学校段階間の連携・接続等に関する作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成22年11月11日(木曜日) 13時~15時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(文部科学省)東館16階 特別会議室

3.議題

  1. 主査の選任等について
  2. 作業部会における検討事項について
  3. 中高一貫教育の現状等について

4.議事録

○主査について、小川委員が適任である旨の発言があり、了承された。
○小川主査から、無藤委員が副主査に指名された。
○本作業部会の公開及び傍聴について、本作業部会の公開に関する規定に沿って取り扱うことについて了承された。

【小川(正)主査】  では、これから、審議に入っていきたいと思いますけれども、まず最初に、この作業部会における検討事項について、事務局の方から配付資料の説明をお願いしたいと思います。

【小谷教育制度改革室長】  それでは、配付資料に基づきまして、説明をさせていただきます。
 まずは、本日初回でございますので、冒頭清水次官から申し上げましたけれども、部会の設置に至った経緯について説明をさせていただきます。
 資料4を御覧ください。資料4にございますように、平成20年6月の初等中等教育分科会におきまして、当時の金森初等中等教育局長より、御議論いただきたい事項を、初等中等教育分科会に対しまして要請をさせていただいております。その1つとして、この学校段階間の連携・接続等についてというのがございます。
 また、資料5でございますが、こちらに掲載しております教育振興基本計画、また、「規制改革推進のための3カ年計画」といった閣議決定におきましても、各学校段階間の連携・接続等について、文部科学省として検討することが求められておりまして、特にこの規制改革推進3カ年計画におきましては、中高一貫教育について、この中教審での検討が求められているところでございます。こうしたことを受けまして、この作業部会が資料1に戻っていただいて恐縮でございますが、資料1にありますように、昨年7月に初等中等教育分科会で決定されたところでございます。
 この作業部会の主な検討事項は、この資料1の3でございますが、学校段階間の連携・接続とすぐれた才能や個性を伸ばす学習機会についてということになってございます。学校段階間の連携・接続につきましては、先ほど御紹介しました金森局長の説明概要にございますように、初等中等教育段階としては、幼小、小中、中高とあるわけでございますが、このうち、この幼小の連携・接続につきましては、本作業会の無藤副主査が主査を務めておられ、また、向山委員も委員をお務めになりました「幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議」におきまして御検討いただいておりまして、本日報告書が取りまとめられております。その公表されたものが今、お手元の参考資料として配付をさせていただいております。
 3つ大きな柱として、1つ目は、この幼児期の教育と小学校教育の関係を連続性・一貫性としてとらえる考え方、2つ目として、幼児期と児童期の教育活動をつながりでとらえる工夫、3つ目として、幼小接続の取組を進めるための方策について御報告いただいております。したがいまして、本作業部会としては、残る小中連携、中高一貫教育について御審議いただくというわけでございますが、まずは、先ほど御紹介いたしました規制改革3カ年計画での指摘も踏まえまして、当面、中高一貫教育制度の検証と改善方策について、年度内くらいを目途に御審議をお願いしたいと考えております。その後、場合によっては委員の追加、交代などをしていただきながら、小中の連携・接続、さらには、すぐれた才能や個性を伸ばす学習機会についても御審議いただくことを予定しております。
 以上です。

【小川(正)主査】  ありがとうございました。今、議題の(2)のこの作業部会における検討事項について、事務局の方から御説明がありましたけれども、この内容につきまして、何か委員の皆さんの方から、御質問等々がございましたら、どうぞ御遠慮なく。よろしいでしょうか。はい。ありがとうございました。
 それでは、今日の主題であります議題(3)中高一貫教育の現状等について、これも資料を含めて、事務局の方から、配付資料のまず説明をお願いしたいと思います。

