チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第2回) 議事録

1.日時

平成27年1月20日(火曜日) 13時~15時

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館(文部科学省庁舎) 5階5F2会議室

3.議題

  1. 学校や教職員の現状について

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会

チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第2回)

平成27年1月20日

 

 

【小川主査】  定刻になりましたので、ただいまからチームとしての学校・教職員の在り方に関する第2回の作業部会を開催したいと思います。

本日はお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。

きょうの議題は、学校や教職員の現状について、大久保委員と北川委員から御意見を発表いただくことになっております。よろしくお願いいたします。

議題に入る前に、前回御欠席されていた委員の紹介をさせていただきたいと思います。

国立教育政策研究所総括研究官の藤原文雄委員でいらっしゃいます。一言、自己紹介をよろしくお願いします。

【藤原委員】  国立教育政策研究所の藤原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。前回は海外出張中で出席できませんで、大変申し訳ございませんでした。

私は、この作業部会、とても意義あるものだと考えております。新しい学習指導要領の改訂、あるいは授業革新に向けて、併せて教職員の在り方というのを検討するというのは非常に意義あることだと思っております。私は様々な教職員の力を生かせるマネジメントの在り方、あるいは配置の在り方に非常に強い関心を持って研究を進めてまいりました。他の国もそうでございますけれども、学校の環境が複雑になっておりまして、教職員の多様化というのが進行しております。そういう中でどういうふうに生かすのかというのがどこの国でも非常に大きなテーマとなっていると考えております。そういう意味で、そういう知見、海外の動きも踏まえながら、発言していきたいと思っております。

国研といたしましてもデータを蓄積しておりますので、提供させていただきながら、議論に参加させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【小川主査】  よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

それでは議事に入っていきたいと思います。まず、配付資料について、事務局の方から御説明をお願いいたします。

【福島補佐】  本日の配付資料は議事次第のとおりでございますが、まず、資料1-1から1-4といたしまして、チーム学校に関連する平成27年度予算案に関する資料をお配りしております。

それから、資料2は大久保委員から、資料3は北川委員から御提出いただいた資料でございます。

併せまして、参考資料といたしまして、まず、参考資料1として本日の議題に関連しますデータ等の資料、それから参考資料2といたしまして前回の作業部会において頂いた御意見を私どもでまとめさせていただいた資料、それから参考資料3としまして今回の議題に関連するような答申・報告等の抜粋をまとめた資料をお配りしております。

不足等ございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【小川主査】  資料の確認、よろしいでしょうか。

本日は報道関係者より会議内容の録音を行いたい旨の申出がありましたので、これを許可しております。御承知おきいただければと思います。

それでは議事に入っていきたいと思います。

最初に、このチーム学校のテーマに関係して、平成27年度予算案について、事務局から御説明をいただきたいと思います。

【池田財務課長】  財務課長の池田でございます。主として資料1-1と資料1-2を使って、チーム学校関係の予算を御説明させていただきたいと思います。

まず、資料1-2を御覧いただきますと、資料1-2は27年度予算、文科省全体の案のポイントでございます。全体としては一番上の表にありますように、大変厳しい財政事情の中、全体で文科省の予算が5兆3,378億円と、これは微減でマイナス0.3%減ということでありますけれども、復興特別会計の中で、例えば教員の加配であるとかスクールカウンセラーなどの被災地中心の措置がありますので、それを踏まえると、全体で1.1%増、微ということで、省全体の予算が非常に厳しい状況の中で、辛うじて本当に必要な部分は何とか確保できたということかなと思っております。特にこの部会で御検討いただく内容について、関係の深いものを資料1-1にまとめてございますので、こちらを中心に御説明させていただきたいと思います。

全体の学校の教職員構造をイメージとしてまとめておりますけれども、御承知のとおり、学校に今、いろいろな立場の方々が入っておられますので、これを簡単に大別すると3つのくくりにまとめられるのではないかと思っております。

1つは、1 のブルーのところですけれども、いわゆる教職員の方々につきましては、この後、説明しますが、義務標準法によって学校の基幹的な職員として規定をされています。この教職員の給与につきましては、3分の1、国が義務的に負担をすると。これは教育機会の均等であるとか水準の維持確保という観点から、法律によって定数が決まっており、給与も措置をするということでございます。

それから、2つ目の2 のピンクのところでございますけれども、これは今、挙げたような教職員ということではありませんけれども、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーの方々のように一定の専門的な資格をお持ちになって学校教育や生徒指導に参画していただく立場の方々でございます。この方々は、基本的には全て国庫補助金で措置をしておりますし、それから文科省から、国が直接支援しなくても、いわゆる県単とか市単というような形で独自に配置されている場合もあります。いずれにしても、この方々はほとんどが非常勤でありまして、スクールカウンセラーであれば、原則、週1日4時間というような非常勤の方々でございます。

それから、3つ目がサポートスタッフと書いてありますが、2 の方々ほど専門的な資格なりを持ってという方ではなくて、もっと広い意味で、地域の方々も含めていろいろな形で学校に参画していただくという御立場の方々で、1 から3 まで、いずれの方々に対しても国がいろいろな形で支援をしております。

まず、マル1のブルーのところでございますが、先ほど御覧いただいた資料1-2の文部科学関係予算のポイントというものの2ページを御覧いただきたいと思います。上の方がそこに当たりますが、実は義務教育の教職員定数につきましては、昨年夏の概算要求の段階では教職員定数を算定する義務標準法を改正して10年計画で定数を改善していくということで出しておりました。これはきょう御出席の小栁委員や藤原委員もメンバーになっていただいて、有識者会議での御提言も踏まえて要求しました。けれども、残念ながら、非常に厳しい財政状況の下で財務省としては10年先まで教員を増やすということは認められないということで、今回、10年計画や義務標準法の改正というのは残念ながら見送らざるを得ませんでした。ここに挙げてある定数措置というのは、いずれも単年度の予算措置、いわゆる加配という形で措置するものでございます。全体では、全国で約69万7,000人の教職員定数が今、措置されているわけですけれども、この方々に対する給与の3分の1分などが全部で1兆5,000億円強でございます。ここから来年度は若干減りますが、子供が減ることによって教員が自然に減っていきます。これを自然減と言っておりますけれども、この自然減が3,000人ございます。ここにはちょっと明示的には書いておりませんが、上の方でマイナス4,000人というところがありますが、この4,000人のうち3,000人は自然減という形で、子供が減って学級の数が減ることによって教員も減っていく。これに加えて、統合が進んだりすることによってもう少し減る見通しだということで、3,000人の自然減に更に1,000人程度減るであろうと。ただ、このマイナス4,000人というのは、現場から子供たちを前にしている先生を引きはがすという形ではありませんで、子供が減ることによって、学級が減る、そもそも教えるべき子供がいなくなることによっての減ですので、現場としては、恐らくそれほど深刻に困るということはないのかなと。ただ、これまで文科省は減った分からいかに定数改善で増やせるかというようなことをやってまいりまして、今年はそれが900人ということで、新たな定数加配措置として900人分を措置できるようになりました。したがって、69万7,000人から増減がどうかというと、4,000人減る見込みのところを900人増やしたということで、差し引きするとマイナス3,100人ということでございます。報道によって900人新たについたというところで、900人実質増と言っているものと、それから自然減3,000人と差し引き3,100人を比較して純減100人など、いろんな見方がありますが、基本的には同一の事柄をどちらから見るかという違いでございます。私どもとしては、当初予定していた10か年計画にはかなり及びませんけれども、10か年計画で考えていた方向性というのは一歩というか、0.5歩ぐらいかもしれませんけれども、方向性はいずれも踏み出すことができたかなと思っております。

その方向性というのは、主な柱としては4つございます。1つは、今、学習指導要領の改訂につきましても中教審で御審議を始めていただいていますけれども、ここでの大きなテーマとなっております課題解決型の事業をどう進めていくか、これに対する研修とか研究のための定数措置というのが認められております。それから、2つ目は、まさにこの部会で御検討いただくチーム学校の実現のためにどう措置していくかということですけれども、定数としては、先ほど申しましたような多様な立場の方々が学校運営の目標や理念を共有して一体となって活動していただくためには、やはりマネジメント体制をしっかりする必要があるだろうということで、1つは主幹教諭の充実などを考えております。それから、もう一つは、やはり事務職員の方々をしっかりと充実させていくと。これまでのように全般的にいろいろな事務をやっていただく職員はもちろんなのですけれども、少し真ん中辺に例示しておりますが、学校司書やICTの専門家といった立場の特定の分野を熟知したような専門的な方々も、これは事務職員として今、配置をして充実させていくことを考えております。それから、養護教諭や栄養教諭の充実ということも考えているということです。それから、3のところは、これまでいろいろやってまいりましたいじめ対策や特別支援教育などの充実ですとか、特に今回は政府全体で貧困対策ということもいわれていますので、格差解消のための加配も措置をしております。それから、4つ目として学校統合であるとか、あるいは小規模校をきちんと残す際の支援ということも確保しておりますが、そういったことをトータルで、数は900人ではありますけれども、特にチーム学校のところは初めて定数上も芽出しが何とかできたというように思っております。

