チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第10回) 議事録

1.日時

平成27年5月25日(月曜日) 15時~17時

2.場所

中央合同庁舎第4号館 12階1208会議室

3.議題

  1. 教職員評価の在り方について
  2. 学校と地域等との連携の在り方について

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会

チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第10回)

平成27年5月25日

 

 

【小川主査】  それでは、時間になりましたので、第10回チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会を開催いたしたいと思います。本日も大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。

今日は、これまでのヒアリングを踏まえながら、教職員評価の在り方、及び学校と地域の連携の在り方について、教育委員会の方々に意見発表していただき、その後意見交換を行いたいと思います。

最初に、今日、意見発表をいただく方を御紹介いたしたいと思います。最初、高知県教育委員会教職員・福利課長、笹岡浩様です。

【笹岡課長】  高知県教育委員会教職員・福利課長の笹岡です。今日はお招きいただきまして、どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

【小川主査】  よろしくお願いいたします。

同じく、高知県教育委員会の主任管理主事、松本英雄様。

【松本主任管理主事】  教職員福利課の松本です。どうぞよろしくお願いいたします。

【小川主査】  よろしくお願いします。

そして、栃木県教育委員会事務局生涯学習課長補佐、湯澤美佐江様です。

【湯澤課長補佐】  湯澤美佐江です。よろしくお願いします。

【小川主査】  よろしくお願いいたします。

それでは、今日の配付資料について事務局から説明をお願いいたします。

【福島補佐】  本日の配付資料でございますが、議事次第にありますとおり、配付資料の1-1から1-3までが高知県教育委員会様から、資料2が栃木県教育委員会様からの資料でございます。その他、机上配付資料も栃木県から頂いております。それから、参考資料の1から3まで、これが人事評価に関する参考資料ということでお配りしております。

不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。

【小川主査】  資料の方、よろしいでしょうか。それでは、今日の議事に入りたいと思います。

最初に、まず事務局から、教職員評価、また学校と地域との連携の現状等について、資料に基づいて説明をお願いしたいと思います。

【福島補佐】  参考資料をごらんいただきたいと思います。基本的には、この参考資料1で説明をさせていただきたいと思っております。参考資料の2ページは、現行法令の規定となっております。公立学校の教職員につきましても地方公務員でございますので、地方公務員法が適用されます。第40条で、任命権者は、県費負担教職員については都道府県教育委員会でございますが、職員の執務について定期的に勤務成績の評定を行い、その評定の結果に応じた措置を講じなければならないとされております。これが、いわゆる勤務評定に関する規定でございます。

次のページをごらんいただきたいと思います。この勤務評定につきましては、教育委員会の方でもずっと取り組んでまいったわけでございますけれども、例えば評価項目が明示されていない、あるいは、どちらかというと一方的な評価で、なかなか人事管理に十分活用されていないといった問題点が指摘されておりました。

それで、文部科学省といたしましては、公務員制度改革の動き等も見まして、勤務評定とは別にこの教職員評価システム、人事管理システムの導入を推進してきました。平成12年ぐらいから一部の教育委員会におきまして、この新たな人事評価制度が導入されてきたわけでございます。基本的には、目標管理型と言われておりますけれども、校長と職員が面接を期首にして、そこで目標を立てて、それの達成度をまた期末で面談をするという形でございます。

そういったものを文部科学省としましても事業の形で推進をしてまいりまして、平成20年度から全ての都道府県・指定都市教育委員会において、新しい教員管理システムを試行、又は実施という状況でございます。ですので、教職員の評価システムにつきましては、全ての都道府県・指定都市の67教育委員会で導入されているという状況でございます。

評価結果の活用状況ということにつきましては、少しばらばらでございます。次のページの4ページの方をごらんいただきますと、その活用分野というところで、昇任、昇給・降給から始まりまして、再任用の決定基準、その他とございますけれども、それぞれ評価結果の活用状況につきましては、ばらつきがあるということでございますが、人材育成・能力開発・資質向上で活用しているのが一番多いという状況でございます。

これが教職員評価結果の活用状況ということでございます。

続きまして、次のページをごらんいただきたいと思います。この勤務評定の仕組みにつきましては、文部科学省としましては、今申し上げたとおり目標管理型の人事評価というものの導入を推進していたわけでございますけれども、それとまた別の動きということで、地方公務員法の改正が昨年の5月に行われております。その内容はそこにあるとおりでございますけれども、勤務評定の仕組みを廃止いたしまして、新しく人事評価制度を導入するという形でございます。

勤務評定との違いについては、勤務評定の課題というものを改善する形で人事評価、つまり、能力評価と業績評価の両面から評価をするということです。それから、人事管理に生かすという観点で、その評価基準を明示するとか、あるいは面談、評価結果の開示などの仕組みも整備するということが、勤務評定とは異なる点でございます。

こういった人事評価の仕組みを入れるという改正が昨年行われ、平成28年の4月から施行される予定でございます。具体的に地方公務員法がどう変わったかが、その次のページの6ページ以降でございます。7ページの一番上に地方公務員法の第23条とございます。ここは、職員の人事評価についてのものでございまして、人事評価というものは公正に行わなければならないと。

それから、第2項でございますが、任命権者は人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するという規定でございます。

その前の、6ページにお戻りいただきたいと思います。これとつながる形で、地方公務員法の第15条でございますが、職員の任用は、受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づいて行わなければならないということでございます。

参考資料の2と3をごらんいただきたいと思います。参考資料2は、地方公務員法が公布された際に出た通知でございます。この内容は法律の内容を書き下したような内容でございます。

続きまして、これの運用について通知を出したものが参考資料3とありますけれども、26年8月15日付けの通知でございます。これをごらんいただきますと、人事評価制度に関する規定等の整備というのがまず1番にございます。地方公務員法の趣旨を踏まえて規定の整備を行うことが適当だということで、既に現行の勤務評定の運用として人事評価を実施している団体においても、改正法及び本通知に照らして必要な場合には、所要の充実や改善を行うこととされております。ですので、施行が28年4月ということでございますので、それまでの間にこの充実、改善を行っていただくということでございます。

続きまして、通知の2ページ目をお開きいただきたいと思います。具体的に人事評価についてどのような仕組みを作らなければならないかということが、そこのマル1に書いてございます。評価基準を明示するとか、あるいは自己申告、面談、それから評価結果の開示、苦情対応、評価者訓練などについて、必要な規定等を設けておくことが適当だとしております。

それから、人事評価の中身でございます。能力評価、業績評価、その両面からやると、2の(1)で書いてございます。

それから、評価手法につきましては、国では絶対評価による評価を行っておりますけれども、通知の3ページ目の方に行きますと、各地方公共団体においては、それぞれの地方公共団体の実情に応じた評価手法により評価を実施することとされているところでございます。

その評価手法につきまして、人事評価の実施等というのが4番にございます。そこで評価者や評価期間等について定めております。

次のページをごらんいただきたいと思います。人事評価の結果の活用というところになります。そこで順に任用ですとか、給与、免職・降任、人材育成ということで、人事評価の結果の活用について、それぞれ通知で留意事項が示されているところでございます。

こういったものを踏まえまして、学校の職員につきましても同じような仕組みを整備していく必要があるということでございます。本日は、高知県教育委員会の方から、この人事評価につきまして、どういった取組をされているかということを御紹介いただくというところでございます。

それから、続きまして、パワーポイントの参考資料1の方にお戻りいただきたいと思います。直接、評価制度に関係するということではございませんが、評価に基づいて優秀な教職員の方々を顕彰するという観点で、表彰という仕組みを文部科学省も作っております。資料の8ページでございますが、文部科学大臣優秀教職員表彰、これは、平成18年度から開始したものでございますけれども、全国の教育実践に顕著な成果を上げた先生方を顕彰するという目的で実施をしたものでございます。

順次、実施要項を改正をしておりまして、平成25年度からは事務職員の方も対象にしておりますし、26年度にはESDですとか、ユネスコ活動等の項目を選考基準に追加をしたところでございます。

被表彰者の数でございますけれども、下に表がございますが、平成26年度で829名ということで、大体800名前後を表彰しているというところでございます。

では、続きまして、資料の10ページ以降でございます。これは、各都道府県で取り組んでいただいております優秀教職員表彰の実施状況について調査結果、これは平成24年度の結果が最新でございますが、取りまとめたものでございます。通年はこういうところで表彰していただいた方を、文部科学大臣表彰で表彰しているというのが実態でございます。表彰結果の実施状況、それから15ページからは表彰結果の活用状況ということで、表をお付けしております。

