チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成26年11月21日(金曜日) 17時30分~19時30分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館(文部科学省庁舎) 16階16F2会議室

3.議題

  1. 主査の選任等について
  2. 作業部会における検討事項

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会

チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会(第1回)

平成26年11月21日

 

○ 本作業部会の主査について、委員から小川委員が適任である旨の発言があり、了承された。

○ 小川主査から、米田委員が副主査に指名された。

○ 本作業部会の公開について、公開に関する規定に添って取り扱うことが了承された。

 

【小川主査】  本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音を行いたい旨の申出がありまして、これを許可しておりますので、御了承いただければと思います。

それでは、本日の会議に入りたいと思います。きょうは、初回ということもありますので、事務局から、本作業部会の設置に至った経緯、また、これまでの答申などの整理、作業部会における今後の論点などについて御説明をいただいた後、各委員から、特にこの作業部会における今後検討すべき論点、また作業部会の運営等々について、御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

それでは、事務局の方から、御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【小松初等中等教育局長】  まず冒頭に、このチームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会、今回初めてでございます。全国各地から委員をお願いいたしましたので、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。まず、そのお礼を申し上げ、今後よろしくお願い申し上げるという趣旨のことを一言申し上げまして、時間のこともございますので、早速、説明に入らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

今、主査からお話がございましたけれども、まず、この作業部会に至る経緯等につきまして、簡潔に私の方から御説明いたします。直接的には、この作業部会は、今年7月に中央教育審議会の総会における諮問で、「これからの学校教育を担う教職員やチームとしての学校の在り方について」ということの御検討をお願いいたしまして、それを受けて9月に初等中等教育分科会で設置が決定されて、本日第1回の開催いうことでございます。

この諮問では、二つのこと、一つは、これからの時代に求められる学校教育を実現するために教育の資質能力の向上ということと、それから教員が専門性を発揮できる環境を整備すること、これが大事だということで御検討をお願いすることになっているわけでございます。このうちの前者の教員の資質能力の向上については、もちろん教員養成部会にも非常に深い関係があるわけでございますけれども、先生方が専門性、特にほかの方ではできないこととして一番大きいのはやはり授業だと思いますが、こうしたところに力を発揮していただく環境を整えるとともに、それができるための資質能力の向上ということで、両者は関連いたします。その関連した観点から、学校はどのような環境を整備していけば良いのかということを御議論いただければとイメージしております。

それからもう1点、昨日でございますが、中央教育審議会に対し大臣から新しい諮問がございました。これは初等中等教育における教育課程の基準等の在り方についてということでございますけれども、端的に申しますと学習指導要領の改訂ということで、しかも全面的な改訂ということについて、諮問があったわけでございます。この中で、教育内容とともに、学習指導の方法、それから学習評価の在り方についても併せて改革・改善を図っていくという必要性、それを踏まえた御検討をお願いしたところでございます。

こうした意味で、この作業部会では、このような学習が実現できるように、先生方が授業準備や教材研究などに十分取り組んで、そして授業自体も生き生きとした優れたものを展開していくための学校の体制整備、それから教育環境の充実をどのように実現するかということを御検討いただきたいということでございます。

現状といたしまして、日本の学校では全教職員の8割以上が先生方でございます。この体制で、学習指導、生徒指導のほか、管理業務、部活の指導、地域活動への協力等、非常に幅広い業務を行っているわけでございます。OECDのいわゆるTALIS(国際教員指導環境調査)でも、大変長い時間を勤務しておられると同時に、その中で主体的な学びを引き出すということについて先生方はいま一つ自信がないなあというような課題とか、そういったものが浮き上がっております。こうしたことを考えますと、今後ますます複雑化・多様化していく我が国の学校の課題に対応していくために、一つは多様な専門性等を有するスタッフの学校への配置の在り方、それからもう一つは学校外・地域の方々との連携の在り方、こういったものにつきまして学校の教職員の構造あるいは先生と先生以外の方々の役割の分担と連携、こういった在り方を見直して、学校の教育力・組織力をどのように向上させるか、これが一つの重要な点でございます。

それからもう一つは、教員と教員以外、先生方以外の方々が連携して学校組織全体の総合力を一層高めるということになりますと、様々な要素が入ってきますので、マネジメントの在り方、それから、そのマネジメント能力を身に付けた管理職をどのように養成し確保していくのか、こういった点についても併せて御審議をいただければと考えている次第でございます。

以下、資料を用意しておりますので、担当の方からこの御審議に資するための資料の説明について行わせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【福島補佐】  引き続きまして、初等中等教育企画課の福島でございます。資料1から6までに基づきまして、諮問事項等に関わる事項について、説明をさせていただきたいと思います。

まず、資料1を御覧いただきたいと思います。これは7月29日の中央教育審議会に対する諮問文でございます。この諮問文は、表にありますとおり、1と2と大きく事項がございまして、本作業部会に関わるものは2の「これからの学校教育を担う教職員やチームとしての学校の在り方について」の部分でございますので、資料を2枚おめくりいただきたいと思っております。

そこにございますとおり、学校教育の成否は教員の資質能力に負うところが大きく、これからの時代に求められる学校教育を実現するためには、教員の資質能力の向上、それから教員が専門性を発揮できる環境の整備、この二つが求められているというのが、まず冒頭でございます。併せまして、その次の二つの段落で、子供にどういう力が求められるか、それから、我が国に求められる人材像というのがどういうものであるかということについてそれぞれ触れまして、そのような子供たちを育てていくために教員が果たす役割というのが非常に大きなものであり、教員の資質能力の向上の重要な課題だとしております。

続きまして、第2パラグラフでございますが、本年6月に公表された、OECDが実施をしました、TALISの結果からは、我が国の教員をめぐる様々な課題ということが明らかになっております。

資料が前後しますが、資料6を御覧いただきたいと思います。9ページ、10ページが、OECDのTALISのポイントに関する資料でございます。TALISにつきましては、9ページの調査概要というところにございますけれども、学校の学習環境、それから教員の勤務環境に焦点を当てた、国際調査でございます。日本は今回が初参加でございまして、中学校・中等教育学校前期課程の校長及び教員を対象としております。調査時期は、平成25年2月中旬から3月中旬まで、行ったところでございます。参加国については、OECD加盟国等34か国・地域ということでございます。

この結果の概要というのが、10ページのスライドでございます。大きく四つのブロックに分かれておりますけれども、まず左上の部分でございますが、日本の校内研修の状況につきまして、世界でも評価されているということで、数値上も高く出ているということです。

ただ、しかしながらというところで、左下の部分でございますが、日本の教員と参加国の平均、日本の教員はオレンジで、参加国平均はブルーでございますけれども、結果を見ますと、主体的な学びを引き出すことに対しての自信が低く、それからICTの活用等の実施割合も低いというような結果が出ているところでございます。

また、右下の部分でございますけれども、ここは教員の勤務時間に関する部分でございますが、これにつきましても、教員の1週間当たりの勤務時間は53.9時間で、最長という結果が出ているというところでございます。その長い勤務時間の内訳として挙がっておりますのが、課外活動の7.7時間でございますとか、あるいは事務業務の5.5時間、こういった部分が特にOECDの参加国平均と比較して長くなっているという部分でございます。

続きまして、右上の部分でございますが、これは教員の研修等の話でございますけれども、研修への参加意欲というものは非常に高いわけでございますが、今申し上げましたように非常に業務多忙でございますとか、あるいは費用面等の支援不足が課題で、なかなか研修に参加できていないというような状況があるということでございます。

諮問文の方にお戻りいただければと思います。第3パラグラフでございますけれども、受け身の授業ではなく、ICT等も活用しながら主体的・協働的に学ぶ授業を通じて、これからの時代に求められる子供たちに確実に力を身に付けさせる、そういう指導力が必要だということでございます。これにつきまして、昨日の中教審に対する教育課程の基準等の諮問でも触れられたところでございます。

続きまして、そのような指導力を身に付けさせるためには資質能力の向上のための取組の充実が必要だということで、これにつきましては教育再生実行会議の第5次提言の方でも触れられております。併せまして、教員が自らの指導力を発揮できるような状況、教員の専門性にふさわしい勤務、それから処遇等の在り方についても、検討を行う必要があると考えております。

また、従来よりも複雑化・多様化している学校の課題に対応していくためには組織全体の総合力を一層高めていくことが重要であるとしておりまして、これにつきましては、資料6をまた御覧いただきたいと思うのですが、これの1ページから2ページでございます。ここは「我が国の教育を取り巻く状況」というところでございまして、課題は複雑化・困難化しているというところで、ここでは、小中学校の通級指導、不登校の子供の割合の増加、それから就学援助を受けている子供が増加しているということで、子供の課題が以前よりも複雑化している状況があると。その一方で、その下の部分でございますが、グローバル化で期待されている部分、あるいは地域住民の期待が拡大をしているということから、かつての学校の役割と比較しますと、学校や教員の仕事というのは拡大し、多様化しているということでございます。下で見ていただきますと、授業の中でも例えば小学校英語ですとか総合学習がございますし、右側の部分では、土曜日の活動、通学路の安全確保といった部分があるかと思っております。そういったことが、下に小さく書いてありますが、欧米では教員の仕事は授業が中心であるということと比べると、日本の教員というのは多様な業務を担っているというところでございます。

