小中一貫教育特別部会(第1回) 議事録

1.日時

平成26年8月29日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 小中一貫教育の制度化の在り方について

4.議事録

【串田初等中等教育企画課長】  定刻になりましたので、ただいまから、小中一貫教育特別部会を開催させていただきます。
 本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。初等中等教育企画課長の串田でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。後ほど部会長をお決めいただきますけれども、それまでの間、便宜的に私が議事進行を務めさせていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
 本日の配付資料は、議事次第にありますとおりでございますが、万が一、不足等ございましたら、事務局にお申し付けいただければと存じます。
 本日の議事につきましては、部会の第1回目ということもございますので、部会長の選任、会議の公開手続の決定を行っていただいた後に、事務局より配付資料の内容の御説明をさせていただきまして、委員の先生方の意見交換をお願いしたいというふうに思っております。
 それでは、まず委員の御紹介をさせていただきたいと思います。お手元に、参考資料1として名簿がございますが、座席の順に、順次、紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、左手から若月委員でいらっしゃいます。
【若月委員】  若月でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  福井委員でいらっしゃいます。
【福井委員】  福井でございます。よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  無藤委員でいらっしゃいます。
【無藤委員】  無藤です。よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  西委員でいらっしゃいます。
【西委員】  西です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  小川委員でいらっしゃいます。
【小川委員】  小川です。よろしくお願いします。
【串田初等中等教育企画課長】  天笠委員でいらっしゃいます。
【天笠委員】  天笠です。よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  安彦委員でいらっしゃいます。
【安彦委員】  どうぞ、よろしくお願いします。
【串田初等中等教育企画課長】  大橋委員でいらっしゃいます。
【大橋委員】  大橋でございます。よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  國定委員でいらっしゃいます。
【國定委員】  國定でございます。よろしくお願い申し上げます。
【串田初等中等教育企画課長】  西川委員でいらっしゃいます。
【西川委員】  西川です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  橋本委員でいらっしゃいます。
【橋本委員】  橋本でございます。よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  四柳委員でいらっしゃいます。
【四柳委員】  四柳でございます。よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  また、本日は御欠席となっておりますけれども、ほかに貞広委員、矢崎委員が本部会の委員に就任されております。
 続きまして、文部科学省、それから国立教育政策研究所からの出席者を紹介いたします。
 小松初等中等教育局長でございます。
【小松初等中等教育局長】  小松でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
【串田初等中等教育企画課長】  徳久大臣官房総括審議官でございます。
【徳久大臣官房総括審議官】  よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  大槻国立教育政策研究所長でございます。
【大槻国立教育政策研究所長】  どうぞ、よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  中岡大臣官房審議官でございます。
【中岡大臣官房審議官】  中岡でございます。よろしくお願いします。
【串田初等中等教育企画課長】  髙橋教育再生実行会議担当室長でございます。
【髙橋教育再生実行会議担当室長】  (一礼)
【串田初等中等教育企画課長】  伯井大臣官房審議官でございます。
【伯井大臣官房審議官】  (一礼)
【串田初等中等教育企画課長】  関文教施設企画部長でございます。
【関文教施設企画部長】  関でございます。よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  以上でございます。
 それでは、部会長の選任に移らせていただきたいと思います。参考資料2にございます中央教育審議会令第5条第3項によりまして、委員の互選により選任することとされておりますが、どなたか御推薦いただける方がいらっしゃればと思います。
 天笠先生、お願いします。
【天笠委員】  よろしいでしょうか。私の方からお諮りをさせていただきます。
 この今回の資料の中にもありますけれども、平成24年7月にまとめられました意見等の整理、小中連携、一貫教育に関してと。そのときも座長を務めていただきました小川先生に、引き続き、今回、続きの発展的なテーマということかと思いますので、御推薦を諮らせていただきたいと思いますけれども。よろしくお願いいたします。
【串田初等中等教育企画課長】  ありがとうございます。
 ただいま、天笠委員から、小川委員が部会長に適任であるとの御意見を頂戴しましたけれども、よろしいでしょうか。
   (「異議なし」の声あり)
【串田初等中等教育企画課長】  それでは、皆様、御了承いただいたということで、小川委員に部会長をお願いさせていただければと存じます。
 それでは、小川先生、部会長席にお移りいただければと思います。今後の議事につきましても、小川部会長にお願いしたいというふうに存じます。よろしくお願い申し上げます。
   (小川部会長、部会長席に移動)
【小川部会長】  小川でございます。よろしくお願いします。
 小中一貫教育の推進とか小中一貫教育の制度化というふうなテーマについては、先ほど天笠委員からもお話がありましたように、平成24年に、学校段階間の連携・接続等に関する作業部会というのがありまして、そこで、今、言ったようなテーマについては検討を進めた経緯があります。その際、この作業部会の主査を務めさせていただき、また、そのときのメンバーも今回の特別部会のメンバーとして何名か入られております。
 平成24年の作業部会の際に、小中一貫教育の推進の基本的な方向性については確認されたように思いますけれども、それに関わって幾つか積み残された諸課題もありました。特に、義務教育学校の創設等々についてはいろいろな意見がありまして、論点は整理しましたけれども、更に踏み込んだ議論というのは、平成24年の検討会議の際には積み残された大きな課題の一つとしてありました。それ以降、この2年間、小中一貫教育の全国の様々な取組というのはいろいろな面で進んでいるという状況がありますし、また検証に要するようないろいろなデータも蓄積されているかと思いますので、そうした検討会議での積み残しの課題を引き取りながら、この部会では、そうした検証データを踏まえながら、更に踏み込んだ議論を深めて、この特別部会としての方向をまとめていっていただければというふうに思います。どうか、よろしくお願いいたします。
 あと、この後に議題に入るわけですけれども、その前に、中央教育審議会令において副部会長を指名するということになっております。副部会長については部会長が指名するというふうな規定がございますので、私からは、副部会長として、初等中等教育分科会の様々な運営等々を考えまして、初中分科会に関係しております無藤委員と安彦委員のお二人に副部会長をしていただければと思います。無藤委員、安彦委員、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
 それでは、両委員、副部会長の席に移動をお願いいたします。
   (無藤副部会長、安彦副部会長、副部会長席に移動)
【小川部会長】  次に、部会の会議の公開について決めたいと思います。この点については、事務局から資料を説明いただきたいと思います。
【武藤教育制度改革室長補佐】  それでは、本部会の会議の公開等について、かいつまんで御提案を申し上げます。
 参考資料3をごらんください。参考資料3、これは本部会の上部組織であります初等中等教育分科会の運営規則でございます。1ページ目の下の方に下線を付してございますが、第5条で、会議の原則公開が規定をされております。それから、その後、第6条で、会議の傍聴は事務局の登録を受けなければならないこと等が定められております。
 それから、次のページにまいりまして第7条でございますが、ここで会議の資料、それから第8条で議事録の公開が定められておりまして、原則は公開。ただし、公開により公平かつ中立な審議に著しい影響を及ぼすおそれがある場合等は、全部又は一部を非公開にできる旨の規定がございます。
 事務局といたしましては、本部会の会議の公開等につきましては、この分科会の取決めに準じる形で行うことが適当と考えております。
 以上でございます。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 今、資料3に基づいて、この本部会の会議の運営に関わっての御提案がありました。この部会におきましても、初等中等教育分科会に準ずる形で公開とするということにしたいと思いますけれども、御異存はございませんか。よろしいですね。
   (「異議なし」の声あり)
【小川部会長】  では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、傍聴者の入室を認めますので、しばらくお待ちください。
   (傍聴者入室)
【小川部会長】  では、会議を再開いたします。
 本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音を行いたい旨の申出がございましたので、これを許可しております。御承知おきいただければと思います。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 きょうは、まず事務局の方から、今回の小中一貫教育の制度化に関する諮問の背景、またこれまでの主な議論、検討すべき論点の案などについて説明を頂きます。
 その後、今後の検討の進め方、スケジュール等々について説明を受けて、その後に、検討の方向性や審議の進め方、検討の進め方等について、各委員から自由に御意見を頂きたいと思っております。きょうは、そのようなスケジュールで進めたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では、はじめに、初等中等教育企画課より説明をお願いいたします。
【小林教育制度改革室長】  はい、失礼いたします。
 それでは、お手元の資料1から資料5まで、まず、御準備いただけましたらと思います。
