学校段階間の連携・接続等に関する作業部会(第9回) 議事録

1.日時

平成23年11月30日(水曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省3階 特別会議室1

3.議題

  1. 小中連携、一貫教育の成果と課題について(横浜市、高松第一学園及び三条市からのヒアリング)
  2. その他

4.議事録

【小川主査】では、定刻になりましたので、第9回の学校段階間の連携・接続等に関する作業部会を開催したいと思います。委員の皆様におかれましては、御出席ありがとうございます。それでは、まず本日の配布資料の確認の方からお願いします。

【小谷教育制度改革室長】本日の配布資料ですが、議事次第に書かれておりますとおり、資料1から資料8、そして参考資料として委員名簿を配布させていただいております。以上です。

【小川主査】では、これから議事に入りたいと思います。前回の作業部会では、今日配布されている資料1にありますように、本作業部会によって検討すべき事項について、皆様から御確認いただきました。
 今日は、前回に引き続き、先行して取組を進めている事例として、3件、横浜市と高松第一学園及び三条市から、取組や成果、課題について発表していただくことになっております。その後に、この3つの報告を踏まえて、検討事項の幾つかの課題に絞って行っていきたいと思います。
 資料1と2を参照いただきたいのですけれども、今日は資料1の検討事項を2つに絞って議論していきたいと思います。資料2に記載されているように、小中連携、一貫教育の推進体制の在り方、また、校地・校舎、通学区域面の制約を克服する工夫の在り方、できればこのようなことを中心として、議論していきたいと思います。
 ただ、3つの事例では小中一貫、全体に関わる報告も当然されておりますので、必要であれば、そのような他の問題も意見交換をしつつ、基本的には、この2つの今日の検討内容に少し意識を置きながら、議論を深めていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
 では、まず事例の報告を行う前に、事務局から今日の課題に関する関係資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【小谷教育制度改革室長】それでは、資料3を御覧いただきたいと思います。資料3につきましては、第7回の作業部会で紹介しました実態調査の結果のうち、本日の資料に掲げております検討課題に関係する事項を再構成したものでございます。右下の方に、スライド番号が出ておりますが、2を御覧いただきたいと思います。この2ページ目にございますように、小中学校を一体的に運営する組織を設けていると回答したところは、3%ございまして、その場合の組織としては、学園と称するものが最も多く、その他「○○小中学校」ですとか、「○○小中一貫校」というような名称もございました。これに関連いたしまして、具体例を紹介させていただきますと、資料4-1を見ていただきたいのですが。そちらの1ページ、2ページでございます。そちらは前回御発表いただきました三鷹市の事例でございますが、三鷹市におきましては、5ページにございますように、教育委員会規則におきまして、学園という制度を設けておられます。例えば4ページにございますように、にしみたか学園を例にとりますと、学園の下に学園長、副学園長、にしみたか学園運営委員会、3校主任会、特別委員会を設置されて、3校の関係教員を配置されているという形になっております。3校の校内にも、同一の学校運営分掌組織を設置される、といった形で運営を行っていらっしゃいます。
 恐縮でございますが、資料3にお戻りいただきたいと思います。資料3の3ページ目でございます。小中合同の委員会等を設けている学校はかなりございまして、4割ほどに達しているということが明らかになっております。
 次に、小中連携を推進するという目的のために、教職員の兼務発令をどれぐらい行っているかということでございます。こちらは4ページ目にございますように、実施した学校があるとする市町村は、16%ほどございました。この兼務発令を具体的にどのような職でやられているか、ということは、この表のようになっておりますけれども、実例といたしましては、資料4-1の3ページ目を御覧いただきたいと思います。これは、品川区の施設一体型の伊藤学園の校内体制図でございますけれども、この伊藤学園では、小1から中3までを1年生から9年生と呼んでいらっしゃるそうですが、この1年から9年までの60名を超える教職員が機能的に組織的に職務を遂行できるように、ということから、学校組織の再構成をされております。具体的には、小中それぞれ先生が勤務なさっておりまして、1人の校長先生が小中の校長を兼務し、その下で3人の副校長が、学年ごとに分けるのではなく、1年から9年までを通して、それぞれ総務・教務部、あるいは生活・安全部、学習・進路部という形で、副校長が分担をとっていらっしゃると。そして、そのことにそれぞれ主幹や主任級の教諭の方を部長という形で置いておられるということです。また、教科につきましても、小学校籍と中学校籍の教員が合同で教科部会として、研修・研究を進めておられますし、学年構成におきましても、1から4年を低学年部、5から7年を中学年部、8から9年を高学年部ということで、学年主任と共に、学団長というものも設けられて、学団のまとめ役として、各学年の連絡・調整を行う体制を取られておられます。また、資料4-1の1ページや2ページで掲載しておりますように、前回三鷹市から御発表がございましたが、独自に小中一貫のコーディネータを市町村で配置したり、相互乗り入れの授業、後補充講師といったものを配置されている例もございました。
 また、資料3にお戻りいただきたいのですが、今度は8ページを御覧いただきたいと思います。市町村立の小中学校の教職員は、県費負担教職員ということで、指定都市を除いて、都道府県が任命権者となっておりますので、都道府県や指定都市で独自に予算措置を講じて、加配措置を行っているかということも調べておりますが、15%のところで独自の加配措置を行っているということがわかりました。
 この他、9ページにございますように、小中一貫教育校設置を目指す市町村には、それぞれの教科・分野の専門性の高い教員の配置を行っていらっしゃるとか、あるいは小中両方の免許取得を推奨すると共に、小中間の積極的な人事異動を行うということで、具体的に初任から3校目までに、両校種を経験できるように、計画的に人事異動させているということもございましたし、あるいは、小中一貫校の校長の配置を1名として、兼務発令して、その校長定数を減じた分を教諭の定数に振り替えて、小中一貫教育加配とされているという工夫が見られました。また、10ページにもございますように、具体的にどれくらい加点しているかということは分かりませんでしたけれども、採用試験において、小中の免許を両方有されている方は、第一次試験で加点をされているという例もございました。
 また、少しお戻りいただいて恐縮ですが、6ページ目を御覧ください。小中連携を推進するために、小中学校の教員が合同で参加する授業研究のための会議等を恒常的に設けているのは、市町村で39%、また、7ページにありますように、都道府県で19%というようになっております。なお、小学校と中学校との接続も念頭に置きながら、教科担任というものを導入されている場合もあります。これに関連いたしまして、資料の4-2を準備させていただいております。公立学校の制度でございますが、国の制度といたしましては、本年4月の義務標準法の改正におきまして、資料4-2の3ページに付けておりますが、小学校の教科担任制の実施状況も踏まえまして、小学校の教科担任制を推進するための加配措置というものを制度上講じているという工夫も行っております。
 次に、施設設備の関係でございますが、資料3の5ページにございますように、昨年11月時点では、同一施設内に小学校と中学校を設置しているものというのは、279ございました。これは市町村の単位で、公立学校の計でございます。このような対応が可能なのは、資料4-3として、説明させていただいておりますけれども、小学校と中学校の設置基準におきまして、それぞれ12条の規定がございますが、そちらの方に他の学校等の施設設備の使用を認めると、法的根拠に基づいて、そのようなことも可能となっております。
 この施設一体型の校舎の活用状況につきましては、国立教育政策研究所における研究の報告書が出されておりまして、それを資料4-4ということで、一部分を抜粋したものではございますが、説明させていただいております。
 この資料4-4の5ページ目を御覧いただきたいのですが、3つのトピックがございまして、3つ目のトピックですけれども、こちらの方が小中共有化を図った施設ということでございます。共有化を行った割合が高い部屋というものは、職員室、家庭教室、体育館、校庭、プール、校長室、保健室といった順になっております。
 また、7ページの中ほどにありますように、この一体型の施設を設けるということで、新たに追加したスペースとしては、異学年の交流スペースですとか、前回のお話にもありましたが、地域・保護者の交流スペースというものが多くなっているということが分かりました。
 また、8ページにありますように、異学年交流を行う場としては、体育館や校庭、ランチルーム、多目的スペース、図書室といった順になっておりまして、交流の内容としては、部活動、総合的な学習の時間ですとか学校行事ということが活動となっておりました。
 1枚おめくりいただきまして、9ページの方にもございますように、このような施設一体型の校舎の場合には、トイレの便器や机・イスのサイズ、あるいはプールの水深などについても配慮がなされているということも明らかになっております。
 資料4-5を御覧いただきたいと思います。通学区域の関係がございますので、簡単にその制度の方を御説明させていただきますが、公立の小中学校につきましては、市町村の教育委員会は、必要な小中学校を設置する義務というものを負っておりますので、それに基づきまして設置しているわけでございますが、その域内に小学校が2校以上ある場合には、就学予定者が就学すべき小学校を指定することとされております。その際の判断基準として、あらかじめ通学区域と言われているものを設定しておくということであります。
 この通学区域をどのように設定するのか、ということも小中連携、一貫教育を行う際には、1つのポイントとなるかと思います。市町村の教育委員会は、就学校を指定する場合に、就学すべき学校について、あらかじめ保護者の意見を聴取することができまして、この意見を踏まえて、市町村教育委員会が就学校を指定することもございます。これはいわゆる学校選択制と言われるものでございまして、少し時点が古いのですが、平成18年5月現在では、小学校では全体の14.2%、中学校では全体の13.9%の自治体で導入をされております。
 こちらにございますように、学校選択制におきましては、その域内で全く自由に選択を認めるものから、ブロックごと、あるいは隣接する通学区域内での選択を認めるもの、あるいは、特定の学校のみ選択を認めるものと、様々な形がございますが、市町村内において、一部の学校のみにおいて一貫教育を実施するという場合には、その学校をこのような選択制の対象とするのか、ということも検討されることが考えられると思います。
 なお、平成11年度から制度化されました中高一貫教育校というものがありますが、こちらにつきましては、そもそも中等教育の多様化を図って、子どもや保護者の選択肢を増やすという観点から導入しておりますので、仮に市町村が、中等教育学校ですとか、市町村立の高等学校に併設して中高一貫教育を行う併設型の中学校といったものを設置いたしても、その学校は市町村の設置義務の履行の一環として設置されたものとはみなされず、就学指定校とすることはできないという形であります。私からは以上です。

