特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第9回) 議事録

1.日時

平成23年3月10日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

旧文部省庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 委員長の選任等について
  2. 特別支援教育の在り方に関する特別委員会論点整理に関する意見募集の結果について
  3. 特別支援教育の在り方に関する特別委員会の当面の進め方について
  4. その他

4.議事録

 ○委員長について、宮﨑委員が適任である旨の発言があり、了承された。

○宮﨑委員長から、石川委員が委員長代理に指名された。

○事務局から説明の後、資料3のとおり、特別支援教育の在り方に関する特別委員会の会議の公開について了承された。

 

【宮﨑委員長】 以上で必要な手続が終了しましたので、これから会議を公開いたします。これから報道関係者及び一般傍聴の方々が入室をなさいますので、しばらくの間お待ちいただければと思います。
 それでは、おおむね傍聴の方々がお入りになりましたので、会議の公開についての御説明をさせていただきます。
 特別支援教育の在り方に関する特別委員会の会議の公開につきましては、資料3のとおりになっております。委員長の許可があった者は会議の撮影等を行うことができるということになっております。今回の撮影を申し込まれた方については、会議の終了まで撮影を許可するということにさせていただきます。
 それでは、私から、第6期の中央教育審議会初等中等分科会に設置されました特別支援教育の在り方に関する特別委員会の再開に当たりまして、一言、説明させていただきます。
 昨年12月24日に、中央教育審議会初等中等教育分科会の分科会長から、中央教育審議会の総会で論点整理についての御報告をさせていただいたところです。そして、12月25日から、この論点整理に関する意見募集を1カ月実施いたしました。その結果については後ほど御報告があろうかと思いますが、多くの、様々な御意見を頂戴しました。ただ、この特別委員会で私どもに与えられたミッションの少なくとも基本的なポイントについては、皆様の御尽力によりまして、方向性が出ているものと思っています。しかしながら、まだまだ、これから詰めなければいけないことが相当残されているということで、本特別委員会が再開となったように思います。後ほど、御説明があろうかと思いますが、引き続きインクルーシブ教育システムの構築に向けた忌憚のない議論をしていただいて、ある一定のまとめができればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 今申し上げましたように、本特別委員会は、これまで8回にわたって審議を重ねて、昨年12月24日に論点整理を総会に報告いたしました。そして、論点整理に対する意見募集を同月25日から本年1月23日までの期間に実施し、事務局において取りまとめていただきました。60ページ近くの冊子になっております。
 なお、昨年末に、内閣府の「障がい者制度改革推進会議」においても「第二次意見」が取りまとめられております。これらを受ける形で、これから審議をすることになると思います。
 まず資料の確認、それから意見募集の結果及び「第二次意見」についての御説明をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。それでは、資料の説明をいたします。
 まず、資料4として、この特別委員会における論点整理を配付しております。後ほど説明申し上げる論点整理の意見募集の結果につきましては、この論点整理の項目に沿った形でまとめているところです。意見募集の結果の内容につきましては、論点整理の1ページをおめくりいただくと目次となっておりますが、つくりとしましては、はじめに、それから、まず1として「インクルーシブ教育システム構築に向けての特別支援教育の方向性について」、2として「就学相談・就学先決定の在り方について」、3として「インクルーシブ教育システム構築のための人的・物的な環境整備について」、4として「教職員の確保及び専門性向上のための方策について」と、このような柱立てで意見募集の結果をまとめておりますが、それぞれの下の(1)といった小さなくくりにつきましては、付けておりません。どこに入るのかを分類するのが難しいものもありました。事務局で、おおむね、(1)、(2)、(3)の流れで作ってはおりますが、分類をしていないため、少し分かりづらいことになるかもしれませんが、あらかじめ御承知ください。
 それから、今、宮﨑委員長からも御指摘がございましたが、参考資料1を御覧ください。参考資料1は、内閣府が事務局をしております「障がい者制度改革推進会議」が昨年12月17日に取りまとめた「第二次意見」です。この「第二次意見」について説明申し上げたいと思います。まず、1ページを御覧ください。
 この特別委員会が始まりましたのが昨年の7月、その前に、6月7日に「障がい者制度推進会議」から「第一次意見」が出され、それを踏まえた閣議決定が6月になされました。それを受け関係府省で検討することとなっており、推進会議においても、検討を1ページのとおり進めました。
 1ページ中ほど、「第一次意見」で、今後の改革の課題を基礎的課題、横断的課題、個別分野の3つの分野に分けて意見が取りまとめられております。横断的課題の第1に位置付けられた障害者基本法の抜本改正については、「第二次意見」の内容を踏まえ、政府において、平成23年の通常国会に法案として提出することになっているということで、この「第二次意見」は、今年の通常国会に提案する障害者基本法の抜本改正の内容を表したものであるということです。
 審議の状況については、4ページから5ページを御覧ください。
 まず、「障害者基本法の改正について」として、障害者基本法の改正の趣旨・目的が4ページから書かれております。歴史的な背景、現在の課題について書かれております。
 5ページでは、基本法について、推進会議として、どのような条件を満たすことが必要かということで、下から2番目の段落ですが、基本法が単に既存の施策のリストに終わることなく、真に障害者施策をリードしていくため、幾つかの条件が必要であるということで、ここでは3つ掲げられています。
 第1として、障害に基づく差異を否定的な評価の対象としてではなく人間の多様性の一つとして尊重し、相互に分け隔てられることなく個性と人格を認め合うインクルーシブな社会の構築を基本法の目的に組み込むこと。そして、第2として、基本法がよって立つ障害概念を転換した上で、差別禁止も含め、障害者に認められるべき基本的な人権を確認し、各種施策が人権確保のために国や地方公共団体の責務を定めるものであるとの位置付けを与えること。第3として、障害者に関連する政策決定過程に障害者が参画する重要性に鑑みて、障害者に関する施策の実施状況を監視する権能を担う機関を創設すること。これら3つの目的から基本法を改正していこう、ということです。
 引き続きまして、6ページに、特に基本法の目的というものが、「障がい者制度改革推進会議」の問題認識として書かれております。6ページ中ほどから下の部分です。
 障害者基本法の総則に関係するものとして、目的、「基本的人権の享有主体性の確認」ということで、「障害者を保護の客体であるとする見方から、すべての基本的人権の享有主体であるとの見方へ、考え方の根本を転換することが障害者権利条約の理念であり、今後の障害者施策の基本となるべきである。したがって、かかる観点から、障害者権利条約を締結することを目指して、基本法の目的の見直しが行われるべきである。」ということです。次に、「格差の除去と平等の権利の保障」、更には、「インクルーシブ社会の構築」として、「すべての障害者が国民から分け隔てられることなく、社会の一員として受け入れられ、合理的配慮や必要な支援の充足を通じて、障害の有無に関わらず地域社会で共に自立した生活を営むことが確保されたインクルーシブ社会を実現することが日本の目指すべき社会であることを明記し、そのための国及び地方公共団体の責務を明らかにするよう、基本法の見直しが行われるべきである」という御意見です。
 これらを踏まえて、基本法には次の観点を盛り込むべきということで、幾つかの観点が示されています。更に、それらを受けて、この点線で枠組みしている下の部分ですが、「基本法改正に当たって政府に求める事項に関する意見」として、3つ書かれています。まず、「障害者が、障害のない人と等しく、基本的人権の享有主体であることを確認し、そのことを前提として障害者基本法の目的を改正すること」、2番目として、「障害の有無にかかわらず、国民が分け隔てられることなく相互に個性と人格を尊重する社会を実現するために、合理的配慮や必要な支援の充足を通じて必要な施策を推進する旨を障害者基本法の目的に加えること」、3番目として、「障害者を福祉施策の客体としてのみとらえているという印象を与える表現は用いないこと」ということになっています。
 以上が目的の部分ですが、更に幾つかのパートに分かれておりまして、個別分野につきまして、26ページから基本的施策関係というものがあります。
 まず最初に、「地域生活」が書かれております。2番目に「労働及び雇用」が書かれております。3番目として、「教育」が32ページ以降に書かれております。「障がい者制度改革推進会議」の問題認識、それから、基本法改正に当たって政府に求める事項に関する意見というものが書かれております。
 具体的には、33ページを御覧ください。33ページ以降、「障がい者制度改革推進会議」の問題認識として、幾つかのことが書かれております。
 1つ目がインクルーシブな教育制度の構築ということで、「人間の多様性を尊重しつつ、精神的及び身体的な能力を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加するとの目的のもと、障害者が差別を受けることなく、障害のない人と共に生活をし、共に学ぶ教育(インクルーシブ教育)を実現することは、互いの多様性を認め合い、尊重する土壌を形成し、障害者のみならず、障害のない人にとっても生きる力をはぐくむことにつながる」としています。
 それから、33ページの中ほどから下ですが、「地域における就学と合理的配慮の確保」として、「第一次意見」に述べられたことが書かれています。
 また、34ページにまいりまして、「学校教育における多様なコミュニケーション手段の保障」として、こちらも「第一次意見」で書かれていたことを中心に整理されています。特に、コミュニケーション手段の保障の2つ目の段落ですが、「更に、教育現場において、一人ひとりのニーズに基づき、あらゆる障害の特性に応じたコミュニケーション手段を確保するため、教育方法の工夫・改善、電子教科書を含む使いやすく、分かりやすい教科書の保障等必要な措置を講ずるべきである」という内容が追加されております。
 それから、34ページの中ほどから下ですが、交流及び共同学習について、居住地交流、直接交流、間接交流という種類別をされており、直接交流については、移動の際に親が付き添いを求められるなど、多くの課題があるといった課題を挙げておられます。それから、交流及び共同学習は、原則分離の教育のままではインクルーシブ教育は実現しないとして、「地域社会の一員となる教育の在り方という観点から見直されるべきである」という御意見をまとめられております。
 基本法には次の観点を盛り込むべきであるとして、34ページの下から35ページにかけて幾つかの項目が挙げられておりまして、それを受けて、「基本法改正に当たって政府に求める事項に関する意見」として、4つ出されています。
 35ページの中ほどから下のところですが、1つ目として「障害のある子どもは、他の子どもと等しく教育を受ける権利を有し、その権利を実現するためにインクルーシブな教育制度を構築すること」、2つ目として「障害のある子どもとない子どもが、同じ場で共に学ぶことができることを原則とするとともに、本人・保護者が望む場合に加えて、最も適切な言語やコミュニケーションを習得するために特別支援学校・学級を選択できるようにすること」、3つ目として「就学先の決定に際し、本人・保護者の意に反して決定がなされないことを原則とすること」、4つ目として「障害のある子どもの個別のニーズに的確にこたえるため、合理的配慮や必要な支援が提供されるために必要な施策を講ずること」となっています。
 以上で、12月17日にまとめられました「障がい者制度改革推進会議」の「障害者制度改革の推進のための第二次意見」を紹介いたしました。
 続きまして、資料5を御覧ください。