それから、次に2つ目の2 のスクールカウンセラーやソーシャルワーカーですけれども、資料の4ページを御覧いただきたいと思います。この資料は分野別にまとめてありますので、いじめ対策のところに入っておりますけれども、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーの配置拡充ということで、スクールカウンセラーにつきましては1人のカウンセラーが小学校と中学校を両方見ていただくと。そうすると、進学したときもきちんと個々の子供にもきめ細かに対応できるといった小中連携タイプというのを今年も200校措置していたんですけれども、これを300校に拡充するということと、先ほど申し上げたような貧困対策のための重点加配を600校ほどしております。それから、ソーシャルワーカーはその下にございますが、2,247名ということで、1.5倍程度の拡充ができたのと、もう一つはカウンセラーと同様、特に貧困の世帯が多い学校に対して重点的に配置をするということで600人分措置しております。これが2つ目のところでございます。

それから、3つ目のサポートスタッフは同じポイントの資料の2ページに戻っていただきたいと思います。一番下のところに補習等のための指導員等派遣事業ということで41億円措置しております。これは教職員の方々以外にいろんな方に学校に入ってきていただいて、補充学習であるとか新採の教員への指導であるとか授業の補助等々をいろんな形でやっていただくと。この中には退職された先生もいらっしゃいますし、それから教育学部の学生さんなどもいらっしゃいますし、もっと地域のいろいろな方がいらっしゃいますので、そうした方々の経験に応じて入っていただくというような事業でございます。この予算を今年度、8,000人措置をしておりましたが、これを1万人に拡充することができております。

最初の資料1-1に戻っていただきますと、以上が全体増で、あと、運動部活動の指導につきましても、額としては少ないですけれども、スポーツ局の方で一定の予算を確保しておりまして、ここに出ていない、例えば理科の実験観察の補助員であるとか、あるいはもっと広い意味で地域の方々がいろんな形で学校に御協力いただくとか、参画いただく予算なども含めて、全体的にはチーム学校関係の予算、拡充できたかなと考えております。

説明は以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。

それでは、今の説明の内容について、何か御質問、御意見がございましたら自由に御発言いただければと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。特にございませんか。

なければ、これで来年度予算の内容については終わらせていただいて、次に大久保委員、北川委員から御意見を発表していただければと思います。

きょうは大久保委員と北川委員にこれからおよそ1人20分程度の発表をいただきまして、2つの報告が終わった後、一括して2つの報告についての質問及び質疑応答、意見交換をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

きょうの趣旨は、もう皆さん、現場でのいろんな調査研究や勤務によって、今の学校現場がどうなっているかというのは重々御承知かと思いますけれども、改めてお二人の委員から発表していただきまして、そういう現状についての共通認識をした上で、少し問題の整理をしていただければと思っております。特に問題を整理する際に、教育委員会や学校現場でのいろんな工夫とか努力によって改善できるものと、学校現場や教育委員会の努力だけではなかなか改善が難しく、新たな制度とか仕組みを工夫したり、新たな人的配置をしたりすることで初めて改善の見通しが見えてくるもの、いろいろあるかと思いますので、その辺のところを少し整理する作業として、今回と次回、少し広めに現場の問題を皆さんで共有して問題を整理していく作業、そして今後、検討していくべき課題を析出していくという作業をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、あいうえお順で恐縮ですけれども、最初に大久保委員、その後、北川委員ということで発表をよろしくお願いいたします。

【大久保委員】  それでは、資料2を使って説明させていただきます。学校現場の多忙化の実態を,できるだけ実態に即した形でお話ししたいと思います。

はじめに、学校現場の多忙化解消に向けて,県教委、市町村教委、学校で行っている校務処理改善の状況について説明いたします。

まず、資料1 の1,県教委の取組です。

県教委では,学校への調査・報告物について,その廃止や見直しを図るとともに,研究指定校の見直し,主催行事等の見直しに努めました。その結果,平成19年に435件あった学校からの報告を求める調査物が,25年には274件,研究指定校は216校が180校,県教委等主催行事は820件が764件となりました。また,この他にも,「学校現場の負担軽減に関する調査」を実施し負担軽減に関する意見を聴取したり,調査物の年間スケジュールを示して計画的な事務処理ができるようにしたりしています。

次に、各市町村教委の取組状況です。資料1 の2を御覧ください。これは,本県の全市町村教委を対象に調べた結果で,割合の高いものから挙げてございます。最も多い取組は,電子メールを積極的に活用することと,様式等を簡素化・統一化したりすることです。この他に,市町村教委主催の行事の見直し・精選・廃止も高い割合になっております。

これらの取組の具体例は,1 の3に示してあります。行事に関することでは、内容を精査して実施回数を減らすことや、学校訪問の際に学校が準備する資料の簡素化を図ることがあります。また、電子化に関することでは,グループウェアで様式等を配布して文書作成の効率化を図ったり、電子メールを活用して講師派遣申請手続きを簡略化したりすることが挙げられています。調査・報告については,調査様式のデータを一元化して書式等の簡素化・統一化を図ったり,簡潔な回答様式にしたりして、なるべく手間のかからないような方法に取り組んでいます。また,シンクライアント方式による情報一括管理を行い,情報漏洩防止を図った市町村教委もあります。これは、ICTの活用を推進する上でセキュリティー対策が欠かせないためです。この他にも、特定事業主行動計画の周知徹底を行って適正な勤務時間管理を意識付けるといったことにも取り組んでいます。

最後に,各学校の取組状況です。1 の4を御覧ください。7つの項目を実施校の割合が高い順に挙げてあります。大きく分類すると、一つは削減・廃止、もう一つは効率化という視点で取り組んでいることが分かります。

各学校の校務処理改善の具体例は1 の5に、会議、校時表・行事、電子化、組織,その他と5つに分類して示してあります。いろいろな取組がありますが,⑷の例を少し説明します。ここには,校務分掌の見直しを行い、それぞれの校務を複数の職員で担当する体制を整備することが挙げてあります。これは,複数の職員が協働して大きな成果を上げられるよう,一部の教員に業務が偏らないようにし,学校がチームとして機能するように取り組もうとしたものです。他にも、勤務時間の適正管理と自らの健康管理及び効率的な職務遂行の意識付けを行うために,勤務時間記録ソフトを利用した例などもあります。

以上のような校務処理改善の取組を踏まえて、現在、学校の多忙化の現状をまとめたものが,資料2の3ページ以降でございます。この3ページ以降は、本県全体に多忙化の現状を把握する調査を行ったものではなく、抽出した学校、主に中学校を中心に,多忙化の現状を聞き取った意見をまとめたものです。

まず、現状については4つの項目に分類してみました。2 の1を御覧ください。

2 の1は,授業、いじめや不登校・校内暴力等の生徒指導、インクルーシブ教育(特別支援教育)への対応、部活動等に関することです。これらは,すべて実際に生徒と向き合っている場面です。だから,ここにある内容は,削減・廃止したり効率化を図ったりすることが難しいものばかりです。

最初に授業に関することです。当然ではありますが、自分の担当する教科について、その準備とか後始末を負担に感じているという意見はほとんどありません。しかし,「総合的な学習の時間」などのように,複数の教科を横断的に行う授業や、外部人材の方に協力いただく授業については、事前の準備や打ち合わせにかなりの時間が必要になってきます。趣旨に沿った授業にするためには,打ち合わせに必要な時間は増える傾向にありますし,中学校のように空き時間があっても,生徒が校内にいるうちに時間をとるのは難しいわけです。

