チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第4回) 議事録

1.日時

平成27年3月9日(月曜日) 15時~17時

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館(文部科学省庁舎) 15階15F1会議室

3.議題

  1. 専門スタッフの活用について(スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー)

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会

チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第4回)

平成27年3月9日

 

 

【小川主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまからチームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会の第4回を開催したいと思います。本日も、お忙しい中御出席いただきましてありがとうございます。

今日の議題は、お知らせしたとおり、チーム学校の中でも特に専門スタッフの活用の在り方について、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用の在り方などに焦点を当て、有識者の方々から意見発表いただいて、意見交換をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

今日はお忙しい中、意見発表のために3人の方においでいただいております。1人は東京都教育庁の指導部指導企画課の山本周一統括指導主事でございます。

【山本統括指導主事】  よろしくお願いします。

【小川主査】  次に、一般社団法人東京臨床心理士会の石川悦子副会長です。

【石川副会長】  よろしくお願いいたします。

【小川主査】  よろしくお願いします。

最後に、上智大学総合人間科学部社会福祉学科の横井葉子先生においでいただいております。

【横井助教】  よろしくお願いいたします。

【小川主査】  この後、山本指導主事、そして石川副会長、最後に横井先生に、1人15分から20分ぐらいの時間で、今の紹介の順番で意見発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、始める前に、配付資料について事務局から説明をお願いいたします。

【福島補佐】  本日の配付資料につきましては、議事次第のとおり、資料1から3までは、本日御発表いただきます山本統括指導主事、石川副会長、それから横井助教から御提供いただいた資料でございます。それから参考資料といたしまして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの現状に関する資料を事務局より配付をしております。万が一、不足等ございましたら事務局にお申し付けください。よろしくお願いいたします。

【小川主査】  よろしいでしょうか。

また、今日、報道関係者より会議内容の録音を行いたい旨の申出がありましたので、これを許可しております。御了承いただければと思います。

それでは本日の議題に入ります。先ほど御紹介した3名の方から順次意見発表をしていただいて、その後一括して質問、意見交換したいと思います。

なお、意見発表者には、今日大体15分程度とお話が行っているかと思いますけれども、20分程度まで時間を使って構いませんので、よろしくお願いいたします。

では最初に、山本統括指導主事から意見発表、よろしくお願いいたします。

【山本統括指導主事】  私からは、東京都におけるスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの活用について話をさせていただきたいと思います。表紙をおめくりください。

東京都におきましては平成7年度から、スクールカウンセラーの配置を始めています。これは、国がスタートしたのと同じ時期であります。そして平成25年度より小・中・高等学校全校に配置して、現在も継続中ということであります。

もう1枚めくっていただいて裏面になりますが、東京都におきましては、スクールカウンセラーについては週に1回、1日7時間45分で、丸一日配置しています。年間で35回、配置をしているところであります。

その目的としましては、いじめや不登校等の問題行動について、心理的な面からケアしていく。それによって未然防止を図っていく。又は実際に起こってしまった問題行動についての改善、解決、これに寄与してもらうということ。

それと2つ目が、カウンセラーがカウンセリングを行うだけではなく、学校の教育相談体制を充実させるための一役を担っていただくということをお願いしてあります。例えば校内研修などでどういうことをやっているかについては、石川副会長から多分お話があるのではないかと期待しているところであります。

実際にカウンセラーの方は、東京都の場合は週に1回です。残りの日にはいないわけですので、教員が子供たちの声をきちんと聞けるような体制、いつでも聞けるような体制を整えていきたいということであります。

さて、次のページに移ります。スクールカウンセラーの職務として、東京都の場合は4つ提示させていただいています。

1つは、本来業務であるカウンセリング。2つ目が、カウンセリングをするに当たって、学校の場合は指導に生かしていきたいということがありますので、教職員へのコンサルテーション等が入ってきます。また、子育てに当たって、子供だけではなく保護者の方々の悩みにも寄り添っていきたいということ。そこで2番目のところに、カウンセリング等に関する教職員、保護者に対する助言、そして援助と書いてあるということです。

3つ目には、児童生徒のカウンセリング等に関する情報収集と書いてございます。昨今、子供を取り巻く課題が非常に広くなってきております。発達障害のことだったり、ネットいじめのようなことだったり、SNSについての知識等々あります。場合によっては、危険ドラッグにどう対応していくかということも話題になってくるかと思います。そこで3番目に、少しずつ広く情報収集をしていただいて、それにも対応できるようにしていってほしいということです。

あと4番目には、所管の校長、それから教育委員会が定める事項としております。

これが、スクールカウンセラーの大まかなところであります。

次に、スクールソーシャルワーカーの活用事業についてであります。東京都の場合は平成20年度から導入しております。その中で少しずつ拡大を図ってきまして、今年度については42地区で実施しているという状況であります。各地区が雇用しているソーシャルワーカーの方々の人数はかなり異なっておりますが、おおよそトータルで80人程度という状況であります。

5ページに話を進めたいと思います。スクールソーシャルワーカーをどのようにして各地区で活用しているかというと、東京都の場合はおよそ4つぐらいのモデルがあるんですが、実際には、そこに示している2つのモデルに集約されてきているという状況にあります。

スクールソーシャルワーカーが各区市町村教育委員会又は教育相談所にいて、学校の要請に応じて対応していくという形が、派遣型です。それと、もう一つは巡回型ということで、教育委員会若しくは教育相談所にスクールソーシャルワーカーの方がいて、学校を順番に回っていく。その中で、気になるような子供たちがいないかということで、情報を得て、それに対応していくという形です。

6ページには、東京都におけるスクールソーシャルワーカーの職務として4つのことを記載させていただいています。

1つは、やはり問題を抱えている子供の置かれた環境への働き掛け。環境への働き掛けとは何か疑問に思われるかもしれませんが、実際に不登校になっていたりしている子供たちにとって、学校に行きたいが、どうしても行けない状況がある。そのときに福祉的な側面が影響していたりする場合、そこを改善することで学校に来られる状況がもしも生み出すことができるような場合ですね。ソーシャルワーカーの方に御尽力を頂いて、子供の登校につなげていただくということです。

もう一つは、様々なネットワークとの関係整備、これが2番目に当たります。

3つ目はソーシャルワーカーだけ、カウンセラーだけ、それから教員だけで対応することについて、もっと効果的につながり、もっと効果的に対応できないかということで、学校におけるチーム体制の構築にも御尽力を頂いているというところであります。

4番目には保護者、それから教職員に対する支援・相談・情報提供ということがあります。いずれにしても、情報を共有しながら話を進めていくということであります。

そして、7ページには具体的な事例、これを御提供させていただこうかと思っておりましたけれども、個人情報も含まれる関係で資料には載せていません。それで、ここに模式的に示しているのは、こんな感じで対応していますという事例の1つであります。

ある学校のスクールカウンセラーと教員、そしてソーシャルワーカーとが連携して対応した事例ですが、小学校のときから不登校だった子供が中学校に入学するという機会を捉えて改善を図たものです。実際に御家庭の方で、保護者の方がなかなかうまく対応し切れていない状況がありました。

そこで、A君のサポートネットワークという事例ですが、中学校1年生になる男子生徒は、小学校3年のときから不登校状態でした。発達障害が若干認められるという状況がありました。そこで、入学前から保護者と本人がその中学校に来校しました。そして、カウンセラーと事前に会うということをしていました。そこで様々なことが分かってきましたけれども、カウンセラーはそこでA君の状態、そして御家庭の情報について吟味しました。また、学校への興味、関心を高めてもらうというのと、学校に来ることへの不安を和らげるということもあって、この子について校内見学を働き掛けました。ですから、カウンセラーの方と副校長、そしてこのA君で校内見学をしたりして、少しずつリラックスさせていったという状況があります。そして保護者の了解の下、この子は病院に通っていたものですから、その病院の方との連携体制も作っていきました。そこでカウンセラーと学校と本人と病院とがつながってきたという状況にあります。その後に入学をしてきたということです。そのように土台を固めたということです。

次に、入学してからA君がカウンセリングルームに登校する。残念ながら、直接教室には入れませんでした。カウンセリングルームに登校して、まずはカウンセリングルームのところに居どころを見付けたという状況であります。その後にカウンセラーの方、それから担任が連携して、教員や同級生との橋渡しを行っていきました。

しかしながら、残念ながら、ゴールデンウイーク明けた頃でしたか、改めてまた不登校になってしまったという状況があります。実は、カウンセラーの家庭訪問は、東京都の場合は認めていません。そこでカウンセラーの方とソーシャルワーカーの方との連携を図っていきました。

家庭訪問をしている中から、心理的な面とともに実際の生活をする上での問題点は幾つかソーシャルワーカーの方から報告を受けました。それを受けて、どう対応していこうかということで、カウンセラー、担任、そしてソーシャルワーカーと校内で会議を開いて、週の何曜日は担任が連絡をとる。カウンセラーの方は来ている何曜日に連絡をする。ソーシャルワーカーの方は、その2人が行かないところで、又は連絡をとらないところで家庭訪問をしてみるようにして、3者がいろいろな形でアプローチをしていったという状況があります。

それとともに、ソーシャルワーカーの方と児童相談所、それから精神科の病院。子供が通っていた病院との関係も作っていって、実際に学校とカウンセラーとソーシャルワーカーとが全てのところとつながっているような状況を作ってきました。その中で家庭を支えながら、本人を支えながら対応していったという状況があります。

実際にこのお子さんについては、なかなか学校に来られない状況は現在のところでも改善されていないという状況があります。しかしながら、連絡はとれています。つながりはできているという状況です。

次に8ページをご覧いただきたいんですけれども、このようなカウンセラーとソーシャルワーカーと担任とが互いに情報交換をしながら対応していった中で、そのまとめとして3つの点を挙げさせていただいています。

カウンセラーの方については、校内の教育相談体制に位置付けられることで、より専門性を発揮することができたと書いてありますが、実は、このA君に限らず、カウンセラーの方が学校の中で力を発揮していただくに当たっては、カウンセラーの方の持っている情報を学校がどのように共有するかということが非常に大事です。この学校の中では週に1回カウンセラーの方が来るときに、生徒指導部会を開いて、その中にカウンセラーの方に参加してもらう形をとっています。ですから、カウンセラーの目から見て気になる子、又はカウンセリングをしている中で出てきている話題については、ここで共有するということが、全体としてまず1つあります。それとともにカウンセラーの方は、勤務を終えたその日のうちに管理職には必ず連絡をする、報告をするということをしています。