 資料5は論点整理に関する意見募集の結果で、意見募集を昨年12月25日から今年1月23日まで、1カ月ほど期間を設けました。お寄せいただいた意見総数が3,324件です。量的なイメージとしては、厚さ8センチのファイルで4冊程度の量になります。たくさんお寄せいただいたものを全文掲載するのではなく、事務局でそれぞれのエッセンスを抽出した形ですので、いただいた意見を全て網羅できたかはなかなか難しいものがございますが、事務局として整理したものです。
 先ほども申し上げましたとおり、資料4の目次を横に置いて見ていただきますと、流れが分かりやすいかと思います。
 それで、まず目次に入る前段階として、幾つか総論ということでまとめております。
 1ページを御覧ください。1ページには、主に「障がい者制度改革推進会議」から出されている「第一次意見」、それから、この論点整理をまとめる直前にまとめられた「第二次意見」との関係について御意見をお寄せいただいたものです。
 色々な御意見がありますが、例えば一番最初のところにありますように、「第一次意見」、「第二次意見」を無視したものであり、基本的な姿勢に反対するという御意見、両意見を尊重してほしいという御意見、その2番目のところですが、8回の審議の中で、制度改革推進会議の動向も踏まえながら、特別支援教育の課題と今後の具体方策を検討していただいたことを高く評価、3番目にありますように、この意見を積極的に提言して、具体的な施策の推進を、更に具体的なことをしてほしい、というものなどを取りまとめさせていただいています。
 1ページ、大体、推進会議の「第一次意見」、「第二次意見」との関係について御意見いただいたものを中心にまとめました。一つ一つ読み上げる時間がありませんので、申しわけございませんが、目でお目通しいただければと思います。2ページ、総論の中でも特徴的なものとしてまとめました。障害のとらえ方として、この会議でも社会モデル、医学モデルというお話をいただいておりましたけれども、それらについての御意見が幾つかございましたので、2ページの1つ目から医学モデル、社会モデルについて御意見いただいたものを取りまとめさせていただいております。
 それから、2ページ中ほどから、「はじめに」についての御意見です。最初は、特殊教育から特別支援教育へ転換した、という説明だけでは、今までとは違う、今より進んだ教育を行うという姿勢が見えず、誤解を生むだけだ、といった御意見。
 それから、経緯としまして、まず12月3日に、この特別委員会、最後にやっていただいて、その後、初等中等教育分科会、それから12月24日の総会での報告という形をとっておりますが、12月17日に「第二次意見」が取りまとめられたので、その内容についても明記すべきだったのではないかという御意見が出されています。
 続きまして、「1.インクルーシブ教育システム構築に向けての特別支援教育の方向性について」まとめたものは、2ページから19ページまでになります。2ページからの最初の部分は、インクルーシブ教育システムとはどういうものか、様々な御意見をいただいており、その内容をまとめたものです。中には、こうあるべき、審議会の内容が十分ではない、といった御意見等があります。3、4、5ページぐらいまでが、そういうものが中心になっています。それから、5ページ以降については主に、この目次の(2)の「『共に学ぶ』ことについて」といった内容を中心に、5ページから、そういった内容に少しずつなってきておりまして、7ページのあたりでは、特に、共に学ぶことの良さ、問題点、色々なものを7ページ以降、書いていただいているところです。
 そういった中で、例えば特徴的なものを申し上げますと、8ページ御覧いただけますでしょうか。8ページで、色々な御意見いただいている中でございますが、8ページの2つ目のマル部分でございますけれども、「財政負担を含めた国民的合意を図りながら、」ということや他でも幾つか財政的な課題があるということが書いてありますけれども、教育条件の整備が改善されていないから難しいということで何もできなくなるのではないか、といった懸念を表明する御意見が幾つか寄せられています。この御意見だけ取り上げるということではないのですが、そういった懸念をする声が幾つか、ほかのところにも出てまいりますので、特徴的な御意見ということで一つ取り上げさせていただきました。
 それから、条件整備と共に学ぶことの関係について、この7から10ページのあたりまで、御意見を色々な立場の方からいただいております。
 学校現場の方々からは、13ページのあたりですけれども、条件が整わないと難しいというお話をいただいています。例えば13ページの、これも、こういう意見が幾つかのところで出されていますので、特徴的な意見ということで紹介させていただきますが、13ページの下から5つ目の、条件整備をしなければ、障害のある子どもに大きな不平等をもたらす。財政的な措置を講ずることをはじめとして、国として施策の優先順位を上げるべき。それを緊急に行わなければ、障害者の権利に関する条約を批准しても何も変わらない、といった御意見。その前後にもありますが、まずは、その人的物的な条件整備が先決であるといったような御意見をいただいています。
 続きまして、15ページの中ほどから下のあたりにおきましては、「多様な学びの場」という言い方、多様な学びを用意するということについては、皆さん、それほど問題はないのかなと思いますが、「多様な学びの場」ではなく「多様な教育方法」にしてほしいとか、そういった御意見があります。学びの場を用意することについて、そういうものを時々に選ぶことができる仕組みが必要であるとか、そういう御意見をいただいております。
 それから、16ページの中ほどのあたりには、諸外国との比較において議論を進めていただきたいという御意見ですとか、16ページの中ほどから下のあたりでは、短期と中期に課題を整理されたと。それで、短期と中期についての御意見そのものと、それぞれについてどういう形で進めていけばいいかといった御意見を16ページでいただいております。
 それから、特に病院に入院されて特別支援教育を受けられている子どもたち、17ページの中ほどですが、そういったものに対しての配慮というものを書いていただいております。それから、その下のところでは、地域とのかかわり、教育と地域の関係についての御意見を幾つか書いていただいております。
 18ページの中ほどから下のところでは、特に、この特別委員会のところで御議論いただきましたスクールクラスターの考え方につきまして御意見を寄せられたものをまとめています。
 続きまして、19ページの「2.就学相談・就学先決定の在り方について」です。まずは就学相談、就学先の決定についての現在の課題について、様々な御意見を整理しています。20ページ以降、早期からの教育相談・支援についての御意見を載せています。早くからやったほうがいいという御意見もありますし、早くからやることによってレッテル張りをされるのではないかという御心配をする御意見もあるような状況です。
 それから、教育相談というものをもっと丁寧にやるべきではないか、といった御意見があります。例えば21ページの中ほどの、上からですと9番目ですか、「本人・保護者に十分情報提供し」とあるが、教育委員会、学校とも十分な情報を持っていないという指摘をいただいております。
 続きまして、22ページ以降ですが、22ページ以降につきましては、主に就学先の決定の仕組みにつきまして、まとめている部分です。特別委員会では、総合的な判断を行い、その際に、本人・保護者の情報提供を十分に行い、それから、本人・保護者の意見を最大限尊重する。それから、本人・保護者と学校教育委員会で教育的ニーズと必要な支援について合意を行うことを原則とする、といった整理をしていただいたところですが、それについて本人・保護者の選択を認めるべきではないかといった御意見ですとか、最大限尊重して就学できたとしても、なかなか条件整備のところが、やはり難しくなるといった御意見を、22ページから23ページのあたりに書かせていただいております。
 一方で、就学先の緩和につながり、特別支援学校への入学者が増加するのではないかといった懸念ですとか、都道府県、市町村によって差異が大きくなるのではないかといった御意見を24ページあたりに整理させていただいております。
 その就学先のプロセスについては、25ページのあたりから幾つか、「就学決定ガイダンス」についての御意見、26ページ以降ですと、教育支援委員会についての御意見、それから、就学先に関し本人・保護者と学校教育委員会の意見が一致しない場合についての御意見が、26ページの中ほど下のあたりに整理させていただいております。
 それから、学籍の一元化をすべきではないかという御意見もありまして、27ページの中ほどあたりから、自由に柔軟な就学先の変更の仕組みの一つとして、そういったことも検討できるのではないかということが、27ページの下のあたりから整理させていただいている点です。
 それから、ここに限らず、総論のところでも出てまいりましたが、28ページのあたりですと、就学先を決めるところだけではありませんが、教育に限らず、医療、福祉とも、しっかり連携をしていくべきではないかといった御意見をいただいているところです。
 28ページから29ページにつきましては、就学先の決定、それから一貫した支援の仕組みというものに関し御意見いただいたものをまとめています。
 それから、30ページを御覧ください。主に就学相談、就学先決定に係る国、都道府県、教育委員会の役割についての寄せられた御意見をまとめています。
 続きまして、30ページの下のところから「3.インクルーシブ教育システム構築のための人的・物的な環境整備について」です。現状と課題のところ、それから障害のある児童生徒等の受け入れるための環境整備全般のところ、それから合理的配慮のところが、重なる部分も幾つかあろうかと思います。まず30ページから31ページにかけては、現状と課題のところに関して寄せられたものを中心にまとめています。
 それから、31、32ページのところでも、環境整備を中心にまとめています。36、37ページぐらいまで、こういうものが必要ではないかといった環境整備についての御意見を整理したものです。それから、少し飛んで恐縮ですが、37ページ、2つ目から、主に合理的配慮について寄せられた御意見を中心にまとめたものです。こういうものが必要、というものもありますし、合理的配慮を一層具体化してほしいといった御意見が寄せられております。
 37ページから、入っている項目、入っていない項目ありますが、42ページまでが、大体、合理的配慮に関するものだと思っておりますが、合理的配慮の中で、大きくくくらせていただいたのが2点ほどございまして、1つは、41ページの中ほどから下のあたりですが、特に障害の重い子どもたちに対する医療的ケアについて、どうすべきかということが幾つか御意見をお寄せいただいております。それを中心に41ページまとめています。
 それから、もう一つ、42ページ、特別支援学校に設けられている寄宿舎のことについて幾つか意見が寄せられており、今後、寄宿舎のことも検討してほしい、といった御意見をいただいております。
 続きまして、42ページ中ほどやや上からは、(3)「交流及び共同学習」について、様々な御意見をいただいております。46ページまで、色々な意見をいただいておりますが、特に条件整備を進めていくべきではないか、という御意見を書いていただいております。44ページの下から45ページにかけましては、事務局で紹介した東京都、埼玉県、横浜市で行われている副籍についての御意見、学籍についての御意見が寄せられており、それについて、できる限りまとめました。
 46ページを御覧ください。(4)「特別支援学校のセンター的機能の活用」についていただいた御意見について、整理しているものです。
 続きまして、47ページの下のところから「4.教職員の確保及び専門性の向上のための方策について」の御意見です。現状と課題、専門性の確保の意見を整理していますが、教員の養成、研修。特に研修の部分が中心ですが、研修のことについて幾つかいただいた御意見を整理させていただいております。その中でも、養成、研修の中で、養成のことにつきましては、54、55、56ページのあたりに、特に詳しく書かせていただいているところです。
 それから、57ページの中ほどやや上のところから、教職員への障害のある者への採用・人事配置ということですので、その意見を整理させていただいたものです。
 簡単ですが、事務局からは以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 ただいま、参考資料1の「障害者制度改革の推進のための第二次意見」の概要の説明、それから資料4と5に基づいて、特に意見募集の結果について、論点整理の目次に沿った形で整理をしていただいたものの紹介をしていただきました。大変大部になっておりますし、私も今、目を通したところですので、詳しく見られておりませんが、御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
 それでは、乙武委員お願いします。