【小川主査】ありがとうございました。では、これから横浜市の教育委員会、高松第一学園、三条市という順番で、先行する取組について御報告してもらいたいと思います。
 では初めに横浜市教育委員会から、小嶋主任指導主事と野口指導主事の方から横浜市の状況について御説明をお願いいたします。ではよろしくお願いいたします。

【野口指導主事】ただ今御紹介いただきました、横浜市教育委員会事務局指導部指導主事室の野口でございます。これより、横浜市における小中一貫教育について、御説明いたします。資料は5-1、5-2でございます。前半は私の方から、横浜型小中一貫教育について、後半は小嶋から併設型小中一貫教育校についてお話いたします。
 (資料5-1(以下同じ)・2ページ)まず、私からは横浜市における小中一貫教育導入の経緯、また小中一貫カリキュラムである横浜版学習指導要領、そして中学校区を中心とした小中一貫教育推進ブロックにおける取組の具体について説明いたします。
 (3ページ)現在、横浜市は人口約370万人、市立の小学校345校、中学校は148校、特別支援学校12校、高等学校が9校ございます。小中学校の児童生徒を合わせまして、約27万人、教員数は合計で約16,000名と他の自治体に比べますと、大変に規模が大きいことが分かります。また、ここ数年はいわゆる団塊の世代の方々の大量退職に伴い、毎年1,000人規模で教員を新しく採用しており、人材育成が大きな課題となっております。
 (4ページ)さて、横浜市における小中一貫教育導入の背景といたしましては、中1ギャップの解消や複数の学校で協力して課題を解決することの必要性また、先ほど申し上げた大量退職、大量採用への対応、さらに、学校規模の適正化等が挙げられます。
 (5ページ)具体的な経緯につきましては、お手元の資料5-2にもございますように、平成17年度の横浜教育改革会議において、小中一貫教育の導入が提案された後、横浜教育ビジョンにおいて、横浜型小中一貫教育の基本理念を明示し、その後横浜における小中一貫カリキュラムの基本である横浜版学習指導要領を策定いたしました。また、長期ビジョンである横浜教育ビジョンの後期5か年の教育の振興のために、昨年度末に横浜市教育振興基本計画を策定し、(6ページ)スライドにありますように、重点取組の第一に横浜型小中一貫教育の推進を掲げております。そこでは、具体的な大きな目標として2つ、横浜版学習指導要領に基づくカリキュラムの編成と実施、また、小中一貫教育推進ブロックにおける合同授業研究会の実施が明示されております。
 (7ページ)そこで、横浜型小中一貫教育についてでございますけれども、資料5-2にありますように、横浜型小中一貫教育とは、敷地や校舎を共有するなどの物理的な条件に関係なく、小中学校の教職員が情報交換や連携を行い、義務教育9年間の連続性を図った小中一貫カリキュラムに基づく教育活動であるということです。そこでは、小中の教員が学力観、指導観、評価観を共有し、相互の授業改善と児童生徒の学力向上、また、児童生徒指導上の課題解決を目指しております。
 (8ページ)横浜における小中一貫カリキュラムの基本は、横浜版学習指導要領でございます。これは、国の学習指導要領を踏まえた上で、横浜の子どもを育むため、各市立学校で行われる特色ある教育活動の土台となる教育課程のサポートツールとして策定したものでございます。各学校の教育課程の編成においては、次に説明いたします小中一貫教育推進ブロックにおいて、小中学校が合同で会議を開き、調整を行い、地域の子どもを一緒に9年間で育てていくことを基本としております。
 (9ページ)そのブロックの形態ですけれども、既存の中学校区を基本に構成されており、現在は142のブロックがあります。スライドの左側から、複数中・複数小の連携型が5ブロック、1中・複数小の協働型が119のブロック。そして、1中・1小の接続型が18ブロックございます。また、接続型につきましては、後ほど小嶋より詳しく説明いたします併設型小中一貫教育校2校が含まれております。
 (10ページ)御覧のスライドは緑区におけるブロックの構成でございます。中学校区を中心に、中学校1校に対して複数の小学校で構成されている場合が多いことがお分かりになると思います。また、中学校の学区と小学区の学区が必ずしも完全に一致しているわけではございませんので、そのような課題もあります。
 (11ページ)各ブロックにおける取組の具体ですけれども、大きくは2つございます。授業改善、学力向上の面では、合同授業研究会や研修会の実施、合同でのカリキュラム編成、相互の授業参観や出前授業等が挙げられます。また、児童生徒指導面でも合同の研修会、情報交換、あるいは各種の行事における児童生徒の交流や授業体験、あるいは部活動体験と様々な連携の取組がなされているところでございます。
 (12ページ)さらに、成果と課題でありますが、先ほど申し上げた横浜版学習指導要領に基づいて、各ブロックでは合同でカリキュラム編成を行い、教科等の面で円滑に接続できる環境を整えることができた点、また、小中が合同で授業研究等を行い、授業改善や児童生徒の学力向上に向けた取組が進められた点、また、中学入学時の不安解消や不登校生徒の減少等を挙げることができます。逆に課題としましては、複数中・複数小の規模の大きな連携型ブロックにおけるマネジメント、学校運営協議会との連動等の地域との連携、また各ブロック各学校における組織体制や継続性等を挙げることができます。以上、私の方からは、横浜型小中一貫教育の概要について、御説明いたしました。

【小嶋主任指導主事】横浜市教育委員会事務局指導企画課の小嶋でございます。私からは、併設型小中一貫教育校について説明させていただきます。先ほど説明がありました小中一貫教育推進ブロックのうち、1小・1中のブロックを2つ選定し、これを平成22年4月、併設型小中一貫校として設置いたしました。(13ページ)これより、スライドに掲げております1の設置の目的から6の課題の順に従って、説明をさせていただきます。
 (14ページ)まず、設置の目的でございます。同一又は近隣の敷地に位置する小中学校を一貫校とすることを併設型と位置付けておりまして、その目的について、赤字で示させていただいております。そこにおける教育実践の集積や情報の発信から、市内全校の小中一貫カリキュラムの策定や小中学校が連携した教育の推進に資する、ということを目的として設置しております。なお、小中一貫教育校につきましては、学校教育法等の法令に規定がない関係上、横浜市としては横浜市立学校の管理運営に関する規則を改正し、それを根拠として設置させていただいております。
 (15ページ)それでは、設置いたしました2校についてです。1校は、横浜市北部にございます霧が丘小中学校、もう1校は、横浜市南部に位置しております西金沢小中学校でございます。
 (16ページ)それぞれ2校の概要ですが、まず霧が丘小中学校から御説明いたします。児童数の減少により、小規模化しておりました3つの小学校が、霧が丘小学校として統合されましたのが、平成18年4月でした。そして平成22年4月、道路を1本挟んで隣接する霧が丘中学校とともに小中一貫校としてスタートいたしました。各学年3~4クラス、全校児童生徒1,000人規模の学校でございます。平成22年半ばに、この間の道路についても学校用地として編入し、敷地が1つになっております。なお、平成21年10月に小中一貫の学校運営協議会が設置されております。
 (17ページ)次に、西金沢小中学校の概要でございます。児童生徒数の減少により、小中学校ともに小規模化する中、平成18年4月、通学区域特認校として指定されました。小中連携を柱とする特色ある学校として、通学区域外からの児童生徒の受入れがスタートいたしました。その特色を活かし、平成22年4月、約100メートルの距離で近接する小中一貫教育校としてスタートいたしました。各学年2クラス、全校550名規模の学校でございます。なお、こちらも平成20年9月に小中一貫の学校運営協議会が設置されております。
 (18ページ)さて、併設型の特徴でございますが、3点ほど挙げさせていただきます。まず1点目ですが、密度の濃い連携が実現できるという点でございます。小中で校長1名ということで、迅速な意思決定の下、小中一体化した学校経営がなされます。副校長職の3名のうち1名は准校長として校長を補佐します。なお、この副校長につきましては、学校教育法でいうところの教頭がこれに該当いたします。また、兼務辞令を発令し、小中の教員全員がそれぞれ双方の業務にあたることができ、相互乗り入れが実現できます。なお、小中両方の免許を保有している教員は、授業にT1で入ることが可能ですが、所有していない教員はT2で入ることになります。参考までに、小中両方の免許所有者の状況を示させていただいております。2点目といたしましては、よりきめ細かな児童生徒理解・指導が実現できるという点でございます。校長の迅速な意思決定の下、児童生徒理解の情報共有の合同会議や研修会が計画的に高い頻度で設定できるということでございます。(19ページ)3点目といたしまして、より柔軟な教育課程の展開が可能であるという点でございます。教員の相互乗り入れが容易なことから、接続期の小5、小6、中1を1つのまとまりとして捉えた教育課程の編成が可能です。また、文部科学省に特例申請するなど、柔軟な展開も可能となっております。併設型のこの2校につきましては、特別の教育課程編成の申請をさせていただいておりまして、外国語活動や算数、音楽、美術にて授業時数の増加や、小5・小6で外国語活動、算数で学習内容の先取りを実施させていただいております。
 (20ページ)次に、併設型2校の取組の具体として、教科指導の充実という視点から、主に小中の相互乗り入れの状況について御紹介いたします。霧が丘小中学校では、中学校の教員が6年生の外国語活動、理科、図工に単元内容に応じて指導に入り、また4年生から6年生の算数に中学校の教員が指導に入っております。また、小学校教員も少人数指導教員が8年生、つまり中2の数学にT1で指導に入っております。この教員は、小中両方の免許を保有しているということです。5、6年生の担任が7年生、つまり中1の数学に入っております。右側、西金沢小中学校ですが、こちらは中学校教員が5年生の算数と体育に週1回、また6年生には算数、体育、外国語活動に週1回、また音楽、美術、外国語活動には毎時間、指導に入っております。なお、6年生では、社会、理科、図工、体育で教科担任制を実施しております。開校してまだ1年半余りで、しっかりとした検証はこれからということでございますが、これまでの2校に見られる成果を、7点ほど御紹介します。
 (21ページ)1点目といたしまして、校長が1人であることのメリット。組織の意思決定のスピードが速く、小中の連携が綿密であることが挙げられます。2点目といたしまして、不登校児童生徒に減少の傾向が見られること。3点目は、中学校教員の専門性により、小学校児童の学習への意欲向上が見られるようになったこと。(22ページ)4点目は、横浜市学力学習状況調査の結果から見て、2校共に年度ごとに学習状況の上昇傾向が見られること。5点目、それに連動して落ち着いた学習環境が維持できているということ。6点目は、小学校の児童・保護者に中学校進学への安心感が高まっていること。特に個別支援学級の保護者に、そのような声が高いという報告を受けております。最後7点目といたしまして、私立・国立中学校への進学者数が減少し、小中学校の中学校の方へ進学する生徒が多くなっていることが挙げられます。
 (23ページ)最後に、併設型小中一貫校の課題についてでございます。まず、校長が1人であることのデメリットがございます。校舎が現在別々であるということで、行き来に時間がかかります。また、1人で小中2校種分の業務上の負担をしているということになります。ウエイトに偏りが出て、中学校の方に校長先生のいる時間が多いということがありますと、小学校の子どもに校長先生の存在感が薄くなることが挙げられます。また、先ほど御紹介しました准校長についても、例えば小学校の方の学校経営の意思決定を委ねても、どうしても遠慮が出てしまい、結局校長の判断を待つことになったりします。さらに、その「准校長」の認識が保護者・地域になかなか浸透しないため、様々な場面で校長の存在が求められてしまうことが挙げられます。
 次に、小中一貫校としての教職員の人事配置についてですが、小中両方の免許保有者を優先的に配置するなど、小中一貫教育校として求められる機能に即した弾力的な人事配置が、課題であり、求められているところでございます。以上で、横浜市における横浜型小中一貫教育並びに併設型小中一貫教育校の説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

