学校段階間の連携・接続等に関する作業部会(第5回) 議事録

1.日時

平成23年5月30日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省16階 特別会議室

3.議題

  1. 中高一貫教育制度に関する主な意見等の整理(案)について
  2. その他

4.議事録

【小川(正)主査】
 では、定刻になりましたので、第5回の学校段階間の連携・接続等に関する作業部会を開催したいと思います。
 この間、東日本大震災等々もありまして、第4回から若干時間が空いてしまいましたけれども、よろしくお願いいたします。
 今日は、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。今日は、委員の中では、向山委員が御欠席という御連絡がありました。
 それでは、まず、本日の配付資料の確認を事務局からお願いします。

【小谷教育制度改革室長】
 本日の配付資料は、議事次第のとおり、資料1・2及び参考資料でございます。不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。

【小川(正)主査】
 よろしいでしょうか。
 では、これから議事に入っていきたいと思います。今日は、御案内のように、これまで第4回まで中高一貫教育制度について議論いただきました。様々なヒアリングをし、なおかつ委員の間で議論していただきました。そうした論議を整理していただいたものが今日お手元にあります意見等の整理(案)となっています。今回を含めて何回ぐらい会議が開けるかわかりませんけれども、今回以降、この意見等の整理(案)をベースにして、これまでの議論を整理して、本作業部会としての意見をまとめていくということにしていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 まず最初に、事務局のほうから、資料1中高一貫教育制度に関する主な意見等の整理(案)について説明していただきたいと思います。その後に論点ごとに皆さんから御意見を伺っていきたいと思います。どうかよろしくお願いします。

【小谷教育制度改革室長】
 それでは、御説明させていただきます。本日、御審議いただきますための資料は、ただ今、主査からお話がございましたように、資料1でございます。こちらを御用意させていただきましたが、これを作成するに至りましては、まず、資料2を作成させていただきました。資料2は、これまでの4回の御審議での、事務局から御紹介いたしました実態調査の結果、委員の皆様方やヒアリングに御出席された先生方の御意見、また、第1回の作業部会で御紹介しました、資料2の表紙の下のほうに書いております「リアル熟議」での御意見を項目ごとに整理したものでございます。その上で同趣旨の御意見をまとめるなどいたしまして、文意が通るように編集して作成しましたのが、本日御審議いただきます資料1でございます。
 資料1は、目次にございますように、総論として、制度導入時の考え方、特色ある教育の展開について、教育課程の特例について、学習意欲などの問題について、あるいは入学者選抜の在り方について、心身発達について、教職員について、そして、その他の論点といった形で、これまでの御審議の順に沿った形で柱立てをさせていただきました。
 それでは、1ページを御覧ください。1ページから、まず総論として、制度導入時の考え方をお示ししております。資料1では、中教審の答申ですとか、これまで御紹介しました実態調査の結果などの資料に該当するようなものは枠囲みでお示しをさせていただきまして、委員の皆様の御意見等を文章に掲げ、そこを丸で示しております。
 3ページ目の18行目から現状について簡単に述べておりまして、3ページ下段以降は、各学校における中高一貫教育導入のねらい、成果、課題を紹介しまして、4ページの41行目から、設置者や設置形態で一定の特徴が見られること、一定の成果が見られる半面、課題があることも概括的に述べさせていただいております。
 そして、5ページの10行目からが2の「特色ある教育の展開について」、記述しております。これは、資料2では2ページから3ページに該当いたします。中高一貫教育校における特色ある教育の展開についてでございますが、これは第2回の作業部会において中心的に御議論いただきました。29行目から、平成9年答申では有意義な教育活動の特色を幾つか例示されており、実態としては、「生徒一人一人の個性・創造性の伸長」を重視する学校が多いほか、「国際化に対応する教育」や「体験活動等を重視する教育」などを行う学校が多く見られること。また、ヒアリング対象校の中で発表のございました、例えば国際バカロレア認定校としての取組など、特色ある教育内容に加えて、高校入試がないことによる意欲的な取組、中学生と高校生が交流することによって、双方にとって刺激になっていること。また、河合委員から何回かに分けて御報告いただきました生徒側への意識調査等も含めまして、個性の伸長など、特色ある教育活動が現状として達成されていると評価できるのではないかということを記述しております。
 一方で、6ページの11行目から記述をさせていただいておりますけれども、今後、特色ある教育を展開していくための方策としては、目指す学校像や生徒像を明確にした上での目標の共有、また、その目標を達成するための教育活動の特色化などについて意見がございましたことですとか、あるいは特色ある取組について、積極的に支援することが重要だといったことを記述させていただいております。
 なお、このように、丸の部分で事実認識に係る部分と改善方策につながる提言に係る部分がございますので、提言に係る部分につきましては、事務局案ではあえてすべて疑問形で記述しております。この後の御審議で特に御意見をいただければと思って、そのような形にあえてさせていただいております。
 19行目からは3の「教育課程の特例の活用状況とその拡充の必要性について」、記述をしております。これは資料2では4ページ目から5ページ目に該当するところでございまして、この点も第2回に御議論いただいた論点でございます。
 7ページを御覧いただきたいと思いますけれども、4行目にございますように、中高一貫校は教育課程の弾力化についての配慮として、学習指導要領の特例が設けられているわけでございますが、実態調査の結果にありましたように、活用事例の大半は高等学校段階のものを中学校段階に移行しているということでございました。次の8ページでは、6行目からまずその点を指摘させていただいております。
 また、机上資料を皆様方にお配りさせていただいておりますけれども、その中の29ページ目から新学習指導要領のスケジュールですとか、それに伴います中学校の標準授業時数がどのように変わるのか、あるいは高等学校の各教科に共通する教科科目や標準単位数がどうなるのかといった形を資料としてつけさせていただいております。このように来年度から中学校、高等学校の学習指導要領が完全実施されるということによって、特に中学校段階では学校が独自に設定できる時間数が縮小されることについて、ヒアリング校から指摘がございました。これについて、10行目から記述しております。
 その上で、改善方策の提言という形で事務局案をお示しさせていただきました。まず、20行目から、高等学校段階については、現在30単位まで認めております学校設定教科・科目についての特例、これは通常の高等学校は20単位まででございますが、こちらの特例を36単位まで拡大することを提案させていただいております。36単位としております意味は、現在高等学校におきましては、留学ですとか、あるいは学校間の連携ですとか、あるいはボランティア活動といった、当該高校以外での活動を単位認定しておりますことを可能としておりますが、それを卒業に必要な単位74単位以上の半分未満ということで、36単位まで認めさせていただいております。それに倣った形で、一案として36単位という形で提案をさせていただきました。
 さらに、26行目からは、中学校段階内においても、各学年、各教科の標準授業時数を確保しつつではございますが、学年間での学習内容の移行や入替えを認めることについて提案させていただきました。これにつきましては、制度改革につながる事項でございますので、特に御意見をいただければと考えております。
 また、34行目からは、連携型についての御指摘を、41行目からは教育課程の特例を活用する際の教科書の使用について記述をさせていただいております。
 続きまして、9ページを御覧ください。「4.学力差やいわゆる『中だるみ』への懸念と学習意欲の向上を図る取組について」ということで、資料2では6ページから8ページに該当いたします。こちらにつきましては、第3回の作業部会において御議論いただきました。9ページの34行目にありますように、中高一貫教育がゆとりある中で特色ある教育活動が展開されてきた一方で、39行目から、「高校入試がない」などの特徴から、現状として、生徒間の学力差や学習意欲の低下、いわゆる「中だるみ」を課題として捉える傾向が強くなっているといった御意見がございましたことを記述しております。
 10ページを御覧ください。この改善方策といたしまして、2行目から、行事を行ったり、課題や試験を課したりするなどの取組が広く行われておりまして、このような方策を記述しております。その一方で、教師側が「中だるみ」と捉える一方、生徒側はそれを肯定的に捉えているという御指摘もございますので、その点は11行目から記述をしております。また、6年間でゆとりある教育という理念と、学力低下という課題との整合性についての御意見もございましたので、15行目から記述しております。
 25行目からは、「5.入学者選抜の在り方と高等学校段階に進む時点での配慮について」、記述しております。資料2は9ページから11ページに該当します。こちらにつきましても、第3回で御議論いただきました。
 11ページを御覧いただきたいと思いますが、19行目には、入学者選抜のうち、まず、公立の中等教育学校と併設型の中学校、つまり、中学入学段階については、受験競争の低年齢化等を招かないように学力検査を行わないとこととされております。現状といたしましては、適性検査や面接、作文など多様な方法で行われておりまして、受験競争の低年齢化等を招かないような工夫が行われているということを記述しております。
 29行目からは、一方で、多くの学校が学力差に苦慮している現状がございましたので、これらに関する改善方策として、第3回の作業部会では、公立でも学力検査を認めるべきではないかとの御意見がありましたので、その点を記述しております。その一方で、それに対する懸念の御意見もございましたので、その点は次の12ページ目の冒頭から記述しております。12ページの11行目からは、そもそも入学者選抜において何を測ろうとするのかといったことが重要な視点ではないかと思いますが、学力検査の是非について、受験競争の低年齢化等の懸念が払拭されるのか。また、そういった懸念を上回るニーズがあるのかといったことを、地域の状況にも考慮しながら見極める必要があるのではないかということを記述させていただきました。
 連携型高等学校への入学段階における入試につきましては、22行目から記載しまして、30行目からは高校段階に進む時点での配慮について、特段の課題は認識されていないということでしたので、そのことを記述しております。
 続きまして、13ページ目を御覧いただきたいと思います。13ページ目から「6.心身発達の差異や人間関係の固定化を踏まえた異年齢集団の活動について」ということで、資料2では12ページに該当しますが、こちらは第4回の作業部会で御議論いただきました。調査結果でも、委員の御意見としても、心身発達の差異があることにより学校運営に困難が生じているとする学校だとか、あるいは生徒の人間関係の固定化を課題とする学校は必ずしも多くないと、そういった御認識でしたので、その点を記述させていただいております。
 14ページ目を御覧ください。7行目から「7.中高間の教職員の配置・交流と教職員の負担への対応について」、記述しております。資料2は13から15ページに該当します。この論点も第4回の作業部会で御議論いただきました。30行目からは、その中高間の教員の交流が、理解の深まり、意識の共有、あるいは生徒の継続的な把握といった観点で成果を上げており、非常に有益な取組である一方で、そのことによって教職員の負担が増していると、これは公立学校が多かったかと思いますが、課題として捉える学校が多いこと、都道府県独自の加配もなかなか難しい状況にあるといった現状を記述しております。
 15ページ目には改善方策を記述しておりますけれども、ヒアリング校から発表がございました校務分掌の一体化やITの活用、あるいは6年間を見通したシラバスの作成といった取組につきまして書かせていただいております。また、御議論の中で、中学、高校双方の人事背景があることから、相互理解が重要なのではないかといった御意見もございますので、6行目以降に記述しております。
 それから16行目からの「6.その他の論点」につきましては、資料2は16ページに書いておりますけれども、作業部会において取り上げた特定の議題ではないものの、これまでの作業部会を通じて御意見の多かった論点を中心に記述してございます。1つには、中高一貫教育に対するニーズが高い現状にあって、それに応えていくために、今後とも積極的に中高一貫教育校が整備されていく必要があるのではないかといったことがございます。また、その一方で、地域の通常の中学校等に与える影響についても御意見がございましたので、こちらも記述をさせていただきました。
 最後の16ページが「まとめ」となりますが、総じて中高一貫教育制度についての理解や認識が深まるとともに、認識されている課題については、適切に改善方策が講じられることによって、今後とも設置が促進され、今後より一層、中等教育の多様化・複線化が深まるということが重要ではないかと考えまして、作業部会としてのまとめの案とさせていただいております。
 以上でございます。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。
 今の御説明のように、この意見等の整理(案)は、まとめを含めると9つの柱からなっております。それと、内容を読んでいただければお分かりのように、調査自体のデータを紹介し、それにかかわる事実認識と、それをめぐる意見を整理したものにとどまっている柱と、もう一方、そうしたものを踏まえながら、見直し案にかかわる提案を書かれている部分があります。特に、私と事務局からの要望としては、今お話があった提言等にかかわる部分については、是非皆さんから積極的な御意見を伺えればと思いますので、よろしくお願いします。
 時間の制約もありますので、一つ一つの柱ごとに意見を伺えればと思います。まず最初に、総論の制度導入時の背景・考え方ということで、5ページまでのところで何か御意見があればどうぞ。ここは事実認識と、それをめぐる意見を整理しているところですので、何かございますか。
 それでは私から1点、5ページの上から3行目から4行目です。「平成9年答申には示されていない論点が課題として挙がっているなどの現状も見られる」とあるんですけれども、教職員の負担増など平成9年度には示されていない論点が課題として挙がっているということで、ここに書いておいたほうがいいのではないかと思います。14ページ以降に、平成9年の答申で示されていない課題として教職員の負担増等々について言及されていますので、最初にそういう問題があるということを具体的に指摘されたほうが、読み手とすれば分かりやすいかなと思いました。
 ほかにどうでしょうか。清水委員、どうぞ。

