小中一貫教育特別部会(第6回) 議事録

1.日時

平成26年10月14日(火曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 小中一貫教育の制度化の在り方について

4.議事録

【小川部会長】  定刻になりましたので、これから小中一貫教育特別部会、第6回目になりますが、開催いたしたいと思います。
 本日もお忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。特に遠方からの委員については、2週連続台風の襲来で、出席のために前泊などいろいろ調整していただいて、今日御出席いただいておりますこと、本当にありがとうございます。
 それでは、今日も引き続き小中一貫教育の制度化に向けた制度設計、並びに推進のための総合的な施策に関わって議論を進めていきたいと思いますが、今日も少し盛りだくさんの内容になっておりますので、よろしくお願いします。
 今日は、最初に、総合的施策を進めていくための一つの柱であった学校施設の在り方、小中一貫教育を効果的に行うための学校施設の在り方について、まず協力者会議の報告がまとまっておりますので、その報告を受けて、学校施設の在り方についての議論をしながら、次に総合的な推進方策について全体的に、更に前回に引き続いて議論を深めてもらいたいと思います。
 そして、その後に、前回も出ていましたけれども、制度設計の基本方向に関わって教員免許をどうするのかという話も出ていましたので、これについては教員養成部会の審議状況について、御報告いただいて、それを踏まえて、また制度設計の基本方向について全体的な御意見を伺おうと思います。
 最後、4番目に、前回幾人かの委員から御意見もあったんですけれども、小中一貫教育学校のマネジメント、特に複数の小学校と中学校とのマネジメントをどう考えるかというのは前回積み残してありましたので、これについて事務局で論点を整理していただきましたので、それを踏まえて、もう一度議論をしてみたいなと思っています。
 一応4点ほど、今日はいろんな盛りだくさんのテーマがありますけれども、2時間よろしくお願いいたします。
 それでは、まず配付資料について、事務局からお願いいたします。
【小林教育制度改革室長】  本日の配付資料は、議事次第にありますとおり、資料1-1として、小中一貫教育の総合的な推進方策の論点メモについて、前回の御意見を整理して、追記したものをお配りしております。次に、資料1-2から1-3として、本日御説明いただく小中一貫教育を効果的に行うための学校施設の在り方に関する資料と、公立小・中学校の施設費の負担に関する現行制度に関する資料をお配りしております。次に、資料2-1として、小中一貫教育の制度設計の基本的方向性の論点メモについて、前回の御意見を更に整理して、追記したものをお配りしております。資料2-2から2-4として、小中一貫教育の制度化に伴う教員免許の在り方について、教員養成部会における検討状況を御報告いただく資料をお配りしております。最後に資料2-5として、小中一貫教育学校(仮称)と小中一貫型小・中学校のイメージに、前回委員から論点を御提示いただきました施設分離型の小中一貫教育学校のマネジメントの在り方について追記したものをお配りしております。そのほか参考資料として、これまでの主な御意見、部会の名簿、机上配付資料として、これまでの配付資料等をファイルでお配りしております。資料については以上でございます。万が一不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、これから議事に入っていきますけれども、今日も、報道関係者より会議内容の録音を行いたい旨の申出がありましたので、これを許可しております。御了解いただければと思います。
 では、議事に入ります。
 まず最初に、小中一貫教育を効果的に行うための学校施設の在り方に関して検討されている有識者会議である小中一貫教育推進のための学校施設部会から御報告を頂き、また事務局から小・中学校の施設費の負担に関する現行制度について説明を頂いた上で、少し議論をしていきたいと思います。資料1-2、資料1-3をベースに、まず最初、御報告いただければと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
【長澤東洋大学名誉教授】  小中一貫教育推進のための学校施設部会の部会長を務めております長澤でございます。
 学校施設につきましては、教育課程に対応した施設の在り方はもとより、災害に強い学校、コミュニティの拠点となる学校、低炭素社会に向けたエコスクール、老朽化対策、防犯や事故に対する安全等々、幅広い課題を前に対応が求められており、その中で小中一貫教育への対応が今また大きな課題となっております。
 私自身は、これまで学校建築について、教育と施設、学校と地域との関わり等について研究するとともに、教職員、保護者、地域の方々と話を重ねながら、総合的な視点から学校作りとして取り組んでまいりました。その中で地方の小中併設校、あるいは小中一貫教育校として十数校の小中一体型の施設計画に直接関わる機会を持ってまいりました。
 それでは、大規模校から極小規模校、立地も都心から僻地(へきち)まで及んでいます。これらの経験を通じて施設のありようが関係者の意識を変え、また目標の達成を円滑にする力を持つことを実感しております。
 以上、自己紹介させていただきましたけれども、それでは以下、お手元の資料1-2に沿って御説明をさせていただきます。
 1枚おめくりいただけたらと思います。「小中一貫教育推進のための学校施設部会」ですが、平成24年度の中教審作業部会の報告を受け、親会議である学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議の下、建築、教育、行政の専門家から成る部会を平成25年2月に設置、小中一貫教育を効果的に行うための施設の在り方について検討を始めました。特に近年増加している小中一体型施設を対象として、中央教育審議会の審議の様子を見定めながら、これまで4回検討を行ってまいりました。今後は、小中一貫教育の制度化に関する審議状況を踏まえ、小中分離型施設も含めて小中一貫教育推進のための施設の在り方について検討し、年度内に報告書を取りまとめる予定にしております。
 検討においては、まず小中一体型施設の現状と課題を把握するために、平成25年度にアンケート調査を実施いたしました。その概要を3ページに示しております。
 調査対象は、平成18年4月から25年5月までの間に小中連携、小中一貫教育の導入を目的として小中一体型施設を整備して開校した公立小・中学校、計131校です。このうち小中一貫教育に取り組んでいる学校は79校、60%あり、右下の図のとおり、近年は増加傾向にあります。
 以下、結果の一部を紹介させていただきます。それでは、4ページを御覧ください。
 左の図では、施設整備方針の実際に当たって、約半数が委員会等を設置して検討を行っております。
 中央は小中一体型校舎の整備方法で、これも約半数が新築や全面改築を行っておりますが、一方、半数は既存校舎を改修したり、既存校舎の改修と一部増築を行ったりして、小中一貫教育の取組を実施しております。
 右の図は学級数ですが、ほぼ半数が9学級以下の小規模校となっております。
 それでは、5ページを御覧ください。左の図は校地として約4割が従来の中学校校地で開校し、新しい敷地は1割未満、また2割は小学校あるいは中学校に隣接する敷地を購入あるいは活用しております。
 中央の図は9年間の学年区分ですが、7割近くが4・3・2制を採用し、6・3制の3倍以上となっております。これを教室配置のゾーニングにどう反映し、また学級数の変動に対応するかが施設計画の基本的課題となります。
 新たに整備されている施設として、右の図は、半数近くの学校で異学年交流スペース、2割で地域交流スペースが挙げられているのが分かります。
 それでは、6ページを御覧ください。左は小・中学校で共同利用している室です。職員室が90%と最も高く、中央の図を見ますと、4・3・2等の学年区分に応じて職員室の座席配置がなされております。
 なお、共用している室として家庭科教室以外に特別教室が上位にないのは、工事の違いが理由として考えられます。小中一体型施設にすると、教室の共用により面積が減らせると考えられがちですけれども、共用するためには工事等運用と併せた検討が必要です。先ほどの異学年交流スペース等新たに設置するとすると、面積が単純に減るとは言えません。
 右の図は、9割で小学校に一部教科担任制を導入し、また授業時間については、6割の学校が小学校45分、中学校50分を採用しています。しかしながら一方、4割は5年以上で50分を採用しております。これは施設、教員の弾力的運用に必要なためということが言えるかと思います。
 それでは、7ページを御覧いただきたいと思います。施設一体型施設の教育上の効果として、児童生徒の交流、小・中学校の教員間の交流機会の増加を9割以上の学校が挙げております。
 また右の記述は、施設一体型校舎を整備したときの課題に関する自由記述の例です。児童生徒の体格の違いによる家具、洗面台等の高さ寸法やプールの安全、また運営上は特別教室や運動施設の使用時間調整や授業時間の違いによる音の問題等が挙げられております。
 これらアンケート結果から、地域の実情を踏まえ、先進校の工夫や課題を生かした計画・設計を行うことが求められます。
 それでは、次に8ページを御覧ください。施設部会では、アンケートとともに12校の現地視察をこれまでしてまいりました。各校の運営状況と施設利用状況を下の図のようにまとめ、これら実態を基に施設や運営上の工夫や課題を整理しております。
 ここに写真で示した例は、平成24年度に開校した京都市立凌風学園小学校、中学校でございます。この学校は学年区分を4・3・2とし、それを階に分けて教室を配置しております。第2ステージからは校時を50分、一部教科担任制を導入するなど、中学校との接続性を高めています。また、体育館を大小の2か所、職員室は一体的に計画していることが分かります。
 これら教育課程の区分や運営方法等を踏まえて、活動に対応した必要諸室の設定及び連続的な室配置やゾーニングの計画・設計が目標となります。
 9ページを御覧ください。施設部会では小中一貫教育を行うための学校施設整備の方向性、また留意点につきまして議論を進めているところです。これまでの議論を踏まえまして、施設の計画・設計上のポイント、留意事項を以下6点に絞ってお示ししたいと思います。時間の関係もありますので、要点のみの説明とさせていただきます。
 まず一つ目は計画・設計プロセスの構築ということです。学校作りの目標、理念を明確にした上で、その実現のためにどのような施設環境が必要か。また、懸念を解消するために、どのような配慮を行うか考えることが大切となります。
 当初から学校関係者が参加する場を設けて、小中一貫教育の意義や地域の核としての学校の在り方等について合意形成を図ることが不可欠と言えます。学校の教職員は異動がありますので、地域の人を巻き込んでおくことが重要で、特に小規模校の場合には不可欠と言えます。
 二つ目は学校規模の設定と学校規模に応じた計画の組立て及び設計上の工夫です。中学校は規模を必要とする活動もありますので、特に小規模校の場合、小中一体型施設とするかどうか、総合的な視点からの検討が必要と思われます。
 10ページを御覧ください。次に、第3点目としましては、校地選定と配置計画です。小中一貫教育に関係する授業内容、部活動、学校行事などにおける使用方法、活動形態を想定して、コート等の必要な面積や寸法、形状を設定することになります。校地面積が限られる場合には、小学校低学年が安心して遊べる場を設けることなどが大切となります。
