チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第5回) 議事録

1.日時

平成27年3月20日(金曜日) 15時~17時

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館(文部科学省庁舎) 17階17F1会議室

3.議題

  1. 専門スタッフの活用について(特別支援関係)
  2. 保護者や地域からの要望への対応について

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会
チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第5回)

平成27年3月20日


【小川主査】  定刻になりましたので、ただいまからチームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会の第5回を開催したいと思います。本日も大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
 きょうの議題は、前回から引き続き、特別支援に関する専門スタッフの活用の在り方、また、保護者や地域からの要望への対応の在り方等々について議論していきたいと思います。きょうも前回同様、有識者の方々から意見発表いただき、その後に意見交換を行っていきたいと思います。
 きょうは特別支援関係と、保護者や地域からの要望への対応の在り方を検討するために、3人の方に御出席いただいております。お一人は、仙台市教育局学校教育部特別支援教育課の赤間宏課長です。よろしくお願いします。
【赤間課長】  よろしくお願いします。
【小川主査】  2人目は、岡山県教育庁義務教育課生徒指導推進室の大重義法総括副参事です。
【大重総括副参事】  よろしくお願いします。
【小川主査】  最後に、埼玉県北本市教育委員会学校教育課の原口穣課長でございます。よろしくお願いいたします。
 議事に入る前に、きょう新しくお二人が御出席ですので、御紹介させていただきたいと思います。お1人は、株式会社ブリヂストンの前田裕子執行役員でございます。よろしくお願いします。
【前田委員】  前田です。よろしくお願いします。
【小川主査】  一言御挨拶を頂ければと思います。
【前田委員】  最初、ブリヂストンで15年間、研究者をした後、大学で産学連携の組織の立ち上げに十数年関わっておりまして、大学側の目線と産業界側の目線と両方の立場でいろいろとお話をさせていただいておりました。今回は今までと異なる領域なので、とんちんかんな発言になってしまうのではないかと心配していますけれども、勉強させていただきたいと思っています。また、現在25歳になる娘がいますので、母親という目線も持ちながらいろいろお話しさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
【小川主査】  よろしくお願いいたします。
 もうお一方、本日付けで新たに本作業部会の委員に加わっていただきました、早稲田大学政治経済学術員の稲継裕昭教授でいらっしゃいます。一言よろしくお願いいたします。
【稲継委員】  稲継と申します。よろしくお願いします。専門は行政学、地方自治論をやっております。その中で特に人的資源管理の観点からの行政学、地方自治論ということで、公務員制度、地方公務員制度をメインに今まで研究をしてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
【小川主査】  よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の配付資料について事務局から説明をお願いいたします。
【福島補佐】  本日の配付資料は、議事次第にあるとおりでございますが、資料1、2、3は、それぞれ本日、御発表いただく方から御提供いただいた資料でございます。それから、事務局の方から参考資料といたしまして、参考資料1が特別支援教育支援員の現状について、参考資料2で保護者や地域等からの要望等に関する教育委員会の取組に関する資料をお配りしてございます。不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
【小川主査】  本日も報道関係者から傍聴の希望等がありますので、これを許可しております。ご承知おきいただければと思います。
 それでは、議事に入りたいと思います。きょうは2つ議題がございますので、前半、後半に分けて意見発表、そして意見交換をしていきたいと思っています。前半部分については、特別支援関係の専門スタッフの活用の在り方について、仙台市教育局の赤間課長から、発表時間は15分ほどと言われていると思いますが、内容がかなりありますので、多少は時間が延びても構いません。20分以内に収めていただければと思いますけれども、よろしくお願いします。
 意見発表を頂いた後、これまでどおり委員の方から御意見を頂きたいと思います。そのように進めさせていただければと思います。では、御報告よろしくお願いいたします。
【赤間課長】  仙台市教育委員会事務局、赤間と申します。こうした場で仙台市の取組をお伝えすることを大変ありがたく思っております。
 お手元の資料に基づき御説明いたします。本題に入る前に、仙台市の学校の概要でございますが、仙台市は人口107万、市立の幼稚園、学校は195校、子供たちは8万3,000人でございます。特別支援学級は、小中学校187校のほとんどの学校にございまして、合計421学級を設置しております。そこで約1,200人の子供たちが学んでいます。中でも知的障害学級、自閉症・情緒障害学級は9割以上の学校に設置しております。仙台市では対象となる子供が1人であっても、必要があれば地域の小中学校に新しく学級を作るということで進めてきております。
 では、本題に入ります。仙台市で配置している専門スタッフは、小中学校には、そこにあります中で、特別支援教育指導補助員、特別支援学級指導支援員、看護師、難聴ボランティアがございます。また、唯一の知的障害特別支援学校には、看護師9名のほかに、OT、PT、STをそれぞれ週2日配置しております。なお、このOT、PT、STは必要に応じて小中学校にも支援学校から派遣するというシステムになっております。これらの専門スタッフのうち、きょうは小中学校に配置している看護師と補助員、支援員についてお話をいたします。
 では、資料2ページをごらんください。それぞれの配置経緯と現状でございます。看護師は仙台市では平成9年度に小学校に週2日配置するということから始まりました。それまでは、その学校ではお母さんに毎日学校に来てもらっていましたが、学齢期の子供にとって、自立を促す上で、親と24時間ずっと一緒にいるのは好ましいことではないというような考えに基づきまして看護師を配置したと聞いております。以後、看護師の勤務日数や人数が年々拡充されまして、遠足などの校外学習、そして修学旅行などの泊を伴う学習にも付き添えるようにしております。26年度は小中学校に合わせて13名の看護師を配置しておりまして、通常の学級にも延べ9名配置し、対象の子供たちにも対応しております。仙台市では、国の特別支援員を通常の学級に配置する指導補助員と特別支援学級に配置する指導支援員に分けて配置しております。2つに分けているということで御理解いただきたいと思います。
 まず、指導補助員でございますが、国の緊急雇用創出事業を使いまして、平成14年度に発達障害のある児童生徒のうち、学校生活に困難を抱えているケースを対象として30名でスタートいたしました。以後、ボランティアへの切り替えも検討された時期もございましたが、これは本腰を入れて取り組むべき大きな課題であるという認識に立ちまして、国の緊急雇用も活用しながら、市単独事業として拡充してまいりまして、26年度は163名という配置になっております。
 次に、指導支援員は、22年度に始めました。今年度は知的障害学級、自閉症・情緒障害学級についてはおおむね5名以上の子供がいる場合に、また、肢体不自由学級では車椅子の子供が2人以上いる場合などに配置しておりまして、計71名となっております。
 また、これとは別に、特に子供たちの人数が8人の学級であるとか、障害の支援度が大変必要だという子供たちが複数いるような学級には、市独自で非常勤講師を15名程度、特別支援学級に配置しております。
 3ページに移ります。仙台市では専門スタッフを直接雇用しておりまして、効果的な配置をするために必要な手続、取組をそこに並べております。看護師と指導支援員はほぼ年度当初からの配置になりますが、指導補助員は学校のニーズに合わせて年度途中からの配置も多いため、年間を通して随時採用しているということになります。看護師が行う医療的ケアは命に関わるものだけに、主治医、保護者、学校の連携を大事にしております。新規に対象となる場合には、教育委員会も主治医指示の場に同席することにしております。指導補助員は学校から申請があった場合、指導主事が必ず学校を訪問し、子供の状態を観察し、加えて、学校や担任の取組を評価した上で配置するようにしております。申請があるたびに学校を訪問するのはなかなか時間が掛かりますが、担任の授業力、集団作り、学校の組織的な取組を確認して、自助努力を促すためには欠かせないプロセスと考えております。研修に関しましては、スタッフそれぞれの専門性を高めるものだけでなく、それを活用する学級担任や管理職の研修も行っております。
 4ページをごらんください。ページの上の方に勤務形態等が書いてありますが、基本的に学校の授業日のみ配置しておりまして、年間202日程度ということになります。1日6時間となっております。左下の棒グラフに示しましたように、小中学校に配置する看護師が増加しております。円グラフの方は医療的ケアの種類でございまして、ここ数年は導尿が多くなってきております。
 続いて5ページです。小学校の通常学級2年生のAさんに配置している看護師の1日ということで書き表してみました。Aさんは3時間おきに導尿が必要なため、看護師が2回、導尿の支援をしています。また、連絡帳を通して家庭、担任、看護師の連携を密にしています。さらに、Aさんが自分1人で導尿ができるようにするため、自立を目指して担任とともに段階的な取組も行っています。
 6ページに移ります。配置の効果についてそれぞれ看護師、学級担任、管理職、子供とその保護者から声が寄せられているのを並べました。主なものを紹介しますと、担任からは、安心して子供を学習活動に参加させることができ、自立に向けた取組、自立後の配慮事項なども教えてもらえる。また、管理職からは、担任が精神的なゆとりを持つことで、学級全体にも良い影響をもたらしている。また、子供本人からは、自分の自己理解や自己肯定感が高まったとか、保護者からは安心して子供の成長、自立を見守ることができるなどの声が寄せられております。このように、看護師を配置することにより、児童生徒の健康面でのケアにとどまらず、精神的な成長も促し、担任や学校にとっても、そして保護者にとっても安心感、信頼感につながっていると言うことができます。
