特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第15回) 議事録

1.日時

平成24年2月13日(月曜日)15時00分~18時00分

2.場所

文部科学省東館3階 第1講堂

3.議題

  1. 合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ報告について
  2. その他

4.議事録

【宮﨑委員長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第15回中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会を開催いたします。
 本日は御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、青山委員、安彦委員、岡上委員、乙武委員、貝谷委員、木舩委員が御欠席です。なお、石川委員長代理につきましては、どうしても熱が下がらないということで、欠席という連絡が入りました。その他の委員は御出席です。
 なお、毎回申し上げておりますが、本委員会においては御発言される場合には、必ず挙手をした上でお名前を述べてから御発言をいただきますようお願い申し上げます。また、通訳の方のために、御発言の際にはゆっくり御発言をいただきますようお願い申し上げます。
 さて、本日は城井文部科学大臣政務官に御出席をいただいております。一言御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【城井政務官】 皆様、こんにちは。ただいま御紹介をいただきました文部科学大臣政務官を拝命いたしております城井崇と申します。本日の特別支援教育の在り方に関する特別委員会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、本当にお忙しい中にもかかわらず、この特別委員会に御出席をいただきまして本当にありがとうございます。また、これまで14回にわたり専門的な見地から議論を深めていただいておりますことにも心より敬意を表し、また、感謝を申し上げたいと思っています。
 本日は、特別委員会の下に置かれました合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループの報告が行われると伺っております。この報告を取りまとめていただきました主査の尾崎委員をはじめ、ワーキンググループの委員の皆様のお力添えに、このことにもお礼を申し上げたいと思っております。また、委員の皆様におかれましては、この本日の報告を受けまして、この委員会における議論の取りまとめに向けてさらに御議論を深めていただければありがたいと思っております。
 さて、昨年の8月に、皆様御承知のとおり、障害者基本法が改正されました。可能な限りということになるかもしれませんが、障害をお持ちのお子さんが、障害をお持ちでないお子さん方と共に教育を受けられるように配慮をするということが規定をされました。文部科学省といたしましても、障害のあるなしということにかかわらず、それぞれの子どもたちが共に生きていくことができる、共生できる社会の構築を、教育の現場からもさらに押し進めていくことが大変重要であると思っています。何よりも子どもたちを真ん中に置けるかどうか、真ん中に置いた仕組みづくりということがなされますように、皆様方におかれても引き続き活発な御議論をいただけたらと思っています。
 皆様方からいただく知恵や経験、提案については、私を含めて文部科学省の政務三役、大臣、副大臣ともしっかりと共有をして、一つ一つ形にしていくということをお約束申し上げたいと思っております。本日もどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 城井政務官におかれましては、所用のために御退席をなさいます。
 本日の議題に入る前に、今回、事務局で異動があったようですので、あわせて御紹介をお願い申し上げます。

【前田特別支援教育課課長補佐】 特別支援教育課、前田です。
 それでは、事務局で異動がございましたので紹介いたします。山中文部科学審議官です。

【山中文部科学審議官】 山中です。よろしくお願いいたします。

【前田特別支援教育課課長補佐】 布村初等中等教育局長です。

【布村局長】 布村と申します。よろしくお願いいたします。

【前田特別支援教育課課長補佐】 関大臣官房審議官初等中等教育担当です。

【関審議官】 関です。よろしくお願いいたします。

【前田特別支援教育課課長補佐】 以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、議事に入ります。本日は、合理的配慮等環境整備ワーキンググループ報告について御審議いただきますが、前半では報告について主査である尾崎委員から御説明をいただき、意見交換を行うことといたします。後半では、ワーキンググループの報告のうち、関連事項として当委員会に検討を委任されているものについて御審議いただきたいと思います。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【前田特別支援教育課課長補佐】 それでは、まず、先生方のお手元にございます資料につきまして過不足がないか、先に確認させていただきます。
 議事次第です。資料1と題しまして「平成24年度特別支援教育関係予算(案)について」、資料2「特別支援学校等における医療的ケアの今後の対応について(通知)」、資料3「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査の実施について」、資料4-1「合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ報告(概要)」、資料4-2「合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ報告」、資料5「障がい者制度改革推進会議差別禁止部会(第12回)議事録」、資料6-1「特別支援教育の在り方に関する特別委員会論点整理抜粋」、資料6-2「特別委員会(第11回)における早期からの教育相談・支援についての事例紹介(概要)」、資料6-3「子ども・若者ビジョンについて」、資料6-4「教職員の確保及び専門性の向上についての論点」、資料6-5「特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第12~14回)における教職員の確保及び専門性の向上に関する主な意見」、資料7といたしまして大南委員からの御提出資料、参考資料といたしまして本委員会の委員名簿です。
 過不足がございましたら事務局までお申し出ください。よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入ります。本日、御審議いただく基となる資料以外の資料につきまして、簡単に事務局の方から報告いたします。資料1から3ですが、まず資料1、平成24年度特別支援教育関係予算案について報告いたします。
 資料1「平成24年度特別支援教育関係予算(案)について」です。一つ目の特別支援教育の推進としまして、(1)から(3)に事業があります。81億円ですけれども、(1)として、来年度から特に早期からの情報の提供、相談会の実施に教育委員会等で取り組んでいただき、柔軟できめ細やかな対応ができる一貫した支援体制を構築する事業に加えまして、高等学校における発達障害のある生徒への職業教育、進路相談の充実、関係機関との連携や、学校への巡回相談、専門家チームによる支援等々、特別支援教育の充実に資することとなるような総合推進事業等として1億円を計上しているところです。
 (2)です。特別支援教育就学奨励費として78億円を計上しています。
 (3)ですけれども、弱視児童生徒のニーズに対応した拡大教科書の普及や、教科書デジタルデータの提供など、教科用特定図書等の普及推進事業として1億円を計上しているところです。
 2ですけれども、少人数学級の更なる推進等によるきめ細やかで質の高い学びの実現として、35人以下学級の他に、特に二つ目の丸の中ポツですけれども、発達障害等の児童生徒のための通級指導の充実など、特別支援教育の対応として600人ということです。
 1枚おめくりいただきまして、公立学校施設の耐震化及び防災機能の強化等です。東日本大震災におきましては、学校施設が児童生徒の命を守るだけでなくて、その学校施設が避難所として機能し、その安全性の確保が極めて重要であるということが改めて再認識されたところですけれども、このため全国的に緊急性、即効性のある防災対策を講じる観点から、既存施設の補強や改築など、地震から児童生徒の生命・身体の安全を確保する事業を公立学校施設全体で1,246億円を計上しています。この中には特別支援学校も含まれています。
 4の緊急スクールカウンセラー等派遣事業ですけれども、これも東日本大震災におきまして被災した幼児児童生徒、あるいは教職員等の心のケア、それから保護者への助言、援助といった観点から緊急スクールカウンセラー等の派遣の事業として予算額案として47億円を計上したところです。このことにつきましては、大変お手数ですけれども、8ページを御覧ください。
 3ページ以降に、今まで説明した事業の概要等の資料があります。8ページの緊急スクールカウンセラー等派遣事業の資料の下に枠囲みがありますけれども、その中に心のケアの対応、進路指導・就職支援、生徒指導体制の強化に加えまして、障害のある子どもへの支援という枠があります。この事業は外部専門家の派遣ということで、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、児童精神科医等々の先生方に外部専門家として障害のある子どもの学習活動の充実を図るための支援をしていただくという事業であり、こういった事業も中に盛り込んでいるところです。
 以上が資料1、予算に関する説明です。
 駆け足で大変恐縮ですけれども、資料2を御覧ください。資料2は「特別支援学校等における医療的ケアの今後の対応について(通知)」ですけれども、この資料の19ページに「特別支援学校等における医療的ケアの実施に関する検討会議の設置について」があります。これまで医療的ケアは、学校におきましては違法性阻却という考え方に基づきまして、現に行ってきていただいたところですけれども、昨年の6月に厚生労働省の方で社会福祉士及び介護福祉法の一部改正が行われ、今年4月からの施行ということになっています。そこでは一定の研修を受けた者については、一定の医療的ケア、特定の行為ができるという制度改正ですけれども、特別支援学校の教員についてはどういった留意事項が必要かということで、昨年の10月に検討会議を設置し、御検討いただいたところです。
 そのまとめが本日お配りしている資料2の通知です。昨年12月に既に発信しているものですけれども、内容について、ポイントを絞って説明したいと思います。
 1枚おめくりいただきますと、2ページの下段、2の制度改正の概要ということで、今回の厚生労働省における法律の改正に基づいて、どのような行為が医療的ケアとして実施できるかということで、五つございます。口腔内の喀痰吸引、鼻腔内の喀痰吸引、気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃ろう又は腸ろうによる経管栄養、それから経鼻経管栄養、この五つです。
 この五つについて、どのような者がどのような要件の下にできるかということを3ページ以降に記載しておりますけれども、3ページの3特別支援学校における医療的ケアを御覧ください。1の特別支援学校における医療的ケアの基本的な考え方、(1)です。医療的ケアを行う場合には、看護師及び准看護師(以下「看護師等」という。)の適切な配置を行うとともに、看護師等を中心に教員やそれ以外の者(以下「教員等」という。)が連携協力して特定行為に当たるとしています。
 (2)としまして、その特定行為に当たる者です。3行目ですけれども、特定の児童生徒等との関係性が十分ある教員が望ましいこと。また、教員以外の者については、例えば介助員等の介護職員についても、上記のような特定の児童生徒等との関係性が十分認められる場合には、これらの者が担当することも考えられることという整理をしています。
 4ページ目ですけれども、都道府県等教育委員会における体制整備としまして、(1)の1です。都道府県等教育委員会は、看護師等の配置や、医療安全に関する指針の提示(ヒヤリ・ハット等の事例の蓄積及び分析を含む)、こういったものについて総括的に管理する体制を整備いただきたいとしています。
 (2)の認定特定行為業務従事者の養成です。これは特定行為を行う人、教員等ですけれども、教員等が実施するのは特定の児童生徒等の特定の行為に限られるものであること等を踏まえ、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則附則第13条における第3号研修の修了を前提としていただきたいとしています。この研修は基本研修と実地研修で構成されている研修ですけれども、基本研修9時間、プラス実地研修と位置付けています。
 同じ(2)の3です。研修を修了した人については認定証が交付をされるということですけれども、認定証につきましては有効期間がありませんので、休職で一定期間特定行為を行わなかった場合には、必要に応じて学校現場で実技指導等の実践的な研修を行うこととしています。
 (3)研修機会の提供です。誰が研修機会を提供するのかということですが、教員等を医療的ケアを行う者として養成する場合、これは都道府県等の教育委員会が登録研修機関となることが考えられるとしています。
 6ページ目です。(5)の特定行為を実施する場所ですけれども、1として、教員等が特定行為を行うのは、児童生徒等の教育活動を行うためであることを踏まえ、始業から終業までの教育課程内における実施を基本とする。また、遠足等の校外学習の実施に当たっては、校内と比較してリスクが大きいことから、看護師等の対応を基本とすることとしています。
 2にスクールバスの送迎においての留意事項があります。移動中の対応は危険性が高いことなどから、看護師等による対応が必要であるとともに、看護師等が対応する場合であっても慎重に対応することとしています。
 7ページ目の特別支援学校以外の学校における医療的ケアです。これまで違法性が阻却されるとして現に行ってきた行為は、特別支援学校における行為でしたけれども、今回、法律が改正され、小中学校等においても、制度上医療的ケアを実施することが可能になるということですので、その医療的ケアを実施する場合の留意点です。
 (1)として、小中学校等においては、原則として看護師等を配置又は活用しながら、主として看護師等が医療的ケアに当たり、教員等がバックアップする体制が望ましい。
 (2)として、特定行為が軽微かつ実施の頻度も少ない場合には、介助員等の介護職員について、特定の児童生徒等との関係性が十分認められた上で、その者が特定行為を実施し、看護師等が巡回する体制が考えられることという形で、小中学校等における医療的ケアを実施する場合の留意点をまとめております。
 なお、この通知の内容につきましては、昨年の12月21日に都道府県教育委員会等向けの説明会を実施しており、都道府県教育委員会等において、4月1日からの実施に向けて鋭意準備をいただいているところです。
 資料2の説明につきましては以上です。
 資料3「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査の実施について」です。障害者基本法の改正もあり、障害のある子どもとない子どもが共に学ぶという規定が新たに設けられたところですけれども、今回、調査の目的としまして、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒の状況がどのような状況、数になっているのかということを、今後の施策の在り方等の検討資料として調査するということです。
 実施内容は二つありまして、一つ目が、通常の学級に在籍する学校教育法施行令22条の3に規定する障害の程度に該当する特別な教育的支援を必要とする児童生徒の調査として、既に1月に調査を依頼しているところです。これにつきましては、今年の春頃までに取りまとめて公表したいと考えております。
 それから、(2)ですけれども、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒の調査としまして、これは平成14年に文部科学省で調査をしたという経緯がありますけれども、今回、それから10年が経過しているということで、現在、協力者会議を設置しまして、この特別委員会の中からも大南委員、それから太田委員にお入りいただいているところですけれども、調査事項、実施方法等について現在検討中です。
 スケジュールとしましては、平成23年度中、今年度中に調査を実施して、今年の秋頃までには公表するというスケジュールです。
 それから、実施対象・方法は、先ほど申し上げました学校教育法施行令22条の3に規定する障害の程度に該当する者の調査につきましては全県調査(被災3県及び仙台市を除く)として、全小中学校を対象に行う。(2)につきましては、抽出としまして、被災3県及び仙台市を除く全県の中から小学校1年生から中学校3年生までの全国約5万4,000人を調査対象とするということです。
 資料1から3の説明につきましては以上です。

【宮﨑委員長】 今の説明で何か御質問ございますでしょうか。よろしいですか。どうぞ。

【齋藤委員】 全国心臓病の子どもを守る会の会長をしております、また、前足立区の教育長の齋藤です。
 ただいま御説明いただきました医療的ケアの今後の対応についての7ページの説明で、4の特別支援学校以外の学校における医療的ケア、ここなのですが、前ページの方は非常に細かく書いてあるのですが、ここがさらりとなっておりますので確認なのですが、(1)は基本的には看護師等が配置、あるいは活用というように読めると思います。(2)についても、看護師等が巡回する体制がと書かれているのですが、このあたりは、どの程度の体制を考えられているのでしょうか。
 つまり、通常の学級あるいは特別支援学級を抱えている地域の学校の中で、医療的ケアを必要とするお子さんたちを受け入れていけるかどうかということが就学支援委員会における判断のときに非常に迷うところであり、非常に重要なところであると思いますので、この辺はどの程度なのかということをお聞かせいただきたいと思います。