 四つ目は教育課程の区分、学年区分といいますか、学年のステージに対応させた平面のゾーニング計画です。小中一体型校舎では9年間同じ学校に通い生活することになるので、ステージ間の、学年区分間の教育環境に変化を持たせ、発達段階に応じて運営方式を変えることなどにより、教育計画に対応し子供たち自らが成長を実感できるようにすることが大切だと思われます。
 図に御紹介しておりますのは、広島県の府中市立府中学園小学校、中学校の例です。この学校は学年区分は6・3ですけれども、中央に小中共用の諸室を置いて、それぞれ中庭を設けて、一体感と自立性を持たせた計画となっております。
 運営方式として1年、2年は総合教室型、3年から6年は特別教室型、7年、8年、9年は教科教室型とし、学校での生活あるいは動きが在籍するステージによって変化する、そういう計画的な工夫がされた例でございます。
 では、11ページを御覧いただきたいと思います。第5点、五つ目としまして、施設・スペースの小学校、中学校の共同利用ということです。共同利用により、単独校では難しい教育内容の充実や学校運営の効果が期待できます。ただし、先ほど申しましたが、特別教室については校時の調整が必要であり、また教材、教具の違い、児童生徒の体格差に対する家具や備品類の配慮等が必要となります。また、職員室の一体化も大きな課題と言え、小・中学校の教員のコミュニケーションスペースの確保が重要となります。
 体育館につきましては、小学校と中学校の利用実態の違いに留意し、性格を分けた上で共用することも有効ですし、またプールは安全面の配慮が重要となります。つまり、共同利用については様々な、それに伴う配慮が必要だということでございます。その上で、積極的にどう図っていくかということが課題になると思います。
 最後の六つ目ですけれども、異学年交流スペース、地域連携スペースの確保ということが挙げられます。異学年交流は小中一貫教育の大きなテーマと思われますが、児童生徒の動線を考慮して利用しやすい位置に交流スペースを配置することなどが大切です。
 また、子供たちや保護者が9年間同じ学校に関わるため、地域と学校との結び付きが深くなり、地域の活動拠点としての期待も大きくなります。これら地域連携を考慮した施設配置も大切な課題になると思います。
 特に地域性と関わりの深い小中一貫教育の施設作りについては、地域性の違いによって一律には決められないと思われます。実際、アンケート調査に見られる小中一体型施設の高評価とは別に、計画段階では設置の過程や学校規模等、計画状況の違いによって小中一貫教育の意義や有効性は理解されながらも、不安や反対意見が出されるケースもよくあります。
 私自身が経験した例では、ある小規模の小中一体型校舎の施設計画の策定に携わったときに、9年間一緒の場で学ぶことに対して変化がないこと、あるいは人間関係の固定化等に対する反対意見が、保護者や住民から大変強く出されるということがありました。小中一体型であるけれども成長段階に応じた空間、つまり学年が上がるにつれて新しい世界が見えてくるような、そういった空間設計の工夫が示されることによって、そういった関係者の方々が納得され、小中一貫教育の理解を高めることにもつながったということがございました。
 施設のありようは非常に大事です。教育課程の特色や成長段階に応じた空間設計は子供たちの成長に非常に影響があり、完成後に、また学校の積極的な取組を生み出すと言えます。
 学校施設は、学校規模や教育方針が変わったとしても、すぐに建て替えることはできません。ですから、いかにフレキシビリティーを確保しながら発達段階に応じた環境を用意できるかが大切です。それには、教員の体制や運営の仕組みも当然のことながら関係してまいります。
 それでは、最後に12ページを御覧ください。以上述べてまいりましたように、小中一貫教育を効果的に行うためには、それにふさわしい施設環境が必要です。最後に、施設整備を進めるために国に期待される取組について述べたいと思います。
 まずは交流スペースの設置や学年区分に応じたゾーニング等、小中一体型校舎ならではの施設整備に対する財政支援の充実です。この点については、後ほど施設助成課長から説明していただくことになっております。
 次に、先進事例における学校運営に関する状況や工夫、また計画・設計上の留意点を集め、分かりやすく示す事例集を作成し普及することが必要かつ有効と考えております。
 また、計画・設計上の留意点を学校施設整備指針に反映し、手引を作成するなどの技術的助言を行えるようにすることも重要と考えております。
 なお、これまで小学校と中学校の階段の蹴上げ寸法の規定が違うことによって、既存の中学校校舎を活用した小中一体型校舎の整備が困難ということが現実にありましたけれども、本年7月にその規定が緩和されましたので、それが周知されることにより小中一体型施設の設置が進むことが期待されます。
 最後になりますが、施設部会では小中一貫教育の制度化に関する審議状況を踏まえ、効果的な実施に資する施設の在り方や支援策を示すことができるよう、引き続き検討を進めていきたいと考えております。
 御報告は以上です。どうもありがとうございました。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 引き続いて資料1-3に基づいて、事務局から御説明をお願いします。
【蝦名施設助成課長】  資料1-3でございます。今ほど長澤先生から資料1-2の一番後ろのページ、国に期待する施設整備上の取組と併せて御覧をいただければと思います。
 資料1-3は、現在の小・中学校の施設費の国庫負担がどうなっているかというものを1ページに整理をしてございます。校舎を全く新しく造る場合の手法には3通りのものがございます。それぞれ補助率が2分の1であったり、3分の1であったりということになってございます。また、既存の校舎を改修をするという場合には3分の1の補助を行っております。
 これは法律に基づいてこうした取組を行ってございますが、まずは、これは小・中学校に係る施設整備のルールでございますから、仮に新しい学校種として小中一貫教育学校というものができました場合には、それぞれ小学校に相当する部分、中学校に相当する部分が、小学校、中学校と同等に整備をできるようにする必要が制度上あるということでございます。
 2ページ目を御覧いただければと思いますが、現在、先ほどの小・中学校に係る整備のための様々な制度を活用して、どういう形で現在、各市町村において小中一体型の校舎が整備をされているかということをモデル的にお示しをしてございます。何通りかパターンを作ってございますけれども、例えば小学校と中学校を建て替えをしまして、新しく全く一つの統合した学校を造るというパターンもございましょうし、中学校の空(あ)いたスペースに、あるいは場合によって、足りなければ増築をして、中学校の方に小学校を持ってくるようなパターンもあろうかと思います。
 3ページ目には、複数の小学校が一つの中学校とくっつくようなパターンをお示しをしてございます。複数の小学校と中学校を建て替えまして新しい小・中学校を造るという整備手法もございますし、また中学校に小学校を二つ、三つ寄せる。中学校の空(あ)いた部分を改修をする、あるいは増築をするなどして、中学校を母体とした一貫校を造るといったようなことが、これまで各地で行われてございます。
 こうした取組が今後、小中一貫教育を進めていく上で円滑にできる必要がございますけれども、その際には、3ページの枠囲いにございますように、平成24年の主な意見の整理の中で指摘されていた内容――具体的には現在、今ほどの様々なパターンについて御覧をいただいておりますけれども、こういった形で整備をする場合、大体補助率が3分の1というところが多いかと思います。これは今の仕組み上3分の1で改築という手法を活用して整備を行うことになってまいりますけれども、一方で現在、ちょっと説明をはしょりましたが、複数の小学校を統合して1校として整備をするために新しく校舎を建て替える場合には、これ、補助率が2分の1になってございます。24年の検討の際には、こうした小学校や中学校同士の統合に伴う新増築よりも、現在、改築は国庫補助率が低いので、同等程度の補助を行うといったことについて検討すべしということが言われてございます。
 また、今ほどの長澤先生の御説明にもありましたように、様々な共用部分が小中一貫教育を行う上で必要になってこようかと思いますが、こうした部分の整備が円滑に行われるようにということが課題であろうと考えているところでございます。
 補足説明は以上でございます。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、この資料1-2と資料1-3に基づいて少し質疑応答したいと思います。総合的な推進方策に関わって小中一貫教育の施設整備の在り方については次のところで議論をしますので、今は資料1-2、資料1-3に限定して少し御質問等々頂ければと思います。いかがでしょうか。
 私の方からちょっと教えてほしいんですけれども。資料1-3で見ると、いろんなパターンがあるんですけれども、先ほども指摘されていた共有スペースを作る際には、現行制度ではどういう補助の仕方でやられているんでしょうか。
【蝦名施設助成課長】  ありがとうございます。共有スペースにつきましては、現在はあくまでも小学校の施設整備と中学校の施設整備を組み合わせていますから、共有スペースそのものを目的として何か補助の仕組みがあるということでは必ずしもないということでございます。なので、現在行われているものでいきますと、小学校と中学校を整備するときに少し余らせるというか、余剰を作って、そこで共有、共同で活動するようなスペースを整備をしたりということが行われてまいります。ですので、今後、小中一貫教育をやっていく上では、そこの部分をどうするかというのが課題になると思います。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 西川委員、どうぞ。
【西川委員】  2点あります。今御質問あった点に関連いたしますと、例えば、私、勉強不足で申し訳ありませんが、構造上危険がある耐震等の建て替えと、あるいは校舎を新たにひっつけるというのを同時にすると、補助率は上がるんですか、上がらないんですか、同じなんですか。後で。
 それからもう1点、今、長澤先生の御報告ありましたけど、この調査について3ページ目に、小中連携、一貫教育の導入を目的として施設整備を行ったものを131校回答あって、小中一貫教育に取り組んでいるのが、うち79校だったというお話があったと思うんですけれども、間違いないでしょうか。じゃあ、残りの52校は一体どうしているんですか。そのことについて少し調べられましたでしょうか。小中一貫・連携を目的として施設一体型で造ったんだけれども一貫教育はしていない学校が131分の52あるということですね。数としては僕は多いと思うんですが、それはどういう実態なのか、すみません、お二人からそれぞれ教えてください。
【小川部会長】  よろしくお願いします。
【蝦名施設助成課長】  1点目の御質問ですが、例えば今校舎があって、それが構造上危険であるということで改築を行う。この場合、補助率は3分の1ということになりますが、ただ、それをそのまま改築したのでは、今の子供の数に応じた面積よりも小さい、もっと増築もしなきゃいけないという場合には、新増築、これは2分の1の補助と、今持っている部分については3分の1の補助を組み合わせて行うことになります。若干複雑ですけれども。なので、補助率が全体として上がるというよりは、今持っているものに相当するものを改築する場合は3分の1、それを超える分は2分の1の組合せで行うという形になります。
【小川部会長】  2番目の質問が、何かございますか。じゃあ、はい。
