学校段階間の連携・接続等に関する作業部会(第14回) 議事録

1.日時

平成24年4月23日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省東館16階特別会議室

3.議題

  1. 小中連携、一貫教育の成果と課題について
  2. その他

4.議事録

【小川主査】 学校段階間の連携・接続等に関する作業部会を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれては、お忙しい中、御出席ありがとうございます。
 まず、本日の配付資料の確認を事務局からお願いします。

【小谷室長】 本日の配付資料でございますが、議事次第のとおりでございます。資料1から資料3まで、そして、参考資料として名簿をお配りしております。
 また、委員の皆様に机上資料といたしまして、これまでの会議におけます委員の皆様の意見の主なものと、去る4月18日に中央教育審議会の教員の資質能力向上特別部会に報告されました基本制度ワーキンググループ報告をお配りしております。
 さらに今回、長谷川委員より委員の皆様に、小中一貫教育の実践について理解を深めていただきたいということで、呉市教育委員会が取りまとめられました小中一貫教育実践事例集をいただきましたので、机上に配付させていただいております。
 不足等ございましたら事務局にお申し付けください。

【小川主査】 よろしいでしょうか。
 それでは、これから議事に入りたいと思います。
 資料1、2を御参照ください。これまでこの部会で皆さんから御意見をいただいたものを事務局でまとめていただいたものです。資料1が全体の構成案になっています。資料2が、本部会のまとめに向けてのたたき台といいますか、骨子案になっております。今日は、この資料1、2をベースにしながら、作業部会の報告取りまとめに向けた議論を進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
 まず最初に、資料1について、事務局の方から御説明ください。

【小谷室長】 それでは、資料1を御覧ください。資料1は、これまでの御審議を取りまとめるための、小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理の構成案でございます。小・中学校間の連携・接続に関する現状と課題認識、小中連携、一貫教育の目的、効果について記述した上で、これまでヒアリングを含めて御審議いただきました八つのテーマにつきまして、それぞれ審議するという構成になっております。
 それから、資料2を御覧ください。資料2は、この資料1の構成に従いまして、先ほど御紹介しましたように、机上資料としてお配りさせていただいておりますが、これまでの委員の皆様方の御意見、あるいはヒアリングを実施いたしました教育委員会や各学校の御発表のもとに、構成案と骨子案といたしまして、構成案で示します7の「校地・校舎、通学区域面における工夫」まで本日は作成し、お示しをしております。
 まず、1ページでございます。
左側に行番号が書いてございますので、それも見ながら見ていただければと思いますが、まず、この1ページで、小・中学校間の連携・接続に関する現状と課題認識ということで、9行目の丸にございますように、いわゆる中1ギャップについて触れた上で、事務局で御説明した各種調査の結果を記述しております。その上で、19行目の丸になりますけれども、その原因について記述をしております。この点につきましては「…」というふうにしておりますけれども、これまでの御審議では、学校文化の違いといった御指摘もございましたけれども、具体的な要因につきましては、ここで事務局として例示を挙げさせましたものの他に考えられるものを、この後の御審議で盛り込んでいただければと思っております。
 それから、36行目の丸では、こうした中1ギャップを乗り越えるために、小中連携、一貫教育の推進が期待されること、そして、この報告の趣旨を記述しているところでございます。
 おめくりいただきまして、2ページを御覧ください。小中連携、一貫教育の取組の現状を記述しております。
最初の丸で、小中連携、一貫教育が制度的に位置付けられたものではなくて、全国で独自に取組が推進されていることを記述した上で、この会議で御紹介いたしました実態調査の結果をお示ししております。その上で、清水良一委員から御指摘がございました、この作業部会の報告として、小中連携と小中一貫教育の定義について、貝ノ瀬委員やヒアリングを実施いたしました船橋市の御意見などを参考に、この作業部会の報告では、端的にですが、小中連携が「小・中学校が連携することを通じ、小学校から中学校への円滑な接続を目指す教育活動」、そして小中一貫教育は「小中連携のうち、小・中学校が9年間一貫した教育課程を編成し、それに基づき行う系統的な教育活動」と記しましたので、またこちらも後ほど御審議いただければと思っております。
 3ページを御覧ください。まず、1.小中連携、一貫教育の目的、効果ということで、まず(1)の目的でございまして、長谷川委員の御発表等を参考にいたしまして、全国で推進されている小中連携、一貫教育の目的は極めて多様であることを記述した上で、学校、市町村においては、小中連携、一貫教育の目的を明確化した上で、関係者で共有して、学校全体で組織的に取り組むことが必要であるとの記述をしております。その際の留意点といたしまして、天笠委員や貝ノ瀬委員、村上委員、原委員等から御指摘がございました、小・中学校の教職員が互いの違いを認めた上で学び合って、義務教育9年間で児童生徒を育てる発想を持つといったことなどを記述しておりますが、この点につきましても、追記すべき事項等について特に御審議いただければというふうに思っております。(2)の効果につきましては、貝ノ瀬委員や長谷川委員、あるいはヒアリングの実施校からの御発表では、不登校出現率の減少ですとか学力調査の平均正答率の上昇、あるいは児童生徒や教職員の意識面の変化等につきまして御指摘いただきましたけれども、清水哲雄委員から御指摘ございましたように、それが小中一貫教育の効果によるものなのかということについては、今後、国においてさらに検証が必要と記述をしております。また、新井委員から御指摘がございましたように、その際には児童生徒の変容に関する評価指標について検討していくことも必要というふうに記載をしております。
 おめくりいただきまして、4ページを御覧いただければと思います。2は、小中連携、一貫教育の推進体制の在り方についてでございます。
 まず、校内体制についての留意点を、小中連携、特に小中一貫教育、さらに施設一体型の場合について、村上委員等から御指摘いただきましたものを例として挙げておりますけれども、これらの点につきましても、さらに追記すべき事項について、御意見をいただければと思っております。
 (2)の学校間の連携・協力体制におきましては、学校間の連携協力体制を築いていくための留意点を記述しております。ヒアリングを実施しました聖ウルスラ学院から御指摘があった、お互いの専門性に学び合うことですとか、無藤主査代理から御指摘のあった、不登校への対応とか、あるいは特別支援教育についての留意点、さらに、5ページの方にまいりまして、酒井委員や高岡委員から御指摘がございました、関係者が一体となって関わることといったことを例として挙げてございます。この点につきましても、追記すべき事項について後ほど御意見をいただければと思っております。
 また、5行目の丸では、ヒアリングを実施しました横浜市の御発表を参考に、校長の兼務につきまして書かれておりまして、また、10行目の丸では、原委員や向山委員から御指摘のあった、教職員の過度な負担の解消についての記述をしております。
 (3)の市町村教育委員会の関与につきましては、支援の例といたしまして、長谷川委員や赤沼委員、村上委員等から御指摘ですとか、あるいはヒアリングを実施しました実施校の御発表の内容を参考にいたしまして、教育委員会規則を規定することですとか、小中一貫教育推進を担当する指導主事を配置すること、あるいはコーディネーターの配置、教職員の兼務発令に関すること、フォーラムや会議などの開催、調査研究事業やモデル事業の実施、学校が合同研修や合同授業研究会を開催する場合の支援などを挙げております。これも、さらに追記すべき事項がありましたら、御意見いただければと思っております。
 (4)の都道府県教育委員会の関与につきましては、支援の例といたしまして、赤沼委員ですとか角野委員、國定委員からの御指摘や、これもヒアリング実施校からの御発表を参考に、小・中学校両方の免許状取得を促進すること、教職員の兼務発令や、校長を兼務させることで校長定数を減じた分の定数を教諭の定数に振り替えたりですとか、小中一貫教員加配として該当校に配置すること、あるいは、人事異動方針として小・中学校間の教職員の交流の促進を位置付けること、さらには、6ページの方にまいりまして、コーディネーターの配置に係る支援、小学校における教科等に関する専門的指導に対する教職員定数の加配措置の活用ですとか、調査研究事業やモデル事業の実施を挙げております。こちらにつきましても、さらに追記すべき事項につきまして、御意見を頂戴できればと思っております。
 それから、7ページを御覧いただきたいと思います。7ページは、3として、「地域とともにある学校」づくりとの関係性について記述をしております。
最初の丸で、貝ノ瀬委員や高岡委員等から御指摘がございました、小中連携、一貫教育と地域連携を併せて取り組むことで大きな効果が期待されること、地域の実情に応じた在り方について検討していくことが必要であることを記述しております。
 8行目の丸では、佐藤委員から、保護者への浸透が必要との御指摘がございましたけれども、コミュニティ・スクールや学校支援地域本部につきまして、こうした仕組みを効果的に導入・活用することで、地域との連携や信頼関係を一層深めていくことが考えられることを記述しております。
12行目の丸以降では、ヒアリング実施校の御発表などを参考にいたしまして、小・中学校のまとまりに「学園」等の呼称を設けることについて、15行目の丸では、小・中学校の交流スペースや余裕教室を地域住民に開放することについて、19行目の丸では、取組に関する情報提供について記述をしておりまして、さらに24行目の丸では、國定委員や原委員から御指摘のあった、小中一貫教育の導入に併せて小・中学校を統合することについて記述をしております。
 おめくりいただきまして、8ページを御覧いただきたいと思います。4の教育課程の在り方についてです。
 (1)の小中一貫教育における教育課程の編成の在り方におきましては、初めの丸で、ヒアリングを実施いたしました品川区や船橋市の御発表をもとに、学校教育活動全体を視野に入れて小中一貫教育の取組を計画していくことが重要であること、また、関係者が議論して小・中学校一貫した教育課程を協働で編成して、教材を連携して開発することで、教員が教育課程の見通しを持って主体的に教育に取り組むことが必要であることを記述しております。
 9行目の丸では、ヒアリングを実施しました檜原村の御発表をもとに、各学校が指導計画を作成するに当たって、小・中学校間の連携に配慮して盛り込むべき内容を明示することについて記述をしております。
 (2)の教育課程上の区分の工夫では、まず、小川主査から御指摘がございましたように、14行目の丸で、児童生徒の発達の状況等を踏まえて小・中学校9年間の教育課程に区分を設ける取組について、多様な取組が進められて、その成果が蓄積されることが期待されること、また、20行目の丸で、その際の方法について、品川区の御発表や貝ノ瀬委員からの御指導、御指摘をもとに記述いたしまして、27行目の丸では、原委員から御指摘のあった、小学校6年生と中学校1年生を同一区分とした学年区分の在り方について記述をしております。さらに、35行目の丸で、酒井委員から御指摘がございました、学年区分を設ける場合の留意点について記述をしているところでございます。
 9ページを御覧いただければと思います。(3)で、学習指導要領の範囲を超えた教育課程の基準の特例の必要性について記述をしております。
 最初の丸で、事務局から御紹介しましたように、小中一貫教育を推進するために活用されている教育課程の基準の特例の類型について記述した上で、次の8行目の丸で、無藤主査代理から御指摘のあった、特例を活用した取組について、内容や成果を対外的に周知することにより小中一貫教育がより一層推進され、多様な取組が蓄積されることが期待されることについて記述をしております。
 さらに、ここでは特に13行目に「※」で記載しておりますけれども、無藤主査代理から御指摘がございました、この教育課程の基準の特例の一部について、義務教育の質の保証の観点に留意しつつ、設置者の判断で実施することを可能とすべきか否かについて、どのように考えるかということにつきましては、後ほど御審議いただいて、追記できればというふうに思っております。
 10ページを御覧ください。10ページは、指導方法の工夫について記述をしております。
 (1)乗り入れ指導の実施に当たっての工夫につきましては、最初の丸で、角野委員や長谷川委員の御意見をもとに、乗り入れ指導が小・中学校教育の質向上の観点から効果が上がっている例もあって、導入を積極的に図ってはどうかということ、また9行目の丸で、酒井委員や無藤主査代理から御指摘のあった、小・中学校教員の意見交換により系統性の担保につなげていくことや、16行目の丸で、船橋市の御発表をもとに、乗り入れ指導の担当部分についてはあらかじめ検討しておくこと、また22行目の丸で、清水良一委員から御指摘のあった、乗り入れ指導は児童が楽しさを実感できるように工夫することですとか、効果的であった事例について国や都道府県等が成果を分析し広く周知を図ること、また27行目の丸で、野木委員から御指摘のあった、ITを活用した工夫について記述をしております。
 (2)のその他の工夫では、野木委員から御指摘のあった、複数学年での合同授業について記述をしております。
 11ページを御覧いただきたいと思います。11ページでは、6として、教員配置や教員の免許の在り方について記述をしております。
 (1)の運用面の工夫では、最初の丸で、赤沼委員から御指摘のありました、小・中学校教員間の人事交流を促進すること、7行目の丸で、角野委員から御指摘のあった、小学校等の専科担任制度について、都道府県、市町村において、中学校教員に対し小学校児童に対する指導に関する事項について取り扱う研修等を実施することについて記述をしております。
 (2)の教員免許状取得に係る工夫についてのところでは、まず最初の丸で、無藤主査代理から御指摘のあった、教員が隣接校種で指導するための資質・能力を身につけるためには二通りが考えられること、25行目の丸で、隣接校種の教員免許状取得が促進されるよう、例えば、既に都道府県教育委員会等が開設している免許法認定講習を免許状更新講習としても位置付けることで、教員の負担を軽減するなどの取組について記述をしております。
 また、35行目の丸では、赤沼委員や新井委員から御指摘のあった、いわゆる義務教育免許状などといったような制度につきましては、机上資料で配付をさせていただきました、この中央教育審議会の教員の資質能力向上特別部会の基本制度ワーキンググループの報告書の10ページに該当の記述がございます。最初、概要がございますが、本文の方の10ページの(5)のその他というところの最初の丸で、複数の学校種をまとめた教員免許状の創設についての検討結果が書かれておりますけれども、こちらの記述も参考にさせていただいて、中長期的な検討課題ではあるが、例えば、複数免許状を取得する場合の最低修得単位数の設定の在り方について検討されることが期待されるということで記述をしております。さらに、天笠委員から御指摘のあった、9年間を見通した物事の見方や考え方ができるようなカリキュラムの開発等に努めることも記述をしております。
 さらに、12ページを御覧いただきたいと思います。3行目の丸で、無藤主査代理から御指摘のありました、低・中・高学年の児童に対する指導に特化した研修ですとか特定教科に限定した研修を実施するなど、修得したい指導技術ごとに研修を開講することについても検討が必要であることを記述しております。
 13ページを御覧いただきたいと思います。13ページでは、7.校地・校舎、通学区域面における工夫について記述をしております。
 (1)の校地・校舎に関する工夫では、最初の丸で、天笠委員から御指摘のあった、効果的な実施に資する学校施設の在り方について検討が必要であることを記述した上で、5行目の丸で、野木委員から御指摘のあった、校地・校舎が離れた場所にある際の工夫について、また13行目の丸で、天笠委員や向山委員から御指摘がございました、小・中学校が一体または併設となっている場合の工夫について記述をしておりますが、これらにつきましても、それぞれ追記すべき事項につきまして、後ほど御意見いただければと思っております。
 また、20行目の丸では、天笠委員から御指摘のあった、教育課程上、4・3・2等の区分を設定している場合の工夫について、また23行目の丸では、檜原村の御発表を参考に、小・中学校の校舎や屋内運動場を一体化するに当たって、既にある学校を改築する場合の補助や共用部分の在り方について、検討することが必要であることを記述しております。
 (2)の通学区域に関する工夫では、横浜市の御発表を参考に、29行目の丸になりますが、市町村内に多様な設定の通学区域がある中で小中一貫教育を行う場合には、連携する小・中学校ごとに区分して、各区分ごとに小・中学校教員が教育課程編成を行って、連携する小・中学校ごとに教育過程を共通化することによって小中一貫教育を推進することが考えられること、さらに34行目の丸で、小・中学校の位置を移転する場合の通学区域の設定の仕方の留意点について記述をしております。
 構成案でお示ししております8の義務教育学校制度の在り方につきましては、前回の御審議におきまして、たくさん御意見をいただいておりまして、机上資料の12ページ以降にありますように、様々な御意見をいただいております。これにつきましては、ここまで御紹介した事項を整理させていただいた上で、次回以降御審議をいただければと思っております。
 私からは以上でございます。