【前田特別支援教育課課長補佐】 今、齋藤委員から御指摘いただきました、小中学校等における医療的ケアですけれども、先ほど申し上げた調査の中に項目として入れています。これまで特別支援学校において医療的ケアを必要とする児童生徒の数、それからそれに御対応いただいている先生方の数の調査を毎年行ってきたところですけれども、小中学校につきましては調査したことがありませんでしたので、これから調査をして、その実態を把握したいということです。
 それから、看護師等の配置又は活用というところですけれども、齋藤委員が御指摘のように、原則として看護師を配置又は活用とございますので、あくまでも教員はバックアップをするという役割です。看護師等の配置につきましても、各教育委員会、自治体の方に小中学校においてできるだけ看護師等を配置していただきながら、小中学校における医療的ケアを実施していただきたいと考えているところです。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。

【齋藤委員】 あまり変わりはないということですね。

【宮﨑委員長】 実態としてはこれからいろいろ調査をされた上で、今後の方向性を出していただくということになるのだろうと思います。
 担当していただきました北住委員。

【北住委員】 むらさき愛育園の園長の北住です。この検討会議の委員でもありましたので、補足いたします。
 今までの制度とは、一つポイントとして違いがあります。それは、特別支援学校における場合には看護師が常駐するということが条件でした。今回の改正の中では、例えば、老人施設等で夜間、看護師がいない中でも利用者に対してケアが必要となる状況も想定されています。そうすると、その時間帯に看護師が常駐するということは必要条件ではなくなっています。その中で学校においても、看護師が必ずしもその場にいなくてもできるということがあります。そういう意味で幅が広がったわけです。それから、看護師も常に学校にいないとそういう生徒への対応ができないということは必ずしも絶対条件ではなくなってきたということです。ただ、それが安全な形で確保できるようにということで、基本的に看護師が、ですからここで、言葉の中では(1)の方に「配置又は活用」となっているのは、そのような意味を含めてのことです。その意味では基本的に幅が広がったということです。
 これはいろいろ議論がありますけれども、教員でなくても、きちんとしたトレーニングや研修に向けた、いわゆる介助員的な方がしっかり入ってきて、そこで医療的な面ではサポートしながら教育を受けるという形もできてきています。ただ、資格があればその生徒のケアがすぐできるわけではありませんので、特定の児童生徒との関係性が十分認められた上で、その生徒の状態をよく理解して信頼関係がしっかりできる状況ということが基本的な条件となっております。
 以上、補足いたしました。

【宮﨑委員長】 北住委員、ありがとうございました。
 恐らく、特定の児童生徒との関係性というところのウエートが非常に高くなっているような中身になっているのですが、今後、実態を見極めながら進んでいくことになるのだろうと思います。ありがとうございました。
 続きまして、具体的な議事に入ってまいりますが、合理的配慮等環境整備ワーキンググループ報告についてです。ワーキンググループでは昨年の7月から本年の1月13日まで8回にわたって精力的に御審議をいただきました。そして、本日、報告が取りまとめられたものの内容についてお示しをいただいております。まず、ワーキンググループの主査として御尽力をいただきました尾崎委員より御説明をお願いしたいと思います。