【小川主査】ありがとうございました。今日は、報告が3本ありますので、1本ずつ終わった後に、5分程度、その報告について御質問等々お受けしたいと思います。今の横浜市の報告について、何か質問等ございましたらよろしくお願いいたします。どうでしょうか。
 角野委員ですね。よろしくお願いします。

【角野委員】1つだけ質問いたします。小中一貫のカリキュラムを作成されて、小中学校の教員で調整をしているということですが、調整するに当たって、特に注意したところ、あるいは特に時間がかかったところがありましたら教えてください。

【野口指導主事】今の御質問は、具体的な学校における調整ということでよろしいでしょうか。具体的には、合同で会議を開く日程的な部分がまず1つの課題であるかと思います。特に夏休み中を中心に研修会なり編成会等を開く中で、カリキュラムを編成していくということです。それから特に、小学校の高学年と中1の間に、いかに円滑にカリキュラムを編成するかということに腐心しなければならなかったことだと思います。以上であります。

【小川主査】質問者よろしいでしょうか。

【角野委員】では、もう1つだけ。
 その際に、小学校の教員と中学校の教員によって、評価の上げ方に違いがそれほどには出なかったのでしょうか。

【野口指導主事】基本的に評価につきましては、それぞれの評価の指導事項や指導内容がありますので、それに沿って、文科省の資料等を利用させていただきながら、共通理解を図っていくことを原則にしておりましたので。それぞれ評価方法等につきましては、小中での違い、以前よりの文化等の違いもございますが、そこをできるだけすり合わせ調整するように腐心したと聞いております。

【小川主査】よろしいでしょうか。それでは向山委員お願いします。

【向山委員】どうもありがとうございました。20年前、この近くでうちの子どもたちも子育てをしたので、大変興味深く聞きました。1つだけ、課題のところで、教員の多忙感の問題がなかったようですが。特にこの西金沢小中学校、併設と言っても100m歩いたところですね、ドアツードアで3、4分はかかりますかね。中学校の先生方は、体育、英語、算数等に行かれている、6年生の指導、5年生の指導に。この辺りへの影響というか、課題としては何かありますか。

【小嶋主任指導主事】西金沢小中学校につきましては、実は学校規模があまり大きくありません。中学校では、各学年2クラス規模ということで、授業時数的にゆとりのある教員を、小学校の側の支援という形で優先的にやっていく関係で、さほど多忙感のないような形を工夫して行っております。実は、その辺で霧が丘小中学校と西金沢小中学校では学校規模が違い、その関係で中学校の教員の持ち時間数が違っていることもあって、小中の乗り入れの教科、具体的にどの教科で、ということについても、その影響を受けております。西金沢につきましては、音楽、それから美術については、持ち時間数に非常に余裕があることから、小学校にかなりの時間支援に行っている状況にあるということでございます。

【小川主査】向山委員、何かありますか。よろしいでしょうか。
 では、佐藤委員、お願いします。

【佐藤委員】質問ですが、資料の19ページにございます併設型の特徴で、授業時数の増減とあるのですが、外国語活動とか算数が大幅に時数が増えており、逆に総合の方がかなりの数値で減っていますが、これはどのような位置付けなのかと疑問に思いましたので、少しお聞かせ願いたいと思います。

【小嶋主任指導主事】より柔軟な教育課程の展開ということですが、もちろん全体的に限られた時数がございます。今回、横浜らしさを展開する上で、総合の時間の重視という面も欠かすことはできないのですが、小中一貫校としての在り方として、まずは一般的な算数や音楽、それから外国語活動などの教科での乗り入れを実現するということを優先に考えたということであります。もちろん、総合について時数が減った分に関しても、質が落ちることのないような工夫を学校でも意識しております。

【小川主査】いろいろ議論があるかと思いますが、3つの御報告が終わった後、一括して議論し、意見交換したいと思いますので、よろしくお願いします。では最後に天笠先生、お願いします。

【天笠委員】全域で142ブロックを作っているということですけれども、恐らく教育委員会が線引きをされたかと思うのですが、その線引きをする、ブロックを作るに当たって配慮したことですとか、御苦労された点、あるいは、そのブロックごとの求心性を高めることについての配慮というのでしょうか、その辺りについてお尋ねいたします。いかがでしょうか。

【野口指導主事】現在、142のブロックでございますけれども、線引きと言いますか、一応各学校に投げかけまして、最終的に調整を行う形で、学校の意思を尊重しながらブロックの編成をしました。先ほど申し上げましたように、基本は中学校区でございます。ただし、先ほど申し上げたように、横浜の場合は必ずしも中学校の学区と小学校の学区が完全に一致しているわけではございませんので、それぞれ小学校から中学校に上がる時に、どちらかと言えば人数の多い方とか、そのようなことで、それぞれの学校同士で検討していただきながら、最終的にブロックを決定していった経緯がございます。また、求心性というお話がございましたが、先進的に小中一貫に取り組んでいただくブロックを幾つか選定させていただいておりまして、本年度は22のブロック、以前は30以上のブロックがございましたけれども、そのブロックにつきましては、先ほども後補充というお言葉も出てきましたが、非常勤講師を配置しまして、その学校の中でブロックをコーディネートする役の教員を支援するようなサポートシステムをとらせていただいているということでございます。よろしいでしょうか。

【天笠委員】どうもありがとうございました。

【小川主査】では、時間が少しオーバーしましたので、この辺で終わらせていただきたいと思います。横浜市、ありがとうございました。
 次に、高松第一学園について、この作業部会委員でもあります原委員の方から御報告をお願いします。

