(1)県教委の取組等
○学校への調査物や調査方法の見直し
H19:435 → H25:274
○研究指定校の見直し
H19:216 → H25:180
○県教委等主催行事の見直し
H19:820 → H25:764
○「学校現場の負担軽減に関する調査」を実施し,負担軽減に関する意見を聴取
小12,中12,高8,特支2,計34校を抽出して実施
○県教育庁調査・照会等文書発出予定表の通知を送付
○各学校に対して,各種会議の見直しや行事等の精選,校務処理の簡素化・合理化を図る通知を配布
○市町村教委や学校に対して,校務に関する文書業務の軽減や教職員間の情報共有を図るための校務支援システムの導入を促進
小:60.7% 中:57.4%
(2)各市町村教委の取組状況
取組の項目 |
実施市町村教委の割合(%) |
電子メールの積極的活用 |
100.0 |
書式等の簡素化・統一化 |
100.0 |
市町村教委主催の行事の見直し・精選・廃止 |
88.4 |
市町村教委指定の研究協力校の精選 |
65.1 |
公印使用の見直し |
60.5 |
(3)各市町村教委の校務処理改善の具体例
a 行事
・主催行事の内容を精査し,回数を減らした。
・学校訪問時には,既存資料を活用させるなど資料の簡素化を図った。
b 電子化
・グループウェアーで様式等を配布することにより,文書作成の効率化を図った。
・報告様式のデータ上の注意事項を付記するなど,作成しやすい工夫を行った。
・電子メールを活用し,校内研修講師派遣申請手続きを簡略化した。
c 調査・報告
・調査様式をメール配布。データを一元化し,書式等の簡素化・統一化を図った。
・公印不要のものについては,電子メールによる報告とした。
・報告物の種類によっては,鑑文不要の回答様式(FAX)を利用した。
・シンクライアント方式による情報一括管理を行い,情報漏洩防止を図った。
d その他
・研究協力校を精選した。
・学校事務の共同実施を活用した校務処理の簡素化を行った。
・特定事業主行動計画の周知徹底等を行い,適正な勤務時間管理を意識付けた。
(4)各学校の取組状況
取組の項目 |
実施校の割合(%) |
学校行事の見直し・精選・廃止 |
86.2 |
校内LANの活用 |
82.6 |
校務分掌の見直し |
81.3 |
様式,書式等の簡素化,統一化 |
76.7 |
関連のある会議の統合 |
72.1 |
時間割を調整しての各種委員会等の実施 |
69.8 |
職員朝会や会議の回数減 |
49.4 |
(5)各学校の校務処理改善の具体例
a 会議
・諸会議の進行管理の徹底,グループウェアソフトを活用して周知し,時間縮減を行っている。
・会議,研修会等を長期休業中へ移行した。
・会議資料を事前に配布し,会議等の効率化を図った。
・職員の空き時間を調整し,会議を時間割中に組み込んだ。
・軽易な説明事項については職員朝会で説明するようにした。
・職員評価の項目を見直し,校務分掌の学期ごとの反省会とリンクさせ,会の合理化を図る。
b 校時表,行事
・定時退庁日を設定した。
・学校行事等の見直しを行い,精選・廃止した。
・土曜日に定期考査や行事を実施し,授業時数の確保に努めた。
c 電子化
・グループウエアの活用による情報共有及び業務の効率化を図る。
・配布資料の軽減化を図るため,必要な資料は共有ファイル上のデータを閲覧させる。
・校内LANの活用による報告や連携の簡素化を図った。
d 組織
・校務分掌の見直しを行い,複数体制を整備して組織で取り組めるようにするなど,事務の分担化を図った。
・職務内容細目を作成するなど,校務分掌の仕事内容を明確化した。
e その他
・勤務時間記録ソフトを利用し,勤務時間の適正管理と自らの健康管理及び効率的な職務遂行の意識付けを行った。
・職員朝会で配付するプリントを制限し,プロジェクターで確認している。
・研修の際はパソコンを持ち寄り,用紙の節約と時間の効率化を図っている。
(1)授業,いじめや不登校・校内暴力等の生徒指導,インクルーシブ教育(特別支援教育)への対応,部活動等に関すること
a 授業に関すること
○「総合的な学習の時間」は,各学校が創意工夫することに意義はあるが,教科横断となることや複数の教職員がかかわることから,準備・打合せ等による共通理解に,相当数の時間を要する。