その中から、この子については少し気になるところがあるという場合には担任の先生に話をして、1週間後、またカウンセラーの方が来るまでのところで、やはり注意しておかなければならない、配慮しておかなければならないところについては、そこで話をして十分な配慮をもって指導に当たる、又は子供の観察に当たるということをしています。

それで校内相談体制に位置付けられることで、より専門性を発揮することができたというのは、そういう意味です。組織の一員として意見交換、情報共有する場を持って、そこで専門性を発揮してもらうということです。

それと、組織として対応する。担任、カウンセラー、ソーシャルワーカー、そして保護者も含めて連携した対応を子供たちに対して行うことによって、保護者の安心感は大きいという状況があります。

3つ目が、カウンセラーにもソーシャルワーカーにも、それぞれ専門性があります。それがどのように連携していくかということが非常に大事なところであります。今回の場合は担任も含めて連携を図っておりますけれども、学校の中でカウンセラーが心理的なケアを行い、学校の外で家庭とのつながり、また、場合によっては家庭と福祉の機関との連携をスクールソーシャルワーカーの方が作る中で、対応の幅がますます広がっていっているという状況が、この中ではありました。

次に、9ページです。東京都におきましては、いじめの総合対策ということで、公立学校が対象になりますが、その中で幾つもの対策を打っています。それを概略的にまとめたものが、今お手元にあるものであります。

ポイントは4つ、そこに挙げさせていただいていますけれども、教員の指導力の向上、そして組織的な対応。子供からの声を確実に受け止めること、そして子供を守り通すこと。ポイントの3つ目として、いじめを見て見ぬふりせず声を上げられる学校作りをしていこう。これは教員もそうですけれども、子供たちにも、そういう面を担ってほしいと考えています。あとは保護者・地域・関係機関との連携、一体となってやっていこうという話であります。その中で、カウンセラーの方やソーシャルワーカーの方が担う役割というのもあります。

こういう4つのポイントを、次の10ページの未然防止から重大事態への対処の4つの段階に合わせて見ていった中で、カウンセラーの方にはどういうところをお願いしているかというと、11ページのところで、未然防止と早期発見の段階で、スクールカウンセラーによる小学校5年生、中学校1年生、高等学校1年生の全員面接、これを26年度から行っています。

これは幾つかの目的がありますけれども、一番大きいところは、子供たちが相談できるということです。例えばカウンセリングルームに行く、相談室に行くということに、抵抗感がどうしてもある。その抵抗感を減らしていきたいというのがあります。教員に相談する、カウンセラーに相談する、親に相談する、友達に相談する、様々な形があります。その中で子供たちがカウンセラーの方と誰もが顔見知りで、しかも、いざというときに、ちょっと行ってみようかなという状況をどこでも作り出したいというのがあります。それが、この小5・中1・高1と、3つの学校種の中で、それぞれやっているということです。

実際に小学校5年生のときに全員面接をやります。その中でいじめの情報が出てくるかというと、必ずしもそうではありません。年に1回、2回ですので。学校によっては、1回にとどまらず何回もやっているというところがあるようですけれども、要は、ここで全員面接をやる中で少しでも関係を作っていこう。その中でリピーターがいた場合には、もっと関係を深めていく。

実際に非常に苦しくなったとき、誰もがカウンセラーの部屋に行ったことがある、特別なことではない、そういうこともあって抵抗感を下げていきたいということはあります。

そして実際に中1。中学生にとっては、ゴールデンウイーク近辺が、やはり1つのターニングポイントになります。人間関係が変わってくるところを捉えて、子供たちの声を聞いて、子供がいざというときに扉をたたけると、そういうところも中学校でやっていこうということです。

このように、小学校でも中学校でも繰り返してやっていく中で、教育相談への抵抗感を減らしていくことをしていきたいということで、総合対策に載せています。

そのほか12ページ、13ページの中では教員への研修。あとは、実際に大きいことが起こった場合にカウンセラーの方、それからソーシャルワーカーの方に果たしていただく役割。心理的なケア。そういうことをまとめさせていただいています。

特に12ページについては、教員への効果的な面接の手法の助言ですが、未然防止・早期発見の中では、教員の感度をどう高めていくかということが非常に大事です。いじめに気付くか気付かないかというのは、教員の意識は非常に大きいところがあるかと思います。そこで、教員の感度を高めるということが、まず1つあります。それとともに、子供たちが教員に話を伝えやすい雰囲気を作っていく。そのためにカウンセラーの方々の助言、それが非常に重要です。そこでカウンセラーの方の役割として、そのような3つの話も入れているということであります。

13ページについては、先ほども申しましたとおり早期対応、それから重大事態への対処に当たって、そのケア、これを被害、加害、周囲の子供、そして保護者など、そういう方々のケアをお願いしたいということで、総合対策に載せているということであります。

以上、このような形で東京都の取組についてお話をさせていただきました。ありがとうございました。

【小川主査】  山本統括指導主事、ありがとうございました。

それでは、続けて石川副会長の意見発表、よろしくお願いいたします。

【石川副会長】  石川悦子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私は東京臨床心理士会の副会長で、スクールカウンセラー事業の研修などのまとめ役をさせていただいておりますけれども、私自身、この8年間で3校の中学校でカウンセラーをしてまいりました。

それでは、スクールカウンセラーの役割と活動の在り方という資料をご参照ください。1枚目、活用事業の趣旨等につきましては、今御説明がありましたので割愛させていただきますが、学校の中で、そういった専門的な知見を生かしながら学校チームの一員として活動していくというのが、このスクールカウンセラーの大きな事業目的だと理解しています。

次のページを開いていただきますと、全国の配置状況が書いてございます。平成7年度、全国154校で始まったこの事業は、都内におきましても4校という小規模から始まりましたけれども、時を経まして、今年度は2万4,000校近い学校に派遣されているということで、大変ありがたいことだと思っております。

次のページは、スクールカウンセラーはどのような人間がやっているかということですけれども、ここに書いてございますように、臨床心理士、精神科医、そして大学教員というような形になっています。昨今、また準ずる者というのが活用されている都道府県もございますけれども、東京都の場合は、この(1)の方で、ほぼ100%、臨床心理士という結果になっております。

次のページでございますけれども、このスクールカウンセラーが活用される流れとしましては、不登校やいじめ・自殺問題など、子供たちの間に非常に深刻な問題があるということや、阪神淡路大震災などのときの心のケア、そういったいろいろな子供たちの心のありようと関わるような様々な問題が発現してきたという背景があることは、皆様御存じのとおりと思います。

平成7年度、調査委託事業として始まりましたけれども、13年度の事業補助になりまして、今まで続いております。事業補助ですので、都道府県の予算が関わってまいりまして、広く日本を見ますと、自治体によって多少SCの配置状況は変わってくるということです。

東京都の場合は、御案内のように単独配置です。つまり、1人の人間が1校に年間35回、1日7時間45分ということで配置されています。

スクールカウンセラーの主な職務をまとめてみますと、この児童生徒への相談・助言というのが挙がってきますけれども、教職員へのコンサルテーションや研修を行うこと、アセスメントをきちんと行って対応を考えるということ、それから保護者や関係機関と連携を図りながら広がりを持ったコミュニティワークをしていくことが非常に大事ということになっております。また、予防・開発的な観点からストレスマネジメント等の予防的対応をしたり、例えば児童生徒さんが何か事故に巻き込まれたりとか、そういったときには危機対応における心のケアを実践していくということがございまして、何か問題が起きたときには、そのことに集中的に対応させていただきますし、また日頃から学校の中におりますので、未然防止や早期対応に寄与するということがあると思って活動しております。

次のページ、裏を開いていただきまして、具体的なところで、私がどのように1日活動させていただいているかというのを御紹介させていただきました。ある1日ですけれども、8時15分の職員朝会に参加するところから始まります。そしてその後、暖房などを入れて相談室を整えて、誰でもすぐに相談室が使えるようにということで、ちょっと掃除をしたりしながら部屋を整えます。管理職や学年主任、養護教諭等と1週間の情報共有をして、学校の流れ、それから子供たちの様子を共有しながら、いろいろ段取りを考えます。

そうしますと、朝から保護者から電話が掛かってきまして、例えば、きょうはちょっと学校に行けそうにないとか、遅刻していくとか、いろいろな連絡が来ますので、それを受けたりしながら保護者面談というのが、急に決まることも結構多いですけれども、予約の方もおられます。

私は日頃の子供たちの様子を見ていたいので、必ず1時間、授業参観をすることにしていまして、授業に入らせていただいて、子供たちの様子を見ます。

そうしているうちに保護者面談が入ってきまして、それからお昼近くになりますと、どうしても不登校傾向の子の相談室登校がございますので、その子が来ることになります。話もしますけれども、学習も大事です。なるべく学習をしながら教室復帰を目指していくということもございますし、あるいは高校受験などもございますので、担任教諭と連携を図りながら、どのような学習をしようかとか話をします。編み物と書きましたけれども、手先を動かすことは彼らの活動性につながりますので、少し絵を描いたり、手を動かしたり、給食を一緒に食べたりなどします。

相談室登校の子は、意外と長い時間いるのですが、その間、そこだけにいるわけにはいかないので、昼休みは、例えば中1の生徒で発達障害の子供にSSTをやる必要があるので、ソーシャルスキルトレーニングを別室でやったりしています。また午後、保護者面談が入ることがございます。

こういった活動は全て記録に書きまして、管理職には提出して帰る、それから必要なことは担任の先生や学年主任に伝えて帰るということを心掛けております。

先ほど校内委員会や生活指導部会にスクールカウンセラーが出席することの重要性ということを言っていただきましたけれども、私の学校では校内委員会という形で、少し特別支援も一緒に入ったような形の委員会がございまして、そこに出席をして、いろいろ学校内で起きていることの情報共有をして、また対策などを考えているというような形でございます。

次の写真は、私が利用させていただいている部屋ですけれども、ここに相談室登校の子がいますと、ここの部屋がその子で塞がりますので、隣にも少し多目的室のようなものがあって、いつも2つぐらい使わせていただきながら、あちこち行きながら活動しています。