【関文教施設企画部長】  事務的なことになりますので、私どもから御説明申し上げますが。このアンケート調査、部会で検討いただいて実施をしたものですが、3ページの左の1番の調査対象にありますように、小中連携、一貫教育の導入を目的として施設整備を行うということで、昨年度調査をしましたときには、小中一貫教育を標榜(ひょうぼう)しているところ、それから一貫教育まではいかないけど、いわゆる連携教育ということで行われていく。ただ、施設は小中一体型で行う。そういったものを、この平成18年から25年までに開校したところというので131校調べたんですが、それを更に分析する際に、中教審で、この小中一貫教育の制度についても検討されることになりましたので、小中一貫教育を実施されているところと連携されているところということで分けて、更に分析をしようということで検討を進められているということでございます。
 したがいまして、先ほど御質問ありましたことにつきましては、79校は小中一貫教育を実施するということで実施をされている。残り52校は、建物は小中一緒に入っているけれども、一貫教育ではなくて連携で実施をされているということで、それぞれ設置者から回答があったということで整理をしているものでございます。
【西川委員】  すみません、確認ですけれども、じゃあ、その場合は、そちらの方で連携、一貫を定義して質問紙を配られたんですか。131校の方から、うちはこういうことで一貫やっているんだという答えがあったんですか。ちょっと時系列的に、作問とは合わないと思います。
【関文教施設企画部長】  定義につきましては、その左側の枠に米印で書いてございますように、作業部会、かつてございまして、そこでの定義をお示しをして、いずれになりますかということをお答えいただいて整理しているということでございます。
【西川委員】  はい。じゃあ、分かりました。
【小川部会長】  ほかにいかがでしょうか。西委員、どうぞ。
【西委員】  少し細かいことをお聞きすることになるかもしれませんし、調査の対象になっていないかもしれませんけれども。5番目の施設・スペースの共同利用のところです。まず特別教室等の共同利用のことですけれども、校時の調整ですね。これ、意外に困りまして、チャイムの時間が違うので、その辺、フロアが分かれていれば、チャイムが違うチャイムでも、45分と50分のチャイムでも打てるんですけれども、この辺についての工夫などが、もし見当たるものがありましたらお教えいただきたいのと、それから同じように教材とか教具の相違ですね。これ、体育の用具がかなり困りまして、例えば跳び箱でありましたら、中学校の跳び箱、小学校の児童は跳べないんですね。逆に中学校の生徒の方が小学校のハードルを使って練習しやすいということもあったので、その辺の相違についての何らかの対応があったのかどうなのか。そこまで調査には対象になっていないかもしれないですけれども。
 もう一つ、一番困ったのは手洗い場の問題でして、こんなん言うと何なんですけれども、中学生って余り手を洗わないんじゃないかなと思うんですね。小学生は給食がありますので、給食当番がありますので、よく手を洗うんですね。圧倒的に中学校に手洗い場が少なくて随分困ったんですが、この辺、手洗い場の問題についても何らかの調査があったのかどうかですね。随分細かいことばかりで申し訳ないんですけれども。
 それと給食の問題が、小中一貫の場合、非常によく問題になってきまして、センター方式とかあればいいんですけれども、小学校の場合、京都市の場合は自校方式で給食を作っていますので、中学校の給食はどうするのか。弁当なのかどうなのかという問題があって、よく問題になるところです。
 こんなんも、もし例があったらお聞かせいただきたいということと、細かいことばかりで申し訳ないんですけど、運動施設の方で、またプールが非常に問題になりまして、小学校1年生と中学校3年生の体格差は圧倒的にありますので、じゃあ水位どうするのかということで、以前に東京のどこか忘れたんですけれども、学校を見せていただいたときに、床面というんですかね、が上下するような施設があって、これで水を減らしたり増やしたりしないで水位を調整できるというのがあって、非常にいいなと思ったんですけれども、そういう工夫がされているような施設があるのかどうなのかということも、もし、あるだけで結構ですので、お聞かせいただけたら、また今後の参考になるんですけれども。
【小川部会長】  答えられる範囲で構いませんので。今、五つぐらいの御質問が。
【長澤東洋大学名誉教授】  今御指摘いただいたようなことが、共用するときには全部、その学校ごとに議論しなければいけない課題ということだと思います。
 例えば手洗い場が足りないというのは、それは中学生は手を洗わないというよりも、中学生にとって水を飲む場所は非常に大事ですから、そういう意味では単純に個々の設計の配慮が届いていたか、届いていなかったかという問題だと思います。中学校だから手洗いを少なくするということはないと思いますけれども。
 給食の問題、プールの水位の問題、それからもう一つは部屋を共有するときには教材、器具等の違いということで、その活動を支えるためのサーバントスペースというか、附帯施設がそれに伴って整備されないと、表の部屋だけ共用するというのはなかなかできない。その辺もきちんと理解して、設計に反映しなければいけないということだと思います。
 それから最初の工事の問題については、おっしゃるとおりで、チャイムをどうするかということから、これは施設の共用ということだけではなくて、音環境の問題なんかも含めて常に大きな課題になります。共用を図るときに小さな、全校、小中併せて9学級という規模でしたら何とかなりますけど、大きな規模になりますと、ちゃんと運営として、その辺がきちっとしていなきゃいけない。そうすると、時間割を合わせるために45分に小中もそろえるというケースもありますし、あるいは規模によって何時間そういう共用、要するに、授業開始の頭がそろえられる時間が1日の中に幾つあるかということです。そうすると、1時間目、それから5時間目はそろえるとか、あるいは小学校の昼間休みの長さを調整して3時間目もそろえる。そうすると1時間目、3時間目、5時間目がそろうので、45分、50分の食い違いはあっても、時間割を編成するときに、その枠を使って共用を図るとか、その規模に応じて時間割をどう調整しながら編成するかが併せて必要になるということで、これも御指摘のとおりで、それをきちんと考えて設計しなければいけないということだと思います。
【小川部会長】  じゃあ、橋本委員、天笠委員の順で行きたいと思います。
【橋本委員】  ありがとうございます。共同利用のところですが。保健室というのが、これは養護教諭の定数とは別だと思いますが、子供の発達とか様々なことを考えますと、小さい子供たちが来るところと、中学校段階ぐらいになりますと心の問題や小さな保健室プラス相談室的な利用という部分も出てくると思います。この辺の特別教室の検討、保健室の検討ということはされたのでしょうか。
【長澤東洋大学名誉教授】  保健室も非常に小中一貫、一体型の施設を作るときに大きなテーマです。これも学校によって判断が違うということがあります。それから養護教諭の数をどうするかとか、そういうのもまた設置者によって若干違いがありますけれども、小中一体にしてというケースもありますし。その場合に、御指摘のように小学生と中学生とでは対応の仕方が違うとか、あるいは小学校と中学生が一緒にいることによる問題とかということの指摘が学校側からあって、それをどういうふうに、その学校の規模とか教育活動と対応させて組み立てていくかが課題になっているということです。
 ですから、単純に共用で一部屋にすればいいというのではなくて、一部屋にする場合にも小学生のゾーンと中学生のゾーンを分けるとか、単純に室名が同じだから一緒にしていいものではないということをきちんと理解した上で、計画に反映していかなきゃいけないということだと思います。
【小川部会長】  よろしいですか。天笠委員。
【天笠委員】  すみません。お教えいただきたい点が一つあります。好事例がもしお分かりでしたら、教えていただければと思うんです。それは、とかく建物の場合は、俗に言うハード先行ソフトが後を追うという、別にこのケースに限らず、新しいタイプの建物には、そういうことが様々に指摘されたわけで、今回の場合も、例えば小中共用の職員室を作ったのはいいんですけれども、そこに先生方が放り込まれたら、そこをどういうふうに使いこなしたらいいかどうかとちょっと戸惑ったなんていう、こういう話がまま聞こえてくることがあるわけなんです。
 先ほどの資料でいきますと、9ページの計画・設計のプロセスのこのあたりのところになるんじゃないかと思うんですけれども、ソフトとハードがうまく融合しながら作られていくということなんですが、これから小中一貫で考えていった場合に、とりわけそのあたりのところは非常に大切になってくるんじゃないかと思うんです。少なくとも、この調査の中で、比較的いい事例というんでしょうか。もしかすると、この写真のある芝園なんていうのはその一つかということでお出しになっているのかどうか、ちょっと分からないんですけれども、ソフトとハード――小中一貫を作り上げていくというソフト面と、それから建物のハード面を作り上げていくという、そのあたりはうまく融合しながら作り上げていったケースが、もしこの調査の中にあったとしたらお教えいただけないかと思います。
 以上です。
【小川部会長】  いかがでしょうか。
【長澤東洋大学名誉教授】  お答えします。その前に、先ほどの保健室の例ですけれども、保健室については、話合いの中では体、心の発達の違いがあるので別々が良いという意見もかなり出されております。そのことは、ちょっと補足しておきたいと思います。
 それから、ソフトとハードの問題については、つまりハードは今作らなきゃいけないというときに、少し先を、今の動きをきちんと見越して用意しておかなければいけないところがあるので、結果的にハード先行というような状況になることはあると思います。
 だからこそソフト面についてのやりとりが計画段階で必要だということで、そこの計画プロセスをきちんと、何を目標とするかということの議論の場にするとともに、できた後どう使っていく可能性があるかというのを議論しておかないと、建物はできたけれどもということになりかねないということがあると思います。
 それから、たまたまこの芝園の例がありますが、これは比較的初期の、作られ始めて最初の頃の例ですけど、その中で議論を重ねながら検討したという例です。この学校の場合には、たまたまというか、話合いの結果、市も、まずは小中一貫ではなくて小中連携というところからスタートするんだということで、それから先生方の御意見の中にも、職員室は分けた方がいいという意見が強く出されて、結果的に、この学校では職員室が別になっています。
 ただ一方で、職員室を一体にする。小中一貫教育の一つは、やっぱり小学校と中学校の教員のお互いの教育についての目標とか意識の共有ということが大事だとすると、施設が別にあるのと、別の場所にいるのと一緒の場所にいるのとでは、おのずと、その後の学校の体制とか取組が違ってくるところがあると思います。そういう違いを呼ぶ力、生ずる力は、施設は持っているということも考えながら取り掛かっていく必要があると思います。
【小川部会長】  よろしいですね。
【天笠委員】  はい。
【小川部会長】  大橋委員、どうぞ。
【大橋委員】  ただいまのこととも関連するかと思うんですが、頂いた資料の9ページの学校規模の設定というのがございます。その中で学校区の特徴を考慮した学級数の設定ということで、これはそうだなと思うところですけれども、例えば学級数といいますか、児童生徒数が安定しているところと、それから非常に爆発的に増えていくところ、反対に減少していく地域などがございます。そのような場合、先ほどのお話の中ではフレキシビリティーを持たせることが必要であるということがありましたけれども、実際にこういう地域に、非常に子供が増える、あるいは反対に減るというところにこういう施設を作っていく場合に、どのような工夫ができるのか、どのようなことを考慮する必要があるのか、教えていただければと思います。