以上が人事評価に関わる部分でございます。

それから、18ページ以降は、学校と地域等との連携に関する資料をお付けしております。19ページでございますけれども、地域との連携の体制ということが問題になろうかと思います。そういう意味で、地域との連携を担う教職員についてということで、学校における地域連携推進の業務、あるいはその担当を明確化することによって、学校全体の負担を軽減して、マネジメント力の向上を図るという観点で、地域との連携を担っている教職員の役割の例ということで、例示をしているところでございます。

こういった位置付けにつきましては、その次の20ページでございますけれども、幾つかの答申で既に例示をされたところでございます。

続きまして21ページでございますが、ここは地域との連携を担当する職員を位置付けている事例ということで、幾つか例を挙げていただいております。そういう意味で、今日は栃木県に御発表を頂くというところでございます。

それから、22ページは、今度は地域との連携担当としまして事務職員の方を位置付けている例ということで、3例御紹介しております。

併せまして、次の23ページ以降ですが、学校支援地域本部に関する資料でございます。平成26年度の実施状況は、全国で3,746本部、実施をしていただいているという状況でございます。

次の25ページをごらんいただきますと、全国の地図で学校支援地域本部の実施状況が分かるような形になっています。

それから、26ページ以降は国の事業、あるいは学校支援地域本部におけるコーディネーターの配置の事例について紹介しております。これにつきましても御参考にしていただければと思います。以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。今の事務局の方からの説明の内容について、何か質問等々があれば、後で質疑応答のときに頂ければと思います。よろしくお願いします。

それでは、早速有識者の方々からヒアリングに入っていきたいと思います。今日もテーマが違っていますので、前半、後半に分けて行っていきたいと思います。前半が高知県の教育委員会から、教職員評価の在り方について御発表いただきまして、その後、後半、栃木県教育委員会から、学校と地域との連携の在り方などについて御発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

では、最初に、高知県教育委員会からよろしくお願いします。大体20分ほどをめどによろしくお願いいたします。

【笹岡課長】  それでは、高知県におけます公立学校職員の人事評価制度と、評価の活用、昇給制度につきまして御説明させていただきます。

主に資料1-1の制度の概要を中心に、適宜1-2、1-3の資料を用いまして説明させていただきます。まず、制度の導入に至る経緯について、高知県におきまして段階的に試行を行いながら平成18年度から職業能力育成型と呼んでおります人事評価制度を導入しました。職業能力育成型と名付けておりますのは、この人事評価制度が、まずは教職員の職業能力を育成するものであること、教職員一人一人の力量の向上を目指すということを名前の上からも明確にしたいという当時の教育長の思いがあったものです。翌平成19年度から全教職員を対象に勤務成績を昇給に反映させることを目的として、査定昇給制度を導入させていただきました。

この時点で人事評価と査定昇給、2つの制度は直接にリンクさせていなかったのですけれども、運用する中で、職業能力の育成により役立つよう人事評価制度をさらに充実させるという必要性、昇給区分の決定のために勤務成績の評定が教職員にとってより客観性、透明性を保つ必要性、それから制度が別々に存在するということで負担感が生じており、効率的に運用する必要がありました。平成23年度に人事評価における評価項目の見直しと、2つの制度の関連性を整理しまして、人事評価の結果を昇給区分の決定の根拠として活用することとし、制度を再度構築しまして、23年度からは管理職員を対象に、24年度からは全教職員を対象に実施しているという状況でございます。

まず、人事評価制度でございます。資料1-1でございますが、まず1番目、人事評価の目的のところでございます。先ほど御説明がありました改正後の地方公務員法では、人事評価とは、人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力と、あげた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価と定義されまして、いわゆる能力評価と業績評価の両面から行うことが明記されました。

高知県の人事評価制度では、法定された勤務成績の評定として、職員の職務遂行状態を態度、能力及び成果の各観点から客観的、かつ公正に評価し、その結果を人事管理の基礎資料とするとともに、職員の職業能力の育成を図り、学校組織の活性化に資することを目的としています。改正後の地方公務員法の趣旨に沿った形で、能力と業績の両面から既に評価を行っているものと考えております。

具体的な運用につきまして、2の評価の実施方法等というところでございますけれども、評価の対象となるのは、この1年の期間中に勤務実績がある職員ということでございまして、評価の様式のところになりますけれども、実施方法としましては、人事評価は目標設定シートと人事評価という2つの様式により実施しております。後で様式を見ていただきますけれども、年度当初に担当する業務等に関しまして、まず目標設定シートを使って業務の目標、課題を設定しまして、年度末にそこで発揮した能力とか、達成度合いにつきまして人事評価書を使って評価をするという仕組みになっております。

人事評価につきましては、1次評価と2次評価の2段階で行われるということです。例えば学校の教諭の場合を例にとりますと、1次評価者は副校長や教頭、2次評価者は校長ということになります。

3番の人事評価等の流れでございますけれども、大きな流れでいいますと、まず5月に、後ほど御説明します目標設定のシートを用いまして、各教職員が1年間の重点とする職務の目標や能力目標を設定しまして、校長に提出します。5月から6月に掛けまして、目標設定シートを基に被評価者と校長とが当初面談を行い、8月になりまして、主に夏期休業期間ということになりますけれども、年度当初の自己目標の進捗状況を確認するために中間面談を行い、年明けの1月になりまして、各教職員は自己目標に関します1年間の取組の成果と課題について記入をするとともに、達成状況について5から1までの5段階で自己評価を行います。この自己評価を行いました後、評価者である校長が、後ほど説明します人事評価書を作成するということになります。

それで、2月から3月に、校長による2次評価の確定後、校長と教職員が最終面談を実施し、人事評価の結果を被評価者本人にフィードバックするということになります。フィードバックにおきましては、校長は教職員から目標設定シートに記入しました成果や、自己評価についての考え方を聞き取るとともに、評価者である校長としての評価の考え方や教職員の自己評価に対する意見を伝えるということになります。教職員が希望すれば、その場におきまして校長による2次評価書の写しを手渡すという形で開示をするということになります。

資料1-2の15ページをごらんください。目標設定シートでございますけれども、目標設定シートは、校長、教頭、教諭といった職種別とか、特に教諭におきましては経験年数でステージが3つに分かれます。ここに示させていただいているのは、経験年次10年以上の教諭用ということでの様式を示しております。目標設定シートの様式の内容は、大きく1番の重点とする職務の目標から、能力目標、職務に取り組む態度の3つの項目に分かれております。

まず、その前のシートの最初に、校長があらかじめ設定した目指す学校像を前提としながら、教員自らが1年後の目指す児童生徒像というのを記入していただきまして、併せて前年度の成果と課題も記入してもらうということでございます。

その次に、先ほど説明しました被評価者が設定しなければならない1年間の目標として、大きく3つの区分の目標を記入するということで、まず1番として、重点とする職務の目標には、教科等の指導、教科等以外の指導、分掌業務等、現在担当している職務の中から取り組むべき課題を3つに限りまして選んで記入していただくということでございます。

次に、16ページの2、能力目標でございます。ここは、左の表になりますけれども、例えば児童生徒理解、教科等の指導など、大きく4つの要素からなっておりまして、教頭、教諭などの職種に応じ、要素ごとに必要とされる能力と、その求められる水準というのがあらかじめ決められておりまして、シートにも記入されています。

同じ教諭の中でも、3つのステージによって少しずつ異なるものが記入されております。教職員はこれを見ながら、自らに期待されている発揮能力のレベルについて確認を行いまして、その年度に特に意識して特に伸ばしたい要素について、今年度の重点目標の欄に軽重ということで、二重丸、丸、三角のいずれかを記入するということでございます。

3番の職務に取り組む態度につきましては、8 から9 までありますけれども、自覚、規律性、協調性の、3項目になりまして、本県ではより教育効果を高めるために、校長に学校経営計画に基づき組織的に対応することを求めております。教職員がチームとして機能するためには、職務に取り組む態度における評価項目のうち、例えば9 により協調性を育成していくことが重要になるというので、ここが重要視されるというケースが出てくるということでございます。

この態度につきましても、職種別にあらかじめ求められる水準も期待されております。ここにつきましては、各教職員にこの内容を確認していただくということになります。能力目標の要素別とか、態度別に求められる水準が決められているということで、ここは教職員として期待される人材像を構成するものとなっているということでございます。

目標設定シートに1から10まで番号がございます。職務目標では3項目、能力目標4項目、態度3項目、計10項目につきまして、達成度、能力の発揮など、年度の終わりになりまして、5段階で評価を行うということでございます。

