小中一貫教育特別部会(第7回) 議事録

1.日時

平成26年10月31日(金曜日)15時~17時

2.場所

旧文部省庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 小中一貫教育の制度化及び総合的な推進方策について(審議のまとめ(案))
  2. 小中一貫教育の制度設計(案)

4.議事録

【小川部会長】  では、ただいまから小中一貫教育特別部会を開催させていただきます。本日もお忙しい中御出席いただきましてありがとうございました。
 きょうは、お手元にありますとおり、本部会における審議のまとめについて議論をしたいと思います。きょう、審議のまとめ案ということで資料1としてお配りしています審議まとめ案ですけれども、これはこれまで6回にわたる部会での議論、またヒアリングの内容、さらには事務局が実施していただいた実態調査の結果などを踏まえて、これまでのまとめを更に充実させたものとしてまとめております。
 なお、審議まとめ案につきましては、数日前に全委員に事前にメール等で配付させていただいて、一度あらかじめ読んでいただいた上で、皆さんから読んでいただいた後に御意見をメールでまた事務局の方で集約し、そうした皆さんから頂いた意見を踏まえて、更に記述の内容を充実して、きょう資料1という形で提案させていただいております。2時間、よろしくお願いいたします。
 それでは、まずきょうの配付資料について事務局から御説明をお願いいたしします。
【小林教育制度改革室長】  本日の配付資料は、議事次第にございますとおり、まず資料1として御審議いただきます「小中一貫教育の制度化及び総合的な推進方策について(審議のまとめ(案))」をお配りしております。また、資料の2は、そのまとめ案において提案しております制度の部分だけ少し分かりやすく図式化したものを御参考にお配りしております。そのほか、本日は参考資料といたしまして、10月16日に初中分科会、それから21日の総会でこちらの部会の審議状況を報告した際に頂いた御意見をまとめたもの、それから、小中一貫教育関連の基礎資料、それからコミュニティ・スクールの推進等に関する調査研究協力者会議と教員養成部会それぞれの報告、それからこの部会の名簿をお配りしております。
 また、いつものように、これまでの配付資料はファイルにとじさせていただいております。
 なお、今御紹介いたしました参考資料3と4の報告書でございますけれども、これは第5回と第6回の部会で審議状況の報告があった各会議において取りまとめられているものでございます。それから、参考資料の4は、29日の教員養成部会の会議資料、おととい、2日前の会議資料でございまして、現在部会長一任でこちらの文言の修正がされているところですので、現状版をお配りさせていただいております。
 資料につきましては、以上でございます。万が一、過不足等ございましたら事務局にお申し付けください。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 きょうは、また報道関係者より会議の冒頭の撮影及び会議内容の録音を行いたい旨申出がありましたので、これを許可しております。御了承いただきたいと思います。
 なお、申し訳ありませんけれども、撮影はここまでとさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、きょうの議事に入ります。
 それでは、これから審議のまとめ案について議論をしていきたいと思いますけれども、先ほど事務局から説明がありましたように、一度事前に審議まとめ案についてはメールで各委員の方に送信して、皆さんから御意見を頂いて、その御意見を踏まえて加筆修正したものがきょう資料1という形で出ております。そういうことで、皆さんから頂いた意見を踏まえて、どの章、どの箇所がどのように加筆修正されたかという御説明も含めて事務局から説明いただきながら審議まとめ案を議論していきたいと思います。かなり大分ですので、全て一括してということはなかなか難しいですので、おおよそ三つのパーツに分けてそれぞれ議論していただければと思っています。
 最初に、「はじめに」から1章、2章、そして次に3章、4章、最後に5章の総合的な施策という、この3のパーツに分けて、それぞれのパーツについてあらかじめ事務局から、さっき言ったどの点が加筆修正されたかという点も含めて少し内容を御説明いただいて、その上で各パーツ大体20分から25分ぐらいの時間配分で意見交換をし、最後にもう一度全体を通じて御意見を伺うという段取りで、きょうは進めさせていただければと思います。よろしくお願いします。
 それでは、はじめから第2章まで、事務局から説明をお願いいたします。
【小林教育制度改革室長】  それでは、資料2のまとめ案につきまして御説明申し上げたいと思います。
 事前にお送りした資料との比較では、特に第3章ですとかかなり大幅にいろいろ御意見を頂きましたものを踏まえて、事務局の方でもまた再度検討して書き換えさせていただいたところもかなりございますので、基本的には少しちょっと冗長になるかもしれませんけれども、丁寧に御説明させていただければと思っております。
 まず、「はじめに」のところ、2ページからでございますけれども、ここはこれまでの経緯を簡単に整理させていただいております。まず、この特別部会が設置され、そこで実態調査の結果の分析ですとか、あるいは関係者からのヒアリングを踏まえたり、教員養成部会、あるいは学校施設の在り方に関する協力者会議、コミュニティ・スクールの協力者会議、それぞれほかの審議とも緊密な連携を図ったりしながら集中的な御審議を頂いてきたということをまとめております。
 そして、1章でございますけれども、こちらは現在小中一貫教育が取り組まれている様々な背景について、それぞれの背景について順番に書かせていただいているところでございます。
 ここでは、現在全国各地で地域の実情に応じた小中一貫教育の取組が進められている背景ということで、3ページからまず義務教育の目的・目標ということでございます。3ページの頭のところですが、一つは教育基本法が改正されまして、義務教育の目的が定められ、続く学教法の改正においても小・中学校共通の目標として義務教育の目標規定が新設されたといったこと、また、二つ目の白丸ですが、平成20年に告示された学習指導要領においても、学校段階間の連携を促進するための工夫が講じられているということ、こうした中、三つ目の丸ですが、9年間の全体の義務教育の像を把握し、系統性・連続性に配慮した教育に取り組む機運が高まり、各地域の実情に応じた小中一貫教育の実践が増加してきているということでございます。
 また、2点目といたしまして、教育内容や学習活動の量的・質的充実への対応ということでございます。まず一つ目の丸ですが、平成20年の学習指導要領改訂においては、現代の社会情勢を踏まえ、知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視して、教科によっては授業時数を実質的に1割程度増加させ、教育内容を質・量とも充実させたということでございます。
 少し飛ばせていただきますが、4ページでこのような教育内容や学習活動の量的・質的充実に対応して、小学校高学年での専門的な指導の充実や、あるいは逆につまずきやすい学習内容についての長期的な視点に立ったきめ細やかな指導などの工夫に取り組んでいる例も見られると。こういった様々な取組を行いやすくするため、それぞれの学校の実情に応じた形で小中一貫教育の推進が図られているというような分析も一つ挙げさせていただいております。
 また、3点目として、発達の早期化をめぐる現象ということでございます。4ページの3のところの一つ目の丸ですが、ここでは小中一貫教育を導入する背景として、子供たちの生理的成熟の早期化の指摘ということを挙げさせていただいております。上から四つ目の丸でございますけれども、そういった成長の早期化の指摘とともに、様々な調査などにおきまして、学校の楽しさや教科や活動の時間の好き嫌い等について子供たちに聞いてみますと、その調査の中で小学校高学年から急に否定的な回答が多くなるといったような調査結果もあるという点、それから、それに続けて経験的な理解で対応できる学習内容から、理論的・抽象的な理解が必要な学習内容の橋渡しが必ずしも円滑に行われていないという指摘もあるということでございます。また、次の白丸ですが、小学校の4年生・5年生の頃に、児童生徒にとっての発達上の段差が存在し、いわゆる「中1ギャップ」と言われる現象の芽は既に小学校高学年から生じているとの分析もある。このため、こうした児童生徒の様々な成長の段差に適切に対応する等の観点から、現行の6-3制の下で4-3-2や5-4といった学年段階の区切りを設け、区切りごとに指導の重点を定めて一貫教育を実施する取組も増えているという分析でございます。
 また、4点目として、いわゆる「中1ギャップ」への対応ということを挙げさせていただいております。5ページの最初の丸のところですが、児童が小学校から中学校へ進学する際に不適応を起こすいわゆる「中1ギャップ」の指摘ということで、三つ目の丸に飛びますけれども、実際の小・中学校における教育活動というのが、中等教育段階を構成する学校種である中・高よりも、小・中の間に大きな差があるのではないかといったこと、そういったことがまた「中1ギャップ」の背景としてあるのではないかという指摘について挙げさせていただいております。
 四角の中に具体的な主な小・中学校の段階間の差異、違いについて例示を挙げさせていただいております。そういった5ページの一番下の丸ですが、このような児童生徒の状況に応じて、小学校から中学校への進学に際して、生徒が体験する段差に配慮しその間の接続をより円滑なものとするために、小・中学校間での柔軟な教育課程の編成や学習指導の工夫を行う観点から、小中一貫教育が取り組まれるようになっているという分析でございます。
 また、この章の最後といたしまして、小中一貫教育に現在取り組まれている背景として、地域コミュニティの核としての学校における社会性育成機能の強化の必要性を挙げさせていただいております。二つ目の丸ですが、地域コミュニティの衰退、あるいは世帯当たりの子供の数の減少といった、そういった様々な背景の中で、家庭や地域における子供の社会性育成機能が弱まっているという指摘がございます。また、少子化等に伴い、単独の小学校及び中学校では十分な集団規模を確保できない地域も多くなっている。こうした中、いわゆる縦の統合が行われているといった現状もあるという分析でございます。