【小川部会長】  よろしくお願いします。
【長澤東洋大学名誉教授】  なかなか公立学校である以上、社会的な人口の変動で、言ってみれば計画的に作っておけばおくほど、その条件が崩れたときにがたがたになってしまうということがあります。昔のように教室を並べて金太郎あめみたいにして、どこからどこまで、今年は1年、2年、3年とやった方が、ある意味で学年のまとまりが維持されるということもあるわけですけれども、ただ、今、小中一貫教育を目指して小中一体型の施設を作ろうとするときに、学年区分への対応は一つ大きなテーマになるということですね。
 やっぱり、その地域の人口の変動予測をきちんと先を見通していって、標準数の関係で変動する可能性がある場合には少し余裕教室をその中に入れておいて、それが必要な教室に転用することで、その学年区分のまとまりが崩れないようにするというような配慮が必要になります。それがそうでない、その必要がないときには、学習活動を弾力化するのに、そのスペースが有効に生かされる。その辺の計画的な施設設計的な工夫、提案が求められるところになると思います。
 それからもう一つだけ、ちょっとお時間頂いて。川崎のはるひ野という地区で小中一貫の計画がありましたけれども、それはこういうこともあるということで。新しい住宅地で、徐々に住宅が張り付いて、それに対応できるように学級数を想定して学年区分の配置をしていたんですけれども、小中一貫教育の学校ができて、その学校にということで、住宅の張り付きが当初より早くなって。そうすると、ピークができてしまうわけですね。クラス数が足りなくなって、増築をしなければいけないということになる。そのときに、じゃあ足りない教室だけをどこかに作るということになると、学年区分は全く崩れてしまいますので、この場合には改めて、そもそも小中一貫教育を目指した理念にさかのぼって、それで既存の改修と増築を併せて学年区分をきちっと維持する増築計画を行ったということがありました。
 ですから、最初にどういう狙いで小中一貫教育の学校を作るのかという目標がしっかりしているか、していないかが、その後の対応にも大きな違いを生じてしまうということだと思います。
【大橋委員】  ありがとうございます。
【貞広委員】  ありがとうございます。2点御質問がございます。
 1点目は施設費の確保に関連しまして、本日、資料に、先ほど9ページのところで出ていましたけれども、たまたま資料があります富山市の芝園小学校、芝園中学校は、たしかPFIを利用して新築の校舎を造られたのだと思いますけれども、今回この調査対象となっている131校、又は新築に限定をすると36校になるのかもしれませんが、この中でPFIを利用した学校はどれぐらいあるのかということ。もし調査をされていたら教えていただきたいということです。
 さらに、そこに課題と利点のようなものがありましたら、更に教えていただければと思います。
 あともう1点は、すごく細かい点なんですが、資料1-2の7ページのところに施設一体型校舎を整備した際の課題を挙げていただいていまして、この課題をいかに克服して、克服できているのかということが重要なんだと思いますが、この中で運営上の課題の最初に、中学校教員による小学校の授業の時間割設定が課題であると挙げられて。何となく想像つくんですけれども、具体的にどういうことだか少し教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【小川部会長】  2点、よろしいでしょうか。
【長澤東洋大学名誉教授】  最初のPFIについては芝園と、それから多分、御紹介したはるひ野もPFIなんですけれども、そのほか、特にPFIであるかどうかは確認していないということです。
 それから、もう一つの。
【小川部会長】  7ページの中学校教員による小学校授業の時間割設定は、具体的にどういう課題だったのかという話ですね。
【長澤東洋大学名誉教授】  これもちょっと丸めた表現ですけれども、先ほどの工事によって施設あるいは教員が弾力的に施設が利用できたり、教員の割当てができたりということに影響があると、そういう表現だと思いますけれども。そういうことでよろしいのかな。
【関文教施設企画部長】  ちょっと確認をいたしますが、内容は多分、中学校の先生が小学校の授業を受け持つ際の時間割の設定をどう調整するかが運営上の課題としてありますということでお答えを頂いた自由記述の中のものを持ってきたんだと思います。具体的にどういうことでというところまで書かれているかどうか、ちょっと確認いたします。
【小川部会長】  最後、若月委員、どうぞ。
【若月委員】  ありがとうございます。もうほとんど、いろんな委員の方がお話しになっちゃったので、重なるところがあるんですが、今話題に近いところからいきますと、今の7ページの運営上の課題。これは、そういう心配が出たということでしょうね。中学1年、2年生の幼稚化という表現があります。要するに、施設一体でみんなで一緒に暮らすと、中学校の1年生、2年生が何か子供返りしちゃうのが心配だから、そういうことのないようにねという御指摘があったと受け止めておけばいいのであって、だから施設一体型はどうのこうのという話ではないと受け止めてよろしいですね。これが1点目です。
 それから、これはお願いなんですけれども、11ページ、ここに共同利用の項目がございます。ここで、(5)番の職員室、そしてその次に特別教室と、こう書かれています。さて、この特別教室というのは具体的にどの教科の教室を、この部会ではイメージなさったんでしょうか。すぐ浮かんでくるのは、例えば小学校においては音楽室であるとか、図工室であるとか。それから、先ほどちょっと橋本委員が御指摘になりました、これは教室ではありませんけれども、保健室ですね。こういったようなものが考えられるわけです。
 ここでは、小中で教材、教具が違うし、時間も違うから、備品や何かに注意もしましょうねというんですが、私はこれでいいんだろうかという疑問を持ちました。というのは、先ほどこれは天笠委員から御指摘があったハードとソフトの関係というものが、この特別教室をどう考えるかというところに、私は集約されてくるような気がするんです。
 例えば、私の経験でいきますと、小学校においても理科の授業は、明らかに教科担任で高学年は進めてまいりました。したがって、そこには理科の特別教室というものを準備したわけです。
 さあ、そう考えたときに、教育課程の在り方とか、確かな学力や子供たちの興味関心を育てるために、今ある音楽、図工のみならず、ほかの教科の教育課程、一貫教育において目指す教育課程を実現する。私はこれ、今は個人的ですけれども、やはり最低限、理科というものは特別教室として位置付ける必要があるだろうし、そして、おのずとこれは、小学校と中学校においては、その内容に関わって、かなり構造も変わってくるのが必然だろうというのが、体験から私は感じていることです。
 そう考えると、ただ単に一つの物を共同でいきましょうよというと、かなり教育課程上の制約を受ける可能性もありますので、この辺はもう一度、是非そちらの方の委員会で御検討を頂ければなと思っています。
 それから、併せて運動施設ですが、プールのことが出ております。先ほど御指摘になりましたが、品川区は6校全部、床の可動式のプールを使用しているわけでありますけれども、そういうことをしますとどうなってくるかというと、体育館についてはその記述があるんですが、自治体としましては、プールも施設利用せざるを得なくなるわけです。そういった場合の、やはり配慮事項といったらいいでしょうか、こういったことも、そちらの部会の方で御検討いただいて、ちょっと触れておいていただけると大変有り難いなと、こんなふうに思います。
 以上です。
【小川部会長】  2点ほどありましたけど、何か。よろしくお願いします。
【長澤東洋大学名誉教授】  最初に特別教室については、今、若月先生おっしゃったとおりと考えております。特に例として出された理科については、小中一体型の施設の場合にも理科は別にするというのが基本的な計画の考え方になっていると思います。
 ここで書いておりますのは、簡単に室名が同じだからといって共用とすぐにはいかないということの留意点を、ここでは書いてあるつもりでいるんですけれども。小中の活動の違い、教材の違い、教育の狙いの違い、その辺は十分反映して、共用するならそれを考えていく必要があるということだと、それは認識しております。
 それから、先ほどの幼稚化については、こういう意見も出てくるということで、それにきちんと対応できる、成長段階がきちんと意識できるような空間計画、設計的な配慮が必要だということで、これに対して具体的にどう計画していくかということは今後の課題とは思っております。
 それから、もう一つは。
【小川部会長】  よろしいですか。
【長澤東洋大学名誉教授】  プールの地域利用につきましては、これも設置者によって随分扱いが変わるところだと思いますし、小学校はその学校の児童には使わせて、だけど大人には使わせない。中学校は、また健康上の問題だとか。ですから、そういう個々の判断を考え、状況なども踏まえながら考えていくということだと思いますけれども。
 なかなか一口に、こうあるべきということでは言えない。だから、計画の段階で十分、それぞれの学校の置かれている地域性とか、規模とか、それからその学校の教育目標とかを議論しながら、その学校としての姿を決めていく必要がある。その議論する機会が、また小中一貫教育に対する理解を深めていく機会にもなると。そういう施設と教育とのいい関係といいますか、施設先行とかそういうことではなくて、その環境を作り上げていく機会として計画プロセスは大事にする必要があると思っておりますし、その辺のところがきちんと伝わるような表現というか、取りまとめをしていけたらと考えております。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、予定よりもかなりオーバーしましたので、これで資料1-2、資料1-3に基づく質疑応答、意見交換を終わらせていただきます。
 すぐに、次に前回積み残しておりました資料1-1の「小中一貫教育の総合的な推進方策(論点メモ)」に即して、もう一度、推進方策について少し皆さんから御意見を頂ければと思います。前回は資料1-1の9ページまで一応やって、今日は施設部会のお話を頂いた上で、施設設備の整備とその他について御意見を伺う予定だったんですけれども、今日は時間がありませんので、この7の施設設備も含めて、総合的な推進方策について、更に前回に加えて何か御意見がございましたら頂ければと思います。いかがでしょうか。
 今の施設設備の整備のところについては先ほどの質疑のやりとりの中で、いろんな課題も具体的に出てきていますので、それについては次回、この論点メモに、質疑応答で出てきた重要な視点等々については書き込んでいきたいと思いますので、それらも含めて全体を通じて何かございますでしょうか。前回言い残しておいたこと、更に今の質疑応答を踏まえながら、7の施設設備の整備について、特に言っておきたいこと等ございますでしょうか。よろしいですかね。
 今なければ、最後また少し時間をとって、制度設計の基本的な方向及びその推進方策について、もう一度、全体通じて御意見を伺うことにしたいと思いますので。推進方策については、この辺で今日は、今の段階では打ち切らせてください。
 では、前回も出ていました、教員養成部会から教員免許のテーマについて今どういう論議の進捗状況にあるのかという説明を受けた上で、教員免許の議論をこの部会としてどう進めていくかに関して入っていきたいと思います。