【清水委員】
 2ページの14行目です。「中高一貫教育の導入に当たっては」というところなんですけれども、基本的には国民の教育を受ける選択権と言いましょうか、自由権に基づいて、様々な教育を受けることができるように国として制度を作っていくということは非常に大事なことだと思いますけれども、しかし、一方で、どのような環境にあろうとも、必ず教育を受ける権利を持つという部分について、前提として書かなくていいのかということを思いました。「選択の幅を広げ」ということで、全部これで読めるのかどうかわからないんですが、すべての子どもたちが教育を受ける権利を持っていて、その上で選択することができるという、そういう意味合いなのだろうと思うんが、ちょっと公立の立場が見づらいかなと思います。

【小川(正)主査】
 ここの枠囲みの部分は、平成9年の中教審の答申の要約を紹介している部分ですので、今、清水委員がおっしゃった趣旨を、この意見等の整理(案)の中に入れ込むのであれば、この枠囲み以外の意見整理のところで今の趣旨が伝わるような文章を考えていただくということではいかがでしょうか。よろしいですか。
 ほかにどうでしょうか。上野委員、どうぞ。

【上野委員】
 多分、ささいなことだと思うんですけれども、3ページの25行目、この資料1でできるだけ全体が分かったほうがよいという観点からすると、「402校を数えるまでになっている」という、この数字ですが、全体が書かれていないので、この402校という数字の重要性と言うか、意味合いが少し分かりにくくなっていると思いました。全体の数字が出ておりませんので、例えば高等学校が何校あって、その中で中高一貫教育校は現在402校という数字が分かれば、より分かりやすいかなという気がいたします。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。河合委員。

【河合委員】
 今の御意見は、私も気になっていて、当初の目標は1通学区に1校ということで、全国に500校という、その伸び方の評価を私ども毎年見ていたわけですけれども、当初はあまり伸びなかったのですが、伸びた後も、やはり今日に至っても402校であるということは、ある意味では定着を阻害するというか、定着がうまくいかない何かの要因があるのではないかとも思います。ですので、当初、1高等学校区に1校で500校としていたけれども、今日に至っても402校であるという、そのことは、ある意味で評価的なものも含んで、この報告書を出すときの意味にもなるのかと思いますので、その点は、当初の予定というか、目標も含めてお示しいただければと思います。

【小川(正)主査】
 河合委員、どういうニュアンスで書いたらよろしいでしょうか。

【河合委員】
 私は個人的にはもっと伸びていくのじゃないかと思っていました。ある意味では公立の復権などということが叫ばれるようになってきて、東京や神奈川や京都のような形で即効的な効果に注意が向いたときに、一気に爆発的に増えるのではないかと思ったわけですけれども、なかなか伸びていかない、それは制度的なものもあると思うのですね。教員の配置の問題などですね。ですので、書きぶりとしては、伸びなかったということについては、我々が想定しているものと違う、ここでは見えなかったものがあったのかもしれないというようなことではないかと、この報告書を読ませていただいたときには感じました。

【小川(正)主査】
 大体そういうことですね。最後の9の「まとめ」のところでは、中高一貫教育校の設置が促進されという、期待するというふうなことも書かれているので、おそらく思いは、そういう趣旨だと思いますが。どういうトーンで402校というのを評価的な意味を込めて書き込むかというのは、なかなか微妙なところがありますが、ただ402校という事実だけではなくて、それに関する何らかの評価的な意味をもう少し込めて文章を書いたほうがいいのではないかというのが、お2人からの御意見の趣旨だと思います。ここの部分につきまして、事務局のほうよろしいですか。
 青木委員。

【青木委員】
 今の数字のところは、文章的には表のような形で、各教育委員会ごとに、このぐらいずつアップしているというような表で表すということは難しいのでしょうか。

【小川(正)主査】
 これは添付資料などで表というかグラフは作りますよね。

【小谷教育制度改革室長】
 それは作らせていただきます。

【小川(正)主査】
 ここの文章の過程の中に入れ込んだほうがいいか、それとも添付資料で最後につけたほうがいいか、ということではどうでしょうか。

【青木委員】
 添付でプチマークでとかいう。

【小川(正)主査】
 そういう工夫はされるんですよね。

【小谷教育制度改革室長】
 そういった工夫は、ある程度文章のほうを御精査いただきましたら、させていただきたいと思います。

【小川(正)主査】
 ほかにどうでしょうか。大体、402校をどう現時点で見るかということについては、上野委員と河合委員の御意見のような評価のスタンスでよろしいかなと思うんですが、そういう趣旨が伝わるように文章を工夫していただければと思います。ほかにどうでしょうか。
 なければ、一度最後までやって、もう一度全体について御意見を伺いますので、後のほうで皆さんの御意見を伺わなければならない箇所が数カ所ありますので、そちらのほうに時間をとりたいと思いますので、1のところはとりあえず今の時点で終わらせていただいて、今度は2です。5ページから6ページの16行ぐらいまでのところですが、いかがでしょうか。ここでは特に、終わりのほうの支援策というところで、2つの提案というのを具体的に必要ではないかということが言及されていますので、そういうところも含めて少し御意見をいただければと思います。どうでしょうか。

【上野委員】
 書き込んでくださいという意味ではありませんけれども、実は非常に気になっていることがあります。「支援していく必要があるのではないか」というのは非常に大事なことで、それはそのとおりですが、その支援の中に、こういうことに携わる教員を養成することに対する支援というのが非常に大事だろうと思いますので、そういうキーワードが書かれていていいのではないかという気はいたします。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。たしか4回までの議論の中でもそういう御意見があったような気がします。
 次に、3の柱で、ここはいろいろ出てきています。6ページから9ページの1行目です。ここは幾つか、見直しや提言にかかわる内容も含まれていますので、御意見を伺えればと思います。特に提言というか、見直しの案とすれば、8ページの20行から以下ですね。
 清水委員、どうぞ。