○授業時数の少ない教員に,多くの事務分掌を担わせようとするが,必ずしも事務分掌の分担内容と授業の持ち時数とを兼ね合わせることができない状況がある。
b いじめや不登校・校内暴力等の生徒指導に関すること
○生徒指導上の問題等への対応については,突発的に対応等しなければならない場合が多く,計画的な校務の遂行に支障を及ぼし,かなりの時間と労力を要する。詳細な記録が必要な場合もある。
○児童生徒が不登校やいじめ,問題行動を起こした際は,児童生徒への指導,保護者との連絡・面談,その際の報告書の作成,関係機関を含めたケース会議の実施,継続的なかかわり等,膨大な時間と労力が必要となる。
○生徒指導上の問題が以前にも増して態様や要因が複雑化しており,適切な初期対応がとれず,その後の解決に相当数の時間がかかる傾向がある。
○力によらない組織的な生徒指導体制を築くためには,児童生徒やその保護者の考えをじっくり聞いて語り込むことが求められるが,学級担任や教科担任をする中での時間の捻出はかなり難しい。
c インクルーシブ教育(特別支援教育)への対応に関すること
○障害のある子どもが授業中に跳び出す等,落ち着きのない子どもへの対応は,担任や特別支援教育支援員だけでは手に負えない状況になってきている。
○友人とのトラブルが起きれば,担任が間に入り,双方の話を聞いたり,場合によっては,家庭と連絡をとって説明したりしているが,精神的,時間的労力は大変な状況になっている。
d 部活動等に関すること
○部活動については,すべての部活動に副顧問を配置できないため,顧問によっては,週末を含めて多忙な状況になっている。一般に入賞等の多い運動部ほど,大会も多くなっている。また,吹奏楽部のように,大会出場の機会は少なくても地域からの参加要請の多い部活動もある。
○部活動に熱心な保護者がいる学校では,すべての大会に出場せざるを得ない状況がある。また,各種大会は,主に土日に集中しているので,教職員が休めない状況にある。
(2)成績処理,連絡帳の確認,学級通信等の作成,諸帳簿の作成等に関すること
a 成績処理に関すること
○すべての担任が,休み時間や授業の空き時間等を使って処理しているが,とても時間が足りないために自宅に持ち帰って採点等をしている状況である。
b 連絡帳等の確認に関すること
○毎日点検する生活の記録は,保護者や生徒の信頼を得るためにも印鑑だけで済ませないでコメント等を書き込んでいるが,時間がかかり負担となっている。
c 学級通信等の作成に関すること
○毎週発行する学級通信は,生徒の様子を家庭に伝える重要な手段であり,昼休み,放課後,自宅等で作成しているが,情報収集等,かなりの時間を要している。
d 諸帳簿の作成等に関すること
○指導要録や通知表等の記入については,公文書取扱の観点から持ち帰ることもできず,生徒数が多くなると相当な負担になる。
○学級会計簿の整理や会計報告,学年・学級PTA資料の作成,学期末の成績処理等は業務が重なることが多く,担任を中心にかなりの負担になる。
○3年部は,進路指導業務として進路判定資料の作成,保護者との面談の実施,願書・調査書の作成等があり,いずれも短期間での準備で膨大な時間を要する。
(3)学校行事,会議・打合せ,その他の校務等に関すること
a 学校行事に関すること
○運動会や学習発表会等,学校全体で行う行事については,教職員や関係者等との連絡・調整に加え,準備から片付けまでの作業量が多く,時間外での業務になることもしばしばで,負担が大きくなっている状況がある。
○集団宿泊学習や職場体験活動等の学校行事は,関係機関や外部関係者との連絡を頻繁にとる必要があるが,授業との兼ね合いで時間が限られ,負担が大きい。
b 会議・打合せに関すること
○学年主任や生徒指導主任の企画・立案力,調整連絡能力により,運営面に差異が生じ,段取りや見通しが十分でない場合は,構成員が多忙化に陥る状況がある。
○職員研修係は,研修に係る資料準備や外部機関との連携,講師との事前打ち合わせ等を必要とする業務等が数多くあり,負担となっている。
c その他の校務等に関すること
○校務等に対する仕事量の感覚には個人差がある。その要因は,これまでの教職経験を含む人生における様々な経験の違いや他者との関わり方等の差が,新たな場面に対する対応力の差として顕在化していることが考えられる。