 最初、これは教職員課から、資料2-2から資料2-4に基づいて御説明をお願いしたいと思います。
【山下教員免許企画室長】  教員免許企画室長の山下でございます。
 それでは、お手元の資料2-2、資料2-3、資料2-4に基づきまして御説明、それから教員養成部会におけます検討状況について御報告を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず資料2-2、こちらはA3の大きな紙でございます。こちらの資料でございますけれども、教員養成部会におきまして、前回10月1日に審議を行った際に配付をした資料でございます。
 それで、教員養成部会でございますけれども、この小中一貫教育に対応した免許制度の在り方に関しましては、その前の9月19日、この日は午前中に、こちらの部会と合同で会議を開催させていただいた上で、午後、少しフリートーキングの時間を持ったという形で一度議論をし、なおかつ10月1日の会議におきまして、こちらの資料をメーン資料といたしまして、ある程度具体的な方向性について御議論を頂いておるところでございます。
 それで、こちらでございます。この資料3-1でございますけれども、こちらのセンターの一つに、中央教育審議会に対しまして文部科学大臣から諮問がございまして、それを踏まえまして、教員養成部会といたしましては、当面の課題と申しますか、速やかに結論を出すべき課題といたしまして、一つは小中一貫教育制度に対応した免許制度の在り方ということで、こちらを今現在、議論として進めてきておるところでございます。それと加えましてもう一つ、教員の養成・採用・研修の全体の在り方につきましても今後審議をしていかないといけないということがございますので、その二つの審議事項を大きく、それぞれ審議の課題をここで記させていただいておりまして、全体の中で今こういうところを議論しているんだということを各委員の皆様方に御理解の上、御審議をしていただくために使った資料でございます。
 それで、この考え方の整理のところで背景、それから主な課題、改革の方向性というものがございますけれども、その一番下に大きなスペースといたしまして、具体的方策及び検討の進め方というところを御覧いただければと思います。
 今申し上げました小中一貫教育制度の整備に当たっての取組というところが左側の欄に区切って、この中で検討事項ということでいろいろとお示しをさせていただいていて、なおかつ右側におきましては、この小中一貫の制度についての議論が終わった後、来年中に更に議論を進めていこうと考えてございます教員の養成・採用・研修に関わる全体的な議論の検討課題――今考えられます検討課題、検討事項等を列挙させていただいておるというところでございます。
 それで、本日は時間の関係もございますので、左側の小中一貫教育制度に関わります部分について、少し更に御説明を申し上げたいと思っています。
 それで、この左側の小中一貫教育制度の整備に当たっての取組というところの真ん中あたりに検討事項がございまして、二つほど丸が書いてございますが、まず、その上の方の丸でございます小中一貫教育制度の円滑な導入・運用に必要な免許制度についてというところを御覧いただきたいと思います。
 それで、ここにア、イ、ウということで三つほど、小中一貫教育学校というような学校が創設された場合に考えられ得る免許制度の在り方ということで選択肢を示させていただいております。
 それで、それぞれのア、イ、ウでございますが、もう一つ次の資料といたしまして資料2-3のところに検討メモと書いてございますが、それのア、イ、ウが丸1、丸2、丸3というところとそれぞれ対応してございますので、併せ持って御覧いただければと思います。
 まずアといたしまして、小学校、中学校及び小中一貫教育学校(仮称)に対応した免許制度を創設するという選択肢でございまして、これは、いわば小学校、中学校、それから小中一貫教育学校といった義務教育段階の学校全てを包括して対応できる免許状を考えていくという選択肢でございます。
 それから真ん中のイが、今回創設が検討されております小中一貫教育学校に対応した小中一貫教育学校免許状というものを文字どおり創設をしていくという選択肢でございます。
 それから、ウが現行免許状の併有を基本とするというものでございまして、こちらの方は2-3の検討メモの丸3のところにも少し記述はしておりますけれども、現在の中等教育学校の免許制度の整理に従って、新たな免許状は創設はせず、小中一貫教育学校の教員については小学校免許状及び中学校免許状を併有するようなことを原則とするという選択肢でございます。
 それで、教員養成部会の中の現在までの御議論というところで申し上げますと、このア、イ、ウの中では、現在のところはウという選択肢が、やはり一つ考えられるのではないかという意見がおおよその方向性ではなかろうかなと思っておりまして、新たな免許状を創設することに関しては、一つには小中一貫教育学校が、制度が創設されたとして、実際どの程度の規模で導入されていくのかというところが今現在、まだ少し未定であるようなこと。それから、新たな免許制度を創設することによって免許制度が若干、現在でも複雑なんですが、より複雑になる可能性もあるんじゃないだろうかというようなところあたりの御意見が出ておりまして、そういう方向で議論進んでおります。
 一方で、当面は小学校と中学校の免許状の併有で始めるというしかないんだけれども、将来的なことを考えていけば、小中一貫教育学校の免許状を作るとかといった、そういった措置も将来に向けて引き続き検討していくようなことが重要であるという御議論もあったところでございます。
 それから、2-2のA3の資料の検討事項の二つ目の丸のところを御覧いただきたいと思います。上で申し上げましたア、イ、ウのいずれも選択肢をとったといたしましても、恐らく経過措置が必要になってくるのではないかということで、その部分についても御議論をさせていただいたところでございます。
 それで、その議論につきましておよそ、ここの黒ぽちのところで書いてあるような方向が出てきておるところでございまして。つまり、免許状を併有する、あるいは新たな免許状を創設するといった場合にも、直ちにそういう併有、あるいは新たな免許状の取得がすぐに短期的に進むというわけでも必ずしもございませんので、その場合、経過措置として、例えば小学校の免許状を持っていらっしゃる方は小中一貫教育学校の小学校の教育段階と申しますか、そこの部分については担当できる。それから中学校の免許状のみを持つ方についても、その中学校の部分については担当できるというような方向性が出されてございまして、なおかつ担当できる部分につきましては、それは教科のみならず学級担任もできるようにしようという方向で議論が進んでおるところでございます。
 その上で、両免許状の併有を促進するための仕組み、あるいは支援といった、そういった環境整備も更に充実をさせていくようなことが当面は重要ではないかという話になってございます。
 さらに、その下の米のところで二つほど丸が付いてございますけれども、小中一貫教育制度の検討するに当たって、例えばということで小学校の教科免許状の創設の必要性、あるいは現行の小学校の免許状、若しくは中学校の免許状で、それぞれ隣接校種における教育活動をもう少しできるようにすべきではないかといった措置の重要性についても指摘がされておりまして、こうした部分についても今回の議論の中で取り扱うとともに、さらに、右側にございますが、教員政策全般にわたっての取組という中で、教員免許制度についても、現在の開放制の原則とか、あるいは相当免許状主義といったことがございますけれども、そういうところに立ち戻って議論を進めていくわけでございまして、そういう中でも御議論を更に深めていっていただくことが考えられるということになっておるところでございます。
 それから最後に資料2-4でございますけれども、諸外国におけます現在の学生と免許制度に関します資料も配付をさせていただいておりまして、その中ではフィンランドあたりが1999年に9年制一貫の普通学校制度に移って以来、移ってきつつあるということで、その中の普通学校におけます指導体制とか、あるいは免許を持った教員の資格につきまして御紹介をするなどして御議論いただいたような状況でございます。
 私からは以上でございます。
【小川部会長】  ありがとうございました。前回の御意見踏まえて、今、教員養成部会で審議されている状況を御報告いただきました。
 今の御説明について、内容に対する質問及び教員養成部会に対して何か御要請等々ありましたら、この場で御意見伺いたいんですけれども、いかがでしょう。特に若月委員、前回お話ありましたけれども、いかがでしょうか。
【若月委員】  よろしいですか。
【小川部会長】  どうぞ。
【若月委員】  どうもありがとうございます。
 整理をしていただきまして、ありがとうございます。かなり整理されてきたと思うんですが。手順としては、この特別部会でいろいろ具体的な免許の在り方というものを検討して、それを今度、養成部会の方で更にたたいていただくことになるわけですね。この部会でできる範囲のことをよく考えながら話をしなきゃいけないんですが、今お話を伺っていると、時期も時間も限られていますので、そう余り大きな根本に関わるような議論はなかなかできないと。しかし、こういった小中一貫教育がどんどん進んでいる現状を踏まえた上で、当面それを応援するために、どういった免許状の面での策があるかということなんですが、どうしても経過措置といったものを考えていくことが中心にならざるを得ないなという気は私はしているんです。
 ただ、その場合、条件がありまして、教員養成部会の方では、その経過措置はどういった方向性と言ったらいいでしょうか、パースペクティブを持った、その上で、今こういう過渡的な措置をとりますよと、こういう形をとる必要が私はあるような気がします。ここがかなり現実的で、今すぐという問題を抱えていますので、それはそれで致し方がないんですが、将来こういうことを実現したいというメッセージを是非発信したいなと、こう思います。
 そこで、ちょっといいですか。余り時間がないので、もう私、意見を言わせていただきますが、今日頂いた検討メモですね。資料2-3で、今現在は丸3番、ウですか、これが中心だというんですが、これで終わってはいけない。養成部会の方でも、これで終わったんじゃ諮問に答えたことにならないだろうということは、私はしばしば申し上げています。
 そこで、この2-3でいきますと丸1なんですけれども。小学校、中学校及び小中一貫教育学校に対応した免許状の創設により対応というのがありますが、私は、これから行くべき方向は、小学校、中学校及び小中一貫教育学校を統合した免許状の創設と言ったらいいでしょうか。私のイメージとしては、そういうイメージを持っているわけです。
 ですから、ここでは今現在の小学校、それから中学校という学校教育法で定められた、それに基づいて小中、そして新たな一貫学校と、こういう法令の上に立っての記述なり考え方だと思うんですが、それはそれでいいと思うんです。しかし、免許状においては、それらを全部統合した免許状といったようなものを、これからは作る必要があるんじゃないですか。そのための、今はこちらで特別部会が上に上げる提言としては、そうしたものを目指す一プロセスとしての経過措置だということは態度表明としてきちっとしておきたいなというのが私の今の考えです。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 天笠委員、どうぞ。