【清水委員】
 私立学校に長いこと勤めておりますので、その立場からちょっと申し上げます。私立学校では相当昔からいわゆる中高一貫教育をやってまいりました。その成果は、私は中高一貫教育をもっと推進すべきだという立場ですので、大変いいものだと思っておりますが、このように制度が変わってきて、中高一貫を公立でもやるようになってきた。その際に、こういう特例措置を設けることによって、少し中高の間で科目の移動なり、先取りなり、あるいは入替えなり、そういうことができますよと。それにはちゃんと学則変更を届けなさいということになっているんです。私立学校、例えばうちの学校などは届けを出していないので、それをやらないと未履修になってしまうんですね。何か違和感があるんです。自分たち、私学で結構やってきたことを、いいことは取り入れるべきですからやっていいんですが、そっちで制度を作っておいて、今までやっていた者はこっちへ合わせろというのは大変違和感があるんですが。

【小川(正)主査】
 どういう書き方をされればいいですかね。今の御意見については。

【清水委員】
 書き方というより、こういう制度の作り方自体に違和感があると思っているので、意見にはならないかもしれません。反映しなくてもいいんですが、どうしてもこれは申し上げておきたいと思ったものですから申し上げました。

【小川(正)主査】
 事務局のほう、どうですか。

【小谷教育制度改革室長】
 制度的には、学習指導要領自体は、国公私を問わず、これを遵守して教育を行っていただくというのは、従来からずっとやってきたことでございまして、この中高一貫教育校という制度ができましたので、学習指導要領を超える教育課程の特例というものをきちんと制度的に位置付けて、それに中高一貫教育校として、公立学校であれば設置していただければ、私立学校であれば学則にそれを明記していただければ、ここまでは学習指導要領を超えて教育を行っていただけますという特例を設けたわけでございます。
 ですから、私立学校のほうが既に従来から実質的に中高一貫にお取り組みになっていて成果を上げられていたというのは、そのとおりだと思いますし、ただ、そのとおりではあるんですが、私どもの理解としては、それも学習指導要領の範囲内で行っていただいていたという理解でおりますので、制度としてはこういった制度が作られたという形になっております。今は、中高一貫教育校でない場合であっても、教育課程特例校制度というのが構造改革特区の中から生まれましたので、個別の学校の御事情で特色ある教育をするために学習指導要領を超えた教育課程、これは文部科学省に申請していただいてという形になりますが、やれるというような、全体の制度としてはそうなっております。

【小川(正)主査】
 清水委員、どうでしょうか。今の制度をベースとした書き方としては、ぎりぎりこういう書き方では。

【清水委員】
 すみません、もう時間をとらないで結構なんですが、その制度はよく分かっているんです。それでたくさんの書類を出さないと認められないということもよく分かっています。でも、何となく違和感があるので、お伝えしたかっただけです。

【小川(正)主査】
 ありがとうございます。ほかにどうでしょうか。
 僕のほうからちょっといいですか。ここで書き込むということではないんですが、おそらく最後のまとめのところで、その趣旨を少し書いたほうがいいのかなということを少し感じたことで、ちょっとお話ししたいんですが、これ全体を読んでみて、中高一貫教育と言っても、私立と国立の中等教育学校と公立の併設型の中高一貫教育校と、公立の連携型の中高一貫教育校とでは、同列で論じられないなということを、前から薄々感じていたんですけれども、今回この整理をもう一度読み直してみて、改めてそれを感じました。特に、この3のところの教育課程の特例の活用状況というのは、これはほとんど国立と公立の中等教育学校、併設型の話であって、公立の連携型については、現行制度の中学、高校のかなりリジッドな制度をベースにして、なかなか特例がほとんど認められていないということですので、34行目以下のように、連携型においても特例をもう少し柔軟にできないものかと考えられるけれども、しかし、連携型はこういう事情で難しいのではないかというような指摘にとどまっていますよね。
 今の状況からすれば、致し方ないと思いますけれども、やはり私立と国立、公立の中等教育学校、併設型の中高一貫教育校と公立の連携型の中高一貫教育校というのは、そういう意味ではちょっと同列に扱えないし、実際全部読んでみると、ほとんどが前者の話であって、後者の公立の連携型の中高一貫についてはほとんど言及されていないというような印象を持ちました。確かになかなか今の制度の下では難しい面があるんですけれども、実際、僕も公立の連携型の中高一貫教育校のいろいろな取組を見ていますが、やっぱり一番大きな問題、様々な問題を抱えているのは、前者よりも後者の公立の連携型の中高一貫教育校であって、公立の連携型の中高一貫教育校に意欲と取組をサポートできる仕組みというのをもう少し考えられていいんじゃないかと思っています。
 例えば、ある実践事例を読んだら、長崎県の離島では、子どもの数が減ってくる中で、小中高の3つの段階を一体にして、全体として取り組んでいるという実践があって、それは今の制度をベースとしながらも、例えば連携している中学3年生については、高校入学前に高校のほうから課題レポートを課して、数か月間かけて課題レポートを書いて、そうしたものをベースにして高校に入学するとか、中学校時代の家庭学習の記録をきちんと作らせて、高校に入るときの面接等々でそれを確認しながらやっていくとか、そういう現行制度の限りある中でも、いろいろと工夫してやられているところがあるんですね。
 ですから、地域によっては、確かに入試というものがあって、公立の連携型の中高一貫というのはいろいろな意味で難しいところがありますけれども、地域によっては、実質的に地元の中学生がほとんど地元の高校に行くというような地域もありますので、そういう公立の連携型の中高一貫教育校では、相互入替えなどはもう少し認めていいのかなという思いがあります。ですからここでは、8ページの下のほうで「連携型における特例についても、もっと柔軟なものにできないかとも考えられる」と言いつつ、「しかしながら」ということで、連携型では現行の中学校の枠と高校の枠ということで、それは難しいというようなことで、ある意味では否定されていますが、これは今の時点で結論を出すのは難しいので、今後の検討課題みたいなところで少し検討するという、少し前向きな書き方にしていただければと思います。
 古川委員、どうぞ。

【古川委員】
 今の御意見に付け足しになるかと思いますが、連携型について、もう少し今の御意見と同じように書けないかなと思いました。それは先ほど言われましたように、これまでの議論の中では話をしてきたわけですが、どうしても都市部の中等教育学校、ないし併設型の話が中心で、私たちの中でも十分連携型については議論ができなかったのではないかなと思います。連携型の場合でも、入試をしないというような話の脈絡で、地元の山間部の高校へ連携という形で行くと、テストはないんやと、あの学校はテストない学校やで、だれでも入れる学校やでというようなことが、地域の中でランク付けみたいなことが言われて、結局、陸続きの山間部では都市部のほうへ出かけていく。離島の場合は、ある程度中で小中高で完成していくというところであるけれども、特に山間部の場合は難しい形になっているのではないかなと思います。僕も、そこのところはどうしたらいいのかというのはちょっと分かりかねますが、その辺の柔軟化というか、もっと支援の在り方というか。特に連携型の場合は、地域がぎりぎりのところでやっている。そういう意味では、今先生が言われましたけれども、それ以外にも地域の方々挙げてやっている、PTA挙げてやっている、地域ぐるみでやっている。その辺のところも何かうまく、行政委員会のサポートとか、地域の保護者のサポートとか、そういったことで何か書き込んでいけないかなということをちょっと思いました。

【小川(正)主査】
 ありがとうございます。なかなか書きぶりは難しいと思いますけれども、いろいろなお知恵を借りながらやりたいと思います。
 河合委員、どうぞ。

【河合委員】
 どういうふうに書くかという書きぶりの問題もさることながら、どの点について支援をするかという、その部分について、今までの議論の中では制度的なことが中心だったので、連携型については、どれだけ自由の裁量範囲があるのかとか、どうしてもそういう議論にならざるを得ないわけですけれども、連携型が一番伸びない理由は、物理的な問題です。例えばひどい場合に数十キロ離れたところで連携しています。教員が、例えば川沿いの道を移動して、高等学校の先生が中学校へ行くというようなことをしていて、非常に厳しい状況だと思うわけです。実際の物理的な環境の部分とか、例えば、中等教育学校と併設型と連携型を考えたときに、連携型の平均的な距離はこれぐらいであるというようなことを情報として載せるということは可能かなと思います。先ほどの目標ですが、1通学区に1つというところでも、中身を、実は併設型と中等教育学校と連携型てはどこが一番伸びているか、いつごろからそれが伸びているかというのは一目瞭然で、グラフは既に文科省のほうでお持ちで、私たちも一番最初のころ見せていただいたと思います。では、なぜ連携型がうまく伸びないのかということになると、教員を支えるような体制ができていない。だから地域で一生懸命やっているけれども、教員が疲弊していると、そういうふうに思います。ただ、その部分については、これまで一切議論はされてきていませんので、データとして、それをこの中に盛り込んでいただければ読み取ることはできるかと思いますので、書きぶりもそうですけれども、客観的なデータでここにお示しいただくというのは1つの手かと思います。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。河合委員の御指摘、もっともだと思いますので、そのようにしたいと思います。
 では、次に4のところです。「学力差やいわゆる『中だるみ』への懸念と学習意欲の向上を図る取組について」、9ページから10ページの中ごろまでのところではいかがでしょうか。ここは見直し等々の提言の部分というよりも、調査データに基づいた事実の認識、それをめぐる意見というようなことが中心ですけれども、内容等々について何か御意見があれば、どうでしょうか。「中だるみ」の評価がいろいろあったところですが、どうでしょうか。清水委員、どうぞ。