【原委員】それでは、失礼いたします。
 (資料6(以下同じ)・1ページ)「高松第一学園の小中一貫教育」と銘打ちましたが、本校の具体的な教育活動に触れながら、与えられた課題も織り込んで発表させていただきます。
 (2ページ)高松市内の市街地にあるのですが、光洋中学校と城内中学校、この2つの学校が平成21年度に統合して、高松第一中学校ができました。さらに、松島小学校、築地小学校、新塩屋町小学校、この3校が統合いたしまして、昨年度高松第一小学校ができました。この小学校の開校に伴い、中学校と一体になって高松第一学園という小中一貫教育校が開校いたしました。香川県はとても小さな県でありますし、人口は100万人を切るような状況になりました。高松市は42万人を少し超えるような中核市であるわけですが、その香川県及び四国で初めての施設一体型の小中一貫教育校であります。画面では小さくて御覧になりにくいと思うのですが、学級数、児童生徒数、教職員数は御覧いただいたとおりです。
 (3ページ)その施設一体型の小中一貫教育校が開校するに当たっては、まず平成16年の8月に高松市小中学校適正配置等審議会の答申が出ました。「児童生徒数が、特に市の中心部において非常に減少してきた」ということから、答申されたのが、小学校3校の統合及び中学校2校の統合でありました。長くて大変恐縮なのですが、鍵括弧で書いているのが、審議会で出された答申の一部です。実は、先ほどの5校のうちの2校、1つの小学校と1つの中学校は完全に隣接しておりました。ですから、新しい非常に広い敷地を得ることができましたので、このようなことが書かれているわけですが、その敷地を一体的に活用して、小中一貫教育も視野に入れた計画が望ましいと答申されました。これを受けて、高松市教育委員会としても、そのような方向に進みたいという方針を出したわけです。
 ところが、この作業部会の1回目の時に申し上げましたが、学校の統合は地域の統合です。それぞれの地域に想いや願いがありまして、もちろん自己完結した社会ですから、伝統なり自負なり、それぞれ非常にしっかりしたものを創りあげてきている中で、それを1つにしていくというのは、大変な困難が伴う、簡単にはいかないということで、平成17年の8月に「新しい学校づくり協議会」が設立されました。各地域、3小学校区、2中学校区、これは重なっているわけですが、それぞれ5校のある地域のコミュニティ代表の方々、いわゆる有力者の方々、そして学校関係者等によって構成されて、平成22年の4月まで、32回の協議会が開催されました。中身については触れませんが、いかに厳しい道のりであったかということがお分かりいただけるかと思います。そのようなわけで、地域の大変大きな想い、願いを込めて作られた学校であります。
 (4ページ)本校の特長としましては、6・3制の良さと4・3・2制の良さを融合した教育を進めていることだと考えております。いわゆる少年期から青年前期へと断層的に成長する節目になるのが、小学校から中学校へ、ということだと私自身考えておりまして、程良い段差、ギャップはどうしても必要であるし、それが次への飛躍の土台となるとも考えております。大人になるという自覚を持つこともできるし、気持ちの切り替えもできると、ある意味で今までとは違う自分になるぞ、というように新しいスタートを切ることもできます。それが、6・3制の良さであると考えています。4・3・2制の良さとしては、今まで言われているとおり、現在の子どもたちの発達に合っていると、まとめることができます。発達の実状に即しているから、確かな学力、豊かな心、健やかな体の育成のためには、非常に効果的であるとともに、中1ギャップの解消にも効果を持つであろうと考えられます。そのようなわけで、6・3制の程良い段差や節目を大切にしつつ、滑らかなステップアップを図りたいということで、その2つを融合させた教育を実践していこうと考えて、小中一貫教育を進めているところであります。
 (5ページ)学校組織・運営上の特徴等ということですが、本校は管理職、校長1名、副校長1名、教頭は小学校2名、中学校1名です。この管理職だけではなく、教諭や講師など、全てに兼務発令がなされております。ここで、今回与えられた課題の1つについての私の個人的な意見ですが、私は、少なくとも施設一体型においては、校長は1人であるべきだと思っております。経営方針の1本化、先ほども横浜市からお話がありましたが、速やかに決断ができる等々の理由からも、どうしても校長は1人である必要があろうと思っております。併設型においては、条件がそろって可能であれば、1人の方が望ましいのではないかと考えております。そして連携型においては、状況によるのですが、スムーズな学校運営からすると、地方においては、1人校長はなかなか難しいところも多いのではないかと思います。教育課程上の特例についてですが、平成19年度から20年度までは、いわゆる教育特区としてやってまいりました。21年度から2年間、教育課程特例校としてやってまいりまして、本年度からは学習指導要領の枠内で教育活動を進めております。(6ページ)本校の基本方針としては、この後1つずつ簡単に触れさせていただければと思っております。
 (7ページ)まず、義務教育9年間を見通した学習活動についてです。教科カリキュラムの作成ですが、これはカリキュラムの概要とガイドラインです。お手元の資料、分かりにくくて申し訳ありません。このような育てたい力や到達目標等を、各教科で期ごとに設定いたしまして、それに基づいて、年間の指導計画等を立てております。
 (8ページ)その前に、小中一貫教育の基本的な考え方を作成するわけですが、それについては、時代の要請、子どもたちの実態、指導上の課題をまず挙げて、次に小中一貫教育でそういった課題をどうやって解決できるか、という具体的な方策を各教科で作ります。それが指導計画作成のためのガイドラインです。そして、先ほど申し上げたように、それに基づいてカリキュラムの概要を作り、それに従って各教科で年間指導計画を作成していくわけです。小中一貫教育の実践は、本校だけが単独でやっておりますので、このカリキュラムについても、市教委の指導を頂きながら、4、5年かけて小中全教員の手作りで行いました。そのように協働することによって、仲間意識、共同意識と言いますか、同じ目的意識を共有することができ、それが今の教育活動がスムーズに行われている原点なのかとも思います。
 (9ページ)2点目の地域に根差した特色ある教育活動の展開ということで、「高松みらい科」。このような名称にしたのは、最初は、教科としてやっていこうと考えておりました。しかし、現在は総合的な学習の時間に位置付けているわけですが、これで十分に我々が目標とするところは達成できるであろうということで、総合的な学習として実施しております。内容は、このような2本柱、環境教育とキャリア教育の2本に絞っており、目標としては、特に市民生活に関わる環境、キャリアに焦点化した学習を行うことによって、未来社会を築く市民としての生きる力を養っていこうというものです。これには、地域の方々の力を沢山借りています。地域の色々な伝統工芸等も含めて学習指導に協力していただいております。
 (10ページ)1つだけ特色を申し上げますと、6年生と7年生は一緒に学習をします。本年度は、このように4コースずつですが、トータル8つのコースを作って、6年生・7年生が縦割りで、自分たちがコースを選んでやっていきます。つまり、1つのコースの中で、6年生と7年生が一緒に学習を進めていく形をとっています。基本的には本年度と翌年度とは違う分野を学ぶようにしております。
 (11ページ)そして、3点目は小中学校の継続的・効果的な交流ということで、合同の運動会。
 (12ページ)それから、異学年交流の活動としましては、色で分けておりますが、1・4・9年と、2・6・8年、3・5・7年、それぞれを兄弟学年ということで交流を進めております。例えば休み時間に9年生が1年生・4年生の所に行って、本の読み聞かせをしたりしております。清掃もなかなか小学校低学年では十分にできませんので、中学生が一緒になって清掃活動をやる。交流給食、これも多様な組合せで実施しております。
 (13ページ)それからさらに、期別朝会や生徒会活動。小学校には部活動はありませんが、陸上の記録会がある時には、中学校の陸上部員が小学生に指導するとか、新7年生が中学校に入る時に行う部活動紹介や、総体前の部活動激励会等に6年生に参加してもらうとか、そのような形のことを行っております。
 (14ページ)それから、4点目は教師の専門性等を生かした教育活動ですが、小学校に一部教科担任制を取り入れております。中学校教員による指導は、専科として5・6年生の家庭科と図工、6年生の音楽で実施しております。
 (15ページ)それからTTの形、小中教員がTTで指導するのが、この2教科(理科、英語活動)です。なお、ここでは「外国語活動」ではなく、全て「英語活動」と統一させていただいております。それから、7年生については、元小学校6年生の担任教員が、数学の授業の全てにT2として入って、なめらかな算数から数学への移行を目指しています。
 (16ページ)5点目の生徒指導、進路指導、特別支援教育などの推進ということで、(17ページ)生徒指導につきましては、発達段階に応じた生徒指導の一貫性及び共通理解を大切にして、同じようなペースでとにかくしっかりと、同じ指導を積み上げていって定着させていっております。
 (18~19ページ)生徒指導上の連携、これは小中が共に連携し合って、いろいろな問題が解決できているということです。全国調査によると、不登校は、小6から中1になると約3倍になっているということですが、本校ではほとんど変化がありません。そして、いじめが2.5倍弱になるのですが、本校では増加はするものの有意差をもって緩やかです。暴力行為も全国的には約5倍ということですが、本校ではほとんどない状況でありまして、子どもたちは落ち着いた学校生活を送っております。
 (20~21ページ)そして、特別支援教育。これは非常に効果的だと考えて、大きな特色としているところですが、このような特別支援学級での取組、通級指導教室での取組、それから通常の学級での取組、校内支援体制の構築ということで、目に見える形で9年間の連続性と一貫性のある特別支援教育を推進しております。
 (22~25ページ)学力についてでありますが、これも簡単に触れます。平成19年の学校が統合される前から、準備段階として小中一貫教育の乗り入れ等を行っていたわけですが、全国学力・学習状況調査では、国語AB、それから数学AB、いずれも6ポイント余りから9ポイント余り全国平均を上回る学力の現状です。理科においては、7年生では、小学校から中学校になっても極端な落ち込みがないということです。8年生においても、極端な落ち込みがないという資料です。このように接続がスムーズに行われて、学力の定着につながっているのではないかと思われます。
 (26~29ページ)英語については、これを香川県の平均と比較しますと、9年生ではプラス10ポイントとかなり高い状況になっております。1~2年生は年間20時間、毎週0.5時間ずつ、3年生~6年生までは35時間の英語活動を行っております。それから5、6年生では、中学校教員と小学校の学級担任とのTTの形で英語活動を行っております。これが、先ほどの結果のように、中学校での英語科における学力の定着につながっているのではないかと考えております。算数・数学の好き嫌いについても、7年になってもそれほど落ち込みはないということでございます。
 (30ページ)教職員の意識変化ですが、これは非常に大きなものがあります。小中教員共に、学習面、生徒指導面で学び合う、協働意識が高まる、互いの良さを取り入れた授業改善等を行って、異校種間の理解も深まり、義務教育の9年間を見据えようとする意識が向上していって、日々協働しながら、教育活動を行っております。
 (31ページ)それから、施設一体型校舎のメリット・デメリットということですが、小学生は多様な人間関係が広がりますし、中学生を良いモデルとして、将来のモデルに出会うことができる。逆に言うと、中学生が荒れていると、悪いモデルになることも考えられますので、開校前はある程度心配していたのですが、もちろん今も常に危機感は持ちつつも、そのような現状はありません。小学校の子どもたちにとって、教職員との人間関係も広がり、子どもたち同士の交流関係も非常に広がる。中学生にとっては、小学生との関係によって成長していきます。やはり良いモデルになろうと努力している。自分たちより皆年下ですから、思いやりの心が育ちます。単純なようですが、虚勢を張る必要がありませんので、手助けをしてあげなければならない子どもたちと一緒に生活することによって、そのような心が育ちつつあります。また、小学校時代からよく知っている教職員が身近にいるので、困った時に相談に行く、何でもない時に雑談しにいく、というように精神的な安定が保てるメリットもあります。教職員については、小中が日々それぞれの活動を見ていますので、互いに学び合うことは非常に多いのではないかと思っております。デメリットは、実はあまりなく、施設利用の調整や動線の配慮、最初の頃は実際に事故が多かったので、動線の配慮や見直しも行っております。
 (32ページ)課題は、教職員の配置です。本校の重要なそして難しい課題の1つです。現在は、市の講師を配置してくださっているので、学校運営ができております。平成21年度、中学校ができた年ですが、小学校がまだ3校残っていた時、その時は市の講師が7名いたのですが、昨年度は4名。本年度は3名残ったのですが、来年度以降は、確実に0に近づいていくだろうと思われます。解決策については、初めの室長からのお話の中にあったと思うのですが、やはり小学校で中学校教員免許を持った者を中学校に充てていくという手立てが一つの方法なのではないかと思います。それから、教員免許はやはり小中連携に大きな制限となっております。小中の人事交流、これも先ほど触れましたが、極めて大切であるし、このことが小中連携の根幹に関わる部分で、これが上手くいけばかなりの部分がスムーズに進んでいくのではないか、と感じております。また、教員養成の在り方、教員免許の取得の問題。先日、地元の香川大学教育学部の先生とお話する機会があったのですが、卒業要件に、2つの免許を取るということもあるそうで、以前はゼロ免でも卒業できるという状況から随分変わっており、是非ともそれを続けていただきたいとお願いをしたところです。さらには、教員採用の在り方も関連してくるのではないかと思っています。
 義務教育学校の制度化も大事だと思います、中等教育学校があるのだから、義務教育学校もあって良いと思うのですが、もし、全国的に小中連携を進めていこうというのが主旨でしたら、広い網がかかっている現行制度の改善又は柔軟な運用等で解決できることが多いのではないかと考えております。
 (33~40ページ)それから、最後になりますが、本校の1つの使命として、市教委と連携しながらですが、先日、実践発表会を開催しました。施設一体型だからできるのではなく、他の学校でもできる小中連携について具体的に提言させていただきました。ポイントはこの3つ、(系統的な教育課程、豊かな交流活動、教職員の意識改革)なのですが、特に3つ目、教職員の意識改革ということが大切ではないか、と思っております。以上で、高松第一学園の報告を終わらせていただきます。