【天笠委員】  私も若月委員と同じように、こちらの免許に関わる、そちらの部会にも属しておりますので。ですから、この場で発言すべきなのか、むしろ別のところで発言すべきなのか、非常に困ることがいろいろありまして。仮に、ここは私と若月委員だけの意見でということになるとすると、ちょっとそれは、この部会が構成されているわけですので、やっぱり、この部会としての養成部会に対しての見解というんでしょうか、ということは必要なんじゃないかなと思います。そういう意味では、それぞれの委員の方から、この免許の検討する部会に対しての意見の表明というのは、やっぱり大変必要なことではないかと思っております。
 私としては、今、若月委員と、ある意味で同じような立場かと思うところがたくさんありまして、やはり小中の現行の免許状の併有だけでは十分じゃないんじゃないかと思っておりまして。丸1、丸2に何らかの形で踏み込んでいくべき、そういう方向性を開いていくのが必要なんじゃないかと、そういうふうには個人的には思っていまして、これまで度々両部会で、そのことについて発言をさせていただいているわけなんですけれども、そういうことで、改めて部会としてというあたりのところは是非お願いしたいところでもあるわけです。
 以上です。
【小川部会長】  貞広委員、そして橋本委員。
【貞広委員】  ありがとうございます。では意見ということで。
 私も、現実的には併有ということなんでしょうけれども、現実的かつ後ろ向きな選択肢という印象がありまして、やはり9年間の義務教育を免許の側面からもサポートできるようなシステムを将来的に作る見通しでの併有と、そういう位置付けが非常に重要かと思います。
 ここからちょっと現実的な話なんですが。と考えますと、検討メモ、資料2-3の丸3のところに留意点ア、イとございますが、ここにもう一つ足していただいて、学校段階間の接続に配慮した養成段階での配慮というか。今、大学の側は、何年か前の課程認定で、小学校免許向けの科目と中学校免許向けの科目をきっちり分けなさいと言われているんですね。それを間違ったメッセージとして受け止める教員もおりまして、じゃあ小学校にどんどん特化した科目を増やしていけばいいという養成側の誤った受け止めのようなものもあるんですね。いや、むしろそうではなくて、今9年間の教育を見通して、どういうふうに子供を育てていくかという見通しを持った教員を育てなければいけないのにと言いながら、そうではないようなことが教員の養成の現場で進行しているので、そこの部分も是非、学校段階間の接続を見通せる力を身に付けるというところを教員養成の段階でどう配慮していったらいいのかというのを留意点の一番最後に付け加えていただければと思います。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 橋本委員。
【橋本委員】  ありがとうございます。ヒアリングや様々な調査の中から乗り入れ事業などを見ても、中学校の先生が小学校やその教科を持つということは割にうまくいっているわけですけれども、小学校の先生が中学校の中1の分からない子供にTTのような形で入れ込むという不安感の一掃というようなところが、この小中一貫の大きなテーマだと私は思っております。
 それは今、何人かの委員の方がおっしゃったように、免許の併有はもちろん基本ではありますけれども、やはり今その辺を一層進めることが、全国の大きな課題となっている、この段差というか、ギャップというか、これによって生じている大きな生徒指導の問題等をかなり解決していくヒントになるんじゃないかということが、おのずと明らかになってきているわけですから、やはり、それを経過措置として、一貫校になった場合には認められるような特別免許といいましょうか、特別、小学校の先生が中1に行って指導できるような、何かそういうものでも経過措置としてできれば、非常にそのことによって様々な課題が解決していく姿が明らかになっていくのじゃないかなと期待を持っております。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 福井委員。
【福井委員】  私が小中一貫教育校に勤めていたときの教員の実態を考えましたときに、従来の小中の教員が、それぞれ乗り入れて授業を実施をするときに、この免許がボトルネックになったことは確かでございまして、単独では教えられないので、小学校全科しか持っていない方は中学校のある教科にということは単独ではできないところの制約がありまして、幾ら全教員を小・中学校の兼務発令したといえども、教科についてはそういうところがあったので、今後の義務教育を一体として捉えていくという方向からいえば、当然のことながら大きな一本化は必要であろうと思われます。
 現状では、小学校の教員の割と多くは中学校のある特定の教科の免許を持っているケースが多いです。中学校の教科の教員が小学校全科を持っているのは、それに比べて比較的少ないという現状がございます。
 ただ、一本化したときに、現在でも履修の科目がたくさんあるのに、それを小中全部をひっくるめた課題を網羅したような科目設定をいかにしていくかと。履修科目が膨大になって、果たして4年間で通常に履修できるのかどうかというところも懸念されるかと思います。
 そういったときに、例えばフィンランドのこの資料を頂いていますけれども、クラス担任としての基礎資格と教科の専門としての基礎資格、そういうふうに分けろとか。例えば一本化した統合免許であったとしても、極端に物すごく統合といえば、中学校の全教科も全部教えられますという統合なのか、あるいは、ある学年から上はある教科に限定したということなのか。その際に、じゃあ教科担任制が、今は小学校では基本的に全科、中学校では基本的に教科担任制になっていますけれども、多くの小中一貫教育校のでは、5年、6年の一部教科の教科担任制を採用しておりますけれども、今後の方向として、その教科担任制を、どの学年でどうしていくべきなのかということの議論も大変重要になってくると思います。
 以上でございます。
【小川部会長】  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 四柳委員、どうぞ。
【四柳委員】  すみません。この分野に関しては本当に素人なので、素人の考え方として聞いていただきたいんですけれども、小学校だけの。
 まずは、これは、これから先生になろうと思っている人たちと、今もう先生になっている人たちとで考え方を分ける必要があるのかなと思います。今、先生になっている人たちが小中一貫教育の中で、そこの教員になるためにどうするかが経過措置ということなのかなと思うんですけれども、どちらにしても、小中一貫教育の先生になるためには、今、福井先生もおっしゃいましたけれども、非常にたくさんのことを勉強しなきゃいけなくなりますし、今、小学校の免許だけを持っている人が中学校も教えられるように、中学校の免許を持っている人が小学校を教えられるようになるということは、今できる仕事の内容にプラスアルファになるということなので、私は、そういった小中一貫教育校の免許を持とうと思う意欲のある学生なり先生なりということになるのかなと思うので、それを持とうとすることに対してのメリットというのか、検証制度というのか、そういったものを付けていただけると、やっぱり、その資格を持とうと思う人が増えていくのではないかなと思います。これ、意見です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 今日委員から出てきた意見については、教員養成部会の方で引き取っていただいて、また議論を進めていただければと思います。
 また、この特別部会においては、基本的には現実的に小中一貫教育の制度化を進めていくに当たって免許のありようをどうするかということについては、先ほど何人かからの委員の発言もありましたように、経過措置的な整備をしていくことは当面のこの我々部会に課せられた仕事の一つですので、そこをベースにしつつ、それだけに終わらせないで、やはり今後の教員養成部会の審議に対して、こういう方向でという見通しを示すような、そういう本部会のまとめの内容にしてほしいという御意向も出されましたので、それを本部会のまとめの際に、どういう形で書き込むかについては、また皆さんと御相談しながら書き込んでいきたいと思っています。また中間報告のたたき台の際に、その辺のところは確認しつつ議論していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、今日の最後の議題になりましょうか。前回出されました、施設分離型小中一貫教育学校のマネジメントの在り方について、これも何人かの委員から御質問とか御意見が出ましたので、これについて事務局で論点を整理していただきましたので、まずそれを説明いただいた上で、また皆さんからの御意見を伺いたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
【茂里教職員課長】  では、御説明いたします。前回のちょっとおさらいも含めてなんですけれども、資料2-1の基本的方向性の論点メモの5ページ、御覧をいただければと思います。資料2-1の5ページでございます。
 前回のこのことに関する御議論でございますが、二つ目の丸、赤いところでございますけれども、一つの中学校と複数の小学校のパターンを全て小中一貫教育学校としたい場合。すみません、資料2-5でいくと、このイメージ図です。イメージ図でいきますと、上半分。一つの中学校と複数の小学校のパターンを全て、この上半分のパターンにしたい場合、多くの校長のポストがなくなることとなって、教員の士気にも関わるし、手を挙げにくくなるのではないか。その観点からは、校長よりも少し強い権限を持つ学園長を、更に校長先生より上に置いて、その傘下にいる管理職として、従来の校長より少し弱い権限を有する校長を置くと、こういう仕組みを作ることができないだろうか。こういった御発言がございました。
 それから、1ページ前に参りまして、4ページの最後の丸でございますけれども、外国の事例として、マルチキャンパススクールのような複数の学校で学園を形成して一貫した教育を行う形態がある。そういう学校では最終的な決断は統括校長が行って、各学校ごとに校長が置かれるという形態がとられていると。
 こういったパターンを、下半分の方には、それに類したようなものが既に書き込まれているんですが、上半分の方でやることができるのか、できないのか。そのあたりの整理をという宿題でございました。
 このことを考えるに当たりまして、実は一つ大事なことがございます。このイメージ図の方の一番右の点線で囲ってあるところに、学校教育法の規定がございます。学校教育法第5条で、学校の設置者――この中でいえば教育委員会でございます。教育委員会というか、市町村ですね。市町村は、その設置する学校を管理する設置者管理主義というのが、ここで定められてございます。
 それから、第37条の中で、これは比較的新しくできた職でございますが、丸5のところで副校長というものが制度化をされております。副校長は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。それから、丸7に、よりおなじみの教頭がございます。教頭は、校長を助けて校務を整理して、必要に応じて児童の教育をつかさどるということでございまして、丸5は制度化をされているということです。
 現在、47都道府県で見ますと、副校長は設置をされていないところは、まだ結構残っているところでございます。
 この副校長との関係を考えると、もし仮に、前回御議論があったように、校長先生の上に更に強大な権限を持っている学園長を置くことになると、結局、その校長先生と副校長先生との関係との整理がつきにくくなるなということ。あるいは別の観点からいくと、校長先生に指図したり指示ができると、そういう職を新たに設けることになると、教育委員会との権限の整理が困難になるなということでございまして、事務的な整理としては、もし、この上のパターンで、しかも施設が若干離れたところにあるようなパターンで一体的にマネジメントするということであれば、校長先生の下に副校長をそれぞれの校舎に置いて、この副校長先生が校長の命を受けて担当の校舎の校務をつかさどると、こういった整理にしてはいかがかと思ってございます。