【小谷教育制度改革室長】  それでは、中高一貫教育の現状等について、御説明をさせていただきます。
 まず、この机上資料というこの青のファイル、こちらの方に関連いたします中教審等の答申等を資料としてとじさせていただいておりますが、この中高一貫教育制度につきましては、過去には、昭和46年の中教審答申、いわゆる四六答申、あるいは臨教審答申なとにおいて提言がなされてきたところでございます。その後、配付資料の資料6を御覧いただきたいと思いますけれども、平成9年の中教審答申、第2次答申のこの「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」という答申、この答申で、その導入や具体的な在り方が提言されたところでございます。
 この資料6の内容をちょっとかいつまんで申し上げますと、まず、6年間の計画的・継続的な教育を行うことができて、個性や社会性の育成に資するという利点、あるいは受験準備に偏した教育への懸念、心身発達の差異の大きい生徒を対象にすることといった導入に当たっての留意点、その双方が示された上で、子どもたちや保護者などの選択の幅を広げ、学校制度の複線化構造を進めるという観点から、中高一貫教育を選択的に導入することが適当であるという旨の提言がなされました。今後、御審議いただく中で、当時目指した利点が本当に達成されているのか、あるいは当時懸念されていたことが克服されているのかといった点も一つの検証の視点ではないかと考えております。 さらに、具体的な在り方といたしまして、裏面の方になりますけれども、考えられる実施形態ですとか、あるいは体験学習や国際化といった特色ある教育活動の幾つかの事例、入学者選抜における配慮等が示されたところでございます。これを受けまして、学校教育法等の改正が行われまして、平成11年度から制度が導入されたところでございます。
 続きまして、資料7、この次の資料でございますが、資料7を御覧いただきたいと思います。
 中高一貫教育制度につきましては、先ほど御紹介いたしました中教審答申にもございましたように、中学校と高等学校の6年間を接続して、6年間の学校生活の中で計画的・継続的な教育課程な展開することによって、生徒の個性や創造力を伸ばすといったことを目的としております。
 資料の2ページ目を御覧いただきたいんですが、中高一貫教育には、3つの類型がございます。1つが、中等教育学校、これは一つの学校として、前期課程・後期課程、合わせて6年間一体的に中高一貫教育を行うという、中学校、高等学校とは別に設けられた学校でございます。2つ目が併設型、これは同一の設置者が高等学校の入学選抜を行わない形で中学校と高等学校を設置し、継続するというものでございます。3つ目が連携型でございますが、これは異なる設置者によって設置された中学校と高等学校が、教育課程の編成や教員・生徒間交流等の連携を深める形で中高一貫教育を行おうとするものでございます。
 3ページ目が、中高一貫教育の学校数の推移になっていますが、学校数は、制度創設以降は着実に増加しておりまして、近日取りまとめ公表いたしました平成22年4月1日現在の数字を申し上げますと、402校数えるほどになっております。各学校の設置年度等につきましては、この机上の資料のほかに、一番最後の方でございますけれども、「高等学校教育の改革に関する推進状況について」という資料がございます。この中で各学校のそれぞれの設置年度ですとか、特色の方を御覧いただけるようになっております。
 なお、この平成11年度以前から、私学では実質的に中学校と高等学校を併設されて、一貫教育に取り組んでいらっしゃるところもございますが、こちらのこの推移の中で取り上げておりますものにつきましては、私立学校について、学則上、この学校教育法等に基づく中高一貫教育校であるということを明記されているところに限られるということをお断りしておきます。
 4ページ、5ページ目につきましては、その学校数を都道府県別に見たものでございます。数の差こそございますけれども、すべての都道府県において何らかの形で中高一貫教育校が設置されていることが見てとれます。
 こうしたこの中高一貫教育校に認められました特例といたしましては、教育課程の特例がございまして、これが6ページ目の方にまとめさせていただいております。本来でございますと、中学校・高等学校がそれぞれの学校段階におきまして、それぞれの学習指導要領を大綱的基準として教育課程を編成していただく必要があるわけですが、この中高一貫教育校におきましては、6ページ目にございますように、中学校段階においては、選択教科による必修教科の代替ですとか、各選択教科の授業時数についての特例、あるいは高等学校段階では、普通科における学校設定科目、教科についての卒業に必要な修得単位数に含めることのできる単位数の上限、こういったものについて特例が認められております。
 また、これに加えまして、中等教育学校と併設型に限られますけれども、中学校段階、高等学校段階、双方における指導内容の一部の他方への移行、あるいは双方の入れ替えというものが認められております。
 続きまして、中高一貫につきまして、先ほど御紹介しましたように、規制改革推進3カ年計画におきまして、文部科学省として実態把握を行って、中教審において成果と課題を検証するということが閣議決定されているところでございますが、その一連の検討作業の第1段階といたしまして、本年3月より、当時中高一貫教育を行っていたすべての学校と教育委員会を対象にいたしまして、実態把握のための調査をいたしております。このほどその結果を取りまとめましたので、その結果の概要について御説明を申し上げます。
 資料8-1と8-2を使って御説明させていただきます。なお、8-2に一部訂正がございましたので、その訂正を1枚お配りさせていただいております。その点について御了承いただければと思います。
 では、8-1と8-2について説明させていただきますが、概要としている資料8-1に沿ってちょっと御説明をさせていただきます。調査した結果の具体的なデータ等につきましては、このカラー刷りの資料8-2の方に詳しく掲載をしております。8-1の各項目にこのデータ編となる8-2の対応するページが出ておりますので、適宜こちらの方も御覧いただきながら、お話の方をお聞きいただければと思っております。
 まず、中高一貫教育の導入に係る経緯といたしまして、教育活動の特色についてお尋ねしましたところ、多くの中高一貫校において、学習意欲の向上、進路の実現、あるいは生徒の個性・創造性の伸長を重視しているほか、国立と私立学校では、国際化に対応するための教育を重視する学校、あるいは公立の特徴としては、地域との連携、地域の特性の活用、あるいは体験学習を重視するとする学校が多く見られることがわかりました。
 次に、その導入のねらいを次ページにわたって記載をしておりますけれども、国公私問わず、6年間の計画的・継続的な教育活動の展開を挙げる学校が多いほか、公立や特に私立では、生徒の継続的な把握や学力の定着・向上をねらう学校が多く見られます。
 次に、この導入したことによる成果でございますけれども、異年齢集団による生徒の育成や学力の定着・向上につきましては、導入のねらいとして学校と同数、またはそれより多い学校で成果が上がっております。また、教職員の意識改革を挙げる学校も多く見られます。
 一方、中高一貫教育の実施に当たりましての課題といたしましては、生徒間の学力差(個に応じた指導法の確立)や学習意欲の面で課題があるとする学校が多いほか、国公立の半数以上が教職員の負担増を挙げております。これらをクロスに分析しますと、まず、学力の定着・向上につきましては、多くの学校がそれをねらいとし、成果も上げている一方で、苦慮されている様子もうかがえると思います。
 また、異年齢交流による生徒の育成につきましても、成果が上がったとされております。加えて、この教職員の意識改革につきましては、成果として挙げられる反面、教員の負担増が課題としても浮き彫りになっているかと思います。 次に、教育課程の内容でございます。8-1の3ページの方を御覧いただければと思います。
 先ほど制度の概要で御説明いたしましたとおり、中高一貫教育校には、教育課程の特例が認められておりますので、この特例の活用状況を問うたものでございます。特例は幾つかあるわけでございますが、その中でも高等学校(後期課程)から中学校(前期課程)への指導内容の一部移行を行っているとする中学校が非常に多くなっております。具体の特例の活用例といたしましては、これは8-2の方にも詳しく書いていますが、中学校における必須教科の時数を減じて、選択教科の時数に充てている例ですとか、中学校において、選択教科の時数を拡大している例ですとか、学校設定教科・科目についての卒業に必要な修得単位数に含めることのできる単位数の上限の拡大の例、指導内容の移行例、それぞれございます。
 こちらの8-1の4ページの方を御覧いただきまして、活用の成果という形になりますけれども、こちらが特色ある教育課程の編成が可能になったとする意見が多いところです。一方、課題といたしましては、6年間一貫した指導計画の作成ですとか、教員数の確保等を挙げる学校が多く見られます。
 続きまして、教育活動の状況につきまして、8-1の4ページから5ページにわたって記載しております。交流授業につきましては、高校の教員が中学校で授業を行うとともに、中学校の教員が高校で授業を行ったとする学校が多くございまして、その成果を、理解が深まり、指導力が向上するとする一方、時間割の編成や教材研究・指導方法の工夫を課題する学校が多く見られます。また、(4)にございますように、入学式、卒業式、文化祭等、運動会などや部活動、生徒会活動などを中高合同で行う学校が一定数見られます。さらに、(7)にございますように、内進生と外進生につきましては、混合クラスにおいて同進度で授業を進めるですとか、あるいはクラスを分けたり、進度別に授業を行ったりする学校が一定数見られているところでございます。
 今度は、5ページから7ページにかけまして、入学者選抜の状況の方を記載しております。入学者選抜において実施しているものとしては、面接、作文、調査書・推薦書や私立における学力検査、公立における適性検査など、非常に多岐にわたっております。また、その6ページの(3)から入試の倍率について記載しておりますが、中等教育学校では、私立の方が公立よりも高く、併設型だと、中学校段階では、公立よりも私立が低い状況にございます。一方、高等学校の入試になりますと、私立も高倍率になっております。
 続きまして、7ページに記載をしておりますけれども、中高一貫教育におきましては、中学校段階を終えた後は、連携型を除きますと、自校の高校への進学、進級する場合が圧倒的に多いわけでございますが、一部本人や保護者の意思の下、他の高等学校へ進学する場合も見られます。
 以上、ここまで申し上げてきましたのは、各学校に対する調査の回答でございますが、最後に、教育委員会に対する調査の回答を次ページにわたって記載しております。設置理由や成果につきましては、中等教育の多様化・複線化、あるいは生徒・保護者の選択肢の拡大を挙げる自治体が多くございまして、課題といたしましては、学習意欲や学力差など、主に学力面を指摘する自治体が多く見られました。
 以上が、調査結果について全体を簡単にではございますが、かいつまんで御説明申し上げました。なお、机上に備えつけの資料といたしまして、関係法令や基礎データなどのほかに、平成22年度全国高等学校教育研究協議会と題します白い冊子を置かせていただいております。こちらの冊子でございますけれども、この中で、各都道府県、政令市における中高一貫教育の取り組みにつきまして、各県市の教育委員会から御提供いただきました文書の情報の方を掲載させていただいております。
 それから、また、ファイルの中の方にございますけれども、平成22年度、こちらのファイルの方でございますが、全国高等学校教育研究協議会のリアル熟議結果概要というものが47ページの方からファイルにとじております。これは、文部科学省では、教育が家庭・学校・地域などの当事者が連携・協力することによってより良いものになっていくとの観点から、多くの当事者が熟慮と討議を通じて課題解決、政策形成していく熟議の取組を進めております。先月15日、全国の都道府県や指定都市等の教育委員会、あるいは私立学校部局、また、国公私立の高等学校等から、高校教育改革ですとか、中高一貫教育の関係者の方、あるいは教職員の方、271名に御参加いただきまして、42のグループに分かれて、希望するテーマについて2時間ほど熟議を行っていただきました。このうち、271名もいらっしゃったんですが、中等教育学校併設型については100名程度の方が、連携型については50名程度の方が、それぞれ六、七名程度のグループに分かれて御議論いただいておりまして、その結果を取りまとめております。こうした資料も適宜御覧いただければと思います。
 資料の説明は以上でございますが、この後、事務局からただいま御説明させていただいた事項に限らず、中高一貫教育について、本日は自由に意見交換していただければと思いっております。
 今後といたしましては、来月からは月に1回程度ぐらいの頻度で、幾つかの論点ごとに御審議をいただいて、年度内ぐらいを目途に5回程度の御審議で、この中高一貫教育についての委員の皆様方の御意見を整理していただければというふうに考えております。そういった意味で、次回以降のこの作業部会におきましては、実態調査で御紹介した各項目につきまして、ヒアリングなども取り入れながら、それぞれもう少し掘り下げて取り上げて御審議いただくことを予定しておりますけれども、こうした審議の進め方につきましての何か御指摘等ございましたら、その点も含め、御意見を賜れればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【小川(正)主査】  ありがとうございました。今、中高一貫教育の現状等ということで、資料6、7、8、あと、資料8-2に基づいて今、御説明いただきました。今、事務局の方からお話があったように、中高一貫教育にかかわる様々な論点等々については、次回以降、必要なヒアリング等々含めながら、個別課題を一つ一つ取り上げて審議していくことになります。今日はまず第1回目ですので、皆さん、それぞれ中高一貫教育ということについていろいろ御意見や疑問等をお持ちかと思いますので、今日は、各委員の方からもう自由に意見を出していただき、この作業部会の進め方も含めて何か御意見があれば出していただければと思います。今日出していただいた様々な論点等々については、次回以降の作業部会の運営に反映させていただければと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 どうしましょうかね。今日は最初ですので、皆さん方に自己紹介を兼ねて、いろいろな御意見を最初からお聞きするということが必要かなと思いますので、どうしましょうか、最初はちょっと順番に御意見を伺うというようなことからでよろしいでしょうかね。
 では、まず、中川委員の方から、じゃあ。