次に、いじめや不登校・校内暴力等の生徒指導に関することです。これは,もう以前からあったことではありますが、やはり生徒指導上の問題等は、どうしても緊急に対応しなければいけないものが突発的に発生します。授業もある中で,かなりの時間と労力、また、詳細な記録が求められるということで,大きな負担を感じているという意見があります。具体的には,不登校、いじめ等様々な問題行動がありますと,直接の児童生徒への指導、保護者との連絡・面談,関係機関を含めたケース会議等の実施,そして,これらを報告するための報告書の作成等の業務が求められます。さらに,これらを行うために必要な打ち合わせとか連絡、その後の児童生徒との継続的な関わりなど,膨大な時間と労力が必要になります。生徒指導上の問題は、以前からあったわけですが、以前にも増して、その対応や要因が複雑化し、多種多様な問題行動に関して,専門性や経験が必要になってきています。したがって,あらゆる経験があるわけではない教員が,その問題行動になかなか対応し切れず時間が相当かかってしまう状況もあります。また、このような問題行動を起こした子どもほど,じっくり語り込むことが必要ですが,授業もあることから時間の捻出が非常に厳しいわけです。さらに,生徒指導に関するものは、以前にも増して説明責任を問われることが多いので、記録とか報告等を相当詳細に求められることがあり、教員が心理的にも物理的にもかなり負担に感じているという実態がございます。

インクルーシブ教育(特別支援教育)に関することです。障害をもつ子どもも,特別支援学校や特別支援学級で授業を受けるのではなく,他の子どもたちと同じ環境で授業を受けさせたいと要望される保護者が多くなっています。理念は学校もよく理解しており、一緒に授業をすることについては、皆さん、納得してやっています。しかしそうしますと、なかなかじっとしていられなくて教室を飛び出したり、あるいは突発的に他の生徒や友人とのトラブルが起こったりする場合があります。その際の対応というのは,通常考えている範囲を超えて,専門性を必要とするような場合があって、うまく対応し切れずに、その後の対応に多くの時間を費やすこともあります。要するに、これまで以上に、高い専門性を要求されるような状況が出てきているということです。

部活動に関しましては、資料の2 の1の⑷にあるようなことですが、これは学校で今後考えていかねばならない内容です。部活動は、もともと自主的な活動なのですが、安全対策の面から、一時も目が離せないという状況で部活動をする時間はほとんどかかりっきりで,かなり時間をかけて取り組んでいるという現状があります。

4ページの2 の2を御覧ください。成績処理、連絡帳の確認、学校通信等の作成、諸帳簿の作成等に関することです。⑵や⑶は,省くことも可能ではあるが保護者の期待も大きいことから、なかなか省くことができないという内容で,内容や分量によって違いはありますが,かなりの時間を要しています。⑴と⑷は,必ずやらなければいけないもので,効率化を図る方向で取り組んではいるものの、勤務時間内での処理は難しい状況があります。中学校では,担任をしている者としていない者がいますが、特に担任をしている者については、教科担任で担当する複数クラスの指導以外に,担任しているクラスの⑴~⑷の全てが担任業務として行わなければなりません。副担任や同じ学年担当の教員が協力をしていますが,授業外の時間だけでは対応しきれない現状があります。

4ページ中ほど,2 の3を御覧ください。学校行事、会議・打合せ、その他の校務等に関することです。学校行事は、学校全体で行う,つまり校内の教職員全員がかかわる行事や,関係機関や外部関係者との連絡を頻繁にとる必要のある行事については、かなりの負担を感じている現状があります。これは,単に時間を多く要するということよりも,連絡をとれる時間帯が授業と授業の極めて短い時間であったり、たとえ時間を見出しても相手側の都合の良い時間に合わせることが難しかったりすることで負担を感じているようです。⑶には,多忙化の現状ではありませんが,複数の管理職が取り上げたことが挙げてあります。これは,校務等に対して多忙に感じるかどうかは,かなり個人差があり,それは、それまでの教職員経験や様々な他者とのかかわりの差にあるということです。それが対応力の差、ひいては多忙と感じるか感じないかということにつながる。要するに,教員の資質向上が,多忙化解消に関係しているということです。だから、若いうちに仕事量をただ減らせば良いというわけではなくて、やはり教員個人の資質向上を図りながら,一方では,個人の資質に負わせるべきでない学校の多忙化の要因を探っていく必要があるということではないかと思います。

5ページの2 の4を御覧ください。保護者対応、PTA活動・地域対応,行政・関係団体対応等に関することです。保護者対応は、現在,とにかく様々な要求が学校にあり、それに対して十分な対応ができていないということ。それから、PTA活動・地域対応に関しては、様々な協力をいただいてはいるものの,かなりの部分を学校、教員に頼っている面もあり,大きな負担になっているということです。

次に,5ページの中ほど以降は,学校の多忙化を解消する具体策についてです。3 の1を御覧ください。

3 の1は,多忙化解消に役立つ人材等についてです。ここでは,学校現場の多忙化解消に役立つ人材等を,現在すでに配置している方だけではなくて、こんな方が学校にいたら多忙化解消に効果があるのではないかという視点で出してもらったものも含めてまとめてあります。

3 の1の⑴を御覧ください。学級事務や環境整備等の支援です。最初に,事務処理の効率化または施設管理を行う事務職員の複数配置が最初に取り上げてあります。教員が子どもと向き合う時間を確保するために,事務職員を複数配置にして,外部関係者等の対応や施設管理,学校ホームページ作成を行うなど,様々な意見がありました。その他に,学級会計事務等を補佐してくれる事務補助支援員の配置,アンケート集計やプリント類の印刷業務を行う単純業務補助支援員の配置などの意見もありました。市町村によっては、従来の学校主事の仕事を拡大して、担任等が行っているプリント等の印刷業務を行ったところ,非常に効果があったということも聞きました。そしてまた、先ほどICT機器を活用して業務改善というのがありましたが、ICT機器を入れれば入れるほど、それらの技術的なサポートやソフト開発、セキュリティー対策といったものが必要になるので、専門的な知識をもった方がいると非常に助かるとのことでした。

3 の1の⑵を御覧ください。障害のある児童生徒や不登校児、悩みを抱えた保護者等に対応する支援です。先ほど、特別支援教育には,高い専門性が求められるようになってきたということを申しました。それに応える教員の資質を上げるというのは当然ですが、専門員を配置することも非常に効果的であると思います。そこに挙げましたように,臨床心理相談員とか心理カウンセラー,スクールソーシャルワーカーの配置、そしてまた,特別支援教育支援員とか、あるいは医療的ケアのための看護師、こういった方の配置ができると、学校としては非常に助かるということです。

6ページは,学習指導への支援についてです。

この中で,先ほど財務課の課長さんから説明がありましたが、学習指導支援員の配置についてです。学校は,朝、授業がスタートすると、6時間目が終わるのが4時過ぎで、放課後等の補充的な学習指導を実施するとしても,生徒会活動や学校行事等の準備や,部活動の指導など,やることが多く,放課後も余裕があるわけではありません。補充的な学習指導をサポートしてもらえると、他の活動と重ならずに非常に有効であるということです。

資料の最後は,多忙化解消のために学校としての取組についてです。

6ページの3 の2を御覧ください。最初に管理職が行う取組とありますが、やはり管理職のマネジメントの向上というのは不可欠だというようなことが管理職自身の意見としてあって、その具体的な内容がそこに書かれています。あとは今まで言ってきたことと,だいたい重なる内容になります。

以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。

それでは、続けて北川委員、よろしくお願いいたします。

【北川委員】  それでは、お手元の資料3によりまして、広島県における学校の現状と、それから業務改善の取組状況についてお話をさせていただきます。

平成18年度に文部科学省において行われました教員勤務実態調査、参考資料1の5ページにもございますけれども、教員の残業時間は月約34時間と、昭和41年度の同調査の月8時間と比較して大きく増加しているということが明らかになりました。学校の負担が増して教職員の多忙化が進行しているという状況を踏まえまして、広島県では教育の質の更なる向上に向け、より一層の効率的な校務運営と教職員の負担軽減を図るために、平成23年1月に県教育委員会事務局内に業務改善プロジェクト・チームを設置いたしまして、大きく事務局内における業務の見直しと、それから学校における業務改善の取組、この2つの項目について取り組むことといたしました。この取組につきまして効果が上がった事例を取りまとめまして、平成25年3月に「業務改善事例集」を発行したところでございます。また、県内各地の優れた取組事例を紹介するためにリーフレット「Challenge!!業務改善」の発行や、平成26年3月には業務改善モデル校の取組をまとめました「『業務改善事例集』活用モデル集」といったものを発行するなど、取組を進めておりましたけれども、今年度は更なる改善に向けて、外部の視点となる民間の経営コンサルタントにも協力していただきまして、子供と向き合う時間の確保と教職員のモチベーションの向上、この2つを柱といたしまして調査研究を進めてきております。

実施に際しましては、2のとおり学校の現状を把握するため、まずは昨年6月にモデル校10校を指定いたしまして、教職員約100名にインタビューを行いました。そのインタビューを踏まえまして、7月上旬にどういった業務に時間がかかっているか、あるいは教職員のモチベーションの度合いなどにつきまして、約700名の教職員を対象にアンケートを実施いたしました。また、関係市町教育委員会にもヒアリングを行っております。

