チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第6回) 議事録

1.日時

平成27年3月27日(金曜日) 10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館(文部科学省庁舎) 16階16F3会議室

3.議題

  1. 専門スタッフの活用について(部活動関係)
  2. サポートスタッフの活用について

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会

チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第6回)

平成27年3月27日

 

 

【小川主査】  きょうで第6回でございますが、チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会を開催いたしたいと思います。本日も大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。

きょうは、議事次第にありますとおり2つの大きなテーマを審議したいと思います。1つは、部活動関係の専門スタッフの活用の在り方、もう一つは、学校におけるサポートスタッフの在り方についてです。きょうも有識者の方々の意見発表をいただきまして、意見交換を行いたいと思います。

きょうの意見発表の方々を紹介したいと思います。

まず、名古屋市教育委員会スポーツ振興課指導主事の岩田浩幸様です。

【岩田指導主事】  名古屋市教育委員会の岩田です。よろしくお願いいたします。

【小川主査】  きょうはよろしくお願いいたします。

次に、静岡県教育委員会スポーツ振興課生涯スポーツ班長の朝倉徹様です。

【朝倉班長】  静岡県の朝倉でございます。よろしくお願いいたします。

【小川主査】  よろしくお願いいたします。

そして、長野県信濃町教育委員会総務教育係長の霜鳥隆様です。

【霜鳥係長】  信濃町教育委員会の霜鳥と申します。よろしくお願いいたします。

【小川主査】  よろしくお願いいたします。

そして、信濃小中学校長の峯村均様です。

【峯村校長】  信濃小中学校の峯村と申します。よろしくお願いいたします。

【小川主査】  よろしくお願いいたします。

また、議事に入る前に、きょうから新たに本作業部会の委員に加わった方がいらっしゃいますので、御紹介させていただきたいと思います。

東北大学大学院教育学研究科の青木栄一准教授でいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。最初ですので、一言御挨拶いただければと思います。

【青木委員】  おはようございます。今回より参加させていただくことになりました東北大学の青木栄一と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

専門は教育行政学でして、この部会に関わるテーマとしましては、教職員の労働時間の実証的なデータに基づいた教職員のワーク・ライフ・バランスの向上についての研究をしております。実はこのテーマは、余り多くの研究者が参入していないテーマでもあるわけですが、関心を持つきっかけとなりましたのは、平成18年の文部科学省の委託調査である教員勤務実態調査でありました。先生方も御存じのことだと思いますが、当時、教職調整額に関する政策論議があり、まずは教職員の勤務時間を正確に把握しなければいけないという状況がありました。小川先生を代表者とする研究チームに私も入っておりました。その詳細はここでは省きますが、非常に貴重なデータをあのときに集めることができました。私はそれがきっかけで、その貴重なデータを何とか学術的にも洗練させて分析していきたい、それを政策に反映していただきたいという気持ちを持っておりまして、再分析をこの間ずっと続けてきまして、私の今の研究室でそれをしているところですが、ようやく今年、学術的な議論ができる水準に持ってくることができるような状況になってきております。

先ほど申し上げましたように今回からの参加ではありますが、この部会の目的とすることに少しでも貢献できるように努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【小川主査】  ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

それでは、本日の配付資料について事務局から説明をお願いいたします。

【福島補佐】  本日の配付資料は、議事次第にあるとおりでございますが、資料1、2、それから3-1、3-2、これらが本日御発表いただきます先生方の資料でございます。それから、参考資料といたしまして、本作業部会の委員名簿をつけております。不足等ございましたらお申し付けいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【小川主査】  資料の方、よろしいでしょうか。

また、本日も報道関係者から傍聴の希望がありましたので、これを許可しております。御承知おきいただければと思います。

それでは、議事に入りたいと思います。きょうは、先ほど申し上げましたように、議事次第にも書いてありますとおり2つのテーマを審議したいと思います。そのために前半、後半に分けて意見発表と意見交換をしたいと思います。前半は、部活動関係の専門スタッフの活用の在り方について2つの報告を受けて意見交換をしていきたいと思います。最初、名古屋市教育委員会の岩田指導主事、その後、静岡県教育委員会の朝倉班長から、大体15分程度の意見発表をいただければと思います。その後、四、五十分質疑応答していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、岩田指導主事、よろしくお願いいたします。

【岩田指導主事】  それでは、名古屋市の例を発表させていただきます。よろしくお願いいたします。

では資料を御覧ください。1ページ目に目的等を書かせていただきました。顧問派遣事業、通称で外部顧問と名古屋では呼んでおりますけれども、この外部顧問を分かりやすくするために、外部指導者という制度もありますので、外部指導者と比較してお話をさせていただきます。

目的ですけれども、外部顧問につきましては、顧問そのものを派遣することによって部活動の充実活性を図る。廃部になりそうな部を救ってもらったり、新たに部を作るために、創部のために活躍していただく、そういう目的で派遣をいたします。

(2)にあります事業の経緯ですけれども、まず昭和61年に外部指導者派遣制度ができました。最初は武道の専門家が不足しているということで、外部指導者という形で指導に当たっていただきました。その後、学校現場のニーズが高まりまして、最初は中学校だけでしたが、高等学校、小学校に拡大いたしました。平成16年に、顧問そのもののなり手がいなくて部が存続できないといった現場の声を受けまして、この外部顧問の派遣事業を開始いたしました。特徴につきましては、教員顧問がいなくても、この外部顧問単独で指導ができるというものです。この事業も、今年度からですけれども、名古屋市では小学校も部活動を実施しておりますので、小学校からの要望も増えてきまして、趣旨が若干違うのですけれども、それについては後で述べさせていただきますが、小学校に今年度から拡大いたしました。

(3)の見分の取扱いと役割というところで、右側の外部顧問の欄を御覧ください。身分につきましては非常勤特別職ということで、名古屋市教委が委嘱をいたします。謝金・報酬ですけれども、非常勤の特別職ですので月額の報酬ということになります。中学校4万8,000円、小学校3万6,000円となります。位置付けですけれども、教育に代わって指導ができる。役割としては大会の引率等も可能となっています。

(5)の連携のところを御覧ください。学校教育活動の一環で行われる部活動ですので、その学校の教育活動に沿っているということが当然ながら必要になってきますので、外部顧問が、違った方向で指導しないように外部顧問と学校をつなぐ連絡調整担当の職員を置くことにしています。

2ページ目を御覧ください。こちらも比較表になっておりますけれども、右側の方を御覧ください。派遣条件のところにありますが、中学校においては部活が継続して実施できるように体制作りに努めてくださいということです。先ほど小学校に今年度から拡大したと言いましたけれども、小学校は何を目的としているかというと、地域と連携した運営体制、これを努力してくださいと派遣の条件に入れております。

性格ですが、外部顧問については、ずっとというのではなく、臨時的・緊急避難的な措置であるということです。

申し訳ありませんが、派遣対象のところで、名古屋市立の後に「小」が抜けておりましたので、入れていただけたらと思います。

その下の教員の関わりですけれども、先ほども言いましたが、教員の顧問は必要としませんけれども、連絡調整の担当者を置くことにしております。

派遣数ですが、昨年度までは中学校が48でしたけれども、今年度より倍増いたしまして96名の派遣をしております。新たに小学校に8名を派遣しております。

3ページ目を御覧ください。4段目ですけれども、外部顧問は労災の適用の対象となります。委嘱についても市教委の委嘱行為を行っております。身分上の定めにつきましては、後から出てきますけれども、就業規程に沿っております。その2段下ですが、外部指導者研修会を現在年2回実施しておりますけれども、外部顧問につきましてはこの研修を義務づけております。上の枠の一番下ですけれども、大会等への参加を単独でできるとしておりますので、その場合、名古屋市の旅費条例に基づいて旅費を支給いたしております。

4ページ目を御覧ください。こちらが要綱でございますが、第2条の派遣対象のところを御覧ください。この事業のスタートは、廃部対策、創部対策で始まっておりますけれども、(2)で、非常に部の運営が困難な場合にも今年度から派遣をするようにいたしました。また(3)、これは小学校の場合ですけれども、地域との連携による部の運営を図ろう、そう考えている学校に対して派遣をいたします。

職務の中に、(1)の部活動の指導は当然ですけれども、大会、練習試合に係る引率、監督、これも業務に含めています。

6ページへ飛んでいただけますでしょうか。こちらが外部顧問の就業規程になります。第3条の委嘱の条件のところを御覧ください。(1)に書かせていただいておりますけれども、未経験の方には委嘱はいたしません。指導経験があるという場合に委嘱をいたします。多くの場合が、どういう方がなってみえるかというと、外部指導者で指導経験を積んでみえるが外部顧問として委嘱されるというケースがあります。あと、年齢の規程もしています。20歳以上としています。

9ページへ飛んでいただけますでしょうか。これが各学校への照会文になります。市内、中学校ですと109ありますけれども、全市に対してこの照会をかけます。学校事情で外部顧問が必要という場合には申請を各学校が行います。その申請書類が10ページ、11ページになります。

11ページが、これは裏面なのですけれども、各学校がどうして外部から派遣をしてほしいのかという理由を書いてきます。市の方でこれを精査しまして派遣を決定しています。

資料にはございませんが、次年度から選考を加えることになりました。各学校で校長が面接・選考をいたしまして、申請が上がって来た後、市教委の方で書類による選考を来年度から加えるということになっております。

12ページが、名古屋市が委嘱をするための学校からの委嘱の依頼状になります。

13ページは通勤届で飛ばしていただいて、14ページ、最終面を御覧ください。これが外部顧問の候補の方の指導経歴書になります。この下の欄に部活動指導経歴を書いていただきます。小学校では地域の指導経歴も含めておりますけれども、実績のない方には派遣はいたしませんので、ここが記入されているということが条件の1つとなります。