【小川主査】 ありがとうございました。
 今、事務局から説明がありましたように、構成案の8の義務教育学校制度(仮称)については、これは次回以降、たたき台が示されてから、議論したいと思いますので、今日は1から7まで、時間の許す限り、やっていきたいと思っています。
 進め方ですけれども、1から7がありますけれども、一つ一つの柱、時間を区切ってやると、ちょっと皆さんが議論しづらい面もありますので、一応三つに区切って議論を進めさせていただければと思います。最初は、小中連携、一貫教育の取組の現状から目的、効果、そして推進体制、「地域とともにある学校」づくりの関係性、この最初から3のところまで、ここを一くくりに、まず議論していただいて、次に4、5、教育課程、指導の在り方、これをまとめて意見をいただいて、最後、条件整備というわけではないんですけれども、配置、免許、校地・校舎、通学区域等、6、7を最後にまとめて、そういう三つのくくりで議論させていただければと思います。それで今日、残りあと100分ぐらいありますけれども、今日で1から7まで全部議論し尽くすということも難しいと思いますので、次回もありますので、今やった三つのくくりで、残された時間、できることまでじっくり意見を交換していただければと思います。そのようにお願いします。
 まず、先ほど言った取組の現状と課題認識から始まって3まで、ここを一くくりに議論していきたいと思いますけれども、内容について、こういう点で、何か落ちている論点があるんじゃないかとか、ここはこういうふうな書き方が望ましいんじゃないかとか、自分が今まで言ってきたもの、ほとんど反映されていないとか、いろいろ各委員の方からの御意見等々があるかと思いますけれども、まず3まで、御意見があれば自由に出してください。
 では、天笠委員から。よろしくお願いします。

【天笠委員】 失礼いたします。
 御苦労されて、ここまで整理されたことにつきましては敬意を表させていただきたいというふうに思います。
 その上で1点申し上げさせていただきますけれども、一つは、既に幼小の関係ですとか、そして中高の関係ですとか、そういうものが既に出ているわけなんですけれども、そういうものとこの小中連携、一貫教育についてということについても、実は言及があってもいいのかなというふうに思います。要するに、小中の間だけ、私どもの使命は小中の関係をやることなんですけれども、全体的な流れ、文脈からすると、既に幼小の関係が議論され、それから中高の関係もあって、そういう中での小中のつながりという、そういう視点というか視野でこれを捉えていくというのもまた必要なのかなと、そういうふうに思います。
 これは私の認識なんですけれども、そうした場合に、やはり小学校なら小学校だけ、中学校なら中学校だけ、あるいは高等学校なら高等学校の中だけを煮詰めて議論して改善策を思考するということが、ある種の限界、いろんな課題が出てきて、学校間の接続の在り方を考えてこざるを得ないような状況があって、今あったような形でこれまでやって、そして我々は、小中のこの部分を議論積み重ねていくというか、そういうことでこの場があるわけですけれども、そういうことについての言及がその現状認識とか状況認識等にあって、これからこう始めるというか、あるいは、このあたり、そういうことが必要があるんじゃないかというふうに思うんですね。私としては、基本的にはやっぱり、小学校だけの中、あるいは中学校だけではなくて、それぞれ学校が抱えている課題を、小中が互いに接近することとかつながることによって、抱えている現状の何がしかのことを開いていけるんじゃないかとか、そういうことは多分文脈の中に、それぞれの方策とか方向性としてあるんじゃないかと思っていますので、まずは今言ったようなことが、言及があるというが必要なのかなというふうに申し上げさせていただきたいと思います。
 以上です。

【小川主査】 ありがとうございました。
 重要な指摘かと思います。今、確かに、学校制度全体の見直しの機運もありますし、あと、教育基本法改正等々もありまして、いわゆる義務教育の規定や目的も新しい教育基本法で入れられたというようなこともありますので、そうした全体を踏まえた上で小中連携、小中一貫の教育として意味をきちっと書き込むというのは、全体の流れとしては必要なのかなと思いますので、また、その点についても委員の皆さんから御意見があれば出していただければと思いますが、ほかに。
 では、長谷川委員、どうぞ。

