チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第12回) 議事録

1.日時

平成27年6月12日(金曜日) 16時~18時

2.場所

全国都市会館 3階 第2会議室

3.議題

  1. 作業部会の中間まとめ(骨子案)について

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会

チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第12回)

平成27年6月12日

 

 

【小川主査】  定刻になりましたので、ただいまからチームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会を開催いたしたいと思います。本日も大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。

きょうは、7月に予定している本作業部会の中間まとめに向けて、その骨子案について議論していきたいと思います。

まず、本日の配付資料について事務局から説明をお願いします。

【福島補佐】  本日の配付資料でございますけれども、議事次第にありますとおり、3つございます。資料1が、本作業部会の中間まとめの骨子案でございます。それから、資料2が、先般の財政制度等審議会の建議に対する文部科学省の考え方に関する資料でございます。それから、参考資料といたしまして、チーム学校の関連資料ということで、データ等の資料をお配りしております。

不足等ございましたら、お申し付けいただければと思います。

【小川主査】  ありがとうございました。

本日も報道関係者から会議の撮影及び録音の希望があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。

それでは、本日の議題に入っていきたいと思います。中間まとめの骨子に関する議論に入る前に、先日財務省の財政制度等審議会が取りまとめた「財政健全化計画等に関する建議」に対する文部科学省としての考え方について、本作業部会の議論とも関係しておりますので、事務局からまず説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【池田財務課長】  財務課長の池田でございます。それでは、資料2を使いまして御説明をさせていただきたいと思います。

先般、財務大臣の諮問機関であります財政制度等審議会で、教職員定数を含めた文教関係、科学技術関係の予算を削減すべしという提案についての財務省事務局の資料が公表されまして、それ以降5月にかけて財政審において、この手の議論が継続的に行われてまいりました。また、並行して、経済財政諮問会議で例年、骨太の方針を策定するわけでございますけれども、そこでも同じような議論が出ておりまして、教職員定数のみを狙い撃ちするわけではなく、社会保障や地方財政措置も含めた全体について、聖域なく、削れるところは削る努力をすべしということではありますけれども、かなり教職員定数がクローズアップされているという状況でございます。その提言に対する具体的な反論を、実は先週金曜日に、文部科学省として取りまとめて発表いたしました。きょうはその具体的な内容について、簡単に御説明させていただきたいと思います。

1枚めくっていただきまして、1ページ目で上の方に書いてあるところが、非常に端的に申し上げて、財政審の建議の主張でございます。例年、教職員定数をもう少し縮減すべきという意見が出ているのですが、今年度、特に新しい要素として、加配定数の削減ということと、それも含めた教職員定数合理化計画を策定すべきというのが財政審建議の基本的なスタンスでございます。

その下に書いてある文部科学省の考え方ですが、財政審の建議の指摘は、学校現場を取り巻く課題が複雑・困難化している中で、かつ新たにアクティブ・ラーニングなどの時代の変化に対応した新しい教育に取り組むと、この2つが大きな課題になっている中で、そういった状況を全く考慮せず、机上の空論であると、下村大臣が国会答弁や記者会見等で再三申し上げております。特に、教育再生を推進していくためには、そうしたいじめへの対応や特別支援教育など学校が直面している大きな課題にきちんと対応していくということと、先ほど申し上げたアクティブ・ラーニングと、軌を一にして指導体制も充実していく必要がある。こういうことを考えれば、機械的に教職員定数を削減するのではなく、加配をはじめとする定数の戦略的充実が必要であるという、これが基本的な考え方でございます。

2ページ以降は各論になりますけれども、簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。上のオレンジのところが財政審建議の内容という、これが財政審の主張でございまして、その下のブルーの部分がこれに対する文部科学省の反論でございます。

まず、2ページのところでは、財政審の考え方としては、平成36年度までに3万7,700人の自然減を反映すべしということと、それに加えて4,214人の加配定数を当然減として合理化できるということ、これを含めて定数合理化計画を策定すべしということが、基本的な考えでございます。

この定数は、全国で公立の小・中学校などに現在約70万人の教職員の方々がいらっしゃるわけですけれども、そのうち非常にざっくり申し上げて9割ぐらいの63万人が基礎定数と言われる、義務標準法に基づいて、子供の数や学級数に応じて算定ルールが標準法に定められておりますので、その標準法に基づいて算定していくという仕組みでございます。しかしながら、残りの1割弱の加配定数、これは基礎定数で機械的に算出された各学校の定数では対応できない、学校の状況に応じて、いじめ・不登校が多いとか、あるいは貧困世帯が多くて、特別なきめ細かい対応が必要であるとか、通級指導の対象のお子さんがたくさんいるというような、各学校が直面している課題のために約6万4,000人の加配定数を付けておりますけれども、特にこの6万4,000人の加配のうちの4,200人余りを10年間で削減すべしという、これは私どもとしては到底のめない提案でありますので、この点について反論をしているという状況でございます。

財務省は「子供の数が減っているのに加配が増えているではないか」と言っておりますが、右下の表をごらんいただくと、これは平成16年度と最近の状況を比べておりますけれども、平成16年度を指数100とした場合には、加配が120に増えております。したがって、10年で1.2倍に増えているわけですけれども、実は加配の対象となるような障害のある子供の数とか、暴力行為の発生件数、あるいは日本語指導が必要な外国人の子供の数、これはいずれも2倍以上に増えているとか、あるいは1.8倍とか1.5倍に増えていますので、加配の伸びがこれに追い付いていない。むしろ戦略的に増やす必要があるのではないかというのが文部科学省の考えでございます。

3ページは、今申し上げたような状況を子供の数と教職員の数に基づいて分析したものでございますけれども、左の青い棒グラフは小・中学校の児童生徒数の総数でございます。平成に入ってから緩やかなカーブで減ってきているということでありますけれども、一方で、この赤い折れ線グラフは、縮尺をちょっと違えてありますけれども、特別支援学校や学級に在籍する子供の数ということで、かなりの勢いで増えているという状況でございます。したがって、子供の数は確かに減っておりますが、きめ細かい指導が必要なお子さんは確実に増えているという状況でございます。

これを右側、教職員の方でごらんいただきますと、青い折れ線グラフが教職員定数全体の数でございます。一番上の「69.6万人」というのが右端にありますけれども、この青い折れ線グラフが教職員定数全体の動向でございまして、この左の子供の数と比べると、確かに減り方が緩やかではございます。ただ、その内訳を分析いたしますと、一番下の緑の折れ線グラフ、これがいわば一般の小・中学校の普通学級を担当する教員分の定数でございまして、ここだけ見ると、かなり減っていると、子供の減り方と同じような減り方で減っているのですが、その分、赤い折れ線のところが緑の一般の小・中学校の定数に加えて、特別支援教育に携わる教員の定数を足したものですので、したがって、赤と緑の折れ線の差のところが特別支援学校や学級の担当の教職員ということでございます。それから、さらに同じように、赤と一番上のブルーの折れ線の間が加配定数ということですので、赤と緑の間と、それから青と赤の間というのは、いずれも平成に入ってからどんどん開いてきている。したがって、一般の小・中学校を担当する教職員定数というのはほぼ子供の減り方に応じて減ってはいるものの、特別支援やいじめ・不登校などの学校が直面している課題に対応するための先生が増えている。財政審の主張のとおりにすれば、こういうきめ細かい指導をする先生方を削減してよろしいのでしょうかということになろうかと思います。

次の4ページですが、これは少し観点を変えております。財政審での指摘は、「日本の小・中学校への公財政支出は、子供1人当たりで見ると、OECD平均よりも上回っているのではないか」、あるいは「教員1人当たりの子供の数はG5のほかの4か国と比べても遜色ないし、1人当たりの担任外教員、担任を持っていない先生はG5の中で最大ではないか」という指摘でございます。これは、確かにここの指摘だけ見るとそのとおりなのですが、大前提として財務省が度外視しているのは、日本と欧米などでの学校が果たす役割、学校が受け持っている範囲の違いでございまして、これはこれまでもこの作業部会でもいろいろ御意見が出ていたと思いますけれども、欧米の教員は基本的には授業をきちんとやるというのがまず一番求められていることですが、日本の先生方はそれに加えて生徒指導や部活動、あるいは保護者対応とか、学校運営に携わることが非常に多くなっておりまして、これは左下の表を見ていただいても、授業や授業準備の割合がイギリスと日本では全く違うという。授業以外の業務の割合がイギリスが3割なのに対して日本は6割でございますので、これだけもう前提となる先生方の役割が違っていると。それはTALISの調査でも表れておりまして、右側ですけれども、日本の教員は3か国の中で勤務時間が最長である。特に部活動や事務作業などの割合が多いということでございます。

それから、5ページでございますが、財政審の指摘は、「諸外国でも教員給与は支出のうちの最大を占める」と言いながらも、「しかし日本は特に教員給与に配分が偏っている」という指摘でございまして、これは非常に不正確な指摘であると思っております。