その次のページですけれども、東京都のカウンセラーの配置状況は、先ほど山本統括から御説明がありましたとおりです。15年度に中学校は全校配置になったということで、今年度は1,236名の人間が2,112校に派遣されている形になって、本当に全校配置という形になって、私どももありがたく、また一生懸命働いているところです。

その次のページです。東京都のスクールカウンセラーの職務は先ほど御説明がありましたので割愛させていただきますけれども、茶色のところですが、地方公務員法に規定する特別職の非常勤職員ということで、守秘義務などを遵守しながら活動しております。

記録なども、もし開示請求にあったときにも耐えられるようなものということで気を付けながら書いております。

その裏ですが、学校が望むスクールカウンセラーとはどのようなものだろうと、いつも客観的にセルフモニタリングをしながら活動したいと思いまして、いろいろな学校の先生などに伺うことがありますけれども、このようなことが挙げられるかと思います。

教員の考え方をしっかり理解して、そして先生方に適切な助言ができることや、学校から要請があった場合には校内研修の講師になったり、管理職への報・連・相がきちんとできたりですね。それから専門的な知識を分かりやすく説明するということが大事。また人間関係を大事にしてということが必要だと思いますし、一番下の、地域の専門機関の情報を知っていて、例えば、こういう問題ではこういった医療機関がいいのではないか、こういう児童福祉施設がいいのではないかなど、いろいろなことを知って、助言のときにも役立てていくことが大事だと思っております。

スクールカウンセラーも1人職場でございますので、お互いに研修し合うこと、それからフォローアップし合うこと、スキルアップすることが大事でございますので、次のページは全国のスクールカウンセラー活動を支える3団体というようなことでやっておりまして、全国でもいろいろな情報共有をしながらやっているというところです。

その裏をめくっていただきますと、東京でも先ほど申し上げたように1,000人以上の人間がスクールカウンセラーとして活動しておりますので、私どもは東京臨床心理士会の中に、この東京学校臨床心理研究会という研究会を作りまして、平成8年度からずっと活動を続けてまいりました。お互いに研修をしたり、研さんをしたりという団体でございます。

平成8年度は20名程度でございましたけれども、今年度は1,000名以上の人間が登録をして、全体会や分科会といったいろいろな形で研修をして、お互いにスキルアップを図っています。

次のページですけれども、スクールカウンセラーが校内にいる利点を生かした活動を大事にしていきたいと思って、どのようなものだろうかということでまとめてみました。

例えば外部の教育相談室や病院など、いろいろなところに、いわゆるカウンセラーはおりますし、私たちの仲間が働いておりますけれども、しかし私どもは、とにかく学校の中に週1回でも入らせていただくので、その利点を生かして活動していくことができるし、それが大事ということですよね。

学校の中にいますので、非常に問題が顕在化しているときと、そうでもなく大変平和なときも、もちろんあるわけですけれども、教職員が校内で継続的に気軽に相談できるというところがいいのではないかと思います。

そして、何かの問題に至ってはPDCAサイクルで計画をして、チェックをしながら、検証しながら、修正しながらということで、継続的にやっていくということですね。

また、教師とは異なる見方や専門性を発揮するということで、子供たちの平時の様子を見せていただくと言いましたけれども、そういった中でも、教室の中で気になる子や、ちょっとしたやりとり、廊下でのやりとり、給食時のやりとりなどで気になることを担任の先生にお伝えするなどですね。ふっと見たときの子供たちの顔色が気になるときなどはお伝えするとか、そのようなことをやったりしています。

相談者の味方・理解者として存在するということも、もちろんございます。

また、5番目のポツですけれども、校内だけでは対応に限界がある事例に対しては、先ほど申し上げたように、いろいろな機関を使いながら、やはり広がりのある対応することが大事だということで、そういう助言などもさせていただいたり、それから校内研修の講師を務めるということで、一番下に書きましたけれども、要配慮の児童生徒のみではなくて、学校全体で、未然防止や、予防的なこと、早期発見など、そういうことに寄与していくことも非常に大事で、そういったことが全体の教育相談体制の充実につながっていくかと思っています。

学校によっては、例えば、よく個人面談というのは担任の先生とクラスの子供が面談をすると大体決まっておりますけれども、そうではなくて、子供の方から好きな先生選んで面談しようなんて、そういうカウンセリング週間をやっているところもあります。そんなときに、そんなことを御提案したりしながら、いろいろ少し動きのある教育相談体制の充実ということにも助言させていただいたりしております。

私も事例を御紹介したいと思ったのですが、簡単に申し上げますと、先ほど山本統括が御紹介くださったような事例に近いですけれども、例えば少し子供たちの様子がおかしいときに、近所のお母様から、「何々ちゃんの弟さんが随分夕方までうろうろしていて、泊まりたいなって言ったりするんですよ」ということを聞かせてくれたりします。それで、それはどういうことが起きているのかな。その小さい弟が誰々のうちに泊まりたいなんて、どういうことかなと思ったりして、担任の先生と相談して、当該中学生に声を掛けてみようということで。そのときに中学校の中で何か問題があったわけではないんですけれども、話してみようかということで話しているうちに、例えばAちゃんだったら、Aちゃんと話しているときに、Aちゃんの腕に傷を見付けたんですね。それで、「その傷どうしたの」なんて言っているうちに、実は、本当のお父さんではないのだけど家に来ている人がいて、その人が、お母さんが仕事中で、お母さんが知らないんだけど、いろいろ乱暴なことすることあるということがありました。いろいろ聞いているうちに、意外とそれは深刻であったので、そのまま警察とも連携をとって、そして児童相談所に一時保護をしていただいている間にケースワーカーさん、児童福祉司さんがいろいろ家庭環境の調整を図ってくださって問題が解決したという事案もございます。

それから、例えば、ある子が非行傾向なのですが、大きな問題を起こさないんですけれども、いろいろ起こす。これは虞犯少年として、いつか非行少年になってしまう、触法少年になってしまうかなというときも、かなり早く子供家庭支援センターから児童相談所のケースワーカーにつなげて、大きな事件になる前に、家庭環境も乱れていたものですから、保護してもらって、児童自立支援施設に預かっていただいて、随分家庭の中がリズムが整って、子供の成長も促進されまして、また戻ってきたというケースもございますので、学校の気付きを、いろいろな広がりのある対応に広げていきたいと思って、いつも活動させていただいております。

次のページでございます。何か問題があったときに、この三次支援的な、上の介入的なレベルということもあるのですけれども、せっかく学校の中に配置してもらっているので、日頃の気付きなどを広げていく、この日常レベルの活動も大事にしながらと思っております。

先ほど説明がありました、この全員面接でございますけれども、今年やりました。全校で、学校行事と重なるなど、いろいろな苦労がそれぞれの学校でありましたけれども、一応みんなやったのです。

私も中学1年生に1人大体15分で会いましたけれども、1人ずつ会うと親しみも違いますし、また小学校時代の人間関係や、家族のこと、いろいろなことを意外と素直に聞かせてくれて、日頃の子供たちの姿を知ることもできました。またそれが、2か月、3か月ぐらいしたときに、対応が必要なときに、非常に関わりやすかったということもありますので、これは、また1年終われば、また次の学年ということで、だんだんに、中学、高校の場合は、二、三年すると、とりあえず全員会ったということになると思いますので、この活動を広げながら、全員面接をしただけではなくて、その次につなげていくなどしていきたいと思っております。

校内研修も一次支援に入ると思うのですが、どんなものをやっているかといいますと、ここに書きましたように、教職員向けであったり、児童生徒向けであったり、保護者・地域向けということで、その時々のニーズに合わせて、そんなに年間何回も機会はありませんけれども、しかし、これがいいかなというものを先生方とよく話し合いまして、やっています。

例えば児童生徒向けなどでは、私はエゴグラムを使ったりするのも好きなのですけれども、そういうことで自分のことを少し特徴を見てもらいながら、ストレスマネジメントのようなやり方を伝えて、最後のページになりますが、こういった子供たちに、例えば、こういう14ぐらいのスキルがあるといいんですよといって、挨拶したり、しっかり聞いたり、上手に質問したり、それから9番目あたり、はっきり伝えたり、断るときはきちんと断った方がいいんだとか、それから11番目、頼むときは優しく頼むんだ、乱暴に頼むんじゃないんだとか、そのようなことを例を挙げながら、50分ぐらいですけれども、いろいろな心の授業も、機会があるとやらせていただいております。

先ほどの全員面接ですけれども、私どもでも研究会で、1,300校分ぐらいのアンケートがとれたので、スクールカウンセラーにアンケートしてみました。今年、初年度なので、また経年的に見ていかなければいけませんが、どんな効果が実感できたかというと、子供たちが相談したりしてくれる、ハードルが下がったのではないかということですね。それから、あとはスクールカウンセラーがこういう人間だよということを分かってもらえたとか、PR活動にもつながったか、また部屋も見てもらえたかというようなことですね。また、私どもの児童生徒理解が進んだということ。あるいは教職員と、そのことをやる話し合いの中で、いろいろな情報交換ができたということも非常に良かったと思っています。

いじめに特化したことであると、まだまだ、未知数の部分もありますけれども、私も子供たちと会いながら、複雑な人間関係を引きずりながら中学校に入ってきたとか、いろいろなことを聞いていますので、そういったことが何とかうまくいくように見守っていきたいなと思って、担任の先生方とも共有したりしております。

なので、今、週1回の活動時間ということで、そういう限られた時間ではありますけれども、なるべく私どもの活動が、その1週間のほかの5日間にも何とか先生方に、何かあったときにはこんなこと、それから、あの子にはこんなことがあるので、先生見ていてくださいということで連携を図りながら、うまく学校の中でチームとして動いていきたい、またそういうふうにしていかれたらいいなと思っております。

なので、将来的には週2日、3日、派遣していただけると、大変ありがたいなと思っておりますけれども、私どもも努力をしながら、スクールカウンセラーとして、そしてまたいろいろな多職種の方とも連携を図りながら活動を広げ、子供たちのために貢献していきたいと思っております。

以上でございます。ありがとうございました。

【小川主査】  石川副会長、ありがとうございました。

それでは最後に横井先生、よろしくお願いします。

【横井助教】  横井です。資料は、資料3と記してございます提出資料と、ただいまお配りしておりますペラ物1枚、そして新聞記事を印刷したものを2種類配付させていただいております。