資料はございませんが、この外部顧問の予算ですけれども、小学校が350万、中学校が5,500万、予算を置いております。

雑駁な説明で申し訳ありませんが、以上で終わらせていただきます。

【小川主査】  ありがとうございました。後で、報告されなかった内容についても委員の方からお聞きいただければと思います。ありがとうございました。

それでは引き続いて、静岡県教育委員会、よろしくお願いいたします。

【朝倉班長】  どうもこんにちは。静岡県の朝倉でございます。

資料2を御覧いただきたいと思います。静岡県からは、表題のとおり、運動部活動顧問の資質向上について教員に対する資質向上の取組に関して説明させていただきたいと思います。

1ページ目を御覧ください。運動部活動顧問等の資質向上に向けた取組については、本県では、スポーツ基本法に基づきまして、静岡県スポーツ基本計画を策定しております。その中で運動部活動指導者の資質向上を進めるということを記載しています。そこで、平成21年から23年まで、しずおか型部活動検討委員会を設置しまして、その中で部活動の課題等を検討しました。それを受けまして、しずおか型部活動推進事業を行っております。それとあわせまして中体連、中体連というのは中学校の体育連盟ということで部活動を主に運営しているところですが、高等学校体育連盟も同じで、県の中学校・高等学校体育連盟と連携して、3つの事業を行っているというものが資質向上に向けた取組でございます。

1ページめくっていただきますでしょうか。2ページで、しずおか型部活動推進事業ということで、主な取組としまして、例えば、専門的指導力を持った教員が不足しているとか、様々な課題がありまして、必ずしもニーズに対応していないのではないかという指摘を受けて、静岡県の子供にとって望ましい部活動の推進を図っていこうというものがこの事業の目的でございます。そのフレームとしましては、1つは、今、名古屋市さんからもございましたけれども、外部指導者の派遣、それからもう一つが運動部活動顧問、教員に対する指導力向上、または外部指導者に対する指導力向上のための研修会となっております。

3ページを御覧ください。このしずおか型部活動ですが、上の方、外部指導者派遣、それから支援員配置、これが外部指導者の派遣でございます。下の部活動指導者研修は、外部指導者研修、それから中・高連携による運動部活動顧問研修、大学生ボランティアの研修であり、これが研修の部分でございます。最後に、国から委託を受けております運動部活動指導の工夫改善支援事業ということで外部指導者を活用した体制作りを研究するという事業を現在実施しております。

4ページを御覧ください。静岡県の現状ということで簡単に説明させていただきます。26年度のこの網かけなのですけれども、全国の部活動の加入率の平均は63%、静岡は加入率が70.9%ということで、中学校におきましても全国平均を上回っております。高校につきましても全国平均が43.8%、加入率46.9%ということで、静岡としましてはスポーツ王国を目標にということで部活動の加入率の向上と、積極的に運動に触れていく機会を確保しようという取組を行っており、全国の平均値は上回っている現状です。

5ページを御覧ください。これは静岡県高等学校体育連盟が部活動の顧問に対してのアンケートをとらせていただきました。その中で幾つかの結果を挙げて説明しますと、部活動顧問が実際に経験していないというものが40%いるという結果でございます。また、指導力についてどのように感じていますかという質問には、特にBまたはDあたりが課題だと思っているのですけれども、自信はあるけれども思いどおり指導できていない、または自信もないし指導もできていないと回答した顧問が33%、Cも入れますと約80%程度の顧問がいろいろ課題を持っているということをアンケートで把握しております。

6ページを御覧ください。自信があるが思いどおり指導できていない、自信もないし指導もできていないという方が、どのように対応しているのですかということを聞きましたところ、Aでは、ほかの指導者にアドバイスをもらう、Cは講習会や研修会に参加する、Dは指導書を読むというところで、いろいろ自己研修であったり、または研修会に参加するなどして53%、半分を超える顧問の先生方がいろいろ勉強したいと望んでいるということがアンケートの結果で分かります。

7ページを御覧ください。県としましては、こういう様々な運動部活動指導者が抱える課題に対しまして、それぞれの段階で研修を位置付けております。指導者の状況に応じての研修会の位置付けは、このポンチ絵のようになってございます。大体研修を3段階に分けております。一番下の基礎的な水準の指導力養成を図る研修、それから、中程度の水準の指導養成を図る研修、一番上が専門的、高度な水準の指導力を養成する研修ということで、それぞれ県が実施する顧問や教員に対する研修を3つ、それから、県が実施するのですけれども、中には、先ほど言った高体連、中体連という組織と連携して行うものが2つということで、広くカバーするような形で研修会を位置付けているというもので、今からこの研修を説明させていただきたいと思います。

8ページを御覧ください。この研修の一番基礎的な部分でございます。これは中学校と高校が連携した運動部活動の顧問研修でございます。初歩的な、本当に基礎的な、顧問になったばかりで指導法が分からないという方に向けての指導でございます。各県内を8地区に分けまして、その地区の要望または現状に応じて1種目ずつ実施しているものでございます。

9ページを御覧ください。これが今の中学校、高等学校が連携した運動部活動の顧問研修の一覧でございます。8地区がおのおのその地区に必要なものを選び出してその研修を行っております。この例は中学校ですので、中学校体育連盟が選定して、それを県が支援しているというものでございます。特徴的な部分としましては、中学校、高等学校の先生方が基礎的な技能を、指導力を身につけるためにこの研修会に参加するのですけれども、指導者、これは講師とありますけれども、ここは高校の先生が指導しております。これは一貫指導の観点から、レベルの基礎的なところから高校で求められるものも見据えて講師を務めていただいているというものが特徴でございます。人数は1か所で多くはないのですけれども、丁寧に指導していただいております。

10ページでございます。例えば、中・高連携による部活動顧問研修がどのように行われているかというサンプルでございます。実技講習の下のところなのですが、2つ分かれております。実技指導というところで、基礎的な技術指導についての解説ということで、特に中学校においては初心者から生徒がおりますので、その方たちに基礎的なもの、それから指導法の講義ということで、例えば練習メニューの組み方、こつ、または事前の質問に対する回答という内容を丁寧に指導していただいております。感想では参考にここにつけましたけれども、自分の部活動の指導に入れたいとか、メニューが勉強になったという意見が寄せられております。

11ページを御覧ください。これは先ほどのピラミッドでいきますと中程度のところ、基礎的なものの上に位置付けられているものでございます。これは中学校・高等学校指導者養成事業というもので、中学校体育連盟、高等学校体育連盟と連携して行っているものでございます。内容としましては、やや発展的なものも入ってきますので、例えばコーチングの心理や、トレーニングの科学的理論というものも入れて実施するもので、実績としましては中学校の15種目が年間33回開催しております。高等学校は31の専門部、種目の全て行っているということで、これは毎年実施しているのですが、各種目ごとのテーマに沿って研修内容を毎年選んで実施しているというものでございます。

12ページを御覧ください。これは中学校の方の講習がこのように行われたという報告ことでございます。受講者数としましては、26年度実績でいきますと617名の顧問が参加しているということでございます。

1ページめくっていただきまして13ページを御覧ください。これは高等学校の方です。少し字が小さいのですが、高校も同じように31の種目専門部で様々な取組を実施していただいております。日付を御覧になっていただければ分かるのですけれども、単独で1日という講習会もございます。例えば宿泊で連日行っているもの、または、中学校体育連盟のところでも、日をあけて2回、3回ということで継続的に研修会を開いているという専門部もございます。これは684名が参加しているということでございます。

14ページを御覧ください。これが中程度の水準の中学校・高等学校の指導者養成事業の例でございます。4番の日程のところの、テーマとしまして「初級から中級へ段階をおっての指導」という位置付けをしまして、これも同じように講義、それから実技研修ということで指導をしていただいておりますが、やはり中級へということですので、初級よりも少しレベルアップしているところもございます。また、2日目でございますけれども、「指導者が陥りやすい事例」、または、特に中学校の場合、先ほど言いましたけれども、ほとんどが初心者であるということを踏まえますと、初心者指導というところでも指導をいただいております。これは研修会を運営した者の所感ですが、一番下にございますように初級から中級に該当する指導者には活用できるという感想もいただいております。

1ページめくっていただきまして15ページを御覧ください。これは先ほどのピラミッドのところで一番上に位置するものでございます。優秀指導者養成事業ということで、目的としましては、高いレベルで競技力を維持向上させていくための、長期的に活躍できる優秀指導者の養成を図るというものでございます。主には講習会、いわゆる競技団体が実施しますライセンスの取得とか、国体または県の代表チーム等の指導ができるような方、それから、それを目標に活動するような地域で行われる研修会の参加ということで、ライセンス取得に70名程度、それからそれ以外の388名の中の、約300名以上がそういう研修会、高いレベルでの講習会に参加しているというものでございます。今説明しましたこの3つの枠組みでで、一番基礎的なものから発展的な高度なものまでの研修を教員のニーズに対応して実施していきたいと考えております。

それから16ページを御覧ください。しずおか型部活の外部指導者では、派遣されている講師それから派遣を受けている教員ともに集まりまして、この運動部活動外部指導者・顧問研修会を実施しております。これは、目的にございますように、運動部活動の教育的な意義、指導の在り方、それから最も大事な安全注意義務等を学んで、運動部活動指導者としての資質向上を、外部指導者もそうですし、運動部顧問、教員の方も図っていただくというものでございます。26年度は150名だったのですけれども、来年度は倍増以上ということで350名の参加を見込んでおります。

最後の17ページで、今度はスポットの開催になるのですけれども、地域にいらっしゃいますあこがれのトップアスリート、プロスポーツ選手等が静岡には多くいらっしゃいます。ですので、そういう方たちを部活動に派遣して、指導または技術指導に関しまして顧問それから生徒たちに指導をやっていただくという事業も展開しております。平成26年度ではトップアスリートを派遣する箇所が47か所で参加する生徒または顧問の数は4,000名に上る事業を展開しております。

今紹介しましたような事業を通じて運動部に関わる顧問、いわゆる教員の資質向上を図っているというのが静岡の現状でございます。以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。それでは、これから報告を受けた2つの意見発表に基づいて委員の方から質問及び意見を出していただければと思いますけれども、文科省にお尋ねしたいのですが、名古屋の外部顧問のような制度というのは、都道府県や政令市で、どれくらいの数の自治体が実際、導入しているのか御存じでしょうか。

