チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第15回) 議事録

1.日時

平成27年10月7日(水曜日) 15時~17時

2.場所

中央合同庁舎第4号館 12階1208会議室

3.議題

  1. チーム学校関係予算の平成28年度概算要求状況説明
  2. 「学校現場における業務改善のためのガイドライン」の説明
  3. 関係団体ヒアリング結果の報告

4.議事録

中央教育審議会 初等中等教育分科会

チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第15回)

平成27年10月7日


【小川主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第15回・チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会を開催したいと思います。

本日は、大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。本日は、議事次第にも記載されているように、最初に「チーム学校関係予算の平成28年度概算要求の状況」、及び平成27年7月27日に公表されました「学校現場における業務改善のためのガイドライン」について、担当課から紹介していただくことにしております。その後に、中間まとめに関する関係団体ヒアリングを先日行いましたけれども、そのヒアリングの結果について事務局から報告していただいた後、委員の方から、その関係団体ヒアリングを踏まえての御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

では最初に、本日の配付資料について事務局から説明をお願いいたします。

【福島課長補佐】  本日の配付資料でございますが、議事次第にあるとおり、資料1-1から1-4までが概算要求の関係の資料でございます。それから、2-1と2-2、これがガイドラインの関係でございます。資料3としましてヒアリングの概要という資料と、専門スタッフ等による学校現場の在り方等についての資料を机上配付しております。

資料は以上でございます。

【小川主査】  よろしいでしょうか。

本日も報道関係者などから傍聴の希望がありますので、これを許可しています。御承知おきいただければと思います。  それでは、本日の議事に入っていきたいと思います。

最初に、初等中等教育局財務課及び参事官より、チーム学校関係予算の平成28年度概算要求状況について説明を頂きます。よろしくお願いいたします。

【矢野財務課長】  それでは、資料1-1をお開きいただきたいと思います。1枚紙の資料1-1でございます。

チーム学校関連予算ということで挙げさせていただいておりますけれども、すでに御案内のことだと思いますが、我が国の教員の置かれている現状を3点挙げておりまして、1番目は、教員以外の専門スタッフが諸外国と比べて少ないこと。2番目は、昭和41年に勤務実態調査をやりまして、平成18年にも勤務実態調査をやっておりますけれども、教員に求められる役割が非常に拡大しているということ。3番目に、平成26年のTALISの調査ということで、OECD3か国の平均が週当たり38.3時間だったわけですけれども、教員1人当たりの勤務時間は日本が最長であると。一方で、授業時数はむしろその平均を下回っているというような実態がございます。こういった学校の実態を踏まえまして、教員を中心に多様な専門性を持つスタッフを学校に配置するということで、予算も要求させていただいております。

まず教職員定数でございますけれども、大体3,100人の自然減のうち、3,040人の定数改善を行うこととしておりますが、特にこのチーム学校の推進関連といたしまして、チーム学校の推進による学校の組織的な教育力の充実といたしまして660人を、その3,040人の内数として挙げさせていただいております。例えば養護教諭、栄養教諭の大規模校における配置の充実、また専門人材の配置充実ということで、学校司書、ICTの専門人材などを挙げております。また、チーム学校ということで教員以外の方々が学校に入ってくるということになりますと、マネジメントが非常に重要になりますので、副校長、主幹教諭、事務職員等をしっかりと拡充していくというような観点から、660人の教員定数の改善要求をいたしております。

そのほか、創造性を育む学校教育の推進ということで、主体的な思考力・表現力等を育成する双方向対話型、いわゆるアクティブラーニングに対応するための教員数の改善で1,440人。あるいは学校が抱える課題への対応、特別支援教育やいじめ、不登校への対応ということで940人。以上を合計いたしまして2,380人の要求となっております。

マル2 でございますが、教員以外の資格等を有する専門スタッフについては、学校の実情に応じ補助金等により拡充するとしております。スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーは、それぞれ平成31年度までに必要なところに全て配置するというような観点から概算要求しております。その内訳でございますが、まずスクールカウンセラーについては、全公立中学校への配置に加え、週5日相談体制を実施すること、あるいは小中学校の相談体制の配置促進ということで300校から3,100校。貧困対策の重点加配、要保護、準要保護が例えば30%を超えるような学校については重点加配を行っていくというようなことで、8億円増の要求。スクールソーシャルワーカーも、今のスクールカウンセラーとほぼ同じような考え方に基づいて概算要求しているところでございます。

また、左下をご覧いただきますと、特別支援教育の専門家の配置ということで、来年4月から障害者差別解消法が施行されますけれども、これは都道府県から非常に要望の強いところでございますが、看護師を1,460人、合理的配慮協力員あるいは外部専門家、そういったところの専門家をさらに充実していくということでございます。また、黄色いところのマル3 サポートスタッフは、学校の実情に応じ補助金等により拡充ということでありまして、これは平成25年度からの予算でありますが、来年度につきましては、3番目の小学校における英語指導への対応ということと、4番目の中学校における部活動指導支援、このあたりを新たにメニューとして追加していくというような要求となっているところでございます。

資料1-1については、以上でございます。

【塩崎参事官】  それでは続きまして、資料1-2から1-4、それと机上配付資料も使わせていただきまして、関連の予算について御説明をさせていただきたいと思います。

教員の子供と向き合う時間を実現する、チーム学校の実現のためには、今話がありました教員や専門スタッフの配置と相まって、学校現場における業務改善というものをきちんと進めていくことも重要であるということで、国として、学校現場における業務改善のための環境整備を支援する事業経費を概算要求させていただいております。

資料1-2でございますけれども、業務改善のための環境整備を支援する事業ということでは、初等中等教育局だけではなくて、各局の課の所管ごとにこれまで要求をしてきているということだったのですけれども、今回、概算要求に当たりまして、チーム学校の実現を打ち出すという観点から、関連予算全体が見える形で整理させていただきました。この資料にある緑色の部分、それから一番下の青色の部分が関連予算という形でまとめさせていただいているところでございます。

今回概算要求に当たりましては、新規に要求した事業が3つほどありますので、そちらを重点的に御説明させていただきたいと思います。

1点目は、緑のところの一番左上にあります学校サポートチームの構築推進事業というものでございます。資料1-3の方をご覧いただきたいと思います。本作業部会の指摘でもありましたけれども、保護者や地域住民からの苦情、要望への対応に大変教職員が苦労している、大きな負担になっているということも踏まえまして、こうした要望への対応に当たりましては、例えば弁護士や福祉担当者等の専門家から適切な支援が受けられるように、教育委員会に、学校をサポートするようなチームを構築すると。そのために必要な経費を措置する、モデル事業という形でやりたいと思っております。そういった概算要求を1つさせていただいているところでございます。