【尾崎委員】 尾崎です。それでは、説明に入ります。
 資料4-2のワーキンググループ報告を御覧ください。まず、41ページの別添1を御覧ください。5月27日に当特別委員会で設置が決定されました合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループは、合理的配慮について及びその他の環境整備について検討することとなり、42ページにありますけれども、別添2の委員により審議を行いました。私が主査を務めまして、河本委員に主査代理をお務めいただきました。
 43ページの開催状況にありますように、短期間ではありましたが、8回会議を開催し、各委員には精力的に御審議いただきました。会議での審議に加えて、各委員におかれては、それぞれの障害種別の合理的配慮の例示の整理を行っていただきました。
 さて、ワーキンググループの報告は主に三つの部分から成り立っています。一つ目は合理的配慮について。具体的には、合理的配慮の定義、合理的配慮と基礎的環境整備の関係、合理的配慮の決定方法等について整理しました。二つ目は、基礎的環境整備について整理しました。三つ目に、合理的配慮の観点を整理するとともに、その代表的なものと考えられるものを例示でお示ししました。
 それでは、概要で説明いたします。資料4-1のワーキンググループの報告概要を御覧ください。まず、1ページ目の「はじめに」ですが、一つ目の丸では経緯を記しております。二つ目の丸では合理的配慮は新しい概念であり、また、障害者基本法で新たに、可能な限り障害者である児童生徒が障害者でない児童生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつと規定された趣旨を踏まえて障害のある子どもに対する合理的配慮の観点について整理を行ったといたしました。
 学校教育では、これまでも障害のある子どもに対して様々な配慮が行われていたところですが、今回、ワーキンググループの思いとして合理的配慮の観点を整理することで、障害のある子どもの教育が一層充実したものになっていくことを願ってやまないと書かせていただきました。また、合理的配慮は教育委員会、学校、各教員が正しく認識するとともに、それに取組、当事者や保護者に適切に情報提供を行うことが求められる。と同時に、地域における理解はまだまだかと思いますので、理解啓発のための活動を進めることが求められるとしております。
 次に、1の合理的配慮の定義等ですが、合理的配慮の定義として、ワーキンググループにおける合理的配慮は、障害のある子どもが他の子どもと平等に教育を受ける権利を共有、行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更、調整を行うことであり、障害のある子どもに対し、その状況に応じて学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもので、学校の設置者及び学校に対して体制面、財政面において均衡を失した、又は過度の負担を課さないものと定義しました。
 また、留意事項としまして、障害者の権利に関する条約において、合理的配慮の否定は障害を理由とする差別に含まれるとされていることについて言及しました。合理的配慮の提供に当たっては、各学校の設置者や学校が体制面、財政面をも勘案し、均衡を失した、又は過度の負担について個別に判断することとしています。
 一方で、各学校の設置者あるいは学校は、障害のある子どもと障害のない子どもが共に教育を受けるというインクルーシブ教育システムの構築に向けた取組として、合理的配慮の提供に努める必要があると整理しました。
 次に(2)合理的配慮と基礎的環境整備です。まず、法令に基づき、又は財政措置により、国、都道府県、市町村は、基礎的な教育環境の整備をそれぞれ行っている。これらを基礎的環境整備と呼んではどうかとしております。いわば、個々の子どものためだけではなく、みんなのために基礎的に環境整備をしている。それを前提として設置者や学校が個々の障害のある子どもに対して提供するのが合理的配慮としています。この考え方については、参考に「合理的配慮と基礎的環境整備について」として図をつけております。概要の7ページ目を御覧ください。基礎的環境整備を基として、Aさんのための合理的配慮、Bさんのための合理的配慮といった個々の障害のある子どもに対して合理的配慮を行うというものです。
 2ページ目にお戻りください。合理的配慮については、個別の状況に応じて提供されているもので、具体的かつ網羅的に記述することは困難ということで、これまで御議論いただいてきましたように、合理的配慮の観点として、1、教育内容・方法、2、支援体制、3、施設・設備について、それぞれを類型化した上で具体的な配慮を例示するという構成で整理しました。
 次に2.の合理的配慮の決定方法等についてです。まず、合理的配慮を決定するに当たっての基本的な考え方として、学校教育に求めることを整理しました。その結果、障害者の権利に関する条約第24条の第1項の目的のA、B、Cと方向を同じくするものとして整理できました。ここでは、法的配慮の決定に当たっては、これらの目的に合致するかの観点から検討が行われることが重要としました。
 次に、決定方法ですが、合理的配慮は一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定されるものであり、まずは設置者や学校が興味・関心、学習上又は生活上の困難、健康状態といった、障害のある幼児児童生徒の状態把握を行う必要があるかと思います。これを踏まえまして、設置者、学校と本人、保護者が個別の教育支援計画を作成する中で、合理的配慮の観点を踏まえ、可能な限り合理的配慮について合意形成を図った上で決定し、提供されることが望ましく、その内容を個別の教育支援計画に明記することが望ましいと思われます。
 意見が一致しない場合には、第三者機関によりその解決を図ることが望ましいとしました。また、学校、家庭、地域社会がそれぞれ教育を行っているわけであり、それぞれの役割分担があるところですが、それが十分に連携し、補完し合い、一体となって行われるということが重要であろう。学校、家庭、地域社会が連携すれば、その子のためにできることが増えていくのではないかという整理をしております。また、その下ですが、合理的配慮を決定後も柔軟に見直しができることを共通理解とし、必要に応じて合理的配慮を見直していくことが適当としております。
 次の丸は、一貫した支援のための留意事項を列挙しております。
 その次の丸ですが、ワーキンググループでは、特に通級による指導、特別支援学級、特別支援学校についてですが、それぞれの学びの場において合理的配慮を行うことは必要かどうかが議論となり、やはりそれぞれについてそういった視点、観点は必要であると整理いたしました。ただ、合理的配慮はそれぞれの学びの場の共通的環境整備を前提とした上で提供されるため、それぞれに提供される合理的配慮が異なった形となろうかと思います。
 また、ここも御議論のあったところですが、障害のある子どもが通常の学級に学ぶことを可能な限り配慮していくことが重要であるものの、十分な教育を受けられるようにする観点からは多様な学びの場を活用し、本人、保護者の理解を得ながらということになろうかと思いますが、全てを通常の学級ということではなく、通級による指導など、多様な学びの場を活用した取り出し指導を柔軟に行うことも必要な支援と考えられると整理いたしました。
 次に、3.の基礎的環境整備についてですが、報告書本体ではそれぞれの現状と課題について整理しておりますが、ここでは前段と項目のみを示しております。合理的配慮の充実を図る上で、その前提となる基礎的環境整備の充実は欠かすことができない。そのため、必要な財源を確保し、国、都道府県、市町村は障害のある子どもと障害のない子どもが共に教育を受けるというインクルーシブ教育システムの構築に向けた取組として基礎的環境整備の充実を図っていく必要があるとしています。その際も、合理的配慮と同様に、体制面、財政面を勘案し、均衡を失した又は過度の負担を課さないよう留意する必要があることは考えていく必要があるかと思います。
 一昨年12月に特別委員会で論点整理をまとめた際にも、共生社会の形成に向けた国民の共通理解を一層進め、社会的な機運を醸成していくことが必要であるとか、財政的な措置を図る観点を含め、インクルーシブ教育システム構築のための施策の優先順位を上げていく必要があるといった記述がありましたが、今回も同様の記述を入れております。基礎的環境整備が異なれば合理的配慮は異なることになりますので、基礎的環境整備の充実を図ることが、ひいては合理的配慮の充実につながることになると考えています。項目としては全部で8項目として整理しています。現状と課題については後ほど事務局より紹介してもらいたいと思います。
 次に4.の学校における合理的配慮の観点ですが、障害の状態が多様なだけでなく、障害を併せ有する場合や変化する場合もあり、必要な支援が異なってくることに留意する必要があるとしております。また、障害の状態等に応じた合理的配慮を決定する上で、ICF(国際生活機能分類)の活用も考えられるとしております。
 また、合理的配慮を決定していく中では、現在必要とされている合理的配慮は何か、何を優先して提供するかなどについて関係者間で共通理解を図る必要があるとしております。
 さらに、合理的配慮は全ての場合を網羅することはできないため、その代表的なものと考えられる例を示すこととしました。また、障害種別に応じた配慮を例示していますが、複数の種類の障害を併せ有する場合には、各障害種別に示している配慮を柔軟に組み合わせることが適当であると整理しました。この合理的配慮の例示については8ページを御覧ください。別添2として情報・コミュニケーション及び教材の配慮を例として添付しております。これを見ていただいてお分かりになられるかと思いますが、いずれも通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校、いずれの学びの場においても実施可能と思われるものに絞り込んでみました。
 それでは、合理的配慮の観点です。合理的配慮の観点(1)教育内容・方法は、(1)-1教育内容として2項目と、それから(1)-2教育方法として3項目で整理いたしました。(1)-1-1として、学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮、(1)-1-2として学習内容の変更・調整、(1)-2-1として情報・コミュニケーション及び教材の配慮、(1)-2-2として学習機会や体験の確保、(1)-2-3として心理面・健康面の配慮としております。
 合理的配慮の観点(2)支援体制は、3項目で整理をいたしました。(2)-1として専門性のある指導体制の整備、(2)-2として幼児児童生徒、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮、(2)-3として災害時等の支援体制の整備としております。
 合理的配慮の観点(3)施設・設備は3項目で整理しております。(3)-1として校内環境のバリアフリー化、(3)-2として発達、障害の状態及び特性に応じた指導ができる施設・設備の配慮、(3)-3として災害時等への対応に必要な施設・設備の配慮としております。
 最後に、5.として関連事項についてですが、これら3項目は、障害種別における合理的配慮の観点をまとめる際にあわせて整理を行ったものとして特別委員会に報告し、検討をいただくものとして整理いたしました。これについては本日の後半部分で改めて説明いたします。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 引き続きまして、事務局より説明をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。私の方から資料4-2を使って説明いたします。
 まず、先ほど尾崎主査からも御紹介がありましたが、基礎的環境整備の項目、それと課題について紹介いたしたいと思いますが、資料4-2の33ページ以降を参考資料5としまして、基礎的環境整備のそれぞれの項目についての現状と国、都道府県、市町村の役割分担についての資料を添付しておりますので、あわせて御参照いただければと思います。
 7ページをお開きください。ここが3.基礎的環境整備の項目、その現状と課題について整理したところですが、主に課題について順番に御紹介できればと思います。7ページ中ほどですが、(1)としましてネットワークの形成・連続性のある多様な学びの場の活用としております。(イ)の課題ですが、障害のある子どもが十分な教育を受けられるようにするため、その時点で教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備していく必要があるとしております。
 続きまして、(2)として専門性のある指導体制の確保としております。8ページに移っていただいて(イ)の課題ですが、専門性ある指導体制の一層の確保のため、各校長が理解を深め、リーダーシップを発揮して体制を整えるとともに、教職員を指導する必要がある。また、幼稚園、高等学校、国立・私立の学校における体制整備を一層進めることが必要。さらに公立の小中学校においては専門性のある教員の活用、指導方針の共有化、チームによる指導等の充実を図っていくことが必要と整理いただいております。
 (3)としまして個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成等による指導としております。(イ)の課題ですが、個別の教育支援計画、個別の指導計画について、障害のある幼児児童生徒全てに拡大していくことについて検討する必要があると整理いただいております。
 (4)ですが、教材の確保としております。9ページに移っていただいて、9ページの(イ)の課題ですが、視覚障害のある児童生徒の音声教材、発達障害のある児童生徒が使用する教材等の整備充実、高等学校用の拡大教科書の発行の促進が求められるとしております。
 (5)としまして施設・設備の整備としております。(イ)の課題ですが、バリアフリー対策の推進、特別支援学校については幼児児童生徒数の増加に伴う教室不足を解消することが求められると整理いただいております。
 (6)としまして専門性のある教員、支援員等の人的配置としております。9ページの下ですが、(イ)の課題としまして、少人数学級の推進は特別支援学級の推進にも資するものであり、一層の充実を図っていくことが求められる。また、特別支援学級、特別支援学校における学級編成については、今後の状況を勘案しつつ、その在り方を検討していくことが必要である。さらに、通級による指導やセンター的機能を果たすための教職員定数の一層の改善が求められる。特別支援教育支援員についてもさらなる充実が必要である。また、一層の専門性の向上を図るための研修等の実施や学校としての専門性を確保することを配慮した人事上の配慮が求められるとしております。
 10ページに移っていただいて、(7)としまして、個に応じた指導や学びの場の設定等による特別な指導としております。
 (8)交流及び共同学習の(イ)の課題ですが、改正障害者基本法の理念に基づき、交流及び共同学習を一層推進していくことが重要である。また、居住地校交流を進めるに当たっては、付添いや時間割の調整等が課題であり、検討していく必要がある。また、特別支援学級と通常学級の交流及び共同学習も一層進めていく必要があるとしております。
 続きまして、合理的配慮の観点の各項目を紹介申し上げます。資料4-2の11ページを引き続き御覧いただければと思います。まず、11ページの中ほどやや下ですが、合理的配慮の観点(1)教育内容・方法、(1)-1教育内容、(1)-1-1学習内容又は生活上の困難を改善・克服するための配慮につきましては、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するため、また、個性や障害の特性に応じて、その持てる力を高めるため、必要な知識、技能、態度、習慣を身につけられるよう支援するとしております。
 続きまして12ページですが、(1)-1-2学習内容の変更・調整についてです。
 紹介がおくれましたが、それぞれの障害種ごとの例示を16ページ以降で、それぞれの観点について付けておりますので、併せて御覧いただければと思います。16ページが(1)-1-1、先ほど御紹介したものと対応しております。
 戻りまして、12ページ、(1)-1-2学習内容の調整ですが、こちらは別表2、17ページを御覧ください。認知の特性、身体の動き等に応じて、具体の学習活動の内容や量、評価方法等を工夫する。障害の状態、発達の段階、年齢等を考慮しつつ、卒業後の生活や進路を見据えた学習内容を考慮するとともに、学習過程において人間関係を広げることや自己選択・自己判断の機会を増やすこと等に留意するとしております。
 続きまして(1)-2教育方法、(1)-2-1情報・コミュニケーション及び教材の配慮ですが、先ほど尾崎委員の方から御紹介いただきましたので、こちらの方は割愛いたします。
 続きまして(1)-2-2学習機会や体験の確保ということで、別表4、19ページを御覧いただければと思いますが、治療のため学習空白が生じることや障害の状態により経験が不足することに対し、学習機会や体験を確保する方法を工夫する。また、感覚と体験が総合的に活用できる学習活動を通じて概念形成を促進する。さらに、入学試験やその他の試験において配慮するとしております。
 (1)-2-3ですが、心理面・健康面の配慮ということで、適切な人間関係を構築するため、集団におけるコミュニケーションについて配慮するとともに、他の幼児児童生徒が障害について理解を深めることができるようにする。学習に見通しが持てるようにしたり、周囲の状況を判断できるようにしたりして心理的不安を取り除く。また、健康状態により、学習内容・方法を柔軟に調整し、障害に起因した不安感や孤独感を解消し、自己肯定感を高める。学習の内容や進め方を分かりやすい方法で知らせておくことや、それを確認できるようにすることで心理的不安を取り除くとともに、周囲の状況を判断できるようにする。
 続きまして合理的配慮の観点(2)支援体制ですが、(2)-1専門性のある指導体制の整備。校長がリーダーシップを発揮し、学校全体として専門性のある指導体制を確保することに努める。そのため、個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成するなどにより、学校内外の関係者の共通理解を図るとともに、役割分担を行う。また、学習の場面等を考慮した校内の役割分担を行う。必要に応じ人的配置(支援員等)を行うほか、学校内外の教育資源(通級による指導や特別支援学級、特別支援学校のセンター的機能、専門家チーム等による助言等)の活用や医療、福祉、労働等関係機関との連携を行う。
 (2)-2幼児児童生徒、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮。障害のある幼児児童生徒に関して、障害によって日常生活や学習場面において様々な困難が生じることについて、周囲の幼児児童生徒の理解啓発を図る。共生の理念を涵養するため、障害のある幼児児童生徒の集団参加の方法について、障害のない幼児児童生徒が考え実践する機会や障害のある幼児児童生徒自身が障害について周囲の人に理解を広げる方法等を考え実践する機会を設定する。また、保護者、地域に対しても理解啓発を図るための活動を行う。
 (2)-3災害時等の支援体制の整備。災害時等の対応について、障害のある幼児児童生徒の状態を考慮し、危機の予測、非難方法、災害時の人的体制等、災害時体制マニュアルを整備する。また、災害時等における対応が十分にできるよう、避難訓練等の取組に当たっては一人一人の障害の状態等を考慮する。
 続きまして合理的配慮観点(3)施設・設備です。(3)-1校内環境のバリアフリー化ですが、障害のある幼児児童生徒が安全かつ円滑に学校生活を送ることができるよう、障害の状態等に応じた環境にするために、スロープや手すり、便所、出入口、エレベーター等について施設の整備を計画する際に配慮する。また、既存の学校施設のバリアフリー化についても、障害のある幼児児童生徒の在籍状況等を踏まえ、学校施設に関する合理的な整備計画を策定し、計画的にバリアフリー化を推進できるように配慮する。
 (3)-2発達、障害の状態及び特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮。幼児児童生徒一人一人が障害の状態等に応じ、十分に学習に取り組めるよう、必要に応じて様々な教育機器等の導入や施設の整備を行う。また、一人一人の障害の状態、障害の特性、認知特性、体の動き、感覚等に応じて、その持てる能力を最大限活用して自主的、自発的に学習や生活ができるよう、各教室等の施設・設備について、分かりやすさ等に配慮を行うとともに、日照、室温、音の影響等に配慮する。さらに、心のケアを必要とする幼児児童生徒への配慮を行う。
 (3)-3災害時等への対応に必要な施設・設備の配慮。災害時等への対応のため、障害の状態等に応じた施設・設備を整備するとしております。
 続きまして、資料5を御覧ください。1月27日に障がい者制度改革推進会議差別禁止部会において、特別支援教育課の千原課長より、合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ第8回の資料を提出し、検討状況について事務局として説明を行いました。資料5の議事録は、内閣府に本日の特別委員会に提出するために短期間でまとめていただいたものです。本日は時間の関係で千原課長の説明の後の部分で差別禁止部会の委員から出された意見を中心に紹介いたします。
 資料の7ページから質疑及び議論ですが、8ページ中ほどから御紹介できればと思います。まず、JDF、日本障害者フォーラム 障害者の差別禁止等権利法制に関する小委員会委員長の太田委員から、8ページ中ほどになりますが、小中学校について自治体や国が財政を出している障害児の支援について、合理的配慮をすることによって、その自治体がつぶれるということは考えにくい。もしつぶれそうな場合は、過度な負担になるであろう。だから、過度な負担という議論を持ち込まないでいただきたい、という御意見がございました。
 続きまして、弁護士の大谷委員から、9ページの下から5行目からになりますけれども、まず資料5の26ページ以降にあるような資料を提出しているというお話があり、続いて、10ページですが、学校教育における差別体験というアンケート調査をした。これを見ると合理的配慮の欠如に絡むことも多々ある。就学先を決定するに当たって、事実上、就学強制がされる。地域の学校に入れなかったという訴えがある。入った後も、主要には保護者の付添いがなければ何もしてもらえない。個別教科においても保護者の付添いが強要されるというような実態の中で、普通学級に入ったは良いけれども、実質的な教育が保障されないというような形の差別の訴えが本当に多い。基礎的環境整備がいまだ不十分であろう通常学級においては、合理的配慮がかなり必要になってくる場面があろうかと思う。合理的配慮に関しては、学校と設置者の義務と言っておられるが、学校と設置者ということになると、市町村の財政状況によって、市町村でかなり差が出てきてしまうというようなことになりかねない。とすると、基礎的環境整備は国の責任であると明確に言っておられるから、基礎的環境整備を十全にし、合理的配慮一つ一つにとっても国の責任というものを意識されているのか、といったような御意見がございました。
 続きまして、神奈川大学教授の山崎委員からの御意見ですが、13ページ、下から9行目になりますけれども、医学モデル的な発想とは言わないが、どちらかというと現場としたら個々の児童生徒の具体的なニーズ、要望に対応することが強調されており、当然のことだと思うが、改正障害者基本法4条2項の社会的障壁除去にも言及すべきである。社会モデル的な認識をされていることも表現された方が良いと思うといった御意見がございました。
 続きまして、日本労働組合総連合会生活福祉局長の伊藤委員から、15ページの2行目からですが、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校の設置は、基礎的環境整備として行われているということからすると、通学先として特別支援学校等があることをもってして合理的配慮をしていることにならないということでよいか。私立学校については建学の精神と公平性といったような観点とのバランス、どちらが優先されるべきかということはよく問題になると思うが、この障害児の考え方については、建学の精神との関係は完全に乗り越えて、インクルーシブ教育が全ての学校について、初等中等教育は行うのだということがきちんと共有されているのか、といった御意見がありました。
 続きまして、法政大学名誉教授の松井委員から16ページの中ほどになりますが、まず資料5の46ページ以降にあるような資料を提出されているということです。それから、合理的配慮という場合に、しないことは差別であるが、できない場合に優先順位をつけるという考え方は基本的にないのではないか。もちろん、学校設置主体に対する財政支援をきちんと国としてやる必要があると思う。インクルーシブ教育というのは、共に育つ理念を共有する教育というような理念を共有という限定がされているが、インクルーシブ教育というのは、正に共に育つ教育そのものを言っているわけで、必ずしも理念ではないのではないか、といった御意見がございました。
 続きまして、日本労働組合総連合会特別委員の西村委員から、18ページの4行目からになりますが、西村委員からも資料5の45ページにあるような資料を提出しているというお話があり、報告書を見る中で、やはり社会モデルとしての視点が非常に弱いのではないか。あるいは、合理的配慮の必要性が大事と言いながら、非常にあいまいではないかという印象を受けている。やはり障害者権利条約と基本法にうたわれていることを考えたときに、こうした部分をもっときちんと真正面から捉える必要がある。障害の有無によって分けないことを原則とすべきではないか、といった御意見がございました。
 それから、事務局の東室長から、21ページ、下から4行目以降になりますけれども、合理的配慮の義務について、行政法上の義務なのか障害者本人等に対する義務として考えるのか。行政政策として行政が学校及び設置者に義務付ける、単にそれだけでは差別禁止とは言えない。差別禁止は本人の権利なので、あくまで本人に対する義務という形で議論されなければならない。義務であるということであれば、合理的配慮は提供に努めるといったものでなくて、提供しなければならないという表現が適切だと思う。合理的配慮に関する国の責任について、障害者権利条約の5条3項は、締約国は平等を促進し、又は差別の撤廃をすることを目的として合理的配慮が提供されることを確保するための全ての適当な措置をとると書いてあり、合理的配慮の確保自体について国の責務について議論いただきたい。合理的配慮というのは、あくまで差別禁止という部分に本籍を持つ考え方であり、差別禁止の一番基本的な古典的な価値は機会の平等であり、機会の平等をどう実施していくかという観点から合理的配慮というのは作られてきた概念である。その合理的配慮を決定するに当たって、機会の均等ということを一番最初に考えるべき事項ではないか。そういった点を議論いただきたい、という御意見がございました。
 次に、一番最初に御意見を御紹介した太田委員からですが、24ページ、下から3行目ですが、合理的配慮という概念について共有しなければならない。差別禁止部会と文部科学省と厚生労働省の間で、差別禁止の中核をなす合理的配慮という概念を統一する方向で議論したい、という御意見がございました。
 以上、簡単ではございますが、差別禁止部会での議論について報告いたします。以上で説明を終わります。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対して御質問、御意見を頂戴したいと思います。残り時間の関係から20分程度ぐらいを考えております。どなたからでも結構です。まず御質問ございましたら。それでは、まず露木委員、それから次にまいります。

【露木委員】 全連小から来ています露木です。
 まず、今、合理的配慮のワーキンググループの概要を御説明いただきましたけれども、その中で1ページ目の1の(1)の丸が二つございますけれども、よく分からなかったので御説明いただきたいのですが、2行目に「他の子どもと平等に『教育を受ける権利』を」云々とございます。当然、インクルーシブ教育というところになってくると、「障害のない子どもに共に教育を受ける」というような用語を当然使っているかなと思います。ですから、他はみんな「共に」ということですけれども、ここだけ「平等」という言葉に強調されているということは、きっとワーキンググループの中でも平等という言葉を使おうという議論がなされたのかなと思います。その辺の経緯が一つ。
 それから今、差別禁止部会の中でも「機会の均等」というような用語が用いられておりましたけれども、この平等という概念というのは、どんなような意味合いで用いていらっしゃるのか、その辺を御説明いただけるとありがたいなと思います。

【尾崎委員】 ここに書いた「他の子どもと平等に教育を受ける権利」というのは、権利条約からの引用でして、それに基づいて検討したということをあらわすためにそういう言葉を引用したと私は記憶しております。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。
 それでは、続きまして久松委員、お願いします。