【乙武委員】 乙武です。今、意見募集の結果について、説明をお伺いしましたが、冒頭の部分で、これは32センチ近くになるファイルの全ての意見、全文を掲載しているわけではなく、エッセンスを抽出した形になっているというお話だったんですけれども、そのまとめ方として、同じような意見は一つにまとめているのでしょうか。つまり、延べ意見ではなく、意見の内容だけが載るような形にしているのか。それとも、同じような意見でも、数は、何といいますか、インクルーシブ教育に対して、例えば賛成という意見が多くあったら、それは、これとこれは似ているから1個でいいという抽出の仕方をしているのか。それとも、数どおりに載せているのか。そこのところを確認させていただけますでしょうか。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。
 乙武委員から御指摘いただいた点につきましては、数を反映させたものではございません。同じような意見については、できる限りまとめたものです。一方で、なかなかまとめ難いものにつきましては、似たような意見と読まれていて思われた部分もあろうかとも思います。同じものと思われるものは整理して一つとし、少し違うと思ったものについては分けて掲載しています。
 その結果として、数につきましては、例えば、一番最初の項目が幾つ同じ意見があったかは、この資料からは読み取れません。以上です。

【乙武委員】 ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 ほかにありますでしょうか。
 それでは、齋藤委員お願いします。

【齋藤委員】 特別区教育長会の齋藤です。お一人お一人の意見は、ごもっともな内容のものがたくさんありますけれども、この意見に対して、どの人がということではないのですけど、数的にどういう方から、例えば、障害者団体の方、教育関係の方、あるいは障害者御本人など、そういう大枠で結構ですが、意見提出者は分かりますでしょうか。

【横井特別支援教育企画官】 職業等を書いていただく欄がありまして、そちらのほうの整理を次回、資料としてまた出させていただければと思いますので、御参考にしていただければと思います。雑駁に申せば、保護者の方の御意見、それから障害当事者からの御意見、それから障害者の団体の方からの御意見、それから教育関係者からの御意見、福祉関係の従事者からの御意見、まさに様々な方々から御意見いただいております。どういう形で大くくりにできるかと、次回、資料として提出し、御確認いただくのがよろしいかと思います。

【宮﨑委員長】 それでは、意見を出された方々についてのまとめについては次回、事務局で取りまとめをして出していただくということでよろしいですか。
 ほかに、ありますでしょうか。
 この意見募集の結果につきましては、お目通しをいただいて、そして今後の特別委員会の議論の参考にさせていただいて、ぜひ、この御意見を取り入れた形で議論を進めていただければありがたいなと思います。
 それでは、これからの本特別委員会の当面の進め方について、まず事務局からの原案ということで、説明をいただきたいと思います。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。資料6に基づき説明いたします。この特別委員会、第6期の中央教育審議会が始まって最初の特別委員会ですが、論点整理をまとめていただき、最初の特別委員会ということでもありまして、事務局として、論点整理に書かれておりますものを、今後どのような形で検討をしていただくことが適当かをまとめたものです。
 具体的には、資料4の論点整理の4ページを御覧ください。今後の進め方として、短期と中長期に整理し段階的に実施していく必要があるとしていただいております。「短期的には、就学相談・就学先決定の在り方にかかる制度改革、教職員の研修等について検討し、必要な財源を確保して順次実施していく。また、合理的配慮を含むインクルーシブ教育システム構築のための人的・物的な環境整備、教職員の確保及び専門性の向上のための方策、特別支援教室構想について、体制面・財政面を含めて検討し、中長期的に実施していく必要がある。最終的には、条約の理念が目指す共生社会の形成に向けてインクルーシブ教育システムを構築していくことを目指す」という文言で整理いただいております。これに基づき事務局で資料6を作成いたしました。
 「今後の検討事項(案)」としておりますが、1つ目が、「早期からの就学相談・就学先決定の在り方」としまして、特に御議論いただいていたところで残っているのが、本人・保護者、学校・教育委員会の意見が一致しない場合の調整の仕組み、専門家の確保という点。それから、合理的配慮について、障害種別の内容も含めて、ソフト・ハードの両面から検討していただくこと、それから、教職員の研修をどのように進めていくか、副次的な学籍、交流及び共同学習、「共に学ぶ」というところで取り上げていただいているものですが、学籍についてどのように検討していくかということ。それから、教職員の確保及び専門性の向上のための方策ということにつきましては、改めまして、資料4の1ページを御覧いただきますと、もともとの、この特別委員会、第1回のときにも説明申し上げているところですが、昨年の6月の閣議決定の内容として示された点が2点あり、1点目が「インクルーシブ教育システム構築の理念を踏まえ、体制面、財政面も含めた教育制度の在り方について、平成22年度内に障害者基本法の改正にもかかわる制度改革の基本的方向性についての結論を得るべく検討を行う」と、これについては、論点整理という形でお示しいただいたと考えております。2点目としまして、「手話・点字等による教育、発達障害、知的障害等の子どもの特性に応じた教育を実現するため、手話に通じたろう者を含む教員や点字に通じた視覚障害者を含む教員等の確保や、教員の専門性向上のための具体的方策の検討の在り方について、平成24年内を目途にその基本的方向性について結論を得る」というもので、こちらにつきましても、「教職員の確保及び専門性向上のための方策」として御議論いただければと思っています。
 それから、先ほどの4ページに出ておりました特別支援教室構想、中長期的に検討して実施していくものでございますが、それについても御検討いただければということで、以上、事務局からは6点ほど案として出しました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは、今後の当面する課題についての検討事項として6点、事務局から提案があったわけですが、論点整理の中で、私どもがまとめた短期、中長期という視点で4ページから5ページにかけて書いてある中身に沿った形で検討事項を並べていただいているということですが、これについて御質問、御意見を頂戴したいと思います。もっとこんなことが必要ではないかということも含めて、お願いします。
 それでは、大久保委員お願いします。

