資料1 高等学校教育部会における高校教育の質の確保・向上に係る審議のポイント(案)

高等学校教育部会における高校の質の確保・向上に係る審議のポイント(案)
1.検討背景とこれまでの検討経緯
2.高校教育の質の確保・向上をめぐる現状・課題認識
3.高校教育の質の確保・向上に向けた基本的考え方
4.高校教育の質の確保・向上に向けた取組
(1)学習成果や教育活動の把握・検証
○1達成度テスト(基礎レベル)(仮称)の導入
・目的、内容、対象者、実施時期など
○2多面的な幅広い資質・能力の評価
・技能試験等の活用の推進
・幅広い資質・能力の評価手法の導入推進
(2)キャリア教育・職業教育の推進
(例)・普通科等におけるキャリア教育の推進
・実践的な職業教育の充実
・総合学科における優れた取組の普及推進
・高等学校専攻科の充実
(3)多様な教育活動の推進
(例)・定時制・通信制課程等における困難を抱える生徒等のための支援・相談の充実
・ICT等の活用による学びの機会の充実
・優れた才能や個性を有する生徒を支える取組の推進
・高等学校段階における特別支援教育の推進
(4)その他
※広域通信制高校の在り方見直し
(例)・不適切な事案への対応
(当該校の教員以外の者による指導、単位認定・卒業認定の形骸化など)
・所轄庁の関与の在り方の見直し

1.~4. 「初等中等教育分科会高等学校教育部会の審議の経過について」(平成25年1月)において整理されている事項


(別紙)

高等学校教育部会における「課題の整理と検討の視点」概要※高等学校教育部会(第11回)(平成24年8月10日とりまとめ)

1.高等学校教育の現状
・中学校卒業後の生徒が98%が進学しており、生徒の興味・関心、能力・適性、進路等が極めて多様。例えば、学力面については、極めて高い学力を有している者がいる反面、小学校や中学校における学習を十分修得していない生徒も少なからず見られる状態。
・平成3年以降、総合学科の創設や学校外学修の単位認定制度の拡充、全日制課程における学年制によらない単位制高等学校の拡充等の施策が着実に推進。各都道府県では、地域の実情に応じた独自の取組が行われ、特色ある改革が推進。
・教育内容や学習形態が多様化したことにより、生徒の多様な学習ニーズに応えることが可能となったが、高等学校教育として共通に求められるものは何かという視点が弱くなっているとの指摘。

2.高等学校教育の課題
・将来の進路等との関連を意識して学びに取り組む態度や、社会の一員として求められる意識・態度の育成、学習時間の減少に指摘される学習意欲の減退が課題。
・進学率の向上と多様化の進展により、「高等学校」として一括りに現状を分析したり課題を捉えることが困難に。

3.高等学校教育に期待されるもの
・今後の高等学校教育は、どの学校においても、生徒の自立に向けて、全ての生徒に最低限必要な能力を身に付けさせるとともに、生徒の適性や進路等に応じて必要となる資質・能力を身に付けさせることが期待される。特に生徒の適性や進路等に応じた課題を踏まえた教育を行うにあたっては、これからの時代が将来予測困難になっていることを見据えて、各学校が地域の実情や生徒の希望実態等を踏まえ、目標とする人間像を明確にした上で、それぞれの生徒の個性や能力を伸長させる教育を行うことが期待される。

4.今後の施策の方向性
・全ての意志ある生徒が、その能力・適性、進路等に応じた教育を安心して受けられ、学びを通じて、その能力・可能性を伸張させることができるよう、高等学校教育を含む後期中等教育段階の学びの機会を与えられるようにすることが必要。ただし、このことは、いわゆる「義務教育化」を目指すものではない。 

○1全ての生徒に共通に最低限身に付けさせるべきもの(=コア)について検討が必要。
○2各学校ごとに、地域の実情や生徒の実態を踏まえた目標とする人間像及びそのために生徒が修得すべき内容を明らかにし、その内容を確実に修得させるとともに、修得状況を明らかにする様々な質保証の仕組みを構築することが必要。   

・そのための施策の実施にあたっては、高等学校として共通に基盤となる教育条件や教育環境を整備した上で、各学校が目標とする人間像に応じて、それぞれをより効果的に実現できるよう支援する観点から、国や地方公共団体が施策を講じることがより効果的。   

5.高等学校教育の質保証
・本来求められている高等学校教育の質の保証に関する機能を十分に果たしていないため、結果として、生徒が高等学校の学習において何をどの程度修得したのかが見えにくくなっており、中には、高等学校の学習成果として期待される資質や能力、態度を身に付けないまま卒業しているケースも見受けられる。

・今後の高等学校教育の質の保証を検討するにあたっては、以下のような点について議論することが必要。
 ○1高等学校においてどのような能力を身に付けさせるか。
 ○2生徒の修得の到達目標を誰がどのように設定するか。
 ○3到達目標に対する達成度をどのように把握するか。
 ○4上記の点を踏まえた質を保証する仕組みをどのように構築するか。

6.各種の振興方策(検討事項例)
(1)高等学校教育全体の振興方策
 ・近い将来主権者となる全ての生徒に共通に最低限修得させるべき内容(=コア)に関する指導の充実
 ・修得すべき内容の明確化と修得の状況を明らかにする仕組みの構築
 ・ICT等の活用による対話型・グループワークを取り入れた学びの機会の充実、地域の人材を活用した授業の改善 等

(2)各学校の目標とする人間像に応じた振興方策

 ●社会経済活動の基盤を担うために必要な資質・能力の育成
  ・普通科における義務教育段階の学び直しや職業教育の充実のため、より柔軟な教育課程の編成を認める 等

 ●専門的職業人に必要な資質・能力の育成
  ・社会のニーズと専門教科・科目のミスマッチを解消するための取組の実施
   ・地域・産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動等による職業教育の充実 等

 ●社会においてリーダーシップを発揮し、また、グローバル社会において国際的に活躍するために必要な資質・能力の育成
   ・大学等の協力により高度な内容の授業を受ける機会の提供等の高大連携の推進
  ・厳格な成績評価を前提とした早期卒業を認める制度の創設 等

 ●自立して社会生活・職業生活を営むための基礎的な資質・能力の育成
  ・発達障害に関する教職員に対する研修の充実
  ・特別支援教育支援員等の専門スタッフの充実
    ・スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー等の専門スタッフの充実 等

7.高等学校と大学との接続
・高等学校における授業の改善も含めた高等学校と大学との接続の観点からも、高等学校における質保証に係る検討と併せて、大学進学者の意欲や能力、適性等の多面的、総合的な評価に基づく大学入試の在り方について、別途高等学校及び大学関係者による検討が必要。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)