 以上、5点に及びまして、現在小中一貫教育が様々な地域の実情で取り組まれている背景について挙げさせていただいております。
 第2章、7ページからでございます。ここは、今回の審議に先立ちまして文科省が実施いたしました小中一貫教育等の実態調査、そちらの結果を踏まえて、現在取り組まれている内容がどのようなものだったのか記述させていただいている章でございます。また、併せまして二つ目の丸ですが、この部会におきましても、多くの教育委員会や学校からヒアリングをさせていただきまして、そういった既に行われている先駆的な取組なども踏まえて、どのような実態になっているか整理したものでございます。
 まず、1点目といたしまして、実態調査の結果につきましては既に御紹介させていただいておりますので、ごく簡単に見出しだけ追っていくような形にしたいと思います。まず、全体的な状況を7ページの下のところで件数等について記述させていただいております。また、8ページの頭のところのパラグラフですが、ここでは様々な自治体の取組というのが様々なそれぞれの狙いを持って行われているということでございます。
 また二つ目に、現在行われている取組の中で、教育課程について幾つかの小項目を立てさせていただいておりますが、教育課程の取組について分析を紹介させていただいております。まず、9年間の連続性の確保をどのような形で行っているか、その取組内容が非常に多様であるということの御紹介でございます。また、9ページでは、同じ教育課程について、学年段階の区切りの設定をそれぞれどのように行っているか、調査結果の紹介でございます。
 また、11ページは、教育課程の特例の活用状況でございます。現在特例を活用しているところは、小中一貫に取り組んでいるところの中で約2割ということでございまして、その特例を使っているところのうち7割が独自教科を設定したり、あるいは何らかの形で指導内容の前倒しの取組を行ったりしていると、そういった実態を紹介させていただいております。
 また、11ページの3番ですが、ここは現在取り組まれている様々な指導方法や体制の改善、そういった工夫についての記述でございます。いわゆる「乗り入れ授業」の実施の実態、これは例えば中学校教員が小学校で指導するケースが4割弱である一方、小・中学校教員の相互乗り入れが2割程度だということ、あるいは小学校での教科担任制の導入が様々な教科で行われているということで、約5割で取り組まれているといったような実態を紹介させていただいております。
 また、12ページですが、施設の形態と学校のマネジメント体制についてでございます。これも、実態調査の結果で既にごらんを頂いていますように、学校の施設の形態ですとか、あるいはマネジメント体制も極めて多様だということでございます。いわゆる施設一体型で、一人の校長が小・中学校を併任し、一体的なマネジメントを行っている学校というのが約1割ある一方で、かなりほとんどのケースは施設も分離あるいは隣接ということで、それぞれの学校の校長が存在しながらそれぞれ連携してマネジメントしているという形態が最も多いという実態でございます。
 15ページから、そういった今回の調査全体での小中一貫教育の取組の成果がどんな成果が上がっているかという状況についてでございます。大きな成果が認められているという結果でございましたが、併せて16ページから小中一貫教育に取り組んだときにどんな課題があるかということでございます。それらを踏まえまして、18ページでございますけれども、現在行われている小中一貫教育の取組の中では、複数の課題も認識されているということで、小中一貫教育の制度化を検討するに当たっては、こういった課題への対応も実態に即して考えていく必要があるということを記述させていただいております。この点については、3章でまた記述させていただいております。
 最後、19ページでございますけれども、こういった成果と課題と様々な小中一貫教育のいわゆる特徴的な取組と言われるものを、七つの観点の実態調査で既に御紹介させていただきましたとおりクロス分析をしたところ、かなり多くの取組について、小中一貫教育の取組と成果というものの関係については有意な差異が見られまして、おおむね19ページで1から7のところまで挙げさせていただいているような傾向が明らかになっているということでございます。
 20ページのところですが、これが現状での様々なこういった実態調査の総括といたしましては、小中一貫教育に取り組んでいる学校や教育委員会は、多くの取組から顕著な成果が報告されていると。「中1ギャップ」の緩和に関連する成果や、学年や学校の枠を超えた継続的な指導が必要な項目、教職員の意識改革に関わる項目における成果は目を見張るようなものがあると。ただ、一方で、教職員の負担感や研修・打合せの時間の確保など、小中一貫教育を推進する上で解消を図っていくべき課題も認識されているというまとめでございます。
 また、二つ目の丸ですが、こうした実態を踏まえれば、国レベルの教育行政に求められているのは、各地域の取組の多様性を尊重しつつ、すぐれた取組が全国に円滑に展開されるような制度的・政策的な支援を通じて小中一貫教育の導入を希望する市町村が取組を行いやすくするための環境整備を図り、全体としての質の向上につなげていくことであると考えられるということでまとめさせていただいております。
 済みません、長くなりましたが、以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、今事務局から説明がありました「はじめに」、「1章 一貫教育が取り組まれている背景」、「2章 小中一貫教育の現状と課題」について、皆さんから御意見を頂きたいと思います。
 御発言に際しては、可能であれば文案のどの辺で具体的にこのように書き直してほしいというようなことも含めて、より具体的に御発言、御指摘を頂ければ幸いです。よろしくお願いします。何かございますか。
 福井委員、どうぞ。
【福井委員】  恐れ入ります。
 17ページでございますが、人事・予算面に関わるあたりのところでございます。こちらで最初の項目でございますが、教員の所有免許の関係で兼務発令を拡大できないこと、これがございますが、それに加えて、この項目の3番目には小学校費・中学校費の予算の点での一体的な運用が課題として挙げられておりますが、私はそれに加えて人事面でも現状で申し上げますと小・中学校の教員の人事配置がそれぞれ別個になされておりますので、小・中学校の教員の人事配置の一体的な運用をすることによって、いわゆる小・中学校の乗り入れ授業が活発化するのですが、現状では一体化されていないので、乗り入れ授業にも限度があると。そんなところの人事面の項目も加えていただくといいなと思います。以上でございます。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかに、いかがでしょうか。よろしいですかね。
 じゃあ、また後で戻りますので、2章までは一応ここで1回打ち切らせていただいて、次に3章・4章、お願いいたします。
 事務局、説明をお願いいたします。
【小林教育制度改革室長】  それでは、21ページからの3章でございます。こちらは、小中一貫教育の制度化の意義ということで、当初制度化の必要性といったような形で先生方にお送りしたときに書かせていただきましたけれども、意義ということに変えさせていただいております。また、4章の方では、それを踏まえてどういう制度設計が考えられるかということで基本的方向性ということで整理させていただいております。
 まず、21ページの3章ですが、小中一貫教育の効果的な実施ということについて、一つ目の丸でございます。小中一貫教育の制度化の意義は、市町村が地域や児童生徒の実態を踏まえて小中一貫教育に取り組もうとする場合に、一つは教育の実施主体である学校の教職員組織が9年間を通して一体性を保ち教育活動を行うこと、二つ目は、教育を受ける主体である児童生徒の集団が9年間を通して原則として同一又はそれに近い状態であること、三つ目に、教育活動を9年間の系統性・連続性を意識して実施すること、四つ目に学校の管理・運営が9年間の連続性・一貫性を踏まえた統一的なものとすることといった一貫性の、いわゆる特性の確保について、総合的かつ効果的な取組を実施できるようにするための仕組みを整備することにあるということでございます。
 また、2点目ですが、翻って現行の制度下における様々な運用上の取組について見ますと、小学校と中学校が法制上別々の学校として設置されていることを前提としたものであることから、こうした一貫教育を効果的・継続的に確保していく上で一定の限界が存在するものと考えられるということでございます。
 また、その後に、一貫性ということにつきまして、それぞれの上に上げました観点から一貫性の確保について整理させていただいています。まず、教育主体の一貫性の確保ですけれども、こちらについては、教職員についてそれぞれの学校に個別に配置されることが基本であるため、それらを総合的にマネジメントし、実際に一体的な教育活動を実現するためには相互の調整ポストが現在の制度の下では必要となる。2点目の丸ですが、小中一貫教育を制度化し、当該学校で求められる教職員組織を法令上明確化することなどにより、二つの学校段階にまたがる教職員組織を一体的にマネジメントしやすくなる効果が得られることや、都道府県による適切な人事配置を促進しやすくなることが期待されるということでございます。
 また、教育活動の一貫性の確保についてですが、これは教育課程の編成や年間指導計画の作成、各種の計画や方針の策定など、小・中学校ごとに取り組むことが想定されている重要な事務が多数存在すると。22ページでございますけれども、小中一貫教育の制度化によりまして、こういったことについても一体となって取り組む体制を整備するということによって、こうした課題それぞれについて調整するということ、その教職員の多忙化を生む原因の一つになっている、そういったものの解消に資することができるということでございます。
 また、学校マネジメントの一貫性の確保についてですが、これは校長その他の管理職も小学校と中学校とそれぞれに配置されていることが前提であるということでございますので、意思決定などが必要な場合に校長間の意思疎通が常に必要となるなど、9学年一貫したマネジメントを実現する上で課題が生じる場合があるというのが現行の課題でございます。そういったことについて、一貫教育の制度化に伴い、一貫教育に適合した学校マネジメント体制が構築されるということが期待されるということでございます。
