教育課程部会 教育課程企画特別部会(第12回) 議事録

1.日時

平成27年7月22日(水曜日) 13時00分~15時30分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 教育課程の改善について
  2. その他

4.議事録

【羽入主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央教育審議会の教育課程企画特別部会を開催いたします。今回、12回になります。大変お暑い中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。また、前回は皆様に様々な立場から御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
まず最初に、事務局から配付資料の確認をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  配付資料でございますけれども、本日は、議事次第に掲載しておりますとおり、資料1から資料5、参考資料1及び2を配付させていただいております。御不足ございましたら、事務局までお申し付けくださいませ。
【羽入主査】  よろしいでしょうか。
それでは、本日の議事でございますけれども、教育課程の改善についてということで、資料1として配付しております論点整理のイメージ(たたき台)(案)について、これを中心に御意見を頂ければと思います。また、本日、報道関係者等から会議の撮影、録音の希望を頂いております。これを許可しておりますので、御承知おきくださいますようにお願いいたします。
それでは、まず事務局から、資料に基づいて御説明をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。資料1の説明に先立ちまして、まず参考資料の1をごらんいただければと思います。先日、6月29日に東京で行われました日本とOECD政策対話第2回目の報告でございます。第1回目につきましては、既に鈴木大臣補佐官より、せんだっての会議の中で御紹介を頂きましたけれども、その第2回目が6月下旬に実施され、政策対話の趣旨にございますように、新しい時代にふさわしいコンピテンシー、カリキュラムや授業の在り方、アクティブラーニングをはじめとした学習・指導方法、学習評価の在り方等に関して包括的な意見交換が実施されたところであります。
おめくりいただきまして、第2回政策対話の総括でございますけれども、まさに企画特別部会で御議論いただいております学習指導要領改訂、高大接続改革等、教育改革の取組につきまして、OECD側と共有するとともに、また、現在OECDが推進しているEducation2030、これは日本との政策対話の成果も踏まえつつ新たな事業として実施されるということで、知識、スキル、人間性を一体的に捉え、これからの時代に求められるコンピテンシーについて、4年間で検討するという計画でございますけれども、この具体的な実施計画についても共有されたところであります。OECD側からは、我が国の社会ニーズに応えた、将来志向のカリキュラム改革の取組などについて高い評価がなされ、国際的な枠組みであるEducation2030を通じた国際貢献についても改めて期待が表明されたところです。
主な意見というところですけれども、新たなカリキュラムの策定と実施ということで、人間性等も重視したカリキュラム、策定・実施に学校、教員を巻き込むことの重要性。また、新しいカリキュラムの実施ということで、現職教員の意識改革、教員をはじめ学校スタッフの確保。また、日本の教員が、子供の人間性の涵養など幅広い役割を担っているということでの評価も示されたところであります。カリキュラム構造に関しましては、教科学習における主体的・協働的な課題探求型教育の重要性、教育内容と教育方法のバランスの重要性。次のスライド4になりますが、教科教育と教科横断的教育のバランスの重要性、教科教育と総合的な学習の時間や特別活動など、それぞれの重要性などが議論としてされたところでございます。また後ほど大臣補佐官が来られた後に、議論の成果について御紹介があるかと思いますけれども、取り急ぎ概要について御説明をさせていただきました。
それでは、資料1にお戻りいただきたいと思います。教育課程企画特別部会論点整理のイメージ(たたき台)ということで、これまで頂きました議論を基に、まだまだ言葉は尽くせていない部分もございますけれども、まずは総論部分をまとめさせていただいたものであります。この総論に関連しまして様々な補足資料につきましては、資料2におきましてまとめさせていただいておりますので、適宜御参照いただければと思います。
大きな柱立てといたしましては、2030年の社会と子供たちの未来、新しい学習指導要領等が目指す姿、学習評価の在り方について、学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策、それから各学校種、教科等における改訂の具体的な方向性、最後に検討スケジュールということでございます。
おめくりいただきまして2ページになりますけれども、ここでは仮に2030年、先ほどOECDの事業おきましてもEducation2030ということで、2030年に向けた教育の在り方ということが議論されておりますけれども、2030年の社会の在り方ということを考えた上で、子供たちの未来、また、そのさらに先を見据えた教育の在り方ということをまとめさせていただいているところであります。今年学校教育の入り口に立った子供たちが初等中等教育を修了し、社会に羽ばたく頃の社会の変化の見通し、少子高齢化の進行でありますとか様々なグローバル化、情報化の中で先を見通すことがますます難しくなってきていること、職業の在り方についても大きく変化するであろうということ、こうした時代を前に、子供たち一人一人が、社会の変化に受け身で対処するのではなく、よりよい社会と幸福な人生をみずから作り出していくということが求められる。そのためには教育の場において、解き方が定まった問題を効率的に解くという力だけではなく、様々な新しい価値を協働的、主体的に生み出していくことができるような資質・能力を身に付けることが重要であるということであります。
こうした資質・能力を育成していくためにはということで、企画特別部会でも御議論いただきましたように、学校というものの意義を、世界の変化や社会の変化を視野に入れつつ捉え直していくということ、学校そのものが、地域の関係者などを含めた一つの社会ということであり、その中で様々な時間を持つということの積み重ねで地域や社会生活を変えていける、よりよく変えていける、また持続可能な社会作りを担っていけるというようなことにつながっていくということ。そのためには、学校が社会や世界と接点を持ちつつ、多様な人々とつながりを保ちながら学ぶことのできる開かれた環境となることが不可欠であるということであります。こうしたつながりは、地域活性化の基盤としての原動力ともなっていくということであります。
我が国の近代学校制度、明治期から、学制に始まり、学校教育法が定められましたのがその70年後、またそれから70年という140年目の節目に至って、新しい時代にふさわしい学校観に立ち考えていく、その中心となるのがまさに教育計画となる教育課程であり、子供たちがどのような力を身に付けていくかという理念を持って、学校内に閉じずに、社会と共有しながら、社会に開かれた教育課程を目指していくということであります。こうした問題意識の下、これからの教育の在り方全体を視野に入れて、教員の在り方、また教育インフラについても触れさせていただいているということであります。
一番下になりますけれども、先ほど御紹介したような政策対話の中でも、こうしたカリキュラム改革の方向性ということに高い評価が与えられ、日本の改革ということは、キャッチアップから、世界をリードする役割というものが期待されているということであります。
4ページ一つ目の丸になりますけれども、新しい学習指導要領、過去のスケジュールを踏まえますれば、2020年から小学校で実施されれば、その10年後の2030年頃までの間、子供たちの学びを支えていくということになります。こうした2030年の社会の在り方ということも見据えながら、またさらにその先も見通した初中教育の在り方を示し、日本の子供たちの学びを支えるということ、また世界の子供たちの学びを後押ししていくということが使命であるということであります。
こうした観点から、前回改訂の成果と次期改訂に向けた課題でございますけれども、前回改訂、生きる力の育成をより一層重視するという観点から、いわゆる学力の三要素ということで、確かな学力をバランスよく育むことを目指し、習得・活用・探究という学習過程の中で、例えば言語活動であるとか探究的な学習活動の重視なども取り入れられたところであります。これを踏まえて各学校では真摯な取組が重ねられており、そうした成果が学力調査の結果等にも現れているということ、また幼児教育に関しましても、教育基本法の改正により新たな位置付けということが改めて示され、その中で、総合的な指導ということで学校教育の一翼を担ってきているということであります。
こうした取組の一方で、我が国の子供たちの自信を育み、能力を引き出すということでは、様々な課題が指摘されるということ。5ページになりますが、また、さらにこれから新しい価値を創造していくということを見据えて、様々な得意分野の能力を伸ばしていくということが求められるということ。こうした観点から、教育課程全体で子供にどういった力を育むのかという観点から、教科等を越えた視点を持ちつつ、それぞれの教科等を学ぶことによってどういった力が身に付き、それが教育課程全体の中でどのような意義を持つのかを整理し、教育課程全体の構造を明らかにしていくということがさらに求められているということであります。改訂の成果を受け継ぎながらも、こうした新たな課題に応えていくということが大きな課題であるということであります。
新しい学習指導要領の在り方ですけれども、学習指導要領の趣旨を示した上で、今後の在り方としまして、社会に開かれた視点に立ち、様々な指導を通じて子供たちに何を身に付けるのかを明確に示していく、つまり、何ができるようになるかという観点から、何を学ぶのか、どのように学ぶのかということを整理していく必要があるということであります。
こうした検討の方向を底支えしますのが、学ぶとはどのようなことか、知識とは何かということに関する科学的な知見の蓄積であろうということであります。子供たちに学習への動機付けを行い、問題意識を生じさせ、6ページになりますけれども、必要となる知識や技能をさらに獲得し、問題の解決に向けた学習活動を行い、次の学びにつなげていくという深い学習のプロセス、またその中で対話を通じて考え方を広げ、人間性を豊かなものへと育むということも重要であります。身に付けるべき知識に関しましても、個別の知識と汎用的に使うことのできる概念的な知識というようなことに構造化して考えていくということ、また、学びや知識に関する知見は学力のみならず、芸術やスポーツの分野における学びにも共通するものであること、こうしたことを見据えながら教育課程全体を構造化していくことが必要であろうということであります。また、こうした検討全体は、学校と社会との接続を意識し、一人一人の社会的・職業的自立に向けて、キャリア教育の視点から検討される必要があるということ。また、子供たち一人一人の多様な教育ニーズということを踏まえて検討していかなければならないということであります。
育成すべき資質・能力についてでございますけれども、育成すべき資質・能力の検討に当たっては、まずは教育基本法に定める人格の完成、国家・社会の形成者として必要な資質ということを見据えるべきである。こうした目的を踏まえつつ、これからの社会の質的変化を踏まえた現代的課題に即して考えれば、社会的・職業的に自立した人間として、高い志や意欲を持って、変化の中でも主体的な判断が行っていける人間であること、多様な人々と協働していくことができる人間であること、問題を解決に導き、新たな価値を創造していける人間であることなどが必要となってくるということであります。
この中で、資質・能力の要素について、その構造を整理しておくということを考えますと、カリキュラムに関する先行研究等によれば、資質・能力の要素というものは、知識に関するもの、スキルに関するもの、情意に関するものに大きく構造化されているということが見えてまいります。これらは学教法が定める三要素にも大きく共通するものであり、これら三つをバランスよく膨らませながら、子供たちが大きく成長していけるようにするという役割が学校教育、教育課程には求められているということであります。

一つ目は、何を知っているか、何ができるかという、一般的には基礎的、基本的な知識・技能と呼ばれるもの。二つ目が、知っていること・できることをどう使うかという、問題発見や協働的な問題解決に関わるもの。その中で、特に以下のような思考、判断、表現、8ページになりますけれども、問題解決に必要な情報を集めたり、それを組み合わせて活用しながら問題解決するための思考。また、必要な情報を選択したり、結論を決定していくための判断や意思決定、伝える相手に応じた表現ということが重要になろうということであります。また、三番目が、この一つ目、二つ目の力が働く方向性を決定付ける、どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るかという人間性や学びに向かう力。この中には、例えば自己の感情や行動を統制する態度でありますとか、様々な感性、優しさや思いやりなども含まれるところであります。こうした資質・能力を各学校が編成する教育課程の中で、各学校の教育目標とともに具体的な姿を明らかにしていくことが重要であるということであります。
そうした構造の中で特にこれから求められる資質・能力につきましては、変化の激しい社会の中でも主体的に判断しながら生きていける、課題を解決していくための力、特に選挙権年齢が18歳に引き下げられたことなども踏まえて、国家・社会の形成者として必要な力、生産や消費などの経済的主体として求められる力、安全な生活や社会作りに必要な資質・能力、情報活用能力、思考するために必要なスキルなどを段階的に育んでいく必要性が高まっているということ、また職業教育の充実も重要であること。また、グローバル化する社会の中で、日本人としての美徳やよさを備えつつグローバルな視野で活躍できる人材として、日本文化を理解して、自国の文化を語り継承することとともに、異文化を理解し、多様な人々と協働していけるようにすること。自国とグローバル双方の観点から歴史の展開を捉える力、地理的な素養や、芸術を通じて育む感性なども重要であります。
また、オリンピック・パラリンピックに向けましては、多様なスポーツとの関わりを楽しめるようにすること、ルールを守り競い合っていく力なども重要であります。加えて、情意面や態度、自己の感情や行動を統制する力や、よりよい人間関係や生活を自主的に形成していく態度なども、社会不適応を予防し、保護要因を高めて、社会を生き抜く力を育む上では重要であります。
このほか個別のテーマに焦点化した教育、様々ございますけれども、これらは教科横断的なテーマであることも踏まえまして、どういった形で資質・能力を育んでいくのかということを整理し、構造化の中で検討していくことが重要であるということであります。また、発達段階や成長段階のつながりということで、幼小中高を通じた見通しを持って、系統的に育成していくということ。特に高等学校を卒業する段階で身に付けておくべき力は何かということから考えていくことの重要性。また、インクルーシブ教育システムの理念を踏まえて、子供たちの自立と社会参加を一層推進していくという観点から、連続性のある多様な学びの場を通じて、子供たちの十分な学びを確保していくことの重要性。また、全てを通じて社会的・職業的な自立に向けた学びを積み重ねていくことの重要性、次ページになりますが、幼小、小中、中高の学びの連携・接続についてもしっかりと確保していくことが重要であろうということであります。
これらを踏まえた指導要領の構造化の在り方ですけれども、何を知っているかという知識の内容を体系的に示した計画にとどまらず、それを使ってどのように社会、世界と関わり、よりよい人生を送るかを視野に入れつつ、様々な教科の本質的な意義等に立ち返った整理が必要であるということであります。教科における学習の意義ということでありますけれども、教科における学習は、知識・技能のみならず、それぞれの体系に応じた思考力、判断力、表現力や情意、態度等を、それぞれの教科の文脈に応じて育むという役割を有しています。例えば思考力はということで、各教科におけるそれぞれの文脈における思考力の育成を例示しておりますけれども、判断力や表現力も同様に各教科の中で、その内容に応じて育まれ、情意や態度等も各教科等を通じて育まれた社会観や自然観、人間観などが決定する構成要素となってまいります。
こうした各教科で育まれた力を、当該教科以外の実社会の様々な場面で活用できる汎用的な能力に育てていくためには、教育課程の構造上の工夫が必要であり、まさにそれが総合的な学習の時間や特別活動の設定などに当たるという構造であります。
11ページ目、一つ目の丸になりますけれども、こうした各教科を学ぶ意義を改めて明確化するとともに、この力はこの教科でこそ身に付くといった教科の本質を捉え直し、その中で資質・能力の間の関連付けや体系化を図っていくという中で全体像を整理していくという方法が有効ではないかということであります。一方で、単に積み上げるということだけではなくて、義務教育修了段階で身に付けておくべき力、18歳の段階で身に付けておくべき力という観点から、体系的な整理ということも必要であり、こうした縦と横のつながりを行き来しながら学習指導要領の全体像を構築していくということが必要だということであります。なお、幼児教育につきましては、領域を示されておりますけれども、これらを総合的に、幼児の生活全体を通じて育むということでありますので、この特性を大事にしつつも、幼少の接続の充実や関係性の整理を図っていくということであります。
次期改訂におきましては、こうした総体的な構造を可視化していくということで、そういう意味では総則というものの意義も含めて、全体の構造を分かりやすく提示していくということが求められ、それが学校と社会や世界との接続、現在と未来の接続ということで大きな役割を果たしていくということであります。
また、アクティブラーニングでありますけれども、このように三つの柱から構造化される資質・能力を総合的にいかに育んでいくかという観点からは、12ページの頭になりますけれども、様々な問題解決の学習、場面を経験したり、その中で知識や技能を構造化していったり、また身近な課題で学習の動機付けを行って、努力し続ける意志を喚起するということが重要になってまいります。このように、学びの量とともに質や深まりが重要であるという観点の下、アクティブラーニングについて議論を重ねてきたわけでありますけれども、これに関しましては、育成すべき資質・能力を総合的に育むという意義を踏まえ、積極的な取組が広がる上で重要との指摘がある一方で、指導法を一定の型にはめ、単なる手法や手練手管に終始するのではないかというような懸念も示されているところであります。特定の学習や指導の型に過度に拘泥することになるのではないかというような懸念もあるところでございます。
こうしたことを踏まえつつ、変化を見通せないこれからの時代において求められる資質・能力を育むためには、教員自身が、習得・活用・探究といった学習過程全体を見渡して、子供たちに育まれる資質・能力を自覚的に認識しながら、指導方法を不断に見直し、改善していくことが求められる。特定の型を普及させるということではなく、これから3つ示されておりますような視点に立って学び全体を改善し、子供の学びへの積極的関与と深い理解を促すような指導や学習環境を設定していく、それを教員一人一人が工夫して実践していくことができるようにすることが重要であるということでございます。

