資料6-2 委員提出資料

コメント(要領の策定にあたって)

岩田純一

1. 保育には養護と教育の両側面をもつが、保育所は「養護」に、幼稚園は「教育」に重点が置かれている。 養護を主たる目的とする保育所でも、教育に関するねらい及び内容は(三歳から) 幼稚園教育要領に準拠してあげられている。

2.幼保連携型の認定こども園の位置づけ: 幼稚園の保育所化、保育園の幼稚園化による保育(養護)・教育の一体的実施
 文部科学省と厚生労働省の平成18年8月の告示のなかに「当該施設を構成する保育所において、(教育に関する部分は? ) 満三歳以上の子どもに対し学校教育法に掲げる目標が達成されるよう保育を行い、かつ、保育を実施するに当たり当該施設を構成する幼稚園との緊密な連携協力体制が確保されていること」とある。 実際に先導的試行においても、三歳からそのまま保育所コースに残るか(長時間児)、それとも幼稚園コース(短時間児)になるのかで分かれるが、三歳から五歳の共通時間は合同保育になっている。 三歳までは養護、三歳以降は保育所コースでは養護と教育、幼稚園コースは教育という風にも受け取れる (教員配置やその資格からも)。  しかし同じ告示のなかに 「・・・0歳から就学期までの一貫した教育及び保育を子どもの発達の連続性を考慮して展開していくこと」 とある。 幼保一体型の認定こども園では、 養護と教育の両方の連続性を0から5歳児に渡って考えているようにもうけ取れる。 → 策定にあたっては明確にしておく必要がある。

3. 最初から養護+教育が一体化して連続的にねらいとされるなら(また、たとえ三歳未満と以降を境として養護と教育+養護を区別するにしても)、すると、認定こども園では6年間の長いスパンを考えなければならない。 教育に関するねらいや内容は、保育所指針も準拠する幼稚園教育要領では、就学期までに三年間で到達するべきねらいや内容が5領域として挙げられている。しかし、6年間の長いスパンを考えるとき、三歳未満に到達すべき内容やねらい(途中の下位目標) と、さらに三歳以降にかけて到達すべき内容やねらい( 従来の幼稚園教育要領の5領域におけるねらいや内容のような最終の到達目標) といった風に二段階くらいに分けて記述する必要があるのではなかろうか。 三歳未満児までの教育に関する内容ねらい ( 目標) が必ずしも5領域に厳密に対応して書かれる必要はないとしても。 保育者がカリキュラムを作るという観点からもそうである。保育所指針のなかのまた保育所指針のなかで、<保育の実施上の配慮事項> においても、乳児、三歳未満、三歳以上児の保育に関わる配慮事項として発達的な時間軸を入れて丁寧に叙述している。 同じような精神で、内容やねらいを8つにわける必要はないとしても。 したがって、それに沿った育ちを促すねらいや内容があってもよいのではなかろうか。
 
→かつての保育所指針には(平成2年の新しい保育所保育指針)、6か月未満、6か月から1歳3か月、1歳3か月から2歳未満、2歳児、3歳児、4歳児、5歳児、6歳児といった年齡ごとの (教育的な) 保育内容やねらいが明記されていた。 準拠する幼稚園教育要領がないので、3歳未満の内容は5領域になっていない。 細分化はデメリット(保育を縛ってしまう)もあるが、保育者にとって年齢ごとのカリキュラムをたてる目安となるメリットがある。
→そのように年齡による細分化したねらいや内容を策定する必要がないとしても、保育者がカリキュラムを作っていくことを考えると、現行の保育所保育指針にある第二章の「子どもの発達」のなかにある、<おおむね> として8段階に分けて 叙述してある「発達過程( それぞれの時期の発達的な特徴)」 ( おそらく、以前の八つの年齢区分による教育的ねらいや内容を削った代わりとして加えられたのでは) をより手がかり的に細やかに解説する方法が考えられる。

4. 上と同じように、保育所保育指針にみられる養護(生命の維持・ 情緒の安定)に関する内容やねらいがあげられているが、これも同じように二段階くらい(0から2歳児にかけて、  3から5歳児にかけて)に分けて書いてもいいのではないか。

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