 資料1は、教育再生実行会議の第五次提言でございます。これは、今年の7月4日にまとめられたものでございまして、この資料1の2ページをおめくりいただけますと、この提言の中で、学制に関する様々なことが議論されたのですが、その中で、子供の発達に応じた教育の充実、様々な挑戦を可能にする制度の柔軟化など、新しい時代にふさわしい学制を構築するということで、その下での提言の中で、4ページでございますけれども、4ページの上から二つ目の丸の所に、小中一貫制度についての提言がございます。具体的には、少し読み上げさせていただきますと、国は、小学校段階から中学校段階までの教育を一貫して行うことができる小中一貫教育学校(仮称)を制度化し、9年間の中で教育課程の区分を4-3-2や5-4のように弾力的に設定するなど柔軟かつ効果的な教育を行うことができるようにする。小中一貫教育学校(仮称)の設置を促進するため、国、地方公共団体は、教職員配置、施設整備についての条件整備や、私立学校に対する支援を行うという提言がまとめられたところでございます。
 こちらの教育再生実行会議の提言を受ける形で、本年7月29日に、お手元の資料2でございますけれども、文部科学大臣から中央教育審議会への諮問の資料を準備させていただいております。こちらで、資料2の2ページ以降が具体的な今回の諮問事項でございます。今回、諮問事項は二つございまして、一つが、今、申し上げました子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築についてということでございます。もう一つは、教職員やチームとしての学校の在り方についてということでございますが、今回は、この1の諮問事項に関連いたしまして、具体的には、2ページの一番下の所でございますけれども、御審議をお願いしている事項といたしまして、第一に、小中一貫教育の制度化をはじめとする学校段階間の連携の一層の推進についてということでございます。
 3ページの冒頭の所でございます。教育再生実行会議では、幼稚園と小学校、小学校と中学校などの学校間連携の一層の推進や、小中一貫教育の制度化、また、これらを踏まえた教員免許制度の在り方などについて提言がなされておりますが、この中でも喫緊の課題である以下の事項について、御検討をお願いしますということで、白丸の所でございますけれども、具体的に、中1ギャップと呼ばれる中学校進学に伴う環境変化への不適応への対応や、小学校への外国語活動の導入をはじめとした学習内容の改善への対応等を考慮し、小学校教育と中学校教育の接続について、小中一貫教育を学校制度に位置付け、9年間の教育課程の区切りを柔軟に設定できるようにすることなどにより、学校段階間の連携の一層の推進を図る必要があるが、これまでの全国各地の先導的な取組の成果・課題を踏まえ、どのような制度設計が考えられるか。また、その制度が有効に機能するための教員免許制度はどうあるべきか。さらに、小中一貫教育を全国的に展開するとともに、取組の質の向上を図る観点からどのような方策が考えられるかというのが、今回の諮問の内容でございます。
 この諮問を受けまして、お手元の資料3でございますが、既に7月29日に開催されました総会と、8月6日に開催されました初等中等教育分科会、こちらの二つの会議で、既に委員の先生方から幾つかの御意見を頂いているところでございます。全て御紹介するのは時間の都合で難しいのですが、幾つか御紹介させていただきますと、資料3の最初の部分が小中一貫教育全般についての御意見でございますが、例えば一つ目でございますけれども、既に教育課程特例校制度を用いて小中一貫教育を行っている教育長からの御意見として、学力や生徒指導面で非常に効果が上がっているというようなお話の紹介が総会でございました。
 それから、二つ目でございますけれども、中学校の授業は講義型であり小学校の授業と大きなギャップがあるので、小学校で学んだやり方を中学校でも一緒にやるのが重要だというような御意見。
 それから、小中一貫教育の中の下から二つ目でございますけれども、小中一貫については、これまで小学校・中学校を分けて教育問題を議論してきたところ、9年間を見通して学校制度・教育内容を考えようという点において重要な発想である。学教法の第21条も、義務教育として行われる普通教育の目標を定めてあるので、しっかりと制度構築するべきだというような御意見。
 その一方で、白丸の最後の部分ですが、教育委員会も現場も自由にやれるのが重要であるというような御意見も頂いているところでございます。
 また、教員免許の関係では、この資料3の一番下でございますけれども、小学校の免許を有する人が中学校で何をできるようにするのかという点も重要なポイントであり、議論すべきであるという御意見も頂いております。
 また、次の2枚目でございますけれども、小中一貫教育を検討していくに当たって、その審議の進め方について具体的な御意見も幾つか頂いております。
 例えば、最初ですが、小学校や中学校の先生方のきめ細かな連携の取組などについても、聞き取りを行うといいというような御意見ですとか、あるいは小学校の学級担任制と中学校の教科担任制の違いなど、乗り越えるべき課題がある。それらの課題については、先駆的に小中一貫教育に取り組んできたところが、乗り越えてきた苦労を分かりやすい形で議論の中で示していく必要があるというような御意見も頂いております。
 また、コミュニティとの関わりで、小中一貫学校と地域との関わりも議論すべきであるといった御意見。
 それから、中1ギャップが生じる原因について、学級担任から教科担任になるですとか、あるいは評価の在り方、そういったことについてきちんと議論すべきではないかという御意見。
 それから、下から二つ目の所ですが、小中一貫と現在ある中高一貫の関係も議論すべきであるといった、審議の進め方についての御意見を頂いているところでございます。
 それから、資料4でございます。先ほど小川部会長の方からも少し御紹介いただきましたが、平成24年に中教審の初中教育分科会で作業部会を設けて御議論いただいた、その意見の整理ということで取りまとめいただきました内容について、少し御紹介をさせていただきたいと思います。
 資料4の、ちょっと分厚い資料でございますが、最後の2ページは概要になっております。その前の31ページからが、当時は、義務教育学校制度という名前で御議論いただいておりましたけれども、義務教育学校制度(仮称)創設の是非という所が、今回の小中一貫についての、その創設の是非についてまとめられたところでございます。31ページから少しその論点が示されており、その論点の後の、恐縮ですが32ページの所をお開きいただけますでしょうか。32ページから、それぞれ、当時、御議論いただきました中で、この学校制度の創設に賛成の御意見あるいは慎重にするべきだというような御意見、両方頂いておりました。少し長くなりますけれども、中をかいつまんで御紹介させていただきます。
 32ページの真ん中あたりでございますが、最初の御意見として、地域の実情に応じて制度を選択できるようにするため、各学校設置者が義務教育学校の設置について判断するような仕組みとするのが望ましいという御提言がございました。
 また、その下でございますけれども、義務教育を一体的に捉え9年間で児童生徒の学力向上を図っていく観点からは、自然な発想である。9年間の学年区分、例えば4-3-2や5-2-2等については、学習指導要領を満たしながら、設置者が判断できるようにするとともに、児童生徒が転学又は編入学した場合の対応を、学校において責任を持って行うこととするのが望ましいというような御意見。
 それから、義務教育学校制度(仮称)を創設した上で、教員免許の在り方あるいは学習指導要領の在り方についての見直しを行うことが望ましいといったような、三つ目の所でございますけれども、そういった御意見を頂いております。
 また、33ページ、一番上ですが、義務教育学校制度(仮称)を創設した場合、地域レベルでは既存の小・中学校が一緒になり、新しいまちづくりをする地域においては、そういった義務教育学校を導入してもきめ細かく配慮することができて良いのではないかというような御意見を頂いております。
 当時、慎重にすべきだというような御意見も頂いておりました。その御意見を幾つか御紹介させていただきますと、一番上ですが、児童生徒が9年間の途中で挫折した場合など、学校が変わることによる再チャレンジの機会がないことになり、心配であるというような御意見。
 それから二つ目ですが、学びの拠点である学校の数が減るということの問題が掲げられております。
 また三つ目ですが、小中連携・一貫教育に取り組んでいる学校の狙いは、いわゆる中1ギャップの解消、学力向上、コミュニティの育成、小規模校の活性化等であり、義務教育学校制度(仮称)の創設によりこうした課題が解決するとは思えず、結論として制度の創設は時期尚早であるといった御意見も、当時は頂いております。
 また、その少し下の下がった所でございますけれども、一つの自治体の中に小学校、中学校、中等教育学校、義務教育学校があることが、システムとしてどのような効果をもたらすのかが不明であるというような御意見。
 それから、一つ飛ばしまして下の方ですが、いわゆる受験競争の低年齢化を招かないように配慮する必要があるといったような御指摘を頂いております。
 34ページでございます。そういった様々な義務教育学校を創設することのメリットあるいは慎重にするべきだといったような御意見、そのほかにも、例えば義務教育の継続性の確保、あるいは小・中学校の教育課程に関する柔軟な対応、それから小学校・中学校の教員の、他校種の児童生徒に対する指導力の向上といったメリット。あるいは、校地・校舎の一体的運用というようなことが、義務教育学校制度(仮称)を創設すると期待されることとして、別途、掲げられておりますが、こういったことは、既に特例校の制度、これは特別に認められる教育課程特例校制度などがもう既に創設されているので、そういったものを活用すればできるのではないかといったような御指摘、あるいは平成14年に、免許に関し、隣接校種の免許状を取得する際の修得単位数の軽減措置などが講じられているので、そういったことで対応できるのではないかというような、現行制度において対応可能な面もあるのではないかといった御意見がございました。
 当時は、今、御紹介させていただいたようなことから、34ページの最後の白丸の所でございますけれども、将来的に改めて義務教育学校制度(仮称)の創設について検討する場合には、小中一貫教育を推進する学校、設置者の取組、ニーズ、成果や課題などについて把握、検証した上で、「初等教育」と「中等教育」のいずれの段階も含む形態で、一つの学校種として「義務教育学校」を制度化することの是非、それから、「中等教育学校」との制度的整合性等について、十分な検討を進めることが必要であるというようなことがまとめられたところでございます。
 もちろん、今回、最初に御紹介いたしましたように、それから2年ほどたちまして、今回は、教育再生実行会議の第五次提言で、制度化の是非ではなく、既に制度化が望ましいということで御提言を頂いているところでございますけれども、様々な検証の必要性ということが、この平成24年の意見の整理では示されているところでございます。
 最後に、資料5でございます。この特別部会におきまして、是非、検討をお願いしたい事柄について、イメージを事務局の方でリストアップさせていただいたものでございます。もちろん、これだけではないかもしれませんけれども、便宜上、本日、イメージとして例示させていただいております。
 一つは、小中一貫教育の目的について、検討すべき事項として挙げさせていただいております。
 具体的には、例えば、現行制度下での小・中の接続にはどのような課題があるか。それから、小中一貫教育で想定されるメリットは何かといった事柄があろうかと思います。
 また、2点目でございますが、現状の小中一貫教育の取組の成果・課題の分析ということで、これは、先ほど御紹介いたしました平成24年の報告の中でも、まだそういった分析あるいは検証が十分ではないのではないかということで、制度化が見送られたという経緯がございます。そういったことを踏まえますと、これまでの主な成果・課題、あるいは好事例に見られる特徴的な取組としてどのようなものがあるのか。