 次に、指導補助員・支援員について述べます。7ページになります。指導補助員を配置する場合は、学校に対して指導補助員は担任の取組を部分的に補助するものであり、あくまでも緊急的、一時的な、期間限定のマンパワーであるということを伝えています。補助員向けの研修資料だけではなく、学校向けの研修資料も用意いたしまして、補助員にいわゆる丸投げすることがないように指導しております。左のグラフのように、ここ数年、補助員の配置人数、対象の児童生徒は年々増加してきております。1つの学校に複数名配置している場合も少なくございません。学校によっては子供の数だけ人が欲しいという声もあるのですが、そうはいきませんということで、ある程度制限を設けているところでございます。主な業務としましては、対象児童生徒の安全確保や居場所確認、周囲とのトラブルや危険行為の防止、学習支援でございます。そして、何よりも大事にしているのは、担任と力を合わせて児童生徒自身が自己評価、自尊感情を高めること、そして自信を持たせることです。自分の良さに気付く力、困ったときに対処する力、助けを求める力を育てて二次障害を防ぐことと考えています。補助員は時として、なかなか子供との信頼関係が築けないと悩んだり、あるいは暴言を浴びせられて落ち込むというようなこともございますが、夏、冬の研修会では、講義形式だけではなくて、「あわてず、焦らず、諦めず」をモットーに少人数のグループに別れて、お互いに自由に悩みを出し合ったり、具体的な支援策を紹介し合うなどの活動を大切にしております。
 次に、指導支援員についてお話しいたします。7ページの右側が支援員です。22年度から始まったわけですが、23年度は年度途中に震災関連で予算が増額され、人数が増えて、現在に至っております。支援員はあくまでも補助的でありまして、講師ではないので、教育指導には携われないという立場を学校にしっかり年度当初の研修会の折に伝えております。業務としましては、学習活動の補助、移動、着替え、排泄の介助であるとか安全確保などでございます。いずれも担任と連携しながら取り組むということを大事にしております。特別支援学級の数は横ばいですが、1学級当たりの児童生徒数が増える傾向にございます。また、就学先決定の仕組みが変わりまして、障害が重くても特別支援学校ではなく、地域の小中学校で学ばせたいという本人、保護者が今後増えると予想されますことから、担任1人では対応に苦慮する学級がさらに増えるのではないか、合理的配慮をどのように提供できるのかということで、教育委員会としても頭を悩ませているところでございます。
 指導補助員の配置効果は8ページにまとめました。補助員、学級担任、管理職、これも子供と親というところから声を拾っておりますが、管理職からは、児童生徒の安定や学力向上のみならず、学級全体の安全、安心、安定、保護者との信頼関係、担任の負担軽減などにもつながっており、今や学校運営上なくてはならないものだという声が強く寄せられておりまして、校長会からも毎年、この事業の拡充を求める要望が出されております。
 指導支援員の効果については9ページをごらんください。支援員、学級担任、管理職からは、個に応じたより手厚い指導が可能になっている、授業がスムーズに進められるようになった、交流及び共同学習が効果的に行える、安全確保ができるなどの声が寄せられております。また、障害の重い子供さんを持つ保護者の方からは、肩身の狭い思いをしていたが、それもしなくても済むようになったというような声も寄せられています。
 最後に、これまで述べてきました看護師、補助員、支援員の3種類の専門スタッフを活用した成果と課題についてお話をします。最後のページになります。成果としまして3点にまとめました。まず、専門スタッフを配置することは、対象となる児童生徒にとどまらず、その学級全体にも良い波及効果をもたらしまして、大きな教育効果が認められると考えております。2点目としては、学校にとって安全、安心、そして安定がもたらされ、学校運営上、欠かせない重要な役割を担っている。3点目として、特に看護師については、インクルーシブ教育システムを構築し、それを推進する上で大きく貢献していると考えております。
 課題については、学校の課題と教育委員会の課題に分けて整理いたしました。まず、学校の課題ですが、ややもすると学校は専門スタッフに任せきりになるということが懸念されます。業務内容をきちんと把握した上で役割分担と協働の中身を具体的に理解してもらう必要があると考えております。学校は、これまで長らく教員が中心という職場でございましたので、若干、事務職員、用務技師、給食の職員などがおっても、それは役割が明確であり、直接、児童生徒の指導、支援に関わることはありませんでした。それだけに教員と部分的に重なる、こういう専門スタッフと協働することにまだまだ慣れていないというところが見えるなと思っております。協働していくという意識を持たせていくことが大事だなと考えております。
 続きまして、教育委員会の課題としまして、1点目は、まず予算確保でございます。26年度はこの3つの専門スタッフに掛かる経費は合わせて3億2,000万円でございます。これからこうしたスタッフを増やさなければならないのではないと思っております。保護者のニーズも高まるということは明らかだと思っております。地方交付税として財源措置はされていますが、形として見えにくいだけに、市町村で財政といろいろ折衝するときに苦労もございます。補助金化などをしていただくと大変ありがたく思っております。
 2つ目は人材確保でございまして、必要な人数と一定の資質の両方を両立させるという必要があります。資格を持っていれば誰でもいいというわけではございません。私の課では3つ合わせて約250名程度採用しておりますが、やはり子供の前に立つ仕事であること。他の職員と協働して、協調して振る舞えること。また、学校職員の1人として子供や保護者、地域の信頼にきちんと応えられる人材かということを見極める必要があるなと思っております。他の市町村等では学校がそういう人を選ぶというようなところもありますが、仙台市では教育委員会がやっているというのはそうした理由がございます。人材確保では、特に看護師につきましては、報酬が若干低いこともありまして、なかなか集まりにくくて、PTAを通してなど、校長先生にいろいろお願いして呼び掛けているというときもございます。
 次は研修でございます。学校に人を配置して終わりというのではなくて、採用時の研修のみならず、夏休み、冬休みには丸1日ずつ設定しております。研修会では悩み事相談ということもしばしばございます。専門性を高めることと併せて、担任との連携の具体、周りの職員との距離感、あるいは子供との距離感というようなことも話題にしながら、資質を高める研修を行っております。また、担任の研修も義務付けているのが仙台市の特徴かと思います。人を付ければそれで全てうまくいくというものではないと考えております。ややもすると、先ほど申しましたように丸投げという心配もございまして、いかに配置された人材をうまく活用するか、これは学校の知恵が必要だなと思っております。
 最後は小中学校の特別支援学級に限定した課題でございまして、障害の重い児童生徒も特別支援学級で学ぶことが珍しくなくなってまいりました。また、1学級当たりの人数も多くなりつつありまして、子供一人一人の教育的ニーズも多様化し、さらには保護者の要望も多くなっているという状況を考えますと、さらにはインクルーシブ教育システム構築とか、その推進ということを考えれば、現行の8人まで1学級編成で担任1人という枠組で教育効果をさらに高めるというのは年々厳しい状況になっているなと思っております。担任や学校現場のつらいところはそのまま教育委員会のつらさにもつながっておって、頭の痛いところだなと考えている大きな課題でございます。
 以上で私からの報告を終わります。ありがとうございました。
【小川主査】  ありがとうございました。
 今、赤間課長の方から仙台市の取組のお話があったのですが、その前提として事務局の方から参考資料1で、今の医療的ケアを行う看護師と特別支援員の現状についてということで、全国的な配置状況についてのデータもありますので、これも参考にしていただければと思います。
 それで、質疑・意見交換に入る前に、私もこの参考資料1を事前に読ませてもらったのですが、全国的な配置状況がどうなっていて、どういうところに問題があるのかというところを確認する意味で、これは特別支援教育課の方に教えていただきたいのですけれども、例えば、医療的ケアを行う看護師等の配置については、特別支援学校の場合には国の補助等もあって、ほぼ特別支援学校については、例えば看護師などの専門スタッフは十分に配置されていると理解していいのか。さらに特別支援学校以外の通常の公立小中学校に対しても看護師の配置、ないしは特別支援学校から要望があれば巡回するということもなされているようですけれども、この公立の小中学校でケアが必要な児童生徒の状況に対して、看護師の配置ないしは看護師の巡回というのは、この数で十分だというふうに理解していいのかどうかというのを教えていただきたい。もう一つは、特別支援教育の支援員について、これは国の補助事業で3分の1ということで、5ページの数だけ見ると、4万、5万近い活用人数なので、ケアが必要な子供に対応して十分な配置がこの数でなされていると理解していいのかどうか、その辺の判断も重要になるかと思いますので、最初に教えていただければと思います。
【井上特別支援教育課長】  ありがとうございます。特別支援教育課長の井上でございます。それでは、今、主査の方から御指摘いただいた点を幾つか御説明させていただきたいと思いますけれども、初めに、看護師の配置でございます。資料の1ページの右下の枠に書いてございますけれども、現在の状況といたしましては、特別支援学校で配置されている人数というのは1,354名、通常の公立の小中学校に配置されている看護師が352名という形になってございます。これは従来、この仙台市の方でも平成9年から配置をされているというお話がございましたけれども、その一部について国の方で補助事業として、その左側になりますけれども、3分の1を補助ということで、全体で210万と計算して補助額は70万までを限度として補助させていただいているということでございます。現在の補助規模というのが3ページになりますが、例えば、来年度の、これはまだ予算案でございますけれども、3ページの一番上の枠でございますが、27年度の予算案で2億3,500万ということで、これは人数に直しますと330名程度というような状況です。全て補助をさせていただいているわけではございませんけれども、これは基本的には各自治体で基礎的な環境として措置していただくものを国として支援していくということでございますが、実際の人数は対象人数、子供たちが増えていることに伴って年々増加をしておりますので、ニーズとしてはまだまだこれから大きくなっていくところだろうと思います。
