教育課程部会 教育課程企画特別部会(第11回) 議事録

1.日時

平成27年7月8日(水曜日) 13時00分~15時30分

2.場所

文部科学省 東館3階講堂

3.議題

  1. 「アクティブ・ラーニング」をはじめ学習指導要領の理念を実現するために何が必要か?

4.議事録

【羽入主査】  皆様、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから中央教育審議会の教育課程企画特別部会、第11回目を開催させていただきます。本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 御覧いただきまして、お分かりのように、前回、予告をしておきましたけれども、アクティブな議論をしたいというのが最初からの念願でございましたが、今回ようやくそれが形の上でも実現するようになりました。このような形で議論をして、議論を深めるということが趣旨でございます。テーマは、「アクティブ・ラーニングをはじめ学習指導要領の理念を実現するために何が必要か?」ということでございます。
また、本日、報道関係者等より会議の録画・録音の希望がございまして、許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、まず鈴木大臣補佐官から趣旨説明を頂きまして、それから事務局からの本日の流れの説明をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
【鈴木大臣補佐官】  皆さん、よろしくお願いいたします。
 きょうは予告をさせていただきましたように、いつもとは違う配置で進めさせていただいております。私、たまたま熟議というのをやってまして、そういうことで少し今日のミーティングのデザインをさせていただきました。いわゆる熟議型で進めさせていただきたいと思います。
 もう大体イメージは付いておられると思いますけれども、それぞれのグループで、また進行に応じまして、私がいろいろと御案内を申し上げますので、そんなに御説明することはないと思いますけれども、それぞれの委員の皆様方のいろいろなお知恵、御意見を可能な限り出していただいて、そしてそれを、その中から、また新しい知恵を生み出していくと、こういうことでやっております。
 通常は、まず問題、アジェンダの抽出と、それからそれのソリューションと、大体2部構成になっているんですけれども、今回はアジェンダの抽出は、この10回の間で相当やってきましたので、それについてのソリューションというところにフォーカスをしていきたいと思います。
 それから、通常は一番最初のソーシャライゼーションといって、いろんな多様な皆さんが仲良くなるというのから始まるんですけど、もう既に仲良いという前提で、そこも省略をさせていただいて、いつもの型からいきますと、熟議型からいきますと、後半の冒頭から入ると、こういうようなイメージでございますが、是非よろしくお願いを申し上げます。
 通常はアナログでやっているんですけど、今日、新システムをちょっとトライしてみたいということで、3班、4班の先生方にはタブレット及び電子黒板を使って、お願いをしたいと思います。これはやっぱりアフォーダンスが変わりますので、ちょっとどういうことになるのか、私もまだ初挑戦なので、そこも含めてトライアルということで、よろしくお願いをいたしたいと思います。デジタル機器が入るのと入らないのとで、どういうふうに議論が違っていくかというところも個人的には興味がございますけれども、それはさておき、是非よろしくお願いをしたいと思います。やりながら、また適宜、補足させていただきたいと思いますので、ぜひ、委員の先生方、御指導のほど、お願い申し上げます。ありがとうございました。
【羽入主査】  ありがとうございました。
 それでは、事務局から、本日の流れについて御説明をいたします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは、本日の流れ、簡単に御説明させていただきます。この後、13時10分頃から14時20分頃まで、70分間程度、グループで議論を行っていただきます。グループ討議の後は、各グループ5分程度で発表を前方のスクリーンで行っていただきます。順番は3班、4班、それから1班、2班の順番とさせていただきます。その後、全体で30分程度、意見交換の時間を設けさせていただいております。
 機器の使い方等に関して疑問点がございましたら、運営補助者又はICT支援員、各班に付いておりますので、お声掛けください。
 次に、傍聴者の皆様へ留意点等を御説明させていただきます。