それでは、説明をしてまいりたいと思います。私は平成21年度から文部科学省のスクールソーシャルワーカー活用事業で、都道府県のスクールソーシャルワーカーに従事して6年目になります。そのほかにも市町のスクールソーシャルワーカー、いじめ防止で予算が取られた、いじめ防止スクールソーシャルワーカーや、支援教育のアドバイザーなどとして活動をしております。

表紙は、スクールソーシャルワークの先進地であるシカゴのスクールソーシャルワーカーの、左手が執務室になっています。ガラス張りになっていますね。お隣に密に連携する職種、言語聴覚士の方のお部屋がございます。

1枚めくっていただきまして、早速、スクールソーシャルワーカーとはどういう職種なのかということと仕事の内容、またチーム学校にどのように関係していくのか、私なりに考えたところをお話ししてまいりたいと思います。

まず1ページになりますが、スクールソーシャルワークとはということで、日本の様々な研究者の方々がいろいろな表現をしています。上に行くごとに新しい定義になっておりますが、要は、学校をベースとして、あるいは教育をベースとして展開する、そのソーシャルワークというものの一領域という捉え方でございます。

1枚めくっていただきまして、ソーシャルワークとは何かということにつきましては、2ページのように国際定義がございます。ソーシャルワークのグローバル定義といいまして、昨年の7月に新たに採択されて、国際定義が新しくなったばかりでございます。

これも非常に難しいといいますか、専門外の皆様には分かりづらい定義だろうと思いますが、アンダーラインを私の方で引かせていただきましたように、要は社会正義、公正さや人権、それから個人の責任に帰するのではなくて集団で責任を負うていくということ、それから多様性尊重の原理、そうしたことを念頭に置きながら、あるいは肝に銘じながら実践をしていく。

どういう実践かといいますと、理論的にはカウンセラーのような心理学ではなく、「社会科学、人文科学等の専門知識を基盤として」、「生活課題に取り組む」ということがポイントでございます。そしてウェルビーイング、つまり福祉を高めるように人々、あるいは人々だけではなく様々な構造に働き掛けるというところが、私どもの仕事の中核になります。

これを実践するのがソーシャルワーカーでございますけれども、日本では社会福祉士、それから精神保健福祉士という名前で、名称独占で国家資格化されております。

配置されているのは福祉事務所の生活保護の部門や児童相談所等、それから専門機関で精神保健福祉センターや発達障害者支援センターなど、法律に基づいて、それぞれのいろいろな生活上の課題を抱える方々を支援する公的機関等、また福祉施設など、児童養護施設もその一つですけれども、あと、福祉サービスの事業所、病院ですね。あと、刑期を終えた方の社会復帰等を支援する専門職としても活動をしています。これを2008年から文部科学省が事業化して学校現場に配置、派遣したのがスクールソーシャルワーカーです。

文部科学省のスクールソーシャルワーカー活用事業実施要がございます。それによれば、事業の趣旨としましては、「いじめ、不登校、暴力行為、児童虐待など生徒指導上の課題に対応するため、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉等の専門的な知識・技術を用いて、児童生徒の置かれた様々な環境に働き掛けて支援を行う」ということになっております。ちなみに、この事業の実施主体は都道府県・指定都市・中核市でございます。

職務内容と資格についてです。文部科学省では、以上に挙げたような専門資格を有する者が望ましいのですけれども、「地域や学校の実情に応じて、福祉や教育の分野において専門知識・技術を有する者、又は活動経験等の実績がある者」ということになっております。

職務内容は、まず第1に「児童生徒の環境への働き掛け」。それから2番目としまして、「関係機関とのネットワーク構築や連携・調整」。これは連携・調整が社会福祉士、精神保健福祉士の仕事の重要な一部に規定されているからでございます。それから「学校内におけるチーム体制の構築・支援」。そして、これが一番目に見えやすい、「保護者、教職員等に対する支援・相談・情報提供」。そして「教職員等への研修活動」となっております。

ですので、ここからお分かりいただけることは、スクールカウンセラーと違いまして、1つの部屋を、相談室を拠点にした活動というよりは、職員室などに机を置いて、電話でいろいろなところと交渉したり、関係機関に出向いていったりというようなことも活動の中に入ってまいります。

この事業が始まりました背景といたしましては、導入当時、不登校、暴力行為の統計数値がピークでございました。いじめ、児童虐待についても周知のとおりでございます。それから平成19年4月に学校教育法改正が施行となりまして、特別支援教育がどの教室でも行われなければならないということになった。外国につながりのある子供、性同一性障害の子供等々。そして最近では、いじめ防止対策推進法の中に心理及び福祉の専門職を活用して実効性のある防止活動、対応を行うこととなっております。また昨年、子供の貧困防止法の対策大綱が公表されまして、それに基づいて増員が予定されているということも記憶に新しいところです。

スクールカウンセラーとの役割の違いについて少し触れておきたいと思いますが、別に1枚配りました資料、東京学芸大学が作成したものですけれども、役割分担の違いのイメージという図をごらんいただければと思います。

スクールカウンセラーが非常に受容的で心理面に働き掛けを行うのに対して、スクールソーシャルワーカーは、やや社会面に対応範囲を広げています。そして教員に比べると、より受容的という意味では、スクールカウンセラーと同等であるということです。

養護教諭や特別支援コーディネーターの役割も書かれて、イメージされていますので、御参照いただければと思います。

それでは資料の方に戻ります。学校現場に現れる多様な子供の課題ということで、学校現場では本当にいろいろな種類の様々な子供の課題が出てまいります。しかし、よくアセスメントを行うと、色分けできる、あるいは重症度を見立てることができるのでございます。家庭背景に原因があるもの、あるいはいろいろと発達の課題が影響しているもの等があります。

これらのいろいろな課題を、次にめくっていただきますと、教員の方、非常にこの子のために学校がやれることは何だろうと自問自答されるわけですけれども、今のようにたくさんの課題に対処しているだけでは、なかなか問題が減らないです。家庭背景に目を向けて、実効性のある取組を選択していく必要があるわけです。

なぜならば、9ページをごらんいただきますと、これは1つの調査の結果ですけれども、子供・家庭の課題というのは昨今では非常に複合しております。しかも、これらの問題が潜在しており、学校現場、教師の目からはなかなか見えない、見てとることがしにくい状態なのだと考えられます。

そこで、10ページですけれども、スクールソーシャルワーカーのことが書かれた文部科学省の『生徒指導提要』という生徒指導の基本書がございます。そこで、2番目のポツを見ていただきますと、「学校はスクールソーシャルワーカーを活用し、児童生徒の様々な情報を整理統合し、アセスメント、プランニングをした上で、教職員がチームで問題を抱えた児童生徒の支援をすることが重要です。また、教職員にスクールソーシャルワーク的な視点や手法を獲得させ、それらを学校現場に定着させることも同様に重要だ」と書いてございます。こうしたことが学校からスクールソーシャルワーカーに期待されることと理解しております。

それで、先ほどのように様々な問題が混在する状態から、今まさにここで対応の必要な事例に焦点を当てて、11ページにありますようなPDCAのサイクルに乗せていくこと、そしてこのサイクルをなるべく早いペースで回していくことが問題の解決・改善につながっていくと考えられます。まずアセスメントをして、この正確なアセスメントを、できればたくさんの方々、校内の方、関係機関の方、特にスクールカウンセラーとの連携は大事と思いますけれども、丁寧に、しっかりとアセスメントしていく。それに応じて、具体的で達成可能なプランニングをしていく。それを実行した場合は、振り返って、またアセスメントに生かしていくということを、連携や協働の下でやっていく必要がございます。

教員の「困り感」の例としましては、縷々述べていると、時間に制限が出てしまいますので、書いてある資料をごらんいただければと思います。よく見られる、聞かれることだと思います。

そして私どもに入ってくるルートとしましては、13ページにあるように、いろいろな学校の核となる教員の方、あるいは養護教諭やスクールカウンセラーの方との情報交換の中から、また教育委員会の指導主事からの要請により、あとは自分自身で児童観察をする。といいますのは、東京都の山本統括のお話の中では、東京都で2種類と、派遣型と巡回型をおっしゃっていましたけれども、これに加えて配置型という学校配置型がございますので、時間が十分にある場合は、あるいはなくても意図して、意図的に児童を観察するというようなことがございます。そうした中から発見できるということもあります。

それから、いろいろな、先ほど石川先生がおっしゃったような学校内の定例部会等に参加する。

また、いじめ防止のために生活アンケートを閲覧したり、不登校防止のための欠席日数調査などの組織的なスクリーニングを通じてということです。

いずれの場合にも、学校がスクールソーシャルワーカー活用を意思決定して、教育委員会等、スクールソーシャルワーカーを置くところに派遣を要請していくということです。

支援過程については少し専門的になりますので、先ほどのPDCAサイクルとほぼ同じです。ただ、はっきりした目標、現実可能な目標を、子供の強みに焦点を当てて、しっかりと目標を定めること。それに向けて、しっかりと関係機関等を含めて、あるいは校内の多職種で役割分担をしてプランを実行していくというのがポイントになります。

また、1つの事例を見るときに、その子供と家族のみに焦点を当てるのでなく、小さなところでは学級の中の小集団ですとか学級集団、あるいは学校という組織、そしてそういったところから更に目を広げて、メゾレベル。学校、PTA、市町村レベルのいろいろな人など機関がございます。そうしたものをいかに活用しながら連携していくのか、実効性のある連携をとっていくかということを考えます。また生活保護制度や児童保護の制度、マクロにも焦点を当てていく。そして、それぞれのスキルを使いながら、同時並行でこれらを並行して行っていくということですね。したがいまして、職員室にいて電話を掛け続けるというようなことも、場面としては出てくるわけです。

16ページに行きます。メゾ、ミクロ、マクロの定義は研究者によって若干異なっておりますけれども、これを学校でということで図に置き換えた場合には、一番上の子供、家族を地域資源や学校の教師などにつなげること、そしてそれをメゾレベルで学校組織を調整して、チーム体制作りの支援をしていくこと、さらに、市町村レベルでそれがしっかりと可能になって、仕組み化されるというようなことですね。マクロの中に教育委員会も視点に置きながら、自分が所属するところ、あるいはしっかりと連携するところである教育委員会という組織も視野に入れながら働き掛けをしていきます。

