教育課程部会 教育課程企画特別部会(第26回) 議事録

1.日時

平成28年12月6日(火曜日)19時00分~20時30分

2.場所

文部科学省 東館3階 講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)等の結果について
  2. 答申(案)について
  3. その他

4.議事録

【無藤主査】    それでは定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会第26回を開催いたします。本日は、お忙しい中を御参集いただきましてまことにありがとうございました。
  本日でございますけれども、国際数学・理科教育動向調査、TIMSSですが、それとOECD生徒の学習到達度調査、PISAでございますけれども、その結果及び答申案について御議論をいただきたいと存じます。
  本日御審議いただく答申案につきましては、今後、教育課程部会、初等中等教育分科会での御審議を経まして、12月21日の総会において御議論を賜るということにしたいと存じております。教育課程企画特別部会での御審議は、本日が最後になる予定でございますので、その旨、御留意いただきたいと存じます。
  それでは、事務局から配付資料について確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    本日は遅い時間から、先生方ありがとうございます。配付資料の確認をさせていただきます。
  議事次第記載のとおり、資料1から5、その他机上に参考資料を配付させていただいておりますので、不足等がございましたらお申し付けください。いつものように、タブレット端末、関係する答申、資料等をデータで入れております。議事次第の裏面に目次がございますので、御覧いただければと思います。また、ヒアリングを行いました団体から提出のあった資料及びヒアリングを行った団体以外から届けられた要望の一覧は、机上の紙ファイルにとじてございますので、適宜御覧いただければと思います。
  次に、文部科学省の人事異動について御報告をさせていただきます。浅田大臣官房審議官の人事異動に伴いまして藤江大臣官房審議会が着任いたしております。
【藤江大臣官房審議官】    藤江でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤主査】    それでは、これより議事に入りたいと思います。
  本日、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がございます。これを許可しておりますので御承知おきください。
  それでは、国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)及びOECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)の結果につきまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。
【高木学力調査室長】    青い資料でございますけれども、資料1を御覧ください。国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)のポイントでございます。
  国際教育到達度評価学会(IEA)が、小学校4年生、中学校2年生の算数・数学、理科の到達度を計るための調査でございます。小学校は50か国・地域、約27万人、中学校は40か国・地域、約25万人が参加しておりまして、我が国におきましては、小学校では148校、約4,400人、中学校は147校、約4,700人が抽出により御参加いただいているといったところでございます。
  今回の結果でございますけれども、下の方の表で御覧いただくように、赤いのが有意に上昇しておるところでございますけれども、前回、2011年に比べまして、2015年に関しますと、小学校4年生、算数、理科、中学校2年生、数学、理科ともに有意に上昇しておるといったところでございます。また、参加国中の順位に関しまして申しますと、小学校算数で5位、小学校理科で3位、中学校数学で5位、中学校理科で2位といった状況になるところでございます。
  1枚お開きいただきまして、2ページ、3ページが公表問題の例でございます。2ページの方が算数・数学、3ページが理科といった形でございまして、各国・地域におけるカリキュラム上でどういったことが知識、技能として定着しているかというところを見るような問題を出題するといったところでございます。
  4ページを御覧ください。4ページ、5ページがその習熟度別の児童生徒の状況といったところでございます。下から400点未満、400点以上、475点以上、550点以上、625点以上という形になっていまして、右に行くほどその習熟度が高い児童生徒の割合ということになりまして、それぞれごとに、左から順番に1995年から2015年となっておりまして、黒い折れ線グラフが国際中央値ということになります。御覧いただけますとおり、小学校、中学校、算数・数学、理科、ともに今年になるほど、習熟度が高い児童生徒の割合が高まっているということが見られるといったところでございます。
  下の方に、上位5か国の習熟度別の児童生徒の割合ということで示させていただいているところでございます。低い方の層に関しますと、我が国はほかの国と遜色なく少ないといった状況でございますけれども、例えば、シンガポールあたりと比べますと、その高い方の層というのは若干少ないのかなというところが見られるといったところでございます。
  6ページでございます。同時にアンケート調査を実施しております。算数・数学が楽しい、若しくは得意だといった児童生徒でございますけれども、特に中学校の方が最近算数・数学が楽しいといった解答の生徒が増えてきて、国際平均との差が縮まっているというところかなと。ただ、小学校も含めて、縮まってはいるんですけれども、国際平均と比べると低いといった状況が見られるところでございます。算数・数学が得意だというのは、どちらかというと横ばいといった感じでございます。
  また、中学校だけに聞いておるんですけれども、数学を勉強すると、日常生活に役立つ、若しくは、将来、自分が望む仕事に就くために、数学で良い成績をとる必要があるといった意識に関しますと、増加していると、こういった意識に関する改善状況が進んでいるといったところが見られるところでございます。
  7ページが理科でございます。理科は楽しい、理科は得意だという、小学校の方は国際平均より高い状況で維持・向上しているといったところが見られるところでございます。対しまして、中学校の方は、国際平均より低いという現状が見られるといったところでございます。
  また、数学で同様でございますけれども、理科を勉強すると、日常生活に役立つ、若しくは、将来、自分が望む仕事に就くために、理科で良い成績をとる必要があるといった質問に関しましては上昇しておりまして、国際平均との差が縮まっているといったところでございます。
  こちらが、先週火曜日に世界同時公表しましたTIMSS2015の結果でございます。
  資料2-1を御覧ください。こちらは緑色の資料でございますけれども、本日19時に世界同時発表のOECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)のポイントでございます。こちらの方は、義務教育修了段階の15歳児の生徒の知識、技能、実生活での様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかといったことを評価しておりまして、我が国の場合、高校1年生が該当するところでございます。