左下の表で小・中学校に分けてありますけれども、これは教育費全体に占める教員給与がどのぐらいかというのを表したOECDの調査でございます。小学校の方を見ていただくと、青い部分が教職員給与です。その上の緑の部分というのは教職員給与以外の消費的支出、要は1年限りで使い切るような性格の支出ということで、それがどの国も全体の9割強を占めているわけですけれども、そのうちの教員給与の割合がかなり増えている。その上に、実は消費的支出以外に資本的支出という、これは主として施設整備費に当たるものですけれども、資本的支出というのが赤い部分でございます。財政審の資料は、実はこの赤い部分を全部取り除いておりまして、青と緑の部分だけを取り出して、縮尺を全部同じに100でそろえた場合には、この青と緑の比率というのは日本が断トツに高いということですが、実はこの赤い部分、OECDのもとの調査というのはこの赤い部分も含めてですので、これで見ますと、ほとんど変わりませんという結果です。

あともう一つ、右側の表ですけれども、教員給与に関して申し上げますと、これはPISAの調査の分析の一つですけれども、右の横軸が教員給与の比率、教員の給与がどのぐらい高いかという指数でございまして、右に行けば行くほど教員給与水準が高いわけですけれども、これと数学の成績を見ると、有意に正の相関があるということです。したがって、給与が高いということに対して財務省はやや批判的な論調で報告をまとめておりますけれども、給与が高いことによって、成績も有意に高い。なおかつ日本は回帰直線よりもかなり上のところにデータが出ております。それだけ日本の先生方は限られた条件の中で頑張っておられるということであろうと思います。

6ページ以降の説明は省略いたしますが、財政審からはエビデンスがないではないかということで指摘を受けておりますが、なかなかトータルで全数調査のような形でのエビデンスはともかく、個々のパーツのエビデンスというのは大分集まっておりまして、6ページにあるような傾向は明確に見てとれるということで、こういう部分も今後主張してまいりたいと思っております。

以上が大体反論の内容でございますけれども、財政審の建議は6月1日に出ておりまして、これに対して私どもも反論をしております。しかしながら、今後、経済財政諮問会議の骨太の方針を政府内部で調整してまとめていくことになりますけれども、ここでもしっかりと主張して、教職員の合理化計画あるいは加配の削減ということが骨太に書かれないように対処していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。この教職員定数の削減ということが、キャップが掛かるような形になってしまいますと、チーム学校の中心となる教職員の方々の数がもう頭打ちになるということで、ここで御議論いただいているような方向性を実現していくためにも、非常に支障が出てまいりますので、そうならないように頑張って折衝していきたいと思います。以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。

今の池田財務課長からの説明について、御意見や御質問は皆さんの方からございますか。あれば、少し時間をとってみたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

私から質問なのですが、4ページに財政審で教員1人当たりの児童生徒数云々についてあるのですけれども、教員以外の専門職員とか他の支援スタッフの児童生徒1人当たりの比率というデータはないのでしょうか。イギリスは、文科省のデータでは、教員対他のスタッフとの比率は51対49でしたか。そういう比率は分かるのですけれども、児童生徒1人当たりで見た場合、日本の場合とイギリスの場合、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、ほかのいろいろな支援スタッフ、専門スタッフの割合は相当違うと思いますが、そういうものを明確に確定できるようなデータはあるのでしょうか。

【池田財務課長】  今、小川主査がおっしゃったようなトータルのデータは、きょうの参考資料の5ページのところにございます。これは総数での比較ですので、ざっくりとした比較になりますが、日本は教員が82%で、それ以外の専門スタッフが18%、それからアメリカとイギリスはそれぞれ教員の比率が56%、51%ということでございます。恐らくこれを児童生徒数などで計算すれば、ある程度のものは出るかと思いますので、後ほどお伝えしたいと思います。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。何か質問、御意見等があれば。

なければ、また議論の中でこれに関係したような御意見とか御質問があれば、事務局の方で対応いただけるかと思います。

それでは、次に本作業部会の中間まとめの骨子案について審議していきたいと思いますけれども、最初に事務局からその内容について説明いただければと思います。よろしくお願いします。

【福島補佐】  それでは、中間まとめの骨子案の資料につきまして説明させていただきます。

本作業部会は、これまで有識者等のヒアリングをやっておりましたけれども、そこでの発表、御意見等も踏まえまして、こういう形で整理させていただいております。

まず全体の構成でございますけれども、「チームとしての学校」が求められる背景ということで3つ書かせていただいておりまして、その体制を実現するための方向性として3つ、2番のところに掲げております。それぞれにつきまして、3番で具体的な方策ということで書いているという構成でございます。

それでは、1ページをごらんいただきたいと思います。骨子案としまして、「チームとしての学校」が求められる背景でございます。まず、二重線の枠囲みの部分でございますけれども、先ほど国際的に見た数学の結果もございましたけれども、日本の教員、先生方は、教科指導から生徒指導、部活動、さらには事務的業務まで非常に幅広い業務を担っていただいているという中で、日々の御努力によって、国際的に見ても高い成果を出していただいている。しかしながら、この変化の激しい社会の中で生きていく子供たちに、今後、生きる力、求められる力を身に付けさせていくためには、やはり教育水準の向上というのは目指していく必要があるということでございます。そういう意味で、このための体制整備ということで、下に(1)~(3)と3つ並べております。

1つ目でございますけれども、次代を生きる力を育むための教育課程の改革や授業方法の革新を実現するための体制整備というところでございます。ここは教育課程の特別部会で議論しているところでございますけれども、次期の指導要領改訂で争点となっております教育課程の改革あるいはアクティブ・ラーニングと言っておりますような授業方法の革新を実現していくための体制整備ということでございます。そこにはカリキュラムマネジメントの話を2つ書いております。最後の1つ目は、これは学校の体制としまして、学年単位、教科単位ではなくて、学校全体の教育目標の下に学校全体をまとめられるような体制を整備することが必要だとしております。

それから2つ目が、複雑化・多様化した課題を解決するための体制整備でございます。ここは、生徒指導上の課題、それから特別支援教育の充実を実現していくためには、学校の課題は非常に複雑化・多様化しているということで、教員だけで対応していくのはなかなか質的にも量的にも難しくなってきている。その上、心理や福祉について、高い専門性が求められる課題も増えてきているということでございます。

そういうことから、次のページでございますけれども、先生方の業務を見直すということと併せまして、専門スタッフ等が教育活動あるいは学校運営に参画して、それぞれが専門性を生かしながら連携して分担して校務を担うような体制を整備することが必要だということでございます。

また、学校の業務の複雑化・多様化に伴いまして、学校の負う責任とか説明責任の範囲も拡大しておりますので、組織的にリーダーシップなりマネジメントしていくような体制ということが求められていると考えております。

それから3番目、先ほどTALISの調査もございましたが、子供と向き合う時間の確保等のための体制整備ということでございます。これは、教員が1に挙げておりますような質の高い授業をしていくためには、授業準備等に、より専念できるようにしていく必要がある。そのための体制整備が必要だということでございます。

併せまして、(2)で申し上げましたような専門スタッフ等の連携ということになりますと、副校長・教頭が大事な職かと思いますけれども、副校長・教頭は現状で申し上げますと、各種調査依頼への対応、あるいはどの係にも属さないような業務を担ったり、非常に多くの業務を担っており、多忙であるという実態が出ているということでございます。そういうことから、副校長・教頭についても改善していくことが重要だということが、3つの体制整備でございます。

今申し上げましたこの(1)~(3)で求められるような体制整備の方向性を示したものが、2番でございます。「チームとしての学校」の在り方ということでございますけれども、今申し上げましたような体制を整備して、チームとして取り組む体制を整備していくために、3つの方向性に沿って施策を講じてはどうかということで、1 、2 、3 としております。

まず1つ目が、学校のマネジメント機能の強化でございます。これは、特色ある教育課程を作って、子供の実態に基づいて資質・能力を身に付けさせていくためには、学校全体のマネジメント機能の強化が必要であるということでございます。それから、次のページに行きますけれども、教職員が多数を占める学校ということから、教職員と専門スタッフの多職種で組織される学校ということを意識しますと、今までの学校とは少し異なった力が校長に求められないかということでございます。それから、先ほど申し上げましたような学年単位、教科単位のものを学校全体の動きにしていくためには、学年とか教科といった分掌等を超えて、企画・立案を調整するような機能を強化していく必要がある。併せて、管理職のマネジメントを補佐する体制の強化ということで、学校の事務機能の充実ということも重要かと考えております。

それから、2つ目でございますけれども、専門性に基づくチーム体制の構築というところでございます。繰り返しになりますが、教員が担っている業務の見直しをするということと併せて、専門スタッフが参画して、連携して課題の解決に当たることができる体制を構築する。その際、現在の教員が多くの部分を担っているということの利点を踏まえながらも、多職種による協働といったものに文化を変えていく必要があるのではないかということでございます。併せて、これは前回御意見を頂いたところでございますけれども、少数職種が孤立しないように、教員の側の意識改革も必要ではないかということでございます。それから、チーム体制の構築に当たっては、情報の共有化ということが大事かと思っておりますので、そのための方策が必要だと考えております。