それでは、3の現状把握を御覧ください。まず、子供と向き合う時間の確保に向けた現状についてでございます。モデル校の教員、1週間当たりの平均的な業務時間と作業分布をグラフにしておりますが、小中高とも60時間前後、それから特別支援学校は約50時間で、そのうち指導に直接関係ある業務は7割から8割、その他の業務に二、三割の時間を使っているというような状況でございました。これで見ますと、小学校が最も業務時間が長いということでございますけれども、理由といたしまして、小学校は学級担任制であることから、例えば音楽とか理科などの専科教員が配置されている場合を除きまして、放課後まで空き時間がないと。それから、1人の教員が複数の教科について毎時間分の授業準備をする必要があるということが考えられます。英語の教科化が進みますと、また更に負担が増加することが予想されます。

資料にはございませんが、平日の時間外に学校で行った業務の時間を調べてみますと、全校種平均で1日当たり2時間14分、また、平日に持ち帰り業務を行った時間は全校種平均36分ございました。どんな仕事を持ち帰っているかということでございますけれども、学校にいる時間というのは先生方、学年会議、校務分掌の会議とか、研究推進委員会の会議、地域との連携、保護者への連絡等がございますので、そういった仕事を済ませますが、特に主任層のあたりの方は自分のクラスの仕事、例えばテストやプリント類の採点、それから日記や作文、ノートへのコメントの記入、それから書類の作成、そういったものを学校でやっても、到底、時間が足りないために持ち帰りとなっております。

それでは、2ページ、3ページを御覧ください。教員の主な作業の1週間当たりの作業時間を校種ごとにまとめております。なお、入試や通知表作成などの季節的な業務につきましては、年間の総時間数を週当たりにならして記載しております。共通しまして授業時以外で多く時間を使っているのは、やはり一番下の授業準備でございましたが、インタビューではほとんどの教員から教材研究を含めた授業準備にもっと時間をかけたいという声を聞いておりますことや、今後、本県で推進していく「広島版『学びの変革』アクションプラン」の実効性を担保していく上でも、この時間の更なる確保というのは大きな課題であるというふうに考えております。また、特に教員が印刷作業や学級費などの諸費会計に係る業務など、教員の専門性と関係のない業務に時間を使っているといったことや、指導要録を手書きで作成しているといったような状況が見られるなど、ICT環境の整備が課題であると考えております。更に、中学校、高等学校では部活動にかなりの時間を使っていることから、やはり外部人材の活用の余地があるものと考えております。部活動につきましては、生徒の自主性や協調性、それから連帯感などを育成して仲間や教員との人間関係を構築するというとても大きな意義を持っていると考えておりますけれども、生徒の健康管理の面からも、適切な活動時間の設定や定期的な休養日の確保などについても周知を行っているところでございます。各校種とも印刷作業に多くの時間がかかっているのは、モデル校でインタビューをしてみますと、学校では児童生徒に配付する学習プリントとか保護者へ配付する学校だより、学年だより、学級だより、こういったものや各種案内、それから学校内での会議や研修資料など、様々な書類がございまして、印刷した後、とじる作業にも時間が掛かる、また、印刷時間が集中することなど、様々な要因によって印刷作業に時間が掛かっている状況がございます。小中学校は週案の作成にも時間をかけております。週案とは週ごとの授業計画のことで、主に授業時数の管理や授業進度の確認のために作成しているものでございます。1学年で複数の学級がある場合には授業の進度を合わせる必要がございまして、この部分にも週案を活用しております。

それでは、次に教職員のモチベーションの向上に向けた現状について説明をいたします。4ページを御覧いただきたいと思います。アに記載しておりますように、「充実感」を構成するモチベーションは6つの観点から構成されるということで、具体的にはプラスに働くものとして仕事自体の楽しさ、それから意義、可能性の3点とマイナスに働くものとして感情的圧力、経済的圧力、慣性の3点で整理しております。その6つの観点でモデル校の教員に調査をいたしましたところ、イの方に記載しておりますように、「意義」を感じている度合いが他の観点より高い結果となっておりまして、やはり人を育てるという仕事に意義を感じていることが大きなモチベーションになっている状況がございました。一方で、モチベーションを一層高め、高い状態をキープするには、仕事に「意義」を感じる以上に仕事自体の「楽しさ」という観点がより重要で、改善の余地があるというふうに考えております。また、この「楽しさ」というのを本県の教育長はわくわく感というふうに申しておるんですけれども、これを高めることは、教職員の不祥事の未然防止にもつながるものというふうに考えております。

仕事自体の「楽しさ」の向上につながる項目として、ウに記載しておりますように、先ほど説明しました児童生徒と向き合う時間はもとより、担当業務のやりがい、それから助け合う雰囲気、そして上司の理解や支援、チーム意識などが大きく関係していますが、アンケート結果では大いに当てはまると、当てはまるという肯定の回答のみで見ると、おおむね2割から4割の程度にとどまっております。これらの項目の多くは管理職やミドル層のマネジメントと密接な関係があると考えています。

それでは、5ページの方を御覧ください。5のこれまでの調査から見えてきた課題について、大きく4つの観点でまとめております。1点目は教員がその専門性を十分に発揮できる環境が整備されていないということ、それから2点目は先ほども出ましたけれども、ICT環境の整備がハード、ソフトの両面において民間に比べて大きく遅れているということ、3点目は教職員のモチベーションの向上の観点から、管理職やミドル層のマネジメントスキルについて更に高める余地があること、4点目はこれまでの取組は学校現場での自主的な取組が中心になっておりますけれども、設置者である県及び市町教育委員会が新たな予算の確保なども含めて、よりリーダーシップを発揮していくべきであるということでございます。

6の今後の取組の方向性といたしましては、先ほどの課題を踏まえまして、本県では当面、大きく3つの柱で取り組むことを考えております。1点目は教員の専門性を発揮することができる環境の整備として、教員の業務をサポートするスタッフを配置することについて検討しているところでございます。過去、国の方で実施されました理科支援員の配置事業というのがございましたけれども、これがとても好評で、小学校における理科の実験用具などの教材の準備や授業の補助など、とても効果的に活用されておりました。こういった教師の指導を補助したり、指導以外の業務のサポートをするアシスタントをしたりする人を置くことが教員の効果的な負担軽減につながると考えております。こうした場合、財源が課題となりますけれども、例えば学校司書のように地方交付税で措置された場合、市町教育委員会の財政状況によっては必ずしも活用されていないといった状況もございます。先ほど財務課長様から御説明ございましたけれども、補助金等により拡充となっておりますけれども、補助金や交付金として措置されることが効果的ではないかと思われます。2点目でございますけれども、業務の更なる効率化を図るためのICT環境の整備として、まずは本県では県立高校への校務システムの導入について検討しているところでございます。3点目は、管理職等のマネジメントスキルの更なる向上として、管理職をはじめとしましてミドル層に対して実施している研修内容について見直しを行うことを検討していることでございます。

説明は以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。

それでは、これから約1時間の時間がありますので、今の2つの報告について、自由に質問、御意見頂ければと思います。どなたからでもどうぞ。いかがでしょうか。質問等々からでも構いませんので、いかがでしょうか。

なければ、私の方から大久保委員の方に質問ですけれども、これまでの県や市町村の校務処理改善のいろんな取組の中で一番重点的にされているのが主要行事の内容を精選・廃止したり、回数を減らしたりするとか、あと、校内のいろんな会議等々の合理化ということが挙げられているのですが、そういう行事の見直し、精選という取組の中で、主要にはどういう行事が精選・廃止されているのか、各市町村の傾向とか県全体としての傾向があれば、教えていただきたいのですけれども。

【大久保委員】  具体的に,どんな学校行事が精選・廃止されているのか,各市町村の傾向や県全体としての傾向は持ち合わせておりません。もちろん,いずれの学校行事も学校にとって必要であるからやってきたわけですが、これだけ新たな教育課題も出てきて取り組むことが増えますと、総授業時数は決まっているわけですから,見直し・精選・廃止は避けられないということで,この86.2%という高い数字となって表れているのだと思います。

各学校の学校行事の見直し・精選・廃止は,それぞれの学校の実情によって違いはありますが,視点としては,複数の学校行事を統合する、地域行事との重複から廃止する,教科内容との重複から廃止する,廃止はしないが時期をずらし長期休業中に実施する、などがあります。