 それと、支援員に関しましては、地方財政措置によって措置されているという部分でございます。先ほど課長の方からもその仕組みが違うということで財政当局とも御苦労されているというお話を頂きましたけれども、資料の5ページのところですが、実際の自治体で付けていただいている、その実態に即して文科省の方から総務省の方に働き掛けて翌年の知財措置を付けていくということで、地財措置と活用人数を見ていただきますと、ジグザグで翌年度の配置に反映をしていっているということでございます。この部分、支援員につきましても非常に、ごらんいただきますように年々、ニーズが高まっているというところでございますので、総務省にその旨働き掛けていくとともに、自治体に対しても文科省の方からしっかり、こういう措置が毎年されていると、実態に即してされているということを御理解いただくように、情報発信に努めていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
【小川主査】  ありがとうございました。
 今のような全国的な状況も踏まえながら、また先ほどの仙台市からの報告に戻りたいと思います。皆さんの方から質問、御意見があれば御自由にどうぞ頂きたいと思います。いかがでしょうか。
 なければ、私の方から教えてほしいのですが、一番大きな悩みというか問題は、人材確保だという御指摘もございましたけれども、例えば看護師、そして指導補助員、指導支援員、この方々は一度採用されたら大体継続的にずっとそのお仕事をしていただけるのか、それともやはり出入りが激しくてなかなか定着しないという状況なのか、その辺の実態がどうなっているのか教えていただければと思います。
【赤間課長】  看護師については、特に不都合がなければずっと勤めていただいております。ただ、報酬が安いということもあって、自分のお子さんを育てながら、1日6時間勤務ですので、夏休みも休みがあるということで、そういった方々が主に応募されているような状況にございます。
 一方、補助員につきましては、一応、資格要件としては何らかの教員免許状を持っている人、あるいは免許は持っていないけれども教育学を勉強したことがあるというようなことを要件としております。支援員につきましては、教員免許がなくても介護福祉士あるいは保育所での実務経験があるというような方も採用しております。市の非常勤嘱託職員という枠組での採用ですので、この方々は1年ずつの任用更新、最長3年ということになります。この人にもう少しお勤めいただきたいという場合は、少し間を空けなければならないというようなことがございまして、苦慮しているところもございます。また、この方々は同じような勤務条件でございますので、夫の転勤に伴って退職するとか、報酬は月額に直すと10万ちょっとぐらいなので、男性の方がそれで食べていくのは非常に難しい金額ですので、95%ぐらいが女性の職員です。3年以上勤めてもらっている方もいらっしゃいます。
【小川主査】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。それでは、藤原委員、どうぞ。
【藤原委員】  御報告ありがとうございました。仙台市の継続的な取組に敬意を表したいと思います。
 巡回指導医について教えていただきたく存じます。チーム学校ということで、いろいろな職種のチームプレーを考えているわけですけれども、その際に課題になってくるのは、少数の職種を配置したら、その職種を孤立させないという取組、仕掛けが必要になってまいります。そういう仕組みを作らないと、配置するのはいいけれども活用されないということになる。そういう取組をたくさんされていることはよく分かりました。
 看護師の場合、この学校に配置するときは、医師がいない状態で働くのだろうと思われます。そうしますと、ふだん看護師というのは、通常、医師の下で、医師とともに働いているというのが通常の勤務形態だろうと思います。そうすると、この学校に勤務する看護師の場合、医師と頻繁に連絡を取りたい、あるいはアドバイスを受けたいというニーズというのがあるのだろうということが考えられます。現にそういう報告というのがなされております。そういう意味で、今回、仙台市の中で巡回指導医というのがございますけれども、これはその辺りに関連した制度なのか。その辺りについて、ちょっとこの巡回指導医という仕組みについてもう少し教えていただけますでしょうか。
【小川主査】  よろしくお願いします。
【赤間課長】  今の御質問はおっしゃるとおりでございまして、看護師も自分のやっていることが本当に間違いないのか心配する場合もございます。この巡回の指導は、ここ数年前から始めたものでございまして、あるお医者さんが主治医になっているケースが多くございまして、そのお医者さんにお願いして、何か月に一遍か学校に行っていただいて、子供を目の前にして看護師さんと話し合いをするということにしております。ただし、導尿など、医療的ケアの内容によってはそれが必要ないということもございます。特にたんの吸引とか経管栄養とか、そうした、割と重いお子さんを対象にしている看護師さんは不安の声が強いので、そこに重点的に何か月に一遍か回ってもらっているということでございます。
【藤原委員】  そういうような制度の仕組みはとてもすばらしくて、そういう配置した少数職を支援する仕組みはとてもすばらしいと思いました。ありがとうございました。
【小川主査】  ほかにいかがでしょうか。それでは加藤委員、どうぞ。
【加藤委員】  発表ありがとうございました。
 聞き逃してしまったかもしれないのですが、いわゆる養護教諭が各学校にはおりますけれども、こういった看護師であるとか指導補助員であるとか指導支援員とか、こういう配置がなされてきて、通常の養護教諭の働き方が変わることはあるのでしょうか。その辺り、養護教諭との関わりで何かありましたら教えていただければと思います。
【赤間課長】  養護教諭の中にも看護師資格を持っている養護教諭はおりますが、業務としては養護教諭ということでございます。看護師の資格を持った養護教諭がいる学校にも看護師が入っているという例もございますが、基本的には配置されている看護師は対象の子供以外は触らない。緊急の場合は除きますけれども、それ以外の場合には触らない。よかれと思ってやったことが、何かあったときに立場を苦しくするということも懸念されますので、基本的には対象児だけです。例えば、保健室に対象児がいて、ちょっとけがした子供が来たとします。養護教諭がもう手いっぱいになり、「看護師さん、お願いします」と言われても、基本的にはそれはお断りしてくださいと説明しています。緊急の場合はまた別なのですが、養護教諭は養護教諭としてふだんの業務をしているわけなので、たまたまそこに看護師がいるだけであり、看護師に養護教諭の代わりはさせないというふうに考えております。
【小川主査】  よろしいですか。
【加藤委員】  はい。
【小川主査】  それでは、前田委員。
【前田委員】  赤間課長、どうもありがとうございました。
 文部科学省にお伺いしたいのですが、この仙台市の取組は非常に進んでいるということでお呼びいただいているんでしょうか。要するに、看護師の配置は、全国的に当たり前のようにこれぐらいやっているわけではないため、お話しいただいたのだと思うのですが、どんな状況でしょうか。看護師の配置は、人数は書いてあるのですけれども、どれぐらいの手当なのでしょうか、どこもきちんとみんな入っているとか、そういう感じになっているんですか。
【井上特別支援教育課長】  基本的には医療的ケアの必要な子供を受け入れる場合には、当然、学校生活の中で医療的ケアを随時やっていかないといけないので、必要な措置がされているということだとは思いますけれども、その取組については、やはり全国を見ると、いろいろ濃淡があると。今回、仙台市の赤間課長に御発表いただいたのは、そういった看護師、そして支援員を巡る体制ですね。先ほども藤原先生の方から御指摘頂きましたけれども、やはり学校全体で取り組んで、そして位置付けをはっきりさせて、役割分担をするとともにネットワークをしっかり作られていると。そういうところは必要な数の配置だけでなくて、質的と申しましょうか、学校全体として取り組んでいかないといけない。そのときにやはり仙台市は一つのこういう取組をされているということ。他の会合でもお話を伺った機会があったものですから、きょうお声掛けをさせていただいたというような状況です。
【前田委員】  分かりました。どうもありがとうございました。
【小川主査】  その点何か御意見、よろしいですか。
【前田委員】  藤原先生と全く同じなのですが、組織で取り組まないと、有期雇用で単年度契約でやっていらっしゃる先生方ですから、その方たちがすばらしく一生懸命やってくださっても、永続的に活動はできないです。組織で取り組むのが何よりも大事だと思っていたので、すばらしい活動だと思いつつ、ほかはどうなのかと思って、この分野の人間ではないものですから教えていただきたくてお伺いしました。ありがとうございます。
【小川主査】  分かりました。それでは米田委員、どうぞ。
【米田副主査】  本県の状況をお話ししたいと思います。仙台市の人口と本県の人口はほぼ同じ、むしろ本県の方が少ない状況でありますが、看護師の配置の状況を見ますと、対象児童生徒が多い学校で12名、少ないところは1名なのですが、1名から5名まで対象となる子供がいるところには、看護師1人をまず配置しております。また、本県には「総合支援エリア」というところがございます。盲、ろう、秋田きらり支援学校、そして県の医療療育センターが、皆同じエリアに総合的に置かれている「かがやきの丘」というところでして、医療施設も療育センターも全部同じエリアに集中しているという、全国でもそんなに数多くはない事例かと思います。そういうところでは、ケアを十分にできるようにということで、看護師の数もここには5名配置しています。トータルでは県全体で11名しか配置されてはいないのですが、集中的にケアできるような体制ができているエリアに重点的に配置しているという状況であります。全体的な数としては少ないと思いますけれども、このような状況の県もあるということを御紹介いたしました。
【小川主査】  ありがとうございました。どうぞ。
【小栁委員】  市町村の実情ということですけれども、看護師を配置するというところは大変少ないです。深谷市も15万人弱ですけれども、配置していません。深谷市の場合は、今、1人、小学生がいます。その子が入学するときにやっぱり親御さんは通常学級を希望するのですね。でも、学校は非常に悩みました。医療行為なのか生活行為なのか。つまり、医療行為だとすると担任はできませんし、しからば看護師をずっと配置するか。市レベルではちょっと難しい。特別支援学校に1年行きました。1年たって、お医者さんの診断の下に、もう生活行為としてできるという判断を頂いて、通常学級に入ってきまして、今おります。
 申し上げたいことは、市町村レベルだと、なかなか一般財源でやるのは難しいということですね。ですから、これは県の話になってしまうのですけれども、県の方に例えばプールしていただいて、そういう子が入学してきた場合にはこうやるとか、そういうのがあればいいなという気は持っております。うちも1万2,000人ぐらい小中学生がいますけれども、六、七年に一人という感じで必要な子がいる程度ですから、それが市町村の実態かなと思いますが。以上です。