基本的な姿勢としましては、時間の関係で割愛をさせていただきます。問題よりも可能性に目を向けて働き掛けをしていくということです。そして子供の利益を第一に考えていく。この点はスクールカウンセラーと非常に共通するところだと思います。子供の願いや保護者の意向にしっかりと目を当てて、聞き取り、引き出し、代弁していく。それを関係機関や教職員の皆様と共有していくことの大切さがございます。

こうした活動を通じて、19ページにございますように、学校・地域のリスクマネジメントにつながっていって、地域のつながりや機能も変わっていくことができるということです。

対応する問題としましては、20ページにございますように、かなり広くなっています。被災経験のある子供や外国籍、外国につながりのある子供なども、地区や場合によっては入ってまいります。そして進路指導ですね。発達障害を抱える子供、不登校の子供などの進路指導のサポートも重要な役割になっていると思います。

そして21ページ、これらのことをやるために教育委員会との連携が非常に重要になってまいります。教育委員会に私どもは所属して、所属は教育委員会に置きながら、実際には学校長の責任や指示の下で動くということでございますので、常に学校管理職の視点を持つことが実際上は求められてまいります。特に人権尊重やリスクマネジメントの視点ですね。そして首長部局とのパイプ作りを、教育委員会を仲立ちとして行っていくこと。顔の見える関係を作っていくことですね。そういったことが、「下請け」や「丸投げ」ではないパートナーシップの下で「協働」がなされなければ、なかなかいい動きができないと考えております。

市町村教育委員会が事例レベルで学校・地域の課題を把握して、成果指標を明らかにして専門職を活用する必要性がございます。また、市町村教育委員会の指導主事等が、スクールソーシャルワーカーと学校との仲立ちをしっかりとしていただく必要性がございます。

次のページです。スクールソーシャルワーカーの効果的な動きをモデル化したものでございます。これに関しては資料を持ってきてございますので、御関心のある方は後ほど受け取っていただければと思います。書籍のチラシ等も用意してございます。

これはスクールソーシャルワーカーのみの実践プロセスになっておりますけれども、もう一つ、これとリンクした形で教育委員会の事業計画、事業組織化ですね。事業組織化の実践を図式化したモデルもございます。そして、両方が車の両輪のようにリンクさせるということが重要です。

課題としましては、次の23ページの調査結果で出しましたけれども、平成12年の調査でございます。資格の問題ですね。まだまだ専門資格を有する者が足りないということ、養成の問題がございます。

それから24ページ、配属先の問題です。予算の制約もある中で、それから人材に限りもある中で、どのように配属していくのかということがございます。配置形態、配属先については数値のような状況になっております。

僣越ですけれども、拙著紹介をもって報告を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。

【小川主査】  ありがとうございました。

残り50分ほど質疑応答、意見交換の時間がありますので、これから質問及び意見交換をしていきたいと思います。どなたに対しても、どなたからでも御自由に御質問、御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。

【横井助教】  ちょっと補足させていただけますか。

【小川主査】  よろしくお願いします。

【横井助教】  新聞記事、2種類ございまして、B4のものがございます。これは、配置型で直接支援型のスクールソーシャルワーカーを新聞記者が密着してレポートしたものでございます。そのつもりで、直接子供に支援していくタイプのソーシャルワーカーの動きだと御理解ください。

それからA3版の方は、両面刷りですけれども、片面に今回の川崎中1殺害に関して新聞に掲載されている記事を抜き出してまいりました。

その裏面が子供の貧困に関する、貧困とスクールソーシャルワーカーがどのように関係するかということが記事になったものでございます。

【小川主査】  それでは委員の皆さん、いかがでしょうか。藤原委員、どうぞ。

【藤原委員】  三人の皆さん、どうもありがとうございました。大変勉強になりました。

お話を聞きながら、専門職の皆さんと一緒に働きながら、そしてその力を生かす教員の力、あるいは学校管理職の力が逆に問われてくるということを強く感じた次第でございます。そういった意味におきましては、教員養成の在り方や、あるいはこの作業部会での課題でもありますけれども、学校管理職の研修の在り方等々にも、このチーム学校という観点が不可欠なのだろうということを確信いたしました。

その上でお尋ねしたいのが、三人にお尋ねしたいんですが、時間の関係でお一人だけ、石川副会長に是非お尋ねしたいんですけれども、よろしいでしょうか。

【石川副会長】  はい。

【藤原委員】  石川副会長から、校長先生が求めるスクールカウンセラーの姿というのをお示しいただいたんですけれども、申し上げましたような観点、つまりいろいろな職種の人の力を生かす管理職という観点がこれから大事になってくると思います。ですから、そういう観点で、もちろん一人一人の校長先生は個別の状況の中でお仕事されているわけでございますけれども、スクールカウンセラーの力をフルに生かしているような校長先生は、どういう特徴や質、能力をお持ちなのだろうかというあたりについての経験からのお知恵を頂けたら幸いでございます。

【石川副会長】  例えば、どのクラス、自由に見てもいいというふうに、全ての先生たちに、この学校は開放的で、誰が、いつ授業を見てもいいような形になっているんだと。それは、もちろんスクールカウンセラーだけにじゃなくて、保護者などに対してもオープンになっているということでしょうけれども、やっぱり、そういう学校の雰囲気作りがありますと、非常に教室の中で起きていることなどが密室化しないでオープンなんですよね。だから、それはやっぱり管理職の考え方で、そういう学校にしていこうとか、誰が見てもらってもいいようにしている。そういうことも本当に大きなことで。

私どもでも教室に入るのは遠慮もあって申し訳ないと思いながら、そっとドアを開けるわけですけれども、受け入れていただきますと大変授業観察もしやすいので、まず、それも大きなことだと思うんですね。

それから、先ほど定例の教育相談部会でも、生徒指導部会でも、名前は何でもいいですし、もちろんスクールカウンセラー、週1回なので、その日に、その会議体を合わせていただくということは大変、先生方、御苦労のあることだと思うのですが、その会議にスクールカウンセラーを出させようというような形をとっていただけますと、大変私どもとしてはありがたいです。

実は今、私が行っている学校も、だんだん、子供たちが減って、クラス数が減ってきますと、なかなか、いわゆる授業時間帯にそういう会議をとることは難しくなっているんですね。ですから、もちろん4時からとか、そのようになりますけれども、それはそれで、みんなが、部活から抜けてきたりということで、先生方も協力し合いながら、そういう会議を持つと。そこで情報交換して、とにかく対策を考えようということをしている。それも、やはり管理職の考え方で、それをやろうということですよね。

ですから、そういった大きな枠組みがありますと、それからまた私どもが報告したこと、御連絡したことを、やはりきちっと見ていただいて、このことは例えば担任のここに言っておいたとか、そのような連携がございますと、非常にそこがパイプのつながり、パイプの太いものを感じまして、大変ありがたく存じます。

私どもは、学校の先生というのは、本当に分かりやすい授業とか、最近ユニバーサルデザイン、いろいろ言われますので、やはり授業とか教材研究に非常に力注いでいただきたいと思っています。ですので、少しでも私たちで役立てることがあったら、いろいろなことやらせていただきたいので、そういったことで管理職の先生が、「もしクラスのことで困っていたら抱え込まないで、どんどんいろいろ相談しなさいよ」なんて、お声掛けている姿なんかを拝見していますと大変ありがたく思います。

そんなことで、余り学術的な言い方はできませんけれども、そういうこと一つ一つが、非常に関係性の構築には役立ちまして、ありがたいなと思っております。

以上でございます。

【小川主査】  今の質問とか関係して、山本統括、何かありますか。

【山本統括指導主事】  実際にカウンセラーの方々を私どもで配置させていただいています。年に1回、配置校の管理職も全部呼びます。その中で必ず言うことは何かというと、4月にカウンセラーが赴任したときに、必ず、あなたにはこういうことを期待していますという方針をきちんと伝えてくださいと言っています。「よろしくお願いしますね」ではありませんと言っています。こういうことをやってほしいと。

ですから、要は校長のビジョンがしっかりしているというところですね。ここが、やはりカウンセラーの方々が、どう仕事をしたらいいかが分かりやすくて、実際に活用されている学校というふうに見えてきているところが多いです。

以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。それでは、北川委員。

【北川委員】  藤原委員が言われたように、私も校長の力量が非常に問われると思って聞かせていただきました。学校は校長を中心とした生徒指導体制を整えることが、まずは一番大事。校内体制作りをしていくことだろうなと感じます。

日常的に児童生徒の状況を把握し、集約し、課題を分析し、そしてどのような取組が必要かという対応方針を考えるといったことが組織としてできていない学校は、スクールソーシャルワーやスクールカウンセラーのような方々を配置しても、教員は全て頼ってしまうと。丸投げにしたり、任せ切りになってしまうというような状況があって、効果は小さくなるのではないかと思います。

まずは学校の主体性があって、教員の専門性に社会福祉士や臨床心理士の方々の専門的な知識が加わって効果が生まれるのではないかなと考えています。

まずは校長を中心とした組織体制を作るということなのですけれども、先ほど山本統括指導主事が言われたように、校長が取り組む方向性をしっかり持って、学校の主体を確立してくると、やはりSSWやSCが機能する。校長が教育方針とか人材育成方針、人材活用方針ですね。そういったものを、教職員はもちろんのこと、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの方々にしっかり説明をしていく、そのケース会議等を通して説明をしていくことが一番大切ではないかと思います。

また親が子供の関わり方で悩んでいるということが非常に多く今、学校では起こっています。小学校の頃は余り表面化していなくても、だんだん発達段階を経て中学校になってくると、非常に手に負えなくなって相談に来られることが多いと。まだ相談に来られる方はいいし、子供も相談する子供はいいのですが、なかなか難しい、相談に行けないという保護者も子供さんもいらっしゃる。

そんな中で石川副会長にお聞きしたいのは、資料の15ページに保護者・地域向け校内研修の実施と書かれておられるんですけれども、こういった保護者に対して、どんなアプローチをされておられるのか。どのように保護者の意識を高めていく、子供に対する関わり方ですね。そういったものを考えておられるのかというのを教えていただきたいと思います。