(4)保護者対応,PTA活動・地域対応,行政・関係団体対応等に関すること
a 保護者対応に関すること
○価値観の多様化が進展しており,一人一人の保護者のニーズに応える対応を努力しているものの,十分な対応ができずに苦慮している。
b PTA活動・地域対応に関すること
○PTA活動については,三役会や幹事会などの会合,PTA専門部の活動等が,夜の会合にならざるを得ない状況にある。
○中学校は校区が広く,各自治会の活動が盛んなところでは,例えば,毎週のように地区の行事があり,管理職や地域担当,あいご主事等の負担となっている。
c 行政・関係団体等に関すること
○市教委主催の教科部会等の事務局担当になった教員の負担が大きくなっている。
(1)多忙化解消に役立つ人材等
a 学級事務や環境整備等の支援
○ 事務処理の効率化または施設管理を行う事務職員のさらなる複数配置
○ 学級会計事務等を補佐してくれる事務補助支援員の配置
○ 学校に24時間態勢で常駐し,施錠等の管理等をする警備員の配置
○ 学校の修理・修繕,草刈り等の環境整備員の配置
○ ホームページ作成やアンケート集計,担任の必要なプリント等の印刷の業務など単純業務補助支援員の配置
○ 理科の実験準備など,授業準備に時間のかかる教科に,高校の実験助手のような支援員の配置
○ ICT機器に関する技術的なサポートやインターネット環境におけるセキュリティーの構築などができる支援員の配置
b 障害のある児童生徒や不登校児,悩みを抱えた保護者等に対応する支援
○ 適応指導教室等の臨床心理相談員の配置
○ 児童生徒や保護者との面談ができる心理カウンセラーの増員配置
○ 家庭に何らかの問題を抱えた生徒のかかわりにおいて,橋渡しとなるスクールソーシャルワーカーの増員配置
○ 特別な対応が必要な児童生徒に診断的にかかわり,教職員にアドバイスできるスクールカウンセラーの増員配置
○ 発達障害のある児童生徒に対応ができる特別支援教育支援員や,医療的ケアのための看護師などの配置
c 学習指導への支援
○ 地域の人材や大学生等を授業に参画させたり,放課後に補充的な学習指導を行わせたりする等の学習指導支援員の配置
○ 武道(柔道)等の指導ができる非常勤講師の配置
○ 教師の授業力,学級経営力を高めるために,担任の要請に応じて,或いは,その教師の判断で指導に当たる「教育専門監」の配置
○ 個別指導を充実させるための各教科の定数の増員配置
d 部活動指導への支援
○ 地域の実情に応じて,競技団体と連携を図り,専門性を有した外部人材を派遣
(2)多忙化解消のために学校としての取組
a 効率的な組織運営
ア 管理職が行う取組等
○学校の多忙化の状況を把握し,校務処理の簡素化・合理化に努める。
○リーダーシップを発揮し,校務について種々の改善を行うなど,校務効率の向上への自覚を持つ。
○業務のバランスを考慮し,新たな校務への積極的な活用を促進する。
○教職員自身がストレス対処に取り組むセルフケアを,職場全体で促進する体制づくりを行う。
○教職員が問題を一人で抱え込まないような風通しのよい職場の雰囲気づくりに努める。
イ 教諭等が行う取組等
○スケジュール管理をしっかりできるようにする。
○全体の研修を一つの方向にリードする強力なリーダーシップを発揮する。
○全教職員の協力体制をつくるために,自分の壁を作らず何事も前向きにとらえられるようになる。
○学校全体を落ち着いた状況に導くためには,生徒指導の核となる教員と,生徒の悩み等にいち早く気づき,担任と連携がとれる養護教諭の資質向上が求められる。
b 学校と保護者,地域との連携
○学校は,抱える課題解決に向けて,「信頼される学校づくりのための委員会」等を設置して,保護者や地域の方々に対し,積極的に理解を求めるとともに,日頃から連携を密に図りながら取り組んでいく必要がある。
c 会議,行事等の見直し
○パソコン等を活用した会議資料のペーパーレスに取り組む。
○校内LANを整備し,報告書の様式等を共有できるよう取り組む。
d 部活動や各種大会等への取組
○部活動の練習日数や大会出場回数を見直すよう,継続的に指導する。
初等中等教育局初等中等教育企画課