【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。
 いろいろお取りまとめいただき、本当にありがとうございます。言葉の使い方について伺いたいことが、幾つかございます。意見は後ほどまた改めて、説明を伺った上で述べさせていただきたいと思います。まず質問ですが、概要で資料4-1、1ページ、合理的配慮の定義の説明文ですが、その中に、合理的配慮の排除は障害を理由とする差別に含まれるという、つまり合理的配慮をしない場合は差別であるという表現だと思います。ですから、合理的配慮をする場合は差別ではない、合理的配慮をしない場合には差別となるといった場合に、合理的配慮をしないといけないというように考えるのですが、例えば学校の設置者及び学校に対して体制面、財政面においてという表現があります。均衡を失し、又は過度の負担を課さないという、その文言とのつながり方ですが、財政面ということが非常によく使われます。このことは分かるのですが、体制面という表現の使い方はどのような意味に理解すべきかということを伺いたい。
 それから、合理的配慮と基礎的環境整備という言葉があります。この二つを考えたときに、何が合理的配慮なのか、何が基礎的環境整備なのかをどのように分けて説明をしたら良いのか。例えば、講堂に演台があります。舞台があります。こちらの場合、階段があります。車いすの方の場合は自力で舞台に上がることができない。その場合にスロープをつけます。これをもって合理的配慮というのか、これは基礎的環境整備というのか、いずれなのかをやはり言及する必要があると思います。もし基礎的環境整備で財政的な面でこのスロープを設置する予算がないといった場合、では、この舞台の上がる場合の合理的配慮は一体何なのか。この説明が必要ではないかと思います。考えられることは、例えば先生方が3人がかりで舞台に上げることが合理的配慮ということなのか。でなければ、舞台の上に上げないで、いわゆる真ん中あたりの位置で発言をしていただくという、このやり方をするのが合理的配慮というのか。この辺、説明が必要になるのではないかと思います。
 添付資料の範囲を拝見するだけでは、何が合理的な配慮なのか、何が基礎的環境整備なのかというあたり、どのようなイメージを持てばよいか、今回の例でも理解しづらいと思います。このあたりの説明をいただければありがたいと思います。
 以上です。

【尾崎委員】 ワーキンググループの主査の尾崎です。幾つか質問があったので順番に、こういう議論があったということで御説明をしたいと思います。
 1番目の合理的配慮について、合理的配慮の規定は障害を理由とする差別に含まれるとされていることに留意する必要があると報告書で書かせていただきました。このことですが、これは、あなたにとって合理的配慮は否定、要らないとか、必要ないとか、そういう意味での否定は差別であるという議論をしました。したがいまして、合理的配慮の量とかそういうものの割合とか、それについては合意形成を図るものであるという整理の仕方をしております。御理解いただければと思います。
 それから、設置者、体制面、財政面の意味ですが、後でもし補足があれば事務局の方でしていただきたいのですが、体制面というのは、資料4-2、本文の方の基礎的環境整備、33ページです。こういう体制を今、環境整備について出されているということが示してある。法制度等で教育体制が決められているもののことを指していると考えております。後で補足をお願いします。
 それから、基礎的環境整備と合理的配慮の関係ですけれども、これも先ほど関係図をお示ししました。概要の方の7ページ目、合理的配慮と基礎的環境整備の関係です。これは国、都道府県、市町村により環境整備が異なっているということを前提にしていますので、具体例として良いのかどうか分かりませんが、ここが国の環境で、スロープがないところに舞台があったという、もしそういう例があったとしたら、それに対してどういう合理的配慮をするのかということであれば、舞台の上に上がってもらう配慮は当然、合理的配慮になるだろうと思います。ところが、一般の民間のステージにスロープがあり、ということであれば、スロープが既についていますのでそれは合理的配慮ではない。ですから、環境整備の状況によってAさんの合理的配慮は異なってくると解釈ができるのではないかと思います。ですが、全体としては環境整備も整え、国の施策として優先的に整えてほしいということ。そして、できる限り合理的配慮を工夫していくことが我々にも求められているという整理もしております。
 以上です。

【宮﨑委員長】 補足、よろしいでしょうか。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井ですが、体制面の過度の負担というのを例示として申し上げると、今、尾崎委員からも御指摘がございましたが、資料の33ページ以降に基礎的環境整備の状況がありますけれども、35ページを開いていただくと、専門性のある教員、支援員等の人的配置というものがございます。それで、本来であれば特別支援学校に関する知識を全員が持っていれば特別支援教育の専門性を持った教員が全ての教室に配置できるということがあるという考えもあると思うのですが、例えば、この(6)の3を見ていただくと、特別支援学級の担当教員の免許状保有率が3割、それから、特別支援学校の教員が7割ということで、これは専門性の向上でもずっと御議論いただいている問題だと思いますけれども、そもそも免許状を持っている教員の方が十分ではない。これでさらに特別支援教育のことを分かっている人を全ての学校に配置しようというのはなかなか難しいといったようなことが例示としては考えられると思いますので、紹介いたしました。
 以上です。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。
 では、他に御質問ございますでしょうか。それでは清原委員、お願いします。

【清原委員】 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。尾崎主査初め委員の皆様には本当に短期間の間に集中的に今回の取りまとめをしていただきまして、まず心から感謝を申し上げます。
 質問として大きく三つの点について教えていただきたいと思います。
 1点は、私どもも施設・設備について特に障害のある子どももない子どもも安全な学校施設の環境ということで取り組んでおりますときに、バリアフリーのまちづくりの基本構想などを取りまとめ、それに沿って考えていくわけですが、今回も施設・設備についてはバリアフリーという言葉を選ばれました。学校環境のバリアフリーということを例示してくださっています。市長としてはその用語が現時点では大変しっくり来るわけですけれども、最近では条約などもそうですが、ユニバーサルデザインという概念もよく使用するようになってまいりました。検討されるプロセスの中で、あえてまだ障壁を解消するという意味でのバリアフリーという用語を選ばれたと思いまして、私自身はそれがまだまだぴんと来る状況にあると思うのですが、将来的に共生社会ということを目指していくときに、ユニバーサルデザインという言葉の選び方も可能であったかもしれませんが、今回、この概要をまとめられるときに、その概念についてどのような考え方でこの言葉を選ばれたかを教えていただければと思います。
 2点目は、今回、本当に具体的に私たちが考えられるように、具体的な事項を例示して取りまとめていただきましたが、その取りまとめの中で合理的配慮の視点の(2)の支援体制及び(3)の施設・設備につきましては、いずれも災害時等への対応について含めてくださいました。これは極めて、命の問題として重要だと思っておりますが、教育内容、方法という合理的配慮の視点の(1)にも、恐らく私は災害に関するものが入ることによって児童生徒の自助といいますか、自立というのでしょうか、そういうことが促されるかとも思いまして、支援と施設・設備の方に入っておりますが、(1)のときには災害に関しては含めるような御議論があったのかどうか教えていただければと思います。
 最後は非常に大きな問題で、私自身もきちんと理解や整理ができていないのですが、基礎的な環境整備がまずあって、その上で障害のある児童生徒のそれぞれの個別の事情に応じて合理的配慮を強めていくということが重要であるということなのですが、この基礎的環境整備の基準というのでしょうか、メルクマールというのでしょうか、目標的な在り方というのでしょうか、それは学習内容であれば学習指導要領等が重要な目安となるのですが、この基礎的環境整備については、いわゆるナショナルミニマム的なことが考えられていく方向性が良いのか、それとももう少し国民的理解が合理的配慮という問題になされてからそうした在り方が煮詰まり、定められていった方が良いのか。何か、報告書ではまだまだ幅広い国民理解を、合理的配慮という概念に得つつ、この基礎的環境整備について深めていくことが望ましいのではないかというような幅広い国民参画の呼び掛けのような報告の概要にも受けとめられましたが、この点はいかがでしょうか。最後の方は私がまだ自分自身の考え方をまとめられておりませんので、少し教えていただければと思います。
 以上3点です。ありがとうございます。よろしくお願いします。

【宮﨑委員長】 それでは、この件、事務局よろしいですか。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。
 1点目、2点目につきましては、うまく説明できるかどうか分かりませんが、合理的配慮というのは尾崎委員から説明いただいたように、特定の場合に行うものですので、施設・整備の未来像という形でユニバーサルデザイン化というのはあろうかと思うのですが、その子に対して何か変更及び調整を行うという観点からはバリアフリーの方が適切ではないかと事務局では考えております。
 それから、2点目の災害教育につきましても、災害時の支援体制ですとか、災害時に対応できるような設備をあらかじめ備えておくというのは、その子に対する変更及び調整になろうかと思いますけれども、災害教育というのは、文部科学省としてもこれは進めていくものとして、今、いろいろ検討もしておりますけれども、この合理的配慮としてどういうことをやるかということは御検討いただかなかったという、そのような整理とお考えいただければと思います。
 それから、3点目の御議論は、事務局では非常に大きな話で、どういう方向性で行かれるかについては、特別委員会として御議論いただくとよろしいかと思います。

【尾崎委員】 基礎的環境整備をどのようにしていくのかということについては、かなり意見が出ました。ですが、取りまとめの仕方としては、基礎的環境整備についてはということで、本文で言えば6ページの後半から11ページまで書かせていただいております。この中身をどう具体化していくのか、どういう方向を付けるのかはワーキンググループで議論が出ましたので書かせていただきましたが、その方向付け等についてはこの特別委員会で最後まとめていただければと考えております。
 それから、それ以外に、その他の配慮事項で、今日の後半で御説明する予定ですが、本文で言いますと関連事項、13ページの5番についても合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループで出た意見でまとめきれなかったものについては課題点をお示しするということで、これについては後半の部分で今日説明させていただきたいと思います。
 以上です。

【清原委員】 どうもありがとうございました。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。

【清原委員】 はい。

【宮﨑委員長】 それでは、他にございませんでしょうか。それでは、大江委員、それから大南委員。

【大江委員】 ありがとうございます。全日本中学校長会会長、渋谷区立上原中学校長の大江と申します。よろしくお願いします。
 資料4-2の12ページの下の段、合理的配慮の観点の(2)-1の部分ですが、「校長がリーダーシップを発揮し」という前段の文章と、後段の「必要に応じ」という文章のつながりの関係です。大事なことは学校が子どもたちの教育的ニーズをしっかりと把握をして、どのように教職員が特別支援教育を展開するのか、そこだと思います。ただ、学校というのは1人の教員だけで特別支援教育をやっているわけではない。組織としてやっているわけであります。子どもたちにどういう支援をしようかと十分議論した上で必要な支援をしていく。あくまでも学校という条件の中で組織として共通理解して特別支援教育を進めていくわけではありますが、時々、学校が把握して決定しようとする子どもの教育的ニーズと保護者の要望が異なる場合がある。この場合においてはやはり専門家の意見を聞きながら、保護者と十分共通理解した上で進めていく。それが現状です。
 今後の特別支援教育を考えた場合に、学校における支援会議とか、あるいは委員会で、支援に携わられる専門家の常駐が必要になってくるのだろうなと思います。全ての学校においてインクルーシブ教育を推進するのであるならば、全ての学校にそういった専門家を常駐していかないと、非常にこれは厳しいのかなと思います。教員の研修、教員の資質の向上の必要性ももちろん分かります。校長のリーダーシップの大切さも分かります。当然です。しかしながら、本当にそれだけでできるのかというような非常に疑問点があります。そこでこの12ページの前段の関係、後半も「校長は」という主語が付くのかどうかということです。
 以上です。

【宮﨑委員長】 いかがですか。

【尾崎委員】 ここの合理的配慮の観点そのものは、合理的配慮ですので、個々の個別の合理的配慮をどうするのか、それを立てるための観点、考え方を示しております。したがいまして、ここで言っている「校長がリーダーシップを発揮し」という段は全てにかかってくると私は思います。学校体制として個々の子どもにこういうことができないかということを検討していって、合理的配慮ができる体制づくりに努めるという意味合いとして受けとめたいと思っております。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。

【大江委員】 ありがとうございます。
 この後段の「必要に応じ、適切な人的配置を行う」、校長にこれが可能だろうかというところなのです。以上です。

【尾崎委員】 議論がされていなかったことなのですが、全体としての合理的配慮をまとめるに当たっては、家庭、地域との連携ということをうたっております。それをすることでより合理的配慮が充実したものになるだろうということも書かせていただいております。「校長が」と言った場合は、学校がそういう地域、家庭とも連携してというような意味で捉えることができるのではないかと思います。全てできるかどうかということについては、私も大江委員と同じ意見ですが、その方向で努力をしたいということです。

【宮﨑委員長】 事務局お願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官、横井です。
 合理的配慮を決めるに当たっては、学校が中心になるとは思いますけれども、設置者というものも入りますので、設置者及び学校がということで捉えていただくのが、それで前段の部分は特に校長先生のリーダーシップの部分を強調して書かせていただいておりますけれども、全体として、設置者及び学校が対応することと御理解いただければと思います。それはこの(2)-1だけではなくて、全て共通かと思います。

【宮﨑委員長】 現実にこの問題は特別支援教育体制推進事業が進んでいて、そこをなぞらえながら書いてあると思いますので、今のことは一応留意しておいていただくと良いと思います。
 大南委員、お願いしいます。

【大南委員】 全国特別支援教育推進連盟の大南です。ワーキンググループで精力的に資料をまとめていただきましてありがとうございます。
 私は2点申し上げたいと思うのですが、一つは、資料4-1の1ページの二つ目の白丸の終わりの方に、合理的配慮については教育委員会、学校、各教員が正しく認識して取り組む。そしてさらに保護者等に情報提供をし、地域の理解を深める。こういう点から考えていきますと、今後、学校における合理的配慮の観点というのをもう少し整理をしていかないと、非常にこれを見ただけで「ああ、大変だな」ということになってしまうので、実際にはA君という子どもが小学校へ入ったときに、その子に対してどういう配慮が必要なのか、それをどういう観点で見ていけば良いのかという、それを分かりやすく、前段、一番最初に書いていくような形をとったら良いのかなと思います。
 それからもう一つは、別表に1から11まで、非常に細かく障害別に出ているわけですけれども、確かに障害別に配慮をしていくこと、あるいは指導で特に気をつけなければいけないところ、学校の施設・設備でということがあるわけですけれども、共通項が出てくるのではないか。例えば、別表6でいいますと、学習障害と、LDとADHDについては全く同じ表現です。そうすると、これは分けるというよりは、LDとADHDはこういう項目で考えれば良いというような形で、まだ細かく見ていませんけれども、幾つかカテゴリーを設けていけば少し整理ができて見やすくなるのではないだろうか、そんなことを考えています。
 繰り返すようですけれども、観点が一人一人の障害のある子どもに対してどう見るかということであって、これを全部全ての子どもに当てはめるのではないという、あるいは、あらかじめこれを用意して児童生徒を受け入れるのではないという点を理解する必要があるのではないか。これが第1点です。
 それから、第2点目は、資料の5も含めて、少しずつ概念が広がっている、あるいは実態が十分把握されていない、そういうところが感じられますので、概念整理という、例えば平等と出てきたときに、Aさん、Bさん、Cさんが言っている平等が少しずつニュアンスが違うのではないか。しかし、憲法で保障されている基本的人権というのは、文字は平等ということですが、どこかで使われるときには少しずつ違うということがあるので、少なくともここで合理的配慮について考えるときの、教育を受ける権利の平等とは何なのかということを言っておく必要があるのではないか。
 以上2点です。

【宮﨑委員長】 それでは、大南委員の御意見として受けとめたいと思います。
 他にございますでしょうか。太田委員、それから杉山委員、お願いします。そして、ここまでにしたいと思います。