【日向参事官】  部活動を担当しております体育参事官の日向と申します。

網羅的に調査したことはないのですが、我々が把握しているのは数自治体、数市です。県として実施しているところは承知しておりません。市レベルで数か所と承知しております。

【小川主査】  ありがとうございました。それでは、名古屋のこういう事例は本当に先駆的な事例なのですね。分かりました。それでは、質問等々がございましたらいただきたいと思います。

【稲継委員】  質問させてください。私、地方公務員人事や国家公務員人事はかなり勉強してきたのですけれども、教育現場のことは余り存じませんので、現場のことを教えてください。

まず、名古屋市さんにお尋ねしたいのですが、部活動顧問の派遣について、この要綱、実施基準によりますと、廃部、創部、それから今年から新しく追加された第2号があるということなのですが、実際にどういう部がこの廃創部としては多いのかということを教えてください。

それから、業務上災害が起きた場合に労災適用と書かれているのですが、こういう適用例が今まであったのかどうか、実態として教えていただけますでしょうか。

それから、静岡県さんにお尋ねしたいのは、いろいろ研修をしておられて、3ページのところで網羅的に研修メニューを書かれているのですが、その中で、最後の方で御説明がありました外部指導者派遣、それから顧問といったものもあると言及されました。これは名古屋市さんのような要綱なり実施要綱を作ってやっておられるものかどうか。そうした場合に、今質問いたしました業務上災害が起きた場合の適用、公務災害になるのか、あるいは労災になるのか、あるいはその他の何らかの保険に入っているのかということについて教えてください。

それから文科省にあわせてお聞きしたいのですが、今、小川先生の方から御質問があったことと関連するのですが、幾つかの市でこういう先駆的な取組をやっておられるということなんですけれども、そういった場合に、例えば名古屋市さんの場合には非常勤の特別職という地公法適用外の職員として雇われているわけですけれども、他市の場合にはどういう法律上のたてつけになっているのか、もし御存じでしたら教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。

【小川主査】  では、最初に名古屋、そして静岡、文科省という順でお願いします。名古屋市に関する今の稲継委員の質問につけ加えて私も質問したいのですが、外部顧問になられる方の属性とか、もしも内訳等々がある程度詳細に分かっていれば教えてほしいと思います。先ほどの御説明では、派遣の外部指導経験者が顧問になる例が多いという話ですけれども、大体何割ぐらいで、それ以外の方はどういう経緯でなっているのかということと、年齢構成は大体どの程度の方が多いのかということも含めて、稲継委員の質問につけ加えて御説明いただければと思います。

【岩田指導主事】  まず、どういう部にということでお話をさせていただきます。顧問派遣96のうち廃部対策が51、創部対策が2、非常に困難な部の運営で派遣したのが43、合計96となります。小学校については地域との連携を図る目的のみですので、それが8校になります。

それから運動部と生産文化――文化部ですね――の内訳でいきますと、運動部が75、生産文化が21という内訳になります。

それから、種目でいきますと、一番多いのがバスケットボール部に20、それからバレー部に13、あとは種目がばらついております。生産文化部でいきますと、合唱吹奏楽に10が一番多いです。

それから、労災の適用例はございます。指導中に足を捻挫し労災の適用を受けたということがあります。

それから、外部顧問の方の属性ということで、学生が14、自営の方が14、一番多いのが学校の非常勤講師、非常勤講師は時間制ですので兼任できますので、非常勤の方が38、多いのはそういった方々になります。

それから、年齢構成ですけれども、多いのが20代、学生が来てくれていますので20代が多いです。それから、60歳以上の方が多い。そういった年齢構成の特徴があります。

【小川主査】  ありがとうございました。では、静岡県、よろしくお願いします。

【朝倉班長】  外部指導者につきまして、静岡県は4種類、「文化の匠」というのは文化部への対応になってございます。スポーツエキスパート、それから大学生等による部活動支援、それから学校教育活動支援員というこの4つによりまして外部指導者を派遣しております。スポーツエキスパートも大学生ボランティアも県の方で委嘱しております。保険等につきましては、県の方でスポーツ安全保険に入っております。

基本的には指導におきましては顧問が必ず一緒にいなければならないというものですので、あくまで外部指導者という位置付けでございます。それから学校教育活動支援員は、ここに書いてございます非常勤職員ということで部活動に配置しております。ですので、これは任用して非常勤として部活動の指導に当たっております。顧問は単独指導ができるというものなのですが、引率はできないということで、部活動顧問は別にいて指導にあたります。ただし日常の部活動指導については単独指導が可能ということになっております。

そのため、必ず教育活動支援員につきましては教員免許が必要であるということが、学校に単独指導が行えるような形で1つのハードルとして設けてございます。主にこの教育活動支援員につきましては学校が授業の中でお願いしています非常勤の方がそのまま教育活動支援員として部活動に配置されているケースが多いのですが、教員免許を持っている方で、学校の方が探してきてお願いしているというものもございます。

あと、スポーツエキスパートにつきましては、大学生を除いた方にお願いしております。

この大学生等による部活動支援ボランティアにつきましては、対象は名前のとおり大学生、大学院生なのですけれども、これはあくまでボランティアという位置付けになって、謝金等は発生しておりません。

以上です。

【日向参事官】  ほかの自治体でこういう非常勤特別職として位置付けているところがあるかというお尋ねでございますが、名古屋市以外は私どもは把握していないというのが現状でございます。

【小川主査】  ほかにいかがでしょうか。

【青木委員】  名古屋市さんと静岡県さんにそれぞれ質問させてください。

部活動は、私の手持ちのデータなどからすると、長時間労働の大きな原因の1つになっていて、一方で、学校教育の中での必要度というのは関係者から高く認められているので、どうしたらいいのだろうかというのは常々私も考えているところです。

それで、名古屋市さんへの質問は実態に関してで、中学校でいうと20時間という時間が設定されていますけれども、これは長期休業期間などの部活動顧問の実態を踏まえて考えると足りないのではないかと思うのですが、そのあたり運用上はどうですかというお尋ねです。

それから静岡県さんの方には、派遣の顧問のことですけれども、引率等ができないですとかそういったことから考えますと、全体を見れば質の向上、部活動顧問や部活動指導の質の向上は期待できると思うのですが、一方で労働時間についてはどういう効果が期待できるかと思っています。例えば、指導力が身につくことで部活動指導が効率化し、初歩的なところでつまずかないので、結果的に部活動指導の苦労は減り、ひいては時間が減るというような効果が期待できると考えてよろしいのでしょうか。よろしくお願いします。

【小川主査】  それでは、また岩田指導主事、そして朝倉班長という順でお願いします。

それで、岩田指導主事の先ほどのお答えに関して、学校非常勤が38名とありましたけれども、この学校非常勤というのは体育の非常勤と理解してよろしいのかということも確認させてください。では、青木委員からの質問、よろしくお願いします。

【岩田指導主事】  名古屋市では、この3年間、来年度も引き続くのですけれども、「元気な学校づくり」プロジェクトという会議を立ち上げまして、そこで教員の多忙化を解消し、子供たちと向き合う時間を創出するということで、ワーキンググループをその下に作り、検討を進めています。その1つに部活動の在り方というのがありまして、教員の実態調査をいたしましたところ、部活動の教育的意義は十分分かっているけれども、個人的な事情、介護があったり、そういった諸事情を抱えていたりして、非常に苦しい、そういう方がみえます。そういう方々を何とか救えないかということで、外部顧問の人数の倍増も図ってきました。

それで、外部顧問の方にそのままお願いする場合、20時間では不足する。間違いなくそうです。制度としては規定されていますので、月額報酬を変えるということはありませんけれども、それを超えて外部顧問の方がボランティアで時間以上の指導をされているというケースは結構あります。夏休みも含めますと、そういったところにお支えいただいている部分はかなりあります。

それから非常勤の方が兼任しているという場合が多いのですけれども、体育とは限らず、その方の経験によって、数学、社会問わず、例えば野球の経験があればお願いをしているというのが実態です。

【朝倉班長】  静岡県も教職員の多忙化につきましては大きな問題として扱って、委員会が実施されております。それで、部活動顧問が時間外勤務に非常に大きなウエートを占めるということで強く指摘されておりまして、改善するようにという指導も受けております。

それを受けまして、先ほど先生おっしゃいましたように、質の向上なのか時間の短縮なのかということなのですけれども、まずスポーツエキスパート派遣事業は教員とともに行う指導になりますので、時間の短縮ということは直接的には見込めないと思っておりますが、1人で行っていたものが複数指導になったり、または指導経験が少ない教員に派遣していますので、効率的に行えることで時間の短縮には結びつくものであるということで考えておりまして、先生がおっしゃいましたように効率的な指導をするというところで考えております。

特に、部活動の顧問を引き受けることによる多忙化なのか多忙感なのかというところの、多忙感の解消に向けて取り組んでおります。さらに同時に効率的な指導によって多忙化にも少し貢献できるような形ができないだろうかということも見込んでいます。で、このエキスパート派遣事業、これは今年まで県内75人派遣だったのですけれども、来年から175名派遣ということで、数を大きく増やして学校への、特に指導ができないという方の多忙感解消に向けてスポーツエキスパートを派遣してまいります。

もう一つの教育活動支援員なのですけれども、これは先ほど引率ができないということを言いましたけれども、単独指導ができますので、これは、先ほど言ったように効率的にも行えると思いますし、多忙化の方に働きかけることができると考えています。教員はそこにいなくてもいいもので、非常勤職員を配置することによって何とかそこの多忙化の解消に働きかけていきたいなと思っております。今年度は派遣人数が15名ということでしたが、来年から30名に大きく増やしていただきました。また、スポーツエキスパートにつきましては、年間96時間ということですので数的には余り多くないところなのですが、教育活動支援につきましては320時間ということですので、週5回実施でき、かなり多くの指導ができるように今配置しておりますので、こちらにつきましては多忙化なのか多忙感の解消に向けては、効果を上げたいと考えております。