【清水委員】
 前回初めて参加させていただいたときに、最後にちらっと申し上げたんですが、「中だるみ」はそんなに悪いことかということを、もう少し真剣に考えたほうがいいと思っています。本校でも、実は、ちょっと歴史を話さなきゃいけないんですけれども、ずっと中高一貫をやってきたんですが、例の昭和22年生まれのベビーブームの際に、高校で大量の生徒たちを抱えなければなりませんでした。これは私立学校すべてそうです。その後始末みたいなものが80年代に始まったわけですけれども、高校のほうがすごく多くなってしまって、中学校がその分少なくなっていった。それを元の形に戻すためには、いわゆる寸胴型に少しずつ持っていかなければいけなかった。その次に、自分の学校の先生方ですら「中だるみ」を心配しました。それから、変な言い方ですけれども、新しい血を入れなきゃいけないんじゃないか、そういう意見もありました。しかし、よく考えてみますと、それはある程度のパイの大きさのある学校であれば、全くそういう心配は、結果的にはありませんでした。
 私たちもそうですけれども、人が成長していくのに右肩上がりで直線的に人生を生き抜いていくなんていうことはあり得ないわけで、一番最初に思春期の不安定さを保つところに私たちの抱える生徒たちがいるわけです。人は二度生まれるとルソーが言いましたけれども、その二度目の生まれを私たちは付き合っているんだと考えますと、みんな1回哲学者になりますので、そのときにいわゆるアカデミックな部分が多少落ちても、人はなぜ生きるかとか、人は何で自殺してはいけないのかとか、社会はどうなっているのかということに、教科の枠を離れて、様々な角度から初めて真剣に向き合うんですね。これを「中だるみ」というのかなと僕は思うんです。これを通って、本当に自分の母親、父親の価値観から自分の価値観に行くのに中高の時代が存在していて、そして私はもっと学ぼうと言って大学に進学するという、本来の形をもう一度きちんと考えるべきだと思うし、そのためには、私は、6・3・3・4制を崩さないんだったら、中高一貫教育校を是非やるべき、もっとやるべきだと思います。その辺がずっと書かれていて、もっと強く書いてもいいかなと思うくらいで、でもかなり評価されているので、全体としてはいいと思いますが、現場はもっと中高一貫教育の良さというものを認識するための検証をすべきだと思います。もう1つは、そういう不安定な子どもたちをどう捉えるかということは、青年心理学とか、そういう人たちの学問的裏付けを作って配付してもいいんじゃないかと思います。対症療法としてのカウンセラーはいっぱいいるんですが、そういう思春期の発達のことについて、きちんといろいろなところで講演されている人は少ないように思うんですね。こういうことで、現場の先生方もやはり中高一貫をやろうというふうに思うような仕組み作りをもっとすべきだというふうに思っています。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。上野委員、どうぞ。

【上野委員】
 私も今の清水先生の御意見に非常に賛成で、後で申し上げようと思っていたんですが、結局、生徒はいろいろな問題に面して成長していくんだろうと思います。この6年間というのは、必ずそれを通る時期に当たっているので、おそらくそういうことに面した生徒さんが「中だるみ」のように見えてしまうんだろうと思います。なぜ「中だるみ」に見えるかは、その次のページで書いてあることに関連しますが、要は、学校運営の方針に関係していると思うんです。ずっと読んで、清水先生と同じ意見が出てまいりました。
 要するに先生方から見て、運営側から見て、教育上やりやすい、望ましいと思われるような観点から教育を評価し過ぎていないだろうかというふうに思いました。そうすると、そこで生徒さんの「中だるみ」、いい言葉で言えば、青春としての初めての葛藤ということですよね。それに落ち込んでいる生徒さんは「中だるみ」のように見えてしまう可能性がある。補足が必要のように思います。実はこの資料1の中には、学習意欲というものの意味合いとか、学力の意味合いを問うところがちゃんと書かれているんですね。その中にすべてが含まれていると思うんですけれども、本当の問題点は、今の時代ですから、少しクリアにどこかへ入れておいたほうがいいんじゃなかろうかと思っておりました。それはおそらくこの部分なのではなかろうか、この部分のどこかという意味ですね、というふうに思っておりました。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。ほかにどうでしょうか。
 では、「5.入学者選抜の在り方と高等学校段階に進む時点での配慮について」ということで、10ページ、11ページ、12ページまでの内容です。これもこれまでの4回にわたる議論の中では様々な御意見が出たところですので、御自由に御意見を伺わせていただければと思います。
 小川委員、どうぞ。

【小川(暢)委員】 
 私も中高一貫の成果を非常に評価しているので、是非いろいろと進めたいと思うんですが、12ページの12行目に「学力検査の是非については、地域の状況にも考慮しつつ」と書いてあるんですが、これから申し上げるような実情を考えたときに、もう少し「地域の状況」という単純な表現ではなくて、その地域の環境とか、地域によっても内容によって大きく考えが違うのではないかという、少し補強をしたいという意見です。
 私は千葉で私立中高一貫をやっているところなんですが、千葉の私立の実情を見ますと、中学との一貫校は24校なんですけれども、高校は54校ありまして、今年の春の実態を見ますと、そのうちの約65%、35校が定員未達になっているわけです。私立としては常に、自分たちが今まで磨いてきた私立としての付加価値をもっと磨くべき、学校改革も積極的にやるべきだということを常々みんなで言っているわけですけれども、取り巻く環境から言うと、特に千葉県の郡部ですね、ここは非常に少子化が進んでおり、生徒の数も影響を受けていまして、実際それまでやってきた私学のステータスというものが大きく影響を受けることになります。必然的に、この部分の直接的なことではないんですけれども、環境が変わることによって、今まではそれなりの努力によってそういうものをこなしていたと思うんですが、高校の無償化とか、少子化とか、ここに来てこういう中高一貫をやると、高校だけの学校が54校あって、その高校が一貫校に対してどう対応するかということになると、経営としての努力もあるんですけれども、なかなか大きく経営の形態を変えざるを得ないということになるので、それほどの能力が今ないというのが実情。
 しかも、実際は、千葉の場合にはトップ進学校が中学をやっていますので、実態としては、こういう入学検査については、そのとおりやられていると思うんですが、高校の進学についての予備校などが対象とする一貫校についても偏差値みたいなものをちゃんと表示して、それがどんどん上がっていくということになると、必然的にこの進学に対するあれを抑えたいにもかかわらず、エリート校化するというような動きになってしまうという実情があるので、今申し上げたことは千葉というケースの、しかも特殊なケースですけれども、世の中の環境が大分変わっているので、そういうものを考慮しつつ、慎重に進めていただきたいというのをどこかで言いたいというのが私の意見です。
 もちろん、今までの、6ページにあるような目指す学校像の補強をするとか、支援とかいうものについて、私立といえども努力をするということはやぶさかではないし、むしろ積極的にやらなければ生き残れない。さらに、地域によって収容能力が公立ではとても足りないので、私立に収容力を高めてほしいという要請も千葉では起こったりしています。ですから、実態としては、とても10年間の間、国公立では校舎増築は対応し切れないので、現在の私立で収容能力を大きく増やしてくれということになると、今説明している学校の経営からいくと、全く反対のことをその地域ではやらなければいけないということになるので、ちょっと簡単ではないということを申し上げたいということなんです。この項目だけでゃなくていいと思いますが、私立の置かれる状況という環境変化を捉えるということをどこかで述べていただきたいという意見です。

【小川(正)主査】 
 ありがとうございます。ほかにどうでしょうか。
 直原委員、この問題についてはどうでしょうか。

【直原委員】
 私は、地方教育行政をやっているわけですが、公立の中高一貫教育校では学力検査をしてはいけないというのが議論された平成9年当時と、それから十二、三年ぐらいたった現在では、教育に対する論点が随分変わってきたなと感じています。もちろん一番大きい問題は、学力低下論に対してどうするのか、学力をどうしていくのかということでありますし、それからこの二、三年で言えば、今の若い人たちは、これは高校生だけに限りませんけれども、非常に内向き志向が強まっていて、日本全体として、次の世代を担う人間を、人材育成をどうしていくのかというのが非常に大きな、私ども行政を取り巻く環境としてあると思うんです。その間、「ゆとり」という言葉の使い方も随分変わってきたと思うんですが、この中高一貫教育に対する期待というのも随分強まってきているのかなと思います。
 前々回のこの会議で申し上げましたけれども、東京都では、ここにもありますが、思考力、表現力、判断力、こういったいわゆるPISA型の学力、またその力のある生徒を受け入れて、それを更に伸ばしていくということが基本だと考えていますが、やっていくと、そういう思考力、表現力、判断力というものと教科ごとの学力、いわゆる基礎学力というのでしょうか、というのは切っても切り離せない関係があります。基礎学力を問わないで入学した生徒の中には、残念ながらその部分が非常に弱い生徒がいて、せっかく思考力、表現力などを更に伸ばそうという教育をしても、残念ながらそこについていけない、受け入れられないという、そういう生徒も少なからずいるわけでして、それは学校にとっても、学校の運営というだけではなくて、その本人にとっても、中高一貫教育校に行ったのが本当に幸せだったのかどうかという問題もあるわけです。そういう意味で、私はやはり、繰り返しになりますけれども、ここで「そういう意見もあった」という表記になっていますが、もとより以前の詰め込み型にしては全くいけないわけで、どうやってこれからの日本を背負っていく、まさに思考力、表現力、判断力のすぐれた人間を育成していくかという観点に立っても、入学検査で最低限の基礎学力というものは問うたほうがいいし、それを問うことによって中高一貫教育の目的が達成できるのではないかと考えています。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。今、お2人から御意見を伺いましたけれども、この作業部会としても、12ページの11行のところでも、「入学者選抜における学力検査の是非については」ということで1、2という、その辺のところを見極める必要があるのではないかという書き方になっているんですが、この部分について、今のお2人の意見を踏まえつつ、ほかの委員の方からも御意見を伺いたいんですが、どうでしょうか。
 井上委員、どうぞ。