それから、資料1-4と机上配付資料に示しておりますが、2点目は、チーム学校の体制づくりのための検討と検証を行うための経費を措置するモデル事業でございます。こちらの方に絵がありますけれども、例えば下の方の学力向上のためのチームを作りたいとか、生徒指導充実のためのチームを作りたいとか、特別支援教育充実のためのチームを作りたいとか、特色ある学校づくりを行うために、目的に合致したチーム体制を構築するための専門スタッフの配置等を検討するための経費であるとか、構築されたチームの配置効果であるとか、効果的な配置の仕方について検証するための経費を措置していきたいということを考えてございます。

3点目は、資料1-2の方に戻りますけれども、先ほど御紹介した青い部分に業務改善アドバイザーの派遣という事業がございます。教育委員会が主導して、学校現場の業務改善を進めていくということが非常に重要だと考えておりますけれども、教育委員会がそうした業務改善を進めていくに当たりまして、専門的な立場から業務改善の助言等を行う業務アドバイザーを派遣するといった事業に係る経費を措置させていただいているというところが、今回チーム学校に向けてとりわけ新規に要求させていただいた事業でございます。

簡単ですが、以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。

それでは、今の概算要求に関する事務局からの説明について、何か委員の方から御質問や御意見等があれば事由に御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

では、なければ、ちょっと教えてほしいんですけれども、義務教育費国庫負担に入っている教職員の定数増については、複数年度にまたがる計画的な定数改善については、財務省は厳しく、単年度でやっていると思います。例えばスクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーなどについては、例えばスクールソーシャルワーカーの場合、文科省も今後5年ぐらいで1万人程度増やして、できれば全中学校に配置できるように、複数年度の見通しでもって今後の増員ということを見通しているわけですけれども、こういうスクールソーシャルワーカーをはじめとする専門スタッフの複数年度にわたっての見通し等については、財務省はどういうふうな感触で対応されているんですか。今後5年間でスクールソーシャルワーカーを1万人ぐらいというような見通しについては、そういう要求のスタンスを含めて、財務省はどういう認識で対応されているでしょうか。

【矢野財務課長】  直接それに対していいとか悪いとか、まだはっきりと言ってきているわけではないんですが、財務省は基本的に、このチーム学校ということについてはかなり肯定的な感じでありまして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについても比較的理解があるのではないかと思っております。ただ、考えていることが同じ方向を向いているかどうかというのはまた別問題であります。とはいうものの、平成31年度までに、今小川先生おっしゃったとおり、1万人増ということを出しているわけですが、それについて全体としていいとか悪いとかいうことではなくて、それはやはり単年度でということだろうと思っております。  以上です。

【小川主査】  すみません、ありがとうございました。

ほかに何か御質問等ございますか。なければ、よろしいでしょうか。  ありがとうございます。

それでは次に、初等中等教育局参事官より、「学校現場における業務改善のためのガイドライン」について説明をお願いいたします。

【塩崎参事官】  資料2-1と資料2-2を使わせていただいて、御説明をさせていただきたいと思います。

7月16日にこの作業部会で取りまとめを頂いております中間まとめにも、教員一人一人が力を発揮できる環境の整備という中に、効率的、効果的な校務運営を実現するため、業務改善に関する取組事例等をまとめた指針の作成というものを行っていくべきであるという改善方策が示されているという状況にございます。文科省におきましては、昨年6月に公表になりましたTALIS2013の結果を踏まえまして、学校現場における業務改善の推進をしていかなければいけないと。特に、こちらの作業部会の方ではいろいろな制度面の見直しということも視野に入っているわけですけれども、現行下でもできる、そういった取組をきちんと推進していかなければいけないと。そういう観点から、今回、業務改善のためのガイドラインというものを、7月27日に公表させていただいたということでございます。

このガイドラインの対象ですけれども、基本的には教育委員会向けのガイドラインとして取りまとめをさせていただいております。学校現場にも少し関わるものでありますけれども、学校現場任せではなかなか実行性が上がらないということもありまして、教育委員会向けということに主眼を置いております。

ガイドラインの作成に当たりましては、まず現場の状況を把握することが重要であるということで、学校の業務を71の業務に細分化させていただきました。資料2-2の12ページ目、13ページ目に示しておりますが、1番から71番までの業務に細分化しております。その上で、さらに学校に常勤で入ってきている教職員の種別ごと、校長先生や副校長、教頭、それから教諭といった職種別に、それぞれこの1から71の業務についての従事状況、それから負担の感じ方につきまして、抽出調査という形で調査を実施させていただきまして、その結果を踏まえて業務改善の考え方と方向性を、大きく5つの観点から取りまとめさせていただいたということでございます。その5つの観点というのが、資料2-1の、大きな四角囲みの赤い矢印が書いてある左側のところに書いてありますけれども、5つの視点で取りまとめをさせていただいております。

1つ目は校長のリーダーシップによる組織マネジメントの観点からということで、このガイドラインの中では、みずからの学校の経営ビジョンの実現に向けた組織体制の構築が非常に重要であるということ。それから、業務改善の意識を高めるための研修は非常に重要であるということ。それから、校長と教職員のパイプ役としての主幹教諭の配置の重要性と活用の重要性。学校評価を活用した業務改善の点検と評価の重要性。さらに予算等による学校裁量権の拡大の重要性といったところについて触れさせていただいているということでございます。

2点目の教員と事務職員等の役割分担など、組織としての学校づくりの観点につきましては、こちらの作業部会の方でも御審議いただいて、方向性が出てきておりますけれども、事務職員が学校運営に係る事務についても担っていただくことが重要であるということ。それからスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、ICT支援員、部活動の指導員等、専門性を有する人材が学校の教育現場の中に参画していくということの重要性について触れさせていただいたというものでございます。

それから3点目の校務の効率化、それから情報化による仕事のしやすい環境づくりの観点につきましては、事務の精選、それから部分的な外部委託等の活用などを進めるために、教育委員会内に業務改善を推進するための連携体制の構築。それから業務改善方針の策定とフォローアップ、さらには好事例の収集とか周知の重要性ということについて触れさせていただくとともに、校務支援システム等のICT化の整備による会議や稟議決裁の縮減、児童生徒の通知表とか指導要録等の作成の負担軽減等を図っていくことの重要性といったところについても触れさせていただいたというものでございます。

4点目は、地域との協働の推進による学校を応援・支援する体制づくりの観点からということで、学校支援地域本部やコミュニティースクールの取組を通じて、学校と地域との信頼関係を醸成させる。それを元に地域による学校の応援・支援体制というものを構築し、そういった中で学校の事務負担軽減を図っていく。そういったことの重要性について触れさせていただいたというものでございます。

