーシアムを課題ごとに組んでいただいて、知見をおまとめいただくということをやろうとしてございます。
  それとともに、毎年度やっておりますけれども、各大学でも共通でやっていく入試のルールというのがございますので、最後のポツにありますけれども、これも引き続き来年度に向けてやっていくという部分がございます。
  最後に3ポツ目、一番下の大学教育の部分でございますが、ここも矢印が2つありますけれども、煎じ詰めて言えば、1番目の方でございます。三つの方針をきちっと立てて見直していただくということをお願いしてございますので、これは来年度の制度実施に向けて各大学で現在検討中のところでございます。
  以上です。
【大杉教育課程企画室長】    引き続きまして、学力・学習状況調査の結果、それから英語教育に関する概算要求の状況、情報教育に関する概算要求の状況、時間の関係ございますので、私の方からまとめて御紹介をさせていただきたいというふうに思います。
  まず、平成28年度の全国学力・学習状況調査の結果でございますけれども、資料で申し上げます資料5-1、5-2、5-3でございます。主に5-3をごらんいただきながら、今年で10年目となりました学力・学習状況調査、4月19日に実施された今年度調査の結果が報告されたところでございます。当初、公表は8月25日でございましたけれども、中学校調査の委託業者の集計ミスということで、結果公表、9月29日の木曜日となったところでございます。
  概要でございますけれども、例年、国公立、小中学校の参加率はほぼ100%でございますけれども、今年は熊本地震の影響もございましたので、熊本県並びに大分県及び宮崎県の一部の小中学校、4月19日の実施を見送ったため参加率が若干低くなってございます。
  なお、熊本県内、7月末までには後日実施を行いましたけれども、10月初旬に結果を提供させていただきましたけれども、この集計結果には含まれていないという状況でございます。
  資料5-3をお開きいただきまして、2ページ目、3ページ目に教科に関する調査結果がございます。中学校の数学におきまして、改善の傾向が見られるものもあったところでございます。特にB問題における、適切な根拠に基づいて説明することなどには課題が見られるということなどが調査結果から浮かび上がってきているところでございます。
  続きまして、主体的・対話的で深い学びの視点からの学習指導の改善に向けた取組状況ということが4ページ目から6ページ目に掲載してございます。授業改善に向けた取組状況については、例えば課題に対して自分から取り組み、自分の考えがうまく伝わるように工夫して発表するなどの点につきまして、児童生徒や学校が肯定的な回答をすることを平均正答率が高いという傾向が見られたところでございまして、学びの質ということをしっかり考えていくことの重要性ということが浮かび上がっているところでございます。
  7ページ目から8ページ目をごらんいただきますと、今回、就学援助率、学校質問紙調査項目、学力、この三つの関係をクロス分析したものというものの結果でございます。今年度から新たに始められたものでございますけれども、グラフの色が濃い上三つというものが就学援助率が5%未満の学校で、色が薄い下三3つが30%以上の学校でございます。就学援助率に関わらず、学校が学習指導の改善に向けた取組に沿った学習を児童生徒ができていると回答したり、学習規律に関わる項目に肯定的に回答したりしている学校ほど平均正答率が高い傾向が見られるという状況でございます。
  続きまして、9ページ目、10ページ目、学校に対して行いました質問紙調査のうち、特に昨年度の中教審や学習指導要領改訂に向けた議論等を踏まえまして、特に教職員の資質能力向上、カリキュラム・マネジメント、小中連携、学習評価の在り方につきまして、新規で調査した結果について提示させていただいておりますのでごらんいただければと思います。
  それから、11ページ目には、10年間の回答状況の変化ということがございます。10年目ということも踏まえまして、19年度調査からの経年変化を見たものでございます。例えば早い時間に寝る児童生徒の割合に増加傾向が見られるなど、学習習慣、学習規律、規範意識が身に付いている児童生徒の割合に増加傾向が見られるなどの結果が見られるところでございます。
  また、12ページ目は都道府県の状況でございます。各年度の調査の上位3県及び下位3県の推移ということでございますけれども、上位3県の標準化得点に大きな変化はございませんけれども、下位3県は徐々に平均に向けて点数が上昇しているということで、引き続き学力の底上げが図られているという状況でございます。
  続きまして、英語教育に関します平成29年度の概算要求等についてということでございます。資料6をごらんいただければというふうに存じます。
  資料6、1ページをごらんいただきますと、小・中・高を通じた英語教育の取組について、英語教育強化事業ということで掲載させていただいております。指導体制をどうしていくかということに関わりまして教材の整備、研修・養成、ALTなどを活用、英語教育の改善のためのPDCAサイクルをどう作っていくかということなどにつきましてでございます。全体で15億円の増ということで、主に小学校の外国語活動教科化に対応したものが増要因になっているというところでございます。
  2ページ目でございますけれども、平成26年度から教育改革ということでスケジュールをお示しして先取りした取組をさせていただいております。主に研修ですとか、教材開発、ALTの拡大ということでの内容でございます。
  具体的には3ページ目以降、また資料を付けございますけれども、3ページ目、小学校の新たな外国語教育における新教材の開発・整備ということでございます。3、4年生用、5、6年生用の教材といたしまして、児童用の冊子、それから教室用デジタル教材、教師用指導書、年間指導計画例や指導案も含むということでございますけれども、こうした開発をしていくということでございます。
  また、校内研修の充実ということに向けまして、29年度中には研修用の資料も作成し、教育委員会あるいは先生方にお届けをして、新教材を活用しながら研修を促進していただくというような内容になってございます。
  また、4ページ目、中高生の英語力に関する課題の対応ということで、例えば外部資金を活用した生徒の英語力の把握ということで、これを検証して戦略的な英語教育改革の改善というということでPDCAサイクルを確立していくということでございます。平成29年度第2期教育振興基本計画の最終年度ということでもございますので、中学生・高校生3年生の全国無作為抽出の調査ということで英語力ということを検証していくというようなことも含まれている、課題を把握し改善に結び付けていくということの調査でございます。
  5ページ目でございますけれども、中高における英語教育の抜本的改善のための指導方法等に関する実証研究ということでございます。中高生の英語力の改善ということ、特に発信力に課題があるということでございますけれども、昨年の秋の行政事業レベル等でも行政改革の観点からも中高生の英語教育、エビデンス・ベースの新たな指導方法等の実証研究をすべきということで始まって、5年間を想定したものでございます。
  それから、6ページ目以降は、研修や養成ということでございますけれども、まず外部専門機関と連携した英語指導力向上事業ということで、毎年の契約になりますけれども、現在、イギリス、ブリティッシュ・カウンシルと連携した地域の中核となる英語教育の推進になる養成ということも行っているところでございます。
  あわせて、都道府県・政令指定都市の教育委員会の方々が研修計画を英語教育改善プランということで立てていただいて、数値目標も掲げていただきながらPDCAサイクルを通じた改善ということ。