以上のような学校の課題に対応していくためには、教員の専門性・職務というものを捉え直して、学校内における教職員の役割分担、連携等を改善していく必要があると考えております。そういう意味で学校の教職員の構造を変えていく必要があると考えておりまして、3ページを御覧いただきたいと思います。

ここは、今申し上げました我が国の教員の置かれている現状ということで、3点まとめております。一つ目は、教員以外の専門スタッフが諸外国と比べて少ない。二つ目は、児童生徒の多様化等によって、教員に求められる役割が拡大している。三つ目は、教員の勤務時間が、先ほどTALISでも見ましたけれども、日本が最長であると、そういう現状があるということでございます。これを解決していくためにチーム学校の実現ということで取り組んでおりまして、下にございますけれども、教員を中心に、多様な専門性を持つスタッフを学校に配置して、学校の教育力・組織力を向上させる。配置するだけではうまく機能しないというのもございますので、校長のリーダーシップの下に適切な役割分担をする。こういったことを整えることで、教員は授業など子供の指導により専念をする、そういった状況を作っていきたいということでございます。

今申し上げたようなことをイメージ図にしたものが、4ページの部分でございます。教員でなければできない業務、上記以外の業務というところについて、教員でなくてもできるような業務につきましては、いろんなスタッフの活用等、あるいは学校への参画等を通じて、教員が、授業、学級経営、生徒指導により一層専念できるような形にしていきたいということでございます。

5ページを御覧いただきたいと思います。以上のような転換を実現するという観点で文部科学省として概算要求で出しておりますのが、この教職員定数改善計画(案)ということでございます。計画の趣旨・概要等は、繰り返しになりますけれども、改善の主要事項として、授業革新等による教育の質の向上、下のチーム学校の推進、それから、右上ですけれども、個別の教育課題への対応ということで、概算要求をしているところでございます。

諮問文にまたお戻りいただければと思います。そういう意味で今回の諮問は今申し上げたような観点から行ったものでございまして、中身としては、先ほどございましたが、大きく二つに分かれておりまして、教育の資質能力の部分につきましては、主として教員養成部会の方で御検討いただくということかと思っております。

最後のページを御覧いただきたいと思います。ここがこの作業部会の検討事項に関わる部分でございまして、教員が指導力を発揮できる環境を整備し、チームとしての学校の力を向上させるための方策ということでございます。ここにつきましては検討の視点ということで丸を四つお示ししておりますけれども、これにつきましては、資料4を御覧いただきたいのですけれども、こちらの方で少し全体を通して整理していますので、そちらで説明をさせていただきたいと思います。

資料4でございます。これがこの作業部会の検討事項の例というところでございます。大きく分けて五つ、掲げさせていただいております。一つ目は、「学校が組織全体の総合力を高め、発揮していくための学校運営の在り方等について」ということでございます。これは、昨日諮問がありましたけれども、指導要領の理念を実現するために、各学校のカリキュラム・マネジメントですとか、あるいは、学習・指導方法、評価方法の改善を進めるための学校運営の在り方について、どのように考えるかと。特に、そのような資質能力を育むための課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び、アクティブ・ラーニングといたしておりますけれども、そういった学びを充実していくためにはどのような学校運営が求められるかということが、まず一つ目の丸でございます。

併せまして、二つ目の丸でございますけれども、先ほど学校の仕事が拡大しているということがございましたが、学校を取り巻く課題が複雑化・多様化する中、学校や教職員の職務の在り方について、範囲ですとか、あるいは役割分担について、どのように考えるかということが、二つ目の丸でございます。

続きまして、第二は、「教員と事務職員、様々な人材との役割分担や連携の在り方について」ということでございます。教員が教職としての専門職としての教育活動に専念できるように、教員と事務職員の役割分担等について、どのように見直しをするのか。二つ目が、心理、福祉と例を出しておりますが、例えば、カウンセラーですとか、ソーシャルワーカーといった、多様な専門性や経験を持っているスタッフの学校への配置や処遇の在り方について、どのように考えるかということでございます。それから、最後の三つ目の丸は、教員と教員以外の者がそれぞれ専門性を連携して発揮して、組織全体としての力を高めていくというために、学校マネジメントの在り方はどういうふうが望ましいかということでございます。

それから、3点目、「教員の評価や処遇等の在り方について」ということでございます。公立学校の教員につきましては原則として地方公務員法が適用されます。地方公務員法が先の通常国会で改正されまして、平成28年度から公立学校の教員につきましても人事評価を行うということが制度上位置付けられたところでございます。そのことも踏まえまして、頑張った教員が専門職としての自信と誇りを持って教育指導に全力を注いで、その能力を伸ばしていけるような評価、それから、その評価結果を処遇にどういうふうにつなげていくかということの在り方について、どのように考えるかということでございます。

それから、4点目、これは「管理職や主幹教諭、指導教諭、主任等の在り方について」というところでございます。教員が指導力を発揮できるような環境整備、あるいはチームとしての学校の力を向上させていくというためには、やはり管理職をはじめとした者のマネジメントというものが重要であると考えております。その意味で、体系的・計画的な管理職の養成あるいは確保、それから研修のシステムをどのように作っていけばよいかということが、一点目でございます。それから、2点目、これは主幹教諭や主任の在り方ということでございます。主幹教諭につきましては、平成19年に学校教育法を改正しまして、平成20年度からスタートしたわけでございます。

主幹教諭につきましては、資料6の15ページを御覧いただきたいと思います。主幹教諭につきましては、真ん中の丸でございますけれども、校長、副校長、教頭を補佐するということと、校務の一部を整理する、それから児童の教育をつかさどるということを仕事としております。設置していただいている県市の数でございますが、これは都道府県と政令市の数でございますので、67分の55の都道府県市で配置をされている。設置人数としましては、1万9,089名という状況でございます。

それから、その下の16ページでございますが、これは主幹教諭と主任の違いについてまとめたものでございます。4点ございますが、一番大きなところは、主幹教諭につきましては教諭と異なる職であるのに対し、主任は校長の職務命令による仕事であるということでございます。したがいまして、主幹教諭は教諭からの昇任ということでございますし、一番下の給与で見ていただきましても、教諭とは別の級で処遇をされる。それに対しまして、主任は教諭のままでございますので、級は教諭と同じ。そのかわり、主任手当という形で、手当で処遇をされるという形でございます。

主任の種類ですとか数につきましては、その次のページを御覧いただきますと、「主任等の種類について」ということで、小、中、高、特別支援学校につきまして、それぞれ、省令上置くこととされている主任、それから教育委員会等によって任意設置という形で置いている主任という形で整理をしております。

18ページは、主任等の数ということでございます。教務主任等につきましては、これは学校で原則必置の職でございますので、例えば小学校であれば2万人弱の教務主任がいるというような状況でございます。

この主幹教諭と主任につきまして、主幹教諭を置いて教務主任の仕事をした場合には教務主任を置かなくてもいいといった規定が現在あるわけでございますけれども、主幹教諭と主任の連携の在り方、あるいは業務分担の方法等につきまして、学校の組織運営体制を充実するという観点でどのような在り方が考えられるかということでございます。

それから、三つ目の丸でございますが、今度は地域全体の学校の指導力の向上、それから若手教員の育成といった観点から、指導教諭や指導主事の養成・確保・活用の在り方等について、どう考えるかということでございます。

指導教諭につきましては、また、資料6の15ページを御覧いただければと思いますけれども、児童の教育をつかさどり、もう一つは、教諭その他の職員に対して、特に教育指導の観点で指導・助言を行う者として、主幹教諭と同時に職として位置付けられたものでございます。これにつきましては、そこに設置県市がございますが、67分の22の都府県市で設置をされておりまして、設置人数は1,680名ということでございます。指導教諭につきましても、主幹教諭と同じように教諭と異なる職でございますので、教諭とは別の級で処遇をされているというところでございます。それに対しまして指導主事は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に根拠がございまして、教育委員会に置かれる職員として、所管する学校の教育課程あるいは学習指導等の専門的な指導を担っている職員でございます。この指導主事につきましては、通常、都道府県、県の事務所、市町村と、それぞれ配置をされておりまして、各県それぞれ事情等も異なるところでございますけれども、指導面という観点を考えましたときに、指導主事を将来的にどういうふうに養成し確保していくかといったことについて、御検討いただければと考えております。