【大久保委員】 大久保です。この論点整理を踏まえてということは、当然よろしいかと思いますけれども、この論点整理の目的というのは、1つは障害者基本法の改正について反映させるということがベースにあるわけで、先ほどお話にあったとおりだと思います。そして、この障害者基本法改正案は、政府としては、今月提案される予定と思いますけれども、この基本法改正案の内容を当然踏まえなければいけないということになるものと思います。そうすると、その内容について今、調整されていると思いますけれども、その辺のところで整合性というか、その辺のことがどうかということを確認させていただきたいと思います。
 それともう一つ、この検討課題の中で、非常に大きなテーマですけれども、この論点整理の中で書いているインクルーシブ教育システムの構築に向けて、今後の進め方については、短期と中長期に整理し、段階的に実施していくことが必要と書かれています。この辺について、どのようにテーマとして取り上げていく予定なのかですね。
 やはり、これは、それこそ今後の方向性というか、こういうものを示すというか、あるいは具体的に検討していくことも当然重要ではないかということで、この辺のテーマをどのように扱うかをお伺いしたいと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、乙武委員お願いします。

【乙武委員】 たびたびすみません、乙武です。昨年、1年間かけて我々が話をしてきた内容、議論というのは、分かりやすく言うと、理想と現実の間にどう着地点を見つけていくのかという話なのだと思っています。もちろん、このインクルーシブ教育というものが実現できれば理想だけど、それを今、この日本の教育現場に持ち込んだらパンクするよねということだったと思いますけれども、その中で1年間追いかけて我々が出した論点整理は、今、この寄せられた意見募集の結果を拝見していても感じたのは、やはり、かなり現実寄りなものになったのかなと僕自身も感じています。
 もちろん、僕自身も教育現場に3年おりましたから、今回のこの現実に寄った論点整理は、いたし方ないのかなと思う部分もありますけれども、ただ、それをベースにするとなると、この障害者権利条約に批准することを考えた場合、批准は難しいのかなと個人的感想も持っています。
 例えば、今回のこの検討事項の1番目にあります「就学相談・就学先決定の在り方」に関しましても、やはり、あくまでも決定権は教育委員会、自治体側が持っているというままで、果たして、ほんとうにこのインクルーシブ教育、また今回の条約への批准にそぐうものなのかなと考えたときに、僕は、そぐわないというように感じています。それを、いや、今回のこの特別支援教育という日本の在り方はインクルーシブ教育と矛盾するものではないという言い方をしてごまかしてしまうのは、僕の中では何か抵抗があります。あくまでも、この現場に即した考え方をするならば、条約には批准できない、あくまでも教育現場を守るのだという言い方をすべきだと思うし、そこを何か、両方うまくやっていこうみたいな、曖昧な進め方は、あまりよくないのかなと、そのように感じています。
 もちろん、この具体的な内容を検討していく、この内容に関しては全く異論はありませんけれども、大きな方向性としてどうしていくのかなというところに疑問を感じます。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは杉山委員、お願いします。

【杉山委員】 浜松医科大学児童青年期精神医学講座の杉山です。これまでの議論を通して、一番足りないものは何かといいますと、エビデンスが足りないように思います。おそらく古典的な発達障害に関しては、幾つかのデータはありますし、それから現在、特別支援教育を受けている子どもの数というのは、第1回からも提示がありました。しかし、このような問題が今、混乱する一つの理由というのは、おそらく、通常クラスの中でグレーゾーンをどちらにするべきなのかということが非常に曖昧になっていることであり、その特別なニーズが必要かもしれない子どもたちにどのように対応していくのかというところが、おそらく混乱の理由になっているところと思います。
 これまでの議論で、品川委員から何度も指摘がありましたように、そういう障害の種別によってニーズが随分異なってくるわけです。それを全部一緒に対応していいのかと。もちろん、理念的な議論はできますが、理念的な議論で引きずられたときには、迷惑受けるのは子どもです。
 そのようなこともあり、まずは実態調査を行うことが必要ではないかと思います。学習障害の頻度が3%か、5%、10%かでは全く議論が違う。こういう基本的なデータがありません。この基本的なデータ抜きで、こういう議論を行い、その議論が障害者基本の法律に影響するとなると、とんでもないことです。
 私も先日、学習障害のデータを調べてみましたが、ADHDがプラスされているものまで含めると、大体8%、一番新しいドイツのデータでは11%、というデータがあります。日本で出ているのは、唯一、特別な支援が必要な子どもが6.3%程度という2002年のデータです。その中で学習障害に相当するのが4.5%という、これが唯一です。
 実は、個々の自治体では、データを出しているところがあります。ところが、そのデータというのは公開を拒否されています。なぜかというと、そういうデータをとっているということが公開されますと非常な非難を受ける可能性があるということで、学校側が出したがらないのです。
 このような状態で、基本的な法律に影響が出るかもしれない議論を進めるということには非常に懸念を覚えます。
 こういう調査ができる主体としては、おそらく、文部科学省しかないと思うものですから、もう一回、実態調査をやってほしいと思います。例えば、自閉症スペクトラム障害。これは広汎性発達障害から、おそらく自閉症スペクトラム障害に概念が変わってきますが、それが2003年の調査では確か0.7でした。しかし、最新のデータでは2%というデータがあり、更に6%というデータがあります。これも0.7、2%、6%では対応が非常に違ってきます。そのように考えます。

【宮﨑委員長】 ありがとうございます。
 まず、お三方の、特に大久保委員がおっしゃられた障害者基本法との整合性ですが、現在、障害者基本法の改正に向けた動きがあると思いますが、そことの整合性はどうかということです。それから、短期、中長期という考え方の整理をきちんとすべきではないかという御意見がありました。これについては、事務局いかがでしょうか。
 また、乙武委員、杉山委員の御意見は、具体的な提案として受けとめられる内容と思います。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。大久保委員の御質問に関しましては、1つ目の基本法の改正との整合性につきましては、当然図っていかなければいけないということで、また政府として改正案を提出した際には、次回の特別委員会でも、まだ成立前かもしれませんが、どのようなものが提出されたか、を御覧いただきながら、御審議の参考にしていただくことになろうかとは思います。2つ目のインクルーシブ教育システムの構築の実施に向けて、どのようにしていくのかについても、。特別委員会で、そのようなことについても、ぜひ御提言いただき、それを受けて進めてまいりたいと考えています。

【宮﨑委員長】 大久保委員、よろしいですか。現在、障害者基本法の最終的な調整をされていると思いますが、それについては、次回以降提出していただいて、そことの整合性を図りながら、私どもとしての具体的な検討事項をまた整理するということだと思います。
 それから、乙武委員がおっしゃられた条約を批准するときの考え方、特にインクルーシブ教育システムの考え方を、私どもの中でもう一回、それについては協議をしていく必要があると思いますので、御意見として、整理の中で、また、ここは具体化していかなければいけない課題だと思います。
 それから、杉山委員の実態調査については、今後の検討課題の中に、特に具体的な教育の現場における様々な課題についての、私ども検討するときのエビデンスが足りないのではないか。その一番ポイントが実態調査である。だから、実態調査をすべきであるという御提言と受け止められます。これを具体的にどうするかというのは、中身として置いておいて、そういうことも含むべきではないかという意見として捉えてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。
 それでは向山委員、お願いします。