【石川副会長】  ありがとうございます。その辺も校内研修をやらせてもらえるかどうかというのも、管理職の方針がありますが、私は毎年、保護者向けの研修もやらせていただいて、あとPTAの広報委員会などで、そういう方たちが何か座談会やりたいから出てと言われたり、そういう小さいコアな会議にも出て、いろいろなお母様方と接するようにしていますけれども、最近やった保護者向けの研修なんかでは、例えば中学校ですと、中1ギャップの問題というのはあるのですね。環境が変化して、いろいろなことの中で、勉強面もそうですけれども、生活リズムや、先輩後輩の中、あるいは、例えば高校生ですと、新しい高校の環境に合わなくてとか。

実は私、私立ですけれども、中高一貫校でもやっておりますので、そういった思春期の子供たちの心のありようとか、それから、そういう子供たちってさなぎのときというか、殻をかぶっているけれども中では非常にいろいろな精神活動が起きているので、余りそれを引っ張り出そうとするとうまくいかないし、それでも何とか後ろから背中を支えながら、その時期をしっかり見守っていくという子供対応のこと、そのような対応のことをお話しすることが多いですね。ですから、親子のコミュニケーションとか、ロールプレイみたいなこともやりますし、そのようなことをしながらやっております。

これは地域向けでもあるので、地域の方も御参加いただいて、区議会議員の方もいらっしゃることがありますけれども、そのような形でやります。それは割と大きい講習会ですが、先ほど言ったような小さな会でもやったり、そのようなことでやらせていただいております。

また、PTAの方が、例えば焼き芋大会など、いろいろな行事をなさいますよね。あと運動会とかですね。そういうときには必ず私も顔を出しまして、本当に平易なことからいろいろお話伺っているうちに、「相談室に行くまでは、そこまでではなかったけれども、きょう、うちの子供の性格について話ができてよかった」とか、そのようなことです。だから、いろいろな機会を捉えてやらせていただいているということでございます。

以上です。

【小川主査】  それでは。順番に、まず田村委員。

【田村委員】  失礼いたします。きょうはありがとうございました。私自身、この分野には不案内でして、イメージとしまして、スクールソーシャルワーカーの方とか、それからスクールカウンセラーの方というのは、課題を抱える子供への個別対応が中心だと、そういうイメージを持っていたのですけれども、非常に多岐にわたる職務をされているということが大変よく分かりました。

実はこちらに来るに先立ちまして、キャリア教育の専門家で、アメリカで調査をされた研究者からお話を聞いてきたのですが、アメリカのスクールカウンセラーの取組として3つの仕事があるということです。1つはアカデミック・デベロップメント。それから2つ目にキャリア・デベロップメント。そして3つ目にパーソナル・ソーシャル・デベロップメントということで、デベロップメントが仕事なのですね。課題を抱える、問題を抱える子供さんへの対処にとどまらず、予防的、開発的な教育活動、そういうことを職務の中心にされているということをお聞きしまして、非常に目からうろこが落ちるような思いをいたしました。

そういった観点から、例えば石川副会長のお話をお聞きしますと、全員面接をなさるとか、保健室登校している子供の学習の支援をどうしていくのかとか、あるいは心の教育、授業ですね。そういったことをされているということで、個別の対処にとどまらない積極的な指導、支援の可能性というものが我が国でもあるのだと思いました。

私自身はカリキュラムの方を研究していまして、このようなアメリカの事例や日本の取組を考えていきますと、カリキュラム化できないか、積極的な指導につなげられないかということを考えます。

それは、2つあるのですが、1つは全ての子供のためのカリキュラムですね。例えばキャリア発達についてとか、先ほどのユニバーサルデザインとか、あるいは心の教育、人権教育、様々な面があると思うのですが、そういったカリキュラム作りに、こういった専門職の方々が教員と手を携えて取り組めないかというのが1点目です。

それから2点目は保健室登校、別室登校、そういった子供さんの個人の学力保障をする。そういった意味で、やはり個別のカリキュラム作りというか、指導計画というものが必要になってくると思うのですが、そういったところで教員との協働ができないだろうかということを考えました。

そのための条件としては、学校の教育活動全体の計画や評価、年間指導計画、そういったところで深く関わって、参画していただかないと、そういうところにはなかなか力を発揮していただけないのかなと感じました。

横井先生のお話の中で挙げられたことがポイントになるのかなと思いました。下請や丸投げではないということ。それから、支援を要するのは個人だけではなくて全ての子供であるということ。それから3つ目として、目標と役割分担が必要だということ。

こういったことを考えていきますと、やはり週1回ぐらいの派遣といいますか、配置では困難であると考えまして、是非その辺の条件整備を考えていただければと思いました。

個別の対処にとどまらない予防・開発的な教育活動の事例があれば教えていただきたい。あるいは、そういうことにつながるための条件についてのお考えも是非教えていただければと思います。

【石川副会長】  それはいろいろなところで、いじめ対策のとき話題になったんですけど、教育課程の問題があって、どういう時間帯、授業時間をそういうものに充てられるかという、これは大きな問題があると思うんですね。

ですから、私も、こういう研修をやらせてもらうときは、例えば今度の4月なんかもやるのですが、もう一つ行っている学校は非常に大きい学校なのですけど、子供たちを対象に、視聴覚室に何百人も集めて一斉にやらざるを得ない。けれども、250人もの子供が集まって、アンガーマネジメントなどをやるのですが、なかなか。本当はクラスに入らせていただいて、1時間でもいいのでやる形がいいのですが、授業時間の問題、教育課程の問題があるので、その辺は、このカリキュラムなどおっしゃってくださいましたが、大きな教育の枠組みというか、そういったものを授業の中に位置付けていくかとかですね。確かに評価の問題もあると思います。だから、総合の時間とか、いろいろ活用できると思うのですが、何かやりくりをしながら、そういったものが確かに子供たちの育ちの中にカリキュラムとして必要だという位置付けになったら、すごくいいなと思います。

ある学校で、このアンガーマネジメントを年間通してやったという学校の発表なんかもこの間聞きましたけれども、総合の時間を利用しながら、年間何回かやったというような事例もございますが、結構やりくりが大変なので、相当年の初めにいろいろ検討して、それこそ校長先生の方針でしょうけれども、授業時間、どういう時間を使わせてもらうかというのは、まだまだやりくりが大変だなと思います。

【田村委員】  ありがとうございました。可能性が見えてきたかと思うのですけれども、ただ総合的な学習の時間は、やはり目的がありまして、探究的な学習ということがあって、それと例えばアンガーマネジメントは探究的な学習とどのように整合性がとれるのか。そういったことを、やはり教育課程の問題として共有し、開発していく時間や場所が必要なのかなと思いました。どうもありがとうございました。

【横井助教】  私の方からも申し上げて宜しいでしょうか。

【小川主査】  じゃあ、どうぞ。

【横井助教】  事例や条件等についてということで少しお話ししたいと思います。アメリカなどではResponse to Intervention、RTIといいまして、全数に予防的に関わる、それから、そこで対応の必要な子供に中間的に、そして、よりインテンシブな3層構造が一般的にとられ仕組み化されているところがあるわけなのですけれども、そんなイメージで今お話を伺った中で、事例としてということで、不登校といじめの対応について申し上げたいと思います。

例えば不登校ですと、学校では3日ですとか7日ですとかのレベルで長欠調査をしていると思うのですが、欠席、遅刻日数をずっと推移を見守っていきますと、モニターしていきますと、数値が跳ね上がる箇所、時期があるわけです。中1の夏休み明けですとか、いろいろありますけれども。子供の数値が出たところで、家庭背景とか、発達の背景とか、いろいろな多面的にそこで分析をしていって、アセスメントをして、直ちにプランニングに移っていくこと、それが大事なのではないかと。そこが、先生方はお忙しいので、なかなか組織化できないというところで、外部者としてとか、専門職という1つ違う立場から遠慮なく、少し背中を押して体制作りをお手伝いしていく。そういった核になっている先生をエンパワーしていく。コーディネーターの先生や生徒指導の先生をエンパワーしていくということが、実際にやっているところです。

また、いじめなどでは、定例的にいじめの防止学校組織がございますので、そういったところに参加させていただいて、課題となっている子供を分析するとか。いじめアンケート全数見させていただいて、そして気になる記述を先生方とやりとりするとか、あるいは例えば横浜プログラムというような学級改善取組のツールがございます。これはインターネットに出ています。皆さん、自由にアクセスできますけれども、そういったことを学級経営に活用する。担任の先生方の学年単位の取組に参画していく。一緒にそれを見ていって、先生の学級経営の相談に乗っていく。かなりの力量を必要とすることだとは思いますけれども、分析のときに教員だけではない視点を入れていく。小集団を見る視点ですとか。適応指導教室の先生やスクールカウンセラー、養護の先生を一緒に交えて検討できると、なおいいんですが。そういうことで、出てきた兆候を早く見付けて、実効性のあるプランに移していくためのお手伝いということがあるかと思います。

【小川主査】  ありがとうございました。竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】  きょうは貴重な新たな分野のことをお話しいただき、ありがとうございました。日常的に学校と地域の間に立ってコーディネートをしている中で疑問だったことこういうスキルや専門職の方がいらしたら良かったと思うことがありました。

まず横井先生のお話しで構造に働き掛けるということに希望を持ちました。一つ一つの事例だけではなく仕組みを作っていくものであるということだと思うのですけれども、その中で子供の24時間、365日で、学校にいる時間というのは案外少なく、放課後や長期休暇、家庭にいるときが大変長く、民生委員さんや様々な方が動いてはいますが、何よりもインフォーマルなご近所の見守りなど、コミュニティ、地域社会の視点というのが必要なのではないかと思っています。

そのときに、何か起こったら学校や専門機関にアプローチするだけではなく、起こる前に、日常的にどういうふうに私たちが活動し、情報を共有したらいいのだろうか。もし、問題の芽が見えたときには、どのように動いたらいいのかがよく分からないですね。学校の校長先生にお電話していいのか、それとも区役所に電話した方がいいのか、迷います。そういう話はよくあるのですが、どうしたらいいかを教えていただきたいと思います。

もう一つは、スクールソーシャルワーカーの活動とは別に、スクールカウンセラーが1校で全員面接をされているというのをとてもうらやましく聞いたのですが、1人のカウンセラーが受け持てるキャパシティーはどのぐらいなのか。それをお聞きしたいと思います。

