参考資料2 第18回高等学校教育部会における各委員の主な意見

1.高校教育の質保証の仕組みについて

  • 実際に学校現場で生徒を目にしている時に質保証に関する大きな課題というのは、やはり主体的に学習に取り組む意欲、態度であり、そういう意味で、その質保証の評価の仕組みについて希望参加型のテストが出てきたわけであり、生徒自身の学習意欲を喚起する仕組みを是非構築していただきたい。
  • テストで学力をある程度測ることはできるが、創造性など測りにくいところをどう見ていくかはまだまだ課題が多い。
  • 「技能検定の活用を促進」という部分で、基本として必要なものを身に付けないまま合格することなどについて、資格取得に取り組ませる上で注意が必要。
  • 質保証について、様々なグループがある中で、全てに対して共通で統一試験を行う質保証を考えているのか、それとも段階を入れるのか、検討する上である程度具体的な方針が必要。
  • 希望参加型のテストについて、到達度を測って将来大学や企業にどう生かされるのか。インセンティブを与えないと、生徒は到達度を上げようと思わないのではないか。
  • この部会で検討しているテストについて、高大接続特別部会での検討やセンター試験との関係性など、整合性をまとめていく必要がある。
  • 高校生が大学に進学する際のこの部会で検討しているテストの意味について、偏差値でトップレベルの大学には学力という面であまり意味があるかわからない。一方、一般の大学において、経営面から人に来てもらいたいということもあり、このテストがどうであれ、大学側でよほど教育の問題を考えないと変わらない。就職との関係についてはもう少し研究が必要であり、その議論が少ないのではないか。

2.高校教育で身に付けることが求められる資質・能力

  • これまで一人で早く正確に見つけることが重視されていたが、今は、容易には見つからない答えを探し求めることが重要で、やってみて失敗してを繰り返しながら進んでいくことを経験することが自己肯定感や学習意欲につながるのではないか。
  • 大学入試の問題が非常に大きく関わるが、答えのない問題に果敢に挑戦するという21世紀に必要な能力は、大学進学者も高校卒業し社会に出た者も共通して必要であり、高校できちんとそういう能力を育成することが今後必要。
  • 生徒の成長過程を見ると、学力も重要だが高校における人間形成の中では部活動による側面も必要。
  • 学校教育について、生涯学習社会における役割という視点を捉えることが必要であり、高校では、生徒の成長、発達において、生涯に渡って学び続ける、そういう姿勢を創るという役割がある。
  • 高校において、黒板をノートに写すという受け身な学びが身に付いてしまっており、一番必要なのは課題を見つけて解決する能動的な学びであり、学び方のスタイルを変える必要があるのではないか。
  • 進路とは無関係に、高校生としてこれだけの内容をもった人間であってほしいということで、やはり基本的な知識・技能が基本ではないか。

3.高校教育の多様性について

  • 普通科や実業系の高校、そしてそこから定時制に進路を変更する子供たちもいるので、そういう子供たちに対する必要な対策やサポートの議論も必要。
  • 高校生自身の自己肯定感が非常に低いという調査もあり、いろいろな経験をしながら子供たちが社会に出ていくようにするため、3年間でいろいろ学ばせていければいい。
  • 基本的なこととして「コア」の部分でも議論したが、学力の問題もあるけれども、子供たちが確かに生きていくためにはどうするかが大事。
  • 基礎的な学力は、例えば国語科で定義される国語の能力の基礎だけではなく、総合的に使えるための読み書き能力ということになると思う。PISAの国際学力調査でもそれは重要であるという観点から作られたものであり、教科を通じてどうするのかを考えなければならない。
  • 個性の尊重や多様な学びの推進などが言われているが、現状では実行されているか見えにくい。グローバルという視野で考えると、多様性を価値として持っていないといけない。
  • 多様な高校の学びというが、高校に進学する時に生徒たちは行きたくてその高校に通っているのか。全日制の入学試験後に定時制の試験があり、不本意で定時制に行っている実態がほとんどではないか。専門学科や総合学科も多分同じようなことがあるのではないか。必ずしも主体的に学ぼうとする多様な教育と生徒たちとの関係性にはないのではないか。
  • 定時制において、定時制に通う生徒のほとんどは定職を持つ勤労青少年ではなく、不登校経験や中退経験、あるいは発達障害を持つ生徒も多数おり、その中で卒業後社会人としてやっていける力を身に付けさせていくため、基本的・基礎的な学力よりも、多様な資質・能力の育成に多くの時間を割いて対応している。また、各生徒の持つ課題が多岐にわたるため、十分な数の先生がいないと、授業等で中々基本的な力を身に付けさせることは難しい。
  • 定時制、通信制を視察し、不登校、引きこもり、学力不足の生徒たちに対し、先生が一人一人に対面し、その指導により、自分の希望、能力に見合った大学へ進学するといった現場に何度も遭遇してきた。単に効率性という点だけでは教育問題は語れない。こうした生徒に思考力や判断力、表現力等を身に付けさせていただければ、その学力が生きてくることとなり、また、自律型の人間にもなるだろう。
  • 総合学科では、多様な生徒に対応して、生徒自身が好きな科目を選んで勉強できることで、積極的に落ち着いて取り組めている、あるいは、居場所ができている。この自ら選ばせて決断をさせることにより、意思決定力を養い、さらに責任を自覚することなどを通して、生徒を育てていく仕組みである。一方、総合学科の課題としては、生徒が選ばなかった科目は力が付かないことなどがある。
  • 多様性について、一部にはさげすんでいながら言葉でごまかしているところがある。多様性をきちんと意味付けていけるような、等価なものとして主張していけるような議論を行い、社会に対してある意味では定義していく必要がある。
  • 高校でしっかりと受験指導していただきたいと思うが、一方で、もっとレベルの高い勉強や高校の授業科目に縛られず自分で考える、あるいは本を読み、色々な人と話し合うことが極めて制約されている。やはり思いきり広い意味での学びをしてほしい。

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