【太田委員】 鈴ヶ森小学校の校長の太田です。全連小の特別支援教育委員会の委員長もしておりまして、その両方の立場から質問したいと思います。
 まず、資料の11ページですけれども、下の方に合理的配慮の観点(1)教育内容・方法というところがあって、その下に(1)-1-1とありまして、ここに書かれていることは、いわゆる自立活動の目標に近いことが書かれているかと思います。通常の学級の教育課程の中には、自立活動がない。それで、ここでこうした障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために、このような力が身につけられるように支援するというのは、これは通常の学級が行うことなのかというところについては、少し厳しいところがあるかなと思っておりますので、これはまた後ほどに出てくる専門的な教員とか、あるいは通級とか、そういった別な場ということを想定されているのかどうかということを教えていただけたらと思います。
 それから、例えば、17ページに、学習内容の変更・調整というところがあります。この合理的配慮の内容をずっと見て私が思っているのは、この中に、いわゆる時間という概念がなく、この合理的配慮が示されているかなと思うところです。私も通常学級の担任をしておりましたときに、障害のある子どもを学級の中で受け持ったことが何回もありますが、いろいろな配慮をしていくと、実際に通常の学級の授業の中では、やはり時間がかかってくる。学ぶのに時間がかかってくる。そうすると、いわゆる通常の授業時数では足りなくなってくるというようなことが生じてきます。同じことを配慮すればできる。でも、そのできるようになるのにやはり時間がかかり、それをみんなで待ったり応援をして進めていくようになるというところです。そのあたりをどう考えながら、この合理的配慮をどの程度まで実施していくか。あるいは通級による指導とか別室での個別対応とか、そのように切り替えていくかというような判断をどのように協議していったら良いかというところは、実際にこうしたものが始まってくると難しくなるのではないかと思っているところです。
 この2点についてワーキンググループのお考えを教えていただけたらと思います。

【尾崎委員】 尾崎です。
 ワーキンググループとしてまとめ方ですけれども、まず1-(1)-1は、学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮ということでまとめさせていただきました。教育内容については、これまでも特別支援学校の学習指導要領等で言われてる文言が多く使われております。それは事実ですが、合理的配慮をしていく上では、障害がある人たちへの合理的配慮ですので、同じ考え方でしていくということで取りまとめております。
 それから、時間の配慮等ということですが、変更・調整がその子にとって必要かどうか、その場合の影響は何なのか、いろいろなことを考えながら、多分、変更・調整をすることになると思いますが、ここで言いたいことは、変更内容・調整については、可能な限り合理的配慮ができるようにしていくということと、それから、その配慮の内容をどこまでできるのか。制約等については合意形成を図りながら行うこと。そして、最終的には取り出しをして指導するというような選択肢もあっても良いのではないかというようなことでも意見として本文でまとめております。個々によって状況が違いますので、こういう場合はこうだというようなことの記述はしておりません。ですから、太田委員のお考えと同じ議論は我々もした上で、このようにまとめたということです。

【宮﨑委員長】 よろしいでしょうか。

【太田委員】 はい。

【宮﨑委員長】 それでは、杉山委員、お願いします。

【杉山委員】 浜松医科大学児童青年期精神医学講座の杉山です。児童精神科医です。
 質問的なことが1点、これはこの一覧表の中に自閉症・情緒障害というのが書いてあるのですが、この中にいわゆる本物の情緒障害を加えて考えて良いのか、ということが質問で、コメントは二つありまして、一つは、合理的配慮というのは結局、実態がどうかということの上になされるものですから、実態調査の後に、多分、合理的配慮の内容が変わってくるのではないかと思いまして、ここで多分、突っ込んだ理念のすり合わせというのは無理なのではないかと考えています。むしろ実態が分かった上でやった方が良いのではないか。
 私自身は、今の日本の状況というのは、インクルーシブ教育のやり過ぎだと思っていますので、合理的配慮としては、もっと個別支援教育が進むことが合理的配慮と考えています。
 この自閉症・情緒障害が気になるのは、虐待系の子への対応をどうするのかということで、新型学級崩壊という現象があるようにいろいろ聞いていまして、その実態を聞きますと、やはり情動コントロールの非常に悪い子どもたちによって、ベテランの先生が担当しているクラスでも学級崩壊が起こるような事態が起きていること。その視点でこの表を見ると、情動コントロールが非常に困難な生徒への対応という部分が抜けていますので、それをどこかに入れてほしい。現実的には自閉症的な問題と、こういう虐待系の問題というのはしばしば半分ぐらいオーバーラップするので、一部がADHDの方に流れるかもしれませんが、ここにそのまま入れて良いのではないかと思います。多分、虐待系の問題と書くわけにいかないでしょうから、ここに入れるということで良いのではないかと思うのですが、今後の学級運営ということを考えたときに、例えば、情動コントロールが非常に不安定な子どもの場合、クールダウンへの対応が必要になってきます。そういうクールダウンの体制を整えるとか、そんなことが合理的配慮になるのではないかと思うので、コメントを入れさせていただきました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 最初のところだけ、何かありますか。

【尾崎委員】 自閉症と情緒障害を一緒にしたところ。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。
 様々な現れ方があるものなので、十分ではないということが資料4-2で説明しますと、4-2の11ページ、4.学校における合理的配慮の観点ですが、4ですけれども、障害種別に応じた合理的配慮は全ての場合を網羅することはできないため、その代表的なものを考えられる例を以下に示しているということで、代表的なものにつきましては、まず2回目、3回目で委員の方々が本人及び保護者からのヒアリングを行って、その後、委員の方々それぞれ障害種ごとに分属いただいて例示をまとめていただいたといった経緯で作っていただいておりまして、必ずしも網羅しているものではないということかと思います。

【尾崎委員】 自閉症と情緒障害をポツで一つにまとめた項目にする理由もお答えいただけますか。

【横井特別支援教育企画官】 自閉症・情緒障害という形でまとめていただいたということですので、この形で自閉症と情緒障害を分けるということについては特段御議論いただかなかったと理解しております。

【宮﨑委員長】 あとの部分は杉山委員の御意見として受けとめたいと思います。
 なお、実態的には特別支援学校の設備整備指針の中で先生がおっしゃられたことに関するクールダウンの部屋の確保などについては、既に整理をしてありますので、そこがまだ全国に展開していないのですが、そのあたりは示してあると理解しておいていただくとありがたいと思います。
 それでは、久保委員、お願いします。

【久保委員】 全日本手をつなぐ育成会の久保と申します。ワーキンググループで精力的にまとめていただきましてありがとうございます。
 幾つか教えていただきたい部分があります。報告書の25ページの別表10です。発達、障害の状況及び特性に応じた指導ができる施設・整備の配慮というところですけれども、知的障害のところで、危険性を予知できないことによる高所からの落下やけが等が見られることから、安全性を確保した校内環境を整備するということはどういうことを想定されているのかなということを一つお聞きしたいと思います。
 もう一つは、全体的に少し読ませていただいて、お子さんであっても御本人の意思というのはあるわけですから、本人の意思の確認の方法だとか、意思を決定する支援の方法という観点が弱いと感じましたので、その辺を少し御説明いただけたらありがたいと思います。

【宮﨑委員長】 事務局から今の御質問にありますか。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。
 1点目、安全性を確保した環境を整備するとは、具体的にどういうものかということですが、ワーキンググループの中で具体的にここについてこうしようというような詳細な議論はないのですが、事務局としまして、落下やけが等が見られるということで安全性を確保するのに一般的に見られておりますのは、さくを作るとか、それで落ちないようにするとかいうような対処方法が考えられるかと思います。
 それから、2点目が、本人の意思確認をすべきではないかということですけれども、これにつきましては、決定のプロセス、資料4-2でいきますと4ページの2.(2)決定方法についての1ですが、それぞれのお子さんの発達の段階に応じてということになろうかと思いますが、ここで書いてありますのは、幼児児童生徒の状況把握を行う。これを踏まえて設置者及び学校と本人及び保護者により、個別の教育支援計画を作成する中で、発達段階を考慮しつつ、可能な限り合意形成を図った上で決定し、提供されることが望ましいという形にしておりますので、こういう中で必要に応じて意思確認等も行われる可能性はあるのではないかと、そのように考えております。

【尾崎委員】 今回のワーキンググループでは、最初に合理的配慮についてはどういうものが必要なのか、それぞれ障害種別で聞き取りをしまして、それで共通事項というところでまとめました。共通事項は共通事項ですので、知的障害の項目も共通事項は共通です。それについては一番上の方に本文として載せてあるということで、その書かれた内容についてはまとめて書いてあります。さらに、知的障害の特性等を考えてこういうものが必要と思われるものについて列記をしてみたということですので、そういう考え方でまとめたということで御理解いただければと思います。
 ただ、何回も説明していますように、障害種別を網羅的に全ての場合を想定してというわけには当然いかなかったものですから、あくまでも例であるという考え方です。ですから、これを利用することは、まず共通項である考え方についてはまず理解をいただいて、なおかつ具体的な例については個別、個々に応じて検討いただくというような構造になっております。御理解いただければと思います。

【宮﨑委員長】 それでは、久松委員、お願いします。

【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。発言の機会をいただき感謝申し上げます。
 意見ですが、資料4-1、別紙1、図の部分ですが、合理的配慮と基礎的環境整備に関わるタイトルです。普遍的な図のように見えるのですけれども、ということは、全国的な一つのモデルになるような図ではなくて、各都道府県が見たときの一つの形と見るべき図ということになるのでしょうか。
 といいますのは、例えば、東日本大震災などの支援活動を行っており、東北各県は財政的に非常に厳しい、苦しい面があるということも承知しましたし、また、特別支援学校においても、一般の地域の学校においても、非常にバリアが強いという状況を実感いたしました。財政的には非常に厳しい面があるということです。そこでこれを当てはめた場合に、基礎的な環境整備という項目は非常に低くなるのではないか。東北と財政的には少しは余裕のあるような県と比べた場合に、やはり同じ図を共通的に使うのは公平感に欠ける部分があるのではないかという感があります。基礎的環境整備という、この図としては、これが厚くなって、東北は小さくなるというような、その小さくなっている上で合理的配慮ができるかという、これはほとんどできないような状況に実態的にはなるのではないかと思っております。
 ですから、ここでいう場合には、国の責務として環境整備をする。全国的に一律にやった上で、市町村などの枠というものを当てはめていく。また、地域格差というのが生じないような形、体制という環境整備が必要になるのではないかと思っています。そういう前提となるような説明がないと、この図を見ただけでは、一体どこの県にも同じような図を使えますかというような、そのような危機感も出てくると思います。ですから、地域格差が生じるということが問題ではないか。この図は誤解を招きかねないという部分があります。
 それから、合理的配慮をどう見るかということについて、先ほど、具体的な実態に応じた形でないと、なかなか皆さんが理解ができないこともあるのではないか。本当に私も同感です。例えば、何をやるのか、何をやらないのかという議論になると、これは危ないなと思っております。例えば、この会議で手話通訳をつけるということを、もう皆さんは理解をしていただいています。これは当たり前の現状になっているわけです。手話通訳をつけるということを当然のこととして、手話通訳をつけなければそれは差別ではないかという、そういう受けとめ方を誰でも共有をできていると思います。
 ただ、問題は、手話通訳者が1人の場合、例えば3時間の会議に1人の通訳者が担当する場合に負担が大き過ぎる。非常に過度の負担になるということで、今は3時間の場合は手話通訳を3人体制でそろえていただいている。そのような配慮をいただいているわけです。ですから、もし、この場で手話通訳を4人とか5人とか用意した場合には、加重な負担だからということで、4人、5人を要求するのはこちらとしてはやり過ぎだと思います。そういうことを言われた場合には、合理的配慮には4人、5人というのは入らないという言い方になります。そういうような議論を私はしているわけです。ですから、実施する場合には、何をもって、どの範囲で財政的な意味から負担を課すのかということも含めて考えなければいけないのです。例えば、人数を3人、4人準備する場合、これは財政的負担を求めるのは困る。だから、これはだめだとかといった場合には、やはり調整又は過度の負担という意味を説明はできるというような、そういう理解をした方が議論しやすいのではないかと思っています。
 ここであえて意見として申し上げさせていただきました。

【宮﨑委員長】 これは意見として受けとめさせていただきます。
 まだ御質問、御意見等があると思いますが、後の部分でまたお話ししていただいても結構です。30分ほどオーバーしましたので、後半の部分でまた御意見を頂戴したいと思います。
 ちょうど私の時計で5時になっております。少し休憩時間を節約して5分程度の休憩にさせていただきます。講堂の時計で5分になりましたらお集まりください。

( 休憩 )

【宮﨑委員長】 それでは、議事を再開いたします。
 続きまして、合理的配慮等環境整備ワーキンググループの報告のうち、関連事項として、当委員会に委任をされている事項についての御審議をいただきたいと思います。このことについては、本委員会でも何度も取り上げている中身も含まれております。まずはワーキンググループの主査の尾崎委員より御説明をお願いいたします。