 また、今御紹介いたしましたのは、小中一貫教育の効果的な実施についてでございますが、22ページの2ぽつのところは、設置者の判断による柔軟な取組の促進(選択肢の提供)ということを挙げさせていただいております。下から二つ目の丸ですが、いわゆる「中1ギャップ」の緩和や小学校高学年における子供の発達に即した指導の充実など、効果的な取組を促進するためには、地域の実情に応じて設置者の判断により学年段階の区切りを弾力的・柔軟に取り扱うことを可能とする必要がある。そういった取組を可能とする制度としましては、二つ目の丸ですが、現行制度では研究開発学校制度や教育課程特例校制度がありますが、23ページの丸ですが、これらの制度を活用して現行の6-3制の下での様々な学年段階の区切りに関する設置者の工夫が様々に現在行われて一定の成果を上げてきたという状況に現在ございます。
 二つ目の丸ですが、したがって、こうした特例に伴う小中一貫教育の実施につきましては、むしろ各地域における小中一貫教育へのニーズが全体として相当数上っているということを踏まえれば、迅速かつ柔軟な取組を促進するため、設置者の判断により一定の範囲で特例的な教育課程を実施できる制度を整えるべき段階に達しているのではないかと。設置者にとっては、そのことによって地域の実態に応じて適当と判断した場合に取り得る選択肢が増えることになるのではないかといった点でございます。
 また、23ページ、3ぽつですが、制度化をすることの意義として、国や都道府県の支援の充実の必要性ということでございます。3ぽつの二つ目の白丸ですが、現在取組が行われている小中一貫教育では、一定の教育上の効果が明らかになっていると。こうした中、国や都道府県に対しては、小中一貫教育導入の必要性がある自治体が取組を行いやすくするための予算措置や人的措置、すぐれた取組事例の積極的な普及や指導助言等が求められており、そのためには小中一貫教育の制度的基盤を整備することが重要となるということでございます。
 また、4点目は、小中一貫教育に指摘される課題への対応でございます。こちら、ちょっと今までの1ぽつから3ぽつと若干観点が異なりますけれども、制度化する意義について、いわば課題、今判明してきている様々な取組における課題に適切にむしろ対応できるのではないかといった点でございます。24ページでございますが、小中一貫教育の取組の中で、懸念として指摘されております、見出しのところですが、人間関係の固定化、あるいは転出入する児童生徒への対応、小学校高学年におけるリーダー性の育成について、それから中学校の生徒指導上の小学生への影響、こういったことについて、24ページ一番下の丸ですが、小中一貫教育において教育指導上懸念される課題については、これまでの各地域における先行的な取組を通じて配慮すべき事項が明らかになってきている、今回の制度化に伴って、設置者が地域の実態を踏まえて小中一貫教育を導入する場合に、それらの課題に対する手立てや速やかな解消に資する手立てが確実に講じられるようにする必要があるということでございます。
 以上、3章の制度化の意義でございます。
 続けて、第4章の小中一貫教育の制度設計の基本的な方向性でございます。
 まず、小中一貫教育の制度化に当たっては、全国各地のすぐれた取り組み事例の成果や課題を十分に踏まえる必要があるということと、地域の実情に応じた17取組を可能とする必要があるということが1点目の白丸でございます。また、制度化の目的が1ぽつのところです。こちらでは、それまで1章、2章、3章でそれぞれ挙げさせていただいたことを踏まえると、小中一貫教育の制度化の目的は、小・中学校段階の教職員が9年間を通じて実現したい教育目標を共有し、一体的な組織体制の下、9年間一貫した系統的な教育課程を編成、実施することができる学校種を新たに設けるなどして、設置者が地域の実情により小中一貫教育を導入すると判断した場合に、円滑かつ効果的に実現できるような環境を整えることであると言えるということでまとめさせていただいております。
 また、2ぽつの、小中一貫教育を行う新たな学校種の創設等のところでございます。26ページの下から二つ目の白丸ですが、現行制度化での小中一貫教育の取組形態は、教育課程の在り方、学年間の区切りの設け方、マネジメント体制、施設の形態など様々であるということ、そういったことを踏まえて、本部会としては大きく二つのパターンを包含した制度設計を行うべきとの結論に至ったということで、その二つのパターンについてが27ページのところでございます。
 このことにつきましては、きょうお配りしております資料の2のところに図解させていただいておりますけれども、27ページの最初の黒ぽつのところでございます。まずは、小中一貫教育の基本形として、一人の校長の下で一つの教職員集団が一貫した教育課程を編成・実施する単一の学校である「小中一貫教育学校(仮称)」を現行制度の小学校、中学校とは別の学校種として学校教育法に位置付け、一定の範囲で個別の大臣指定によらず設置者の判断により教育課程の特例を活用することを認めるべきである。その上で、多様な取組の実態を踏まえ、組織上独立した小学校及び中学校が「小中一貫教育学校(仮称)」に準じた形で一貫した教育を施す形態(以下、「小中一貫型小学校・中学校(仮称)」という)についても制度上明確に位置付け、同様の教育課程の特例の活用を認めることが必要であるということでございます。
 また、これら二つのパターンを制度化するに当たっては、柔軟な取組を可能とするなどの観点から、施設の一体・分離といった施設形態にかかわらず設置を可能とすることが適当であるということでございます。
 また、三つ目の丸ですが、他方、小中一貫型小学校・中学校については、一般的な小中連携と明確に区別するとともに、複数の小学校が中学校に接続する形態も想定し、一貫教育の実質を適切に担保する観点から小中一貫したカリキュラムとその実施に必要な組織・運営体制等に関して一定の要件を課すことが適当である。具体的には、小中一貫教育の中核的な要素と言える9年間の教育目標の明確化や、当該教育目標に即した教科等ごとの9年間一貫した系統的な教育課程の編成・実施などを要件として求めることが適当であるということでございます。
 また、これらを実現するための学校間の意思決定の調整システムの整備について、例えば小中一貫に取り組む学校を一体的にマネジメントする組織を設け、学校間の総合調整を担う校長を定め、必要な権限を教育委員会から委任しておくことや、学校運営協議会を関係校合同で設置し、一体的な教育課程の編成に関する基本的な方針を承認する手続を明確にしておくこと、あるいは、一体的なマネジメントを可能とする観点から小学校と中学校の校長を併任させることなどの中から、実情に応じた方策を講じることを求めることが考えられるということでございます。
 また、3点目から、この制度の様々な観点について整理させていただいております。まず、就学指定、設置義務との関係でございます。28ページでございますが、この点については、会議でも御指摘ありましたように、二つ目の白丸ですが、市町村が小中一貫教育学校を設置する場合には、就学指定の対象となるよう制度設計し、それに伴い市町村に課されている小・中学校の設置義務の履行の対象として、小中一貫教育学校を加えることが適当であるということを書かせていただいています。
 また、28ページ最後の白丸ですが、なお書きとして、様々な要因から1章で述べた背景が、例えば「中1ギャップ」等様々な背景が大きなものとして認識されていない地域、あるいは小学校から中学校へ進学する段階で多数の児童が私立中学校に進学するような地域、あるいは中等教育学校や併設型中高一貫が設置されている地域など様々あることを踏まえれば、引き続き一般の小・中学校のみを設置することが適切な場合があるものと考えられると。このため、全ての市町村に対して小中一貫教育学校の設置を義務付けたり、既存の小・中学校を廃止し、小中一貫教育学校に一本化したりすることは適当ではないということでございます。
 また、29ページは、教育課程の区分についてでございます。教育課程の区分につきましては、9年間の教育課程において柔軟な学年段階の区切りを設定しやすくすることが求められていると。一方、小中一貫教育学校の小学校段階を終えた後、転校などが円滑に行えるような配慮も必要であるということ、三つ目の丸ですが、このため、小中一貫教育学校の小学校段階の卒業者に、ほかの中学校への入学資格を付与する必要があるということなどから、小中一貫教育学校の修業年限である9年間を小学校と中学校の二つの段階に区分し、9年間の全課程の修了を持って小中一貫教育学校の卒業とし、第6学年終了の翌年度から中学校や中等教育学校の前期課程への入学などを認めることが適当であるということでございます。
 また、5点目が学習指導要領との関係を整理したところでございます。ここは、本部会においては、一つは小中一貫した教育により、その接続関係を円滑することに小中一貫の主眼があるため、現行の小・中学校学習指導要領に基づくべきという御意見と、2点目ですが、義務教育の目的・目標が新たに規定されたこと踏まえ、制度化に当たっては小中一貫した学習指導要領を策定すべきという意見が両方ございました。上記意見を踏まえた上で、本部会としては以下の諸点を総合的に勘案したということで、一つ目でございますが、29ページ下のところですが、小中一貫教育学校における教育は、義務教育の目標を踏まえ一貫した教育を施すものであるが、全体としては学教法に定める小学校及び中学校のそれぞれの目的や、教育の目標を達成するよう行われるものであること、それから2点目は、就学指定の対象校として制度設計されるものであるということ、同じ市町村内で小・中学校との併存が想定されるということ、三つ目に、一律に現在の6-3制を9年制に変更するということではなくて、むしろ多様な教育課程の特例措置の活用を前提として、学年段階の区切りに係る柔軟な取組を推進するものであるということ、それから、学習指導要領全体の在り方については、次期学習指導要領の改訂に向けた審議が行われる見通しであるといったこと、そういったことを総合的に踏まえまして、この学習指導要領の在り方に関する意見については、済みません、29ページにまた戻らせていただきまして、この点については、今回新たな小中一貫教育学校に対応した独自の学習指導要領は作成せず、既存の小・中学校の学習指導要領に基づくことを基本とした上で、教育課程の一貫性を強化したり、現行の6-3制の下で様々な区切りを設定しやすくするための特例措置の活用を可能としたりすることが適当であると考えるということで、29ページ下の一つ目の丸ですが、そのように取りまとめさせていただいております。ただし、30ページにございますように、特別部会における御意見につきましては、今後の学習指導要領の全面的な改訂に係る審議の際の参考とすることが望まれるということでございます。