 あるいは、小中一貫教育で想定されるデメリットは何か。それらに対してどのような対応がなされているのか。これは、24年の報告では、例えば人間関係の固定化ですとか、転校・転学の際の問題ですとかが掲げられておりますけれども、そういったデメリットは、どのような対応が、既に取組校においてなされているかといった検討事項があるかと存じます。
 また三つ目でございますが、小中一貫教育の制度設計の基本的方向性をどうしていくかということで、例えば、小中一貫教育を学校制度に位置付ける意義・目的はどういったものになるか。
 いわゆる施設一体型・分離型の扱いをそれぞれどのように考えるべきか。
 それから、設置義務や就学指定との関係をどのように考えるべきか。
 小学校・中学校段階に対応した教育課程の区分の在り方、教育課程の特例の在り方についてどのように考えるか。
 それから、教科担任制の導入など教育組織の在り方についてどう考えるか。
 既存の学校種、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校等との関係をどのように考えるか。
 こういった論点が考えられるのではないかと思います。
 また、4点目でございますが、小中一貫教育の全般的な推進方策についてでございます。例えば、国、都道府県、市町村それぞれの役割についてどのように考えるか。
 教職員人事・定数面や施設整備面での支援策はどうあるべきか。
 地域とともにある学校づくりとの関係をどう考えるか。
 それから、小中一貫に関する学校評価の在り方についてどう考えるか。
 小中一貫教育学校(仮称)の制度化と、今後の学制改革との関係についてどう考えるか。これは、先ほど御紹介いたしました第五次提言でも、小中一貫教育の制度化をして、そこから次の学制の在り方について検討するといった提言がございますので、こういったものを挙げさせていただいております。
 また、最後ですが、小中一貫教育学校(仮称)の制度化に伴う教員免許制度の在り方についてどう考えるかということがあろうかと思います。
 なお、最後の教員免許の制度の在り方についてでございますが、これは、教員養成部会でも御審議を頂く事柄でございますので、検討状況は、適宜、こちらの特別部会の方でも共有いただけるように、事務局でも準備してまいりたいと考えているところでございます。
 長くなりましたが、資料1から5まで御紹介させていただきました。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 審議に入る前に、もう1点、今、御説明いただいた小中一貫教育の制度化に関わる検討すべき論点、事項案について、これからいろいろな御意見を伺うわけですけれども、その前に、今、挙げたような検討すべき論点、事項を、どういうスケジュール観で進めていくかということについても、これはまず事務局の方から説明いただきたいと思います。
【小林教育制度改革室長】  はい。1枚の資料で資料6でございますけれども、そこに、小中一貫教育特別部会、本部会の検討の進め方(イメージ)として、事務局の御提案を書かせていただいております。
 こちらでございますが、本日、第1回目ということで、次回以降でございますが、大体、9月から10月頃、第2回から第6回を開催させていただきまして、その中で、「集中審議」と書かせていただいておりますが、具体的には、前回の作業部会の報告で、もう少し検証が必要であるといったような御提言を特に頂いておりますので、それを踏まえまして、現在、既に小中一貫の取組を行っていらっしゃる自治体あるいは学校等に対するヒアリング、実態調査、これは、現在、事務局の方で、既に小中一貫教育の取組についての実態の、少し規模の大きい調査をしているところでございますので、そういったものに基づく小中一貫教育の現状の課題の分析を議題に挙げさせていただければと考えております。
 また、制度設計の基本的な方向性ですとか、小中一貫教育の総合的な推進方策などについて、御議論いただければと考えております。
 また、さっき御紹介させていただきましたように、教員養成部会の方で教員免許について並行して御議論いただいておりますので、適宜、その検討状況を共有させていただければと考えております。
 第7回とございますけれども、10月末ぐらいを目途にして答申の素案、それからパブリックコメント。
 12月の上~中旬ぐらいで答申案の取りまとめ、これを初中分科会の方に、この特別部会から報告・審議。
 それから、12月中あるいは日程の都合で1月上旬になるかもしれませんが、総会で答申をおまとめいただけないかということで、事務局としての案を作成しております。
 資料7は、本日、時間の都合で御紹介は省かせていただきますが、これは、中1ギャップあるいは既存の小中一貫の特例を使った様々な学校の取組、あるいは最近の全国学力調査で小中連携と学力調査の関係など、そういった成果が既に現れているものについて簡単にまとめている資料でございますので、適宜、御参照いただければと考えております。
 以上でございます。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 今、資料6に基づいて、今後のこの部会のスケジュール観を説明いただきました。特に9月、10月、2、3、4、5、6ですから5回ということで、かなりタイトな審議のスケジュールになっておりますけれども、よろしくお願いいたします。
 では、今まで事務局から説明いただいた小中一貫教育の制度化に関わるこれまでの経緯、また、これから検討すべき論点、そしてまた、今、資料6で御説明いただいた今後の進め方等々について、この内容につきまして、きょう最初ですので、各委員から御自由に、進め方に関わっても構いませんし、小中一貫教育ないしは小中一貫教育の制度化に関わるこれまでの経緯を踏まえての御意見、御質問、また、先ほど事務局から提案いただいた資料5に示されたような、今後この部会で検討すべき論点、事項案等々について、きょうは御自由に御意見を伺っていきたいと思います。
 資料5で示した検討すべき事項案、論点というのは、これは飽くまで事務局からの現時点でのたたき台ですので、また次回以降、きょう皆さんから頂いた御意見で、これは絶対外せない検討事項、論点であるということであれば、更にこの資料5に付け加えていくという、そういう形で、論点、検討すべき事項をより豊かなものにしていきたいと思いますので。
 きょうは、まず取っ掛かりということで、この資料5の検討すべき事項案、論点を少し取っ掛かりとして様々な御意見を頂ければと思います。
 どうしましょうか。きょうは最初ですので、とにかく全員の方に御意見を伺いたいと思うので、順番にやっても構いませんし、一人一人、挙手をお願いして審議しても構いませんけれども、どうしましょうか。
 若月委員の方から、ずっとこういきますか。じゃあ、よろしくお願いします。若月委員、よろしくお願いします。
【若月委員】  ありがとうございます。
 今、御説明を頂きましてありがとうございました。素朴な質問で申し訳ないんですけれども、今、御説明を頂いた検討すべき事項というのを拝見させていただきました。どれも、大事な項目だろうと思うんです。
 それから、資料4ですか、今まで作業部会の方で御議論いただいた内容も上手にまとめていただきまして、大変参考になりました。
 ちょっと分からないので、ここは質問になるかと思うんですけれども、小中一貫教育といったようなものを語るとき、とかく、これは大事なことでありますから、もちろん検討しなきゃいけないことなんですけれども、例えば中1ギャップであるとか、ただ単なる学力向上であるとかという個別具体的なことを克服する、それも小中一貫教育の一つの大きな狙いであることには間違いないのだけれども、もっと大きな、日本の義務教育そのものの質と言ったらいいでしょうか、こういったようなものに対する一つの提言だろうというふうに私は捉えるわけなんです。例えば、今、出ている中1ギャップだとか不登校だとか、そうしたものというのは、今、個別の小中の学校でもそれぞれ大変な努力をされているし、それなりに結果もいろいろ出ているわけであります。にもかかわらず、そこへもってきて小中一貫と、こういうことになる場合には、やはりそこには何か、一貫ならではのものというものが、当然、出てこなきゃいけないだろうと、こう思うわけです。
 そのヒントが、今、頂きました、この作業部会の資料4ですね。例えばなんですけれども、32ページの、いわゆる義務教育学校制度(仮称)の創設に賛成との意見、この項の黒丸の三つ目に書いてあります後半なんですけれども、教員のことが書いてありますが、その後、学習指導要領の在り方も、各学校段階別に云々(うんぬん)と。義務教育段階の学習指導要領として作成するようにすることが望ましいと、こう書かれていますが、私は、ここは非常に大事な御指摘だろうと思うわけです。この学習指導要領の在り方そのもの、それは、ひいては一貫教育の教育課程に影響してくるものでありますから。
 そう考えたときに、この頂いた資料5の検討すべき事項(イメージ)というふうにお示しになっていらっしゃいますけれど、その中に、例えばそういう学習指導要領に絡むような教育課程の在り様といったようなもの、あるいは教育課程を考えていくときの一つの視点といったようなもの、こんなものも、この検討すべき事項の中では重要なことではないのかなと感じるわけですが。いや、ここにはこう書いてあって、それは含まれていますよということであれば教えていただきたいと思います。
 以上です。
【小川部会長】  これ自体は、恐らく部会で検討すべき重要な課題の一つだと思うので。
 事務局、まず検討すべき事項案と作られた事務局の方から、どういう思いでその辺のところは。
 どうぞ、御説明をお願いします。
【小林教育制度改革室長】  まさに、今、部会長がおっしゃったように、当然、このイメージに書かれていないことも含めてと思っておりますが、一つ、教育課程については、3番の四つ目の所でございますが、これは教育課程の区分の在り方ですとか特例の在り方と非常に狭く書いてしまっておりますけれども、今、おっしゃったような、もう少し大きな視点からの御議論も、当然、頂くべきかと思っております。そもそも、小学校と中学校というものを残すべきかというところから、全部、小中一貫教育学校にするといったことも、理論上、もちろんあり得ますし、そういったことをどう捉えていくかということと併せて、指導要領もどうしていくのか、そういったことを大きく御議論いただければと存じます。
【若月委員】  ここに含まれているというふうに考えていていいわけですね。
【小林教育制度改革室長】  はい。
【小川部会長】  私も、前の作業部会のときも、その点は重要な論点であって、そういう一貫校を作るときに、現行制度の学習指導要領をベースにして、各学校が柔軟に対応していくのか。国レベルとして一貫校を作るのであれば、一貫校にふさわしい学習指導要領もきちんと考えるべきじゃないかと。その辺の議論は、やっぱり作業部会では出ていたように記憶していますので。今回、小中一貫教育の制度化ということで、その辺のところは踏み込んで議論しますので、恐らく、学習指導要領をどういう形で対応して考えるかというのは、重要な論点にならざるを得ないというふうに私は考えております。
【若月委員】  ありがとうございます。
【小川部会長】  あと、若月委員、実際、品川でいろいろ取り組まれてきていますので、質問だけではなくて、更に積極的に、こういうふうな論点も重要ではないかということで御発言いただければと思うんですけれども。
【若月委員】  追い追い。
【小川部会長】  追い追いですか。分かりました。ありがとうございました。
 最初、とりあえず一人一人順番にお話を伺うということで。
 じゃあ、福井委員、どうぞ。
【福井委員】  皆様、こんにちは。
 私は、今、港区の青山中学校に勤務しておりますが、2年目になります。その前任が、港区の小中一貫教育校お台場学園で、開設準備の段階から開設をして、小学校の校長と中学校の校長を兼務しておりました。そのようなことから、まさに、今、御議論されていることを少しだけ早く、一つの実践としてやっていたものがどうであったかということを、皆様にお伝えすることが必要かなというふうに思っております。