  また、7ページ目、8ページ目でございますけれども、研修体制の概念図ということを付けさせていただいております。基本的には、中高ということも含めて英語教育推進リーダーの研修を地域の先生方が受けていくということ、小学校につきましては、英語教育推進リーダーを各校1名、中核教員に研修をしていただいて、中核教員の方に校内研修を行っていただくというような流れであるということでございまして、8ページ目がリーダーの研修の流れということでございます。
  9ページ目は、この事業でございますけれども、3年目を迎えた事業ということでございますけれども、小学校につきましては、2万校に2万人いらっしゃるという中核教員の方々、現在、大体6割以上の方が研修を受けているというような形で、こうしたフォローアップもさせていただいているという資料でございます。
  また、10ページ目、11ページ目につきましては、子供たちの変容ということもアンケートなどをとらせていただいておりまして、概ね改善が図られてきているというような結果も見えてきているところでございます。
  以上が、現職の研修ということでございます。
  12ページ以降でございますけれども、小学校英語教科化に向けた専門性向上のための講習の開発・実施ということで、主に地域のリーダーや学校の中核教員の方に受けていただきたいということで実施しているものでございます。
  14ページ目をごらんいただければということですけれども、先ほど御説明した英語教育推進リーダーにおける悉皆研修との違いということを比較しているということでございます。リーダーとなる方々につきましては、専門性の向上ということで、また、小中連携ということも課題になっているということで、中学校の免許、これは2種免許でございますけれども、取得していただきながら、かつ小学校英語教科化に対応した新しい指導法なども受けていただくというような内容も含まれているところでございます。
  今年度から、夏休みや冬休みを活用してスタートさせていただいているということで、現在、大学と教育委員会の連携で31か所というところで講座がスタートしているというようなことでございます。募集定員を上回る地域も出てきているということで、非常に熱心に取り組んでいただいているということでございます。
  16ページ目以降でございますけれども、研修・養成の工程のイメージでございます。免許法の施行規則の改正ということが早ければ28年度ということで、31年度には新課程の認定実施ということが早くて実施されるということ、その間、現職の先生方に専門研修、専門的な専門性を享受していたくということで、リーダー研修、悉皆研修ということ、それから、免許法の認定講習といった政策とともに取組をさせていただいているものがございます。英語教育のためのコアカリキュラムの開発・策定というものを昨年度、今年度、実施しておりますけれども、昨年度はシンポジウムを開催させていただき、途中経過の報告もしていただきながら、様々な学術関係の先生方も含めて委託先の先生方に意見聴取させていただきながらということでございます。概念図ということも資料に付けさせていただいたところでございます。
  それから、24ページ目には、放送大学と連携したオンラインの授業、2単位、科目履修、こういったものも着手させていただいているところでございます。
  また、25ページ目以降でございますけれども、英語教育の強化地域拠点事業ということが今年3年目ということで、217校ということでございます。
  28ページ目にございますけれども、例えば5、6年生におきましては、現行で使用している「Hi,friend!」に加えまして、新しい補助教材を活用した取組を27年度ぐらいから実施ということでさせていただいているところでございます。
  事例も付けさせていただいておりますけれども、29ページ目におきましては、例えば市の取組ということで、中学校免許を有している経験者で小学校教員の方がリーターとして研修を受けた後、コーディネーターとして専科加配を活用して活躍し、意欲的に進められているような例、また、30ページ目には、絵本を活用した取組事例ということで、読むということが今度は入ってまいりますので、こうしたことを新しい補助教材として実施している例、また、31ページ目、32ページ目には、短時間学習を意識的に設定した例などございますけれども、こうしたことを含めまして、審議まとめで提言していただいている内容の方向性ということをどのように実現していくかということで進めていただいているところでございます。
  33ページ目、34ページ目は、小・中・高連携ということで一貫した目標設定をしていただいたり、加配を活用したりということでございます。こういう中で補助のための派遣や指導員派遣事業、非常勤の方も活用しながら様々な取組を進めていただいているということでございます。
  また、37ページ目には、JETプログラムの地方財政措置ということでございます。昨年度全体でALT、1万7,000人ということで急激に増えてきているということで受けとめておりますけれども、総務省、外務省の協力もいただきながらかなりの拡充措置ということを考えていくということでございます。JETのお世話するコーディネーターというような措置ということも含めて、考えているということでございます。
  以上、英語教育の概算要求ということで資料の6を、概要で恐縮ですけれども、御紹介をさせていただきました。
  続きまして、資料7でございます。ICTを活用した学びの推進ということでございます。
  資料1枚目のとおり、教育の情報化、情報教育・教科指導におけるICT活用、校務の情報化ございますけれども、これらについて、次期学習指導要領の実施を見据えた取組と学校のICT環境の加速化に向けた取組ということでございます。
  資料2枚目には、次世代の教育情報化推進事業を掲載してございますけれども、次期学習指導要領の実施を見据え、情報教育・教科指導におけるICT活用を推進する事業ということでございます。調査研究につきましては、プログラミングや情報セキュリティに関する学習活動を含め、情報活用能力を育成するためのカリキュラム・マネジメントの在り方についての実践研究、また、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善にICTをどのように活用するかという実践研究でございます。
  コンテンツとの開発、新たな学びに対応するための官民コンソーシアムの設立ということ、指導力向上は、ICTを活用した指導力の向上のための研修の実施、あるいは高等学校情報化担当教員の研修プログラムの開発ということでございます。教育の情報化に当たりましては、学校のICT環境の整備は欠くことができないということでございまして、こうした事業とあわせて、平成26年度から29年度までの4年間、単年度1,678億円、4年間で6,712億円の地方財政措置を講じ、教育用コンピュータや無線LAN等のICT環境の整備を促進しているところでございます。
  また、資料の3枚目にございますように、2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会を設置しまして、次期改訂に向けた審議の状況も踏まえながら、授業・校務両面でのICT環境の加速化に向けた方策について検討いただき、7月に最終まとめを経て、文科省において教育の情報化加速化プランを策定・公表したところでございます。
  最終まとめにおきましても、資料4枚目のとおり、教育の情報化・加速化に向けた種々の提言を頂いて概算要求にも反映したところでございます。