【長谷川委員】 今、天笠委員が述べられたことというのは本当に大事なことだと思うんですね。これは、区分をどうするかというふうなところから、やはり考えていかなければならないのかなと。
体制的には、4・3・2区分というのはよく出てきておりますけれども、この最初の4年間の教育をどういうふうにするか。まさに全人教育といいますか、人格形成すべき重要な時期だと思う。だったら、ここの時期にしっかりと、保育所・幼稚園と連携を取りながら、この時期を単なる4年間というんじゃなくて、3歳、4歳、5歳、あるいはその前から、その7年間とか8年間、9年間というものとして、ともかくしっかりと身に付けさせていく。そして、中期の3年間というのは、議論の中で出てきた中1ギャップとか、そういうふうな不安感をなくしていくための、いわゆる小中の先生の意識改革。最後の8年生、9年生、2年間においては、高等学校教育を見越した、しっかりとした学力、社会性とかというのを身に付けていく必要がある。これは、私は全く同感でございます。こういうふうな区分をしながら、そこの教育の在り方、位置付けというのを明確にすべきだろうというふうに考えます。

【小川主査】 ありがとうございました。
 ほかに、どうでしょうか。
 では、清水委員。

【清水哲雄委員】 今、天笠委員の方からありましたように、日本の教育全体の在りようをどのように構成していき、そして、どのようにつなげていくかというのは、もう戦後ずっと取り組んできたテーマだというふうに思います。私は、高大接続から始まりまして小中まで来ましたけれども、すべてそのような視点があったと思います。したがって、例えば今回のこの会のように、小中のつながりをこれまでの流れの中でどのように考えるかというのは大変大きな視点だというふうに思っています。
 ただ、これをやって、例えば、最後に義務教育学校制度までやったとしても、すべての学校がそうなるわけではありませんし、そうなりますと、この議論の中で出てきたいろんな手法については、あるいはいろんな視点については、今すぐにでもできるものも結構あるんじゃないかというふうに思っています。例えば、私どもは私立中学校から生徒を受け入れておりますけれども、中学校1年生の一番最初は、やはりカウンセリングマインドや、あるいはコーチングの手法を使いまして、ワークショップも子どもたちと一緒にやって、そういう中1ギャップが起きなかったという点で、かなり力を入れて、大半の私立学校は既にやっているわけですね。それは、小学校と中学校は連携していませんけれども、中学校レベルである程度のことができると思っています。したがって、そういうところもできるし、あるいは中学校の先生が小学校の教育課程について勉強することも十分できるというふうにも思っています。
 それからもう一つは、教育振興基本計画のことも関連しますし、今、秋入学のことも出ておりますので、そういう状況だとすると、今ずっと例えばということで6・3・2というのが出ておりますけれども、これのスタートラインをどこにするのかというのは大変大きな問題だというふうに思います。ここでやることは議論が散漫になるかもしれませんが、どこかでやっていただかないと、そのままもう決定なんでしょうか、この6歳から始まるというのは。そうだとすると、秋入学は、大学の側から起こってきた話ですけれども、秋入学の秋をどこからするかということを議論するにも、かなり大きな影響になるんじゃないかというふうに思っていますので、どこに入れるのか全くわかりませんし、ほかのことをやるんだから入れないでもいいということもあるかもしれませんが、どこかでやらないといけないかなというふうにも思っています。
 ちょっと話がずれてしまいましたけれども、とりあえず。

【小川主査】 ほかにどうでしょうか。今、小中連携、小中一貫を、学校制度全体が問われているわけですけれども、それをどういうふうに書き込むかという、その辺のところで少し懸念を伺っていますけれども、それはそれとして、本部会の整理の際には、押さえておくべき視点だと思いますけれども、ほかに1から3まで、まだありますので、何か気づいた点があれば。
 では、酒井委員、どうぞ。

【酒井委員】 今のに関連しているところなんですが、私も幼稚園から小・中・高校まで見通した、要するにK~12といいますか、やはりその教育課程の編成ということが非常に大事だと思うんですが、そのうち幼稚園と小学校教育の連携は非常に大事だと思って、もう一つは、義務教育と高校の接続といいますか、連携をどう考えていくのかで、前にも申し上げましたが、一方で中等教育学校が走っているという中で、それはそれで一つ理念があって走っている。それとどう整合的にこの9年間の教育課程ということを構想しているのかなと。ちょっと私自身は見えていないんですが、何がしかの言及があってしかるべきなのではないかというのが1点です。
 それから、もう一つは、今、清水先生がおっしゃったことに関連するんですが、課題の中で非常に中長期的に考えていかなければいけない課題と、すぐにでも対応すべき短期的なといいますか、課題とが混在しているような気がしておりまして、そこは少し切り分けていくといいますか、書き分けていくことが必要なのではないかというふうに思いました。

【小川主査】 そうですね、はい。確かに、全体的、1から3、特に教育課程とか、教職員の配置、免許の方に関わると、特に構成面に関わることもあって、かなり小中連携、一貫教育を推進するという場合にも中長期的な課題が多く言及されていることもありますので、その辺は少し、もう少し読み手に向けてわかりやすく、現行制度で運用のところで、もう十分できるところと、やっぱり法制度改正を見越して、ちょっと中長期的な検討を要するところというのは、もう少しメリハリつけて書いていければなと思っています。
 あと、小中連携、小中一貫を学校制度全体の改革の中においてどう位置付けるかということは、これは、この部会で議論して、この部会での意見をまとめるというのはかなりしんどいことなので、実際、両校一体の新システムの動きも動いていますし、高校教育には高校教育部会がスタートして議論は進んでいますので、そうした他の部会等々の審議の状況をうまく整理した上で、事務局の方まとめていただくというような作業になるかと思いますけれども、よろしくお願いします。
 ほかに、どうでしょうか。いろんな論点があるかと思いますけれども。
 では、高岡委員。

【高岡委員】 ありがとうございます。前もって送っていただいたもので読ませていただきまして、大変わかりやすく整理されている資料をいただいたと思っております。若干欠席した回もございましたので、全体を見させていただくというか、この議論そのものの流れというものを見させていただく点では、大変良い資料をいただいたと思いました。
 その上でなんですが、2ページの言葉の定義、これは今までなかったかなと。どなたかの、委員の方の御提案で、こういう形でどうかというので、そういう提案だというふうに思いますが、小中連携と一貫教育という概念の違いといいますか、どっちが大きいのかというふうに、書かれたものを読みながら見ておりましたが、一貫教育の方に、小中連携のうちで小・中学校が9年間一貫した教育課程編成するという表現になっていますから、連携と一貫ということが概念上代替になっているかどうか、よくわかりませんけれども、連携の方が広いという考え方で理解すればいいのかなというふうに思います。
 その上でなんですが、先ほど来の議論も含めて、やはり小中の連携の問題というのは、入り口のところでは、義務教育の9年間をどうするかというのが基本的なものであっただろうと思いますので、そこに焦点化をしたものがまず求められるだろうというふうに一つは思いました。
と同時に、一貫教育という9年間というのは、これもまた概念上、6歳から14歳、この9年というふうに考えるのか。あるいは、この9年間をいろんな仕分けで、4・3・2という切り方であるとか、5・4であるとか、いろんなやり方はあるということが、恐らく事例でもたくさん出されたわけですから、9年一貫という議論の中で、この概念の中で4・3・2とか5・4とかという仕分けをしていくと考えるのか。いや、これは、9年一貫という概念はやはり連携の一つの在り方なので、ある意味で極めて狭い概念だと考えれば、それと同時に4・3・2というのもあるし、5・4というのもあると理解するのか。そのあたりの整理が少し必要なんじゃないかというふうに思いました。
 それがなぜそう考えたかというと、都道府県、市町村の6・3制という義務教育制度に対する権限ですね。研究開発学校であるとか特例というような扱いではなくて、そこまで都道府県や市町村のレベルに義務教育学校の学年区分というものを基本的にゆだねるという方向で議論をするのか。あるいは、そうではなくて、やはり6・3という枠組みは守ってもらった上で、その工夫・改善の余地がこの程度ある、それは連携という議論で整理ができるという説明なのか。そのあたりを何かどこかできちんと整理というのはしておいた方がいいんじゃないか。概念整理ということが出てきたがゆえに、余計にそういう思いを持ったわけなんです。
 以上です。

【小川主査】 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。6ページまでのところで、何か論点があるでしょうか。
 では、長谷川委員。

【長谷川委員】 5ページの5行目ということで、仮に小中連携、小中一貫教育を実施した場合に、校長を一人制にしたら云々という文章がありますけれども、これを導入して、事務処理が原則としてできて、意思の疎通が図れるんじゃないかという書き方ですけれども、実際に校長一人制にした学校が広島県内にもあるわけで、そのときに、今の校長会のシステム、全国の校長会のシステムからすると、小学校の校長会があると小学校の校長会に出ていただく、中学校の校長会があると中学校の校長会にも出ていただく。そうすると、しょっちゅう会議に出ていく。それから、経済的にも、会費を常に小学校にも中学校にも納めなければいけない。
 そういうふうなことがありまして、そこのところはどうなんだろうかということで、呉市では、今は一体校において、小学校と中学校の校長を二人制にしております。教頭も二人制です。そして、どちらがメインになるかということは話し合って、今は小学校の校長をメインにしながら全体を統括するという形をとっている。
この辺をもう少し検証していく必要があると思います。一人の方がいいよというような書き方ではなくて、今後検証していって、現状に合わせてやっていく方がいいですよといった記述の仕方。
 それから、県の応援システムですけれども、県教育委員会はどう考えていくかといったときに、実は広島県におきましては、今年度から学力総合対策事業として、小中の連携と中学校と中学校の連携について、そこで生活指導、生徒指導と学力向上対策、これを両方並行して研究したらどうかというので、県内28地域で指定して、3年間指定で、1年間1校、1地域に対して40万円、3年間で120万円、そこに加配教員を付けて、学力向上対策と、それから生活指導対策の研究を行う。呉市も3地域が指定を受けております。これは、小中連携でのという形です。
 こういうことがもう始まりましたから、こういったことも全国の都道府県が、それぞれを検証して、これも正確にどういう成果が出てくるのか、結果が出てくるか、わかりませんけれども、こういったことも踏まえながら全国的に取組を進めていったらいいのかなと、そういう提案があってもいいのかなという思いがしております。

