特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成22年10月5日(火曜日)14時30分~17時30分

2.場所

旧文部省庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 制度改革の実施に必要な体制・環境整備について自治体からのヒアリング
  2. 障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援のための教職員の確保及び専門性向上のための方策について自治体からのヒアリング
  3. 障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援のための教職員の確保及び専門性の向上のための方策について自由討議
  4. その他関連事項についてヒアリング
  5. その他関連事項について自由討議
  6. その他

4.議事録

【宮﨑委員長】 定刻となりましたので、ただいまから第4回中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会を開催いたします。
 本日は御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、青山委員、岡上委員、乙武委員、貝谷委員、木舩委員、清原委員、齋藤委員、山口委員が御欠席で、そのほかの委員は御出席です。なお、安彦委員、石川委員は御都合によりおくれて御出席をいただくことになっています。
 本委員会においては、前回も前々回も申し上げていますが、御発言をなさる場合には必ず挙手された上で、御名前を述べていただいてから御発言いただきますようにお願いを申し上げます。また、通訳のために、御発言の際にはゆっくり発言をいただきますように重ねてお願いを申し上げます。
 また、御発言される際には、傍聴者の皆様にも聞こえるように、できるだけマイクに口を近づけて御発言をいただきますようにお願いを申し上げます。私もそのことに留意をしたいと思っています。
 それでは、まず、本日、笠文部科学大臣政務官に御出席をいただいておりますので、一言御発言をいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【笠文部科学大臣政務官】 皆様、ほんとうにお疲れさまです。ただいま御紹介をいただきました、このたび文部科学大臣政務官に就任をさせていただきました衆議院議員の笠浩史でございます。
 今日は、ほんとうに大変御多忙の中、こうして多くの委員の皆様方に御出席をいただきましたことにまずもって感謝を申し上げたいと思います。
 実は、私もこれまでは、ちょうど政権が交代をいたしまして、1年間国会のほうで文部科学委員会の与党の筆頭理事という立場でさまざま教育政策に取り組んでまいりました。あるいは党のインクルーシブ教育推進議員連盟という中で、関係の皆様方の御意見も賜りながら障害のある子どもたちの特別支援教育をどのようにしていくのかということについて議論もさせていただきました。ほんとうに難しい課題がたくさんあると思います。それぞれの地域性や、あるいは家庭におかれての環境、さまざまなそうしたものを乗り越えながら、そして私たちが目指すものは、障害のある子どもも、そして障害のない子どもも含めて、何とか一緒に、共生できる社会を教育の現場でもしっかりとつくっていきたい、そういう思いで多方面からさまざまな議論が当委員会によって続けられているということで、改めて敬意を表させていただきいと思います。
 本日は、制度改革の実施に必要な体制・環境整備、障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援のための教職員の確保及び専門性の向上等々について御議論をいただくということを伺っておりますけれども、いずれも障害のある子どもが障害のない子どもと共に教育を受けるという障害者権利条約におけるインクルーシブ教育システムの構築という理念の実現という観点から、大変重要な課題であると認識をしております。本日御出席をいただいております地方自治体関係者の皆様、及びまた有識者の皆様方におかれまして、各地域の実情に応じたさまざまな事例、取組、指導、支援等のあるべき姿について御発表いただくとともに、それらを踏まえて、委員の皆様におかれまして、障害のある子どもにとって最適、最善の制度改革がなされるよう活発な御議論をいただければと思います。
 どうぞこれからもまたよろしくお願いをいたしたいと思います。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。なお、笠政務官におかれましては、所用のために、ここでご退席なさいます。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

【笠文部科学大臣政務官】 またよろしくお願いいたします。

(笠政務官退室)