  また、ICT環境整備の考え方について、将来的には児童生徒1人1台の教育用コンピュータが整備されることが理想としつつ、現在の整備事業を踏まえ段階的に整備ということになってございますけれども、1日1回程度、各クラスにおいて教育用コンピュータを利用できる環境を作っていくことが重要という御意見を踏まえ、実際にICTを日常的に活用している学校の状況を伺うと、3学級に1学級分の可動式の教育用コンピュータがあれば各学級で1日1回活用できるのではということでございます。こうしたことを踏まえて、必要なときに1人1台、コンピュータを用いて授業が行えるようにするために、第3期教育振興基本計画に向けた具体的なICT環境整備目標についてさらに検討を深めていくということにしているところでございます。
  長くなりましたが、以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  ただいま報告四つということですが、高大接続改革、全国学力・学習状況調査結果、英語教育とICT環境整備に関わる概算要求ということでございましたので、その報告につきまして御質問があれば、挙手なり名札をお立ていただくなりお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。では、市川委員、どうぞ。
【市川委員】    高大接続のことについて伺いたいんですけれども、アクティブ・ラーニングというのは、今回、小中だけではなくて高校でも非常に全国的に熱が入っているように見えるんです。なぜ今回は指導要領の改訂、特にアクティブ・ラーニングということに関して高校がこんなに動いているかというのは、これまで実は高校は余り動かなかった。指導要領改訂しても動かなかったのに、今回は非常にアクティブ・ラーニングで敏感に動いていると。お話を伺ってみますと、少なくとも進学校においては、大学入試が変わると言われているからだという声がかなり聞かれます。本当に大学入試は変わるのかというときに、センター入試が、少し問題が変わるというのは分かります。個別大学の入試がどれだけ変わるのかということに対して、さっきお話があったんですけれども、アクティブ・ラーニングで育てようとしているような資質能力をうまく入試に反映できるように本当に変わるのかどうかというと、私も大学にいながら、大学入試がどう変わるという情報は、実は大学の中でも余り公にできないもので、私たちにも伝わってこないことが多くて、例えば東京大学でも、推薦入試のようなことで討論をしたり、発表したりというような学部もあります。ただ、それは3,000人中の100人の入試だけで、ほんの一部なんです。大学は、ペーパーテストでいくのかもしれない。高校にしてみると、入試が変わると言われたのでアクティブ・ラーニングを取り入れようとしているのですが、本当に変わるのか。いざとなったら、余り変わらなかったというのでは、高校側の思惑と外れてしまって、まずいことになるのかなと。私は、入試が変わるからというのは、それだけでは余り健全ではないような気もします。むしろ、大学教育が変わるのですと。つまり、入ってからの教育がこれだけ変わって、答申でも出ましたけれども、大学教育そのものが変わる、それから社会で求められる資質能力も変わっていく。それに向けて高校教育でもアクティブ・ラーニングという方が、私は、本来なら、話の筋が通りやすいと思うんですけれども、結局2点です。個別大学の入試が変わるということはどのように捉えていったらいいのか、説明したらいいのかということと、それから、強調のポイント、高校に対して、むしろ大学に入ってからの教育が変わっていく、そのために高校ではこういうことをやってほしいというような点も強調した方がいいのではないかという意見と、この二つです。
【無藤主査】    はい、お願いします。
【濱口主任大学改革官】    まず、全体的に申し上げないといけないことは、高校も大学もそれは同じなんだと思うんです。学力の3要素ということがきちんと法定がされていて、それは義務もしかり、高校もしかり、大学もしかりで、どこかが主だとか、どこかが10という話ではまずないだろうと思われるので、それはそれぞれ取組をしていただかないといけないということがあると思います。
  その上で、大学そのものについて、いろいろなお話を伺っていると、大学の関係者もかなり悩まれているところもあります。他方で、いろいろなものを見聞きする中では、いわば学力の3要素にバランスを置いた入試をきちんとやり始めているところ、やっているところも、国立しかり、私立もしかり、公立もしかりですが、それもかなりあります。我々としては、予算事業をきちっと見せて、その成果を見せていくということも必要ですけれども、同時に、私もこの4月から来て半年ほどですが、いろいろなところに呼ばれていますけれども、それだけ先生方も問題意識を各大学で持っておられるというのも非常にありまして、それは常にいろいろな議論をしながら周知、広報をし、またヒントになるようなものを見せていくということも、我々は必要だろうというふうに思ってございます。
【無藤主査】    はい、ありがとうございました。
  では、天笠委員、どうぞ。
【天笠主査代理】    1点ちょっと質問させていただきたいのは、英語教育に関する概算要求に関わっての部分の(6)の外国語教育の強化地域拠点事業ということで、そこには現在、まさに進行形であって、平成28年度には、こういう拠点事業の一環として研究校が展開されるという、その一覧表があって御説明いただいたわけなんですけども、この研究校の一覧、地域拠点というのがどんな形で抽出されたのか、出てきたのか。もしお分かりでしたら御説明をいただければというふうに思いますけれども、お願いできますでしょうか。
【無藤主査】    はい、お願いします。
【大杉教育課程企画室長】    済みません。私の方で把握している範囲なんですけれども、予算事業でございますので、希望する都道府県に手を挙げていただきながらということでございますけれども、選定の過程では、地域バランス等も様々配慮しながら、具体的に詰めながらさせていただいているというふうに認識しております。また、詳しいことは聴取いたしましてお伝えさせていただきます。
【天笠主査代理】    御質問させていただいたのは、一つは、例えば現在、これまでも長い歴史のある研究開発学校という制度、システム等々もありますし、あるいはそれぞれの課題、課題に応じて開発的なそれが、その時代のテーマに応じて出てくるという、そういうこともあった、それぞれがそれぞれとして開発的な取組というのがあるわけですけれども、それらのことを少し整合されたりするということもまた一つ大切な視点になってきているんじゃないかという感じはしまして、要するに、これはこれで取り組まれるということについて異論があるわけでは当然ないわけでありますけれども、ただ、私の基本的な認識としては、現在検討されている次の学習指導要領の改訂をいかに普及、定着させていくかという、その大きなところがあったときに、一つ一つのこういう事業というのが、そこにどう位置付くのかどうなのかという、こういう視点で捉える段階にきているんじゃないかというふうに思いますので、ですから、この一つの事業について見る限りにおいては、これはこれで成果を出していただければと思うわけですけれども、これが様々な新しい学習指導要領の普及等々の、そういう脈絡とどういう位置にあって、どういう相互の関係の中で進んでいこうとするのかどうなのか、そういう視点が必要になってきているように思います。それは次の、もう一つ御説明いただいた情報に関する、それについても同様の認識を持っておりまして、要するにその部分のところで特化して、どんどん切り込んでいくような形で中に進行していくというか、普及していくという、その視点は当然分からなくはないんですけれども、もう一つは、教育過程の普及、定着というのはかなり強引で、ある意味では総合的なそれであって、そこのところを振り返ってみると、これまで必ずしもうまくいっていないというところの一つは、そういう個々の普及の政策が全体として束ねられたり、総合化されないで、非常に個別的に特化したような形で中に切り込んでいくという、その必要性というのがあるわけですけれども、もう一段、全体として、これら、それぞれ御説明いただいたやつがどう総合されるのか、全体として調整されるのか、そういう視点というのも持つ必要があるのではないかということを、改めてそれぞれの説明を伺って感じた次第であって、その一つの例として、今御質問させていただいたということでありますけども、今後、それぞれの関係の所管するところから、それぞれに様々な形で打ち出されてくるのではないかというふうに認識しておりますけれども、是非それらを総合してといいますか、そういうふうな戦略を練っていただくような、その中でこういう御説明いただいた、それが一つ一つ位置付く、あるいは相互に関連されて成果が上がっていくような、そういう組み立て方、提起の仕方ということをお願いできればというふうに思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。総合的戦略化ということで……。