 本日、補佐官からも御紹介ございましたように、初めての試みでございまして、いろいろ御不便をお掛けすることもあるかもしれませんけれども、どうぞ御協力の方をよろしくお願いいたします。本日は報道関係者を除き、傍聴席の前のラインを越えて会場内に立ち入ることはできませんので、大変恐縮ですが、御着席の上、場内の様子を御覧いただくようにお願いいたします。現在、スクリーンで少し前が見にくいと思うんですけれども、これにつきましては、最後の全体討議の際には畳ませていただきますので、御安心いただければと思います。報道関係者の皆様、撮影等をされる際には、議論の妨げとならないよう、御配慮いただければと思います。
 また、グループ討議の際等は、適宜、出入りは自由になりますけれども、議論の妨げとならないよう、静粛に出入りをしていただければと思います。
 また、お願いいたしますのは、本日、ICT機器を使用しておりますため、皆様、携帯電話、無線LAN機器等、電源は必ずお切りいただきますよう、御協力よろしくお願いいたします。
 それでは、各ファシリテーターから議論の進め方について詳細を説明させていただきます。準備ができた班から、適宜、討議を始めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
(グループ討議)
【羽入主査】  大変お待たせいたしました。それでは発表をお願いいたします。
 まず、1班5分でしたっけ。5分の御発表を頂いて、意見交換は全ての発表が終わった後ということにさせていただきたいと思います。
 まず、3班からお願いいたします。3班からで大丈夫ですか。多分大丈夫。いいですか。はい。お願いします。
【品川委員】  ありがとうございます。それでは、3班の発表をしたいと思います。
 私たちはブレーンストーミングをした後、四つの柱を立てました。まず一つがここですね。ここって言ってもあれか。ターゲットの明確化、内容評価、それから個別化を踏まえた集団をどうやって作っていくか、指導していくかですね。二つ目の柱が教員養成、それから教員研修をどうするかということです。三つ目の柱が教材、それから質の向上と活用をどうするかということ、四つ目が、政策のプライオリティーとコミュニケーションで、この中に、やはり地域との関係を含んで、どういうふうに考えていったらいいかという4本の柱を立てました。まず簡単に一つずつ説明していきます。
 ターゲットの明確化、内容の評価という、それから個別を踏まえるという点なんですが、これはまず一番の課題は、今まで一体何が問題だったのか、まずそこをちゃんと振り返る必要があるのではないか。それから、学習指導要領、これまでも作られてきたものに対して、十分に実現されていないのは一体どういうケースなのか。特に今回の一番の課題は教科連携。いかに教科連携をして、資質・能力を育てていくかということだろうと。それに踏まえて、アクティブ・ラーニングを導入していくことの合意を作っていくという、その上でやっていくことがアクティブ・ラーニングの成功というか、指導の効果を上げていく。
 そのときにまず大事なのは、何でもかんでもアクティブ・ラーニングするということではなくて、これは議論の中でも出てきたんですが、しっかり教科教育ですね。ここにある。ここにある。ここと言ってもあれなんですが、向かって右側の真ん中の丸の中ですね。教科教育のベーシックスキルをしっかりと定着させる。これは議論にもあったとおり、まずここをしっかりやった上で、さらに、やっぱりいろんな多様性のある子供たちがいるわけですから、個々の子供たちの多様性を踏まえた上で、どういった手法が使えるのかというようなこと、それから自己肯定感を作っていくとか、クラス全員の教育的ニーズを見ていくとかというようなことが大事であろうというふうに意見が出ました。
 二つ目の教員養成と、それから教員研修のことなんですが、やっぱりまず国が教員研修センターや研修機関で、研修をしっかりやっていくということに加えて、ここで特に議論になったのは、やはり教科の縦割りということなんですね。先ほどのこのターゲットの明確化のところに、教科連携をして、資質・能力を育てる。この連携がいかに難しいか。この連携をしていくということが、今後の一番の課題であろうということになりました。
 そのときに、左側は研修とか、県の研修、国の研修、学校における体制作りということなんですが、特に議論になったのが大学ですね。大学で教員養成をする。その中身をどうするか。中身、こうやって、はっきりと「養成者の養成」と書いておりますが、その大学の中で、いかにアクティブ・ラーニングを踏まえた教科縦割りにならない。教科の、そのものは大変大事なんですけれども、と同時に、この連携を大学の段階でやっていくことが大事なのではないかということが出てきました。
 三つ目は教材の話です。
 教材で話題になったのは、このカリキュラムセンターです。教材カリキュラムセンター。これはもう既に京都市なんかはやってらっしゃるんですが、やっぱりその教材の情報をいかに共有するか。それを、ただこういうものがありますよだけではなくて、やっぱり実際に使っている映像とか、そういうアーカイブみたいなものを作ったりと、それから、あと国なんかが、もう有るものを更にもっともっと使っていくといいのではないかというような話が出てきました。
