小中一貫教育特別部会(第8回) 議事録

1.日時

平成26年12月1日(月曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎4号館共用1208会議室

3.議題

  1. 子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について(答申)(案)について

4.議事録

【小川部会長】  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから小中一貫教育特別部会を開催させていただきたいと思います。お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 きょうの議題ですけれども、10月31日に本部会で整理しました審議のまとめが、その後、初中分科会、そして中教審の総会での議論を経て、小中一貫以外の論点と併せて答申(案)としてまとめられております。また、パブリックコメントも終わりましたので、事務局において意見の概要をまとめていただいていますので、答申(案)とともに、きょう議論いただければと思っています。
 まず最初に、配付資料について事務局の方から御説明いただきます。
【小林教育制度改革室長】  本日の配付資料は、議事次第にございますとおり、資料1として「子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について(答申)(案)」をお配りしております。また、資料2が、答申案の基となりました本部会の審議のまとめに関するパブリックコメントにおける意見の概要をお配りしております。また、資料3として答申(案)の参考資料をお配りしております。そのほか参考資料として部会の名簿をお配りしているほか、机上配付資料として青いファイルですけれども、これまでのこの部会の配付資料をとじさせていただいております。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。本日も報道関係者より会議内容の録音を行いたい旨の申出がありましたので、これを許可しておりますので、御了解ください。
 それでは、きょうの議題に入っていきたいと思います。
 きょうお手元にある資料1、この答申(案)のうち、小中一貫教育に関する部分、第1章部分ですね、それについて議論をしたいと思います。内容の大筋につきましては審議のまとめから変わっておりませんけれども、先ほど説明ありましたように、大臣から諮問された例えば高校早期卒業制度等々の学制改革に関わる内容も組み込みまして、全体として今回、資料1のような答申(案)としております。そういうふうな形式的な修正もありましたし、また、初中分科会、そして中教審総会での御意見、また、パブコメの結果を踏まえて、10月31日に整理しておりました審議のまとめについて幾つか加筆・修正している部分もありますので、その点を中心にしながら、事務局の方からまず資料1の第1章部分について説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
【小林教育制度改革室長】  それでは、本日の資料、資料2と資料1を併せて御説明させていただきたいと思います。
 まず、今、部会長の方からも御紹介ございました形式的な修正についてですが、中教審全体の答申(案)として、これまでの答申スタイルなどを踏まえた修正を行いまして、一つは、まず、今回の学制改革全体の答申として、高校の飛び入学者に対する措置、それから高校専攻科からの大学院入学についても併せた答申となっておりますので、それに伴いまして章立ての変更をまず行っております。
 それから2点目といたしまして、小中一貫の現状と課題、現在の第2節の部分ですが、特に実態調査のデータを挿入して参照するようなスタイルになっておりましたけれども、これは答申のスタイルに合わせまして、データを参考資料ということで本文からは抜かせていただいております。
 それから三つ目の変更としまして、各節の冒頭で四角で囲いましたその節のまとめを、四角の囲いの中で概要のようなものを挿入させていただいております。
 形式的な修正は以上でございます。
 それでは、まず先に資料2のパブリックコメントの主な御意見を紹介させていただきたいと思います。
 パブリックコメントは11月7日から25日までの期間、約20日間行いまして、212件の御意見を頂いたところでございます。頂いた御意見の中でも重複するものが相当数ございましたので、きょうは資料の項目に即して整理させていただいたものを基に紹介させていただきたいと思います。
 このパブリックコメントの資料2でございますが、まず全体の制度化について、全体の御意見として冒頭二つ御紹介させていただいております。
 中1ギャップの解消などのため、速やかに小中一貫教育の制度化を推進するべきであるという御意見。
 それから、逆に、小中一貫教育の制度化によって教育は一層競争主義的なものとなるので、容認できないというような御意見がございました。
 また、様々な御意見を頂いておりますが、まとめさせていただいている中で見出しの中で整理の項目といたしましては、まず、導入に関して配慮すべき事項、様々な導入に際しての御懸念について整理させていただいております。
 例えば最初の三つ目でございますが、小中一貫教育の必要性はあるが、まず各中学校区で十分な小中連携を行うことが大切だ。生徒指導や学習のルールを中学校区で統一することで、中学校入学後もスムーズに学校生活に慣れさせるところから始め、十分に検討する時間が必要である。
 2点目は、小学校高学年におけるリーダー性や主体性の育成に懸念ということでございます。
 また、三つ目は、地域の公立学校として複数のタイプが併存することが、公教育の平等性を阻害しないようにする必要があると。
 あるいは、学校選択制が仮に導入された場合には、悪影響が出るのではないかと。
 それから、その次でございますが、高校進学の際に小中一貫教育を行っている学校が特別な学校として見られることがないようにする必要があるという御意見。
 それから、「小学校卒業」、「中学校入学」のような節目も、制度と併せて考えるべきであるといったような御意見を頂いています。
 いわばこれらに対応するような御意見ですが、最後のポイントとしては、小中一貫教育の導入については、設置者のトップダウンではなく地域や保護者、学校の意見を十分に踏まえた判断がなされるべきであるという御意見を頂いております。
 また、教育内容の特例の部分でございますが、特に前倒しなどが安易に実施されることがないようにすべきであるといった御意見。
 それから、小中一貫教育の推進が学校統廃合と併せてこれも安易に議論されることがないように注意すべきだといったような御意見。
 それから、教職員の多忙化が懸念されるため、教職員定数の改善はもちろんのこと、学校運営組織や教科担任制・学級担任制の在り方、研修体制、生徒指導体制など、十分な研究や検討が必要であるといった御意見を頂いております。
 また、制度化に合わせた推進方策に係るような御意見も頂いております。
 最初のものは、今御紹介した定数の改善など体制の整備などと重なっております。
 また、2点目は、やはり様々な施設が離れていると、タイムリーにいろいろな連絡を行えないという課題も挙げられているので、施設一体型が望ましいのではないかという施設の課題。