【大杉教育課程企画室長】    恐縮です。ありがとうございます。御指摘、しっかり受けとめていきたいと思います。御参考までということで、研究開発学校とこうした様々な教育に特化したものとの関係は、私ども、もう少し整理をしながら進めさせていただいているところでございます。研究開発学校、少し長期的に指導要領をどうしていくかという議論、英語教育、情報教育は、まさに、大体方向性が決められて、その中でしっかりと推進を図っていく、そうしたものの役割分担ということも整理をしながら進めさせていただいているところでございますので、引き続き留意したいということ、また、御指摘いただいた指導要領全体の普及ということに関しましては、きょうは余り御説明はできませんでしたけれども、資料3-1ということで、例えばアクティブ・ラーニングでありますとか、小学校におけるカリキュラム・マネジメント、英語も含めてどうしていくのかということは、しっかりと併せて進めていきたいというふうに思っていますので、そういった全体的な視点もしっかり大事にしていきたいと思います。失礼いたしました。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  では、平川委員、お願いします。
【平川委員】    はい、ありがとうございます。ICT、英語、高大接続等に関わらず、今後の全体の件について御質問させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  私が伺いたいのは、今後の教科書の在り方についてどのように議論をされていくかということでございます。全国津々浦々の小中高等学校において、質の担保ということで教科書はすばらしいところもあるかと思いますけれども、現場といたしましては、内容に縛られているというような閉塞感もございます。教科書を終わらせることに注力してしまうというような教員も多いのが現実でございます。教科横断的な視点に基づく質、能力の育成ですとか、あるいはアクティブ・ラーニングということで、本当に児童生徒に1人ずつ、毎年配っていかなければならないのかという根本的なことについて、今後、この問題点を議論することはあり得るのかどうか。デジタル教科書になると、デジタルのタブレットを持っていけばいいんですけれども、今の状況でいうと、余りにもランドセルが重い、それから中学生の鞄も重いということで、これだと脚力は付いても学力は付かないんじゃないかというような悩みもあります。実際、海外の方の中等高等学校に行きますと、教科書なんかは5、6倍も分厚いようなものを使ったりして、調べ学習的にクラスに置いてありますけれども、そういうような形ではできないのか。アクティブ・ラーニングを本気で現場に浸透していかなければならないのであれば、この教科書の問題というか、現場とか現実レベルをどのように受けとめていくのかということもキーポイントになってくるかと思うんですが、このあたりの議論というのは、今後あるのでしょうか、ないのでしょうか。伺いたいと思います。お願いいたします。
【無藤主査】    お願いします。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。教科書の在り方について、今回、特にアクティブ・ラーニングに対応した教科書の内容にしっかりとしていかなければいけないということの関心は、各教科書の関係の会社さんからも頂いておりまして、教科書の在り方、通常であれば、今回、審議まとめということでおまとめいただきましたけれども、答申等が出てから教科書検定審議会で新しい教科書の在り方ということになりますが、少し早い段階で審議まとめを踏まえて教科書検定審議会の審議要請が既になされ、議論されているところでございます。また、あわせて、私たちも公開の場で教科書会社さんに、こういった今回の審議まとめの内容をお伝えする場面ということ、それから、教科書会社さんからも数十項目にわたる御質問なども頂いて、それに答えたりということもさせていただいて、そこの理解は、新しい指導要領の理念がしっかり共有できるように考えておりますし、今月末からは、特に高等学校も非常に多く科目の内容が変わりますので、教科別のそういった意見交換会ということも始めさせていただくという予定でございます。
  ということで、今回の新しい指導要領に対応した教材の在り方ということは、着実に議論がそういった場で進められているということでございます。子供たちに教科書を配るのかどうかということは、無償で配付するということが教科制度の根幹になっておりますので、そこまで踏み込んだ議論というのは、また改めて御意見としてお伝えしておきたいと思いますけれども、指導要領に対応した教材の在り方という意味では、そういった議論が今進んでいる最中でございます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、山脇委員、お願いします。
【山脇委員】    済みません。29年度の初等中等教育局の概算要求について御質問させてください。重要ポイントは、何ということで概算要求をなさったのか教えてください。重要ポイントを絞らなくて全体的に薄く広くしたのか、それとも一つ、二つ、重要ポイントを考えて概算要求なさっているのかを教えていただきたいと思います。
【無藤主査】    はい、お願いします。
【大杉教育課程企画室長】    私が代表して答えてしまうとよくないのかもしれませんけれども、資料3-1を見ていただきますと、おめくりいただきまして、事項が並んでいる資料がございます。これは全体版でございますので細かい資料にはなってございますけれども、こういった概算要求につきましても、あるいは昨年発表されました次世代の学校に向けた様々なプランということにおきましても、全て社会に開かれた教育課程ということ、これからの新しい学習指導要領の在り方、教育の在り方ということが軸になりながら様々な議論が進んでいるということでございます。そういう意味では、次世代の学校創生のためのということがございますけれども、その次に教育課程の充実ということ、道徳教育、様々ございますけれども、これがばらばらというよりは、今回の中教審で御議論いただいた社会に開かれた教育課程でありますとか、これからの子供たちが未来の創り手となるために必要な力を育んでいく学校教育の在り方ということを軸に据えながら、それを教育課程の在り方、条件整備の在り方、いろいろな側面から支えていくためのそれぞれの事項における要求というような形になっているのかなというふうに思いますけれども、補足していただくことはございますか。よろしいでしょうか。
【無藤主査】    ということでございます。
  では、荒瀬委員、お願いします。