5点目は、教育委員会による率先した学校サポートの体制づくりということで、先ほど予算のところでも御説明させていただきましたけれども、保護者、地域住民からの苦情、要望への対応というのは教職員の負担が高いということで、そうした対応をするに当たって専門家からの適切な助言を受けられるような体制を教育委員会に構築するということの重要性。それから、先ほどの現場の把握調査の中で、国や教育委員会からの学校に対する調査や報告事項が非常に負担であるということも出ておりまして、そうした縮減を図っていくといったことで、これからの調査の体制の見直しといったことについても重要である旨を記載させていただいております。

その上で、こうした考え方に基づきまして、既に幾つかの自治体において取り組まれている好事例を掲載させていただきますとともに、国として支援を行っている施策を紹介して取りまとめ、先般教育委員会の方にこちらを通知させていただきまして、国としても今後、このガイドラインに沿って地方自治体がどういった取組をしているのかといったことをきちんとフォローアップして、また逐次このガイドラインについても見直しを掛けていくということで対応していきたいというふうに考えてございます。  簡単ですが、以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。  それでは、今の説明について、何か皆さんの方から御質問、御意見ございますか。よろしいですか。  はい、ありがとうございました。

それでは、次に、きょうの主題である関係団体ヒアリングの結果と、それに基づいた委員からの意見交換をさせていただければと思います。

まず、事務局から関係団体ヒアリングの結果について説明をお願いいたします。

【福島課長補佐】  関係団体ヒアリングの概要につきまして御説明させていただきます。資料3をまずご覧いただければと思います。

関係団体ヒアリングにつきましては、頭書きにもございますけれども、8月21日から9月14日の4日間にわたりまして、合計38団体からヒアリングを実施しております。団体としましては、教育委員会の関係団体、校長会の関係団体、それから教頭会や事務職員の関係団体。それから、今回は心理や福祉関係の職能団体等も含めましてヒアリングを実施したところでございます。

いただいた御意見につきまして、資料3に簡単にまとめております。

資料3の1つ目の四角、「チームとしての学校」が求められる背景というところをご覧いただきたいと思います。ヒアリングの中では、このチーム学校の考え方、あるいは具体的な改善方策について、多くの団体から、賛成あるいは実現を求めるといった肯定的な意見を頂いたところでございます。ただ、留意点として、かぎ括弧で複数ございますが、あくまで学校の中心は教員ということがあるということで、専門スタッフを入れることで教職員定数が削減されることのないようにしてほしいという意見、これは複数頂いております。それから私立学校の関係団体からは、私立学校の自主性を尊重しつつ配慮をお願いしたいですとか、あるいは国立大学の附属学校についても配慮をお願いしたいと。それから、学校種で申し上げれば、例えば幼稚園などにつきましても職員の在り方というのが変わりますので、そういった学校種等に応じた配慮をお願いしたいという意見も頂いたところでございます。

続きまして個別の中身でございますが、これは中間まとめの構成に沿った形で整理させていただいております。チーム学校を実現するための視点とその方策ということで、まず視点の1、専門性に基づくチーム体制の構築というところでございます。ここは、そこにあるとおりでございますが、専門スタッフを入れるということで、教員の負担軽減あるいは学校の教育の質の向上につながるという意見が出た一方で、繰り返しになりますが、やはり教職員の定数そのものが削減されるということがないようにしてほしいといった意見。それから、教員が今幅広く総合的に業務を担っているということがございますので、役割が細かく分担されるということで、生徒を全体として捉えにくいような状況、こういったものが生じないようにしてほしいといった御意見等が表明されたところでございます。

1の教職員でございますが、今申し上げたとおりでございますけれども、少人数学級の推進あるいは教職員定数改善計画の作成といったもの、それから教員の業務につきましては、中間まとめにも若干ございますが、より深く掘り下げた検討あるいは精査が必要であると。その上で、次のページでございますが、単に業務を切り分けるというだけにならないようにしてほしいといった御意見を頂いたところでございます。

続きまして、2のスクールカウンセラーでございます。スクールカウンセラーにつきましては、直接の団体といたしましては、日本臨床心理士会・日本臨床心理士資格認定協会に来ていただいているのと、それから、日本スクールカウンセリング推進協議会といった団体から御意見を頂いております。ただ、それ以外の団体からも、スクールカウンセラーにつきましては学校で普及してきておりますので、標準的な職として位置付けて、将来的には国庫負担の対象としてほしいと。併せまして、やはり能力、実績に見合った処遇の改善が必要であるとか、あるいは学校で活動するということですので、やはり教育についても一定以上の知識を有することが必要であると。また、これは学校現場等の意見からでございますけれども、やはり配置時間を増やしてほしいですとか、あるいはその都度、人が替わらずに、同じ人に相談できるようにしてほしいと。あるいは、例えば小中連携をやっている学校では、同じ人が小中両方に行けるようにしてほしいと。そういったような意見を頂いたところでございます。

続きまして3のスクールソーシャルワーカーでございます。これにつきましては、日本社会福祉士会・日本社会福祉士養成校協会、それから日本精神保健福祉士協会・日本精神保健福祉士養成校協会が直接に関係する団体でございます。

スクールソーシャルワーカーにつきましても、やはり有効性があるということで、標準的な職として位置付けて、将来的には国庫負担の対象としてほしいという意見がございました。そのほか、スクールカウンセラーと少し職の性質が異なりますので、例えば解決までに時間が掛かる事案が多いというので、柔軟な配置ができるようにしてほしいとか、それから職の専門性という観点から、やはり国家資格である精神保健福祉士あるいは社会福祉士であるということを考えていくべきではないかといったような御意見を頂いたところでございます。

次に4の医療的ケアを行う看護師でございます。看護師につきましては、直接、看護師の団体からは御意見を伺っておりませんけれども、特別支援学校長会、それから特別支援学級設置学校長協会にお越しいただいて、主に特別支援の観点で御意見が出てきております。これにつきましては、やはり複数の団体から医療的ケアを行うことができる看護師の配置を広げていただきたいといった御意見を頂いております。理由でございますが、特別支援学校だけでなく特別支援学級、あるいは通級指導においても、この医療的ケアを必要とする児童生徒が増加傾向にあるということが挙げられたところでございます。この看護師についても、先ほどのカウンセラー等と同様の、法的な位置付け等をしてほしいという意見もございました。

続きまして、5の特別支援教育支援員でございます。これも直接関わるところは4の看護師と同じ団体でございますが、そのほか複数の団体から、教育委員会からも校長会からもございますけれども、特別支援教育支援員の配置の充実といった意見が出ております。理由としましては、やはり年々そういう障害をお持ちのお子さんが増えているということ、それから、やはりインクルーシブ教育の推進といったことの観点から、この特別支援教育支援員というものが非常に必要だという御意見でございます。併せまして、今の中間まとめにございませんけれども、PTとありまして、言語聴覚士といった資格でございますが、そういった資格の職、それから就労支援コーディネーター、これは特別支援学校で就職先の調整、開拓等に当たっている職員でございますが、こういった人材もやはり専門スタッフとして位置付けてほしいという意見。あるいは、先ほどの言語聴覚士等について、これを小・中学校にも派遣できるようにしてほしいという意見。それから、私立学校においてもアスペルガー症候群等の児童が増えているということで、補助をお願いしたいという御意見等を頂いたところでございます。