 港区の場合、平成22年に一貫校お台場学園を初めて作ったわけでございまして、今年度、5年目になります。区の方針としては、9年間の学年の区分を4年・3年・2年というふうに分けたわけでございますけれども、そんなところが、教育を施す、教育を実施する側としての理念的な要素というのは非常に強いですが、子供たちの実際の活動は、4・3・2といいましても、小学校1年生から4年生がいつもそのグループで活動するわけではありませんで、そして5・6・中1ですね、5・6・7年生、その三つの学年がいつも一緒というわけではございませんで、中2・中3、8年生、9年生がいつも一緒というわけではないと、そんなところもございました。
 私が一貫校で一番メリットとして感じましたのは、長い物差しで私どもが子供たち、児童生徒の教育を落ち着いて実施できると、そのことが大きいかなというふうに思います。いわゆる小学校の子供たちに合ったような教育指導、小学校文化というふうに言われることもありますが、そしてまた中学校文化と言われることがありますが、そういったものが分断されることなく、まさにお台場学園においては新しい新たな小中一貫校文化を創造しようというようなことで、職員とやってきたわけでございます。
 小中一貫教育校が、どちらかというといろいろな課題を解決するための手段的な形で使われることも多くございましたが、もう少し、積極的な目的として設定するということも必要かなというふうに思っているところでございます。
 そして、港区は、学校選択希望制を導入しておりまして、そのこととの制度上の整合ということも非常にしなければいけないということの一つでございました。
 そして、先ほど紹介いただいた中にございましたように、中学校の立場で考えると、小中一貫教育学校と、そして新たにせんだって設置された中等教育学校、そのあたりの整合がどうなるのかということも、整理をしていく必要があるかなというふうに思います。
 そんなことを通して、私は、一番大きなことは、9年間で、長い物差しで落ち着いて教育が実践できる。そして、日本の子供たちが、どうしても自分の意見が言えないということが多いなというふうに思っておりまして、子供が大人になり切れない、大人になりにくいような社会になってきて、それはかなり切実な問題であろうというふうに思っています。子供がきちんとしたバランスのとれた大人になるために、長い物差しで教育をする、そのことが大きいかなというふうに思っております。
 以上でございます。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 じゃあ、西委員、よろしくお願いします。
【西委員】  京都市から参りました西と申します。
 私は、京都御池中学校というブロックがありまして、こちらの方で小中一貫教育に取り組むことになりまして、5-4制という組織で行いまして、そのときに教頭でそちらにおりました。
 また、その後、その地域の小学校、御所南小学校という小学校で校長としておりまして、この2校で小中一貫教育に携わったということで、それが元になってきょう参ったのかなというふうに思っているところですが。
 その京都御池ブロックですね、この中学校のブロックで5-4制に取り組むときに一番感じたというんですかね、よく考えたのは、こういうメリット、デメリットということを言われたわけです。5-4制に取り組むことによって、どんなメリットがあるのか、あるいはどういうデメリットがあるのかということですが、私たちは、いつも説明しているときに、メリット、デメリットを説明するということよりも、どちらかというと、この制度によってこんなメリットを生み出していくのだ、メリットは作り出すものなのだというふうな姿勢でやってきたんです。教育は、大きな言い方をすれば、こういうものではないかなというふうに考えているんです。この制度によって、どれだけ多くのメリットを生み出して、子供たちに返していくのかということではないかなと思うので、今後の議論の中でもいろいろなデメリットが出てくるかとは思うんですけれども、その中でも、最大限のメリットを生み出すような御意見が伺えればというふうに思っているところです。
 もう一つの立場としましては、私は、地域とともにある学校づくりというふうな関係で、CSマイスターですね、コミュニティ・スクールの推進員をさせていただいています。文科省の方でもさせていただいているわけなんですけれども、その基になっているのは、やはり地域の子供は地域で育てるんだと。この9年間の学びを地域の中でやっていくんだと、こういうふうなことが基になっています。
 今、各地域でコミュニティ・スクールも広がっているところですけれども、きょうの案件の中にも出ていますけれども、子供たちの育ちが、9年間を通して地域の中でやっていけるような、それも含めて小中一貫教育を考えさせていただきたいなと思っているところです。どうぞ、よろしくお願いいたします。
【小川部会長】  じゃあ、天笠委員。
【天笠委員】  失礼します。私は、まず一つは、46答申、1971年、あのメッセージというんでしょうか、シグナルというんでしょうか、あの答申が、その後、どういう捉えられ方をしたかというのも、また御承知のとおりだと思うんですけれども、あの当時の指摘等々も、それからもう40年以上たつんですけれども、社会と学校制度の関係ですとか、あるいは子供たちの発達の段階ですとか、明らかに大きなずれとかいうところのギャップというのが、より顕著になってきて、それがかつてよりも、より多くの人がそれを認めるというところに、今、来ているのではないかというのが、まず大きな捉え方の一つでありまして。
 その上で、先ほど若月委員もおっしゃっていたんですけど、私も、やはりこれは義務教育の提起すべき、提供すべき質のありようを深掘りして検討し、それについての応答ということで、そのための小中一貫教育の学校の制度化というところにテーマを当てていくということが問われているんじゃないかと思うんですけれども。
 46答申もさることながら、今回のこの一連の動き等々をさかのぼってみると、私は、一つは2000年前後の動きというのに着目しております。それは、研究開発学校で9年間を通したカリキュラムの開発というのが始まるのが2000年でありまして、呉市、あるいはその後の品川区も、その後の動きというふうな形で。それが、具体的に変遷を経ながら現在に来ているということですけれども、この2000年前後ぐらいに何でこれが動き始めたかというと、当時の義務教育の在り方がこれでどうなのだろうかという、そういう提起に対して、一つの研究開発学校が、その応答という形でそれを出したのだというふうに認識をしておりまして、その中で小中の連携、一貫の在り方ですとか、9年間のカリキュラムの開発ということが、その後、それぞれのいろいろな地域的事情等々を通しながら広がりを見せ、展開していったというふうに捉えております。
 そういう中で、先ほどの意見の整理等々がありましたように、慎重論、積極論、様々にありながら、先ほど御説明いただいたような形で。私も、そのとき、メンバーの一人として末席に座っていたわけでありますけれども、やはりあの意見の整理というかまとめというのは、一つのステップを踏む段階として、私は必要だったというふうに認識をしておりまして、私は、全体として積極論、慎重論等々を踏まえて、大変目配りのあるそれがまとめられたんじゃないかというふうに思っております。その上で今があるというんでしょうか、現在があってということで、その意見等々を、先ほど御説明いただいたところを積極的にというか、慎重に踏まえながら、より制度化の方向で、今回、これを議論する。その方向で、その是非についてより深めて方向を探っていくというのが、今回の私どもの役割かなというふうに、私個人としては認識をしておりまして。そのことは、改めてこれからの義務教育の在り方、義務教育が提起すべき質をどういうふうに考えているのかという、そういう応答関係になっていくといいかなと思っていますし。
 そういう意味で、先ほどの検討すべき事項という中の最後の所ですけれども、この小中一貫教育の制度化が、この先のこの国の学制にどういうふうに開いていくのかどうなのか、こういう視点での議論というのも大切だと思いますし、その一つとして、例えば免許法というのも、免許の在り方を検討していくというのも一つの拠点というのでしょうか、そういうふうな形になっていくんじゃないかと思いますし。
 そういう意味も含めて、この小中一貫教育学校の制度化ということについて、それを開くという立場から、そのあたりのところに関わりを持たせていただくなり、そういう立場からこれから発言させていただきたいなと思っております。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 じゃあ、無藤委員、どうぞ。
【無藤副部会長】  私も、資料4ですね、主な意見等の整理という、作業部会の中で委員として参加させていただきましたので、私の意見も含めて、主要な論点が入っていると思います。その割に、先ほど御紹介がありましたけれども、その当時の義務教育学校の導入について、賛成と慎重と両論併記としてまとめられております。
 特に、慎重意見についてはいろいろな意見があるわけですけれど、まだ時期尚早であるといいますか、現場の方で十分に実践が進んでいないということが、いろいろな理由の一つだったと思います。また、受験勉強を早期化しないかとか、そういう懸念でもあったと思うんですけれど。
 この数年、全国的に見ると、小中の一貫というのは、ちょっと制度上の問題がありますけれど、少なくとも小学校、中学校が連携し、更にそれにもう少し踏み込んだ形でつなぐということが、随分、試みとして増えてきたと思います。そういう意味では、時期としては、更に制度として小中の一貫を各教育委員会、学校がもう少しやりやすい形が必要だろうというふうに考えておりますので、今回のこの部会の動きも、私としては、大いに推進されるべきだと思っております。
 その際に、そもそもに立ち戻って言うと、学校教育法などで小中というのが義務教育としてのまとまりということを強く打ち出したわけですけれど、そう考えてみると、例えば小学校にしても、小学校の6年間を無事に教えて中学校に送り出すということでありますけれども、そもそもが小学校、中学校ともになって義務教育として十分な教育をして生徒を送り出すと。で、高校なり何なりに進むということですので、私は、小学校教育などで考えても、9年間という大きな流れの中に小学校というものがあるという意識を持つという意味でも、一貫という考えが必要ではないかと思っております。
 それと同時に、私は、小学校教育も、6年間という時間、年数ですけれど、一つの学校として考えたときに、ちょっと長過ぎると言うと語弊がありますけれども、小学校も、例えば低学年と中学年と高学年、子供たちの成長も著しいわけで。それを、同じ仕組みの中の学校としてやるということについての厳しい面もあると思います。
 その一つの打開策として、この一貫教育という形で高学年の改革に入るということも必要だと思います。
 逆に中学校の場合に、3年間というものが、特に高校受験も控えたところではなかなか、時間として逆に短いという部分と、とりわけ、私は、中学1年の在り方というのが、どちらかというと、現在の子供の状況を考えると、小6などと近い特性を持っている場合が多いと思うので、そういう意味でも、つながりをよくするということについては必要かと思います。