具体的な例をいくつか挙げて説明します。例えば,以前は4月に実施していた家庭訪問を,夏季休業中に時期をずらして実施している学校が増えました。家庭訪問は,学級担任として預かった生徒のことを知る大切な行事ではありますが,一方で4月は様々な業務が錯綜して大変忙しく落ち着いた教育活動が難しい時期でもあるので,これをもう少し学級が落ち着いた夏季休業中に行う方がよいのではないかということです。また,どこの学校でも以前はスケッチ大会という学校行事がありましたが,これを教科の時間で取り扱ったり,夏季休業中の自主的な課題として取り組ませたりして廃止したという学校もあります。一日遠足も社会科見学や理科の校外学習などと統合して実施できるということで学校行事としては廃止した学校もあります。地域行事との重複があるということで廃止した学校行事としては立志式などもあります。さらに,中学校でキャリア教育の一環として実施している職場体験学習を,各教科で身に付けた知識や能力を総合的に発揮する場としてとらえ,「総合的な学習の時間」の中で実施するとした学校もあります。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにどうでしょうか。自由にどうぞ。はい。

【米田副主査】  すみません、大久保委員に質問よろしいでしょうか。

私も県教委にいて、様々な面で学校の負担を減らすようにということで、やはり調査物、あるいは調査方法の見直し、それから研究指定校を減らすことなど、かなり進めてきておりますが、実際、学校におりますと、教育委員会以外からいろいろな調査依頼、照会等がございまして、場合によっては、そちらの方がかなり多いなという印象を受けることもございます。それで、北川委員のデータでは教委以外の調査依頼もそれなりに時間がかかるというようなデータが各校種からも出ておりますけれども…。その辺について、教育委員会は一生懸命、努力しているのだけれども、実際、学校にいると、その努力は認めるものの、現実はそんなに負担感が軽減されているわけではないんですという声を聞くことはございませんでしょうか。

【大久保委員】  お話があったように、聞き取りの中でも県教委からだけではなくて、例えばNPO法人や様々な教育機関,調査研究をしている大学などからも調査依頼があって、県教委や市町村教委で少し整理できないのかという意見もありました。そこが変わっていかないと、トータルとして調査物の減少にはつながっていかないので、県教委や市町村教委でなるべく学校に負担のかからない形でできるように、調査をする各種団体に働きかけられないかと,我々の中でも話題になったことはあります。また,メール等を使って、調査を簡便化するなどの理解を求める働きかけも必要ではないかと感じております。

【小川主査】  よろしいですか。

ほかにいかがでしょうか。はい、竹原委員。

【竹原委員】  具体的に多忙感と業務改善についてお聴きし参考になりました。まず、広島の調査の平均所要時間を興味深く読みました。こういうふうに先生の時間は使われているのだ、広島だけではないのではと思います。中でも印刷作業の時間がどこも多いというのに驚きました。それが教材だけではなく、学校だよりとか様々な会議資料ということでしたら、それだけペーパーを作っているということだと思います。私はアメリカで学校だよりを印刷するボランティアをしていましたが、やはり先生がそれに関わるというのはもったいない話で、考え直す必要があると思います。さらに会議の仕方、情報の共有の仕方なども根本的に変えることが大事で、印刷時間を減らしましょうということではないと思います。学校では情報が共有されにくく、継続性や横のつながりが課題で、一から検討ということが多いのではないでしょうか。企業における情報共有のノウハウを取り入れることも必要かと思います。また組織マネジメントやクラス運営、教科指導に必要なICTのスキルは教員養成段階から学ぶ必要があるでしょう。その上でICTのスペシャリストを入れるというのは賛成で、多忙の解消につながると思います。

もう一つ、地域協働は余裕があればやるのではなく、教育改革の柱なのですから、何がプラスであるか、なぜ推進するのかということを先生方に伝えていかないと、進まないのではないかと思います。学校支援ボランティアは草刈りや印刷の補助もあるかもしれないし、教科の補助もあります。また地域には危機管理のスペシャリストもいるかもしれない。そういう方とともに社会総がかりで学校を良くしていくという視点で地域協働を考える必要があります。そのときに一番考えなければいけないのは、先生方のコミュニケーション力、学校のコミュニケーション力で、文化、価値観、経験の違いをこえてつながることでしょう。保護者も企業人だったり、事業主だったり、農業の方だったりしますので、保護者対応にもつながります。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにいかがでしょう。では、藤原委員。

【藤原委員】  意見のようなものを入れてよろしいですか。

【小川主査】  はい、構いません。どうぞ。

【藤原委員】  御報告ありがとうございました。ほかの国でも教員の多忙化について取り組んできておりまして、それと対比をしながら聞かせていただきました。

3点だけ申し上げます。最初に大久保委員からの御報告の中で、県教委として継続的にモニタリングしているというのは、これはやっぱりすばらしいことだと思っております。イギリスを念頭に置きながらお聞きしていますけれども、イギリスでも教員の多忙化というのが問題になりまして、やはりその実態については継続的モニタリングの仕組みというのを入れて、継続的に把握いたしました。ですから、そういう意味で、何らかの継続的なモニタリングの仕組みというのは必要なのではかということを改めて感じさせていただきました。これは1点目でございます。

2つ目がお二人の御報告の中で、例えば印刷の問題が出てまいりました。いろんな環境整備とか、学校というのは誰がやってもいいけれども、とっても大事な仕事というのがたくさんございます。学校というのはすき間がたくさんあって、いろんな仕事というのがあって、そういう仕事をやはりもっと教員以外のスタッフがやるべきだという御意見だろうというふうに承りました。イギリスの場合でも、例えば大量のコピーはしないとか、そういうことを決めてきた経緯というのがございます。そのときにポイントになったのは、そういう軽微な事務とハイレベルな事務というのを区分して議論しようということだったわけです。つまり、例えば危機管理であるとか情報管理とか財務管理とか、そういうハイレベルの事務と軽微な事務というものを分けて考えなければならないだろうという議論というのをしてまいりました。ですから、たくさんのスタッフというのが増えれば増えるほど、その人的支援管理は誰がやるのかという問題が発生いたします。今現在もいろんな任用形態のスタッフがおりますと、実際、その人間関係の調整というのは、現場では課題になることもございます。そういう意味で、そういうような様々な間接的な仕事を束ねるようなスタッフを誰が束ねていくのか、そういう議論というのが必要だろうというふうに思います。これは2点目。

3点目に北川委員の「広島版『学びの変革』アクションプラン」というのは非常に興味を抱かせていただきました。今後、学びを変革する上では教員の仕事がどう変わるのかというシミュレーションというのがこの作業部会でも必要になってくるだろうというふうに思われます。アクションラーニング、学習者主体の学びというのは、恐らく学習成果というのを追っかけることにかなりの労力というものが増えてくるだろうというふうに思われます。更に、ICT、あるいは図書館といった環境整備というのも変わってまいります。そのあたりで、この「学びの変革」というもののシミュレーション、イメージというものがこの作業部会で要るんだろうなと。そういう意味で、この「広島版『学びの変革』アクションプラン」というのを考えながら、環境整備が必要だという御提言につきましては、また機会がございましたら、広島県教委として具体的にどういうシミュレーションをして、どういうような工夫、あるいは勤務の割り振り等々を考えていらっしゃるのかについて、またお教えいただければというふうに思います。

以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。最後のところは、少し北川さんに補足説明ということですよね。

【藤原委員】  そうですね。

【小川主査】  何かありますか。

【北川委員】  「『学びの変革』アクションプラン」というのは、国が今、進めようとされているアクティブ・ラーニングに関連するものですけれども、課題発見、解決学習を総合的な学習の時間をはじめとして各教科で進めていこうということを考えております。それで、今、指定校等を作って実践的な研究を進めていこうとしているわけですけれども、やはり今まで総合的な学習の時間がなかなか進まなかったということは、先ほども鹿児島の方の総合的な学習の時間の話も出ましたけれども、教科を横断的に考えて、総合的に学習を進めていかなくてはいけない。そういう中で、教科担任制である中学校は特にそういったカリキュラムを作るのに時間を要する。そういったところで、そういう主体的な学びの考え方について、しっかり教員の研修等を充実させていく必要があると考えております。カリキュラムを作っていくときにも、この間、田村委員の方からもお話がありましたけれども、カリキュラム・マネジメントというような考え方も必要ですし、それからコンピテンシーという、これから求められる人材像ということで、質、能力のあたりの研究も考えていかなくてはいけない。それから、評価のことも研究を進めていかないといけないということで、先生方が授業の質的な変革をしていくために、やはりしっかり実践的な研究を進めていかないといけない時間も今後確保していかなければいけないんのではないかというところで、環境整備のところは今後検討になってくるところでございます。