続きまして、6のICT支援員でございます。直接関係する団体としましては、日本教育情報化振興会にお越しいただきました。ICT支援員につきましては、複数の団体からICT支援員の配置あるいは予算の確保というのをお願いしたいということがございましたが、それと併せまして、このICT支援員の役割、あるいは求められる必要な資質・能力について、もう少しきちんと整理をした方がいいのではないかということ。あるいは、ICT支援員の育成のためのモデル的な研修を広げていくべきだといったような御意見を頂いたところでございます。

続きまして、7の学校司書でございます。これにつきましても、学校図書館法が改正され、配置が努力義務化されたところでございますけれども、学校司書の配置の充実を求めるといった御意見を頂いております。

続きまして、8の部活動支援員(仮称)でございます。こちらにつきましては、中学校体育連盟、高等学校体育連盟、それから高等学校文化連盟等にお越しいただきました。その団体等含めて、部活動支援員(仮称)という形でいろいろな人材が入ってくるということについては、基本的には賛成というのを頂いており、また多くの団体から、部活動支援員(仮称)を法令に位置付けてほしい、あるいは配置を望むといった御意見が出ております。  ただ、留意点と書いておりますけれども、やはり部活動は、教育活動として、あるいは生徒指導の方針の下に行われているということがございますので、勝利至上主義にならないようにきちんと研修をする必要があるのではないかとか、何か事故が起きた場合の責任や補償、そういった問題をどうするのかといったような意見が出ております。併せまして、現在、同様の事業や取組が行われておりますけれども、そういったものとの整理であるとか、それから、これは多く出ましたけれども、やはり人材確保が困難な地方の対策といったものを求める意見が出たところでございます。

続きまして、9の英語指導を行う外部人材、それから外国語指導助手、いわゆるALTでございますが、これにつきましては、やはり配置状況について地域の格差が非常に大きい、あるいは小学校の外国語活動等の動きも踏まえまして、これについても配置の強化という意見を頂いたところでございます。

それから10の補習等学校における教育活動の充実のためのサポートスタッフでございます。これにつきましても非常に有効だという意見を教育委員会あるいは学校関係の団体から頂いておりますが、やはり自治体ごとに財政力の格差があるということ、それから、そもそも雇いたくてもなかなか人材がいないという状況があるので、それについて支援をお願いしたいという御意見が出ております。

11の地域連携担当教職員でございます。この地域連携担当教職員につきましては、効果的だという意見も頂いております。それと併せまして、現在の教員の業務の状況から見て、担任あるいは教務主任等の分掌を持っている人間が複数兼ねるというのはなかなか難しいのではないかということ。それから、現状で見ると対外的な窓口を副校長、教頭が担っているという点を踏まえた検討をしてほしいという御意見を頂いたところでございます。

12はその他でございます。1つは、退職校長あるいは退職教員といった地域にいらっしゃる方々の積極的な活用を進めるべきということ。それから、中間まとめに掲載されておりませんが、例えば学校の安全という観点で、学校の用務員といった職員について活用をもっと進めていくべきだという御意見を頂いたところでございます。

続きまして、視点の2の学校のマネジメント機能の強化というところでございます。

1の管理職の適材確保というところでございます。管理職ということで申し上げれば、全国連合小学校長会、それから全国連合退職校長会、全国公立学校教頭会、これは小中の教頭会でございます。また、全国国公立幼稚園・こども園長会、全日本中学校長会、それから全国高等学校校長協会等をお呼びして、御意見をお伺いしております。

管理職につきましては、やはり管理職の責務に見合った権限の拡大あるいは処遇の改善ということと併せまして、実態としては今でも行われていますけれども、校長のマネジメント能力向上のための研修体制の整備が必要。あるいは、校長の前段階であります教頭、あるいはもっとミドルの段階の主幹教諭の段階から研修をしっかりやることが大事だというような御意見が多数出たところでございます。また、次のページに移りますけれども、効果的なマネジメントを行うための評価、後でまた出てきますけれども、評価の在り方について検討が必要といった御意見が出ております。

続きまして2の主幹教諭でございます。主幹教諭につきましては、配置されている地域の団体等からは、やはり主幹教諭を置くことで学校の組織的なマネジメントが進んでいるというような評価も頂いておりまして、主幹教諭の加配措置の充実、あるいは全校配置をお願いしたいという御意見がございます。それから主幹教諭の職務について、全国で若干の差がございますけれども、例えば管理職としての法的な裏付けをもう少ししっかりしてほしいと。そうすることで、もっと遠慮なく主幹教諭が校務を担えるのではないかというような御意見。あるいは、主幹教諭を複数配置して、きちんと分担を明らかにすると、そのことで副校長、教頭がよりやりやすくなるのではないかといったような御意見を頂いております。

それから3の事務体制の強化というところでございます。事務職員の関係でございますが、全国公立学校事務長会、これは高校の事務長の団体でございます。それから全国公立小中学校事務職員研究会、これは小中の事務職員の団体でございます。それから全国公立高等学校事務職員協会、これは高等学校、特別支援学校の事務職員の団体でございます。

事務体制の強化につきましては、やはりまずは事務職員の配置の充実。小中学校で申し上げれば配置は1名でございますし、高等学校でも3名か2名ということですので、配置の充実という意見。それから、事務長の配置の充実ということで、法令上の位置付けの話。それから、次の行になりますけれども、事務の共同実施を、特に小中学校で推進してほしいということ。それと併せて、やはり事務職員の資質・能力の向上ということのために、研修の強化が必要なのではないかという意見を頂いたところでございます。そのことによって副校長、教頭が、例えば教員の育成ですとか、あるいは校長の補佐ということに、より力を割けるのではないかといった御意見等でございます。

それから視点の3の教員一人一人が力を発揮できる環境の整備というところでございます。ここは3点ございますが、まず人材育成の推進というところで人事評価について複数御意見を頂いておりまして、人事評価の結果をどう使うかということで、処遇への反映や顕彰システムの拡充といった、教員の意欲を向上させるような措置をもっと充実する必要があるということ。人事評価の実施に当たりましては、人事評価をする評価者の研修、それから評価者が、例えば特別支援学校であれば100名以上の教員を抱えているわけでございますが、そういう評価者の評価に取り組む業務をどういうふうにうまくやっていくか、そこの御意見等を頂いたところでございます。