【宮﨑委員長】 それでは、議事に入ります。これより先は議事の進行に支障をきたす可能性がありますので、カメラの使用を御遠慮いただくようお願い申し上げます。
 本日は、初めに、前回に引き続き論点(例)の3.「制度改革の実施に必要な体制・環境整備について」、事務局から説明及び自治体からのヒアリング、質疑応答を行い、その後に論点(例)の4.「障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援のための教職員の確保及び専門性の向上のための方策」をテーマとして、自治体からヒアリング及び自由討議、さらに論点(例)の5.にあります「その他関連事項」として進路指導、職業教育・就労支援について有識者からのヒアリング及び自由討議を予定しています。盛りだくさんの内容になっています。議事進行につきましては、ぜひご理解を賜りまして、できるだけ手際の良い、集中的な審議ができればと思います。
 なお、途中、15時55分ごろを目途として休憩時間を予定しています。この点もよろしくお願いいたします。
 それでは、まず「制度改革の実施に必要な体制・環境整備について」事務局から御説明をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。まず、配付資料の確認ですが、資料は、議事次第のとおり、資料1から23までの23点あります。参考資料につきましても1から3までの3点があります。不足がありましたら、随時お申しつけください。
 事務局から提出しました配付資料について説明いたします。
 まず、資料2を御覧ください。資料2は、これまで本特別委員会で御議論いただいたものをまとめたものです。本日御議論いただく教員の確保及び専門性、その他等につきまして、既に御議論いただいている部分もありますので、本日の御議論に活用いただければと思います。
 それから、少し飛びますが、資料23を御覧ください。本年9月30日に開催されました教育課程部会でも特別支援教育の在り方に関する特別委員会の検討状況について審議いただきました。その際の委員の発言要旨をまとめさせていただきました。本資料も本日の御議論に活用いただければと思います。
 戻りまして、資料3を御覧ください。資料3は、前回、必要な体制・環境整備の議論において御質問のありました合理的配慮の定義中、「均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」の「負担」の解釈について外務省に照会したところ、定義にある「変更及び調整」を行う主体に課される負担を指すとの回答がありましたので、その御紹介をさせていただきます。
 続きまして、資料4を御覧ください。資料4も、前回御質問いただきました特別支援教室構想について、中央教育審議会、特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議における検討状況を整理したものです。まず平成17年に中央教育審議会でまとめられました「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」において、特別支援教室のイメージが示されています。特別支援教室構想が目指すものは、小・中学校において、現在、通級や特別支援学級の形で実施している特別支援教育について、障害のある児童生徒の実態に応じて特別支援教育を担当する教員が柔軟に配置されるとともに、障害のある児童生徒が、原則として通常の学級に在籍しながら、特別の場で適切な指導及び必要な支援を受けることができるような弾力的なシステムを構築することと整理しております。小・中学校における特別支援教育を推進する際に打ち出された構想であり、ここでは例示として3つの区分を設けております。2ページ目の中ほどを御覧ください。特別支援教室1として、ほとんどの時間を特別支援教室で特別の指導を受ける形態。特別支援教室2として、比較的多くの時間を通常学級で指導を受けつつ、障害の状態に応じ、相当程度の時間を特別支援教室で特別の指導を受ける形態。特別支援教室3として、一部の時間のみ特別支援教室で特別の指導を受ける形態。これらの形態につきましてはあくまで例示で、これらの形態の中間的なもの、組み合わせたものなども考えられるとされています。各小・中学校の特別支援教室が要するそれぞれの専門性を前提にしながら、特別支援教育のセンター的機能を有する特別支援学校等との連携協力を進めるなど、各地域におけるニーズに応じた地域全体における総合的な支援体制を構築することが重要であると、提言されています。続きまして、2ページ目の下を御覧ください。本年3月にまとめられました「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議 審議経過報告」におきましては、現状、これまでの取組といたしまして、特別支援学級と通常学級との交流及び共同学習の促進、通級による指導の対象者の拡大等が行われているほか、国立特別支援教育総合研究所において「特別支援教室構想」に関する研究、研究開発学校による研究が行われていると報告されています。校内の資源や支援体制に応じて個別の児童生徒に必要な特別指導の内容等について知見等を積み重ねていると整理しています。同協力者会議の議論の中では、現在の特別支援学級と通級指導では制度として連続性がないため、児童生徒のニーズに応じて、指導時間においても連続性のある形で対応することが可能な制度にすべきという意見、知的障害のある児童生徒も、教科によっては通常の学級で学ぶことができる弾力的な仕組みについて検討すべきとの意見、特別支援教室構想は理想ではあるが、その制度化にあたっては、教員配置の在り方を含め、総合的かつ慎重にすべきとの意見が出され、さまざまな意見があるということで整理させていただいています。課題としましては、例えば特別支援教室を障害種別に設置するか否か。児童生徒が籍を置かない「教室」に対する教員配置システムの在り方。特別支援教室及び在籍する通常の学級担当教員双方の専門性確保の在り方。教育課程の編成・実施・評価の在り方。在籍学級と特別支援教室との指導・責任の分担といったものが挙げられています。
 資料5を御覧ください。資料5も前回御質問のありましたもので、教員定数改善計画についての資料です。まず前提としまして、現在の教職員定数について整理しましたので若干説明します。1.に記載されていますように、現行の教職員定数につきましては、小・中学校では学級を原則としまして児童生徒数40人を標準としています。特別支援学級は児童生徒数8人を標準としています。また、特別支援学校の小・中学部につきましては、単一障害の児童生徒で編制する学級につきましては6人を標準、重複障害の児童生徒で編制する学級は3人を標準としています。高等学校につきましては、普通学級は原則として40人を標準としています。また、特別支援学校の高等部では、単一障害の生徒で編制する学級については8人を標準とし、重複障害の生徒で編制する学級は生徒数3人を標準としています。
 教職員の配置につきましては、小・中学校では学級に応じて教員定数の標準が算定されるほか、普通学級に在籍しつつ、週に1から8時間程度通級による指導が行われる場合には加配措置が講じられています。特別支援学校の小・中学部では、学級数に応じて小・中学校に準拠して教員の定数の標準が算定されるほか、教育相談担当教員、自立活動担当教員といった加算が行われています。高等学校につきましては、収容定員に応じて必要となる教科担任の教員数を基礎としまして、教員定数の標準が加算されております。特別支援学校の高等部につきましては、学級数に応じて教職員定数の標準が算定されているほか、生徒指導担当教員、自立活動担当教員等の加算が行われています。義務教育諸学校につきましては、教員定数の標準を基礎としまして、教職員給与費の国庫負担が行われており、高等学校及び特別支援学校高等部につきましては、教員定数の標準を基礎としまして教職員給与費の地方交付税措置がなされているところです。次に、2.としまして、近年の特別支援教育に係る主な定数改善の状況を紹介させていただいています。まず(1)の、通級指導の充実のための定数改善としまして、4,340名ほど本年までで改善してきています。それから(2)の、特別支援学校のセンター的機能の充実のための定数改善、特別支援学校に特別支援教育コーディネーターを配置するものの促進のための定数改善ですが、こちらにつきましても、本年度までで401名ほど措置しているところです。3番目ですが、公立義務教育諸学校、公立学校の定数改善計画については、3ページ目以降の別紙という形で整理させていただいています。定数改善につきましては、公立の小・中学校の学級編制標準の引き下げにつきましては、現在の40人学級に引き下げられた昭和55年以来30年ぶりとなり、定数改善計画の策定は平成13年以来10年ぶりとなるものです。まず、公立義務教育諸学校につきましては、新学習指導要領の円滑な実施、教員が子どもと向き合う時間の確保のため、大きく2つの改善事項を盛り込んでいます。1つ目は、3ページのとおり、「少人数学級の推進等」として、平成23年度から30年度までの8年計画で総数5万1,800人の定数改善を盛り込んでいます。小・中学校の学期編制の標準は現在40人となっていますが、この標準を見直しして、まずは小・中学校全学年で35人学級、さらには小学校1、2年生で30人学級の実現を盛り込んでいます。来年度概算要求につきましては、計画の初年度分として、小学校1、2年生で35人学級を実現するための8,300人の定数改善を盛り込んでいます。4ページ目を御覧ください。2つ目としまして、「教職員配置の改善」として、平成26年から30年までの5カ年計画としまして、総数4万人の定数改善を盛り込んでいます。この中で(5)にありますとおり、特別支援教育コーディネーターの配置改善、(6)にありますように、通級指導の充実というものを盛り込んでおります。次に、5ページ目ですが、高等学校につきましては、特別支援学校におけるセンター的機能の充実のほか、習熟度別少人数指導の充実、キャリア教育の充実など、多様な高等教育の展開に対応した教職員配置の改善を行うこととして、平成23年度から27年度の5カ年計画で総数2,600人の定数改善を盛り込んでいます。
 次に、資料6を御覧ください。資料6も前回の御質問のあったものですが、各自治体で取り組んでいる交流及び共同学習の仕組みとしまして、副籍等について整理したものです。幾つかの自治体で実施していますが、今回は東京都、埼玉県、横浜市を例として挙げております。まず1ページ目の東京都ですが、東京都の副籍については前回も紹介がありましたが、居住地域とのつながりの維持・継続を図る制度で、特別支援学校小・中学部在籍者の希望者全員を対象としており、直接交流については校長、保護者、主治医等が協議して実施可能と判断し、保護者の協力が可能なものとしており、保護者の付き添いが原則となっています。次に、2ページ目ですが、埼玉県の支援籍につきましては、本日、埼玉県教育委員会の方にも来ていただいておりますので、後ほど詳しく御説明いただきますが、障害のある児童生徒に対するより適切な教育支援を行うものであり、対象者を特別支援学校在籍者に限らず、小・中学校在籍者で障害により特別支援を要するものも可能としています。保護者の申出を受け、両校の校長、特別支援教育コーディネーターによる支援籍実施校連絡会議等の打ち合わせを経て支援籍が取得されるとのことです。また、付き添いが必要な場合につきましては、可能な限り福祉制度、ボランティアの活用が図られるように支援され、保護者の負担軽減に配慮されているとのことです。3ページ目を御覧ください。横浜市の副学籍について紹介させていただいています。特別支援学校の児童生徒と小・中学校の児童生徒が一緒に学ぶ機会の拡大を図るとともに、必要な教育的支援を居住地の学校においても行うというもので、特別支援学校小・中学部在籍者のうち、保護者が希望する者を対象としている。副学籍の登下校については、保護者の責任で行うという仕組みになっています。
 以上、前回御議論いただいた体制・環境整備に関することなどについて、宿題となっていたものを中心に紹介させていただきました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。前回の積み残し、御質問に対する回答も含めて御説明いただきましたが、実質のみで御質問ありましたらお願いします。よろしいでしょうか。
 それでは、これから自治体のヒアリングを行います。まず、資料6で副籍、支援籍、副学籍についてただいま簡単なレクチャーがありましたが、このことに関しまして埼玉県教育委員会よりお願いを申し上げます。それでは、埼玉県教育委員会特別支援教育課、小林指導主事にお願い申し上げます。よろしくお願いします。