【横井助教】  御質問ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。インフォーマルなものということですけれども、私どもの社会福祉士、ソーシャルワーカーの機能としましては、ないものを開発するという機能もございます。ですので、地域の住民の方を組織する、これは全国に社会福祉協議会という組織がございます。今そちらでコミュニティ・ソーシャルワーカーという、ドラマで話題になりましたけど、社会福祉協議会でもコミュニティを対象とした小地域での働きということに焦点が当たっています。

実際に、そのコミュニティ・ソーシャルワーカーさんや社協の方と事例に一緒に関わっていったというような事例もございます。団地の組織化ですとか、町内会への対応とか。そういう意味では民生委員、児童委員の方々との、学校を仲立ちにした仕組み作り、組織作りというのも非常に大事なところ、日常的なところです。

そして市町村には、児童福祉法に基づいて要保護児童対策地域協議会という組織体がございます。これを活用しなければならない。法に基づいて守秘義務が参加者に課せられているというメリットがございます。ですので、虐待のネグレクトの一時的な窓口、市町村の窓口を機能化させる、活性化させるということですね。顔と顔の見える、実効性のあるもの。特に首長部局が事務局を務めていますので、学校、教育委員会がそこにうまく実効性を持ってかんでいくということです。そこのつながりのお手伝い、そういうところが大事かなと思います。

お察しいただけますように、教育委員会の役割が非常に大事になります。ありがとうございました。

【小川主査】  ありがとうございました。

【横井助教】  それから全数のことも出ましたけれども、スクールカウンセラーの皆さんが全数を面接される中で、親という家庭背景が把握できるようなケースが出てくると思います。それをスクールソーシャルワーカーの方に送っていただくとか、かませていただくとかということをもって、より掘り起こしといいますか、予防的に早期に対応ができると、今お話をこれまで伺っていて思いました。

ですから、スクールカウンセラーか、スクールソーシャルワーカーかではなくて、両方が理想的だと思います。また専門性の違いを生かして一緒に協働すると、私どもも非常に楽しいということを申し上げておきたいと思います。

【竹原委員】  ありがとうございました。

【小川主査】  それでは、どちらか、いかがでしょうか。

【石川副会長】  全員面接でございますけれども、学年、例えば高校1年生が二百何十人もおられるような学年も、高校ですとありますよね。中学でも大きいところでは5クラス、6クラス。そうしますと、やはり1対1でというのは限界があるのですね。ですから、私のところなんかは100人以下だったので1対1でやりましたけれども、それでも、もちろん何か月も掛かります。

それで、カウンセラーによってはグループでというようなことで、グループで5人ぐらい来てもらって、10分、15分会って。グループですので、とりあえずお話ししたという形にはなるのですが、その中で人間関係、やりとり、気になった子には、また後でお声を掛けて個別につなげるとか、そういうような形で、実はグループでやったところと個別でできたところというのが、大体半々でありました。

先ほどアンケートというか、調査をやっているのですが、ちょうど110人のところで、実はその大きな分岐点がございました。110人までは個別でできました。しかし110人を超してまいりますと、グループでないと無理だということです。これは、今年2回調査をやりまして、1,300校掛ける2ですから2,600校分ぐらいで、大体2回やってもそういう結果だったので、その辺に物理的な限界はあると思いましたけれども、実は二百何十人を超してまいりますと、行政の方で、1人では大変だろうということで、事前に加配のシステムを作ってくださっていましたので、そこは山本統括にお願いします。

【山本統括指導主事】  細かい数字については、なかなかお話ししづらいところもあるのですが、実際に、今200というのは1つのラインとして見ていまして、年間35回というのは1つ決まっています。実際に年度の最後のところでやっても、これ、ある意味でしようがないのですね。ですから、できるだけ早くということでいくと、その200なり、それを超えるような数を超えた場合には、別の曜日で、例えばカウンセラーさんの都合がつくような場合には、プラスアルファの予算を計上しています。ですから、その学校についてはスクールカウンセラーとしては35回なのですけれども、心理士の方、全員面接用で何回かという形で対応させていただいている状況にあります。

実際にグループ面接の後に個別面接につながっている例は、少なからずあるという状況です。

【小川主査】  よろしいですね。それでは、貞広委員。

【貞広委員】  ありがとうございます。なかなか学校の表玄関から行っても見えない部分ですので、お三方の御報告で本当にきょう大変勉強させていただきました。ありがとうございます。

意見と質問が混ざったような形で申し上げたいと思いますが、まず1つ目は、藤原委員もおっしゃっていましたけれども、今まで教員のみで学校が成り立っていたものに別の専門職が入ってきたときに、どうそれをマネジメントしていくかという校長先生の力量が問われているといえると思います。御報告いただいたのはスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーですけれども、今も実際に学校で、例えばボランティアの人も関わっていらっしゃいますし、学校の先生でも、常勤の先生も非常勤の先生もいらしたり、又は地方に行くと複数の学校を1人の方が担当されているという状況もあり、まさに多様な職種、多様な関わり方の方が学校にいらっしゃる中で、そういうスタッフをどうマネジメントしていくかと、校長先生、非常に大変だと思います。

現在のスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの職が入ってきたことによる校長先生のマネジメントの大変さというところから敷衍して、何かこういうマネジメントが必要だ、又は実際にこういうマネジメントのための研修をやっているというようなことなど、東京都の方で支出をしてでも取り組まれていることがもしありましたら教えていただきたいと思います。又は、まだそういう段階になっていなくても、こういうマネジメントの研修が必要だというようなことのお考えがありましたら、是非教えていただきたいなと思います。 もう一つは、スクールソーシャルワーカーについて伺いたいと思います。先ほどの横井先生のご報告の中で、いかに情報を共有していくか、又はソーシャルワーク的なマインドを先生や校長先生に共有してもらえるかということが非常に大事だとおっしゃっていました。本日こちらのエビデンス・ベースト・スクールソーシャルワークという冊子を配付していただいていまして、、ちょうど6ページと7ページのあたりを拝見したところ、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持ってスクールソーシャルワーカーをされている方と、教員免許等でスクールソーシャルワーカーをされている方の関わり方に相当程度の違いがあり、専門性の重要性がわかります。例えば教員免許を持つということだけでスクールソーシャルワーカーをやっている方にも何らかの研修で底上げができるものなのか、それとも、それではどうにも解決できないほどの専門性の違いがあるものなのか、そのあたりの意見をお聞かせいただきたいということが1点です。 あともう一つは、数と配置のありようの問題です。以前、うちの研究室の学生、実はスクールソーシャルワーカーのことで、非常に不十分でありながら卒業論文を書いた学生がいるのですけれども、そのときに実際スクールソーシャルワーカーの配置を行っている都道府県の教育委員会等に調査をしたところ、とにかくお一人のスクールソーシャルワーカーさんが担当している学校が非常に多くて、とても仕事に対応し切れないということがわかりました。やりたいことはあるのだけれども、今のままでは、とてもケースが多くてやっていけないというような声が大きく聞かれました。

同様に、きょうお配りいただいたこの冊子を拝見しますと、理想的な配置の仕方は派遣型と拠点校か単独校の配置校型のミックス型であると書いてあるのですけれども、例えば、この拠点校配置型をとった場合に、1人のスクールソーシャルワーカーでどれぐらいの学校を御担当できるものなんでしょうか。もちろん学校の規模や地域の広がりなどにもよりますけれども、概算で結構ですので、お聞かせいただきたいなと思います。

以上、3点です。

【小川主査】  それでは、最初に山本統括、多様なスタッフを抱えた件についてお願いします。

【山本統轄指導主事】  多様なスタッフ、確かにそのとおりですよね。東京都だけで見たときに、今はスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、そして実は家庭と子供の支援員という方もいらっしゃいます。あとは教える方で言えば講師など、様々な方がいらっしゃるんですけれども、管理職としてまず基本は、組織という考え方をきちんとできるという話だと思います。

東京都の場合は今年度から、実は体罰、いじめ、それともう一つ、食物アレルギー、この3つを一緒にした研修会を管理職に実施しています。また管理職候補者にも実施しています。全てセーフティネットを意識させるのです。1つの情報が、ある1人の人が、もしもその情報を聞いて、ほかに伝えていなくても、その情報がほかにもきちんと伝わるような組織にしていく。要は、情報共有の場を幾通りにもやっていくということをきちんとやっていくと。それも、そういう意識を誰もが持っているということ。これが、やはり大事だろうと思っていまして、またこれも来年も継続してやっていくという状況になっています。

ですから、いろいろな場面を捉えて、いじめだけではなくて、情報が組織的に共有される。そして、それがセーフティネットとして、もしも万が一、Aのところで滞ったとしても、ほかのところできちんと対応できるような状況にしていく。そのための旗振りをきちんと管理職がやっていくという状況かなと思います。

【小川主査】  それでは、横井先生、2点質問があるので。1つは教員の経験者でも、きちっと研修さえすればSSWに必要な能力開発は可能かどうかという可能性について、2つ目には、1人のSSWが対応できる学校数のようなことと配置の在り方について、御示唆があれば。

【横井助教】  ありがとうございます。資格の問題ですね。資格と、それから実務の問題ですけれども、研修の体系と、それから実地に、私どもはスーパービジョンと言っていますけれども、やはり、その二本立てといいますか、職場研修と、それから実地の指導ですね。実地の経験者、専門職による指導と、やはり両方の方法がある。その方法によって、実際に期待に応えていかれるような役割が果たせるのではないかなと思います。

研修に関しましては、現在は、社会福祉士専門資格を持った方で、なおかつ、その養成校ですね。大学の方でスクールソーシャルワーカーの養成課程というのを事業開始以来設けています。そこで一定の研修を終えて修了したと認めていますけれども、しかし、そうですね。それが採用の要件にはなってございません。また、いろいろな地域がございますので。

それから、学校現場や教育委員会から見ると、退職教員の親しみやすさや、何を考えているか、どういう動きをされるか予測ができるという安心感なのだと思います。民生委員の御出身の方とか、養護教諭の御出身の方とか、子ども家庭部局の相談員だった方とか、いろいろな人材を活用されるわけですけれども、そういう傾向がありますので、それをなるべく乗り越えていただいて、仕事の中身、機能でもって選んでいただくというか、方針をとっていただくという視点の転換がまず必要ということですね。活用するサイドの視点。それから当然、その期待に応えるような養成の仕組みというのは、より充実させなければならないと思います。