【小川主査】  ありがとうございました。竹原委員、どうぞ。
【竹原委員】  補助員についてお聞きしたいのですが、どこの学校でも今、このニーズはとても高いと思います。必ずしも補助員を入れられない場合、ボランティアを検討されたことがあるということですが、学校支援ボランティアの中で、この補助員に近い動きをしている人が地域とともにある学校を推進する中で全国にいます。もちろん補助員が入ることが一番いいのですが、地域としてかかわる時、チームの一員としてどういうところに気を付ければいいでしょうか。地域の立場で一歩進めるとしたら、何をポイントとしたらいいか、さらに補助員の方がいらっしゃる中で、地域をどのように見ていらっしゃるかというところをお聞きしたいと思います。
【小川主査】  よろしくお願いします。
【赤間課長】  ボランティアを検討して、これはやっぱり無理だとなった経過をまず申し上げると、ボランティアは学校で探してくださいとしました。でも、保護者の人はちょっとまずい、誰々くんの、何年何組のお母さんだというのはうまくないということで、PTAのOBとか、教職員の息子、娘とか、いろいろ探したんですがなかなか見付けられないんですね。有償だといってもちょっとした金額しか出ないし、業務はハードなので、なかなか手を挙げる人がいなかったというのが裏にはありました。
 地域との関わりで言うと、仙台市は小学校1年生について、生活学習支援サポーターというのがあって、小学校1年生だけに限定なのですが、1年生1クラスについて1人分の給食も面倒見ますということで、夏休みまで来ていただいています。そうした方の中には、実際的には1年生の発達障害の子供にも対応している例があると思います。
 ボランティアのもう一つの難しさは、入れ替わり日替わりでいろいろな人が入ることは、むしろそれは子供にとって不安ではないか、同じ方針でぶれないで対応できるかということが心配されました。
【竹原委員】  ありがとうございました。詳しくは分からないのですけれども、横浜市ではボランティアの人も特別支援教育支援員研修に年間8回参加しています。今お話しされた難しさ、研修の不足、認識の不足というのはこのような研修で少し補うことができるかもしれないのですが、まだそこの乖離は大きいのかしらと思ってお聞きしました。
【赤間課長】  すみません、先ほどの巡回指導医についてちょっと補足なのですが、23年度から始めまして、特に難しい内容の医療的ケアを行っている子供ということで限定しています。小学校、中学校で言うと26年度は1校ですね。最初2校だったのですが、卒業しましたので1校について巡回ドクターが入っているということです。
【小川主査】  ありがとうございました。
【小栁委員】  仙台市の取組、大変すごいなと思いました。ありがとうございました。ある意味で障害種がはっきりしていて、そこへの教育的ニーズの対応として、非常によく分かりました。お聞きしたいのは、通常の学級に在籍している軽度発達障害のお子さん、その子に対して指導補助員の配置という形でこういうたくさんの人を配置して手厚い。すごいことだなと思うのですけれども、どこに配置するかという、その前に、見極めが難しいですよね。どうやって見立てをして配置をしていくのか、そこのところをお知らせしていただければありがたいなと思います。
【赤間課長】  先ほど申しましたように、随時、学校が申請を出してきますので、このときは必ず個別の指導計画も添付させています。何だか分からないけど課題ですっていうのではなくて、まず学校で一段階整理して出してくださいと指示しています。それを受けて指導主事ともう1名の嘱託の、これも教員OBなのですが、学校に行って見ます。そのときに観察するポイントは、その子供本人の状況はどうか、危険行為があるか、立ち歩きがあるかとか、いろいろ、担任の話も聞きながら点数化します。その中に周りの子供たちへの関わり、影響はどうか。それから、学校の取組はどうかというのも点数化しています。学校で全然話し合いもしないで、ただ人をくれはないでしょうというのが基本的にあります。まず学校でやれることをやってくださいということです。その上でも厳しいのなら、それは応援しますということです。個別の指導計画もそうですし、この子について支援会議を何回開いていますかとか、担任の先生はこの子をどのように位置付けて学級経営をしたいと思っていますかというようなことも確認しながら点数化します。「ごめんなさい、あなたのクラスには付きません」「もう少し自助努力が可能でしょう」と校長先生に言わざるを得ないときもございます。学校は苦しいので、1年1組にも欲しい、2組にも欲しい、3年1組にも、4年1組にも要る、マンツーマンで欲しいと言われても、「校長先生、できません」となります。1人の補助員が複数の子供に対応しているという例もございます。でも、それは中途半端になる危険もあります。障害の程度にもよるのですけれども、やり繰りが必要となり、学校も苦しいところです。
【小栁委員】  国の調査で、例えば、軽度発達障害の子が6.5%ですよね。そうすると、仙台市さんなんか相当な数の子供がいますから、相当な数のそういう指導の手立てを求めている子がいると思うのですけれども、その見立てを、例えば巡回相談だとか、そういう形でどのレベルでやっているのか、いつの時期でやっているのか、それ、もしお聞きできればありがたいなと思います。
【赤間課長】  専門家の方が学校の要請を受けて学校を訪問してアドバイスをするというのを巡回相談と呼んでいるわけですけれども、14名ぐらいの方がいます。延べ200回ぐらい学校から要請があると思います。ほとんどは発達障害の子供の相談です。以前は不登校の子供の相談でしたが、あるときからすぱっと変わりました。どの学校も同じですが、この子を見てくださいと申請があるのですが、実際に言ってみると、いや、この子も、あの子も見てください、この子もアドバイスお願いしますというようなことが実情です。私たちも、この対象のお子さんについて、学校だけでなくて外部の力もかりてください、外部の知恵もかりてくださいと巡回相談の利用を積極的にお勧めしています。また、専門家チームで相談するというケースもございます。
 やっぱり学校の取組が片方で回っていないと、幾ら人を付けてもだめだろうと思います。学校の先生の授業がうまいクラスは割と子供たちも真剣になって乗るのですが、中には1年生の先生なのに驚くほど説明のフレーズが長いので、発達障害ではなくても、途中で飽きるような例、板書がちょっと分かりにくいため、子供はどこ書いていいのか分からなくなるというような例もあります。それはそれで別途、担任の先生に指導するということもございます。人を付けて回っていくことを成立させるためには、学校の組織としても、それぞれの先生としてもベースにあるものがないと、人を入れても何もならなかったということになるので、そういうことはないようにしたいと思っています。
【小川主査】  よろしいですね。時間も迫っているので、貞広委員と、そして最後、米田委員ということでお願いします。
【貞広委員】  大変有意義な取組について御報告いただいてありがとうございます。今出ました指導補助員のことについて御質問です。基本的には学校の自助努力であって、この指導補助員さんというのは期間限定の支援チームという書き方をしていましたが、そうなると、学校の自助努力で何とかなるとなったら年度途中で吸い上げられてしまうことがあるのか、そうすると学校としては、頑張ったら人がいなくなってしまったとなって、モチベーションが上がらないのではないかと危惧いたします。そこで、モチベーションを上げ続けるために、人を吸い上げた代わりに、学校のやる気が減退しないように自助努力を高めていくような仕組みもかませていらっしゃるのであれば、それについて教えていただければと思います。
【小川主査】  それでは、もう一つ連続してお願いします。
【米田副主査】  私がお聞きしたいのは単純なことです。仙台市と本県は大体同じような人口であるということを先ほど述べましたが、仙台市は政令市として、その中で学校の中のいろいろな問題をカバーしていると思いますけれども、宮城県教育委員会が仙台市以外の部分を同じような方向性でカバーしているのではないかと思うのですが、その辺を、もしお分かりであれば教えていただきたいということです。
【小川主査】  それでは、2点、お願いします。
【赤間課長】  最初の御質問ですが、子供が落ち着くと、これは学校の取組のすばらしい成果なのですが、人は吸い上げます。ごめんねって言いながら。「もうSOSを出している別の学校があるので、そちらに人の枠を回さなければならない。校長先生、勘弁してください」と、そういう場合もあります。また、「A君が落ち着いたけど、実はB君が最近ちょっと荒れているので、B君の方に配置換えしてもらえないか」と相談があり、オーケーにする場合もあります。そのときもきちんとした手続を踏みます。ぎりぎりと、年度の途中ではがす際には、我々も必ず学校を訪問して、子供の状態を見た上でないと外さない。でないと、先生御指摘のように、頑張った御褒美が人を外すのかということになります。でも、時々そうせざるを得ないこともありまして、教育委員会は冷たいと、もしかして言っている校長先生もいるのかなと思います。
 そのほかに、研究実践協力校ということで5万円ぐらいお金がでるのですが、これに毎年20校ぐらいずつ手を挙げてもらっている取組もあって、そこに自分たちのノウハウも生かしてもらうというようなこともやっています。だからといってモチベーションは上がるとは限らないのですが。
 政令市なので県のことはよく分かりませんが、宮城県で言うと、小学校、中学校の数ぐらいの支援員が配置されている数字があったと思います。仙台市以外でも支援員の配置は積極的に行っていると思いますし、先ほどありましたように、予算獲得の場合は、文科省でこれだけ財政措置しているんだと、あのペーパーをがっちり財政に見せてやってくださいというようなことは時々耳にするフレーズでございます。
【小川主査】  よろしいですね。
 ありがとうございました。それでは、今の仙台市の特別支援の件は、これで一応終わらせていただいて、次に、保護者や地域からの要望への対応の在り方ということで2つの報告を頂きたいと思います。最初に岡山県教育庁の大重総括副参事の方から発表をお願いいたします。まことに恐縮ですけれども、大体15分ぐらいで収めていただければと思います。よろしくお願いします。
【大重総括副参事】  失礼いたします。岡山県教育庁義務教育課生徒指導推進室の大重と申します。義務教育課ですけれども、高等学校の生徒指導の方も担当しております。