 最後に、特に大事だろうという話になったのが、やっぱりこの政策のプライオリティーとコミュニケーションですね。そもそも中教審の中でも、ここの教育課程部会での議論が各教科に落とし込んでいくときに、そこの整合性を、まず私たちの会議の中ででも、しっかりと整合性を付けることも大事だし、それから国から教育委員会に話を持っていくときに、例えば、ここにアンダーラインしてありますが、動画でのリアルな紹介ですね。情報がなかなか正確に伝わらない、これも今までの課題だっただろうというような話が出てきました。
 あともう一つは、実はこの地域教育と書いてありますが、やっぱりいかに地域と、地域を巻き込んだ教育にしていくかですね。学校教育だけではなくて、学校でいろんな資質を子供たちに養成していくときに、学校だけではなくて、その地域が持っているもの。例えば、生涯教育とかの連携をしていくかということも大事だろうというような話になりました。
 先生。付け加えることはございますか。
【市川委員】  少しだけ補足なんですけれども、やはりその理念がなかなか実現されにくいというときに、言葉だけで伝えていっても、つまりいろんな講習とか、パンフレットとか、言葉だけで伝えていってもなかなか伝わらない、非常に誇張されて伝わってしまったり、あるいは一面だけが強調されたりするということも起こるので、実際にそういうモデル校の様子とか、実際にどんなふうにして行われているのかというのを、動画なども交えた紹介をしていただく方が、その趣旨が伝わりやすいのではないかというような話が出ました。
【品川委員】  以上です。ありがとうございました。
【羽入主査】  ありがとうございました。
 では、次に4班の御発表、お願いします。
【平川委員】  4班です。私どもはチーム学校ならぬチーム伯井審議官ということで、伯井審議官のファシリテーションの下、話合いをさせていただきました。
 まず、今回、アクティブ・ラーニングを基にしました学習指導要領の実現のためにということで話合いをさせていただいたんですが、そもそも右上のところですね。アクティブ・ラーニングっていうのは何ぞやというところから、大本のところがあるのではないかということで話合いを始めました。
 それから、それに伴いまして、二つ改善があると。一つは、左のところの目標、評価の改善でございます。もう一つは指導方法の改善ということで、やはりここが主軸になってくるのではないかということを話し合いました。
 次に、個々のところにつきましては、それぞれの、1枚目、ちょっとお戻りいただきたいんですけれども、附箋の方をじっくりと御覧になっていただきたいと。ありのままの話合いが見えてくるのではないかなと思います。
 2枚目、お願いします。
 それを基に、社会とのつながりをどういうふうに持っていくかということでございます。
 社会とのつながりというと、キャリア教育ということであったり、あと教室のみの世界にとどまらないというようなことであったり、あるいはファシリテーションであったり、あるいはコミュニケーション、プレゼンテーション、こういったものを基にした教育であったり、あるいはボランティアをベースとした教育ということで、これは三宅なほみ先生がおっしゃっていた海外での実現が日本においてもできないかというような取組の中で、社会とのつながりということが2枚目の分類です。
 それから三つ目です。
 これは最も難しいところではありますけれども、やはり学校文化をどう作り上げていくかということで、例えば、日本では文系・理系というふうに呼んでおりますけれども、リベラルアーツとサイエンスをどういうふうにインテグレーションしていくかということであったり、あるいは多様性ということで言われておりますけれども、どのように多様性を認める文化を作って、異なった言語ですとか文化と分かり合えるようなコミュニケーション能力を育成するか、それから失敗してもいいという文化をどのように学校の中で取り入れられるか、それからクリティカルシンキングということで、思考力をやはり醸成するにはクリティカルシンキングかなと思うんですが、どうしても批判的というような捉え方を、まだまだされがちで、全くそうではないと思うんですけれども、ポジティブなクリティカルシンキングの文化をどういうふうに取り入れるかというカルチャーの醸成、文化の醸成をどういうふうにしていくかということが3枚目の図柄でございます。
 次、4枚目でございます。
 方法論としては、ICT。今回、このICTを使って話合いをいたしましたけれども、このICTが非常に有効ではないかと思います。現実的には、実は私は学校現場におりますけれども、無線LAN使っちゃいけないというようなことを言われたりしている中で、どういうふうにICTを学校の中に取り入れていくのか、それからMOOCの実現化に向けて、どういうふうに学校の方、取り入れていくのかというようなことが、一つ、方法論として挙げられるかと思います。