 31ページ、教育課程の特例でございます。ここにつきましては、小中一貫教育学校、それから一貫型の小・中学校に共通するものとして、四角の中にあるような特例の創設を検討することが適当であるということでございます。四角の中の小中一貫教科の設定、それから指導内容の入替えや移行を可能とするということでございます。
 また、7ぽつが教員免許の取扱いでございます。32ページに行きまして、小中一貫教育学校の教員につきましては、まず小学校及び中学校の教員免許状の併有を原則とすることが適当であるということでございます。ただし、二つ目の丸ですが、小学校及び中学校教員免許状の併有率が地域によりばらつきが見られることなどを踏まえますと、当分の間、どちらか一方の免許を有することをもって相当する課程の指導を可能とする経過措置を設けることが必要である。この際、小学校及び中学校教員免許状のどちらか一方を有する場合の指導の範囲については、教科担任のみならず学級担任としての指導を可能とすることが不可欠であるということでございます。また、三つ目の丸ですが、現職の教員が隣接免許状を取得する場合、今後従来よりも容易に他の学校種の教員免許状を取得できるようにする措置などを講じることを検討する必要があるということでございます。また、33ページに行きまして、小中一貫教育の利点の一つは、小学校における専科指導を充実することができるということであるので、このため、専科指導が一層促進されるような措置を講ずるとともに、他校種における指導範囲の拡大について検討を進める必要があるということでございます。なお、小・中学校及び小中一貫教育学校の全ての学校において指導が可能な新たな教員免許状を創設することについては、今後の小中一貫教育の定着状況など、全体の状況を踏まえながら、今後教員養成部会において引き続き検討を行うことが適当であるということでございます。
 また、33ページの8ぽつは、教育の機会均等との関係でございます。今回、既存の小・中学校と併存する形で制度化をする場合に、異なる学校種が併存するということで、義務教育の機会均等の観点から課題があるのではないかという懸念でございます。これについて整理させていただいているところが8のところですが、今回の小中一貫教育の制度化は、就学指定の対象である通常の小・中学校の連続接続を強化する延長でなされるものであるということでありますので、三つ目の丸ですが、義務教育の機会均等が果たせなくなる事態は想定されないのではないかということで整理させていただいております。
 また、34ページの9ぽつでございます。これは、既存の小・中学校との関係の整理の部分でございます。これは、実際に市町村が小中一貫教育を導入する際の形態としては、様々な論点が考えられるのではないかということで、それを挙げさせていただいておりますが、二つ目の白丸のところですが、小中一貫教育を導入する場合に具体的にどのような経過をとるかは設置者である市町村が児童生徒の実態や地域・保護者のニーズを踏まえ、管下の学校全体の教育水準の維持向上及び対外的な説明責任にも留意しながら、適切に判断すべき事項であるということでございます。
 4章までは以上でございます。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、今の制度化の意義及び基本的な方向について、自由に御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 安彦委員。
【安彦副部会長】  全体としては、非常によくまとめられていると思います。2点ほど申し上げたいのですけれども、一つは、どこにするかはちょっと考えたんですが、4章の2の小中一貫教育を行う新たな学校種の創設等の最後の丸、ですから27ページの下から二つ目の丸になりますが、「また、これらを」云々(うんぬん)という。このマネジメント体制のところなんですけれども、この場でも学園という園を、複数の学校を一つの一体型のものとして責任者に園長を置くとかそういう議論がありましたけれども、そういう議論に対して、それぞれ今までの学校はいろいろな取組の仕方をしてきていて、必ずしも一つのやり方ではなかったですよね。このことをどう見るかなんですけれども、やはり一部の先生方の声としては、そういう、特に既存の教職員のポストや処遇その他ですね、校長さんも含めて。前々回もそういう議論がありましたけれども、そういう処遇も含めて、そういうことにある意味で不利益を受けるような教員が出てくる可能性がある。それに対する配慮を少し議論したと思うんですね。そういうことで、かえって一貫教育を進める動きを妨げるというか、抑えるようなことのないように、ある種の配慮をしなければいけないんじゃないかなということですね。
 ですから、この最後の丸のあたりにというか、その際というか、考えられる実情に応じた方策、こういうことを求めることが考えられる。その際、従来のマネジメント体制における教職員のポストや処遇に配慮するとともに、それによる一貫教育の推進に遅滞を起こさないように措置する必要があるとか、そういうことを入れて推進する上でブレーキにならないような、要するにブレーキになるような事情が背景にあるようですから、そこのところに注意を促しておくということを入れたらいかがかということが1点です。
 それから、次の28ページとそれから今34ページの既存の小・中学校等の関係の一番上の丸のところの、学校選択制のところの絡みでちょっと確認しますけれども、28ページの上から二つ目の丸のところは、とりあえず設置義務としてとにかく置きなさいという、これは置いてくださいということだけを書いてあるんですね、この二つ目の丸は。で、この置いた学校について、それを保護者に対してどういうふうな学校として運営するかは、運営するっていうか、位置付けるかはというか、学校選択の場合もあったり、そうでない場合もあったりという、そういう意味で34ページの方にこれが入っていると、そう捉えてもよろしいかということです。
 私は、できたら両方というか、学校選択も可能な形。というのは、繰り返し申し上げているように、やはり大体うまく成功しているところというのは、地域、保護者、地域住民の賛同が多いところで、そういう意味で、そういうところから厚い支援があるところがうまくいきますので、そういう意味ではやっぱりただ上から行政的にここはこういうふうにとやるよりかは、それなりに住民に意向を聞く場があっていいんじゃないかと思います。それはどうするかは、一応教育委員会にお任せするというのは、それはそれでいいと思っておりますが。そういう趣旨であれば、この表現でいいと思っております。いかがでしょうか。
【小林教育制度改革室長】  おっしゃるとおりでございます。
【安彦副部会長】  じゃあ、結構です。
【小川部会長】  ほかにいかがですか。
 天笠委員、貞広委員という順で。
【天笠委員】  失礼いたします。まず、26ページのところなんですけれども、制度化の目的というところに、改めてこのところでもう一度確認の意味を込めて一文入れたらどうかなと思いました。それはどういうことかというと、既に1章の中に扱われているのですが、いわゆる義務教育ということに関わるのですけれども、この小中一貫教育というのは義務教育の責任の果たし方についての一つのありようというのでしょうか、それをということだと思うし、それを全体を通して言っているわけですけれども、改めて今回の制度化の目的のところについては、このあたりのところでもう一度確認の意味も込めて、私は入れておいたらというか、そこに明記しておくことの必要性というのはあるのかなと思っております。一々くどいので、こういう形で私はよろしいんじゃないかと思いますが、9年間という言葉が度々出てくるわけですけれども、この9年間というのは義務教育の果たす、あるいは義務教育としての9年間という意味ですけれども、一文一文それを全部書いているととても読みにくくてくどくなりますので、全体を通しては9年間というふうな、こういう記述の仕方でいいんだと思うんですけれども、これは義務教育として責任を果たす、更に言うならば、現状の改善と更なる義務教育の質的向上ということが、この基本的な制度化の目指すところであるんだというふうなところの確認が一つだということで、ここのところ御検討いただければと思います。
 それから、次は29ページのところですけれども、学習指導要領に関わってということなんですけれども、私は現行の学習指導要領が攻撃され、その経過の中で真っ先に座っていたものとして思うことと、それから少しそのもう一つ前を振り返ってみると、それぞれ小・中・高である意味でいくと別々に検討されるようなところの方が具体的には多くの時間を割いたし、また人の割き方も分担の仕方もそういうふうな形。もちろん、全体の総会というんでしょうか、部会では全体の総論としての検討というのがあるわけですけれども、実質的にはかなり小・中・高でそれぞれが検討されてきたと、そういう経緯がこれまであったことは確かなんだと思います。そうしたときに、現行の学習指導要領は、それをある意味で言うと合冊しているというのでしょうか、ということなんですけれども、プロセス自体が小・中・高別々にやってきて合冊して、合冊自体もそういう意味では大変大きな意味を持っていると捉えることもできるかと思うんですけれども、次の学習指導要領の検討のときには、今度はそのプロセス自体、仕組み自体というのでしょうか、そういうことが恐らく一つのテーマになってくる可能性があるんじゃないかと個人的には見ているわけなんですけれども。要するに小・中・高が別々にやっていて、最後に姿だけを形にするということじゃなくて、検討する自体、組み立てる自体からそのあたりのところについてのシステム上の工夫ですとか、あるいは小・中・高の交流というのでしょうか、情報交換等々を含めての、そういう組み立て方が恐らくテーマになってくる可能性があるんじゃないかと思います。