それから、第五は「学校と地域等との連携の在り方について」ということでございます。そこにございますとおり、学校の課題の複雑化・多様化に対応いたしまして、学校と地域等との連携の在り方について、どう考えるかと。学校運営協議会等も平成16年に制度化されて設置を進めてきておりますけれども、そういったいろんな枠組みがある中で、学校と地域等との連携の在り方についてどう考えるかということが、五つ目の論点ということでございます。

以上が、資料1の諮問文と、それから資料4の検討事項に関わる内容でございます。

お配りしております資料2、これは総会における大臣の御説明でございます。それから、資料3でございます。これは、諮問を受けまして、7月29日に中教審の総会、それから8月6日に初等中等教育分科会がございましたけれども、そこで出たチーム学校に関する主な意見を、初等中等教育企画課の方で、チーム学校について、管理職等について、勤務・処遇・評価について、大きく三つの観点に分けて整理をしたものでございます。例えばチーム学校につきましては、やはり教員の抱えている業務量が多いと。それについて、どういうふうに例えば事務職員と分担するのか、あるいは事務量を削減する、あるいはICTを活用した校務支援といったようなことが、主な意見として出てところでございます。それから、管理職等につきましては、例えば学校の事務量の削減につきましても、校長のリーダーシップが必要だといったような御意見が出たところでございます。それから、三つ目の勤務等につきましては、これは教員が多忙だという状況でございますが、実際、授業あるいは授業準備といったものについて、どのぐらい使っているのだろうかというようなこと。それから、三つ目のポツは、TALISの結果を見まして、教員自身の自己評価の低さ、それから超過勤務時間等について、分析が必要と。それから、四つ目は、これは評価に関わる部分ですけれども、意欲のある教員をどういうふうに伸ばしていくのかということが重要だと。最後でございますが、協働的な学びを展開するためにどのような指導力の養成の在り方が必要かといった内容でございました。

続きまして、資料5を御覧いただきたいと思います。今後の審議のスケジュールということでございます。本日、第1回の会議をお開きいただきまして、大体、来年の5月頃まで、論点もかなり多岐にわたりますので、それぞれチーム学校の各検討事項につきましてヒアリングですとか論点の整理をさせていただきまして、7月頃をめどに中間まとめをさせていただければと思っております。その後、引き続き検討を進めさせていただきまして、11月頃には最終的な答申まとめというものが出せればというふうに考えております。

説明は、以上でございます。それでは、御審議の方、よろしくお願いいたします。

【小川主査】  ありがとうございました。

今、事務局の方から、大臣から中教審に対する諮問内容についての説明、また、その諮問内容に関わって、本作業部会で検討すべき事項、論点等々に関わって、関係資料での説明がありました。最後に、資料5に基づいて、この作業部会の今後の大まかなスケジュール等々も示されました。

これから、今の説明を踏まえながら少し自由に議論をしていきたいのですけれども、今の事務局からの説明の内容について御質問等々があれば、最初にお受けしておきたいと思います。それを踏まえて、次に自由な意見交換に入っていきたいと思いますけれども、今の説明について何か質問はございませんか。

よろしいでしょうか。なければ、これから、今の説明に基づいて、自由に議論をしていきたいと思います。ただ、きょうは最初ですので、ある一つの項目ないしは論点について、深く、ないしは時間をとって議論をするというよりも、先ほど事務局から説明ありましたように、大臣からの諮問内容と、また、それに即して、特にこの作業部会において検討すべき検討事項ないしは論点の例として事務局の方から提案がありましたけれども、そうしたものをちょっと踏まえながら、各委員の方から、作業部会において今後検討すべき事項や論点等々について、日頃、学校現場や教育委員会、また地域でいろいろ活動されて、このテーマについて様々な御認識をお持ちで、なおかついろんな問題や課題を感じながら活動されている方ばかりですので、最初は、そういうことを自由に、一人一人御発言いただければと思っております。最初ですので、自己紹介も少し兼ねていただきながら、一人一人、順番に御発言をお願いしてよろしいでしょうか。

では、そのようにさせていただきます。先ほどの紹介順で、大久保委員の方から、よろしいですか。

【大久保委員】  はい。

説明、ありがとうございました。自己紹介も兼ねてということでしたので、私、鹿児島県の教職員課で教職員の人事管理等を担当しております、大久保と申します。今、話を伺いながら、教職員に何が求められるかを考えたとき,実際、自分が学校にいたときにも,いつも言われていたことですが、教員というのは,やっぱり教科指導,質の高い授業ができるかどうかが第一なのだということです。授業が駄目だと、誰も相手にしないというか、保護者からも信頼されないし、子どもたちもついてこないと。だから、授業の力をつけることが一番だと、若いときからずっと言われていました。ところが,現在,自分が教育行政の立場から学校を見てみますと、かつては、先生たちに求められた、授業の質を上げるとか、子どもたちと一緒に活動するとか、そういった非常にシンプルなことだけでなく,実にさまざまなことが要求されるようになったと感じます。

説明の中で専門性という言葉が出てきましたけれども、例えば特別支援学級を受け持った場合、子ども1人1人の障害の種類や程度に応じて,非常に細やかな配慮を,保護者の方が要求して来られます。それが,たった一人の子どもに関することであっても、相当な量の研修や準備が必要になります。今、特別支援教育に携わる場合について話しましたが,他にも,道徳教育や特別活動,総合的な学習の時間,教育相談など、いろんな教育活動を行う上での専門性が求められます。また,このような専門性とは違って,学級その他の会計事務や地域・保護者の方との連絡・調整,関係機関との連携など,これまで求められた教育活動の他にも,非常に幅広い業務を行うことが求められてきている。そうすると、その中で求められる資質を高めるための必要な研修を受けないといけない。けれども、やっぱり一番である基本の授業をするには、1時間であっても、相当量の教材研究が必要となる。そうすると、教員がやらなくてはならないことが非常に多岐にわたり,しかも相当数の時間が必要となり,煮詰まってしまうという状況に陥ってしまう。そんな現場の様子も感じている昨今だったので、今、事務局から説明があったような取組が真に学校にとって効果的な形でなされれば、非常にすばらしいことではないかというのを感じながら、聞いておりました。

まずは、学校で,教員が質の高い教育を提供できるようにすることについて、是非、環境整備していけるよう,この議論がなされていけば最高だなと思いながら、聞いておりました。質問というより、感想ですけれども、よろしいですか。

【小川主査】  感想プラス、特に資料4に基づいて、一応、事務局の方からこの作業部会における検討事項の例として5点ほど提示されていますけれども、これに即して、例えば、もう少しこういうふうな課題とか視点が必要ではないかとか、あと、これに書かれていないような事項についても、こういうふうな論点が重要ではないかとか、少し広く、いろいろ御意見を伺えればと思いますけれども、よろしくお願いします。

【大久保委員】  現在、人事管理を担当する立場から言いますと、4点目に取り上げた,教員が指導力を発揮できるような環境整備や,学校がチームとして力を発揮できるようにするための管理職等の役割分担・連携の在り方を,明らかにすることが重要だと感じました。管理職や主幹教諭、指導教諭といった職と、同時に,多くの学校では教務主任という者がいて、教育課程管理などの様々な業務を担当しているわけです。主幹教諭や指導教諭については,先ほど事務局から処遇や役割について説明がありましたように,これまでの主任とは違いが明確にされてはいますが,実際にはまだ,それがうまく機能する状況になっていないように感じます。管理職や主任に加え,主幹教諭や指導教諭といった職は、学校の組織運営体制を充実するという意味では,必要なものだと理解はできますが、本当にこれを機能させるには、養成もですが、その在り方等を明示し,現行のシステムとの違いを十分周知させなければいけないと思っています。

それから、3点目に説明のあった教員の評価や処遇等の在り方についても、もっともなことではあるけど,その運用は非常に難しいと考えています。説明があったように,頑張る教員が専門職としての自信と誇りを持って教育指導に全力を注ぐことができるような評価や処遇の在り方を考えていくというのは,必要なことではあると思いますが,一方で,とてもデリケートな問題をはらんだ面を持っていると思います。例えば,学校で、数学科5人の教員で,この学校の数学を支えていこうと、チームとして責任を持って指導していた場合,当然,5人は協力して指導法や問題作成などに取り組み、子どもたちの教科の力を向上させようとするわけです。5人に多少の役割分担はあったにせよ,それぞれ精一杯取り組み,その結果としてめざましい成果を上げたとき,5人に,それぞれ評価がされるわけです。どんな評価・処遇をするか。場合によっては,チームとしての機能が低下することになるかもしれません。評価や処遇等を趣旨に沿った形で機能させるには,その在り方や具体的な運用について真剣に考えないと,これまで日本の学校教育で培った大切なものを駄目にしてしまう危険もはらんでいると思います。

よろしいですか。

【小川主査】  じゃあ、とりあえずここで。分かりました。

次、加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】  茨城大学の加藤でございます。よろしくお願いします。