【井上委員】
 途中から議論に参加しまして、あまり明確な意見を言えないところもあるのですが、まさに受験競争を早い段階からやらせるのではないかと、あるいは受験エリート校化を助長するのではないかという懸念については、経済界としては、これからの日本の社会を展望し、少子化がもし進むなかで、経済力も落ちている状況では、何としてもリーダー格の人間を育てていきたいということがあります。そうなりますと、ある一定のハードルを越えた上で上がってきた者の中から、様々な経験をした者がモチベーションを高めさせて、受験だけを目標にするということではない、多様な複線型の目標を設定させるという前提があれば、全く問題はないのではないかと思っております。
 経団連では、UWC(ユナイテッド・ワールド・カレッジ)というインターナショナル・バカロレアを取ることを目標に2年間、海外のカレッジで勉強する高校2年からのコースの奨学金の選考をしております。そこでは優秀な、中高一貫の私立に通っている者が受けに来るのですが、彼ら、彼女らは、ただ単にいい大学に行きたいというだけではない、非常に高い目標を持って高校1年の終わりの段階で受けてまいります。もちろん、成績だけではなくて、試験では面接、英語、日本語、あるいはグループディスカッションなども行うわけですけれども、そこで意識の違いというのは明確に分かります。先ほども「中だるみ」のところでちょっと議論があったように、ちょうど自分の考え方がだんだん変わっていく時期でもありますので、頭の中が混乱しているというような者も見られるわけです。12歳、13歳のところで学力検査をしても、その後の様々な対人関係、交遊関係、あるいは勉強以外の経験の中で、受験一本やりでいい大学に入るというだけではないかたちが6年間の中で出てくる。6年間をうまく使いたいという考え方を持つ者も増えてくる、あるいは父兄もそう考えるようになるとすれば、多様な経験をさせるプログラムさえできていれば、全く問題ないのではないかと思います。
 問題があるとすれば、これは今の私立の中にもあるのかもしれません。まさに受験だけで勝負しているというところもないわけではないということです。そういうところの出身者をどういう形で取り扱っていくかというのは社会的に難しい問題ですが、いい大学に入ったからといって社会で成功するわけではないということは明確でありますので、そういう意味では、まさに6年間でどういうプログラム、カリキュラムを作っていくのか、どういうことを学ばせるのか、経験させるのかということが重要であって、12歳の段階で選抜をしたとしても、それは決して受験エリート校化、受験競争の低年齢化にはつながらないのではないかと、私自身はそう思っています。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。清水委員、どうぞ。

【清水委員】
 直原さんのお気持ちは大変よく分かりまして、それでもある程度の基礎学力は欲しいとおっしゃっているんですね。私は、ちょっと守備範囲が広がってしまうかもしれないんですが、学校間接続というのを大枠で捉えれば、小学校と中学校をどう結ぶかの問題に、議論がそこに来ていると思うんです。全体として、学習指導要領は、総体では何々単位を修得することとか言っているけれども、基本的には履修主義ですよね。修得主義じゃないですよね。ここに僕は大きな問題があると思うんです。だって未履修問題と言いますが、未修得問題と言わないじゃないですか。だから、履修しているかどうかを問うているので、分かっているかどうかは問うていないんです。そのままずっと上げてきちゃっているんですね。小学校でもその問題があって、新しい学習指導要領になる、このチャンスを使って、例えば、集団準拠型ではなくて項目型試験をやって、ここまでちゃんと分かっていれば、みんなどこの中高一貫教育校を受けられる、というのにしたらいいじゃないですか。いつでも受けられる試験にして。基本的なところをきちっと捉えて、ここはクリアしている子だというのが分かりさえすればいいんじゃないかと私は思います。
 この6年間の伸びというのはとんでもない伸びですので、私立は試験をやっているからいいなと思うかもしれませんが、中学校の試験でトップで入った子が最後までトップだったら、それはエスカレーターですよ。そんなことはあり得ないです。うんと下で入ってきた子が、6年後にはとんでもなく大変身をするのが教育のだいご味ですから、特に公立で中高一貫教育校をやる場合には、今言った最低線のところは、私も本当にそうだな、こういう課題を与えるべきだなと思っていますけれど、せめてそれぐらいにして、適性検査もより良い問題を作って、そこをクリアしたら採るぐらいの緩やかな制約ぐらいで十分やれるんじゃないかなと思っています。

【小川(正)主査】
 今、4名の方からそれぞれの立場の御意見があったかと思います。今、清水委員がおっしゃったように、この接続の話にいくと、これは小中の接続の問題とか、中高一貫の話というのは、おそらく学校制度全体をどうするかという、履修、年齢主義でやるか、修得、課程主義でやるかというような、そういう問題も含めて、教育制度全体でどう考えるかという話に広がっていくようなテーマですので、それはまた中教審の別のところで本格的にやっていただきたいと僕は思っているんですが、残念ながら、この作業部会は中高、小中の接続のところ、ある意味制度の維持のところを考えるというような役割を任されているところですので、そうした大きな問題の広がりを持つテーマであることは事実ですが、一応それを押さえながら中高の接続、テストの話を含めて少し整理していきたいと思っています。

【前川総括審議官】
 今の入学者選抜のところは、本音でバトルしてほしいところなんですよね。かなり本音をいただきましたけれども、まだでも6割ぐらいじゃないですか。このまとめの整理のペーパーには、思考力、判断力、表現力や探究心、これは学力でないかのように書いてありますけれども、これは学力ですよね。PISA型の学力とおっしゃっているぐらい。それを見るのであれば、それは学力検査ではないか。つまり、ずっとごまかし、ごまかしやってきているわけです。ですから、これは本音でやってもらったほうがいいと思っています、我々は。私はそう思っています。
 要するに学力検査を行わないという学教法施行規則の条文があるわけですけれども、これを取っ払って正面から学力検査をやる、公立の中高一貫でもやるんだというふうにしたほうがいいのか。それとも、これを文字どおり考えるならば、完全に抽選のようなもので入学者選抜をするのであって、思考力や判断力や表現力も問わないという形にするのか。そういう選択肢を迫られているのではないか。ずっとこういう中途半端なごまかしの中ではもう限界が来ているのではないかという認識なんです、私はね。
 もともと国立大学の附属学校というのは、入学者選抜を学力検査でやってきましたけれど、しかし、そこに抽選を取り入れたり、取り入れないところもありますけれども、そういう形で何らかの、いわば妥協策を講じてきたところもあるわけなんです。しかし、ここは学力検査を行わないと言いながら、基礎学力を問うものは学力検査だけれども、PISA型学力を問うものは学力検査ではなくて適性検査であるという説明は、もうちょっと無理じゃないかなと思います。
 昔から私立中高連からは、大分前からおかしいじゃないかと言われているわけです。学力検査を行わないと言うんだったら、行わないようにちゃんと公立を指導しろと文部科学省は迫られてきていて、一方で、実際に中高一貫の学校を設置しておられる都道府県の教育委員会などは、そんなわけにいかないと。何らかの形で思考力、判断力、表現力、探究心というようなものを見るんだと。これを学力検査と言わずして何だという実態があるわけですから、これこそ本当の学力じゃないかと。だったら、それは本当の学力を見る学力検査をするんだと正面から言ったほうがいいということで、私はここは本音をぶつけ合っていただかないといかんのではないかと思います。ここで何となくごまかすと、またこのまま中途半端でずっと行くんです。適性検査というのは何だという、分からないまま行ってしまいます。ですから、私はここは本音をもっとぶつけてもらったほうがいいと思います。