【埼玉県教育委員会小林指導主事】 埼玉県教育委員会特別支援教育課の小林直紀です。よろしくお願いいたします。埼玉県の特別支援教育の現状につきまして、特に支援籍と就学支援の観点から要点を絞って説明させていただきます。資料7を御覧ください。
 埼玉県におきましては、平成15年度、埼玉県特別支援教育振興協議会に「ノーマライゼーションの理念に基づく教育をどのように進めるか」ということにつきまして検討を依頼いたしました。検討の結果から、支援籍制度の創設、就学支援委員会の見直し、個別の教育支援計画の作成の3つの取組を実施いたしました。具体的には、平成16年度より2カ年にわたり熊谷市と坂戸市をモデル地区とした総合研究事業をスタートさせ、平成18年度からは全県で取組を実施したものです。
 それでは、支援籍について御説明申し上げます。ページ1、2番です。埼玉県の支援籍制度の最も大きな特徴は、その目的や内容によって通常学級支援籍、特別支援学級支援籍、特別支援学校支援籍の3つの種類があるということです。
 初めに、通常学級支援籍です。2ページ、(1)です。通常学級支援籍は、特別支援学校や特別支援学級に在籍している児童生徒が居住地の小・中学校の通常の学級において学習を行うもので、これは東京都の副籍や横浜市の副学籍のようなものだと考えられます。特別支援学校や特別支援学級に在籍している児童生徒は、その障害に応じた専門的な教育を受けることができる一方、住んでいる地域とのつながりは希薄になります。そのため、居住地の小・中学校の通常の学級において支援籍を取得し、障害のない児童生徒と共に学習することで地域とのつながりを持つことができます。また、障害のない児童生徒にとりましては、支援籍学習で障害のある児童生徒と共に学ぶことで心のバリアフリーを育むことができると考えます。
 埼玉県におきましては、すべての市町村で支援籍を実施するということを目標に掲げ、平成18年度から全県で取組をスタートいたしましたこの通常学級支援籍の大切なポイントは、教室の中に机やいすがあり、名簿に名前が載っているということです。時々一緒に勉強をする特別な人ではなく、同じクラスの一員であるということを環境の面からも整えることが重要と考えます。
 初年度の平成18年度は、実施者217名、実施市町村数は50市町でした。平成21年度は実施者388名、実施市町村数は61市町となり、県内のほぼすべての市町村で実施されるようになりました。埼玉県のどの学校に在籍していても、どの市町村に在住していても支援籍を行うことのできる体制が整ったと考えています。
 ページ5、(6)といたしまして、肢体不自由の特別支援学校に在籍している子どもの事例を掲載していますので、参考にしていただけたらと存じます。
 次に、特別支援学級支援籍です。2ページ、(2)番です。小・中学校の通常の学級に在籍している発達障害などの特別な教育的ニーズのある児童生徒は、日々の学校生活の中で地域やクラスメイトとのかかわりが持てる一方、その教育的ニーズに応じた専門的な教育という面では不十分なこともあります。そのため、障害や特別な教育的ニーズに応じた学習を特別支援学級で受けることができるとした制度が特別支援学級支援籍です。当時、国から特別支援教室構想が示されましたが、この支援籍はそうした内容も含めた検討が行われたものです。平成21年度は259名の児童生徒が実施いたしました。実施者の約半数は知的障害の子どもで、約4分の1が発達障害の子どもでした。学習の内容としては、国語、算数、数学などの教科に参加している例が多く見られます。
 3つ目は、特別支援学校支援籍です。2ページ目、(3)です。小・中学校の通常の学級や特別支援学級に在籍している児童生徒は、日ごろから地域社会の中で生活をしていますので、地域とのつながりは強いと考えられますが、個々の障害や特別な教育的ニーズに応じた専門的な指導が必要となったときには、小・中学校の中で学習を受けるだけでは不十分なこともありますので、特別支援学校において、その障害等に応じた必要な学習をすることができるとした制度が特別支援学校支援籍です。実施者は、平成21年度は全県で75名の実施者がおりました。内容としては、より専門的な指導ということで、自立活動の学習に参加しているケースがほとんどです。学習の内容としては、視覚、聴覚、肢体、知的等の障害種別によって異なりますが、個別の学習が主体となっています。例えば視覚障害の特別支援学校では、学習の補習や補助具の使い方についての学習が行われています。聴覚障害の特別支援学校では、聴覚に関する自立活動や教科学習の補習などが行われています。
 5ページ、(7)として、中学校に在籍しているお子さんが知的障害の特別支援学校において学習している事例を載せてありますので、参考にしていただけたらと存じます。
 次に、6ページ、(8)支援籍実施上の課題についてです。5つあります。
 1つ目は、支援籍学習の内容の質を向上させることです。実施年数や実施回数の少ない市町村や学校におきましては、取組の内容にさらなる積み重ねが必要です。また、特別支援学級支援籍、特別支援学校支援籍につきましては、まだすべての市町村、特別支援学校において実施はしておりませんので、先進的な事例を紹介するなどの情報提供が必要と考えています。
 2つ目は、特別支援学校に在籍している児童生徒が早期から支援籍を実施することです。特別支援学校に在籍している児童生徒が居住地の小・中学校において入学式から参加するという事例があります。支援籍を実施している関係者からは、小学校の低学年での支援籍の実施は、子どもたちがお互いに障害を意識せずに自然なかかわりが持てるのでよい取組になると報告されています。
 3つ目は、特別支援学校に在籍しているすべての児童生徒が居住地の小・中学校とのつながりを深められるようにするということです。支援籍につきましてはまだまだ実施していない児童生徒のほうが多いのが現状です。1人でも多くの児童生徒が居住地の小学校とのつながりが持てるようにするためには、手紙の交換など始めやすい間接的な交流についても進めていく必要があると考えています。
 4つ目は、支援籍を支える体制の整備を図ることです。支援籍を実施するにあたっては、人的な支援が重要です。平成16年度から県社会福祉協議会と連携し支援籍を支えるための事業を4年間実施いたしました。現在は、その事業を引き継いで市町村の社会福祉協議会と特別支援学校が連携し、特別支援学校が主体となってボランティアの育成研修を行っています。
 5つ目は、本人や保護者をはじめ、支援籍を進める関係者や地域の人々に対して支援籍の理解、啓発を図ることです。
 次に、埼玉県の就学支援の在り方についてです。6ページ、3です。
 埼玉県におきましては、平成16年度のモデル市研究において、就学支援の在り方についても研究を行いました。その中では、これまで就学先を決めるということに重きが置かれていた就学指導委員会の在り方を見直し、就学前から就学後までの継続した就学支援を基本に、個に応じた支援を全面的に打ち出した委員会に見直すことで、名称もその役割の変更にあわせて「就学指導委員会」から「就学支援委員会」と改めることといたしました。就学支援委員会では、就学相談の充実を図るために、委員として、医療関係者、福祉関係者、特別支援学校等の教員など、さまざまな観点から専門的な意見がいただけるようにいたしました。
 就学支援の基本的な考え方及び役割につきましては、6ページ、7ページの(2)、(3)に記載させていただいたとおりです。
 次に、東松山市における就学支援の在り方についてです。東松山市におきましては、平成19年7月に障害のある子どもの就学先を決めるために、これまでの「就学支援委員会」をより子どもや保護者の希望を尊重するために「就学相談調整会議」と改めました。
 主な変更点につきましては、7ページ、(1)のとおりですが、相談窓口の増設や就学相談専門員の配置、保護者への情報提供の充実など、より本人や保護者に寄り添った就学相談体制を構築したものと考えています。就学相談調整会議の役割ですが、教育学、医学、心理学などの専門的な知識を有した方にメンバーになっていただくことで、児童生徒の就学に関して情報提供や助言を行うことを目的としています。東松山市の就学相談は、本人や保護者に寄り添ってしっかりとした情報の提供を行うことを重要と考えて実施しているものと考えます。
 次に、現状から見られる課題です。8ページです。
 1点目は、障害のある児童生徒に対する教育活動です。通常の学級や特別支援学級に在籍する児童生徒への教育活動につきましては、個に応じた指導を行うことが大変重要です。そのためには、教育活動を担う教員の専門性の向上を図ることが必要です。
 2点目は、障害のある児童生徒に対する学校施設設備の充実です。学校における学習環境を障害に応じたものにしていくことは大変重要ですが、身障者用のトイレの設置など、年ごとに施設設備の予算を計上し、少しずつ改修工事を図っています。
 3点目は、障害のある児童生徒に対する介助員の確保です。介助員につきましては、通常の学級や特別支援学級に在籍している児童生徒の多くが必要としています。平成22年度は47名の介助員を配置しています。今後も必要とする児童生徒が増えることも予想されるため、人員と予算の確保、介助員の専門性の向上が課題です。
 4点目は、医療的ケアの必要な児童生徒に対する看護師の確保です。看護師につきましては、平成21年度、3名配置いたしましたが、介助員と同様に人員と予算の確保が課題です。
 最後に、8ページ、5といたしまして、個別の教育支援計画の策定と活用についても資料として載せさせていただきました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。ただいまの埼玉県教育委員会からの御説明につきまして、御質問がありましたらお願いをいたします。