  読解力、科学的リテラシー、数学的リテラシーの3分野を聞いておるといったところでございまして、OECD加盟国が35か国参加しているとともに、非加盟国も含めまして72か国・地域から約54万人が参加しておるといったところでございます。我が国の場合、198校、6,600人が参加したといったところでございます。
  また、この2015年調査から、従来の筆記型調査からコンピュータ使用型調査に移行したといったところでございます。
  今回の結果の概要でございますけれども、下段でグラフ化しておるところでございますけれども、コンピュータ型になったといったことと、集計する算式が若干変わったということで、2012年から2015年に関しまして、OECD平均自体が若干下がっておるといったところでございますけれども、それを勘案しましても、科学的リテラシーに関しますとOECD諸国で1位、数学的リテラシーに関しましても1位といったところで、引き続き上位グループを維持しているところでございます。読解力に関しますと、上位ではあるんですけれども、6位という状況にあるといったところでございます。この影響の一つとしてコンピュータ使用型調査への移行ということが考えられるかなといったところでございます。また詳細は別途御説明させていただきます。
  2ページを御覧ください。今回、全面実施しましたコンピュータ使用型調査の問題例でございます。こちら、人が走っているときに、気温が何度で、温度がどれぐらいで、水がどれぐらいというふうになると脱水症状になる可能性があるといったことでありましたり、熱中症になる可能性があるといったことをシミュレーションしながら解答すると、コンピュータベースであることだからこそできるような出題方法なのかなと思われるところでございます。
  今回、コンピュータ使用型調査になりましたことによる新規問題といったのは、この科学的リテラシーのみでございまして、読解力及び数学的リテラシーについては、今までの紙ベースの調査をコンピュータ使用型に切り替えたといった形になっているところでございます。
  3ページが、諸外国のそれぞれの上位15か国の状況でございます。上段がOECD加盟国35か国、先ほど申し上げたとおりの順位でございます。下段の方が非加盟国も含めました72か国・地域における比較といったところでございまして、若干見にくいですけれども、灰色で網掛けになっているのが非加盟国になります。シンガポールでありますとか、香港、マカオ、台湾あたりが非加盟国といった形になるところでございます。
  4ページでございます。科学的リテラシーが今回の中心分野といったことで、能力別の評価もしておるところでございます。科学的リテラシーに関しますと3分野ございまして、現象を科学的に説明する、科学的探究を評価して計画する、データと証拠を科学的に解釈するといった3分野で分かれておるのですが、どれも総体的に高いといった状況でございます。科学的探求を評価して計画するというのがほかの2分野よりも若干低いんですけれども、そう大きな差はないのかなといったところでございます。
  下段の方でございますけれども、科学に対する意識に関してのアンケート調査の結果でございます。点線の部分が前回の中心的分野であった2006年で、実線の部分が今回の2015年でございますけれども、比較しまして、理科の学習に関する道具的な動機付けの指標といったことで、生徒が自分の将来に理科の学習が役立つと感じている割合を示しているものでございますが、そちらの方が非常に改善してきていると。項目の例としましては、将来自分が就きたい仕事で役に立つから、努力して理科の科目を勉強することは大切だといったことなどの解答が高まっているといったところでございます。
  習熟度レベルに関しまして、5ページでございます。上位8か国を整理しているところでございまして、赤い四角の部分が日本でございます。真ん中の黒い実線から左側がレベル1未満に該当するものでございまして、実線から右側がレベル2以上といったところでございます。上位層のレベル5、レベル6以上を御覧いただくと、シンガポールが若干強いのかなと思われるんですけれども、それ以外の国とするとほぼ同等、若しくは若干少ないのかなといったところでございます。左側の下位層に関しますと、少なさというのは遜色ない状況かなと思われるところでございます。
  私からは以上でございます。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、続きまして、資料2-2を御覧いただければと思います。
  全体的にはPISA2015におきましても上位グループに位置している我が国の結果でございますけれども、今回、読解力に関しましては少し課題が見られたということで、対応策についてということを併せてまとめさせていただいております。
  読解力に関する課題ということ、それから、今回CBTということに全面移行するということ、これらが複合的に重なり合った結果ではないかと分析しておりますけれども、まず、この資料2-2の1枚目の裏側を御覧いただければと思います。
  読解力の結果分析というところでございますけれども、従来から見られた「自分の考えを説明すること」ということ、例えば、その解答を課題文中から探そうとしているなどの誤答が見られることから、こうしたことに課題があるということ。それから、過去の結果と比べて正答率に大きな変化があった設問の誤答分析、過去と同様の問題も比較分析いたしますと、複数の課題文の位置付け、構成や内容を理解しながら解答すること、これに課題があるということ。また、コンピュータ上の複数の画面から情報を取り出して整理し、それぞれの関係を考察しながら解答することに課題があるというようなことが見えてくるわけでございます。
  まずは、その習熟度レベル別の生徒の割合でございますけれども、特にレベル5以上の部分での割合の変化が大きいという部分でございます。また、過去の調査結果と比べて大きな変動があった設問の誤答分析ということで、今回、読解力の問題は公表されているわけではございませんので、こういったパターンの誤答が見られたということでございますけれども、例えば、そのコンピュータの画面上での情報の理解ということで、一つ目の画面で、例えば、表の情報を読み取るということ、そこから画面を切り替えまして、次の画面でその文章を読み取っていくわけですけれども、設問では、この表と文章の矛盾点を説明するということが設問でございますけれども、この2画面にわたる情報の突き合わせということがうまくできていないという可能性が見られるということでございます。
  また、その下でございますけれども、比較的長い非連続型の文章を読み、解答するということでございますけれども、紙ベースで同様の問題があった場合には、文章全体を読み取れていたという傾向が見られたわけですが、コンピュータ画面上ですと、文章の最後にある注意書きのような情報、これをうまく捉えられていなかったために誤答があったのではないか。あるいは、複数の文章、宣伝文、書評1、書評2というところから適切に情報を捉えていくということがうまくできていなかったのではないかというような分析がなされたところでございます。