【小川(正)主査】
 総括審議官がそういう御意見ですので、では、少しここは腰を据えてやります。

【古川委員】
 今、前川審議官が言われまして、何かそれに乗るような感じですが、私も先ほどから、広島の郡部の話で試験なしでだれでもあの学校に入れるよということで、かえって地域の中で評判が悪くなってしまっているという、そういう話をしました。僕も学校現場に10年ほどおりまして、学力テストとか、学力とか能力ということが非常にタブーな時代をずっと経験してきました。今は、学力、あるいは学力テストという言葉が別に学校現場でタブーではない。能力と言っても、むしろ積極的に広い意味の学力を育てていこうではないかというような、そういう市民権というか、当たり前になった。それがこの10年間の意味であったのではないかと思うんですね。
 したがって、私たちが学力と言う場合は、学力が高いのか低いのか、どんな学力なんや。あるいは格差があるのかないのか。あるいは学力の意欲はどうなんや。4つぐらいを学力というふうに我々は意味付けをしているわけですが、大体どの場合も、学力と言った場合には、測定学力、高いか低いかということになりますが、先ほど審議官がおっしゃいましたように、私たちは中学校でこんなことを勉強した。あんなことをやりたい。だから行きたい。これは明確に意欲ですし、学力の重要な一部でありますし、これは国際的にまさに今回のOECDの学力の中ではっきり位置付いているわけですから、そういう意味では、学力テストという言葉の表現の意味合いは別にして、一定の意欲も含めて入学に当たっての学力のテストといいますか、学力の選考は書き込んでもいいのではないかと、そんなふうに私は思っています。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。井上委員、どうぞ。

【井上委員】
 ちょっと先ほど奥歯に物が挟まったような言い方をしてしまったんですが、先ほどUWCの例を出しましたけれども、私どもはそこで選考の試験をしているわけですが、それはどういう方を派遣したいかという意思が働いているわけです。要するに2年間海外に行って、しかも世界で何十か国もの同じ世代の人間と付き合っていかなきゃいけないと。自己主張の強い子だけでもだめですし、あるいは引っ込み思案でもだめだし、ただ成績がいいだけでもだめだし、英語ができるだけでもだめだということで、非常に総合的に、OB、OGも交えながら試験をやっているわけですが、それと同じようなことが12歳の段階で多分あってもいいのではないかというのが私の基本的な考え方で、それはどういうことかというと、これからは多様性というのが非常に大きなキーワードになると思うんですが、学校ごとの特色というか、多様性というものをできれば試験に反映していただければなと。もちろん、基本的な学力、私専門家でございませんので、学力の定義というのがよく分からないんですが、少なくともこんな生徒さんであれば、この学校に来るとこういう形で伸ばしてあげることができるということを明確に示す、これは情報公開だと思うんです。単に、12ページの十二、三行目ぐらいのところに書いてある受験エリート校化とか、受験競争のためというのではなくて、こういうティーンエイジを、時代を過ごしたいということであれば、うちに来なさいと。そういう明確な意思表示として、多分学力検査の在り方というのが出てくるんじゃないかと思います。当然ながら、それは面接なんかも入ってきましょうし、いろいろなものも加味しながらやられたり、それをなぜやらないのかなと、非常にシンプルな疑問を持っています。

【小川(正)主査】
 今、学力検査を含めたそういう選抜方法の見直しの御意見が幾つかあって、基本的には、その学校の人材育成の像ですよね、アドミッションポリシーがきちんと明確にされていれば、それにふさわしい選抜方法が当然あっていいし、その中にそういう人材育成の像にふさわしい選抜の仕方として、そうした学力的なものも含める必要があるのであれば、そうしたことはやっていいんじゃないかという御意見でした。これは重要なテーマですので、この件についてはそれぞれの委員のお考えもあるかと思いますので、全員の御意見を伺いたいと思います。

【青木委員】
 それでは、保護者の立場から、都立高校のことしか私は分かりませんが、中高一貫教育校の集まりのほうに出ておりますと、やはり入試選抜といいましょうか、中高一貫教育校の適性検査も小学校の国語、算数、理科、社会が分かっていないと解けないような問題が出ていると思いますので、やはりこれは適性検査と言いながらも、きちんと基礎学力を審査しているような問題だなと私は感じていました。
 それと、開設したばかりの新設校ですと、地域で試験がないので入れるわよと言って、周りの小学校のお母さんたちが子どもたちをその学校に行かせたいということで受けてしまうということが何年かはあると思います。けれども、ある程度開設から何年かたって、そこの学校の学力ですとか、そういうものが定着してくると、きちんとその学校の個性が出てくるので、ある程度自分が本当にこの学校に入りたいという子どもたちが入ってきている状況に都立の学校でもなっているのではないかと思います。ですから、適性検査と言いながらも、きちんと学力を見ているのではないかということと、あとは地域性で、開設から何年かたってきちんと根づいてくると、その学校の個性も出てきて、生徒の選抜というふるいをかけるというところも、受ける側の子どもも親もきちんとその学校を見て受けてくるのではないかと思います。ですので、ここの項目の入試選抜ということに関しては、先ほどお話がありましたが、適性検査と言いながらも学力を見ているのではないかということですね。そのように私は思っております。

【無藤主査代理】
 この問題はいろいろな立場から考えて、私は結論が個人的にも出せないんですが、1つ思うのは、公立学校というものは、中高一貫以前に、義務教育として小学校、中学校にまず第一の責任があるように思います。そういう意味では、中高一貫にならない普通の中学というんでしょうかね、そこでの学力保障、また、小学校における履修主義にしても、できる限り修得レベルを上げるという努力が前提であると。それを忘れてほしくないという、当たり前のことですが、それが第一に思います。
 それからもう1つは、現実問題として、6年間の一貫でやっていくために、例えば、最初の段階で抽選みたいなことは、現実問題として、かえって生徒たちにとって不公平な部分を生むので、一定の適性なり、その学校の理念、目的に合った選抜の方法を用いていいと思います。しかし、その際に、先ほど何度か御指摘もありましたが、学力、あるいはもう少し広く適性なり、生徒たちがどう将来に生きるかという意味では、様々な面があるわけです。それこそ国際的にやるなら、英語力だけではなくて、ある種の人格、社交性なりも必要だという御指摘もありましたけれど、特に公立学校においては幅広い立場で見てほしいと思います。
 同時に私立学校は、特に中高一貫を導入してきた私立学校というのは、いわば先駆的に学校法人の理念の下で特色ある教育を努力してきたわけで、そういう私立学校のまねを公立学校が単にしていいわけではないのではないか。やはり私立は私立としての独自性のもので頑張ってきたわけですから、それとは違う形の公立の在り方というのを是非考えていただきたいと思っています。

【上野委員】
 何十万人もいる、例えば中学1年生になろうとする子どもたちを一律に考えるというのがまず無理なんでね。それで基本的には、学校の運営、経営ということも考えてやると、やはり集団としての教育が、ある程度全体として機能しないといけないというのを考えないといけないということがあります。そうすると、そこで大きな問題を起こさずにやっていく生徒さんを集めて教育するというのは、全体としての教育効果は上がると思います。だから、そういう学校はあっていいんですね。そのためには、例えば小学校から中学校へ入っていくときに、ある程度の必要条件として、いわゆる筆記試験という意味での学力を満たしていないと授業として成立し得ないということがあるので、それをある程度やるのは仕方がないと思います。ただし、そこの学校がどういう人材を育成していきたいかという流れの中で、自分の学校教育がどういう位置付けにあるということを明確にしている場合ですね。今問題は、それがないんですね。書類上では書いてありながら、おそらく次のステップで、どこへ進学するかということが先生方の実質的な価値観の大多数を占めているというのがあると思います。そこを変えない限り、本当の入学者選抜というものは機能しないのではなかろうかと思います。
 例えば、こういう経験があります。私たちは、大学、大学院での教育に携わっておりますが、高校生のいろいろな活動もサポートしています。いろいろな議論をすると、私は自然科学の分野だから、自然科学の自分たちの研究努力に対して議論すると、ものすごくできる生徒がいます。この人に大学へ入ってほしいと思います。でも、確実に落ちる人がいるんです。例えばどういう落ち方をしているかというのを見ると、何でこんなことができないのだろうかと。大学から大学院へ行くときでもそうです。例えば、この学生は大学院へ行って何か研究をやらせたら、必ずイノベイティブなことをやってのけるだろうと。でも、大学院の試験を落ちてしまうんですね。そういう人っているんです。でも必ず、今までの私の経験の中では、そういうふうな学生は、どこか他の道へ行っても、結局活躍していますね。
 だから多くの、こういう言い方は失礼ですが、大学の先生もそうだと思います。高校の先生もそうだと思います。中学校の先生もそうだと思います。ポルシェの車体をかぶってさえいれば、スバルのエンジンでもいいんですよね。要するに次のステップの学校の名前で評価するんです。そういう感覚を直してゆかない限り、本当の意味での抜本的な、何十万人にも及ぶ子どもたちを抱えた教育の改革はできないんじゃなかろうかとずっと以前から思っております。それで、私たちはあることを始めておりましたけれども、結局なぜそういうものが伸びていかないか。今日最初にお話がありました中高一貫教育の数も何で伸びていかないかというと、結局そういうふうなことを導入して、ぼんぼん教えて、受験を突破する生徒を集めて、ほどほどの忙しさで受験を突破する生徒を輩出することができれば、多くのところはどんどんやろうとしますね。でも、ある程度の規制というか、ある枠がはめられていて、いろいろな経験をさせるということも大事な教育として捉えられているので、先生の仕事量が大変多くなります。そういうことを踏まえて総合的に考えると、なかなか伸びていかないというのがあります。ただ、本当にやろうとするならば、ある程度、中学校へ入って、高校でもそうですけれども、必ず何がしかの選抜をしないといけない。
 もう1つ大事なことを言います。そうして落としてしまったときに、日本では烙印を押されるんですね、悪いという。例えば落第して、じゃ、君はほかの学校へ行きなさいと言ったときに受け入れない体質がありますよね。その体質は学校の先生方の意識から変えていかないといけない。いろいろな先生と話をすると、結局最後は受験なんですね。この認識をまず学校から変えていかない限り、私たちはどんなこともできやしません。先生が変わると、社会のお父さん、お母さんの認識も変わっていくと思います、徐々に徐々に。私の感覚です。そういうふうな点に非常に努力して、いろいろ考えてくださる先生のパーセンテージは1割程度いらっしゃるんだろうと思います。そういう人たちにもう少しある意味での支援をし、そういう意識を持っている先生方を増やすとかというのが大事なことかなと思います。そういうことをすれば、意外と早く変わるんじゃないかと思います。だから、事細かな試験の方法の問題だけじゃなくて、そういうことを踏まえないと大きな問題は解決できていかないだろうと思っています。