 それから三つ目は、前の制度の整備と重複しますけれども、必要な予算を確保すべきであるといった御意見。
 それから、加配の基準を明確に示すべきだと。スクールカウンセラーなどの専門職員の位置付けを明確にすべきであるといった御意見。
 それから、私立学校に対する支援策が明確ではないのではないかといった御意見。
 それから、既存の小中連携を更に充実させる施策の推進に力を注(そそ)ぐべきであるといった御意見を頂いております。
 また、この推進方策の中の一つの固まりになるかと思いますが、教員免許についても幾つか頂いております。
 教員養成において小中学校の免許を併有する教員の養成を強化すべきであるといった御意見。
 それから、3ページの冒頭ですが、養成段階において教科の専門性を高められるようにしていく必要があるという御意見。
 それから、小中免許の併有を原則とすると、教員養成系大学出身者が多くなるので、開放性の原則に影響を及ぼすことが危惧されるといった御意見。
 また、それとは逆に、教育免許状の併有を原則とすべきであるといった御意見。
 さらに、全ての都道府県で免許併有者を十分に確保する必要があるといった御意見。そのために免許認定講習を安定的に実施する必要があるという御意見。
 それから、免許の最後の御意見としては、当分の間、どちらか一方の免許状を有することをもって相当する課程の指導を可能とするということになっているが、ある程度期限を意識して取組を進めることが必要ではないかといった御意見を頂いております。
 また、今回の小中一貫の全体の検討のプロセス、経過について幾つか頂いた御意見を次にまとめさせていただいております。
 一つは、小中一貫教育を制度化するには、拙速な導入とならないように、多方面にわたる課題について慎重かつ十分な審議が必要であるといった御意見。
 中1ギャップについては、全国的な問題であることの根拠が示されていないのではないかといった御意見。
 それから、小中一貫教育の実績は小中学校全体からすればごく少数であり、制度化の有力な根拠とはならないのではないかといった御意見。
 中高一貫と小中一貫教育との整合性についてどのように検討されたかが明らかになっていないのではないかといった御指摘。
 それから最後のその他で、今御紹介したのと重なりますが、幼小連携、中高一貫、小中一貫の関係など、学制全体のデザインについて引き続き研究と議論を深めていく必要があるといった御意見。
 全般的に今御紹介したような御意見を多数頂いているところでございます。
 次に、資料1の方で、この答申(案)を基に御紹介させていただきたいと思いますが、この特別部会、最後に開催されたのが10月31日でございますが、その後、11月7日に中教審の初等中等教育分科会、それから11月20日に中教審の総会が開催されておりまして、それぞれ本件について御審議いただいた意見を答申(案)に反映させていただいております。
 それが資料1の中で黄色いマーカーを付けさせていただいておりますが、これらの部分につきましては、先ほど御紹介いたしましたパブリックコメントを踏まえて修正・加筆などが特に必要になった点、それから特別部会以降の中教審で出た意見で加筆しないと内容がなかったものについて、黄色いマーカーを付けさせていただいております。基本的には、ここで様々な特別部会で御懸念のテーマを併せて様々御議論いただいたため、参考資料も併せましてごらんいただきますと、パブリックコメントで頂いている御懸念や、そのほか特別部会以降の審議で出た意見というのはかなりカバーされておりますので、修正点というよりは、どちらかといいますと改めて加筆をするような点が多くなっております。
 それでは、資料1の答申(案)でございますが、最初、1ページおめくりいただきますと目次がございます。先ほど御紹介させていただきましたように、今回答申(案)、高校、大学の部分も含めまして一つになっておりますので、第1章の部分が小中一貫教育の制度化と推進方策についてというふうになっております。第1節から第5節まで、こちらはこの特別部会で最後御議論いただいたときと構成は変わっておりません。第2章は、本日ここでは御議論いただかない部分ですが、「意欲や能力に応じた学びの発展のための制度の柔軟化について」ということで、高校から大学の部分になっております。最後、「おわりに」というのは、制度全体に係るものとなっておりますので、小中一貫教育、御指摘のございました学制改革全体の見直しといったような御指摘もまとめて「おわりに」の方に記述を移させていただいております。
 それでは、変更部分だけ紹介させていただきたいと思いますが、最初の変更は、25ページまでおめくりいただく形になります。25ページは、第4節の「小中一貫教育の制度設計の基本的方向性」の中の教育課程の特例の部分でございます。ここで「教育課程の特例」の部分の加筆でございますけれども、「各教科等の特性に応じた系統性・体系性に配慮すること」というものが新たに増やされております。これは、先ほど教育課程の特例に当たって安易な児童生徒への加重負担ということ、安易なものにならないようにといったような御意見を踏まえているものでございます。
 また、26ページのところ、反対側のページのところですが、同じ「教育課程の特例」のところで同様に、このような特例の「活用に際しては、児童生徒の負担過重にならないように配慮すべきである」といったことを加えさせていただいております。
 それから、同じ制度化の在り方についての27ページでございます。教員免許の取扱いのところでございますけれども、ここで頂いている御意見を踏まえまして、「この際、国においては、例えば小学校及び中学校教員免許状併有のための認定講習、通信等を活用した認定講習などに関するモデル事業を実施し、その成果を全国的に普及させることが期待される」ということを入れさせていただいております。これは、御意見の中で、併有促進のための取組を国の責務として行うべきだといった御意見を踏まえた修正でございます。
 それから、29ページでございます。これは、制度化に当たって、「既存の小・中学校との関係」について記載させていただいている部分でございます。中教審などの御意見を踏まえまして、最後の部分、「保護者が居住地の選択に当たって地域の義務教育の特色について参考にすることも考えられるため、各市町村においては、小中一貫教育の導入の状況も含め、各学校における特色ある取組について積極的に情報を提供していくことが望まれる」というのを加筆させていただいております。
 また、第5節「小中一貫教育の総合的な推進方策について」の部分でございます。30ページの箱の中でございますけれども、「小中一貫教育と学校運営協議会の一体的な導入推進など、義務教育の9年間の学びを地域ぐるみで支える仕組みづくり」ということで、これは、もともとあった記述が趣旨がちょっと分かりにくいという御意見がございまして、修正をさせていただいたものでございます。
 それから、30ページの最初の四角の下のところですが、「必要な予算を確保し」ということを、意見を踏まえて入れさせていただいております。
 また、32ページで、「地域ぐるみで子供たちの9年間の学びを支える仕組みづくり」というところで、頂いた御意見を踏まえて、保護者と地域住民ということで、新しい学校づくりのビジョンを共有しつつという記述がございましたけれども、ここで「学校関係者と」ということを加えさせていただいております。