 なお、もう一つ思っているのは、現在の学習指導要領を検討した際も、それぞれの教科ごとの小中のつながりというのでしょうか、一貫した検討は十分なされたとは思いますけれども、例えば、今後、小学校で英語が5年生から教科になるとすればですけれども、英語なども、当然ながら小5から中3の5年間教育であります。それから、従来も、例えば家庭科は5年間教育であるべきものですし。算数・数学などは、もちろん小と中とあるわけだけれど、その中身を見れば、小学校6年生の算数というのは、かなり中学の要素というんですかね、代数的な要素を今は組み入れながらやっているわけで。そういう意味でも、もう一歩、踏み込む。言い換えれば、指導要領上の一貫性というのでしょうか、つながりを明確にするということと、それから各学校、地域で子供の実態は様々ですので、その意味で、各学校で、例えば小学校6年ではあるけれども中学校の要素を入れるなり、その逆なりということをもう少し柔軟に取り組める方がよろしいのではないかなということは思っております。
 後の議論でいろいろ出てくると思いますが、もちろん、一つの大きな問題は、例えば首都圏で考えれば、私立学校受験が多いわけで、大きな制度の変更がない限りは、私立学校の原則としては中学からだと思いますので、当然、そちらに受験して抜ける生徒さんも多い。あるいは地域によっては、小学校学区と中学校学区の対応が良くないとか、近隣に移る場合もありますので、その辺のところへの配慮をどう組織的にするかも、是非、御検討いただきたいと思います。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
【安彦副部会長】  私は、この問題についてはかなり長い時間関係しておりまして、25年ぐらい前に自民党の文教部会から呼ばれて、当時、アメリカの6・3制が大分減りまして、5・3・4あるいは4・4・4に変わっていく時期の、数の上ではちょうど半々になった頃、6・3・3とそれ以外とが半々になった頃の様子を、自民党の文教部会で話したことがあります。この点について改めて申し上げると、私はそもそも中学校の専門家でありまして、そういう意味で、小学校と高校と両方見なければいけない立場なわけで、そういう観点から、アメリカのミドル・スクールという、ジュニア・ハイじゃない新しいタイプの中学校の研究をその当時からしてきております。
 そのときの問題というのは、一貫性の問題というよりは、むしろ子供の発達の変化の方に目が行っておりまして、もともとカリキュラムが専門ですから、中学校のカリキュラムの在り方として、子供の発達に合っているのか合っていないのかということが問題だったわけであります。
 今、お話が天笠委員からもありましたけど、現在の指導要領を作る段階でも、天笠委員は、先ほどこの作業部会でのメモにあったような、学習指導要領を義務教育の指導要領にしてはどうかという御意見を出されたことがあります。
 改めて、今回、こういうことを念頭に考えますと、そもそも小中一貫教育の目的は何かと。最初に若月委員が言われましたけれど、これは、やはり義務教育として与える普通教育、これの質が問題になるということなんだと思います。その質を効果的に、より高い質で保証する制度というのをきちんと作りたい、ということだと思います。そういう意味では、「一貫」というのは手段でありまして、決してこれが目的にはならないはずであります。そのために、子供の方の発達にはどう応じていくかとか、あるいは制度上の、教員免許もその一つだと思いますけれども、これはどういうふうにしていったらいいのかというようなことがあるわけであります。実際、ミドル・スクールの場合には、私が行った30年前は、ミドル・スクールの免許状というものを作り出したところでした。
 改めてそういうことを思い出しますと、この問題がやっと日本でも本格的に議論にのってきたということは、私としては非常に歓迎したいところなわけであります。
 むしろ問題は、その制度化ということですけれども、義務教育のことが先ほども作業部会で議論されていたようですけれども、まず、この点については、義務教育という観点を前面に出すことについては、私は、世界的な動向から見ておかしいというふうに思います。本来の普通教育の在り方をまずしっかりと考えて、そして何年目までを義務教育とするというのが、通常、どこの国の場合でも義務教育の捉え方でありまして、義務教育学校という学校制度を作るということはないわけであります。この点、私は知りませんけれども、どなたか御存じだったら是非教えていただきたい。そういう意味で、義務教育学校種という一つの学校種があるということは聞いたことがありません。
 普通教育の在り方を、まず9年なら9年という形で、9年目までを義務教育として、我々、その場合には小中一貫で、その質をどう高いレベルで担保するかということが狙いのはずでありまして、そういう意味では、今回の諮問文もそういうふうに書いてありますけど、義務教育について考えることではなくて、小中のつなぎを、子供の発達に合わせてどのように考えるべきかというような諮問文になっている。これは、非常に妥当な諮問であるというふうに、私は個人的には思います。
 その上で、もう一つ、義務教育学校というような形より小中一貫教育学校というか、仮称として出されましたけれども、この観点で見た場合に、先ほど、これは福井委員がおっしゃいましたけれども、現在、あちこちで、やはり地域を前提に、地域がそれぞれの事情を抱えて小中一貫教育、小中連携学校を造っているわけで、そういう意味では、今回、報道によれば、再生実行会議の方も、全国一律ではなくて、その地域ごとに、地域での裁量を認める形でいくという方向をとっているということですけれども、これは、今はそういう学校選択を前提にといいますか、私は学校選択制は望ましいと思っておりますので、そういう意味では、幾つかのタイプの9年間の組み立て方というのが、地域ごとに、その地域に応じて一番いい形で実現できるような、一番高いレベルで実現できるようなことを工夫していく、そういう余地のある制度化でなければいけないだろうというふうに思っております。
 最後に、制度化全体としては、私としては、高校まで入れなければ本来望ましい制度化はできないと思っておりまして、そういう意味では、この9というのは非常に中途半端に見えております。ですから、4・3・2とか5・4あたりは、まだ切り方として比較的いいかなと私は思っておりますが、4・3・2の2などは、やはり十分な意味というか、意味付けができるほどの年数でないものですから、そういう年数も含めて考えますと、是非、中の区切り方については、今後、いろいろな面で検討していただければというふうに思います。
 そういうことも含めますと、高校まで入れて、普通教育全体の制度をどう組み立てていくか、そして何年目までをという、そういう捉え方でいくのが望ましいと思っております。
 もう一つだけ、義務教育について。これは、むしろ小川先生の方が、制度、行政の方の方としてはふさわしいのですが、やはりどうしてもカリキュラムの専門家としては言っておきたいと思うんです。義務教育のカリキュラムというのは、実は、大きく言えば、大別してですけど、2種類ありまして、プロシア型(ドイツ型)とイギリス型であります。どうしても今までの議論というのは、日本が最初にまねをしたプロシア型の議論が多くて、義務教育というのは、一定の国民的共通基礎教養を付けるのが義務教育だというプロシア型の発想で、それをちゃんと身に付けなければ、昔のプロシアの場合であれば、卒業できない、卒業させないというもの。ですから、何年も留年が必要だとする。それぐらい厳しく、国民としての基礎教養を要求するというのが義務教育、プロシア型のものでした。
 しかし、イギリスの場合は、ある意味では、自由主義国なので反対でありまして、御存じのように産業革命が進行して、婦女子や児童に過酷な労働を課したことがあったものですから、工場法を何度も改正して、そういう子供たちを、ある意味では、心身の発達の重要な時期は労働に従事させず、学校に保護する発想があったんですね。その意味では、学ぶ内容については、ここまではなどというプロシア型の国民的基礎教養なんていうことを言わないで、それぞれの子供が自由に、できるだけそれぞれの個性を持った力を伸ばせるような形で伸びていくことを保障する期間として、心身の発達の大事な時期は、義務教育として学校に来させると、こういう発想の義務教育がイギリス型のものであります。
 ですから、いわゆるカリキュラムの上で年数主義あるいは課程主義、最近の言葉でいえば修得主義と履修主義ですけれども、イギリスの場合は、むしろ、履修さえすればいいわけで、ここまでやらなかったら卒業させないという修得型ではなかったわけです。プロシア型の場合には、それを、ここまで身に付けなければ卒業させない、修了させないというような趣旨のものであった。そういう意味では、最近の、落第させてでも一定の力を身に付けさせるのが義務教育じゃないのかという、こういう議論の立て方はプロシア型のものであります。
 改めて、時代は大きく違っております。けれども、この点については、やはり明治以来、日本の最初の時点ではプロシア型をやりましたけれども、徐々にイギリス型に変わってきて、戦後は完全に小中、義務教育についてはイギリス型になっております。ですから、落第を問わないはずであります。
 こういう方向で、ある意味で進んできている今の義務教育というものを念頭に置きますと、これを、先ほど言ったような形で、義務教育なんだから、ここまでは全員こうしなければならないというのは、まさに根本原則を変えることになるわけですので、そんな議論をたったの半年やそこらでやっていただきたくはありません。
 そういう意味では、改めて、現状をある程度前提にして、最初に申し上げた、一貫というのは一つの手段として考えて、最終的な狙いは学校教育法による義務教育としての普通教育の質の担保といいますか、これをいかにして地域、学校ごとに工夫してレベルを上げていくかということに努力するというのが、本来の筋ではないかというふうに思っております。この点、委員の方々には是非お考えいただきたいというふうに思います。
 以上です。
【小川部会長】  はい、ありがとうございました。
 大橋委員、どうぞ。
【大橋委員】  大橋でございます。現在、小学校の校長をしております。本校だけではなくて、多くの小学校では、中学校との連携を進めているところですが、実際に進めていく中では、やはり幾つかの課題が出てきております。
 これから、小中一貫教育学校等、制度化についての議論が進んでいくことだと思いますけれども、その中で、現在、進めている連携の中の課題というものをクリアしていくことが、制度化するときに円滑に進めることになるのではないかなというふうに考えております。
 まず、小学校の児童がそのまま、先ほどお話もありましたけれど、全部がその地域の公立の中学校に進学するわけではありません。大部分が私立の中学に行くというような所もあります。特殊なことかも分かりませんが。やはり、そういうことを一つ考えていく必要があるだろうなというふうに考えています。
 それから、また連携をするときに、一貫校の場合、施設一体型の学校が全てではなくて、施設が分離している学校もあります。小学校、中学校の連携をするときに、校舎と校舎が離れている、ここが小学校の教員、中学校の教員が交流をする、あるいは授業に入っていくといったときに非常にネックになるところです。こういうあたりも、もし制度化していくときに、どういうふうにしていくのか考えていく必要があるだろうなと。
 それから、今度、子供の側にとってなんですが、小中連携にしても小中一貫にしても、滑らかにするということに非常に力点が置かれているのかなと思うんですが、子供の側からすると、そういう滑らかにすることによってうまくいく子もいるんですが、小学校での自分をもう1回捨てて、中学校で新しい人間関係の中でやり直していこうと思っている子もいるのは事実です。小中の一貫を制度化したときに、そういうような子供たちの意欲の部分をどういうふうにしていくのか、このあたりも考えていく必要があるなというふうに思っているところです。
 以上です。
【小川部会長】  はい、ありがとうございました。
 じゃあ、國定委員、どうぞ。