【中川委員】  私立学校の立場で参加させていただいていると私は思っています。私立学校は、御承知のように、かなり以前からこの中高一貫につきましては、試行錯誤を繰り返してきています。それぞれの学校がいろいろなやり方をしながら、工夫して今日まできています。年齢的な違い、考え方の異なる生徒がいるわけですから、そこにいろいろな問題が発生します。今、ここに出てくるような問題もたくさんあるんですけれども、その一つ一つを何とかしながらここまでやってきています。公立学校さんの方でも、そのいいところを参考にされ、この中等教育学校等ができたと私は思っています。それに際して公立学校さんの立場を考えて、新たな枠組み、こういうタイプの学校、こういうタイプの学校というのができて、それに私立学校も合わせろという、これがかなりアレルギー反応を起こしていると私は思っています。
 中高の接続等の問題については、一つ一つの問題を、私どもも悩んでいる問題も含めて、この場で検討させていただいて、より良い教育ができればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【小川(正)主査】  もう少しその中身について、踏み込んでもう発言されて構いませんので。よろしいですか。

【中川委員】  はい。

【小川(正)主査】  じゃあ、また次に。じゃあ、向山委員、どうぞ。

【向山委員】  銀座にあります泰明小学校の校長しております向山でございます。
 3点申し上げます。
 1点目は、小学校の現場から見た中高一貫校の印象ということですけれども、近年、特に学習内容の厳選化が言われてきた。今の学習指導要領の実施の後、顕著ですけれども、首都圏の中でかなり国公立の受験志向の子どもが増えております。私の学校も大変多くの子どもたちが中学校を受験いたします。そういう中で、公立学校の中高一貫校や、あるいは私立の中高一貫校を受ける子どもが大変多いということがありますので、保護者のニーズとしてはこれからもかなり強いのかなという印象を持っています。そういう中で、いろいろ選択肢が増えていくのはいいんですけれども、経済的な問題でなかなか私立を受けられない子どもさんもいるわけで、そういう中で、格安な公立の中高一貫校の人気というのはやっぱりかなり高いものがあります。
 それから、3点目ですけれども、そういう中ではありますけれども、当然のことながら、中学校はほとんど設置者が区市町村の学校でありますし、高等学校は、東京で言えば東京都でありますし、おそらく多くのところは都道府県が持っています。そうすると、設置者が違いますから、その中でどうやって仕組みをつくっていくのかという、そういう難しさがあるんだろうなと見ております。
 とりあえず、以上3点です。

【小川(正)主査】  ありがとうございました。じゃあ、青木委員、どうぞ。

【青木委員】  高校生の保護者の立場でこちらに発言させていただいていると思っておりますので、保護者のお母さん方の率直な感想としましては、中高一貫校がまず数が少ないということもありますので、入りたいと思っている高校の受験の枠が少なくなってしまうので、あぶれてしまう子どもたちがだんだんランクを下げた高校を受けるようになったり、経済的には大変なんですけれども、そこの高校に入れないがために私立に行かざるを得なくなったりという現状があるということで、中高一貫校という教育にとってはいいことなんですけれども、保護者にとっては少しその部分の負担があるのかなという話が、よく井戸端会議のようなところで出ております。
 あとは、私立とは違って、教職員、校長先生方も異動がかなり時間が短いスパンで行われると思いますので、そこら辺もある程度時間がたった学校はどのように対処しているのかとか、そういうことも考えていきたいなと思っております。
 よろしいでしょうか、以上です。

【小川(正)主査】  じゃあ、上野委員さん、よろしくお願いします。

【上野委員】  千葉大学の上野でございます。
 平成10年から、いわゆる大学への飛び入学というのを実は平成6年から準備してやってきているんです。多分そういう観点から何がしか私たちの経験なり、どういうんでしょうか、いわゆる一般的な教育界とどういうことでやり合ったかというような問題点が、多分中高一貫校の目指すものと関連してくるんじゃないかなというような気持ちでおります。そういうふうな観点を御紹介させていただければと思っております。
 忘れないうちに、今日の資料をあらかじめいただいてざっと見させていただいたんですけど、こういう資料がもしもあれば、いただければなと思ったのが一つあります。それは、中高一貫が11年から基本的にはスタートさせているんですけど、実はスタートの時点が学校によって随分違っていて、学校によって。現在、例えば中学校2年生までいるのが何校とか、何年にスタート、実際に何年に入学させて、現在何年目に入っているかという学校の数を知っておきたいですね。そうしないと、後のアンケート調査の結果を見抜くことができないというところがありますので、例えば、各学年の生徒数の推移など、簡単なものでいいんですけれども、いただければと思っております。

【小川(正)主査】  じゃあ、小川委員、よろしくお願いします。

【小川(暢)委員】  千葉の市川学園の小川でございます。よろしくお願いします。
 中高一貫校として、今まで73年やってまいりました。共学になって7年目で、新しい学校なんです。そういう意味では新しい仕組みなんですが、私自身は、実は2年前まで全くの企業人でやってまいりました。それで、校長ということになりまして、先ほど来いろいろ一貫の課題をお聞きして、ここ2年間校長になりまして感じていることの多くは、その課題に共通しているかなという感じがします。例えば教職員の質的向上を上げるとか、そういう課題はみんなほとんど同じだと思いますが、今、実は、文科省さんのスーパーサイエンススクールの指定を受けまして、昨年受けまして、今やっていまして、そこに新しい学習の指導の指針を、私どもとしてはいただいた形になっておりまして、それの内容は、できるだけ学校間の交流を、横にでもどんどん広げようということで、交流等をかなり、公立の学校と交流をしています。そういう意味でも、いろんな課題も一緒に共有できるという御紹介ができるんじゃないかというふうに感じております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