教職員が行う自己評価とか、校長が行う人事評価は、どのような評価基準で実施されるかについてでございますけれども、最初の資料の1の2ページの4、評価基準をごらんください。まずは(1)成果に対する評価基準についてでございます。ここも、教職員が行う自己評価と、評価者である校長等による評価基準ということで、内容は恐らくほかの自治体さんと同様ではないかと思います。設定した目標について、困難度が高いかどうかというのを前提としまして、目標達成度を評価するということでございます。困難度が高いものであれば、目標を達成すれば、その達成度に応じまして5、4といった高い自己評価になりますし、十分達成できていなくても、達成度が困難ということで3の評価を受けることもあるということです。

逆に、本来容易な目標であれば、目標を達成したとしても、例えば2にとどめるといったこともあり得るということでございます。人事評価は人事管理の基礎資料として成果があったかだけを追求するものではなくて、その能力の向上、あるいは態度などを評価することで人材育成につなげることが大きな主眼ということになります。ですので、特に管理職でない場合については、達成度が目標を下回ったときでも、その取組姿勢とか能力の発揮が十分であれば一定の評価を受けるということもあり得ます。

次に、このページの2、能力目標、職務に取り組む態度に対する評価基準ということでございます。これにつきましても、5から1までの基準評点が付けられておりまして、その目安が書いております。もう少し詳しく見たいと思いますので、資料1-2の方に戻っていただきまして8ページをごらんください。

8ページの下の方の片仮名のイのところが先ほどの表と同じところなのですけれども、そこの※印のところの評点と評価基準の関係のところでございます。5段階のうち4につきましては、求められる水準を満たす能力が発揮される場面がおおむね6割以上の場面で見られること、業務の信頼性の高さや、困難への前向きな対応など、管理職として安心して業務を任せておけるかどうかが目安になりまして、4を付けるということになります。

右側の9ページでございますけれども、それを上回る5というのをつけるためには、求められる水準を満たす能力がおおむね8割以上の場面で見られ、さらに他の模範となるような状況であるということが目安となるということでございます。

逆に、評点2というのは、求められる水準を満たす能力の発揮が余り見られず、周りの助け、管理職の助けが必要になる場面が見られるが、今後の本人の努力によっては向上が期待できるのではないかというときは2にとどめるということもあります。最後の評点の1につきましては、手助けがかなり要るという状況で、業務に支障も出てきているなど、指導しても向上の意欲が見られないといった場合は、1までつけてしまうということが考えられるという基準にしております。

人事評価制度は教職員一人一人が目標を設定しまして、その目標に向け取り組むことにより、力量を高めようとすることを大きな主眼としておりまして、職業能力育成、キャリアアップにも大いに活用できるツールとなり得るものと考えておりまして、意識的に運用するように促しております。

続きまして、昇給制度につきまして併せて御説明させていただきます。資料1-1の5ページをごらんください。1の昇給区分と勤務成績でございます。昇給につきましては、勤務成績に応じまして昇給の幅が決められておりまして、ここは国とか他の自治体と同じであると思います。

(1)の昇給区分の表のとおり、良い方から1 から5 までの5つの区分により決定します。例えば昇給区分が2 2であれば、通常は6号給を昇給するということになります。(2)の昇給区分決定のための勤務成績でございますけれども、昇給区分は昇給日前1年間の勤務成績に基づいて決定されるということでございます。現在の昇給制度が施行されるまでは、人事評価制度とこの昇給制度における評価項目は似たような内容ながら、実際異なっているということで、人事評価の結果を直接には昇給に反映させず、あくまでも参考にするのみだったのですけれども、特にこの両方の制度の関係というのは分かりにくく、教員の制度全体への理解が浸透していないとか、能力育成について成果が上がっていないという指摘もありまして、現行制度では昇給区分決定のための勤務成績として、前年度の人事評価の結果が反映される形になっております。

他方で、職種とかキャリアによりまして成果、発揮すべき能力、態度について、求められる基準が異なってきますので、人事評価のような評価点に職種とかステージなどに応じたウエイト点を乗ずることで、さらにめり張りを利かせて昇給に反映させることにしております。

(3)のウエイト表についての考え方ということで、例えば教諭の場合について見ますと、表の上から4番目になりますけれども、児童生徒理解とか、教科等の指導重視からスタートし、ステージアップに伴いまして教科等以外の指導だとか、学校経営の参画重視ということにシフトしていきます。

また、管理職である校長を見てみますと、管理職の欄ですが、「態度」というのは身に付けていてしかるべきということで、成果、能力を重視します。特に校長は成果をより重視ということになります。

具体的には、次の6ページにウエイト表を載せております。例えば教諭のステージ1、採用1年次から4年次までは、成果というのは3項目とも2点ですが、能力、それから態度となりましたら、ウエイトが6点、5点、4点というふうに大きくなっています。これに対しまして、校長につきましては、成果、3項目とも6点でございますが、能力、態度になりますと1点ということで、ウエイト上もかなり成果が重視されているということが分かると思います。

経験の浅い時期には成果よりも、児童生徒理解とか、教科等の指導の能力とか態度といった基本的な事項を身に付けることが要求されまして、校長のように学校全体を管理運営する立場になると、基本的な態度というのは身に付いているのは当然という前提で、それよりも成果を重視するということになります。このようにウエイトを傾斜配分しまして、より求められるもののウエイトを相対的に重く、それ以外は相対的に軽くということで、職員の職責に応じまして勤務実績をより適切に給与に反映できるようにしているということでございます。

このウエイト表を用いてどのように昇給区分が決定されるかにつきまして、参考までに御紹介します。資料1-3の昇給制度説明書の9ページをごらんください。上の方の様式が人事評価報告書でございます。これは校長が作成しますが、この様式の評価項目の欄に1 から10 までに、教員ごとの人事評価結果を、そのまま項目ごとに転記します。そうすると、1から10までの各項目の評価点に先ほどのウエイト表によるウエイトを乗じたものが、ウエート付き欄と、それから合計の欄に自動的に反映されまして、これが昇給区分の決定の目安になるということになります。

ちなみにウエイト点というのは、先ほどの表を合計しますと40点になりまして、仮に校長の評価が全て満点の5点であったとしたら、ウエイト付き合計得点は満点の200点になります。作成した各校長は、市町村立の学校であれば市町村教育長に、県立学校であれば、県教育長に提出します。提出を受けた市町村教育長と県教育長は、勤務実績調書に全て集約しまして、ウエイト付き点数を基に全体を見ながら調整し、昇給区分の1 から5 までを付けるということになります。

これを、昇給区分の欄に記載します。市町村の教育長にあっては、この調書とともに昇給の内申書というのを最初に付けまして県教育長に提出します。いずれにしましても、最終的に県教育長が市町村立学校と県立学校の全ての教職員について昇給区分を決定するということになります。

1-1の資料に戻っていただきまして、また6ページになります。昇給区分決定の目安となる点数ということでございますけれども、この表は昇給の幅を示す昇給区分と、ウエイト付き合計得点との決定の関係の目安を示したものです。ウエイト付き合計点数が高いほど昇給の幅が8号とか、6号とかいった、より大きい、極めて良好である1 1区分とか2 2区分に決定されるということでございます。

昇給区分1 と2 につきましては、人事委員会で割合を目標として定めておりまして、昇給区分1を全体の5%、昇給区分2を20%と定めております。実際の運用としましては、1と2を合わせますと25%になっているのですけれども、昇給区分1 につきましては、実際のところ、例えばこの4月の昇給でいいますと1.6%にとどまっておりまして、人事委員会の定める5%という目安よりもかなり少なくなっている状況でございます。

逆に、勤務成績がやや良好でない、良好でない4 とか5 の区分については、割合は特に決まっておりません。実際両方合わせて、全体で3%弱という状況になっております。このウエイト付き評点というのはあくまでも目安でございまして、昇給区分の決定というのは人事評価というのが絶対評価でございますけれども、昇給区分の決定は配分率との関係もありまして、あくまでも相対評価ということになっております。

平成24年度の全面施行に伴いまして、全ての市町村教育長及び校長を対象にアンケートを実施しました。全体の3分の2以上が教職員の意識の向上とか、特に教育目標の共有化というものを成果として挙げていただいております。このことから、学校現場における職業能力の育成という点では、職員の意識改革に寄与していると考えられます。ただ、制度の最終的な目的であります学校組織の活性化という選択肢もありましたが、全体の3分の1程度にとどまっておりまして、この制度を、学校組織全体を動かしていくものに、今後いかにつなげていくかというのが課題であると認識しております。