それから、最後の3番でございますけれども、教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備でございます。今、学校の仕組みの話でございましたけれども、学校がチームとして機能していくためには、人材育成が必要かと思っております。その人材育成に当たっては、教育管理職が人事評価等を活用しまして、教員に適切なフィードバックを与え、そして評価していくことが重要だと考えております。それに基づきまして校内研修の体制等を作っていく。それから、学校や教育委員会、あるいは国のことでございますけれども、優れた実践を行った教員については顕彰していくということ。また、学校が事故への対応とか、あるいは法令に基づくような対応が求められるものにつきましては、専門的な支援ができるような体制を整備することが重要であるというのが3つ目でございます。

以上、3つの方向性に沿ってということでございますけれども、地域の状況、それから小・中・高といった学校種、それから学校の規模等によって、当然具体的なものは異なってくると思いますけれども、学校が子供たちに力を身に付けさせていくという本来の教育機関であるためには、以上の方向性に沿った形の施策を講じることによりまして「チームとしての学校」というものを実現していくことが必要ではないかということでございます。

次の箱囲みには、仮にということで「チームとしての学校」像の姿ということで示させていただいているところでございます。

3.具体的な改革方策ということでございます。4ページでございます。今申し上げた3つの方向性につきまして、それぞれ具体的に方策を整理させていただいております。

まず1つ目でございますけれども、学校のマネジメント機能の強化ということでございます。ここは3つございますが、1つ目は、管理職の適材確保というところでございます。1 でございます。この中身も幾つかございますが、まず1つは、校長の養成・確保ということで、校長のリーダーシップが発揮できるような権限なり、予算なり、そういった裁量拡大が期待されるということが一つでございます。併せまして、管理職選考の倍率の低下といった御指摘がございましたけれども、管理職の魅力が低下しているのではないかということが指摘されておりますので、優秀な人材が管理職を目指すような取組、校長がその学校を経営することで学校を変えられるというような取組が求められているということかと思っております。それから、最後の副校長・教頭につきましては、勤務時間が長く、本来やりたい業務、人材育成等に関わることができていないという指摘もございますので、これについては改善する方策が必要かと思っております。

それから、イの管理職の養成というところでございます。ここは、まず都道府県によって若干違いがございますが、教員の年齢層を見た場合に、中堅層が今後少ないということがございますので、管理職候補となる教員が少なくなりますので、計画的に管理職になるための経験を積ませていく必要があるのではないかということで、教職大学院、民間企業、それからOJTと、あとは教育行政ということがあろうかと思っておりますけれども、そういう経験を積ませる必要があるということでございます。

それから、ウの管理職の選考・登用というところでございますけれども、ここにつきましては、選考試験の実施の在り方につきまして、筆記試験について、かなり多くの時間を費やしているというような状況がございますので、本来の面接とか人事評価を活用した選考を目指していく必要があるということでございます。それから、2つ目の○でございますが、これは女性管理職の割合ということにつきましては、全職員に占める女性教員に比べて低いということは事実でございますので、能力実証を前提とした上で、女性管理職の登用が進むような方策を検討する必要があるのではないかということでございます。

続きまして、管理職について、研修でございます。5ページでございますけれども、管理職研修の内容につきまして、具体的に学校の課題を解決するとか、人材を育成できるとか、そういった校長に求められる資質・能力に基づいて、より実践的なものに見直しを進める必要があるのではないかということでございます。

以上が管理職の適材確保でございまして、2つ目の○としまして、主幹教諭制度の充実ということで掲げております。主幹教諭につきましては、平成19年度に制度化されまして、平成20年から配置されておりますけれども、3つ掲げておりますとおり、配置した学校におきましては、学校の組織としての力が向上したといった評価を頂いているところでございます。一方で、主幹教諭の役割とか権限が十分に共有されていないとか、あるいは主幹教諭となる者の人材育成が十分にできていない、あるいは主幹教諭の授業時数が多いということで、期待される校務を十分に処理できていないという課題も指摘されております。こういった課題も踏まえまして、主幹教諭の配置を進めていくための方策について検討する必要があると考えております。

続きまして、3つ目でございます。ここは事務体制の強化ということでございます。事務職員につきましては、第3回で扱いましたが、事務職員の職務につきまして、学校教育法上は「事務に従事する」という規定があるだけでございます。ただ、実態といたしましては、そこにあるような業務、総務とか財務等に関する事務をやっております。事務職員は、学校においてほぼ唯一、学校運営事務に関する専門性を有している職員でございますので、この事務職員の職務についてどう考えていくのかということでございます。それで、下から2つ目の2 の3行目で「今後は」とありますけれども、「事務職員は、その専門性等も生かしつつ、より広い視点に立って、校長や副校長・教頭を学校経営面から補佐する学校運営チームの一員として役割を果たすことが期待される」ということでございます。

次のページでございますけれども、先ほどから、特に教頭の事務業務の負担が大きいというのが出ておりますので、教頭と事務職員の間での業務の連携・分担が重要な課題であろうと思っております。

事務職員につきましては、1つ目、イでございますけれども、学校運営事務の統括者と書いております。学校の管理職の体制を見た場合に、学校の管理職の多くは教員出身者であるということで、学校の業務の複雑化・多様化ということを見越した場合に、教育行政事務の専門性を有する者が学校運営に参画することが望ましいのではないかということでございます。その在り方として、例えば、事務長といったものを明確化するというのがあり得るのではないかとしております。

それから、ウは事務職員の資質・能力の向上というところでございます。これは、高校は3名程度おりますけれども、小・中学校につきましては事務職員が1人配置であるという現状がございます。そういう意味で事務職員の資質・能力の向上というのは大きな課題でございますけれども、事務職員向けの研修を企画できる指導主事が少ない、あるいは事務職員向けの研修プログラムが少ないというような課題が指摘されておりますので、こういった課題の解決を図っていく必要があると考えております。

それから、最後でございますが、事務の共同実施でございます。事務の共同実施につきましては、平成10年以降進んできておりまして、約半数の実施率ということでございますけれども、その目的を見た場合に、事務処理の正確さあるいは効率化では成果が上がっておりますけれども、今後、この事務の共同実施というものが教員の事務負担の軽減等にも資するよう、今後の取組の方向性を検討していく必要があるのではないかということでございます。

以上が(1)学校のマネジメント機能の強化に関する部分でございます。

続きまして、(2)専門性に基づくチーム体制の構築でございます。1 としまして、まず教職員の指導体制の充実としております。まず、教員につきましては、本務であります授業がございますので、指導力を向上させ、児童生徒と向き合う時間を増やしていくためには、教員の本来的な業務と、教員以外の専門スタッフが関わることでより効果を上げることが期待されるような業務、それからそれ以外の業務に大きく整理いたしまして、2 、3 の業務につきましては、事務職員とか専門スタッフ等を活用する方策を検討する必要があるということでございます。ただし、日本の教員は、子供に包括的に関わることが日本の教育の成果につながっているという指摘もございます。また、それぞれのヒアリングの際にも発表がございましたけれども、専門スタッフ等の活用に当たっては、丸投げとか、単なる業務の切り分けにならないような注意が必要だと考えております。

それから、イ、指導教諭でございます。これにつきましては、本人が授業に優れた指導力を生かしまして示範授業等を行うことによりまして、指導力の向上というのが期待されておりますけれども、指導教諭につきましても、本人の授業時数が多いということで、期待されている役割を十分に処理できていないというような課題も指摘されております。また、指導教諭をどのように使っていくかということにつきましても、今後もより明確化する余地があると考えております。

それから、2 は、教員以外の専門スタッフの参画というところでございます。ここからは専門スタッフの例示を並べさせていただきますけれども、まず、ア、スクールカウンセラーでございます。スクールカウンセラーにつきましては、心理の専門家として児童生徒あるいは教職員、保護者への専門的な助言や援助ということで、定着してきております。ただ、スクールカウンセラーは、教育委員会に採用され、非常勤の職として学校に週1回程度派遣されているということで、配置・派遣の効果を考えますと、学校の教育相談体制の強化あるいは問題行動の未然防止などの観点から、量的な拡充、併せて資質の確保ということが望まれておりますので、これについても検討が必要かと思っております。

カウンセラーにつきましては、次のソーシャルワーカーも同様でございますけれども、子供の貧困対策に関する大綱におきましても配置の推進ということが位置付けられているところでございます。併せまして、その量的拡充とセットで必要だと思っておりますけれども、学校に必要な職員として、その職務内容等を明確にしていくことが求められているのではないかということでございます。

続きまして、スクールソーシャルワーカーでございます。スクールソーシャルワーカーは、福祉の専門家ということでございますが、問題を抱える児童生徒の環境に働き掛けて、関係機関あるいはそういったところの連携・連絡調整等を行う役割を果たしております。これにつきましても、平成20年に配置を国としては進めておりますけれども、配置が進んできているところでございます。スクールソーシャルワーカーにつきましては、資格につきましては社会福祉士、それから教員免許、精神保健福祉士といった資格を持った者が実際の人数を占めておりまして、カウンセラーと同様、必要な職員としてその職務内容あるいは資格等を明確にしていくことが求められているのではないかということでございます。それから、ソーシャルワーカーにつきましては、川崎市の事件のタスクフォースの取りまとめにおきましても、この体制の整備ということが取り組むべき施策として上げられているというところでございます。