【國定委員】  皆さん、こんにちは。新潟県三条市という人口10万2,000人の非常に小さな都市で市長をしております。僕自身、市長に就任してもう間もなく8年になるんですが、この小中一貫教育はかなり強いこだわりを持って進めてきましたので、前回も作業部会の委員もさせていただきましたけれども、そのときには、小中一貫教育という言葉が前面に余り出ないぐらいの状況の中で、連携・接続という作業部会の中で、小中一貫教育を必ずしも推進するんだという方向性でまとめ切れなかったことが忸怩(じくじ)たる思いとしてあったものですから、それからわずか数年で、正々堂々と小中一貫教育特別部会という形で発足したということは、本当に感慨深く思っております。
 僕自身、じゃあ、何でそんな強いこだわりを持って進めてきたのかということになるわけですけれども、私にとっては、この小中一貫教育というのは必然なのかなというふうに思っているわけです。なぜ必然なのかというと、社会がそうなってしまったからだということが、僕の中ではすごく思いとして深くあるんです。じゃあ、その社会が少なくとも戦後直後と比べて、今の教育制度って戦後直後にできたわけですよね。そのときと比べて、今、何が大きく違うんですかというと、僕は二つあると思っているんですね。一つは何かといったら、核家族化なんですよ。昔って、何だかんだいって大家族制ですから、子供たちは、家族という単位の中でいろいろ学びながら大人になることができるわけですね。ところが、僕自身、核家族の家で育ちましたし、僕も、今、二人の子供を持っていますけれども、僕が親となった今も核家族で子供を教えています。これだけ核家族が普遍化したときに、親は、子供を産んだら、その瞬間から立派な親になるわけじゃないわけですから、やっぱり多世代の中でいろいろ教わりながら子供をしつけ、教育をするというところが、今、決定的に欠落してしまっているわけですよね。そこは、大きな社会変化だと思いますし、二つ目は、地域コミュニティそのものが減退している。僕、もともと東京なんですけれども、東京なんて、完全にと言っていいほど地域コミュニティなどないですし、一地方都市であります三条も、山間部に行けばまだ濃厚に残っていますけれども、じゃあ、町なかはどうなんだというと、やっぱり地域コミュニティと名乗れるほどのコミュニティというものは、残念ながらほぼ残っていません。そうすると、家族からも教育を施す機会が失われ、あるいは昔であればおせっかいなおっちゃんとかおばちゃんとかが近所にいて、いろいろその子を教えたり、あるいは、今みたいに犯罪のことを余り強く認識するような時代でもありませんでしたから、子供たちって普通に外で遊んでいたと思うんですよ。その中で、先輩や後輩、あるいは近所のおっちゃん、おばちゃんとかに怒られながら、あるいは優しく褒めていただきながら育つという環境が、もうないわけです。これは、僕ら行政の立場としては、それを回復していくための努力はしていかなければいけませんけれども、一朝一夕に、地域コミュニティが再び元へ戻っていくなんていうことは、ほぼあり得ないわけですね。
 こうした社会状況の変化のときに、じゃあ、今の社会環境の中で子供たちをいかに大人の階段をちゃんと着実に上らせていくことができるのかというふうになると、最後のよりどころは教育現場しか残っていないんですよ、子供たちには。そうすると、今の教育制度というのを、より、今ほど申し上げてきた二つの大きな社会環境の変化の中にあって、今の教育現場に更に求めていきたいことを考えるとどうなのかというと、まず、子供たち同士が、多年代交流を通じて大人の階段を上っていくための様々な経験を積んでいくということ。それから、隣近所のおっちゃん、おばちゃんがもう存在しなくなっているわけですから、やっぱり数ある大人の目をいつも感じながら、大人からいろいろなことを学んでいくということを考えると、教育の時期ですね。朝、登校して下校するまでの間は、より多くの先生方の目に触れるということは、とても大切ですし、より多くの地域の皆さんの目に触れる必要が出てくると。
 そうすると、6年制と3年制というぶつ切り状態ではなくて、足し算した9年間というくくりが自然な形で求められてくると思って、これまでやってきました。
 実際に小中一貫教育、もうスタートを切っているわけですけれども、そういうふうな思いでやってきたんですが、副次的な効果として表れているなと思うのは、もちろん、子供たちの心境の変化とか、いじめ、不登校が少なくなってきたとか、そういうようなもともと主目的から発生する成果というものも出てきているわけですけれども、もう一つあるのは、先生方が変わったんです。今までは、御案内のとおりファイヤーウォールがありますから、小学校の先生は中学校の先生に対して、何だ、あいつらというふうに思っていますし、中学校の先生は小学校の先生に、何であんなによしよしと言って教育し続けるんだというふうに思っていると。それは、かなりネガティブな評価を相手に対して感じていたわけですよね。でも、実際に交わり始めると、自分たちも足らざるけれども、相手方には持っているというものの方にむしろ関心がいくようになってきていて、先生の意識というのは、本当にこういう形で変わっていくんだなというふうに思うわけです。
 今、私たちの市内は二つの一体校と、それ以外の連携校に分かれて小中一貫教育を進めているわけですけれども、明らかに一体校と連携校というのは違うんですよ。先ほど申し上げたように、僕の気持ちは、子供たちが少しでも多く多年代交流を進めてほしいということと、大人の目により多く触れてほしいということに尽きていますので、それを意識したことを考えると、一体校はやりやすいんですよ。でも、連携型というのは、どんなに努力しても物理的な制約を逃れることはできませんから、なかなか苦しい状況が、今、徐々に明らかになりつつあるという中にあって、ここにも、検討すべき事項のところで、いわゆる施設一体型・分離型の扱いをどう考えるかというところがあるんですが、これは、本当に悩ましいところですし、是非とも、この半年間の創意工夫の中で、先生方も恐らく持ち合わせているであろうもやもや感を払拭していくための、何か新たなアプローチというか方向感みたいなものを、皆様方のお知恵を頂戴して作り上げていくことができれば、今回の特別部会のミッション以上のものを手に入れることができるのかなというふうに思っております。
 よろしくお願い申し上げます。
【小川部会長】  はい、ありがとうございました。
 じゃあ、西川委員、お願いします。
【西川委員】  失礼します。西川でございます。教育制度学を勉強しています。
 既に何人かの委員が申されましたけれども、この小中一貫教育というものの目的、この合意はとても大事だと思っています。それは、義務教育の質の向上ですね。義務教育の質の向上のため、その手段として小中一貫教育をやるんだと。今、まさに國定委員、市長さんですけれども、教職員について言及されました。私は、まず現在の小中学校の現状をどう見るか。僕は、中1ギャップとか小中段差という言葉は適当ではないと思っています。そこにあるのは中1リセットですよね。小学校6年間の取組が中学校ではほとんど継承されていない。中学校の教師はこう言いますよ。子供たちのカウンターを全部ゼロにして、ゼロから始めて、中学3年間で鍛え直すんだと。その中1リセットという存在は、僕はとても気になりますね。そうではなくて、小学校と中学校の指導方法や中身は違うんだから、いや、違わないですよ。独自性はあります。独自性はあるけど連続性もある。その小学校と中学校のカリキュラムや指導法の独自性と連続性を踏まえた一貫性のある教育を実現すること。そして、それが行える教師を育てることだと僕は思っています。
 小中一貫教育というのは、実は、教師の取組ですよね。授業を媒介にして互いに学び合って、教師が指導力を高めて分かる授業を実現して、子供たちが学びに向き合うと、そういうふうな取組だと思っているんですが、実は、この24年の作業部会の意見の整理については、私、ちょっと物足りなさを感じておりました。委員の方がいっぱいいらっしゃって申し訳ないんですけれども。國定委員も委員であられて、「忸怩(じくじ)たる思いがある」とおっしゃったのでちょっと安心しましたが。なぜ、この作業部会の取りまとめにちょっと物足りなかったかというと、教師の成長の部分がほとんど書かれていないんですね。授業を媒介にお互い学び合って、まさに足らざるを、あるいは持っているものを学び合うということをおっしゃいましたが、その教師の成長はすごく実感されています。一体型であっても、連携型であっても、取組が進んでいるところの先生たちは、この取組でよかったよ、これまで、小学校の指導法を知らずによく中学校の授業をやっていたと思って恥ずかしくなってくるよという教師もいっぱいいます。その中で、彼らが授業の質を高め、子供たちは、「先生、授業、面白くなってきたね」と言った子供のことも僕は知っています。そういう取組であることをしっかりと認識しないと、例えば小中の段差とかギャップなんていう言葉を容認してしまうと、小学校と中学校では違うんだから、だらだらと9年間やっても良くはないよと。
 大橋委員の発言に少し現場の先生の言葉が出ていましたよね。6年生も、本当は切り換えたいんだと。そういう気持ちの子もいるんだろうけれども、実は、そのリセットに立ちすくんでしまっている子供の方がもっと多いと思っています。指導方法も、授業の中身も、評価方法もリセットされてしまっている。小学校という6年間の電車をおりて、全員、中学校という3年間の電車に乗り換えさせられているんだけど、車両の大きさも運行速度も座席の形も全然違う電車に乗り換えることができない子供が増えている。じゃあ、何とか電車の方を考えていかないと、「おまえたちの努力次第だ」とは言えない。ましてや、家庭の教育力が低下して、養育不全家庭と言われるものが増えてきて、生活経験も少ない、そんな子供たちが電車の乗換えをうまくできないのであれば、何とか電車の方を考えてみたいというのが僕の思いでございます。
 安彦委員の方からは、大変重たいお話がありまして、4・4・4とか、高校まで含めて考えるべきだということだったんですが、この部会はそこまでの視野を許されているのかと、改めて確認したかったんです。時間的にも12月までで。僕は、当面、ここに座っているのは、9年間の義務教育というものを前提として、その区切りを、個別中学校区や基礎自治体で柔軟に判断できるというところを検討するのかなと思っていましたけれども、高校までも視野に、あるいは大学まで視野に入れて検討する部会であるのならば、それなりの覚悟も要るかなと、自分で、今、考えているところでございます。よろしくお願いいたします。
【小川部会長】  はい、橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】  青森県のような地方におきましては、本当に子供の数が減りまして、町村においては、小学校1校、中学校1校というような学校が急激に増えております。そういう中で、やはり人との関係も少ないというような背景もあって、学校行事なども、地域のおじいちゃん、おばあちゃんまで含めて、みんな集まってようやく成り立つというようなところも出てまいりまして、思い切って小中一貫校を考えてみたいというような考えの町村も増えてまいりました。
 そういう中でありますけれども、実際の制度化をされたとしても、それは一部の学校が取り組むということになります。しかしながら、今まで委員の方からも御指摘がありましたように、この部会の内容としては、一貫のメリットというよりも、先ほどお話があったように、今、一貫校をやっている所はこんな努力をして一貫を成り立たせている。制度の問題ではなく、実際に小学校と中学校の教育をどういうふうにつないでやっているか、そこに教職員がどんなチームを作っているかというような所を焦点化してお示しをすることによって、現在、小学校、中学校連携でやっている所もあるわけですけれども、そこの教育もよくなるというふうな提言が出されるといいなという観測を持っております。