【小川主査】少し時間がオーバーしているのですが、今の御報告について、どうしても今の段階で御質問があれば、1、2問伺いたいと思います。では、酒井委員と野木委員お願いします。

【酒井委員】ありがとうございます。1点お伺いしたいのですが、一貫教育の中で、6・3制の良さを大事にしたいとおっしゃっていらっしゃいましたが、その辺りどのようにお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。6・3制の良さというのは、どの辺りに重点を置かれてのお考えなのかということです。

【原委員】先ほども少し申し上げたのですが、6・3制というのはやはり、小学校と中学校がそれぞれ本来担うべきものを大切にする制度だと思います。それは、昭和22年にできた時からあって、今も基本的には継続していると思います。小学生から中学生になるというと、一つ大きく成長したという感じを子どもたちも抱きますし、部活も始まり服装も変わって、新しくリフレッシュした形でスタートが切れる機会にもなっています。やはり、いわゆる子どもから大人へ、という意味の節目として大切にしたいというのが結論です。私は、小中の節目は子どもたちにとって成長の上で重要な節目になっていると思っております。

【小川主査】では、野木委員お願いします。

【野木委員】1点質問でございます。課題のところで、本校での重要課題の1つに、今現在、市講師の配置により学校運営をやる、ということがございましたが、それが段々と減っているということは、どのような意味ですか。

【原委員】中学校と小学校の教員の相互乗り入れということになりますと、必然的に中学校の専門性を活かして小学校に行くことが多くなります。本校では、週当たり5教科で52.4時間ほどになります。そうなりますと、どうしても中学校の定数配置だけでは、教職員が足りなくなってしまいます。それで、その部分を市講師が担ってくれている、ということなのです。

【野木委員】それが段々と減っているというのは、どのような意味合いでしょうか。

【原委員】単純に予算が無いということです。

【野木委員】予算の問題ですね。分かりました。

【原委員】実は、今年の小中一貫教育実践発表会も非常に厳しい予算での実施でした。国もそうでしょうけれども、非常に地方財政は厳しい状況です。

【小川主査】ありがとうございました。では、これで高松第一学園の御報告を終わりにしたいと思います。では、3つめの御報告ということで、三条市の報告を國定委員からよろしくお願いします。