続きまして、ウとエは特別支援に関することでございますけれども、ウは医療的ケアを行う看護師というところでございます。これは、医療的ケアを行う看護師を特別支援学校あるいは小・中学校に配置しているわけでございますけれども、3つ目の○にありますとおり、医療技術の進歩等を背景に、医療的ケアを必要とする児童生徒数は増加傾向にあるということでございます。国が補助している看護師等の人数があるわけでございますけれども、この医療的ケアを必要とする幼児児童生徒の数に比べれば不十分であるということでございます。この医療的ケアを必要とするような児童生徒が安心して学校で学ぶことができるようにするためには、この看護師の配置ということにつきましても進めていく必要があるということでございます。

それから、エの特別支援教育支援員でございますけれども、これは看護師とは異なりまして、障害のある児童生徒の日常生活の介助等を行っている職員でございます。これにつきましては、2つ目の○にありますとおりの配置実績でございますが、地方財政措置の支援が講じられています。この特別支援教育支援員につきましても、3つ目の○にありますけれども、障害のある児童生徒の就学につきまして、個々の障害の状態を踏まえ、就学先を決定するという仕組みに変わったということもございます。そういうこともございまして、9ページでございますけれども、特別支援学級の在籍者、それから通級による指導の対象者は増加し続けているという状況でございます。また、通常学級におきましてもそういった子供さんへの対応が求められるところでございます。そういった多様な子供のニーズに応えていくためには、教員だけでの対応には限界がございますので、この支援員の配置ということも充実していく必要があると考えております。

続きまして、オ、ICTの支援員でございます。ICTにつきましては、学校における教員のICTの活用をサポートするという役割を果たしており、地方財政措置の支援をしているわけでございますけれども、今後ICTを活用した教育を普及していくという観点から、この教職員をサポートする一定の能力を備えた支援員の不足が懸念されておりまして、教育再生実行会議の提言におきましても、この支援員養成、学校への配置の促進が求められているというところでございます。

それから、カ、学校司書でございます。学校司書につきましても、昨年の6月に学校図書館法が改正されまして、学校には、学校図書館の職務に従事する職員としての学校司書について、この努力義務が設けられたところでございます。この改正された法律におきまして、その専門性を確保するため、資格・養成の在り方等について検討を進めるとともに、研修の充実等の必要な措置を講ずることとされているところでございます。

それから、キ、部活動支援員でございます。これは仮称でございまして、まず部活動の状況ということでございますけれども、TALISの結果にもありましたとおり、いわゆる部活動、課外活動の時間が教員の勤務時間の中でかなり割合を占めているというところでございます。その一方で、日本体育協会が実施した調査によると、担当教科が保健体育以外で、担当している部活動の競技経験もないという教員が中学校で45.9%、高校で40.9%、あるいは実技指導をしない教員が担当している部が中学校で13.7%、高校で18.2%という結果が出ております。また、部活動の指導や顧問の範囲につきましては、教育委員会あるいは都道府県の中体連・高体連等でルールを決めている場合もありますし、決められていない、若干異なるという場合もあります。そういった中で、部活動の指導を充実していく観点から、教員に加えまして、部活動の指導、顧問、引率等を行うことができるような職の在り方についても検討する必要があるのではないかということでございます。

続きまして、ク、サポートスタッフでございます。これにつきましては、長野県の信濃町の取組を御紹介いただきましたけれども、国の方では、補習等のための指導員等派遣事業を実施して、それに対して支援しております。これにつきましても、多様な子供の実態に応じて、効果的な指導を行っていくために、地域人材等の教育活動の参画を得るということが重要でございますので、これにつきましても引き続き検討していく必要があると考えております。

以上が専門スタッフの関係でございまして、続きまして、3 は地域との連携体制の整備というところで書いております。そこの1つ目の○にありますとおり、子供たちあるいは学校が抱える課題を解決して、豊かな学びを実現していくためには、社会総掛かりでの教育を進めていくことが重要であるということでございます。ただ、学校と地域が連携するに当たりましては、当然、地域と教育委員会、学校との連絡調整、あるいは学校内のニーズの把握・調整といったものが必要でございます。学校と地域との連携を担う教職員につきましては、実際に教育委員会規則等で位置付けている学校は少ないという状況でございまして、学校の方針として、校務分掌上位置付けられているところが多いという状況でございます。これにつきまして、学校と地域との連携を担う教職員を位置付けることによりまして、学校と地域の信頼関係の構築とか組織的な体制といった成果も見られるというところでございますので、地域連携担当の教職員の職務内容や位置付け等の明確化、あるいはそういう教職員に社会教育主事の活用といったことについて検討する必要があるのではないかということでございます。

以上が(2)の専門性に基づくチーム体制の構築というところでございまして、最後、(3)教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備というところでございます。

まず、1 でございますけれども、人材育成の推進ということでございます。ここは人事評価制度の活用ということでまず書いておりますけれども、人事評価の活用状況を見ますと、人材育成・能力開発・資質向上あるいは研修に活用している教育委員会が多いということでございます。そういったことを踏まえまして、人材育成のためにどのように人事評価を使っているかということについて検討する必要があるということと、今回のチームとしてのということもございますけれども、教職員個人の実践と併せましてチームとしての実践を評価するような工夫ということも考えられるのではないかということでございます。

続きまして、11ページのイ、教職員表彰制度の活用というところでございます。これにつきましては、各教育委員会、国でも既に顕彰する仕組みというのが行われているところでございますけれども、これにつきまして、表彰制度の活用とか、そういったものにつきましてさらなる推進を図っていく必要があるということと、2つ目の○でございますけれども、これもチームとしての取組という観点から、これは国の表彰もございますけれども、教職員表彰の対象として、チームとしての取組を対象に加えることも考えられるのではないかということでございます。

続きまして、2 、業務改善でございます。これは、学校における業務改善の推進としておりますけれども、先生方が授業準備あるいは研修といったものに時間を割いていただくためには、業務改善が必要だと考えております。併せまして、2つ目の○でございますけれども、教頭につきましても、教頭がやりたい職務内容としましては、職場の人間づくりといったものが挙げられておりますけれども、実際には調査依頼の対応とか外部対応といったものをやっていて、それに負担を感じているという結果が出ているというところでございます。これにつきまして、国、都道府県、教育委員会はそれぞれ、学校教職員が業務のやり方につきまして効率的・効果的に進めることができるような支援を行う必要があるということがまず一つ、業務改善ということでございます。

それから、3 、教育委員会等による学校への支援の充実ということでございます。ここは2つ掲げておりますけれども、1つ目は指導主事の配置の充実ということでございます。冒頭にございましたけれども、主体的・協働的学習とか、カリキュラムマネジメントといった指導方法の改善あるいは普及をしていくためには、指導主事が学校を支援していくということが必要でありますけれども、一方で、小規模の市町村では、指導主事の配置が少ないというところもございますので、これにつきましては配置を進めていくための財政的な支援が必要であるいうことでございます。また、指導主事につきましては、実態としまして、配置されていても、事務的な業務に追われていて、学校への指導が十分にできないような状況もございますので、指導主事の都道府県教育委員会、教育事務所、それから市町村教育委員会それぞれに配置されている指導主事が、しっかりと分担、連携して取り組むような在り方を考えていく必要があるということでございます。

それから、最後、イ、保護者や地域からの要望や相談への対応の支援というところでございます。これにつきましては、平成18年の勤務実態調査の結果におきましても、まず保護者への対応が増えている。併せて、それの対応をストレスと感じているという教員が半数を超えているという状況でございます。また、保護者や地域からの相談や要望の内容も複雑化・困難化しているということがございまして、対応に苦慮しているような事例があると聞いております。教育委員会や学校の取組ということでございますけれども、まず保護者や地域に日頃から情報提供するということで、学校の状況について御理解を頂いておくということと併せまして、相談や要望を受けた際に、第三者的な立場から問題解決を支援する弁護士さんとか警察OBといった方を活用して、そういった方の助言を教員が受けられるような仕組みを作ることによって、学校の負担軽減につなげられないかと、このような仕組みを広げていくことについて検討してはどうかということでございます。以上が3 の部分でございます。

以上、具体的な改善方策につきまして、マネジメント機能の強化、それからチーム体制の構築、それから教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備ということで、それぞれを説明させていただきました。以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。

それでは、今の資料1の中間まとめ骨子案の中身をこれから議論していきたいと思います。議論の仕方ですけれども、骨子案の1ページ目を見てお分かりのとおり、3つの構成になっています。ただ、2.の「チームとしての学校の在り方」の中身は、3.の具体的な改善方策の導入部分というか、総論的な部分ですので、2.の「チームとしての学校の在り方」だけ時間をとって議論するというのは難しいので、議論は、まず1.の「チームとしての学校」が求められる背景について議論していただいて、その後は、学校のマネジメント機能の強化、専門性に基づくチーム体制の構築、教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備、その柱ごとに時間をとっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