【大南委員】 どうもありがとうございました。全国特別支援教育推進連盟の大南です。3ページに、支援籍の実施数の推移がありますけれども、例えば21年度の通常学級支援籍388とありますが、母集団である特別支援学校小学部・中学部の児童生徒数というのはおおよそどれぐらいでしょうか。あるいは、この388が何%ぐらいにあたるのか教えていただきたいと思います。

【埼玉県教育委員会小林指導主事】 平成21年度は13.7%です。平成20年度が13.3%です。

【大南委員】 ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 そのほかにありますでしょうか。
 それでは、今のところ実質的なことに関する御質問はなさそうですので、またあとの議論の中で、いろいろな検討の中でお話が出てこようかと思います。それでは、ありがとうございました。
 続きまして、本日の議事の(2)の「障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援のための教職員の確保及び専門性の向上のための方策」に入りたいと思います。事務局から説明、そして自治体からのヒアリングの後に質疑応答、自由討議といたしたいと思います。
 初めに、事務局から説明をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。資料8を御覧ください。先ほども御紹介しました、本年3月にまとめられた「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議 審議経過報告」において、教員の特別支援教育に関する専門性の現状と課題につきまして整理していますので、御議論の参考として紹介いたします。
 この中では、特別支援学校教員、小・中学校での特別支援教育担当教員、そして通常学級担当教員の大きく3つに分けて整理しています。
 まず(1)としまして、特別支援教員の専門性につきましては、1ページ下のとおり整理させていただきました。障害種別に共通する専門性、それぞれの障害種ごとの専門性、特別支援学校のセンター的機能を果たすために必要な知識及び技能を挙げています。
 2ページ目を御覧ください。2ページ目につきましては、現状・これまでの取組としまして、平成20年度の特別支援学校における特別支援学校教諭の免許状保有率は約7割となっています。それから、国、都道府県でそれぞれ専門性の向上のための取組を実施しているところであるということで、取組を示させていただきました。
 検討の方向性及び課題の部分ですが、養成、採用、配置、研修等を通じ、組織的かつ体系的に教員の専門性の向上を図るべきであるとしています。養成につきましては、その中で、教育職員免許法の附則、これにつきまして、1ページの特別支援学校教員に関する免許制度のところでも記述していますが、幼・小・中・高等学校の免許状を持っている場合、当分の間、特別支援学校教諭の免許状を持っていなくても特別支援学校の教員になることは可能とされているものですが、これを廃止や不要となるような環境を整備すべきとの提言がなされています。また、特別支援学級等の特別支援教育についての免許状の在り方を検討することが必要といった提言がなされています。
 3ページ目にまいりますと、採用・配置のところで、同一校内における教員の在職年数の延長や学校間の適切な異動など弾力的な人事上の配慮を行うことが求められる。また、研修の充実が必要といったような提言がなされています。
 続きまして、4ページ目ですが、(2)としまして、小・中学校の担当教員、具体的には特別支援学級の担任、通級指導担当教員、特別支援教育コーディネーターにつきまして、その専門性につきましては4ページ下のとおり整理させていただいています。現行制度では、特別な免許状の所持を必要としていないものの、免許状取得の際に障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の課程を学ぶこととされています。その専門性の確保については、国立特別支援教育総合研究所における都道府県等の指導的立場の方を対象とした研修、都道府県の教育委員会主催の研修、各学校における校内研修によっているところです。専門性につきましては、特別支援教育全般に関する基礎的知識、それから担当する障害のある子どもの心理や障害に関する知識・理解、教育課程、指導法に関する知識・理解及び実践的指導力、それから特別支援教育コーディネーターにつきましては、勤務する学校におけるコーディネートを行うために必要な知識、技能を挙げています。
 5ページ目を御覧ください。現状としまして、特別支援学級担当教員、特別支援学校教諭の免許状保有率、平成20年度で32.0%程度となっています。
 その下、検討の方向性及び課題のところですが、各障害種の専門性を担保できる仕組みをつくること、特に特別支援学級が増加する中、特別支援教育の経験の少ない若い教員への支援の仕組みを検討する必要があるといった提言がなされています。
 次に、6ページ目を御覧ください。6ページ目、中ほど、(3)のところですが、小・中学校等の通常の学級担任の専門性について整理させていただきました。こちらは、現行、教員免許取得の際に関係科目を学ぶこととなっています。
 7ページ目の上になりますが、小・中学校等の通常の学級担任に求められる専門性としましては、特別支援教育に関する基礎的知識、教育基礎理論の一環として、障害種ごとの専門性に係る基礎的知識と整理しています。
 現状につきましては、小・中学校の教員のうち、特別支援教育に関する研修を受けた者の割合は約6割という状況です。
 検討の方向性及び課題では、専門性につきましては、多くの教員は発達障害等の理解、知識、経験が不足しているという声もある一方、特別支援教育の視点のみからの課題解決というのはなかなか難しいと。学級経営力等の基本的資質の総合力が求められる。各教科などの特別支援教育の視点も加えた授業力、特別支援教育について最低限必要な知識に基づく応用力等も重要といった提言がなされております。以上、簡単ですが、説明とさせていただきます。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 続きまして、自治体からのヒアリングを行います。まず、福井県教育委員会よりお願いをいたします。福井県教育庁高校教育課特別支援教育室長の原口典子室長からお願いをいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

【福井県教育委員会原口特別支援教育室長】 福井県教育委員会特別支援教育室の原口と申します。よろしくお願いいたします。
 資料9を御覧ください。福井県の小・中学校における特別支援教育、主に特別支援学級の専門性確保のための今までの本県の取組について説明させていただきます。