私自身は、この間、茨城県のほうで4年間ほど県教委、義務教のほうですけれども、学校の業務改善、教職員の負担軽減ということで学校現場と県教委と一緒にやってきたこともあって、今回、こういう課題で呼んでいただいて、私にとっても非常にタイミングのいいもので、大変光栄であります。

きょう感じたところで大きく三つぐらい簡単にお話しさせていただくと、まず、学校の業務改善ということで学校を回らせていただくと、基本、一般の教員は、負担を軽減するということを、無理だとか、駄目だとか、ちょっと諦めているようなところがあって、余り、業務を改善したり、負担を軽減したりしようという発想がない。まず、そういうことができるものだと思ってないし、長い時間働いていれば何とかなるというように、とにかく切り抜けようみたいな感じの毎日を過ごしている。意外と、ちょっとした工夫をみんなでやって、ちょっと手応えをつかめると、急にチームワークがよくなるようなことは結構多いことが、この間分かりました。ですので、今回のチームとしての学校という、このメッセージといいますか、このことは非常に意味が大きいのではないかなというのは、まず感じました。

学校というのは、特にこの間、校長先生のマネジメントということがずっと言われてきていて、その中で、マネジメントは自分には関係ないと、校長や管理職がやってくれるものだと、環境もお膳立てしてくれるのだと思い込んでいる教員が多いし、そこに若い教員が入ってきてそういう学び方をしてしまうと、やはり学校の自助能力がどんどん落ちていって、管理職頼みのような流れになっていく。

学校の校務分掌の分担を考えると、確かに校長や教頭あるいは副校長はマネジメントでまとめる役ではありますけれども、全体の仕事はみんなで分かち合っているというところがあって、一人一人が、学校のいろんな、自分の目の前の校務分掌を改善していくと学校全体として改善されますよというように、私も現場を回らせていただいてお話しさせていただいているのですけれども、まずはそういったような学校の改善であるとか業務の改善、もっと言えばマネジメントへの参画、あるいは、マネジメントに一人一人の教員が関わるという、そういう雰囲気といいますか、そういうものを例えば人事評価との関係でもうまく作り出していくようなことが重要なのではないかなということが、一つ目です。

二つ目は、いわゆるミドルリーダーというようなことがこの間ずっと言われてきていますし、マネジメントの中でもミドルリーダーの役割と。ただ、先ほど福島さんの方から説明があったようなところで、現状の制度として主幹教諭の制度があったりとか、あるいは、それを導入していなくて従来どおりの主任の制度を入れているところとかといったところで、地域によって随分その辺の認識に温度差があるといったところで、ミドルリーダーが重要だとは言うけど、ミドルリーダーって一体何なのだということです。あるいは、ミドルリーダーの位置付けは一体どういうものであって、何歳から始まるようなものだとか、中身の能力、仕事、職種、年齢層、そういったものでも、この間非常に、日本全国見ても認識がばらばらで、何が標準だというのが分からないような、かえってそのことがミドルリーダーに対する積極性のようなものを阻害している部分があるのではないかなと思います。私自身は、ミドルリーダーという言葉にこだわる必要はないのですけれども、例えば、チーム学校と言ったら、一体、誰が核になって、どういう場面で動くのかと。特に大都市部を中心に、そういったミドルリーダーが若年化していくというか、期待していかなければいけないところもあって、そういったミドルリーダーをどうやってオンJTとオフJTをうまく組み合わせて育てていくのだと。当然、多少、教員養成の段階であるとか、私どものところでも今取り組んでいますけど、これから教職大学院ができていくみたいなところとか、そういう養成・採用・研修の流れの中でミドルリーダーも見ていかないと、どんどん後追い的になっていくのではないか主幹教諭や主任の制度を検討するというところと絡めて課題としてあるのではないかということが、二つ目です。

三つ目は、管理職のことなのですけれども、このチーム学校のテーマを考えますと、管理職のことで言えば、結局、一番大きな負担になっているのは、教頭先生のところであるとか、あるいは教務主任でも、管理職に近い、管理職が見えているあたりの教務主任のところで、実際どうなっているかといえば、結局、彼らがなかなか負担の大きい学級に入ったりとか、学年に入ったりといったような形でサポートする役回りに奔走して、彼らが本来担うべきマネジメントの労力というものに力を注げないと。つまり、私から見ると、チーム学校というものを強化するということは、管理職がしかるべき管理職としてのマネジメントの仕事に専念できるということでもあるのではないかなと思っています。そういう意味で言えば、調査で学校を見ると、教頭先生とか教務主任の先生といった人たちが、なぜ授業に入ることができるのか。それは、そういう人たちは、決められたところに張り付くという仕事になっていなくて、問題が起こったところにいろいろ行けるというようなフットワークの軽さというか、あるいは融通の利くポジションであるから彼らがそうなっているのであって、逆に言うと、学校にもっとそういう、気軽にと言うとちょっと語弊がありますけど、いろんなところの学校のサポートに入れるような職員のようなものを作っていかないと、結局、緊急事態が発生したときに誰か行けというような、誰か行くのは必ず、教頭だったり、教務主任だったりと。そのことが、たまにならいいのですけど、日常茶飯事の学校が多くて、なかなか、加配であるとか、そういったところだけでも埋めきれないというようなところで、教員の負担の軽減がうまくできるというようなチーム学校の理念みたいなものができると、それは同時に、今申し上げたような管理職、とりわけ、教頭、副校長、それから管理職に近いところの教務主任とか、そういったところのマネジメント支援といったところにつながりますし、そういったところを念頭に置いた研修の在り方なんかに私自身はちょっと興味があるといったところで、3点ほど申し上げさせていただきました。

以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。

では、北川委員、お願いします。

【北川委員】  広島県教育委員会義務教育指導課の北川でございます。私はもともと教員でございまして、約20年勤めましたけれども、そこから、教育事務所、県立教育センター、義務教育指導課というところで、行政は14年目になっております。

義務教育指導課は、幼・小・中の教育課程、教育内容に係る事務をやっておりますけれども、私、指導主事のときは年に何回も文部科学省に来させていただいたのですが、特に全国学力・学習状況調査が始まりました平成18年、19年度、説明会がございまして、この担当で何度も参ったことがございます。今、広島県では、広島版「学びの変革」アクション・プランを検討しているところでございます。昨日、中教審に諮問されたわけですけれども、そこのポイントは、予測困難な、答えのない、これからの時代を乗り越えていく子供たちを育成するというところで、アクティブ・ラーニングなどの主体的・協働的な学習を通して、学びの質を深めていく、深まりを重視した教育を推進していくということがポイントだと思っているのですけれども、まさに今、広島県においても、子供たちの主体的な能動的な学びを促進するために課題発見・解決学習を推進していこうと、議論をやっているところでございます。まずは指導主事が具体的な子供の姿をイメージしようと、どう学びを作っていくのかというところをしっかり議論していこうということで、今、熱い議論を交わしているところです。何か新しいものを作り出すというのはワクワク感があって、非常に熱のこもった議論を指導主事としておりますけれども、こういった議論が非常に大事になってくるのだろうなと思っています。

今、教員の実態の御説明がありましたけれども、この資料にもあるのですが、要は、同僚との共同作業とか、話合い。授業を作るときに、やっぱり教材研究等々をやるときには、そういった議論を活発にしていって学びの深まりを考えていかないといけないと思うのですけれども、その時間がなかなかとれないのではないかというところでございます。「学びの変革」の話を指導主事としておりまして、教師の多くがこういった授業を受けてきていないので、なかなかイメージがわかないのではないか。中学校の先生方というのは教科の専門性が強いので、そういう枠を外して教科横断的な視野を持つことはなかなか難しいのではないかというようなことも出てまいりました。私は、十数年前、総合的な学習の時間の担当指導主事をしておりましたけれども、中学校の総合的な学習の時間がなかなか充実しなかったということがございます。それは、職場体験や進路指導が中心になってしまって、探求的な学習になかなかならなかったのです。総合的な学習の時間のカリキュラムを作成するときには、中学校の先生方は自分の教科以外の全ての教科を見ていただきながら、他教科等ではどんな学習をして、その学習した知識をどのように関連させるのかといった、いろいろな教科の教師がそれぞれの専門性を生かしながらしっかり話し合って、地域の方も交えて議論をしながら、それこそ協働的に単元開発・カリキュラム開発等をしていかないといけないのではないかと思うのですけれども、そういった時間がたっぷり欲しい。授業研究をするときに、教材研究をするとか、いろんな専門性を持った方々との議論の時間、こういった議論をする時間が要るのではないかというふうに思っています。