全体を読んだ印象なのですけれども、特に3.の具体的な改善方策につきましては、問題や課題はいろいろ的確に指摘されているのですが、ではそうした問題や課題の指摘を踏まえて、どう具体的に改善方策を考えていくかということについては、この文書自体がまだ極めて抑制的に書かれている。つまり、具体的な改善方策に係る部分については、「何々する必要がある」とか「何々が考えられる」とか、あるいは「何々が望まれる」とか「何々が促進することが求められている」という、総じて抑制的に書かれているのかなという全体的な印象を持ちました。ただ、現時点でそのような記述の仕方になっている理由の一つは、国レベルでは、具体的な定数とか加配等々、補助事業等々に関わっては具体的に予算折衝というような問題がありますので、その辺のところを見極めながら確定していくということだろうと思いますし、また多くの点は、国以外に、都道府県とか市町村の努力とか、都道府県や市町村の取組に懸かっている面もかなり改善方策の具体的な中身としてもありますので、書きぶりについても、その辺のところは抑制的に配慮して書かれているということも理由としてあると思います。皆さんの方からそうした具体的な改善方策や改革の方向性についてはより踏み込んだ意見を頂きながら、この3.の具体的な改善方策の中身をさらに詰めていくということになるかと思いますので、特にその点については忌憚のない率直な意見をお願いできればと思います。よろしくお願いします。

それでは、議論に入っていきたいと思いますけれども、4つのパーツに分けて議論しますので、大体1パーツ10分とか長くて15分程度で、最後に全体を通して意見をお聞きしたいと思います。

最初に、1.の「チームとしての学校」が求められる背景に関わって、何か御意見、御質問があればお聞かせいただければと思います。いかがでしょうか。

では、大久保委員。

【大久保委員】  1ページ目の「チームとしての学校」が求められる背景というところですけれども、「日本の初等中等教育は高い成果を上げている」と来て、しかし一方でいろいろなこういう課題があってと来て、「学校の体制整備が不可欠である」と来て、その後に、「その一方で、我が国の学校や教員は、複雑化・多様化した課題を抱え」の後に、教員は結局、授業準備や教材研究等、恐らく教員が最も時間を掛けたいと思っているところに十分な時間を割くことができないという論調で書かれています。これだけではなくて、結局、複雑化・多様化した課題を抱えたから、個の力だけでは対応し切れない、チームとしてやらないと対応し切れない問題が多くなってきたのだというふうに持っていかないと、単に時間が足りないという背景を持ってくるのはどうかなと思います。この「チームとしての学校」が求められる背景のところに是非、個の力で対応するのは難しくなったといった書きぶりの部分を加えていただけないかなと思います。

【小川主査】  ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。では、貞広委員。

【貞広委員】  ありがとうございます。教育関係者は、恐らく3に注目して中心的に見るのだと思いますが、社会の納得性の調達ということを考えると、恐らく1がとても大事で、どれぐらい「ああ、そうだよね」と国民の方々に思っていただけるかということだと思いますが、やはりここは難しいなと思います。というのは、先ほど財政審の方の話が出てきましたけれども、例えば我々は、特別支援への適切な対応が教育全体の質の担保につながるということを恐らく共有しているのですけれども、通常の方は、「特別支援、限られた子供のケアでしょう」という感じだと思うのですね。割と今回の専門スタッフが、全体というよりも、ある個別の子供に対応するというような職も少なからずあるので、そこら辺の納得性をどのようにちりばめていくか。具体的な案が出ないのですが、そんな納得性の調達という説得性では、もう少し説得的に論述できないのかなというのが1点です。

あともう1点は、チームはとてもいいのですけれども、やはり私は、できることであれば真水の部分の教員を増やしていただきたい。いろいろな能力をお持ちの教員が増えるということが一番いいんだと思います。できないのであれば、少なくとも現状の数は確保していきたい。絶対減らしていただいては困るなというのがあります。

もう一つは、先ほど大久保委員がおっしゃった部分も、大変だからというのではなくて、個で対応する、又は教員の専門性のみで対応するというのが難しいという背景があるということを書き込むべきだと思いますので、先ほど大久保委員が指摘された、「その一方で、我が国の学校や教員は、複雑化・多様化した課題を抱え」の後に、「教員の専門性や個の教員のみではその対応に苦慮するだけでなく」というような文言を付け加えていただくことと、あとその先に、「授業準備や教材研究等に十分な時間を割くことができないという実態があり、教員の数の現状確保はもとより、教員以外の職員や専門スタッフの活用は」というように、今の定数を減らすという志向性を持ったチーム学校ではなくて、プラスアルファでその専門的なスタッフを配置していただきたいのだというようなことをきちんと書き込んでおくということが必要かなと思います。以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにいかがでしょう。坪内委員、どうぞ。

【坪内委員】  ありがとうございます。この「チームとしての学校」が求められる背景のところを読んだときに私が最初に思ったのは、この複雑化・多様化した課題の解決が求められるために教員の定数や加配が必要だということだと思うのですけれども、具体的にどのように複雑化・多様化という問題が教育現場で起きているかということが必ずしも伝わりにくいのかなと思いました。もちろん、特別支援学校の在籍者の数が増えているということもあるんだと思うのですけれども、単に数の増減だけでは語れないような課題というものが教育現場で起きていて、そして「次代を生きる力を育むための教育課程の改革」という言葉も(1)の中に出てきているのですけれども、具体的に、今までの教育過程ではなぜ対応できないのかというところが、この複雑化・多様化というところに込められた教育現場の苦悩というものがあるのではないかと思うんですけれども、そこがもう少し一般的に分かるような形で共有されると、非常に説得性が増すのではないかと思いました。以上です。

【小川主査】  そうですね。

ほかにどうでしょう。では、前田委員、そして米田委員の順でお願いします。

【前田委員】  委員の皆様が言われた内容と全く同感なのですけれども、私はこれをすっと読んで、今の先生に時間が足りないから持ってきますという論調に見えてしまって、むしろ、人生経験の豊富な人たちだったり、いろいろな観点で支えていかないと、もう生徒たちを助けられないでしょう、だからいろいろな人たちが入ってこないとだめなんですよねという方が先に来ないといけないのではないのかなと思っています。これを見ると、学校の先生が授業の準備をしたり教材研究をする時間がないからほかの人たちを持ってきましょうというふうに見えて、そもそも授業を教えているだけではない、もっとやらなければいけない、いろいろ難しい問題がいっぱい出てきたので、授業を教えるということをする人ではない人たちをたくさん入れたい、もっとマネジメントを重視したいんだということを言っていかなければいけないと思うので、書き加えるのではなくて、むしろそちらが先なのではないかなと思います。

【小川主査】  ありがとうございました。

米田委員、その次、青木委員。

【米田副主査】  大久保委員がお話しされたように、先生たち一人一人の力だけでは本当に対応できないというところを入れてほしいと思います。というのは、現実に先生たち一人一人は頑張り過ぎるほど頑張っているというところを何とか現状として伝えてほしいと思うからです。先生という職種に就いた人は、基本的に頑張ってしまう人たちです。それでも、勤務時間も関係なく、とにかく仕事をしてしまう。そして、生徒のにっこりした顔を見て、よかったなと思う。そのようなタイプの人が多いのです。ですから、そういうところは頑張っているけれども、いろいろな現状を見ると、やはりチームとしてやっていかなければいけない、そういうニュアンスを伝えることができればよいと思います。

それから、この1ページの部分だけを見ると目立つのですが、「求められる」、「求められる」、「求められる」、「求められる力」といった表現が続きます。これは、私も県の方でいろいろな計画を立てるときに、「社会的ないろいろな状況からこういったことが求められている」とか、「だからこうしなければいけない」といった表現を使うのですが、全体のこの作業部会のスタンスとして、「こうこうこうだから、このようにしていかなければいけない」というように、もっと能動的な表現にする部分ができるかどうかをもう少し検討していければと思います。外的なものに迫られて、仕方がなく「こうやるのだ」ということではなくて、我々、教育に携わる者として、子供たちのために「このようにやらなければいけない」というところをもう少し出すような表現を多くできればと思います。以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。

青木委員、どうぞ。

【青木委員】  「チームとしての学校」という考え方が、異なる文脈で意図せざる使われ方をしないようする必要があると思います。貞広委員の御意見と重なる部分があるのですが、例えば国レベルで言えば、教育の定数の確保という前提が明記されないと、安価な学校組織あるいは安価な人材構成で学校は運営できるのだろうという誤った使われ方をしてしまうのではないかということ、そのためにややディフェンシブな記述をしてもいいのではないかと思います。加筆してくださいということですね。

もう1点は、一方で、学校で地域資源の一方的な調達をするというような間違った概念として使われてしまわないようにする必要もあるかと思います。つまり、安易な資源調達を学校側がしないようにということも必要かと思います。以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】  皆様のご意見をうなずきながら聞かせていただきました。「チームとしての学校」という言葉を聞いたとき、まず学校の中がこれからはさらにチームにならなければいけないという側面と、複雑化・多様化した課題を解決するために、専門家集団を含めチームになっていかなければいけないという文脈を2つ感じます。その中で、教職員がまずチームという概念をどのように捉えるかというのは大事だと思いますので、どこに書くか分かりませんが、そのことを書かれたらどうかと思います。