  また、こういったことの背景に、学習におけるICT活用の現状もあるのではないかということで、2枚目の表でございますけれども、授業におけるコンピュータの使用状況、例えば、国語の授業における使用状況を比較した表がこの2枚目の表の上の部分でございます。日本が一番右にございますけれども、使用状況としては割合が低い状況にあるということ。また、ICT活用の活用の種類も、情報の収集という部分と、最後のアウトプットの表現の部分はかなり活用がされていますが、考えを構成していく際にICTをうまく活用しながらというような学習活動はなかなかなされていないというような分析もあるところでございます。
  また、背景のもう一つといたしまして、2枚目の裏面でございますけれども、子供たちを取り巻く情報環境の変化というものがあるのではないかということでございます。
  まずは、読書の状況でございますけれども、小中学生については増加している傾向にございますけれども、高校生は減少という傾向。あるいは、新聞を読むと解答している小中学生の割合は減少傾向にあるということ。一方で、一番下のスマートフォンを活用したインターネットの利用時間、こうしたことは増加傾向にあるということから考えますと、高校生を中心に読書量や新聞を読む機会が減少傾向の一方、スマートフォンを活用したインターネットの利用時間が増加傾向という中にございます。既に審議まとめでも御指摘いただいておりますけれども、子供たちを取り巻く情報環境の変化により、子供たちが一定量の文章と接する機会が少なくなっているのではないかということでございます。
  こうした分析に基づきまして、1枚目の表面に戻っていただけますでしょうか。対応策ということでございます。
  今回の結果、CBT、コンピュータベースのテストに全面移行する中で、例えば、先ほどのような紙ではないコンピュータ上の複数の画面から情報を取り出して考察しながら解答する問題なので、子供たちになれていないということでの戸惑いがあったと考えられるところでございますけれども、そのほか、子供たちを取り巻く情報環境が激変する中で、表された情報を的確に理解して考えに生かしていく、あるいは、視覚的な情報と言葉との結び付きが希薄になり、知覚した情報の意味を吟味して読み解くということ、既に課題として指摘されている点が具体的に浮かび上がってきたのではないかと考えられるところでございます。
  文科省といたしましては、この下の三つにわたって対応策として考えていきたいと思っております。
  一つは、現在御議論いただいております学習指導要領の改訂も含めました指導の改善・充実。学習基盤となる言語能力・情報活用能力の育成ということでございます。現在、国語教育を中心に改訂の方向性、語彙力の強化。あるいは、文章を読むプロセスに着目した学習の充実。この企画特別部会におきましてもインタラクティブ・リーディングの重要性などを御指摘いただきましたけれども、そうした能動的に読むというプロセスの重要性ということ。あるいは、情報活用に関する指導の充実ということ。そして、こうした指導をコンピュータを活用しながら行うということ。こうしたことは、しっかりと指導要領の改訂ということで取組ませていただきたいということでございます。また、そうした方向性を踏まえつつ、現行学習指導要領下におきましても指導改善のポイントを作成いたしまして、2017年度から活用できるようにしっかりと普及をしてまいりたいと考えているところでございます。
  2番目に、調査研究の充実ということでございます。読解力の向上の基盤整備ということでございます。子供たちの読解力に関する詳細分析でございますけれども、既に国立情報学研究所の教育のための科学研究所、こちらで中高生が本当に教科書の文章を読み解けているのかどうかというような分析もしていただいておりますけれども、こちらと連携しながら、年明け2月には高校生を対象とするリーディングスキルテストを実施していきたいと考えております。この分析などを踏まえまして指導の改善の方向性を考えていきたいということ。また、文科省としましても言語能力の向上に関する調査研究ということの実施、あるいは、国立教育政策研究所の方では、諸外国の国語の授業におけるICT活用の現況分析と事例収集ということを考えていただくということ。また、全国的な学力調査においてもICTの活用の調査研究ということを考えていただくということでございます。
  それから、3番目が学校のICT環境整備の加速化ということでございます。「学習上必要な時に一人一台使える環境」ということをしっかりと目指しまして、地財措置、あるいは実態把握、教育ICT教材整備指針の策定などをしっかりと図っていきたいと考えているところでございます。
  事務局からは以上でございます。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  今、二つの調査の御報告を御説明いただいたわけでございます。今のことについての御質問などおありの方につきまして、名札をお立ていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
  キャンベル委員、お願いします。
【キャンベル委員】    済みません。どこかに示していただいているかもしれませんけれども、課題があるというところで、読解力のところですけれども、これが、例えば一昨年度ですとか、少し前からの推移が、あるいはほかの上位諸国との比較が、推移としてこれは何か見てとれる資料はこの中にありますか。どういうふうに動いているかということを確認したいのですが。
【無藤主査】    お願いします。
【高木学力調査室長】    資料2-1の下段を御覧ください。折れ線グラフが並んでおるんですけれども、赤い折れ線グラフが読解力になります。2000年のOECD平均が500点で設定しておりますので、そこから、500点からの差で見ていける形になるところでございます。2000年段階で我が国は522点といったところでございまして、2003年、2006年は498点、498点となっていたところを2009年からは520点、2012年で538点となった上で、今回のコンピュータベースかつ若干その集計方法の変更に伴いまして、今回は516点という状況になっているところでございます。
【無藤主査】    キャンベル委員、よろしいですか。
【キャンベル委員】    ええ、結構です。
【無藤主査】    ほかにはいかがでしょうか。
  天笠委員、お願いします。
【天笠主査代理】    読解力の向上に向けた対応策、資料2-2についてお伺いさせていただきたいんですけれども、紙でないコンピュータ云々、それが読解力、今回のという御説明だったかと思います。それで、そうすると、このコンピュータ上のそれ、ICT環境の整備というのが対策として上げられているのだという、それは一つの方策として分からなくはないんですけれども、ここでのその紙でないという意味はどういうふうに理解したら良いのでしょうか。
  私は、これ、紙とICT、あるいはアナログとデジタルを二者択一にするという方向性というのがいかがなものかというふうに思っておりまして、この国はこの両者を融合させるとか、そういう方向というのがこの国のやるべき方向ではないかと個人的には非常に強く思っております。ですから、そうすると、これはあたかも紙のところは縮小してICT化するというのが読解力の向上だというふうなことだと、少し狭く読解力向上の対策を限定することにならないかどうなのかということが少し心配されるところなのです。