 次、お願いいたします。
 その中で、一つは時間をどのように生み出すかでございます。1日は24時間と決まっておりますので、一つはチーム学校として、校内外のステークホルダーを見える化したり、あるいはロールベースとエデュケーションということで、役割をどのように教育の中で持ってくるか、それからあと学校運営協議会等を活用した中で、どういうふうにチーム学校を実現していくかということでございます。
 それからカリキュラムマネジメントです。カリキュラムマネジメントに関しましては、単元全体のロングスパンカリキュラムを作ったり、あるいは生徒中心のスチューデントベースのティーチングを行ったり、あるいは英語を全てのカリキュラムに入れるというような形でできないかとか、かなり新しい手法を用いたカリキュラムマネジメントが方策の一つになってくるのではないかというふうな話になりました。
 最後、お願いいたします。
 最後に、やはりこれを実現していくためには広報と研修だろうというような形でございます。やはり教員の研修に関しては、校内の研修のみならず、教育委員会を主体とした行政の指導主事の育成、こういった形の研修の在り方もやはり不可欠ではないかということと、それとアクティブ・ラーニングの進捗状況ですとか、あるいはリーダーシップをどう発揮するかというようなことを広報していく、外に周知していくというようなことが、アクティブ・ラーニング実現に向けてとても必要なんじゃないかというふうに話合いが行われました。
 今回、このICTを使って非常に思いましたのは、多分、紙ベースとは違った形の話合いをすると、物すごく生きたものになってくるのじゃないかということと、それと、きょう、このお仲間でお話合いをさせていただいて、皆さん、新たなアイデアを出してくださる方々ばっかりでしたので、私自身、非常に楽しむことができました。どうもありがとうございます。
 何か付け加え等々ございませんでしょうか。よろしいですか。
 じゃあ、チーム伯井審議官、終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
【羽入主査】  ありがとうございました。
 では、次に1班、お願いします。
【高木委員】  失礼します。1班は、この書かれたものですが、まず右側の上から2番目、「学校から世界へ」というところを御覧いただきたいと思います。
 ここでは、グローバル化、それからコミュニケーション能力、他者理解、異文化理解、ネゴシエーションの育成、言語能力の育成ということで、これを学校で行うと、どういうふうにグローバル化の中で広がっていくかということを考えました。そして一方、今、社会から学校へ求められるものとして、右上のところです。「社会から学校へ」ということで、柔軟性であるとか、それから学びの内容についての社会の意識改革、それから授業だけでは済まないだろう。さらには地域や、そしてキャリア教育ということが必要だろうということになりました。
 そして、子供主体へということを考えると、真ん中の列ですが、これ下から積み上げていく形で御覧いただきたいと思います。
 「授業の具体」。この具体から考えていくということ。要するに、児童生徒の対応をどうするかとか、更には具体的には、学校行事をどうするかとか、生活科、総合的な学習の時間、そういったものの中で、どういうふうに技能、それから思考スキル等を見ていくか。更には、その実現のためには、これまでのような講義型の授業、そして、それだけでは、講義型の授業も認めていくという、講義型の授業の否定だけにはならないようにしたい。更には、学びの段階ごとの年齢を含めた整理、それから今のそこと重なりますが、教育の協働的に体制をどうやって試みていくか。コラボレーションを図ることもそうでしょう。そして、授業に当たっては、現行の教科書、これをどういうふうに編集するか、それから教科書自体の考え方も変えたり、更には教科を横断させて身に付けたい具体的な資質・能力、こういったものを明確にしたり、他者との関わり、そしてここでは筋肉と同様にということで、脳も動かすということで、そこから積み上げて、アクティブ・ラーニングが目指すものというのが出てくるということになります。
 そのアクティブ・ラーニングをこういうふうに、上二つのところを出るためには、先に左側に行きますが、ここも下から考えていかなければいけないんですが、教育インフラの整備。今まで出てきているように、ICTの活用の問題、それから教員の増員、アクティブ・ラーニングをするための時間の確保、更には今出てきている総時間数の問題や、教員一人一人、児童生徒の適正化、生徒数の適正化、更には英語ということ、そのインフラの整備をすることの中で、教科・科目のデザインをもう一度図っていく。アクティブ・ラーニングを実践しにくいというふうに考える教科・科目はないか。更にはモデルカリキュラムを示すことが本当に有効になるのかどうか。モデルカリキュラムをまねて、それで終わりということにはならないかどうか。そして、そういったために全体のデザインを考えていく必要がある。そういったデザインを考える中で、教員の資質、教員養成を含め、教員の共通理解を図り、さらには研修、意識改革、そして校長先生の理解度をどういうふうに高めていくかということも問われるというふうに思います。
