資料4 中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会(第69回・第70回)における主な意見

 1.大学と教育委員会の連携の在り方について

  • 大学と教育委員会の連携・協働について、法令の根拠も含め、そのあり方を実体的・実質的に整理する必要があるのではないか。
  • 全国規模の大学では連携すべき大学は多くある。教育委員会との連携はどうやって行うのか吟味が必要。
  • 入学者選抜やカリキュラムについても大学と教育委員会が連携し、合同で行う実習等を通じて学生の力量が証明されれば、教育委員会が確実に採用するという仕組みを構築することが必要ではないか。
  • 大学は現職教員の育成について、あくまで協力であり、そこを明瞭にした方が良い。
  • 幼稚園は多くが私立であり、学校法人や私立幼稚園の全国団体との緊密な連携が必要。
  • 教員養成の高度化も大学のカリキュラムの実践化も教職大学院との円滑な運営も、教育委員会と学校現場の協力がなければできない。教育委員会や学校現場も、大学との連携について意識を転換する必要がある。
  • 教員の実践的指導力を向上させるためには、教員養成段階から教育委員会が関与する必要がある。
  • 大学と教育委員会の連携・協働を支える組織として、日本版TDAを作る必要があるのではないか。

2.教員免許制度の在り方について

  • 免許を更新した人と新任で免許を取った人とで同じ免許ではあるが、中身が違うのか。また、専修免許状、一種免許状、二種免許状、業務の内容等にたいした違いは無い。免許状の意味を再確認すべき。
  • 6・3・3制の見直しの議論がある中、免許の在り方は学制の在り方から考えていかないといけないのではないか。
  • 他校種でも教えられるよう、副免許制度の創設について検討すべきではないか。
  • 教育職員免許法はかなり制度疲労を起こしている。例えば、義務教育免許状を創設し、その中に各大学の特色をいかしたプログラムを含めるといった新たな制度としてほしい。

3.教職課程の在り方について

  • 特に小学校高学年は内容が専門的になり、算数、理科、社会でつまずきが多く、専門的な内容を小学校教員が指導できないという状況にある。学校現場の声をもっと教職課程の改善に生かしてほしい。
  • 中学校の現場で若手の教員を見ると相変わらず教え込みの授業が多い。大学における指導法を言語活動や主体的な学習活動を重視とした内容にすれば大学の評価も高まる。
  • 来年度のカリキュラム開発の予算によって、課程認定することと教員養成カリキュラムの開発が促されることの接点について突き詰めてほしい。
  • ICT、道徳教育、いじめ問題など、教職課程や研修の内容がどんどん増えて複雑になりすぎている。また、教職実践演習の中身も不明確で、期待したような効果が上がっていない。そのような枠組みとするのか検討すべき。
  • 教職科目ごとに絶対に教えなければならない内容を明確にすべき。
  • 総合大学など教員養成系でない大学出身の教員が増えている中、教職大学院だけでなく多様な大学が開放制の原則の中で高度化する道を検討すべき。
  • どの学校種を念頭に入れて議論するのか、同じ教職課程でも教員養成系大学の問題なのか一般大学における問題なのか、様々な問題を混同せず整理して議論すべき。
  • 今後10年で教員採用者数は減る見込み。少子化社会の中でどの程度の規模の教員を養成すべきかが大きな課題ではないか。10年先を見越した養成システムを検討すべき。
  • 教員の質の高さというのは教員の人間性にかかってくる。豊かな人間性を持つ先生をどのように育てていくのかにも視野を向けるべき。
  • これまで教員の資質向上に関して様々な施策を展開してきたが、教員の質の向上には結びついていないという実感がある。今の養成制度が、教員の確保を主眼とした古い制度である二種免許、指定教員養成機関、通信制などと、質の担保を主眼とした新しい制度が混ざっていることも原因と考えられ、構造的に見直していく必要があるのではないか。
  • 自治体によっては、採用の決まった人材を、採用前から集めて研修を行っているところがある。これは大学の教員養成課程だけでは実践的指導力が身につかないという危惧が学校現場にあるということを示している。
  • 小学校教員については、専門的知識の育成より実践的指導力の育成に重点を置いた教員養成課程の見直しを進めていただきたい。
  • 学校現場で優れた実践をしている教員を、一定期間大学の養成課程の教員として採用していくシステムが必要。
  • 実務家教員を大学に入れる必要はあるが、単純に入れれば良いということではなく、入れることで大学がどのように変わるかが重要。
  • 小学校に英語教育が加わることは教員にとって負担であり、また授業の質保証という観点から限界にきている。英語の教員については専科教員として、配置と育成を進めるべき。
  • 教員や自己の課題や能力に応じて学び直しできるシステムを考えていただきたい。
  • 小中一貫教育など多様な教育体制を視野に入れた教員養成カリキュラムの開発と研修を行うべき。
  • 多様な人材を学校現場に登用する場合、教員としての適性や専門性を担保する必要がある。
  • 教師力は大学での理論的な学習だけでは身につかない。学校現場で実際に子供たちに接しなければ、大学で学んだことを具体的な指導技法とすることはできない。
  • 大学で学んだ専門的な知識を、実際に教壇に立ったときの指導に活かせるようなトレーニングをしっかり積ませるべき。
  • 教員養成を高度化するためには、大学が現に保有する教職課程を抜本的に改善し、その上で大学院レベルの教員養成機能の改善を図る必要がある。
  • 学部・学科単位に分散している教職課程を全学的に管理・運営する組織の構築が不可欠。
  • 学習指導要領の改訂と教員養成に関する制度改正をうまく連動させるべき。これまでは学習指導要領の改訂が先行してきたが、むしろ教員養成が学習指導要領を先取りし、その下で養成された教員が現場の担い手となるべき。
  • 教員は公教育を担う存在であるにも関わらず、全体の奉仕者という意識が足りない。教育は公の仕事であるということを、きちんと教員に自覚させるような教職課程のカリキュラムを編成すべき。
  • 教育の理念や歴史、思想については、単位数の在り方を検討する必要があるのではないか。
  • 教職課程について議論する際は、養成段階と現職段階で身に付けるべき事柄を整理し、養成と研修の分担や連携の在り方、教職課程の科目と大学との関係について留意することが必要。
  • 開放制の大学においては、教職課程の見直しを行う余裕がないのではないか。
  • 学校現場においては、教職課程で単位を増やすより、英語力やICTの活用力など時代の変化に合わせた力を身に付けた教員が求められている。
  • 他校種の免許の取得については、教職課程の単位数を変えるのではなく、学校現場での勤務経験を踏まえて取得できるような仕組みにした方がよいのではないか。
  • 教職課程の在り方を検討する際は、教員をどのような専門職に育て上げるか長期的な視野で議論する必要がある。
  • 大学は教養教育を本務としているが、一方で教員養成は実務家育成が求められているため、カリキュラム作りに様々な配慮が必要。
  • 大学4年間の養成段階は、教員としての資質や適性を確認する場所であるので、膨大な知識を与えるのではなく、ボランティア活動など豊かな人間性や多様な人生経験を培う余裕を与える必要がある。
  • 養成段階で学生が自分に教員としての適性がないと判断した場合は、免許を取らなくても卒業できるような仕組みを作っていただきたい。
  • 現代的な課題が出てくるたびに教職課程を増やしていっても有効ではない。根幹になるところをしっかりおさえ、それを深く学ぶという方向でないと、あれこれ詰め込むだけの教員を育ててしまうことになる。