【小川主査】  ありがとうございました。

そろそろ1は、時間がないので、終わりたいのですが、何かあれば。ではもう一度、坪内委員。

【坪内委員】  先ほど申しそびれたのですけれども、一つには、「チームとしての学校」が実現した場合に教育現場にどんなポジティブな成果が起きるのかというビジョンのようなものが含まれると、ネガティブなことがあって、それがどう解決されるかということだけではなくて、この「チームとしての学校」が実現すると、教育現場がこう変わるのだ、若しくは子供たちにとってこんな変化があるのだということが盛り込まれると、これを推進することの意義というようなものがより広範に伝わるのではないかと思いました。例えば、教員が授業準備や教材研究などに十分な時間を割くことができるようになればどうなのかというようなところです。例えば、もっと複雑なニーズがある子供たちにきめ細やかに対応することができるとか、何かこれを実現することでのより大きなインパクトというものがあるのではないかと思うので、それが広く分かりやすいような説明が入ると、より伝わっていくのではないかと思いました。

【小川主査】  ありがとうございました。

よろしいですか。また最後に全体を通じて御意見を伺いたいと思いますけれども、では1.の「チームとしての学校」が求められる背景等々については一応これくらいにして打ち切りまして、次に具体の改善方策の内容に入っていきたいと思います。

最初に、学校のマネジメント機能の強化に関わって御意見を伺いたいと思います。2.の「チームとしての学校」の在り方の1 と、あと3.の具体的な改善方策の(1)学校のマネジメント機能の強化に関わってお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。藤原委員、どうぞ。

【藤原委員】  学校のマネジメント機能の強化に関するところで言いますと、4ページでございますけれども、今回、マネジメントの在り方を変える上では、管理職が大事だということは確かなのだろうと思います。どこまで書き込めるかなと思いながら考えておりますけれども、三つ申し上げます。

管理職候補になる教員の数が少ないので、若いうちからマネジメントの能力を付けなければいけないというあたりの書き込みが要るのかなというのが1点目でございます。

もう一つ、管理職候補者がなかなか管理職マネジメントの研修を受けられないという実態があるので、公開講座等という形態のマネジメントの短期履修プログラムの活用を含めて教職大学院以外の裾野の広いような仕組みというものが必要なのだろうと思います。そのようなものがあることによって、例えば30代ぐらいが今主任にどんどんなってきているのですけれども、この時期の人は家庭生活も非常に忙しいので、そのあたりの工夫というのが必要なのではというのが2点目でございます。

管理職に係る3点目としては、教員研修センターの機能をどう考えるかというところをこのところで考える必要があるのだろうと。管理職の養成について、教員研修センターの機能というのがここに書き込まれておりません。ですので、今後ここのところをもう少し議論する必要があるだろうと私は考えています。具体的に私が考えているのは、各県の管理職養成の取組とか大学院の管理職養成の取組というものを情報共有する場というのが今はありません。したがって、どのような形の管理職養成が可能なのかということを情報共有するようなシステムというものを整備する必要があると思います。そう考えると、教員研修センターというのが大きな機能を果たし得るのではないだろうかと考えます。そのあたりについて書き込むことによって、管理職モデルの転換が具体化していくことになると思います。

続いて、事務職員について2点申し上げます。5ページでございます。ここで、「校長や副校長・教頭を学校経営面から補佐する」と一番下から3行目でございますけれども、ここの書きぶりでございますけれども、学校経営チームの一員として学校運営事務に専門性を持つ人が、まさに教員が持っていない知識を持って問題解決能力を高めるというのは、非常に大事なことだと思います。しかしながら、今後事務長等の位置付けを考えると、「教頭を補佐する」という文言というのは、明らかに「教頭を補佐する」と言い切るよりも、「教頭とともに補佐していく」というような形も今後あり得るので、この文言はもうちょっと緩やかに書いた方がいいのではなかろうかと私自身は思うところでございます。

あと1点だけ申し上げます。6ページの事務職員に関わってなんですけれども、ここで事務職員が学校運営事務を担う学校職員としての役割を果たす上では、任用の在り方というのは極めて大事だろうと思われます。ですから、任用から研修について、学校運営に関わる職員であることを前提とした教育委員会の任用の在り方が期待されるとか、そのあたりの文言というのも書き込まないと、実効化しないのではないのかと思います。細かいところで恐縮ですが、以上のことを考えます。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。先ほど言いましたように、具体的な改善方策のところについては、きょう出ている文書ではかなり抑制的に書かれているので、その辺、もう少し具体的に、こういう具体的な改善方策があるのではないかとか、何か御意見等々あれば、積極的に発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。では、大久保委員、どうぞ。

【大久保委員】  今の藤原委員がおっしゃるのを聞いていて私も整理できるという感じがしたのですけれども、私は最初に説明を聞きましたときに、(1)の「学校のマネジメント機能の強化」の中に、主に書いてある場所が4ページですけれども、「管理職の適材確保」と書いて、ア、イ、ウ、エと4つ挙げてあるのですが、ここのところが結局、管理職、特に校長の、現在の管理職の資質の向上という視点で書くのか、それとも、管理職の候補というか、適材を確保するために管理職の候補となるような人を育てて登用するというスタンスで書いてあるのか、どっちの視点かが少し分かりにくくて、どちらも書いてあるのか、それともどちらかに重きを置いて書くべきなのか分からなくて、何と発言しようかなと思っていたんです。先ほど藤原委員がおっしゃったように、例えば今、各県に教職大学院ができてきて、その役割の中に、例えば管理職の資質向上という部分を強く打ち出して、今まではこの部分がなかったのですといった説明がたしかあったと思うのですけれども、それは、管理職にこれからなる方にそういったマネジメントの視点を与えて、そして育てていくということだったと思うんです。ですから、ここに書くべきものは、現在の管理職に資質向上をしてマネジメント機能を強化していくという意味なのか、それが少しそうではなくて、これから管理職になる候補者なるものの養成とか、そして選考・登用していくという、どちらかで書くのか、両方入れるのか、そこをはっきりした方がいいのかなと感じました。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。では、米田委員、どうぞ。

【米田副主査】  今の4ページ1 の「管理職の適材確保」のアの一番下の○、「特に、副校長・教頭については」のところですが、その中の「勤務時間が最も長く、日々、雑務に追われ」という部分に、「雑務」と書いていいのだろうかと思いました。いろいろなスタッフがこの後入って、そういうところをカバーしていくということにすると、いろいろなスタッフがカバーするのは雑務なのかととられるとどうかと思いまして、ほかの表現があると思いますので。

【小川主査】  そうですね。

ほかにどうでしょう。前回総論のところでいろいろ意見を聞いたところでは、書き方としては、高校まで入れるかどうかは分かりませんけれども、小学校・中学校はいろいろ特徴があるので、小学校・中学校の違いがあるところについては、そういう学校種ごとの課題等々も意識して書いた方がいいのではないかといった指摘がありました。恐らく小学校の校長、中学校の校長で求められる資質・能力というのは違うように思いますし、例えば女性管理職の登用などについても、小学校は最近増えて、女性校長は30%ぐらいですか。ただ、中学校は本当に進んでいないです。恐らくそういう小学校・中学校のいろいろな組織とかキャリアの積み上げ方の違いもあって、そういう小学校・中学校での女性管理職の登用率というのはすごく違うという形も出てきているのかなと思うので、どこまで書けるか分かりませんけれども、前回何人かの方から出ていたように、学校種ごとの固有の課題があれば、そういうことも意識して書ければいいかなということを感じています。

ほかに。はい、どうぞ。

【前田委員】  マネジメント機能といったときに、例えば主幹教諭というのは何をしてあげられるのかとか、例えば新しい先生がなったときに、民間だと、指導社員がいたり、課長がいて、部長がいて、本部長がいてという、マネジメント体制が逆に非常にきちんとしているがゆえに自由度が少ないというのもあるのですけれども、物すごくマネジメント体制はきちんとしているんです。校長・教頭が一生懸命頑張っても、学校というのは変わるのでしょうか。外の人間がこういうふうな感じで、見えないんですよ。主幹教諭というのは、どの辺までどうやって触ってあげられる人なのかが、イメージがつかめないのと、もう少し中間層のあたりまで手を伸ばさないでマネジメントはできるようになるのかなと、イメージがつかめないんですけれども、どんなものなのでしょうか。

【小川主査】  何か答えてもらうようなことですかね。そういうことも意識して少し書き込んでほしいといった要望だと受け止めていいですか。

いいですか、加藤委員。どうぞ。

【加藤委員】  今の御意見は本当におっしゃるとおりだなと思って、言葉としてよく使うミドルリーダーとか、そういう言葉遣いがちょっとない感じがするので、そのあたりを入れていただくと、今の御意見などはすっと入ってくるのではないかなと思います。

【小川主査】  竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】  学校がチームとして動くために、全てのメンバーが、新人であろうが、臨時職員であろうが、チームの一員であるということをどこかに入れておかないと、「僕は関係ない」と言われてしまうような気がします。この組織はマネジメントされているのだということを浸透させていかなければいけないのではないかと思っています。

【小川主査】  ありがとうございました。

少し書きぶりを工夫した方がいいかもしれないですね、確かに。委員からこういう意見が出るということは、ほかの方が読んだときに、学校のマネジメントのイメージがつかみ切れないということにもなりかねませんので、それは考えてみたいと思います。

よろしいでしょうか。それでは、(2)の専門性に基づくチーム体制の構築に関わって御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。青木委員、どうぞ。