 ですから、そういう点からすると、この29ページから30ページにかけては、ある意味で言うと大変より検討を多くする、まだ議論を深めていかなくちゃいけない部分が多分にある箇所ではないかというふうに思いますので、そのあたりのところの間合いをこの文章の中で表現できないのかどうなのかということなんですが。例えば、独自の学習指導要領は作成せずという言い方で言い切っちゃっているのですけれども、確かに現行の、それからそれならば現状の学習指導要領を尊重した上、前提にした上でということだと思うんですが、後に書いてありますように、今後こういう検討の部会が設けられる等々の見込みも丸4のところにあって、そういうふうな状況の判断からすると、もう少しこの辺のところ文章の書き方というのでしょうか、があるように思いまして、そういう点では30ページにあるように、この部会ではこの四角で囲ったような、こういう委員の意見があったというあたりのところをより丁寧に掘り起こして記述して、ここのところに置いていただくというふうなことを御検討いただければと思います。以上です。
【小川部会長】  今の御意見の最後の点、確認ですけれども、今言ったような、つまり小・中の学習指導要領の一体性を更に高める方向性の中身を、更にそういう指導要領を作るプロセス自体もそういうふうな指向性を持ってやってくれという今の御意見でしたが、そういうふうな趣旨をこの30ページの括弧の主な意見の中に丁寧に書き込めば、今言ったようなことで処理はよろしいということですか。
【天笠委員】  という、少なくともここのところにそういう形の扱いというのが一つかと思います。
【小川部会長】  分かりました。
 じゃあ、貞広委員。
【貞広委員】  ありがとうございます。全体的に非常にバランスよく記述していただいていると思いますが、2点、御検討いただければと思います。
 1点目は、教員の免許に関してです。32ページの三つ目の丸の中頃後半部分ぐらいから、例えば教職経験等を勘案して単位数をその隣接免許を取得する場合に軽減するなどというくだりがございます。個人的な意見にもなりますけれども、各学校種について先生の資質・能力がすぐれているということと、9年の系統性とか連続性に配慮した資質・能力というものは、その経験も含めて必ずしも同じではないと考えます。ですから、安易にこのように簡単に免許を併有できるようにするということは、若干疑問がございます。前回の部会でも、9年間を見越した新しい免許を今後は考えるべきという御意見が幾つも出てきたということもあります。折衷案として、例えば今は併有を原則としながらも、どちらかの免許を持っていれば小中一貫教育学校や小中一貫型小学校・中学校で先生をすることができるので、教職経験等の前に、例えば小中一貫教育学校や小中一貫型小学校・中学校での教職経験等を勘案してと書き込んでいただいて、限定をしていただくという方向の方がよろしいのではないかと思います。
 それと、もう一点は、通常の小・中学校での9年の系統性・連続性を配慮した教育についてです。今回のまとめは、小中一貫教育の制度化及び総合的な推進方策についてという審議のまとめですが、9年を一つのまとまりとした系統性・連続性に配慮したこういう教育が非常にすぐれているのであれば、普通の小学校や中学校でも是非積極的にこうした視点を取り入れてほしいと思います。どうその一つの方法が、先ほど天笠委員がおっしゃった、例えば学習指導要領の検討において、そういう系統性や連続性に配慮した検討をするということもあるのだと思いますので、例えば2章の終わりのあたりに、小中一貫教育というのは優れた考え方であるので通常の学校においてもこうした系統性・連続性に配慮した考え方や教育課程が定着していくという方策も今後検討していくべきであるというようなことも入れていただければと思います。以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 1点目の件は、少しやはり検討された方がいいかなと、確かに。教職経験というあれじゃなくて、やっぱり小・中に関係した教職経験を少しアクセントを付けて書き込むということも確かにあっていいかなと。分かりました。少し検討してみます。
 ほかに、いかがでしょうか。
 じゃあ、西川委員、どうぞ。
【西川委員】  初めに、学習指導要領の方に関しまして、29ページ・30ページの記述に関する天笠先生のコメントに私は大賛成でございます。そういう方向で考えていただいたら有り難いと思っています。
 それから、2点ございます。30ページの四角の中に、いわゆる小中一貫型小・中学校。大多数はこれに入ると思いますが、そのような取組における小・中一貫教科等の規定でございます。これを私たちは理解が本当にできているのだろうかと思っています。例えば、1中・2小の学校、あるいはある自治体で全部の学校でふるさと科をやる、ふるさと科は設置しているけれども、小・中の連携・一貫性はほとんど理解されていないというような取組があった場合、我々はどのように考えるのか。施設一体型ではない、いわゆる分離型一貫型の場合の取組を推進できるような観点からそれを考えたときに、どのような結論、あるいは私たちは説明ができるのかということを1点思っております。
 2点目は、コミュニティ・スクール等の推進に関する委員会の方で、例えば学校運営協議会を中学校区に設置して、1中・2小ならチームとして運営できる構想などが語られております。そちらの方の検討の委員会では、小中一貫教育についても言及されておりますが、このきょう頂いた審議のまとめの案の中では、地域とともにある学校づくりの観点で小中一貫教育が大事なんだと、小中一貫教育、小学校と中学校が一体的なネットワークをつくることによって、より地域住民から義務教育の信頼性を得られるんだというふうな書き方がちょっと薄いような気がいたします。逆に言うと、そちらのことはもうコミュニティ・スクールの方の議論にお任せでいいのかということでございます。僕は、よく言われる小中一貫教育は手段であると。目的は何かというと、教育の質を上げることですけれども、地域とともにある学校づくりとの接点をこちらの方でもきちっと打ち返して示しておかなければ、何かそれはもうコミュニティ・スクールの方にお任せするというようなことでは困るなと思っています。
 以上、2点でございます。
【小川部会長】  もう少し記述を具体的に厚くしてくれというふうな趣旨と捉えていいのでしょうか。
【西川委員】  これ、やってほしいということでいいですね。逆に言うと、一つの中学校と二つの小学校のような場合、一番多い場合ですが、ネットワークを作ることが地域とともにある学校づくりにおいても非常に重要だというふうな観点を書くべきではないかと言わせていただきます。
【小川部会長】  分かりました。
 どうぞ、安彦委員。
【安彦副部会長】  今、西川さんと二人の方が言われたわけですけれども、その点どうもこの特別部会はどうしても小中一貫の方の、いわば推進を前提にする意見ばかりが出るというか。実は、本当は普通にやっていた小学校や中学校の先生方の声って聞いてないわけですよね、逆に言うと。やっぱり学校によっては、本当に今小・中で別々にやっているところがそれなりに成果を上げていて、特に一貫にする必要は必ずしも感じていないということは、多分いろいろなデータその他をもちろん出してきて示さなきゃいけないでしょうけれども、そういう学校もいっぱいあると思うんですよ。ですから、余り、何ていうか、今我々のところのそういうことばかり一面的に言うと、何だ、俺たちのこと、分かってないじゃないかというふうに言われてしまう可能性があると私は思いますので、全体に私は時々こうやって慎重論を言いますけれども、やっぱりもっと広い目で見たときには、やっぱりそういうことも視野に入れておかないといけない。そうすると、あんまり一面的にこれでなきゃならないみたいな書き方になっていくのは余りどうも私としては気が進まない気がします。
 個人的には、西川さんと同じなんですけれども、客観的に見ているときに、これがこういう部会のまとめとして出すときに、もう少しそういう冷静な目がありますよということは示しておいていただきたいと思います。
【小川部会長】  ほかにいかがでしょうか。
【無藤副部会長】  31ページ、西川委員の御指摘がありましたけれども、ちょっと重なることなんですが、私の意見は表現上ぐらいのことなんですけれども、小中一貫教科等を設定するということは結構だと思います。その際に、33ページ以降により強く明記してありますが、全体として小学校及び中学校の目標を達成し、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領における内容項目を網羅して教育するんだよというのがあるわけですけれども、ですから、そういう大きな枠の下で小中一貫教科等を設定して、例えば他の各教科等の授業実践の代替ができるわけですね。ということを、同じ文をここの31ページに置かなくてもいいんですけれども、はっきり分かるようにしておかないと、31ページだけを見ると、研究開発学校でやるようなかなり大胆なこともできてしまうような印象を受けるので、ここはちょっと慎重に書いたらどうかと思いました。
【小川部会長】  はい。
 じゃあ、西委員、どうぞ。
【西委員】  中でも少し話をしていたことなんですが、この教育課程の問題なんですけれども、26ページ・27ページにも繰り返し書かれているわけなんですが、9年間一貫した系統的な教育課程の編成・実施でありましたりとか、27ページ、若干表現が違いまして小中一貫したカリキュラムとその実施に必要な組織運営体制等というふうに、少し表現上ばらつきがあるのか、それともあえて分けられているのかというあたりが気になりましたということと、それと、どうしても私も教育委員会におりまして、いわゆる事務方の方と話をしているときに、教育課程ということに対するイメージがばらついてしまうんです。このときに、実はつい先日も聞いていたんですけれども、教育課程とかカリキュラムってどんなイメージを持っている?って聞いたら、やはり年間指導計画のイメージなんですね。それも一つのカリキュラムと言えるかもしれないんですけれども、系統的な教育課程といったときにどういうイメージを与えるのかなということが少し気になりますので、ある程度先行実践例もありますので、何が最低条件なのかということが示せないかどうか分からないですけれども、教育課程の最低条件みたいなものが示せればいいのかなと思ったんです。ある程度、これからやるところは先行事例を基にしながら9年間一貫した教育課程ということを考えていくと思うんですけれども、少し曖昧かなという気がしましたので、お願いします。