 それから、その下の加筆でございますけれども、「小中一貫教育と地域とともにある学校づくりは親和性が極めて高いものであり、補助事業や教職員加配等を通じて、国としても両者の一体的な導入を積極的に支援していく必要がある」ということで、これは、コミュニティ・スクールなど、あるいは学校地域支援本部などの取組について、もっとしっかりと推進していく必要があるといった御意見を頂いておりますので、加筆をさせていただいております。
 また、33ページ、次のページでございますが、「モデル事業の実施、好事例の普及」というところでございます。ここでも、「小中連携の進捗状況もふまえ」ということを加筆させていただいております。まず、小中連携の充実も望まれるといった御意見がございましたので、それを反映させていただいております。
 また、34ページ、「都道府県教育委員会の役割」のところでございます。免許状併有の促進に当たりまして、34ページの下の方でございますけれども、「免許の併有率に関する具体的な目標を設定し、必要な措置を計画的に講ずることが期待される」ということでございます。御意見の中に、当分の間ということではなくて計画的にやっていかないと、なかなか現場で併有が進まないのではないかといった御意見を頂いておりますので、それを反映させていただいた形でございます。
 それから、36ページ、同じ推進方策の中でICTの活用の部分でございますが、教員のICTスキルの向上といった御意見を頂きましたので、それを反映させていただいております。
 また、38ページで、こちら、「9年間の系統性・連続性の強化」ということでございますが、38ページの真ん中の辺りですが、区切りについて、「区切りを意識させる儀式的行事を行ったり、フロアの区分などを工夫するなどして、学年段階の節目を活用して意図的に成長を促す教育活動を充実させることが必要である」というのを加えさせていただいております。これは、リーダーシップですとか小学校高学年におけるそういった区切りの儀式が重要だといったような御意見を反映したものでございます。
 それから最後でございますが、39ページで、特別支援学級についての御指摘がございました。それを39ページ冒頭で加筆させていただいております。「また、特別支援学級や通級による指導においては、もとより障害の状態等に応じた特別の教育課程が編成できることとされており、このたびの小中一貫教育の制度化に伴い、国としても、9年間の系統性や連続性を確保したカリキュラムの編成・実施に向けた研究を促進していくことが期待される」と。こちらの御意見は、特別支援学級についての言及は既に頂いておりましたけれども、更にその研究のようなものを推進していくべきというような御意見がございましたので、それを反映させた形でございます。
 また、39ページの下のところ、その他ということでございますけれども、様々な教員以外の職種についての言及で、具体的に頂いております特別支援教育支援員など、あるいはスクールカウンセラーなどについて加筆をさせていただいているものでございます。
 資料1の答申(案)については変更点は以上でございます。個々個別にこの意見についてどういう加筆をしたかということ、個別には御説明していないところもございますが、もし御質問等ございましたら御説明させていただきたいと思います。
 以上でございます。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、これから、今の事務局の御説明を踏まえまして、資料1の答申(案)の第1章部分ですね、「小中一貫教育の制度化及び総合的な推進方策について」について御意見を伺いたいと思います。できればきょう最後にしたいと思いますので、御意見がある場合には、この答申(案)の案文のどの部分、そして修正等々をお願いする場合には、具体的にこのように加筆・修正した方がいいんじゃないかという具体的な提案を頂ければと思います。それでは、御意見を頂きたいと思います。どなたからでもどうぞ、いかがでしょうか。
 よろしいですか、もうこれ。はい、じゃあ貞広委員、どうぞ。
【貞広委員】  はい。おはようございます。大変バランスよくまとめていただいて、もう意見も出すようなところもないんですけれども、1点、パブリックコメントの方のその他で出ているところで1点目ですね、幼小連携、中高一貫、小中一貫の関係など、学制全体のデザインについてとか、その前に出ている中高一貫教育と小中一貫教育について中学校部分が競合することについての議論というのが、やはり残ってしまったんじゃないかと思っていまして、それを49ページの「おわりに」のところの真ん中ぐらいのところに御反映いただいているんですが、「幼小連携や中高一貫教育と小中一貫教育の関係などに係る試行的な研究を進めていくとともに」というところなんですけど、その次の文章の辺りで、「幼児児童生徒の発達の段階に応じた学校段階の区切りの在り方を含む公教育全体の質の向上」と書いてあるんですが、この「学校段階の区切り」という小さなことというよりも、これ、学制というふうに考えた方がいいんじゃないかなと思いまして、単に区切りの問題だけではないように思っての、本当に細かいことで申し訳ありませんが、意見です。
【小川部会長】  ありがとうございました。もう少し学制改革というふうなメッセージが伝わるような工夫ということですかね。
【貞広委員】  はい。
【小川部会長】  はい、分かりました。
 ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。
【安彦副部会長】  30ページに、国として、「必要な予算を確保し」というふうに入れていただいたのは大変よかったと私は思いますが、地方教育委員会の方々とお話しすると、やはりそれぞれ地方では必ずしも財政的に豊かではないところが多いということがありまして、そういう意味で、積極的に推進するというのであれば、やはり国としてこの財政的な支援は是非行っていただきたいという声が強いですので、この点は文言以上にといいますか、多分、具体化していくときには地方から声が強く出てくると思いますので、是非この方向を踏まえて、今後、予算措置等をお願いしたいなと思います。
 それからもう1点は、32ページのところで、地域で、あるいは地方教育委員会サイドの裁量でこの制度化は進められていくと思いますけれども、そのときに、今、パブリックコメントの方にもありましたが、前から私も気にしていたことですけれども、教育の機会均等というか、特に義務教育ですから、均等あるいは平等という、この点はやはり少し文言としてもどこかに欲しいなと思うんです。そういう意味では、例えば32ページに、先ほど「学校関係者と」という文言が付け加えられたパラグラフがありますけれども、その辺りで「小中一貫教育に指摘される課題の解消策をあらかじめ示すことも含め、公教育の」、パブリックコメントの方ですと「平等性」と書いてありますけど、「平等性ないし機会均等について十分配慮し、丁寧に」というふうにつなげていくというようなことが、一応、文言として原則的なことだと思いますので、入れておいていただけるといいなと思います。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。はい、どうぞ。