【荒瀬委員】    質問というのではないのですが、よろしいでしょうか。
【無藤主査】    はい。
【荒瀬委員】    先ほど市川先生からのアクティブ・ラーニングに関して、高等学校はなかなか変わらないけれども、今回、入試が変わりそうなので高等学校も動き出したというふうな御指摘がありまして、それは全くそのとおりかと思うんですけれども、私、高等学校を代表しているわけでは何でもありませんので、若干見聞きしているものとして申し上げますと、これまでは変わろうとしてもなかなか変わられなかったという面もなきにしもあらずではないかなと思うのです。結局、いろいろなことをやりたいけれども、進路指導の充実ということが高等学校には特に強く言われて、いたし方なくという面も含めて、どうすれば大学入試を突破できるかというふうなところに指導が集中していたという面もあったのではないかと思います。
  そういう意味では、今回の高大接続システム改革というのが共通テストの方でどれほど変わるのかという点はありますけれども、たとえ小さな一歩であったとしても、変わるということは非常に大事なことで、それとともに、各個別の大学が様々な形で、パーセンテージは確かに低いかもしれませんが、それでも動いていらっしゃるということも、とても大事なことで、そういう意味では、今回の高大接続システム改革会議の進捗状況について御説明がありましたけれども、こういったことが、あるいはまた、ここでの議論の学習指導要領の改訂に向けた審議のまとめの内容とかが、高等学校の教員を応援しているという面が非常に強くあるように私は思っております。
  ですから、大きく変わるか変わらないかというと、それこそ一部には、大山鳴動して鼠一匹とかいうような批判もあるようですけれども、しかしながら、少しずつでもよりよい方向を目指して、着実に具体化していくということが大変大事ではないかなと思います。
  それと、これは高等学校部会で議論していましたときに特に強く出ていましたが、評価の在り方について、特に高等学校教育では、どうも5段階評価でおしまいにしているという批判も強くあるところです。今回、きちっとした目標に準拠した評価をしていこうということをさらに進めていくわけですけれども、こういう評価の丁寧さということも求める上でも、先ほど油井委員から御質問がありまして、これは黄地財務課企画官がいるいらっしゃる間に言えばよかったんでしょうけれども、義務教育のみならず高等学校教育も、教員の数、あるいは質というものは非常に重要でありますので、そういったことにつきましても、今後、また重ねて文部科学省の方にも御尽力いただきたいということを思う次第です。
  以上です。
【無藤主査】    はい、ありがとうございました。
  それでは、次の議題の時間でございますので、移りたいと思います。
  次ですけれども、「答申に向けての記述の充実を図る事項」についての御議論を頂戴したいわけでございますが、事務局にて整理をお願いした資料がございますので、そちらの説明をまずお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、資料8をごらんいただければと思います。審議のまとめをおまとめいただきました内容を、今後、答申に向けて記述内容の検討をしていく必要があるわけでございますけれども、冒頭に御紹介させていただいたパブリックコメントや関係団体からのヒアリングの結果等を踏まえ、多くの御意見を頂いた条件整備に関する事項のほか、答申に向けて、例えば以下の事項について記述の充実を図ることとしてはどうかということでございます。
  小学校における外国語教育、特にたくさん御意見を頂いたところでございますけれども、教員の養成・採用・研修、新教材の開発・配付等に関して求められる対応、本日、少し御紹介してさせていただいた内容の中から、また少し記述の整理を図っていく必要がある内容、あるいは学習評価、小学校で教科ということでの実施になりますので、教科としての評価の在り方について改めて記載してはどうかということ。
  それから、教科横断的な視点に基づく資質・能力ということで、特に御意見頂いた主権者教育、あるいは海洋教育、その他多様性ということでございます。
  それから、次期学習指導要領の実施に向けてということで、特に外国語教育を含めまして移行措置ということ、実施までの間の移行措置の考え方ということを少し明確にしておく必要があるのではないかということ、また、理念の周知のための方策というようなことでございます。
  そして、その他ということで、記述のテクニカルな部分でございますけれども、例えばお手元の審議のまとめ、部厚い冊子をおめくりいただきますと、第1部の4ポツというところが枠組みの改善と社会に開かれ教育課程ということで、方向性を外覧するようなものでございますけれども、ここに外覧する記述があるがゆえに、少し記述に重複感があるのではないかというような御指摘も様々な場面で頂いているところでございます。
  また、片仮名用語につきまして、様々、「注」等は付させていただいているところでございますけれども、さらに記載ぶりを検討する部分がないかどうかという、記載面のテクニカルな部分についてでも構いませんので、本日、答申に向けて記述の充実、改善を図っていくような必要がある部分について、特に御意見を頂ければというふうに存じます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  それでは、ただいまを受けまして意見交換ということで御意見を出していただきたいと思います。本部会でございますけれども、答申の前に委員の方から意見交換していただけるのが最後になるかもしれませんので、よろしくお願いいたします。どなたからでも名札をお立ていただきたいと思いますけれども、松川委員からいきます。
【松川委員】    ありがとうございます。それでは、資料8のペーパーの一番最初の小学校における外国語教育について意見を申し上げさせていただきたいと思います。
  本日の会議の冒頭での意見募集とか、関係団体からのヒアリングでも出ておりましたが、特に小学校高学年の外国語の教科化に向けて、指導体制の充実の要望の声が上がっているわけですが、指導体制、誰が教えるのかということについて、もう少し具体的に踏み込んで記述する必要があるのではないかというふうに考えております。先ほどの意見募集の中でも、これまで外国語活動としての外国語教育の場合は、学級担任が中心になって成果を上げてきたということは大変評価されているところでございますけれども、今回の新しい学習指導要領の中では、小・中・高一貫した外国語教育の充実ということが言われて、小学校の高学年が教科化になるということが大きな違いでありまして、その点について、これまでの外国語活動のところでも、かなり外部人材が入っていたりしたケースがあるわけですけれども、今回、教科については、現場で学級担任が教えるのかということに対して、かなり不安があるということは事実でございます。そして、それに対しまして、教員養成がこれから充実されてきて、コアカリキュラム等もあるわけですけれども、私は追い付いていないというふうに考えておりまして、高学年で4技能を教えるということを自信を持ってやっていただけるような教員は、先ほどの予算のところでも、これから研修がなされることは当然ですけれども、かなり久しぶりの新教科の導入でありまして、それが円滑に行われるためには、これまでと違って、学級担任が教えるということにこだわらずに、専科教員、あるいはそれと同等の機能を果たして、主として指導する教員を位置付ける必要があるというくらいの記述はしていただく必要があるのではないかというふうに考えております。