2の業務環境の改善でございます。これは先ほど参事官より説明させていただきましたガイドラインをきちんと推進してほしいということ。それからメンタルヘルスについて少し触れておりますけれども、その中で、教員だけでなくて副校長、教頭についても病気休職者が増加しているということで、職務改善等の考慮が必要だという御意見を頂いております。

それから最後の3の教育委員会等による学校への支援の充実というところでございますけれども、ここにつきましては、やはりチーム学校を実現していくためには教育委員会の学校への支援が必要だという意見は複数頂いております。併せて、特に規模の小さい市町村教育委員会においては、都道府県がどういうふうに支援していくかということで、指導主事について、小規模自治体に対する配置のための支援が必要であるということ。それから、指導主事につきましても、例えば小規模自治体であれば、行政事務に追われてなかなか学校へ行けないということで、学校を訪問できない状況の改善。あるいは指導主事の助言機能ということで、資質の向上の観点で、大学等を活用して職能成長を図る機会を提供すべきだという御意見を頂いております。併せて事務職員につきまして、事務職員の研修を企画・実施するような、事務職員を指導する指導主事のような制度は考えられないかというような御意見も出ております。

それから最後、そのほかとまとめさせていただいておりますが、日本弁護士連合会の民事介入暴力対策委員会の方にお越しいただいて、お話しいただきましたけれども、学校に対する不当な要求に対してどう対応するかということで、1校に1弁護士の制度ですとか、あるいは弁護士コンサルタントといった機関が各学校を巡回する制度、こういったような仕組みの検討が必要ではないかといった御意見を頂いたところでございます。

以上を踏まえまして、中間まとめ等につきまして御意見頂ければと思います。

【小川主査】  ありがとうございます。

それでは、これから、今の関係団体ヒアリングの概要の説明を受けて、委員の方から御質問や御意見を頂きたいのですが、1つは、今の関係団体ヒアリングの概要の内容について、委員の方から確認したいこと、ないしは御質問したいことがあれば御発言いただきたいのと、もう1つは、関係団体ヒアリングを受けて、さらに中間まとめに反映させるべきこととか、又は中間まとめの内容について加筆修正等の必要があるのではないかというふうな御意見があれば、御発言いただければと思います。

1と2については、時間もありませんので一緒に、意見とともに質問をお願いいたします。今言ったように、関係団体ヒアリングを受けて、中間まとめに反映させるべきこととか、加筆修正の必要があると思われるようなものがあれば、委員の方から自由に御発言いただければと思います。どなたからでも構いませんので、発言よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。  では、貞広委員、どうぞ。

【貞広委員】  御説明いただき、ありがとうございます。私は関係団体のヒアリングに全部は出られなかったんですけれども、今通しで拝見して、改めて気が付く点や非常に興味深い点がありまして、加筆するなり反映していただくなりということではないのですが、幾つか意見として申し上げたいと思います。

まず1つは、本当にヒアリング団体によっておっしゃっていることが結構違っているということは、恐らく各職の文化が相当違うということです。ですから、校長先生にはマネジメントとだけ書いているんですけれども、恐らくこの各職の文化に配慮したマネジメントというのが必要なのではないかというふうに思いました。例えばスタッフの採用や維持についても職によって違いますし、非常に安定している先生とそうではない方々、給与も違います、業務環境も違いますし、勤務時間も違えば、さらに、先ほどスクールソーシャルワーカーのところのお話にあったように、業務の1つのミッションの時間軸が非常に業務によって違っているということに配慮をしたマネジメントというのが、1つキーになってくるのかなというふうに思いました。そうしたことを具体的に書くべきなのかどうかは分かりませんけれども、印象的に思ったところです。

あともう1つは、これはチーム学校の作業部会ということなんですが、何でもチームでやる必要もなく、チームでやるべきこととそうではないものが恐らくあるので、恐らくチームでやるべきことと、そうではないものの見極めもマネジメントの1つなのだろうと。ただ、そのマネジメントを助けるためには、それぞれの職の責任と役割の明確化というものがやはり必要なのではないかということがもう1つです。

それと、たくさん言って申し訳ないんですが、もう1つは、非常に期待が高いということから、逆に、これだけいろいろなスタッフが充実したらもっと学校がよくなるんでしょうという、複数の要求や高い期待が生じるのではないかなと思います。そうすると、やはりスタッフが増えたとしても、より関係者の過重な負担になるのではないかというような懸念もありますので、1人の子供に対していろいろな課題があるのですけれども、そこにはやはり優先順位を付けて、何でもかんでも一気にやるというのではないのだと。力は上がったけれども、それ以上のものが要求されて、すぐに応えなければいけないというのではないような余裕が必要なのかなということです。

これで最後にしますが、人材育成の話が出ていましたけれども、人材を育成していくための財政的な裏付けが必要なのではないかということについて、どこか書かれていたかなと。例えばスクールソーシャルワーカーについては、こういう資格を持った人がよいというような御提言がありましたけれども、どれぐらいそういう人材がいらっしゃるかどうか私は把握しておりませんが、安定的に専門性の高い方を供給していただくためには、何らかのそういうサポートも必要なのかなというふうに思いました。  たくさん申し上げてすみません。以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。

では、なければ、僕も1つ、関係団体ヒアリングで、これは文科省に伺った方がいいのかなと思うのですけれども、この作業部会で余り意識して議論していなかったかなというふうに思ったのは、私立学校に対して、例えば専門スタッフの配置支援をどういう仕組みでやるのが効果的であり、ないしは私学の意向に沿ったものになるのかなということは、中間まとめでもほとんど言及されていなかったので。ただ、今回の関係団体ヒアリングで、私学関係団体からは、その辺はかなり共通して強く主張されていました。

ただ、私学関係からの意向は、従来どおりの私学助成の中に、例えばそういうスクールソーシャルワーカーとかいろいろな専門スタッフを私学でも配置できるような、私学助成の措置でというふうな意向がかなり強かったんですが、私とすれば、私学が単独でそういう専門スタッフを配置、充実していくということは、かなり厳しいのではないかと。そういうことで、私学関係の団体の方には、私学助成の措置ではなくて、例えば都道府県教育委員会の下にそういう専門スタッフを配置して、その専門スタッフを私学の要請に応じて県教委から派遣していくというふうな方法も考えられるけれどもいかがかと尋ねたら、そういうふうな措置についても反対はしないとおっしゃっていました。

ですから、恐らくいろいろな方法があると思うんですけれども、文科省とすればその辺は、これは都道府県教育委員会のいろいろな判断も関わることですし、あと県と私学とのいろいろな関係というのは、県によってもやはり違うので、その辺は一概に、文科省がこういう方針でというようなことではできない部分もあるかもしれないですけれども、私学へのそういう専門職の配置やサポートの問題をどういう方向で考えたらいいのかという点については、何か事務局の方で検討されているんでしょうか。