【小川(暢)委員】
 前川審議官の御指摘は、私にとっては非常にいい契機になったと思います。実は、先ほど申し上げましたけど、私の学校では、今、実にこういうことが、中学の入試とか、高校に移るということだけではなくて、6年間の教育実施について問われています。そのきっかけになったのは、スーパーサイエンスハイスクールの指定を受けて3年目に入っているわけですが、そこで本来的に、実験とか探究心をベースにして授業を進めるということを我々としては努力して、かなり実績が出てきていると思うんですが、実は、局所的な話なんですけれども、模擬試験のテストで、理科の成績が落ちまして、内部で今非常に議論が起こっています。そういう本来的な指導よりは、受験とか、模試に対抗した勉強をもっとやるべきではないか、それも大事ではないかという、今そういう議論をしています。
 先ほど申し上げたように、こういう問題は、スタティックな問題じゃなくて、ダイナミックだと思うんですね。ある時点で判断するのではなくて、こういうことが大事だから、全体の環境とか、先ほど申し上げたような地域とか、高校を取り巻く環境とか、そういうものがどういうふうに動いていくかというのを考えた上で、いろいろとそういう学力検査をきちんとやっていこうという判断に立ったということにして、性急にある日突然それに変わったというと、今の状況だとますます受験の競争みたいなのが激しくなる。先ほど申し上げたように、今でも偏差値が出ていまして、予備校などはそれを上げるための競争をしていますし、実際我々私学に来る多くの生徒はそういう体験をしていますので、保護者は当然そういうことのオピニオンに左右されて、そういうことを求めてくるので、我々私学としては、そういうことにどういうふうに対応するかということを努力をしなきゃいけない立場にあるわけです。最終的にある時間を経れば、そういう付加価値を出せない私学は衰退していくというのはしようがないと思うんですが、やはりスタティックじゃないという、その環境をよくにらんだ上で、こういうことをやるということが本来的じゃないかなと思います。
 やはり公立に引っ張ってもらって、先ほどおっしゃったように、模範になるような生徒、あるいは学校ができて、それに負けないように私学が頑張るというのがあるべき姿だと思うので、今、実はそういう議論の真っ最中です。非常に難しい。入学の時点の入試もどうするか。大学受験に向かって、大学でどういうことを学ぶためにどういう受験支援をするかということを今、実はそういう点で同じような議論が起こっています。

【河合委員】
 選抜そのものについては、私のほうからはどちらがということは言えないのですが、そもそもこの制度ができたときの経緯を私たちはいつも考えなければいけないと思うんです。もともとは昭和46年の答申から来ているわけです。その後、少し教育界の揺り戻しもあり、世界で通用する子どもを育てるというようなことで一生懸命やってきたわけですが、教育の中で、いわゆる今の選抜の中でも出てきておりましたけれども、国語、算数、理科、社会とかいう記憶力とか課題解決のスピード、それらが測定されています。その教育の基礎・基本というのは何かということを考えたときに、そういうものは教育の必要条件であると考えられます。だからかつての教育はその必要条件をいかに注入していくかということに邁進していたのではないかと。その結果、何が生まれてきたかというと、中高一貫の教育が生まれる前の辺りから、生きる力がないとか、人の生きるという、生死ということについて、それを軽視するような方向性が表れ、人間や教育を評価する価値の尺度がやせ細ってきたと思うのです。
 私の理解ですけれども、こういう制度が出てきたのは、教育の必要条件に対して十分条件を考えるよということであったのではないかと思います。つまり、十分条件というのは、記憶力とか、そういうものと同時に、それをいかに使うかということ、個性的にいかに生きるかということであったのだと思うのです。だから、ちょうど平成9年か11年のころに多様な教育の制度が一気に出てきたわけで、その中でやろうとしてきたことは、おそらくは、必要条件は私たちはやってきた、その結果生まれてきたものは、国際競争力のない、課題を解決する要素だけを持った人たちではないかと。だから、先ほど適性検査というふうにおっしゃって、その中には国・算・理・社というのが含まれていると言われていたのですが。私はそれをどう使うかということについての選抜──選抜という言葉も、その経緯の中でそういう言葉はなかったと理解しておりますが、そういう使い方、そういうものを確認する、そういう作業はあってもいいかと思います。けれども、決して記憶力とか、スピードテストとか、そういうもので測定されるものをこの中高一貫教育は目指したのではなくて、教育の十分条件とは何かということに根差して考えてきたわけで、その部分を選抜というか、入試というか、何と言うにしても忘れてはいけないのではないかと思います。
 だから、教育をしていく教師がそれまでに培われた必要条件を伸ばしていく。一貫校でさらに強められる十分条件というのは、それまで持っていた子どもの特性を更に伸ばすものであり、子どもの中で作られていくものではないかと思うのです。そのための時間を6年という義務教育課程の中にあえて入れたと、私はそういうふうに思います。選抜試験をするかしないかということについては分かりませんが、課題の解決ができる、総合的にそういうものを使って、スピードではないけれども、トータルで使えるという能力を持っている子どもたちは伸びていく可能性があるのではないかと思います。選抜をするかしないかということについては、私は無藤委員と同じく、どちらかを言うことはできません。

【志田委員】
 実際の公立の中等教育学校の現場に携わる者としては、やはり東京都の直原さんが言われたことと同じように、学力を見るという側面もあったほうが我々としてはいいと。新潟県では、面接と作文と小学校からのものだけでありまして、いわゆる適性検査というのもやっていない状況なんですが、現場の我々としては、そういう部分もできるというのがあるとありがたいなというのが率直なところであります。
 あと、抽選につきましては、ここに書いてあるように不公平感というか、努力と関係ないところで結果が決まるという要素があるので、それはあまり進めてほしくないなというところであります。

【小川(正)主査】
 清水委員、直原委員は、先ほどの御意見でよろしいですね。古川委員も先ほどお話しされたので、あと柳原さんと山本さんでお願いします。

【柳原委員】
 私も先ほどからお話を伺っていると、上野先生の意見にすごく賛成で、最終的にはどういう人材を国として作っていくかということを教育で考えていって、それから落としてこないと、なかなか段階段階で論議していっても難しいなと思っています。たまたま今月、インテルがタイトルスポンサーをさせていただいている高校生の科学研究のサイエンスコンテストがアメリカであったんですが、日本人も頑張ってくれたんですけれども、トップ3賞というのが、過去日本人は取れていないんですね。既に中国も台湾の人も取っているし、今年はタイの子がトップ3賞に入れた。そういう突出した人材、先ほど上野先生がおっしゃいましたけれども、これからイノベーションを起こしていけるような人材をどう育てていけるかというところが非常に重要なんだと思います。
 私の理解では、中高一貫という場で、例えば今までの、先ほどおっしゃった記憶力とか、そういう学力観ではなくて、世の中に出たときにどうやって生きていけるかといったような学力を育てることができるような場というのが、中高一貫という場で作れていけたのが、今回の中高一貫のすごい価値であると思っています。その中で、例えば表現力でありますとか、そういったような、私たちの会社では「21世紀型スキル」と呼んでいるんですけれども、そういうものが構築できるような中高一貫教育が一番大切だと思うんですね。それを考えると、試験をしていけないということではないとは思うんですが、その学校が目指す、どういう人材育成かということに合った選抜ができれば、それはいいのではないかと思います。ただ、そのときにだんだん簡単な学力試験に陥りがちなところをどうやって防いでいくか。それが多分、国の教育のビジョンであったりとか、学校や先生の教育のビジョンであったりとかすると思いますので、その辺を考えて、適切な選抜というものは禁止するということではないほうがいいと思っています。

【山本委員】
 私も保護者の1人として、直感的な意見で申しわけないんですが、例えば、資料1の12ページ、14行目、15行目辺りにある中等教育学校・併設型の問題として、「『受験エリート校化』や『受験競争の低年齢化』といった懸念が、現在において解消されていると考えてよいか」という問いのような形で書いてありますが、おそらくこういう懸念があるということは、解消されていないという実態があるんだと思うんです。これは私の周りの併設型の学校を見ていても、そのように感じることが多々あります。その一方で、連携型については、27行目に、「『簡便な入学者選抜』による結果、連携型においても、学習意欲の低下や学力差については課題意識がある」とここでは断言されております。先ほど古川委員も言われたように、あまりにもだれでも試験を受けないで入ってしまうというような現実があった場合、逆に、当初の中高一貫教育校を進める志とは裏腹に、その存在意義が問われるような、だれでも行けるんだからというちょっと軽く見られてしまうような現実があるんだと思うんです。
 ちょっと話は変わりますけれども、先ほどのどうしても数が伸びていかないという問題の中に、併設型を開校するには、やはりそれなりのコストがかかると。とは言っても、連携型を進めていってもあまりメリットがないという現実がそこにあって、なかなか地方自治体の教育委員会のほうで推し進めることができていないのではないかと私は考えております。結論からいうと、ある程度の選抜に対する学力の適性検査というのは必要だとは思うんですが、ただ、先ほど柳原委員も言われたように、それが簡単な入試という意味でそれをやってほしいということではなくて、その学校の個性に応じた何らかのガイドラインが必要なのではないかなと感じております。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。
 前川審議官、全体の御意見を聞かれて、何かありますか。