【小川主査】  ほかにいかがでしょうか。それでは、前田委員、田村委員、米田委員という順で。

【前田委員】  非常に先進的な取組だと思います。素人の意見で申し訳ないのですけれども、指導してくださる方の謝金がこんなにも安いのかと感じてしまうのですね。先生を助けるという意味では非常にいい活動だと思います。さらに、子供の側の目線で見ると、授業以上に部活動で教えてくれている人の影響を受けて、将来にわたってこのスポーツをやろうかなとか、あの人が厳しいときに言ったせりふがずっと頭に残っているなどの例があると思っています。子供から見ると大変影響力の大きい方だと思っているにもかかわらず、こんなに安いのだと、私は愕然としてしまったのですね。

大変ボランティア精神があって皆さんやっていらっしゃるのでしょうけれど、自分の家庭を、早く帰らずに犠牲にして一生懸命教えたり、土日も出てきて教えているにもかかわらず、ましてや20時間という制限があって、その後のボランティアでやったときに万が一けがをしたら、それは労災になるのかなとか、いろんなことを考えます。子供のことを考えたら、もちろん先生方をお手伝いするという意味では、とても助かると思うのですけれど、子供にとってこの先生方の支援員の影響力はものすごく大きいと思います。もう少し根本的に、もっと手厚い支援ができないのかというのは、母親目線で申し訳ないですが、すごく感じてしまいました。

【小川主査】  今の意見について、岩田指導主事、朝倉班長の方から、部活動を教育活動に位置付けることに関わって、何か御意見ございますか。

【前田委員】  労災は20時間を超えた後どうなるのかについてもお願いします。

【岩田指導主事】  まず謝金額ですけれども、時給2,000円、これを算定基準にしていまして、外部指導者の場合は、名古屋市は1日当たり2時間程度と想定して4,000円、少し減額されて3,600円なのですが、外部顧問については月20時間で1回当たり4,000円ということで4万8,000円という額が出てきたのですが、それが妥当かというと、先ほどお話ししたように、ボランティアでそれ以上に指導されている時間もあるので、個人的な考えでいきますと、確かに委員がおっしゃるようなことは感じます。

ただ、派遣数がこれで十分かというと、まだ足りてない部分、申請がそれ以上に出ていますので、謝金額を上げるのが先なのか、もっと人数を上げる方が先なのか、そのあたりは議論の必要があるかなと思っております。

労災については、学校の教育活動の中で起こったということであれば、謝金の対象時間内であろうと外であろうと労災ということになります。

【朝倉班長】  全く前田委員の御意見のとおりだと思うのですが、やはり苦しい県の財政上、27年度は8,405万ということです。それから謝金はもっと上げなさいということで検討している委員からは同じように指摘があるのですが、実際にアンケートをとりますと、1,000名を超える方が高校または中学校、1,500くらいだと思うのですけれども、今現在でも活動していただいております。その方たちに手厚く時間数と日数ということになりますと、今大体、支援員1人で60万円ぐらい出しているのですが、それが1,000名とかそれ以上に数が増えていってしまいますと、際限なく膨らんでしまうので、本当に必要なところに効果的に配置できるように選定してお願いしているという現状でございます。

【小川主査】  それでは、田村委員。

【田村委員】  需要と供給のお話は、今、少し出てきたかと思うのですけれども、私がお尋ねしたいのはマッチングの問題です。希望する学校は随分多いかと思うのですが、条件的に謝金が高くないという中で、どれぐらいの方が手を挙げてくださるのか、なり手が潤沢にいらっしゃるのかどうか。名古屋市の場合は大学も多いですし、そういった面ではかなり有利な条件というのもあるのかと思うのですけれども、それにしても何かシステム上の、なり手の方を募集するような工夫などありましたら教えていただきたいと思います。

【小川主査】  2人に対してでよろしいですね。

【田村委員】  そうですね、何かございましたらお願いします。

【岩田指導主事】  本当に外部指導者も外部顧問もニーズが高まってきておりまして、多くは学校の中で地域の方にお願いをしたりということで、外部指導者、外部顧問のなり手を見つけているのですけれども、見つからないという場合が出てきていますので、これは積極的に人材を発掘するシステムを作らなければいけないということで、人材バンクのようなところがありますので、そこに非常勤講師や講師の登録してくれる方がみえて、その方に部活動の指導もしてもいいですかどうかというのを聞いて、いいという方をそこでストックし、学校から依頼があった場合にはこちらの方で紹介するというのがあります。

それともう一つは、大学連携ということも来年度からやるのですけれども、名古屋市内には体育学部を持つ大学が多いです。中京大学や愛知教育大学、愛知淑徳大学、こういった大学も教員養成をしておりますので、そういった大学の中に窓口を作りまして、学生さんで外部指導者、外部顧問のなり手を大学側が把握する、ストックする。それで、大学に窓口ができます。名古屋市の方としてはスポーツ振興課市教委が窓口となって学校からのニーズを受け付ける。窓口と窓口で人材をマッチングするといったシステムを立ち上げるところです。

【朝倉班長】  まず、マッチングにつきまして、一応、登録してみんなが見られるようなホームページがあります。今年、先ほどの表の、3ページの一番下にありますけれども、国の委託を受けて事業を行っております。その中で、マッチングの問題は非常に重要で、コーディネーターを置いて実際にコーディネートをしていただいております。今年はあくまで派遣する学校の中のコーディネートなのです。また、指導者の発掘も大きなテーマに挙げてございます。今回、発掘することは、非常に難しくて、私たちもニーズがあればそこに当てはめればいいなと思ったのですけれども、、学校からの要望や指導者からの要望にも対応するために、マッチングしようとした件数全てで問題があがり、本当に難しいことであると思いました。

学校が見つけてきて学校が実際に活動しているような方に謝金をお支払いしているという状況です。ただ、いろいろ学校を回りますと、例えばバレーの指導者が欲しいとか、弓道の指導者が欲しいとか、いろんなニーズが上がってくるのですけれども、余りそれに応えられないような状況ですので、来年度はやはりもう少し協会、または大学等と連携していきたいと思っています。

ここにもう一つ、大学のボランティアによる事業というのを静岡は行っているのですけれども、やはりボランティアですと大学生が集まらないです。年間かけてかなり呼びかけても20名程度です。静岡にも大学がありますので、謝金をしっかり払って実施するような形についても国の事業も受けながらどういうことができるのかということを検討している状況でございます。

【小川主査】  それでは米田委員、その後、竹原委員、貞広委員の順でお願いします。

【米田副主査】  最初に名古屋市に質問ですけれども、本県でも先生たちの多忙化をできるだけ防ぐためにどうすればいいかいろいろ考えていますが、なかなかいい案が見つかっておりません。外部顧問ということで教員に代わって単独指導ができるということ、それから大会の引率も可能になっているということなど、この事業の実施基準を作る際に、おそらくいろいろな意見が出たと思うのですが、どういう意見が出て、どういうところでまとまったのか、その辺を教えていただければと思います。

それから静岡県への質問ですが、非常勤講師の方に学校教育活動支援員という形で兼任していただき、部活動の指導もしていただけるようにしているということですが、非常勤の方に部活動の指導もお願いするというのは、それだけお金が必要なことですので、予算化するのにかなり難儀されたのではないかと思います。そこで新しい年度、例えば27年度では何人ぐらいの方が必要で、そのための予算がどれくらい必要になるかという試算をするときに、どういう試算の仕方をしていらっしゃるのか、その辺を教えていただければと思います。

【小川主査】  では、また岩田指導主事からお願いします。

【岩田指導主事】  外部顧問の制度を作るときには、私はいなかったので、その経緯についてはそれほど詳しくないのですが、学校現場として大会引率、練習試合等の引率ができるかできないかというのは非常に大きいという議論があって、引率をできるようにしたいと。そのためには学校協力者では難しい、できませんので、非常勤特別職に位置付けて引率をするということです。

そういった位置付けをしましたので、この制度ができた当初から、名古屋市の中学校総合体育大会というのがありますけれども、市中総ですね、この大会については外部顧問の引率を認めると、当初からそういうふうになりました。この制度を10年続けてきまして、引率において特に問題も起きていませんし、トラブルも起きていないという実績を考えていただいて、県の中学校総合体育大会、県中総ですね、この大会にも外部顧問は教員と同等とみなすということで引率を認めていただきましたので、そういった正式な大会にも引率が可能になってきています。

【朝倉班長】  確かに予算化するは難しかったです。ただ、今回、多忙化の解消という検討も並行して進んでおりますので、その中で多忙化にも働きかけることができる可能性がるという説明で御理解いただき、1,700万程度の予算を積んで27年度については約30名派遣する予定でございます。今年は15名ですので、来年は倍にしていただいて、学校を選定し、効果を検証していくというところでございます。

【米田副主査】  県立の学校を見ていますと、私も部活動の顧問の経験があるのですが、大会の引率の場合に、いろいろな問題が過去に起こったことがありますので、男女が一緒にどこかに派遣される場合には、複数の顧問、要するに男の先生と女性の先生を両方引率させるようにしています。ある意味で、人的に余裕があるところは、できるだけ多くの先生に部活動の顧問になってもらうということで複数顧問制をとる傾向が出てきております。それでお互いの負担を軽減し合おうという面もあるのですが、同時にいろいろな事故等が起こらないようにということも考えての措置なのです。静岡県のような、あるいは名古屋市のような措置ができれば、それはそれで大変良いと思うのですが、また別の面で心配もあるのではないかという気がしたのでお尋ねしました。ありがとうございます。

【小川主査】  では、竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】  いろいろお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。2点質問があります。

1つは、非常勤の方はある程度の認識があると思いますが、それ以外の方については部活が教育的にどういう位置付けにあるか、生徒が集団として動くとき、また個人として活動するときにどういうケアやサポートが必要かということが重要だと思います。先ほど前田委員がおっしゃったように、部活というのは青春時代の大事なもので、部活の教育的な意義など研修の中にどういうふうに盛り込んでいらっしゃるかということをお聞きしたいと思います。