【小川(正)主査】  ありがとうございました。じゃあ、河合委員。

【河合委員】  河合でございます。中高一貫教育に関しましては、平成9年の全国の中高一貫フォーラム等々で、この制度というものについて、立ち上げのときに各教育委員会とか、校長会とか、そういうところでお話をさせていただいたりしておりました。で、10年の評価ということで、その当時、私どもが期待していたことが本当に実現できているのかどうかということについては、是非ここで検証して、私どもがやってきたことがどうであったのかということについて、自分なりにも振り返ることができればと思っています。
 幾つかそのときの問題といいますか、この中でも順次小川先生のもとに議論されていくと思うのですが、もともとの導入の経緯というものが、文科省的には多様な教育ということで、教育の複線化というようなことで、義務教育課程をいじるということでありましたけれども、一番大きいところは、やはりたくましいとか、自ら学ぶという。何よりも国際的に通ずるようなクリエーティブな子どもたちを今後育てていく、輩出するということで、教育課程が組み込まれたわけでありますけれども、本当にそういう個性的な子どもたちが育っているのかどうかということ。
 最近、ちょっと気になっているのは、その6年の教育というものをどういうふうに活用するかということで、そのときは、国会でも、衆参とも附帯条項がついていて、受験に偏しないということ、選抜についても随分と問題があったと思うわけですけれども、そのときの議論は、私の記憶している限りの議論では、いわゆる難関大学と言われるところに入ることをゴールとするのではない。もう結果としてそこに入っていく子どもが育つというのは非常に望ましいことであるけれども、それをゴールとしないということでありましたけれども、少し気になっているのは、予備校なんかでも、中高一貫の中学受験というものが、私どものおります近畿地方でも、世の中の一つの売り物のような形で出たりしているわけで、その辺りのところについては、どういうふうになっているのかなということについては、それは育てる子どもということで、一つ気になっているんです。
 もう一つは、制度的には、中等教育学校・併設学校・連携というのがありますけれども、それぞれの制度上でどういうことが問題として起きているのか。特に連携型というのは、その地域を活性化させるということで、是が非でもということで地域が取り組んでいったところもあるわけでありますけれども、その辺りがどうなっているのかと。特にこういうふうな中等教育学校等を立ち上げていくときには、学区の問題とかが非常に大きな問題で、学区を越えて子どもたちが中等教育学校へ来る、もしくは中高一貫校へ行くということで、その地域の公立の中学校の核になって、その地域を支えてくれるであろう子どもたちが中高一貫校に行くのではないかと。その後、どうなるんだろうかというようなことで、地域の先生方とか、PTAが非常に懸念をされている。そういうところも含めて、やはり地域がどういうふうにそれに対して現状としてあるのかというふうなことについても、是非この中で御議論いただいて、いろいろとお教えいただければと思っています。で、入り口から出口までのところを少し雑ぱくにお話ししてしまいましたけれども、是非今のような点について皆さんと一緒に学ぶことができればと思っております。よろしくお願いいたします。

【小川(正)主査】  ありがとうございました。じゃあ、志田委員。

【志田委員】  志田と申します。公立中等教育学校の立場で参加させていただいていると思っております。先ほどもお話がありましたけれども、本校も、課題と成果という意味では、アンケートにあったとおりの形になっております。また、本校も設立して8年目でありまして、卒業生が2回出たという状況であります。それで、学校ができてから新しいシステムということで、どういうふうにしたらいいんだろうかということで、前任の校長先生はじめ、職員の方が工夫をしながらやってきたんですが、どちらかというと、もう何か目の前の課題に追われて突っ走ってきているという部分が多うございまして、私は、この春から本校に赴任したんですが、8年たったので、創立10年に向けて、これからの中等教育学校の在り方ということについて、もう一度深く考えていかないと駄目だというふうに職員ともどもやっておる次第であります。
 先ほどからも課題等について話が出ていますが、そういうところをよくお聞きさせていただいて、本校にまた持ち帰って、新たな実践をしていきたいと思いますし、また、現場の具体的なことはどうなっているんだという御質問等があれば、わかる範囲でお答えさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【小川(正)主査】  ありがとうございました。じゃあ、直原委員。

【直原委員】  東京都教育委員会の直原です。都立の中高一貫校、計画的に10校設置するということで、ちょうどこの4月に最後に一度に4校開校したんですが、今年度でその計画どおり10校が開校したという状況にございます。将来日本社会の様々な分野でリーダーとなるべき人間を育てたいという目的で設置しています。この10年、20年、日本の経済が停滞し、世界的には非常にグローバル化が進んでいるにもかかわらず、最近よくいろんなところで日本の社会全体、あるいは子どもを含めて内向き志向が広がっているという中で、東京都教育委員会としては、次の時代を担っていく人間をどうやって育てていくのか、これが私ども、教育行政の課題だというふうに考えています。様々な方策を考えていますけれども、都立の中高一貫教育校というのも、こういった将来の社会を支えるリーダーとなっていくべき人間を育てるための重要な方策の一つだというふうに位置づけて行っているところです。
 私ども、もちろん基本的には、現行の六三三という枠組みを基本として今も運営しているわけですけれども、中には現実に小学校を卒業する段階で際立った才能ですとか、意欲ですとか、そういうものがはっきり見えている子どもが現にいて、そういう子の中で中高一貫教育を受けたいという子どもに対して公立でもそれを受け入れていく、継続的にそういった資質や能力を伸ばしていく、そういう学校を整備していく必要があるだろうということで運営しているところです。
 今日御紹介いただきました実態調査にありますように、運営上の課題はもちろん幾つかありますけれども、そういった課題を一つ一つ克服して、伸びる子はどんどん伸ばしてやりたいと、そういうふうに考えて、何とか都民、保護者の期待にこたえられる学校にしていきたいというふうに考えているところです。
 以上です。