学校の実態を見ましても、中学校は特に広島県では課題だと思っているのですが、部活動に、大体4時から5時半ぐらいまで、先生方が出ていきます。そうしますと、校内研修あるいは授業研究を中心とした、そういう実践的な研究というのがなかなかできにくいということになります。本当にやりたくてもできないという状況が起こって、とても意欲的に部活動をやっている先生方もいらっしゃるのですけれども、専門ではない先生も部活動の担当になっていて、そういう先生方というのは負担感を非常に大きく感じている。休日にもほとんど出ることが多くて、実際に自分たちがその部活動を担当することに負担感・疲労感があって、いろいろモチベーションも下がっている状況もあります。やはり教師が協働的に授業を作り上げていく体制、教員が互いに円滑なコミュニケーションをとれる雰囲気作り・環境作りが、これからの学校作りには必要なのではないかと思っているところでございます。

以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。

では、小栁委員、どうぞ。

【小栁委員】  埼玉県深谷市の小栁と申します。県北の市でありまして、農業都市であります。幼稚園が12、小学校が19、中学校が10、小中29校であります。

教育長を拝命して、5年目になります。やっぱり教育というのは人なのですね。着任して、つくづく思います。私は、何としても子供たちを元気にしたい、そのためには元気な学校、したがって先生方が元気になる、これがベースだと思っております。着任する前、今から10年ぐらい前、ある中学校はなかなか生徒指導が困難でありました。子供たちの心のすさみが見られました。着任して、驚きました。大変落ち着いています。結果、全国学力・学習状況調査、10校中、一番いいです。昔のその中学校を知っている人は驚きます。やっぱり静かな環境じゃなければ子供たちは元気に育たないのだなあと、改めて思いました。実はその学校は、平均年齢が55です。市内の中学校で一番高いです。55.何歳でしたかね。60歳や、再任用の61歳の先生なんかも一生懸命やって、校長さんのマネジメントが非常にすばらしいなあというところがあるのですけれども、つくづく思います。ただし、きのう国の審議会で示されたことを見ると、やっぱりここでもう一度改めて認識しなければと、今思っています。

と申しますのは、私どもは何としても、授業力が勝負ですから、授業力を付けさせるために、指導力を付けさせるために、例えば授業名人というのがいます。その名人はどこに秘密があるのだろう。指導案を共有化、積み重ねを図りました。でも、なかなかうまくいかない。DVDに撮って配ります。でも、なかなかうまくいかない。そこで、今、29校が1年に1回、教員は全員、授業を公開しますので、市内の学校から授業名人に近い人を指名して、自由に見ていいですよと、そういうことをやり出しました。ただし、きのうの諮問について改めてお聞きして、授業革新というのですから全く変えなきゃいけないだろうなという気に、今なっています。つまり、双方向型の授業をやるためには、よほど教員の力量がなければ駄目ですね。なかなか、恥ずかしながら、今の19校、10校、それぞれ小中で授業革新に取り組めるかというと、道は遠いなあという気があります。しかし、それが大事なのだとするならば、私ども行政はそれをきちんと担保しなきゃならないと、こういう気持ちでおります。

とすると、研修の時間、これをどう生み出すか、これが苦労します。とりわけ小学校の教員というのは、全ての教科を指導するゼネラリストですから、スペシャリストはいません。したがって、校内研修で力を付けないと、自分の指導力に不安を覚える。したがって、小学校は、校内研修は熱心であります。研修して力を付ければ、すぐ子供にはね返りますから。とにかく研修の時間を確保したいなあ。ところが、今はなかなか厳しいです。

そういう中で、私、着任して5年目になりますけれども、取り組んだことは、市長部局にお願いして、市費でいろいろやっていこうということを取り組みました。人的支援であります。小学校の高学年には、中1ギャップを見据えて、いわゆる専科の先生、非常勤ですけれども、市費で雇っておき、そうしたことへの対応を図り、その時間は先生方が子供と向き合う時間、生徒指導をやったり、あるいは次の教材研究をしたりする時間でもいいですから、という形でやりました。中学校には学校総合支援員というのを配置しました、1校1名ずつ。週20時間、たった20時間ですけれども、校長経験や教頭経験、あるいはベテランの先生等の退職者を雇いましたので、その先生が司令塔となって、いわゆる生徒指導関係の先生方とチームを組み、校長、教頭が忙しい中でも、今のところ大変うまくいっております。単純な話なのですよ。子供が不登校で来ない。来なかったら、家庭に迎えに行く。教員が迎えに行ったら、授業できません。したがって、そのベテランの先生に行ってもらう。子供がエスケープする。追い掛けていったら、授業が中断します。したがって、そのベテランの先生に追い掛けていってもらって、個別指導をする。

本当に単純なのですけれども、そうしたことの大切さに思いをいたし一生懸命やっており、そうした人的支援、それから研修の時間をどう確保するか、そのことに頭を痛めながら、何としてもいい子供たちを育てるためには先生方が元気にならなきゃならない。そのために人が必要だということを訴えています。

以上です。

【小川主査】  では、貞広委員。

【貞広委員】  千葉大学の貞広と申します。私は教育の政策や教育財政のことについて研究をしていますので、学校の中のことについては、実は、皆さんのように詳しくなく、不案内でございます。その上で、3点ほど申し上げたいと思います。

まず1点は、チーム学校という非常に魅力的なフレーズですけれども、これに関わっての校長のマネジメント力の転換というものをどうここで考えていくかということが重要かということです。今まで日本の学校は、教員という同一性のスタッフ、同一性が担保されたスタッフによって構成されて、そういう人たちをどのようにマネジメントするかという発想で校長先生はいらしたわけですけれども、今度は、教員に加えて複数種の、いろいろなタイプの、いろいろな雇われ方をしているスタッフの方がいらっしゃる中で、そういう多様性のある組織というものをどういうふうにマネジメントしていくか、またはそこをどのようにチーム作りしていくかということが、非常に難しくなってくるのだと思うのですね。そこが校長先生の能力に求められてくるところで、それが校長先生のマネジメント力の転換というふうに申し上げるところです。

例えば、私、調査研究を進める中で、複数の国のいろんな学校に調査に行くのですけれども、日本以外の学校は、こちらの資料にもありましたとおり、いわゆる教員以外のスタッフの方がすごく多いのですけれども、そうすると、校長先生は、カリキュラムをマネジメントするというよりも、まさにヒューマンリソースのマネジャーに徹して、いかにスタッフにうまく働いてもらうかということをしているのですね。でも、恐らく日本の学校はそれだけではなくて、やはりカリキュラム・マネジメントも校長先生にやっていただかなければいけない、より高度な校長のありようというのが求められると思われるので、それをどのようにチーム学校という中に位置付けて、更に、そういう校長先生をどのように育成していくかということが重要かと思います。

2点目ですけれども、これは、きょうお示しいただきました資料6の4ページのところにありました「「チーム学校」の実現による学校の教職員等の役割分担の転換について(イメージ)」という、この図に関わって、若干危惧を持つということです。というのは、まず一つは、一番左側のところに「教員でなければできない業務」と「上記以外の業務」というふうに分けてお示しくださっています。もちろん概念上は非常に分かりやすいのですけれども、恐らく実際には、このように分けられるというよりも、重なり合う部分があり、かつそれの調整が必要。つまり、ここに調整コストが発生するということがあると思います。また、現在は、「教員でなければできない業務」も、「上記以外の業務」も、全て先生がやっていらっしゃる。先生はそれだけ多能性がある方々なのですね。いろんなことができるということなのですが、多能性があるということのよさというものも、やはり考え続けるべきではないか。分けてしまうということだけではなくて、多能である先生の姿ということをどう評価していくかという目線も必要かと思います。

その上で、じゃあ何が危惧かといいますと、現在の役割分担から10年後の役割分担のように本当に社会的にこういうお許しをいただけるのだろうかという心配でして、今、教員というのが真ん中の四角にありますけれども、これにプラスアルファで、学校司書とか、ICT専門員とか、事務職員、スクールカウンセラーというものが付け加わるような形になっているのですが、そうではなくて、教員の部分に浸食されて、いわゆる多能性のある先生方の部分が、いわゆる真水の部分が切り落とされてこういうスタッフに代替されるようになってしまうのではないかということを非常に危惧していまして、それでは、元も子もないというか、全く望むところではないので、いかに真水の先生の部分は確保またはアクティブ・ラーニングの実施で更に手厚くするような形で、プラスアルファでほかのスタッフを付けていただけるかということが重要だとい思っています。チーム学校のところでこういう発言は駄目なのですが、やはり教員という部分が一番重要なのではないかと思います。

さはさりながら、じゃあスタッフを配置するということは評価しないのかということで、これが3点目になりますけれども、私が関わっていますある教育委員会で先日、ある試算をいたしました。それは、今、学校が学校の給食費を集めているのだけれども、それをセンター化して公会計化し、一つの学校で年間どれぐらいの時間が、先生方、業務軽減されるのかという試算をしたところ、年間、1校当たり100時間以上の時間が軽減されるという試算が出ました。100時間というと焼け石に水というふうに思われるかもしれませんけれども、100時間、子供と向き合う時間が増えるということですので、そういう小さなことを積み重ねて、少しでも先生方が、授業というもの、または子供に向き合うという時間を確保できるのではないかという期待もありますので、そういう一つ一つの積み重ねてという意味で、この部会に期待をしたいと思っています。