【向山委員】 全国連合小学校長会の向山です。今後の検討事項ということにかかわって3点、お話をさせていただきます。
 1点目は、杉山委員と同様、実態調査をもっと精査すべきだという意見です。私たち全連小は、全国に2万1,000小学校ありますけれども、4%程度の学校を対象に抽出して、在籍する子どもたちの調査も実施していますけれども、そこでの数字と文部科学省の数字においても違うところがあります。それから、自治体の数字とも違うところがあります。
 そもそも、例えば通常の学級にいる約6.3%程度の在籍というのは、平成14年に、学級担任等を含めて、教職員が見て判断して行われた調査です。おそらく、そのときはそのときで、担任たちも一生懸命やりましたし、私も校長として見ていて、かなり一生懸命調査したわけですけれども、この平成14年というのは、年度で考えると、現行の学習指導要領、授業内容がかなり減った時点での調査でした。
 御案内のとおり、もう間もなく、この4月から、数十年ぶりに大幅に授業内容を増やす教育課程が小学校から全面実施になります。中学校は、その次です。教科書が平均して25%厚くなる。例えば国語、算数、理科、社会なんていうのは30%厚くなります。新しい教科書からいくつか紹介すると、例えば、6年生の国語では、我々が昔、漢文で習ったような「春眠暁を覚えず」など、そういう内容が出ています。5年生の算数の発展的な扱いでは、素数の仕組みなども出ています。理科では、手回し発電機を使った実験、社会科では世界遺産や国宝を使ってどう事業化するかなど、物の価格や経済的な内容なども入っています。もちろん、外国語活動が始まるわけです。ほかに、図画工作にしても、体育にしろ、色々と新しい内容があります。
 そのような大変大幅な内容増があった中では、おそらく、こういう特別支援にかかわる子どもさんやグレーゾーンの子どもさんたちの、やっぱり学習の、どのぐらい理解していけるか、消化不良にならないかといったところ、そのところが我々、現場では非常に大きな課題であると心配しているところです。
 そういったことを踏まえると、平成23年度の学習状況において調査を実施すれば、違う結果が出てくる可能性もありますので、ぜひ、この平成23年中に調査を実施してほしい。中学校は平成24年度からですけれども、既に先行して実施しています。そのことが1点です。
 2つ目は、教職員の研修についてですが、これは前にも申し上げましたけれども、どういうような状況の中で研修を持ってくるか。平成18年に実施された教職員の勤務実態調査によると、超過勤務は月34時間でした。1日単位に直せば100分です。前に実施したときの調査は、もう40年も前、昭和41年ぐらいになりますけど、そのときの超過勤務は1日平均20分でした。1日20分だったのが100分になっている。そして加えて、これだけ大幅な教育内容増の中での勤務。そういう中で、どうすれば研修が可能になるのかという、これが2つ目です。それについては、また考えなければいけない。
 3つ目ですけれども、資質向上、専門性向上の問題です。昨日も中央教育審議会初等中等教育分科会の教員養成部会が開催されました。また近く中央教育審議会の教員の資質能力向上特別部会も開催されますけれども、そちらの教員養成や資質能力向上部会での中でも、やっぱり特別支援の、どうやって専門性高めていくかという議論もあります。ぜひ、そことも有機的な関連図りながら今後の方策を考えていただければありがたいと思います。以上、3点です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。現実の学校現場の状況が少し変化しているので、そういったことも含めて実態調査を実施すべきではないかとという御意見と思います。
 それから、教職員の研修の形態、内容といったことも含めて、この検討事項中の教職員の研修にかかわって、御意見として承りたいと思いますが、この6項目に追加で実態調査が新たに加わったわけです。御提案をいただきましたが、他にこの具体的な6項目について、何か御意見がありましたら、お願いします。
 それでは、山岡委員お願いします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。よろしくお願いいたします。
 この6項目ですけれど、先ほど言われていました障害者基本法の改正案との関係や、それから「障がい制度改革推進会議」の「第二次意見」と比べてみますと、短期的なものと長期的なものが入りまじっているように思います。この検討のスケジュール感のところの関係もありますが、例えば、この6項目の1番目、2番目、4番目あたりは、結構、基本法の改正や、先ほど御説明いただいた「障がい制度改革推進会議」の「第二次意見」の中で、早期に検討しなければいけないもの。それから、3番目、5番目、6番目は、わりと長期的に考えていいものかなという感じがしていますけれども、この辺のスケジュール感を教えていただきたいということが1点です。
 それから、今、向山委員、杉山委員から御意見いただいた実態調査の件ですけれども、学習指導要領が新しくなりまして、確かに新たな傾向が生じるとは思いますけれども、実は、90年代ぐらいに、学習困難の観点から当時の特殊教育総合研究所で調査されたことがあり、そのときの考え方では、国語ないし算数に2学年以上の遅れを生じているお子さんを学習困難ととらえて、どのぐらい比率がいるかというものでした。確か、小学校5年生ぐらいで、10%を超えるような比率で、遅れが生じているお子さんがいました。その中に、委員がおっしゃったとおり、グレーゾーンのお子さんですとか、家庭環境から学習ができない、あるいは勉強嫌いなお子さんなどが入っていました。2002年に文部科学省で実施した調査は、そのような学習困難だけではなく、発達障害等の認知特性や行動特性に着目した調査で、やや異なるというところあるので、そのミックス的なものもいいのですけれども、そこは少し峻別をして調査をしていただきたいと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございます。
 それでは、尾崎委員お願いします。

【尾崎委員】 検討事項を6点お示しいただき、ありがとうございます。全国特別支援学校長会の尾崎です。「合理的配慮」の検討が資料6に書かれていますけれども、合理的配慮の中身を検討するとなると、それを担う教員の専門性、それを担う教員の確保という議論も当然関連することになるかと思います。5番目の「教職員の確保及び専門性の向上」の関連も出てこざるを得ないだろうと予想します。
 したがいまして、項目ごとの検討を終えた後、総合的な観点からの検討もぜひやっていただければと思います。

【宮﨑委員長】 今のお二方からの御意見を総合しますと、この6点が並列で並ぶということではなくて、具体的に、議論の進め方として、スケジュール感を持って対応しなければいけないのではないかと。原案として、山岡委員からは、こういったことが大事ではないかという御意見がありましたが、まずは当面、とにかくやらなければいけないことというように整理をしていく必要があろうかと思います。このあたりについて皆様から、そういったことも含めて、御意見がありましたら。それを承ってから事務局にお戻ししたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは、大南委員お願いします。

【大南委員】 大南です。先ほど、山岡委員から短期的、中長期的というお話ありましたが、例えば「特別支援教室構想」は中長期的に考えていくことだとは思いますけれども、その前提になるのは、短期的なものとして、特別支援学級の担当教員であるとか、通級指導教室の担当教員の活用ということが、中央教育審議会から答申されていたわけです。この「特別支援教室構想」を実現する基本になるものという点では、短期的にというか、既に着手しているところもあると思います。
 ところが、実は、そのもう一つ上の「教員の確保や専門性の向上のための方策」と結びつく問題として、各区市町村の特別支援学級担任が、どれだけ専門性を持っているか、あるいは経験年数を持っているかとなりますと、少し心配なところがあるわけです。
 そうすると、「特別支援教室構想」は中長期的な問題だけれども、短期的にも、ここのところを考えていかないと、特別支援教室構想というのは、どこかへ消えてなくなってしまうかもしれない。まさしく構想で終わるかもしれないので、そういうところも併せて検討していただければと思います。
 特別支援学級の担当教員の配置というのは、これは早く手を打たないと、今いる子どもたちも心配ですけれども、3年後、5年後の在り方にも影響してくるのではないかと思います。
 ですから、「教職員の研修及び専門性の向上のための方策」と「特別支援教室構想」は、セットで考えていかなければならないだろうと思います。その裏打ちとしては、先ほど向山委員、杉山委員がおっしゃったような実態調査も必要ですし、それから実際に学習指導要領が改訂になって、きちっと教育課程を編成したり、個別の指導計画がつくれるかどうかという問題も絡んでくるだろうと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、河本委員、お願いします。