【天笠委員】  失礼します。26ページから27ページにかけて免許状の扱いについてということが記載されているわけです。この間、審議に関わる立場からして、こういうまとめ方ということについてはやむを得ないと思っております。その上で申し上げさせていただきたいんですけれども、まず一つは、せんだって私のところで教授会がありまして、やはり教員養成を担当している大学学部からすれば、当然、関心はここのところにかなり集中するわけでありまして、この免許状の併有というのをどう考えているんだという、どういうふうに捉えていったらいいか、養成の立場からということが言われ、また、学生も小中の免許状を取った方がいいのかどうなのかと、そういう問いというんでしょうか、ということを持つ学生等々も様々いまして、この免許の部分というのは教員養成等々に関わる立場からしますと非常に大きな関心事になっていることはまず間違いないというふうに、改めてそのときに確認したということなんですけれども、ここの辺りのところというのが、当面の措置と、それから27ページの最後のところには「引き続き検討を行うことが適当である」というふうな「引き続き」ということとか、言うならば、私はここの部分は当面の措置としてのそれが記載されているというような、そういう理解の仕方をしているわけであるわけなんですけれども、しかも、もう一つは、これ、どちらかというと現場向けというんでしょうか、むしろ教員養成系あるいは課程認定大学の大学関係の方については、この「引き続き検討を行う」中でのメッセージをしばらく注視せよというふうな、何かそういうニュアンスがこの中にはあるように思うんですけれども、この辺のところをもう少し、当面の措置というのと中期的な時間的な感覚ということと、それから現場向けということと、それから教員養成あるいは課程認定大学向けと、そこのところを少しメリハリを付けてメッセージを発する必要がないのかどうなのかという辺りのところはもう少し検討した方が――検討というか、そういうふうなメッセージの送り方をしてもいいのかなと思います。したがいまして、ここの部分については、文章を特に書き加えるとか修正ということじゃなくて、これはこことしてということですけれども、今後、この扱い方として、それぞれの今申し上げたようなところに対してその種の情報発信をしっかりと、また的確に行っていくということの必要性があるんじゃないかと。とりわけ課程認定大学あるいは養成系の大学には、今申し上げたようなところから的確なメッセージと時間的なメリハリをはっきりさせた、そういうものを発信していく必要があるんじゃないかなと思います。
 以上です。
【小川部会長】  今の天笠さんの御意見で、何か事務局の方から御意見ありますか。というのは、この件については養成部会の方で検討されていまして、養成部会の答申のまとめ方で発信もあっていいと思うので、その辺、本部会と教員養成部会の双方から発信の仕方は違っていいと思うので、全体として、今、天笠さんがおっしゃったようなことが双方の答申からうまく社会的に発信されればいいんですけれども、その辺はどういう形になっているんですかね。
【小林教育制度改革室長】  まず、小中一貫全体の推進、この制度化に当たりまして、今御指摘の点、非常に重要だと思いますので、発信していく際のいろんな表現ですとかそういったものをきちんと工夫していきたいと思います。
 また、教員養成部会の方につきましては……。
【山下教員免許企画室長】  一応、教員養成部会につきましても、先般、御議論をしていただきまして、それで報告を取りまとめております。それで、その中で今御指摘がございましたように、現職教員の方の免許状の併有の取組とともに、やはり教員養成段階からの免許状併有を促進するというようなことの必要性ということにつきましても言及をさせていただいております。それで、この報告につきましては、もう既に全国の各大学等に配付をさせていただくというような方向で、今、準備はしておりますけれども、それ以外の様々な機会におきましても、その内容につきまして今後とも必要に応じて周知をしてまいりたいと思っております。
【小川部会長】  天笠さん、よろしいですか。
【天笠委員】  ええ。
【小川部会長】  では、橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】  ありがとうございます。その免許を小中併有していても、実際にずっと中学校で教えてきた先生が小学校に行って教えるということは、その反対もありますが、発達段階をよく捉えて、どのような指導方法、どのような教材でやるかということになりますと、やはりそこで研修ということがなければいけないし、小中一貫教育の意義というものをどちらの免許を取っていてもしっかり分かっていないと、実際、本当に充実したことができないのではないかということが危惧されます。特に書くということではないけれども、そういう意味では34ページの都道府県教育委員会がやはりそういうふうなアシストというのができるといいのかな、小中一貫教育の意義や実際の9年間の教育課程の作り方とそこでの授業とか、そういうような中身についての研修というのが少しアシストできるといいのかなと思います。
 それから、パブリックコメントに、小さな町村で学校統廃合の問題を進めるためにやられるのではないかというようなことのお話がありましたけれども、やはり地方の者にしますと、今まで見せていただいたたくさんの好事例というのは、設置者が非常に主体的に取り組んでくださっていて、様々な教員、それからコーディネーター等、様々な御努力をされてすばらしい成果を上げてきたという背景があってうまくいっていると言えるわけで、そういう意味で、今後、町村は統廃合の問題から発せられたのではなくて、実際に地域作りということで是非やりたいと思っても、やはり財政力ということがネックになってできないということになっていくわけで、それで必要な予算ということが先ほどお話が出たんだと思いますけれども、そこに町村の設置者に対して小中一貫教育の意義というものが何かもう少し伝わるということができると、教育委員会の者たちは大変喜ぶのではないかと考えます。具体的には、文言はこれで構わないと思いますが。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。西川委員、どうぞ。
【西川委員】  今の橋本委員の意見に非常に近いんですけれども、全体読ませていただいて、都道府県教育委員会、それから市町村教育委員会、その関係に対していろいろと今後もっと緊密にすべきだとここには書かれているんですが、具体的にどうするんだというところがなかなか読みにくい。答申だから、その中身は学校現場や基礎自治体の教育委員会の運用能力ということになるんでしょうけれども、読めばその具体的なイメージも分かるというふうなことにならなかったのかなとちょっと思っています。例えば、「おわりに」のところで、今回、全国レベルで行われた調査というのは、僕は非常に意義があったと思っています。具体的に小中一貫教育を数値化できたということで。で、定期的にフォローアップすると書いてあるんですが、例えば5年に一度でも定期的ですよね。僕はやっぱり、これ、限りなく毎年行うべきだと思っています。その調査の中に、調査するプロセスに、都道府県教育委員会の関係者に関わっていただく。そうすることによって、小中一貫教育がどのように進められていて、どのような成果と課題があるのかということを実際に周知して承知していただくということで、橋本委員がおっしゃったようなこの取組の意義というものを本当に納得した地方教育行政の担当者が一人でも多くなることが大切だと思っているんです。