【小川(正)主査】  はい、ありがとうございました。では、古川委員、お願いします。

【古川委員】  失礼いたします。私は、長く小学校、それから、中学校、また、そういった校長、あるいは教育行政に長くおった経験をもとに、幾つか自分の実感、自分の子どものことも含めて、関西でずっとおりますので、ちょっと自分なりの実感を出してみたいと思います。
 私が関西という場合は、自分が住んでいる大阪、あるいは今仕事をしている兵庫県、あるいは至近な、近くの京都府というか、その辺りを視野に入れて考えるわけですが、今日の一番初めに、順調に中等教育学校なり、そういったものが増えてきているのではないかということで、グラフもありまして、そのように私も一方では思っているわけでありますが、大阪でも、大阪市立の咲くやこの花中等教育学校というのが先年できまして、非常に高倍率であります。どこもそうでありますから、かなりの高倍率ですので、少なくとももう少し、2倍程度までにおさまるように、ほぼ保護者の願い、子どもたちの願いが実現できるところまで数は増やしたいな、増やしていただきたいなと思います。そういう意味で見れば、順調に増えているといいながら、もう少し増やす必要があると思っています。
 一方、義務教育の中で行われています小中一貫について、関西では、最近、ここ数年非常に急激に進んできたというか、そんな印象を私の地元も含めて持っています。それはやはり市町村単位で、義務教育の中で同じ教育委員会が小中ということでできるという。したがって、面として地域を核として、面として教育が変わっていける、そういう可能性として私は一方でいいなと思っているわけですが、一般にはそれを教育の論理というふうに言って、片一方、じゃあ、中高は何だといったら、受験の論理だというふうに言う人もおるわけでありますが、大阪でもそんな話は出ているんですが、いかんせん高等学校が公立の場合は都道府県教委でありますし、中学校の場合は、義務教育の市町村教委でありますので、なかなかそこがうまくいかないというのをもどかしく思っております。そこで、できましたら、こういった場で都道府県教委と市町村教委がうまくどのように工夫した仕掛けをしながらいけば、そういったものがうまくいくのかなという、そんな例なんかも聞いてみたいなというふうなことを一つ思っています。
 それから、実際取り組まれているところを見ますと、先ほどの次官からありました免許状の問題でありますとか、教員人事ですよね。高等部の先生は都道府県教の方から来られる。中学校の先生は市町村から来られる。また、市町村へ戻っていく。その辺のところが違いますので、文化が違うというか、中でなかなかうまく、大変だということも聞くわけですし、そういう意味で、免許状の問題でありますとか、教員人事の問題でありますとか、校内の教職員の組織、あるいはそれを統括するマネジメントの経営、校長さん、教頭さんなりのその辺の在り方についても少し議論ができたらなとは思っています。
 したがって、この中で話が一つできたらいいなと思うのは、1つ、2つありますが、1つ目は、15期の中教審、引き続いて、その後の今回の中教審の中で、我々は、生きる力ということを教育の理念として高く掲げてきたわけであります。この小中一貫も、中高一貫も、まさに生きる力、全人教育としての学力はもちろん、人間として豊かな子どもたちを育てるということを私たちはねらいとしてきたわけですから、その生きる力の具体例として、この中等教育学校は一つやってきたんではないか。その辺のところを後づけなり、分析なり、一つしてみるということは、我々がつくってきた、今の生きる力を育てる学校教育という意味で大きな意味があるのではないかと、そういうふうに思っています。
 それから、次に、一貫校でなくて、都道府県なり、市町村がかなり工夫をしています。来週も岡山と兵庫県の境目にあります、兵庫県立の千種高等学校が中学校と連携型で発表会をするんですけど、まさに地域を残していくという、おらが村の学校と子どもたちを残していくということで、連携型で頑張ってやるんですけれどもね、やはり親の意識は、まちのそれなりの多くの数の中で切磋琢磨させてやりたいという、その辺りがありまして、大阪にも連携校がありますが、なかなかその辺りの親の意識と行政の意識、その辺りをどううまく実現、連携型の場合はしていけばいいのかなというもやもやした課題も、自分の中で持っております。
 それから、最後に、昨今いじめ問題が出ています。先日も不幸な悲しい事件がありましたし、春にも関西の方でございました。その子どもたちがいじめられているという話で、よくよく読んでみると、大体ニューカマーの子どもたちなんですよね。これだけ、私たちが平成元年の新しい学力観のとき以来、豊かな人間とか、国際性とかいろいろ言ってきて、多文化教育とか言ってきたわけなんですがね、まだ、今回、そういった例を見ると、ニューカマーの子どもたちがいじめの対象になっている、なりやすい。我々は一体どんな教育をしてきたんだろうという、じくじたる思いを持つわけですね。そういう意味では、この兵庫県の県立の芦屋の中等教育学校なんかは、30何カ国の子どもが通っていると。河合先生がご専門だと思うんですが、そういったことを含めて、多文化、あるいは国際性という意味で、もう一度こういうところでそういったことの意味を、積極性を発揮して、我々の教育を見直す機会にもなるんではないかなと。ですから、一方では、六三制はほとんど本家のアメリカでもやられてないわけで、それはもう議論になりますが、当分は六三制の枠内で、六三制をどう変えるかという議論を一方で見ながら、他方では、この今、私が申し上げましたようなことも議論ができたらなと。結果的には次にどう展開するかということがこの中で議論できたらありがたいなと、そんなふうに思っています。
 以上です。

【小川(正)主査】  ありがとうございます。じゃあ、山本委員、お願いします。

【山本委員】  山本でございます。よろしくお願いいたします。
 私は、日本PTA全国協議会ということで、小中学校の公立学校の保護者と教員が会員となっている団体ということで、参加させていただいております。私、広島県の方から選出されて日本PTAの方に上がってきているんですが、広島県の状況でいいますと、公立の一貫校と言われるものが、特例を受けておるところが、連携型で3校、併設型で3校というふうに聞いております。私が見たところですと、今のところ連携型と併設型では、大きくその目的だとか、成果が異なっているんではないかなというふうに考えております。具体的にいいますと、連携型が主に中高での接続に関する問題だとか、地域との連携を主題にされているのと対象的に、併設型では、グローバル化に対応した人材育成だとか、特定の教科に特化した教育内容というのをされているように感じました。
 今回こういった会に参加させていただくに当たって、いろいろな事例だかと、効果を報告いただけるんだと思うんですけれども、それをちょっと地元の方にも持ち帰って、いろいろ今後の活動に対して参考にさせていただければと思っております。どうかよろしくお願いいたします。

【小川(正)主査】  ありがとうございました。今、出席されている委員の全員の皆さんから一応自己紹介も兼ねて少し頭出しというか、問題意識を披露いただきました。あと、四、五十分時間がありますので、さらに、今日の文科省の方でやっていただいた中高一貫教育に対する実態調査の結果などを踏まえながら、もう少し中高一貫教育の現状とか、その取組の課題等々を委員の方からまた出していただきたいと思いますし、また、文科省の方で先ほど御報告いただいた実態調査のデータ、様々な統計数字も入っていますので、なかなか短期間で頭の中に入ってこないところもありますので、少しその調査結果の中身について、何か御質問とか、確認したいこともあれば、そういうことも含めて自由に出していただければと思います。
 それと、あとは、こちらからの要望ですけれども、今日の委員のメンバーの中には中高一貫の校長先生方もおられますので、こういうふうな実態調査を踏まえて、実際各学校での取り組みとか、地域での取り組みはこうなっていることも含めてちょっと説明というか、お話しいただければ議論の材料にというか、皆さんのそういう知識を共有するという点でもよいのではないかなと思いますので、是非お願いしたいと思います。
 では、また、どうぞ自由に、どなたからでも御意見を出していただければと思います。じゃあ、小川委員、よろしくお願いします。

【小川(暢)委員】  じゃあ、先ほどに続いて、実体験みたいなお話をちょっとしたいと思うんですが、2年やってみて、ここへきて学習指導要領の変更、その他考えますと、例えば私自身のやっていることは、多くは教職員をいかに質的向上を上げるかということと、保護者の期待に対して、基本的にはクラス担任みたいのが窓口になりますので、そういう保護者の期待に対してどういう面と向かって対応するかということが、あえて言えば、教員組織マネジメントみたいことが大きなことだったんですけど、2年たってみて感じますと、この中高6年間の生徒自身の成長するスピードが非常に速いんですね。ですから、その間に生徒が育つものをどういうふうに育てるかということが基本的にないと、仕組みとか、先ほどいじめの話がありましたけれども、それもある小学校から中学校にかわって、大きく生活が変わって、そこで友達との関係でそのリアクションに耐えられないとか、そういうことからおかしくなるケースがあるんじゃないかと。今、生徒の成長の過程をいろんな形で見ていますと、先ほどちょっと申し上げたスーパーサイエンスの場合、自主的に行動せよという、どんどん外へ出ていって、自分の研究活動を公表するというのが一つの基本方針なのでどんどんやっているわけですか、出ていった生徒は非常にはつらつとして非常に自信をつけて、もちろん相手がすごいとかいって自分の自信をなくすケースもあるんですけれども、非常に飛躍的に進歩いたします。
 それから、もう一ついただいていますテーマは、国際感覚といいますか、海外に出ても、その科学者として堂々と発表できるというテーマ、これを今、私どもの指導方針の2つの柱にしているんですけど、そうすると、どんどん外国の方とも交流する。研修旅行にも出ていくということで非常に進歩いたします。これが中学と高校の中で、6年間でどう進歩するかということを、結果的にその担任を、基本的には中学1年から持ち上がっていくわけですが、その6年間の成長をその担任が見つめるということをねらっているわけなんですが、その先生の教科の力とか、向き不向きで、中学向きの先生とか、高校向きの先生とかちょっと違ったりいたします。
 それから、あと、クラブ活動が中高校一貫してあるわけですけれども、クラブ活動でその人間力を指導しようとすると、クラスの生活とはちょっと違ったベクトルでやらなきゃいけないということがあるので、そこで結果的には教職員のマネジメントみたいなことになるんですが、ですから、この6年間の生徒の非常に飛躍的な進歩に対して、どういうふうな教育の指導、あるいは支援をするかというところがまず基本に、最近2年たって校長やってみて、生徒の顔を見ていると、非常にその点を大変感じるとともに、難しいなという、人間のダイナミックモデルというんですかね、そういう感じがいたします。ちょっと感想で、申し訳ないんですが。