それから2つ目に名古屋の話で、小学校では地域との連携の場合に派遣される、これは具体的にどういうことを指しているか教えてください。

【小川主査】  ではまた岩田指導主事、お願いします。

【岩田指導主事】  外部顧問の方で教員の経験のない非常勤でない方々には子供の指導というのが必要という、これは名古屋市もそれを考えまして研修を義務化しました。必ず研修は受けてくださいと。その研修の中で子供の発達段階の理解ですとか成長期のスポーツ指導とか、けがの防止、そういった内容を盛り込んだ研修をしております。これは必ずやっております。昨年度までは外部指導者研修会、年1回だったところを、今年度から年2回というふうに回数を増やしました。それから、地域スポーツ指導者も対象とした少年スポーツ指導者研修会もやっております。それも外部顧問、外部指導者の方に紹介をしておりまして、これは義務ではありませんが、それも含めますと、外部顧問の方の研修の機会は年3回に増えたということが言えます。

それから小学校の外部顧問の派遣条件ですけれども、これは地域との連携を図ることを目指していれば派遣をしています。もう連携をしているというのが前提ではないです。そういう考えがあるところに派遣をしています。外部顧問を派遣する中で地域との連携の形を模索していただいて、子供たちのスポーツ環境を学校だけで担うのではなくて、地域と学校双方で担っていく、そういうことを模索していただくようにしています。

【小川主査】  それでは、貞広委員。

【貞広委員】  大変興味深い事例について御報告いただきましてありがとうございます。私からは3点御質問させてください。

名古屋市さんを中心に御質問させていただきたいと思いますが、外部指導者派遣事業の派遣の性格が、部活動を実施するための臨時的・緊急的な措置とされています。ただ、実態を拝見しますと、緊急的・臨時的な措置でいいのだろうかと。非常に部活動が過重な負担になっているということも、継続が困難なことも常態化していると考えられる中で、実態を受けて、この事業の性格自体の捉え直しということを見通されているのかどうかということを1点お伺いしたいと思います。

そしてもう一つ、部活動外部指導者派遣事業の目的というのが部活動の充実のため、これは静岡県さんもそうだったと思うのですが、一方で、青木委員がおっしゃったように教員の多忙化または多忙感の解消のためという部分もあろうかと思います。この多忙感というか、不公平感というのもあると思うのですね。一部の先生だけが非常に部活動に過重な負担があって、その不公平感を解消するために外部指導者を派遣するというのとあわせて、今部活動を担当されている先生に何らかのプラスの報酬を、プラスのサポートをするということがあわせてなされているのかどうか。または、それが制度的に可能なのかどうか私も分からないので、そのあたりも教えていただければと思います。

それと3点目が、講師の方の教員免許の問題なのですが、私は免許を出すような学部にいるのですけれども、そうした学部のスタッフの側からしますと、特に部活動の引率まで担当される方が教員免許をお持ちではないというのは大変違和感がございます。恐らく静岡県さんの方を拝見しても免許が必要なタイプのものとそうではないタイプのものとありますし、名古屋市さんでも研修を充実させていらっしゃるところを見ると、かなりそのあたりは御議論があったと思うのですが、どういう議論を尽くされて今のようなシステムになったのかという点について、以上3点お尋ねしたいと思います。

【小川主査】  では、これも岩田指導主事、よろしくお願いします。

【岩田指導主事】  緊急避難的な措置でよいのかということですけれども、これは当初、教員の多忙というのもありますけれども、子供たちのスポーツ環境を維持するということで、部活の廃部を阻止するためにできたという一面がありますので、その間に学校は子供たちのスポーツ環境、部活環境を整備してくださいと、外部顧問だけに頼るのではなくてと、そういうところで始まってきたのですけれども、その後、今度は子供たち側ではなくて教員側から見ても多忙化解消ということでの外部顧問の性格も出てきています。なので、これでいいのかということは、確かに御指摘いただいたとおりで、今後も検討していかなければいけないと思います。

それから多忙感については、先ほども言いましたけれども、実態調査をしたところ本当に部活指導が好きで子供たちと一緒に関わることが好きな方は多忙と思われない、そういう方はどんどん、もちろん行き過ぎは困りますけれども、やっていただければいいのですけれども、やむを得ず学校事情とか家庭の事情があるのにやっている方は、名古屋で35%ぐらいなのですね。その方たちを何とか救いたいということでやっています。外部顧問を派遣しています。また、教員顧問の方の多忙感を解消するために、専門的な技術指導ができるようにするために指導者養成講座というのも小中学校体育連盟の方で実施をしていますし、先ほどの研修を教員にも照会をかけていますので、そういったものを活用していただく。それから、子供たちの理解ができるように手引きや冊子を発行しています。十分ではないと思いますけれども、そういったこともやって顧問へのサポートも行っております。

教員免許なしで引率ということで、確かに引率途中で何かあったり、緊急事態が発生したときの対応は大丈夫だろうかということもあります。ですので、そこの部分では研修の中でそういった対応の内容を盛り込んで外部顧問の方に学んでいただいているぐらいしかできないのですが。

【小川主査】  貞広委員、よろしいですか。何か一言ありますか。

【貞広委員】  大変むちゃな話だと思うのですが、例えば部活動20時間に4万8,000円中学校だと出ていて、小学校だと3万6,000円ですと、部活動を御担当されている先生にこれだけプラスアルファの給料があっても順当であるという判断もできると思うのですね。ですから、そのあたりも、別に名古屋市さんが、静岡県さんがというのではなく、それでも安過ぎるという御意見があったぐらいであったということを、それも1つのきょうの事例報告していただいたことの聞き取りなのかなということです。感想ですが。

【小川主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょう。時間の制約もありますので、あと一、二ございましたら受けたいんですけれども。では、大久保委員で最後にしたいと思います。

【大久保委員】  最初に、名古屋市の部活動顧問派遣事業を本県の部活動外部指導者派遣事業と比較しながら聞いてみたのですが,やはり問題になるのは、先ほど米田委員からもありましたように、単独で指導ができるかという点と引率ができるかという点であり,これは,かなり大きなウエートを占めており、ここができるかできないかで,教員の負担は,かなり軽減されると感じます。これを可能にした名古屋市の取組は,非常に画期的であり,すばらしいと感じます。

一方で、危惧されると感じたことを2点質問いたします。

1点目は,外部指導者が指導する際に発生した事故への対応です。先ほど,部活動指導では,トラブルは起きていないという話でしたが、本県では,この種のトラブルというのは結構ありまして、指導法や練習中の怪我など,保護者の方からいろいろな不満やお叱りを受けます。例えば,「部活動の練習中に子どもが怪我をしたが、指導者の対応がまずかったから怪我が根治せず,プロ選手への夢を絶たれた。どうしてくれるのか。」といったことなど、普通にあるわけです。そこで,外部指導者が入っていて,大きな補償を伴うような事故があった場合は、学校が対応するのか、教育委員会が対応するのか、それとも担当している教師や外部指導者が個別に対応するのか,ということをお聞かせください。

2点目は,部活動の教育的意義に関連することです。そもそも学校は,部活動が中心というわけではなく,教員を配置する場合は,部活動を優先するわけではなく、中学校だったら教科を優先します。したがって,今回,バスケットの顧問が転出したからバスケット経験者に来てほしいと要望しても、やはり配置をする上では教科を優先するわけです。そうすると、たまたまバスケットではなくて、バレーの指導者は既にいるのに,またバレー経験者が配置されるというのは、よくあることで、これを保護者の方にも理解していただき,その上で、専門でもなく経験のない競技だけど頑張ります,ということで未経験者の顧問が試行錯誤しながら,子どもと一緒に取り組んでいくわけです。そうした中で、子どもたちは、懸命に取り組む顧問教師の姿勢に影響を受けてポーツに目覚めたり、魅力を感じたりして変わっていったりするなど、たくさんあるわけです。そうして来たものが、専門性の高い外部指導者を顧問として派遣できるようになったことで、保護者のニーズが、これまでは先生に一緒にやってもらえばよいという気持ちでいたものが、専門的指導を求める方向にどんどんシフトしていって、求めるものが変わってきた,あるいは要求水準が非常に高くなったということはないのか。以上2点をお聞きしたいと思います。

【小川主査】  では、今度は順番を変えて、朝倉班長、岩田指導主事にお答えいただけたらと思います。よろしくお願いします。

【朝倉班長】  静岡としましても、あくまで教員が学習指導要領に位置付けられているように部活動をしっかり責任を持って指導すると。そういう中での外部指導者の活用というスタンスでございます。生徒や保護者のニーズが変わってくるというものも、正直、学校の中ではあろうかと思いますが。いろいろこういう先生が欲しいとか、ああいう方がいいということは、保護者からも、校長先生はいろいろお話を伺っていることと思います。あくまで私たちは部活動の支援に向けて学校のニーズに応じて対応していくというスタンスは変えなくしようと思っておりますが、どのような人事の配置があるかというところまではこちらでは把握しておりません。

【岩田指導主事】  確かに、私どもの方にも部活に関する保護者からのクレームや苦情というのは本当に多いです。ですけれども幸い、外部顧問が引率、単独指導を行っている中でということは聞いてはおりません。それはたまたまなのかもしれませんけれども。単独指導や引率を委ねているわけですので、学校の教育活動にきちんと基づいて指導をしていただくというのが外部顧問であろうとも大前提ですので、そこは校長が外部顧問を任用したいときにお願いをする。学校はこういう教育方針でこういう部活動の方針でやります、これでいいですねという確認でお願いをしています。

それから、教員の異動、特に中学校は教科で異動配置をしますので、数学で野球のできる先生が異動して、数学で野球のできる先生が必ず来るとは限らないわけですので、数学の先生がみえても野球指導ができない、そういうときのために外部顧問という制度があって、そのときにも、親のニーズも高いですから、外部顧問で野球の指導ができる方を任用していただいて廃部を救うということでやっています。親が求めるもの、確かに本当に二極化というか、すごく大きくなってきていまして、もっとやってほしい、トップを目指したいという親御さんももちろんいます。名古屋市としては学校教育活動の中で行われる部活動というのはこういうものですよということで、そういった冊子を作り、それからその概要版のチラシを学校、保護者にも配って、学校の中で行われている部活動というのはこういうものです、勝利至上主義に偏らずに部活は仲間作りだったり、人間的な成長、そういった場だということで出しています。目安ですけれども、小学校は週3日、1日当たり1.5時間が妥当、中学校は週5日、1日当たり2時間ぐらいが妥当、土日どちらかは休んでくださいということをチラシで保護者にも理解してもらうようにしています。ただ、そのとおりにはなっていないのも現状ですけれども、目安として示してはいます。