 実際、やっている学校の実情を伺いますと、やはり初等教育というのも大事ですし、中等教育というのもあるわけで、両方の立場をよく分かっている、そういう方が学園長というか統括をしていればいいのですけれども、なかなか範囲が広い。そこに、制度上は県の人事異動というか人事配置などもありまして、小学校長と中学校長を送り込んで何とかやってもらうというような格好になっておりまして。両方をよく分かっている経営的な立場の人がうまくいればいいのですけど、ようやく分かった頃にまた異動というようなこともあるし。教員もそうで、やはり人事異動の問題とか研修の問題。校長会でも、みんな小学校、中学校で分かれてやっているというようなこともありまして、一貫を進めたいのだけれども、同じような立場で、更に充実を図るということがなかなか難しいという問題もございますので、どこまでというたくさんの問題がございますけれども、私としては、少しそういう問題についても触れていただければと思っております。
 以上です。
【小川部会長】  はい、じゃあ、四柳委員。
【四柳委員】  四柳でございます。この部会の委員の中でちょっと異色の存在なんですけれども、私、東京都の三鷹市の方でコミュニティ・スクール委員会の副会長をしております。10年前は、娘の通う小学校のPTA会長でした。平成18年度から、三鷹市では、教育の質を高めるための手段として、コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育ということで、中学校区ごとに「学園」という名前を付けてコミュニティ・スクールをやっています。その中で、私は、平成21年度から三鷹中央学園という所のコミュニティ・スクール委員会の会長を3年間務めまして、今年度から副会長ということで会長を支えています。
 三鷹の話をさせていただきますけれども、三鷹は、中学校区ごとに小中一貫教育をやっておりますけれども、小学校は小学校、中学校は中学校と、もともとあったものを連携型としてやっていますので、うちの三鷹中央学園には二つの小学校と一つの中学校がありますが、校長先生は3人、それぞれの学校にいらっしゃいますし、小学校の卒業式もありますし、中学校の入学式もございます。これまでの学校制度と変わっていません。
 という中で、じゃあ、何を小中一貫、連携をしているのかというと、小学校の先生と中学校の先生がお互い連携をとって一貫カリキュラムというものを作って、学園として小中の先生方が集まって研究会を行ったり、中学校の先生が小学校に乗り入れ授業として勉強を教えに行ったり、あとは、異校種体験として、中学校の先生が1日小学校に行く、小学校の先生が1日中学校に行って、それぞれの学校のことを知るというところから連携が始まりました。そこで先生方が気がついたことは、本当に、先ほどもお話にありましたけれども、中学校ってこんなに大変なんだ、小学校ってこんなに大変なんだということを、それぞれの先生方が知ることで、それぞれを尊重しながら、子供たちを9年間、私たちは9年間を見ていくんだということで、子供たちを育ててくださっています。
 私たちは、地域として、学校の横にいながら先生方を応援しているというような立場になっています。
 今後、小中一貫というものを制度化していくということの話合いの中で、やはり大切にしていかなければいけないのは、義務教育に行かせているのは親ですので、親の不安を解消していただきたいなというふうに思います。例えば、先ほど話がありましたけれども、中学校受験をさせたいとき、あるいは御家族の事情で転校しなければいけないときに、我が子がどういう教育をきちんとできるようになるのかということ。どこに行っても、どんな状況であっても、義務教育9年間は安心して学校に通わせられるという親の安心感を、やはり大切にしていただきたいなと思います。
 それから、いろいろな選択ができるような幅の広い小中一貫というようなことになると、じゃあ、自分の地域にある学校はどんな学校になっていくのかというところは、私の地域にある学校ですので、地域の人たちの意見を十分に反映できるような仕組みになっていってもらいたいなというふうに思っております。
 以上です。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 今、全員から一通り御意見を伺いました。今の発言の中からも、小中一貫教育の制度化に関わる論点というのが、かなり大きな広がりを持っているというふうなことが確認できたと思います。
 この部会がスタートする前に中教審の総会、また初等中等教育分科会でも、この小中一貫教育の制度化に関わる大臣からの諮問があって、その諮問を受けて、今、言ったように総会と初中分科会でも先行して、数回、委員から御意見を伺いました。その際に、何人かの委員から強く出された指摘は、小学校、中学校を9年間の制度を付ければいいという、単なる制度いじりの議論で終わるというふうなことは、是非、やめてくれと。やはり、そういう小中一貫の制度化、ここでは小中義務教育学校を作ればいいというふうな議論ではなくて、その前提には、先ほど多くの委員から出たように、子供たちにどういう学びを作り出していくかという、そういう視点をベースにして教師の授業の在り方、指導の在り方をどう再構築していくか。また、学制制度改革ですよね。最近では、幼児教育の義務化、さらには大学入試制度の見直しを含めて、高校教育の在り方というふうなことも議論されていますので、小中の9年間の教育のありようというのは、先ほど何人かの委員からも出たように、恐らく幼児教育との関わりないしは高校とのつながりをどういうふうに考えて、この9年間、小中一貫の制度化ということを考えていくか。恐らく、そういう学制改革、高校や幼児教育を含めた全体の学制改革の視野を持ちながら、この小中一貫教育の制度化をどうするかというふうなこと、恐らくそういうこともかなり意識しながら議論していかなければならないと思いますし、また國定委員からも出たように、家庭や地域の変容の中で、地域と学校の関係という視点で、小中の9年間というのをどういうふうに地域に作り出していくか、そういう視点も重要ではないかと。
 そういうことで、今、お話を伺って、総会とか初中分科会で何人かの委員から懸念というか、強い要請のあった、単なる9年間の制度を付ければという制度いじりで終わらないなということを、今、皆さんからお伺いしながら再確認した次第です。
 ただ、かなり大きな広がりを持った議論をベースにしながら、小中一貫教育の制度化をどう図るかというのを、2か月、3か月の短期のところで集中してやらなければなりませんので。先ほど西川委員から出たように、高校との連続性というふうなことを、具体の制度論の中で、この部会で詰めていくということはかなりしんどいと思うんですけれども。それは、恐らくこの部会のメインの役割ではないと思うんですけれども。
 ただ、先ほど言ったように、小中一貫の制度化というのは、高校や幼児教育全体の学制改革に連なるし、その中でどういう学びを子供に保障していくかという、そういうふうな議論もベースにしながら進めていかねばなりませんので、基本は小中一貫教育の制度化を軸にしながら。ただ、そういう学制改革へのつながりというか、議論が開かれるような形で、この部会のまとめはしていくような努力は、部会長とすれば、努力しながら、そういう議論をベースにしながら、制度化のまとめの方向で進めていきたいなと思っていますので、その辺は御了解いただければと思います。
 あと20分ほど時間がありますので、今、一通り全員からお伺いしたので、更に御意見がある方がいらっしゃれば、何人かからの御意見を伺いたいと思います。
 じゃあ、若月委員、どうぞ。
【若月委員】  ありがとうございます。
 皆さん、委員のお話を伺いまして大変勉強になりました。また、共通する問題意識が多々ありましたこと、心強く思っているんですが、今、部会長からお話があったんですけれども、品川でいろいろ何年間か、この小中一貫教育を進めている中で、親御さん、地域、議会から質問をされて一番困ったのは、出口はどうなるということを常に問われました。これは、今の部会長の説明でよく分かったんですが、例えば教員が変わるということは何が変わるのかというと、ただ単に小手先の指導力がどうのこうのという、それもさることながら、小中高を通した学力観が共通で、連続性を持った学力観を教員が持つことが、私は、教員が変わる一番大事な所だろうと、こう思うんですね。
 例えば、この前、出されましたOECDのTALISの調査なんかを見ても、日本の教員というのは、自分のやっていることに対して非常に自信がないというか、低い調査結果が出ていました。あんなに頑張っている教員が、何でこんなに自信がないんだろうと思うぐらい、自分自身に自信がないわけなんですけど。
 これは、私の感想ですけれども、例えば小中一貫でこういうように子供たちのより良い成長を促していきましょうねと言うんだけれど、その先にあるのは高等学校というブラックボックスがあって、それに対して、自分たちが、今、やっていることがどれぐらい有用性があるのか、あるいは親御さんや子供から評価されるのか、私は、こういう不安が、どうも後ろに見え隠れするんですね。
 そう考えると、高等学校についてまで議論を飛ばすことは、この部会では無理かもしれませんが、小中一貫教育がただ単に9年間の制度ですよじゃなくて、共通し、連続した学力観とか成長観とかといったようなものを教師が持つということは、勢い、当然の結果として、高等学校における学力形成といったものの変化も求めていくことになりはしないだろうか、これは必要なことではないだろうか。部会長は、そこら辺、できる限りの努力をしましょうというお話だったので、やはりそこは、余りにも高等学校がブラックボックス化し過ぎている部分がありますので、是非、なくしたくないなというメッセージだけでも、そんな感じがします。
 それから、もう1点で終わります。これも、きょう頂いた資料の検討すべき事項のイメージの中の4番目の小中一貫教育の推進方策等の所の上から二つ目の黒ポチなんですが、教職員人事・定数等々の支援策はどうあるべきかということですが、これは、先ほど橋本委員がお話になっていらっしゃいましたが、私も全く同感でありますが。ここで、教職員人事・定数面と書いてありますが、なぜ、ここから人事権の「権」が抜けているのかなと、こう思うんですね。さて、そうすると、小川先生からまたしかられるかもしれませんけど、またそこまで広げるのかと、こう言われるとあれなんですが、現実の問題、特に都市部の場合、品川の場合、小中一貫教育は人ごとだと思っている教員の方が数は多いんです。そういう教員が毎年入ってくるわけですから、これはなかなか全区的に小中一貫教育の理念と方法と、そういったものを浸透させるというのは至難のわざでした。
 そう考えますと、支援というものだけで、さあ、済むんだろうかと。ここで、教職員人事権の「権」を落としたのには、何か特別な意図があるのか。それとも、そこまで踏み込むなということなのか。そこら辺はどんなもんなのかということを、是非、お伺いしたいなと思います。
【小川部会長】  これは事務局に伺うよりも、この部会でそういう人事権の問題までやらなければ、小中一貫教育の制度化の普及にはつながらないというふうに思えば、そこは部会で踏み込んで議論してよろしいかと思います。ですよね、事務局。
【小林教育制度改革室長】  特に「権」を落としたとかというよりも、広く様々な課題、乗り越えるべき課題ですとか、そういったものを御指摘いただければと思います。
【小川部会長】  前の平成24年の検討会議のときも、人事権の話は直接出ませんでしたけれども、施設・設備の面では、小中一貫の一体型の学校施設を造る場合には、通常の建設費の補助よりも少しいろいろな配慮をした、そういう施設補助金を作るべきじゃないかとか、そういう議論があったのは事実なんで、そういうことも、今回、恐らく、もう一度、仕切り直しですけれども、深めるべきテーマだと思います。
【若月委員】  ありがとうございます。
【小川部会長】  ほかに、いかがでしょうか。あと二、三、あれば。
 どうぞ、天笠委員。
【天笠委員】  そういう点では、先ほどお示しいただいた検討の進め方の2回から6回の間の進め方になっていくかというふうに思っているんですけれども、どんな形でテーマを設定しながら進めていくのかどうなのかというふうなことで、例えば、要は地域ごとというふうな話になっていくんじゃないかというふうには思っているんですけれども、それぞれの自治体の人口規模の大小によって、この小中一貫の動かし方とか展開の仕方というのも、随分、様子が違ってくるというふうなことも十分予想されるわけであります。