学級担任を全く否定するわけではありませんけれども、かなりのボリュームであるということと、それから、70授業時間数をどうとるかということのマネジメント等もしっかりやっていかなくてはいけないということも考えると、各学校に責任を持って担当してくださる方、それが専科教員である必要があるのかどうかということは別にして、そういう方を位置付けていただくということの必要性を記述していただくのはありだというふうに思っております。それが効くのは、都道府県あるいは市町村がこれから教員の人事、研修をする際に、そういう記述があると意識してやるわけです。小学校免許と中学校英語の免許を持っていらっしゃる教員というのが実際に小学校に各県とも数%いらっしゃるわけですが、例えばそういう方を各学校に1人ずつ配置できるのか、できないのかということも含めて、具体的に教育委員会が人事を検討していく必要があります。そのためには、この答申にそういう文言がある必要があると思うんです。これまでのように学級担任が中心になってALTとか外部人材を活用するというような中途半端なことではなくて、きちんと責任を持って指導してくれる先生を位置付けるということが、小学校でこれから学級担任の方が担当するにしても、安心感につながっていくと思いますので、是非そういう記述を付け加えていただいたら大変ありがたいなというふうに思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。事務局の回答、コメントは最後にまとめて何かお願いします。
  キャンベル委員、お願いします。
【キャンベル委員】    ありがとうございます。今、提示していただいている資料8、これは記述の問題だけかもしれませんけれども、1つ気になるところがありますのでお聞きしたいと思って質問させていただきます。
  2ポツのところに、これがきょう最初に紹介をしてくださった資料2に相当する、そこの各教科等に関する意見などから抽出した課題、領域が列記されていると思うんですけれども、2のその他というのが、このままだと曖昧なように感じます。
  具体的に申し上げたいと思うのは、多様性と教育、資料2の5ページのところに、ここでは性的多様性に着目して配慮するということが書かれていて、これはとても重要なことだと思います。ようやく去年あたりから、各自治体でかなり課題、問題として様々な動きがあり、日本は特に公教育の中では欠如している部分だと思いますので重要だと思いますけれども、LGBTに限らず、人種でありますとか、宗教でありますとか、あるいは障害者に対する多様性ということ、これをその他というふうに済まさないでいただきたいなということを感じます。多様性と教育ということは。特に今の世界の情勢を、先週のアメリカ大統領の選挙後の今の議論、あるいは来年のEUの様々な動きを見ていきますと、多様性を牽制する、あるいはそれに目をそむけるという一つの風潮が、あるいは実態としては進むということがあると思いますので、日本こそ教育の1つの大きな支柱として多様性を重視するという姿勢を鮮明に打ち出していく必要があるというふうに思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、山脇委員、お願いします。
【山脇委員】    実は、松川委員と全く同じなので取り下げようと思ったんですが、強調したいがために、また発言させていただきますが、小学校における外国語教育で、パブリックコメントや関係団体で一番注目されたのが、この小学校高学年の外国語教育授業化であります。関係団体といいますか、現場に近い団体はパニックに陥っているような状態であるというふうにヒアリングを伺いました。どういった先生が教えるのか、そして授業時間をどうするかという、松川先生がおっしゃったので私は繰り返しませんが、このことをきちんとここに入れなければ、この授業化を指導要領に入れたことが絵に描いた餅どころか可視になるというぐらいのことだと思っておりますので、ここのところはきちんと記述をしていただきたいというふうに思っております。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  吉田委員、お願いします。
【吉田委員】    今、松川委員と山脇委員がおっしゃったこととも関連することですが、教員の研修、誰が教えるか、一番大きな問題になっているので、お二人がおっしゃったとおり、きちんともう少し具体的書く必要があると思うんですが、一つそれに付け加えるとするならば、私、東京都の方もいろいろ関わっているんですけれども、小学校で英語を教えるのは担任の先生ということで今までやってきているわけですが、中高の先生は、それなりに海外研修を受ける機会があるんです。ところが、小学校の英語を教えるはずの先生たちには、海外研修はほとんどない。これはまずいんじゃないかと思うんです。特に小学校の場合、単に英語を教えるということだけではなくて、いわゆる国際理解教育の一環として英語教育が入っているという部分がすごく強いと思うんです。そうなりますと、もちろんALTだとか外部人材が入ってきて、そういう経験がある人が入ってくるのはものすごく大切なことだと思うんですが、最終的には、担任の先生ができるだけ多くの負担、責任を追って小学校英語をやっていくのであれば、研修の中に小学校の先生たちの海外研修、それがどういう形になるか分かりませんけれども、そういうものも入れる必要が、どこかに触れておく必要があるんじゃないかということが1点と、もう一つは、ここにもありますけれども、評価の問題は非常に大きいと思います。現在の中学校、あるいは高校での評価というのは、ほとんどが知識、技能に偏った評価になっているわけで、そのままの形のものが小学校の教科化された英語の中に入ってきた場合、非常に大きな問題が生まれる可能性があるわけで、いわゆる思考力だとか、判断力であるとか、表現力という、もっとコミュニケーションを中心としたパフォーマンス評価の在り方というもの、そういうものにきちんとした形で根付いたものでなければいけないと思うんです。ですから、これは小学校だけの問題ではなくて、中高も含めて、評価の問題については、もっときちんと把握していく必要があるのではないではないかと思います。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  小川委員、お願いします。
【小川委員】    お願いします。論点整理がなされ、その後、審議のまとめが出されて、その間、いろいろな県で講演をさせていただくようなことがございまして、そのときに感じたことと、あと現場の中学校から感じたことを通してお願いしたいことがあります。
  まず、いろいろなところでお話をさせていただくときに、特に審議まとめの内容が難しいというようなお話を伺います。そこにお集まりの方は、今回の改訂に関心が高い方が来られているわけなんですけれども、そういった方からそのような感想を率直に頂くことがございます。中には、論点整理も読んでいないというような、そういう実態があったりもしますが、そういったことが一つ。
  片や、今、行田市内の中学校でも、校内研修がどんどん変わってきていまして、それはどういうことかというと、アクティブ・ラーニングをテーマに積極的に取り組んでいこうというような方向が見られているわけなんですけれども、そういった中でも、やっぱり大変だなというところで立ち切るのではなくて、今回の改訂に向けた理念が確実に現場に届いて、実施されていくためにも、是非この答申の示し方の工夫というものをお願いしたいなというふうに思っています。
  この意見聴取の結果のペーパーの1-1の最初のところには、分かりやすいような具体的なイメージとか、そういった取組としてパンフレットとか説明会といったものがありますが、そういったことももちろん必要でしょうが、それ以前に、その答申の示し方というようなところで、学校現場の教員、また地域の方、保護者の方、いろいろな方がごらんになるという中で、分かりやすいものというようなことの表現についてお願いしたいと思います。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、品川委員、お願いたします。