 それから、私、これ、本当にきょう見た、全部見てないんですけど、学校統廃合との絡みの文言はどこかにありますか、事務局。ちょっと教えていただけませんか。済みません。
【小林教育制度改革室長】  6ページのところで、これは第1節の「小中一貫教育が取り組まれている背景」のところで、6ページの下から4行目ぐらいのところです。いわゆる「縦の統合」ということで、そういうことが行われている現状、背景として記載させていただいております。
【西川委員】  私は、この問題についても議論はしたという確認だけはしたいなと思っております。統廃合の隠れみの的にこういう取組が進んでいるんじゃなくて、本当に子供の学びの在り方を考えて十分に議論したということだけは踏まえておきたいなと思っています。
 それから、何度も済みませんが、ページで言いますと、先ほども議論にちょっとなったんですけれども、32ページですね。これは、コミュニティ・スクールの推進協議会、別のところで議論されているんでしょうけれども、実際の小中一貫教育というのはやはり分離型、分離・連携型で行われることが多いことを考えると、中学校区を一つの単位にして小中一貫型小学校・中学校というのが具体に展開されるんだろうと思うんです。そういった取組のイメージが私たちは本当につかめたんだろうか。例えば学園構想なども何度か取組を報告されました。その言葉も、例えば学園構想なんていう言葉も僕が見落としたのかもしれませんが、そういったことがイメージとしてないと、どういうものが中学校区の取組なんだというのが本当に伝わるのかなという気はしていますが。意見です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。今まで具体的な文案の加筆・修正の御意見も幾つかありましたけれども、その他、多くについては小中一貫教育を推進していくための取組の方向等々についての御要望もかなり出されております。そうした点も含めてまた何かございましたら、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。國定委員、何かございますか。
【國定委員】  満足です。
【小川部会長】  ありがとうございます。
 じゃ、なければ……ちょっと早過ぎますかね。でも、ないようですので、どうでしょうか。最後の部会になりそうですので、出席されている委員から最後に何か一言ずつ御発言を頂くということにしましょうか。それでよろしいですか。
【西川委員】  遠くから来ているから有効に時間を使いたいと思いますけど。

【西川委員】  私の方は結構です。
【小川部会長】  今、そういう声もありましたので、別に文案の加筆・修正とか今後の取組に関わっての様々な要望等々でなくても、この半年間、かなり濃密に審議してきましたので、何か感じられたことも含めて御自由に、最後、一言ずつ委員の方から御発言いただければと思います。
 一番向こうの方の四柳委員からよろしいですか。済みません。
【四柳委員】  はい、ありがとうございます。私は地域という立場からこの会議に出席させていただいて、先ほどから御議論にある32ページの「地域ぐるみで子供たちの9年間の学びを支える仕組みづくり」というところに、今現在、現場として関わっている者として、先ほどの機会均等のことであるとか、文言にここに入れていただくということは、とても地域としても学校に対しての地域への信頼度が高いところなのかなと思って、本当に有り難いなと思っています。
 私、ちょっと1点だけ気になることがあって、このパブリックコメントの反対意見というか、一番最初の容認できないというところが、やっぱり反対の意見というのもとても大切にしなければいけないと私はふだんから思っているんですが、一層競争主義的なものをあおるのではないかという懸念があるという御意見だと思うんですけれども、よく読めば、競争をあおるものではないというのはよく分かるんですが、これが現場におりていったときによく読まないと分からないというようなことだと、なかなかやっぱり保護者や地域には伝わりにくいのかなと思います。学校現場での説明責任者というのは校長先生になるわけで、校長先生が小中一貫教育を自分の学校で行っていることの意義とか目的とか重要性というものをきちんと説明できないと、やはり地域の方々や保護者の皆さんには御理解がいただけないのではないか。それが御理解いただけないということはなかなかうまく進んでいかないのではないかと思いますので、校長先生方への研修などの必要性なども、もしできたら入れていただけるとうれしいなと思っています。
 ありがとうございました。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 矢崎委員、どうぞ。
【矢崎委員】  答申(案)、非常にバランスよくまとまっておりまして、事務局、御苦労さまでした。
 私は、今後、こういう会を通して発言していかなきゃいけないなと思っているのは、やはり免許、小学校・中学校の免許併有の問題で、現実には、例えば英語を20年から5年生・6年生が3時間というようなことで、その中に例えばモジュールということで、1時間単位じゃなくて15分単位でもできれば毎日やろうと。それを担うのは担任だということになるんだろうと思うんですが、やはり免許の問題があって、教科になった場合には英語の免許が必要だということになると、今の6年生の担任がタッチできなくなるようなことになると。私ども教員を預かっている立場からいいますと、6年生にふさわしい担任というのがいるんですね。これは英語だけの問題じゃなくて、生活指導から算数、国語あるわけで、それが英語が入ったために5年生・6年の担任をできないようなことがあったら、これは学校として大変なマイナスになるんですね。ですから、これを声を大にして何とかそういうことにならないようにしていきたい。ですから、今、現役でやっている先生方が例えば英語も教えられるような、やはりそういう制度を創っていってほしいというのが願いです。
 いろいろありがとうございました。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 橋本委員、お願いします。
【橋本委員】  ありがとうございます。この特別部会と、また、パブリックコメント等にもありましたけれども、小中一貫教育と普通の小学校・中学校での小中連携に反映できるということが非常に特別な学校とか制度ではなく、ここから得られた知見というものが多くの小学校・中学校の教育の充実につながるものにしていくということが大事だと思います。こういう様々な事例が、余りにもすばらしい設置者、先生方の御努力によって得られたものなので、あんなすばらしいものはできないのではないかと思っている小学校・中学校、地方の者はいるわけですけれども、例えば先ほどお話ししたように、小学校の先生も中学校の教育のありようということを知って、子供たちも交流するとともに教職員も交流するということ、その反対もあるということによって、子供たちが小学校から中学校に行くという自然の流れの中にちょっとステップはあるわけですけれども、そこが飛び越えられるような状況にしていくということは、現状でもかなり可能な部分というのはあるわけですね。それなのに、今、年に1回とかの行事とか何かその程度に終わっているというのは何なのかということを考えると、ここは教員養成部会ではないのですけれども、小学校免許を取るときにはやっぱり中学校を視野に、中学校免許を取るときには小学校教育を視野にした、そういう一貫の意義とかそういうことの学びというものが必要ですし、やはり先生方の教育実習も、中学校だから中学校でいいではなく、やはりそういう目を養うことも大事だろうと思いますし、そういう好事例から得られた知見というのをやはり現状の教育にどんどん生かしていくということがこの大きな意義ではないかなと考えております。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 西川委員、お願いします。