 資料の2ページをお開きいただけたらと思いますけれども、岡山県は中国地方に位置しており、瀬戸内海に面しております。人口規模は約200万人弱で、児童生徒数の方はそちらに書いてあるとおりであり、市町村の数は、政令市の岡山市も含めまして、27市町村という状況でございます。災害が少なく、気候が温暖で「晴れの国おかやま」とも言われております。3ページの方を見ていただきますと、これが岡山県の生徒指導上の課題の現状ということで、左側が暴力行為、右側が不登校の状況でございます。赤いグラフが岡山県で、特に平成22年度と23年度の2年間については暴力行為と小学校の不登校の発生割合がいずれも全国に比べて高く、ワースト1位という状況でございました。現在は、数値の上でも改善はしてきておりますけれども、依然全国に比べて高いという状況でございます。
 それでは、4ページを開いていただきまして、こうした生徒指導上の課題というものをどのように解決、解消を図っていくかということでございますけれども、1つ目のキーワードとして、学校がいかに主体的にこういった課題を解決するために作戦をしっかり練って対応していくかということが非常に重要なポイントであります。しかし、真ん中のところにございますように、課題が非常に複雑化・多様化しているという現状の中で、学校の力だけではなかなか解決が困難という状況が、今急激に増してきているということでございます。そういったことに対しまして、課題の種類や状況に応じて学校が各種の専門家を主体的に活用できるように、県の教育委員会として学校を支援するシステムを作っており、我々が直接所管している県立学校に加え、市町村立の学校も含めて全県的に支援を行っているわけでございます。
 それでは、5ページを見ていただきますと、どういった課題に対して支援していくかということを考えていく際に、例えば学校が対応を必要とすることとして、図の下の方を見ていただきますと、悩みを持っている子供に対しての対応をどうするのか、あるいは学級が機能しない状況をどうしていくのか、それから、暴力行為とか授業エスケープ等への対応をどうしていくのか、こういったことに対しては、まずは学校が対応していくということが中心になるわけですけれども、なかなか解決が困難な場合に、その上に書いてありますように、スクールカウンセラーを配置する事業や学級サポートリーダーという教員OBや児相OB等々を派遣するシステムでありますとか、暴力行為対策アドバイザーという警察官のOBを派遣するシステムというものを持っておりますし、岡山県の場合は、右下にございますように、県警察の方に昨年度末に現職の警察官23名が学校警察連絡室ということで配置されておりますので、そういったところとしっかり連携を図って学校を支援するということを行っております。
 6ページを開いてください。このページに書いておりますものは、先ほどのものに比べると少し構図が異なるものでございまして、例えば左側から順に、複雑な家庭環境等、児童生徒の背景要因等をしっかり見据えて関係機関と連携した対応をしていくということの必要性、それから真ん中のところでございますけれども、保護者や地域等からのクレームでありますとか、理不尽な要求等への対応というものをどうしていくのか、それから、児童生徒の自殺とか傷害事件等、重大な事件・事態に対してどのように緊急的に対応していくのかというようなことでございます。このページに掲げているものは、なかなか学校だけで解決していくというのは難しい部分がございまして、非常に難易度が高いことから、専門家が外から支援をしていくという仕組みでございます。複雑な家庭環境等についてはスクールソーシャルワーカーを、ということですけれども、岡山県の場合は、スクールソーシャルワーカーを活用した行動連携推進事業という事業名で実施しており、「行動連携」という文字が後ろについています。それについては後ほどまた触れさせていただきます。それから、真ん中のところが、弁護士の法律相談で、今日のお話はここが中心になろうかと思います。それから、右側が緊急危機支援チームの派遣ということでございます。
 7ページを見ていただきますと、弁護士の法律相談をどのようにやっているのかというエッセンスをそこに書かせていただきました。まず、保護者や地域等からの苦情とか不当な要求行為というものは非常に増加してきておりまして、そういったものはが多岐にわたっており、これらへのが、時間的・精神的にも学校の非常に大きな負担になっており、ひいては日常の教育活動にも支障が出てきているということもございます。そういったことで、弁護士の法に基づく助言によって適切に対応し、教職員が児童生徒への指導に専念できるようにしていこうではないかということで、今年度の7月から事業化をしていったということでございます。しかし、この事業といいますのは、岡山弁護士会の方が平成24年度に弁護士の無料相談という事業を行ってくださったことがございましたので、それを大きく参考にさせていただいて、県の方として事業化をしていったということでございます。
 それで、この弁護士の法律相談ですが、その下にいろいろ書いておりますけれども、学校がまず相談窓口に1本電話をすれば、担当の弁護士から電話が学校の方にかかってくるシステムで、手続は非常に簡単です。しかも、スピーディーに対応してもらえるというのが売りでございます。しかし、教員が自分一人の考えで電話をするということはいけませんので、学校として、組織として相談をするということを前提としております。実際には校長の判断の下に生徒指導主事等が電話をかける場合は当然あります。相談の内容に応じまして担当の弁護士が選任されて、電話とか面談によって相談に応じるというシステムでございます。弁護士の方は、学校に対して法を踏まえた適切な対応の在り方について助言をします。訴訟を前提としているというのではなく、実はこんなことで困っていて、このように学校としては対応しようとしているのだけれども、法をもとに考えていったときにどうだろうかということをお尋ねして、こういう考え方でこのように対応されるのがいいのではないでしょうかという助言をしてもらうというのがこのシステムであり、県立学校に市町村立学校も含めて、教育対象暴力や不当な要求等への対応を行っております。
 それでは、8ページを見ていただきますと、今、申し上げたようなことが図式化してございます。まず右下に、学校等というのがございますけれども、学校が先ほど申し上げたようなことへの対応が必要になってきて、相談したいということになりましたら、①というところに書いてございますように、弁護士会の方に、まずは1本電話をかけます。受付の時間帯は、ここには書いてございませんけれども、9時から17時までで、その後、17時で切ってしまったのでは、中学校の場合、部活動とかもございますので、1時間延長して18時まで対応していただくようになっており、その延長分については担当の弁護士事務所の方へ電話がかかるようになっています。土日、祝日、年末年始を除く形で受け付けてもらえます。
 電話をかけましたら、そこの楕円の中にありますように相談窓口担当者が、相談受付票をもとに、どういった内容について困っているのかということを聞き、ここで、緊急性があるのかないのかということも尋ねます。今すぐにということであれば、すぐに弁護士の方から電話がかかるのですけれども、二、三日ぐらい余裕があるという場合には、少し時間的余裕も持って対応してもらえるということです。そして、電話による相談と面談による相談の2種類がございますので、どちらを選ぶかということを、この担当者が聞くわけです。そうすると、左側の矢印に行きまして、②のところですけれども、今回の相談はどの弁護士に受けてもらうのがいいのかというのを選任する、選任担当弁護士というのがおります。選任担当弁護士は、そこの下のところに相談担当弁護士ということで4人ほど絵が描いてありますけれども、実際には6名の弁護士の方が対応してくれますが、今回のこの件はこの弁護士さんにお願いしようというふうに、担当の弁護士を選任します。そうすると、今度は、③のところになりますが、相談担当弁護士の方から学校へ電話がかかってくるということであります。すぐにその電話で相談をしようということであれば、この電話相談で、実はこんなことで困っていてということを相談するのですけれども、別途、日にちを設定して、直接会って相談をという場合には、面談相談という形になります。
 さて、9ページを見ていただけたらと思いますけれども、実績はどうかというと、これはまだ始めたばかりでございますので、件数としてはまだまだこれからということで、小学校1件、高等学校5件ということでございます。けれども、実際対応してもらった学校は、弁護士の助言を基に難しい事例に対応できて、自信を持って対応することができて良かったという声を聞いております。
 課題の方はまだまだございまして、市町村立の学校からの相談これからという感じでございます。学校には弁護士に相談すべきだろうか、どうだろうかという迷いがあり、市町村立の学校の場合は、まずは市町村の教育委員会の方に相談ということで、それで対応できているということもございますので、県の法律相談を利用するまでには至らないということもございますけれども、この法律相談は良い制度だという声は結構聞きますので、これを実際活用して、なるほどという手応えが感じられれば、活用が広がっていくのではないかと思います。しかし、こういったものに丸投げというふうになっていくのは好ましくないので、状況をしっかり見ていきながら、事業をさらに広げていきたいと思っております。
 さて、10ページ以降については、スクールソーシャルワーカーの事業とかをいろいろ載せさせていただいているのですけれども、これは後でまたゆっくり資料を見ていただけたらと思いますが、岡山県の場合はスクールソーシャルワーカーを平成25年度に大幅に事業を拡充いたしまして、県が直接雇用して、そして全県を12ブロックに分けて、それぞれの担当地域を決め、なおかつグループリーダーも設け、そしてスーパーバイザーに定期的にアドバイスを頂いているということで、結構力を入れてやっている事業でもございます。
 11ページのところを見ていただきますと、そこにスクールソーシャルワーカーと市町村教委の指導主事等というところに、協働という矢印が書いてありますけれども、ここのタッグをいかに組んでいくかというのが非常に重要なポイントでございます。スクールソーシャルワーカーというのは福祉等については専門的な知識等を有している家ということでございますけれども、教育の専門家かというと、決そうではない部分もございますので、教育委員会の指導主事といかにタッグを組んで策を練っていくかということや、ケース会議等を持つ場合に、そこに書いてある関係機関と同じ高さではなく、少し高いところから俯瞰するような感じでチームを動かしていくということが非常に有効だということを感じております。市町村の教育委員会からこの事業については、是非拡充してほしいという要望もあり、大変好評な事業でございます。
 12ページが12ブロックを地図に落としたものでございまして、このように各地域の担当を決めて動いているということでございます。
 それから、最後に13ページが緊急危機支援チームということで、これはいわゆるCRTということでございまして、そこに書いてあるような危機が発生したときに専門家を現地に派遣していくというような事業として行っているところでございます。
 15分ということでございますので、大体以上で説明の方を、駆け足でございましたけれども、終えさせていただきます。よろしくお願いします。