 本県の特別支援学級の状況についてですが、学級の設置状況は、知的障害の学級が昭和28年に設置され、それ以降、学級数が増えてまいりました。昭和45年度から平成13年度ごろまでは約31%程度であまり大きな変動はありませんでしたが、今年度の設置率は65%となり、倍の設置率となっています。本県の特別支援学級担当者の特別支援学校教諭免許状の保有率は、昭和45年度は7.6%でしたが、昭和54年には約32%、平成13年度には約56%、21年度には約70%と高い保有率になっています。
 2ページを御覧ください。また、特別支援学級担当者の経験年数を見ますと、学級の設置率の倍増に伴い、経験のない担当者は平成元年度の約3倍となっていますが、16年以上の経験者は平成元年度の約4倍となっています。このことから、免許保有者及び特別支援学級の担当になってから免許を取得した人が長年継続して特別支援学級に携わっていることがうかがえます。
 次に、2ページの「2 専門性向上のための取り組み」についてですが、この高い免許保有率の要因は、次に説明します福井大学との連携と県教育委員会の取組の積み重ねの結果と考えられます。まず、福井大学においては、昭和52年度から設置されました主に教員を対象とした特殊教育特別専攻科に毎年10名程度が在籍し、特別支援学級担当者の免許取得と研究成果の還元から専門性向上に大きくかかわりました。この専攻科は近年廃止されましたが、現在は教職大学院と連携が続いております。教員を派遣いたしまして、学校において授業技術などの研究を行っております。
 次、県の取組については2ページ、3ページを御覧ください。主に○1から○5を行っておりますが、特徴的なことを述べます。
 ○1では、平成14年度から免許法認定講習の実施のほか、放送大学の活用について周知したこともありまして、特別支援学級担当者も先輩の教員にならって毎年受講しております。また、国立特別支援教育総合研究所の専門研修が開始されました昭和47年度から、毎年、特別支援学級担当者、小学校1名、中学校1名を60日から70日の短期研修に派遣し、免許取得に努めています。
 そして、本県の特別支援学級の担当者につきましては、校内人事において特別支援学校教諭の免許保有者を優先的に担任にする傾向はかなり以前から続いています。その背景としましては、次の3、4の2点が大きいと考えています。
 1点は、特別支援教育の県単独機関として特別支援教育センターを昭和45年度から設置し、現在まで教育相談、就学相談、教員研修などを担い、積極的に特別支援教育の理解、啓発を行ってきました。このことで管理職も含めて、その重要性が認識されていることです。
 もう1点は、特別支援教育に関する手引き書などを作成し、啓発と指導の改善を図ってきており、特に特別支援学級の学級運営については、昭和33年度から特殊教育実施要綱などを作成し、学級担当者は教育、心理、経営面において卓越した教員を充てるべきと周知していることです。
 本県では、このようなことに加えまして、最初に説明いたしましたが、特別支援学級の状況について調査を行ってきました。特別支援学級担当者の特別支援学校教諭の免許保有の有無、また特別支援教育の経験年数について、昭和45年以前から毎年調査をしてきました。そして、その調査結果を各学校及び関係機関に配付しました。これらのことを通しまして、専門性を重視する県の姿勢が専門性の確保につながっていると考えております。
 学校現場におきましても、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒の指導について、特別支援学級担当者の専門性への期待は大変大きい状況です。長年特別支援学級を担当してきました教員が福井市の特別支援教育担当指導主事になるとか、また、県教委におきまして、特別支援教育担当の指導主事として特別支援学級の担当経験者がついています。そのことによって、指導の充実等に力を入れているところです。
 次に、障害のある子どもを小・中学校に受け入れる場合の教員に必要な専門性の確保です。4ページを御覧ください。大きく障害に関する知識・理解の啓発と児童生徒への指導に分けて本県ではそれぞれ主に4つの項目に取り組んでいます。
 特徴としましては、先ほど述べました県単独機関であります特別支援教育センターが発達障害に関する内容も含めた研修講座と講義と演習を含めた基礎的なコースと、より専門的なコースで構成するコーディネーター養成研修を実施しています。特にコーディネーター養成研修は平成13年度から実施しており、現在すべての高等学校においても受講を終えたところです。また、教育相談、教育指導、小・中学校での校内研修支援、就学指導などを実施してきております。件数は年々増えている状況です。
 各市、町の就学相談委員となって、就学指導コーディネーターの役割を果しています。県内の全地域をサポートし、専門の単独機関として機能しています。
 また、先ほど述べました特別支援教育に関する指導の手引き書などを引き継ぎまして、各種のリーフレットや個別の教育支援計画、指導計画なども作成し、各学校で教員が活用できるようにしています。
 最後に、本県における課題についてです。今後も特別支援学級の設置と通級による指導担当者の加配を進めていく必要があります。そして、特別支援学級に在籍する児童生徒の障害の重複化に伴い、特別支援学級の担当者による通常の学級への指導など弾力的な運用が困難になっている状況もあります。また、特別支援学級の担当者が特別支援教育に関する校内研究を推進している場合も多いのですが、通常学級との指導上の連携を図るためには、さらに高い専門性とコーディネーターの役割が求められています。これらのことに伴い、担当教員の育成が大きな課題になっています。
 最後に、特別支援教育センターについてですが、特別支援学校のセンター的な役割が定着するに従いまして、小・中学校からのニーズを踏まえた県単独機関としての特別支援教育センターの在り方、それから特別支援学校との連携の仕方について検討する必要があります。
 ちょっとつけ加えさせていただきますが、県単独事業として、平成18年度から発達障害児の支援として特別支援学校が小・中学校への教育相談を実施し、各特別支援学校が地区ごとに担当校を決めて行っています。その結果、特別支援学校が小・中学校から相談を受ける件数は述べ1万回を超えています。また、特別支援教育センターも1万2,000回を超える相談がきています。このような状況を踏まえまして、特別支援学校と特別支援教育センターとの連携について検討が必要と考えています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 続きまして、鹿児島県教育委員会より10分間ということでお願いいたします。鹿児島県教育庁義務教育課主任指導主事、堂免係長、それから鹿児島県立大島養護学校の前岡校長、よろしくお願いいたします。