  何でこんなことを申し上げるかというと、デジタル教科書の委員会の末席に座らせてもらったもので、そこでのやりとりというのでしょうか、基本的にはデジタルの教科書ということを普及させていく、対応させていくと。ただ、それは紙の教科書とデジタルとが二者択一ではないのだというのが一応のその委員会のまとめというふうに私は理解しておりまして、ですから、そういう点からすると、この対応策というのは、そこら辺とのすり合わせとか整合というのでしょうか、ということも是非御検討いただきたいなと思います。
  以上です。
【無藤主査】    それは事務局として是非お願いします。
  では、品川委員、お願いします。
【品川委員】    ありがとうございます。1点御質問なのですが、今のその読解力を支える語彙力の強化とございますけれども、これは、語彙力に特に特化した理由が何かあるのかなということをお聞きしたいなと思います。
  ディスレクシアの専門家、イギリスにサリー・シェイウィッツという先生がいらっしゃるのですが、読会のモデルというのを出していらっしゃって、それは語彙だけではなくて、リアルな体験であったり、推論であったり、などなどほかにもいろいろあるので、ここに特に語彙力を上げられた何か理由があれば教えていただければと思います。
【無藤主査】    今の点はどうでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    今回、様々なワーキング、国語ワーキングでございますとか、あとは小学校部会の方でも御議論いただきましたけれども、小学校低学年段階からの語彙の量と質ということがその後の学力差ということに大きく関連してくるというような御指摘を頂いたところでございます。そういう意味では、様々な世の中で出会う物事と言葉というものがしっかり結びついていく必要がある。先生御指摘のとおり、それらが体験ということともしっかり結びついていく必要があるわけでありますけれども、特に今回、言語能力の向上という文脈の中では、語彙力の重要性ということも言われたところでございましたので、今回特にこういった形で付け加えさせていただいたところでございます。
【無藤主査】    ありがとうございます。
【品川委員】    分かりました。ありがとうございます。
  それでは、是非どこかに明記していただければと思うのですが、語彙力だけでは読解力は上がらないので、その語彙力単体に行かないような何かそういった視点をどこかに御記入いただければなと思います。失礼しました。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  是非その方向でお願いしたいと思います。それでは、吉田委員、どうぞ。
【吉田委員】    先ほどのICTの利用ということとの関連ですけれども、この資料2-2の3ページですか、2枚目の最初のところに国語の授業におけるコンピュータの使用状況というのがあるんですけれども、これで確かに日本は少ないというのはよく分かるんですけれども、OECDのこの読解力の結果を見ていると、日本より使用時間が長い国というのはほとんどないですよね。つまり、シンガポールも入っていませんし、カナダもフィンランドも、そんなにICTというのは重要なのでしょうか。よく分からないんですよ。これをもってICTになれてないからと言えるのかどうか、少しその辺、お願いします。
【無藤主査】    今のデータの読み取りはいかがでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    今回、このデジタル読解力調査のデータから、これを使用したからすぐさま何らかの能力にということはすぐには分からないわけでございます。そういう意味では、1枚目にございますように、国立教育政策研究所の方で少しどういった授業ということが能力に結び付きそうかという分析は協力してこれからさせていただきたいと思います。
  天笠先生からも御指摘いただきましたように、デジタルなのか、アナログなのかということを二者択一で捉えるわけではなくて、しっかりとその読解力ということがどんな場面でも発揮される、そういったことを目指していく。ただ、一方で、今回CBTという問題形式にとまどいがあったであろうというふうに見られるということは事実ですので、それはそれとしてしっかり受け止めていく必要があるかなと考えているところでございます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  では、齋藤委員お願いします。
【齋藤委員】    済みません、TIMSSとPISAのこの1万人近くの学生さんとその学校ですけれども、これはどの学校で、地方とそのバランスとか、そういうのが分かるのかというのと、海外と比べる云々というのも大事ですけれども、国内でもどういうばらつきがあるかという、そういうものも分かるものなのですかね。
【大野国立教育政策研究所国際協力・研究部長】    失礼いたします。調査を担当いたしました国立教育政策研究所ですが、PISAでは200校をまず選ぶんですけれども、それに関しましては、基本的に国公立の割合、それから普通科か専門学科というところは考慮して、日本の縮図になるように200校が抽出で選ばれますので、都市か地方かですとか、日本の国内のばらつきというのは、結果としてもばらつくということになりまして、これはあくまで国全体を予測するためにとる手法でございますので、国内の地方の比較というのはできないような設計になっております。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  ほかにございますでしょうか。
  とりあえず、御質問ということではこれまででよろしいですか。今後の対応につきましては、いろいろ御意見を別な形でお寄せいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
  それでは、次の議題に入りたいと存じますけれども、中教審の答申の案につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、お手元の資料で申し上げますと資料3-1と3-2になりますけれども、併せまして見え消し版と右上に振っております、赤字で修正箇所が入っておりますものを委員の先生方には机上に置かせていただいているところでございます。委員の先生方はそちらを御覧いただければと思います。傍聴席の方々の、こちらの見え消し版がありませんで恐縮ですけれども、とけ込み版の資料3-1、3-2を御覧いただければと思います。
  まず、見え消し版の表紙、資料3-1も表紙でございますけれども、答申案ということで、題名でございます学習指導要領等の改善、それに加えまして、今回その理念の実現のために必要な方策も併せて御提言いただくということでこのようなタイトルとさせていただいているところでございます。
  おめくりいただきますと目次が2ページにわたってございます。1ポツというものを第1章というふうに改めさせていただくなど、全体的に構成の整理を図らせていただいたところでございます。
  1ページ目、「はじめに」というところから文章が始まってございますけれども、全体的に先ほどのPISAの結果、TIMSSの結果の反映でありますとか、あるいは、外国語教育に関しまして、特に教材でありますとか指導体制の整備ということに関しまして頂いた御意見、あるいは、移行措置の考え方、それから、分かりやすい答申にということで、記述に重複感があるところの整理などを全体的に図らせていただいたところでございます。順次御説明をさせていただきます。
  1ページ目、「はじめに」でございます。2段落目に、自分の価値を認識するとともに、相手の価値を尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越えということで、この多様性の尊重ということも含めて整理をさせていただいております。