【小川主査】  ありがとうございました。また機会があれば、少し広島のそういう取組を教えていただければと思います。

次期の学習指導要領の非常に重要な課題であるアクティブ・ラーニング等々というふうな新たな学びないしは学習指導の形態というのは、恐らく今、藤原委員がおっしゃったように、教員の授業のありようとか、また、子供の学習環境をどう整えてどう活用していくかという、そういうふうなイメージを具体的にしながら、チーム学校の中身を詰めていく必要性があると思いますので、恐らく今後、そうした次期の学習指導要領の方向性も少し踏まえながら議論していくということは、この部会においても求められるかと思います。

それに関係して、カリキュラム・マネジメント等々の課題なんかもそういう点では非常に重要になっていくかと思うのですけれども、田村さんの方で藤原委員の御発言を引き取って、何かあればよろしくお願いいたします。

【田村委員】  本当に今、藤原委員、それから北川委員がおっしゃったとおり、これからの学習指導要領の趣旨を実現していくためには、これまでより手間暇がかかる評価の在り方を模索していくことにもなるということがまず考えられます。それから、今度は資質、能力を育成するという視点で学習要領の構造自体の変革ということが考えられているのですけれども、そうなりますと、これまで教科書や指導書に従って教育内容を何を教えるかということを中心にやっていたことから、一つ一つの授業時間において、どういう力をつけていくのかという一つ一つの授業の時間の意味、意義、狙いというのをこれまで以上にしっかりと考え、一つの資質、能力がたった1つの教科で育成されるわけではないですので、どの教科に力を入れるのかといったような、そういったカリキュラム全体を見て作戦を立てていくといいますか、そういったビジョンを持つということがカリキュラムの面で非常に求められていくことになります。したがいまして、先ほど出していただいた資料の中に週案を作ることに大変時間がとられるということがあったのですけれども、こういったことも一つ、どうしても欠かせないことになってきます。週案どころか年間指導計画、こういったものもやはり本格的に皆さんで囲んで検討するという時間が、そんなに頻繁でなくてもいいので、年間の計画中に学期に1回とか、そういった形で確保していくということがどうしても必要になってくるのではと考えられます。そうした時間の確保ということをまず考えていきたいというのが1点ですね。

それから、これは質問をさせていただきたかったのですけれども、広島県の取組の中で県立高校への校務システムの導入検討というのがあったのですけれども、どういった校務について、システム化されていっているのかということですね。例えば、私の方の専門で言えば、カリキュラムにつきましてもある程度、システムの中に取り込んで、省ける手間は省き、そしてそれを囲んで議論することに時間を割くということが可能になってくるのではないか、そういうソフトも開発されてもきていますので、ちょっとそこのところを、どういう種類のものなのかということをお聞きしたいと考えております。

【小川主査】  では、北川委員、よろしいですか。

【北川委員】  校務システムですけれども、今、田村委員がおっしゃったような、そういった授業に関係する、教育内容に関係するようなシステムということではなくて、要は事務処理に関わる校務システム、あるいはLANの整備、そういったことになってまいりますので、そういう田村委員がおっしゃったようなことは、まだ検討が進んでいない状況でございます。今後考えていかなければならないところであると思っております。

【小川主査】  よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

私も2006年に文科省から委託されて、全国の教員勤務実態調査に係ったのですが、そのときに小学校と中学校の比較をやったときに、小学校、中学校の勤務形態と超過勤務が生ずる理由というのは一緒にできないな、やはり小学校、中学校、それぞれに勤務の特殊な形態があるなということをすごく感じたのですね。先ほど北川委員もおっしゃったように、小学校、中学校の一番大きな違いは何かというと、中学校の場合には教科担任制ですので、自分が担当しない授業時間というのが必ず1日のうちに1こま、2こま空くんですね。中学校の先生は、その空いたところでいろんな成績処理とか軽微な事務の処理を片づけて、放課後は部活動に専念するというふうな、大体そういうパターンで部活動が多忙化の最大の理由が中学校なのですけれども、小学校の場合には、学級担任制をとっていますので、中学校のように1日のうちに持ち時間の授業時間が空くということがほとんどない、子供が学校に登校して下校するまで、とにかく四六時中動いている。そういう違いがあって、ある意味では、業務の濃密度というか、そういう点からすると、小学校の教員の方がはるかに濃密な学校での業務をやっているという感じがしました。ですから、例えば御存じのとおり、昼休みも給食がありますので、ほとんど給食指導ということで、そこでも休みがとれないというようなことがあるんですね。ですから、そういう小学校の先生方がいろんな成績処理等々を行うためには、子供が下校して学校からいなくなって、初めて時間が空いて、そこで初めてそういう成績処理等の事務を行うというふうなことで、結局、そこで処理できなくて、学校から家庭に持ち帰るというのが2006年の勤務実態調査では見えていました。ですから、小学校の先生方の負担軽減等々を考えるときには、学級担任制という形をベースにして様々な処方箋を考えるのか、学級担任制というのを少し見直して、例えば中学校のように小学校においても教科担任の枠をもう少し広げて、小学校の先生においても、1日のうちに1こま、2こまぐらいは空き授業時間が作れるような、そういう勤務形態に変えることで、少し事務処理の合理的な仕組みを小学校の教員の方に入れていくか。そういうふうな方向性があると思うのですね。今後、小中一貫のいろんな試み等々を考えると、小学校の方に今以上に教科担任制を導入して、小学校の先生方が、子供がいる間はほとんど空き時間がないというふうな仕組みをむしろ変える方が合理的なのかなという感じはするんですけれども、実際、学校現場ではその辺はどういうふうに捉えているのでしょうか。これは北川さんとか大久保先生に少しお聞きしたいと思います。

【小栁委員】  私が小学校畑だから、私から。お二人は中学校でしょうから。

【小川主査】  そうですか。では、どうぞ。

【小栁委員】  私は小学校の教員経験者ですから、今、小川先生がおっしゃったことはよく分かります。とにもかくにも、子供との触れ合いの中で伸ばしたいという気持ちから、小学校の担任は例えば日記指導なんか、中学校もやりますけれども、日記指導の時間、どこでやるかというと、2時間目休みの15分、それから給食の配膳、4月にしつけて、5月からはその時間10分ぐらい、そして片づけ終わって5分、10分、その時間じゃないと、もう日記指導できないですね。それをやらないと、子供は先生の一言がないとやる気がなくなってしまいますね。そういう中で、まさに学級経営がなされる。そうした小学校の実態があるということで、小川先生の話はよく身にしみ入りました。

それで、なかなかお金がかかるし難しいのですけれども、地方の一つの市として、やれることはやっていこうということで、私の深谷市では24年度から教科支援エキスパートというのを入れました。それは5、6年生で教科を選んでいいと。つまり、大体、音楽を想定していました。そこに非常勤を市費で雇って、もちろん、能力実証はして、選考して配置する。そうすると、高学年は、週1.5時間は空きますから、その時間を使って子供と向き合う時間を確保してほしいと。同時に、それは中1ギャップへの対応になると。つまり、学級担任から教科担任への段差を乗り越える、それにもなるということでやりました。

それから、竹原先生のお話をお聞きして、やっぱり学校というのはチーム学校という動きをとらなければいけないのですけれども、組織力の向上という点ではやっぱり弱いですよね。組織力の向上を考えるときには、まず、組織目標、目的を共有する。学校は学校教育目標の具現化のため、その視点、方策、場を校長が示し、教員は共有します。そして、さあ、やってやろうという協働意欲がある。3番目が情報共有ですけれども、これができないんです。なぜできないかというと、どんどんできない状況になっています。なぜか。つまり、時間がもったいないから、朝の打ち合わせはしない方向になっています。週に1回打ち合わせをするとか、あるいは週1回の職員会議、そうなってしまいますから。そこで困ったことだと思い、ICTの活用で職員にパソコンが1台ありますので、そこでとにかく情報は共有するようにということで、ペーパーレスでやっています。

そのこととの絡みでもう1点申し上げますと、ここも深谷市のささやかな取組なんですけれども、校務支援をやりました。これが25、26で完成しました。どういうことかといいますと、指導要録、通知表の電子化ですね、これで年間46時間、時間が空きました。46時間というと少ないかなという気もするのですけれども、例えば中学校の教員が部活を終わると、大体6時ですね。それからいろいろなことを始める。例えば、1日2時間やるとすれば、それで23日分空きますね。そういう形で、校務支援ソフトは大変学校が受け入れてくれ、出席簿なんかも、そういうパソコンを使いながら瞬時に把握できますので、いろいろな形をやっております。ただ、校務支援ソフトを入れるに当たって、市長部局にお願いして、約500万かかりました。お金がかかるのです。ですから、その辺も補助していただければありがたいなと、こう思っているのですけれども、いずれにしても、ICTの活用というのは一つのヒントかなという点が一つであります。