【小川主査】 ありがとうございました。
 特に前者の校長兼務は、ここの5ページのところには利点しか書かれていないので、校長兼務した場合の様々な問題もありますし、その辺はまだ今後の検討作業ですし、たとえ校長兼務とする場合でも、それをサポートする工夫の在り方等も必要だというふうなことも、少しきちっと書いていただきたいというような御趣旨だったと思います。
 後半はまさに一つの御提案ですので。
 ほかに、どうですか。
 では、野木委員、どうぞ。

【野木委員】 先ほど呉市の長谷川さんからあったんですが、この小・中学校の校長の兼務につきましては横浜市の方がやっていただいておりまして、横浜市の方は三つの学校が小中一貫ということで、一人の校長先生、そして准校長を置いて、小学校と中学校、どちらかが校長、そしてもう一人が准校長という、そういう形でやらせていただいて、お話を見ていただいたと思うんですけれども。そういう意味では、多分いろいろあろうかと思いますので、横浜市の場合はそれが非常に意思決定に役に立ったと。その准校長という名前が、もうちょっとどうなんだと、何だろうなと地域の人が思うというような問題があったので、もう少し何か、校長代理とか、何かいい名前があるといいねという、そういう話はございました。そんなので、私どものところはたまたま隣に学校があったというふうに、これ、地理的な条件で、いいところについては小中一貫もしましたし、あとは小中連携ということで、すべてのところをやっているという状態です。そういうようなことで、かなり大きなモデルはできているんじゃないかと思います。
 そういうことで、多分地域の状況によって、かなり違うと思いますので、その辺はいろいろと記述していけばいいのではないかというように思います。

【小川主査】 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。
 では、天笠委員、そして清水委員、そして酒井委員ということで。

【天笠委員】 たびたびすみません。
これ、大きく分けると、哲学ですとか概念というんでしょうか、そういうところを記述する部分と、それから現状、実情を記述する部分と、それから、配慮事項とか手立てとかやり方を変える、工夫する、およそ大体その三つぐらいではないかと思うんですが、もちろん書き進めていくと、今言った3点がきれいに判然と分けられるわけじゃない。混在する場合がいろいろあると思うんですけれども、ただ、ある意味、例えば見ると、2ページのところですけれども、ここの現状というのを、どれほど現状を書き込んでいるのかどうなのかと。ここのところに実態調査等々を用いて、その情報を記述しようという、こういうことなのかというふうに思うんですけれども。
 それで、4ページから5ページのところについては、基本的な記述のスタイルというのが、例えば、何々することが必要であるとか、留意を求めることですとか、こういう進め方、あるいは、こういうことは気をつけられた方がいいですよというような、そういうふうなトーンで書かれているわけなんですけれども、それでも、そういうものについて、もう少し現状を記述して、だからこうなんだというあたりのところを書きながら、こういうふうにしていった方がよろしいのかなと。例えば5ページの10行目からのところに、「過度な負担の解消」という、こういうところなんですけれども、確かにこの会でも、小中連携に関して先生方の負担の在りようというのが指摘をされてきたところだと思うんですけれども、これが小中一貫、連携を進めていくに当たっての一つのポイントなんだと言うならば、その現状がどうであったと押さえてあって、だからここのところをこういうふうに留意してくださいとしていく、あるいは、だからここのところに人の手当て等々というふうな後の記述になっていくと、こういうところは展開がしっかり見えてくるんじゃないかというふうに思うんですけれども。
 全体として、その辺りのところが、現状の書き方と、それから指摘と対応のところについての関係の記述の仕方をやっていくと、それぞれ厚みが出てくるのかなという、そんな感じがしております。
 以上です。

【小川主査】 そのとおりだと思います。これまでの審議では、現状に関わっては、いろいろなデータとかヒアリング等々で、かなり豊富なデータ、資料はありますので、それをベースにして、今言ったようなところをもう少しやっぱり丁寧に書き込んだ方が、ありがたいというか、今後の方策を展開する際、より説得性を増すということは確かに言えるかと思いますので、それはもう事務局の方で、少しまた工夫していただきながら書いておくというのを、ひとつお願いします。今日はあくまで全体の骨子案というようなことで、その辺のところはなかなか時間がなかったのかなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 では、清水委員。

【清水哲雄委員】 一言だけ言います。
 3ページで、(1)目的の7行目のところなんですけれども、大したことじゃないかもしれないんですけれども、かなり気になっていまして、「中学生が小学生との触れ合いを通じて自尊感情を高め」、これはよろしいかと思うんですけれども、そのまま読んでいくと、そのことによって、校内暴力や不登校やいじめといった問題行動の解消につながっていくという、そういう文章に読めてしまうんですが、恐らく自尊感情が高まっていくとそういうひどい行動はなくなるだろうということを書いているんでしょうが、実際の生徒の校内暴力行為、学内における暴力行為は、本当にこの数年増えておりまして、平成20年では中学校でも学内暴力行為は3万9,161件だそうで、15年前の1.4倍になっていますけれども、それは、小学生との関連による暴力行為や、あるいは、ここにある不登校もそうですし、いじめというのもほとんど同学年、同クラスのところがほとんどですので、ちょっと違う書き方をした方が何となくいいのかなというふうに思っていますが、私の理解が浅ければ、このままでもいいんですけれども。
 以上です。

【小川主査】 はい、わかりました。
 では、酒井委員。

【酒井委員】 先ほどのときに申し上げれば良かったのですがすみません。
 5ページの10行目からの丸、「過度な負担の解消」というところなんですが、非常に重要なところだと思っていまして、ここでは「持つことも重要」と書いてあります。その持つことが重要だというのは本当ですけれども、これは前にも申し上げましたが、今は特別支援コーディネーターですとか、いろんなコーディネーターを必要としている。それから、小中が連携を深めていこうという一方で、幼稚園と小学校との連携も深めていこうといったのもある。4番目、地域との連携もある。いろんな形で、その連携なりコーディネートなりという業務が非常に増えていっている状況があると思いますので、それをやはりうまく担えるようにしていかなければいけないと思って、ここの部分はやはり非常に重要な課題だというふうに思っております。
 以上です。

【小川主査】 ありがとうございました。
 ほかに、どうでしょうか。今まで、現状のところとか、目的、効果、あと推進体制の在り方等々で意見が出ていますけれども、7の「地域とともにある学校」づくりの関係性というところではまだ出ていませんけれども、何かこの辺に関わって、ありますか。
 なければ、もう一度前に進んで、そしてまた最後、全体にというふうに議論していってもいいかなと思いますが。
 はい。では、新井委員、お願いします。

【新井委員】 7ページの「地域ともにある学校」づくりと関係性というところでは、ここは、見てみますと、先ほどの御指摘のように、幼稚園と保育所とかという形になりますときに、同じように小学校の場合は学童という、こことの関係をどうするかというところが、どこがやるかということも含めてあるというふうに思いますので、これ、学校の開放という視点なんですが、地域にある学童とか子どもとの関係をどうするかという、観点が必要だと思います。

【小川主査】 ありがとうございました。
 では次に、4と5ですね。教育課程の在り方、そして指導方法の工夫のところで、少し意見をいただければと思います。資料2では、8ページ、9ページ、10ページのところですね。
 先ほど、事務局から要請がありましたように、特に4の教育課程の在り方に関わっては、9ページの最後のところにも記載されていますけれども、教育課程の基準、特例の一部については、義務教育の質の保証の観点に留意しつつ、設置者の判断で実施することを可とすべきか否かと。この辺のところは、これまでの会議でもいろんな意見はあったんですけれども、ただ、本部会全体としてどうすべきかというふうな判断は、まだ部会ではしておりませんので、部会のまとめに当たっては、その辺のところは、義務教育学校の問題とともに、少し本部会の意向はまとめておきたいなというように思っていますので、この辺も御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
 では、8、9、10ページのところで御意見を伺いたいと思います。
 いかがでしょうか。

【無藤委員】 教育課程の在り方というところで、小中一貫教育における教育課程の編成ということですね。次回議論する義務教育学校ともつながると思いますけれども、一応分け方としては、学制に係る義務教育学校という、かなり大枠から変える部分に対して、現行の小・中学校という枠を前提としながらも、その中で教育課程を一貫というか、つなぐというか、現在の学習指導要領の在り方よりはもう少し、いわば精密に、綿密につなぐということや、その他いろいろできるだろうということだと思うんですね。ですから、この教育課程のつなぎ方とか区分というものが、もう一度言いますけれども、現行の学制はいい。そのものではなくて、その中でもいろいろなところで、ある程度可能だと。
 その中の一つは何らかの特例措置だし、また別なところは、特例までいかなくて、様々にやったらできるということがあるということ。その場合に、いろいろなことができるんだけれども、それを国なり教育委員会として支援するとか、奨励するとか、便宜を図るとか、可能だというのが一つのことだとは思います。
 私は、そのあたりが比較的には現実的だと考えていて、その現実性というのは何よりすぐにでもできるということがありますが、ただ、それは、できれば内々でいろいろやりなさいねというよりは、もう少し表立って、小中一貫教育というものをそれぞれの教育委員会なり学校が打ち出したいなら打ち出せる。学制を変えるのではないけれども一貫教育なんだよということを打ち出して、積極的に乗り出せるというようなことがきっといいというのが一つです。
 もう一つは、4の教育課程の在り方の9ページのところで、どこまで特例を認めていくのかというところで、やはり特に大きな問題は、小中の間の入れ替えなどだと思うんですね。これは、中高の、特に中等教育学校とか中高の連携しているところで、ある程度認めようというのは既にあるんですけれども、それは小中の間でどのぐらい可能になるかということですね。これも、現実判断として考えれば、前にも申し上げましたけれども、特に大都市圏ですと、特定の小学校から特定の中学に全員が行くとは限らない。かなり異なる場合、違うところに行くなり私立学校に行く割合が高い場合に、そこの問題は深刻ですから、余り極端なことは少なくともできないだろう。
 しかし一方で、小学校にいる子どもはその特定の中学に全員ともかく行くのだと、教育委員会においても、それ以外は極めて例外的だという場合には、その教育委員会で決めて、ある程度やってもいいかもしれない。ただ、その場合に、設置者の判断で実施するとして、では、小中の9年間の質保証というのをだれがどこでどういう形でやるのかということについては、やはりしっかりと念押しが要るということではないかと思います。
 そういう意味で、学制改革まで入らないけれども、では、どこまで踏み込めるかと。私の個人の意見としては、学制改革に入らないけれども、ぎりぎり踏み込めるところを表に出して、ある程度積極的な推進というものを奨励する動きを取り出せないかというふうに思います。