【鹿児島県教育委員会堂免特別支援教育係長】 まず初めに、このような貴重な機会を与えていただきまして感謝申し上げます。鹿児島県教育庁義務教育課特別支援教育係長の堂免と申します。また、本日は私の前任者で、昨年度まで4年間同じ係長を務めました県立大島養護学校の前岡校長にも同席していただき、補足をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いいします。
 それでは、資料10に沿って説明をさせていただきます。
 資料の1ページです。2のヒアリング事項、(1)職員の専門性確保に向けた取組です。専門性の確保につきましては、教員に対して行われる各種研修が中心になっています。資料の1番目にあります経験年次別研修では、初任者研修、5年経験者研修、10年経験者研修などが行われ、その中で特別支援教育に関する領域も取り上げられているところです。また、2番目に掲げました職務別研修といたしましては、初めて特別支援学級の担任や通級指導教室の担当者になった教員を対象に、障害のある児童生徒に対する指導などについての研修を実施しているほか、訪問教育や重複障害のある児童生徒の指導に携わる教員を対象にした研修会も毎年度実施しておりまして、専門的な知識・技能の収得を図っているところです。また、3つ目に挙げました特別支援学校による巡回相談や研修会が本県の特色ではないかと考えています。本県では、大学教授や精神科医などの発達障害に対する専門家が鹿児島市1市に限られているといった現状があり、その対応策といたしまして、各地域にある特別支援学校が巡回相談や研修会の実施といったセンター的機能を早期から担うように取組を進めてきた経緯があります。昨年度の実績につきましては、資料2ページに示したとおりですが、特別支援教育を推進するためには、特別支援学校がセンター的機能を発揮しなければならないという意識付けが本県の特別支援学校の教員の専門性に結果的につながったと考えています。
 それでは、資料の3ページ、ウ、離島における教員の専門性の向上に関する取組です。多くの島しょ部がある本県では、離島における特別支援教育に携わる教員の専門性の向上も重要であることから、県教育委員会の付属機関である県総合教育センターが毎年計画的に訪問する島を決めて研修を行う移動講座を実施しています。通常の研修であれば、鹿児島市内の研修会に参加するために離島の教職員は前泊と後泊が必要になることから、移動講座は参加者の負担軽減や参加のしやすさという面でも配慮されていると考えています。
 また、特別支援学校の教職員につきましても、人事異動の標準が新たに策定され、平成23年度から施行されることになっています。これにより、離島にある2校の特別支援学校のいずれかに5年間原則として1回は勤務することが義務付けられました。このことは教職員集団としての活性化や専門性の維持向上にもつながることと考えているところです。
 (2)教職員に求められる専門性についてです。資料のアとイで示したように、県では教職員に生涯を通じて求められる資質と初任期、中堅期、円熟期といったライフステージごとに求められる資質を二元的にとらえています。その中で、特別支援教育に関する教職員の資質、能力としては、まず、特別支援教育についてすべての教職員が最低限身につけていなければならないもの、具体的には、特別支援教育の理念や障害に対する基本的な知識などと、次に、実際に特別支援教育に携わる場合に身につけておきたい専門性に関するもの、アセスメントの方法や自立活動の指導などがあると考えています。県といたしましては、さきに述べた経験年次別研修や職務別研修を組み合わせることにより、鹿児島県の教職員にトータルでこれからの資質が身につくようにしているところですが、私見といたしましては、特別支援教育は児童生徒の実態が指導の出発点であるという考え方を浸透させていくことにほかならないと考えています。
 資料の4ページは、障害のある教職員の受入れについてです。障害のある教職員の採用数ですが、平成22年5月現在、特別支援学校においては18人が、小学校、中学校、高等学校では89人の計107人の障害のある教職員が県内の各学校で勤務をしています。
 (4)通常の学級における支援についてです。障害のある児童生徒が一貫して継続した指導が可能になるように就学、進学にあたって必要な事項を保護者の了解のもとで担任が作成して、次の担当者へ情報を引き継ぐ移行支援シートを作成いたしました。現在、試行の段階ですが、今後その活用を図っていくことが課題です。

