チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第1回・第2回)における主な意見

チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第1回・第2回)における主な意見

 

<初等中等教育企画課作成>

(1)学校が組織全体の総合力を高め、発揮していくための学校運営の在り方等について

○ 教師が協働的に授業を作り上げていく体制や、教員が互いに円滑なコミュニケーションをとれる雰囲気作り・環境作りが、これからの学校作りには必要。

○ マネジメントについては管理職頼みの教員も多いが、一人一人の教員がマネジメントに関わる雰囲気を作り出していくことが重要。

○ 学校の組織力を向上させるためには、まず、組織目標、目的を共有することが必要。次に、学校教育目標の具現化のため、その視点、方策、場を校長が示し、教員が共有することで、教職員の共同意欲が出てくる。しかし、時間が足りないことなどもあり、情報共有を行うことができていない。

○ 学校では情報が共有されにくく、継続性や横のつながりが課題。企業における情報共有のノウハウを取り入れることも必要。

○ 先生、事務職、カウンセラー等は、価値を変え、行動パターンも変え、合意形成の仕方も変えなければならない。

○ 企業や大学が求める人材像が、より現実的なものになっており、答えのない問いに答えていく力や、多様な立場や価値観への寛容性、また、様々な現実の社会課題がある中で、当事者意識を持ってそれを受け止めていく力が今後、必要となる。そういった人材を育成していくために、どのような資質が教職員に求められていくのかという観点から議論を行うことが必要。

○ 教育というのは人。授業力が勝負であり、双方向型の授業をやるためには、よほど教員の力量がなければ駄目。行政がそれをきちんと担保しなければならない。

○ 先生方は、ある意味で頑張り過ぎてしまう面があり、学校に求められる内容が多くなり、また専門的な力量を要求される部分も多くなる中、本当に大変であると感じる。授業準備をする時間がもっとあれば、もっとすばらしい授業を毎日展開できるのではないか。

○ 専科の先生や学校総合支援員といった人的支援や、研修の時間の確保に頭を痛めている。良い子供たちを育てるためには、先生方が元気にならなければならない。

○ 学習指導要領の趣旨を実現していくためには、一つ一つの授業時間の意味、意義、狙いをこれまで以上にしっかりと考え、カリキュラム全体を見て作戦を立てていくことが各学校にますます求められてくる。

○ 次期学習指導要領の重要な課題であるアクティブ・ラーニング等々の新たな学びや学習指導の形態については、教員の授業のありようや、子供の学習環境をどう整えてどう活用していくかというイメージを具体的にしながら、詰めていく必要がある。

○ 今後、学びを変革する上で、教員の仕事がどう変わるのかというシミュレーションが必要になってくる。

○ 教務主任がカリキュラム・マネジメントの中心となるべきだが、そのための研修をしたり、カリキュラムと向き合ったりするための時間が確保されていない。教育の目標や内容・方法を囲んで、子供の姿を出して語り合う時間が確保される必要がある。

○ 授業の質的な変革をしていくためには、教員の研修等を充実させるとともに、それぞれの教員が実践的な研究を進めていく時間も今後確保していかなければいけない。

○ 週案や年間指導計画について本格的に検討する時間を確保することがどうしても必要になり、これまでより時間がかかる評価の在り方を模索していくことになる。

 

(2)教員と事務職員、様々な人材との役割分担や連携の在り方について

○ 教員は、教科指導、質の高い授業ができるかが第一と言われてきたが、現在は、教育活動を行う上での専門性のほかにも、非常に幅広い業務を行うことが求められている。学校で教員が質の高い教育を提供できるよう、環境整備していくことが重要。

○ 「教員でなければできない業務」と「それ以外の業務」は、実際には重なり合う部分があり、かつそれの調整が必要。現在は両方とも先生がやっており、先生に多能性があることの良さも考え続けるべきである。

○ 多能性のある先生方の部分が切り落とされて、他のスタッフに代替されるようになってしまうのではないかと危惧する。先生の部分は確保又はアクティブ・ラーニングの実施で更に手厚くする形で、プラスアルファで他のスタッフを付けられるかが重要。

○ いろいろな教科の教師がそれぞれの専門性を生かしながら話し合い、地域の方も交えて議論をしながら、協働的に単元開発・カリキュラム開発等をしていかないといけない。

○ 校内研修や授業研究を中心とした実践的な研究がなかなかできにくい。専門ではない先生も部活動の担当になっていて、そういう先生方は負担感を大きく感じている。

○ 事務職員が要。少し違った立場で学校全体を見て、施設のこと、お金のこと、人のことを考える事務職の位置付けを高めると、マネジメントの核の一つになると思う。

○ 学校事務の共同実施が自動的に学校経営の改善や学校経営の質を高めることにつながるものではない。それをつなげるためには、学校事務の共同実施の活用について戦略をどう打ち出していくか、例えば先駆的な取組の事例から検証しておくことが必要。

○ 人的な面での様々な支援があれば、先生方は助かる。いろいろな方々と協働し、コラボレーションしていけるような世界を作っていかなければいけない。

○ スタッフを配置することによって、少しでも先生方が、授業など子供に向き合うという時間を確保できるのではないかという期待がある。

○ 学校の中だけで問題を解決することができない現状がある場合、地域との連携は避けられない。学校にスタッフを入れる場合、どんな役割分担で、どんなパートナーシップを組むのかということを考えるべきである。

○ 学校を取り巻くニーズが非常に複雑化しており、先生が複雑な問題に全て対処しなければいけない中で、学習サポーターが重要な役割を果たし得る。学習サポーターが、学校現場で具体的にどういった役割を果たして、教員とどういうパートナーシップを組んでいけるかが重要なポイントになる。