【西川委員】  はい、ありがとうございます。私はもう今更申し上げるまでもなく、いろんな学校での取組を実際に見たり関わったりする中で、この取組は非常に意義のあるものだという立場でこの部会に参加してまいりました。20ページ以降、基本的な方向性、きちっとまとめられておりますが、私自身がその現場の、いささか古い言葉ですが、本当に地上の星とも言うべき幾多の取組をより質の高いものに支援できるような答申であり得たかどうか、私自身はまだちょっと不安です。そういう意味ではいかようにも読める、あるいは具体的な書き方が難しい、答申はそうだと思います。そこまで具体的に書くものではないし、こういった制度を運用するのは正に現場の先生方の力量だと思っておりますが、それを支えるための都道府県教育委員会の在り方や地方教育行政に関わる人々の在り方をより明確に支援できるような答申の中身というものを、まだこれで終わりではないので、考えていっていただきたいと思っています。
 僕が一番懸念するのは、一つのブームのような形でこの取組がやり過ごされてしまうことを一番懸念しています。だから、先ほど定期的にフォローアップということを書いていただいて、その定期的というものが、5年でも10年でも定期的ですが、できるだけ毎年継続的にデータを積み重ねていって、何がどのように変わって、どういう成果があって、どういう課題があるのかということをきちっと我々が共有することで義務教育の在り方が変わっていくんじゃないかと思っております。
 ありがとうございました。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 西委員、どうぞ。
【西委員】  はい、ありがとうございます。先日、小中一貫教育学校といいますか、小中一貫教育校の方を訪問しておりまして、ここで発表いただいた場所ではないんですけれども、そこで話を、教頭先生と雑談のようなことをしていたんです。そのときに教頭先生が、「これから私たちはどうなっていくんでしょうね」というふうな不安を漏らされたんです。つまり、私たちは小中一貫学校としてやっているんだけれども、みんなはそれをどう見ているんだろうなというふうな不安を少し感じていたようです。それで、私はこの制度のこの会議の内容もあらましお話しして、「大丈夫だから、今こういうふうに制度設計向かっているから」というようなことでお話ししましたら、非常に安心されて、「あ、よかったです。それで安心しました。私たちもまた自信持ってやっていきます」というようなことを聞いたんです。ですので、この制度のこの会議が今後、多くのそういう学校を力付けていく制度であり、力になっていくのではないかなと期待しているところです。私たちもこの会議を受けて、今後、いろんな学校、いろんな地域に応じた小中一貫教育を進めていきたいと考えているところです。
 どうもありがとうございました。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 貞広委員、お願いします。
【貞広委員】  ありがとうございます。この会議で幾つもの好事例のヒアリングをさせていただいて、また、個人的にもその研究で幾つか小中一貫学校のリサーチに行ったりするんですけれども、そうすると、いわゆる好事例のところは、学校としての御努力というのは言うまでもないんですけれども、学校単体の御努力というよりも、そこには教育委員会の手厚いサポートと、又は教育長の強力なリーダーシップの存在というのがあって、その好事例というものが出来上がっているということが観察されます。こう考えますと、くしくも今回、新教育委員会制度がスタートするわけですけれども、こうした教育委員会や教育長の力量と申し上げたら大変失礼なんですけれども、迎え方によって、やはり地域によって温度差が出てくるということが改めて懸念をされます。ですから、例えばこういう強力な正しいディレクションの教育長の人材をどう確保するかとか、又は教育に関わる造詣の深い行政職の方にどう教育委員会の中で働いていただくかというようなことについて、改めて研究者として宿題を頂いたように思っております。
 以上、雑感です。ありがとうございました。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 國定委員。
【國定委員】  一番最初のこの特別部会が設置されたときにも申し上げましたけれども、4年前、三条市がこの小中一貫教育を争点として非常にまちが割れて、最後は4年前の私自身の選挙によって結局決着を付けざるを得なかったということを考えてみますと、それから4年間たって、この小中一貫教育がこうして制度化の一歩手前まで来ることができたということは、本当に感慨深く思っておりますし、あのとき情熱を傾けて、それでもなお間違ってないんだということで、市民の皆様方の御理解を頂いてきたことが本当にこうした形で報われたということを大変有り難く思っております。
 また、今回、この答申(案)を改めて拝読させていただきましたけれども、現場を、私は市長という立場でありますけれども、今ほど申し上げましたように4年前からずっとこの小中一貫教育に深く関与せざるを得ない立場でありましたので、いわば運用していく身としてこれを見たときには、本当に過不足なく、よく整えられているなというふうに思っておりますし、さらに申し上げれば、これ以上細かく書かれるとがんじがらめになってしまって、逆に身動きとれなくなってしまうと思っていますので、ポイント、ポイントをしっかりと押さえられた見事な答申(案)だと思っております。文部科学省の皆様方には、この答申(案)を基に答申(案)の筋のとおりに制度化を具体になし遂げられますことをお願い申し上げますとともに、今度は私たちの番ですから、市町村がこの答申(案)を旨にしっかりと現場の中で展開していく。三条市は少なくともその先頭を切っていくことを皆様方の前で改めてお誓いを申し上げて、御挨拶とさせていただきたいと思います。
 選挙演説のようになりましたけれども、ありがとうございました。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 天笠委員、どうぞ。
【天笠委員】  失礼いたします。