先ほど説明がありました地公法が改正されますけれども、本県では、法律とか、国からの通知資料を見る限りでは、もう既に地公法の改正の趣旨に沿った評価制度を、外形上導入、運用しているものと考えておりますが、教職員の処遇への反映とか、人事管理の活用などの観点を含め、法改正に対しに適切に対応するものとなっているかどうか、運用、課題等について改めて本年度中に確認、検討していく予定となっております。

また、これまで以上に公正かつ適正に評価を行うことが求められますので、今年度は改めまして、全ての学校長を対象に研修を実施する予定となっております。

以上をもちまして説明を終わります。ありがとうございました。

【小川主査】  ありがとうございました。では、今の報告について、皆さんの方から質問、御意見があれば、お出しいただければと思います。いかがでしょうか。

なければ、私の方から補足をお願いしたいのですけれども、この人事評価制度には苦情申出等々の手続もあるのですけれども、苦情の申出というのは実際あるんでしょうか。あれば、大体年間どれくらいかということが1つ。

もう一つは、昇給区分のところで、人事委員会として昇給区分の1が一応割り当てとして5%となっていますが、実際は1.6くらいだという話ですけれども、人事委員会が定める5%でなく1.6にとどまっているのは、主にどういう理由なのか補足いただければと思います。

【笹岡課長】  はい、ありがとうございます。まず1点目の苦情制度でございますけれども、本県の場合、苦情につきましては、査定昇給の方で苦情を受けるという形にしております。苦情の受付期間が5月中で、その4月1日の昇給につき苦情を受けるという形になります。それを踏まえまして、内部で昇給の異議の審査会の制度を設けておりまして、そこで審議いただくという形になっております。

資料1-3、33ページに昇給制度における苦情対応の流れがございます。申出者は、5月中に苦情の申出をするということで、苦情審査会の構成員としてはそこに書いてある関係者、あるいは民間会社の人事担当等からなっております。左側に要綱がありますけれども、平成19年から施行になっておりますが、これまで1件しか出てきておりません。

資料1-2の方でございますけれども、人事評価制度における苦情対応の流れというのがございます。これにつきましては、県教育委員会の中に苦情相談員というのを置いておりまして、評価制度の苦情がありましたら、ここに上げてきてくださいということをしております。今まで一件も苦情は出てきておりません。

それから、昇給区分1 の適用が極めて少ないということでございます。これは査定昇給の制度を19年4月1日から昇給に反映させることとしましたけれども、教育委員会だけでなく、知事部局も含めて、これを導入するに当たりまして、職員団体と交渉しました。昇給区分1 1になりますと8号上がるということで、これを連続して適用すると極めて給与に差が出てくるということで非常に抵抗がございまして、昇給区分の1 1について、極めて慎重に運用しなさいというところで、職員団体との申し合わせもありまして、実際上、運用が慎重になってしまったというところでございます。

【小川主査】  ありがとうございます。では、ほかにいかがでしょうか。青木委員、どうぞ。

【青木委員】  御報告ありがとうございました。資料1-2の17ページに関して2点、実務的な点について、まず伺います。17ページには、成果として1 、2 、3 という空欄がありますけれども、ここに恐らく年度末に評価の結果が出てくると思うんですが、ここの実態について教えていただきたいというのが、1つ。

それから、17ページ、下から2段目に市町村独自設定項目というのがありますが、これの狙いや実態、効果について、現状把握されている範囲で教えていただけるでしょうか。

【笹岡課長】  ありがとうございます。資料1-2の17ページの成果のところでございますけれども、この1 、2 、3 のところは、年度当初に目標設定シートの記入を受けまして、各教職員の方が管理職とすり合わせを行った内容につきまして、ここを見て書くということでございまして、年度末に教頭が1次評価、校長が2次評価というところになってきますけれども、ここは職務に応じた成果というところで記入します。御質問は、ここは具体的にどういったものが内容としてあるのかということですか。

【青木委員】  追加でお尋ねしますけれども、質問の趣旨は、ここでの成果というのがどういう根拠を示されているものなのか、あるいは記述的なものなのか、数値で示され得るものが書かれるのかといった、そういう実態についてのお尋ねです。

【笹岡課長】  ここにつきましては、資料の15ページのところになりますけれども、1の重点とする職務の目標のところの目標達成の手立ての欄なんですけれども、方法等、時期とか数値等を用いてできるだけ具体的に記載してもらうということになっております。ここに応じて、実際にそれに応じた成果というのが数字上表れているかどうかを管理職の方で判断するという形になります。

それから、2番目ですけれども、市町村独自設定項目につきましては、これは県教育委員会の方から各市町村教委の方に、ここの要素、能力以外の部分で、特に市町村の独自で評価項目として設定されるものがあれば記載してくださいという形でお願いしているところで、全ての市町村から上がってくるというわけではございません。

例えば、特に学力向上に向けた具体的な取組をしていただいているとか、あるいは小中学校一貫教育研究に関する事項について、何か特に具体的な取組があれば記載してくださいというのを挙げてきていただきまして、項目の設定がされれば、年度当初、5月中に県教委の方にも報告をしていただくという形になりまして、ここの部分については外枠といいますか、200点満点に加えまして、さらに5段階評価で最終査定昇給に反映されるということになります。以上でございます。

【小川主査】  青木委員、何かあればお願いします。

【青木委員】  2点目は理解できました。ありがとうございました。1点目、もう少し教えていただきたいのですが、この成果はあくまで前年度の成果と課題が混ざって目標設定上書かれるものであって、当該年度の成果が記される欄ではないという理解でよろしいのですね。

【笹岡課長】  済みません、違います。ここは当該年度の目標に対する成果ということでございます。年度当初に設定した自己目標に応じまして、年度末にどれだけ成果が上がったかということを記載していただく形になっております。

【青木委員】  ありがとうございました。理解いたしました。

【小川主査】  よろしいですか。ほかにいかがでしょう。大久保委員、どうぞ。

【大久保委員】  説明ありがとうございました。3点ほど教えていただきたいのですが。1点目、先ほど、最初に平成18年度にスタートした職業能力育成型の人事評価と、それから査定昇給制度、2つの制度があって、それを1つに整理したという話がありました。これは,現在やっている給与への反映もフィードバックもやるべき基本的なことは一通りやっていたけれども、分かりにくさがあったから1つに整理したと理解していいのか、もう少し補足していただけないかということです。

2点目は、先ほど地公法の一部改正で標準職務遂行能力の定義をしなくてはならないと事務局から説明がありました。、今,説明いただいた高知県の人事評価実施要領の中に求められる水準という項目がありましたが,これが標準職務遂行能力に当たると理解していいのかと、聞いていて思ったのですが,如何でしょうか

3点目は、苦情対応の関係です。人事評価制度における評価結果等に対する苦情の申出と、昇給制度に関する苦情の申出の2通りがありましたが、高知県では,どちらも県教委で対応するということでよろしいのでしょうか。昇給は県が責任を持って行うということで、昇給制度の苦情の申出の対応は小中学校も、県立学校も、全部県教委でやって、人事評価はそれぞれの地方公共団体ごとで行うということで、県費負担教職員である小中学校は市町村教委で対応し,県立学校は県教委で対応するというところもあるようなので,どこで対応するシステムになっているのかを補足していただけたらと思い

【小川主査】  では、3点お願いできますか。

【笹岡課長】  はい。まず、人事評価制度と昇給制度のリンクの問題なのですけれども、今も併存していますが、人事評価制度の評価項目と昇給制度の評価項目が当時、微妙にリンクしていなかったということです。それぞれ似たような評価項目が併存しており、昇給のときも同じようにその調書を作って、それに応じた評価項目でやっていたということです。

評価する側で、なぜ同じような内容でしなければいけないのかということで、非常に負担感といいますか、両方がどういう関係になっているのか分からないという声が、既に21年から出てきました。同じようなことをやっているのであれば、もう少し分かりやすくリンクさせた形でやればいいではないかという声が中で出てきたということでございまして、制度を一体的に運用しましょうという声が出たということでございます。

それと、2番目の期待人材像との関係でございます。求められる水準のところに既に書いております、具体的には、資料1-2の30ページのところ以降に、職種ごとに能力目標、職務に取り組む態度の評価項目ということで、能力目標と態度というところで、求められる水準ということで各職種ごとに書いております。私どもとしては、ここが地方公務員法で今回新たに明示されました標準職務遂行能力に当たってくるのではないかという認識でございますが、そういう定義を明確にしておりませんので、先ほど申し上げたように、再度、内部で委員会を持っておりますので、そこで標準職務遂行能力という形で、これに当たるかどうかきちっと確認をして検討したいと考えております。