【小川主査】  ありがとうございました。少し時間をオーバーしましたけれども、これで一応、名古屋、静岡の意見発表に対する質疑応答は終わりたいと思います。

残りの時間で、学校におけるサポートスタッフの在り方について、信濃町教育委員会の霜鳥係長、そして町立小中学校の峯村校長から、合わせて15分から20分ぐらいで御報告いただければと思います。よろしくお願いします。

【霜鳥係長】  皆さんこんにちは。私の方から先に、サポートスタッフの活用についてということで、資料3-1でございます。後段で学校長の峯村の方から資料3-2を説明させていただきたいと思います。

まず資料3-1、カラー刷りのものでございますが、「信濃町に誇りをもち、次代を担う人材の育成を目指して」、これが学校目標になっております。この写真で風船を飛ばしておりますけれども、これが開校1年目の文化祭のときにメッセージつきの風船を全校児童生徒で飛ばしたときの写真であります。

2ページ目になりますが、信濃小中学校ということで、平成24年4月1日、長野県の公立学校としては初となります施設一体型の小中一貫教育校を開校いたしました。小学校につきましては旧小学校が5校、それから中学校1校が統合しております。信濃町の人口でありますけれども、直近ですと9,061人という人口で、昭和60年比にしますと約4分の3になっております。また、子供の数につきましても昭和60年度比で半分以下という状況であります。

次に、職員の人員配置を統合前と統合後で比較したものを載せてございます。県費職員につきましては当然5校の小学校が統合しておりますので、合計で24人の減ということになります。下の町費職員につきましては、講師、支援員、数が若干増えておるわけですけれども、校務手、司書は、1校になりましたから減るものでありますが、統合前とほぼ変わらない人員を町の方で確保している状況であります。

3ページ目になりますが、町費職員の費用に関わるものを統合前と統合後で比較しております。統合後が、今年度の決算見込みになりますが、この増加分につきましては、統合前は全くスクールバスの運行をしてございませんでしたので、統合後になりましてスクールバスを運行している関係で、単純にその人件費が増えているという内容になっています。あと、交付税の算定数値を比較して、将来の見込みも記載してございますが、学校の維持管理費については当然統合したことにより減少しているという表になっております。

最後4ページ目になりますけれども、当町の教育委員会事務局の体制になります。3係ございますが、出生から成人までを自立のための準備期間ということで位置付けをして、一貫したサポート体制をとっているということでございます。

私の用意した資料は以上です。続いて学校長より御説明をいたします。

【峯村校長】  サポートスタッフの活用というテーマをいただきました。その視点からお話しさせていただきます。

本校は開校して3年目を迎える学校です。サポートスタッフということにつきまして3つの視点からお話しさせていただこうと思っております。1つは、今、係長の方から話がありましたように、町独自の支援や教科指導に関わる講師をたくさん入れていただいております。その支援員や先生方と一緒にチーム支援をしていく、そのシステムについてお話しさせていただきます。2つ目は、心理、発達等の専門性を有するスタッフの活用についてという視点からお話しさせていただきます。最後には、子供たちの学習や活動に直接関わっていただいている地域講師、外部講師によるサポートの視点からお話しさせていただきます。

では最初に、町独自の支援員、それから講師の配置に関わってお話しさせていただきます。本校には、支援員の先生方が非常にたくさん配置していただいております。特に1・2年生、本年度3学級ずつの編成になっておりますけれども、全ての学級に常勤の学習支援員が配置されております。それから、3・4年生には学年に1名の常勤学習支援員、それから特別支援学級には非常勤ですけれども生活支援員が配置されております。

支援員の先生によるサポートですけれども、通常の授業での個別支援、これは全員免許状を持っておりますので、授業に対してサポートを行っております。それから、どこの都道府県でもそうだと思うのですが、発達障害の子供たちが本校にも何人もおりますけれども、やはり教室を歩き回ったり、時には教室を飛び出してしまったりというお子さんたちへの支援がございます。それから、複数の目で子供を見ることができますので、しかも常勤ということがありまして、子供たちのことについて放課後担任の先生と一緒に情報交換しながら次の日の指導に位置付けるということ。それから、先生方が出張で出ていたり他の会議があったりするときに、教材作りだとか学級事務をサポートしていただいたり、それから放課後の下校指導や地域の見回り等をお願いしております。

このように手厚く、特に1・2年生小学校低学年の段階で支援員を配置したことによってどのようなことが起こってきているかということですけれども、1つは、本町では本年度から、長野県は全学年35人以下の学級を実施しておりますけれども、本町では1年生から4年生までは今年から30人以下の学級になるような仕組みを作っていただきました。プラス、そこに学習支援員が入るということで、非常にきめ細やかな学習指導ができるということ。

それから2つ目ですけれども、衝動的な行動をとる子供たち、そのことによって教室の中がかき回されて、場合によっては学級崩壊に陥るということがいろいろなところで起こっているわけですけれども、そういった子に対しての個別支援ができるので担任の先生は全体指導を続けることができると。統合前は全ての学校が単級の学校でした。そして児童数も非常に少ない、場合によっては1人、2人だとか、多い学校でも10名、25名以下という学級編成でしたけれども、そういったときと比べて小学校1年生入学してからの学級が落ち着くまでの時間が非常に早まってきているかなと。連休明けぐらいには非常に落ち着いた学級ができているということが言えます。

それから、長野県は他県に比べて非常に講師率が高いと聞いておりますが、若い講師の先生方が担任をやる場合もあります。そういったときにはベテランの支援員の先生を配置することによって、若い先生方でも安心して学級経営ができる。そのことによって保護者からのクレームが非常に少なくなっております。

それから、先ほどのように支援員の先生がいろいろな事務的なことをやっていただいているので、学級担任の先生が教材研究だとか授業構想に関わる時間が生み出せる。これも大事かなと思います。

それから、うちの支援員の先生、2通りあります。1つは、かつて教員経験のあるベテランの支援員の先生。それから大学出たての若い先生。若い支援員の先生方にとっては、ベテランの先生方の授業を一緒に見られる、そして見ながら支援ができるということで、非常に教育力を高める上で、これから本物の教師になっていく上で非常にいい体験になっている、インターン的な機能を果たしていると私は考えております。

2つ目です。2ページを御覧ください。本校では5年生から高等部という呼び方をして、教科担任制を行っております。国語は5・6年生担任の先生が行いますが、それ以外は全て教科担任制です。担任の先生は国語と自分の教科、それから道徳、特活、総合的な学習等ありますので、授業全体の半分ぐらい受け持って、なだらかに中学校につないでいくという形をとっております。そのことで一番ありがたいなということは、5年生から教科担任制ができるということで、非常に授業に対する興味関心が高くなっています。それから、もっと知りたい、やってみたいという知的心が高まっていると。小5ギャップという言葉も生まれておりますけれども、それはやはり子供たちが1年生、2年生のころから生活科をうんと存分にやってきて、それで知的好奇心が高いのに、5・6年生になってそれぞれの先生方の専門性がないために、思うような授業、満足ができないというようなことによるのかなと思うのですけれども、そういった面で5年生から教科担任制を実施することで非常に子供たちの知的好奇心を満足させることができると考えております。

それから、町費の講師と先生方をたくさん入れていただくことによって、非常に担任の先生方の負担が軽くなると。いろいろな学級事務等を分担し合える仲間が増えておりますので、そういった面で、それこそ本務である教材研究だとか授業構想に関わる時間が確保できております。

それから、町費講師、本年度は11名配置されておりますけれども、その配置によって、本校では20代の職員が21名という、長野県でも突出して若い先生方の多い学校になっております。実は教育力という面では不安な面はあるのですが、逆にこういった若い先生方がたくさんいることで中堅・ベテランの先生方が若い職員を育てようという意識が高くなってまいります。そういったモチベーションが非常に高い学校ではないかなと思います。開校前は全ての学校が単級でしたので、自分1人、しっかりした先生がいれば幾らでも学級経営ができていいわけですが、逆に仲間と関わりながらいろいろなことに取り組むという、学校を支えていくという面では意識が逆に低くなってしまいますけれども、こういうふうに全ての学級で副担任がいたりということで若い先生方がいるということで、非常に学級作り、学年作り、そして学校を支える力、そういったモチベーションは高くなっているのではないかと思います。

実は本校にも小中合わせますと3名の前任校で精神的な理由によって休職をされていた先生がおります。非常に心配していたのですが、このようにたくさんの職員によってチーム支援の体制ができておりますので、そういった先生も現在生き生きと勤務できているといったことがあります。

3ページです。これは外部機関と連携しての適応支援ということで、本校ではいろいろな外部機関の方に関わっていただきながらいろいろな子供たちの問題や課題に対応しております。町のスクールカウンセラーの先生が月曜日と火曜日、それからNPO法人の発達障害の専門家のアドバイザーが水曜日、それから近隣の特別支援学校の教育相談の先生、自立支援の先生が木曜日、そして県のスクールカウンセラーが金曜日というふうに、毎日交代でこういった専門家が入っていただいて、子供たちの悩みを聞いていただいたり先生方の指導に対して御助言をいただいたり、場合によっては保護者のいろいろな話に乗っていただいたりということです。担任の先生だけで話をするのと違って、こういった皆さんから客観的な意味でいろいろな御助言をいただけるということで、保護者との信頼関係が高まっていると同時に、保護者の学校に対するハードルも低くなってきているかなと思います。