あとは蛇足的に申し上げますと、どこの市町村、県もやっていると思うのですが、埼玉県では学校応援団というのを、全1,240校が多分入っておりますけれども、外部人材等、応援団ですから、お金がかからない。環境整備、それから登下校の安全、それから簡単な学習支援、そういうボランティアを活用しながらやって、少しでも教員の負担軽減を考えております。

長々と申し上げました。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。きょう、とにかくいろんな観点から、いろんな問題を指摘していただければ、むしろ、そういう問題の洗い出しの場にしていただければと思います。御自由に御発言いただければと思います。

米田委員。

【米田副主査】  広島県の方のアンケート調査を見て、今改めて感じたのは、授業準備にかかる時間が、確かに各校種で一番、当然のことながら多いのですが、例えば高等学校の場合、1週間で平均して8.1という時間ですが、私も経験上考えてみますと、1週間でもどんどん教科書が進んでいくわけで、授業の準備は日々していかなければいけないこともあり、実際、この時間で本当は間に合うはずはないと私は思っております。インタビューでも、もっともっと授業の準備のための時間が欲しいというふうなことをおっしゃっていたということを、さっきお話しいただきました。多分、人にもよると思うんですが、家に帰って、またいろんな形で次の日の授業等を想定して準備している方も大分いるのではないかと思います。またもう一つ、今、パソコン等を使って授業準備の一環としてプリント類も作るんですが、それが昔と違って非常に手の込んだ、すばらしい資料等になっています。それが結局、印刷の方にもリンクしていっているということもあるのかなと私自身感じておるんですが、その辺について、もっと詳しいところまでは余りインタビュー等ではお聞きにならなかったでしょうか。

【北川委員】  インタビューにつきましては、そのあたりの詳細は聞いておりません。学校の方の取組を見ましたら、やはり教材を作成します。そうしますと、整理が十分できていない。書類を作ります。書類のファイリングがうまくできていない。教材教具の倉庫の整理整頓、こういったものもどこにあるか分からない状況でそれを探すのに時間をかけてしまうなどなど、そういった状況があって、それを見える化しようということで、教材も見えるように、どの先生がフォルダーから取り出して改善して使えること、どの先生でもできるような形にしようとか、そういうプチ改善と申しておりますけれども、そういう改善を学校の方では一つ一つ積み重ねておられるようでございます。そういった教材もですけれども、やはり授業に関するそういった無駄といいますか、教材の準備に係るような無駄はなくしていって、教材自体の質を高めるような方に時間をかけることができれば、一層、授業が充実していくのではないかなと思っております。

【米田副主査】  ありがとうございます。

秋田県では、特に規模のやや大きい学校では、高等学校、中学校もそうですが、複数の先生が1つの学年を担当する場合には、なるべく教材を共有化して、また、その先生が欠けた場合でもほかの先生が行って同じような授業を、これがいいか悪いはまた別問題ですけれども、やれるような方法をとっている学校も出てきておりまして、そういう面では、大分、時間的なロスも少なくなるように工夫している部分もあると思います。一方で、その先生ならではの個性そのものは当然、生かさなければいけないわけで、その辺の兼ね合いというのは単純に行かない、難しいところがあると思いますが、教材等に関してはできるだけ共有化してやろうというような動きというのは出てきておりますので、その辺は必要なことではないかなと私自身は思っております。

ありがとうございます。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。はい、坪内委員。

【坪内委員】  北川委員と大久保委員のお話を伺って、すごく具体的に今の学校を取り巻く環境を理解できたように思っております。一つ、やはりすごく印象的だったのが学校を取り巻くニーズが非常に複雑化していると。やはり保護者のニーズであったり、特別支援教育のニーズであったり、いじめの問題であったり、先生方がこういった複雑な問題に全て対処しなければいけないという環境においては、すごく孤独なのではないかなと思いました。一方、先ほどから議論に上がっているように、印刷にかかる時間ですとか、採点、部活、給食、清掃など、本当にいろんな事務作業がある中で、どういうふうに分担ですとか優先順位をつけていくかという問題になっていくかと思うのですけれども、冒頭にお話がありました学習サポーターの方というのが場合によってはすごく重要な役割を果たし得るんではないかなと思っておりまして、それが予算案の中では8,000人から1万人に増えるということは、場合によってはすごく心強い施策になっていくんではないかと思いました。

質問にもなり得るのですけれども、この学習サポーターの方々が学校現場で具体的にどういった役割を果たして、そして教員の方々とどういったパートナーシップを組んでいけるかというところが、どのぐらいこの方々を活用できるかという一つ重要なポイントになるのかなと思いました。例えば学習サポーターの方がいきなり例えば学校現場に放り込まれても、どういった連携の仕方があり得るかということをサポーターの方々だけではなくて、その教員の方々も共通の理解を持った上でないと、混乱が起き得る可能性もある一方で、ただ、そこの理解が共有されて、大きなビジョンに向かって一緒に手を取り合えるようであれば、すごくこれが場合によっては、もっと大きな規模で展開し得る解決策にもなり得るのではないかと思ったのですけれども、現状若しくは今後の計画の中で、この学習サポーターの方々がどのような位置付けで動いていて、今後、こういうふうにこの方々に役割を担っていただきたいというような議論が行われているのかどうかというところを少し興味を持ちました。

以上です。

【小川主査】  学習サポーターは竹原さんに聞けばいいのですか。少し取組を含めて。

【竹原委員】  私もそのことにとても興味を持って活動している者なのですけれども、文部科学省の方にお聞きしたいのですけれども、サポートスタッフに位置付けている人のイメージと学校支援地域本部などで学校を支援してくださる人というのは重なるものでしょうか、別のものでしょうか。

【池田財務課長】  大きくは重なり得ると思いますけれども、ここで予算上、来年度は1万人している方のうち、恐らく免許を持っていて退職された方とかもいらっしゃれば、そうではなくて、地域でいろんな活動をやっていて、学校に積極的に関わってくださる方もいます。それから、補充学習とか発展的な学習のような授業の延長みたいな形で関わっていただける方もいれば、体験活動みたいな、正規の授業とは違うところで、かなり予算上はいろんなものが含まれるようになっていますので。

【竹原委員】  そうすると、この予算と学校支援地域本部事業はどちらも地域とともにある活動として連動するといいと思っています。

実際に今、小学校では見守り活動や読み聞かせや授業サポート、それから遠足の付き添い、花壇の整備など各地で行われています。中学校ではキャリア教育で地域の力を頂いているというところがかなり多くあります。学力増進のための授業サポートも入っています。地域も保護者も強みを生かして担い手になるということが進んでいますが、それをチーム学校の視点に入れていくことが必要です。初期段階では新しいことをするので負担増になるかもしれません。コンセプトを統一して一緒に動きだすために、ちょっと大変だなと思う部分もありますが、やり始めると、やってよかったとおっしゃる先生が必ずいると思います。仕組みとして作っていくときのエネルギーは必要ですが、長い目で見たら推進して良かったと言えるでしょう。チーム学校で、地域連携を視野に入れていくことが大事だと考えています。【小川主査】  深谷市の学校応援団というのは、まさにそういう学習サポーターも含めた取組ですか。

【小栁委員】  両方ですね。いわゆる学校応援団というのは、文科省の学校支援地域本部のあれと同じですけれども、例えば小学校では丸つけ応援団なんていって、朝、教員が打ち合わせしているときに入っていって、地域の人たち、OBの人なんかが丸つけする、そういうのもあります。それから、もう一つは中学校の補習学習に市費で学校総合支援員というのを雇って、その機能の一つにステップアップレッスンと位置付けて、塾に行っていないで学力に課題のある子、正面からそれを言うと、当然、集まってきませんので、いろんな形で働きかけて、それはやっぱりお金をつけてやっています。学校総合支援員、ほかの役割もありますので。その際、指導に当たるのは大学生ですね。大学生を二、三十人集めて10校に配置して、そのときの大学生には図書券を1回500円ぐらいですかね、通ってくる車代といいますか、そういう感じでやっています。ですから、制度的にやっているものとボランティアと両方あります。