【小川主査】 今の発言に関わって、少し質問などあれば。どうぞ。

【貝ノ瀬委員】 9ページの「※」の、教育課程の基準の特例の一部について、設置者の判断で実施することを可能とすべきか否か。この「特例の一部」というのは、これは想定されているのでしょうかというのをちょっとお聞きしたいです。それをお聞きしてから、ちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。

【小川主査】 これ、事務局の方でお答えしてもらっていいのか、それとも、まさにそれを本部会で、どの程度までそういうことを認めるのかということをある程度議論した方がいいのか。それ、ちょっと私も判断できかねるので、まず、事務局からお願いします。

【小谷室長】 事務局から御紹介させていただきましたのは、教育課程の基準につきまして御説明させていただきましたときに、中高一貫教育制度を例示とさせていただきまして、中高一貫教育制度におきましては、一条校として位置付けられている中等教育学校と、あと同一の設置者が設ける併設型と呼ばれている中学校・高等学校、これは、中学校を卒業された方は全員、高等学校に無選抜で入るということが担保されているものでございますが、そちらにつきましては、まず、中学・高等学校間の教育内容の入れ替えですとか、あるいは前倒しだとか先送りというものを平成16年から認めておりまして、またさらに、昨年度、この学校段階間の連携・接続作業部会におきまして、さらなる改善策を御審議いただきまして、本年度からは、中学校段階でも学年を超えて、その指導内容の入れ替えですとか前倒しとか先送りといったこと、これは6年間を見通して教育課程を編成するという段階では、中学・高等学校間だけではなくて、中学校1年生の段階からそういったことがあり得るだろうということで、それをまず認めているということと、もう1点は、これらに連携型も加えまして、中学校の選択教科・科目ですとか、あるいは高等学校の学校設定教科・科目の設定の範囲について、一般の普通科の学校よりも広く設けるという特例を設けておりまして、そのあたりにつきましては、現行の小中の教育課程特例校ですとか研究開発学校のほうで行われていらっしゃる取組を拝見しますと、これも前回分析した結果を、前々回でしたか、御説明させていただきましたけれども、9ページの(1)にあるように、総合的な学習の時間や教科等の時数を削減して、学校や地域の特性を活かした新教科などをきちんと設けてやっていらっしゃるという取組と、これが多かったんですが、さらに、指導内容を小・中学校間、あるいは学年間で入れ替えたり、移行していらっしゃる取組が現実として、これはあくまでも研究開発学校制度や教育課程特例校制度ですので、国にきちんと申請をいただいて、国が差し支えないと認定したものだけが認められて、実施されているわけですけれども、この点につきましても、中高一貫教育制度のように、ある程度設置者なりの判断で、国に申請いただくまでもなく認めるということがあり得るのではないかということで、無藤主査代理からの御指摘もございまして、一度御議論いただきまして、そのあたり、そのときはそこのところは意見交換が、ほかの部分の方が盛り上がってしまって、あまりなかったので、また改めてこうやって示させていただいているところでございまして、そういったことを義務教育段階ですと、中高一貫のように保護者が御判断されて、オプションとして設けられた学校制度とはまた異なってくる例もございますので、その辺りも御留意いただきながら、どういったものが考えられるかということを御審議いただければと思っております。

【小川主査】 よろしいですか。

【貝ノ瀬委員】 はい。義務教育学校はどうするかというふうな議論とつながっていくかとも思うんですけれども、その在り方とも今のことは関連しますけれども、中高一貫教育を想定してもらうとわかりやすい話なのかなとも思ったりするんですけれども、例えば東京の場合は10校、中高一貫教育校がありますが、本市にも、市内に1校あります。中等教育学校ですね。でも、その学校は進学推進校ということで、大体10校みんなそういうふうな位置付けになっていますが、教育理念としては、この国家社会をリードできるような指導者を育成するというか、リーダーを育てるというふうなことになっていますけれども、しかし、校長先生の方針など、3行目ぐらいから、国立大学に相当の人数を、数字は言いませんけれども、そういうものを目標とするというふうなことが記されていたり、それから、やはり人事部長さんなどは、適正検査ではなくて、入学の段階で、学力検査をやりたいというふうな御主張をなさっていたりというふうなことで、つまり、大多数の二百数十校の都立高校の中で、10校がそういう形になっているわけで、ですから、国会の附帯決議で、受験に特化したような、そういう中高一貫にはならないようにというふうな、確かついていたと思いますけれども、しかし現実は、どうもそうも言えないというふうなところがあります。
 そういうことを考えると、この小中の義務教育の段階で、いわゆるそういう特別な形の学校を設定するというふうなことはどういうことかなというふうに、そういうことにならなければいいんだけれどもというふうに、老婆心ながら思うんですね。ですから、私は、この特例の一部を設置者が判断するというのは基本的には賛成ですけれども、やはり、そこにはきちんと一定の歯止めといいますか、義務教育の目的といいますか、教育の目的、そして、この小中一貫教育の、この2ページにねらいなどが書かれていましたけれども、そういうものが担保されるというような、そういう形での教育が望ましいのではないかなというふうに思うんですね。ですから、中高を飛躍するということではなくて、やはり同じようなことになってしまうということは、義務教育の段階でどうかなということなんですね。
 ですから、そういう国民の本当に基本的な、基礎的なところをきちんとやっていくというところで、やはりそういう別な学校、例えば私などは、この1でもって、通常の学校教育法にのっとった学校と同時に義務教育学校と並立して設置して、両方、どっちに行きますかというふうなことになってくるわけです、結局ね。子どもたち、保護者に迫るわけですね、結局、それができてくればね。ですから、義務教育ということを考えれば、我が市などは、ですから、小中一貫教育ということで、すべての学校がすべて等しく教育を受けられるようにということで、その先はまた様々な選択肢があっていいと思っておりますけれども、そういうことを考えますと、この特例の一部については、基本的には、歯止めをかけつつも、やはり大事にしなきゃいけないなと思っていますし、また、先走りますけれども、義務教育学校という形での設置というのは、ちょっとやはりもっと検証等が必要になってくるのではないかというふうに思いますよね。

【小川主査】 義務教育学校のところは、また次回。これまで、この部会でもかなりいろんな意見が出されていますので、次回、またそこは事務局からたたき台を出していただきながら議論していきたいと思いますので、とりあえず、まずはこの9ページのところで、今意見を伺いました。
 ほかに、どうでしょうか。
 天笠委員。

【天笠委員】 私は、設置者の判断で実施するということについては、この方向で目指していくというのはいいのかな、その方向で行くことを検討すべきだと思っております。
 現在、これまでなさっていた研究開発、そこに説明がありますけれども、研究開発学校ですとか特例校等々から出てきたカリキュラム開発等々の中身からすると、まあ許容、妥当というんでしょうか、こういう範囲の中で生まれてきたカリキュラム等々というのは、既に許容的な範囲なのかなと思うんですけれども、ただ、それを超えたようなことがここへ出てきた場合というのは、また一つ検討しなければいけないところかなと思うんですけれども、その際に一つ、ここの設置者の判断ではどうかという、そのもう一つ前の段階の検討の事項が私はあるかなと思っております。
 それは、学習指導要領のつくり方というところを、今のものを前提にしてこの議論をするのか、そもそも学習指導要領のつくり方とかシステムとか、そのことを今のある意味の、例えば小学校と中学校を一緒にして学習指導要領をつくるのか、そういうことがあってのこれなのかどうなのかによって、また議論の仕方が少し違ってくるんじゃないかなというふうに思っております。今のは小学校と中学校が一応合冊のような形になっていますけれども、御承知のように、つくられた当時では小中別々にそれぞれつくっているというふうなことでありますから、このあたりのところも、9年間で前提としてつくると、ついては、その関係も、審議会ですとか各部会等々もそういう前提で仕組まれて、そしてまとめていくといったときに生まれてくる学習指導要領、それを前提にしたときにという話になったときには、またその進め方とかやり方は、つくり方とか留意事項等々というのも相応に展開していくということになっていくかと思いますので、ですから、そういう点では一段階、9年間で学習指導要領の現状をもう一度見つめ直して組み方をしていくということを挟んだ上で、この話があるというふうなことの必要性というのもあるのかなというふうに思います。
 以上です。

【小川主査】 本部会でそれをどういうふうに書き込むかというのは、ちょっとまた検討させてほしいんですけれども、一つの論点としてはあり得るかなと思っています。
 では、高岡先生。