【國定委員】改めまして皆さんこんにちは。遅くなりまして申し訳ございません。三条市長をしております國定でございます。実は、7月29日に私どもの方、大雨によって、かなり甚大な水害を受けまして、その後の改修の方向ということで、信濃川水系全般の総合治水対策ということで、午前中は国土交通省の会議、午後は文部科学省会議ということで、新潟と東京を行ったり来たりしているものですから、遅くなりまして大変申し訳ありませんでした。20分ほどお時間がありますので、できるだけ私に与えられたタスクを踏まえながらお話をしたいと思いますが、どうしても、市長ですので、三条市について若干御紹介しなければならないかと思います。
 (資料7(以下同じ)・2~3ページ)私ども、三条市は新潟県の新潟市と長岡市のちょうど中間に位置しております。上越新幹線で言うところの燕三条駅の片割れの市でございます。人口が今10万2,000人ということで、平成17年に新しい三条市として誕生したところでございます。新潟と言うと、米・魚・酒というイメージが非常に強いですけれども、私ども、三条市の場合は、どちらかというと、金属加工の産業都市でございまして、産業別の就業人口の割合を御覧いただいてもお分かりのとおり、全国的には4分1のところを、三条市では40%近い方々が、この第2次産業、とりわけ製造業、金属加工産業関係の製造業に従事されている。このような意味でも特徴的な街でございます。
 市内の小中学校の数ですけれども、児童生徒を合わせて9,000人弱です。小学校24校、中学校9校という状況であります。
 これから先、本来でありますと、皆様方と同様に小中一貫教育とは何かとか、それをやって良かったとかいうお話をするのが筋だと思いますが、恐らくこの作業部会で、市長という首長サイドから出てきている人間として、教育を語るということではないだろうと思っております。小中一貫教育あるいはハコモノ関係ですね、小中一体校絡みで進めていく中で、先ほどの高松第一学園の原委員、いろいろと大変なことがあった、という一言で済まされましたが、そこについてお話するのが私の責務なのではないかと思いまして、そこを中心に今日はお話させていただこうと思っております。
 (4ページ)一応、簡単に私共の問題意識にも触れようと思っておりますが、そもそも小中一貫教育へ向けての背景ということでございます。これは、他の事例と全く同様でございます。核家族化・少子化の進展、そして他方で真逆の方向からの地域コミュニティの脆弱化ということが、やはり子どもたちの成長過程において、少なからず影響を与えていると私も思っております。
 (5~6ページ)そのような中で、どうしても家庭の教育力の低下、先ほど申し上げました地域コミュニティの脆弱化による、地域の教育力そのものが低下してきていて、子どもが子どもとして成長していくために必要な、いわゆる子ども社会、子ども同士を結び付けるような社会でも、どうしても先輩・後輩等の縦のつながり、あるいは横のつながりも含めての人間関係が希薄化している。そうなると、なかなか刺激を受けながら成長をしていくことが難しくなりますので、結果として生きる力が脆弱化してしまうのではないか。これをグローバル化社会、特に成長が目まぐるしい東アジア地域の同世代の子どもたちと、切磋琢磨どころか、生き馬の目を抜くように争っていくためには、やはりたくましい子どもを育てる教育環境の仕掛けというものが必要になる。言うまでもなく、これが小中一貫教育なのだろうと思っております。今日は残された時間が後10分しかございませんので、いろいろと書いてございますが、とりわけ導入の経緯、推進組織等々について、重点的にお話をさせていただこうと思っております。
 (7~10ページ)これまでの概略的な流れですが、平成17年5月に私ども、近隣町村と合併をしたわけですが、その翌年の18年4月に新しい三条市としての教育基本方針を策定いたしました。その後、平成19年1月、厳密に言うと、ここの間に私が市長に就任しているわけですが、教育委員会サイドでは、三条市教育制度等検討委員会というものを設置いたしまして、先ほど申し上げたような社会背景の中で、あるべき教育制度というものを考えていく、という趣旨で立ち上げました。そこで、委員さんからいろいろと御検討を頂く中で、翌年平成20年2月には、教育制度等検討委員会最終報告が答申されました。この中で、初めて小中一貫教育の導入を提言いただいたということでございます。この小中一貫教育導入について、更に深堀りをしていくために、同年8月、三条市小中一貫教育検討委員会というものを立ち上げて、検討を進めていく方向になり、本検討委員会が、教育委員会に諮る小中一貫教育基本方針案を策定したということであります。この検討委員会そのものの果たす役割というものは、どのようにしてこの小中一貫教育を地に下ろしていくのか、という具現化をするタスクを与えられているということであります。少し振り返りますが、まず教育制度等検討委員会の最終報告では、小中一貫教育の提言ということで、皆様方の中でもとられている小中一貫教育の方向について、御答申を頂いたということでございます。この辺りは、ほとんど同じことが書いてありますので、飛ばしていきたいと思います。その後、小中一貫教育検討委員会の設置ということで、まず初めのタスクが小中一貫教育の基本方針を取りまとめていただくということでございました。
 (11~12ページ)これに合わせて、三条市の教育委員会事務局の組織を統合しようということでした。先ほど申し上げたような小中一貫教育を進めていこう、という目線ではあるわけですが、教育分野に限らず、ありとあらゆる子ども目線に立った時に、いわれもない行政サービスの障害にいつもぶち当たるわけです。就学前の子どもたちは、それまでの一般的な市町村だとそうですが、なぜ、保育所に入ると市長の方の手続になって、幼稚園に入ると教育委員会の手続になるのか。一般的な考え方からすると、どうしても理解に苦しむようなことがあったり、それよりも前にそもそも赤ちゃんが生まれるその瞬間から、母子の保健指導が始まって、そのまま大きくなったら保育所に入るのか、幼稚園に入るのか、そして一定の年齢になれば、小学校に入る、中学校に入ると、子どもの目線からしてみれば、ただ単に成長しているにしか過ぎないのに、そのたびの役割ごとに、当時の三条市役所で申し上げますと、いわゆる厚労省系統と、文科省系統が教育委員会ということで、訳の分からない体制になっていた。これは、やはり子どもたち、あるいは子どもたちを育てている親御さんの目線から見ると、とんでもないことであります。厚生労働省、文部科学省の存在理由そのものを否定するつもりは、全くないわけですが、少なくとも住民に身近に接している我々、基礎自治体がそのような弊害をそのまま弊害と受け止めるのではなく――これは地方自治法やどの条例でもそうですが、どこにも「○○課は」という書き方はしていないわけです。「三条市長は」という書き方をしているわけですから、そうであればもう一緒にしようということで、保育所まわり等全てを含めて、子どもに関わるものを全て、今教育委員会の事務局の方に権限も含めて移管をしているという状況であります。その中でも子育て支援課というところが、横断型の横割り部局ということで、機能している状況であります。この辺りは、ずっと飛ばします。
 (23ページ)一応、市長として先ほど予算の話がありましたので、大変辛い思いをしながら御説明申し上げますが、小中一貫教育の推進ということで、嘱託指導主事の配置による支援ということで、重点的に5名を配置します。小中一貫教育に伴う学校教育活動の補助ということで、市嘱託として21名配置しています。その他、教育活動を行いやすいように、スクールバス等々を我々として持っています。中でも、とりわけ一体校の建設に向けた整備をしていると。この辺りも飛ばしますが、ここは他の地域の皆さんと全く同じでございます。
 (25ページ)私どもは、3つの小学校を統合して1つの小学校にして、それに元々3つの小学校が進学をしていた第一中学校というところを合わせた第一中学校区一体校と、もう1つは、1中・1小学区である第二中学校の隣地に、その1小学校を移転して建設する第二中学校区一体校という2つの一体校を、ここ数年で作りあげていこうという計画を持っておりました。これは、元々あった既存校舎のところに、新しい小学校を引っ越してくるという形で作っていこうというものです。
 今日の私の本題はここだろうと思っているのですが、つまり、第二中学校区一体校というのは、統廃合を伴わないのです。第一中学校区一体校は、統廃合を伴います。ここにかなり大きな差があるわけで、丁寧にやってきたつもりだということを、ここで御紹介したいと思います。
 (30ページ)20年8月には、小中一貫教育検討委員会を開き、11月に基本方針ができました。21年2月には、後で御紹介しますが、第一中学校区という統廃合に敏感な校区に、地域の皆さん、PTAの皆さん、教職員の皆さんと推進協議会を立ち上げ、そこに部会も作って、構想案を作っていった。ハコモノについては、この第一中学校区小中一貫教育推進協議会に施設検討部会というものも設けて、そこからの御意見も頂戴できるような形を作りました。平成21年12月には、三条市議会において、第一中学校区小中一体校建設事業費設計予算について、賛成多数―――共産党だけ反対だったと思いますが、それ以外が全て圧倒的な賛成多数で議会議決を頂きました。その中で、着々と階段を上ってきているわけです。「第一中学校区小中一貫教育小・中学校一体型教育施設整備構想」を教育委員会で決定いただいた。先の予算に基づいて、平成22年3月には、プロポーザル方式で業者との委託契約を結びました。その後、更に議会において、第一中学校区小中一体校建設事業費用地費予算及び用地取得同意について議会議決を頂いたというわけです。これも確か共産党だけ反対で、後は賛成だったと思います。その後、基本設計について、本格的協議―――このようなありとあらゆるものを行ってきたということでありますし、議会の方にも色々な御報告を申し上げていたのですが、ここから段々と佳境に入ってきます。
 (31~33ページ)昨年の8月になりますが、突如この「小中一体校の問題を考える市民の会」というものが出来上がりました。ここで、その「小中一体校の問題を考える市民集会」、これはどちらかというと、第一中学校区一体校に焦点を当てているものですが、このようなものができている。9月には、これの類似団体なのですが、「小中一体校の問題を考える会」というところから、私の方に小中一体校についての陳情ということで、11,024人もの方々からの署名を頂いた。なぜ、いきなり8月や9月に始まったかというと、その翌月に私の選挙があったわけです。三条市長選挙、ここを目指してどうしても動きが活発化するわけです。政治と教育というのは、やはり一定の距離を持つべきだと思いますが、そうは言っても、守ろうと思っても、今の仕組み上、どうしてもこのような民主主義を代表するような仕掛けが近づいてくると、このような問題を抱えている以上、どうしても巻き込まざるを得ない。このようなことは、どうやって一体化を進めていくか、統廃合の問題をどうしていくのかと考えた時に、やはりここは真正面から議論をしていかなければ、これから先もあらゆる地域において同じことが生じるのではないかと思います。
 おかげ様で22年の10月31日の市長選挙の中で、私が37,000、相手が19,000ということで、それなりの評価を頂いて再選をさせていただいたわけですけれども。その後、スムーズに行きそうではあったのですが、23年の3月には、先の会が提出をし、議会に推薦を求めた、「第一中学校区小中一体校における地元合意を求める請願」が、市議会において採択をされたと、このようなことでございます。この後もいろいろなことがあるわけですが、なぜ市長選挙が終わっても活発化しているかというと、9月、終わったばかりなのですが、今年の9月に向けて動きがあったわけです。つまり、ここで三条市立学校設置条例の一部改正ということで、第一中学校区にある3つの小学校を統合し、そして、同所に第一中学校を合わせて作るということと、あるいは、その一体校を建設する本体工事の予算を、ここで議会議決いただくということであります。同じ議会の議員のメンバーだったわけですが、あれだけとんとん拍子で進んでいた議会も、最後は割れてしまい、賛成14反対11ということで、民意が確定したということでありました。
 では、私たちはその間何もせずに、ただ一方的に座していたかというと、そうでなくて、議会の中で見ても、平成20年の9月から始まり平成23年の9月に至るまで、毎回議会で議員さんから御指摘を頂き、それを踏まえて真摯に検討していくためにも、これだけの回数、平成20年から23年まで21回にわたる検討委員会が行われ、その下部組織としての推進協議会、施設検討部会においても、これだけの開催。地域連携部会という誰もが入れる部会においても、これだけの回数を重ねたということであります。
 (34ページ)第二中学校区一体校についても、同様のことがあるわけですが、市に検討委員会があって、さらに中学校ごとに小中一貫教育の推進協議会を立ち上げ、これの下に「よりよい教育環境づくり協議会」というものを設置して、また市議会、住民、保護者、学校教職員という方々の意見が入る形でこれまでやってきたということであります。したがって、どれだけ丁寧に説明をしても、それによって反対されている方々の御意見が、スムーズに融和が図れるかというと、必ずしもそうではない。やはり、そこが現実なのだとしっかり見通す必要があると思いますし、だからこそ、選挙の洗礼を受けなければならない我々首長の部局では、ある意味で価値観や方向観を教育委員会と共有していかなければならないのではないか、と思っているところであります。ですから、地域の御理解を得つつ統廃合を進めるべきだとか、小中一体校の推進に当たっては同じように地域の御理解を頂くべきだとか、それは当たり前なんです、分かっているのですが、結局、統廃合というものは目先の利害関係にどうしても捉われてしまうので、言えば言うほど対立関係をあおるという側面も否めない、という現実だけは、是非とも皆様方にも認識していただきたく思いますし、それを乗り越えて、民主主義のルールにのっとって、決着にそれでも持ち込むのだ、というところがやはり大切なのだと思っております。それによって、反対が多かったので止めるということも、当然あって然るべきことでありまして、このような現実の生々しい姿を、あまり目をそらさずに、これから先、小中一体校の問題について、論点整理を確実にしていくのであれば、現実的に起こり得るだろう物事に対してしっかりと向き合って、最後は議会制民主主義のルールにのっとって解決していくことを明言していかなければ、いつまで経っても解決できなくなると。そして、不幸な思いをするのは、子どもたちであり、その親御さんになるのだということを、最後に御紹介申し上げたいと思っております。いろいろと資料がございますので、後で御覧いただければと思います。
 最後に、これは一般的な課題ですけれども、今回の選挙戦を通ずる議論の中で思ったことは、やはり教育というものは、とても難しいものです。何故かというと、全ての市民が必ず小学校や中学校を経験しますので、皆が専門家的意識があるわけです。その方々に対して、圧倒的に御理解をいただくための骨太なものを説明していくには、ある程度のデータを揃えて、時には、細かいところにも踏み込んで丁寧に説明をすることが、当然であるわけですが、そうは言っても、限界はあるわけです。仮に100ページにもわたる報告書等を市民の皆さんに読んでほしいと言っても、それはなかなか無理がある話です。小中一貫教育全般について、それを乗り越えるための物の言い方をどのようにしていくのか。これについては、やはりこの評価、検証といったところを、しっかりと確立する中で、冷静な議論に収まることができれば、それに越したことはないわけですから、冷静な議論をでき得る評価、検証というものをしっかりと見据えていくべきではないかと思っております。
 お時間過ぎてしまったようでございますが、以上で三条市の事例報告とさせていただきたいと思います。御清聴いただいてありがとうございました。