【小川(正)主査】  ありがとうございました。ほかにどうでしょうか。じゃあ、志田委員、よろしくお願いします。

【志田委員】  この春から本校へ来たんですけれども、まず、先生方が、職員の人が言う課題は、小学校6年生終わって、中学1年生から入学をしてきて、それで6年間やっている間に学力の──学力というか、勉強の意欲といいますか、学力の差が非常に大きいので、そこをどういうふうに対応していくのかというところが一番大きな課題だということで、2年ぐらいたって、中学3年、高校1年、我々では4年生、5年生というんですが、そのときにいかに学習意欲を向上させるかということで、いろんな行事を取り入れたり、修学旅行はどこへ行くかとか、そういういろんな工夫をしています。
 それで、また、4年生、後期課程に入りましても、また長くて、メンバーも変わらないものですから、そこの意欲をどうするかということで、本校では、海外研修旅行ということで、4年生の、高校1年生の2月末ですかね、3月ごろに海外研修旅行ということで出かけるんですが、それに向けて、じゃあ、海外へ行ったときにちゃんとコミュニケーションできるようにするにはどうしたらいいかとか。あるいは英語のトレーニングをどうするかというようなことで、継続的に子どもたちと指導しながらやっていると。そういうような行事を入れて、学習意欲を継続させていくという仕組みをつくっていますが、そこのところももうちょっと工夫の余地があるんじゃないかなというふうに感じています。
 それと、あと、先ほどいろんな年齢の子どもたちがいる中で、異年齢交流による生徒の育成ということで、本校ではLFプロジェクトといいまして、リーダーシップ・フォロアーシップを養成しようということで、1年生から6年生まで、各学年3人ずつのグループをつくりまして、18人で一グループということでつくりまして、年間を通じてそのグループで活動するということをやっています。一番最初に入ってきたときに、中学校1年生の子が同じグループの中で学校生活についての悩みとか、そういう学習相談とかというのを行いまして、そうすると、高校3年生の子が、もう中学1年生から見ると大人みたいなんですが、その子が一生懸命中学生の話を聞いて、じゃあ、こういうふうにするんだよというようなアドバイスをしたりして、学校に入るものをスムーズにやったり、また、一緒に体育祭も同じグループの中で体育祭に向けた準備をしたりということをやったり、あるいは学習相談ということで、学習相談というか、将来の夢とかいうのをそれぞれの6年生、5年生が夢を語る。あるいは入ってきた1年生、2年生が夢を語るというようなことをやって、異年齢交流による生徒の育成というのをやっておりまして、その中で、1年生なんかは、入学当初はすごく燃えて入ってきておりますので、こういうことをやりたい、ああいうことをやりたいということを1年生が言うと、ちょうど中だるみをしている3、4年生辺りが、あっ、すごいなというふうに感じるようなことがありまして、そういう面では、異年齢交流というのもまた、3年間の異年齢じゃなくて、6年間という幅の広い異年齢という意味では成果があるのかなというように感じております。また、ちょっと長くなりますので、終わります。

【小川(正)主査】  ほかに、どうぞ。今の志田委員とか、小川委員にちょっと私の方から質問なんですけれども、先ほど文科省の方から説明された中高一貫教育に関する実態調査の結果を見て驚いたというか、ある意味では推測はできていたんですけれども、中高一貫教育実施に当たっての課題ということでは、大きく2つの課題が突出していますよね。1つは、生徒間の学力差をベースにした個に応じた指導方法をどうやって確立していくかということと、おそらくそれと対応すると思うんですけれども、教職員の負担増というのが非常に多くなっていますよね。ただ、併設型が非常にその点は少ないんで、何で一貫と連携が教職員の負担増が大きいのに、併設型はこんなに少ないのかなって、ちょっとよくわからないんですけれども、やはりあれでしょうかね。先ほど小川委員の方からもあったように、この中高一貫の中で学力の格差ということと、もう一つ、生徒の成長が非常にスピードが速いと。そうしたことに対応するために様々な新しい指導上の工夫、改善とか、あと、教材等々の改善とか、あともう一つは、一貫校ということで、かなりいろんな特色ある教育活動とか、特例の活用というのがやっぱり中高一貫の特徴ですので、そういうところに大分教師のエネルギーが注がれて、どうしても負担増になっているというふうなこととして理解していいんでしょうか。
 もしもそういうことであれば、そういう負担増とか、忙しさに対応して、実際どのような対策なんかとられているのかというのを少し、事例なんかも含めて、もしもあれば教えていただきたいんですけれども。

【小川(暢)委員】  まずは、何といっても、基本は、我々が生徒一人一人をちゃんと見るという教育の精神があるわけですが、情報を先生方が共有するというんですか、小学校のときの先生、担任と違って、クラス担任と教科担任とクラブ活動、おそらく一人の生徒に対して指導する側面に持つ先生方は最低3人ぐらいはいると思うんですね。何かその生徒にいろいろ起こったときに、どういうことが起こっているかというのを共有、少なくとも今の場合だと3人、情報を共有しなければいけないので、その辺が先生方、独特の自分の個性をお持ちなので、その情報を共有するということが非常に大変です。
 それから、先生方も休養してもらわないといけないということなので、今のことからいいますと、週休2日をもつために、今、私ども6日制したんですが、日曜日は休みとして、土曜日は半ドンですけど、出るとしますと、交代でもう1日先生方は休んでもらうということでやるわけで、そうすると、担任のかわに副担任がそのクラス、ホームルームをやるとか、そういう先生のシフト表というんですかね、それで、教科もいろいろと担当していますので、そこに実は非常にシンプルなようで、先生方もいろいろ体調が悪いとかいうこともたくさんありますので、そこに結構エネルギーがかかりますので、この課題の教職員の負担増というのについては、非常にエネルギーかけて軽減するかというか、お互いにチームプレーをするということを今、これは企業ではそういうのは当たり前なんですけども、学校ではなかなか難しいので、これに相当エネルギーを注いでいると思いますね。

【上野委員】  ちょっと今のことでコメントいいですか。何か新しいことを始めようとするときに、必ず負担増ってありますよね。ところが、おそらく今の問題は、現在、すこし違うと思うんです。もう既に負担増がかなり苦しいところまでいっていて、これを始めてさらに負担があるということを問題にしないといけないんだろうと思います。
 こういうのを前にちょっと聞いたことがあるんですよ。正しいどうかわかりません。でも、そのとき驚いたので。3年ほど前に、千葉県内で高校生諸君、一部中学生も含めましたけれども、できるだけ答えのないターゲットに対する研究活動をもっとやらせようというので、いろいろな高校の先生方にお願いしないといけないことがあった。どうも大変忙しそうなので、こういう質問をしたんですよね。私立と公立とは違うと思います。私が言っているのは県立とか、千葉市立というような感じの高校の話です。教育委員会から各高校へどれくらい、いわゆる通達みたいなのがいくんですかって聞いたら、1,000件ぐらいありますと言っていましたね、1年間に。増えているんですと。1,000件というのは、毎日働いているとして、1日3回いくんですよね。必ず何か対応しないといけないことが多いですね。大変な負担になっているというお話しされていました。
 だから、何かをやろうとしたら、必ず仕事が増えるのはそれは仕方がないんだけど、もうぎりぎりのところまで増えているという状況があって、かつその増えているのが、いつも頑張ってくださる先生方に集中している。昔は、高等学校の先生、高等学校に電話をかけてつかまらなければ、例えば7時とか、8時に家へ電話をかければ大体つかまったんです。今はもっと遅くまでつかまらないですね。ということは、大変忙しくなって、生徒さんたちに向かう時間がどんどん減っているんでしょうね。多分中高一貫で併設校とか、連携校よりは、多分中高一貫という学校の方がいい例になると思うんですけど、おそらくつくって間もないのでどんどん仕事がふえているでしょう。そうすると、おそらくスーパーマンがそろってないと、当初の目標を実現していくというのはかなりきつい状況にはなっているんじゃないかしらと思います。私立の場合は、多分状況は随分違うと思います---校長先生の決断でいろんなことをやれますから---。そういう状況もある程度基本情報として共有しておくのは必要かなと思います。