【鹿児島県立大島養護学校前岡校長】 堂免係長の説明に加えまして、2点ほど補足をさせていただきます。大島養護学校、前岡と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、地方自治体間の多様性への対応についてです。鹿児島県には一番南の与論島まで南北600キロ、多くの有人離島があります。その中に十島村という村が存在いたします。昨年の皆既日食で有名になりました悪石島もその1つですけれども、悪石島の人口は80人弱、島には小・中学校併設校が1校あるのみで、本年度は小学生6人、中学生3人の計9人が学習しています。島には空港はなく、唯一の交通手段は週2便の定期船のみです。鹿児島市内から片道11時間を要するところに位置しています。我が国の学校教育制度の在り方について議論を行うということは、国内のどの地域のどのような学校であろうとも等しく達成されるべきものは何であるかについて議論を行うことであり、議論に際しては、交通アクセス、医療、福祉サービスが比較的充実しています都市部の対極にこのような学校も多数存在するという厳然たる事実についても、ぜひご留意いただきたいと思います。
 また、私の勤めております大島養護学校は奄美大島本島の北部に位置しますが、校区内に与論島まで含め7つの有人離島があります。児童生徒が特別支援学校の対象と判断された場合、親元を離れて大島養護学校、本校へ就学するか地元の小・中学校へ就学し特別支援学級、または通常の学級での対応を選択することとなります。現状では、その選択は保護者の意向を生かす形になっておりますけれども、保護者の中には特別支援学校で専門教育を受ける必要性は認識しながらも、その子どもの生まれ育った場所でずっと育てていくことのほうが感情的に優先されるということもしばしばあります。その選択がどちらであっても教育内容に差を生じさせないことが我々と使命だと考えていますが、特別支援学校のない離島の現状については、ぜひともご承知おきいただきたいと思います。
 2点目として、特別支援学校の評価、存在価値についてです。いわゆるインクルーシブ教育システムにおいて重要なことは、対象となる児童生徒がその時点で最も必要とするニーズに最も的確にこたえる指導内容が多様な選択肢の中から柔軟に選択される仕組みを整備することであると考えます。そして、その際には児童生徒の障害の重度、重複化の傾向なども踏まえますと、信頼できる情報と正確な知識のもとで特別支援学級という選択肢も、あるいは通常の学級という選択肢も併存的に確保されている制度とすることが必要であると考えています。各特別支援学校におきましては、真摯にその指導技術の向上に取り組み、自校の児童生徒だけでなく、地域の小・中学校等への巡回相談などを行うなど、センター的機能も発揮していまして、特別支援教育に関して最も高度な専門性を有する教育機関として特別支援学校の存在意義は、これからますます大きくなると考えています。今後とも、御議論にあたりましては、このような特別支援学校の存在意義自体を否定するものとならないようご留意いただき、障害のある児童生徒がその持てる力を最大限に伸ばせるようなインクルーシブ教育システムの構築を目指していただきたいと希望しまして、補足を終わります。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 今、福井県教育委員会、鹿児島県教育委員会から御発表をいただきました。委員長が私見を述べるということはあまりいいことではないので、これまでいろいろなことは差し控えてきましたし、今後もそうしたいと思いますが、今の御発言の中の前岡校長先生の御意見に関して、私も深い感銘を受けました。特に日本の教育システムを考えるとても大事な委員会であるということについて、深く思いをいたしたということです。それは、各地方自治体の独自性があって、なおかつ学校の存在している場所等がとても異なっている、非常に小さな国ではありますが、多数の島々を抱えている県がたくさんあります。沖縄県、きょう御発表がありました鹿児島県、長崎県、瀬戸内海、島根、あるいは非常に住人が少ない山間地の学校等々、これらの学校で学ぶ子どもたちのことを考えた教育の仕組みをつくらなければいけないということです。そのことの留意なくしては制度設計というのはできないと考えます。その点を私どもは十分意図しながら、この検討に臨みたいというふうに思います。そういう点では、前岡先生のご意見を深く私も支持をしたいというふうに思います。
 もう1点、実は、ちょっときょうは時差ぼけのところがありますが、個人的にこの1カ月間、ヨーロッパ諸国の特別支援教育を見て回ってまいりました。それから最後にアジアの国々の状況ということで、インドのチャンジガルで行われた国際会議に参加して、昨日帰ってまいりました。この中でも、各国がそれぞれの課題に向かってものすごい努力と制度設計の努力をされているという実情を見てまいりました。決して日本だけの問題ではなくて、そして理念的なものだけで制度が動いているということではないし、その点を十分把握しながら検討を進めてまいらなければいけないのではないかなというふうに思いながら、今2件のご報告を伺っておりました。ちょっと余談になって申しわけございません。
 それでは、福井県教育委員会、鹿児島県教育委員会の御発表について、御質問がありましたらお願いします。

【向山委員】 どうもありがとうございました。全国連合小学校長会の向山行雄です。
 報告を聞かせていただきまして、大変な御努力に敬意を表します。福井県教育委員会と鹿児島県教育委員会と、それぞれに質問させていただきます。結論からいきますと、どのように効率的で有効な研修をするかということを聞きたいのです。現職の教師の資質を向上するには、研修をするというのが非常に大きな方法であるということは否定しません。ただ、現状を踏まえなければいけない。特に私は、この3つの現状を踏まえる必要があると思っています。
 1つ目は、教員の多忙感が非常に多いということです。勤務実態調査でいくと、昭和41年のときの調査は、1日平均約20分だった超過勤務が、ついこの間やった平成17年の文部科学省調査では、1日100分超過勤務しています。このような1日100分も超過している状況の中でどう研修を入れていくか、大変大きい課題です。
 2つ目は、改正労働基準法の施行によって時短をしなければいけない。勤務時間を1日15分、1週間で1時間15分勤務短縮が求められています。年間では50時間も勤務時間を短縮させなければいけない。そのような大幅に勤務時間を短縮させなければならないときに、行政も学校もどうやって研修を入れていくか、これが2つ目です。
 3点目は、現在の学校教育に対する課題というのは大変大きい。新教育課程への対応でもあります。小学校でいえば英語活動もしなければならない、あるいは情報化への対応、キャリア教育もしなければならない、日本語の話せない児童への問題もあるでしょう。そういったような優先的な大変大きな教育課題があって、それぞれどれも研修が求められている事項なわけです。そういったような3つの背景をもとにして、最初の問題に戻りますが、どう有効で効率的な研修に心がけていらっしゃるか、ぜひお聞かせください。