一つ目は、習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見、解決を念頭に置きつつ、深い学びの過程が実現できているかどうか。その中で教員は、教える場面と、子供たちに思考、判断、表現させる場面を効果的に設計し、関連させながら指導していくことが求められるということであります。
13ページ、二つ目の丸が、他者との協働や外界の情報との相互作用を通じてみずからの考えを広げ、深める、対話的な学びの過程が実現できているかどうかということでありまして、物事の多面的で深い理解に至るために、多様な表現を通じて、教師と生徒、生徒と生徒が対話し、それによって思考を広め、深めていくということであり、こういう観点から、前回改訂において各教科を貫く改善の視点とされた言語活動の充実ということも引き続き重要であるということであります。

三つ目は、子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、みずからの学習活動を振り返って次につなげる主体的な学びの過程が実現できているかどうか。実社会や実生活に関わる主題などを通じて、子供の学びに向かう力を刺激していく、また体験活動の充実ということも引き続き重要であるということであります。
こういったアクティブラーニングを重視する流れということは、小中を中心に育まれてきたこれまでのすぐれた実践を踏まえた成果でありまして、特にこれからは高等学校においても、義務教育までの成果を確実につないで発展、向上させていくことが求められる。その中で教師の役割は、教えずに、単に見守るということではなく、必要な知識、技能をしっかりと教授しながら、学びに必要な指導や環境を積極的に設定していくということであるということ。また、これらは学習指導要領、それから学習指導要領の解説、指導事例集も含めた全体の姿の中で明確にしながら、さらなる支援を図っていくということであるということを示させていただいております。
14ページは学習評価の在り方についてということでありますけれども、子供たちに何が身に付いたかという観点からは、学習評価の在り方が極めて重要であるということ。特に観点別評価につきまして、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点に沿った整理を検討していく必要があるということ。また、資質・能力の構造との関係で申し上げますと、資質・能力の構造の三本目の柱につきましては、感性や思いやりなども含まれますけれども、これらは観点別評価ということになじむものではないということ、三つ目の柱としましては、主体的に学習に取り組む態度に絞って設定すべきであるということ。また、特にこれまでの関心・意欲・態度の評価に関しましては、挙手の回数など表面的な形式の評価にとどまるという指摘もあり、これに関しましては、学びに向かう力ということの意義も踏まえつつ、子供たちが学びの見通しを持って粘り強く取り組み、振り返って次につなげるという主体的な学びの過程の実現ができているかどうかを評価していくことなどが重要であるということであります。
また、15ページでありますけれども、特に高等学校教育におきましては、観点別評価を普及させていくという観点から、指導要録の様式の改善などを図っていく必要があるということ、また、こうした三要素のバランスのとれた学習評価を行っていくためには、多様な活動に取り組ませ、多面的な評価を行っていく必要があるということ、これらに関しましては、本論点整理を踏まえ、審議まとめに向けて、引き続き専門的な検討が求められるということであります。

四番目、必要な方策ということで、カリキュラムマネジメントでありますけれども、今回の学習指導要領改訂の理念を実現するということに向けては、カリキュラムマネジメントの確立ということが大きな鍵になるということ。カリキュラムマネジメントに関しましては、以下の三つの側面からということで、各教科の教育内容を相互で捉え、組織的に配列していくということ、またPDCAサイクルの確立、様々な資源の活用ということであります。これを学校長を中心としつつ、管理職のみならず、16ページになりますが、全ての教員が必要性を理解し、日々の授業につきましても位置付けを意識しながら取り組んでいくということ。また、指導要領を豊かに読み取りながら、子供たちの姿の実情など照らし合わせて、効果的な週時程も含めた計画の在り方ということの研究を重ねていくことが重要であるということであります。また、社会に開かれた教育課程の観点からは、保護者や地域とも共有していくことが重要であるということであります。
16ページ目の必要な支援方策、これは前回グループセッションで御議論いただいた内容も取り入れさせていただいておりますけれども、教員一人一人の力量を高めていくことが、新しい学習指導要領、新しい教育課程の実現に必要であるということ。もともと高い評価を受けている授業改善に向けて行われている研究などの取組など、従来からの強みも生かしつつ、これからは特に教科を越えたカリキュラムマネジメントや、アクティブラーニングの視点からの指導方法の改善、学習評価の改善に必要な力、これらを教員の養成、採用、研修を通じて改善を図っていくということ。特にせんだって教員養成部会で取りまとめられました中間まとめにおきましても、例えば教員育成指標でありますとか研修指針の策定など、また教員研修自身をアクティブなものに転換していくという提言なども含まれておりまして、こうしたことを教育課程の改善に向けた議論と歩調を合わせて具体化していくことが求められるということであります。
また、17ページになりますけれども、こうした取組を通じて様々な研修機会を確保していくということ。研修機会の確保とともに、様々なきめ細やかな指導の充実など新しい学習指導方法に対応していくためには、必要な教職員定数の拡充を図ることが求められること。また、チームとしての学校を通じて、様々な、複雑化、多様化した課題を解決に導いていくということが重要であること、また様々な地域人材との連携も重要であるということ。教科書を含めた教材についても、アクティブラーニングの視点を踏まえて改善を図り、新たな学びに対応したものとしていく必要があること、ICTも含めた必要なインフラ環境の整備。指導主事の役割など、教科別の学習指導に関する改善のみならず、横断した観点からの助言を行えるような国や教育委員会の体制整備、またモデル校の先進事例等をいかに発信していくか。また、こういった論点整理の内容自体を広く社会に広報していくことの重要性なども御提言を頂いたところであります。
以上がきょう御議論いただく内容になりますけれども、五ポツの各論に関しましては、次回御提示をさせていただければと思っております。
最後に、今後のスケジュールということが19ページにございますけれども、論点整理をお取りまとめいただいた後は、学校種、教科別の検討を行い、審議まとめを経て、28年度中をめどに答申を取りまとめという中で、教育課程企画特別部会につきましても適宜また開催をさせていただくということで考えさせていただきたいと思います。学校種別、教科別の検討におきましては、カリキュラム全体構造をイメージしながら検討を進めていくべきということが求められるということであります。
少し長くなりまして恐縮でございますけれども、資料1につきましては以上となります。御議論いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
【羽入主査】  ありがとうございました。
それでは、皆様の御意見を伺ってまいりたいと思いますが、今御説明いただきました19ページに今後のスケジュールというのがございます。きょう、次回、次々回ぐらいでしょうか、まず取りまとめに代わるものをここで作り上げていくということになろうかと思います。その後、校種別、教科別の検討を行っていただくということになりますので、それに際して、ここで私たちが議論しておくべきことは、これまでの議論の基本的な考え方、それから、それぞれの校種、教科でどのような議論をしていただくかという指針になるようなものをここに盛り込んでおくということが重要ではないかというふうに思います。また同時に、この部会の最初の時点から我々の、恐らく共通理解だったと思いますけれども、将来の教育の在り方、先ほどEducation2030という言葉がございましたけれども、日本の教育の在り方のみならず、日本が率先して教育の在り方をここで提案していこうということがあったかというふうに私は理解しております。そこで、今回のこの論点のまとめに関しては、実質的な内容であることと同時に、やはり今後の教育、あるいは今後の社会の在り方を見通したものであることが重要ではないかというふうに個人的には考えております。
そこで、皆様の御発言をできるだけ多く今回も伺いたいと思っております。御出席いただきました人数を、これから終わりまでの時間で割りますと3分ぐらいしかないのですが、要領よく、済みません、御発言いただきたいと思います。なお、この全体の構造について、あるいは個々の論点についてでも結構でございますので、どうぞ御自由に御発言くださいますようにお願いいたします。
いつものように名札を立てていただき、挙手していただけますと、誰かが気付くと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、荒瀬先生からお願いいたします。
【荒瀬委員】  ありがとうございます。ちょっと先に失礼いたしますので、要領よくかどうかは別といたしまして、非常によくおまとめいただいて、出ていた議論の内容を本当に盛り込んでいただいてありがたいと思っています。最後にありましたように、本当にこの中身がきちんと、学校を含めて全体に伝わっていくということが非常に大事だと思いますので、その点今後よろしくお願いします。
ちょっと一つ、17ページの上から三つ目の丸のところなのですけれども、何回目か忘れましたが、教科書についても割合多くの意見が出ていたのではないかと思うんですが、新しい学習指導要領を考えていくときに、教科書というのをどのように取り扱うのかというのは、これはまだ十分に議論が詰められていないように思っています。現在の制度であれば、価格の関係からしても現行のような教科書しか難しいということなのでしょうけれども、様々な多様な学びを実現していく上で、その教科書の在り方というのはもう少し考えてはどうかということを思っております。
あとは用語の問題なのですが、先ほど最初に御説明いただいたOECDとの政策対話の中での用語で「探求的な」という、3ページ目の下から四行目に「主体的・協働的な課題探求型教育の重要性」という、探求の「求」という字なのですけれども、これが求めるであったり究めるであったりというのが混同しているようで、教育振興基本計画のときに申し上げましたら、高等教育局は「求める」を使い、初中局は「究める」を使っているという、よく分かったような分からないような御説明を頂いたことがありましたが、やはり用語というのは大切にしていくべきではないかなということを思いますので、国としてはどういう意味合いでこれを使っているのかというのを考えていただいて、統一することが必要なのかどうかは別といたしまして、きちんと説明ができるようにしていただきたいなというのと、この同じ行に書かれている「協働」なんですけれども、この「協働」というのも3種類の「きょうどう」があって、場面によって、この協力して働くの「協働」というのもあり得るのかなと思いますが、ともに同じくするという「共同」も、発達段階を考えましたら最初の学びの形態の中にはあるのではないかなと私は思うのですが、これが全て、この「協働」という言葉が使われていますけれども、こういったところは、私だけかもしれませんが、非常に気になっています。協力の「協」に同じくするという「協同」はまた別の意味もあるわけですし、どの意味で使っていくのかということも具体的になっていくといいなということを思います。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。用語の統一ということ、あるいは用語の意味を明確にするということはとても重要だと思いますので、その観点は大切にしていきたいと思います。
平川先生、お願いします。
【平川委員】  よろしくお願いいたします。昨晩このたたき台を頂きまして、ずっと読んでいて、私も学校の現場におりますけれども、一つは、もし加筆していただけるようでしたら、1番の1の社会の質的変化等と学校教育の課題のところに一つ加筆していただきことがあります。それは何かというとクリティカルシンキングということでございます。(1)の二つ目の丸のところにございますように、将来の変化を予測することが困難な時代にという、このくだりでございますけれども、みずから創り出していくことが重要であるというふうに書いてございます。つまり前例を踏襲しないで、複雑な問題を創造的に解決する力を身に付けるということで、これはイノベーション教育というふうに置いてもいいのかなと思っていまして、そこも一つ求められるのではないかなと思います。そういうためには批判的思考が必要であり、主体的あるいは探求型学習、リフレクションというのが重要になってくると思うんですけれども、クリティカルシンキングというのはなかなか、批判的というふうに訳されることが多いので、日本の学校教育の中で最も弱い部分ではないかと私は捉えております。ただ、世界を見てみますと、OECDのキーコンピテンシーでもそうなんですけれども、どんどんここの部分を開花させようとしているように感じられます。
例えば、私もアメリカのMBAを取ってまいりましたけれども、まずクリティカルシンキングのテストに入る前に、クリティカルリーズニングというようなテストを受けました。やはりここは必要なのかなと思ったり、日本でグロービスという会社がMBA教育をやっていますけれども、ファイナンスであるとか会計学の前に、まずクリシン、略してクリシンというふうにビジネスマンは呼んでいるそうなんですけれども、クリティカルシンキングをとにかく徹底的に日本人にたたき込んで、その後、ビジネスに必要な会計学とかファイナンスとかマーケティングなんかを学ばせるということを聞いたことがございます。
クリティカルシンキングをどういうふうに訳すかということはまた別問題ですけれども、例えばこの中で申し上げますと、10ページの3番の丸の四つ目です。二行目の「社会科において社会的な事象から見出した課題を多面的・多角的に考察して」とありますけれども、これは別に社会だけではなくて、多面的・多角的ということが実はクリティカルシンキングなのではないかなと。そういう意味で、クリシンというふうに略してよければ、ポジティブなクリシンという形で、クリティカルシンキングを学校教育においても定着させるというようなことが今の学校教育の課題ではないかというふうに捉えておりますので、もし加筆していただけるようでしたら是非お願いしたいと思います。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。
それでは、池野委員、天笠委員、市川委員の順でお願いします。
【池野委員】  ありがとうございます。全体としては非常によくできていると思いますし、いろいろな形のものを幾つか、もっと付け加えてほしいことがあるんですけれども、ちょっと私としては、昨晩頂いたときに読ませてもらったときに、二つ、やはり大きく問題だなと思ったことを、意見といいますか感想を述べさせてもらって、こういう点を書き加えたり、あるいは付け加えていただけるとありがたいなと思った点を言います。