  また、4段落目は、社会に開かれた教育課程を冒頭におきましても少し分かりやすく記載をさせていただいております。
  次の段落でございますけれども、学習指導要領の役割、全国的な水準の確保ということに加えて、指導要領を踏まえて様々な教育改善を図っていくことを促すということを書かせていただいております。そうしたことを踏まえた指導要領に今後期待される役割、そして2ページ目には、これまでの議論の積み重ねということをヒアリング団体名等も含めて整理をさせていただいております。
  3ページ目以降が第1章ということでございます。
  4ページ目は少し言語活動の記載ぶりの整理。
  それから5ページ目の子供たちの現状と課題というところの二つ目の丸に、先ほど御紹介させていただきましたTIMSS、それからPISAの結果の概要を入れさせていただいております。
  併せて、6ページ、PISA2015ではというところがございますけれども、読解力について指摘された課題を追記させていただいたところでございます。
  7ページ目でございますけれども、こちらは順番の変更、知・徳・体の順番に並べるということで、体力・健康に関する部分を少し先に送りまして、まず感性豊かな人間性に関わることを先に記載させていただいております。その中で、体験活動ということ、子供たちが様々な体験を通じて気付いていくということの重要性ということを記載させていただいているところでございます。
  それから、9ページ目、第2章でございます。冒頭の部分、少し分かりやすいように記載ぶりを改めさせていただきました。
  また、10ページ目のしかしから始まる段落の部分は、記載に重複感があるところを注に送らせていただいております。
  11ページ目でございます。傍聴の方は10ページ目になりますけれども、「生きる力」の育成ということで、見出し上、「生きる力」の育成との関係性の整理だということを分かりやすく整理をした上で文言の方も少し整理をさせていただいております。
  それから、見え消し版13ページ目、とけ込み版ですと12ページ目ですけれども、第3章ということで、こちらもこの部分の「生きる力」の理念の具体化を図るということの趣旨を分かりやすくしております。
  14ページ目、傍聴の方々は13ページでございますけれども、2ポツの部分も「生きる力」の育成に向けてという形でございます。また、見出しを整理するなど分かりやすい記述に心掛けたところでございます。
  併せて16ページ目、傍聴の方は15ページ目ですけれども、この部分、注にここまで記載されてきたことと重なる部分、例えば、ESDという部分は既に出てきております。主権者の部分は後ろの方に出てまいります。そうしたことの記載の整理をさせていただきました。また、ほかの段落との重複感がある記載を少し整理をさせていただいております。
  それから、見え消し版18ページ目、傍聴の方は17ページ目、この部分もこの項の最後にこの記載を見送るなど記載ぶりの整理を図らせていただきました。
  それから、20ページ目、傍聴の方々は19ページ目ですけれども、こちらもESDの部分の記載の重なりを整理させていただきました。第5章でも少し出てまいりますので、注に送らせていただいております。
  それから、21ページ目、傍聴の方々は20ページ目ですけれども、指導要領の枠組みの見直しというところでございます。「学びの地図」としての枠組み作りと創意工夫の活性化ということで、2つ目の丸、背景となる部分を追加させていただいております。
  それから、23ページ目、傍聴の方々は21ページ目でございますけれども、新しい学習指導要領の考え方を共有するための総則の抜本的改善、こちらも後々他の章で整理している事項が多数含まれておりましたので、記述を整理させていただいております。
  それから、25ページ目、傍聴の方々は23ページ目でございますけれども、こちらも全ての教職員で創り上げる各学校の特色という部分、記述の整理をさせていただいております。
  また、26ページ目、教科等間のつながりということ、三つ目の丸の部分でございます。傍聴の方々は24ページ目でございますけれども、小学校の方で行う様々な時数の管理ということとの関連性を整理させていただいております。
  それから、27ページ目、傍聴の方々は25ページ目でございますけれども、「アクティブ・ラーニング」の視点の部分でございます。これも第7章におきましてかなり詳細に記載してございますので、この部分では記述ぶりを整理させていただきました。
  28ページ目、傍聴の方々は26ページ目でございますけれども、第5章の冒頭の部分も少し分かりやすく、また、段落の前後関係を整理することで読みやすくなるように整理をさせていただきました。
  29ページ目の部分です。傍聴の方々は26ページ目になりますけれども、もともと教育課程の構造化に関する整理がございましたけれども、これは他の部分で記載をしたことで分かりやすくなってございますので、ここからは整理を外させていただいております。
  また、2ポツの部分の書き出し、資質・能力の三つの柱、これも三つの柱の機能をまず冒頭に明確に記させていただいております。
  それから、32ページ目のマル3、傍聴の方々は29ページ目でございますけれども、人間性等の涵養と体験活動の重要性、これを記載させていただきました。
  それから、33ページ目以降、少し各学校が育成を目指す資質・能力の具体化ということをまず持ってくるということで、各学校の取組みとの関係性を分かりやすくしたということ。また、学校教育全体のつながりという部分は、少し後ろの方で6ポツとして章立てをさせていただくこととして、記載をここからは外させて先に送らせていただいております。
  それから、42ページ目、傍聴の方々は35ページ目でございますけれども、言語能力の中にこうした方向性やということで、先ほどの読解力に関する向上策について記載をさせていただいております。
  それから、45ページ目、46ページ目、傍聴の方々は39ページ目でございますけれども、ここで、現代的な課題に対応して求められる資質・能力、主権者に関する力でございますとか、多様性を尊重しながら挑戦していく力、持続可能な社会を作る力などなどを整理させていただいております。
  例示の一つといたしまして47ページ目、傍聴の方々は41ページ目、主権者として求められる資質・能力につきまして、その後の議論を踏まえまして整理をさせていただきました。小中高、継続的な、系統的な実施ということ、また、関係機関との連携ということ、また、家庭・地域との連携ということでございます。
  それから、先ほどつながりの部分で削除させていただいた部分をこの6ポツとして48ページ目に少し簡略化しながら立てさせていただいております。傍聴の方々は42ページになってまいります。
  それから、54ページ目でございます。傍聴の方々は48ページ目でございます。「主体的・対話的で深い学び」のうち、深い学びの部分でございます。特に「見方・考え方」についての考え方、資質・能力との関係性、あるいは学びのプロセスということの関係性をその後の議論を踏まえまして分かりやすく整理をさせていただいたところでございます。
  併せて57ページ目、傍聴の方々は51ページ目でございますけれども、これも同様に「見方・考え方」についての整理でございます。