以上です。

【小川主査】  ありがとうございました。

米田委員は最後にします。

【米田副主査】  はい。

【小川主査】  では、竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】  横浜市東山田中学校で、学校運営協議会と学校支援地域本部事業にかかわっており、中学校の中にある380平米の公民館のようなところ、コミュニティハウスで10年間学校と地域をむすんできました。

1990年代に5年間アメリカのニューヨーク郊外の町で暮らし、3人の子供は公立学校、私立学校、日本人学校に通いPTA活動をしていました。公立学校では日本人PTAの代表として、校長先生のほか事務職員の方とよく話をしましたが、大勢の事務職員の方が勤務するオフィスがあるのに驚きました。先生方は、小学校ですと4時とか3時に授業が終わり、自分の教室に鍵を掛け、さっと帰られるという光景も見ました。中学校、高校では、地域のコーチが来てすぐに部活が始まり、先生はかかわっていませんでした。また夜開催される保護者会では、先生方がご自分の授業をアピールされていました。こういうふうに学級運営をしている、理科を教えていると語る先生を見て、プロフェッショナルであり真剣勝負だなと思いました。任用の形、身分の安定性は違いますが、先生方が教えるということに専念していることがわかりました。

そして第2期教育振興基本計画策定に関わらせていただきましたが、地域とともにある学校、社会総がかりで子供を育てるということが明確に打ち出されています。学校は先生だけのものではなく、地域とともに子供を育てるとき、チーム学校という考え方が必要だと思います。

学校のそばにいて先生方はとても忙しいことがわかりました。900人規模の学校ですと毎日、無事に過ごすことにエネルギーを消耗しています。また学校組織はどうなっているのだろうという疑問がふつふつと湧いてきて、学校マネジメントをもう一回勉強したいと思うようになりました。学校は謎が多く、情報伝達や共有がうまくいかず、ミッションの共有ができていないということもあります。さらに会議が多く、会議の方法も企業とは違うのではないのではないかと外から見て感じました。そんな中、事務職の方が要で、少し違った立場で学校全体を見て、施設のこと、お金のこと、人のことを考え、そこがうまく機能すれば、先生たちは少し楽になるのでは、事務職の位置付けを高めると、マネジメントの核の一つになるのではと思っています。教育公務員という京都市のことをお聞きする一方、一般職としてきのうまで戸籍担当だった人が小学校の事務になることも起こり得るということを聞き、それでは困ると思います。

それからもう一つ、学校運営協議会や学校支援地域本部のコーディネーターが学校組織に外から風を入れることで、情報が流れ、活動が動くことがあります。

今回、チーム学校については、多彩な担い手が、教育と子供に関わり、目的を共有しながらも役割が違う者が関わること、分担でも補完でもなくて、パートナーになるということが一番難しいことですね。文化も役割も違い、今まで仲良くしたり情報共有したことのない人と一緒に動くことは難しいことで、協働できるかどうかが要だと思っています。先生方、事務職の方、カウンセラーの方等は、プロフェッショナルではあるけれども、違う立場の方とコミュニケーションをとり、ミッションを共有してアクションを起こすということをあまりしたことがないと思うのです。それには大人が変わらなければいけない。価値を変え、行動パターンも変え、合意形成の仕方も変えなければならない。ハードルは高いと思います。でも、それが今求められているのだと考えています。

これは教育改革で推進しているコミュニティスクールの議論とほぼ重なります。コミュニティスクールも多彩な人がそれぞれの強みを生かしながら、一緒にパートナーとしてすすみます。コミュニティスクールの仕組みそのものが、チーム学校の基盤であったり、共通項であったりします。制度的に整理をすることはたくさんあるとは思いますが、是非そういう視点で深めたり、文科省の中でも連携をしてほしいと思います。

【小川主査】  ありがとうございました。

では、田村委員、どうぞ。

【田村委員】  失礼いたします。岐阜大学の教職大学院に勤めております、田村と申します。きのう下村大臣から諮問がなされました、その3点目に「各学校におけるカリキュラム・マネジメントや、学習・指導方法及び評価方法の改善を支援する方策」という項目がありましたけれども、まさにそのカリキュラム・マネジメントが私の専門でございます。アクティブ・ラーニングなど話題になっておりまして、授業を変えなければならないということは認識されているところなのですけれども、もう1点、重要な点としまして、1時間の授業の背景にはカリキュラムがあるということです。授業が点だとすれば、単元はそれをつなぐ線であり、カリキュラムにより面となり、それを動かしていくマネジメントがあって、立体となったりしていくのでは、というふうに考えております。

カリキュラム・マネジメント、非常に聞きなれない言葉だと思いますので、少し御説明致しますが、端的に言いますと、各学校が可能な限り適切かつ効果的なカリキュラムを創造し、実施し、評価し、維持及び改善していく営み、つまり教育目標の実現を目指してカリキュラムのマネジメントサイクルを確立するということであります。そして、それを可能にするために、人、モノ、お金、時間といった条件整備面のマネジメントも同時に考えていくという、そういう理論と方法でございます。

このカリキュラム・マネジメントということが言われるようになりましたのは、平成10年の学習指導要領の改訂の前後であります。といいますのも、それまで長い間、我が国の学校におきましては、教科書や指導書が実質的にカリキュラムの役割を果たしてまいりました。ところが、平成10年の学習指導要領の改訂で総合的な学習の時間が新設されたことによりまして、学校でカリキュラムを創るということ、この必要性が強く認識された、それが大きな引き金になっております。ただ、総合的な学習の時間は、皆様御案内のとおり、各種調査の結果を見ましても、学校の先生方におかれましてはネガティブな受け止めというのが多くあります。もちろん非常に先進的あるいは効果的な実践をされている学校も多くあるのですけれども、その一方、開発に対して非常に負担感があり、あしたの授業どうしようといったところでかなり一杯一杯な気持ちになるといったような、そういったことも、現場でも聞かれますし、調査でも明らかになっています。

そういった状況なのですけれども、次期の学習指導要領改訂では、授業をアクティブ・ラーニングの方向で変えていくというだけではなくて、教科等を横断する汎用的スキルを含めた資質能力を育成するという観点で、学習指導要領の構造の転換ということまで視野に入れられておりますので、一つ一つの授業を変えるプラス、カリキュラム全体を見ていくという、そういう視点が各学校にますます求められてくる、そういう局面に来ていると考えております。

必ずしも、今、カリキュラム・マネジメントが活性化し切れておらず、だからこそその方策が諮問されるわけでありますけれども、理由は大きく分けて二つあるのではないかと思っています。一つは、その考え方や手法がまだまだ広まっていないということです。まず、カリキュラムという発想自体がなかなか学校の中で浸透してきていないのではないかと思います。その理由は、先ほど述べたことも重なるのですけれども、先ほど、加藤先生のご議論にあったと思うのですけれども、教務主任の先生が、よろず屋というような、何かあったら対応するというようなことで、なかなか、教務主任の先生がカリキュラム・マネジメントの中心となるべきなのですけれども、そのための研修をしたり、本当にカリキュラムと向き合うための時間が確保されていない。あるいは研修の在り方ですね。行政の研修も実施されており、私も関わっておりますけれども、例えば、一つの学校から複数のメンバーが一緒に参加していただければ、あしたから大きく変わるという可能性も出てくるのですけれども、どうしても一人の先生が学んで帰ってくる。そうすると、研修をしていきますとやりたいことがいっぱい浮かんできたというふうに感想をいただくのですけれども、実際にやろうと思うと、たくさんの壁がそこに立ちはだかりまして、実際に行動にまで移すというのが難しいというようなことがあります。そういったところの条件整備が必要かと思います。

次に、二つ目の理由ですけれども、学校でも、授業研究というのは日本の学校の伝統として非常に活発に行われてきているのですが、カリキュラムという面からもっと大きく見ていくという校内研修という点では、まだまだ端緒に就いたばかりではないかと思います。校内でカリキュラムを囲んで、つまり教育の目標や内容・方法を囲んで、子供の姿を出して語り合う、そういう時間が確保される必要があるのではないかと考えております。本来、授業を工夫する、あるいは教育内容・方法を考えたりするということは先生方の専門性と深く関わる中心的な仕事であり、それがうまく機能して子供の成長が手に取るように実感できれば、先生方の達成感・自信につながっていくはずなのですけれども、TALIS、そのほかの調査の結果が示しますのは、日々の授業の準備すらぎりぎりの状態で取り組んでいらっしゃる先生が多いという実態で、授業どころか、カリキュラム、あるいはマネジメントへの参画といったところにじっくりと取り組むというところまでは、今のところ、なかなか届いていないという状況ではないかと考えております。