一つは、なぜ今回の学習指導要領が改訂される必要があるのかというのを、国民の皆さんや、あるいはまた教員の先生方にやはり理解してもらうというためのポイントみたいなものが何かというのが、ちょっと分かりにくいように感じられたことです。それで私が思ったのは、1の(2)番、前回改訂の成果と次期改訂に向けた課題というように書いてあって、今回どんな課題があって、学習指導要領の改訂はこういう点、こういう点で少なくとも必要ですよという、何かまとめ的な部分が要るのではないかなと感じた次第です。私としては五つぐらいあるかなと思って、少し御検討いただければと思います。

一つは、やはりもう社会が変化したので、今まで特定のものを特定に学んできた学校教育の役割から、学び続ける、一生学び続けないといけないし、社会に適応していかないといけないし、社会を変えていかないといけないというように、学び続けるということがあって、学校教育はその中の一つに組み込まれていますよということ。二つ目は、社会は、今までは一つの日本の社会というところであったんですけれども、グローバル社会というところにもう組み込まれて、グローバル人材として国民が生きていかないといけないし、グローバル人材として学校の中で育てないといけないのではないかというのが二つ目。それから三つ目は、これは教育課程の改定の中で幾つも出てくるんですけれども、社会との関わりとかつながり。今まで学校は社会と分離していて、準備の段階だと言われていたんですけれども、準備ではなくて、もう社会と関わって、社会と結び付けて学校が動いていますよと。学校は隔離されているわけではなくて、社会との関わりみたいなものがやはり重要なんですよということで、学校教育もそういう形で改定しないといけませんよということが三つ目。四つ目は、そのために必要な資質・能力と知識理解が必要なんですよと、五つ目としては、それがある面教科の本質と結び付いた形でこそ、一定程度のものが必要だし、それは教科を越えて、あるいは教科横断的に結び付けて学校の中で実現するように、必要ではないかというような、例えばこんなアピールが必要ではないかなと思ったのが一つです。
それからもう一つは、先ほどいろいろ教科書とかクリティカルシンキングの話がありましたけれども、先生方に対して、やはり先ほど委員からも出ていましたけれども、イノベーションといいますか創り出すというかも引き受ける、パッシブな側面ではなくてポジティブ、あるいはアクティブな側面で、先生や子供たちを創っていく必要があるという、イノベーションとかクリエーティブだとか英語では言いますけれども、そういう側面の人材を育成することがやはり必要ではないかという意見です。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。第1点に関しましては、私個人的にちょっと感じたんですけれども、1、2、3と行く前に、前書きのような形で総論を入れることもあり得るかというふうにちょっと考えました。ありがとうございます。
では、天笠先生、お願いします。
【天笠主査代理】  失礼いたします。まず全体を通して、今回の学習指導要領改訂が、今も池野委員おっしゃられましたように、なぜなのかというのは、そのことを非常に分かりやすく現場の先生方にお伝えする、あるいは社会の多くの方々にお伝えする、そういう点において、もう一段これの輪郭をはっきりさせるというのが全体を通しての、まだ引き受けなければいけない課題なのかなというふうに思っております。
まず全体を通してそれであって、幾つか気になったところなんですけれども、2ページ、3ページのところですが、例えば一つ目の丸については、私はこれは脚注に回して、二つ目の丸から説き起こして、書き起こしてもいいのかなというふうにまず思いました。そして2ページの一番下の丸と、3ページの最初の丸については、ちょっとこれは場所的にここなのかなと思いまして、要するに3ページは、2ページと3ページをつなぐとすると、もう、すぐ我が国の学校制度は明治期に公布という、そういうところで話としてはつながっていくのかなと思って、むしろここの「学校とは」、あるいは社会との云々というふうなことというのは、場合によってはもう少し項目を起こして、しっかりと書き込まなくてはいけない大変重要な、要するに学校を変えていこうという、こういう方向でというようなことが、何となく文の流れの中になってしまっているような感じがして、何がポイントなのかというあたりのところ、そういうのが、輪郭がはっきりしないという言い方とか、強調点がもう一つはっきりしないという形に結果的になっているのではないかというふうに思いますので、ですから、ここにきょうお示しされた一つ一つは、全部必要なことだと思うんですけれども、示し方とか論理の展開の仕方がもう一段、二段、検討していかなくてはいけないところがあるのではないかなというふうに思います。
次に、4ページ、5ページですけれども、私も御指摘があった点、同様に思いました。それはどういうことかというと、やはり前回の改訂のそれと、だから次の改訂なんだという、こういうことにおいては、現在の学習指導要領の方向性を示した中教審が一つのモデルになるのではないかなというふうに私は思っております。要するに、その前の学習指導要領というのは、どちらかというと生きる力が曖昧だとか、御承知のように内容の、先生のありようについて、いろいろな厳しい指摘を受けて、それに対して答申では、それに向かい合って、前回の改訂のありようについて反省と、それから次に向けてのというのが比較的めり張りがはっきりしていて、その点が出ていたと思うんですね。
例えば生きる力という理念は評価するけれども、それが学習指導になかなか浸透し切れなかった。また、その生きる力を浸透させるための指導の在り方とかそういうことが曖昧だったかというふうな、そういう形で中教審で答申がまとめられたということですけれども、それと比較してみると、今回の場合にはまだそこら辺のところの、現行の現状の分析が甘いといということ。それから次に、だからこの方向なんだというあたりのところが、まだきょうの段階だと弱いような感じがして、もう少し踏み込んだ書き方が必要なのではないかと思っております。
その上で私は、これをどこに書いたらいいのかどうなのかということなんですけれども、教育課程の在り方とか、教科の在り方とか、私はかなり危機感を持っております。それはどういう意味かというと、改訂を重ねるたびに教科等の存在が物すごく大きくなって、なかなか融通が利かなくなってしまっているような、そういう状態というんでしょうか、というところが今の現状であって、ここのところをどう乗り越えていこうとするのかどうなのかということが今回の、私はテーマなのではないかと。ですから、そういう点では前回の、生きる力を言語活動の充実等々で何とか各教科に浸透しようとした、そのところの評価が今申し上げたところで、だからこちらに行くんだというあたりのところがもう少し展開しなくてはいけない。
その点、私はやはり教育課程が随分融通が利かなくなっていたりですとか、それが各学校の日常とか教育活動に影響力を必ずしも及ぼしかねていないというふうな、そういう現状の実態とか、そこのところを今回の場合に何とか越えていこうというための手立てとして以下の展開があるんだということで、改めて各教科の存在はどういう存在なのかとか、あるいはそれがまとまった教育課程というのはどうあるべきなのかどうなのか。そうしたときに現状の教育課程というのはかなり、そういう点ではある意味で融通が利かなくなる、あるいは非常に機能しなくなっているような、そういう現状があるのではないかというふうなことが、ここのところにもう少し書き込まれても私はよろしいのかなというふうに思います。
そういう点では、トータルな学校生活のありようがどうかという、先ほど御指摘が始まろうとしていた部分と、それが教育課程全体がどうある姿なのかどうなのか、このあたりのところが、この2ページから5ページあたりのところにかけて、もう少ししっかりと書き込まれないといけないのではないかなというふうに思います。
なお、最後ですけれども、義務教育学校の制度化ということが、御承知のようにせんだって成立していったわけですけれども、そのことについての言及というのでしょうか、あるいは9年間でカリキュラムを作っていくと、こういう視点というのがもう少し出ていても、言及されてもいいのかなというふうに思います。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。今回まとめていただきましたのは、事務局がこれまでの意見に対して大まかなまとまりを作ってくださったのではないかというふうに理解しておりますので、天笠委員のような御意見をどんどんおっしゃっていただくと構造化されて、よりめり張りの利いたものになるのではないかというふうに思いますので、どうぞ御発言くださいますようにお願いします。
では、市川先生。
【市川委員】  全体的には、出た意見をバランスよく取り入れていただいているなと思いました。ただ、全体として今回の改訂がどういう位置付け、意義があるのかということについては、私も、池野先生がおっしゃったように、やはり前書きのところに書き込むという必要はあるかなと思っています。
私自身はこういうふうに考えているんですけれども、現行の指導要領の改訂に行くときには、随分大きな、私はむしろあれは転換と呼んでもいいかもしれないんですけれども、かなり大きな変化があったと思います。異例の反省というのも出たくらいですから、やはり大きな改訂であったと。それに比べると、その改訂をして、現行指導要領になってからは、かなりいろいろな面でうまく進んだ面はあると思うんですね。基礎学力も回復したり、いろいろな意味でバランスがとれてきたと。しかしということで、先ほど池野委員もおっしゃったような、時代も進んできて、さらに一層推し進めなくてはいけない点があると。それはこういう資質・能力が社会で求められるようになったということの強調、それに伴って学校も、教科の内容だけではなくて、そういう資質・能力を育てるための方法ということもさらに検討して、アクティブラーニングなどを充実させていく必要がある、これがやはり一番分かりやすい改訂のストーリーとか意義付けではないかなと私は思っています。
その中で一カ所、今回、これは作業の進め方にも関係あると思うんですが、11ページの一番上の丸です。「このような」の、ここのところは、これは何回か出てきた文章なんですけれども、私は、この何々よりも何々がというのが、ちょっときついような印象を受けました。ここですが、「資質・能力と各教科等との関係を踏まえれば、学習指導要領の全体構造を検討するに当たっては、必要な資質・能力を定義し、そこから各教科等の在り方を見定めるというやり方よりも」とあるんですね。これは、どちらかというとトップダウン的なやり方で、まず資質・能力を定義して、そこから各教科等の在り方を考えていきましょうと、トップダウン的なやり方。次は、教科から見れば、割とボトムアップ的なやり方です。各教科等を学ぶ意義を改めて明確化すると、そして、この力はこの教科等で身に付くという各教科等の本質を捉え直しと、各教科から教科の本質というのを挙げていただくと。それから関連付けとか体系化とかを図っていきましょうという、どちらかというとボトムアップ的なやり方。
こちらの方がよいのだというふうに受け取られるような文章なんですけれども、実際には、これは行ったり来たりしながらやらざるを得ないことですし、各教科の本質に当たるものを各教科から出していただくにしても、どうしても、それを検討するときには、やはり社会の中ではこういう必要な資質・能力があるということがある程度念頭にありながら、その作業をやっていかざるを得ないでしょうから、ここはできればもうちょっとやわらかく、何々という方向と、何々という方向が考えられるくらいにしていただいて、両方を並行して、連携しながら進めていくという方が現実的だし、またうまくいくのではないかなという気がいたしました。
【羽入主査】  ありがとうございます。恐らくこの段落は、最後の二行を示すためにその様々な要素が書かれているのだと思いますので、市川先生おっしゃったように、どちらを優位にするということではなくて、とにかくどちらも重要だということを前提にした上で、だけど全体像を考えていくことが必要なんだということだと思います。恐らく、今までの御発言にございましたように、全体をどうするか、教科をどうするか、それからそれぞれの教育課程をどうするかということを今我々は議論したいんだということがまず見えていれば、この書き方ももう少し楽になるかもしれないというふうに思って伺っておりました。
【市川委員】  各教科から、うちの教科の本質はこれですと挙げてくださいという、それを挙げてくださるのは多分各教科の専門家だと思うんですけれども、従来やってきた各教科の教育から挙げていただいた場合に、漏れが出てこないかというのが一番心配です。全体として見れば、これからこういう資質・能力を育ててほしいと、例えば先ほどクリティカルシンキングという話も出ました。ところが、これまでのうちの教科では実はそういうことをやってこなかったのでというようなことを各教科が言い出すと、大事なことなのに、どの教科からも挙がってこないで、漏れてしまうと。漏れがないようにするには、やはりこういう能力が大事だという話が一方であって、それに照らしてどうもこういうことが漏れてしまうので、各教科等で入れてもらえませんかという話が起こってくるので、やはり両方が並行してというのはそういう意味です。
【羽入主査】  ありがとうございます。
それでは、渡瀬委員、齋藤委員、小川委員、清水委員の順でお願いいたします。
【渡瀬委員】  よろしくお願いします。今、市川先生がおっしゃった11ページの一つ目のことを私もまさに、最初に発言しようと思っていました。
19ページの最後のまとめのところを見ますと、「カリキュラム全体としてどのような資質・能力を育成すべきか、その中で各教科等が果たすべき意義とは何かといった点を踏まえた上で検討を行う」ということですけれども、やはり教科の方からと、それから全体の枠の両面から考えるべきだと思います。ただ、教科横断的に身に付けさせるべきスキルのようなものについては、ある程度先に枠組みがあってもいいのではないかと思います。先ほど市川先生が漏れがないようにというふうにおっしゃいましたけれども、こういうスキルは教科にこだわらずに、どの教科でも育てるべきスキルとして先に枠組みを示して、教科の中でそれについてどうアプローチするかということの検討が進められるのがよいのではないかと思いました。それが1点目です。
もう一点は、全体を読ませていただいて、とてもよく分かるまとめにしていただいたと思うんですけれども、ボリュームで見たときに、やはり評価の部分、3番の評価の部分というのが、少ない。評価の最後の丸のところには、本論点整理を踏まえて今後も引き続き専門的な検討を行うことが必要だというふうにありますけれども、資質・能力の説明と同じだけの分量の評価についての説明が必要なんだろうと思います。資質・能力ごとに評価の在り方に言及する必要があると思います。ということも違ってくると思うんですけれども、今回の学習指導要領ではやはりこの評価というのが、私は肝ではないかなというふうに思うんですね。
いろいろこういう内容が必要、こういう資質・能力が必要だといっても、最終的にどういう評価がなされるかということが、ここから先の教育の在り方を決めていくことにつながるとすると、やはりここである程度具体的な評価の在り方を示す必要があります。今までは総括的な評価がすごく多かったですけれども、形成的な評価と総括的な評価がどうバランスよく組み合わさっていくべきなのかということ。もう一方で、評価の仕方を余り具体的に、この形の評価というふうにすると、今度はそれしか行われないという危険性もあるので、評価を通して子供の資質・能力をどう評価するかということをきちんと明示しながら、その後はいろいろなバリエーションで評価していくことができるような書き方というものが必要なのではないかなと思います。そうすると、それが結局、先ほど荒瀬委員がおっしゃいましたけれども、教科書の在り方ということにもつながってきて、教科書の1つの単元の書き方一つでも、そこの中に、どのポイントでどういうふうな評価的な内容が盛り込まれてくるかということにも関係してくるのではないかと思います。
ありがとうございます。
【羽入主査】  ありがとうございます。
それでは続けて、齋藤委員、お願いします。
【齋藤委員】  では3分で、何とか頑張ります。
私としては、やはり学生を、グローバルという言葉が出ていますけれども、まさにそのグローバルで競争力が高い、生産性が高い大人をこれから創っていかないといけないというふうな視点が分かりやすいかなと思った中、非常に文章としてまとまりはいいんですけれども、一番やはり気になるのがICTという言葉に関して最後1行しかないという中で、もう少し議論があっていいのではないかなと思うんですね。ICTの方は主に三つの視点があると思うんですね、ここにもちらっと書いてあるように、インフラ云々でWi-Fiとかそういうようなこと、インターネットの配線を引くとか、そういうのは当然考えないといけないと思うんですけれども、それともう一つは、やはりどうICTをこれから活用していくという違う面で、さっき教科書という言葉もありましたけれども、教科書は本来は紙で印刷するべきなのか、クラウドを使って常にそれを瞬時にアップデートしてタブレット型に、学生に、何年ごとではなくて常に新しい情報を与えるとか、そういうようなICTの考え方も是非もう少しあっていいかなという気がするんですけれども、一番私がやはり大事かなと思うのは、三つ目のICTというか、教える部分です。主にプログラミングとかそういうところで、やはりこういうのも英語と同じで、その授業を持つのではなく、横断的にこのICTプログラミングがどう関連してくるということが非常に、私は大事になってくると思うんですね。
分かりやすい例ですと、さっきのグローバルな競争力とか生産性を考えると、日本という国はパソコンでも3Dプリンターでも、液晶画面、音声、テレビ、携帯電話、カメラ、そして車もそうですけれども、すごいイノベーションを今までやってきています。ただ、その中の、製品を作るというのはいいんですが、どんどん製品がパーツの戦い、部品のコモディティー化されているという今の日本で、残念ながら、パーツからどう製品に持っていって、そしてそれをチーム力を通じてシステムとかプラットフォームに持っていくというのが、この20年間、日本の産業で出していないです。やはりそのシステムとかプラットフォームを出すというのは、きょうの課題でも出てきたチームワークはもちろん大事ですけれども、結局世の中というのはフィジカルの、物理的なものづくりの世界から、明らかにロジカルな、プログラミングの世界に変わっています。そのロジカルな、バーチャルなプログラミングの世界というのは、もっともっと若いうちからプログラミングの知識、ICTを使ってチームワークでどんどん、パーツとかコンポーネントで戦っていくのではなく、プロダクトからシステム、プラットフォームの方に持っていくということを、チームワークで一緒にそれをやっていかないといけないということで、やはりプログラミング事業がこれからの事業の中ではすごい大事な接触、接着剤というふうに思うので、そこら辺がちょっと抜けているかなという気がするので、是非ここら辺をもう少し付け加えたいなと思います。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。
それでは、小川委員、お願いします。
【小川委員】  お願いします。私は、6ページのところに、先ほどから話題に出ていますけれども、資質・能力についてということで、今回、育成すべき資質・能力についてこれだけ詳しく言及しているというのは非常に目玉だと思っております。7ページの中ほどのところに、学教法で定めている学力と、それにリンクさせる形で三要素というのがその下に、1、2、次のページに3という形でリンクされているということが、非常に明確になっていていいというふうに思いますし、このような形で議論を進めてきたなと思うんですが、その三つの育てたい資質・能力の柱、1と2については、これまでも、現行の学習指導要領の中でも様々に行われてきたり、現場としても指導のイメージが付きやすい。どんなこと、どんな力を付けていけばいいのかなということが非常に分かりやすいと思うんですが、3ですよね、どのように社会、世界と関わり、よりよい人生を送るか、人間性や学びに向かう力。これは今回本当に非常に重要なことだというふうに私は捉えております、この資質・能力の三つの柱の中でも。ですが、その前の2の説明と比べても非常にあっさりと、四行ほどで終わっておりますが、このあたりをもう少し丁寧に説明していくということが必要かなということを思います。
それと同時に、その裏返しになってしまいますが、学習評価。14ページのあたりに学習評価の在り方についてということで、14ページの下から二つ目の丸のあたりにさらりと、学びに向かう力の意義も踏まえつつ云々というふうに書かれておりますけれども、こういったところも丁寧に、主体的に学習に取り組む態度、日本の子供たちの自己肯定感や学習意欲、社会参画が低いといった課題を解決していくためにも非常に重要なところだと思いますので、そういったところをしっかりと書き込んでいくことが必要ではないかなというふうに思います。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。
では、清水委員。
【清水委員】  ありがとうございます。全体的に、読ませていただきまして、非常によくまとめているなというふうに感じました。この中で特に商業教育や社会との関わりについて触れていることにつきましては、商業教育に関わっている者として非常にありがたいなというふうに考えています。
その中で二点ほど、一点はこれに関わることなんですけれども、11ページ二行目のところに、総合的な学習の時間というキーワードが入ってございます。この総合的な学習の時間につきましては、特に高校で商業教育を主とする学科につきましては、課題研究等と置き換えることができるというような規定もございます。このような趣旨も踏まえていただいて、もし可能であれば、総合的な学習の時間や課題研究等というような形で入れていただけると、それを専門に扱っている学校の人間にとっては非常にありがたいものになっていくのかなというふうに感じております。
そしてもう一点、今のこととは関わらないところなんですが、13ページの下から三つ目と四つ目の丸、この二つのところで、例えば三つ目の丸の一番下の方、一人一人に育まれた力をさらに発展・向上させることが求められるということがあって、その次に「なお」ということの、この2行の部分なんですが、ちょっときつい表現かなというふうに感じました。この二行の次に、必要な知識・技能はしっかりと教授しながら、それに加えて云々とありますけれども、最後のところに、この「なお」の部分の2行を、ひっくり返して入れていただけないかなというふうに感じました。ここについては、「必要な知識・技能はしっかりと教授しながら、それに加えて、子供たちの発言を促したり、気付いていない視点を提示したりするなど、学びに必要な指導や環境を積極的に設定していくことが求められる」。時には子供たちの活動を見守ったり、適切な支援をするということは必要なことなのではないかなというふうに感じておりますので、表現がこのままですと、逆にこれはやってはいけないことなんだととられがちなのではないかなというふうにも感じましたので、その辺の修正が、もし可能であればお願いできないかなというふうに考えております。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。全体的にちょっと否定的な言葉も割に多いようにも思いますので、先ほどの市川先生の御発言もそれと関係しているかと思いますが、少しポジティブに書くということも必要かというふうに思っています。
それでは次に、キャンベル委員、吉田委員、髙木委員、神長委員の順でお願いしてよろしいでしょうか。
【キャンベル委員】  ありがとうございます。私は、二点、きょうお聞きしながら、あるいはこの文書を夕べから拝見しながら思いましたので、述べたいと思います。