以上です。

【小川主査】  この辺は、もう少し全国な先駆的な事例なんかも集めて、学習サポーターの現状と今後の課題みたいなところを少し部会でも詰めてみたいなと思っております。

よろしいですか。

【坪内委員】  はい、ありがとうございます。

【小川主査】  ほかにいかがでしょう。

加藤委員、何かございますか、今までの2つの報告とこれまでのやりとりを聞いて、何かあればお願いします。

【加藤委員】  御発表、いろいろありがとうございました。

私の方は、きょう出されている議論、今まで報告というか、調査等されていた議論というか、そういうものもございますし、改めて確認させていただきました。一つ一つはいろいろあるのですが、私自身、最初の会合でも少しお話しさせていただいたのですけれども、管理職の課題というか、じゃあ、こういう多忙化の現状にあって、例えばきょう、大久保委員の方から多忙化の現状という発表があって、例えば問題行動で学校が荒れているとか、突発的な対応が必要だとなったときに、教師がつきっきりでそういう対応をできるかというと、結局、授業をしなければいけないので、誰が行かなければいけないんだというと、そこに管理職がつきっきりになるというか、そうすると管理職がマネジメントの方に手が回らなくなって、多忙化のための対策というものをおろそかにしてしまうというか、そこまで手が回らないといって、どんどん多忙化になっていくというような感じになっていくというか、だから、悪い循環というか、悪循環のようなものがそれでいってしまう。どうしても管理職の方が、自分が忙しいとは言えない立場になってしまうのかもしれませんけれども、管理職のサポートというか、管理機能の強化というか、そういうところにつながるところもあるかと思うのですね。先ほどのコピー印刷とかというのが授業の支援ということであれば、マネジメント、管理の側の支援というか、あるいは竹原委員の話であったICTの学校全体のみたいなところは、結局、そういうマネジメント全体と関わるようなところに目が向いていかないというか。

私も茨城県の方で校務業務改善ということで、きょう、大久保委員と北川委員に御発表をいただいた関連で、この四、五年はお手伝いしているんですけれども、そうすると、なかなか管理職自身がそっちの方にまで目が向かないと、力を注げないというところがあって、きょうのお話は、そういう職員が配置されると、そういうところにも力を注げて、それがいい循環になっていくと。そういったところ、例えば先ほど藤原委員の方のお話にもあったでしょうかね、事務職員の話とか、そういうのがいろいろ結びついていって、どんどんいい循環になっていくのかなというところで聞かせていただいていました。

以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。

ほかにありますか。田村委員、どうぞ。

【田村委員】  今まで研究上、様々な方と関わらせていただいて、本当に資源がない中で様々な努力、細かい努力をされて、何とか授業準備のための時間を作り出しておられる、そういう学校と多く出会ってまいりました。例えば、印刷機にしても、スイッチ一つ押せば全学級の児童数分とか家庭分というのが自動的に出てくるとか、そういうことをされるなど、様々な努力をされてきているのですが、きょうはそういったことは学校の中での努力なので、一旦そばに置いておきまして、じゃあ、学校の努力の中でできないことは何だろうかということを考えていかなければならないのかなと思っています。

これは、学校の中の努力の中に入るのかもしれないのですけれども、先ほど藤原先生がおっしゃったこととも重なってくるんですけれども、やはり学校の中での役割分担の在り方というのをよく検討する必要があるのではないかなと思いました。

少し具体的な事例になりますけれども、千葉県の学校ですけれども、学校の中にカリキュラム管理室というのを持っていて、これまでの指導案であるとか資料であるといったものが学校の中で一元管理されている部屋があるんです。そちらの学校では教務部に当たる分掌が管理しているのですけれども、先日、全国事務職研究会の方と話す機会があったのですが、そうしたことに関しては、例えば事務職がもっと関わる余地があるのかもしれないとおっしゃっていました。すごく長い期間、40年以上続いてやっていらっしゃる学校で、いろんなシステムがちゃんとそれで回っているのですが、それであっても、本当に忙しい中で、カリキュラム管理室からとった資料を戻すという作業がやっぱりなかなか滞るといった中でサポートしてくれる人がいれば、もっと楽になるのではないかなと、そういったことを考えました。ということで、学校の中での役割分担の在り方というのを考えていくということが一つ。そういった役割分担を考えた上で、学校としてどういうスタッフが必要なのかということを明らかにして、それに対して予算や人材バンクとか、そういった市町村等が行うべきこと、国が行うべきことというのを整理していかなければならないのかなと思いました。

もう一つ、申し上げたかったのですが、様々なスタッフということを今、大人ということで考えていると思うのですけれども、学校の中の子供というのがいかに学校づくりの中に参画していくのかと。例えば、小学校の運動会に中学生がボランティアで来るとか、あるいは地域のまちづくり、そういったことに中学生が重要なスタッフとして活躍しているとか、そういった事例も多くありまして、大人だけではなくて、これから自立した子供たちを育てていくという面でも、子供の参画といったようなこともどこかのところで考えていく話題になればと願っております。

それと最後にICT化、あるいは効率化、外部委託、そういったことが議論されると思うんですけれども、そういうことを進めると、効率化はされていくんですが、その一方、どうしても、関与が薄くなってしまうところがあるので、常に私自身、研究の中でそれを悩んでいます。どういったところで関与の場を設けるのか、そういったことも議論の中に加えていただければと思いました。

以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。

最後、発表者のお二人、今までのいろんな質問とか御意見を聞いて、何か補足の御意見があれば、大久保委員、北川委員の方から御発言いただきたいと思うんですが。

【大久保委員】  いろいろお話伺いまして、大変参考になりました。坪内委員がお話された学校にスタッフを入れる場合、どんな役割を受け持つのか、どんなパートナーシップを組むのかということについては、今後,詰めていかなければならないところだと思います。結局、教員が児童生徒と向き合う時間を確保するために,どんなことを努力するかというのは、それぞれ学校が実情に応じて考えてきており、それは,当然これからもやっていくはずであります。だから,ここで考えなくてはならないことは,学校の中だけで解決できない現状がある場合に,どうすれば教員が指導力を発揮できる環境が整備され,チームとしての学校の力を向上させることができるのか,ということだと思います。先ほど地域との連携は不可欠とあったように、やっぱり協働というのは、これは避けられないことだと思います。地域や外部の方との連携を図るには,共通理解のために費やす時間や労力も不可欠です。でも、その場合に、加藤委員がお話されたように、授業があるわけで、朝から夕方まで、ほとんど授業の時間になっているわけですから,その中で、共通理解を図るための時間をどうやって生み出していくかといったところで現場は多忙感を感じています。ですから,例えば,外部の方との連絡・交渉をする渉外担当を配置したり,多様な専門性を有する者などを配置したりする場合,役割分担をどうするのか、あるいはパートナーシップをどのように組んでいくかを考えることは、非常に大事なことだなと改めて思いました。単に削減や合理化ということだけでなく,そんなことも一緒に考えていけたらいいと感じました。

以上です。

【小川主査】  北川委員、何かあれば。お願いします。

【北川委員】  ありがとうございました。3点ほど考えました。

藤原委員の方から「広島版『学びの変革』」ということで、今後、やはり成果を追いかけていくということが大事で、かなりそうなると負担がかかってくると。そういうところで、教育委員会としてはやはりシミュレーションをして、学校に充実を図っていただくための環境整備を今後検討していかなければいけないということを感じました。

それから、2点目ですけれども、やはりICT化というところで、教務事務システムとか旅費の事務のシステムとか、そういったところを中心に今、検討を進めておるわけですけれども、そういった中で田村委員からございました教育内容に関わるとか、授業に関わるICTの活用というのをどう充実させていくかということを今後考えていきたいと思いました。

それから、3点目ですけれども、サポートする方、大久保委員の方から様々なこういう人材というところで資料の方にも挙げられております。心理カウンセラーとか特別支援教育の支援員とか様々ありましたけれども、学校でいろんな声を聞きますと、やはりこういった資格や免許を持っている方がいないと、なかなか探しても、そういう勤務条件との関わりもあるんでしょうけれども、なかなか人がいない現状があると。そういう資格を有しているということではなくて、まず、資格や免許がなくてもできるようなところから、まずはそういったものを充実させていくというところから取り組んでほしいというような声もありました。地域の現状でございます。そういったことを今後、協議していけたらと思っております。

ありがとうございました。

【小川主査】  ありがとうございました。

もう時間がありませんので、これできょうは終わりたいと思います。大久保委員、北川委員、きょうはありがとうございました。

きょう、またいろんな意見、論点が出ましたので、これをまた整理していただいて、次回、今後検討していくべきテーマを絞っていきたいと思います。引き続き次回もヒアリングを続けていきたいと思いますけれども、次回の予定を事務局の方からお願いいたします。

【福島補佐】  次回の日程につきましては、2月3日の16時から予定しております。追ってまた正式な御案内をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

【小川主査】  次回は2月3日火曜日ですね。

【福島補佐】  火曜日の16時でございます。

【小川主査】  午後4時からということですので、よろしくお願いいたします。

ほかにございませんか。

なければ、これできょうの会議を終わります。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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