【小川部会長】  どう引き取りますかね、今の、事務局。(笑)
【小林教育制度改革室長】  全体として、西川先生からの御指摘も、皆さん、カリキュラムのところが少し具体的な、共通のイメージが恐らく湧きにくいということの御指摘かと思いますのでちょっと検討させていただきたいのですが、ただ、一方で余り一律、一つのものじゃないといけないというふうになってしまってもまたいけないと思っておりまして、ちょっとそこは例えば事例とか何か工夫の余地があるか検討させていただければと思います。
【小川部会長】  ほかに。
 じゃあ、橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】  今までの何人かの委員の方に関連することなんですけれども、柔軟にというふうに設置者が認めればいいという作りになっておりますので、やはり今の教育課程というものが一貫校の教育課程としてみなされるのか、あるいはこの小中一貫教科というのを、例えば道徳とか様々なものを一体的にやるとしたら、もともとの狙いとかそういうようなものはきちんと置き換わってというか、きちんと入っているのかということになると、また設置者がそれをきちんと見ることができるのかということが一つ課題になると思いますので、その辺ですと、やはり少しお示しをするということも必要なのかなと考えます。
【小川部会長】  今の点を含めて、少し小中一貫教育学校で工夫できる教育課程上の創意工夫のイメージですよね、取組のイメージ。それはちょっと先ほど事務局の方でも引き取っていただくということですので、少しいろいろ検討した上で、必要に応じて内容を書き込んでみたいと思います。
 ほかに、いかがでしょうか。
 なければ、4章・5章、一応ここでいったん打ち切って、最後、総合的な推進の第5章に移っていきたいと思います。
 じゃあ、また事務局の方で説明をお願いいたします。
【小林教育制度改革室長】  それでは、第5章でございます。この章は最後の章で、小中一貫教育の総合的な推進方策ということでまとめさせていただいております。なお、先ほど安彦委員から頂きました御意見、非常に重要だと私どもも思っておりまして、もちろんこの審議のまとめ案全体が新たな小中一貫教育にどういうふうに制度化するか、そういったことを目的としている審議のまとめ案なわけでございまして、そこをこれまで取り組んでいるところについては大変成果が上がっているということ、どういう制度にすべきか、どうやったらそうしたよいものが広がるかということは重要だと思っております。一方で、さっき御指摘があったように、既存の小・中学校について別にここは目的として書いているものではございませんので、その点についてバランスは配慮させていただかないといけないと思っております。
 その点について、現在取り組んでいるところではとか、地域の実情に応じて取り組んでいるとか、そういった表現で工夫をさせていただいているつもりですが、またもし何か御指摘があったらバランスを見ていきたいと思っております。
 5章は、その関係でいきますと、現在取り組んでいるようなところが設置者の判断で更にそういったものを進めたい場合、あるいは進めていくときにどのような条件整備を行ったらよいかというインセンティブについて記述させていただいているところでございます。また、インセンティブのところとともに、最後の方は少し小中一貫の様々な取り組みの在り方のような、少し純粋にインセンティブとはやや観点が違う様々な小中一貫への取り組み方のような記述も入ってございます。先ほど貞広先生の方から御指摘がございましたような一般の小・中学校でも取り組んでいくような、取り組めるような9年間の系統性・連続性を強化したような取組というのも47ページ以降少し記述がございますので、そこをもう少し先ほど頂いた御意見を踏まえて考えさせていただければと思っております。
 それでは、済みません、35ページからでございますが、小中一貫教育の総合的な推進方策、1ぽつのところでは、まず教職員体制の構築についてでございます。まず、一つ目の丸ですが、小中一貫教育学校の教職員は、県費負担教職員及び義務教育費国庫負担制度の対象とすることが必要であるということを、まず記述させていただいております。新たな制度を作るということで、そのような必要性があると。それから、二つ目の白丸ですが、教職員の定数については、現行の小学校及び中学校の教職員定数と同様の算定を行うことが必要である。その上で、小学校段階と中学校段階を円滑につなぎ、変化に富んだ9年間を適切にマネジメントするための必要な教職員の定数算定とすることが必要であるということ、それから三つ目に、そのほか、乗り入れ授業を初めそういったことを可能とする教職員体制の整備を図っていく必要があるということで、国の教職員の定数の加配措置等により、指導体制の充実を図ることも求められるということでございます。
 また、36ページの2ぽつのところは、小中一貫教育に適した施設・設備の整備ということでございます。まず、既存の小・中学校と同様に、そういった小中一貫教育学校というものを制度化した際には、その国庫負担補助の対象とすることが必要であるということ、それから38ページまで飛びますが、現行の施設・整備に関する制度においては、既にある学校を建て替えて、施設一体型校舎を整備しようとする場合、国の補助を受けるためには公社が老朽化していることなどが条件となる。また、その場合の補助率は統合に伴い新しい校舎を建てる場合の国庫負担率よりも低くなっているということで、国は小学校同士又は中学校同士の統合に伴い、新しい校舎を建てる場合と同等の補助を行うことなどが必要であるということでございます。また、2点目ですが、児童生徒の異学年交流スペースや、地域との交流スペース、隣接した校舎間の渡り廊下などの整備に対して国は適切に支援を行っていく必要があるということでございます。
 また、3点目は、地域ぐるみで子供たちの9年間の学びを支える仕組みづくりということでございます。こちらにつきましては、例えば39ページのところですが、学校運営協議会の設置ということで、中学校区で一つの学校運営協議会を設置できるように現行制度を見直すことも有効な方策の一つであるということで、地域ぐるみで進めていく必要性、その仕組みづくりについて触れさせていただいております。
 また、39ページ下のところですが、4点目にモデル事業の実施、好事例の普及ということを挙げさせていただいております。40ページに行きますが、国等におきましても、現行制度下で可能な取組に関する具体的な情報提供なども含めまして、今後そういった好事例を普及していくことが必要であるという点でございます。
 また、40ページ、5点目ですが、小中一貫教育に関する学校評価の充実というところでございます。41ページ目の最初の丸ですが、現行の学校評価ガイドラインの内容は、小中一貫教育の実施に当たっての評価の在り方等が盛り込まれていないということで、今後、どのような評価項目や指標が適切か、そういったことを検討した上で学校評価ガイドラインに適切に組み込んで周知していくことが求められるということでございます。
 6点目は、都道府県の教育委員会の役割ということでございます。このことにつきましては、実態調査におきましても、まだそれほど多くの都道府県において、こういったことを組織的・継続的に検討してきたということが今の実態としては十分ではないので、そういったことについて今後この制度化に伴いまして設置者がそういったものを導入する場合には積極的な施策が講じられるように働きかけていくことが望まれるということでございます。
 また、免許併有の促進につきましても、都道府県の役割としまして、他校種の免許の取得のための免許認定講習の積極的な開講ですとか、あるいは教員の採用に当たっての免許の取得状況を考慮すること、教員養成系大学への働きかけなど必要な措置が期待されるということでございます。あと、済みません、41ページの下から二つ目の白丸のところに、ちょっと誤植がございまして、二つ目の白丸の最後の「小中一貫教育の推進にとって支障となるおそれがある」、支障という支の部分がちょっと落ちておりましたので、申し訳ございません。
 それから、42ページで、都道府県に求められるものとして、人事上の措置ということでございまして、市町村における地域の実情に応じた小中一貫教育の取組を組織的・計画的に支えていくことが期待されるということを記述させていただいております。また、そのほか、教員研修、あるいはモデル事業、計画的な小中一貫教育の推進といったことについて、記述させていただいております。
 また、44ページでございますが、7ぽつ、教員の負担軽減のための工夫。様々な負担軽減の工夫が必要ではないかということでございまして、その具体的な例として45ページから合同の校務分掌の設定、役割分担の見直し、それからICTの活用、46ページ、事務体制の充実、それからそういった様々な好事例の提供について、それぞれ記述させていただいております。
 また、47ページでございますが、9年間の系統性・連続性の強化ということで、ここでは例えば48ページでございますが、教科等横断的な事項についての一貫カリキュラムですとか、あるいは小中が接続する区切り、学年における取組の強化、そういったことについて、それぞれ有効性があるという、取組状況について紹介をさせていただいております。また、48ページの特別支援教育の充実ということで、小・中学校に在籍する特別支援教育の対象となる児童生徒についても、9年間の系統性・連続性の確保というのが極めて高い効果が期待されるということで、今後こういったことを検討していくことが、様々な体制の構築というのが期待されるということでございます。また、同様に幼小連携の強化について49ページに触れさせていただいております。また、最後、その他といたしまして、小中一貫教育の先進的な取組について、今これまで紹介させていただいたような、いわば様々な制度に基づくもの以外に、様々な工夫がこれまでなされているということで、こういったものも小中一貫教育の取組方として、普及方策のようなものとして取り組まれることがあり得るということで紹介させていただいております。
 また、最後の50ページでございますが、今後の学制改革に向けてというパラグラフでございます。ここは、国は、小中一貫教育の制度化の成果と課題について、制度化後も継続的にきめ細かく把握・検証し、取組の普及及び質の向上に生かすとともに、幼小連携や中高一貫教育と連動させた小中一貫の取組など、多様な試行的な研究を意識的に進めていくべきである。それらの成果を踏まえ、幼稚園から高等学校段階までを含めた幼児児童生徒の発達の段階に応じた公教育全体の質の向上の在り方について、継続して検討していくことが必要であるという記述をさせていただいております。