  58ページ目、傍聴の方々は52ページ目、ここの部分では図書館についてもともと記載がございましたけれども、博物館、美術館等とのつながり、あるいは体験活動ということを追記させていただいております。
  それから、65ページ目、傍聴の方々は59ページ目になります。学習評価の意義ということ。この部分、少し章立てをさせていただきまして分かりやすくさせていただきました。
  また、段落の前後の調整ということを66ページ目、傍聴の方々は60ページ目でさせていただいております。
  また、67ページ目、傍聴の方々は60ページ目ですけれども、評価に当たっての留意点等ということで、今回は通常の改訂のプロセスと少し異なりまして、学習評価につきましても改訂と一体的に御議論いただいたということでございます。今後の検討は、それを踏まえながらということでその趣旨を記載させていただいております。
  それから、第10章、69ページ目、傍聴の方々は62ページ目でございますけれども、条件整備が不可欠であり、その着実な実施が求められるということ。また、記載ぶりの修正ということを第10章に関しましても行わせていただきました。
  77ページ目、傍聴の方々は70ページ目、一番最後の部分につきましても、現時点の時点修正ということをさせていただいたところでございます。
  続きまして、見え消し版マル2、傍聴の方々は3-2ということになりますが、第2部でございます。第2部は修正箇所のみかいつまんで御説明を申し上げたいと思います。
  まずは、幼児教育の部分でございますが、87ページ目、傍聴の方々は80ページ目。87ページ目で幼保連携型認定こども園につきまして、審議まとめの後、御議論いただいた内容を反映させていただいております。在園時間、1日の生活リズムが異なる幼児が一緒に生活することを念頭に置きつつ、例えばその幼児期の終わりまでに育ってほしい姿なども踏まえながら具体的な計画を立てていくということ。あるいは、2歳児から3歳児への移行、子育て支援に当たっての配慮ということでございます。
  併せて89ページ目、傍聴の方々は82ページ目になりますけれども、保育所保育指針等の改訂に当たりましても同様の視点でということでございます。
  続きまして、小学校でございますけれども、見え消し版で100ページ目。100ページ目以降数ページにわたりましてでございます。傍聴の方々は93ページ目以降でございます。この部分、特に今小学校の外国語教育についての教材、あるいは移行措置、それから様々な指導体制の確保ということ、現場の先生方の不安にしっかりと応えられるような形で記載の充実を図らせていただいております。
  続きまして、各教科の方に移らせていただきます。129ページ目、傍聴の方々は122ページ目になります。国語でございますけれども、先ほどPISAの結果ということを踏まえた、あるいは、最新の全国学力・学習状況調査における言語活動の扱いということの記載を加えております。
  また、134ページ目、傍聴の方々は127ページ目、先ほど御指摘もありました語彙ということの重要性ということ。
  また、136ページ目、129ページ目、傍聴の方々でございますが、ICTを効果的に活用するということでございます。
  続きまして、社会科でございます。142ページ目、傍聴の方々は135ページ目になりますけれども、教育内容の見直しというところで、グローバル化への対応、持続可能な社会の形成、情報化、防災・安全、海洋国家である我が国の国土の様子、主権者教育ということを担う教科としてということでございます。
  それから、143ページ目、傍聴の方々は136ページ目でございますけれども、特にこの部分、主権者教育ということも含めて、指導法の改善、モデルの提示、教育効果の高い指導上の工夫の普及などということも加えさせていただきました。
  続きまして、算数、数学でございます。145ページ目、傍聴の方々は138ページ目になりますけれども、先ほどのTIMSSあるいはPISAの結果ということを加えさせていただいております。
  理科についても同様でございます。150ページ目、傍聴の方々は143ページ目でございます。結果を加えさせていただきました。
  156ページ目も同様でございます。傍聴の方々は149ページ目でございますけれども、理数探求についての考え方ということでございます。
  161ページ目、生活科の部分は、他教科との横並びで少し別添資料に送る部分を整理をさせていただいたところでございます。傍聴の方々は154ページ目でございます。
  それから、外国語教育でございますけれども、201ページ目、傍聴の方々は193ページ目以降でございますけれども、外国語教育、今回、小学校高学年からは教科として導入されるということで、観点別学習状況の評価などについて改めて記載をさせていただいております。
  それから、その次のページでございますけれども、言語活動の実施についての留意点。
  それから、小学校の部分と同様でございますけれども、206ページ、傍聴の方々は198ページ目でございますけれども、教材の充実、次ページが指導体制等の充実、大学における教員養成の改善・充実ということ。また地域や学校における指導体制の改善・充実等々、教材や指導体制に関わる事項を追記をさせていただいたところでございます。
  また、課程部会、企画特別部会で御指摘のありました248ページ目、第2部の一番最後のページになりますけれども、関連用語が分かりにくくないようにということで、すぐ引き出せますように、索引ということで少し見出しをつけさせていただいております。こうした形で改善を図らせていただければというふうに考えておりますので、御審議いただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  それでは、意見交換の時間に入りたいと思いますので、御意見のある方は名札をお立ていただければと存じます。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
  では、渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    お願いします。ここまでおまとめいただいて、本当に大労作だったと思います。ありがとうございます。
  全体を通しての感想としては、当初から話していた縦のつながりと横のつながり、教科横断的にこの教育課程を見るということ、それから、幼小中高の縦のつながりを見るということがとても分かりやすく出ている、表現されていると思いました。
  それから、21ページのところに、教員が何を教えるかという考え方でいることが、子供が何ができるようになるかということを妨げているという表現があったと思いますけれども、これが非常に今回の学習指導要領の在り方をはっきり表しているかなと思いました。指導要領が、教員が何を教えるかということにとどまらないで、その結果、子供たちが何ができるようになるかのための「学びの地図」であるということが方向性としてよく分かると思いました。
  あと1点、外国語のところで、そこまで読み込めてないですけれども、外国語の特別免許の有効的な活用というようなことの表記があると、より外国語を指導する教員の幅が広がるのではないかと思いました。
  ありがとうございました。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  入れられるところは入れるようにしますけれども。ほかにはいかがでしょうか。
  では、お願いします。今村委員、どうぞ。