何を上乗せで学んでいくようになっているかといいますと、学校の組織や教育関係の法規、学校現場で、あるいは教育現場でソーシャルワークを展開することに必要とされる実務知識、あるいはベースとなる知識だと思います。そこは非常に大事な部分だと思います。

そして、実地になかなかできないものなので、あと地域によって動きが異なってくるということもございますので、スーパーバイザーの存在が大事と思います。配置する主体である教育委員会がスーパーバイザー等としっかりと事業を練り上げて、どういう戦略でやるのか、指標の明確化も含めて、やり方を、専門職を入れて事業を計画していくということが大事です。必要な実務を、その地域で育てていく。地域で人材を育てていくということが実際には大事なのかなと思います。とりあえず、それが1点です。

もう一つ、配置の方は、本当にいろいろな形があって、何がいいというのも議論がありますので、私自身が感じているところでお話しするしかないと思うんですけれども、私の場合は年間35日という都道府県の事業にのっとって週1日の活動をしています。実際には2市町村担当していますから、学校数では、かなり多いですね。小中学校含めて35校ぐらいでしょうか。それぐらいの数を担当しています。

ですので、放置すれば、仕組み作りをしないと、学校が依頼するところとしないところとが二極化してしまう傾向があります。ですので、本当に必要とされるような方に届く仕組みですね。自治体が何を狙うのかということの明確化が大事と先ほどから申し上げているのは、そこです。子供、家庭は多過ぎて、全部に対応しようと思ったら何人配置しても足りないですから、何をどうするのかということがとても大事。本当におっしゃるように校長先生、教育委員会の方々の議論、そこに専門性を入れて検討していく、仕組みを作る取組を続けていくことが大事かなと思います。

私、拠点校の配置型も両方やりましたが、派遣型で対応できるのは、人口10万ぐらいのところで、きちんと仕組みを作った中で常時担当しているケースが20件ぐらいですかね。もう少しありますか。2、30件というところです。

これは教育委員会に配属されている相談員の方々と上手に連携をしながら、仕組みを作りながら対応しております。当然スクールカウンセラーさんたちとも記録を通じて情報交換をするなどの仕組みを作っております。仕組み作りが大事と思いますね。

また、スクールソーシャルワーカーの活動は相談だけではない。先ほどから申し上げた記録や電話連絡、そういう部分も仕事の根幹にあるということの御理解が大事と思います。長くなりました。

【小川主査】  もう時間がないので、大久保委員、加藤委員、もし何かあれば、御質問、御意見お願いします。

【大久保委員】  本日、お二人の専門家の方と、東京都の実践例を伺いまして、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーといった専門スタッフの活用には,更に可能性が広がっていくということを実感しました。

本県では,平成25年度のデータですけれども,スクールカウンセラーが年間で7,000回近くの対応回数で,スクールソーシャルワーカーは、導入されてから,まだ比較的年数が浅いということもありますが、1,000件程度の支援件数があり,相談内容としては,不登校が一番多いという状況でした。そうした中で,それぞれの成果と課題を聞いたり,本日の発表を聞いたりしながら,具体的にどうすれば、学校においてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門スタッフが機能するのかというのを考えておりました。機能するためには、まず一点目に,校長のマネジメントがどうしても必要だと思います。実際、市町村教育委員会から聞き取った中でも、一番多く聞かれました。

二点目に,校長のマネジメントと同時に、教職員がスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを導入する目的や役割,位置付けといったことが,しっかり分かっていることが必要だと思います。これらのことが,教職員にしっかり周知がなされていないと、安易に専門スタッフに頼ってしまい,児童・生徒のことを全て任せてしまい,いわゆる丸投げの状態になってしまうのではないかと考えます。

三点目に、個人情報の取扱いです。実際,学校ではスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの方々に協力を頂いたときに,教員が一番迷ったのが、守秘義務、個人情報の取扱いだったそうです。ここの考え方が非常に難しかったということです。どこまで話していいのか。全部話して本当にいいのかということに,非常にためらいがあったと言います。周知がまだ十分でないのかもしれませんが、個人情報の取扱いが結構大きな壁になっていて、深いところまで語るには、そこがしっかり整備されないといけないと感じました。

四点目には、地方には資格を持つ人が極めて少なく,そういったことから有資格者の育成が必要だと思います。例えば,本県では、平成26年度に29市町村に39人のスクールソーシャルワーカーを配置したのですが,そのうち社会福祉士や精神保健福祉士といった専門的な資格を持った人は7人で,残りの25人は教員免許保有者でした。教員免許保有者の場合は、どちらかといいますと、自分の経験を基に解決を図ろうとするので、本来の目的である、児童生徒を取り巻く環境とつなぐ、コーディネートするという役割よりも、自分で問題解決をしようと働き掛けてしまって、まだ十分機能を果たせていない面があるということです。しかし,一方で,教員経験者は,学校や児童生徒,保護者との関係づくりに長けており,福祉等の専門的な研修を積むことで大いに期待できるとも聞いています。先ほど、どんな研修をすれば、教員免許保有者が社会福祉士といった資格が取れるかとかありましたけれども、有資格者の育成という部分は,地方にとっては非常に大きな課題としてあると思います。

以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。加藤委員、何かありますか。

【加藤委員】  山本先生と石川先生に、それぞれ簡単に最後質問させていただきたいんですけれども、山本先生には東京都の配置の例というか考え方で、スクールカウンセラーの複数配置とか、あるいは週1回以上の頻度で入っていくとか、常駐のような制度が考え方としてあるのか、ないのかというところと、いわゆる生徒指導困難校とか、不登校対策校とかで、複数で副校長を配置するとか、主幹教諭を増員するとか、そういうものと組み合わせたりする発想というか、考え方で配置があるのか、ないのかということ。ある場合は、行政のどこで決定しているのかというところをお答えいただければと思います。

それから石川先生は最後、将来的には週2日、3日というお話を。学校は理想的にはどれぐらい配置されなきゃいけないものなのだというのを一言意見頂ければと思います。

【小川主査】  それでは、山本統括。

【山本統轄指導主事】  まず1つは配置の拡大という話ですよね。これ、実は区市町村や、いろいろなところから御要望はあります。それに対して、実は現実的にはイエスというお答えができていない状況です。今後どうなっていくかということについて、大変申し訳ないですが、私、ここで軽々にお話ができないというのが本音ですね。

生徒指導に関する非常に困難な学校もあるだろうと。それに対してどういうことをやっているかということについて、東京都の場合は、例えば、不登校を1つ例に挙げると、中学校を対象にして、不登校の加配ということでやらせていただいているというのはあります。一方で、問題行動が多発しているようなところでカウンセラーを増員して配置しているかということ、それは今のところ、ないという状況であります。

ただ、各小中学校は区市町村ごとにやっていますので、区市で別な形で人材を配置しているところについて、話は伺っているという状況です。

【石川副会長】  将来的に、私は私立の方で、実は週2日やっているのですね。そうしますと非常に、仕事は3倍になりますけれども、ただ、学校の中の連携とか、さっきの研修なんていうのも意外と受けやすいといえば受けやすかったり。そういう意味では、とりあえず週2日ぐらいになると、かなりコミットできるかなというところはございますけれども、これは何とも言えません。常勤がいいのかもしれないし。しかし、カウンセラーは第三者性とか外部性が必要だという意見もありますが。

でも、例えば週2日ぐらいいますと、私もスクールソーシャルワーカーの方と連携していろいろ、例えば生徒さんを迎えに行ってもらったりとか、その方の御兄弟に対応していただいたりとか、そういうことで、その御家庭が支えられるなんていう事例を経験しておりまして、大変ありがたいと思っているのですけれども、なかなか週1回ですと、そういう方ともお会いできなかったり、書類だけですと心もとないのですね。会議体開くとなると、相当前々からということになりますので。

ですので、週1.5日、あるいは2日ぐらい派遣が実現しますと、非常にそういう意味では有機的なつながりができるかなとは思っております。

【加藤委員】  ありがとうございました。

【小川主査】  時間がないので、この辺で終わりにしたいのですが、僕にも質問させてください。一言、時間がないので、山本統括からお聞きしたいと思います。

基本的にいろいろな市町村からSCやSSWの配置の要望があるけれども、東京都としてはなかなか対応し切れないというのは、予算の問題もあると思います。ですから、将来的には国が定数化するのが一番いいと思います。ただ、今のいろいろな国の状況を考えると、なかなかそういうことも難しいと思います。ただ、そういう定数化とか予算の拡充以外に、全国自治体のSCとかSSWの配置を促すような、例えば国のレベルで、こういう法制度の整備してくれるといいなとか、そういう御要望はございますか。

【山本統括指導主事】  都から国の方にお願いしているのは、どうしても、お金の面ですね。都がスクールカウンセラーに掛けている予算というのは大体34億です。これが週1日。ですから、これが2日になった場合に、単純にこの2倍になるわけですね。そうすると、正直言って、1つの自治体でこれをやっていくのはなかなか厳しいというのが本音です。

ですから、まず1つは予算の面があればいいし、あとは国の方で定数に入れてくれればいいというのは、これは確かにありますが、そこまではまだまだ我々の方で言い切れないところなので、まずは予算の面だろうと思います。

東京都だけで見ますと、実は臨床心理士の方々は、東京都だと大体4,000人超える方々が登録されているかと思うのですが、他の自治体で同じような状況があるかというと、そうでもないというところがあるかと思います。

ですから、そういう物理的な面のところで、どういうふうに考えていくかということがあるかとは思います。

【小川主査】  国レベルの法制度整備ということでは、例えばSCとかSSWが学校職員として不可欠な職員として法律に規定したり、彼らの職務内容を法規に明示したりするとか、国の法整備をすること自体は、自治体にとっては、むしろ歓迎することですよね。

【山本統括指導主事】  はい、そうです。

【小川主査】  分かりました。ありがとうございました。

時間も少しオーバーしてしまいましたので、きょうはこの辺で終わらせていただきたいと思います。お三人の発表、ありがとうございました。

それでは、次回の予定があれば、お願いします。

【福島補佐】  次回の日程につきまして、3月20日金曜日の15時から文部科学省で開催予定をしておりますので、また正式な連絡はさせていただきますが、よろしくお願いいたします。

【小川主査】  3月20日ということですので、またよろしくお願いいたします。

それでは、きょうの会議を終わりたいと思います。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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