【小川(正)主査】  公立の中等教育学校の志田委員、どうですか、その辺り。

【志田委員】  先生方を見ていますと、教員負担ということで、本校できて初めからいる、8年間いる先生を見ていますと、大分慣れてきているというので、そんなに忙しそうに見えないんですが、異動されてきて1年目、2年目の方というのはやはり相当忙しいということをおっしゃる方が多いです。その原因としては、どうしても今まで高校の教員ですと、前期課程の中学校の分野も教えないといけないということで、今まで全く教科書も見たこともなかったり、研修したこともなかったという場合ですと、そこから始めないと駄目なものですから、その辺の負担が大きいのかなということがあります。
 それと、あと、行事も、先ほど話ししましたように、たくさんございますので、それにかかる準備等の業務も多いと。それと、あと、PTA活動とか、地域の活動もそうなんですけれども、高等学校ですと、あまり地域密着、市と密着型ではあまりないんですけれど、市町村立の中学校ですと、地域ともう密着型ということで、かなりPTA活動が多いのかなと、私自身はそう思いまして、それが中学校のPTA活動、高校のPTA活動という2つ参加するということになりますので、そうすると、本校の場合は各学年2クラスで、教員の数が30人ということで、通常の高等学校よりも規模が少ないと。それでそういう行事とかにかかわるという部分があって、やはりその辺も負担かなと。
 それと、先ほどもお話がありましたが、新しくできたばっかりで、まだ8年ということですので、いろんな分掌等がありますけれども、その辺がまだうまく整理されていないというところで、負担感があるんじゃないかなと思っています。
 それで、今、分掌の方も見直してほしいということで、教務の方に話をして、じゃあ、分掌を見直そうということで、今、動いていて、人数が少ないところの分掌は多くするという形で、今、まず、分掌、進路指導部とか、教務とかというところの分掌でシステム化を、人数配分を変えたりしながら効率化を図ろうと。それと、年度当初に忙しいというのがわかったので、とにかく自分たちがやっている仕事を洗い出してくださいと。それで、そこの中で優先順位をつけて、もうあまりしなくていいのはやめるということをしないと駄目だということで今、話をしているんですが、その辺も動きながらなのでなかなか進まないということもあります。
 あと、負担感の中で教材研究というものは先ほどお話ししたんですが、それぞれの今の実態を見ると、1年、2年、3年で教えるときにそれぞれの担当が年度ごとに変わると、新しい課題をつくったり、プリントをつくったりしているケースがあるので、その辺を各教科でそれぞれ課題をつくって共有をしていくと。そういう仕事の見直しをしながら、効率化を図っていくのを今まで積み重ねてなかったものですから、これから積み重ねていって、何とか業務の効率化を図ってほしいということで、今、年間の指導計画とか、どういうことを共通でやっていくのかということを今、つくっているところであります。何とか、その辺のシステムをうまくつくっていって負担増を減らしていければなということで、今、工夫をしているところであります。

【小川(正)主査】  ありがとうございました。ほかに、じゃあ、中川さん、そして、次に、向山さんということで、よろしくお願いします。

【中川委員】  私立の学校につきましては、非常に大きいのは親の経済的な負担です。親にしてみると、公立に比べて、私立学校は高い月謝、その学費負担の格差があまりにも大きくなり過ぎています。そこへもってきてこの不況ですから、新しい試みに取り組みたくても、そこから先に進めない、そういう悩みを私立学校は抱えています。文科省さんにも少しでも親の学費の負担軽減をお願いしたいと思います。

【向山委員】  私、小学校の校長なんで、ちょっと幼小の連携、小中の連携というのは、これまでやってきていますし、今もやっているんで、割合容易に想像つくんですが、中高一貫のはちょっと不案内なので、2つ質問させていただきたいんですが、1つ目は、この8-1の資料で実態調査をしていただいて、まだ、この席上見ただけなのでちょっと落としかもしれないんですがね、中高校、円滑な接続をしていく。いろんな学校の形態をつくって、円滑な接続をしていくと。これはよさもあります、課題もあるってわかったんですが、円滑な接続をしていくということと、中と高を一緒にすると、いわゆる中学校から高等学校、新しい環境に行くという、何というんですかね、非連続の育ちというんでしょうかね。今日から僕は高校なんだ、どこどこの高校なんだという、そういう新しい分野に、未知の世界に入るみたいなね、そういった成長の節目というのはもしかしたらあるのかもしれない。その辺が中高一貫のときに、もしかしたら、そういう経験の回数が減るわけですから、その辺のもしかしたらデメリットがあるのどうかということ、ちょっと率直にお聞きしたいんです。
 それから、もう一つは、先ほどの古川委員なんですが、いろいろな課題を挙げていただいた中に、中学と高校の文化が違うというような、文化が違うというようなお言葉をたしかお使いになったと思うんです。私なりに想像つかないことはないんですが、これは教員の意識や環境、文化、いろいろなんでしょうが、もう少し具体的に中学と高校、文化違うのは説明していただけるとありがたいんですが、以上2点です。1点目はどなたでもいいです。

【小川(正)主査】  1点目、どなたがいいでしょうかね。

【向山委員】  御経験のある方がいいんですが。

【小川(正)主査】  やはり中高一貫校の校長先生にお願いできますかね。よろしいですか。

【志田委員】  はい。確かに中学から高校へ行くときに変わらないというところで、子どもたちの意識が変わらないというのはあります。ほかのところでは高校1年生という意識があるんですが、本校では中等の4年生という意識で、それで、また中学3年生においても、ほかの中学校ですと、最高学年ということで、2年生、1年生の面倒を見るという部分がありますので、その辺が変わらないというところでは、やはりそういう意味での意識の問題があると思います。
 本校では、その辺のところをクリアするために、前期課程で前期課程の生徒会というのをつくって、やっぱり最高学年なんだよという仕掛けをしたり、あと、前期課程の総復習のテストを、アチーブメントテストというのをやりまして、何とかそれに向けてみんなで頑張らせて、で、終わると認証式ということで、何とか区切りをいったんつけるというような仕掛けをしております。
 あと、文化の違いの具体的なものなんですけれども、中学校の先生方、義務教育課の籍ですので、義務教育課籍の先生と、我々高校だと高校教育課籍の文化が違うというので、まず、生徒指導の感覚が大きく違います。それは何が違うかといったら、中学校では一般に退学とか、謹慎とかいうのはございませんが、高校ですとそういうものがありますので、そのときの対応の仕方、判断の仕方が違ってきますし、中学生への生徒指導と高校生への生徒指導、年齢に応じた対応の違いというのが、やはりそれぞれバックボーンにありますので、こういうことも感覚的に違うというものがあると思います。
 あとは、授業といいますか、授業の中でも先を見通した授業といいますか、高校の教員というのは、大学入試があったり、あるいは大学へ行ったりというロングスパンで上の方を見ているんですが、中学校の方はあんまり、うちの先生方の話ですけれども、高校から先というのはあんまり見てないという意味で、中学校の中で終わっている。高校は、逆に言うと中学校を知らないという、そこで教え方が若干違っているといいますか、特に数学の例をとりますと、中学校の教科書と高校の教科書というのは全くスタイルが違いまして、そこのところの認識の違いがないままに授業を教えたりするから、中学生にそんな高校の教え方してわかるわけないじゃないかと。中学校の先生は、今度高校の生徒に丁寧に教えちゃうから、そんなまどろっこしいことをやっていたら駄目なんじゃないかという、そういうようなところが文化の違いというようなことじゃないかと思います。