一つは、先ほど渡瀬委員や小川委員もおっしゃったように、学習評価の在り方というのはとても大切なところでして、特に高等教育を終えて大学に入ってくる学生たちを年々見ていますと、何といいましょうか、中等教育自体の、受験等は抜きに、内発的といいましょうか、そこで行われる評価ということを、より充実させるということがとても必要だなというふうに感じています。評価の在り方については、ここで様々な論点が出てきていると思いますので、ここをもう少し充実あるいは具体化させていくことが必要ではないかなというふうに思っています。
もう一つは、2番の育成すべき資質・能力について、私も小川委員と同様、これは非常に今回肝になる部分だと思っていて、非常に重要な点、あるいは新たな論点がここに組み込まれていることを評価したいと思っています。そのときに、先ほどから、主査から言葉もありましたように、構造化していく、これをたたき台にして構造化していくということをこれからやっていくと思うんですが、ここでは、2の最初のところから大きな理念、社会の中で若い人がみずから問いを立てて解決方法を探索したり、あるいはスキルと情意の関連であるとか、三要素について書かれていますが、その後に、特にこれからの時代に求められる資質・能力等とありまして、「特に」というふうにあるので、ちょっと従属的といいましょうか、最初が大きな理念が書かれていて、実際にどの教科で、どのような方法でそれが追求できる、あるいは到達できるかということを書かれていなくて、ここで具体的な教科名、名前も出てくるところもあれば、そうではないところもあるんですけれども、大体、社会、歴史、外国語、日本語、それからスポーツですね。教育が少し具体的に、どういう能力としてと、ここに書かれているんですが、ここは非常に並列的に書かれていまして、この段階で既にもう少しめり張りを付けて構造化していくことができるのではないかなというふうに思います。特に8ページの、「また、グローバル化する中で世界と向き合うことが求められている我が国においては」とあるんですが、日本人としての美徳やよさを備えつつグローバルな視野ということは、ここ全体を通している一つの立場といいますか姿勢で、評価しますけれども、非常に並列的に、日本語や、さらには外国語を使って考えるとか、日本文化を理解し、さらに異文化を理解し、たくさんの人と協働とか、加えて自国とグローバル双方における歴史という、非常に玉虫色といいますか、ちょっとここが、どのような改訂、あるいは順番、順序にすればこういうことが到達できるかということは、全体としてここでもう少し明らかに書き込んでいかないと、これがたたき台にもならないのではないかなという、そのまま横に、曖昧に滑っていくのではないかなということを恐れます。
今回のこの会議の最初に少し申し上げたんですけれども、これはまた私の観点からということですが、一つは歴史教育です。横断的に、教科を横断する一つの大きなベクトルとして、特に今、日本の中等、あるいは義務教育の中で欠けている部分が近現代の歴史であり、日本文化あるいは異文化にアプローチしていくための足場として、例えば日本の19世紀から20世紀に何があったかということ、その教育が根本的に欠けているというふうに見ております。その歴史的な創造力、それこそクリティカルシンキングを一つの基軸として考えるときに、そこから例えば国語であったり、前にも少し問題になりましたけれども、前近代あるいは古語、古典の生徒たち、若い人たちの関心と、しかし今の教育に対する違和感であったり関心のなさということが強調されていたと思うんですけれども、そういった少し具体的なところ、どういうふうに立て直し、異文化を理解し、あるいは自国とグローバル双方における展開を捉える、それを使ってみずから立て、問いを見付けるということが最初に書かれているんですけれども、もう少しそこを緊密に加えて、具体的に書き込んでいく必要があるのではないかというふうに思いました。教科等横断的なテーマということが9ページにちょっとだけ書かれているわけですけれども、そこも含めてもう少し具体的な見通しを、この段階でも書けるのではないかなというふうに感じました。長くなりました。
【羽入主査】  ありがとうございます。
では、吉田委員、お願いします。
【吉田委員】  私も、これはすごくきれいに本当にまとまっているなと思うんですが、今何名かの方が、育成すべき資質・能力のところを挙げておられましたが、私もそこのところで、ちょっときれい過ぎるかなという気がしたので、お話しさせていただきたいと思います。
もともと教育の三要素ということで、知識・技能、思考力・判断力・表現力等、それから主体的学習に取り組む態度というのがありますけども、この2つ目の思考力・判断力・表現力等というところにも、見てみると、インターアクションがない、議論だとか、そういうものがないですよね。それから、そのちょうど同じ7ページの上のところですけれども、こうした教育基本法の目指す教育目的を踏まえつつという、そこの段落のところに、真ん中当たりですかね、社会の激しい変化の中で何が重要かを主体に判断できる人間であること、次のところで、他者に対して自分の考え等を根拠とともに明確に説明しながら、相手の考えも受け入れ、多様な人々と協働していくことができる人間、ここにも例えば議論をするとか、反論するとか、自己主張をするということが入っていないのは、私はちょっと弱いかなと。特に最近英語なんかですと、高校生も英語のディベート大会もすごく頑張っているんですよね。世界大会にも出ているという、日本の各都道府県のほとんどどこも全て今予選をやっているような、そういう時代で、英語なんかのディベートをやるときというのは、日本語ができないとなかなかできないというのがはっきりしていますので。ですから、そういう土台をしっかりと母語である日本語を通しても、あらゆるいろんな教科の分野の中で、きちんと自分の主張をはっきりさせていくとかということをもう少し強調してもいいんじゃないかなと。協働していくってすばらしいことなんだけども、最後はもちろん平和な社会をみんな目指しているんだろうけれども、しかし、やっぱり意見のぶつかり合いがなければ、本当の意味での平和な社会は生まれてこないんじゃないかというような気がしてしようがないんですね。ですから、ここをもう少し強調してもいいのかなと、インタラクションの部分、議論をしたりとか、自己主張する、反論するというところも何か入れてもいいんじゃないかなという、そういう気がいたしました。
【羽入主査】  ありがとうございます。では、髙木委員。
【髙木委員】  今回の新しい学習指導要領は、目指す姿を実現していくためには、私は、今回少し足りないんですが、3番の学習評価、この学習評価をすることによって、どういった学力を育成するかということが明示化されていくと考えています。
実は、学校における評価なんですが、現行よりも早く平成13年から行われている観点別評価としての目標準拠評価、これが10年たってもなかなか学校にも定着していない、それから社会的にもなかなか御理解いただけていないという面があると思っております。
どちらかというと、いまだに昭和23年から行われた集団に準拠した評価、いわゆる相対評価の方がわかりやすいというようなお話もあるくらいで、今回それを是非指導と評価ということが、これまでにも学校では耳にたこができるほど言われてきていますが、指導と評価を一体化させるためにも、わかりやすい評価、それからもう一つは、先生たちが学校の授業を通しながら行いやすい評価にしなくてはならないと考えています。そのことは、今、吉田委員も言われたように、単なる評価に限らず、資質・能力のところの面に関しても、やっぱり評価を行っていくようなシステムを作っていかないと、今までの評価、評定の概念から変わっていかないのではないかと考えています。
小学校においては、現在観点別評価は、指導要領の内容と指導事項を基に目標準拠評価として、質的な評価を今、評価基準として授業の中で行っているということは、皆さん御存じだと思うところであります。
しかし、現在行われている評価は、授業中においての評価はA、B、Cという質的なものを評価しているんですけれども、それを指導要録に評定として記載する場合には、量的な評価としての5、4、3、2、1という、これは評価の総括と言うんですけれども、評価の総括をそういう形で行っているわけです。そうしますと、これは授業ごとに教科内容に合わせて行っている質的評価とは、非常にある意味で矛盾している量的な評定を行っている、そのために、質を量に読み替えるために無理が生じてきています。
そこで、日常的に行う評価を評定に結び付けた形のものに変えていかない限り、先生たちは評定ということが評価と混同されて非常にやりにくい、わかりにくい状況が今できているということがありますので、こういったことを含めて、今回のでいいますと、15ページのところの上から2つ目の丸に、これから検討を行うということですが、是非そういった評定、評価が難しいということを御理解いただいて、この評価のことを考えていただきたいなと思っています。
したがって、高等学校においては、15ページの1行目にも書かれておりますが、いまだに評定平均値を基にしながら量的な評価が行われている。これを質的な面からの評価に変えていかないと、なかなか授業において指導との一体化が図れない、このあたりも全体的に評価ということの在り方を、もう一回、14ページ以前に書かれていることと整合性を取りながらやっていく必要があるのかなと考えております。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。それでは、神長委員、お願いします。
【神長委員】  私は三点お話ししたいと思っております。一つは、このページでいいますと、9ページの発達の段階には成長過程のつながりというところで、幼小、小中、中高の学びの連続性という項目です。ページになりますと10ページになります。幼小の連携、小中の連携、中高の連携は、どれも学びの連続性ということではとても大事なことで、やはりここでも大分議論をして、こういった内容がここに押さえられていると思うんです。ただ、ただといいますのは否定ではなくて、もう少し丁寧にといいますか、書いていただけるといいなというような要望です。
特に幼小の連携の観点からいいますと、この二行の文章をぱっと受け止めたときに、学びの連続性というところに目が行きますと、どうしても、いろいろな学びの連続性を確保するという言い方だけで終わってしまいますと、誤解も多いかなというようなことを思っています。幼稚園もあり、認定こども園もあり、さらに保育所もありという、やっぱり多様な就学前の教育・保育の施設を考えて、幼児教育の充実を図っていくとなると、もう少しここにはやはり前の学校段階での学びが次の学校段階の中で生かされていくようにというニュアンスが伝わる内容があった方がよいなというような要望です。
2つ目の視点は、少し先に行きまして、カリキュラム・マネジメントというところでの、ページ数でいいますと、15ページのところです。幼児教育が幼・小・中・高の全体の中で、学校教育の一翼を担っているというようなことが前に押さえられておりますので、全体を幼児教育も必要なものとして読んでいくということが大事だと思うんですけれども、やはりところどころ、これは小学校かな、これは小中かなというような、多分幼児教育関係者からすると、読みながら考えていく、読み込んでいくと思うんですけれども、文字を追いながら読み込んでいくと思うんですけれども、そのときに、やはりカリキュラム・マネジメントの視点は、幼児教育の中でとても大事だなと思っています。そういう意味では、やはり注目して読んでもらいたいなというふうに思っておりまして、例えば15ページの一番下のところに学校長と書かれていると、これは小学校、中学校かなというように、単純ですけれども、思ってしまうわけで、特に幼児教育の場合に、教育課程というものをもって教育目標に向かうという、そういった考え方をしっかり持って、日々の保育、教育を作っていかないと、まさに子供たちの活動のままにしておりますと、終了までに育てたいことというものが十分に身に付かないということもあります。
そういう意味では、常に日々の教育と、いわゆる教育課程全体を見渡しながら、日々の実践を深めていくという行ったり来たりの思考がすごく大事なんですけど、ここにはどうしても、教科等の縦割りや学年を超えてという文章ですと、これは幼稚園には関係ないというような読み方もされてしまうので、教育課程というものが日々の授業や教育の中に実践され、機能していくということが非常に重要ですので、そういったところを是非強調していただきたいということと、これは幼稚園に限らずなんですけれども、最後のところのカリキュラム・マネジメントに必要な力をということで、教員一人一人に身に付けられるようにしていくということは、とても大事なことだと思っています。
ただ、日々実践といいますか、目の前の課題に追われる状況にあるという、そういう教員一人一人にとってみると、なかなか身に付けたくても身に付けられないということだと思うんですけれども、やはり視野を広くして物事を見極めていくという、そういったことを意識していくためには、やはり組織の一員としての自覚をしっかり持って教育に当たっていくという、そういった姿勢が必要ではないかなと思います。ですから管理職のみならず、教員一人一人がというこの間に、是非組織の一員としての自覚という内容のものを付け加えていただければと思っております。
それと、最後になんですけど、これは次回の検討事項になっておりますので、要望ということなんですけれども、17、18ページに、これからの検討内容がここに書かれていくということが項目として挙げられております。幼児教育に関しても、各学校種の教育課程の基本的な枠組みというところで位置付いております。ただ、(2)の各教科等の科目の見直しというところを見ますと、幼児教育の内容がないんですけれども、やはり学校団体ごとの見直しをしていくと、特に接続の問題などを考えていきますと、やはり連続して見直していかなくてはならない教育内容もありますし、さらには今の子供たちの育ちの実情からすると、是非とも幼児期に体験しておかなくてはいけないことというのはありますので、そういった幼・小・中・高の並びの中でも幼児期の中で、教育の内容の見直しということについても言及していきたいなとは思っております。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。それでは、続けて、品川委員、今村委員、牧田委員、山口委員でお願いします。
【品川委員】  ありがとうございます。多様な議論をこのようにまとめていただきまして、事務局の御尽力に感謝申し上げます。
昨晩頂戴しまして、拝読して、何点か気づきましたことをお話し申し上げたいなと思っております。
まず、一点目なんですが、先ほど複数の先生方がおっしゃっておられたことにも通じるんですけれども、やはり全体を通して、この改訂は一体なぜ必要なのか、それからこの改訂を通して、どういう日本人になってほしいと思っているのかということをやっぱり端的に見せていくことが必要ではないかというのが、全体を読み終えたときの最初の感想でした。
これは内容というよりも、構成の問題だと考えております。だから見出しの立て方なんですね。見出しを見るだけでは、ここに書いてある要点がちょっとわかりづらいんですね。例えば見出しに、現状の学習指導要領の効果、現状の学習要領の課題、あるいはこれから求められる日本人像、そのために必要なことというふうに見出しを変えて内容を整理すれば、もうちょっとわかりやすくなるのかなと考えております。それが一点目です。先ほど主査がおっしゃっておられたように、前書きにそういうことを書いていくということもありだなと思っておりました。
もう一点目は、全体を読み終えて最初に思ったことが、全体を通して子供の脳の発達特性や教育的ニーズを具体的に見ていく、すなわち子供の実態像を踏まえて指導していくというニュアンスをもう少し前面に打ち出していただければいいなと思いました。それは随所に少しずつ入れてはいただいているんですが、読み終えたときにそれがあまり残らないんですね。やっぱりそれは必要なことではないかなと思っています。
前も申し上げましたように、発達特性とか、あるいは学習のスタイルを踏まえて指導しなければ効果は上がらないということが証明されているわけですし、それから、過日も申し上げましたように、ワーキングメモリーが悪ければ、幾ら指導しても定着はしないということも分かっているんですね。
2030年を視野に入れて、少しでもエビデンスベーストエデュケーションに近づけるように、今既に分かっているような科学的根拠を入れていただければいいなと思いました。これも実は既に少しずつ書いていただいておりまして、例えば5ページ目の下から三行目のところに、科学的な知見の蓄積とございます。これがきっとエビデンスベーストのことなんだろうなと推察したのですが、多分言葉がもうちょっとわかりやすいというか、より端的な方がいいのではないかなという点と、例えばそれを書くのであれば、P15の丸の二つ目の丸2のところに、PDCAサイクルと書いてございます。エビデンスを言うのであれば、実はプラン・ドゥだけではだめで、プランの前にやっぱりリサーチをするなり、アセスメントをするということが必要になってくるんですね。だから今の指導では、2015年の段階では、PDCAサイクルをより広めていくことが必要だと思うんですが、2030年を視野に入れたときには、プランの前にやっぱりリサーチ、若しくはアセスメントを入れていくということもエビデンスベースになるのかなと思っています。そうすることが、先ほど主査の方からもございましたように、世界に新しい教育モデルを提示できる1つの方法ではないかなと思っています。