 なお、委員の方から、最後、「おわりに」という章も必要なのではないかという御指摘も頂いているのですが、ちょっと今回はもう少し全体の御意見を賜って、全体のバランスを見てまた検討させていただきたいと考えております。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、第5章の総合的な推進方策について、御意見を伺いたいと思います。
 福井委員、どうぞ。
【福井委員】  失礼します。
 今週火曜日、このきょうのための案をEメールでお送りいただいて、それをあらかじめ見させていただいたわけでございますけれども、全体を通してとても現状と行くべき方向を的確におまとめいただいて、私自身も改めて勉強させていただきました。
 その中で、全体を通して気付きましたことは、教員について記述がございます中で、教員の多忙感・負担感という場面がたくさんございまして、例えば、教員の負担軽減のための工夫が44ページにございますが、この報告書の全てにわたって負担感・多忙感という記述がたくさんございますが、学校から見る私のこれは私見でございますが、負担感・多忙感という感ではなくて、実際の負担であり実態の多忙化であるということは明らかであろうなと思います。
 そういう点では、44ページの7番のタイトルで、教員の負担軽減のための工夫というのが的確であろうかなと思ったときに、全てが負担感・多忙感ということだけではなくて、ある場面では負担の軽減であったり、多忙の軽減であったりというのは少し表現があれですので、例えば多忙化の軽減、そういった表現にしていただいた方が、より的確に状況が分かるかなということも思ったわけでございます。
 一つの例を申し上げますと、9年間一貫した小中一貫カリキュラムの編成というのを、言葉で言えば1行で終わってしまうわけですが、それをじゃあ誰が編成するんでしょうかというと教員がやるわけですが、この小中一貫教育を取り組む学校には小規模な学校もかなりあるだろうなということが推測されるわけですが、例えばですが、私が今勤めている中学校でございますが、通常の学級は学年が2学級でございます。そうすると、1年・2年・3年で合計通常学級が6学級でございますが、そうしますと、教科の教員は一人なんですね。一人の教科の教員が1年・2年・3年の授業の準備を毎日毎日し、授業をし評価をしということが繰り返されるわけでございますが、それが例えばこういう中学校と同じような規模の小学校で両方の教員が一つの教科について、じゃあ9年間一貫のカリキュラムを作りましょうというときに、小学校でも全科の先生ですが教科別に担当を分けるわけですよね。例えば、国語はA先生と。そうすると、中学校の唯一一人の国語の先生、B先生。A先生とB先生が二人で編成するというふうになってしまうので、自治体が全域でやる場合に、この自治体が関与しながら、サポートしながらやっていくと、そういう体制は非常に必要ですし有効ですが、各学校が独自にやるようなケースの場合には、よほどサポート体制をしっかりしていかなければ、実際に回っていくのは難しいなという印象を受けます。
 と言いますのも、何回か前の部会の意見でも申し上げたところでございますけれども、これだけ整備を頂くのは有り難いわけですが、現状についても、例えば教員の現状というのは教育の領域に明らかに福祉の領域でありますとか、医療の領域が入り込んできて、それをもちろんコーディネートしながら様々な諸機関と連携しながら進めていくわけでありますけれども、そういった現状がある中で、更に新しい取組をという学校も多いわけですけれども、それだけに新しい取組をという意欲がより高まるような体制、項目としては、全てここに書いていただいているので、この項目はとても多方面にわたった項目で非常に有り難いと思うんですが、それを実際に運用するというのはなかなか実際には厳しい現実もあるということも踏まえていただいて、そういうトーンになるところは、なれば有り難いなと、そんなことを感じるわけでございます。以上でございます。
【小川部会長】  今の、非常によく分かるんですが、具体的にどうそれを書き込むかというのはかなり難しいかなと思いながら今聞いていたんですが、何か具体的にこういう記述にしてほしいとかという、具体の加筆修正なんかの御意見があれば、また聞かせていただきたいんですけれども。
【福井委員】  最初に申し上げましたように、多忙感・負担感というのではなくて、多忙化、負担の軽減というのは一つの例でございます。
 あと、項目としては、項目は挙がっていますので、その中身については更にもう少し学校のこういう状況を踏まえたような多少の加除修正があればいいなと思うんですけれども、ちょっと今は具体的に全部は言えませんが。
【小川部会長】  分かりました。
【福井委員】  済みません。
【小川部会長】  大橋委員、どうぞ。
【大橋委員】  今、福井委員からお話があったことと同じような内容なんですが、やはり教員の多忙化というのは否めないところがあるのかなと思っています。小中一貫教育を行うということ以前に、現在のところ様々な何々教育というのが学校の中に入ってきています。そういうことも併せて考えてみますと。やはり教員の数が増えるということがまず前提だろうなと思います。そうしますと、35ページの小中一貫教育の実施に適した教職員体制の構築のところで、丸の三つ目ですが、国の教職員定数の加配措置等により指導体制の充実を図ることが求められるということが書いてありますので、ここの部分がやはり十分に措置をされていくことが非常に重要になると思いますので、そこのところを厚くしていただければなと思っているところです。以上です。
【小川部会長】  今の点について、私も確かにそう思うんですが、例えば僕ちょっとお聞きしたいんですけれども、例えばこういうふうな小・中でいろいろな先駆的に取り組んでいる自治体、例えば西委員の京都なんかもそうですけれども、既存の小学校・中学校と比較して、例えば施設一体型ないしは分離型でもいいんですけれども、小中一貫教育に取り組んでいる学校の先生方の仕事の内容とか、あと校務分掌等々いろいろ見てみると、既存の小学校・中学校と比較して、一貫教育に取り組んでいる学校に新たに加わるような仕事の中身ですね。さらに、先生方にそういう新たに掛かるような負担とかいうのは、実際どの程度違っていて……。一番いいのはそういうふうな職務分析みたいなことをやって、そういう一貫学校ということで取り組んだことによって、質・量ともに増えた中身について、やっぱり何人ぐらいのプラスアルファの教員がいれば、そうした新たに質・量等に付加された仕事の量をカバーできる、そして、一貫教育の狙いというのが達成できるのだというデータがあれば、一貫校になった場合の加配とか教職員の定数算出なんかについては非常に説得性があるような要望ができるんですが、なかなかそういうことは先進の取組をされているところでも、そういう実証的な把握なんかはなかなかされていないと思うんですが、実際取り組んでいて、今のようなことってどうですかね。小中一貫学校で取り組むことによって新たに付加された仕事の中身、教職員の仕事の中身、質・量ともにどう変わるのかというのを。
【西委員】  そうですね、具体的な、もちろん数字として表れているものはないんですけれども、主にやっぱり二つの理由があると思うんですけれども、一つは連絡調整あるいは共通理解のための時間とか負担ですね。もう一つは、授業相互乗り入れとか授業乗り入れに関わる負担であったりとか、あるいは時間ということになると思うんですね。それは17ページの資料にも、明らかに小中一貫教育の課題の中にもほとんどが負担感とまとめられてはいるところはあるんですけれども、細かく砕けば、小・中の教職員間での打合せ時間の確保であったりとか、小・中合同の研修時間の確保とかいうふうに、この連絡調整とか、あるいは共通理解の時間が割と負担であったりとか難しいという問題が出ていると思います。相互乗り入れとか授業乗り入れについては、ほかのところもたくさん出てきましたけれども。
 具体的にそれがどれぐらいの割合になるかということなんですが、大体で考えているのは、例えば4-3-2というふうな段階をとった場合、この3のところがこれまでと随分違うところなんですね。下の方の4は、これまでの6年分のうちの4年分ですから、この3のところは5年生・6年生プラス7年生あるいは中学校1年生を含み込みますので、単純計算して2学年合同でやっていたものを3学年でやっていくときの連絡調整は1.5倍になるというふうに考えるわけです。そうすると、二人の教員に対して三人プラス1必要かなということになります。二人の教員というよりも、2学年に対してもう一人必要かなと感じるわけです。
 もう一つ、5-4とこの頃こちらでも発表させていただいたんですけれども、5-4制の場合、これは下の5年間についてはそれほど連絡調整についてはこれまでと変わりがないわけです。ところが、4については中学校の3学年でやっていた分がもう1学年プラスされますので、3分の4倍ですね、1.33倍ぐらいでしょうか、の付加かなと考えているところです。ですから、ここも三人に対して四人入れるとかいうふうな付加的な措置が欲しいなと思うところです。
 もう一つは、分離型の場合ですね。施設分離型の場合は、ここの連絡調整がやっぱりかなり難しいんです。こちらでも発表させていただいた東山泉とかでも距離的にある程度離れていますので、そこら辺の連絡調整を考えると、ここに本当はもう一人欲しいところです。
 このような連絡調整の部分と、それから相互乗り入れの部分、大体のカウントで考えるとそれぐらい欲しいかなという気はしていますが。
【西川委員】  ちょっと付け加えて。
【小川部会長】  西川委員、どうぞ。
【西川委員】  西委員の方が詳しいんですけれども、施設一体型で一人校長の場合、校長先生の物理的負担は明らかにほぼ倍になっていますね。これは事実です。小学校校長会、中学校校長会両方に出席しなきゃならん。しかも、給料は変わりませんよね、学校が大きくなって。そういうことは管理職の負担というのは明らかで、そういう意味では僕ほとんど今思い付きですけれども、給与面での何らかのインセンティブがあっていいなと思っています。