したがいまして、私のこの会議への関わり方ですけれども、1時間、1時間の授業の準備のためといったレベルにとどまらず、例えば、義務教育9年間を見通す、あるいは、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学まで視野に入れたような教育というものを、先生方がしっかり関われる、考えられる、そういう条件を確保したい、そういったスタンスで臨みたいと思います。そして、様々な地域との連携、コミュニティスクール、そういったこともあるのですけれども、そういったことも、やはり学校の中心である授業、そしてカリキュラム、これを中核とした連携、様々な施策であればというふうに考えております。

これまで私が関わってきました学校では、チーム何々小学校といったような、そういうキャッチフレーズを掲げまして、それで努力をされてきた、そういう姿を見てきておりますので、チームとしてということが実現するということを願いながら、一緒に考えさせていただければと思います。

以上でございます。

【小川主査】  ありがとうございました。

では、坪内委員、どうぞ。

【坪内委員】  坪内です。ありがとうございます。私も自己紹介から始めさせていただければと思うのですが、私自身も、学校現場に関しては非常に不案内な一人です。私自身のバックグラウンドを申し上げますと、中学の途中から高校までをカナダで過ごしまして、アメリカで大学院に行っています。その後、ヨーロッパや中東などでずっと仕事をしておりまして、東日本大震災のあった2011年を機に日本に帰ってまいりまして、今、一般財団法人の教育支援グローバル基金という財団で、ビヨンドトゥモローという、東北の被災地の学生たちが親御さんを亡くしたりとか家を失ったりという大変な経験をばねに社会に貢献できる人材になっていくはずだという、リーダーシップ教育の事業を行っております。

そういった活動を始めて、今、4年目になったのですけれども、御縁ありまして、こちらにもお越しいただいている北川委員が関わっていらっしゃる、広島県の教育委員会の方にも参加させていただいております。そちらでも、学校の現場の話というよりは、むしろこれから社会が養成していく人材像というのはどういったものなのかという観点から関わらせていただいておりまして、こちらでもそういった観点から議論に貢献ができればというふうに思っております。

先日、その広島県の会議でもお話をさせていただいていたところなのですけれども、例えば、ここ数年を見てもそうなのですが、企業や大学が求める人材像というのがより現実的なものになってきていると。やはり厳しい経済情勢というのもあると思うのですけれども、例えば、大学もAO入試というような人物重視の評価が増えていたり、企業の方もかつてのような有名大学の研究室の推薦というだけで人材を採っていくのではなくて、より人物重視の採用というのを行うようになっていたりすると。

やはりいろんなビジョンがあるとは思うのですけれども、今後、社会において重要になっていくであろう人物像というのは三つほどポイントがございまして、一つは答えのない問いに答えていく力。これだけ社会状況が複雑化していて、課題というものも非常に速いスピードで変化する世の中で、いろいろな知識を詰め込んだ形での判断をする方法から、より、その場、その場に応じて思考をして判断していくという能力が求められているように思います。なので、これまで割と答えが明快にあるものに対して、どのようになるべく早く正解を見つけていくかというような発想が多かった教育から、いかに答えのないような問題に自分なりの考えを見つけていくかというようなものが求められていくのかなと思っています。そして、二つ目は多様な立場や価値観への寛容性というようなものではないかと思うのですけれども、その価値観というのも、こういったものが正しいということではなくて、グローバル化が進むとともに、いろんな価値観ですとか、若しくは社会的に弱い立場の人だったりとか、そういった人たちがどのように考えているのかということを、そういった立場の違いがあるが故に様々な社会問題も起きるところがあると思うので、そういったものをいかに捉えていくかということも重要かなと思っています。そして最後に、いろんな現実の社会課題がある中で、それをどのように当事者意識を持って受け止めていくか。教科書で読んで、こういう問題があるらしいということで終わるのではなくて、自分はその社会の一員だという意識に立って様々な社会課題を現実の問題として捉えていく力というようなものが、今後の社会において、それは、初等教育だけではなくて、全ての教育課程において求められていくのではないかというふうに思っています。

そこに立って考えますと、教員がどのようにあるべきかというのは、そういった人材を育成していくためにどのような資質が教職員に求められていくのかという観点から議論を行っていくことが必要かなというふうに思います。特に、今回の検討事項の中で五つポイントがあったのですけれども、3、4、5のあたりで少し観点を補足させていただければと思っています。

まず、三つ目の評価と処遇等の在り方というところなのですけれども、やはりKPIの設定というものが非常に重要かなと思っていまして、今申し上げたような人材を育成していくためには、生徒たちに、こういったような価値観を持ってほしいとか、こういった学びを体験してほしいというビジョンがあった上で、では、先生というのはどのようなことをしていれば評価されるべきなのかという観点が非常に重要かなというふうに思っています。そのKPIがあった上で、じゃあどのような研修が必要なのかと。もちろん評価の中では、先生にとっても強みもあれば弱みもある中で、目指すビジョンの中でどのように弱みを補って、強みはより強くしていってという、到達するパスを設計していくのかというものの中に研修は位置付けられるべきだと思うので、恐らく、私もそんなに現場のことを知っているわけではないのですが、今、東北の事業をしている中で学校に電話をしたりすることが結構あるのですけれど、学校訪問をすることもあるのですが、研修で結構、先生が忙しくされているという印象もありまして、もちろん重要なことなので時間を使うべきところなのだとは思うのですけれども、評価の中でどこを強化するためにその研修に行くのかということが明確に設計されているといいのかなと思いました。

あと、検討事項の4の方なのですけれども、管理職の在り方というところで、ここも先ほど委員のどなたかがおっしゃったと思うのですけれども、海外だと校長先生というのはまさにほかの先生のチームのマネジャーという形で動いているケースが多いと思います。なので、教育の現場に管理職で入っていく方に、より高度なマネジメントのスキルというものが求められるべきではないかなと思います。なので、必ずしも管理職の方が教員である必要があるかというと、もしかしたら、民間の方でマネジメントのプロフェッショナルを登用するという動きがもう既に幾つかの学校であるのは聞いていますけれども、その登用が進んでもいいのかなと思いますし、あと、管理職の研修の部分で、より民間での人事研修に近いような、クリティカルシンキングとか、問題解決とか、コミュニケーションスキルとか、必ずしも教職員を対象にした研修ではない、一般的な形というのもあるのかもしれないと思いました。

最後に、「学校と地域等との連携の在り方について」というところで、冒頭申し上げたような、多様な学びの形の実現、そして社会課題に対する当事者意識を育んでいくという意味においては、その学校がある実際の社会における市民社会、例えばNPO等との連携というのは非常に大きな意味を果たしていくかなと思います。そして、ほかにも地域ならではの、地元の企業ですとか、そういったところと連携することで、その地域で実際に起きている課題というのを学生さんに理解してもらうような機会が生まれると、学校の先生としても、いきなり、いかに社会課題に対する当事者意識を持つかとか、多様な立場を教育現場に持ち込むかと言われても、どのようにというところが出てくるとは思うのですけれども、より地域と連携することで、嫌が応でも現実に起きている課題への意識というのが盛り込まれてくるのかなというように考えました。

【小川主査】  ありがとうございました。では、米田委員。

【米田副主査】  最後になりましたが、秋田県の教育長の米田と申します。ちょっと私の経歴を申し上げますと、私は高校生の英語担当の教員でスタートしております。12年4か月、学校で教えて、その後、教育委員会に入りまして、その後、教頭で2年間過ごして、また、教育委員会に戻り、その次は校長として、水産高等学校、定時制・通信制の学校、2校経験して、また、教育委員会に戻りました。その後、高体連の会長校を3年、そして高文連の会長校を1年、そして退職1年前に教育委員会にまた戻ってということで、教育委員会は4回目ということでありす。5回目はないということだろうと思いますが、そういうふうな経験をしております。

教諭として過ごしたのは昭和63年の途中までということで、その後、平成になってから、今、26年なので大分たっているので、学校の状況については、外から学校に入っていって知るということはできるのですが、自分が内部の当事者として関わったのは、平成に入ってから教頭あるいは校長としての関わり方であるというふうなことであります。

教諭のときは、生徒にいろいろ教えるというか、生徒と一緒に勉強するのが非常に楽しくて、うちに帰っても何時まででも教材の準備をして次の日に備えるというようなことの連続で、本当に、勤務時間とか、そういうふうなのは一切関係なく準備しておりそれが非常に楽しかったのです。先生というのは、子供たちのために一生懸命頑張って、そして子供たちに喜んでもらえるというふうな気持ちで先生になっている、そういう方々が大半だと思っております。そういう意味で、小学校でも、中学校でも、高等学校でも、やはり先生たちというのはある意味でオーバーアチーブする、ちょっと頑張り過ぎてしまうというふうな面はある、そういうふうな職種であろうかと思います。でも、全然それが自分の苦にはならないということで頑張っている先生も多いと思います。ただ、若いときはいいのですが、40後半、50代になると、大分疲れがたまってきていまして、やはり大変だということであります。また、資料にもありましたように、学校に求められる内容も本当に多くなっております。加えて、専門的な力量を要求される部分も多くなりまして、そういう面で今の先生たちは本当に大変であるということを私自身感じておりまして、皆さんにそこら辺は分かっていただきたいなあというふうに思っております。