 私の存じ上げているところですと、人口2万人ぐらいの市町村ですと、自治体全部が小中一貫校に統廃合を進めてということで。ですから、その自治体は全部が一貫校ですけれども、そこまではともかくとして、多くの場合は、先ほど来、話がありますように、連携と一貫がその中に併設されるような形で行われるというのが大方の姿なわけですけれども。そのあたりのところの話の詰め方というのも、結構、人口規模というのでしょうか、そういうものの背景ということがそこら辺で大きくなっていくんじゃないかと思うんですけれども。折しも、そちらの方の検討も進めようとされているというふうな話も、また伺います。
 それから、もう一つは、そのことは何になるかというと、市町村教育委員会の教育行政の在り方とか、マネジメントの在り方ということも非常に微妙に関わってくる、そういうことになってきますし。そうすると、今度の教育委員会改革なんかという話も、そこからつながるようなことが出てくるわけで。もちろん、今、申し上げたことを一つ一つ全部やっていたら、とても時間も足りないわけで、どういう形で区分けをしていただいて、あるいはどういう所にテーマを置いていただくかどうか、その辺のところを、2回から6回という所を、テーマをある意味で詰めていただいて、そこのところに持っていって、非常に焦点化された議論の進め方をお願いしたいというふうに思いますので、是非、よろしくお願いいたします。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 2回から6回については、どういう論点で進めていくかというのは、まだ事務局と詰めていませんので、今の天笠委員の御発言を受けて、少し事務局と詰めて進めていきたいと思います。たしか、今、御指摘があったように、文科省の方では、もう一つ大きなテーマで、学校規模の適正化の議論も進めるということになっていますので、恐らく学校規模の適正化の話と、この小中一貫の話というのは、ある部分、リンクしている所がありますので、その辺も、少し論点を整理して、できれば部会でも意見交換できればと思います。その辺は、ちょっと。
【天笠委員】  きょう御欠席の貞広委員は、恐らくそういうお立場からの発言がおありなんかじゃないかと思います。
【小川部会長】  はい、ありがとうございました。
 事務局、どうぞ。
【小林教育制度改革室長】  今回は第1回目ということで、テーマを大きく書かせていただいておりませんけれども、資料6の方で、とりあえず最初は実態調査の結果ですとか、あるいは既に行われている取組、ヒアリングの御紹介と思っておりますが、その後、もう少し細かく、本日の御議論などをベースにテーマを部会長の方と御相談させていただいて、リストアップしたいと思っております。
 ただ、学校の規模の件でございますけれども、別途、私どもの方で、様々な課題が多いということと、そもそもかなり違う目的でそれぞれ進めて、実態としては両方を視野に入れて検討していかないといけない部分はあるんですが、こちらの部会では、小中一貫教育、まさに今回の諮問文で頂いておりますような、各学校段階間の連携ということで制度化を図る上での御議論を是非頂ければと、事務局の方としては検討しておりますので、その中でお願いできればと思っております。
 また、若月委員からもいろいろ頂いております。様々な大きな課題があろうかと思いまして、中教審の中でも様々な部会ですとか、ほかの部会とのいろいろな場もあるかと存じますので、そのあたりも、また部会長と整理をさせていただければと考えております。
【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかにどうでしょう。一、二委員ございましたら、どうぞ。はい。
【安彦副部会長】  言葉の問題ですけど、この平成24年の作業部会では、「連携」と「一貫」をはっきりと分けてくださった。私は、これは非常によかったなと思っているんですね。今回、これ、「小中一貫教育」という言葉で全て書いてあるんですけど、さっきの施設一体型・分離型の扱いと絡むと思いますが、「一貫」という言葉には「連携」を入れた広い意味での一貫と、狭義のというか、狭い意味での完全な一体型の一貫と両方の意味を持たせて、一貫という言葉がですね。だから、これ、今後、どういうふうにまとめのときの言葉を使うかなんですけどね。連携・一貫なのか、あるいは一貫で一つにしてしまうのかということ。
 一言で言えば、私は、現在の学校教育法の21条によって、連携は当然の話だと思っています。9年間の目標規定しかないんですから。小学校の目標規定はない、中学校の目標規定はないので。9年分の目標規定しかないんですから、連携しなきゃおかしいはずなんですね。そういう意味では、逆に言えば今までが動きが鈍いのであって、ある意味で、この一貫へ向けてというと変ですけど、一体型という意味ではないんですけれども、少なくとも、連携を含めた一貫のことを、当然、議論すべきものであって、実態を前提に考えれば、はなから一体型の一貫というのは考えられないわけですよ。
 ですから、やはり連携の仕方、さっきの教員の交流その他も含めて、一体型も分離型も両方考えて、それぞれについて議論して一つのものを出すという。「一つの」というのは、それぞれについて出すという出し方が望ましいと思うので。この辺、言葉の問題と中身の問題がちょっとあって、曖昧になると困るなと思ってですね。
【小川部会長】  そうですね。これは、事務局ではどういう腹づもりというか、どういう思いかというのを、後でちょっと聞かせてほしいんですけれども、平成24年のときには、先ほど安彦副部会長がお話しされたように、小中連携と小中一貫教育というのはかなり概念を整理して議論しました。小中連携というのは、小学校、中学校の広範囲の連携の活動がありますけれども、そういうことを含めて連携と言って、小中一貫教育という場合には、そういう小中連携のうち、特に9年間を通じた教育課程編成をきちんと自覚的にやっている取組を小中一貫教育というふうに平成24年は整理しております。
 今回、小中一貫教育といった場合は、先ほど國定委員からも出たように、例えば施設分離型と一体型でかなり抱える課題というのは違ってきますので、そういう一体型を当然として施設分離型も含めた一貫教育の制度化ということも含めて議論するのか。
 さらに、お話のあったように、連携というところは、今回、どう扱うのかというのは、議論が始まる前に少し整理しておいた方がいいと思うんです。
【西川委員】  ちょっと、その意見をいいですか。
【小川部会長】  どうぞ。
【西川委員】  とても重要なことなんですが、私も、小中連携というのはもう当然のことだという合意が必要だと思っています。小中一貫教育の中にも、例えば京都市さんが定義しておられますように、施設一体型、施設分離独立だと連携型、それから施設併用型の三つのタイプがありますけれども、それらの施設を全部小中一貫教育と捉えて、そのタイプを見ていくことは必要だけれども、連携は当然のことなんで、この部会で扱うのは小中一貫教育というふうにすべきではないかと思っております。意見です。
【小川部会長】  事務局の方、どうですか。
【武藤教育制度改革室長補佐】  そのあたりも含めた御議論だと思うんですけれども、先ほど事務局から御紹介した、恐らく次か、その次あたりに、小中一貫教育等についての実態調査というのを、今、結果を取りまとめている最中で、お出しできるかと思っています。
 そのときに、一応、小中連携教育と一貫教育というのは、便宜的に定義をした上で調査を行いました。その定義というのは、今、部会長から御紹介があった24年の定義をもう少し明確化した形でやったわけです。
 そのときは、小中連携というのは、小中学校が互いに情報交換や交流を行うことを通じて、小学校から中学校への円滑な接続を目指す様々な教育ということで、かなり広くとりました。「一貫」というのは、その連携のうち、小中学校が目指す子供像を共有して、9年間を通じた教育課程を編成して、系統的な教育を目指す教育というふうに置いて、その上で調査をした。
 その中で、連携をやっている所はどれだけありますか。連携をやっている中で、一貫をやっている所はどれだけありますかという形で調査をしています。具体的な結果というのは今後なんですけれども、我々、取りまとめている過程でいろいろ見ている限りで言うと、「一貫」というふうに名乗っている所もかなりばらばらでありまして、今ほどの議論で申し上げると、かなり「連携」のレベルにとどまっているものなんかもあったりするのが実情なのかなというふうに思うんですね。一貫したカリキュラムとか一つの目標を持っているかどうかということで言っても、施設が必ずしも一体でなくても、そういう先ほどの三鷹の例にもありますように、きちんとしたものを造っている場合もあれば、その施設の制約にそのまま引っ張られてしまって、連携のレベルにとどまっているものなんかもあったりするというのが、我々の実感でございます。
 そのあたりも含めて、どういう定義を設けていくのかということも議論なのかなというふうに思うんですね。小中一貫という制度を作るときに、その制度の輪郭というのは大事になってきますし、その中で、どういうパターンを認めていくかということもあるのかもしれません。
 あるいは、そういう全てを議論していくときに、それ以外の、いわゆる狭義の小中一貫じゃない所に対して、どういうインパクトを与えていくかという論点も、いろいろな識者の方々も御指摘いただいているのかなというふうに思っています。
 まだまとまらない部分もございますけれども、そういうことも含めて御議論なのかと思いますし、先ほどは天笠先生からお話があったように、今後の審議の進め方について、非常にスケジュールはタイトな部分もございますので、部会長や副部会長と我々も御相談して進めていきたいなというふうに思います。
【小川部会長】  そういうことですね。数か月しかないんで、多様な連携まで含めて、それの推進、支援のための制度化も含めて小中一貫教育の制度化の話をすると、ちょっと時間的にかなり無理があると思うので、僕は、基本的には、西川委員がおっしゃったような整理の仕方で、かなりターゲットを絞って、制度化のありようをやった方が、2か月、3か月というふうな時期を考えた場合、生産的かなと思うんですが。ただ、いろいろな御意見があるかと思うので、事務局と私の方でちょっと整理させていただいて、その辺の整理と進め方については、次回か次回以降、ヒアリングを予定していますので、その過程の中で少し整理して、皆さんの方にまた御提示させていただければと思います。そういう扱い方にさせてください。
 ほかになければ、もう時間が来ていますので、きょうのところはこれでよろしいでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
 では、最後に、次回の予定について事務局の方からお願いいたします。
【小林教育制度改革室長】  はい。次回につきましては、9月8日の月曜日の午後1時からを予定しております。追って正式な御案内を送付させていただきますので、御出席のほど、是非、お願いできればと存じます。
【小川部会長】  9月8日、月曜日、1時からということですので、よろしくお願いします。
 次回以降は、次回から2回ぐらいにわたって、先ほど事務局からお話があったように、取組を進めている学校現場からのヒアリングを中心に行いたいと思います。併せて、事務局が小中一貫教育の実態調査も取りまとめて、今、分析の過程だというふうなことですので、それがまとまり次第、この部会にも報告いただいて、また、皆さんから御意見を伺うというふうなことにしたいと思います。そういうことでよろしいでしょうかね。
 じゃあ、なければ、これできょうの議題は全て終了しましたので、第1回目の特別部会を終わりたいと思います。ありがとうございました。

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