【小川部会長】  ありがとうございました。ちょっと今、先ほどの大橋委員の35ページの定数算定とか加配に関わって、少しこの辺もう少し何か踏み込んで書ければ、書きたいんですけれども、それはまた事務局の方で相談しながら、先ほど西委員から具体的な小中一貫された一体型と分離型という、そこともまた違うようですので、そうしたことを含めて、より具体的な書き込み方ができればいいんですけれども、その辺も少し事務局が工夫しながら表現上工夫させていただければと思います。
 大橋委員、そういうことでよろしいですか。
【大橋委員】  ちょっと一言。
 今の件ですけれども、44ページの7の最初の丸の次ぐらいに、正直言って私は今の議論が抜けていたと思うんですね。ですから、二つ目の丸をここに入れていただいて、今のようなお話でコーディネーター等、あるいはいろいろな負担が現実にあるのをやはり今後一貫を進める上で必要な新たな措置として定員増その他の措置を考える必要があるという、そういうのを是非入れていただければと思います。
【小川部会長】  分かりました。
 四柳委員、どうぞ。
【四柳委員】  私もこの44ページの先生の負担感というところで、加筆を御検討いただければと思うんですけれども、45ページの右上の調査のところで、確かに教職員の負担感・多忙感というところで「大きな課題が認められる」で特筆して数字が高いですけれども、これだと、まるで小中一貫教育をすることが全ての負担感・多忙感につながっているというふうに読み取れるんですけれども、先生方の負担感・多忙感というのは、必ずしも小中一貫教育だから負担感・多忙感を感じているわけではないと、私はふだんの先生方の様子を見ていて思いますので、ここに今安彦先生が二つ目の丸のところにとおっしゃっておりましたけれども、私もこのあたりに、この調査をもう少し具体的に、確かに三鷹の先生方も2小・1中、3小・1中の学園として今小中一貫教育をやられていますが、負担感・多忙感を一体どこでどのぐらい感じておられるのか、仕事がどれだけ増えているのかという数字的な調査というのはしたことがないんですね。なので、もう少しそこは小中一貫教育が具体的にどのように先生方に負担がかかるのかという調査を継続して進めていく必要があるというようなことを加筆していただければなと思っています。以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。時間も余りないですので、いかがですか。
 天笠委員、どうぞ。
【天笠委員】  40ページ、41ページに掛けて学校評価についての記述があります。そのところについて少し関連したことを申し上げさせていただきたいと思います。
 実は、きょう午前中姫路で小中一貫サミットがありまして、そこの分科会で助言を務めさせてもらってきたんですけれども、その発表は宇都宮市の教育委員会と、それから埼玉県の八潮市の教育委員会が小中一貫にどう取り組んでいるのかということのケースが発表されてということだったんですけれども、その中で、宇都宮市は比較的全市的に取り組むのが早い市町村、自治体なんですけれども、そこでの発表の中身というのが、自分たちで取り組んでいることの検証、小中一貫教育の検証をこんな形で進めているということで、そうした効果があるとか課題が云々(うんぬん)というような、そういう検証のデータを用いながら自分たちの取組等々に取り組んでいるというケースがそこで発表されまして。私が見ても大変中身のある発表だったかと思いますし、宇都宮市自体がいろいろ模索しながら小中一貫教育を全市的に進めている、そういうところで大変示唆に富みました。
 ここのところの関わりなんですけれども、そういう点では市町村教育委員会自体が効果を測定する、検証するということについての求めとか、そういうことを推奨するとかということが全体の組立ての中には余り出てこないというのか、余り取り上げられていないというところで、何とか引っかかるとすると、この学校評価のあたりかなと思って、ちょっと発言を今させてもらっているわけなんですけれども。ただ、ここでも各学校に対してこういう学校評価の在り方を求めるということについては相応に記述があるんですけれども、教育委員会が自らの取組を検証する観点からの学校評価の記述にはなっていませんですので、そのあたりのところをもう一度しっかり捉えていく必要があるんじゃないかと。その際、例えば宇都宮市は第三者委員会というんですか、特別の委員会を設けて、そして検証するためのということをわざわざ行うわけなんですけれども、現在ここに記述されているように、この間、学校評価の仕組みをガイドラインで作ったりですとか、あるいは教育委員会評価等々という仕組み等々を作りながら実施しているわけですけれども、そのことと今申し上げていることがうまく整合されていない。ですから、二つ結果的にはやるような形に、要するに各学校の学校評価が結果的にはこういうことの検証に生かされていない。先ほどの多忙云々(うんぬん)というのは、どうもそういう事柄の扱いとか、そういう物事の発想の仕方というのも遠因あるいは直接的にあるのかなというのは個人的には思っているんですけれども。
 そのことはともかくとしまして、この記述のところに学校評価の結果を各教育委員会がフィードバックして、そのことを通して小中一貫の効果の検証を図っていくんだと、そのための活用の仕方が必要なんだ、活用をやっていったらいいんじゃないかというようなことが更に記述されたらいいのではないかと。それから、併せて教育委員会自身が検証をしていくという取組についてはPDCAを回すような、そういうことについての働きかけというんでしょうか、ということも併せてここのところに記述されたらよろしいんじゃないかなと思います。以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょう。なければ、またちょっと全体を通して、何かまたこの間の議論を通じて御意見があれば、全体を通じてお伺いいたします。
 では、矢崎委員、どうぞ。
【矢崎委員】  設置者の判断で、実情を見て柔軟な取組ができるということですので私立の方は異論はないんですけれども、ただこういうものを作成するときに、私立学校が一文字もないんですが、それで大丈夫なんでしょうか。
【小川部会長】  どうしましょう。
 何か、事務局の方でありますか。
【小林教育制度改革室長】  どういう形で触れさせていただくか、また御相談させていただきたいと思います。基本的には全部通じる制度でございますけれども、特に私学の今の在り方との関連で何か記述が必要でしたらちょっと考えたいと思います。
【小川部会長】  ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 安彦委員、どうぞ。
【安彦副部会長】  今後の学制改革に向けてというのは最後の9になっているんですけれども、これはこれでもちろん中身について何ら異論はないんですが、先ほどちょっと言われました「はじめに」はあるので「終わりに」があってほしいというふうに申し上げたのは私なんですけれども、なくてももちろんいいですが、例えばこの部分が終わりになるとか、それよりも9に置いておいた方が強い調子は出てくるかなと思うんですね。又は、「終わりに」のところは今天笠委員も言われましたけれども、これは検証し評価されなきゃいけないんですよね。やっぱりそれが結果的によくないと、何だ、制度化したのに何をやっているんだという話になりますから、やっぱり成果をちゃんと上げていくという、今後のいろいろなサポートもそうですし、学校の先生方、当事者もそうですけれども、そういう当事者及び支援する側の全ての体制を、いわばこの制度化が言葉として考えなきゃいけない、成功するような形で進むように配慮していかなきゃならないであろうというようなことを、「終わりに」のところで入れておいていただけたらいいんじゃないかと思います。
【小川部会長】  先ほどの事務局の話では、この後初中分科会、総会、そしてパブコメがあるんで、そうした意見を集約しながら再度今言ったような趣旨で「終わりに」というふうなことは記載するということを想定はされているようですので。
 事務局の方、よろしいですよね。
 よろしいですか。では、なければ、これできょうの審議は終わってよろしいでしょうか。
 皆さんから頂いた御意見、そしてまたきょう頂いた御意見については、もう少しいろいろな字句上の修正等々も多々御指摘いただきましたけれども、あと内容上ではもう少し加筆してほしいというのは、一般学校が取り組む教育課程のイメージの話とか、あと国の推進方策として教職員定数の算出、加配等々についてはもう少し何か工夫して書き込めないかとかいうふうなところが少し加筆のところは踏み込んで、もう少し工夫できれば書き込みたいなと思っているんですが。全体的に見れば、この審議のまとめ案は基本的にはこれをベースにしながらというふうな御意向であったと受け止めますので、きょう頂いた意見をまた事務局と相談しながら加筆修正して、それをまた委員の方にフィードバックした上で、今後初中分科会、総会、そしてパブリックコメントに掛けていきたいと思っています。それで、初中分科会、総会、そしてパブコメで頂いた御意見を更にそれに加味して、そして最終案を12月ですか、この初中分科会をもう一度開いて、最終の審議まとめ案を御了承いただくというスケジュールでこれから進めていきたいと思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
(「はい」と呼ぶ者あり)
【小川部会長】  じゃあ、そのようにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、今のスケジュールを含めて、今後の予定をよろしくお願いいたします。
【小林教育制度改革室長】  次回の小中一貫教育特別部会の日程につきましては、12月1日の月曜日、10時から12時を予定しております。追って正式な御案内を送付いたしますので、是非また御出席のほど、よろしくお願いいたします。
【小川部会長】  じゃあ、次回は12月1日、午前ですね、10時から12時というふうなことですので、日程の確保をよろしくお願いいたします。
 それでは、きょうの会議を終わりたいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――
                                                                               

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