【松本主任管理主事】 3番目の人事評価制度における苦情対応の件ですけれども、苦情の申入れにつきましては、資料1-2の24ページに要綱を構えております。この第4条、苦情の申出にございますように、県教育委員会に設置しています苦情相談員に申入れができるものとしまして、4条の2項、県立学校職員、それと県費負担教職員の校長、教頭、あと、(3)にありますように校長、教頭を除く教職員につきましては、一次的には市町村教育委員会の対応を待って、その対応にかかわらず、なお苦情を有する職員については、県教委の苦情相談員の方に苦情を申出できるという制度になっております。

【小川主査】  大久保委員、よろしいですか。

【大久保委員】  はい。

【小川主査】  事務方に確認ですけれども、先ほど大久保委員からの質問の2で、今度の地方公務員法改正で職務遂行能力をしっかり作りなさいと定められているのですけれども、この高知県がこれまで制定していた求められる水準は、標準職務遂行能力の中身に該当すると理解してよろしいのですか。

【福島補佐】  標準職務遂行能力につきましては、今の30ページの求められる水準といった内容になるかと思いますけれども、地方公務員法の第15条の2で定義がございます。その第3項に、標準職務遂行能力を定めるときには、あらかじめ地方公共団体の長に協議しなければならないという規定がございますので、中身面の話はございますが、手続的な部分につきましても、やはり対応していただく必要があると思っております。

【小川主査】  はい、ありがとうございました。大久保委員、よろしいですか。

【大久保委員】  はい。

【小川主査】  ほかに。では、米田委員、どうぞ。

【米田副主査】  質問をお願いしたいのですが、資料1-1の5ページの、昇給制度の概要のところです。その1の(1)昇給区分について、この捉え方ですが、昇給区分1 から5 までございます。そして、昇給号給数1 が8号給以上、5 が昇給しないとなっております。これ、真ん中の3 が勤務成績が良好である職員ということになっていて、その職員が4号給アップということですが、普通であれば、次の年、4号給アップする、そして、すぐれている方は、1 に入る方は8号給以上アップ、そして、良好でない方は5 の昇給しない、そういう捉え方でいいのかどうかというのが一つです。

それから、実際に1 、2 に入る方と、4 、5 に入る方が大体同じぐらいであれば、給与の総額はまずほぼ毎年変わらないとなるはずです。実際には、恐らく5 に入る人というのは極めて少ないのではないかと予想されるのですが、1 に入る方と5 に入る方、数の違いはどのぐらいあるものかどうかお聞きしたいと思います。

もう一つ、最後ですが、結局人事評価そのものの狙いが、教員一人一人の能力、あるいはやる気、モチベーションの向上、そして、また学校全体としての組織の活性化というところに狙いがあるとすれば、個々の先生方への給与の反映がその組織全体の活性化、チーム力の強化に結び付いているのかどうか。その辺、具体的に成果がある、あるいは余り見られない等、何か感じられるところがありましたら教えていただきたいと思います。お願いいたします。

【小川主査】  2点、お願いします。

【笹岡課長】  ありがとうございます。まず、昇給につきましては、おっしゃるとおり、通常であれば3 の評価ということで、実際3 につきましては大体9割以上は3 の評価になっております。ほとんどの教職員の方がこの勤務成績が良好であるという判断を受けて4号給、昇給を受けているという状況でございます。

これにつきましてはいろいろな御意見もありまして、ただ、これは教育委員会だけではなくて、知事部局等においても大体こういうような状況で、通常どおり、普通といいますか、良好な成績を収められればほとんどの職員が4号給上がるという実態であるということでございます。

1号昇給のことにつきまして、今年度の4月1日での昇給区分、この1 1の適用を受けた者が、数でいいますと、高知県の場合102名おります。構成比でいいますと1.6%になります。逆に、昇給区分、例えば4 ですと97人、5 でありますと75人ということで、それぞれ4 が1.5%、5 が1.2%という状況になっております。

次に、昇給の適用についての意識のことにつきましては、実は今後、私どもの問題意識としましては、管理職の立場だけではなくて、評価を受ける教員そのものの意見も聞いていく必要があるかなとは思いますけれども、先ほど説明の中で平成25年に全教育長と校長を対象にアンケートをとりました。教職員の意識の向上につながったという意見が、対象が例えば校長先生ですと298人のうち200人ぐらいが教職員の意識の向上につながったという結果です。ただ、これは人事評価に対するものでして、実際昇給が6号給とか8号給の適用を受けることによって、そういうめり張りの利いた昇給の適用を受けたことが、実際のやる気とかにつながっていっているのかというところまでは、判断できません。

評価については、先ほど言ったような意識の向上につながっているという意見だとか、あるいは学校経営、教育目標の共有化というところ、298人のうち200人以上がそういうものにつながっているという結果はアンケートからわかりますが、査定昇給、昇給の結果がどう反映されているかというのは、そこまで現場の声を聞けていない状況です。今後、見直しに当たって聞いていきたいという状況でございます。

【小川主査】  あと一人二人、いらっしゃれば。では、最後ということでお願いします。

【貞広委員】  御説明いただいてありがとうございます。2点お伺いしたいと思います。

先ほど評価に当たっての求められる水準のことについて御質問が出ました。私もこれについて1点、御質問させていただきたいのですが、これが標準職務遂行能力に相当するかどうかは今後少し検討しなければいけないところだということなのですけれども、この評価が納得を得られるためには、この水準がどれぐらい確からしいかということと同時に、その決定プロセスに納得性が得られているか。決定プロセスに、例えばアクターがみんな参加をしていて、そうだよね、こういう水準でいいよねというような納得がないと難しいのではないかと思うんです。

実際に求められる水準の決定はどのようにされたのか。例えば、先ほど職能団体の方のお話が出てきましたけれども、そういう先生も含めて、実際の教員の方々も参加されて作られているのかということが1点です。

もう一点は、評価者のトレーニング、能力の問題です。私ども、大学でAO入試などをしていますと、評価者間での評価のぶれをいかに少なくするかということが非常に重要な課題になっております。この評価者の訓練をどのようにされているのか、又は今後されようとしているのかということについて、お伺いしたいと思います。

【笹岡課長】  ありがとうございます。1点目ですけれども、この制度を構築するに当たりまして、平成18年度に人事評価の制度を導入したわけですが、それまでにいろいろ試行錯誤を繰り返しながら内部の検討委員会も設置しまして、徐々に組み上げていったということでございます。現在の制度の構築に当たりましては、検討委員会の中に各市町村の教育長レベルの方とか、公立小中学校の校長先生、県立高校、小中学校のPTAの代表の方、法律的な部分では弁護士の先生、民間の人事部の部長、民間の企画会社の方、大学の先生といったような有識者の方に入っていただきまして、制度を構築しました。

その中で、こういう求められる水準につきましても、当然、教育委員会事務局の内部でたたき台を作った後、見ていただきまして、作り上げたという形になっております。ただ、いわゆる一般の教職員の皆さんに、これを見て細かいところまで意見を求めたかというと、そこまでは恐らくできていなかっただろうと思います。ただ、いろいろな意見は踏まえた上で今の形になっているということにはなっております。

それから、2点目の研修についてなんですけれども、現在、人事評価につきまして、まず管理職、教頭になった時点で、新任の教頭を対象にこの人事評価の研修を1日程度、制度の導入と運用につきまして具体的事例に基づいてやっております。また、2次評価者になった時点で、つまり新任の校長になった時点で人事評価を1日掛けて研修をするという形になっております。

今後、新任の時点だけではなくて、評価者研修という形で、校長全体を対象に再度制度に対する理解を深めるために評価の研修をしたいと思っています。

あと一点です。高知県で小中学校につきましては市町村の教育長が評価者、2次評価になっておりまして、市町村の教育長を対象に全くそういった点の手が足せていないところが課題意識になっておりまして、そこを今年度以降どうしていくかというのが問題意識になっているという状況でございます。

【小川主査】  よろしいですか。ありがとうございました。

次の報告もありますので、高知県の意見発表に関する質疑応答、意見交換はこれくらいで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

それでは、続けて栃木県教育委員会からの意見発表をお願いいたしたいと思います。20分ぐらいをめどにお願いできればと思います。

【湯澤課長補佐】  よろしくお願いします。説明資料は1種類でございます。他配付資料として、ガイドブックとカラー版のリーフレットを準備させていただきました。そちらについては途中で使わせていただきます。