【小川主査】ありがとうございました。時間があれば、前の御報告と同じように、今の三条市についても、若干質疑応答の時間を取りたいのですが、残された時間は25分ですので、25分の中で、今日の検討事項の意見交換をしたいと思います。ですから、その全体の意見交換の中で、三条市の報告について何かあれば、質問を出していただければと思います。
 今日の3つの報告については、前回議論した小中一貫教育の目的や効果等々も絡まった報告を頂いたのですが、今日の検討事項としては、先ほど確認した2つの点です。小中連携、一貫教育の推進体制の在り方と校地・校舎、通学区域面での制約を克服する工夫の在り方。できれば、この2つを少し意識しながら、残りの時間、皆さんで意見交換をしたいと思います。他の問題にも関わることになりますので、そのような意見もあれば受けますけれども、できればこの2つを少し意識して、議論を深めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、皆さんから御意見を伺いたいと思います。

【清水良一委員】よろしいでしょうか。

【小川主査】はい。では清水委員どうぞ。

【清水良一委員】今、お話がありましたように、教職員の人数が限られている中、どのような工夫をすることで、体制面の課題を克服していけるか、という点につきまして。やはり私共は、できるだけ成果の上がる効果的なものを、というところで質問させていただきます。
 横浜の併設型小中一貫教育校、西金沢小学校におかれましては、教科指導の充実ということで、これは20というページ番号が付いているところですけれども、中学校教員による6年生の指導では、体育を週1回なさって、なおかつ教科担任制をとっていらっしゃいます。私は、例えば国語等の教科ではなく、教科担任制である体育を乗り入れされておりますので、なぜ体育であるのか、ということをお聞かせ願いたいのですが。

【小川主査】質問という形で出ておりますが、他に何かそれに関わる質問等ございますか。

【新井委員】少し、関連して質問があるのですが。
 教員数そのものが、同じような規模の学校と比べて多いのか少ないのかということと、それから時数です。5年生・6年生を中学校の先生が持つということは、中学校の先生の負担が増えて、小学校の先生の負担が減るという理解で良いのか、どうなのでしょうか。

【小川主査】それは、横浜と高松 、2つの自治体の質問でいいですか。

【新井委員】はい。

【小川主査】では、最初は横浜の方からお答えいただけますか。

【小嶋主任指導主事】はい。お答え申し上げます。まず、6年生の教科担任制の社会・理科・図工・体育、教科の選定についての根拠ということでございますが、これにつきましては、現在の6年生の担任の教員、要するに2クラスでありますから、2クラスの先生の、より専門性が高い、言うならば、得意分野ですね。それについて、1人の先生が図工と体育は自分が持つ、という形をとったりするということですので、その当該教員の状況の中での判断でございます。それから、もう1つの御質問の、専科についてです。中学校の教員が専科の授業に行く分、小学校の専科の先生の余裕ができるということについては、基本的には、専科の先生のいるところにも―――例えば中学校の美術の先生が一緒に入って、両方できめ細かく見ています。美術の先生の専門性の高いアドバイスというものが、小学校の児童にはかなり新鮮であるということが挙がっておりますので、2人一緒での指導が、実際に行われているところだと受け止めています。

【小川主査】今の、最後の質問でもう一度確認ですけれども、併設校で横浜には2つの学校がありますよね。同じ規模の他の学校と比べた場合に、教職員は同程度なのか、プラスアルファで人数が多いのか、というような質問があったかと思うのですが、どうでしょうか。

【小嶋主任指導主事】実は、横浜市では基本的に併設型の小中一貫校だからといって、特別な人的配置をすることなどは、あえて避けております。基本的には、小学校・中学校の標準的な人員配置という扱いをとっております。ただ、先ほど野口から説明がありました22名の小中一貫非常勤講師につきましては、併設型2校についても他の20のブロックと同様に配置しております。

【小川主査】では、同じ質問を原委員、お願いします。

【原委員】失礼いたします。加配教員が多いか少ないかということでは、中学校は、いわゆる小中連携で2名。生徒指導関係、これはどこの学校にも置かれているのですが1名。少人数指導は2名。基本的には、教員数は市の加配を除くと他校とあまり変わらないと認識しております。では、小学校の負担は減るのかということですが、先ほど申しましたように、乗り入れと言っても、いわゆる専科で行っている部分については、確かに減ります。しかし、TTの形をとる教科が2教科ありますので、小学校の負担は、それほど減りません。若干減るのは事実です。しかし、小学校の加配は何が多いのかというと、やはり小1プロブレムや特別支援に関しての加配です。特に1年生・2年生で個別対応、特別支援的な指導や支援を必要とする子どもたちが結構多いので、加配教員だけでなく多くの教員が対応に当たっておりますので、トータルすると、現実的にはそれほど負担は変わっていないということであります。

【小川主査】ありがとうございました。今のお答えについて、質問者の清水委員と新井委員は何か御意見はございませんか。

【清水良一委員】よろしいでしょうか。ここで議論されていることが、一般の学校にとって効果的なものを導き出していただくとしたら、乗り入れ授業についても、沢山の教科がありますが、その中のどの教科をやった時に、例えば子どもたちが学ぶ楽しさだとか―――私はこのような授業を国語でやっていただければ良いと思います。やはり小学校段階では、国語の力がとても大きいと思っているのです。その意味では、国語ではなく体育等の他の教科をなぜやっているのか。沢山の教科が無理であるならば、この教科から始めれば良いのではないかと、それをやることによって、効果が出たというものがあれば、一般化されるのではないかと思い、聞かせていただきました。

【小川主査】はい。ありがとうございました。他にはどうでしょうか。では、向山議員どうぞ。

【向山委員】今日の検討事項の内容に係る3点、お話させていただきたいと思います。1点目はやはり、小中一貫教育を進める上でも、教員の負担をどのようにして、これ以上増やさないようにするかという観点が大切だと思います。数年前の調査で、教員の超過勤務の月平均が34時間程度ということで、1日当たりでは約100分の超過勤務をしている。その前の調査は、昭和41年でしたか、当時は1日20分程度であったわけですが、その5倍ほどにもなっているという超多忙な現状がある。その中で、いかに負担を増やさないような策をとるか、ということが大切であると思います。そのためには、例えば、小さな学校で専科制をとっていた場合、音楽や図工の先生の持ち時間数が少ないが、学級担任はもっと多い。そのようなことを1校単位の中では、なかなか克服できない課題を、3校や4校でやることで、スケールメリットというか、職員集団が大きくなれば、それだけいろいろな案件処理ができますから。その中で、全体的にどのようにして負担軽減が図れるかという観点が大切かと思いました。
 2点目は、移動時間の減少の問題です。もちろん、施設の分離型というのは大変移動時間がかかるわけですし、その中で、いかにこのロスを少なくするか。一体型の校舎でも大変大きくした場合、例えば保健室をどこかに1つにした場合、先日もある小中一貫の学校を見てきたのですが、かなり保健室まで遠い。保健室まで遠いというそれだけで、利用者が減ってしまうという問題もあるわけです。したがって、この移動時間というのは、大人の問題でもあり、子どもの問題でもありますので、その辺りをどのように克服していくかということも大切であると思います。
 3点目ですが、施設のことを考える場合に、例えば、現実的に学校の指導というのはいろいろな場面がありますが、廊下を走らないという目標は、100年以上前からありまして、これは未だに克服されない課題かもしれません。大きな子どもと小さな子どもがぶつかれば、当然大きな事故もある。同じサッカーボールを蹴っただけでも、大きな子どもが蹴って、小さな子どもの目にも当れば大きな事故になります。その点では、動線の分離等、どのような形にして、1つのグラウンドを使っていくのかということも考えていかねばならない。つまり、小学校1年生と9年生といいますか、中学3年生の体力差というものは、大変な大きなものでありますし、体格差でもものすごい違いが出ます。その点では、この学校事故を防止するという観点からも、施設に関わって考えていかなければならないと思います。以上です。

【小川主査】今の視点は、非常に大切な視点だと思います。今の問題については、恐らく先行して小中一貫の取組をされているところも、いろいろとその点は考えながら取り組んでいると思います。できましたら、今の教員の負担増、特に中学校側に負担が多くかかるということが指摘されていることですが、そのことも含めて負担増に対する配慮。2つめには、移動時間ですね。子どもと教師の双方に関わる問題ですが。3つめにはそのような施設に関わる動線に対する配慮です。このような問題について、今日報告いただいた3つの報告者で、何かその点で取り組まれていること、考えられていることがあれば、お答えいただければ助かるのですが。よろしいでしょうか。國定委員、お願いします。