【小川主査】  ありがとうございました。
 では、続けて北本市教育委員会の原口課長、よろしくお願いします。
【原口課長】  お世話になります。北本市教育委員会学校教育課の原口と申します。北本市は非常に小さな市なのですけれども、埼玉県の真ん中、少し東部の方にございます。ウサギの形をしているとよく言っているのですけれども、1枚めくっていただいて、時間もありませんので、桜とトマトカレーが最近おいしいと評判ですので、是非一度お越しください。
 さて、3ページでございますけれども、北本市では平成20年度に文部科学省さんの方から、教員の負担軽減に関する調査研究事業というものを受けまして研究をさせていただきました。北本市は人口7万を切る規模の市でございまして、小学校は8つ、中学校が4つございます。児童生徒数は合わせて約5,200人、先ほどの深谷さんの半分ぐらいでございます。4つの中学校、私もその4つの中学校全部勤務して今の仕事をやっておるのですが、私は21年度に入庁して今年6年目なのですけれども、ですので、この20年度の研究のときにはいなかったものですから、21年度から携わっております。
 3ページの真ん中辺ですが、平成20年度に教員の勤務負担軽減に関する調査研究事業ということで、学校にはどのような負担を感じる事例があるのかということ、また、その中で教育委員会がどのように関わっているかということで調査をしました。実施要綱として、教員の勤務負担を軽減し、教員が児童生徒に向き合う時間を拡充するとともに、心身ともに健康な状態を維持し、児童生徒の指導に当たることでより質の高い教育の提供に努める。保護者や地域の方からの学校への多様な要求、要望に対する教員一人一人、及び組織としての対応力の向上を図るということを目的に研究を進めさせていただきました。
 1ページめくっていただいて、実際、教職員の意識調査とか意見を聞いたところ、実際には書類の作成とか、そういったもの、あとは、結局、今までの経験が通じないという中で来るもの、そしてここにはないのですけれども、やはり先ほどの岡山の総括副参事の方からお話もあったのですが、やはり当然、要求とか要望とかリクエストはあるものだったのですが、度を超えたもの、例えば5ページの一番下側にあるのですが、1か月に80回以上電話をかけてきて一方的な要求をされている場合であるとか、あとは、それこそ授業中であろうが何だろうが関係なくいらして要求をされるとか、やはり我々としては困ったなという部分のものがございました。そういう中で、それをどのように交通整理をしていけばいいのかということで取り組んでまいりました。
 6ページの方に、20年度、21年度と研究をする中で、やはり問題を整理して、専門的な立場から、真ん中辺に、問題解決支援チームということであるのですが、やはり専門家の立場から、これはこうするべきだ、こうしていいんだという御示唆、お墨付きを頂くことで教員も安心して自信を持って対応できるということがございました。そこにアドバイザーチームとして名前が挙がっているものとして、弁護士さんであるとか、臨床心理士さんであるとか、あとは民間企業のノウハウをお持ちの方であるとか、警察の方であるとか、また、このときはなかったのですけれども、この後、福祉の関係の方とか、そういった専門家にアドバイスを頂くことを行ってきました。
 7ページでございますが、さらにそれを受けて、平成21年度、学校マネジメント支援に関する調査研究というものを県の方から委嘱を受けました。このときには、北本市だけでは非常にデータベースとして少ないものですから、全県の69の市町村に、さいたま市を除いたところにお願いをしまして、1,082校から保護者等への対応で学校だけでは対応が困難であった事例を収集させていただきました。それを受けて、次の8ページですけれども、どういったものがあったかというと、やはりいじめ、不登校の問題であるとか、あとは教職員の言動・対応というものが非常に多かったです。学校でのけが、負傷、事故、生徒指導の対応、又は子供同士のトラブルであるとか、保護者同士のトラブル、又は金銭に関するもの。例えばその下に事例として挙げたのですけれども、給食費を一切納めないケースに関してどう対応すればいいのか。なかなか学校では対応できない部分を、9ページにあるような御意見を頂いて対応をしてまいりました。
 そういう中で、やはり保護者からの要求、リクエストの中では、教職員の言動・対応に関してというものが非常に多かったのですが、実際の事例を見たときに、もっともだなという部分もやっぱり多くあるのですね。そういう中で、こういったものに対応する中では、10ページをお開けください。やはり大事なのは、まず未然防止だろうと。そして、初期対応の的確さ、ここが肝ではないか、ヒントではないかということを北本市では考えました。特に若手の教員が近年大変増えてきていますので、そこの研修というものも大変重要であると。例えば、私どものところで近年あった例なのですけれども、保護者からお電話がありました。それをすぐ対応すればよかったのですけれども、その若手は、これは明日でいいということで延ばしてしまった。それが問題を大きくしてしまったというのがあるのですね。やはり的確に、迅速に、また、誠意を持って対応するということが大事だということを教職員とともに研修していくことの大事さを考えております。
 また、関係機関と連携する。学校だけでは解決できないような問題が大変多くなってきています。弁護士さんからの御指導を頂いて解決できた例もたくさんありますし、例えば、あとは不登校の件で、何度家庭訪問しても、何度連絡を取っても子供に会えないという例がありました。なかなか学校の職員が家の中に入ることはできないのですね。そういう中で、保健師さんとの連携の中で、保健師さんにはそういう権限がございますので、保健師さんとタッグを組みまして、子供の安否を確認していく、そういった事例もございました。
 そうした中で、11ページ、平成22年度には埼玉県の方で、東西南北の4つの市と連携をして研究を進めるということをさせていただく中で、私どもも今までの研究を通して、12ページ、13ページにあるような、学校で対応しきれないケースが起きた場合には、こうした問題解決支援チーム、例えば法律事務所の弁護士さんであるとか、警察の方であるとか、あとは心理カウンセラーであるとか、そういう方をまじえて研究、対応をしてまいりました。
 14ページ、15ページに関しては、その対応の例でございます。14ページのは大変近い例ですので多少隠してありますけれども、19ページ、その中で相談の件数は減少してきております。学校の対応力が向上したのがあると思いますが、その反面、1件1件の相談内容の複雑化、困難化というものが見られています。保護者自身の困りというもの、例えば近年で大変多くの電話をかけていらっしゃる方とか、又は突然いらっしゃる方がいたのですけれども、その方も、やはり御自身が心の病を抱えているケースがありまして、それは保健所との連携の中で、病院の方で治療を受けているということで解決したこともございました。あとは、ネットが発達して、本当にいろいろな情報や、正しいこと、正しくないことも含めて広がってしまうことによって問題が複雑化しているということがございます。
 そんな中で、まとめでございますが、平成20年度に、本当に貴重な調査、研究の機会をえていただき、研究してまいったことによって学校の対応力が高まったと思います。既に述べましたが、やはり未然防止に向けた職員の対応力の向上、また、初期対応の的確さ、これに尽きると思います。その中でも、平成23年度から26年度の相談の特徴で挙げたのですけれども、問題が複雑化している。又は保護者の精神的な疾病に起因する事案が大変増加しています。現在は福祉関係の機関との連携や、先ほども出ましたけれども、スクールソーシャルワーカーの活用が主ですが、今後は精神保健福祉士さんの必要性が高まってくると本教育委員会では考えております。
 いずれにいたしましても、子供たちの健やかな成長や人格の完成という目標に向かって、学校と保護者が力を合わせなければ解決しないので、やはりチームとして取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【小川主査】  ありがとうございました。
 お2人とも時間内に報告していただいて、御協力ありがとうございました。
 残り30分ほど時間がありますので、今、岡山県と北本市の2つの報告について皆さんの方から御質問とか御意見がありましたら、どうぞ御自由に出していただければと思います。いかがでしょうか。
【藤原委員】  御報告ありがとうございました。お聞きしながら思ったのが、チーム学校を進めるに際して、、もちろん学校の中のいろいろな職種の協働というのが大事だというのは当然でございますけれども、学校という枠を越えてチームを組むということの重要性というのを教えていただいたような気がいたします。今回のご報告で、チーム学校をと考える際に、子供の課題解決のために学校という枠を越えながら教育委員会ですとか弁護士会ですとか、そういうところとチームを組んで解決していくことの重要性を十分理解できました。その上で、それを執行する上ではやはり校内の教職員の配置というのが重要であるということも改めて実感した次第でございます。
 感想を交えますけれども、2点申し上げます。特別支援教育支援員に関わるが地財措置というお話がございましたけれども、この地財措置が開始されるときに、特別支援教育課だったと思いますけれども、活用パンフレットをお作りになったと記憶しておりますそれは非常に分かりやすいものであり、今後、チーム学校を進める上で、そういうパンフレットを作る、いろいろな職員にどのような財政措置をされているのかということを分かりやすくお伝えするような、そういう資料というのは極めて有効じゃないかということで感じたのが1点目でございます。
 2点目でございますけれども、これは岡山県にお尋ねしたいのですけれども、チームの力を高める上でのキーワードとして丸投げはだめと一方ではおっしゃりながら、他方ではなかなか弁護士に直接相談に行かないという問題を指摘されました。ここは大事なところで、一方では学校に主体性というのを持ってもらいながら、他方では困ったときには助けを求め、援助を求める被援助志向性を高めるということが大事であろうというふうにお聞きしながら思いました。主体性を持ちながら、困ったときに主体的に助けを求めるという力がないと、チームの力を発揮できないということを、お3人のお話を聞いてきょうは実感した次第でございます。
 そういう意味で、岡山県さんにお尋ねします。校長先生に主体性を持ちながら援助を求める力というものを持ってもらうためにどんな仕掛けというのをトータルで県教委として打たれているのか、その点についてヒントを頂けたら幸いでございます。
【小川主査】  岡山だけでいいですか。
【藤原委員】  時間の関係がありますので、それで結構です。
【小川主査】  それでは大重総括副参事、お願いします。