こういった方々を交えて本校では支援会議というものが年に延べ200回程度行われておりますけれども、こういったことをすることによって担任1人が抱え込むのではなくていろいろな先生と相談しながら、学級の中でうまく適応できない児童生徒に対して対応できる、このことも時間的にはある程度かかってしまうのですが、心的な意味では先生方の負担を軽くしていると私は考えております。また、それぞれの支援会議で知らされた内容は二、三日中にパソコン上にアップされて、全職員で共有しているということで、全職員が子供を見る仕組みができております。

3つ目です。4ページを御覧ください。(3)のリソースルームということですけれども、いわゆる通級指導教室と考えていただければいいです。学習障害や発達障害の通級指導教室ですが、本来、県で設置していただくべきものですけれども、なかなか県の方の予算の関係で設置していただいておりませんでした。来年度から設置していただくことが決まっておりますけれども、本校では開校の年から3つのリソースルームを設けて、そこに複数の担当者を据えながら子供たちの対応に当たっております。ここに通う子供たちは非常に生き生きと授業を受けて、そして教室に戻っていきます。ここでの学びの在り方というか指導の在り方をそれぞれの学級に返していくというのが私たちの大事なことかなと考えております。

最後に、外部講師や地域講師によるサポートですが、これはそれぞれの都道府県でもうかなりやられておりますので詳細は省きますけれども、1つは、専門家によるサポートがあります。信濃町には野尻湖、黒姫という避暑地がありまして、大学のいろいろな寮だとかもあります。合宿なんかも行われております。そういった意味で、そういったところに関わってくださっている大学の先生方にいろいろなサポートを受けられるという非常に大きなメリットがあります。例えば東京音楽大学の先生方、それから学生さん、高校生が本校に来て演奏会を開いてくださったり、吹奏楽部の個人レッスンをしてくださったりということがあります。それから信濃町には3つの博物館があります。一茶記念館、黒姫童話館、野尻湖ナウマンゾウ博物館、それぞれのところに学芸員の先生方がおられますので、そういった先生方に関わっていただきながら授業を進めることができる。これも先生方にとっても非常に大きなメリットかな、子供たちにとっても非常に大きなメリットかなと思います。

それから地域の人たちによるサポートもあります。実はこれもものすごく大事なことなのですけれども、正直な話を言いますと、こういったことがいいと分かっていても、なかなか自分の学級に人を入れるということに抵抗のある先生が少なくありません。残念なことだと思います。開校の年に一番取っかかりのいい4・5・6年生のクラブ活動を係の先生にお願いをして、これについてはトップダウンになりましたけれども、全て地域講師によるクラブ活動の運営をしていただきたいということで話をさせていただきました。今までは担当の先生方、いろいろ自分の興味関心とかを出し合いながらやってきたのですけれども、全て地域講師にやっていただくということで、非常に多様な、恐らく学校の先生方だけではできないようなクラブもたくさん作ることができました。そこに学ぶ子供たちの姿を見ていて、先生方が1つ何か手応えを感じたのだろうと思います。現在では本当に頻繁に地域の方々が学校に入っていただいて授業を進めていただくと。そういったことに先生方の抵抗がなくなってきたと思っております。これからの時代、先生方にもちろん教科指導力というのも大切ですし、学級経営の力も大切ですけれども、実はこういった地域の方々と連携しながら、自分の授業をコーディネートしていくというか、そういった力がこれからうんと大事になってくるかと思うのですけれども、そういった力が信濃小中学校ではついてきているのかなと思います。

最後になります。7ページを御覧ください。小中一貫校として開校3年を終わろうとしています。私はこの3年間校長を務めてきまして、施設一体型小中一貫教育校という仕組みは、小学生もそうですけれども、特に中学生の育ちが顕著に認められる仕組みではないかと思います。私は2つのキーワードを使っているのですが、1つはケアリングとヒーリング。子供たちを一生懸命、中学生が世話をしてくれています。それによって癒やされるというか、これは中学校3年間だけでは味わえない体験ができる。本当に優しい子供たちが育ちます。それから、あこがれと誇りという関係だと思うのですけれども、それが小中一貫教育校ではできるということです。ただ、現行の教員配当基準のままで小中一貫校教育を進めようとすると、やはり仕事量が膨大になって多忙感、本当に仕事が大変であります。ただ、本町は町の独自の支援員や講師の配置があるので、それができているのかなと思います。

先ほどの繰り返しになりますけれども、低学年の段階で支援員の配置というのは、長野県はそれぞれの学校にかなり支援員の先生が入っている県ではないかなと思うのですが、現状では、何か学級の中で問題が起こってくると、1人大変なお子さんが出てきてその子がいるがために学級の授業が成り立たなくなってくると、市や町の措置で支援員を配置していただいているところが多いようです。ただ、そうなってから支援員を配置しても、実は余り効果はありません。小学校1・2年生の段階から、学級作りの段階から複数で進めていくということは非常に大事な、信濃町が踏み切っていただいてありがたかったかなということだと思います。

最後です。私、3月17日に義務教育学校という新しい学校種が制度化されるということを閣議決定されたということを新聞報道で知りました。非常に期待しているところです。ただ、これからいろいろ細かなことが決まってくるのだと思うのですけれども、教員配当基準を単に小学校の定数、中学校の定数でするのではなくて、やはり義務教育学校という可能性を第一に受けとめていただいて新たな定数基準、教員配当基準を作っていただければありがたいと、それを言いたくて長野からやってまいりました。お願いいたします。

【小川主査】  同感です。ありがとうございました。町費による非常に豊かな職員の配置で、本当にうらやましいという感想を持ちながら聞いていたのですけれども、残り20分弱しかありませんので、皆さんの方から質問、御意見いただければと思います。

【加藤委員】  発表ありがとうございました。校長先生に質問させていただきたいのですが、細かいところも含めて4つぐらいございます。

まず管理職、校長先生や教頭先生も含めて、いわゆる兼務発令というところで学校の先生方のその状況が1つございます。

それから、定数外の県からの加配の有無です。例えば、統廃合されたということで、統廃合加配があったかなかったかとか、そういう定数外の加配の有無について。

それから、クラブのところで、地域指導者の方、これは有償なのか無償のボランティアなのか、手当とかそういうものがあるのかどうか。

それから、3ページ目のところで支援者の方が、これは月曜日から金曜日まで何かしらの方が入っていただいているというのは、とてもすばらしいことだと思って感心してお聞きしていたのですが、こういった形は統廃合の前からイメージできていたのかということです。つまり学校が幾つかある中では、うちの学校にはこの曜日しか来ないとかそういうのがあって、統廃合するとこういうことがある程度可能であると予測できて、あるいは人数的にそういうふうなことになるので外部の機関に働きかけて曜日調整なんかもやってこれが実現できたのか、細かいところで恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。

【峯村校長】  兼務発令につきましては、本年度は事務職員以外は全員兼務を発令していただいております。ただ、統合当初は、うちには副校長と教頭が1人ずつおりますけれども、それは兼務発令しないということで県と大分やり合いました。最終的に昨年度から兼務発令をしていただけるようになったかと思っております。

それから、文科省の方針でいいますと小中両免を持っていることが基本ということになっておりますが、中学校の先生方の中に現段階では小免を持っていない先生がおりますけれども、5・6年生の教科指導を行うという立場で認めていただいております。現在小学校の先生で中免を持ってない先生はいないのですが、開校1年目はそういった先生が1人おりました。その先生は認めていただけませんでした。

それから県の加配ですけれども、統合に関わっての県の特別の加配は一切ありませんでした。非常に残念だったと思いますが、教頭が1名、副校長が1名ということで、管理職、本来小中別の学校ですので、4名いてしかるべきなんですが、そのうちの1名が不足しているということで、その分を一般教諭の方で定数配置という形でやっていただいております。あとはほかの学校もいろいろな形の加配があります。そういった面で本年度は不適応支援の加配だとか、来年度からは発達障害の通級教室ができますので、それについての加配はつけていただいておりますが、それは統合校だからということではなくて、ほかの学校と一緒の条件の中でつけていただいたものです。

それから小学校のクラブ活動についてですけれども、特別な手当は設けておりませんが、校外活動費というのをかなりつけていただいておりますので、その中で本当にごくごくわずか、年間1時間半ぐらいの活動を七、八回やっていただいているかと思いますが、合わせて3,000円ぐらいの謝金を払っているという形ですが、皆さん子供と関わることに意味を認めてやってくださっております。

それから最後の、3ページの御質問ですけれども、外部支援、月曜日から金曜日まで位置付けることができたということは、もともとあったのは県のスクールカウンセラーは配置されておりました。それから、町のスクールカウンセラーも統合前から中学校ですが配置されておりましたが、あと、統合前の校長先生の中に特別支援の専門の先生がおりまして、こういうシステムを作ったらどうですかということでアドバイスをいただいて、実はこの発達障害の専門の方は隣の町の方なのですが、それを町の方で予算化していただいて来ていただいております。それから県の特別支援学校については、最近、特別支援学校の先生方が他市町村に出てしっかり現場の支援をするようにということでありますので、それを活用させていただいてこのような仕組みを作りました。

以上です。

【小川主査】  ほかにどうでしょう。

【坪内委員】  私は質問というよりコメントなのですけれども、非常に先鋭的なすばらしい開かれた学校の在り方を示唆するようなお話をいただきましてありがとうございます。開校以来3年ということで、恐らく峯村先生の御尽力で成り立ってきた部分が非常に大きいのではないかと思いました。やはりこういった取組をするときトップに立つ方がどういう方なのかというのは非常に大きな影響を持つのだろうなと思う反面、こういったすばらしい取組をどのようにほかの事例の方にも適用できるように作っていくかというのがすごく大切なのではないかと思いました。

3つほどポイントがあるのですけれども、1つは、例えば発達障害であったりとか、なかなか学習になじめないような生徒さんがいらっしゃるというのも、これは対応によって学級崩壊にもなってしまいますし、場合によっては多様性の受容という形で、将来的に社会に出ていってもいろんな人がいるのが現実なので、その多様性の受容につなげるような学びの場にするのも指導者であったりとか関わる人たちの力量ですごく大きく変わってしまう。そう考えると、子供たちだけではなくて関わる方々、この学習支援員などいろんなサポーターの方々にとって学びの場になるような環境というのを作っていければ、単に生徒たちのためにみんなが自己犠牲をして無理をしてやっていくというよりは、1つの地域活性化のモデルにもなり得るのではないかと、このすばらしい事例を聞いていて思いました。