【前川総括審議官】
 すみません、余計なことを言いました。私は、初等中等教育局の初等中等教育企画課長をやったり、あるいは初等中等教育担当の審議官もやっておりましたので、その間ずっとこの制度がはらんでいるいろいろな矛盾に直面せざるを得なかったということなんですね。これはとにかくどっちの側からもおかしいじゃないかと言える状態になっているということで、特に、私立学校の側からいくと、公立の中高一貫教育校は、多くの場合、適性検査という名を借りて実質的な学力検査をしているではないかと。これは法律で決められている学力検査を行わないという条文に違反しているのではないかと。きちんと指導しろと。これは言われると、ぐうの音も出ないところがありまして、適性検査の問題を見ると、非常に良い学力検査の問題があります。まさにPISA型の学力を見るという。本来望ましい学力を見るような学力検査ではないかというふうに私には見えるわけです。ほかの人にはそう見えないかもしれませんが。ですから、適性検査という言葉に名を借りた学力検査ではないかと言われたときに、ちょっとこれは反論しにくいことなんですね。ですから、そのとおりちゃんと法令どおりに指導しなさいと言われたときには、そうせざるを得ないのではないかと。適性検査というものはやめてくださいと。実態は学力検査ではないですかということに持っていかざるを得なくなるんじゃないかという問題があるわけです。
 一方、しかし、公立の中高一貫の学校を作っておられる教育委員会からすると、やはりその教育にふさわしい生徒を選抜したいと。その中に学力の要素をどうしても見ざるを得ないと。知識とか、技能とかというものではなくて、まさに思考力、判断力、表現力といった意味での学力ですね。ただ、そういうことをするのであれば、これは私学から見ると、今度はイコールフッティングになっていないのではないかと。公立の中高一貫教育校の中学校の部分、あるいは中等教育学校の前期課程というのは公立の義務教育ですから、無償ですよね。今回、公立の高等学校の部分についても無償になりましたから、授業料は6年一貫して取らないという、そういう仕組みになっているわけで、その公立セクターと、依然として授業料を取る私立セクターとでイコールフッティングで競争なんかできないでしょうと、こういう議論もございます。もし適性検査という名前で学力検査をするのであれば、授業料を取れと。無償という制度をやめろと。そういう議論も私立からは突きつけられてきたわけです。これは私学の本音だと思うんです。
 このままどんどんあちこちの都道府県教育委員会が公立の中高一貫を作っていかれると、私立にとってみれば経営の危機になると、そういう問題があると思うんですね。競争できない条件で競争させられるということになりますから。そういう問題を、とにかく何らかの解決を与えなければならないという状態のまま、解決が与えられずに来ているという、そういう実態がございますので、本当は我々がこうしようと考えなければいけないのかもしれませんが、実際のところ、文部科学省としてはにっちもさっちもいかない、右にも行けない、左にも行けないというような状態になっているという、苦境にあるということで、その点をどう解決したらいいかということを関係者の皆さんに腹を割って議論していただけないかということなんですね。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。
 今日は一通りお話を伺って、この作業部会として、どちらか一方の結論を出すというのは、多数決をしない限り、決められないような状況ですが、多数決というような意見の整理をするのは適切なものではないと思いますので、今日皆さんからいただいた内容をもう少し精査して、今のこの問題をめぐる考え方をもう少しきっちり整理した形でこの意見書の中に反映させていきたいと思います。今回、作業部会として、ある方向で結論を出せないかもしれないんですが、次回、また皆さんから御意見をいただいて、問題の性格はどういうことなのかということをもう少しはっきりした形でもって文章化して、社会に問題を投げかけるというようなことはできるかと思いますので、そういう形で進めさせていただければと思います。
 では、時間があまりありませんので、6、7、8、9にかかわって何か御意見等々ございましたら、これは一括で、よろしくお願いいたします。
 僕のほうから1つ、先ほどの公立の連携型の中高一貫教育校についてのことは、まとめのところでも少し言及していただきたいということと、もう1つは、中高一貫教育校の設置の促進ということと、中等教育の多様化・複線化が深まることを期待するということで最後まとめられているんですけれども、中高一貫教育の話だけしていれば、そういうことでも構わないと思うんですが、おそらく日本の教育制度全体としてどういう方向に持っていくかという、そういう大きな文脈の中で、中高一貫教育校の在り方というのを議論していくべきですので、高等学校全体の制度の在り方という大きな文脈の中で議論していくと、おそらく中高一貫教育校の位置付け方についても多様な議論が出る可能性もありますので、その辺のところは少し留意した書き方をしていただければと思います。
 ほかにどうでしょうか。柳原さん、どうぞ。

【柳原委員】
 先ほどちょっとお話があったところで、「ゆとり」という言葉についての解釈というのが、その当時と今と受けとめ方が変わっていると思います。もちろん初めのときに、「ゆとり」という言葉があったので、それを提唱していかなければいけないというところはあると思うんですが、もうちょっと「ゆとり」があるということが具体的にどういうことかという、たくさん勉強しなくていいという意味ではないというようなところを書いておいたほうが、今の時代、理解が深まるのかなと思いました。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。ほかにどうでしょうか。
 上野委員、どうぞ。

【上野委員】
 教員の負担増問題について一応まとめていただいているんですけれども、どういうことが負担増になっているかということが、どうも違ったニュアンスであるんじゃなかろうかと感じています。要は現場の先生方の本当の赤裸々な意見を集めてみると、ちょっと違ったニュアンスになるんじゃなかろうかという気がしていますので、少しそこのところ、多分御存じだと思いますので、少し工夫した書き方というのがあっていいのかなという気はしています。

【小川(正)主査】
 もう少し具体的にお話しいただけますか。

【上野委員】
 私、最近、主査の先生の本を読ませていただいていて、それに関連して、福沢諭吉の「学問のすゝめ」というのをもう一遍徹底的に読んでいたんです。そしたら、いいことが書いてあって、私、とっても大事だと思っていた問題を極めて明確に書いてくださっていて、例えば中学校、高校の先生であれば、本来その先生の得意わざを発揮する仕事ってあるんです。それが自分の勤務時間中にほとんどできていないで、それ以外の仕事にほとんど自分の時間を費やしている。これで教育はできないと思いました。そのようなことについては、現場の先生方からいろいろな意見を伺っています。いろいろな事情があるようですが、それとほとんど一致しています。ですから、いろいろな仕事が増えて、多分、中高連携の場合には先生方のお仕事がかなり増えているというのは事実ですよね。でもそれは本来生徒を指導し教えるという仕事以外の仕事も増やしているというバックグラウンドがあって、そのためにおそらく首が回らない状況になっているというのが私の実感です。そのフィーリングが前に出てこないんですね。だから新しい仕事が増えたので、仕事が増えているというだけになる。新しい仕事をやるときには増えるのは当たり前なんですよね。でもそれだけだったらば、先生方は自分でそれをやることを決めたんだから一生懸命頑張るんです。そうすると、あまり大きな不平にはならない。不平の本来がどこにあるかというと、本来違う仕事がどんどこ、どんどこそれに応じて増えていくということにあるんだろうと思います。

【小川(正)主査】
 趣旨分かりましたよね。つまり、この整理(案)の中では、中高一貫教育に伴う業務ができて、それで忙しいというような書き方しかしていないんですが、実はそれ以外の、もっと背景に先生方の超過勤務が常態化している、そういう実情の上に更に中高一貫の業務が重なってくるという、そういう構造的な捉え方をもう少し書いてくれというような趣旨だと思います。御指摘、そのとおりかと思いますので、分かりました。
 青木委員。

【青木委員】
 14ページの7の36行目のところで、「財政難の中でなかなか難しい状況がある」という言葉だけで終わっているんですが、もっと予算つけてくれみたいなことをここで言ってしまってはいけないのでしょうか。

【小川(正)主査】
 そういう意見があったということは書きたいと思います。
 ほかにどうでしょうか。また次回の会議に向けて、事務局のほうで今日の御意見をいろいろ反映させるような文章作りをしていただけるかと思いますが、今の時点で御意見がなくても、また自宅に持ち帰って読み直して、お気付きになった点いろいろあるかと思いますので、そのときはまた事務局のほうに御意見を送っていただければ、次回の会議で検討する文章の中に組み込んでいただけるかと思いますので、よろしくお願いします。その点も含めて、事務局から次回に向けての御指示をいただければと思います。

【小谷教育制度改革室長】
 今、主査からお話がございました追加の意見等ということですが、もしございましたら、御多用中、恐縮ではございますが、6月3日の金曜日までに事務局までお寄せいただきましたら、幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。そして、本日出た意見と追加でいただいた意見をあわせて、こちらのほうで修正案を作成して、主査とまた御相談しながら、次回の資料を作成させていただきます。
 次回の日程につきましては、主査と相談の上、追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

【小川(正)主査】
 ありがとうございました。
 今日は、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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