 あわせて、前回の議論の、いわば暗黙の前提のようなもので、これ、御発言もございましたけど、結局その下のパターン、下半分ですね。下のパターンは、通常の小中連携と余り変わらないんじゃないか。それであれば複数の学校がぶら下がっているパターンも、上の小中一貫教育学校の方にしたいと、こういう御発言もございました。
 若干、我々の前回の資料の作りが分かりにくかったところがあるかと思ったので、もう一度整理をし直しました。右上、まず御覧ください。右上の小中一貫教育学校の方は、繰り返しになりますが、施設の形を問わず、一人の校長先生が一つの教員組織を構成をして、そして教育課程も一つで構成をする。ここに教育課程の特例を創設をすると。これが、これまでの御議論だったかと思います。
 一方で下側ですね。小中一貫教育学校に準じて小学校や中学校が一貫教育を行うパターン。こっちについては、右下の方ですが、学校ごとに校長があって、教育課程は小中が一貫した形で、それぞれの校長先生が編成する。ただし、ここにも教育課程の特例同様のものを認めるべきではないか。こういった御議論であったかと思っています。
 組織につきましては、各学校ごとに構成をされますけれども、それらが連携、協力をして一貫した指導を実施する。こういったイメージでございます。
 ただ、御議論あったように、一般的な小中連携と何が違うんだということをきちっと区別をして、そして一貫した教育課程の編成・実施を担保する必要があるだろうということで、一つ目の丸は前回もございました。何らかの学校間の調整システムを位置付けるべきではないか。その中に、御議論があったような総合調整を担う校長先生をあらかじめ任命する。あるいは学園長ですとか、代表校長ですとか、いろんなネーミングはあろうかと思いますけれども、そういう校長先生を任命しておくこともございますでしょうし、あるいは学校運営協議会を合同で設置をして統括的なマネジメントを可能にしていくというパターンもあるでしょうし、あるいは比較的小さいところであれば校長先生を併任するということで一体的なマネジメントができるであろうと。
 恐らく、いろんな実態を踏まえれば、パターンがあり得るんだと思うんですけれども、いずれにしても何らかの調整システムがないと、一貫した教育課程ですとか、あるいは指導が担保されないのではないかということであろうかと思っております。
 あわせて、最後の丸、今回新しく付け加えましたけれども、9年間の教育目標を設けることですとか、あるいは9年間の系統性を整理して教育課程を編成する。それに基づいて指導計画を作っていくことも含めて、こういったことを何らかの形で要件化をして、この下半分のパターンが通常の小・中学校とは違うんだということを明確にした上で制度設計をしていく。そういうことが必要なのではないかなと考えてございます。
 いっぱい、たくさんの学校がぶら下がるようなパターンは、基本的には恐らく下のパターンに入ることが多いんだろうと。若干、例外的に上のパターンの右上の方に入るのもあるだろうと、こんなぐあいに整理をしたところでございます。
 以上でございます。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 特に今の説明では上の右の方、これは今、校長、副校長ですが、前回の議論は、上の方が統括校長で下が校長、そういうことが可能かどうかということでしたけれども、文科省の整理とすれば、それは難しいと、そういう御説明でしたけれども、いかがでしょうか。
【西川委員】  すみません。
【小川部会長】  どうぞ。
【西川委員】  僕は観点が違うのかもしれないけれども、大事なことは、こういう形態、例えば校長を置く、副校長を置く、あるいは代表校長を置く、そういったものを中学校区、あるいは市町村がきちっと決めて、その申請なり申出を都道府県が認めるというシステムを作るかどうか。
 国レベルでは、義務教育の校長は都道府県が決めるんだ、当然だと思われるかもしれませんが、市町村レベルでは必ずしもそうじゃなくて、ある市で、この市の校長は誰が決めていますかといったら、答えに窮する市はいっぱいあります。ということは、それはいい意味も悪い意味もあって、学校現場の努力や工夫を都道府県がきちっと認めるシステムを作ることが我々に課せられた課題と僕は思っています。制度化というのは、そういうことだと思う。だから、その仕組みをどう作るかを検討しないと駄目じゃないかと思っています。
【小川部会長】  その辺は自治体に任せたらという御質問なんですけど、いかがですか。
【西川委員】  それを都道府県が聞き取る制度を作る。
【茂里教職員課長】  今、市町村の人事の仕組みでいえば、市町村が内申というのが都道府県に上げて、それで、それらに関して決めることになってございます。今回、小中一貫をこういう形で制度化していくことになれば、全体の恐らく推進方策、もう1個の方でございましたけれども、そういったところで都道府県に対する国の指導や助言も含めて、この一貫教育という仕組みを推進する上で、どんなことを求めていくのか、指導していくのか、助言していくのかも含めて考えていく必要があるのかなと思います。
 今まで何回かございましたですね。今の現行の仕組みの中で、工夫で小中一貫できるのではないかという話の中で、それは工夫でやっていて頑張っているんだけれども、仕組みがないと、結局は人事がそれぞれ、そのときそのときの人事の担当者の意欲とか、動機とか、そういったところに関わってきてしまうので、きちっと制度化した上で進めていくことが、こういったことにも一定の対応になるのではないかという御意見もあったところでございまして、最終的にこれ、答申の案を整理をするときに、そのあたりも含めて、どんなことが書いていけるのかというのを検討したいなと思っております。
【西川委員】  それと一言だけ。制度化は必要だと思っていて、私が言いたかったことは、市町村が都道府県の意向をしんしゃくし過ぎて動けない状況はすごくあるので、市町村の意向を都道府県が尊重できるような制度化をしてあげないと変わらないと、そういう趣旨の発言でございます。
【小川部会長】  はい、分かりました。
 ほかにどうでしょう。福井委員、どうぞ。
【福井委員】  すみません。このイメージ図の右上の赤の太枠のところでございます。a校舎、b校舎があって、その場合に校長が一人で、それぞれの校舎には副校長をということでございますが、副校長と教頭は、この法規上、権限の違いはあるんですが、実際の学校への配置の感覚からいいますと、実際の職務はそれほど大きく変わりません。副校長と教頭を両方置いているところは、より大きい学校であるとか、特別な例に限られます。東京の場合には、もちろん、それだけの資質を確保しているんですけれども、副校長を置いているということになるわけであります。そして、その副校長が、今や教育職としての副校長、行政職としての副校長。校長も同じでございますけれども、行政的な仕事、そして教育的な仕事、両方がかなりたくさんございまして、順当に考えれば二人要るなという感覚があります。そうしますと、この副校長はかなり負担になってきて、これを更に校長を常に代理をするような形になると、今の実態からいうと、とてもとても厳しいという状況がございます。
 そんなところで、もう一つは、このa校舎、b校舎それぞれには、常時いる人は副校長しかいなくて校長がいないということの児童生徒や保護者、地域の方に対する説明といいましょうか、受け止めがどうなのかというところも心配でございます。
 一貫校になるということは、このa校舎、b校舎が二つの学校だったのを例えば一つになりますというのを、施設などをよりうまく充実させて、いい意味での省力化を図るということはあるんでしょうけど、学校における管理職の省力化の方法である必要はないと考えます。教育内容の充実を考えれば、今よりも一層努力が求められるわけだし、今以上に労力が必要だということでございますので、管理職の省力化では、教育内容の充実化は図れないと思います。
 以上でございます。
【小川部会長】  今のような議論の流れの中で、例えば、このイメージ図の赤いところについては、副校長二人じゃなくて副校長三人三人の体制なども含めてというニュアンスで聞こえたんですけれども、そういう含意もあった発言でしょうか。
【福井委員】  そうでございます。更に言えば、事務に管理職を置いて、いろんな渉外的なものを事務室が担う。都立学校でいえば経営企画室がございまして、従来の事務室を経営計画室と呼んでいるんですが、一部の都立学校には管理職を置いているわけでございまして、そこで完結するんですね。例えば調査物であるとか、対外的ないろんな折衝等は、そこで完結する。それが、まさに行政的なところをする。そうすると、既存の校長なり副校長は教育の中身に関わった仕事のウエートが格段に高くなるというところでございます。
【小川部会長】  橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】  先ほどの西川委員の御発言に関連してですが、県の教育委員会にいた者として人事のことを考えますと、やはり小学校長の部、中学校長の部という区分けで人事作業を行いますので、きちんと制度化されますと小中一貫教育校長の部という、おのずとそういうことを、しなければならないものと思われます。
【小川部会長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【茂里教職員課長】  すみません。赤い線で囲ったところが、前回の議論への宿題ということで作ったので、若干分かりにくいところがあって、すみません。この校長先生は、どこか学校と違うところにいるということを別にイメージしたわけではなくて、恐らくどっちかにいるんだろうなとは思っています。その上で副校長先生を置くことも、ある程度の部分、それなりの部分をお任せしたいということであれば、そういうことも考えられるかなという意味合いでございました。
 副校長先生の数についても、いろいろだと思うんです。学校のサイズにもよりますし。例えば、若月先生いらっしゃるところであれですけど、品川区のある学校、三人、副校長先生おられる学校、たしかありますですね。そこはいろいろなのかなと思っております。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかに。貞広委員、どうぞ。
【貞広委員】  ありがとうございます。諸外国のマルチキャンパススクールについてお話をさせていただいたんですが、すごくいいシステムですねと申し上げると、いいかもしれないけれども余り好きじゃないという答えが返ってきて。なぜかというと、マネジメントが複雑になって校長先生の仕事がとても大変で、非常に力量のある先生じゃないとやっていけないからという答えが返ってきます。
 この施設分離型の校舎、現行のシステムで統括校長という更に大きな権限を持つ校長先生の制度化が難しいのであれば、例えば先ほど西川先生がおっしゃったことに関連するんですけれども、やはり市町村から小中一貫教育学校をこういう施設分離型で作るので、非常に力量のある校長先生を是非配置してほしいというような内申には積極的に都道府県の教育委員会は応えていってほしいという方向を示していくのも非常に重要だと思います。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかに。よろしいでしょうか。そろそろ時間も迫っていますけれども。矢崎委員、どうぞ。