【大重総括副参事】  傷口が大きくなって、いろいろ周囲からも声が上がってから対応していくということになると、うまく対応が進まないということがございますから、早い段階で困っていることを学校から相談してもらって、そこに対応していけるようにしていくことが非常に重要なポイントだと思っています。
 そこで、県教委には教育事務所という機関がございますけれども、そこに学校支援班として指導主事を配置しております。これらの指導主事、市町村の教育委員会に密接に寄り添う形で困っていることをしっかりと聞き、実はうちの市町村ではここの学校で、今こんなことで困っているという辺りを引き出していくようにしています。このようにすべき、あのようにすべきということを上から下へ言うのではなくて、ともに作戦を練っていくためにいろいろ引き出していきながら、「それならこういう作戦がいいかもしれないですね。」とか、「そういう場合ならこういう支援員とか、こういう専門家が使えますよ。」ということをやりとりの中で提案していくということを行っております。上から下へというふうに言うと、学校の方も殻を閉じてしまいますので、そこを相談しやすいような形で工夫をしております。
 以上です。
【小川主査】  よろしいですか。
【藤原委員】  はい。
【小川主査】  ほかにいかがですか。前田委員、どうぞ。
【前田委員】  産業界と学校は全然違うので、ピント外れかもしれないのですけれども、企業の場合、私が今、受け持っているのは、環境担当の執行役員ですが、世界に179ある工場で、ほんの少しでも例えば敷地内でオイル漏れが発生したとか、誰かがミスをしたとかいう場合に、エマージェンシーのレポートを出すんですね。「報連相」、いち早く皆さんにお知らせするということをすごく大事にしているので、どこか別の学校で何かあった事例もいろいろ共有化できるとことが大切と思います。本当は、そういうことはうちももしかしたら起きるかもしれないと、意識がセンシティブになるのではないかと思っているんですね。
 ただ、それをいち早く出すというときに、減点主義になってしまうと、あそこは問題を起こす学校だという目で見られてしまうと、やはり外に発信したくないと思います。むしろ評価する側がたくさん発信してくれるところは感度が高いという感覚を持ってもらって、受け止めてもらうことがすごく大事ではないかなと思うんですね。弊社でも、EARというレポートを発信するときに、発信するのがいけないことではなくて、何かあったのに隠しておく方がいけないという意識にしています。それは1つの企業ですから、みんなが助け合うから当然のことなのですけれども、ある意味、学校の中も何かがあったら共有化して、常に、うちでももしかしたらこういうことが起きるかもしれないなというのを、センサーを働かせられるような意味で使ったらどうなのかなと思います。また、評価する側の方は、発信したのはマイナスのポイントとして見ない。むしろセンシティブだから頻繁に出るのだという感覚で評価してもらうということになるといいのかなと、聞いていて思いました。【小川主査】  その辺で何かお答えありますか。原口課長。
【原口課長】  おっしゃるとおりと思います。うちみたいなのは本当に小さな市ですので、教育長の方針としてみんなで助け合いましょうということがありますので、どこか問題が起こしたからといって、それを責めることはしていませんし、校長会とか教頭会でその問題を共有化するようにしております。ただ、うちの市だから、本当に小さな市なので、ある意味できている部分もあると思うので、これがまた県とかだと分からないのですが。
【大重総括副参事】 岡山県の様子ですけれども、例えば全県の各小中学校、高等学校の校長先生方であったりとか、生徒指導の担当の方々に集まっていただいて、研修会を行ったりするようなときに、今おっしゃったようなことも含めて県の方からメッセージを発しておりまして、グループ協議の様子などを聞いておりますと、例えば自分の学校でこんなことが起きて、こんな対応をしていったときに、県のスクールソーシャルワーカーに来てもらって、このように対応したんだというような声が、あちらこちらのグループからもたくさん聞こえてくるようになりました。このスクールソーシャルワーカーの事業は、平成25年度に大幅に拡充したと申し上げましたけれども、当時、1,000万円規模の予算の事業だったものを1億3,000万円程度まで、10倍以上に拡充いたしました。そこで、我々も今、全面展開でやっていっているので、こういうグループ協議の中で声として上がってくるというのは非常にありがたいと思っているし、そういうことを進めていく中でSOSを発しやすくしてほしいなということも思っています。
 そういう協議の中で、今度は、弁護士の法律相談を使ってみて良かったとか、こういうところで困ったので法律相談を使ってみようというようなことがどんどん広がっていくと良いと思っています。
 以上です。
【小川主査】  竹原委員。
【竹原委員】  ありがとうございました。どこにもある、本当に困った、どうしたらいいかしらということのヒントを頂きました。
 何人かの委員の方がおっしゃった、情報の共有化ということと、困ったときには助けを求めることが大事だと思います。 とかく学校は困ったときに閉じるということがよくあり、それが解決を遅らせ、深刻にしてしまって、先生たちがつらくなるということがあると思うんですね。地域は情報を開いてくだされば助けたくなるのが当然で、何ができるかと考えます。専門家はプロフェッショナルとして解決方法を提示されたり精神的な支えになってくださると思うのですけれども、日常的に学校や子供を見ている保護者や地域の人たち、民生委員さんや学校運営協議会委員など学校と信頼関係で結ばれた人たちがいるということを常に視野に入れていただければと思います。そして、その人たちは情報を持っています。そして、それは今の情報だけではなくて、その子の小さいときからの情報かもしれないし、家庭の情報かもしれません。いい関係を結んでいるかもしれないし、問題視しているかもしれません。5年ぐらいしかいらっしゃらない先生には見えないものも持っているので、そういう情報を加えると、更にプロフェッショナルとの協働が功を奏するのではないかと思います。
【小川主査】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。米田委員、どうぞ。
【米田副主査】  岡山県の担当弁護士が、相談担当として6名もいらっしゃるということで、非常に驚いたところでありますが、こういう形で一つのシステムをきちんと作っているということを聞いて、本当にうらやましいなという気持ちでおります。学校に対する要求が、その学校に直接行く場合と、いろいろなルートを迂回してくる場合と、ストレートに教育委員会に来る場合など様々ございます。我々県教育委員会に対しても、学校が知らないうちに、地域や保護者の方からストレートにいろいろなおしかりを頂くことがあります。それはそれとして、本当は最初にまず学校に訴えてほしいという気持ちがあるのですが、どうしても親御さんが、これは県教育委員会に言えば、小・中学校の問題でも、県が何とかしてくれるであろうというような考えを持っているのですね。それでそのように動くのだと思います。こちらとしてはそれを受けて、関係市町村の教育委員会の方にすぐ連絡し、そこでまず動いてもらうようにして、その後学校がきちんとした対応をしたということを、訴えた当人にもしっかりと分かるようお願いをします。
 非常に困るのは、先ほどもお話がありましたように、学校の中で問題等を抑えておいて、どこにもクレームの行き場がない中で、だんだん地域や保護者の不満が鬱積して大きくなって、ある時点で大きく爆発してしまうケースでございます。そうなるとやっぱり、手後れな状態になります。基本的には市町村の学校であれば、まず市町村教育委員会にとにかくオープンに相談するように、県立の学校であればとにかく抑えておかないで県の教育委員会の方にすぐ相談するようにということを我々としてはお願いをしているのです。そういう形で、例えば県立であれば県の教育委員会と、県立の学校が一体化していると。我々はヘッドクオーターズとしてサポーター役だということを県立の学校に伝えるようにしておりますし、市町村教育委員会も地元の市町村の小・中学校に対しては、自分たちがいろいろな面でちゃんと守る立場にあるということをきちんと伝え、お互いの信頼関係をうまく醸成していくことが基本ではないかと思いまして、今お話しした次第であります。隠しておくのが一番まずい結果になるということを経験上、私も感じておりますので、お話ししました。
【小川主査】  小栁委員、そしてその後、貞広委員、お願いします。
【小栁委員】  岡山県さんと北本市さんの取組の発表をお聞きして、県教委なり市教委が学校の後ろ楯となって、その安心感、それが一番大事だと思うんですよね。後ろに控えてくれて、学校をサポートしてくれるという姿勢を示していただけるという意味で非常にいいのかなという気を持ちました。
 深谷市では平成23年に学校問題サポートチームを立ち上げました。弁護士さん、それから警官のOB、臨床心理士さん、それから管理職経験者。でも、まだ小学校1件、中学校1件で2件だけでしたね。なかなか厳しいのですけれども、やっぱり見事にすぱっといいアドバイスを頂いて、それを校長会、教頭会で研修会をしました。それを聞いていて、学校長、教頭さん、やっぱり安心しましたね。その後、上がってくるかと思ったら来ないですね。4年たちますけど。そこで、弁護士さんに年に1回、研修会を持ってもらって、いろいろなトラブル対応の話を聞くと、そういう状況であります。市でやっておりますけれども、それほど予算が掛かりません。弁護士さんの費用で年6万円。それ以外はみんな研究所だとか市長部局の警察OBを雇っていますので、1名来てもらったりとかですから。
 話が飛躍して恐縮ですけれども、全国学力・学習状況調査の小学校6年、中3の学習状況調査で、深谷市は非常に子供たちが前向きで自尊感情も結構高いし、すごくいいデータだなと思いつつ、大変な案件が起きるんですよね。何を申し上げたいかといいますと、学校がそういう家庭対策のプラットフォームみたいになってしまっているのですね。そういうことを考えたときに、もっと学校に遊軍的に対応できる職員がいればいいなということであります。うちは4年前から学校総合支援員というのを置いて、幾つか機能を与えているのですが、その一つが、虐待だとかいじめだとかいろいろな対応というのはその一つになっておりまして、しょっちゅう民生委員さんのところに行っていろいろな情報をもらっています。そして、その学校総合支援というのは、例えばその地域に住んでいた教員、あるいはその学校で校長経験のある人を入れています。したがって、現場の学校長さんが物すごく頼りにしていますね。ですから、そういう遊軍対応的な人なんかもスタッフとして雇える仕組みなんかがあればありがたいなと。今、一般財源でやっているのですけれども、補助だとか何かしてくれれば大変学校もありがたいなと、こんな気持ちでおります。以上です。