【青木委員】  3ページのあたりに関わってなんですが、まずマネジメントあるいはチーム体制についてどういう成立要件があるのかと考えると、やはり組織の成員としての個の確立で、これは先ほどの竹原委員の御意見と重なるわけですが、例えば、改善の外注であってはいけないわけです。改善は当事者でしかできないわけですので、それを踏まえると、(2)の3ページのところにもう一つ○を付けていただいて、例えば、「教員自らが、教育活動に加えて関連業務に携わる点を自覚し、その不断の改善を行うことが重要である」というものを書き込んで、とにかく成員の一人であるのだと。本人たちもマネジメントの対象であるし、改善の当事者であるということをこの全体のペーパーの前提にしておく方がいいのではないかという意見です。

7ページでスクールカウンセラーについて記述がありますが、私は、被災地の大学ですので、東日本大震災後のスクールカウンセラーの子供の心のケアについて研究もしているのですが、専門家であるがゆえに、そして派遣されて学校に巡回していく職であるがゆえに、校長の管理下にあるとも言い切れないわけです。個別のケースを抱えているので、なかなか微妙な問題ではありますが、校長に十分な情報がスクールカウンセラーから上がらないということもなきにしもあらずという状況を承知していますので、このあたり、「チームとしての学校」ということを打ち出す以上は、スクールカウンセラーを校長の学校経営の中でどう位置付けるかというのは、やや踏み込んだ書きぶりが必要なのかなとも思います。

もう1点申し上げます。先ほど(1)では事務体制の強化というのがあったわけですが、(2)の具体的改善方策で出てくる専門スタッフには事務的なスタッフが出てこないです。先ほどの5ページを見ますと、事務職員というのは、学校においてほぼ唯一の学校運営事務に関する専門性を有している職員であるということで、一人職場が前提となっています。これは国庫負担法の制度上そうなのですが、ただ、国庫負担金によって雇用されている事務職員のサポートスタッフというのもあり得るのではないかということです。要するに、教務関係のサポートスタッフだけでなくて、事務機能の強化を言うのであれば、そのサポートスタッフも必要だろうということです。以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにいかがでしょう。では、お願いします。

【貞広委員】  済みません、細かいことです。6ページの(2)、1 、教職員の指導体制の充実のア、教員のところなのですが、私は、先ほど教員は多能でいろいろなことができるのですと申し上げたのですけれども、教員のここに挙げられている業務がすごく少ないように思います。もっといろいろな業務の内容があると思います。それがまたどれであれば他の専門職スタッフに切り分けていけるのかということにもつながるので、ここはもう少し丁寧な記述が必要なのではないかということです。

それに関わって、少なくとも加えていただきたいなと思うのが、地域への対応と保護者への対応です。後ろの方に、地域コーディネーターを地域に配置して、そこと連携するとか、保護者の対応について、教育委員会がサポートするという書き込みがなされているので、それと対応するような形で書き込んでいって、先生は今こんなにたくさんの業務をされているのだなというような書きぶりにしていただければなと思います。以上です。

【小川主査】  ほかにいかがでしょうか。竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】  10ページの地域との連携体制の整備について、この会議では、学校内の地域連携を担当する教職員に焦点を当ててまとめるということですが、この文章だけを読んだ方にも伝わるように、コミュニティスクールや学校支援地域本部などとの動きと連動しているということを入れたほうがいいと思います。

そして、最後の○も、「学校との連携窓口を担うコーディネーター等との連携」と突然出てきても、このコーディネーターは何のコーディネーターだろうということになってしまうので、ここは丁寧に書いていただいたらと思います。

そして、最後の○も、「学校との連携窓口を担うコーディネーター等との連携」と言って、これがすっと突然出てきても、このコーディネーターは何のコーディネーターだろうということになってしまうので、ここは丁寧に書いていただいたらどうかと思います。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかに。大久保委員、どうぞ。

【大久保委員】  全体的なことではないのですが、この具体的なもので、9ページをちょっとごらんいただいてよろしいでしょうか。9ページのオとカのところなんですが、まずオのICT支援員というのがありますけれども、こちらの第2回の最初の会議のときに、このICTの支援員というか、こういったサポートをする方の必要性について少し述べたのですけれども、それについてこうして出していただくのは大変大事なことだと思っていて、ここにも書いてありますように、この中身として書いてあるのが、ICTの授業、例えばデジタル教科書が入ってきた、電子黒板が入ってきた、そういったものを活用した授業を教員がスムーズに行えるように支援すると書いてありますが、これは支援員がいなくても、例えば先生たち同士で研修会等で高めていくとか、そういった部分もあるので、これはこれとして書いていいのですが、これだけではなくて、例えばICT機器が入ってきて、授業だけでなくて、例えば学校を広く知ってもらうためにホームページを開設するとか、それからいろいろな業務改善をするために、お互いで情報を共有するためにネット環境を整えるとか、そうしたときに、セキュリティーの問題とか、それから個人情報を守るという意味の、そういった部分のICT支援員の役割というのがあると思うのですけれども、その部分はかなり、教員は単に授業で活用する部分は多分どんどん進んでいくと思うのですけれども、そういったいわゆる専門的なICTを活用する上でのサポート、セキュリティーの問題とか、そういったものもここに書き込んでおいて、大事なものなのだということを是非言うべきではないかというのが一つ。

それから、学校司書の方ですけれども、法律で学校司書を置くよう努めなくてはならないとか、それからパーセントを示して書いてありますけれども、その前に、学校図書館法には司書教諭というのが学校に必置というか、学級数において必置と任意があるわけですけれども、この司書教諭も学校図書館法に示されているわけで、その司書教諭と学校図書の、わざわざ司書教諭があったのに学校司書を置かなくてはならなくなった経緯というか、置くようになった経緯というか、少しだけ入れて、どうしても学校司書がこの「チームとしての学校」を考える上で必要なのだという意味で、その司書教諭との関係を少し書くことと、それから、学校司書を置くのは、こういう法で定められたから、パーセントが高くなってきたからではなくて、読書活動の必要性というか、そういった部分の、さっき能動的な立場でとありましたけれども、こういうものを置くことによって子供たちの教育に非常に効果があるという部分をちょっと入れておく必要があるのかなと思いました。以上2点です。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。では、米田委員。

【米田副主査】  9ページ、同じページですが、この部分で、ある意味大きなインパクトを与えるのは、部活動の支援員というところかと感じます。この部分で、この後、新たな職の在り方について検討するということもこのまま出ていくとすれば、学校の先生方からすると、いろいろな意味で「また期待できる」という思いを持たれるのではないかと思います。具体的に、またどのように部活動支援員を機能させていくかといったことに関しては、いろいろな課題がもちろんあるのですけれども、この部分から何か突破口を開いていくことができればいいと思います。

【小川主査】  ありがとうございました。

では、次に3.の具体的な改善方策の(3)の教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備に移っていきたいと思います。

ここに関わって何か御意見等々があれば、お願いいたします。いかがでしょうか。

では、藤原委員、そして米田委員で。

【藤原委員】  ありがとうございます。1点だけ申し上げます。11ページの業務改善のところでございます。本日ご指摘いただきました書き方についての委員の皆さん方の御意見は私も大変勉強になりました。業務改善の必要性を前提とした上で、業務改善と教育の質の向上というのが両立し得るような書き方というのをいろいろなところですべきだろうなということを、私もお聞きしながら考えておりました。

この業務改善の中で、是非、校務の情報化というのを入れていただきたいなと思っております。校務の情報化というのは、これは決して効率化だけではなくて、教育情報を共有化することによって、例えば保護者へのフィードバック能力というものを学校として向上するというような効果が見られております。ですので、そういう意味で、この業務の効率化というのも、ただ業務を効率化するのではなくて、校務の情報化等々をしながら、それが保護者との信頼関係とか、子供へのきめ細かい指導に対して学校の組織能力を高めるのだということも記したらどうかと考えました。以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。どうぞ。

【米田副主査】  10ページの一番下の方、「人材育成の推進」のアのところの二つ目の○です。「教員については、既に」のところです。目標管理型の人事評価制度を今やっているのですが、実は目標管理型の人事評価制度によって、導入前と比べ、校長あるいは教頭、管理職と教員の方々が頻繁に面接していろいろと協議することによって、教職員の意欲が非常に高まって、具体的な目標を目指して頑張っていくという動機付けがなされてきています。ですから、ここのところ、「今後、更に教職員の意欲や資質の向上に資するようなかたちで実施されることが重要である」。それから、「人事評価の結果の活用状況を見ると、人材育成・能力開発・資質向上や研修に活用している教育委員会が多い」とありますが、来年4月から人事評価制度が新たな形で導入されるというところと、今実際行われている目標管理型の制度と、どこがどう違うのかというあたりが、学校にいる方は余りよく分からないのではないかというような気がしますので、その辺を、もう少し説明するような形で加えていかないといけないと思いました。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにどうでしょう。青木委員、どうぞ。