 こういうことが、実は真ん中の列の上から二つ目の「アクティブ・ラーニングの目指すもの」というふうになって、どうやって実現していくか、それから協働的、どうやって学ぶか、対話、子供たちの主体性、自主性、独立性、更には理解を広めるため、そして、アクティブ・ラーニングというのは、一体そもそも何を目指していくのか、そういったことを明らかにする。
 そして最後になりますが、一番上の「教育改革の方向性」というところになると思います。そこでは、まず1番には、学力の定義、どういうものであるか、更には学力観が変わっていく中で、その学力観というのはどういうのか、そこから出てくるのは、学力観が変われば、当然、指導方法も変わっていきますから指導方法が変わる。子供の立場からいえば、児童生徒の授業の捉え方、授業パラダイムそのものをどういうふうに転換していくか。そういうことをやっていると、今まで必要だったものとそうでないものとの精査も必要になってくる。そういう中で、教室という学びの空間が、今までと同様であっていいのかということも考え、多様性を含めて、教育全体の問題を考えていこうというふうに考えたのが、私どもの班でございます。
 先生方、何かございますか。よろしいですか。はい、終わります。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 では、2班、お願いいたします。
【今村委員】  私たちのグループも、初めにここまでの中教審の特別企画部会の議論の中で出てきた要素を踏まえて、改めて、どんなポイントが大切なのかを、まずブレーンストーミングで一杯出してから整理をして、結局ポイントはどこだったのかということを絞っていきました。
 このグループでお話ししてきたポイントは、端的に言うと二つでした。とにかく、この改訂は何のためにやるのかということを、とにかくそこに立ち返りましょうと。その理念のところを、とにかく理念が伝わるということを一番大切にすべきで、アクティブ・ラーニングとか方法論は、その後、開発されていくけれども、時代的な背景も含めて、理念がどうしたら隅々まで伝わるのかということについて、まずそれが一番の論点でした。
 また、その理念が伝わった上で、どうしたら校長先生をはじめとした先生方のカリキュラムマネジメントがどう充実していくのかということ、そして、そのために社会がどんなリソースを学校や先生方に対して提供すれば、先生方を支援することができるのかということ、そんな形で、とにかく改訂の理念について、そしてカリキュラムマネジメントについてというところが、きょうのこの議論の論点の全てでした。
 そして、その具体論のところで、どのように、では、今回の改訂の理念を伝えていくのかというところでは、旧来型の研修を、この理念、新学習指導要領ができた暁には、この旧来型の校内研修をとにかく脱皮して、学校の中で校内研修こそアクティブにして、どうしたらこの理念を全ての先生方が腹落ちするように伝えることができるのか。そこはやっぱりこういう会議だろうと。熟議型、対話型で先生方が心から「そうだよね」って、「でも違うよね」というところも、先生方が腹を割って話せるような校内研修を学校で、対話型、熟議型の研修を学校で行い、その教材として、この指導要領が使われるのはどうかと。もしかしたら議論のたたき台としての指導要領かもしれないなと思っております。
 また、総則の部分にも、やっぱり背景や思いが分かりやすく明記されていることが大切だよねという観点も出ました。
 また、じゃあ、その理念を実現していくために、カリキュラムマネジメントをどのようにやっていくのかというところで、いろいろと意見が出たんですけれども、それにはやっぱり校長先生がどのようにこのカリキュラムマネジメントを充実した形で実現していけるように、サポート体制というか、研修体制を組めるのかということについて話題に挙がったんですが、この点は天笠先生、ちょっと補足をお願いします。
【天笠主査代理】  すいません。突如として振られまして。