【河本委員】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。2点、お話をさせていただきます。
 1点目、今の大南委員と重複する考え方が1点目で入っていますけれども、学校現場の立場からお話を申し上げると、これまでもお話をさせていただいたように、現在、全国の小・中学校のうち約2万1,000校で特別支援学級が設置されています。その2万1,000校の小・中学校の中で教員の調査を実施してみますと、55%の教員において経験年数が0年から6年未満となっています。ということは、先ほど大南委員のお話のように、長期的な展望で教員を養成していくのか、あるいは喫緊の課題なのかといったときに、子どもたちは現実、学校の中で生活をしておりますし、毎日毎日が学びの場ですので、これは教員の質を高める、専門性を高めるという喫緊の要する大きな課題であろうと全特協では考えています。
 そのためにどういう研修をするかということは、先ほどの全連小の向山委員のお話のように、教員が非常に多忙という現在の状態で、0年、1年、2年の教員で、実際、つぶれていってリタイアする教員の数がかなりの数に上がっているという現状もありまして、どういう研修の制度がいいのかということは、これからまた検討していかなければならないんだろうと思っています。
 ただ、1つ言えることは、例えばそれぞれの都道府県で教育委員会が研修制度を立ち上げるだとか、あるいは区市町村で教育委員会が研修をやる、校長会で研修をやるなどと、様々な方法があると思いますけれども、やはりその研修を年数回受けて、果たして専門性が向上するかといったときに、これは非常に疑問点が出てくるものと思います。要は、日々の教育活動の中で、子どもたちに直接携わっている教員を、学校の中でどう高めていくかということがこれからの大きな課題だろうと。そうしたときに、やはり学校の中で教員をどう指導していくかというのは、校長のリーダーシップにかかっている部分が多分にあるのだろうと。そうすると、校長の質を高めるということが、言ってみれば、教員の質を高める、専門性を高めるというところにもつながっていく、と感じておりますので、特に3番目の「教職員の研修」には、管理職の研修をかなりの量で入れていただくような形で要望したいということが1点です。
 2点目は、今回の意見募集の結果、資料5の42ページからですか、交流及び共同学習の部分のところについてです。意見募集で三千数百人から御意見をいただいて、ここの部分も大分ありました。ただ、ここの中を読ませていただくと、特別支援学校の子どもたちが地元の小・中学校、地域の小・中学校に入って一緒に学習していく、そういったことの交流及び共同学習のことが大部分載っている。私もこの回のところで御説明させていただいたのは、特別支援学級の子どもたちが日常的に、通常の学級の子どもたちと色々な交流をしている。例えば、休み時間も含めて、1日に何回となく交流をしている。それが子どもたちにどういう学びの影響を与えているかというと、これは調査していないのでわからないですけれども、両方の子どもたちにとってプラスになっている部分がかなりあるだろうと思っています。
 全特協では、平成23年度に、先ほどお話ししました約2万1,000校の学校に交流及び共同学習の調査を依頼しようと思っています。具体的には、交流及び共同学習について、どのぐらい管理職の校長、教頭が認識しているか、実際に、学校の先生たちがどのくらい、それについて理解していて、どういうことを行っているか、どういう場面で、どんなことを行って、どういう効果があって、そしてその評価をどう行っているかということを平成23年度に調査したいと思っています。機会があれば、本特別委員会でも、その結果を報告できたらいいかと考えております。よろしくお願いいたします。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。大南委員、河本委員からは、現在の特別支援学級にかかわる課題について、具体的には教職員の研修等のかかわりでお話をいただきましたし、それから大南委員は、特別支援教室構想の前に学級や通級指導教室の具体的な対応について議論をすべきであるという御意見をいただきました。
 それでは、木舩委員、お願いいたします。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。合理的配慮を提供する、それは直接子どもと向き合う教員が第一線で行うわけですけれども、教員をどう支援していくかというシステム、教員のサポートシステムという観点からの議論も必要ではなかろうかと感じています。これは資料6の6点に加えて7点目としてほしいという意味ではありませんが、例えば、「合理的配慮」、「教職員の研修」、あるいは「教職員の確保及び専門性向上のための方策」といったところを議論する際に、直接子どもと向き合う教員をどうサポートしていくかという観点の議論が必要ではないだろうかという提言です。
 私は大学で教員養成をしておりまして、学生が卒業論文、修士論文あるいは博士論文等で色々な研究を行いますが、通常の学級で担任している先生の悩み、あるいはそれをサポートする立場にあるコーディネーターの先生も悩んでいる。先ほど、河本委員がおっしゃったように、管理職の先生もまた研修が必要、そしてコーディネーター、通常の学級の担任、あるいは特別支援学級の担任の先生をサポートする、あるいはリードしていくという意味での管理職の先生方も悩んでいるであろうと、そういう直接子どもの教育に当たる教員をどういうふうにサポートしていくか、そういう観点から研修、教職員の確保、専門性の向上などといったものを御議論いただければありがたいと感じます。
 もう一点、「教職員の確保及び専門性向上のための方策」に関しましては、特に教員養成の場合、教員免許制度との関連が必ず出てきます。委員の皆様も御存じのとおり、今、文部科学省内の別の会議で教員免許制度について議論されております。6年制と言ってよろしいのか分かりませんけれども、かなり突っ込んだ議論がなされて中間的な報告もなされておりますので、それとの関連で考えていくことも必要だろうと思います。これは、事務局からもまた情報提供いただきながらやっていく必要があろうかと考えます。以上です。

【齋藤委員】 特別区教育長会の齋藤です。杉山委員の実態調査には大賛成です。ぜひその調査を踏まえた上での議論をしたいと思っております。ですが、実態調査には少し時間を要すると思います。そこで、例えば小学校1年生に入る前には就学相談を受けるお子さんが当然多いと思いますが、そのデータを各自治体は持っていますので、文部科学省からそのようなデータの提供を依頼していただければ、個人情報保護との絡みがありますけれども、私どもも御協力できるかと思います。そうしますと、ある程度の障害別も含めて、一定程度のデータが得られるのかと思いますので、その上で議論いただく。そうすれば正確な調査は少し後になってもいいのかと思います。ぜひ御検討いただければと思います。
 それと、学級の状態を見ていますと、大南委員のおっしゃるとおりだと思います。私どものところは0年から6年の教員はほとんどいませんけれども、それは、そのようなことをしないように校長に指示しているからです。ただ、校長が学校での人事権を持っており、40人の学級では指導が難しい、だから少人数の学級でしか指導できないのでそこに配置したと言われることもあります。特別支援学級を担当したら立派にやる教員もかなりいますので、一概には言えませんが、そういう傾向で、教員を配置することが一般的な傾向としてあります。おそらくこのような傾向は全国的にもあるものと思います。そうだとしたら、研修で解決というレベルでは少し違うのかなと感じます。
 実態を見据えながらやっていかないとと思っておりますが、実態に引きずられ過ぎますと、あまりにも慎重になり過ぎてしまいます。大きな方向性という意味では、乙武委員のおっしゃるとおりだと思います。方向性は高目に置いておいても、実態を踏まえながら議論をしていきたいと思います。
 それともう一つ、私どもよく親御さんとお話をさせていただきます。親とのかかわり方として、親御さんも、もっと、学校や学級に入り込んでいただきたいと思っています。地域の方も入っていただいきたい。これこそインクルーシブ教育のまた違う意味での効果が出ると思っておりますので、最後のところの文面ぐらいで結構なんですが、地域、保護者を巻き込んで、共にみんなでインクルーシブ教育を地域としてもやっていこうという文言が入ると、少し違った切り口になるのかと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。時間が迫ってきていますが、少しお話をさせてください。

 資料6の2番目の「合理的配慮(障害種別の内容も含め、ソフト・ハードの両面)」について、今お話を承っていて、また、意見募集でも合理的配慮についての具体的な検討が不十分ではないかという意見もありますが、これは当然でして、少し棚上げする形で論点整理に進んだところがありますので、きちっと整備しなければいけないと思います。合理的配慮に関する具体的な検討をしていくと、更に、例えば研修の中身ですとか、あるいは特別支援教室構想などに反映できる仕組みができていくのではないかということなどもあるので、そういう意味では、できるだけ早目に障害種別の内容も含めた対応の検討もしていかなければいけないのかとは思っています。今、木舩委員からお話のありました教員のサポートの仕組みも、そのあたりと密接に関係をするので、これも急がなければいけない検討内容なのかと思います。それを、具体的にどのような形で検討をしていくのか、ということですが、今、皆様から御意見をいただいたものを、全て、この全体の場で検討するとなると、時間的にかなり厳しいと思っています。このあたりについては、皆様が集まって、ということも重要ではありますが、どこかで少し論点を整理していただいて、それを皆様に検討していただくという、そんな仕組みも含めて、何か御意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは、中村委員、お願いします。

【中村委員】 若駒ライフサポートの中村です。各意見の取りまとめ、検討事項案のまとめ等、ほんとうに多大な御努力いただいことに敬意を表したいと思います。今、宮﨑委員長からお話がありました「合理的配慮」の検討ですが、意見募集等の内容を見ても、やはり障害種別、それぞれ全く違う合理的配慮という言葉の使い方が、意見を出される段階でも全く視点が合っていないなというのを感じます。おそらく、人を配置することが一番の合理的配慮であるという障害種もあれば、そうではなく、環境面に重視を置いて配慮しなければいけないという障害種もあるのだろうと、そのように、障害種別によって合理的配慮は大きく違うだろうと思います。
 ぜひ、今、委員長がおっしゃってくださったように、私はそこをもう少し細かく論議できるような場を設定していただけたらと思っています。おそらく、そのことが教員の専門性や、今の特別支援学級の実態把握にもつながってくるような気がいたします。
 先ほど、齋藤委員からお言葉がありましたが、そんな中でも、通級による指導や特別支援学級をうまく連携させながら、良いモデルをつくっているところは確実に出てきていると思います。それがどうして出てきているのかというのは、おそらく、合理的配慮の押さえから専門性、教員の意識の持ち方というのをまとめることで見えてくるのではないかと思います。ぜひ、そういう少し細かな検討ができる場を設定していただきたいと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、太田委員、お願いします。