【品川委員】    ありがとうございます。3点申し上げたいと思います。
  一つは、先ほどキャンベル先生がおっしゃったこととかぶるんですが、共生社会の実現というのは、障害のある人たちだけではないので、このLGBTについて、今、ざっと自分で調べたんですが、余り表記がないなということを痛感しました。それはLGBTだけではなくて、まさにマイノリティーの宗教、私の友人がイスラム教徒なんですが、非常に今、すごく学校でいじめを受けたりとかしていますので、そういうことを含めてことをクロスカリキュラムで触れるように、道徳とか、保健体育とか、公共とかという、踏み込んだ記述が必要だなということを痛感しています。それが1点目です。
  2点目は、先ほどの非常にすばらしい説明を聞きながら、全くそのとおりと思ったんですが、英語だけではなくて特別支援教育も全く同じで、支援員がいるからいいということは全くありません。そのことをしっかりと明記する必要があるなというふうに痛感しています。支援員はあくまでも支援員であって、教員ではないということです。これは英語も全く同じですので、それをしっかりと書いていただきたいということが2点です。
  三つ目は、これは提案なんですが、今回も分かりやすい資料をまとめてくださいという意見がいろいろ出ていましたが、私の提案は、キーワード集を作ったらどうかということなんです。例えばアクティブ・ラーニングというキーワードがあって、それはここの中に書いてあるので抽出すればいいだけなんですが、抽出をして、詳細は指導要領何ページ参照みたいな感じで、要は単語集を作る方が、ポンチ図を作ったり、分かりやすくまとめるよりも、概念とか定義が正しく伝わるのではないかなというふうに考えます。というのは、ヒアリングをしていて、我々が当たり前だと思っていた単語すら初めて聞きますみたいなことをおっしゃっていらっしゃる先生方もいらっしゃいましたので、資質能力とかPDCAとかというレベルから入れ込んだキーワード集をお作りになって、50円とか100円で販売すると、非常に辞書に使えるものがある方が、それからこっちに戻るというふうに作られるのはどうかなというのが1点目です。
  もう1点は、YouTubeをもうちょっと利用するということなんです。今、実際に講演でいろいろと行っていますと、意外に大杉室長をYouTubeで見たという声を私よく聞きまして、ああ、なるほど、映像で説明されると分かるんだなということを、特に校長先生なんかはおっしゃっておられますので、例えば単元ごととか、総則だけとか、長くせずに大体5分とか3分ぐらいの説明をいっぱい作って、そうすると保護者も見れますし、一般の方も見れる、教員だけではないというようなシステム、情報の出し方を工夫していくことが必要かなと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、髙木委員、お願いします。
【髙木委員】    3ポツの二つ目の丸の次期学習要領の理念の周知のための方策の中で2点申し上げます。
  1点目なんですけれども、目標に準拠した評価が平成13年にきちんと明示化されたわけですが、昭和55年から行われてきている観点別学習状況の評価がいまだに、特に先ほど荒瀬先生もお話になられたように、定着していないという現状がある。この評価は、世界に関して大変評価だと私は思っていまして、それを実現していくためには、根本的な授業の作り方そのものを変えていくような方向性を示しておかないとなかなか分からないだろう。それは何かというと、明治以来続いてきた1時間単位の授業で指導案が書かれている。このような指導案の中では、幾つかの観点をともに示すということが見られなくなるわけで、次の学習指導要領においては3観点を評価するというところで、そういった意識改革をするためにも、これまでの1時間単位の指導案は使えないんだと、はっきり単元で全体像を見ていくんだというような考え方への転換をしていかないと、おそらく小学校も中学校もできないだろう。私が回っているところで、指導主事の人が1時間単位の指導案が大事だと。それは確かに大事なんですけれども、全体像が見えない指導案を使って、いまだに学習が行われるという現状そのものを変えないと、今回の評価の理念は生きていかないというふうに私は考えています。
  二2つ目です。カリキュラム・マネジメントが出ております。これは先般、天笠先生もおっしゃってきたことなんですが、小中学校では教科書に沿ってカリキュラムが作られてしまっていて、目の前の児童生徒の、子供たちの実態に沿ったものとは言えないような形のカリキュラムになっている場合がある。教科書をそのまま教育課程の編成表として作っている事例です。
  さらに、一方、高校では、そういったものよりも一つの学校ですら、教員が異なるとカリキュラムが全く異なってしまって、その学校全体でどのような教育課程が行われているかも分からないような状況も見受けられる。ということは、学校で教育課程をきちんと作っていくということと、その作られた教育課程をきちんと第三者が評価していかない限り、言い方は悪いですけれども、ずるずるの野放しの状態で教育課程が行われているということになってしまうので、指導要領で教育課程を示す以上、その教育課程がいかに実施し、実現されているかという、きちんとした教育課程自体の評価というのが今回の改訂では大変重要になってくるというふうに考えております。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、牧田委員、お願いします。
【牧田委員】    ありがとうございます。2番目教科横断的な視点に基づく資質・能力の育成、これは幾つもあると思うんです。言い出すと切りがないと思うんで。それが羅列的なものになるのではなくて、その文脈を示していただきたいと思ういます。こういう筋で、こういう力が必要なんだと。私もヒアリングに2回ほど出させてもらいましたけれども、どの方もそれぞれの場面での話になり、全体の中の文脈の中での話になっていないことが多いんですね。全体が見えていないということだと思うので、こういうことは特に次々羅列に終わると、なかなか伝わっていかないかなというのが1点目です。
  2点目は、3番の二つ目の丸なんですけれども、教員の研修のことについてなんですけれども、先ほど天笠委員もおっしゃっていましたが、これも全体像と一つ一つの関係になるんですけども、それぞれの研修の中で全体像を示すと。全体の中の今やっている研修というのはどういう位置付けになるのかということをそれぞれの研修の中で示していかないと、やっぱりそれぞれがやって、全てが一つの学校に戻ってくるわけですけれども、一つの学校では、結局、これもやらないといけない、あれもやらないといけないという負担感だけが先走って、つながりが分からないという事態になりますので、そういう研修を是非お願いしたい。
  教科横断的な見方、考えて方についても同様で、今この研修をやっているんだけれども、それは教科横断的な見方をすると、こういうところにつながっていくんだというようなところも入れていただくと、分かりやすいかなと思います。