○ 学校の中での役割分担の在り方をよく考えた上で、学校にどういうスタッフが必要なのかを明らかにし、それに対する予算や人材バンクなど、市町村等が行うべきこと、国が行うべきことを整理していかなければならない。

○ 軽微な事務とハイレベルな事務を区分して考えなければならず、様々な間接的な仕事を束ねるスタッフを誰が人的管理していくのかという議論が必要。

○ 非常勤の教科支援エキスパートを市費で雇い、子供と向き合う時間を確保することや、学校応援団といった簡単な学習支援ボランティアを活用して、教員の負担を軽減する取組もある。

○ 学習サポーターの現状と今後の課題については、全国な先駆的な事例も集めて今後、詰めていきたい。

○ 小学校、中学校それぞれに特殊な勤務形態があり、超過勤務が生ずる理由は一緒にできない。小学校の先生の負担軽減を考えるときには、1日のうちに授業担当ではない時間を作れるような勤務形態を考えることなど、事務処理の合理的な仕組みを入れていく方向性があると思う。

○ 教材の準備に係るような無駄はなくし、教材自体の質を高めることに時間をかけることができれば、一層授業が充実していくのではないかと思う。

○ 複数の先生が1つの学年を担当する場合には、なるべく教材を共有化し、その先生が欠けた場合でもほかの先生が行って同じような授業をやれるような方法をとっている学校も出てきており、時間的なロスが少なくなるように工夫している部分もある。

○ NPO法人や様々な教育機関、調査研究を行う大学などからの調査依頼についても、県教委や市町村教委で整理できないかという意見があり、学校に負担のかからない形でできるように、理解を求める働きかけも必要ではないかと感じる。

○ ICT化や効率化等を進めると、教職員の関与が薄くなってしまうところがある。どういうところで関与の場を設けるのかも議論の中に加えてもらいたい。

○ 校務支援ソフトを入れるのにはお金が掛かり、補助があれば有り難い。学校内で情報共有を進めるために、ICTの活用というのは一つのヒントとなる。

○ 組織マネジメントやクラス運営、教科指導に必要なICTのスキルは、教員養成段階から学ぶ必要がある。その上でICTのスペシャリストを入れるのは賛成で、多忙の解消につながる。

 

(3)教員の評価や処遇等の在り方について

○ 教員の評価や処遇等を趣旨に沿った形で機能させるには、その在り方や具体的な運用について真剣に考えないといけない。

○ 評価と処遇等の在り方については、KPIの設定が重要。そのKPIがあった上で、目指すビジョンの中でどのように弱みを補い、強みはより強くし、到達するパスを設計していくのかというものの中に研修は位置付けられるべきである。

○ 教員の評価については、処遇とのリンクが難しい。導入している県の状況、問題を検討しながら、きちんと整理していきたい。

 

(4)管理職や主幹教諭、指導教諭、主任等の在り方について

○ チーム学校を強化することは、管理職が管理職としてのしかるべきマネジメントの仕事に専念できるということであり、管理職のマネジメントの支援や研修の在り方が重要である。

○ 教員に加えて複数種のスタッフの方で構成される多様性のある組織をどのようにマネジメントしていくかが難しい。より高度な校長のありようが求められ、それをどのようにチーム学校の中に位置付け、そういう校長をどのように育成していくかが重要。

○ 教育の現場に管理職で入っていく方に、より高度なマネジメントのスキルが求められるべきである。民間のプロフェッショナルの登用が進んでもいいし、管理職の研修の部分で、より民間での人事研修に近いような一般的な形もあるのかもしれない。

○ 多忙化の現状にあって、管理職の課題もある。業務改善、事務職員の配置等が、管理職のサポート、管理機能の強化につながるところもある。

○ 管理職や主任に加え、主幹教諭や指導教諭といった職を機能させるには、養成のほか、その在り方等を明示し現行のシステムとの違いを十分周知させなければいけない。

○ マネジメントの中で、ミドルリーダーの位置付けの認識がばらばらであることが、ミドルリーダーに対する積極性を阻害している。養成・採用・研修の流れの中で、ミドルリーダーも見ていかないといけない。

○ 主幹教諭、指導教諭、主任等が、実態的にはどういう現場でどういう動き方、働き方をしているのか、データに基づいて検証する作業が必要。

○ 指導主事の不足分を補うため、退職校長等を教育委員会が雇い、指導主事に代わって学校支援の業務を行うという仕組みもあるが、どうやって効率的に運用していくかが課題。

○ 教育行政職というような職を作って、指導主事が本来の業務、学校支援業務に専念できるような仕組みを考えるなど、いろいろな工夫が必要。

 

 (5)学校と地域等との連携の在り方について

○ 学校は先生だけのものではなく、地域とともに子供を育てるとき、チーム学校という考え方が必要。

○ 多彩な人がそれぞれの強みを生かし、一緒にパートナーとして進むコミュニティスクールの仕組みそのものが、チーム学校の基盤となる。学校運営協議会や学校支援地域本部のコーディネーターが学校組織に外から風を入れることで、情報が流れ、活動が動いていく。

○ 多様な学びの形の実現、社会課題に対する当事者意識を育んでいくという意味においては、その学校がある実際の社会における市民社会、例えばNPO等との連携というのは非常に大きな意味を果たしている。また、地域ならではの企業等との連携で、その地域で実際に起きている課題を学生に理解してもらうような機会が生まれる。

○ チーム学校で、地域協働は教育改革の柱であり、社会総がかりで学校を良くしていくという視点で地域協働を考える必要がある。そのときに考えなければいけないのは、先生方、学校のコミュニケーション力であり、文化、価値観、経験の違いをこえてつながることが重要。

○ サポートスタッフと学校支援地域本部事業は、どちらも地域とともにある活動として連動すると良いと思う。

 

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育公務員係)