 三つ申し上げたいと思うんですけど、まず一つは、私は、ここまで小中一貫が制度化に向けてまとめられた基本的な全体の流れの動きを捉えた場合には、ボトムアップ型の教育改革として捉えたいなと思っております。一つ、好事例等々というのは、ある意味だとそれぞれ現場発のそれであって、それらの積み重ねの中から、ある意味、時に行ったり来たりしながらですけれども、それらがまとめられながらということで、及ばずながらこの特別部会という中で制度化に向けての一端についてお力添えさせていただいたというような、そんなふうな認識を持っておりまして、ですから、言うならば、現場からの研究開発学校ですとか、いろんな市町村でのそれぞれの取組、その一つ一つが組み合わされながらここまで来たんじゃないかと思っております。
 二つ目ですけれども、今申し上げたことをそれぞれの地域のところに目を向けてみれば、やはり市町村教育委員会がかなりそういう意味で主導性を持って進めたということも、これもまた間違いないことでありまして、立場によっては、それを設置者のトップダウンというふうな、そういう御指摘にもつながってくる部分があるかもしれませんけれども、トップダウンをやっても、好事例というところに位置付いた場合と、必ずしもそうじゃない場合とかそこのところが出てきているというのもまた事実だと思います。じゃあ、そこのところは何なのかというと、やっぱり市町村教育委員会と校長を挟んで学校とのその関係のある意味だと再構築というんでしょうか、あるいは、もう一度その関係作りがこの小中一貫教育の提起の中でできたところというのはその成果が収められるところに行っていますし、必ずしもそこのところがうまくいってないところというのはいろいろなところで途中で止まったりですとかと、そういうふうなことが結果として起こっているんじゃないかと思いますので、ですから、そういう意味では、今後、この小中一貫教育の導入を呼び水にして、改めて教育委員会と学校と間に立つ校長とのいい意味での関係の再構築というのが並行して行われるということを御期待申し上げたいなと思っております。
 三つ目なんですけれども、きょうのこの取りまとめのあれを見まして、1章と2章ってこういう形でまとまるんだなというようなことを思った次第なんですけど、これも何か別々に、別の話を聞いていたところもあった、要するに小中一貫の部分と他はということだったですけれども、あ、こういう形でまとまっていくんだ、まとめられるんだなと、これも一つのまとめ方なんだなと思った次第なんですけれども、そうすると、もう我々の守備範囲外なんですけれども、第3章というのがやっぱり気になってくるということなんです。それはどういう意味かというと、やはり高等学校という存在が、こういうふうになってくると改めて従来のような高等学校のありようでは済まなくなってくるということがいろいろ示唆される部分というのがあるかと思いますし、折しも学習指導要領の改訂のときにはかなり高等学校の改訂に関わる話が様々出てくるわけで、その場合も今後の高等学校のありようというのもいろいろ検討していくときも、この報告書(案)をいろいろと勘案しながら、検討しながら進めていただく必要性が出てきているのかなと思っています。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 大橋委員、どうぞ。
【大橋委員】  失礼いたします。審議のまとめの段階で幾つか疑問に思うところがあったわけなんですが、きょうこの答申(案)を見せていただき、きちんとその辺りが書き込まれていて、本当にありがとうございました。
 中で、教員体制の整備というところで適切な教職員定数の算定をというふうに書いてありますが、是非これはこの後もきちんと実行していただければなと思っております。
 それから、先ほど小中一貫教育に当たって現場の校長の認識が大事であるというお話がございました。この辺り、私自身もそうですが、校長会等できちんと伝えていきたいと思っております。
 どうもありがとうございました。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 無藤委員、どうぞ。
【無藤副部会長】  二つほど感想ですけれども、一つは、この中教審の何年か前の部会でやはり小中一貫の議論のまとめもあったと思うんですけれど、そのときに委員として関わったので、そういう意味でいうと、この数年間の現場の実践の広がりというものをベースに、今回、より具体的なものになったということで、やはり時機が熟してきたのかなと思います。
 また、事務局として御努力いただいて、特に実証的な調査をかなり膨大なものを出していただいて、説得力が出たなというようなことを思っております。
 もう一つは、先ほど途中でも指摘ありましたけれど、免許のことですけれども、これは教員養成部会で議論中なわけで、それで結構だと思いますが、小中一貫学校のこの話をすると、多くの人が「じゃあ、小中一貫免許ですか」ってすぐ聞くんですけれども、それはもう少し先の話であるということでありまして、つまり、そこに期待もあるし、不安もあろうと思います。また同時に、例えば私立大学の一部では、教員養成といっても小学校免許だけを出していて、中高出してないところもあるんですけれど、そういうところにとっては小中免許の併有が原則のような印象だと非常に困っていくわけですね。そういう意味で、いろんな意味での不安もあります。期待もあります。そういう意味で、教員養成部会できちっと議論するって書いてあるんですけれど、十分その辺りも広報をお願いしたいということを思いました。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 では最後、安彦委員、どうぞ。
【安彦副部会長】  全体として、このまとめはよくできているなというふうに大変評価したいと思います。私は基本的にこの小中一貫については大体天笠さんと重なる意見なんですけれども、全体として私はこの動き自体が下からのものだと思っておりまして、そんな上からしろということをやったことはないんだと。少なくとも地方教育委員会レベルでいろんな試行錯誤をせよということから始まったと。それをむしろ国は認めてきたという形で進めてきているので、そういう意味で、トップダウンという言葉は少なくとも、現場の先生と教育委員会との関係ではあり得るかもしれませんけど、国との関係ではないと私は思っております。この点、言い方、こういう曖昧なトップダウンという言葉の使い方などで誤解されがちなので、非常に不愉快な面があります。そうだとすると、やはりこれからは地方教育委員会の力量が問われるというか、正にこれから教育委員会の問題で、そういう意味では地方の力を教育の面で強めていただければいい。そういう一つの流れの一部がこの小中一貫であったらいいなという気持ちがあります。
 もう1点は、きのうもちょっと長野の先生方と会っていたんですけど、先ほどお話があった学校現場の受け止めがまだまだ十分ではない。熱心にやっているところはそれなりの成果を上げているんですけど、なかなか周囲に理解されない。そういう意味で、成果を横に広げるというか、知らせていくという点では、こういう調査は調査としてあるんですけど、私がプレゼンをやったようなああいう実証データが少ないので、その点は求めれば出るはずなんですね。大体やり方次第で、さっきから皆さんおっしゃっているように本当にいい成果はよく出るので、そういう意味でもっともっと発信をしていく方向で推進していただきたいなと。