【青木委員】  12ページのところに加筆していただければなと思うのですが、つまりもう少し具体的方策として書き込めないかということなんですが、訴訟リスクが今高まっていますので、弁護士などの専門家を教育委員会として顧問弁護士的に契約してはどうかといったことはもう具体的に書いたり、あるいは訴訟対応として、教職員個々人がそういう保険に入るのではなくて、弁護士費用は安心して教育委員会が面倒を見るのだというようなことを書いてもいいのではないか。

あと、これはもしかしたら管理職の充実などの部分に書き込む方が適切かもしれないのですが、退職校長の活用というのはいかがでしょうかという意見です。2つ目です。指導主事は、必ずしも校長経験者がやっているわけではなくて、むしろ教頭になる前あるいは教頭になった後ぐらいの方ですので、教科指導は得意ですけれども、マネジメントを指導するという立場に必ずしもなり切れないということがあります。そういったことを踏まえると、退職校長を、校長先生を支えるサポーターとして位置付け、それを教育委員会が雇用して、学校を巡回させるというようなことは、具体策として書き込める余地があるのではないかなと思います。以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにいかがでしょう。加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】  11ページの2 の業務改善のところで、どのように書いて直したらいいのかというのは自分でもよく分からないのですけれども、学校における業務改善の推進のところは、要するに、業務改善の推進をこのようにしたら、何かやる内容が分からないというか、多忙化の現状だから課題になっているとか、そのような書き方になっていて、検討していただきたいと思います。例えば勤務時間を標準化していくとか、適正化していく必要があるとか。ここに書いてあることが、このように業務改善を推進していきましょうということの中身に、あまり具体的に直結していないようなイメージがあって、そのあたり、書き方を工夫していただければと思います。

どこかに勤務時間の適正化といいます。実際、学校に入って見てみると、ある偏った何人かの教員が夜遅くまで働いていて、それにつられて働いていてとか。例えば部活動をすごく一生懸命やってしまう教員がいて、そこの抑えが効かないのに、部活動に先ほどの支援員が入るというのは論理的におかしくなってしまうので。ういう勤務時間の適正化というか、標準化というか、そういう目安も業務改善の視点として何か入れていただければと思います。以上です。

【小川主査】  では、大久保委員、どうぞ。

【大久保委員】  先ほど米田委員が人事評価制度のところでおっしゃったのは、私も、ここの書き方というか、人材育成の推進につながる人事評価制度の活用という視点で、先ほどおっしゃったように、人事評価が既に導入されて、そして有効に活用されている部分というのは、私も全く同感だったのですけれども、3つ目の○に、現在このように活用している教育委員会が多いとあって、この後に、例えば教育委員会というのは、人事評価制度というのは、評価者研修といいますか、客観的かつ公正な評価が行われるように、評価者研修をしっかりやらなくてはいけないこととか、それから人事評価の結果を処遇への適切な反映といいますか、例えばその処遇というのは、研修とか、給与とか、登用とか、いろいろあると思うんですけれども、そういった処遇に適切に反映させることによって教職員一人一人の成長を促していくと。こういった取組を進めなくてはいけないのだということも書いておくことも必要なのかなというふうに、先ほど、チーム全体で向上するには、教職員一人一人の成長というか向上が求められるということもありましたので、そういったことも記述していけばいいのかなと思いました。以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。

坪内委員。

【坪内委員】  1 の人材育成の推進の中のアとイの両方に、個人の表彰だけではなくて、チームとしての取組の評価というような記述が入っているかと思うのですけれども、これのときに、チームとしての取組が評価されて、褒められてうれしいというのももちろん一つの観点だとは思うのですけれども、それでインセンティブになってモチベーションが上がっていくというのも一つだとは思うのですけれども、このチームとしてのすばらしい取組というものが共有されることによって、ほかの学校であったり、教育現場で幅広く、こういった「チームとしての学校」の取組があるのだという学びが広がっていくということもこのチームとしての評価の意義にはあるのではないかなと思っていまして、そういった議論が過去の会合のときにも出たかと思うんです。できれば、評価して褒めて終わりということではなくて、なぜ評価されたのか、なぜこういったすばらしい取組というものが生まれて可能になったのかということを広く共有することで、それが一度褒められて終わりということではなくて、より汎用性のある形で現場で展開されていくというようなニュアンスもここから伝わってくるような書きぶりになったら、よりよいのではないかなと思いました。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかに。よろしいですか。

では、もう一度、全体を通じて、何かきょう言っておきたいことがあれば、いかがでしょうか。全体を通じて。では、加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】  全体のところで言うと、先ほども少し申し上げたミドルリーダーというか、そのような部分がちょっと感想としては欲しいかなと思います。

それと関わって、5ページのところで主幹教諭の制度の充実というのがあるのですけれども、このお考えみたいなところを教えてもらえればと思うんです。実際に主幹教諭制度をどれぐらい充実させていきたいのかとか、配置の目標というのですかね。そういうものがあるのかないのかみたいなところで、現実問題として考えると、主幹教諭の制度を入れているところと、それほど広範囲に入れていない自治体とがある中で、こういう書かれ方で、あとは御判断くださいというようなことなのかもしれませんけれども、実際、今後、より多くの自治体というか、より多くの学校にこれを強力に入れていってもらいたいというようなメッセージ性なのか、あるいは現状のペースで考えてくださいというか、そのあたりによって、先ほど申し上げたようなミドルリーダーの位置付けのようなものも随分、強調性が違ってくるのではないかなと。

私として考えているところは、多職種とか専門スタッフといっていろいろな人が入ってきて、ではその人たちは誰がマネジメントをしてさばくのかといって、それが校長・教頭に集まってくるというのは予想されるわけです。それを事務職員が負えるのかといって、負えますよというところでいけばいいのだけれども、学習をサポートするとか、学習を支援するとか、教育の中身を充実させていくとか、アクティブ・ラーニングで教育を変えていくといった場合には、やはりそこは教員も十分関わらなくてはいけない。そのとき、確かにチーム学校で教員で関わって、そういう多職種の人たちの協力をといっても、誰かがそれを引っ張らなければいけないと。そのときに、まさに中間的なマネジメントで引っ張るのだといったときに、明確な権限みたいなものがないと引っ張れない話なのか、あるいは従来型の学校の共同性の中でやっていけるものなのかというのは、私は、そろそろそのあたりははっきり考えて打ち出していかないと、結局いろいろな人が入ってきても、これは教頭がまたマネジメントしなくてはいけないのかみたいなところで、教頭の仕事が増えていってしまうのかなというのが懸念されるところです。事務職員のところにすんなり下りていくようには、私の把握している現状では、そのイメージはすぐには得られない。ちょっと事務職員が頑張ってもらえるような段階まで持っていくにはもう少し必要なのではないかなというようなところで、主幹教諭制度の充実の書き方と申し上げますか、そのあたりのところを、ミドルリーダーとか、ここに書く内容もちょっと充実させてもらいたいというのが、私の個人的な意見でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。では、貞広委員、どうぞ。

【貞広委員】  今、主幹教諭の配置についての、もう少しリアリティーがあるような形でという御意見だったと思うのですけれども、それを引き取って、全体というわけではなくなるかもしれないのですが、3.の具体的な改善方策のところで、非常に抑制的に書いていらっしゃる中で、私個人として最も抑制的で、でも、では変わらないのではないかという、変わらない感を持つのが指導主事の配置の充実のところで、増えないんですよね、きっと。ほかのところもそうなんですが、例えば、今はできないけれども、こんな工夫を行ったらもしかしたらできるかもしれないというようなヒントになるような取っ掛かりも書かれていないと、ちょっと増えない感じがするんです。例えば、今取り上げた指導主事でいうと、本当に数は少ないですけれども、広域行政、教育委員会の共同設置とか、広域連携をとることによって複数の市町村で指導主事を配置しているような工夫を行っている小さな自治体もありますので、例えばですけれども、そういうちょっとヒントになるようなものをちりばめることができないかなと思います。以上、意見です。

【小川主査】  どうぞ。

【米田副主査】  全体の中で財政的な支援等に書かれているところは、11ページの「指導主事の配置の充実」の二つ目の○のところだけなので、かえってそこだけが目立つのです。いずれこのような形で「チームとしての学校」力を強化するとすれば、大変ありがたく、いいことなのですが、財政的な面での措置が相当必要になってくるということは、これは誰が見ても分かることなので、その辺のところをどこまでここに書き込めるのか。その辺はいろいろとデリケートな問題、難しい問題はあろうかと思いますが、この後検討していければと思います。

【小川主査】  時間がもうほぼないのですが、もしもございましたら。よろしいでしょうか。

では、きょうはいろいろ意見を出していただきまして、ありがとうございました。事務局とすれば、今までの意見をどう受け止めて新たに書き込んでいくかというのは、相当難しい宿題を出されたような感じもしますが、よろしくお願いいたします。

それでは、いただいた意見を反映させた中間まとめ案を事務局の方で作っていただいて、次回、継続して議論を進めていきたいと思います。ありがとうございました。次回の予定について、事務局から御連絡をお願いいたします。

【福島補佐】  次回でございますけれども、6月24日の水曜日の15時から、文部科学省の省内で開催させていただきたいと思っております。御案内はまた追ってさせていただきます。

【小川主査】  6月24日水曜日15時からということですので、よろしくお願いいたします。

それでは、きょうの会合はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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