【高岡委員】 今、お隣で天笠先生がおっしゃったこと、私も実は大賛成といいますか、そうなんじゃないかなと思うんですね。
 それで、そのことと、この最初に申し上げたことなんですが、連携と一貫教育という概念の整理の仕方というものを、どこまでこの部会報告という形で、まさに踏み込んで整理をしていくか。つまり、小中の連携という、小学校・中学校の円滑な接続という考え方自体はやはり間違いなく必要で、それが6・3という義務教育をつかさどる学校制度である以上、そこのつなぎ部分がうまくいっていないという認識があれば、そこをつなぐということがそれぞれの部分から、連携という観点で学校を改善していくということは間違いない重要な課題である。その上で、先の見通しとして、その義務教育の9年間をどんな学校制度で担っていくかという、その制度論は一応、法律改正が必要とか、あるいは、もっと国民的な議論が必要だということで、論点違うんだと思いますが、しかし、一貫教育という視点で9年間をもう一度見直していくんだ、そして、その中をさらに4・3・2とか5・4とかという区分で考えていくという、その多様性をどこまで認めるかという側面が一つ、やはりあるんだと思う。それは、地方分権と国の権限の問題との関係かもしれないというふうに思います。
 さらに、そのベースになる学習指導要領の構築のされ方、そのことをこの義務教育学校、二つの学校があるということをどう考えて、どのように指導要領の作成方法なり改正を考えていくか。そのことによって、小中一貫という議論が見えてくるんじゃないかなと思うんですね。ですから、中高の一貫教育というのは先行して、もう実施、実現されていて、相当の特例が認められる状況がある。ここに小中がかぶってくることによって、単純に言うと、親の選択というか、子どもの選択というのは、小中が一貫教育という学校と、それから中高で一貫教育という学校の、その重なり合ったところで、中学校で選択をしていく。そういうことが、早く小中の一貫教育、あるいは連携ということを前に進めていって、選択可能なような制度にしていくことが大事なんじゃないか。その意味でも、義務教育学校における、義務教育の学校教育の中で何が教えられていくかという学習指導要領の構築方法というのは、もう早急にやる必要があるんじゃないか。
 その先に、後で議論になるんだろうと思うんですが、やはり免許の問題もどこかで考える必要があるんじゃないかなというふうに思います。

【小川主査】 ありがとうございました。
 ほかに、どうでしょうか。
 佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】 失礼いたします。この場で適切かどうかはちょっとわかりませんけれども、基本的なところで、私が疑問に思ったところをお話ししたいと思います。
 8ページですが、この20行目の部分に、教育課程上の学年区分ということで、その一つの方向として、例えば各種学校であるとか、あるいは、いろんな区分けがあると思うんですけれども、その区域というのを狭めた場合に、いろんな事情で転校されている、そういう子どもさんは結構いると思うんですが、そのときに使う教科書等が違うと、要は、一貫教育でやっているところからそうじゃない小・中学校、従来の学校に行ったときとかに、例えば抜け落ち部分があるんじゃなかろうか。その手当てというのはできるのかなと。単純にその辺を疑問に思ったものですから、それを言葉で入れるべきかどうかというのは別なんですが、いかがでしょうか。

【小川主査】 ありがとうございました。
 ほかに。この4、5のところで、ほかに御発言ある方。

 では、酒井さん、どうぞ。

【酒井委員】 佐藤委員がおっしゃられた、私もそれは非常に危惧しておりまして、要するに公共、義務教育のところは、やはり基礎教育をするということですので、どこの学校を利用しても基本的に同じサービスが、教育が受けられるということを担保していきませんとまずいのではないかと。ですから、中高一貫のように義務教育内容を学年間で入れ替えてしまうことが一般化されますと、やはり小学校段階で習うべきことを習わないままに、学年間あるいは転校先で困ってしまうというようなことで、非常に危惧すべきと思います。
 ですから、これはやはり、設置者の判断ということで今書かれていますけれども、かなり歯止めが必要だと思いますので、その歯止めのところをしっかり書き込んでいく必要があるのではないかというふうに思います。

【小川主査】 歯止めのところは、今お二人、酒井委員と貝ノ瀬委員のほうから、その辺のところは、特例の一部を設置者の判断で実施することは基本的に認めるとしても、歯止めのところはしっかりしてほしいというような御意見があったんですけれども、具体的に何か歯止めのところで、やはりこういうふうな点はというふうな、これはもしも何かお考えあれば、またお聞かせいただければと思いますけれども。
 ほかに、どうでしょうか。
 よろしいでしょうか。

【貝ノ瀬委員】 さっき高岡さんの方から、選択肢の、中高一貫にかかわっての、出ましたが、選択肢が増えるということはもう間違いないわけでありますが、ちょっと具体的な実情を話しますと、例えば我が市の小・中学校は小中一貫教育を推進しているんですね。ですから、小学校6年間と中学校3年間、9年間で子どもを育てて、15歳で高等学校に送り出すという前提でカリキュラムを組んで教育をしていると。
 でも、たまたまですが、市内にある高等学校が中等教育学校として衣替えをしたというところで、中等教育学校というのは、先ほど説明がありましたように、中学1年のときに子どもを入れましたら、6年間をずっと手塩に育てて、大学の受験に備えるという形なんですね。ですから、通常の中学3年で卒業して高等学校1年を受けるという、そういう者は入れないわけです。
 ですから、併設型は高校1年でもまた採用するという形をとるわけですけれども、そういうふうなことになりますと、そういうことというのはつまり、小中と中高が重なり合っちゃって、結局、もし近い、近隣の都立高校に、中等教育学校に行こうとすると、小学校6年生で卒業のときに、簡単に言えば受験をしなきゃならない、こういうわけです。ですから、もう相当に準備をしてそれに臨まなきゃいけないということになるわけでありますが、選択肢の幅は確かに広がるんですが、それぞれの高等学校が特色を際立って持っていて、そして、あえてそこにということで、小学校からというふうなことはあり得るかと思うんですが、みんな同じような、例えば進学推進校ということでもって、ただ選択肢が増えるというようなことは、これ、どうかなというふうにも、実体論からすると、そういうふうにも考えますね。ですから、その辺のねじれといいますか、我が市の議会でいつも責められるんですが、私に言われても困っちゃうって言われますけれども、しかし、現実はそういう形になっていますので、どうしても御希望の方はそういうふうになっている。
 ただ、やはり義務教育をあずかる者としては、しっかりと15歳までにはちゃんと責任を持って、といっても、なかなか十分にはできないんですけれども、そういうふうに送り出したいというふうな思いは先生方もあるし、教育委員会も持っているわけでありますよね。ですから、そういうところで、やはり制度的な整備といいますかね。ですから、せめて中高一貫でも併設型あたりになっていってくれれば、それほど地域・保護者の不満もないんですけれども、どうしてもそうなりますと、もう早くからというふうなことになってしまって、そうすると、どうしてもそういう体制ができ上がってきちゃうということで、まさに義務教育学校どころじゃないですね。義務教育の目的あたり自体もだんだん浸食されてくるような、そういうところをちょっと危惧したりしますのでね。ですから、その辺のところ、やはりこれはあまり言っても愚痴と思われますから、この辺にしますけれども、そういう実情もあるということを御参考までにお話ししたかったということです。

【小川主査】 ありがとうございました。
 ほかに、どうでしょうか。
 では、長谷川委員、どうぞ。

【長谷川委員】 話の流れが、保・幼と小の連携とか、中高との連携という方向に行きやすいんですが、全国の市町村を考えたときに、中高連携、中高一貫とかそういったものよりも、普通にほとんどの子どもたちが、義務教育として定められている小学校6年、中学校3年の9年間を、どういうふうにすべきなのかというところに焦点を当てて、補足的に中学校と高等学校の連携とか、そういったことを提案すべきだと思います。今はそこに焦点を絞っていく必要があるんじゃないか。私は、そうしないとあまりに議論がちょっと広くなって、今聞いていて、非常に混乱してきているんじゃないかなという思いがしております。少し整理が要るのかなという思いがしますけれども、いかがでしょうか。

【小川主査】 ありがとうございました。
 まさにそのとおりだと思います。もう少し中高の関係も重要ですけれども、ここの基本はやはり小中のところの課題整理と、その方策のところかと思いますので、少し前のところにもう一度議論を集中させていっていただければと思いますけれども。
 ほかに、どうでしょうか。8、9、10のところで、ほかにございませんか。
なければ、全体に書いていった際、関係する御意見があれば、またお聞きしますけれども、残りの11ページから、教員配置、教員免許の在り方、そして校地・校舎、通学区域などにおける工夫ですね。ここのところで、何か御意見があればお聞かせいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 どうぞ、長谷川委員。

【長谷川委員】 ちょっと小さいことなんですけれども、実態として、こういう問題があるというのを知っておいていただきたいのは、15行目にございます、「職員室を一体としたり、特別教室や図書室、保健室、体育館を共用化。」といってあるんですけれども、呉市で一体化した校舎をつくったときに、1年生から4年生の低学年の子どもが、保健室を中学生と一緒にすることによって、大きな人がいるので怖くて保健室に行かないんです、というふうなことがございます。これは、慣れるかと思ったが、保護者の方からいろいろ意見出まして、今、二つに分けているという現状、二つの保健室をつくって、養護教員を二人設置しているということがございます。ですから、やはり1年生と中学校のいわゆる最終学年の3年生の体の大きさというふうなものを考えたときには、配慮すべき校舎内の設定ということについて、こういった実体もあるということをお知らせしておきたいと思います。

【小川主査】 ありがとうございました。
 村上委員、どうぞ。

【村上委員】 失礼いたします。
 10ページの10行目あたりから13行目のところなんですけれども、「小・中学校教員の合同研修等における意見交換を通じ、学力観、授業観を一貫したものとすることで、系統性の担保につなげていくことが考えられる。」と、ありますが、学力観、授業観を一貫したものとすることで、系統性の担保につなげていくということは一番大事なことだと思います。したがいまして、(1)乗り入れ指導の実施に当たっての工夫のところに書いてありますが、これは、教育課程の在り方のところに含むべきかなというふうに思っております。だから、なぜ小中一貫教育ということをするのかということから考えると、これは、私は重要な一つのポイントやというふうに考えておりますので、ちょっとこの位置はどうかなというふうに思っております。
 それから、13ページの9行目のところですけれども、「テレビ会議システム等を活用し、小学校から離れた中学校にいる教員が移動せず、小学校児童向けに授業を実施」と書いてあるんですけれども、こういうことも可能であるとは思います。必要な場合もあったと思いますが、これが、常にこういうことが行われるというふうにとられないようにしないと、小学校児童にテレビ会議システムで授業をずっと行うということは、そのまま小学生の発達を考えると、ちょっとどうかな。利用しないということに考えていけたらというふうに思っております。
 以上です。