三つ目は、これも先ほどから先生方の御指摘がございますが、やっぱり評価の点なんですね。私も、これまでも会議のときに何度も評価のことは申し上げたと思うんですが、随分ノートの点とか、いろいろと入れていただいて、すごくありがたいなと思っております。ただ、例えば、感性や思いやりを評価しないとございました。これも一方ですごくよく分かるなと思いながら、例えば取材をしていると、勉強ができて、議論もできて、リーダーシップもある子が実は陰でいじめをしていたりとか、そういう子はどういうふうにこの中で評価されていくのかとか、例えば、じゃ、それは友達同士の評価を入れればいいじゃないかと、これはある教育委員会の方がおっしゃっていたんですが、そうすると、事前にそういう評価をするということが分かっていると、そのリーダーの子が根回しをして、さらにいじめがひどくなったりとかというようなこともあるので、実はここはすごく大事なポイントなのかなと考えています。
それが道徳の評価とかにも関わってくるんだと思うんですが、そこの工夫を是非お願いしたいなと思っています。個人的には、これは前もお話ししたと思うんですが、例えば自分自身で目標設定をして、それを乗り越えられたというときに、自分で自分を評価するというようなことが、もしかしたらこれからはあってもいいのかなと、教員だけの評価じゃくて、自分で自分を評価するということも、これは実はメタ認知の発達に大きく影響していける、メタ認知を育てていける一つの要素かなと思っています。
以下は細かい点なんですが、2ページ目の下から三行目のところに、障害の有無にかかわらず、様々な人と関わりながら学ぶ、でも、これはいつも私が申し上げていることで、入れていただいてすごくよかったなと思う一方、是非ここに、障害の有無だけではなくて、生まれ育った環境のよしあしにかかわらずということも是非入れていただきたいなと思っています。というのは、御存じのように、今の学校教育はものすごく家庭環境で差が出てきているんですね。だからそれに関係なくということを是非入れていただきたいなというのが1つです。
それから、もう一つは、5ページ目の上から二行目のところなんですが、様々な得意分野の能力を伸ばしていく、これも全くそのとおりなんですが、そうするとアンバランスも出てくるんですね。やっぱりバランスのよさということが人としてすごく大事なので、苦手を少しでも克服しつつ、様々な得意分野を伸ばして、是非バランスのよい人として育っていくということを入れていただきたいなと思いました。
もう一点は、これは7ページ目の一行目のところなんですが、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質とございます。これは多分いろいろ御議論があるのかなと思うんですが、平和という言葉がいろんな意味に捉えられて、なかなか難しいんじゃないかなということを私は想像するのですが、これは是非いかがなものか皆さんに御検討いただければいいなと思います。私は、ここに是非、豊かで、そして自由な民主国家と入れていただきたい、自由であるということはやっぱり非常に大事なのかなと思っております。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。では、今村委員、お願いします。
【今村委員】  おまとめいただきまして、ありがとうございました。私からは簡単に二点申し上げさせていただきます。
まず、一つ目が、2ページ目の初めの導入のところに、子供たちがこれからも社会の変化に対応する上でという観点では明記されているんですけれども、今、現実的に大変困難な状態にある、特に貧困の連鎖を断ち切っていくためには、学校教育そこがとても大切な役割を果たすのであるということについてを言葉で明記していただけるといいのかなと思います。子供たちの学びやこれからの社会の変化以上に、今、起きてしまっている困難さをこの学校での12年間こそが、ここでの学びこそが、未来に対するレバレッジになるんだというスタンスを表明することが大切なのではないかと思いました。