【今村委員】    本当に渡瀬先生もおっしゃっていたとおり、ここまでの大変取りまとめをどうもありがとうございました。たくさんの勉強をさせていただきました。私からは、どこかにあるのかもしれないんですけれども、2点お願いがございます。
  学校の先生の役割は、たくさん変化をしていき、求めることも要望も上がってくるわけですけれども、その教員の最大の仕事は内発性をともすということであると、そのためにアクティブ・ラーニングがあって、そのために探求という形、考え方があるのだということをどこかに分かりやすく、その期待を込めて記していただくことが一番今回の改革の哲学を表すことになるのではないかなということが一つお願いです。
  もう一つが、この見え消し版2の第2部の方の108ページ、高等学校の内容についてですけれども、高等学校教育の基本というところに、どうしてもその探究心を持って学ぶということが、日本の高校生に求める学ぶスタンスとしての在り方であるということが、表記の仕方はお任せするんですけれども、表明できないのかなと思っております。探求という言葉が教科の名前になったことによって、探求というのは、あの教科の中でやることであるという考え方が先生方の中で誤解を生んでいる点を少し懸念していまして、探求するというのは、もう重要な学びのスタンスだということ、日本の高校生たちは、皆何らか探求をしている存在を最終的には目指していきたいのだということが大切な考え方なのではないかと思いました。それがこの109ページになります学び直しの充実のところの学力中位層の学習時間の減少、基礎学力の不足、学習意欲の面での課題があるということに対する解が一つそれなのではないかなと思っていまして、学び直しだけが意欲を引き出すものではなくて、本来誰しも持っている学びたいと思う気持ちは、何かに熱中できる、探究心を持って学ぶという原点に帰るということが最も大切だと思うので、この上位概念として、高等学校教育の基本のどこかに探求という言葉を入れていただければなというお願いをさせていただきます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  御指摘の点、もっともだと思いますので、趣旨を生かす方向で検討したいと思います。ほかにはいかがでしょうか。
  では、吉田委員、お願いします。
【吉田委員】    私もすごくよくまとめていただいたなと思って感謝していますけれども、1点、どうしても前から気になることで、以前もお話ししたかもしれませんけれども、外国語と言いながら全て英語ということですよね。ですから、どこかに、ここに書いてあることは全部英語教育のことですので、その他の外国語の必要性についても一言どこかで書いていただきたい。今、ざっと見たんですけれども、余り書いてなかったような気がするんですけれども。
【無藤主査】    御指摘、そのとおりだと思いますので、指導要領として、もちろん外国語であることははっきりしておりますので、その旨見えるようにしていただきたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。
  小川委員、お願いします。
【小川委員】    ありがとうございます。できるだけコンパクトに分かりやすくなどという非常に難しいお願いをしたところでありますが、その中で、かなり章立てを考えていただいたり、また内容を組み替えていただいたり、すごく分かりやすくなったなと思っております。
  特にこれまでも理念とされてきた「生きる力」というところとのこの連続性というようなところで、章立ての中にも明記されたことで、これまで私たちがやってきた教育というのがすっぱり否定されてこれがあるわけではなくて、これまでのものを大事にされた中で、更にこれをバージョンアップしていくのだという、そういうつながりができているというところで、現場としては非常に安心感が持てるのではないかなと思います。
  あと非常に細かいところなのですが、第5章の中に、以前にもその中の2ポツの中に入っていたのですが、それを6ポツとして、資質・能力の育成と、子供たちの発達や成長のつながりというふうに、非常に今回大事にされている幼児教育から高等までの子供たちの側に立った発達、成長、そういった視点で改めて整理をし直していただいたところは大変ありがたいなと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  ほかにはいかがでしょうか。では、荒瀬委員、お願いします。
【荒瀬委員】    ありがとうございます。第2部、見え消し版の128ページです。(6)として、職業との接続ということをまとめていただいていまして、これも今になって言うのも言いにくいんですけれども、これ、まず最初に、人は職業を通じてと全般的に書いていただいていて、ここはとても大事なことだと思うんですが、ならば、そのキャリア教育との絡みみたいなことがこういったところからも読み取れるようにならないかなということを一つ思いました。
  それと、二つ目の丸ところで、特に高等学校においてはとありまして、その次に、卒業後に就職を希望する生徒に対してということなのですが、高等学校まで来れば、大学に行くにしろ、専門学校等に行くにしろ、職業についてもう少し深い理解というのが必要になってこようかと思います。ですから、特に高等学校においては、卒業後に就職を希望する生徒対してというあたりの表現が、何か就職を希望する生徒にはやっておかなければならないけれども、ほかの生徒にはどうなのかというようなことになってはいけないなと思いまして、十分に読み取れるのですけれども、そこのところは、もし可能であれば触れていただけると良いのかなと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  荒瀬委員の御指摘のとおりのように読み取れるべきものだと思いますので、分かりやすくしていただければと思います。
  それでは、齋藤委員、お願いします。
【齋藤委員】    すごい細かいポイントですけれども、全部ぱっと横文字をチェックして、ICTが初めて使われるのがページ6番ですね。今のこの事象としてICTが書かれているのが、情報技術という(ICT)と書いてあるんですけれども、これは、今の世の中ですと情報技術はITなので、ICTではないので、むしろICTというのは片仮名で書いた方が良いかもしれないです。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  いずれにしてもICTをより正確に解説ですかね、するということでしょうか。よろしくお願いいたします。ほかにはいかがですか。
  では、牧田委員、お願いします。
【牧田委員】    ありがとうございます。今までの議論がきちんと形になってきていると本当に思います。
  学校現場としてこういうのが出たときに、恐らく今度は、一番何だろうと悩むのではないか心配されるのが、「見方・考え方」についてだと思うんですね。というのも、今まで「見方・考え方」というのは、出て普通に使っていた言葉ですから、それをまた新たに定義し直すというところなのですが、見え消し版の38ページのところに、「見方・考え方」の話が出てくるのですけれども、「見方・考え方」というのはここに鍛えられるという言葉で出ております。それもそう言われればそうなんだなと思うんですけれども、この一番最後のところに、赤字で、具体的な課題について、考えたり、探求したりする中で、資質・能力の育まれるに当たって、また思考や探求に必要な道具や手段として鍛えられる。結局、どこでこの「見方・考え方」というのが初めて出てくるのかと、何につながって出てきて何につながっていくのかというのが、少しここの部分が分かりにくいかなというのが1点です。