地域連携教員活動支援事業は、昨年度スタートした事業でございます。2ページの地域連携教員の設置に関する指針をご覧ください昨年2月14日に教育委員会教育長決裁で出されたこの指針に基づき、栃木県内の全ての公立学校、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の所属校の校長が指名をして、地域連携教員を校務分掌に位置付けていただきました。

社会教育主事有資格者を第1の指名の要件に掲げ、第2に、校長・教頭という管理職でない者。ただし、学校の状況に応じてそれが難しい場合には、第3に、教頭も含めて以下の要件を満たす教員で、地域連携の教育活動に積極的に取り組み、力を発揮していると認められる者、又は学校と地域との連携においてすぐれた実践力を有すると認められる者、あるいは学校と地域との連携の重要性を十分に理解して、地域連携業務を推進する意欲を有すると認められる者を指名と、要件をややゆるやかに捉えスタートいたしました。

3ページでございます。こちらは、昨年度地元の新聞で紹介されたものですけれども、4月から公立学校に地域連携教員を設置するということで、地域の窓口となるというような内容が紹介されました。

続きまして、4ページをご覧ください。この事業の制度化至るまでいろいろな場で、栃木県内には7つの教育事務所があるのですけれども、教育事務所長の会議や教育長会議、小中学校長の会議等々で御説明させていただきました。実際ふたを開けてみたら、小学校で377校中377名の、中学校で160校中160名の、県立学校で75校中86名の、県立学校には定時制高校や通信制もあるので、学校数より多い86名計623名の地域連携教員が誕生しました。

623名のうち第1の要件として挙げている社会教育主事有資格者の割合は51.7%ということで、約半数でございました。また、教頭がその任に当たった割合は29.4%、約3割でございました。

続いて5ページになります。この地域連携教員制度のスタートした背景ですけれども、まずは社会教育主事有資格者教員への期待でございます。全ての公立学校に社会教育主事有資格者を配置することを目標に掲げ、昭和61年から県が予算化をし、養成を進めております。

生涯学習社会の構築に向け、社会教育主事有資格者教員が学校、家庭、地域の連携を担う上で大きなキーマンになっていく、なって欲しいということで養成を進めています。今年の3月の時点では行政職員も含めて1,091人。現在の数字は把握してはいないのですが、栃木県内の全公立学校の教員が数年前1万4,000名程度であったので、まだ1割には至たっておりませんけれども、配置率をみると、小中学校に79.7%、県立学校に89.7%、今年度も宇都宮大学で78名の主事講習を受講する小中、県立の先生たちがいらっしゃいますので、割合は少し高くなるのではないかと思います。

県内教員が大量退職時代を迎えているので、今年度から受講する人数を増やしております。県の研修や調査等を担っている栃木県総合教育センターと宇都宮大学とが共同で、社会教育主事有資格者の活動に関する調査を平成24年に実施いたしました。その報告書の中に、有資格者教員がどういうことを認識しているかというデータがございます。6ページをご覧ください。

学校で有資格者としての知識や経験が生かせる活動は何かという問いに対して、第1位が地域との交流活動の企画・運営、第2位が学校支援ボランティアのコーディネーション、第3位が地域の教育資源情報の収集や提供、活用でございました。では次の7ページをご覧ください。管理職が社会教育主事有資格者教員に何を期待しているかという同じ調査の中で、第1位が学校と地域が連携した学習・交流活動の企画・立案、第2位が、地域に関する教育資源情報の収集・提供、第3位が、学校支援ボランティア等の募集や連絡調整ということで、有資格者教員の考えることと、管理職が期待していることの上位が同じでありました。第4位に管理職としては、地域連携分野において教頭・副校長と一緒に活動して補佐をしてもらいたいとあり、8ページに管理職の地域連携補佐への期待を示した数字がございますが、94.6%と圧倒的多数が補佐を期待していることがわかります。

次に有資格者教員が学校で活躍するために整備すべき条件が9ページにございます。第1位が、生涯学習主任等、社会教育主事有資格者を生かす校務分掌を整備する。2つ目が、管理職をはじめとする、職員全体が生涯学習社会の構築に関する意識を高める。3つ目が、社会教育主事有資格者を発令や任命を通じて職務上の位置付けを明確にするとあります。

私は平成14年に宇都宮大学で社会教育主事講習を受講いたしました。その時は30代後半、中学3年生の担任をしておりました。受講後、勉強したことを生かすために生涯学習係をやってみたいと思いましたが、その学校では私の思いはかないませんでした。

やっぱり、やりたいと思っても、なかなかその当時、生涯学習係をやるのはベテランの先生というイメージが自分の中にはありました。ということで、条件整備をする中で、何かそういう位置付けをしてくれると、もしかすると、その当時自分もなれたかもしれません。

次に10ページをご覧ください。平成25年3月に出された第10期の栃木県の生涯学習審議会の、「生涯学習による県民の絆づくりを進めるために」の報告の中の「また」というところですが、学校に在籍する社会教育主事有資格教員がその能力を生かすことができるよう、研修機会と情報提供の充実を図るとともに、校務分掌への位置付けや学校内外における地域連携担当の明確化を図るため、地域連携担当教諭等の役職を付与することを検討すべきであるとあります。その後、栃木県としては、県の総合計画や県の教育振興基本計画にこのことが掲載され、職務上に位置付けようという動きが加速いたしました。

次の11ページをご覧ください。2つ目の背景としては、学校と地域の連携の必要性が国の法令等で明言されたことです。平成18年の教育基本法の改正、学習指導要領の改正、中央教育審議会の答申や、12ページになりますが、第二期教育振興基本計画において、学校と地域の連携の必要性が明言されております。それを受けて、栃木県教育委員会として、「とちぎ教育振興ビジョン(教育振興基本計画)」において、学校、家庭、地域の連携について、「新・とちぎ学びかがやきプラン、生涯学習推進計画四期計画」においてふれあい学習の推進、これは栃木県独自の名称なんですが、学校、家庭、地域の連携を進めるための考え方とお考えいただければと思います。県としても学校・家庭・地域の連携の必要性を各計画等において明言しております。

次に13ページをご覧ください。平成13年に派遣の社会教育主事制度を廃止して、その当時8つあった県の出先である教育事務所を設置し、学校を取り巻く地域の基盤の整備を推進に取り組みはじめました。ポンチ絵にありますように、ふれあい学習の目標は、地域で子どもを育む環境づくりや心豊かな青少年の育成であり、目的は、家庭や地域の教育力の向上、学校の教育活動の活性化でございます。スタートしてちょうど今年で15年を迎えます。

では、次の14ページをご覧ください。県としては地域側である学校支援ボランティアの養成、育成をふれあい学習課が設置される平成13年以前から進めております。また、学校支援ボランティアさんの窓口になる地域コーディネーターの養成、育成も推進しているところです。

地域の窓口である人たちを養成・育成していく中、学校の窓口は一体誰だろう、教頭先生かなというような声もあり地域の窓口を養成すると一緒に、学校側の窓口もはっきりさせて、双方向から子供を取り巻く環境を整備していくことが求められるようになりました。

15ページになりますが、ガイドブックの中でも示してあるのですけれども、地域連携教員の設置の目的は、学校の窓口を明確にすることにより、校内の体制を整備し、学校と地域が連携した教育活動効果的、効率的に展開していくことで、子供の生きる力を育み、地域に根差した特色ある学校づくりを進めていくことにあります。

のことが地域を作っていくことにもつながると考えております。

次の16ページをご覧ください。地域連携教員の職務としては大きく、例えば計画を見直したり、作ったり、校内研修を企画・運営したり。2つ目として連絡調整や情報収集・発信。3つ目に取組みの充実として活動の実践や実践する教員の支援、計画や活動についての評価をあげておりますが、それぞれの学校の実情に応じて取組んでいただけるようお願いしております。

次に17ページでございます。まずはこの事業の整備体制についてご説明いたします。ひとつは地域連携教員の先生たちの支援としてお手元にある平成27年度版の学校と地域を結ぶ地域連携教員のガイドブック、こちらです。これを全ての学校に1冊。1冊しかというご意見もありますが、配付をさせていただきました。こちらはホームページからもダウンロードできるようにしております。

そして、もう一つ、カラー版の実践事例集、リーフレットということで、昨年度、小学校、中学校合わせて14の学校にモデル事業を委託いたしましたが、各学校1つか2つの実践事例と、県立学校、こちらはモデル事業を委託してはおりませんが、アンケートをとらせていただい中でみられた、特色ある事例を掲載いたしました。このリーフレットについては地域連携活動の一助にしてもらえるよう全教員に配付をいたしました。