【尾崎委員】 尾崎です。
 先ほど、委員長の方から御説明のありました資料4-2の報告書の13ページの5、関連事項を御覧ください。
 これらの事項につきましては、障害種別における合理的配慮をまとめる際に、あわせて整理を行ったものであり、特別委員会に御検討いただくことが適当として整理したものです。大きく三つの項目があります。(1)として、早期からの教育相談・支援について、(2)として、学校外・放課後等における支援について、(3)として教職員の確保及び専門性の向上についてです。
 まず(1)の早期からの教育相談支援についてですが、1として、障害のある子どもの支援においては、早期の専門教育が重要であり、特に、適切なコミュニケーション手段、社会生活技能の獲得に向けて最大限に発達を促すよう配慮することが望ましい。本人の意欲・関心を育て、積極的に物事に関わるように配慮しつつ、どこまでできるようになるのかを見極めながら支援することが望ましい。また、保護者への気づきを促し、早期からの支援に取り組むことができるよう、子育て支援と連携した取組が求められる。
 2といたしまして、成長のために必要な経験が十分できるように配慮することが望ましい。特に子どもに対し、能動的に行う体験や多様な経験ができるよう支援することが望ましい。また、障害のある子どもの様々な教育的ニーズに対応できるよう体験的な活動等を準備することも望ましい。特に、視覚障害のある子どもについては、自分で最初から最後まで行い、手順やポイントの理解を明確にできるようにするとともに、経験したことを言語化して概念形成を図ることができるよう配慮することが望ましい。
 3といたしましては、保護者の障害理解や心理的安定を図るため、支援の充実を図ることが望ましい。特に、保護者の気持ちに寄り添いながら支援を行うことが望ましい。例えば、預かり保育や行事等への付添いの代理等の支援の充実、先輩保護者の話を聞く機会の提供、悩みを聞くなどの相談の実施、障害の理解のための研修の実施等が考えられる。また、障害のある子どもの成長の姿を教員等が保護者と積極的に共有することも考えられる。
 4として、個別の教育支援計画を活用し、医療、保健、福祉の各機関等の関係機関が連携し、情報共有を図ることが望ましい。また、親の会や他の教育機関等とも連携することが望ましい。
 5として、教育、医療、福祉等の関係機関や障害当事者等と連携をさらに密にして、早期からの教育や保護者支援について取り組むことが求められるといった意見がワーキンググループの中で出されました。
 (2)として、学校外・放課後等における支援について。1として、学校が放課後支援サービスや外部機関との連携を密にし、児童生徒等の生活を一層充実させることが望ましい。その際、放課後支援サービス等においても障害について理解のある者が配置されることが望ましい。
 2として、通学時の支援やコミュニケーション手段の確保について、教育・福祉の連携や社会的支援の整備等の支援の充実を図ることが望ましい。
 3として、生涯学習等の機会が確保されることが望ましい。具体的には、職業教育に関する学習の機会が確保されること、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する方法について在学中に行われた指導のアフターケアが卒業後も行われること、学習教室や成人学校等生涯学習に関する情報が本人や保護者に届くようにすること、学校と生涯学習を提供する教育機関との引継ぎがなされること等が望ましいといった意見がワーキンググループの中で出されました。
 (3)として、教職員の確保及び専門性の向上についてですが、1として、教員の専門性については、特に、障害のある子どもの実態を的確に把握し指導計画を立案し実践できることが重要である。重複障害についても、同様の専門性が基本になる。
 2として、合理的配慮については、特別支援教育における専門性として位置付けていくことが必要である。担当教員、特別支援教育コーディネーターは、合理的配慮の観点や決定方法等について理解する必要がある。また、学校外のボランティア等も含め、特別支援教育に関わる者は皆、合理的配慮に対する認識を高めていくことが重要である。
 3として、専門性のある教員の確保とあわせて、教員の養成課程において、障害のある子どもに対する教育等を学び、体験できるような場を確保するべきである。
 4として、インクルーシブ教育システムを構築する上で、障害当事者である教員を確保することも重要な意味があるといった意見がワーキンググループの中で出されました。
 以上で説明を終わります。

【宮﨑委員長】 引き続いて事務局より御説明をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。
 関連事項について関係する資料を説明申し上げたいと思います。資料6-1から6-5までを使って説明いたします。
 まず、資料6-1を御覧ください。こちら、平成22年12月におまとめいただいた論点整理の抜粋です。関係すると思われるところを抜粋しております。1.(3)インクルーシブ教育システムと地域性、それから2.(1)、3ページになりますが、早期からの教育相談・支援、同じく、一貫した支援の仕組みと、それから4ページに入りまして教職員の確保及び専門性の向上のための方策について。現状と課題、教職員の専門性の確保。(2)教職員の養成・研修制度の在り方、(3)教職員への障害のある者の採用・人事配置となっております。
 続きまして、資料6-2ですが、昨年の8月の第11回会議で三鷹市、湖南市、笠岡市から、早期の教育相談・支援について事例紹介いただいたものを再整理したものです。
 順番に見ていただければと思いますが、三鷹市では、就学前は総合保健センター、障害児・者の福祉センターにより相談、療育を行いながら、幼稚園、保育園での生活面での支援、就学時には、就学支援シートを用いて、2ページの中ほどにあるような総合教育相談室といったものを設けて、関係部局との連携を図っておられます。コミュニティースクールを基盤とする小中の一貫教育を行っておられ、学園というものを整備し、巡回発達相談員は一つの学園内の小中学校には同一の者を派遣するといった取組をされています。それから、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーにも関わってもらい、支援しているとのことでした。
 三鷹市からは、2ページ中ほど、やや下からにございますように、教育委員会と市長部局の連携のため、複数の職員を配置して担当者同士の信頼関係の構築が重要であるとか、個人情報保護との兼ね合いが現場の課題であるといった御意見をいただいているところです。
 3ページにまいりまして、湖南市からですが、湖南市では、公立、私立を問わず、全ての学校を発達支援のためのシステムに組み込み、教育、福祉、保健、就労、医療といった関係機関の連携と個別の指導計画による縦の連携とを機能的に関連させながら特別支援教育を進めておられるとのことでした。それを支えるために発達支援室というものを、3ページの中ほどですが、設けているということでした。発達支援室によって、関係機関間の引継ぎのフォローですとか、各学校での特別支援教育、それから機動的な巡回相談の実施、市内にある特別支援学校のセンター的機能の活用などを行っておられる。小中学校が活用できるシステムとして巡回相談、それから「特別支援教育ハンドブック」、「読み書きチェック」、学校間のインフラネット、就学指導などを整備されておられるということでした。
 それから、湖南市からは5ページの上の方からになりますが、障害者手帳を持たない者でも「発達支援ファイル」を持つことで支援をすることが明確になるので有効ではないか、それから早期支援の充実が二次障害の防止につながるのではないか。保護者理解や要請を傾聴する相談を大事にやっていくべきといった御意見をいただいているところです。
 続きまして、その下の笠岡市ですが、笠岡市では、教育委員会と福祉部局が連携して、4歳児の発達支援事業に取り組んでおられる。関係者からなる支援チームを相談に応じて編成して対応しておられる。実態把握を行った上で、支援チームにより支援方針の決定、支援、サポートを行っておられて、就学先の決定では、学校見学・参観の調整を教育委員会で行っている。保育所、幼稚園、小学校からなる連絡会を開催し、支援体制の引継ぎですとか、情報交換を行っておられるとのことでした。
 笠岡市からは、6ページの中ほどからですが、乳幼児期から就労まで一貫した支援を受けることができるよう、相談支援ファイルの活用に取り組んでおり、情報を一元・共有化できる相談支援ファイルは有効である。今後の課題としては、個人情報の管理が挙げられる。相談支援ファイルだけでなく、自治体のシステムの構築が挙げられる。保護者との信頼関係を築いていくことを第一に取り組んでいくべきといった御意見をいただいているところです。
 続きまして、資料の6-3ですが、平成22年7月に政府として取りまとめております、子ども・若者ビジョンについてです。学校外・放課後の支援について、全体像を御理解いただく上で用意しました。
 まず、子ども・子育てビジョンでは、障害のある子ども・若者の支援としまして三つの項目がございます。一つ目の項目としまして、障害のある子ども・若者の支援。障害制度改革の推進、それから特別支援教育の推進とその推進の在り方についてインクルーシブ教育システム構築という条約の理念を踏まえた検討。さらに、障害のある子どもと若者が身近な地域で安心して生活ができるよう、在宅サービスや放課後支援の充実を図るなど、障害の特性に配慮した適切な支援を行えるような取組の推進ということが書かれております。
 二つ目の項目、発達障害のある子ども・若者の支援としまして、医療、保健、福祉、教育関係機関等の連携が重要であることから、発達障害支援センターを核とした地域支援体制の強化を推進。健康審査等を通じた早期発見に努めるほか、保健指導手引き書の普及等により、適切な相談・指導の実施の推進。発達が気になる段階からの支援や発達の段階に応じた適切な指導等を行うとともに、発達障害教育情報センター、発達障害情報センターにおいて、理解の啓発や情報提供等の充実を図るとなっております。
 三つ目の項目、障害者に対する就労支援等ですが、障害者雇用率を柱とした障害者雇用の一層の推進を図るとともに、ハローワークを中心に、福祉・教育機関と連携した障害者就労支援チームによる支援を行うこと等により、就労の準備段階から職場定着までの一貫した支援を展開。あわせて、様々な障害の態様やニーズを踏まえた職業訓練の機会の確保と。学校において、産業界、労働関係機関との連携の下、就業体験の機会を積極的に設けるなどして、職業教育の充実を図る。また、授産施設等で働く障害のある人の工賃水準の引き上げ等に取り組むとともに、企業等で働く機会を増やすための福祉的就労から一般雇用への移行促進を図るとなっております。
 続きまして2ページ目ですが、今、御紹介申し上げた子ども・子育てビジョンのそれぞれの項目について施策の実施状況について、昨年の9月に子ども・子育て育成支援推進点検・評価会議第1部会というところで配付された資料を整理したものです。文部科学省の施策、厚生労働省の取組がそれぞれ記述されておりますので、審議の御参考にしていただければと思います。
 簡単ではございますが、次に資料6-4の方ですが、6-4は前回の第14回の特別委員会で御議論いただいた際に提出した論点に関する資料でして、前回と同じものを御参考までに配付しております。
 それから、次に資料6-5ですけれども、前回まで御議論いただいた教職員の確保及び専門性の向上に関する主な意見をまとめたものです。今回、新たに追加したところを中心に説明いたします。
 まず、2ページ、(1)の総論ですが、12番、13番、追加させていただきました。12番では、子ども一人一人の支援にとって、取り出した方が良いのか、支援員をつけた方が良いのか等について考える必要があるといった御意見。13番ですが、今後の論点整理の中でカリキュラムの反映ですとか、市町村教育委員会、都道府県教育委員会との連携、市長部局と教育委員会との連携等、実現に向けた対応の具体的イメージを作り出していく必要があるといった御意見です。
 それから、5ページにまいりまして、5ページの(3)小中学校の特別支援教育担当教員の専門性ですが、5で、特別支援教室の制度を今後考えていく上で、教員の専門性を高めないとなかなかそこには行き着かない。そのため、優秀な先生を特別支援学級に配置するような設置者の義務をお願いしたいといった御意見です。
 それから、続きまして8ページ、(5)ですが、特別支援教育担当教員以外の教員の専門性です。5としまして、通常の学級の教員が学級を乱す子どもに対し過敏になる理由の一つに評価があると聞くといった御意見を追加いたしました。
 続きまして、その下、(7)の障害のある者の採用・人事配置です。まず2ですが、発達障害の学生も含めて高等教育の教員養成課程の中に障害のある学生が入学してくるような条件整備をすることにより、日常的に障害の仲間がいることになり、教職課程で学ぶ学生は実際に特別支援に関わるカリキュラムや実習を受けるだけでなく、特別支援教育に対する理解と実践が高等教育の段階からも育まれるといった御意見。それから、3ですが、中ほどから御紹介しますけれども、教員は教育力、指導力、包容力、いろいろな力をもっていなければならないが、完全な人間であることは不可能であり、そうある必要もない。子どもの利益のために仕事をするのは教員であり、完全であることは求めるべきではないし、また、求められない。関係が相対化したり、双方向になったりする場所がインクルーシブな場所であり、否応なく表現できる存在として、弱い存在であるけれども、子どもに対していろいろなことを教えたり、見守ったり、話を聞いたりできる存在として、障害を持った教員のアドバンテージがあるのではないかといった御意見。
 それから、4として、共生社会を実現するために必要な教員、社会の中に障害のある教員を迎える意味をきちんと位置付けていきたいといった御意見がございます。
 それから、10ページになりますが、(8)です。3、地域連携については、首長部局との連携がなくては教育委員会そのものも成り立っていかないといった御意見です。
 以下、(9)(10)につきましては前回追加の論点として提示したものですので、意見を簡単ではございますが、順番に御紹介させていただければと思います。
 まず、(9)の1ですが、特別支援学校に関する免許状の保有は、全体として増えている。現状をさらに向上させるためには、校内で免許が取れる方策を充実していく方法が必要。また、大学等や関係機関との連携により専門性の向上を図るという方策も今後望みたい。
 2としまして、通常の学級を担当している教員は、教科の指導等についてはかなり専門的な力を持っているが、子どもの理解が十分ではないといった御意見。
 3としまして、教員養成においては必ず障害のある幼児児童生徒の心身の発達及び学習の過程の内容を含む科目と障害のある幼児児童生徒の心身の発達及び学習の過程に特化した科目を大学で開講することが望ましいといった御意見。
 4、小学校免許状を取得する学生が教科又は教職に認定を受けている特別支援教育の専門科目を受講することを推奨、推進していくべきといった御意見。
 5については、人事権については厳しい制約が自治体にある。規模の大きい自治体では責任を持って教員を育成し、特別支援教育も含めて良い人材を確保していくことに積極的に関わり、権限を行使できるようにすべきであるといった御意見。
 それから、6ですが、保護者にとっての教員の専門性は、子どもが伸びるための子どもの障害特性を理解した上での指導であるが、なかなか難しいところもあるといった御意見。
 7は、小学校においては、まずは教員の確保が求められているといった御意見。
 8ですが、発達障害のある子どもが複数いる学級ではパニックが連鎖して起きたときには、力のある担任でも1人だけでは対応できない。研修も実施しているけれども、人的な支援をいただきたいといった御意見。
 9ですが、教員が困るのは行動面での困難であるが、静かに黙って学習面で困難を抱えている子どもが浮かび上がらない。教員が困っていることも視野に置きながら、子どもが困っている困難や障害に対して考えたいといった御意見。
 10ですが、教員養成を6年間として全ての障害種について基礎を4年間で身につける。その後2年間は専門的な選択ができるという仕組みを作ってはどうかといった御意見。
 それから、11ですが、採用後、視覚障害、知的障害、発達障害などを学びたい場合に、そのための研修制度を作り、複数の免許状の資格を取得できるようなシステムを作ってはどうかといった御意見。
 それから、12ですが、聴覚障害を学ぶ学生に対して、例えば手話技術講師を採用してはどうか。また、特別支援学校における実習に当たっては、広域的に実習を受けることができるシステムを作る必要があるのではないかといった御意見。
 それから、13番目ですが、特別支援学校の採用数を明確に提示し、採用することの働きかけを促してはどうか。推薦制度を盛り込む必要があるのではないか。各都道府県単位を超えた広域的な採用制度を新たに仕組みとして設けてはどうかといった御意見。
 それから、14番目ですが、支援員については、体系的な研修を行うため、標準的な事例を示して国として全体の質を向上させるべきであるといった御意見。
 それから(10)の方にまいりまして、学校全体としてのシステムの構築についての御意見です。1ですが、特別支援学級担当教員や一般の教員等の従来の免許制度で専門性が確保されていないものについては、教育委員会の取組だけでなく、市長部局も連携しながら人材の確保に取り組むことが必要ではないか。特別支援教育コーディネーターについても、教育委員会と市長部局の連携の中で進められていくべきではないか。
 2の方ですが、障害者団体では様々なキャンプを実施しており、学生がそのような活動に参加することで一定程度単位を付与することも必要である。OJTプラス障害者団体の様々な催し物に参加して単位を認められるようにすると、もっと進むと思うといった御意見。
 3ですが、都道府県間の人事交流が可能な制度も作ってはどうか。言語・コミュニケーションの手段の習得のための研修制度を創設してはどうか。学校長の指導力・経営力による特別支援学校の人事交流、研修参加を働きかけてはどうか。また、補装具等についての技術、言語指導等についての生活技術的な部分、あるいは心理的なものについて身につける仕組みを作る必要がある。言語・コミュニケーションの研修等について、障害を持つ当事者が活用されるシステムを作ってはどうかといった御意見がございました。
 以上で説明を終わります。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、自由討議に入りたいと思います。すみません、約束の時間があと25分ぐらいしかないのですが、今あったように、当委員会に委ねられている関連事項が、早期からの教育相談支援、学校外・放課後等における支援、それから教職員の確保及び専門性の向上なのですが、当初、一つ一つと思ったのですが、どこからでも、この部分について少し意見を言うということでお話をしていただければと思います。それから、前半で合理的配慮についての御意見を漏らしたという方は、それも含めてお話しください。よろしいでしょうか。
 それでは、中澤委員、それから河本委員、品川委員、齋藤委員まで行きたいと思います。お願いします。