【福島課長補佐】  私立学校につきましては、今小川主査からお話ありましたとおり、特に中間まとめではっきり書いているという形ではございませんけれども、作業部会でも御意見を頂きましたし、初等中等教育分科会の方でもそういった御意見を頂いております。県の状況、それから学校種の状況等によって、どういうスタッフが要るのかとか、あるいはどのぐらい求められるかといったことも異なってくるかと思いますので、そのあたりにつきましては、私学団体の方からも、もう少しよく意見を聞いていきたいというふうに考えております。

【小川主査】  では、今後検討ということですね。分かりました。  では、前田委員、どうぞ。

【前田委員】  すみません、先ほど貞広委員のお話と同じ内容になるところがあるんですが、これだけチーム学校ということでいろいろな方が入ってきますと、企業でも組織が多くなればなるほど上の方のマネジメントがすごく大変になります。やはり上の方の権限と責任をもっともっと強くうたっていただくことが必要かと。コンプライアンスの問題も出てきますし、大勢関わってくれればいい面もありますけれど、みんな責任を持たなくてもよくなってしまって、一体誰に責任があったのという感じになってしまうこともあり得ると思いますので、チームでやることのメリットとデメリットがあると思います。このヒアリングのときも、管理職の責務に見合った権限の拡大や処遇の改善が必要と書いてあるのですけれども、権限と責任をきちんとうたっていただいて、そこをはっきりさせないと、大勢の人が入ったときの問題が絶対起きてくると思います。

あと、この主幹教諭のところでも、責任とかを明確にしてほしい、管理職としての裏付けとかがしっかりしてほしいという意見があったと思うんですけれど、マネジメントの面をもっと強くうたってもいいのかなというふうに思います。大勢入ってくればくるほど、何か事故があったときに、誰の責任になるのかとなってしまいますので、是非その辺はよろしくお願いします。

【小川主査】  竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】  今、責任と権限とおっしゃいましたが、それとともに、どうやってマネジメントするかというのに、まだ校長先生たち、それから学校現場ではなれていないと思うんですね。今までと違った、本当に多種多様な人、立場の方、専門家が入ったときに、チームになるというのはどういうマネジメントなのかというのが、今まで習ってきていませんし、体感していないので、それをよほど浸透させないと、言葉だけがマネジメントやリーダーシップと書いてあっても、多分全く機能しない。協働的な学習ということで、今度、学習指導要領も変わりますね。それから専門スタッフが入って協働という言葉も出て、協働するってどういうことなのかというのは、単に会議を一緒にするとか連絡調整をするだけではなく、多分立ち位置が変わってくると思いますので、そこを学べるような研修なり人材育成を早急にしないといけないのではないかと思います。

【小川主査】  ありがとうございました。  ほかにいかがですか。坪内委員、どうぞ。

【坪内委員】  すみません、私は関係団体ヒアリングに全く出席ができなかったので、もしかしたら、場合によっては的外れな話になってしまうかもしれないんですけれども、特に書き込んでほしい点というわけではないんですが、幾つか気付いた点です。

まず、これだけいろいろな団体の方から御意見が出てきて、そこから出てくるコメントの中に、先ほど貞広委員がおっしゃられたとおり、たくさんの視点があったのではないかと察するんですけれども、この中に地域性というものがどういうふうに取り込まれているのかなというのが気になりました。今、本業で全国津々浦々の学校に訪れる機会があるんですけれども、離島だったりとか、僻地の学校と都市部では、やはりすごく状況が違ったりですとか、それは生徒の様子という意味でもそうだと思いますし、こういった専門性を発揮できるような人材の存在という意味でも、かなり都市部と地方では異なってくるのではないかなと思ったので、こういったチームとしての学校を実践していく上で、地域性というものの視点というのが取り込まれるとよいのではないかなというふうに思いました。

あともう1つは、実際にこれが実践されていく中で、こういった予算というものが、もし実現されたならば、それが意味のあるものになったのかというインパクト評価であったり、どのぐらい成果が上がったのかというのをどういうふうに計っていくのかというところの透明性みたいなものがあると、より納得感があるのかなと思いました。  以上です。ありがとうございます。

【小川主査】  はい、どうも。  ほかにいかがでしょうか。  藤原委員、どうぞ。

【藤原委員】  ありがとうございます。重なる部分もありますけれども、3点、簡単に申し上げます。

まず1点目は、やはりいろいろな多職種が来ますと、共通性と異質性のバランスというのが必要になってくるのだろうというふうに思います。そういう意味で、スクールリテラシーとか、あるいは多職種連携というような研修という概念とか考え方というのをしっかり入れたらどうかというのが1点目でございます。

2つ目に、やはり校長先生の権限の明確化というのが必要なんだろうと思います。これは部活動とかの活動の在り方をめぐっても御意見が出ているところでございます。他方で、校長先生の権限というのを強くしますと、当然、補佐体制の強化とワンセットで考えるべきだろうというふうに考えます。したがいまして、ここに意見が出ておりますとおり、副校長、校長先生の病気休職者も増えているという実態を考えますと、もはや、副校長、教頭だけで補佐するのがもう限界に来ていて、集団で補佐する時代へともう入ってきているのだということを力強く打ち出していただきたいというのが2点目でございます。

3点目に、ガイドラインというのを作成されて、その主体が教育委員会というのは、とても私はすばらしいことだというふうに思っております。やはり教育委員会が主体で取り組んでいくことを、是非このチーム学校の中間まとめにおいてもより強く打ち出していただきたいですし、その際に、教育委員会にまたいろいろな支援を、専門家等を活用して支援するということもすばらしいことだというふうに考えておりますけれども、その際に、教育委員会の力というのを高める形での関与というものを原則とするということを明記すべきだろうというふうに私は思っています。やはり最終的には、教育委員会が自分で自分の実態に即して考える力というのをエンカレッジしていくということが必要であるという姿勢というのは打ち出すべきだろうというふうに考えております。  以上3点、申し上げたいと思います。

【小川主査】  ありがとうございました。  では、どうぞ。稲継委員。

【稲継委員】  先ほど前田委員、あるいは藤原委員もおっしゃられたトップのマネジメントの責任と権限を明確にする必要があるというのは、私も賛成であります。その上で、特に人事評価と研修について若干の意見を述べさせてもらいます。

人事評価については、御案内のように来年4月1日から地方公務員法の改正が施行されますので、それに合わせて各団体、それから各現場で、任用、給与、分限その他の人事管理の基礎としなければならないというふうに法律で明記されたところです。これは地公法6条なり23条なりに、今までなかった文言が明記されているところで、それをどれだけ現場で実施するのかというのが非常に問われているところだと思います。