 4.教職課程の質保証の在り方について

  • 教職課程の質保証のためには、実地視察に加え、専門家のピアレビューも導入すべき。
  • 専門家のレビューや評価結果を受けてどのように改善したかまでを評価することで、一定年限をかけて教職課程の質の向上につなげるべきではないか。
  • 教職課程を大学あるいは学部の中でしっかり位置づけて教職課程に関する権限をもっと明確にすべき。
  • 教職を担当する資格を課程認定のたびに審査するのは大変なので、教職科目担当資格を作るなどしてはどうか。
  • 大学単位で教員養成に責任を持つべき。例えば、大学に教職課程委員会などを設置し、採用する教育委員会から必ず委員を出すなどしてはどうか。
  • 教職課程については相変わらず入り口管理が中心であり、実地視察にも限界がある。教職課程の認定という仕組みから認証評価へと転換すべき。

 5.教員の採用の在り方について

  • 教員の養成・採用・研修について議論する場合、実質的には採用のところで教員の資質能力の基準が決まってくるにも関わらず、採用についてはほとんど論じられない。
  • 高い倍率の教員採用試験に合格した教員はやはり優秀。教員採用試験については一定の倍率が確保される必要がある。

6.現職教員の研修の在り方について

  • 現職教員の指導は座学では限界がある。実技やワークショップなどを取り入れた、教員の実際の指導にまで踏みこんだ専門家による指導をフォーマルな研修として位置付ける必要がある。
  • せっかく研修で質を高めても、学校の先生は忙しく時間外に研修ができないため、学校単位で質の向上につながらない。授業時数や教育課程を思い切って減らしてもよいのではないか。

7.その他

  • 個別の論点・テーマについてワーキンググループを設置して議論し、部会の見解をまとめるというやり方もあるのではないか。
  • 教員養成部会では、教員養成の基本的方向や免許制度そのものの在り方まで含めて議論するのか、当面の課題だけ議論するのか、きちんと明確にしておかないと議論が発散するおそれがある。

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初等中等教育局教職員課