 そういうことで、今、御説明しているとおりなんですけれども、左側の方で、二つ目の丸のところにカリキュラムマネジメントの具体化ということなんで、きょうの議題でありますアクティブ・ラーニングの実現ということは、この我々の整理の仕方からしますと、カリキュラムマネジメントの一角というんでしょうか、あるいは中にそれがあって、アクティブ・ラーニングの充実ということとカリキュラムマネジメントというのは、ある意味、重なり合うということで、その要件として、記していますように、授業の方法の改善ですとか、ICTの導入ですとか、あるいは特別な配慮を要する子供たちへの対応ですとか、そういう整理の仕方の位置付け、更には評価の改善と。これらは全て……。全てというか、これらは校長先生を中心とした先生方、校内における先生方の協働を通して実現されるものでありまして、改めて校長先生のリーダーシップの必要性と大切さということを挙げた上で、その校長先生を中心とした先生方に対して、どうリソースを充てていくのかどうなのか、どう支援体制をとっていくのかということを中心に、右側のところを並べたという、そこでありまして、その要件について、またマイクを返しますので、どうぞ。
【今村委員】  アクティブなプレゼンテーションを試みたんですけれども、ちょっとすいません。
 それで、求められるのは、校長先生のみならず、あと指導主事の先生の力が大切だよねという御意見が出たんですけれども、ここについてもすごく話題が盛り上がったんですが、お願いします。
【松川委員】  振られてしまいましたが、全てにおいて教育委員会の支援というのは大事なんですけれども、市町村教育委員会、都道府県教育委員会の中で、キーパーソンとして指導主事というのがいるわけですが、従来、指導主事というのは、基本的には教科の指導主事、あるいは生徒指導の指導主事ということになっているわけで、どういう方が指導主事に登用されているのかというのの現実を見ると、英語なら英語、数学なら数学の授業が上手な人というのが指導主事になってくるわけです。
 今回求められているようなカリキュラム、教科を横断したようなカリキュラムマネジメント、あるいはカリキュラムデザインができるようになるためには、それを指導できる指導主事が要るわけですけれども、これは現実にはなかなか難しいところがあります。
 ただし、今、新しい試みがいろいろされていまして、スーパーグローバルハイスクールとか、スーパーサイエンスとか、スーパープロフェッショナルで、新しいカリキュラムに取り組んでいる方たちの中から、将来、優秀な指導主事が出てくるのではないかというふうにも思っておりますし、また、その養成の段階、研修の段階での改革が必要であろうと思います。この点については、教員養成部会とも連携して、国の方の教員研修センターでも、ここのこまを是非設けていただきたいなというふうに思っているところです。
【今村委員】  ということで、理念を実現するために、校長先生の力、そして指導主事の先生の力をきちんとサポートして引き出していくような仕掛けが必要であるということと、さらにチーム学校の議論で出ているような専門家の方々と、また地域の保護者の方々、首長さん、そして産業界の皆さんとも一緒に、この学習指導要領の改訂の理念を熟議するような研修会があっても、本当の意味で伝わっていくんじゃないかという話も出ました。
 いろいろと、まだ出たんですけれども、最終的には、小松さん、財源を頑張ってくださいという話で、この場は楽しく議論ができて、最終的には、やっぱり学校は財源があって人がいてというところが大切だということで、お話合いが終わりました。
 以上です。
【羽入主査】  ありがとうございました。
 それでは、鈴木補佐官、一度、ご感想を。
【鈴木大臣補佐官】  皆様、本当にお疲れさまでございました。とりわけ3班、4班の委員の先生方には、これは初めての試みでもございましたので、大変混乱もありましたが、御協力いただきましてありがとうございました。
 どうでしょう。これ、恐らく附箋の数を合わせますと、400枚とか500枚ぐらいになるんじゃないでしょうか。わずか70分の中で、委員の先生方が日頃お考えのアイデアを、まずはこの皆さんとシェアできたということは非常によかったなというふうに思っていますし、また、それぞれの御議論の中で、もちろん我々、これまでの議論でも認識はしていましたけど、やっぱりその濃淡といいますか、重みというものが改めてよく分かったのではないかなと、意識を深めることができたのではないかなと思います。やはり何のために、我々は今、教育改革といいますか、新しい学習指導要領を作っているのかと、やっぱりこの理念をしっかりと現場に伝えていくことが大事だと、このいずれの班からも、そしてやはり学校のカルチャーを変えていくというところまでつなげていかなければいけない。その際には、当然、社会も地域も巻き込んだ、そういうカルチャーをということで、当然、学力とは何ぞやとか、教育とは何ぞや、学校とは何ぞや、教室とは何ぞやと、こういうことになるんだろうと思いますが、そういう非常に大事なフィロソフィカルの話についても確認ができたこと、良かったと思います。