二つ目なんですけれども、3ページ目に記載されています学校内に閉じずに、学校教育を社会と共有しながら実現させる場でなければいけないという言葉や、社会に開かれた教育課程を各学校が編成していくことに資するものでなければならないとか、そういった言葉が記載された上で、13ページ目の、教員の役割は、教えずに子供たちの活動を単に見守り、支援に徹することではない、必要な知識・技能は享受しながらも、それに加えてというところに記載されているような観点から、次回以降の点なのかもしれないんですが、もしかすると、先生方がこれまでも十分議論されてきたことではあるんですけれども、仕事が増えたという形に受け取られなくてもいいように、学校だけで生徒たちの全ての学びを支えなくてもよくて、生徒が特に高校はこれまで基礎知識が十分付いてきている応用編を高校という場では学びにしていく場であるという前提に立ったときに、高校での学びのオーナーシップは、生徒の探求型学習的なオーナーシップのあるテーマを生徒自身が持つということに、先生が伴走する存在であるんだけれども、その学びを支えるのは決して学校だけでなくていいんだということ、先生は、社会と生徒の学びをつなぐコーディネーターになるんだということも明記されることで、先生方が、自分が全て教えなければいけない、学校の中で全てやらければいけないと思わずに、先生の労働時間の中で全ての学びを完結するのではなくて、その時間を軸にして、生徒が放課後や土曜日や日曜日に自分のプロジェクトを持つというような、そのプラットフォームとしての学校での学びなのだということを意識できるようなことを書いて、先生方が全部抱えなくてもいいということを表明していくことも検討していきたいなと思います。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。それでは、牧田委員、お願いします。
【牧田委員】  ありがとうございます。非常によくまとめられていて、びっくりしました。今までのいろんな発言が全てここに反映されていると思っています。
一番最初に読んだ印象は、今、今村委員がおっしゃったようなことでした。全てが学校の責任なのか、そう取られかねないなということで、これから学校、あるいは教員の守備範囲というのを少し、これは今後の検討課題になるかなとは思いますが、考えていかないと、現状は、何もかもが学校にかぶせられているということですので、その辺の配慮があればと思います。
次に、資質・能力のことなんですが、先ほど皆さんおっしゃられているように、丸3番目の、どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るかということが非常に壮大で、これはあるべきだとは思うのですが、OECDの今日の資料にもありますように、この会でも議論されてきました今日の資料2の中の21番、22番のスライドにありますように、カリキュラム・デザインのための概念と学力の三要素の重なりという図がこれまでも示されておりましたけども、この中の矢印が22番スライドでは、一番右の主体性・多様性・協働性、学びに向かう力、人間性などというところに、人間性というところと、メタ認知というところ2つから矢印が出ておりまして、どうもそのようにここのペーパーの三つ目がまとめられているような感じがします。
実はだけど、ここで話しされてきましたメタ認知の重要性というのは、一つ一つの知識とか、スキルとか、そういうことを推進していくという上でも非常に重要でございまして、その辺をできることなら別枠で示していただくと、私など非常にすっきりするし、今までの議論も反映されるのではないかと思うわけです。
同様に、後の方で学習活動の示し方、アクティブ・ラーニングの意義等の中にも丸1から丸3までございまして、その三つ目が、主体的な学びの過程が実現できているかということで、ちょっとカテゴリーは違いますけども、みずからの学習活動を振り返って次につなげるということを書いてございますので、こういうこともきっとメタ認知の話になるのだろうと思います。
そうなりますと、なおのこと、先ほどのところに、自分を外から見ると、自分を常にコントロールしながら学習を進めていくんだという視点が書かれるといいかなと思います。ついでに言うならば、丸3の最後のところに、前回改訂で重視された体験活動の充実を図ることも引き続き重要であると書かれております。確かに体験活動の充実は大変重要でございます。実際行われていますし、こうやって書いていただけるのは特にいいんですけども、それがこの丸3番のことを進めているようにはどうも思えなくて、振り返りを計画的に取り入れていくような仕組みがないと、次につなげられないんじゃないかと、ただ、体験をやるだけに終わってしまうと、今もしかしたらそういうところがあるかもしれません。そういうのを防ぐという意味でも、ここにリフレクティブな学習活動という視点が入るといいなと思いました。
次に、これも何人かの先生方がおっしゃっているところでございますけども、評価のことで、これは評価のところに書いていないんですけども、13ページの下から二つ目の丸ですけども、先ほど清水委員からもお話がありましたが、先生の役割ですね。評価における教員の役割は、必ずしもここに書かれているようなことだけではなくて、もっと根本的に子供たちの学習の価値を認める、普通に日本語で、あなたを評価すると言ったら、そういう意味だと思うんですけども、今あなたがやっている価値はこういうところにあるんだということを続けていくことで、今求められている資質・能力というのが徐々に培われていくと思われるんです。だからここに書くか、学習評価のところに書くかは、ちょっと考える必要があると思いますけども、教員の子供を見る目、それを培うことのできる研修、校内のシステムの在り方、そういうことも必要なのではないかと思います。
申し訳ないですけど、もう一点だけ、10ページの最後のところから11ページにかけまして教育課程のことを書かれておりますが、教育課程の構造上の工夫が必要になってくると、まさにその工夫が総合や特活の設定などに当たると、それでは、どういう工夫をしているのかがちょっと見えてこないので、どういうつながりがあるのかということ、往還的なつながりだと思うのですけども、それを少し具体的に書いていただけると、それぞれの意義が明らかになってくるのではないかと思いました。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。では、山口委員、お願いします。
【山口委員】  今まで議論してきたことがこのようにまとまってみると、とてもわかりやすく、改めてこういうことを言ってきたんだなというのがよく分かりました。非常にすばらしいというか、これが実現したらすごくいい教育ができるし、すばらしい子供たちが育っていくんだろうなと思いつつも、現実はなかなか難しい部分もあるかと思うんですが、私も三点ほどお話しさせていただきたいと思うんですが、先ほど、やはり前文のところにこの改訂の趣旨というようなところを示した方がいいというお話があったので、私も是非そうしていただきたいと思います。特に今までやってきた教育が全て否定されるわけでも当然ないわけですし、積み重ねていくところが非常に重要だと思いますので、そこのあたりの流れ、そうしないと、やはり現場としては、今までやってきたことが評価されていないような、また引っくり返して違うことというふうに捉えられるのはよろしくないと思うので、今まではこのような形でやってきて、そこをしっかり評価し、さらにこれからの時代に合ったというところを載せていただければ非常にいいなと思いました。
それから、これも今まで先生方がお話しされているところですけども、やはり評価というところで是非、ただ、その評価なんですけれども、評価と一くくりにしても、それぞれの教科で評価の仕方というのは当然変わってくるべきところがあるので、そのあたりのところも分かるようにしていただければと思います。
それから、私自身、自分が学生というか、学校生活を送ってきて、評定と評価との違いですね。今、牧田先生も言われましたけども、先生に評価されているということが、評定以外でどうやって子供たちに伝わっているのか、どうしてもやはり評定の方が先に立ってしまって、そこの部分が先生の方も悩ましいところだと思うんですけれども、どういうふうにやっていくのかというところがあると思います。
評価というところでいえば、どういう日本人を育てたいのかということと、それからやはりグローバルというところでいうと、世界はどういう人間を評価するのかというところがこの評価のところにやはり載っかってこないと、日本人が考える評価と世界のスタンダードの評価というのにもしかしたらずれがあるとすれば、やはり育っていく人間も変わってきてしまうので、世界の人たちがどういう評価、どういう人間を求めて国際人として扱ってくれるのか、吉田先生も言われましたけれども、例えば議論をするとか、そういったことというのは、日本人は、じゃ、どの程度評価するのかということですね。
ディベートは学生同士とか生徒同士ではやっても、教員と生徒が本当に向き合って議論するというようなことがどれだけあるのかとか、スポーツの場面なんかでも、例えばチームスポーツでも、自分が選ばれなかったということに対して、海外であれば、何で私が選ばれないのかと直接監督とかコーチに聞きますけど、日本人に言っても、いや、そういうことを言うと嫌われるからとか、言ってもどうせ取り合ってくれないから、だからプロの世界なんかでは、Jリーグなんかでは、最初は外国の監督しか雇われなかったというのは、日本人の監督は説明できないと言われたんですね、聞かれたことがないからって。言ったらそのままで、疑問を投げかけられないから、そういう訓練がされていない。もしかしたら先生たちもそういうような議論、生徒と本気で議論するということになれていないのかもしれないので、そのあたりも含めて、評価というところの在り方は、子供たちに対する大きなメッセージにつながると思っています。引いては、その評価が入試にも反映されていくと思います。どういう人間を例えば大学は求めるのか、その評価がきちっとというか、わかりやすい形で示されていくことをさらに検討していけばいいなと思います。
それから、やはりこのような方向性を示しても、最終的には、現場の先生方がこれを具現化して、どういう教育にしていくかというところが大事だと思うんですが、一つ、危惧ということではないんですが、例えば8ページにあるんですが、グローバル化する中で世界と向き合うことが求められている我が国、あるいは複雑で変化が激しい社会の中で、何となくそうだよなと思うんですが、現場の先生方が、どれだけグローバル化する中で世界と向き合うことが求められているのか、やっぱり現場の先生にそういう認識がなければ、そこに合う子供たちをやっぱり育てていけるだろうかと思うんですね。言葉として、感覚というんじゃなくて、何となくそうだなと思っても、学校現場で忙しくしていらっしゃる先生方が、やはりビジネスとか、そういった世界の方々は分かると思うんですけど、先生方がそれを感じられる環境にどれだけいるのかということがちょっと危惧されるところです。ですから、ここにも書いてあるように、先生方をサポートしていく校内研修であったり、校外研修であったり、あるいはそういった先生たち、教員養成していく大学とか、そういったところとかと連携しながら、いかに現場の先生方が時代の変化であったりということを感じてもらえるようなシステムを作っていくということも、すごく重要なことなんではないかなと思いました。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。では、奈須委員、三浦委員の順でお願いします。
【奈須委員】  今回整理を拝見して、とてもよくまとめられているなと思いました。ですので、個別具体的に特に修正していただきたいということはないんですけど、逆に読んでいて改めて不思議だなと思ったことがあって、次回の議論の足場になるようなことかと思うので、申し上げたいと思います。
5ページの下から二番目のポツのところに、内容項目編成の原理的なことが書かれています。指導すべき個別の内容項目の検討に入る前に、まずは学習する子供の視点に立って、何ができるようになるかという視点から、資質・能力を整理すると、そうですよね。その上で、整理された資質・能力を育成するためには何を学ぶか、つまり内容を検討するんだということですよね。さらにそれをどう学ぶかという方法、アクティブ・ラーニングのような話に行くんだということなんですけど、逆に言えば、これまでは教科の内容編成をされていなかったということなんですね、ということだと思います。そのことは5ページの上から二番目のポツにも書かれていて、これまでの学習指導要領は学問的な体系に沿って教科ごとに体系されているんだということですが、でも、今後はさらにどういった力を育むかという観点が必要だしということがあって、あるいは6ページのところの上のポツですが、身に付けるべき知識、いわゆる内容項目ですが、これについて二行目のところですが、個々の事実的な知識を網羅することが学習の最終的な目的ではなく云々となっています。あるいは、ちょっと先のところですけど、10ページのところを見ても、これまでの教育課程についてのことが上から二つ目のポツに出ていますが、教育課程について何をしているかという知識の内容を体系的に示した計画にとどまらずということは、これまでは知識の内容を体系的に示した計画であったことが多かったということなんだろうと思うんですね。
ここで僕は、学問的な体系に沿ったという言葉と、知識の内容の体系という言葉が同じなのか違うのかがとても興味があります。というのは、学問の体系に沿った学習ができれば、子供は学問の方法やそこの資質・能力は身に付けるんじゃないかなと思うんですよね。クリティカルシンキングが身に付かない理科はおかしいですよね。つまり理科がもともとの自然科学という学問の体系に沿って行われていたら、自然科学の一番のところは批判的な疑問を持つということのはずで、ということは、そこがやっぱり弱かったということなんだろうと思うんですよね。今回そこがはっきりしたんだと思うんですけど、だから内容編成のやり方を変えなきゃいけないんだということなんだろうと思うんですけど、だからその意味でいうと、今後単なる知識の内容の体系ではいかんのだということなんですね。知識内容の体系というのが、その教科がもともと持っていた、学問が持っていた資質・能力が身に付かないようなものとして、これまで編成された嫌いが若干なりともあったということは確認すべきなんだろうと思います。だからそれをもっとむしろ本当にみんなの学問的な体系にするだということですね。学問的な体系というのは、当然その教科の本質と今回呼んでいるその教科ならではの物の見方、考え方、表現のスキルとか観点を含むはずですよね。これはでも大学教育でも今言われていることで、大学教育をやって、教育学についていろいろ知っているけれども、教育学的な物の考え方が身に付かないと私たちもお叱りを受けているわけで、だからそれは小学校から大学まで総懺悔してやり直すということなんだろうけど、そのことが今回ここに原理的にきちんと示されているということなのかなと思って読んでおりました。だから体系とかという言葉をもう一度中身を吟味する必要がある、指導内容の体系ではいかんのだろうということなんだろうと思うんですね。
そのことはさっきの6ページのところ、個々の事実的な知識を網羅することが学習の最終的目的ではなくて云々となっていますが、つまり、それは内容の体系というのは、ややもすれば事実的な知識の網羅にすぎなかったかもしれない、あるいは網羅的知識の体系にすぎなかったかもしれないということだったのですかねと思ったりしていました。つまり、この辺のことをしっかり構造的に確認していかないと、今後個別の教科内容での専門部会での議論、あるいは次回での議論の足場ができないのかなと思っていたんです。その意味でいうと、今回整理された資質・能力を育成するということを上位目標に置き、そのために必要な指導内容を選択する、これが内容編成原理の1つの大もとになると。もちろんこれだけでいいのかということもあって、資質・能力を育成するためには、そんなに強く寄与しないけれども、その個別事項の内容的知識自体が意味を持つというような知識もあるのかもしれません。この辺は慎重な議論がそれぞれの各教科、あるいは全体で必要かと思いますけども、原理的には、本当に学問的な体系に沿った知識であれば、それは当然資質・能力の育成に寄与するはずだという論理がここで確認されていいのかなと思いますし、しかも資質・能力という中には、各教科の本質、教科ならではの物の見方、考え方が当然中核に入ってくるわけだから、各教科の内容編成をする中でその教科の本質、その教科ならではの物の考え方が身に付くかということを、1つ大きな視点に据えて内容編成をしていくということなのかなと思っておりました。そういうふうに読解ができるのかなと考えたり、その言葉から、もう一遍学問的な体系とか、指導内容の体系というか、網羅という言葉が指し示す内実をもっと具体的に詰める必要があるのかなと思いました。私自身は、かつて大昔ですけど、ブルーナーがディシプリンということを読んだ、そのディシプリンということが日本では当時うまく理解されずに誤解されたんだと思いますけれども、あれはまさに学問ならではの物の見方、考え方、方法というような資質・能力を指し示す言葉だったんだけども、それが今回で言う指導内容の体系のように言われて、43年の指導要領をややもすればそういうふうに進行した結果、むしろ単に知識をたくさん詰め込まれる、私たちがまさにその世代でしたけども、いっぱい詰め込まれたけども、何の役にも立っていないということに残念ながらなったのかなと思って、今回その轍を踏まない形で、学問的な体系というのが何かということをきちんとやる必要があるのかな。そこの原理がまさにここに出ているのかなと思って拝見しておりました。
もう一つ、このこととの関係で、今後どこかでは議論すべき必要があるんだろうと思うんですけども、そうなったときに、現行指導要領で盛られているような網羅的な指導内容知識の体系、その網羅的な知識の量を維持する必要があるのか、維持できなくなるのか、維持しなくてもいいのか、結局資質・能力の育成をするとか、アクティブ・ラーニングに持っていくというときには、やっぱり総量をどうするか、内容の総量は減らさざるを得ないという議論になるのか、ただ、これは10年指導要領に対して学力低下批判が起きたことそのものでもありますから、このことに対してどう挑むのか、総量を少し減らしたとしても、学力低下のそしりを受けないようなロジックが作れるのか、このあたり、あるいはこういう知識というのはやっぱり重要ですので、どんな意味でも。やっぱりそれは守るのか、守るとすれば、それは教育方法や教科のまさに学問的な体系化のやり方によって可能となるような論理が成立するのかというようなことを議論する必要があるのかな、そうしないと、スクラップ・アンド・ビルドになっていかない、ビルド・ビルド・ビルドになっていきますから、スクラップするということがどういうことなのか、事項を減らすというスクラップなのか、事項は減らさないけれども、何らかのやり方があるというロジックを立てるのか、もちろんそれは教育方法を含むということでしょうけど、そのあたりのことが見え隠れしている部分があちらこちらにあって、そこをつないだ、これはこの文章そのものではないけど、今後どういう教育課程編成原理を作る際のロジックを作るかということが大事だなと思って拝見しておりました。でも、とてもよくできていると思って、ありがたく思います。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。では、三浦委員、どうぞ。
【三浦委員】  本当に上手にまとめていただきまして、ありがとうございます。私が申し上げたいのは一点のみで、保護者の位置づけに関してでございます。日本の今日の学校を見た場合、学校と保護者というのは、やや複雑な関係もあることは百も承知で申し上げるんですけども、全体を見て、保護者というのが、私が見つけた限りでは16ページのカリキュラム・マネジメントのところに出てくるのみかと思うんですね。しかしながら、OECDは保護者というものを学校の最大のステークホールダーというふうに位置づけていて、とても重視しているわけなんですね。
以前OECDと一緒に進めたプロジェクト、東北スクールのプロジェクトを御紹介させていただきましたけれども、実はあのとき一番初めにOECD側から、保護者の分科会を設定してくれないかというふうに要請されたわけなんですけども、我々は力がなかったということもあって、それはできないとお断りしたんですね。2年半ずっとプロジェクトを進めていく中で、保護者の側から、事務局の不手際等々もあってクレームなども随分頂いたんですけども、最後の最後に、全てが終わった後で保護者にレポートを書いていただいたですんけども、その中で数多くの保護者のレポートに書かれていたのは、先生方が一生懸命頑張ってやってきたのを見て、保護者はもっと協力できることがあったと、なぜもっと保護者を頼ってくれなかったのかと、そういったお叱りの声だったんですね。
私はそのとき初めてOECDの先見の明ということを痛感したわけなんですけども、この新しい学習指導要領の中で、これまで以上に社会に開かれた教育を作っていくとなった場合、目の前の子供たちの保護者こそが、同じ社会で生きている同志であると同時に、やっぱり社会の窓口になるであろうし、また、その新しい価値観に沿った新しい学びを進めるのであれば、何よりも保護者とその価値観を共有しなくちゃいけないだろうというふうに考えるわけです。そういう意味で、積極的に保護者の位置づけというものを明記されてもいいのではないかというふうに感想を持ちました。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。皆さん、大変御協力いただいて簡潔に御発言いただきまして、ありがとうございました。
事務局に多くの宿題が課せられているかと思いますけれども、今回頂きました御議論をまとめ、そして、できるだけ反映させたものを次回にごらんいただけるようにしたいと思っております。
恐らく共有している委員の方々の御意見を私が勝手にまとめさせていただきますが、まずは今回のこのイメージが、どのような意義を持っているのか、特にこれまでとこれからに対して、どのような位置づけにあるのかということを明記する必要があるだろうと。
先ほど御意見がございましたけれども、積み重ねてきた教育の在り方を、より将来に向けて新しい状況に対応できるようにするということが、重要なのではないかというふうな御意見であったかと思います。そのときに問題なのは、今、何がこれまでと異なっているかということを端的に言えば、グローバル化といいますか、社会状況の変化というのはグローバル化していること、あるいはイノベーションの変化といいますか、改革と言うべきでしょうか、それから困難を抱えた子供たちがいるということもあろうかと思います。そういった社会的な変化の中で、どのような方向付けをするのかということがあろうかと思いました。
そして、そのための解決の仕方として今回私たちが主張しようとしていることは、学校種、あるいは教科の間を超えて、総合的に、あるいは統合的に考える教育の在り方ということが重要だということではなかったかと思います。
これが教科の中に分かれていくと、何かが落ちていくということもあり、よく言われるのは、分析をするとその間に抜け落ちるものがあるということは、かねてから言われていることだと思いますが、そのようなときにもう一度それを見通す、私たちが分析してきたものに落ち度がなかったというか、こぼれているものはなかったかということを見直すということは常に重要なことだと思いますが、そういった総合的な、統合的な、かつ横断的な観点を今後教育課程の中に入れていこうということが、この部会での議論であったかと思います。
そしてそのときに、では、どういう資質・能力を育成するのか、社会の変化の中でどのように資質・能力を考え、そして、それをどう評価するのかという点では、量的な評価だけではなく、質的な評価も考えていく必要があるだろうということであったかと思います。
今、三浦委員から御指摘がありました保護者のこともありますが、様々なステークホールダーがあるということと、それからそれに支えていただくというか、社会と学校の関係というのは、そういうことではないかと思いますが、社会の中にある学校ということがどこかに記されている、全体的に記されていることではないかと思います。
それから、もう一つ、これは私の個人的な意見ですが、先ほど現場の先生方がどういうふうに受け取るかということであったかと思いますが、教員がどのようにしてその能力を発揮できる環境にあるかということも重要なのではないかと思いますと、教員の資質・能力と漠然とは言いますが、その方々が本当に力が発揮できる状況にあるか、そういう状況を作る必要があるではないかということも、ここでずっと議論されてきたことではないかと思います。
少し戻りますが、グローバル化ということを考えたときに、語学のお話にもなるかと思いますが、もう一つ、この部会の3回目ぐらいに、ESDのお話をしていただいたことがあったかと思います。そういった具体的な学校の取組を何らかの形でここに盛り込むということも、有意義ではないかと思いました。最後の二点は、私の個人的な、全体が私の個人的なまとめではございますけれども、そのようなことを考えて、皆様のお話を伺ってまいりました。
資料1についての議論は、大変恐縮ですが、これまでにして、もしさらにお考えがありましたら、是非。よろしいですか。早いうちに事務局に送っていただけると大変ありがたく思います。
それから、次回なんですけれども、先ほども少し皆様の御意見の中で出てきましたが、教科に関しての話にもなってまいります。そこで、事務局から参考資料2について御説明をいただきたいと思います。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。お手元に参考資料2、小学校における英語教育の充実についてを御用意いただければと思います。次回は学校種別、それから教科別、教科の中でも、しっかり幼・小・中・高の接続を考えていかなければいけません。教科別の御議論をいただきます中で、特に高等学校を含め、新科目の在り方ということは、3回にわたって高等学校の御議論をいただきましたけれども、幼・小・中に関しましては、新しい英語教育の在り方について状況が御紹介し切れていなかった部分もございましたので、前回の御議論に御用意いただくために参考資料2を御用意させていただいております。少しお時間をいただきまして、小学校英語の現状、現在の検討の状況等を御紹介させていただければと思います。