  それに加えて、これから事例などを出していくということになると思うんですけれども、これも小さくパッケージ化したり、ハウツー形式にするとなかなか伝わっていかない。今、指導と評価ということを一体化ということはずっと前から言われていますけれども、授業中に生徒を見ている、生徒の考え方の価値を吟味する、価値を位置付けるというようなことは指導と一体でございまして、そういうことというのは、一番目を切り取ってもなかなか伝わっていかない。今、髙木委員もおっしゃったように、単元全体の中で、流れの中で示していかないと、この部分がと切り出したところで、それはいろいろな見方があるなで終わってしましうと思うんです。だから、事例の示し方というのもぶつ切りじゃなくて、ある程度腹をくくって、長い場面で、場面によればYouTubeなどで文脈が分かるような示し方をしていただけるとありがたいなと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、清水委員、お願いします。
【清水委員】    ありがとうございます。答申に向けての記述の事項を考えることになるかもしれませんが、まず、アクティブ・ラーニングにつきましては、ほんの少しずつかもしれませんけれども、徐々に進行したのは間違いないことだと思います。それ自体がどういうことで変わってきているかというと、体験してみて、子供たちの変容を感じ取れる教員が多くなってきている、そういうふうに感じます。そういったものを感じ取れることができれば、徐々に、徐々に広がりは間違いなく見せてきますので、さらに充実を是非お願いしたいなというふうに思います。
  こちらの方の充実を図る事項ですけれども、今、小学校における外国語教育ということで当たっているわけなんですが、小学校の外国語教育というのは、その後、中学校、高校にどのような変容をもたらせるのかということも、高校側からすると、非常に興味、関心が高いところです。小学校でどのようなことが行われていて、中学校でどうなって、高校では何を教えるべきなのかということで、その基本となるところになっていくと思いますので、そういったところを少し書いていただけるとありがたいなというふうに思います。
  また、これは環境整備のことなんですけれども、様々書いていただく中で、1人1台のパソコンであるとか、校内LANだとか、そういうことが書かれてはいるんですけれども、黒板にプロジェクターを設置するだとかいう、定義装置というものは非常に大きな役割を示すのではないかなというふうに考えます。いくら子供たちに1台渡したとしても、それを発表する場面として、その画面をどういうふうに提示するのか、それほど大きなお金がかかるわけではないと思いますので、例えば全ての教室にプロジェクターの設置であるとか、そういったところの予算要求等も今後に向けてお願いできればなというふうに思います。
  最後です。特別支援が必要な子供たちであるとか、外国にルーツを持つ子供たちであるとか、非常に多く今存在していると。特に私は定時制を持つ学校の校長でもありますので、その中でいうと、非常に多くの子供たちが在籍をし、ともに学んでいます。その中で、教員の役割と外部人材の役割というのは全く違う、一緒に行動してこそ初めて成果、効果があらわれるというふうに今感じております。先ほど予算要求の中では、高等学校等は対象ではないということでありましたけれども、是非そういったところに向けても予算の要求をお願いできればありがたいなというふうに感じました。
  以上でございます。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、神長委員、お願いします。
【神長委員】    皆さんの議論と重なるところがありますけれども、この資料8の3の次期学習指導要領の理念の周知のための方策に関連する意見なんですけれども、先ほども、それぞれの学校段階にとどまらず全体として見ていくというお話が何回か出ていたかと思うんですけれども、まさしくそうで、子供たちの資質能力をしっかり確実に育てていくということは、その評価の在り方と一緒に考えていくということがすごく大事なことで、それがそれぞれの学校段階でとどまるものではなくて、幼児期から18歳までということを連続して見ていくということが大事なことなんだと思っております。そういう中に、最初の資料の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の10項目があると思うわけですけれども、こうした考え方をしっかり各学校、園に定着させていくためには、保護者の理解と協力というのはものすごく大事なというふうに思っているんです。今、幼稚園の先生等の研修などに伺うと、資質能力の話をすると、ちょっと難しいですねというようなことをおっしゃるんですけれども、これをしっかり家庭や保護者を巻き込みながら子供の成長につなげていく、学力につなげていくということが、本当の意味で18歳までにしっかり資質能力を身に付けるということにつながると思いますので、何回かこの会議でも出てきておりましたけれども、周知のための方策の中に、家庭や地域へいかに理解し協力を得るのかという視点も入れていただければと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  ではどうぞ、天笠委員。
【天笠主査代理】    短く三つ。
  答申に向けて記述の充実という観点からすると、一つ目は、学校評価とカリキュラム・マネジメントに関わる記述はもう少し加えてもいいのかなと、丁寧に書く必要があるかなというのがあります。
  それから、二つ目は、小中一貫、あるいは義務教育学校、併設型の小学校、中学校についての議論がもう少しあってもよかったかなと。そこにおける教育過程、9年間の在り方という、先ほど小学校における英語の担当指導体制ということも、小中一貫連携という、そういう観点の中で考えると、また知恵やアイデアというのがもっと出てくることもあるんじゃないかと思いますので、そういう意味でいうと、小中一貫教育に関わって、もう少し記述の充実ということがあってもいいかなと思います。
  三つ目、最後ですけれども、教育長さんへの期待を込めたメッセージ、この実現にかけてかなり大きな期待がかかっているということですけれども、先だって各団体のヒアリングをさせていただきましたけれども、4日間全て何らかの団体の中に教育長さんの団体がそれぞれあって、入れ代わり立ち代わり、それぞれメッセージがあったわけでありまして、それへの応答ということも含めて、今度の学習指導要領の展開に大きなリーダーシップが期待されているんだというような、その種のメッセージというのはあっていいんじゃないかなというふうに思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  事務局から何かコメントがあれば。特にはよろしいですか。
  それでは、時間の関係もございますので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。限られた時間でございましたので、追加の御意見など、是非事務局にお知らせいただければというふうに思います。
  本日、様々な観点からの御議論をいただきまして、ありがとうございました。本日、見生に御議論いただきました内容を踏まえまして、次回、本部会で答申案をお示しさせていただきたいと存じてございます。
  最後に、事務局より、事務連絡をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    本日はありがとうございました。次回ですけれども、12月6日火曜日、時間が遅くて大変申し訳ないんですけれども、19時からという予定でございます。よろしくお願いいたします。会場については、追って御連絡を申し上げます。
  なお、本日の資料、机上に置いていただけましたら郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。
  以上です。
【無藤主査】    それでは、本日の教育課程企画特別部会を終了させていただきます。皆様、どうもありがとうございました。

――  了  ――

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