 また、それをどういうふうに実現をしていくかという方法論についても、多くの、例えば熟議対話型の研修でありますとか、あるいはそれを誰に具体的にやっていくのか。指導主事、あるいは校長先生、いろんな対象がよりクリアになってきたと思いますし、また、今までは学習指導要領、確かにこれは法律文書でありますから、要するに、文字の羅列でやらなきゃいけなかったんですけど、今回はやっぱりビデオを作らなきゃいけないかなということも、また新しい仕事が事務方には降ってまいるわけでありますが、また皆様方にも新学習指導要領解説ビデオ作成編集委員会か何かにお声掛けをすることになるかもしれませんけれども、やはりそれは本当にそうだなというふうに思います。ICT、オンライン、ビデオ、こういう、我々、新しいコミュニケーションツールを持っているわけですから、それを使わない手はないということ、これは目からうろこでありますが、是非そうしたこともしっかりと紙をまとめることと同じぐらいのエネルギーを掛けていかなければいけないなということを理解をさせていただきました。
 もちろん、その際の教材作り、当たり前の話ですけれども、どうしても文部科学省がやりますと、制度論だったり、あるいは枠組みだったりの議論に偏りがちなんですけれども、それと同時に、非常に大事なフィロソフィーと、そしてそのディテールと、こういったことを改めて皆さんと共有できたのは非常にありがたく思っております。
 きょうの御議論をしっかりと生かしてまいりたいと思いますので、きょうは本当に大変皆様方に御協力いただきましたこと、心から感謝申し上げ、きょうのお知恵を是非報告書に必ず生かし、また報告書が大事なんではなくて、現場にこの思いを伝えるということが大事だということを改めて申し上げまして、私からのお礼のコメントにさせていただきます。どうもありがとうございました。
【羽入主査】  どうもありがとうございました。
 意見交換の時間を30分程度とっていたんですが、皆様の御発表、大変力が入ったもので、残りの時間15分程度あろうかと思います。それぞれの班の御発表に対して、御質問や御意見、頂けましたらと思いますが、いかがでしょうか。
 今、全体のスクリーンの中に映っていたのを拝見しながら、ICTを使った場合の発表の仕方は4ページ使っていた。手書きは1ページで済ませなければならなかったということを大きな違いとして感じました。ある広がりといいますか、枠の中に話を収めるということを、大変、先生方、御苦労いただいたかと思いますけれども、そういう違いが、もしかしたら何らかのまとめ方の違いにもなっていくのかもしれないということは極めて個人的な感想です。
 こういう感想を言っている間に、先生方から御質問があるのではないかと思って、今、時間をとっていたんですけれども、いかがでしょうか。より確認したいというようなこととかがありましたら、いかがですか。きょうは札がありませんので、手を挙げていただければと思います。
 今、鈴木補佐官がまとめてくださいましたけれども、今回、皆様の御発表を伺っていて、私どもが作ろうとしている指導要領というのが、やはり現場でどのぐらい有効なものになるかということを、とても強く意識しているのではないか。先ほど今村委員の方から、議論のたたき台、研修のたたき台というようなことを、第2班としておまとめくださってましたけれども、具体的な場面で役に立つような形にしたいというのが、恐らく今回御参加くださっていらっしゃる方々の多くの方向性ではないかというふうに思いました。
 それから、平川先生が御報告いただいた中で、クリティカルシンキングの話が出ましたけれども、否定的なものではなく、肯定的に考える必要があるのではないかということをおっしゃっていまして、私、大変勝手な解釈で申し上げますと、クリティカル、クリティークという言葉が批判ではなくて、自らの思考の範囲、限界を認識することだという考え方がございます。つまり、自分の思考にはどうしても限界があって、そして、それを意見を交わすことによって広げる、そういうための一つの思考方法というふうに考えられるのではないかというふうに思います。そう考えますと、クリティカルというのは、別に否定するものでもなく、新しく領域を開く、あるいは限界を開く、広げるというようなものではないかというふうにも考えながら、いつも皆さんの御議論を伺っておりました。
 御質問、御意見はありませんか。ICTはいかがでしたか。使いやすかった。使いやすかった方は、どのぐらいいらっしゃいますか。どなたもいらっしゃらないというのは、ちょっと困るかなと思うんですけれども。
 品川さん、いかがでしたか。
【品川委員】  はい、ありがとうございます。
 私は非常に戸惑いながら、最初は結構戸惑いながら、一つは、多分、これは初めて使う機器だったので、その機器の使い方が覚えるまでにちょっと時間が掛かったというのが、まず1点と、最初の頃は、「やっぱり附箋がいいよね」と言いながらやっておりましたが、後から、まとめてから動かしたりとか、作っていく上ではやりやすかったのかなというのもありました。