【貞広委員】  大変優れた取組について御報告を頂きましてありがとうございます。意見になります。きょう御報告を頂いて、また新たに学校へのサポートや支援スタッフの配置というのが非常に重要であるということを再認識させていただきまして、恐らくここのお席にいらっしゃる方はもともと皆さんそう思っていらっしゃると思いますし、更に強く感じられたかと思います。ただ、こうしたことに財政的な裏付けを得るには社会的、政治的な合意が必要なわけで、そこでその合意を得るに当たって、こういうことが重要だなときょう、再認識をさせていただきました。
 岡山県さんの方の御報告の5ページ、6ページのところで、5ページに関しては児童生徒等への直接的な対応視点、6ページの方はもう少し広い支援ですね。例えば、これを少し言い換えると学校への支援というふうに、学校へのサポートというふうに言い換えてもいいかもしれませんが、社会は子供個人に対する支援にはとても親切なのですけれども、学校が楽になったり、学校の支援ということに関して、学校がもっと頑張ればいいではないかと、必ずしも優しい雰囲気じゃないケースがあると思うんですね。ただ、実際には学校が支援されることで最終的に利益を得るのは子供たちなわけで、そこの道筋というのをきっちりと見せた上で、学校を支援するというのは先生たちを楽にするのではなくて、最終的に健やかな学びを保障するものなのだという部分を必ず付記するというか、そういう見せ方をしていかないと、なかなか財政的な裏付けとか、支援していくということに関して、社会的、政治的な合意を得るのが難しい。財政当局の折衝が難しいなんていうお話もありましたけれども、そこの部分を強く意識したいと改めて感じました。
【小川主査】  ありがとうございました。ほかによろしいですかね。
 それでは、今までいろいろな意見、委員の方からいろいろお話がありましたし、例えば先ほど小栁委員の方から遊軍として働ける職員が必要だという現場からの声もあったのですが、確かに私もその点は強く感じていて、指導主事が、困ったときがあれば学校に行くからいいのではないかという話もあるのですが、やはり問題を抱えた学校に張り付いて、問題を解決するまで一定期間その学校に張り付くということがいわゆる趣旨だと思いますので、指導主事とは違った働き方をせざるを得ないので、私もいろいろな地域に行くと、そういう問題を抱えた学校に問題解決ないしはサポートのために一定期間張り付いて、問題解決したら教育委員会に戻るとか、そういう遊軍的なスタッフがいればいいなという話をよく聞くのですけれども、そうした御意見も含めて、この間、委員の方からいろいろお話があったのですけれども、そうしたことを受けて、最後、1人ずつ何か感じたことがあれば、ないしはこの作業部会では更にこういう点を検討していただきたいという御意見があれば伺いたいと思います。原口課長の方から一言ずつ、これまでの感想と、何か作業部会に対してこういう検討を頂ければという御意見があればお話しいただければと思います。
【原口課長】  本日はありがとうございました。
 竹原委員の方から民生委員や学校協議員さんとの連携、本当におっしゃるとおりで、やっぱり地域の方々のお知恵、お力をかりて学校は成り立っていると思うのですけれども、やはり専門家、特に福祉の方の専門家、又は法律の方の専門家というもののお力というものが、本当に私ども学校の支えになっているのは事実ですので、是非そういったシステムをこれからも作っていきたいと思いますし、あとは小栁委員の方の深谷市の学校総合支援員、そういったものがいると本当に助かると思います。
 今、お話を聞いていて思ったのが、最近、北本で困ったなと思うのが、外国籍のお子さんがいらっしゃることが増えてきたんですね。そうすると、中国語であるとかフィリピンの方であるとか、やっぱりその子を何とかしてあげたいとは思うのですが、そこに人を配置することがなかなかできないのですね。その中で、そういういろいろな支援をできる人を教育委員会として、先ほど遊軍という話が出ましたけれども、そういったサポーターを置いておけるだけの体力があれば、本当にそれは学校にとってありがたいことで、是非そういったことも今ある中からやっていきたいということを考えていました。今ある民生委員さんとか地域の力を活用する、専門家の力を活用する、プラス、やはりそういったこれからの様々なケースに対応する部分を教育委員会として考えていかなければいけないということを改めて感じました。
 ありがとうございました。
【大重総括副参事】  岡山県の方は、我々は県教委という立場でございますけれども、県が所管をしている学校だけを見つめるのではなくて、市町村立の学校も含めて、困っている部分に対してどのように対応して支援していくかという考え方を、今までも大事にしてきましたし、これからもそこは大事にしていかないといけないと思っています。
 5ページを見ていただきますと、我々の方が現場に対応、支援していくためのスタッフということでいろいろ配置をしておりますけれども、今までだったら、例えば学校の方に出掛けていって、こういうことをやったらいいのではないかとか、こういうふうにするべきですよとか、そういう話だけをして帰ってくることもあったと思います。しかし、学校現場にしてみれば、そんなことはもう既に分かっていて、実は困っているのは目の前のこれをどうこうするために我々は困っているのだけれども、それに対して一般的な話だけをして帰っていくというのでは十分ではないと感じておりました。継続的にずっと学校に寄り添って、課題が解決するまで支援をしていくということが非常に重要で、今はそのような対応がだんだん増えてきています。
 そういう意味では、スクールソーシャルワーカーを大幅に増員し、常に現場に近いところで動くということになっていますから、現地の学校だけではなく、そこの市町村の、例えば福祉部局の担当の方々の顔であるとか、動きであるとか、そういった辺りを常に見ていきながら、協働しながら動くことができているということは非常に重要なことであると思っています。
 そういった対応をしていく中で、我々の方として課題に思っているのは、問題は、小学校の高学年とか中学校に入って初めて起きるのではなくて、実は小学校の低学年や就学前の段階から既に問題は起きているということです。例えば、家庭の中の非常に複雑な状況であったり、あるいは夫婦間の問題とか、子供自身の特性の問題とか、就学前の段階で既に問題となっているケースもあります。ところが、国の事業を活用させていただきながらいろいろな事業をやっておりますけれども、就学前の部分に直接それを関わらせていくということについては、実はハードルがまだあるということを我々の方としては強く認識しておりますので、小中学校や高等学校を対象に行っているような事業を、とにかく早い段階からということで就学前も対象に動かしていけると、もっと違うのではないかなと思っております。
 とにかく早い段階から、例えば幼稚園や保育所の段階から特別支援教育に取り組むと、効果が上がりやすいということを実感しておりますし、家庭の問題についても、早い段階から対応していくと、問題が大きくなる前段階で対応できるというようなことがございますので、そこにしっかりつながっていくような事業を国の方でも御配慮いただけると、県としても取り組みやすくなると思っております。
 以上でございます。
【小川主査】  ありがとうございました。
 赤間課長、どうぞ。
【赤間課長】  私は小学校の教員で、通常学級も担任したのですが、その立場で感じたことをお伝えしたいと思いますが、先ほどの加点方式ということですが、私も通常学級を持ったときに、4年生を持ったときに、クラスの非常に優秀な女の子が不登校になった。そのとき非常に悩みました。私の何が彼女をそうさせたのだと悶々としました。それは管理職には相談できなかったですね。担任として何をしているだと減点されるのではないかという恐れを感じました。その後、文科省から、不登校はどこの学校のどのクラスにも、どの子供にも起こり得るのだと出たので、すごく安心しました。それ以降、校内では不登校をすぐ相談しやすい、小さなうちに出しやすい雰囲気に変わりました。それはやっぱり学校が抱え込まないということで、その辺のPRがもっと必要かなというふうに思いました。
 見せ方という点では、1人の補助員を雇うのに年間130万ぐらい掛かるのですが、1人の子供に130万かと、こう来るのですね。でも、1人の子供が落ち着くと、周りの40人の子供にいい影響がある。そうすると、いじめの予防、被害・加害の予防にもなるし、不登校の予防にもなる。学力向上にもつながる。病休を取る先生も少なくなるかもしれない。補助員配置がみんなにいいことになるのだという壮大な話をして、そうかそうかと納得してもらったりするわけです。学校現場に財政担当の課長に行ってもらうと、「これはやっぱり必要だ」となるので、そういうのは財政とやりとりするときにはとても大事な視点であり、子供にとってとても必要なことだと、強く働き掛けて表に出していくのはとても大事だと思いました。
 私も校長をしたときに、仙台市でも六、七年前に訴訟保険に一括して入りましょうということになりました。私の同級生が横浜にいて、横浜ではもう教諭も入っているという話をそのときに聞きまして、仙台ではまだそういうところはないのですが、願わくばそういうのを使わないで済めばいいなと思っております。職員室が子供の数が少なくなった分、職員の数も少なくなってきました。職員も高齢化し、10.5ポイントの文字では厳しいなという職員室になってきました。やはり学校の機動力という点では、昔よりは少し難しいところが出てきますので、こういうふうに外部からサポーターが入るとか、支えてもらっているという安心感はとても大きいと思います。
 また、地域の子供、保護者とのことで教育委員会に相談に行ったことがありました。私は、教育委員会にその前に在籍していたので敷居が低かったのですね。でも、一般の校長先生は敷居が高いと思いますので、教育委員会は敷居を低くする必要があるのだなと思っていました。
障害幼児との関わりという点では、行政も縦割りではなくて、もう横断的な連携が本当に必要な時代の真ん中にいると感じています。福祉部局だけではなくて、ほかのところとも連携して、A君のために何ができるのという話し合いが場を超えて、機関を超えて連携を図れるのが望まれるなと感じております。
 以上でございます。
【小川主査】  ありがとうございました。
 それでは、もう時間が来ましたので、きょうの会議はこれで終わりたいと思います。お3方、きょうの意見発表ありがとうございました。
 それでは、次回の予定について事務局からお知らせをお願いします。
【福島補佐】  次回の日程につきましては、来週、3月27日の10時から、場所は文部科学省の方で開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
【小川主査】  次回は3月27日、ちょうど1週間後ですけれども、朝10時から行うということです。テーマは、恐らく部活動になるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 それでは、きょうの会合はこれで終わります。ありがとうございました。

── 了 ──

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