【小川主査】 ありがとうございました。
 ほかに、どうでしょう。
 清水委員、どうぞ。

【清水哲雄委員】 教育哲学や教育史の必修化を図るような形の教員免許状更新、あるいは取得についてお話しさせていただきたいというふうに思うんですが。
 1998年に免許状の交付改正がありまして、カウンセリング等の必修単位が増加しました。この背景には、より実践的に資すると見なされたということを重視する、そういうふうなこと、あるいは、新自由主義政策のもとで、あらゆる研究はその意味を積極的に示すことを求められて、それができないとみなされた分野の研究費はもうカットすると、そういう流れがあったというふうに理解しています。これは確かに、その代わり、カウンセリング系の実際的な実習活動が即戦力的な背景はあったかと思うんですけれども、しかし残念ながら、そのことによって不登校児童も学内での暴力行為も全然減りませんで、むしろかなり増えたというふうな状況にあります。小中が一貫になった場合、さらにこの視点はかなり大きくなるのではないかというふうに思っています。
 大学時代、あるいはそういう教育課程の授業の中で、教授から適切な資料などを指摘されて読むことによって、かなり学生は自己と向き合う貴重な時間が義務付られるのではないかというふうに思います。今の生徒たちを見ていましても、やはり自己と向き合うことというのは非常に少なくなっていて、そういう自己と向き合う経験が少ない生徒が、どうして中学校の3年生の多感な生徒たちの気持ちを理解することができるのだろうかというふうに、どうしても思います。
 今回、学習指導要領で、学力の三層構造については指摘が初めてなされました。学力は、学んだ力、学ぶ力、学ぼうとする力という、そういうことですけれども、3番目の学ぼうとする力、いわゆる意欲の学力というふうに発したわけですけれども、こういう点を考えても、授業技術だけでは解決しない問題がかなり増えるということは明らかですので、いろんな不安を抱える児童生徒に寄り添って自立を促すという本来の教員としても非常に大事な議論を、これを行うためにも、中高一貫教育をやる際はなおさら教育哲学や教育史などの、それを基準ものと言ったらいいでしょうか、そういうものを身につけるような施策が裏打ちとしてなければ、制度的にやっても、実際に現場に立つ先生方の意識がやはりかなり薄いものになるんじゃないか、そういう心配をしています。
 それで、この(2)の教員免許状取得に係る工夫というところに多少は関わるんですけれども、どこからかこれを発信しておかないといけないんじゃないかというふうに思いまして申し上げました。

【小川主査】 ありがとうございました。
 では、天笠委員。

【天笠委員】 11ページの、やはり免許状取得に係る工夫の部分について申し上げさせていただきたいんですけれども、この一番最後の行のところで、9年間見通した物の見方・考え方、こういう表記で、ここのところはよろしいかと思うんですけれども、もう一つは、二つの学校種にまたがってそれを、物事を見ようとか捉えようという、そういうことが必要になってきているんだ、求められたんだという、例えば幼稚園と小学校の間ですとか、あるいは中学校と高等学校の間、あるいは高等学校と大学の間、その両方をまたがって物事を見たり考えたりする、そういう実践家を求めてきているんだという、そういうふうに私は認識しています。
 そういうふうに捉えたときに、現行の免許制度の運用は、教育学、教員養成の末席に座らせてもらっている一員として、どちらかというと、そういう方向よりも、むしろ各学校種の固有性とか独自性を強調するという伝統的なやり方というんでしょうか、小学校は小学校の教員として、中学校は中学校の教員として、むしろ両者を判然とさせるような方向の運用の仕方を各教員養成大学に求めているんじゃないかというのが私の認識なんです。ですから、そうすると、両方の学校をまたがる、そういう視野とか物の見方・考え方ができる教員が養成されずに、問題が起こっているという現状があるんじゃないか。
 そういう点では、この学校をつなぐ、あるいはそういうことについての物の見方・考え方のできる教師の養成という、そのための運用というんでしょうか。ワーキンググループの中では、教職と教科の、またがるというか、架け橋ということについてもアイデアが出されていると聞いておりますけれども、そのある意味のつながりプランが小学校と中学校をつなげていく、あるいは幼稚園と小学校をつなげていく。こういうふうな物の見方・考え方ができる養成の在り方、免許制度の運用の仕方というふうなことを、このあたりのところについて更に書き込んでいくということもあるんじゃないか。養成の在り方というんでしょうか、そういうことについての言及ということも御検討いただけるとありがたいなと思います。
 以上です。

【小川主査】 ありがとうございました。
 ほかに。
 では、野木委員、そして貝ノ瀬委員ということで。

【野木委員】 小中連携等にいたしましても様々なことで、例えば中1ギャップがあるとか、何かいろんな問題があっても、一番問題なのは、これ、情報共有ができていないということだと思うんですね。小学校の先生は中学校のことがわかっていない。中学校の先生は小学校のことがわかっていない。その一人一人の子どもたちのことが実は情報としてちゃんと連携が取れていないという、そういう情報共有が基本的になされていないところに大きな問題が起きるんじゃないかというように思うんです。いろんな問題を解決するためには、情報を共有するという視点があれば多くの問題が解決していくんじゃないか。もちろん、その情報がいろいろあることによって混乱が生じるし、それから、もしかして使い方を間違えると間違った方向というのもあり得ますけれども、やっぱりそれでは大きな機会を無くしていくというように思うんですね。
 それで、私自身は、私はIT業界の人間でございますけれども、ITを十分に活用してほしいというのが私の願いなんでございますけれども、先ほど、テレビ会議ばっかりやって、それは確かにそうなんです。行き過ぎはね。ですけれども、せっかくあるものをもっともっと活用して、特に日本はこういうICT活用の教育というのが、多分世界的に見て非常に進んでいない。フィンランドですとかスウェーデン、ああいうところはすごく進んでいっているわけですね。確かに弊害もいっぱいあるかと思いますけれども、これをもっともっと活用して、上手にやっているところもありますし、かなり個人的な資質でされているところが多かろうと思うんです。そうではなくて、こういった本当に人類が得たすばらしいツールなんですね。このツールをうまく活用できることをもっと前面に押し出していくような、そういうような施策が必要なのではないかというように思う次第でございます。
 インフラとしてこれをどんどん活用することによって、場所が離れていることを克服することはできる。個人の情報、この子にはこういった観点のこうした注意が肝要だよとか、それから中学校の先生が、小学校ってこんなのだったとかそんなことを、そういうことを活用すると随分楽に共有ができるわけでございますので、ぜひこの観点を、現代におけるインフラの一つとして入れていただきたいなということを思うところでございます。
 以上です。

【小川主査】 ありがとうございました。

【貝ノ瀬委員】 今の野木委員さんのこと、賛成ですが、村上先生の話とは全然食い違っていませんから、同じこと。要するに、ツールとして十分活用したほうがいいというようなお話でしょうから。
 しかし同時に、やはりフェース・トゥ・フェースといいますか、それももちろん大事なので、それも十分大事にしながらということになりますと、どこかで書いてあったかもしれませんけれども、後補充の指導ということになりますと、結局、小学校から中学校、中学校から小学校というふうなことになったり、授業をね。そうしますと、空いちゃうことがあるわけですよ、それを頻繁にやればやるほど。ですから、ほどほどにやれというふうにおっしゃるわけじゃありませんが、そうなりますと、どうしてもそこが後補充のための要員が必要になるということで、我が市の場合は非常勤講師を自前で適正配置しているわけですが、そういうこともやはり先生方、相当な御努力をいただいているということは現実にあるわけですね。
 ですから、そういう意味ではそれが、やっているところは自分でやっているんだからしょうがないだろう、というふうなことじゃなくて、やはり積極的に良いことであるという、小中一貫教育にしても、小中連携にしても、それは子どもたちにとって良いことなんだということで、みんなコンセンサスが得られれば、そしたらやはり国としても、それも当然促進するということになりましょうし、そのためのインセンティブを与えるということも必要になってくるでしょうから、そういう意味の、財政があるところはやっていて、そうじゃないところはやらないとかということにならないように、やはり推進していければいいなというふうに思います。
 大体、天笠委員もおっしゃいましたけれども、やはり9年間を見通した物の見方といいますか考え方というのは、これは今、全国で小中一貫か小中連携ではっきりしているのは800か900ぐらいでしょう、学校でいうとね。そうすると、人事異動が先生方はありますから、3年ぐらいたったらまた新しく見えて、そして、マスターした人がほかの学校へ行っちゃう。実は、新しくまたやり直して校内で研修をしてもらい、それから教育委員会でやるというわけですが、そういうふうなことがもっと拡大するというふうな、小中一貫の連携にしても拡大することがあれば、そういうものもやはり、もう当然のことながら養成課程でカリキュラムを両立するとか。
 そういうことに今なっていないものですから、我が市の場合は結局、自前のネットワーク大学というNPO法人をつくって、そこで教師力養成講座というような形で、その9年間の小中一貫教育について講座を持って、そして実施しているわけですが、そういうふうなことを独自にやらなくても済むような、やはり条件整備を行えればというふうに思いました。

【小川主査】 ありがとうございました。
 残り20分ぐらいになりましたので、もう一度全体に関わって、また御意見伺えればと思います。一応今、三つのパーツに分けて、それぞれの箇所にかかわって御意見を伺ったんですけれども、もう一度、今度は全体に関わって、何か言い残しておいたこととか、また、今の三つのパーツの議論を一応やってきたわけですけれども、改めて全体を見た場合、もう少しこういう点はこういう論点が重要ではないかとか、また御意見があるかと思いますけれども、何かございますか。
 では、清水委員、よろしくお願いします。

【清水良一委員】 11ページのところで、乗り入れ指導をより効果的にする上で、私の思っている、受け取っていることが間違いであったらちょっと御指摘いただくとともに、もしそれが整理されていないとするならば整理する必要があるんじゃないかなと思った点です。
 それは、11ページの7行目に、小学校等の専科担任制度については平成14年度の教育職員免許法の、以下書いてあります。その中で、その9行目のところに「全教科及び総合的な学習の時間に拡大された。」とありますけれども、ここでは外国語活動等については拡大されたとは書いてありませんので、お尋ねしたいのは、中学の外国語の免許を持っている先生は、小学校の外国語活動の指導をするときには、単独でその指導ができるのか、できないのかですね。もし単独でできないとするならば、そのところは効果的な乗り入れ指導をするときに整備する必要があるんじゃないかと思うんですが、それは法的にはどんなふうになっているかとお聞きしたいんですが。