【太田委員】 鈴ヶ森小学校の校長の太田です。私も前回の議論のときからずっとエビデンスが足りないというのは痛感しておりましたので、ぜひそのような実態調査などを実施していただきたいと思います。ただ、あまり現状の実態調査に重きを置きますと、現状のシステムを改善するという前提に立ってしまって、新たなインクルーシブシステムの構築といった目的には少し届かないようになってしまうのではないかと思います。なので、ぜひ先駆的な取組をしているところの事例や、インクルーシブ的な教育を受けた当事者の御意見など、そういうものも入れていかないと、新しい特別支援教育の在り方に向けての議論にはならないかと思いますので、ぜひ実態だけではなく、先駆的な事例などを探してきては、そういうことについて検討していくようなこともお願いしたいと思います。

【宮﨑委員長】 それでは大久保委員、お願いします。

【大久保委員】 大久保です。先ほど質問という形で発言いたしましたけれども、提案という形で再度申し上げたいのは、当面の課題という事柄の議論と、あとこれからどういう方向に行くのかという議論、その辺のところの整理をしたほうがよいのではないかという感じがいたします。そして、当然その方向性として、先ほど申し上げたとおり、論点整理にあるインクルーシブ教育システムの構築に向けてというところでの短期、あるいは中長期の課題、こういったものを整理していくということが必要でしょうし、そのための、いわゆるここにも示されている課題もそうですけれども、この辺は積み上げていく必要があるかもしれないということも出てくる。
 そういう意味でいうと、いわゆる大きな1つの方向性、そしてそれに係る細かいテーマということではないでしょうけれども、そこでの課題を短期、中長期で整理していくということが片方で必要だということと、当然当面する、すぐにでも解消しなければいけない問題、そしてそのエビデンスも必要な部分もあるでしょう。こういったことも対応していく、この辺をどういうふうに今後の検討事項として整理し、議論していくかということが重要かと思っています。ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 それでは、北住委員、お願いいたします。

【北住委員】 現実を踏まえながら望ましい方向を探っていく、その中では今、先駆的なモデルの幾つか実際の状況、検討等お話がありましたけれども、1つは外国で、例えばイタリアの場合、かなり積極的なインクルーシブ教育だけども、基本は20人学級とかが前提になっております。そういう中での実態、しかもその中で20人学級であれば済む部分と、その数の問題ではない部分とがあると思います。そういう概括的なことだけではなくて、実際のそれぞれの障害の状態に応じての先駆的なモデルとしてのイタリアのような国はどうなっていくのか、その辺のところも特別支援教育総合研究所あたりできちんとレポートしていただくことがあれば望ましいと思います。
 それから、各自治体からのヒアリングがありましたけれども、やはり当事者の方のヒアリングなど、お話を聞く場合というのは、それぞれの障害の方について、この委員の中でも当事者の方もいらっしゃいますけれども、それ以外でも、知的障害の方もいろんな、例えばダウン症のお子さんの場合には、わりと人との親和性がよくて、初期の段階ではわりあい一緒の教育の場ということが望ましい、あるいはそこでとてもいい形になっていることがありますけれども、同じ知的障害でもまた難しさがある方もいるとか、それから発達障害のグループの方での色々な問題と、やはり当事者の方、当事者の団体の方からの直接の声も聞く、それから現実の状況をしっかり踏まえた上での望ましい方向、それからとりあえず今、急いで行うべきことを整理していくことが必要だと思います。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。太田委員、大久保委員、それから北住委員から、具体的な先駆的な事例や現実を踏まえた対応で、外国の実態などをもう少し対応すべきではないかということと、当事者のヒアリングといったようなことの御意見も頂戴いたしました。それから、大久保委員からは、具体的な提案として、障害者基本法との整合性をきちっと持って、ある方向性を持った形で具体的に当面する課題と、それから中長期という整理の仕方をすべきではないかと、こういう御意見だったと思います。様々に御意見を頂戴いたしました。
 それでは、向山委員、お願いします。

【向山委員】 向山です。先ほどの委員長からの、検討事項が大変多い、ただスピード感も必要だ、それでどうしましょうというような御発言について、この特別委員会は30名近くの委員がいて、これまで月1回ペースでやってきたわけですが、30人が月に1回集まるというのはなかなか大変なことです。ですから、ワーキンググループみたいなものを設置して、委員長、副委員長中心に何人かで議論していただいて、それをまた御提言いただけるといったことができれば大変いいのかと思います。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、久松委員、お願いします。

【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。2点お話しさせていただきます。1つ目は、向山委員からお話がありましたとおり、それぞれのテーマごとに専門性を含めた話ができるように、専門性を生かしていくためにもワーキンググループをつくっていくことはぜひ必要であろうと前々から私は申し上げておりました。ぜひ実現していただきたいと思います。
 また2つ目ですが、合理的配慮という言葉、これは1つの型が決まったわけではないですよね。その辺で、現時点でのどのように合理的配慮をしていくのか、5年後と10年後と合理的配慮の受けとめ方では、主観的な部分が入ってきて内容が変わってくることを理解する必要があり、何が合理的配慮であるかということを議論していくべきであると思っています。
 それを考えたときに、事務局にお願いしたいことがあります。先駆的な事例など、実態を踏まえて、現実的な調査をするときの設問の仕方、その設問の項目など、どういった設問をつくっていくのか、これが非常に重要になろうかと思っています。調査の方法、調査の内容を次回のこの特別委員会、議論の場に提出していただきたいと思います。おそらくこの実態調査のような問題を整理すると合理的配慮に結びついた議論ができるし、また専門性をどのような方向性に結びつけていくのかという議論も必要であろうかと思います。調査の内容についての試案を次回に出していただきたいと思っています。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、品川委員、お願いします。

【品川委員】 ありがとうございます。教育ジャーナリストの品川です。私が申し上げようと考えておりましたことを、久松委員に御指摘いただいたのですが、それに加えまして私からもお話ししたいことが3点あります。
 まず1点は、新しいインクルーシブ教育の制度を我々は考えるわけですから、研修内容や専門性の向上と同時に、インクルーシブ教育の評価の有り様についても併せて考える必要があると思います。研修のみ行って、結果がどうなのかというところが、これまでの教育においても曖昧でしたので、どう評価するのかという点を考えるようにしていただきたいと思います。
 もう1点は、先ほど、杉山委員を始め、皆様からもいただいた実態調査の件ですが、今、久松委員がおっしゃったとおり、本当に、質問の内容によって結果は全く変わってきます。例えば、最近、知的障害の子どもさんたちを受け入れる特別支援学校の校舎が足りないと報道もされております。それについては尾崎委員が一番お詳しいと思いますが子どもたちを見ると、通常の学校で学ぶべきであるような子どもたちが、軽度の療育手帳を取得して在籍していたりするような実態もあります。その結果、本来、手厚い支援の下でより専門性のある指導者から学ばなければいけない子どもたちが、そういった子どもたちから使い走りにされたり、いじめに遭ったりして不登校になっていっているという実態もあるわけです。ですので、ただ特別支援学校で人が足りません、とか、児童生徒の数が増えていますという表面的なものではない調査の仕方を考えなければいけないと考えています。
 一方で、毎回お話させていただいておりますが、例えばLDとかディスレクシアは、我が国の場合、標準化されたアセスメントツールが非常に少ないです。これについて、筑波大学の宇野先生らがつくられたものがありますが、まだまだ学校の先生方はご存じなかったりします。標準化されたアセスメントツールがない中で調査を実施しても、LDの子はどれぐらいいるのか、ディスレクシアの子はどれぐらいいるのか、ということの判別が非常に難しくなってきます。そのようなことも含めて、調査方法を検討していく必要があると思うのです。
 あともう1点、ぜひ検討していただければと思っていることです。先ほど齋藤委員から、地域を巻き込むという御発言があったのですが、インクルーシブ教育を推進していく場合には、学校だけがやって地域が全くそこに関わらなければ、結局は地域から浮き上がってしまう可能性があります。いかにコミュニティーを巻き込んだ学校をつくっていくのか、例えば段階的な学校にしても、特別支援学校ほどコミュニティースクールであるべきではないかなどと取材を通して考えております。そういったことも含めて御検討いただければと思っています。ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、佐竹委員、お願いします。