それをどのように現場で実施してもらうのか、これは各教育委員会に懸かっているわけですけれども、それについて中間まとめではそれほど強くは書いていなかったのですけれども、法律が今度施行されるわけですから、もう少し書いてもいいのではないかなというふうに思います。

それと併せて、マネジメント機能の強化とか、あるいは視点の3で人材育成のことがいろいろ書かれているんですけれども、これも非常に重要なことだと思います。現在はつくばの教員研修センター、それから各都道府県の教員研修センターでやっておられると思いますけれども、例えば、これはちょっと省庁の垣根を越えてしまって申し訳ないのですが、全国の宝くじで運営されている市町村振興協会の持っている総務省系統の研修財団がございます。幕張に市町村アカデミー、それから大津に国際文化アカデミーというのがございまして、全国の市町村職員が多数研修に、それぞれ6,000人とか1万人だったと思いますけれども、伺っていると聞いております。宿泊施設もそれぞれ300室ぐらいずつ用意されていて、週によっては空いている週もあると。それを有効活用できないかなというふうに思ったりするわけです。もちろん両施設は総務省の所管、総務省の外郭の所管になりますし、文科省の教員が行くということであれば、若干のコンフリクトもあるかもしれませんけれども、そこは国家として、教員の育成、養成ということでいくと、協力関係を築いてできないかなと思いました。  以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。

中間まとめを7月に出して、その後、8月、9月と、例えば教育関係団体や専門学会は、このチーム学校をテーマにシンポジウムを開いたり、いろいろな教育関係の関係団体も、このチーム学校をテーマにいろいろな講演会とかシンポジウムなんかをされていて、恐らくこの中にも参加された関係者が何人かいるんですけれども、そういうふうな場でどういう議論があったのか、どういうふうな意見が寄せられていたのかということも含めて、何かまた追加する御意見があればお聞かせいただきたいんですけれども。

藤原委員とか加藤委員、あちこちやっていたようですけれども、いかがですか。

【加藤委員】  では、ちょっと意見を述べさせていただきます。

大変ヒアリングの内容も勉強になりますし、中間まとめから、ガイドラインからというようなことで、たくさんチーム学校の内容を示すものがあって、今委員の方々からお話あった管理職の責任、権限を大きくするというようなところ、それを含めてマネジメントの強化みたいなところで言うと、では、このチーム学校が始まりますよというメッセージを全国の学校に投げ掛けたときに、どれぐらいの学校がその恩恵を受けることができるのかと。例えば、うちのところはスクールカウンセラーは前と余り頻度は変わらないよとか、うちのところは別に主幹教諭とかが来ているわけではないよとか、結局、例えばかつて少人数とかティームティーチングのため加配措置とかといったようなときも、これから少人数ですよ、ティームティーチングですよといって学校に来たけど、その人は1人で、そうではない学年はどうするんだとか、昔からそういうことはあるんだと思うんですね。今回の内容で言うと、主幹教諭の配置の一方で、かなりの地域で従来どおりの主任制をやっているというようなところからすると、そのマネジメント強化というのが校長とか教頭のところだけの強化に見えてしまうのかなと。確かにその人たちの権限や責任を大きくしても、ではその人たちが使える駒がどれぐらい保証されるのかと。

平たく申し上げますと、このチーム学校の理念みたいなところも含めて、なるべく多くの学校に吸収してもらえるような出し方というのがもう少し、私もどういうふうに言った方がいいのかなというのはもうちょっと考えないといけないところがあるのですけれども、やはり心配されるのは、逆に、チーム学校だ、チーム学校だと言って、でも人員がパワーアップされない学校は、むしろもっと忙しくなってしまうのではないか。また、部活動がこういう形で支援されているのだから、もっと充実させなければいけないのではないかといって負担が増えてしまったり、そもそも教職員の負担軽減で始まってきたところから、元々のところを考えてみると、余り負担軽減されていないのではないかとなってしまうと。すると、ここでずっと積み上げてきている議論のようなところが、施策や内容としては展開されるのかもしれませんけれども、より多くの学校で成果につながるように、と私は考えるので、どうしたらいいのかみたいなところはぱっと言えないのですけれども、より多くの学校に恩恵があるように、細かく見ていっていただきたい。財政状況のこともあろうかと思うのですけれども、例えばどういう学校には重点的には行っているけれども、どういう学校はこれまでどおりの状況という言い方は変ですけれども、でも、そういう学校でも何か頑張れるような流れというのがちょっと欲しいなと思います。

私自身は茨城県で、6年ぐらい業務改善の取組をやってはいるのですけれども、モデル校が取り組むというのも結構大変です。それが負担になってしまうこともあったりするので、やった分だけ恩恵があるというのが大事だと思います。特に心配されるのは、従来どおりの主任制度を維持していて、今後もあまり教職員配置の状況が変わらないような規模の学校だったり、あるいは地域だったりをどんなふうに元気付けてあげる、支援してあげるというところが課題であろうかと思いますし、今後の報告の中に何かうまく盛り込めないかなということで、意見として申し上げさせていただきました。

【小川主査】  ありがとうございました。  では、前田委員、そして竹原委員、お願いします。

【前田委員】  今の加藤委員のお話に関連して、私は、こういうものを作ると先生の負担軽減にはならないと思うのですね。企業も大きくなって、人を入れれば入れるほどマネジメントがどんどん大変になってきて、全然楽になるわけではないと思っていて、教職員の負担軽減のためにというよりも、生徒の安全のためであったり、保護者の方や地域の方のためによりよくするのかなというふうに思っています。本音は教職員の負担軽減なのかもしれないですけれども、それをあまり前面にうたうと、私は、かえっていろいろな人が入ってくるととても大変になると。自分で今やっていてとても感じているのですけれども、大きい組織になればなるほど大変になりますので、教職員の負担軽減ではなく、専門性の高い方が入ってくるとより安全になるということなのではないかなと思いました。

【小川主査】  ありがとうございました。  竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】  私、中間まとめの7ページの図をずっとさっきから見ているのですけれども、「従来」と「現在」では、地域社会が別のところに黒字で書いてあります。今回のチームとしての学校では、地域社会がそれを包括するような、学校が地域社会の一つのメンバーであるということが、ちゃんと緑の図になっています。これは社会総掛かりで子供を育てる、教育に関わるということを具現化した図ではないかと思っています。

それで、先ほどから出ている校長先生や管理職の責任、権限というのは、これ全てを持つ必要はなくて、学校教育の活動の中で責任を持てばいいわけで、そのほかは家庭が持たなければいけない、地域社会も持たなければいけない、企業も持たなければいけない。そしてそれぞれが担い手であるという大きな転換だと思うのです。今までは何か学校に要求をしたり文句を言ったり、サービスを提供しろというスタンスが強かったような気がするのですが、チームとしての学校は、コミュニティースクールの議論とも重なるんですが、それぞれが担い手であると。そしてその中で、校長先生なり管理職なりはどこまで担うのかということを少し整理しておかないと、重くて重くて仕方がないという状況になるのではないかと思って、この図を見ています。