一枚おめくりいただきますと、小学校外国語活動についてということでございます。前回改訂において設けられました小学校外国語活動につきましては、ごらんのように、これが前回改訂の答申の中身でございますけれども、小学校段階の外国語活動、現在各学校における取組に相当ばらつきがあるというようなことを踏まえ、教育の機会均等の確保や中学校との円滑な接続との観点から、国として各学校において共通に指導する内容を示すことが必要であるということで、盛り込まれたものであります。高学年において一定の授業時数ということで、週1コマ程度の確保ということで、現行となっております。
現行が2ページにございますけれども、基本的考え方は、小中高を通じて必要なコミュニケーション能力を育成するということ、その中で小学校五、六年生において外国語活動、これを聞く、話すを中心とした音声や基本的な表現になれ親しむことを中心に指導がされているということであります。
また、中学校におきましては、前回改訂において週3コマから週4コマへ約3割増への充実が図られ、四技能のバランスが取れた指導への改善、また、高等学校におきましては、英語を用いて行うことということで実施されていることであります。
3ページをめくっていただきますと、小学校外国語活動の成果・効果の状況でございます。こういった外国語活動週1コマを前回改訂において導入後、小学校の子供たち、英語の授業が好きという割合や、また、中学校で小学校の外国語活動が役立っているという回答をする中学生の割合というのもかなり高いという状況であります。
また、教員への調査でも、子供たちの変容として積極的な関心・意欲・態度のみならず、英語を聞いたり話したりする力も付いてきているというような状況があるということが見られるところであります。
また、6ページに移っていただきますと、中学1年生を対象とした調査結果からは、例えば小学校の外国語活動でもっと学習しておきたかったことの中で、英単語を書くこと、英語の文を書くこと、英単語を読むこと、英語の文を読むことという読む、書くも含めた学習をもっとしておきたかったというようなことも言っているわけであります。
また、7ページでは、中学校における英語授業の取組状況でございますけれども、様々な成果もある一方で、エッセイなどをある程度のまとまりのある文章やディベートやディスカッションということに関しては、取組状況として、まだまだこれからという状況もあるわけであります。
8ページをごらんいただけますと、これは小学校ですけれども、小学校の先進的な取組ということで、先進校、研究開発学校、教育課程特例校等において、中学年の週1コマ、それから高学年で教科としての外国語を取り入れて先進的な活動をしている成果でございます。指導上の課題ということでは、そこの赤丸に囲まれているような点が指導上の課題として挙げられているところであります。
こういった様々な現状も踏まえながら、改善の方向ということで9ページにございますけれども、この前に、まず12ページをごらんいただければと思いますけれども、現在これまでの英語教育改革に関する経緯を簡単に御説明させていただきたいと思います。
中教審の諮問においても、英語教育について御検討をということで諮問させていただいておりますけれども、それに至るまで様々な議論が積み重ねられてきているという状況でございます。教育再生実行会議第3次提言におきましては、一番左側の赤枠の中でございますけれども、小学校の英語教育の抜本的拡充、初等中等教育を通じた系統的な英語教育について、学習指導要領の改訂も視野に入れながら検討するという提言がなされたところであります。
また、第2期の平成25年から29年の教育振興基本計画におきましては、基本施策16ということで、下線部になりますけれども、小学校における英語教育実施学年の早期化、授業時間増、教科化、指導体制の在り方や中学校における英語による英語授業の実施について検討を開始し、逐次必要な見直しを行うとされたところでございます。
下には、その当時の日本再興戦略、閣議決定がございますけれども、その中でも同様のことが閣議決定されていたということであります。
また、上に戻りまして、グローバル化に対応した英語教育改革実施計画でありますけれども、平成25年12月に文科省が発表したこの計画の中では、小学校における英語教育の拡充・強化、中学校、高等学校における英語教育の高度化など、小中高を通じた英語教育全体の抜本的充実を図るということで、ごらんのような計画が打ち出されていたところであります。
また、この中身をさらに専門的に検討するという中で、英語教育の在り方に関する有識者会議が設けられて提言をおまとめいただきましたけれども、その中で改革1、国が示す教育目標内容の改善という中で、小学校中学年から外国語活動を開始し、高学年では、学習の系統性を持たせるため教科として行うということ、またその中では、小学校の英語教育に係る授業時数やその位置づけなどは、今後教育課程の全体の議論の中でさらに専門的に検討ということで、ここについては中教審の検討にお願いするという形でおまとめいただいたところであります。
こういったことも踏まえて、一番右側の諮問というところでございますけれども、諮問の中で、文部科学省が設置した英語教育の在り方に関する有識者会議の報告書に置いてまとめられた提言も踏まえつつということで、以下のような点について諮問をお願いしていたということでございます。
お戻りいただきまして、9ページになりますけれども、先ほど申し上げた専門的な検討を行う中で、有識者会議におまとめいただいた報告の抜粋がごらんのところになります。改善の方向ということで、これまでの成果や課題を踏まえ、小学校中学年における外国語活動の導入、高学年でのより系統性を持たせた体系的な指導を想定し、目標内容の改善を図る、またその中で多くの言語、また国語教育との連携も通じて、言語に対する興味・関心を高めることが重要であるというおまとめをいただいたところであります。
詳細は10ページ、また中学校については11ページにおまとめいただいているとおりであります。
こうした経緯がございますけれども、改善の方向性といたしましては、同じく有識者会議の中で小・中・高の連携ということで、13ページをごらんいただければと思います。小・中・高を通じて各学校段階の学びを円滑に接続させるとともに、学校種ごとの教育目標を技能ごとに英語を使って何ができるようになるかという視点から、一貫した教育目標、これを4技能に係る具体的な指標の形式の目標も含む形で示すという方向性がまとめられているところであります。