【小川(正)主査】  ほかにどうでしょうか。じゃあ、古川委員、よろしくお願いします。

【古川委員】  すいません。私が申し上げましたことまでちょっと。むしろ括弧つきで表現しておいた方がよかったかなと。私も教員ですので、あまり強調すべきことではないなとは思っています。実感としてあるというぐらいことで御理解いただいたらいいと思うんですが。
 今、ありましたように、中学校の教員の場合は、自分たちは15歳で義務教育を修了させる、一人前に子どもに仕上げるという意識がやっぱりあるんですよね。国の義務教育の最後の出口を担っているという意識が我々あります。しかし、高校の場合は義務教育でありませんので、その辺の意識は若干違うのかなと思います。今、私ども、科学研究費をいただいて、保護者のクレーム対応についての全国調査等いろいろやっているんですが、幼稚園、保育所、小中の先生はその辺の保護者のクレームの問題についてはかなり敏感なんですが、高校もないこともないんですが、高校の先生になってまいりますと、その辺りがそんなに多いのという形で、まあ、高校も増えているわけですが、その辺のところもかなり保護者との距離といいますか、連携といいますか、そういったところも、それは当然家庭訪問でありますとか、保護者との連携の、そういったことにも出てくるかと思います。
 それから、よく言われるのは、学校組織が小学校は担任で動き、中学校は学年チームで生徒指導を含めて共通意識で動くと、高校は教科で動くというようなことですから、高等学校を見聞きしていますと、本当に、こんな場で何ですが、指導要領を買ってもなかなか読んでくれない、見てくれないというふうなことをよく聞きますし、その辺のかなり学年と教科の差というか、中高の差があるのではないかなと、そんなふうに思っています。
 発言のついででよろしいでしょうか。1つお教えいただきたいのは、特例が中等教育学校には幾つかあるということを先ほどお示しいただいたわけですが、人的配置の特例というのはどういったものがあるのかというのがあればお教えいただきたいということです。今の前の第7次は、少人数指導ということで、教員の特別配置が全国的に義務教育学校で行われました。その前には第6次教職員配置ということで、チームティーチングということで行われました。私どもも、そのとき、全国調査をしたんですが、チームティーチングの研究のときには、国立附属学校があまり研究の指導的役割を担えなかったということがあるんですね。その次の総合的な学習の導入のときについては、国立附属学校が非常に先導的な例をたくさんお示しいただいたんですが、それはなぜかなということを当時考えたのは、チームティーチングのときには、公立小中学校には人的配置を、プラスの教員を配置していただけたんですよね。たしかそのとき、国立の学校には特別教員の配置はなかったんではないかというふうに私の記憶で思うんですが、その辺りでプラスアルファの人材が入ったときの公立学校での教員のダイナミックな展開の仕方とか、教授組織の在り方とか、その辺がかなり違っていたなと。国立大学の附属学校からあまりそういったことで具体的な提案がなかった。それは人的配置を特別にするかしないか、プラスの教員が入るかどうかのことだろうと。これは、そういう意味でやはりちょっと中等教育学校における人的配置でどのような特例とか、あるいはプラス措置とかいうのが行われているのかいう辺りをお教えいただけたらありがたいなということでございます。

【小川(正)主査】  最後の質問のところで、文科省の方で何かわかりますか。

【小谷教育制度改革室長】  はい。中等教育学校につきましても、中等教育学校の前期課程については中学校、後期課程については高等学校、それぞれ公立につきましては、いわゆる義務標準法、高校標準法という法律がございまして、前期課程については、中学校と同様の措置、後期課程については高等学校の同様の措置がとられております。それで、あとは、各都道府県の方で、今、義務につきましては、国庫負担の方が総額裁量制という形で、かなり自由な形で都道府県の方が御活用いただけるような形に措置しておりますので、各都道府県の設置者の判断でひょっとしたら中高一貫について特例を設けていらっしゃるというようなところもあるかもわかりませんが、実態としてはそれぞれだと思っております。

【小川(正)主査】  その辺の実態はわからないんですよね、公立のそういう中等教育学校とか、連携なんかで各都道府県が何か特例的ないろんな活動を促すために人的配置している、何か実情はあんまりまだわからないですか。

【小谷教育制度改革室長】  その点については、今回の実態調査の項目ではちょっと入ってませんでしたので、じゃあ、事務局の宿題とさせていただきます。

【小川(正)主査】  古川さん、そういうことでよろしいでしょうか。
 残り、あと10分程度ぐらいしかないんですけれども、あと、何でも構いませんので、あれば、じゃあ、山本委員、どうぞ。

【山本委員】  すいません。PTAの立場というか、とりわけ保護者の立場で、もし資料があればお聞きしたいんですが、先ほど古川委員の方から、いじめに関してとかくニューカマーの子どもたちがその対象になりやすいというお話だったんですが、例えばその一貫ということで、6年間通して同じ学舎にいるわけですけど、そういったことでいじめに関する前向きな改善報告だとか、そういった事例、逆に悪くなったとか、そんなことがあれば参考までに教えていただきたいと思うんですが。

【小川(正)主査】  よろしいですか。この作業部会の主要なテーマとは直接的に関係するようなことではないかもしれないんですけれども、その辺は、じゃあ、事務局の方で何らかの形で対応させていただければと思いますけれども、よろしいですか。

【小谷教育制度改革室長】  はい。

【小川(正)主査】  皆さんの方から何かございますか。次回以降は、先ほど事務局の方から説明があったように、テーマをもう少し絞りながら、1回ごとにそのテーマに即したヒアリング等々も入れて議論を深めていくような形で進めていくことになりますが、次回以降の運営についての御要望等々もあれば出していただきたいと思います。はい、じゃあ、河合委員、どうぞ。

【河合委員】  先ほども中だるみの問題がありましたけれども、当初導入するときに、想定される問題、起きるかもしれないというその問題については随分と御議論されていたと思います。ですので、次回からもう少し各論に踏み込んでやっていくときには、当初どういうことが問題になっていたのかということを、事務局の方で少し整理していただいて、それに関する調査等も途中で、国研の方でも工藤先生とかされているかと思いますので、そういう資料も含めながら、少しエビデンスに基づいたところでの議論を進めていただければと思います。
 先ほどの教員間のストレスの問題もそうですけれども、この19ページのところでは、連携型の簡単な、なぜそういうことが起きているかということについては少し書かれていますけど、距離的に遠いということ等があるのではないかとか、こういう負担の内容とか、6年間の教育の中で、中だるみも含めて、逆に6年間で一貫してやっていけるから、その当時非常に問題になっていた人間性とか、生きる力とかいうものを子どもたちの中で、生徒たちの中で形成できるのではないかとか、いろんな点があったかと思いますので、是非問題点を一度、そのときに問題になっていたものは何かということを挙げていただいて、そこから少し議論していただければと思います。

【小川(正)主査】  重要な視点の1つかと思いますので、よろしくお願いします。
 ほかに、よろしいでしょうか。じゃ、なければ、次回の予定について事務局の方からよろしくお願いします。

【小谷教育制度改革室長】  次回でございますが、12月13日の月曜日の13時から15時、12月13日月曜日の13時から15時の、文部科学省旧庁舎6階、第2講堂で開催を予定しております。また、改めて開催通知により御案内させていただきます。次回は、先ほど河合委員からも御指摘ございましたが、実態調査であらわれている課題、あるいは成果など、制度導入当時の考えられていた成果、課題などと照らし合わせながら、そういった点につきまして、中高一貫校からのヒアリングなども行って御審議を深めていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【小川(正)主査】  じゃあ、少し早めですけれども、これで今日の会議を終わりたいと思います。ありがとうございました。

── 了 ──

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