18ページをご覧ください。地域連携教員に対する、研修の実施でございます。昨年は3回、今年度については4回の研修の実施を予定しています。今年度の最初の2回、新任の地域連携教員を対象に今年度より総合教育センターの研修部に位置づけられた専門研修、悉皆研修として実施されます。3回目については、今年の大きな特徴だと思うのですが、地区ごと7つの教育事務所で、新任の有無にかかわらず地区内の全地域連携教員を対象に、そして4回目が県全体での研修ということで、4回の研修を予定しております。

19ページになります。事業の整備体制の2つ目として昨年度に引き続き、モデル事業を実施しております。小学校8校、中学校6校の14校をモデル校として指定させていただいき、その成果を検証、普及することにより地域と連携した特色ある学校づくりについて、全県的な推進を図りたいと考えております。

20ページになりますが、この事業の支援体制ということで、総合教育センター、7つの教育事務所、そして県・市町の教育委員会が連携し、本事業を推進してまいりたいと考えております。

先週の金曜日に今年度の1回目の研修がありました。研究協議の中で、何をやったらよいかわかならいという社会教育主事有資格者でない先生の声を耳にし、改めて研修の必要性を感じた次第でございます。

そして、21ページからはこの事業の成果2年目なので、何をもって成果とするかという部分はあるのですけれども、総合教育センターと宇都宮大学が共同で実施した「地域連携が学校経営に与える効果に関する調査研究」の報告がございます。これは、県内の小中、県立学校の校長、教頭に対する調査をまとめたものでございますが、この報告書をご紹介いたします。まずは、教職員として効果があったと思われること、赤字の部分をごらんいただければと思います。

地域素材を生かした幅広い教育活動を展開する教職員が増えた、61.5%、授業の内容が充実した、積極的に学校支援ボランティアに依頼する教職員が増えた、そして、下から2番目ですが、若干ではありますけれども、校務の負担が軽減された、10.3%。

そして、22ページですが、学校全体として効果があったと思われることについては、地域の住民や団体からの協力が得られやすくなった、88.2%、学校から地域への情報発信が増えた、74.4%、学校行事に協力的な保護者が増えた、学校への苦情が減った、10.8%。

23ページは、児童生徒に効果があったと思われること。しっかりとした挨拶ができる児童生徒が増えた、地域活動に参加する児童生徒が増えた。授業に意欲的に取り組む児童生徒が増えた。児童生徒の自尊感情・自己肯定感が高まった。そして、児童生徒の学力が向上した、4.6%。学力向上と地域連携の関係を立証することは難しいと思いますが、何らかの関係性はあるのではないかと思います。

24ページですが、地域社会として効果があったと思われることとして、児童生徒や学校に対する理解が深まり、学校に協力的な人が増えた、地域の子供たちを地域全体で育てていこうとする意識が広がった、地域の安全・安心が確保されるようになった。

25ページは、去年の14校のモデル校の報告書伺える成果となります。赤字の部分をご覧ください。学校にとっての効果として、地域連携教員と地域教育コーディネーターが窓口になることによって、地域住民による学校支援の充実につながったと、地域と学校の窓口の明確化を、成果として挙げている学校がありました。教職員にとっては、学びの場になることが実感できたとあります。私も去年地域連携教員として活動をした中で同様の思いを持ちました。

そして、26ページですけれども、教職員の地域連携への意識が高まった。また、児童生徒にとっての成果として、地域愛、社会性、コミュニケーション能力が向上した、中学生の例で、地域の中で生きているという実感を持つことができた。地域の方にとっての成果としては、やりがい、生きがいにもつながるものであることも実感したという感想を頂戴しています。

次の27ページをご覧ください。ここからは、この事業の課題です。まずはモデル事業の報告書から見える課題として、さらに円滑に活動を推進していくために協力していただける人材を分かりやすく分類し、校内で引き継いでいく、教職員の意識をもっと高めなくてはとか、取組の評価等、それぞれの実践から感じる課題があげられました。

そして、28ページになります。県教育委員会生涯学習課としての課題、これからやっていかなくてはいけないことについて挙げさせていただきました。まずは、地域連携教員の資質の向上、研修の機会を充実させていかなくてはいけないというのは非常に感じるところです。

ガイドブックを作りました、リーフレットを作りました、それでいいということではないと思うので、それをどう活用していただけるかという点では、総合教育センターや各教育事務所と連携していきながら、きめ細やかな支援をしていかなければならないと思います。過日教育事務所課長会議の中で、地域連携教員の先生を応援するための講座をたちあげ、学校に案内をしたという取組みを始めた事務所があることがわかりました。

また、地域連携に関する実践事例の収集や紹介、社会教育主事有資格者の指名率を上げていくこと、チームで動くための校内体制の在り方の検討がございます。去年地域連携として活動を進めていく上で、かつモデル校として実践を進めていく上で、先生たちには負担を掛けないように、いかんせん、69名の児童数、教員が10人、それ以外調理員、用務員という小規模校であったので、負担を掛けてはいけないなという思いが強くありました。が、自分ひとりでは限界があり、チームで動いていく必要性を非常に感じた次第です。

その学校に残っていれば、実は今年は教務主任が地域連携教員になって、教頭と生涯学習係3人がチームを組んでやっていくという予定でございました。

また、引き続き社会教育主事有資格者を養成し、その研修の充実や、地域コーディネーターの研修の機会を充実させていくことでございます。

また、評価の在り方の検討で、今年は12月に地域連携教員の先生を対象に調査を予定している次第です。

さらには、加配措置の検討をお願いしたいと考えています。

最後に、自分自身が地域連携教員の経験をした中で、去年感じたのは、新しい学校で何をやったらいいか分からないという不安から来る負担感と、教頭としての自分の業務が非常に多くて地域との連携を進めるための時間をとることが難しいと感じることによる負担感、というか不満でしょうか、が正直ありましたが、地域との連携活動には、その負担感を超えるやりがい、手ごたえがあり、教職員の負担を軽減につながる活動をすることもできたと思っています。その活動の中には、たくさんの感動もありました。

卒業式に卒業式の前に、地域の方が梅の花とサンシュユの木を子どもたちにと届けてくださった時は、私も校長も感激してしまいました。その花は卒業式の会場に飾らせていただきましたが、地域の方からいただいた花で見送られた6年生は、幸せだと思いました。地域にと学校側の窓口である人たち、つまりコーディネーターが「コーディネーターズ」というチームをつくり活動することによって、子供たちの生きる力を育むこと、地域に根ざした学校づくりがより推進できるのではないかと思います。この地域連携活動は、地域を活性化させていくことにもつながっていますし、何よりも自分自身の生涯学習の場になったと思っています。たった1年ではありますが、地域連携教員として経験したことは、私の財産であり、かつ私の心の支えになっていると思っております。

以上で説明を終わりにいたします。ありがとうございました。

【小川主査】  ありがとうございました。残された時間は余りないですが、竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】  ありがとうございました。これまでに栃木県のコーディネーター研修をさせていただいたり、宇都宮大学の社会教育主事講習にもうかがいましたが、このように全体の絵が描かれて推進しているのだということが、改めてよくわかりました。

全国で学校の窓口を作る動きがありますが、一人でどうしたらいいか困っていたり、誰がやっているかよく分からないというところもあり、栃木県ではこのように明確にされているということで、大変参考になりました。

3つ質問があるのですが、まず、社会教育主事講習に行く人は自ら手を挙げるのか、それとも指名されるのかということを、教えてください。

2つ目は、校務分掌上の位置付けで、ツリーのようになっていますが、どのあたりに位置付けられているのでしょうか。

それから、管理職や一般教職員が、チーム学校の役割のひとつとして理解をしているかどうか、もし何か課題があれば教えてください。

【湯澤課長補佐】  まず、社会教育主事講習ですけれども、教育事務所によって対応はいろいろです。

指名制、希望制どちらもございました。

私がおととしまで勤務していた教育事務所では、1つの市教委さんは希望制でした。希望制ということで正直いるのかなと思いましたが、その時は人数枠以上の希望者がおり、最終的に市教委が選定しておりました。一本釣り、指名制でした。

2つ目の位置付けですけれども、小・中学校では、教務部、学習指導部、渉外部に位置付けられている割合が高かったのですが、学校長の学校経営方針の下、位置づけは様々ではないかと思います。