一枚飛ばさせていただいて、15ページになりますけれども、これを次期改訂において小・中・高を通じた形で図っていくということでありますけれども、イメージとしてお示しさせていただければ、こういった四技能ごとに小・中・高それぞれの段階でしっかりと何ができるようになるかということを示しつつ、それぞれを円滑に接続させていくということをまさにこの改訂で検討していくということであります。
また、その中で16ページになりますけれども、これは五年生の年間指導計画のイメージということで、事務的にお作りしているもので、これはまさに秋以降、英語のチームで専門的に御検討いただくことになりますけれども、例えば聞く、話すにとどまらず、四技能全体について、五年生の指導計画を作るとすれば、このようなイメージになるのではないかということであります。
四角囲みの1の部分がアルファベットの文字や単語などの認識、2の部分が、日本語と英語の音声の近いやそれぞれの特徴への気づき、3の部分が、語順の違いなどの構造への気づきということでありますけれども、こうした年間計画が考えられるということ、また、英語学習に関して、授業の中で新たに扱う単語や表現などについて、繰り返し学習を行うことで定着を図っていくということも考えられるますことから、右側に少し帯学習対応可能活動ということも取り出して示しておりますけれども、こういった活動については、帯学習、毎日の、若しくは週何回かの短時間の学習において繰り返し学習を行い、定着を図っていくということも考えられるのではないかということであります。こういったことについても、専門的見地からさらに深めていくということであります。
17ページは、教材の在り方についてでありますけれども、小学校と中学校の接続などなど様々な課題を踏まえまして、有効な教科書、教材ということを考えていく必要があるということ、教科化されるということになれば、教科書が整備されるわけでありますけれども、それに向けて必要な教材の開発ということも行っていくということで、現在、国の英語教育教科、地域拠点事業などを通じて、試行的に実施しながら本格化を目指していくということであります。
そのイメージが18ページになってまいります。また、先ほど申し上げた拠点事業の概要は19ページ、この中で現在拠点事業を実施しております中で、様々な研究開発課題の研究や検証すべき取組データのまとめということを行っていただいているようなことでもあります。
また、指導体制ということも重要になってまいりますけども、20ページにございますように、国や道府県それぞれにおいて向上事業という中で、例えば小・中・高の学校英語の教育の推進リーダーの育成などを図っていたところであります。
21ページは、充実に向けた施策のイメージということでございますけれども、小学校の指導要領が開始となると見込まれる平成32年度に向けて、指導力向上でありますとか、または教職教育のコア・カリキュラムの開発・策定ということを通じまして、教員の資質向上ということを図っていくというスケジュールであります。
また、22ページは、小学校英語において指導者にどのような役割が求められるのか、教科型におきましては、学級担任を持ちながら行う、若しくは学級担任と連携しながら専科の指導者が行うというようなイメージ、活動型におきましては、ALTなどの人材と学級担任がチーム・ティーチングで当たっていくというようなイメージがございます。
23ページ以降は、最近まとめられました教員養成部会の中間まとめ、ここにおきましても英語教育推進リーダーの養成でありますとか、専科指導の充実に向けた研修の充実、コア・カリキュラムの開発、また教員養成大学における様々な取組の充実ということなどをまとめて御提言をいただいているところであります。
また、24ページには、チーム学校についての中間まとめでございますけれども、この中でも、ALTの質・量ともに充実した確保ということでありますとか、様々な人材の活用ということを記させていただいておりまして、こういったことをトータルで25ページにお示ししたような小・中・高、それから教材ということをトータルで進めていくというような計画であります。
小学校英語の充実という観点からは、以上のような状況があるわけでございますけれども、まさにこれからは小学校の授業時数の中でそれをいかに実現していくかということが必要になるわけで、それについても少し状況を御説明いたします。
26ページでございますけれども、これは前回改訂においてまとめられた答申の抜粋でございますけれども、子供たちの様々な活動、また、先生方の様々な意見交換や研修の機会という観点からは、学習指導要領中の標準授業時数、小学校につきましては、週28コマが限度と考えられるというまとめがされ、現在27ページのような状況でございます。
これにつきましては、30ページに少しイメージとして年間の授業週数、それから週当たりの授業コマ数のイメージを記しておりますけれども、30ページの右側をごらんいただきますと、白い部分が2コマ空いているように見えるわけではありますけれども、実際は31ページをごらんいただけますと分かるように、2コマ分というのは実際の小学校の様々な活動の中では、委員会活動でありますとか、クラブ活動、それから先生方の教育研究会、学級事務、それから幾つかの授業というようなものでびっしり埋まっているというような現状であります。
また、28コマ以上に授業を設定しているというような学校も多々あり、そういった状況が32ページ、33ページにございます。
34ページは、小学校教員の1週間の勤務時間の実態であります。
35ページは、小学校の授業の1単位当たりの分数、また、それについて様々な柔軟な取組も可能になっているというようなことも、36ページの解説でございます。
実際37ページにございますように、ベネッセさんの調査結果ですけれども、時間割の設定の工夫として、帯時間の設定でありますとか、15分の帯時間、若しくは60分、30分などの弾力的な授業時間の設定、38ページにありますように、様々な弾力的な授業時数の設定ということがされており、特に中学校におきましては、39ページにありますように、10分程度の短い時間、短時間学習ということを教育課程の中に位置づけるということについて明記がされているということであります。
実際には40ページのような小学校における様々な短時間学習の実態というものがございます。
また、41ページにございますように、英語においてはモジュール活動、帯活動が実施されている割合は、ごらんのような割合であるというようなことも踏まえながら、英語教育が目指すものと小学生の生活時間というのをどのように組み合わせていくのかという御議論が必要になり、それに対しての事務局側としておまとめさせていただいた案を次回お示しさせていただきたいと思っております。
長くなりましたが、以上になります。
【羽入主査】  ありがとうございます。これについての議論は次回ということになりますが、英語教育に携わっていらっしゃる松川先生が次回御欠席ということですので、少し御発言いただければと思います。よろしくお願いします。
【松川委員】  発言の機会を与えていただいてありがとうございます。今御説明があったとおり、御案内のように、現行の小学校の教育課程の中では、外国語活動という形で、教科ではないけれども、必修の体験的な活動として行われているわけです、小学校五、六年に。今も調査が出ておりましたけれども、この間小学校の普通の学級担任の先生の圧倒的な御努力によりまして、外国語活動という指導内容は、母語以外の言葉でコミュニケーションする可能性、それからその楽しさを体験させるということで、母語以外の言葉への興味を持たせるという点では大変成功している。小学校5年生から中学校二年生まで、各学年2万人程度の調査の結果が先ほど出ていたわけですけれども、経験した児童生徒は、外国語学習に対する非常に肯定的な態度を持っていて、単なる体験活動ではなくて、もっと学習したいという意欲を持っているという段階だと理解しております。
これを小学校の高学年という発達段階を考えてみましても、単に体験的な活動ということに終わらせるのではなくて、外国語を習得したいという意欲の高まりに見合った、それに応えるだけのものとして、教育内容を充実させていく必要は非常にあるなと思っております。
そういった意味では、単なる体験活動という段階を超えて、教科型の位置づけにする必要があると思っております。時数のことは今いろいろ出てきましたけれども、なかなか難しい問題があると思いますけれども、教科的な内容を扱うということであれば、一定の時数は必要であると思っています。
内容としては、今までやってきた音声でのコミュニケーション能力の基礎を育成するということに加えて、文字指導、それから文構造への気づきということを通じて、英語という言語の特徴をある程度意識化させる段階に来ているのではないかと思っています。
自然になれ親しむということはよく言われているわけですけども、日本の学習環境では、やはり英語という言語の特徴を、ある程度発達段階に応じて意識化させて学習していくということが必要ではないかと思われます。
ただし、教科型の位置づけにするためには、この会でも発言させていただいたことがありますけれども、やっぱり条件整備というのが必要でして、今まではスキルを育成するということではなかったわけですけれども、強化型ということになれば、それなりの教材と、それから教員の資質というのが当然要求されてくるなということがありまして、その条件整備というのは必須だと思っております。
合わせて、小学校の高学年で外国語の系統的な学習を始めるということが、言語力育成の観点から見ても、日本語という母語を相対化させるという意味で、言葉と思考との関係を自覚的に考えさせるとか、そういった意味においても、言葉と思考との関係、あるいは言葉によるコミュニケーションに対する意識化、自覚化という点では、この会議でも議論がされてきました。アクティブ・ラーニングのベースとなる言語力の育成というのに資するのではないかなと思っております。具体的にはどんな形で教育課程の中に入れていくのかというのは、なかなか難しい点があるということは分かっておりますけれども、これまで積み重ねてきたこと、それから学んだ子供たち、学んでいる子供たちの意欲に応えていくという意味では、次の段階に入ってくるに時期だなと思っております。
以上、簡単でございますが、発言させていただきました。ありがとうございました。
【羽入主査】  ありがとうございました。それでは、これで閉じさせていただきますが、その前に、補佐官からコメントを。
【鈴木大臣補佐官】  どうもありがとうございました。いよいよこの企画特別部会の論点を整理させていただいて、これがこれからの2030年の教育に向けた、まさに土台になる御議論をしていただいております。今日も大変いい御議論を頂きましたが、まさにこれが全てのベースになりますので、先生方、大変お忙しいと思いますけれども、是非御意見をどんどん頂いて、それを全て反映させていきたいと思っております。
我々が政策を作っていく上でのいろいろな指針、あるいは判断材料としては、非常にいい御議論を頂いていまして、これを基に様々な施策の構築については、やっていける段階に来つつあるかと思いますが、今日お話しいただきましたように、御指摘いただきましたように、これからこのメンバー間のコンセンサスだけではいけないわけでありまして、これをどうこの世の中にといいますか、とりわけ教育現場、あるいは、そこには当然三浦先生の話もありました保護者も含めて、これから2030年に向けて日本の教育現場をどういうふうに作っていくのか、このことについて我々の議論をどうしっかりと伝えていくのか、あるいは共有していくのか、あるいはこの前もシュライヒャーが来たときに、カリキュラムを作るのはできるけれども、彼が何度も言っていた言葉がインプリメンテーション、こういうことを言っていました。カリキュラムのデザイン、もちろんこれは大事なわけですが、日本語で言えば絵にかいた餅で終わってしまってはいけないわけで、インプリメンテーションをどうしていくのかということが非常に、そのための教育投資ということも大事だというのがシュライヒャーの指摘でもあったわけでありますが、まさにこのインプリメンテーションに向けて、まずその大前提としては、現場が、よし、分かったと、こういう現場を作っていかなきゃいけないんだなということをまず理解をしっかりしていただく、それからそうした現場の思いをしっかり我々が支えていく、必要な投資も含めて、こういったことにこの企画特別部会の議論、あるいは取りまとめというものをしていただきたい、あるいは私どももそれに向けて最大限の努力をしてまいりたいと思っておりますので、本当にお忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。
それから、後半に御提示させていただきました英語の問題でありますけども、これも事務方の中では相当いろいろな議論をしておりますけども、これも次期の学習指導要領の極めて大きな論点の一つでございますので、是非次回御議論を深めていただければ大変ありがたいと思っております。
いよいよ最終コーナーを回ってまいりましたので、どうぞ引き続きの御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。ありがとうございました。
【羽入主査】  ありがとうございました。前回は一からだったんですが、今度最終コーナーを迎えて、最後のダッシュをしなきゃいけないかと思っております。ありがとうございました。
それでは、次回の予定について事務局からお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  本日も貴重な御意見、ありがとうございました。次回8月5日でございますけれども、場所がスタンダード会議室、虎ノ門ヒルズフロント店2階会議室ということで、少し場所がわかりにくくなりますけれども、詳細はまた後日連絡させていただきます。また、時間なんですけど、12時半からということで大変恐縮なんですが、3時間確保させていただいております。御協力いただければと思います。また、書面、メールにて御意見等がいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【羽入主査】  ありがとうございました。時間が10分も超過してしまいまして申し訳ございませんでした。お暑い中、皆様お忙しい中、本当にありがとうございました。これで閉じさせていただきます。

―― 了 ――

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