【小川主査】  ありがとうございます。  藤原委員、どうぞ。

【藤原委員】  学会での議論でございますけれども、1つは、前田委員の議論とも重なりますけれども、業務が増える危険性というのも当然あるということと、もう一つは、やはり日本の学校文化を考えると、教員がいろいろなことを包括的にやっているというよさというのもあるので、これが決して教職員定数の削減につながらないようにすることが必要という御意見があるわけです。

前田委員の御意見を聞きながら1つ思いますのは、国民の期待を受けて、教育水準とか子供の安全の確保、向上とともに、どこかやはり教員の勤務負担の軽減というのも併せて、二兎を追えないだろうかということを私自身は思っています。教員に優秀な人を確保するということは、各国重要な課題でもございますし、そういう意味でも教員の勤務負担の軽減というのをどこかで考えていく、そういうような形での施策の進め方というのをどこかで押さえておかないと、前田委員おっしゃるとおり、むしろどんどん膨らんでしまうのではないだろうか。だから、仕事と責任の再配分の際にも、可能な限り、何とか教員の授業に専念できる時間を作るんだということを明記する方針というのは、是非今後とも維持していただきたいというふうに私自身は思っております。

【小川主査】  ありがとうございました。

今までの議論も踏まえつつ、関係団体ヒアリングは事務局の方も御出席されていたので、事務局の方で何か御意見があれば。  では、局長。

【小松初等中等教育局長】  関係団体ヒアリングのことは、またいろいろあるかもしれませんけれども、本日の貴重な御意見を伺いながら思っていたことなんですけれども、率直に申しますと、確かに日本の学校というのは、非常に多くのものを引き受けると。よく言われる欧米とかの学校の考え方から比べると、はるかに学校が広い役割を求められているということが根本にあると思うんですね。そのよさというのも、すごくあると思います。

一方で、先ほどからの御議論で出ているように、どこまでが責任範囲かということを社会の中で、今のよさを認めるとして、できるだけはっきりするという意識を持って、政策を立てないと、どんどん、今の課題に対応しようと思って、人が参画するほど、背負い込む中身も大きくなるというのは事実だと思います。時々、外からされる指摘の中に、これは必ずしも財政当局だけではないんですけれども、例えば、今から30年前と今を比べれば、スクールカウンセラーの方も相当配置されているとか、そういったいろいろな充実はあるわけです。45人学級だったものが40人学級になっているとか、一部は35人学級になっている。しかし非常に多忙で、むしろ多忙化しているということは言われている。

ですから、大切なことはあるとしても、ありようそのものについて、どこまで分担と連携をするのかということをはっきりさせないと、イタチごっこのようになって、結局学校の中で行われている教育機能については、負の部分を補うのに追われてしまうと。あるいは、一斉な知識、技能の基礎はしっかり作れるけれども、今後最も重要で、かつ一番欠けているとよく指摘される、子供の意見そのものを形成して引き出す力、そういったところはTALISの調査などを見ても弱いわけですが、そこへ行き着けないままになるという危険性が非常にあるという御指摘かなというふうに受け止めております。

そういうことを防ぐためには、事務局とまだ相談は余りしていないのですけれども、次回以降にもう一度、今までの取組や実現可能性、フィージビリティーとよく言われる部分ですけれども、これらを踏まえながら、まずは家庭、地域、もしかすると最近のこの情報化社会では地域ではなくて、もっと広く一般社会かもしれませんが、そういったものとの具体的な連携と分担がどのくらいできて、学校はその中の本当にコアな部分のどこの責任を持つのかというようなことについて、一度方向性を整理すると。業務改善ガイドラインはどちらかというとそういう考え方に近いわけですけれども、少し整理して、チーム学校の在り方というのを考えていただくようにしないといけない段階に到達したのかなという感じがいたしますので、私どもも材料とか資料を集め、そういった視点で、効果的な学校運営、学校経営といったものを考え、学校の担うべき役割の範囲というものを、ほかとの関係において御議論いただいた方がいいというように思うに至りました。なので、その問題は次回以降でさせていただきたいと思います。

事務局から長くなって申し訳ありませんが、もう1、2点ありますのは、藤原先生もおっしゃられたように、私どもとしても、学校として先生方がきちんとした指導体制を持ってやらなければいけないという点については、必ず必要なことだと思っていて、それがやせ細るということがあっては、今の話は余り意味がないと思っておりますけれども、それからまた現実に、先生方の多忙化が様々な問題を学校の中で解決しにくくしているということも事実なので、これを何とか解決したい。その中では、皆様方の御議論にも沿って、チーム学校という考え方で、負担軽減含めてやりたいということもございますけれども、確かに、この議論の出発点や途中の過程では、例えば学校において子供が成長していく上でも、より多様な大人と接していくとか、よりたくさんの価値観を持った人たちと接しながら本当の意味での学力が定着していくというようなことが必要だという御議論が相当あったと思うんですけれども、その辺が、我々まとめたときに十分反映したり、うまく整理できていなかったということはあると思います。

したがいまして、もちろん先生が多忙過ぎるということも問題ですけれども、その中には疲弊してなかなかうまく準備とかができないという部分と、子供に接するとか授業の準備に掛けられる時間が減ってしまうという2つの問題がありますし、それに対して専門的な人材を入れてきちんと体制を作りたいということがありますけれども、それと同じかそれ以上に、多様な人々と接して、その中で知識、技能も含めて定着が図られていくということが必要だということ。それから、今御議論いただきましたように、例えば安全性の問題とか、そういう要求されている問題について専門家の手をかりなければならない事態に来ているということ。このあたりをもう一度御議論いただいていて、一回まとめているんですけれども、本日の議論も踏まえながら、もう一回私どもとしても、この時点から先の論点として一つ整理を試みたいというふうに思います。

ここまでの御議論でもあったように、人材養成のことやそれに必要なコストのことが確かに余り触れられていないというのも事実です。そのことなども含めて、改めて整理をしたいというふうに思いました。  私の方からは、現時点で以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。  ほかに何かございますか。よろしいですか。

なければ、本日はこの辺で終了して、本日もいろいろと論点や視点等々が出されましたので、これを答申案にどういうふうに反映させていくかというのは、次回以降にしたいと思います。本日の意見については事務局に整理していただいて、次回以降、その論点に即してもう一度議論し直して、必要なものについては可能な限り答申案に盛り込んでいくように議論を次回以降進めていきたいと思いますので、事務局の方、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。

なければ、これで議論は打ち切りたいと思います。  では、次回以降の予定について、お願いします。

【福島課長補佐】  次回については、また追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

【小川主査】  それでは、これで本日の会議を終わりたいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――

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