 ただ、これだけになると、私がいつも取材するような発達課題がある子供たちの中には、ほかの機能に集中しちゃって、要は、頭の中で思っていることを書く前に、ほかのことに意識が飛んでしまうという点とか、それから協調性運動障害のような不器用な子供たちは多分使いにくいだろうなとか、ICTと附箋がうまく使えるともっといいのになというようなこともちょっと思いました。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 今村さんは附箋でやっていただいたんですけれども、ICTの成果とか御覧になって、どんなふうにお感じになりましたか。
【今村委員】  使い方になれている方だと、議論の広がりが作れるのかなと思ったんですが、今日の場は、私にとっては紙がすごく使いやすかったなと思っていまして、すごく知見を持った先生方が集まっているので、ポイントをまとめていくのには紙は非常に使いやすかったんですが、これがICTを使ったらどうなるのかということを試してみたいなとは思いましたが、ちょっと難しそうだなと実は思っていました。
【羽入主査】  試してみたいなと思いますよね。今度逆にしてやりますか。もう事務局が、なかなか大変になるかと思います。
 それでは、特に御意見がおありでなければ。
【市川委員】  ICTの話でいいですか。
【羽入主査】  はい、どうぞ。
【市川委員】  私たちはふだん、指導案検討とか、授業後の研究協議をやるときには、いつも紙で附箋を使って、それこそクリティカルに、こういう点は良かったんじゃないかとか、こういう点は、もっとこうした方がいいかもしれないというような建設的な批判も出し合いながら紙でやってます。それで、今日初めて、このソフトでやってみたんですけれども、最初は確かに戸惑いました。ちょっと操作の点で、二、三十分はなれないなという気持ちでやっていたんですけれども、途中から、ある程度なれてきて、そして、いい点、悪い点というのを、いろいろ感じることができました。附箋でやっていても、どうしても字は小さいので、やっぱり逆さになっていたり、遠くにあったりすると見えにくくなるという点は、私はちょっと附箋でやっているときの問題点だなと思っていました。ただ、1枚の附箋の中に入るので、一望できるという点は、すごく、むしろ模造紙のいいところかな。
 このICTの方なんですけれども、それぞれ細かい字になっていても、一人一人がこういう端末を持っていますので、よく見えるんですね。それから、1ページで足りなくなったとき、複数ページになると。複数ページになると、ほかにどんなページがあるんだったっけということも、ちょっと大変にはなるんですけど、押せばすぐほかのページも出てきますので、全体として、どういうものがあるかとかいうことが把握できれば、そこにあるものを張ったり、移し替えたり、また加除訂正したりみたいなことが楽にできて、最終的には、結構いいものができ上がって、ある程度でき上がると、今度は口頭での議論に、かなり後半は時間割けましたよね。結構言いたいことがお互いに言えて、それは附箋でも同様かもしれないんですけれども、この人数で言いたいことが言えると、それは共通の良さとして、すごく感じました。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 それぞれ良い点と、それから不便な点とあろうかと思いますけれども、先ほど皆様おっしゃってくださいましたように、この教育課程企画特別部会で考えておりますことは、指導要領が新たな教育の姿を示すということであり、そしてまた、アクティブ・ラーニングが目的なのではなくて、どのような教育の姿を示すかということが大きな議論の観点であると、要点であるということでございます。きょうは試みにこのような形をさせていただきましたけれども、御協力いただきましたことを心から感謝申し上げます。
 また、きょう、傍聴くださいました方々にも大変な御協力をいただきましたことを、厚くお礼申し上げます。
 きょう御議論いただきましたことは、デジタルデータに録ってございますので、エラーのないように保存し、そして関連する部会に伝えていきたいと思います。
 次回は、この部会の論点整理案につきまして、多分、通常のような形になるかもしれません。御議論いただきたいと思います。
 では、次回について、事務局からお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  本日は、先生方、また傍聴の皆様、御協力いただきまして、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
 次回の特別部会の日程につきましては、7月22日水曜日13時から、文部科学省旧庁舎6階、第2講堂において開催を予定しておりまして、企画特別部会の論点整理案につきまして御審議いただきたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 それでは、これで本日の教育課程企画特別部会を終了いたします。
 改めまして、皆様に御協力を心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2369)