【中澤委員】 国立特別支援教育総合研究所客員研究員で横浜訓盲学院学院長の中澤と申します。
 合理的配慮のところで少し意見と質問を入れたいと思います。
 まず、前回整理されていなかった視覚と聴覚障害の重複障害を加えていただきましたこと、大変感謝しております。御礼申し上げます。とても短い文章の中にエッセンスを入れていただき、とてもありがたいと思います。ただ、少し修正が可能であれば意見を申し添えたいと思います。
 資料4-2、ページ20、一番下が重複障害となっております。心理面、健康面の配慮というところですが、ここで「多人数と同時にコミュニケーションが取りにくいため」とございますが、実は、盲ろうの場合は1人としかコミュニケーションができないというのが一番障害の特性です。そこの部分が明確になると良いと思いました。ほぼ触覚に依存しますと、1対1しかコミュニケーションがとれませんので、その旨分かりやすくなったら良いかと思いました。
 もう一つは、戻りまして18ページ。情報・コミュニケーション及び教材の配慮というところです。ここで、「必要に応じて状況説明を含めた情報提供を行う」とございます。実は、ここにも視覚・聴覚、両方障害を受けたときの特徴がありまして、通常、必要に応じてといいますと、静かなときは情報提供は要らないで、何か変化が起きたときにというイメージがあるのですが、実は沈黙をしているということさえも、視覚・聴覚共にないと分からないために、この状況説明は可能ならば常に必要な状況にある。それを現実の支援にできるかできないかは別として、視覚・聴覚が両方障害を受けたときの特徴は、状況説明が常に必要だということを記すために、「必要に応じて」を削除していただけたらうれしく思います。
 この二つは障害についてですが、もう一つ、大きなところで、議論があったかどうかお聞きしたい点があります。通常学校・学級の中で知的障害の子どもたちを同時に教育するときに、以前、宮城県の御報告にもありましたが、教育課程が二つになってしまうことのインクルージョンの困難さというのが出されておりました。今すぐ解決することはできませんが、ロングタームな研究として様々な、準ずる教育の生徒さんが入ったときに、自立活動に対応するものがとても時間的に入りにくいというものと、また別に、知的障害のある子どもたちが同じクラスに入ったときに教育課程をどう整合性を持ってやるかということはロングタームで考えないといけないのかなと。それが合理的配慮の大きな基盤になるものかなと思いましたので一言申し添えます。
 以上です。

【宮﨑委員長】 今のことについては御意見として受けとめさせていただくということでよろしいでしょうか。

【中澤委員】 できれば是非検討していただきたいポイントだと思っています。

【宮﨑委員長】 ありがとうございます。
 河本委員、それから品川委員、齋藤委員と行きます。

【河本委員】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。ありがとうございます。私の方からは、先ほどの続きもあるのですけれども、意見として2点ばかり言わせていただきたいと思っております。
 1点目、先ほどの資料4-2の中の15ページの(3)教職員の確保及び専門性の向上についてということ、これは先ほど前段の部分でそれぞれのいろいろな方からお話があった基礎的環境整備についての中の1点だろうと思っております。そのところで、意見を言わせていただきたいと思っていることは、先ほど、免許の話が出ました。専門性をはかる尺度というのですか、免許の保有率の問題。これが平成22年のときの資料ですか、先ほどの資料4-2で言いますと35ページに(6)3、公立小・中学校の特別支援学級担当教員の特別支援学校教諭免許状の保有率ということで、平均すると31.3%ということで、これ、多いか少ないかといったときに、私は少ないだろうと思っているのですけれども、これは全国平均ですので、言いたいことは、都道府県によって温度差が非常にあるということです。ちなみに東京都は、全国平均より下回っています。ちなみに東京都は、小学校で26.5%、中学校で22.2%です。最高に持っている県で言いますと、68.2%という県があります。最低では16.8%ということで、非常にばらつきがあって、それぞれの都道府県の中で平均すると31.3%なのですけれども、ここをどうするかということが一つ大きな課題なのだろうと思っていますので、各都道府県でこれから考えていかなければならないことなのかなと思っております。何回か言わせていただいた中に、特別支援学校教諭の免許が果たして特別支援学級に通用するかどうかも、これは検討していく必要があると思っているところです。それが1点目。
 それから、2点目は、これも専門性に関連するところですけれども、経験年数の話は何回かさせていただきました。特別支援学級で子どもたちの指導を行っている教員の経験年数ということで、今、特別支援学級が全国で約4万4,000ございますので、当然、最低でも4万4,000人の担当教員がいるわけですけれども、その中で一番多い経験年数は2年目の教員が多い。約12%ぐらいは2年目です。5年以下の教員が55%を占めています。これを何とかしなければいけないと思っていますので、経験がある先生を通常の学級に戻していくことというのも、当然、ある意味では必要なのかもしれないのだけれども、ベテランの先生をそのまま特別支援学級の方に継続して、若い教員を育てるということも含めて残す方法を考えていく必要があると思っております。
 最後にもう1点。これも先ほどのお話ではないですけれども、交流及び共同学習も全特協では大きな課題として捉えております。交流及び共同学習も基礎的環境整備の中の一つなのだろうと思っています。やれば良いということではないことは確かですけれども、ただ、今年度、全特協で、全国の約1万9,022校に調査依頼をしました。有効回答率で言いますと35.1%だったのですけれども、それだけの数で調査した中で、こちらが想像していた以上に交流及び共同学習は進んでいました。
 具体的に申し上げると、例えば、特別支援学級に在籍している子どもと通常の学級の子どもが日常的にどれだけ交流しているかというと、週に5回交流している。時間数で言うと5時間。これが一番多かったです。ということは、1日1回、1時間ぐらいは交流しているという結果が出てきました。これはいろいろな意味で、良い数字だなと思っているのですけれども、問題は、これは中身ですので、どのように指導をしていくかということの中身を考えていかなければならない。そこの課題は、先ほど話がありましたけれども、教育課程の問題があります。教育課程をどうするかという問題。それから、評価をどうするかという問題が出てきています。それから、もう一つ、子どもが交流するときの教科書をどうするかという問題も出てきています。多くは、通常の学級の検定の教科書を使って指導を受けているというケースが多いですけれども、中には持っていないお子さんがいますので、これは是非何とか検討していくことが必要と思っております。
 すみません、意見を3点ぐらい申し上げました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、品川委員、お願いします。

【品川委員】 ありがとうございます。教育ジャーナリストの品川です。よろしくお願いいたします。
 最初に、先ほど尾崎委員の方からまとめていただきました合理的配慮についてお話しさせてください。オブザーバーとして何回か参加させていただいたのですが、大変分かりやすくまとめていただきまして本当にありがとうございます。
 それに加えて僣越ながら幾つか申し上げたいのですが、まず、資料の4-2ですけれども、4ページの2.の(1)ですが、教育の目標というか、これを最低限というところの(オ)に、自己理解を深め自立し社会参加することを目指した教育とございます。おそらく、これが全ての土台になるということだと思いまして、全体を拝読しましたが、是非ここに、「自立し社会参加して市民として権利と義務を果たすことを目指した教育」ということを入れていただきたいと思っています。
 と申しますのも、これは私が申し上げるまでもないことなのですが、1993年の国連総会でも、他の市民と同様に自分の属する社会の市民としての権利と義務を果たすよう保障するとございます。私は、安定就労が非常に難しい成人の方々とここ何年か関わっておりますが、権利の意識というのは大変強いのですが、義務の知識とか意識が十分に育っていない方が多く、それがかえって彼らの社会参加を阻んでいるのではないかということを痛感しております。
 例えば、次のページ、5ページの(4)の3にも、高校から自立と社会参加とあるのですが、これは高校からいきなりやることではなくて、就学前から将来を見据えて指導していくことが大事ですし、市民として生きていくということは何も障害のある子ども若者に限ったことではなく、全ての子ども若者に必要だと思います。例えば、13ページの(3)-2に、音とか光を配慮するとございますが、居心地の良い環境は一生続かない、特に発達障害の方たちはそうなわけですが、合理的配慮をしたことが結果として自立や社会参加を阻むリスク要因を上げることにならないように、本人が学校という枠組みにいる間に少しでも自分自身をマネジメントできるような視点で、権利意識と共に義務を果たすこと、市民として生きることを指導していく。合理的配慮にはそういう視点が必要なのではないかと考えております。
 それから、2点目です。毎回申し上げていることなのですが、脳の機能不全の場合、どうしてもグレーゾーンの子どもたちが出てくるわけで、診断を受けていないけれども認知に偏りがあると思われる子や本人は主張しないけれども読み書きがしんどい子などはどうするのか。全体を見ますと、診断がある子はこういう対応をされるということが分かりますが、ニッチに落ちる子どもがいないような文言に工夫していただければありがたいと思っております。
 先ほどお話しした成人の方々に関わっていますと、大学や職業訓練学校などを出ても、ベーシックスキルが身についていなければ安定就労につながりにくいのです。絶対につながらないということはありませんが、本人の課題を見て、自己理解等を促しながらコントロール方法等を少しでも体得するには、やはり時間がかかるのです。学校時代にどうだったか、成育歴はどうかなどを彼らに聞いてみますと、明らかに学校時代からしんどい思いをたくさんし、失敗経験を積み重ねて、最終的には「どうせやってもダメ」という思いになっていっています。ボーダーな子どもたち、傍から見てわかりづらい課題を持つ子どもたちがシステムのニッチに落ちて、こういった専門教育を受けられなくなり、それが後のリスクになっていくわけですから、ここは子どもの教育権の保障という観点からも明確に書いていただく必要があるのではないかと思っています。
 それから、合理的配慮の観点、11ページなのですが、是非ここに、今、河本委員もおっしゃっていたのですけれども、評価のことを見出しとして立てていただきたいと思っています。全国で取材していますと、授業における配慮というのは少しずつですが進んではいますが、評価、つまり試験や提出物における配慮がなかなかなされておりません。特にLDやADHD、アスペルガーの子どもたちについてはそこが大きな課題になってきます。大学のセンター試験が変わったにもかかわらず、この間、報道にもありましたが、高校入試では、例えば問題の代読すらされないという実態があります。この件については、10月から保護者や学校が県教委に相談し、最初は県教委に断られ、その後1月に新聞に報道されたことがきっかけで2月上旬に認められたという経緯があります。この間、受験生の子ども本人はずっと「どうなるのか」と不安定な状態に置かれていたわけです。評価は子どもの進路に直接かかわってくる問題で、ディスレクシアの子どもなどは知識欲も意欲もあるのに内申点が低いのでその子のニーズに合った高校に行けないなどということもあります。つまり、評価が子どもたちの人生を大きく左右しますので、評価における合理的配慮をどうするかという視点は必要ということと、それから、高校教育までは書いているのですが、大学とか専門学校は指摘がありません。過日、盲ろうの方がルーテル学院大学に入られたということが報道されていましたが、大学も心理的な支援というのは随分増えてきましたが、やっぱりここでも評価における合理的配慮についてはほとんどなされていません。ですので、それもあわせて検討していただきたいと思っています。
 それから、先ほどから皆さんおっしゃっていますが、別表ですが、16ページです。先ほど私が申し上げた、ニッチに落ち込んだ子どもとか、あるいは盲ろうといった重複障害のお子さんではなくて、例えばアスペルガーとADHDとか、アスペルガーとLDを持っている子どもですと、こういう書き方をすると、どうしても機械論的な指導になりがちです。発達的な課題を持つ子どもたちに、機械論的に指導していくことには限界がありますので、何かここは工夫していただけるとありがたいと思います。子どものニーズを見られるような、障害名だけからの指導ではなくて、ニーズから見られるような書き方が必要なのではないかと考えています。
 それから、その次が、教育課程のことと、それからあと、もう一つ、全体を通して感じたのは、本人の意思というところがほとんど触れられていないので、やはり教育は本人の意思が非常に大事であると考えますので、そこを是非明確にしていただきたいと思っています。
 例えば、教科書のところなどが分かりやすいかもしれませんが、例えば拡大教科書を作ってくださる方にはPDFのデータが渡る。ですけれども、LDの子ども本人はPDFデータはもらえない。選択の幅が狭いのです。やはり子ども本人がきちんと教育を受けられるような保障を是非していただきたいと思っています。
 最後ですけれども、いつも毎回申し上げて本当に恐縮ですが、どれだけこういうシステムとか制度を作っても、結局、通常学級で担任を持てない先生が支援学級や支援校に行く、というような慣例を何とかしないと、いくら制度を作っても仕方がないと思っています。40人学級を指導できない先生が、支援学級や支援学校の児童生徒ならできると考えること自体が、子どもたちを非常に愚弄する行為だと私は考えます。大事なことはその子がそういった抜け道ができないように、こういう合理的配慮を作るのであれば、やはりあわせて考えていく必要があると思っています。
 以上です。ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。

【齋藤委員】 全国心臓病の子どもを守る会会長、前足立区の教育長の齋藤です。
 3点お話をさせていただきたいと思います。
 一つは、質問にもなるかと思いますが、合理的配慮のおまとめをいただきまして本当にありがとうございました。私も何回か傍聴させていただきましたが、真剣な議論と膨大な範囲の中でおまとめいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。
 まず4-2の資料の16ページ及び他のページもあるのですが、私は心臓病の方の会の会長でもありますので、病弱のところを中心に読ませていただきましたが、例えば16ページの(1)-1-1というところにつきましては、本人にしっかりとした知識を持たせるということが主要命題かというように思っております。そういうことを考えますと、特に病弱ですが、肢体不自由の方もそうだと思うのですが、まず子どもが自分の体の状態を知るということが私は一番先だろうと思っています。そういう観点から考えますと、まず病気の状態を知る。状態を知れば、自分の対し方が分かる。それから、自分の薬については必ず覚えておく。こういうことは災害のときに、前回、福島の会員の方と話したときにもそうだったのですが、病院に運ばれても、救急で行っても、自分の薬が分からないということで、専門的な薬ですのでどうしようもなく、これで良いだろうという先生の判断で飲ませるしかなかったということで非常に苦慮したというお話を聞いております。災害のところにも薬ということが書いてありましたので、それも含めてですが、ここのあたりは、それぞれ障害別になっておりますので、この表のあたりは少し後ほど御意見を出させていただく機会を設けていただければ、ここで細かいことに終始しなくても良いのかなと思うのですが、いかがでしょうか。それをよろしければ、ここはこれでやめてしまいたいと思いますが。よろしいでしょうか。