そして、3つ目のご質問ですが、教員のこれは意識の問題で、いろいろではないかという気がします。担任であり、社会教育主事有資格者である方が、地域連携教員として、地域との連携を進めている学校の例はございます。その学校は、地域連携教員が核となってチームを組み、活動をしているようでございます。ただ、学校によっては、まずは足元を固めるべく、校内研修で地域との連携とりあげ、先生方の意識を変えていかなければならない学校もある等、課題は様々であると思います。

【小川主査】  それでは、藤原委員、次に、田村委員。

【藤原委員】  御報告ありがとうございました。社会教育との連携によって、教育の質の向上及び教員の勤務負担の軽減を図るという取組、非常に興味深くお伺いいたしました。我々のチーム学校の議論にとりましても非常に重要なテーマだろうと受けとめさせていただいた次第でございます。

その上でお尋ねしたいことが二つございます。社会教育と連携する上では担当者だけに負担がかからないようにうる上では,全教員がそういう意識を持つ必要があると思われます。宇都宮大学と連携されているようでございますけれども、宇都宮大学の教員養成とどういう連携をされているのか、教員養成の方でしっかりその理念を教えているのかどうか、そのあたりの整合性についてお尋ねしたいというのが1点目でございます。

次に,実際に例えば学校で、特にキャリア教育を進める上では,産業振興や観光,福祉行政等の分野における住民の問題解決行動や相互学習との連携が有効だろうと思われます。これらの行政分野の推進にあたっても、社会教育的要素が求められていると思われます。そうしたことを踏まえ,栃木県においては一般行政部局の方にも社会教育主事資格者を配置することを進められておられるのかどうか。これが二点目です。 ほかにも聞きたいことがあるのですけれども、時間の関係でこの2件だけお尋ねしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

【湯澤課長補佐】  最初の方の、宇都宮大学、地元の教育学部が学生についてその部分をどの程度やっているかというのは、正直把握しておりません。

2つ目ですが、確かにキャリア教育の部分、特に中学校、高等学校については、地域との連携は有効であると思います。

他部局に社会教育主事を配置という点については、把握しておりません。

【小川主査】  よろしいですね。

【藤原委員】  いろいろな各行政部局においても社会教育的要素が含まれており,一般行政ととも連携しつつ社会教育と連携した学校教育の質の高度化を図る費用があるという意見でございます。ありがとうございました。

【湯澤課長補佐】  ありがとうございます。

【小川主査】  田村委員、どうぞ。

【田村委員】  様々な立場の方々にとっての成果という点を明らかにしてくださって、ありがとうございました。特に、よく学校と地域の連携でウィン・ウィンの関係を作ることが必要だということを言われているので、地域にとっての成果が明らかにされたことは非常に重要だと思いました。

述べられた中で、やりがいであるとか、子供の育ちといったようなことを挙げていただいたかと思うのですけれども、もう一つの視点としまして、子供の活動が地域の活性化につながるといったようなこともあるのではないかと思いました。カリキュラムを研究していますので、総合的な学習の時間で、よく地域貢献を子供たちが行っていくという活動もあり、そのことによって地域の実際の課題解決に向かって何か前向きに進んだ事例があるのか、ないのかということを1つ教えてください。

それに関わりまして、学校と地域が、主体者として語られていたと思うんですが、子供というのも子供なりに市民の1人であり、地域の担い手であり、学校の一員であると考えられます。イギリスの方では、ヒア・バイ・ライトというスタンダードもあって、子供にも意見を聞く、参画、そういったことも提唱されているのですけれども、そういった子供の組織があるとか、あるいは意見を聴かれる機会があるとか、もしそういうことがあれば教えていただきたいと思います。以上でございます。

【湯澤課長補佐】  前半の方の地域貢献ですけれども、中学校や高校の地域貢献の例は多いと思いますが、小学校が地域に貢献するというのは難しいのかなと去年小学校に勤務していて感じました。小学生が地域のお祭りのことを勉強したことで、興味を持ち、その祭りへの参加意識が変わったという例は耳にいたしました。ある意味子どもはいるだけで、まわりを元気に明るくする力、子ども力とでもいうのでしょうか。その力を持っているので、そのことが地域貢献になると言えるかもしれません。小学生の地域貢献の事例は実際県内でもたくさんあるのではないかと思いますが、ご紹介できる事例をもってはおりません。

後半の方ですけれども、もう一回、御質問よろしいですか。答えるのはどの部分を答えればいいでしょうか。

【田村委員】  中学生や高校生であれば、特に、ただアクターとして参加するだけではなくて、例えばお祭りであっても、計画段階であるとか、評価段階であるとか、企画運営とか、そういったところにも関わっていく能力も持っているのではないかと思うのですが、そのような事例とか、お考えとか、そういったものがあれば教えてくださいということです。

【湯澤課長補佐】  ある町の例でございますが、中学生は部活動で忙しいので、呼びかけてもまちの行事に関わることは難しいと大人の側は思い込んでいたのだそうです。が、実際中学生に声をかけたところ、有志の中学生が集まり、イベントの一部を担ってもらったら、運営側からも参加者側からも非常に好評であったとのことです。1年目は行政側に言われたことをやっていた中学生が、2年目はアイディアをだしてくれるようになったということでございます。

また、高校生の例としては、高校生の力をまちづくりに生かしたという事例がございます。まちを活性化するために、限られた予算内ではありますが、市内の4つから集まった高校生のアイディア・知恵を事業化したという例です。大人はなるべく口出しせず、レシピづくり、製品化、販売等、高校生が企画・運営したとのことです。

【田村委員】  どうもありがとうございます。

【小川主査】  坪内委員、どうぞ。

【坪内委員】  非常に具体的な御実績を基にお話しいただいてありがとうございました。最後の課題のところにも挙げられていらっしゃるのですけれども、社会教育主事有資格者の資質の向上が非常に重要だということで、お話を伺っていて、非常に意欲のある方々がこの地域連携教員に入っていくことを確保していくことが鍵になっていくのだろうと思いました。

こちらの資料の4ページ目を拝見したときに、先ほどもおっしゃられていた、有資格者が全体の半分強であると。全体の623名からすると、300名強ということになると思うのですけれども、これが半分にとどまっているのは、絶対数としてこの有資格者数が足りないということなのか、若しくは、先ほど御自身の体験で話されていたんですけれども、必ずしもその資格があっても配置してもらえるわけではないというような現場の事情があるのか、そのあたりについて、もし何かございましたら、お伺いしたいということと。

あと、もしもその数自体が足りないということであれば、どの程度、今、年間配置されているとか、どの程度の増加まで持っていかないといけないのかというような状況がございましたら、お伺いできればと思いました。

【湯澤課長補佐】宇都宮大学における今年度の受講者数は、今現在78名、退職する有資格数を考え、受講者数を昨年度から増やしています。配置率は着実に高くはなっておりますが、実際問題としては全部の学校への配置は厳しい状況で、ある管理主事に聞いた話ではありますが、有資格者の全校配置は異動の条件のひとつとして考慮に入れてはいるのだけれども、なかなかそれを優先できない事情があり、有資格者が2人、3人、また4人いる学校や、去年私がいた学校は、長らく有資格者はゼロが続いていた状況だったようです。

【小川主査】  よろしいですね。時間がなくてごめんなさい。もう一件、手短にお願いします。

【貞広委員】  ありがとうございます。手短に申し上げます。リーフレットを拝見しまして、具体的にこういう活動をされていたとよく分かったんですけれども、拝見しますと、小学校が基本的に学年、単学級規模の学校、とても小さな学校なんですね、中学校は少し大きくなっていますけれども。これは何か選定に意図がおありになるのか。例えば、地域活動を既に十分行われているので、こういうパイロットプログラムみたいなものがやりやすい、又は、逆にこういう地域だからこそチームとして取り組みやすいとか、何か御意図があって選択をされているのかということだけ伺いたいと思います。

【湯澤課長補佐】選定については、それぞれの事務所、市町村にお任せしておりますが、何らかの意図はあったのではないかと思います。例えばさらに地域との連携を推進して欲しいなど。が、14校それぞれが選定された真の意図は、把握しておりません。

【小川主査】  ありがとうございました。これで全部終了しましたので、これで終わりたいと思います。

笹岡課長、そして松本管理主事、そして湯澤課長補佐、発表ありがとうございました。

【湯澤課長補佐】  ありがとうございました。

【小川主査】  それでは、次回の予定について事務局からお願いいたします。

【福島補佐】  次回は、6月3日15時からを予定しています。追って御連絡をさせていただきます。

【小川主査】  6月3日、15時からということですので、よろしくお願いします。

これで全部、今日の議事は終わりました。閉会したいと思います。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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