【佐竹委員】 全国肢体不自由PTA連合会の佐竹です。ずっと皆様のお話を伺っておりまして、思い当たるところが1つだけあります。資料6の検討事項の案の中に入れていただきたいと私は思うのですが、特別支援学校がこれからインクルーシブのシステムの構築というところで、大きく担っていくというものは大変な大きなものだと思います。今日、この会議にもいらしている小学校の先生方、色々な先生方も、この会議にいる意味というのは、特別支援教育だけの問題ではなくて、いかに通常の学校において、そのノウハウが生かされるかというところがあります。御意見の中に、個々の特別支援学級のノウハウを通常の学校といかに、その、何というのか、リンクさせていく、そういったものをぜひ検討事項の中に入れていかないと、システムを構築というところで何かが欠けてしまうのではないでしょうか。あくまでも、あちら側、こちら側ではなくて、特別支援学校も、何度も申し上げておりますが、地域システムの1つであるということは有効であると私は考えています。いかがでしょうか。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。向山委員、久松委員、品川委員から、実態調査等についての具体的な内容、項目についての整理が必要だということで、そのあたりについて事務局で少し考えてほしいという御意見がありました。
 ワーキンググループをつくるということについては、向山委員、久松委員から御意見がありましたので、このあたりをどうするかというのが1つの課題かと思います。それから、品川委員からは、評価の在り方を整備すべきではないか。それから、佐竹委員からは、全体を通じた特別支援学校と通常の学校との連携の仕組みについての検討も必要ではないかという御意見をいただきました。
 様々に御意見を頂戴しましたが、事務局から何かございますか。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今、いただいた御意見を委員長、委員長代理と相談させていただきながら、次回以降どうしていくかを検討いたしたいと思います。

【宮﨑委員長】 今、事務局からあったことですが、検討事項について、よりスピード感を持って対応しなければいけないと思いますので、具体の検討事項、御意見をいただいたものを更に整理をして、そして早急に対応しなければいけないことについて、全体での協議と、それからワーキンググループをつくるなどして対応しなければいけない、例えば合理的配慮の問題ですとか、それから実態調査につきましても、かなり時間がかかると思いますし、予備調査のようなものについての御提案もいただいておりますので、そういうことも含めて、どんな形ならば実態調査ができるのか。お聞きしていると、前回のものとはまた少し視点が変わらなければいけないようなところもあるようですので、そのあたりも含めてですね。前回のときには大南委員をキャップにしてかなり長期にわたって検討をまとめていただき、6.3%の検討が行われたわけですが、かなり時間はかかったと思います。ですから、そのあたりについては、少し時期等もありますので、処理の仕方が少し時間を要すると思います。でも、先駆的な実態調査、予備調査という形で対応ができるのかどうかということも含めて、これを事務局と相談をさせていただいて、対応させていただく。それから、ワーキンググループについては、できることならば次回以降、できるだけ速やかに設置する方向で、事務局に案を考えていただくということができればと思います。
 今日いただいたものを再度、私、石川委員長代理、事務局とで相談させていただきながら、次回に提案させていただくということでよろしいでしょうか。

【石川委員長代理】 1点よろしいですか。品川委員に教えていただきたいのですが、標準化されたアセスメントツールがないというお話だったんですが、標準化されていないアセスメントツールであれば多く存在し、それによってエビデンスが違ってくるということなのか、あるいは原理的にそういうツールをつくることが困難だということなのか、あるいはそれ以外の何か理由があるのか。これは杉山委員にも教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。

【宮﨑委員長】 杉山委員、品川委員、お願いします。

【杉山委員】 日本で長く使われている学力のチェックとしては、教研式の学力の診断のものがあって、それは今、比較的普遍的に使われているように思います。ただ、それは要するにお勉強がどのくらいできているのかということで、当然、指導要領が変わってくると、それによって変えなくてはいけませんので、ちょっと頭が痛いところだと思います。
 それから、日本では世界標準の問題行動のスケールがほとんど標準化されていないという実態があります。今、我々がやっているのは、ヴァインランドという非常に精密な行動のチェックリストの標準化をしていまして、これが使えるようになると、かなり有力なチェックツールになるかと思います。障害横断的に使えますので。
 それから、ついでに提案ですが、幾つかの市でコーホートスタディーが既に行われています。ただ、これは市が市名を出すことを非常に拒否しています。市名を出さずに、今まで出ているデータに関して集約を図ることができれば、それが全てではありませんが、1つのエビデンスとして用いることができるのではないかと思います。先ほど品川委員が言われた評価というのも、結局、なぜそれができていなかったのかというと、評価をするための検査結果がないからです。尺度の標準化がないからです。日本で、今まで標準化していなかったということがありますので、これから少しずつ変わってくるはずです。

【品川委員】 ディスレクシアについては、実態調査から判断するのか、標準化されたアセスメントツールで子どもたちを見るのかで結果は違ってきます。最近、よくエビデンスと聞きますが、エビデンスというからには、2次研究がなされたもの、SRなど統計処理をしたデータを出して、それで議論していくわけで、とするならば、先ほど申し上げたようなアセスメントツールなどを使って判別・評価していかないと正確な実態はわからないと思われます。感覚的にこの子はLDだとかディスレクシアなんじゃないかな、とするのでは実態把握ものちの指導も異なってくると思います。ですので、この間の6.3%という数字を出したような実態調査、先生方にアンケート調査をお手数ですがおかけして、やっていただくようなものであれば、実態はまた変わってくるでしょう。いずれにしてもディスレクシアについては、実際問題、標準化されたものは前述したものぐらいしかありません。それを使えば標準偏差からこれだけ落ちているから、こうだろうという診断がつきますが、他のアセスメントツールは現在開発中で、これは訓練を受けていなければ難しいというか、どの先生も簡単にできるということでは多分ないのかと思います。
 LDについても前述同様、WISCをとったり、K-ABCをとったり、感覚統合を見たりとか、視覚や聴覚の情報処理を見たりとかなど、色々なツールを複合的に使って判断するので、実態調査というときに、どこをもってやるのかというのは非常に難しい。それよりもむしろ、先ほど山岡委員がおっしゃったみたいに、学習困難、2年遅れているという、わりと大きな枠組みでとらえるのであれば、またそれは実態も違ってくるということです。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。

【石川委員長代理】 はい。

【宮﨑委員長】 具体的な対応をしなければいけなくなったときに、また杉山委員、それから品川委員に御助言いただければと思います。
 先ほど申し上げましたように、具体的な対応については、次回、提案をさせていただいて、私どもの論議を深めていきたいと思っています。
 それでは、事務局から資料で出していただいている平成23年度の特別支援教育関係予算(案)について、ごく簡単に御説明をお願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。参考資料2として配付しております平成23年度特別支援教育関係予算ですが、時間もありませんので、大きく変わった点のみ紹介いたします。
 2ページを御覧ください。平成23年度から小学校1年生について35人以下学級という対応をするということで、そのための定数改善を行ったということです。
 3ページを御覧いただきますと、加配の教職員定数が義務教育段階であり、特に教育支援教育に関係の深いものとして通級指導対応は平成22年度に引き続き4,000名強の通級担当教員を加配しております。
 4ページですが、子ども一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進ということで、その後の5、6、7ページに詳しく資料をつけておりますが、1つは4ページの右側に特別支援教育就学奨励費として特別支援学校へ行かれている方、特別支援学級に通われている方、通級指導を受けておられる方に対して援助を行っております。それから、各都道府県で行っている特別支援教育を推進するための事業というものが4ページ中ほどにあります。モデル事業、実践研究のための成果普及事業もやっております。また、NPOと連携した特別支援教育の推進といった事業なども行っております。
 最後に、8ページ、一番最後のページですが、各地方公共団体に対して、国から地方財政措置をしておりまして、その中で特別支援教育支援員の配置がされております。具体的には、今まで幼稚園、小・中学校向けでしたが、幼稚園については、平成23年度約500人拡充し、高等学校については新たに500人の配置が措置されることになりましたので、報告いたします。以上です。

【宮﨑委員長】 はい、ありがとうございました。それでは、本日の委員会はこれまでとしたいと思います。
 今後の日程について、事務局から御説明をお願いいたします。

【助川特別支援教育課課長補佐】 特別支援教育課の助川です。次回の特別委員会の日程については、改めて委員の先生方に御連絡申し上げます。
 最後に、事務連絡が2点ほどあります。先生方の封筒の中に、大分前のものになってしまいましたけれども、前回の議事録の案を配付しております。こちらにつきまして、修正等がありましたら、1週間後の3月17日木曜日までに、私ども事務局までお送りいただきますようお願いいたします。
 もう一点が、同じく封筒の中に、今後の開催に当たっての日程調整表も配付しております。こちらにつきましても、3月17日木曜日までにお送りいただきますようお願いいたします。なお、この両者につきましては、先生方にはメールでもお送り申し上げます。以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、本日はこれで閉会といたします。御出席をいただきまして、委員の皆様方には改めてお礼を申し上げます。また、次回もよろしくお願いします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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