【宮﨑委員長】 今の御意見について、事務局から何かありますか。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井ですが、繰り返しになりますけれども、4-2の11ページにありますように、学校における合理的配慮の観点というもので4ですが、全ての場合を網羅的にはできないので、代表的と考えられるものを例として以下に示しているということでして、ワーキンググループの委員の方々に作業としておまとめいただいたものですので、そのような御理解をしていただければと思います。これについていろいろな意見を出していただくことは差し支えないかと思いますが、これを変更するというものではないと理解しております。

【宮﨑委員長】 すみません、私の早とちりがありまして、申しわけありません。御意見はとにかく頂戴できると思いますので、そこを勘案するということでお願いします。

【齋藤委員】 外に向かって出て行くものでありますので、こういう表現はした方が良いとか、何かそういうのが恐らく障害別の言葉としてあると思います。ですので、大前提は動かさないけれども表の中身はというぐらいの話で御意見を上げさせていただきたいと思います。
 2点目です。先ほど杉山委員の方からもお話がありましたが、虐待による情緒障害というのも起こってくるだろうと思っております。こういう状態を考えますと、私ども足立区では、非常に生活状況の困難な家庭が多いものですので、虐待だけではなく、ネグレクトも虐待でしょうが、ネグレクトによる経験不足、それから家庭的に恵まれずに育ってきたお子さんが多くいます。そういうことを考えますと、みんなこのままにしておくと特別支援教育の情緒障害、あるいは学習障害の対象になってしまって、今回調査を行っていただいておりますが、恐らくその中でもそういうお子さんが随分いるのではないかと思います。
 そういうことを考えますと、私、以前も申し上げた記憶があるのですが、やはり特別支援の必要なお子さんには手当をしていく。そのためには、障害を持っていない、特別に本人に起因するものではなく、肉体的に起因するものと言ってよいかどうか分かりませんけれども、後天的な、あるいは環境的な、家庭的なものについては、できる限り取り除いていき、そういう対象者を減らしていく方法をやっぱり考えるべきだろうと思いまして、私どもとしては、まず授業のあり方を工夫して取り組んでいることがございます。
 国立教育研究所の御示唆もいただきながら取り組んでいるものがございますけれども、一人一人のお子さんの、やや特別支援教育対象的と思われるお子さんを取り出しまして、特別にそのお子さんだけを教育するということで、1年間になりましたけれども、随分効果が上がっていると聞いております。その効果の評価が適切かどうかは私はまだ分かりませんけれども、そういう工夫をしていくことも必要なのではないかと思っております。
 6年生になって2けたの足し算の繰り上がりが分からない。引き算のあるいは繰り下がりが分からない。こういうお子さんは、ほとんど授業についていけませんので、その授業の中で情緒障害的な行動を取らざるを得ない、そのように伺っておりますので、是非こういうお子さんにとって学校が楽しくなるように、情緒障害的な行動を減らす方法を特別支援教育の、また違う分野で一つ、書き込みが必要なのではないかと思います。
 それから3点目になります。就学前の教育も大事だということで、保育所をその対象に組み入れていただきましたが、私どもは昨年の4月から保育園を教育委員会の方に組織替えをさせていただきましたが、特に特別支援教育の対象のお子さんは幼稚園より保育園の方に多いという傾向がございます。これは足立区だけではないと考えておりますので、この組織替えまで行かなくても、連携を強化するという意味では、この組織は私はよかったと思っているんですが、是非このような組織替えも参考にしていただければ、幼保一元化も含めて前に進むのかなと思っております。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、他にございませんでしょうか。山口委員、それから中村委員、そして大南委員。

【山口委員】 ワーキンググループの皆様方、本当にご苦労さまでした。感謝申し上げます。まだ自分自身でもどんなふうに捉えてよいかという部分が結構ございますが、一つだけ気になっていることを申し上げたいと思っております。
 合理的な配慮、それから合理的配慮の基礎となる基礎的環境整備という新しい概念を打ち出していただいたわけです。これは現在の特別支援教育を含めて、この概念で分析したときに、国レベルでどこまで来ているのだとか、あるいは自分たちの県はどの辺の段階にいるのだとか、こういったことをやはりきっちり、この概念を持って整理する必要があるのではないかということを非常に強く感じました。
 その上に立って、こういった概念で、新たに、今までの枠組みにとらわれないで国としてのナショナルミニマムという御意見が清原委員の方からありましたけれども、そういったものとしてどの部分を設定して、都道府県のレベルではどういう使命があるのか、あるいは生活自治体としての基礎自治体としての市町村という観点から、この新しい方向性にとって、インクルーシブ教育という観点に立つと、そこの辺をどのように役割分担として位置付けるのかということが非常に大切と思います。
 それから、先ほど久松委員から、東北の震災被災県の様子で、別紙の1にある概念図ですけれども、でこぼこが都道府県によって相当出てしまうのではないかという御指摘がありました。現在、例えば、これから私どもでも2月県議会が始まるのですけれども、教育に対して理解はしてもらっている部分はあるのですけれども、全体の使えるお金が非常に厳しくなっているという現実がありまして、こういう中で、国全体の財源移譲の問題とかいろいろありますので、将来的にはどうなるかということを今ここで議論してもせんなきことかもしれませんけれども、ただ、具体的な財政的なものの裏付けを伴って、どういう作業工程を用いてやっていくかという、当初の議論もございました。こういったものをやはり今後考えていく必要があるのか。あるいは、これはこの委員会の使命ではないのかもしれません。その辺が気になったところです。
 それからもう1点は、通常学級にいる障害を持った生徒、あるいは発達障害の生徒を含めて、そういった生徒に対して今までここの場でも切れ目のない連続した支援ということが盛んに議論された時期がございました。そういった点で、この通常学級における発達障害を含めた障害児童の皆さん方を現在どのように捉えて、その人たちに対して今までになかったような新しい領域にどれだけ踏み込めるのか。調査が始まるということで、その調査を踏まえた議論になるでしょうけれども、こういったところで一つ新しい取組が始まれば良いと、そういう期待もございます。
 まとまらない発言でしたが、以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 中村委員、お願いします。

【中村委員】 NPO法人若駒ライフサポートから参りました中村です。私自身、ワーキンググループに参加しておりますので、ここで御意見を申し上げるのはどうなのかと思ったのですが、一つ、是非申し上げたい意見があったものですから、ここで言わせていただきます。
 資料4-2の6ページのその他となっているところで、障害がある保護者について少し触れられている部分があるのですが、実は、私は、この障害のある保護者の方というのは決して少ないわけではなくて、親御さんがそういう部分を持っていらっしゃる方は実は多いのではないかと最近思っております。先ほど御意見もあったのですが、合理的配慮の決定の段階で、もしかするとそういう親子関係の中でお子様のニーズと保護者の方の御意見が食い違う件はとても多いのではないかということを危惧しております。その部分で、その他というところにまとめられておりますが、先生方の負担も含めてボリューム的には実は多いのではないかと思っております。
 実は、この部分が最終的に検討事項に触れられております保護者の心理的サポートでも大きく関わってくるのではないかと思います。そういう要素をお持ちの保護者の方というのは、やはり障害受容の段階で大変大きなハードルを抱えられる方が多いのではないかということを私自身強く感じております。是非、そういう部分の視点も含めて、このあたりを施策を含めてまとめていく必要が実はとても多いのではないかと思いましたので、ここで意見を述べさせていただきました。ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 大南委員、お願いします。

【大南委員】 全国特別支援教育推進連盟の大南です。資料7がお手元にあると思います。最初が特別支援教室の構想ですので、これは後半で述べますが、めくっていただいて2ページ、3ページ、教員の確保と専門性ということについて意見を述べさせていただきますが、教職員の確保と専門性の向上で、私は、幼、小、中、高、特別支援学校、全部教員は同じ給料にしないとだめだろうと思っています。そして、今は専門的な免許がなくても手当は特別支援学校も学級もいただけるわけですが、これも免許を持っている人がもらえて、持っていない人はもらえないという、そういうことで良いと思います。教員以外の世界ではそうなっていると思いますが、教員は何か、同じ仕事しているのだからみんな同じで良いという、大変慈悲深い方々が多いようですが、これをやっているから専門性が上がらない。なぜかというと、特別に勉強しなくてもそのままで済むわけですから、私はそこを変えないとだめだろうと思います。
 それから二つ目は、何を専門性で高めていくかというのが、皆さんそれぞれ違うと思いますので、3ページで、例えばとして15コマ出しました。児童生徒理解というのは、例えば今日いただいた資料の中では15ページで、「障害のある子どもの実態を的確に把握し、指導計画」、この的確に把握できる人がどれだけいるだろうか。小中学校の通常の学級も同じだと思います。子どもがどこまで理解できているのか。ここのメンバーである、ある先生が「授業が子どもたちにどこまで通じているの」というタイトルで文を書かれていますけれども、私は障害のある子どもの理解ができていないと、指導がきちんとできないだろうと思います。そういう点で、この資料を出しました。
 それから、個別の指導計画、個別の教育支援計画についても、いただいた報告の中の8ページ等に書かれていますし、保護者との協力等については、今、中村委員からもお話がありましたが、これもものすごく大事だと思います。交流及び共同学習、これについては河本委員からもお話がありました。それから、進路支援、このことは進路だけではなくて、14ページでは卒業後のアフターケアまで触れてあるわけですので、よほどきちんとやらないといけない。
 そして、基礎、応用、専門としたのは、基礎編は今年初めて教員になった人、あるいは初めて特別支援学級を担当する先生方を基礎コース、それで12コマ以上取った人が次の2年目以降に応用コースを取れる。ここで、8年以上としましたのは、今、6年から8年が一つの学校にいられる人事上の課題になっているわけですが、2校目あたりぐらいで専門コースに入れるのではないかという、そういう形で、同じ児童生徒理解でも基礎コース、応用コース、専門コースではそれぞれグレードを変えていくというようなことを考えて研修をして専門性の向上。そして、ポイント制にして、免許状に準ずるもの、例えば12ポイントを取っていれば基礎コースはできて、応用コースぐらいになれば免許状とほぼ近いもの、専門コースになれば他の教員の指導ができるというぐらいのことを考えていって、持っていれば良いというのではなくて、それぞれ持っていることによってメリットが本人にも、あるいは一番は児童生徒ですが、そして保護者にも本人にも地域にも分かるようにしていく必要があると思います。
 専門性の向上という、ただ頑張れ、頑張れ、免許を取れ、資格を取れというだけでは、私はなかなかうまくいかないだろう。そこにやはり評価ではないですが、御褒美が必要だろうと思っています。
 以上です。

【宮﨑委員長】 前の方はよろしいですか。

【大南委員】 特別支援教室の構想は、インクルーシブ教育と結びつけて、実はこの構想が出てきたわけではないのですけれども、今の状況を考えていきますと、通級指導教室に通っている児童生徒は小学校・中学校籍です。特別支援学級にいる児童生徒は特別支援学級に籍があるのですが、これを小中学校の籍に変えるということです。それが特別支援教室構想の一番基本です。そして、その中を教室1、2、3と特色を持たせます。1は現在の特別支援学級と同様に考えます。ですから、固定の学級というか、多くの時間をここで過ごす。2は現在の通級のようにして1週間何時間かそこへ通います。3は、例えばLD、ADHDが比較的落ち着いた児童生徒の皆さんですと、1カ月に何時間か特別な指導を受けられる。そうすると、通級は児童生徒が動きますけれども、巡回指導は教員が動いていきますから、特別支援教室3は複数の学校をまさしく専門教員が巡回をしていくような形をとれればよろしいのかなと思います。
 この辺、いきなりここへは持っていきづらいですから、今、各都道府県でモデル事業として特別支援教室への移行を実践されつつありますので、そういう結果を基にしながら、特別支援教室へ移行をしていく手立てを今後考えていく必要があるのではないかと思いまして、改めてここに資料として提案をさせていただきました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 もう既に15分経過していてすみません。最後に何か、これだけは言っておきたいということがあれば。熊坂委員、お願いします。

【熊坂委員】 私もワーキンググループにおりましたので、この中身のことではないことで若干お話をさせていただきたいと思います。
 特別支援学級関係のことですが、私は全国の町村の教育長の会です。ここで情報交換をしていくと、まず特別支援学級の設置あるいは教員の配置の要件が都道府県によって非常に違いがあるということです。教員の異動の年限も都道府県によって違いがある。そういう実態を踏まえてかからないと全国的にこの内容を有効活用していくには心配があると思います。それが1点です。
 それから、特別支援学級に関わる教員の研修があるわけですが、市町村になりますと大変条件がいろいろございます。町村だけで申し上げますと、全国では930ほどの町村があるわけですが、指導主事がいないところが半数を超えております。そういうことになってきますと、町村で特別支援の研修を組むことはかなり難しさがある。幸い、私の町では指導主事が3人おりますので、町なりの特別支援学級の教員の研修は行っておりますが、そんな状況があるということを考えると、これはもう具体的には教員の資質を上げるには都道府県単位で方策を考えなければいけない。こんなことも実情としてございます。感想というか、実情をお話しして、違う形での取組の必要性をここでお話をしておきます。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 ワーキンググループからいただきました本委員会への関連事項について、十分な審議はできなかったと思いますが、これまで議論を重ねてきたところでもありますので、今日いただいた意見をまた次に反映をしていくようにしたいと思っています。
 それから、合理的配慮についての御意見に関しましては、ワーキンググループでまとめていただいておりますので、ここにどんな形で今日の御意見を反映させていくかについては、今後また検討をさせていただくということになろうかと思います。
 長時間ありがとうございました。それでは、時間を20分近くオーバーしましたが、本日の委員会はこれまでといたします。最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。

【前田特別支援教育課課長補佐】 特別支援教育課、前田です。
 次回、第16回特別委員会の日程につきましては、先生方に追ってご連絡させていただきます。
 以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、本日の会議はこれで閉会といたします。御出席をくださいました委員の皆様方には改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

── 了 ──

 

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