 ただ、学校の先生方の問題で一番やっぱり大きいのは、小学校の文化と中学校の文化の違いで、これをやはり校長先生辺りが上手に融合して、お互いに学び合うような謙虚な姿勢で二つの学校種の先生方が付き合えるような形に持っていけるといいんですけど、どうもまだまだお互いに排除するような傾向があるので、その辺の全体の先生方の意識の持ち方を変えていくいろんな手立てを考える必要があるなと。そういう意味で連携を強化すべきだという、連携レベルのことをもっと考えなきゃいけないというのはパブコメの御指摘のとおりだし、また、それを入れていただいたのはよかったと思います。
 それから最後、やはり全体として、小中高大と全体としてつなげたときに、天笠さんもおっしゃったように、これからこのある意味では部分的な改革をよい方向で全体に広げていけるといい、そういう意味で小中、幼も入れて幼小中高大の新しい学制、一貫した学制というものを展望することをかなり自覚的にやってほしいなと。次の時代にやっぱりそういう方向で入っていっていただきたいという気持ちが強くあります。そういう意味で、この答申の推進方を期待しております。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 きょう最後ということで、全員から御意見を頂きました。ありがとうございました。
 きょう御提案した資料1の1章の中身については、文案の加筆・修正については数名の方から具体的にもう少しこういうふうなことに注意して書いてほしいというような御意見がありましたので、そういう点については事務局と私の方で最後責任を持って文案を作らせていただいて、修正した答申(案)については、今後、初等中等教育分科会の方に再度御提出していただいて、御意見を伺った上で総会で答申(案)ということで提出するという、そういう手順になりますけれども、そういう手順で今後進めさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。
 また、具体の文案についての加筆・修正以外に、きょう非常に多くの、例えばフォローアップの仕方について工夫してほしいとか、あと、小中一貫教育の意義・成果等々についてもう少し発信等々も工夫して、市町村教育委員会にそうしたことが丁寧に伝わるような仕組みとか等々についても多くの御要望がありましたので、この点は事務局の方で引き取っていただいて、是非この答申の中身がスムーズに各市町村の方に伝わり、なおかつ、市町村がこれを踏まえて小中一貫教育の制度化に向けて果敢に挑戦するような環境作りを是非国としてもやっていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、きょう、先ほど言いましたように、文案を一応了解いただいたというふうなことで、この後、初中分科会、総会というふうな手順で審議をして、答申としてまとめていくことになります。そういうことで、恐らくそういうことはないと思いますけれども、差戻しということはあり得ないと思いますので、きょう最後の部会になりますので、事務局の方からお礼のことも含めて一言御挨拶したいということでございます。小松局長からよろしくお願いいたします。
【小松初等中等教育局長】  失礼いたします。
 まず、この特別部会でございますけれども、7月にそれまでのいろんな教育再生実行会議なども含めまして議論を踏まえて諮問が行われて、直ちに設置をされまして、約半年弱ですけれども、本当にしっかり御議論いただきまして、私ども事務局としては大変有り難く、感謝をいたしております。きょうが8回目ですけれども、このほかにも分科会、総会なんかにも議論を掛けておりますので、先ほど差戻しというお話がありましたけど、今までにもそちらの方にも一つ一つしてフィードバックさせていただいておりまして、それから、他部会との合同部会などもしていただいています。あと、事例や御意見等についてヒアリングさせていただき、実態調査も全国的に行われ、パブコメも相当出していただいたということで、結構、全国いろんな皆様に御協力いただいたなということも感じておりまして、併せてお礼申し上げたいと思います。
 それで、事柄は学制そのものに関わりますし、中でも義務教育に関わるので、教育的にも非常に大きな影響があることですから、様々な目配りをして御検討いただく必要があったわけですけれども、特にきょうお話がありました教育的視点といいますか、教育環境といいますか、それを第一義としてこの問題を考えていくという点については、審議の中でも大前提であったと思いますし、改めてそういう御趣旨で答申(案)を作っていただいたというふうに確認をさせていただきたいと思います。
 それから、そういうこととして、本日お出しいただいた御意見・御指摘は、更に今後、答申に至った後、取り組む上でいろいろ必要性の高い事柄だなと改めて思った次第でございます。教員養成や免許のこと、これは制度のことになりますけれども、コミュニティ・スクールとか地域との連携等の関係、それから、きょうはそういう言葉は出ませんでしたけれども、チーム学校というようなことも含めたスクールマネジメントとの関係、施設のようなハードの関係、こういった点で現場の取組と、それから行財政措置、これは地方自治体もありますし、私どももあるわけですけれども、一体として取り組んでいかないといけないなということを考えた次第でございます。
 で、小川先生からも出ましたが、フォローアップ、それからどういうふうにやっていくか、具体的なイメージをどう提供するかという話も大変重要だと思います。一方で、答申というものにしますと一律性が高過ぎるという部分もありますので、こういう形での御意見のまとめ方というふうに考えますけれども、正に今後の取組の中でそのフォローアップや事例の収集・整理・蓄積・提供をいろいろやっていかなきゃいけないと思います。その中から具体的に各地域で、じゃあ、うちは更にこういうことを考えてやっていこうかみたいなことができるような基盤を作ることも私どもに課せられた非常に大きな課題かなと、本日感じさせていただいたところでございます。
 一応、部会長預かりに本日なりましたけれども、小川部会長、それから副部会長を引き受けていただきました安彦先生、無藤先生を初め各委員の皆様方に、厚く御礼(おんれい)を申し上げさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 先ほど局長の方からもありましたように、本当に短期間の特別部会でしたけれども、私個人の立場からも、非常に楽しい部会でした。初中分科会長というふうな立場ですので、いろんなテーマを審議する部会とか作業部会のまとめ役をやっているんですけれども、例えば教育委員会の改革がテーマのような教育制度分科会のような、ああいう分科会長は本当にストレスのたまる仕事だったんですけれども、今回のこの小中一貫教育特別部会は、本当に一研究者の立場から見ても非常に学ぶべき内容の多い審議であったと思っています。お礼申し上げたいと思います。
 それでは、これできょうの議事全て終わりましたので、これで特別部会を閉会させていただきます。ありがとうございました。

                                                                  ―― 了 ――

 

お問合せ先

初等中等教育局 初等中等教育企画課

教育制度改革室 義務教育改革係
電話番号:03-5253-4111(内線2007)

(初等中等教育局 初等中等教育企画課 教育制度改革室)