【小谷室長】 すみません、書き方が不十分だったかもしれません。外国語活動につきましても、総合的な学習の時間同様に、できることになっております。

【清水良一委員】 そうですか。

【小谷室長】 ただし、特別活動については、まだ現在も認められておりません。

【清水良一委員】 わかりました、外国語活動はオーケーということで。そうすると、中学の外国語の免許を持っている先生は単独で小学校で外国語活動を指導できるということですね。ありがとうございました。
それからもう1点は、この資料2の表題でありますけれども、表題は、「小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理」とありますけれども、この「、」はどんなふうにするかというと、小中連携と、言ってみれば「アンド」ですとか、そして、一貫教育の前には「小中」と本来は入っているものを、「小中連携、一貫教育」と書かれてありますので、初めて読む方は、小中連携と一貫教育、これは小中で一貫教育と読み取れるんでしょうか。あるいは、もしそのところでどっちかなと思うようなことがあるならば、私は、「小中連携と小中一貫教育」としっかり言った方がいいのか、あるいは、「小中連携・一貫教育」というと意味が通るのかどうか。その辺、ちょっと私がよくわからないものですから、お聞かせいただければと思いますが。

【小川主査】 その辺りは、事務局の方で検討していただきたいと思います、ちょっと表現の問題ですけれども。
 では、村上委員。

【村上委員】 先ほどの清水委員に関連して、小中連携と小中一貫教育のことです。2ページにありますが、この小中連携というのはもう一度確認した方がいいかと思います。小中連携は「小・中学校が連携することを通じ、小学校から中学校への円滑な接続を目指す」。結局ここのところでは、授業交流とか、先ほど野木委員が言われた情報交換等、こういうところがまず小中一貫教育を目指す上でも、すごく大事なところだと思います。これをステップと考えて、その先に小中一貫教育があるというふうに考えた方がいいのではないかなと私は個人的に思っております。したがいまして、「小中連携のうち」と書いてありますが、その「うち」を取り、「小中一貫教育」は、「小・中学校が9年間一貫した教育課程を編成し、それに基づき行う系統的な教育活動」でよいと思います。
 小中一貫教育は、9年間一貫した教育課程、カリキュラムの研究を小中学校できちんとして、学力向上、人間力向上を目指して、教育活動をするということだと思います。そのなかで接続のところ、つまり、授業観、学力観の一貫の系統性や学校段階の発達における独自性等を十分に踏まえ、9年間を一貫した教育が重要だと思います。
 その先を言えば、先ほど出ていましたことに関連してくるんですけれども、それは学習指導要領の範囲を超えた教育課程の基準の特例の必要性というところにもまた関連しますが、学習指導要領の枠を超えたものをつくるのか、あるいは、現行の学習指導要領の範囲内でできるのかといったところになるかと思います。その辺は次の義務教育学校にも関わってくると思いますが、小中一貫教育とはというところをもう少し詰めていけたらと思っております。

【小川主査】 ありがとうございました。
 今の意見については、またいろんな異論もあるかと思いますので、小中連携と小中一貫の関係をどう捉えるかというのは、すみません、まだ全国からの意見があるというふうにも思いますので、今は村上委員の一つの御意見として伺わせていただいて、どういう形で小中連携と小中一貫を関係付けながらそれぞれの定義付けをやっていくかというのは、また少し皆さんで議論を続けていっていただければと思います。
 ほかに、今の点で。
 はい、どうぞ。

【原委員】 失礼いたします。
 まず、2ページのところに一番最初、小中連携、小中一貫というようなのは制度的に位置付けられたものではない。次ですが、全国の学校、市町村において、独自に取組が推進されているんだと。ここ、現実だと思うんですが、しかし、自然発生的といいますか、自主的に、主体性に任せて行われている現状において、いろいろ不都合も生じてきていると思います。結局これ、任せ切りではなくて、先ほども義務教育の教育課程に一定の歯止めが必要だというようなことでも出てきましたけれども、やはりきちっとした、はっきり申し上げて、設置者がもっとイニシアチブをしっかりとって、例えば三鷹市さんとか呉市さんのように、設置者及び都道府県教委がしっかりとイニシアチブをとってこれを推進すべきだ。これが結論です。
 それなのに、2ページのところでそういう書き方をして、もう現実ですけれども、これは非常に弱い。だからこそ、もっともっと推進していくべきであるし、その推進役となるのが5ページの(3)の市町村教委の関与ということで、これ、都道府県教委と同じことが書かれているわけですが、要するに、推進体制の整備の観点から以下の支援を行うんだ。じゃなくて、もっと積極的に、例えば検証を行うとか、要するに、もっともっと主体となって進めていくべき立場が委員会ではないかなというふうに思っております。というようなことで、もっと教育委員会の関与のトーンを強くしていくというようなことが非常に大事なのではないかというふうに思います。
 それから、更に言いますと、8ページのところに、20行目のところですかね、学年区分については市町村教委がビジョンを示す中で一律に決定するやり方もあるだろう。もう一つ、各中学校ごとにこういう決定していくやり方もあるだろう。とあるんですが、後者の場合、というけれども、本当に設置者たる市町村教委がまったく関与しないかというと、そういうことは私は基本的にはあり得ないのではないかなと思ったりもしております。
 というようなことで、若干書きぶりとかトーンが違うんですよね、ここ。ですから、統一するためには、やはりそれぞれの教育委員会の関与を、もう少し強くしていくというようなトーンを前面に押し出すべきではないかなと思ったりします。その議論が9ページにある、さっきからずっといろいろ議論されておりますが、「設置者の判断」という言葉ですよね。ここでかなり議論が出てきたわけですが、ですから、設置者にやはり主な主体性、積極性、積極的に関与していく部分を減らしていくべきかなと、そう感じております。
 以上です。

【小川主査】 ありがとうございました。
 ほかに、あと時間は5分ぐらいしかありませんけれども、一、二お受けしますけれども、全体通じて何かございますか。
 酒井委員。ほかにございますか。では、長谷川委員。
 では、酒井委員から。

【酒井委員】 今、9ページのところが再度話題になりましたので、先ほどの特例の一部、歯止めはどこかの話なんですが、やはり教育基本法、学校教育法、それから学習指導要領を遵守するといいますか、その範囲の中での特色のある学校づくりが基本、特に義務教育は基本だと思っております。ですから、そこを、学習指導要領を超えたところでできることで特色づくりしていきますと、先ほど言ったように、その隣接するすべての学校との相互の関係が難しくなってくるのではないかというふうに考えます。
 以上です。

【小川主査】 長谷川委員。

【長谷川委員】 行政の関与というところで、この小中一貫教育を呉市で実施してきたが、やはり各中学校区で格差が出ている。その格差の原因は、やはり校長の理解度が非常に大きく影響しているものを感じます。やはり、校長、教頭等のリーダー、いわゆる学校運営の責任者がしっかり小中一貫教育の意義を理解するということがまず大事で、この全体の文章を見ますと、教職員が交流したらいいとか、職員があれしたらいいとかという、同じような研究のテーマを持ってやったらいいと書いてあるんですけれども、その点、教育委員会の関与の中に、やはり校長の人事。小学校を経験させた校長は中学校を経験してみる、中学校の校長をやった者が小学校へ行ってみる、そのことによって、非常に教職員に対しての説得力も出てくるんじゃないかな。多分実感として、実際にそういうことがございます。昨年度、中学校の教頭を小学校の校長にやってみますと、非常にその地域はうまくいく。そういったところも書き込んでいく必要があるのかなという。

【小川主査】 最後、天笠委員。

【天笠委員】 7ページの「地域とともにある学校」づくりの関係性というところに関わるのかなというように思うんですけれども、前にこの席で申し上げたんですけれども、震災からの復興・復旧というところの、その地域に持っていきますと、小中一貫、連携というあたりのところに一つの道を見いだそうとしているという動きもありますので、そこら辺のところをどう目配せしていくのかどうなのか。
 それから併せて、この小中一貫とか連携は、比較的子どもの数が非常に減少した過疎地域等々のまた動きでもあって、そこはどうとるか。どちらかというと、裏側には財政の論理というふうなところがあるわけですけれども、ただ、そういう面で厳しいから小中一緒にすればいいんだ、当然そういう話で我々の立場ではないわけでありまして、そういう状況等々においてのやっぱり理念とか、将来の指向性ですとか、あるいはカリキュラムの開発ですとか、こういうソフトの面がしっかりしていないと、数合わせ、あるいは財政的な論理だけでいくものではないんだという、そういうあたりのところで、この最後の丸のところですけれども、何々に「配慮しながら対応する必要がある」というあたりのところの配慮には、そういう点、今申し上げたような点についての、また配慮というのも大切なのかなと思います。
 以上です。

【小川主査】 ありがとうございました。
 ほかに、よろしいでしょうか。
 では、よろしいですね。時間、もう残されておりませんので、今日はこの辺で終わらせていただきたいと思います。
 今日、全体を通して議論というのは今回が初めてでしたので、2時間という格好で、十分、今日まだまだ御発言が物足りないという方もいらっしゃると思いますので、次回までに、できましたら、そういう御意見をお持ちの方は文書やメール等で事務局の方に、またそういった意見をお寄せしていただければ、次回の整理の内容に組み込んでいきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。今日、いろんな意見をいただきましたし、宿題もかなりいただきました。今日いただいた問題について、また私と作業部会主査代理の無藤さんと事務方のほうで少し揉んで、今日いただいた意見を含めまして、踏み込んだたたき台を次回出して、さらに皆さんから御意見を伺うというふうにしたいと思います。
 また、今日提案できなかった8の義務教育学校制度についても、一つの作業部会としての方向性を出せるようなたたき台を出せればなと思っておりますので、よろしくお願いします。
 では、次回に向けて、事務局の方から御案内、お願いいたします。

【小谷室長】 次回でございますが、資料3にございますように、5月31日、木曜日、10時から12時、文部科学省庁舎3階、特別会議室1で予定をしておりますので、よろしくお願いいたします。

【小川主査】 よろしくお願いします。
 それでは、今日の会議はこれで終わります。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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