秋田県では、小中学校の場合、特に今、学力・学習状況調査で大変注目されておるのですが、私も、小学校、中学校を見ますと、やはり1回1回の授業を作り上げるために先生たちが非常に多くのエネルギーと時間を費やして、頑張ってその授業を組み立てているということが分かります。これはいろいろな研究会で他県の方も見にいらっしゃるのですけれども、参観した授業から学ぶことが多いということを言って、喜んで帰ってくださいます。特に子供たちには、フレーズとしては「“「問い」を発する子ども”の育成」となりますが、このことをずっと進めております。授業中にとにかく、いろいろな疑問があったら、すぐ手を挙げて先生に尋ねようと。これは、例えば35人ぐらいのサイズのクラスの授業であれば、その子が何か疑問を先生に投げ掛ける、あるいはほかの人に疑問を投げ掛けることによって、それを一つのきっかけにほかの34人もそれについて考えて、そこからまた別のところからの意見を引き出すことができる。つまり、学びを広げる、あるいは学びを深めるというような意味で、どんどんいろんなことを、周り、あるいは先生に聞きましょうということを徹底してやりましょうということで、全県的にこれを進めております。それはまた、見方を変えると、先生たちがいかに児童生徒に対して、揺さぶるような質問を仕掛けていくかとか、あるいは、“あれっ?”と思うような、考えさせるような質問を工夫して、タイミングよく投げ掛けていくかとか、そういうふうなことも当然考えなければいけませんので、先生たちも授業の組立て全体の中でどこでどういうふうに仕掛けていくかというふうなことを考えなければいけないということにもなりますので、非常に工夫をしながら授業をやっているわけです。それが結局、もっともっとよくするためには時間が幾らあっても足りないというふうなことにもなるのですが、いずれ、授業準備をするという時間というのがもっとあれば、もっともっとすばらしい授業を毎日展開できるのではないかなという思いを、私自身、見て感じておるところです。

そういう意味で人的な面でのいろんな支援というところがあれば、それにこしたことはないということで、その点に関してもこの後いろいろ検討をして整理していくということが必要かと思います。学校の先生たちを代弁して言いますと、いろんな面でサポーターが来てくれれば助かるというのが本当の気持ちかというふうに思っております。また同時に、先ほどお話がありましたように、いろいろな方々とどう協働していくか、コラボレーションしていくかということに関しましては、これは今まで学校の中にいる先生にとっては余り経験したことのないことですので、やはり時間も掛かるかもしれませんが、いずれそういう世界を作っていかなければいけないというふうに考えております。

あと、教員の評価につきましては、今、学校でも評価は当然やっておるのですが、各先生の目標をきちっと管理職が押さえて、それをサポートするというふうな形での、いわゆる目標管理型という形での指導、そして、その評価を行っています。年度当初、一人一人の先生と面接して、今年はこういう分掌でこういう学年だけれども、どういうふうにして先生は目標を立てて、それをどういうふうに遂行していきますかというふうなことを相談して、そしてアドバイス等を与えて、それでまずやってもらって、年度途中でそれをチェックして、年度末に最終的に評価する。ただ、それと処遇とのリンクが難しくて、導入している県もあると思いますけれども、実際どういうふうな状況なのか、そして、どういうふうな問題があるのかということについては、ちょっとお聞きしたいなあと思っております。いずれいろいろな面で、この後、事例等も紹介していただけると思いますので、そういうものも検討させていただきながら、きちんと整理していければいいなあと考えております。

とりあえず、私からは。

【小川主査】  ありがとうございました。

私以外は一通り、自由に御意見をいただきました。きょうは、多様な御意見、また、いろんな視点等々について御指摘ありましたので、これを少し事務局の方とも相談しながら、先ほどの作業部会における検討事項の方に少し整理しながら、落としていきながら、もう少し論点とか視点をクリアにしていって、次回以降はその柱に即しながら、先ほど米田委員からもご意見がありましたように、実態とか先駆的な取組の事例があればヒアリングなどしながら、論議を深めていきたいと思います。

きょう伺ってみて、やはりこの作業部会の作業として非常に重要なのは、実態がどうなっているのかということをもう少しきっちりデータに基づいて検証することと、そして、この検討事項に関わって、先駆的な取組の事例があれば、そういうこともヒアリングして、そこから課題として何を引き取っていったらいいのかということは少し丁寧に作業をした方がいいのかなあということを感じました。例えば、先ほど多くの方から出た、主幹とか、指導教諭とか、教務主任等々が、本来の動き方というか、働き方をしてない実態があるというふうな話もあったのですけれども、主幹教諭とか、指導教諭とか、主任等が、実態的にはどういう現場でどういう動き方、働き方をしているのかということはきちっと何かデータに基づいて検証して、本来の役割とは違ういろんな動き方をしているのであれば、それがどのような原因からなのか等をきちっとそこから検証するような作業とか。

あと、学校事務の共同実施等々についても、これは学校の経営の質を高めるというのが本来の目的で、各地でやられているのですが、例えば給与事務等々、そういう事務・業務の合理化・効率化には共同実施というのはつながっているのですが、それが学校経営の改善とか学校経営の質の向上に必ずしもつながっていないというふうな共同実施の実態というのがむしろ多数を占めているのではないかというふうな感想を持っています。そういう中で共同実施が学校経営にコミットして非常にいい成果を上げている幾つかの自治体もあるのですけれども、そこでは明らかに、どういうふうなミッションを与えて、どういうふうな働き方をさせるかということを、教育委員会が明確な戦略を持って共同実施を活用しています。学校事務の共同実施がそのまま自動的に学校経営の改善や学校経営の質を高めることにつながるものではないのであって、それをつなげるためには学校事務の共同実施をどう活用するのかという戦略をどう打ち出していくかというふうなことも、例えば先駆的な取組の事例から検証してみておくことが必要なのかなと思っています。

あと、指導主事が学校支援業務として非常に重要な役割を果たすのですけれども、例えば東京都の事例でもあるように、なかなか指導主事のなり手がいないということで非常に苦慮していまして、そういう質的な問題とともに、量的にも学校現場が必要とするボリュームを指導主事の数として確保できていないという現状が東京都以外にもいろんな自治体に多くて、そういう不足分を補うという形で退職校長などを教育委員会が雇って、そういう方々にいわゆる学校支援の業務を指導主事に代わって行ってもらうというような、そういうふうな実態も全国的に広がっています。現実的にそういうふうな状況もありますので、それは、よしあし、いろいろ評価はあるのでしょうけれども、実態はそうなっていますので、そういうふうな仕組みを効率的にどうやって運用していくかも課題と言えるかもしれません。

更に、指導主事が、学校支援業務という本来の役割を持っているにもかかわらず、それ以外の行政事務に追われてなかなか学校支援業務に入っていけないというふうな実態があって、本来であればそうした行政事務・実務の仕事は教育委員会の事務局の行政職の方にきちっとやっていただければいいのでしょうけれども、例えば議会の答弁書一つとっても、やはり指導主事でないとうまく書けないというふうな現実があって、結局、指導主事が行政事務の仕事をいろいろ抱え込んでなかなか学校現場への指導ができていない現状も多くの教育委員会にあります。ので、そういう状況を改善するためには、数年単位で行政部局と教育委員会事務局を人事交流するというふうな仕組みでは指導主事に行政事務の負担が非常に多く掛かりますので、例えば、教育行政職というような職を作って、指導主事が本来の業務、学校支援業務に専念できるような仕組みを考えていくとか、いろんな工夫も必要なのかと思っています。そういうふうな取組も京都市を含めて先駆的な事例がありますので、ヒアリングなんかを通してそういうふうな仕組みの方策等々も考えていければなと思います。

今、私の方からは、多くの委員の方から出された意見とはちょっと違った事項、視点を加えてお話しさせていただきました。

次回以降は、今言ったように、実態がどうなっているのか、先駆的な事例のヒアリングなどの作業を少し先行させながら、先ほどの検討事項の各柱を更に深めていこうと考えておりますので、よろしくお願いします。事務局の方も、そういう点でよろしくお願いいたします。

時間が来てしまいましたので、次回以降について、事務局の方から説明をお願いいたします。

【福島補佐】  次回ですけれども、今、日程調整をさせていただいておりまして、具体的な日時は、主査と御相談の上、連絡させていただきます。

【小川主査】  大体、月一、二回というペースで考えてよろしいのでしょうか。

【福島補佐】  はい。

【小川主査】  分かりました。

それでは、改めて日程調整させていただいて、日時を確定させていただきたいと思います。 ほかに何かございますか、皆さんの方から。

なければ、これで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――

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