【國定委員】教員の方々の負担増の解消ということは、とても重要なテーマだと思っております。小中一貫教育という新しいものに取り組もうとする時に、単に負担が増えてしまうといえば、やはりなかなか協力いただけなくなるわけです。今のところ、考えられる手段というのは、他の自治体の皆さんの事例紹介にもありましたように、市町村単独で先生の数を増やしていくということが、まず有効なのだと思います。しかし、仮にこれを全国的に進めていくということになれば、市町村単独でそれぞれが賄うということには、一定の限界があると思いますので、そこは、ある程度、制度化された中で教員加配というものがなされたらありがたいと思います。もう1つは、三条市は今出だしの時期で、去年小中一貫教育の各教科モデルカリキュラムの小学校編を作り、今、中学校編を作っている最中です。これは労力がかかるわけで、そこを各小中学校に配置されている先生方だけにお願いしても、なかなか難しい話です。やはり私は、小中一貫教育を進めていく時の肝の1つが、教育課程カリキュラム作りだと思っておりますので、教育委員会事務局の中に、小中一貫教育推進室というところがあるのですが、そこでカリキュラムを作成する調整を行い、また指導主事的な方も配置させていただいて、回していくような形であったと思います。

【小川主査】ありがとうございました。原委員、お願いします。

【原委員】教員の負担増、今、香川県でも教育長さんが不退転の決意で業務改善を行う、教職員の多忙感を解消の方向へ持っていきたいということで、御努力くださっています。、アンケート等もとりながら、何が負担の原因なのか、分析・洗い出しを行っております。、校長会でも、改善に向けての努力を続けております。これは、学校単独で解決できる問題ではない。システムとして、県教委それから市教委と、研修等の在り方など、そのようなものをも含めての問題解決の方途を考えていかなければならないと思います。本校においては、先ほども申し上げましたが、加配でもってどうにか先生方の負担や多忙感が減るように運用しているのですが、やはり大きな課題が現実として残っております。
 もう一点、先ほど発表の中でも申し上げましたが、学校事故の問題です。これは、十分に動線や使用場所の分離によって事前に考慮して作ったはずであったのですが、実際に運用してみると様々な問題が起こってきます。これは、やはり動きながらどんどん改善を進めていくしかないのではないかと思っております。事前にしっかり考慮することとともに改善を怠らないで対応していくしかないのだと思っております。

【小川主査】どうもありがとうございました。では横浜市から何かあればよろしくお願いします。

【小嶋主任指導主事】横浜市の併設型の2校につきましては、他の小中一貫推進ブロックのモデルとなることを趣旨としておりますので、併設型一貫校2校だけに特別なことはあえてしていないというのは、先ほども申し上げたとおりです。その中で、2クラス規模の西金沢小中学校については、中学校側では、美術・音楽・技術家庭・保健体育の教員の持ち時間数が比較的少ないことから、その余裕のあるところを小学校の方で、という発想です。逆に3クラス規模の霧が丘小中学校の中学校の方では、逆にその4教科については、持ち時間が多いという関係で、余裕のある算数・数学について、小学校の方に乗り入れるようにしております。そのような形式をとることで、負担をかけずに乗り入れる、バランスを取る工夫をしております。

【小川主査】ありがとうございました。では、また委員の方から御意見を伺いたいと思います。赤沼委員、お願いします。

【赤沼委員】私は中学校の現場におりますので、先ほどからお話しになられている教員の負担増ですが、併設型や一体型のところでは、比較的教員同士の乗り入れもしやすいかと思うのですが、実際には、かなりの割合の学校は離れている、物理的に無理であると。本校でもやっているのですが、どの教科を乗り入れることが、小中一貫教育で成果が上がるのかということを併設型なり一体型なりの学校でやっていただいたものを参考にして、例えば、それが先ほど清水委員のおっしゃった国語ということであるならば、国語の教員の加配が欲しい、そのことが成果を生むのだと思います。現実には、2学級・2学級・2学級の中学校の規模の教員は、実技教科に時数の余裕があるので、実技教科の教員は、小学校に行けるのです。しかし、5教科の教員は、既に目一杯の持ち時間を持っておりますので、なかなか行けませんので、本校でも中間テストの期間ですとか、そういう時期に小学校に出向いて出前授業をしております。そのような現実の中で、できるだけ、実践をなさっている併設型の学校の成果が頂きたいのではないかと思います。それともう1つは、加配教員だけではなく、推進体制としては、コーディネータのような教員の必要性がございます。教員ではなく、行政関係の方でも良いかもしれませんが、中心となる方がいらっしゃらないと、なかなか現場任せになっていては一貫教育の推進体制というものが確立しないのではないかと思います。

【小川主査】ありがとうございました。あと、御意見のある方は何人いらっしゃいますか。では、そちらから酒井委員、角野委員。村上委員、最後は天笠委員という順でお願いします。

【酒井委員】できるだけ簡単に申し上げます。今回の発表は、一貫教育の発表であったと思いますが、目的に対して連携体制をどのようにとるかという観点で、進めていかなければならないと思います。その際に、他の先生がおっしゃったように、やはりコーディネータのような役割が必要ではないか。なお、特別支援教育コーディネータなど地域連携も含む別の形のコーディネータも必要となっておりますので、それらと集約していく必要もあるのではないかということが1点です。
 それから2点目は、校内体制になるのかは分かりませんが、やはり指導観や子ども観の共通理解ということで、研修体制として、合同研修ということも必要ではないかと思っております。以上です。

【小川主査】ありがとうございました。角野委員、お願いします。

【角野委員】小学校と中学校が意思一致をしながら、協働体制で小中一貫教育が進められているわけなのですが、元々の発端は、課題解決あるいは目指す子ども像等をやりながら、1つ間違うと、推進体制の課題も呼び起こしてしまっているという現実があるわけです。これは実は、平成14年に免許法が改正された際に、各都道府県で中学校の教員を小学校に兼務発令をかけたり、という形でスタートが始まりました。大阪でもその当時、政令市を外すと、350くらいの中学校があったのですが、そのうち250くらいの中学校の理数の教員、あるいは英語の教員に兼務発令をかけたわけなのですが、この時に、当然基礎自治体の方も大阪府がやっていることだから、ということで支援をしなかった。大阪府も財政難でなかなか支援をしなかったので、中学校の先生方に鞭を打ったという経緯がありまして。ただ、今も鞭を打ち続けて、今でも政令市を抜いて291校分のうち220校で兼務発令が出されています。今日は、高松の先生のお話を聞いて、小学校に教頭2名、中学校に教頭1名を置いているんですね。あの小学校の規模からすると、恐らく複数教頭の形にはならないので、基本定数から1名取ってしまっていると。その後に、色々と後補充しながらやっているわけですが、私が最も気にかかっているのは、財政難でストップがかかってくると、教育の質が変わってしまうのかという、ここのところは、子どもたちに申し訳ないと思います。合わせて、先ほど向山委員の方からもありましたが、時間的な問題、時程の問題、学校総体としての旅費が発生する場合もある。このようなことをクリアしながらギリギリのところでやっている。その時に、自治体もそうでしょうけれども、都道府県行政はどうするのか。文科省も何らかの制度化ができるのならば、今回の概算要求の中では、若干それに活用できるような匂いの部分を、小学校の専科ということも出ておりますから、その辺りを上手く活用するのかなという部分を現在思っておりまして。恒常的な制度にしなければ、困ってしまうと思います。以上です。

【小川主査】では、村上委員よろしくお願いします。

【村上委員】小中一貫教育では、やはり教育課程を中心とした研究を柱にしていくことが必要だと思います。例えば、カリキュラムの編成とか、小中で何を重点的に指導していくのかなどです。これを推進するためには、教員の負担増にならないような工夫をしながら、小中全教職員が関われるような校内体制を創っていくことが大事だと思っています。

【小川主査】では、最後、天笠委員お願いします。

【天笠委員】多くの場合、4・3・2カリキュラムを掲げているわけで、そのようなことが全部出てきているわけですが、それが現実の学校の校舎の配置ですとか、実際の状況等々を見ると、カリキュラムはそうでありながら、運用、あるいは具体的な空間の設計は6・3という矛盾をどのように収束させていくのか、ということは検討開発するべき課題の1つではないかと思います。それから、既に御指摘のように、私も、実状に応じたコーディネータの在り方というものがあるのではないか、その辺の開発を、いろいろと詰めていくことが大切だと思いました。それからもう一つ、何よりも校長の存在というものを、どのようにしていくのかという問題です。3校あった場合に、3校の校長の関係性をどうしていくのか。場合によっては、先ほどもあったように、校長を1人にして、複数の教頭を置くことも1つですし、3校ならば3校なりに校長を置くのならば、その3校の関係の中での校長の相互の関係ということで、恐らく軸になっているのは、中学校の校長である可能性が高いと思いますが、そうすると、これまでの中学校の校長の在り方と、この小中連携の取組における中学校の校長の在り方、周辺の学校との連携を取りながらワークを整えていく、その場合の中学校の校長の在り方というものも、検討課題になるのではないかと思います。以上です。

【小川主査】ありがとうございました。今日は3つの御報告もあって、なかなか意見交換ができませんでしたが、最後、皆様に御意見を頂いた体制の在り方、これは非常に重要な課題の指摘でありました。本来であれば、その課題についてもう少し意見交換できれば良かったのですが、時間が取れませんでしたので、今日、御指摘いただいた課題については、また改めて時間をとって深めるような議論をしていければと思っております。では、5分過ぎてしまいましたが、ここで終わりたいと思います。次回について事務局からお願いします。

【小谷教育制度改革室長】次回でございますが、12月26日月曜日、15時~17時、今回と同じ3階の第1特別会議室で開催したいと思います。年末の慌ただしい時期で恐縮ですが、よろしくお願いします。また改めて御連絡をいたします。

【小川主査】では、次回は12月26日。年の瀬で皆さんお忙しい時期ですが、時間調整の上、御出席いただければと思います。では、今日はこれで終わりたいと思います。今日はありがとうございました。
 

―― 了 ――

 

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