そう考えると、先ほどの運動部の話にも関わるのですが、例えばアスリートの方とか文化人の方、大学生など本当にいろんなバックグラウンドの方がどのようによい形で学校に関わっていけるかというモデルを、できれば地域横断型で連携できるような仕組みがあるとよいのではと思いました。今回、私もこの会議に参加させていただいただけでも、この信濃町の取組や、その前の名古屋市さんや静岡県の取組なども伺って、これだけ様々な取組がいろんな地域でされていて、そしていろんな評価がされているということが大きな学びになったので、そういった地域間での連携、例えばベストプラクティスの共有であったりとか、あと共同で研修授業を行えないのかと、そういった地域の中でのインパクトの評価ですとか指標の設定というものがされていくと、特定個人の御尽力ですばらしいモデルができたものがより汎用性のあるものになって、先ほど申し上げたような1つの地域活性化のモデルとしても、単に学校だけにとどまった議論ではなく、広がりのあるものになり得るのではないかという大きな可能性を感じさせていただくような気がいたしまして、非常に勉強させていただきました。ありがとうございました。

【小川主査】  ありがとうございました。今の坪内委員のコメントを聞かれて、峯村校長とか霜鳥係長の方で何か御意見がございましたらお願いします。

【峯村校長】  発達障害のことにつきましては、うちの学校でうんと大事に考えておりまして、やはり一人一人を大切にする学校の一番基盤になるのかなと考えております。実はきょうも午後、支援員の先生方に集まっていただいてその研修会がありますので、それは近隣の隣の町の学校にも呼びかけてやっております。それから4月当初というのは学校現場では最も忙しい、本当に分刻みで日程が流れるのですけれども、その中でも始業式を迎える前に特別支援、発達障害の研修を全職員で受けるということが、やはり始業式の後、子供たちと相対する構えが変わってくるのだろうということで、これも開校からずっと続けていることです。

【坪内委員】  今のお話を伺ってのコメントなのですが、やはり発達障害のあるお子さんたちが、問題児ということではなくて、いかに多様性を担保する上で大切な学びの存在になるかということを、いろんな方が関わることでそこでも多様な視点が生まれるということが、この信濃小中学校のサポートスタッフの体制においてすばらしいところだなと感銘を受けました。ありがとうございます。

【小川主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。では、藤原委員、竹原委員、そして稲継委員、青木委員の順でお願いいたします。

【藤原委員】  御報告ありがとうございました。チーム学校を議論する上でのいろんな論点が非常にたくさん盛り込んでいて、大変勉強になりました。

特に勉強になりましたのが、町費負担による小学校の教科担任制の導入です。ご案内通り,学級担任制を採る小学校の教員は授業が連続しており,勤務時間内に教材研究をする時間が取りづらくなっています。小学校の教科担任制は子供のニーズに丁寧に対応するとともに,教員の勤務負担の軽減にとりましても有効だと改めて思いました。また,副担任制度を設け,子供の実態と対応を協議するカンファレンスで記録を採る仕組みを入れるなど,臨時雇用の教員が成長の機会が与えられているという点でも大変参考となりました。

では、教育情報の共有とコーディネートが非常に重要な核になってまいります。そういうときに報告書の中の3ページでございますけれども、この校務支援システムというのがやはり大事なのだろうと感じました教員の勤務負担を軽減しつつ,教育の質を上げるための校務支援システムの整備が必要だと改め考えさせられた次第です。コーディネートについてお尋ねします。コーディネーターが誰なのかという問題がございます。資料の中のトータルコーディネーターというのが、これは教諭なのかそれとも別の職なのか、そのあたりについてお教えいただけますでしょか。これが私からの質問でございます。

【峯村校長】  トータルコーディネーターですけれども、長野県には校長、それで副校長というのを作っていただいて副校長がおります。それから教頭がいますけれども、あとは教諭しかいません。教務主任の先生に兼ねてやっていただいております。その先生が学校の中で起こり得る、特に子供の中のいろいろな課題について先ほどの外部スタッフと連携をとったり保護者との連携をとったり町との連携をとったりという役割で務めていただいております。

以上です。

【小川主査】  では竹原委員。

【竹原委員】  今の質問に関連して、コーディネート機能がないと、これだけの人を巻き込んだり地域全体に広げ一般化できないと思っています。学校内で先生方がすばらしいコーディネートをしていらっしゃるということですが、地域でもコーディネーターが動いていらっしゃるのでしょうか? 地域とともにある学校、コミュニティスクール等を推進する中で、先日も長野県に伺ってきましたが、各地で地域コーディネーターが動き出していますが、そこも視野に入れてこのチーム学校を考えていらっしゃるかどうかお聞きしたいと思います。

【峯村校長】  実は今年度から教育委員会の中にコーディネーターを置いていただいております。ただ、うちの学校ではもう3年間動き始めてきていて、先生方が自分たちでコーディネーターしていくというか、そういった力がかなりついてきているのかなということは思います。それで、若い先生方、もちろん地域の方々のこと知りませんけれども、いろいろな先生方や教育委員会の人たちと相談しながら人を教えてもらって、そして自分からアポをとっていろいろ話をしていくという、そういう姿を見ていると、やはり専門的なコーディネーターというのも大事なのだけれども、先生方一人一人がコーディネート力をつけていくことが大事なのだろうなと感じて、逆に私は今勉強しているところでございます。

【竹原委員】  先生方が主体的に地域に目を向けてアンテナを張りながら動くということがすごくすばらしいと思います。さらに地域の側に、その先生とパートナーになる人を置くことがこれから求められてくると思いますので、御一緒に考えていきたいと思います。

ありがとうございました。

【峯村校長】  お願いします。また教えてください。

【小川主査】  ありがとうございました。では稲継委員、どうぞ。

【稲継委員】  どうもありがとうございました。非常に先進的な取組で、全国のいろんな教育委員会あるいは学校現場が非常にうらやましがるような例だと思います。

お聞きしていて大きく2つあると思うのですが、1つは町費支援員、あるいは講師の加配によるほかの先生方の助かっている、それと地域との連携。後者については今御質問がありましたので私は割愛しますが、前者について、霜鳥係長の方にお伺いしたいことになるんですけれども、交付税算定の基礎数値が、激変緩和が終わって、相当減っている状況にあるわけです。加配といいますか、町単費で雇っている講師と支援員の方が来年度で20名を超えるということなのですけれども、その人たちの人件費だけで恐らく1億を超えていると。その中で交付税措置がどんどん減っている中で、町の財政当局と交渉されるときに何らかの、もっと切ったらどうだとかそういう話にならないかということがすごく心配なのです。最後に校長先生おっしゃったように全規模で加配をできたらいいのですけれども、今なかなかそういう財政状況にないと財務省も言っているところなのです。そんな中で、町費単費でやることについて町の中でどういう議論があるのかということについて、少し教えてください。

【霜鳥係長】  町費講師、支援員、SCなどについては、予算を確保するという姿勢で取り組んでおりますけれども、当町は過疎指定を受けた地域でありまして、有利な起債を借り受けることができます。小中一貫校の講師の賃金といいますか報酬については、全て過疎債を利用しております。それが約2,000万の起債を借り受けてという内容になっております。町としましても唯一の1校ある義務教育校ですので、町の意向として、旧小学校、中学校を統合する中で予算も減らさず取り組むという姿勢でおります。児童生徒数が減少しますので、交付税も当然年々減っていくような状況の中でありますけれども、町の姿勢として、一定の教育費予算を確保し、学校運営に取り組んでいるという特徴的な町かなと思っております。

以上でございます。

【小川主査】  では、青木委員どうぞ。

【青木委員】  お二人にはまず、非常に先進的な事例を御紹介いただきましてありがとうございました。お礼申し上げます。

学校というのはどういう職場かと想像すると、やはり教員のモノカルチャーの色合いが強いですよね。国としてどう、こういった場で制度設計の議論につなげていくかと考えると、やはりどこの学校でもそういう教員が主たる職員として勤めている職場だということは制約条件であり前提条件だと思うのですが、それを踏まえて今回の御報告の事例というのは非常に注目すべきものかなと思いました。というのは、地域には教員免許を持つ人って結構いるわけですよね。若手もそうですしOB、OGもいるということで、ほかの専門家のニーズも今高まっていますけれども、やはり普遍的に得られやすい人材としては教員免許を持っているというのに注目していけるのではないかなと思いました。いわば潜在教員の活用ということでいえば、校長先生のマネジメント力というのが今回発揮されている事例だなと思います。つまり、まず探してくるということと、それから、どう学校の中で配置するか、ベテランと若手のうまく組み合わせをなさっているということで、言葉にすると簡単ですけれども、実際なかなかできる先生は余り多くないかなと思っていますので、非常に注目すべき事例かなと思います。

校長先生の頭の中では、恐らく教員免許を持っている支援員や町費講師を活用して、まず基盤となる授業や教育活動を安定的に運用する状態を作って、その上で特別支援であるとか付加的な教育活動、特色ある取組につげていくということだろうなと思いますので、これは全国的に応用可能なすばらしい事例かなと思いました。

【小川主査】  時間がもう過ぎてしまいましたので、ほかにも御質問、御意見あるかと思いますけれども、この辺できょうは終わらせていただきたいと思います。岩田指導主事、朝倉班長、霜鳥係長、峯村校長、きょうは本当にありがとうございました。

それでは、これで終わりたいと思うのですが、次回の予定について事務局の方から何かございましたらお願いします。

【福島補佐】  次回の日程につきましては、4月の中旬で予定しております。詳細な案内は、追ってさせていただきますのでお願いいたします。

【小川主査】  分かりました。日程調整の上で、大体4月の中旬頃を予定しているということですので、日時場所が決まり次第また事務局の方から御連絡があるかと思います。日程の調整、時間の方、よろしくお願いいたします。

それでは、きょうの会議はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

── 了 ──

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