【矢崎委員】  この赤で囲まれた状況ですが、例えばaの学校、bの学校、それぞれ副校長が指導して職員会議でやりますよね。そのときに、職員会議の日だとか時間をずらして、それのそれぞれのところに校長が行くんでしょうか。ちょっと教えてください。
【茂里教職員課長】  比較的実務的な大事なところだと思うんですね。個別の学校の職員会議どうするか。前回、前々回ぐらいですかね、実態調査の結果もお出しをしていましたけれども、職員室を一つにするかどうかでも結構ばらついていたり、あるいは職員会議を合同でやるかどうかも比較的ばらつきがあったりしているところではありまして、恐らく法律レベルで何か作るというときに、個別の会議のことまで全て規制をかける感じには恐らくならないのかなと思うんですね。
 あとは、実態面でいきますと、例えば全部職員会議一本でやるということもあるでしょうし、あるいは比較的大事なものは一つでやって、それぞれの学年なんかの区切りに対応したものはそれぞれで分けてやるとか、恐らく、いろんな工夫が考えられるのかなと思います。
 上半分の話でございますので、これは一つの学校ということが前提でございます。その上での工夫ということになるのかなと思います。
【小川部会長】  よろしいでしょうか。若月委員、どうぞ。
【若月委員】  すみません。半月ぐらいまでやってきた人間も非常に迷うんですけれども、基本的には今の段階では、今日お示しいただいた、この幾つかのパターンがありますが、私はこれでいいんだろうなと思うんです。
 ただし、先ほど西川委員がおっしゃっていましたけれども、こうであるけれども最終的には、やはり設置者であるそれぞれの教育委員会が判断をして、例えば右上のパターンだけれども、場合によっては下の左のこういうパターンをとる、そういう自治体も出てくるかもしれない。これは、まさに先ほど来御指摘のように、様々な力量の差があったり、そのときそのときの目標、あるいは教育行政の狙いといったようなものもあるわけですから、その辺は柔軟に動けるような余地を残しておいた方が私はいいのかなという気がします。
 したがって、これを一つの基本パターンとして、あとは運用の幅をどうやって認めていくかといったことを考えればいいのかな。
 もう一つは、確かに貞広委員がおっしゃっていましたが、私の場合には都ですけれども、都は、持っているマンパワーにも限りがありますので、なかなか区、市の要望には一生懸命応えようとするけれど、その気持ちはあるけれど十分応えられないという実態もあります。そんなことも考えれば、やはり、ある程度の運用幅を考えてもいいかなという、そんな気がします。
【天笠委員】  最後、短く。
【小川部会長】  では、最後に、天笠委員。
【天笠委員】  この話は当然、今度はこの先には学校の内部組織の在り方というところに話は進んでいくわけでありまして、そういう意味でいうと、これまでの小中一貫の、そういう内部組織の開発の試みは更にもっと深めていくことが必要とされるところで、ある程度の段階で止まっているようなところが現状ではなかったかと思います。
 それは、やはり、この小中一貫教育が余り制度化されていないことへのちゅうちょというんでしょうか、その先まで内部の構造まで大幅な転換をとか、大幅な開発というところまで、ある意味でいうと止まっていたような、そういうところがあるんじゃないかと思うんですけれども。この四つのタイプでも、これ考えていくと、内部組織が随分いろんな姿になっていくんじゃないかと思いますし、それぞれの地域とか学校の条件等々で、いろんな姿、出てくるんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味では、それぞれの内部組織の開発が、それぞれの地域とか学校の状況に応じて、いろんな形で活発に動いていくような、そういう方向性でこういうことがあるというのも、また大切な一つの視点になるんじゃないかと思います。
 そういう点から改めて振り返ってみたときに、これまでの小中一貫教育の先行事例が、こういう教員組織、校長をトップにしてどうだったのかというあたりの事例の精査ということも、もう一度改めて整理したときに、それが内部組織にどういう形になっていくのかどうなのかというあたりのところの事例とかデータをもう一度整理してみて整えていくことも、また併せて必要なんじゃないかなと思います。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
【西川委員】  すみません、最後に全体討議とおっしゃったので、ちょっと残していたんですけれども、意見いいですか。
【小川部会長】  はい、いいです。どうぞ。
【西川委員】  今にかからなくていいですか。恐れ入ります。ちゃぶ台をひっくり返すような議論、あるいはこの場にふさわしくない議論かもしれませんが、自分自身ずっとこだわっていたことがありますので、発言だけしておきます。委員の責任だと思っております。
 今日の校舎の方につきましても、131校の施設一体型に調査をして、一貫教育は79校であったということでした。もちろん、そうです。あとの52校は連携だという御解釈でした。その根拠は、24年の接続等の部会で行われた定義、今回の文科省の定義に使いました連携と一貫の定義でございます。
 一貫教育と連携教育を区切りする際に、小中の9年間を通じた一貫した教育課程を持っていることを一つのリトマス紙にしてこられました。この部会は制度化を検討する部会だということで、私は、そもそも論はできるだけしてこなかったつもりです。そもそも小中一貫教育は何だという議論は、あえてしてこなかった。しかし、131の施設一体型のうち79しか回答していない。さらに、昨年、ある新聞社、私も協力してやった全国調査で、施設一体型の小中一貫教育校は100校でスタートしましたが、その中で小中一貫した教育課程を持っているものは50校しかありませんでした。ということは、我々の定義が現状の小中一貫教育に合っていないと僕はずっと思っています。
 しかし、そうではなくて、今後、小中一貫教育は、小中一貫した教育課程を持つのだという方針でなされるんだろうと思って、この発言は差し控えてきましたが、どう考えても小中一貫教育の実態と合っていない定義をこのまま継続することは、私にとっては非常に気になります。皆さんは小中一貫教育をどう定義しておられるんでしょうか。
 なぜかというと、この定義をそのまま継続すると、今後、大部分である施設分離型の場合、ハードルが高くて、現状の連携のままでとどまってしまう。そんな9年間のカリキュラムを作るだけの度量も時間もないから、じゃあ、うちは連携でいいよ。
 逆の場合もあります。ある自治体は、小・中学校でふるさと科というのを作っておりますが、小・中学校でふるさと科はありますが、そこには連携、一貫の要素は全くありません。9年間のカリキュラムはあるけれども実態はない。それはいいでしょう。
 しかし、私が気になっていたのは、これで本当に小中一貫教育の定義ができているのか。このことを問われたときに、僕は自信を持って答えられない。僕自身は、小学校教育と中学校教育の独自性と連続性を踏まえた一貫性のある教育だと定義しています。だから、国語科でもいいんです。国語科の中で、その一貫性を導き出していけばいい。何も新しいカリキュラムを作らなくていい。そうしないと一貫教育は広がらないと思っておりました。
 ちゃぶ台をひっくり返す議論と申しましたのはそういうことで、特にここで議論していただきたいということではございません。しかし、制度化を検討する部会ではありますが、我々は小中一貫教育をどのように定義し、どのようなイメージを持って今後展開をしていくかというのは問われていると思っております。
 すみません、時間をとりました。
【小川部会長】  ありがとうございました。その点については、次回に出す答申のところで、恐らくその辺は議論することになろうと思いますが、基本的には、平成24年の検討会議でも確認されたように、やはり9年間を見通した教育課程のカリキュラムを持つ、それは一貫校という定義付けで、そうした教育の制度化を進めるのがこの部会の趣旨だと思います。それを軸にしながら、そういう学校をどうやって推進していくかと、そういう総合的な方策を考えるのが、この部会の基本だと思っていますので。
【天笠委員】  ちょっとよろしいですか。そういう点で、今日、この資料1-1の5ページのところなんですが、最初にどうかということだったですけれども。この5ページのところが、今の西川委員のに直接重なるかどうか、ちょっと分からないんですけれども。教育課程・方法の改善ということで、小中一貫カリキュラムの在り方ですとか、教育課程の在り方、系統性、指導性ということなんですけれども、ここのところの意見、議論というんでしょうか、が、どちらかというと、まだ現在で足りないような。9年間、あるいは4・3・2のカリキュラムとか、そういうことについての意見交換等々が、まだ足りないように思いまして。
 そういう点では、今の西川委員の指摘等々は、カリキュラムの在り方ということの議論の中で、ある意味でいうと、検討していったり、在り方を考えていったりと、そういう進め方も、また一つあるんじゃないかなと思います。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 時間もちょっとオーバーしていますけれども、今まで制度化の基本的な方向性、そして推進の方策についても議論してきて、今までに出てきた議論をベースにしながら答申案というか、中間まとめ案のたたき台を次回出して、そこで更にもんでもらうと一応考えています。基本的な方向性及び推進方策等々に関わって何か言い残していた方がいらっしゃれば二、三受けたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【若月委員】  ちょっといいですか。
【小川部会長】  はい、どうぞ。
【若月委員】  今、天笠先生おっしゃった、その一貫教育の定義に基づいて、やはり、その中心は教育課程だという、そこら辺の議論をもっともっと深める必要があるだろうということは私も大賛成です。
 それからもう一つは、ここから提言した次の教員養成部会の中では、教員の養成、そして採用、研修と、こういう大きなテーマはあるわけです。これは、ただ単に子供の教育課程をどう改善し、よりよい学校教育を作っていくかと同時に、やはり教員の質といったものは、一貫教育を行うことによって教師の質、ポテンシャルがどう変わっていくか、あるいはどう変えていきたいのか。これは養成部会の方のテーマの一つにもつながってくる問題だと、私はこう思います。
 したがって、この教育課程と同時に教員養成を、今の大学は別としますが、今の大学が持っている養成課程のカリキュラムそのものだって問われ直すことにつながってくるだろうと。そういう問題に、これは深く関わっている問題だと、こう考えています。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。よろしいでしょうか。
 なければ、これで今日の会議は終わりたいと思いますけれども、先ほど言いましたように次回は、これまでの御意見を踏まえて、まとめ案のたたき台を、出させていただければと思います。
 次回の予定をお願いします。
【小林教育制度改革室長】  次回は10月31日金曜日の午後3時から5時を予定しております。追って正式な御案内を送付いたしますので、御出席のほど、よろしくお願いいたします。
【小川部会長】  10月31日金曜日の3時から5時ということですので、日程の確認と確保をお願いいたします。
 それでは、今日の会議、これで終わります。ありがとうございました。

                                                                  ―― 了 ――

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