  その1行前に、知識が豊かになれば見方も確かになると、思考力や人間性が深まれば考え方も豊かになると、これは1対1対応のようになっているわけですが、私が思うに、「見方・考え方」を、これが見方、これが考え方と切り分けて、知識が見方につながる、思考力、人間性は考え方につながるというのが、少しと対応が強過ぎるかなという気がしまして、以後、これから各教科で「見方・考え方」についての細かい記述が加えられると思うのですが、そこのところを丁寧にこれからも書いていただけると、学校現場としては混乱せずに済むなというのが実感です。
  もう一つ言うと、先ほどから出ているPISA2015の結果のことについての記述なのですが、見え消し版6ページにも、平均点が有意に低下しているということの理由として、まず第1に、なれていないから戸惑いがあったということがまずあって、それに加えて云々ということがあるのですが、どうも私、これはしっくり来なくて、順番、逆の方が良いのではないかなと。なれていないというのが第1番に来るということを打ち出すと、今までやってきたいろいろなテストも、結局なれが大事なのではないかというようなことを、そういう誤解を生みかねないなと。だからここは書き方の問題ですけれども、できたら何か、最初読んだときにすごく違和感があったものですから、なれていないということについて。それよりももっと分析的な、能力的に、資質・能力の話をしているのですから、その話の方を先に加えた方が良いのではないかと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  「見方・考え方」も、そのPISAの読解力の得点の低下に対応する問題についても、非常に苦心してお書きになっている部分だと思いますが、確かに誤解を招くこともあり得るので、もう少し表現等を検討していただければと思います。ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。
  特段これ以上には、今、御指摘の部分がないようでしたら、よろしいですか。
  いろいろな意見を頂戴いたしました。ありがとうございました。途中でも申し上げましたけれども、皆様方に御指摘いただきました内容も踏まえて、この答申案を教育課程部会へと報告させていただくということでよろしゅうございますでしょうか。
  その際、文言の調整等をいたしますので、それにつきまして、主査である私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【無藤主査】    ありがとうございました。
  今後でございますけれども、本答申は、二つの分科会を経るわけでありますけれども、その後、今月の21日、中央教育審議会総会がございます。そこで最終的な御議論を頂戴いただくという予定であります。それに基づきまして答申ということになろうかと思いますので、文部科学省におきまして、学習指導要領の改訂に取組んでいただきたいと存じます。なお、教育課程企画特別部会といたしましては、その結果、状況につきまして、また報告を受けたいと考えてございます。
  それでは、最後ですけれども、事務局より事務連絡をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。
  本部会、第1回が平成27年1月29日でございましたけれども、本日第26回まで充実した御議論をいただきまして、まことにありがとうございました。
  先ほど主査からもお話がございましたように、答申案につきましては、今後、教育課程部会、初等中等教育分科会、総会において御議論いただきたいと思います。なお、本日の配付資料は、机上に置いていただけましたら、後ほど郵送をさせていただきます。また、今後の日程、後日御連絡をさせていただきます。
  それでは、最後に事務局を代表いたしまして、初等中等教育局長の藤原より一言御挨拶申し上げます。
【藤原初等中等教育局長】    本日この部会におきまして、一つの区切りを迎えるに当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
  平成27年1月から始まりました本部会におきましては、昨年8月までの約半年間で14回もの御審議をいただきまして、論点整理を取りまとめていただきました。この論点整理におきましては、社会に開かれた教育課程を実現するという理念の下で、知識の理解の質を高めるための主体的・対話的で深い学びの実現、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善、それから、子供たちの学びを支えるカリキュラムマネジメントの確立、教科横断的な視点から子供たちに必要な資質・能力の育成を図ることの重要性など、次の学習指導要領において中心となる考え方をおまとめいただいた次第でございます。
  その後、論点整理に沿いまして、学校段階別、それから教科別のワーキンググループなどで専門的な検討を行っていただいたわけでございます。そこでは、教科などを学ぶ本質的な意義に立ち返っての議論が行われました。本部会では、それらの検討を受けて、教科横断的な観点から御審議をいただきまして、今年の8月にそれまでの成果を審議のまとめとしてまとめていただきました。
  今年の秋には、4回にわたりまして実施されました関係団体からのヒアリングを踏まえまして、より分かりやすい記述を心掛けることや、条件整備に関する記述の充実などの御指摘をいただきまして本日に至っております。
  無藤主査をはじめ各委員の先生方におかれましては、それぞれの御専門を超えて、子供たちに未来の作り手となるための資質・能力を育む観点から御審議をいただきまして、大変ありがとうございました。その成果といたしまして、本日、学習指導要領改訂の方向性について、幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(案)としてお取りまとめいただいた次第でございます。この答申案につきましては、これから教育課程部会、それから初等中等教育分科会での御議論を経まして、今月、12月21日、水曜日の中教審総会にて松野文部科学大臣に手交をいただくわけでございますが、その際には、文部科学省として、年度内の学習指導要領告示に向けて今後作業を進めていきたいと考えております。その結果、あるいは状況につきましては、また御報告をさせていただきたいと思います。
  今後、皆様方におかれましては、この答申の内容を是非とも各所で周知、広報をしていただければ大変ありがたいと存じている次第でございます。昨年の1月から2年間で26回という非常に多い回数、長期間にわたりこの会議を開催していただきまして、非常に充実した御意見を頂いたことにつきまして、この場をかりて厚く御礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  今、局長から御挨拶いただきましたけれども、その最後におきまして、特に今後、答申案の周知、広報ということに御努力ということでございますので、是非委員の皆様におかれましても、この答申案の内容につきまして、それぞれのところで周知、広報を是非お願いしたいと思います。
  それでは、本日の教育課程企画特別部会をこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


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