【宮﨑委員長】 それでは、両県の教育委員会の方々、お願いします。

【福井県教育委員会原口特別支援教育室長】 福井県では、今年度も国の事業である特別支援教育総合推進事業により、校内の研修を支援するという方法を取り入れています。各学校で抱えておりますいろいろな課題について、特別支援学校、それから本県の特色であります特別支援教育センターの職員が巡回しまして、研修の助言あるいは一緒に協議をするというような研修を組んでいます。今年度は、それに専門家チームにも入っていただいて行っているところです。

【鹿児島県教育委員会堂免特別支援教育係長】 鹿児島県についてですが、特別にそういったことに対する取組といいますか、具体的な情報を十分持ち合わせてはいないのですけども、現在ある研修、経験年次研修や初任者研修など、それから5年経験者研修、10年経験者研修、このあたりの研修をうまく使って効率的に内容を盛り込んでいくといったことが必要になっていく部分があるかと思います。
 それから、業務をしながら、その中で自然と研修内容が身につくように、オン・ザ・ジョブ・トレーニングといったような形で、そのためには先輩教師の力量を高める必要がありますけれども、ふだんの業務を務めながらその中で研修ができていく、進んでいくと、そういったことを今後考えていく必要があるのではないかなと考えていますが、現在、本県が具体的にどういったことというのは、ちょっと持ち合わせていないところです。

【宮﨑委員長】 それぞれの県で可能な限りの努力をされているというようなことではないかと思います。
 ほかに御質問はありますでしょうか。

【品川委員】 品川裕香です。よろしくお願いいたします。両県の教育委員会にお伺いいたします。福井県は、度々取材させていただいて、いろいろとすばらしい取組をなさっているということは存じ上げています。さて、研修のところについてです。インクルーシブ教育を具体的に実質的に実施していく場合には、それ以外の、明白な機能不全や機能障害のない子どもたちへの指導も当然必要になってくると思われます。例えば、認知特性に偏りのある子どもたちを受け入れることを踏まえた指導をしていくための学級経営や学校経営の研修等はなさっているのでしょうか。もしなさっているのであれば、どういった内容を実施していらっしゃるのかを教えてください。お願いいたします。

【福井県教育委員会原口特別支援教育室長】 福井県には、先ほど述べました特別支援教育センターのほかに、教育研究所という機関があります。この機関は通常の小・中学校、高等学校の教員の研修を行っています。そこで今のような内容の研修が行われていると思います。生徒指導研修及びマネジメント研修のような内容が行われています。それから、特別支援教育センターのほうでも、管理職を対象にした研修講座も1講座行っています。

【鹿児島県教育委員会堂免特別支援教育係長】 鹿児島県についてですが、小学校、中学校の教員を対象にいたしました特別支援教育に関する研修については、学級経営といった内容が一番大事になると考えています。どの子も一人一人を大切にしていくことであり、障害のある子どもたち、学習面に困難のある子どもたちが学級の中で思う存分力を発揮できる、それから、例えば「間違っても大丈夫なんだ」という気持ちを持てるような学級経営にする、そういったものが必要ではないかと考えておりまして、まず特別支援教育の小・中学校の教員を対象にした研修会で、総合教育センターが行う研修会等におきましては、そういう特別支援教育の在り方は学級経営の在り方であるといったことは、しっかり指導してもらっているところです。
 また、初めて教頭や校長になった管理職を対象にした研修会におきましても、特別支援教育の重要性といったものを研修講座の中の1つに入れておきまして、管理職のリーダーシップが大事である、そのことが各学校における特別支援教育の推進に大きく反映されるということで、研修会の中では取り入れているところです。

【品川委員】 ありがとうございます。ですが、そういった一般的な話は存じ上げておりまして、もう少し具体的な研修内容と申しますか、プログラムなどをご存じであれば教えていただけないでしょうか。失礼を承知で申し上げますと、どの自治体でも「うちはちゃんと実施している」とおっしゃいます。しかしながら、実態を調べてみますと、参加者が寝ているなど、ただその場にいるだけだったり、ある特定の理論や裏付けのない経験論に偏っていたり、木を見て森を見ない内容になっていたり、かえって差別等を助長するような内容になっていたりと、形骸化していることも多いのです。なので、どのようなプログラムを実施されているか、おわかりになれば教えてください。

【宮﨑委員長】 今の品川委員から御質問の趣旨は、学級経営に関する具体的な対応策などをお聞きになりたいということと思いますので、手元に資料がなければ、後日、県の教育研修センターの内容、特にシラバスなどに、校長研修会などのような中身が入っているかどうか報告していただければと思います。

【福井県教育委員会原口特別支援教育室長】 研究所につきましては手元に資料がありませんので、今お話できませんが、センターで実施していますのは、通常の学級における気がかりな子への支援ということで、ユニバーサルデザインの学級づくり、授業づくりというような研修、あるいは学校経営の充実ということで、発達の視点から考えるという管理職を対象にした研究内容を行っています。一部紹介ということでお願いします。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。

【品川委員】 はい。ありがとうございます。

【北住委員】 むらさき愛育園長の北住です。私は実際に学校の校医、それから医療的ケアの指導医として学校にも伺っています。そこで感じることは、要するに今の点は、教員の力量をどう高めるか、いろいろな意味での、知識だけではなくていろいろなスキル、具体的なスキルも含めた力量どう高めていくか、そのためには何が必要かということが大きなテーマだと思います。その場合に、鹿児島県教育委員会から出していただいた資料10の3ページの下のところで、教職員のライフステージに応じて求められる資質能力、初任期の段階、中堅期の段階、円熟期の段階、このような形で整理していただいていますが、実際に学校現場で見ていて、かなり安心してお子さんを託せる先生と、それから、まだ初任段階で託せない先生がいるわけですね。それは、形式的な研修とか講義とかより、むしろ現場で先生方が経験を積んで、この資料にあわせていえば、中堅期ないし円熟期の教員が初任期の教員にその経験を継承して、実際の現場で知識だけではなくてスキルを伝えていく。そういうものの積み上げが、実は形式的な研修というよりははるかに大きな意味を持っていると思います。そういうことの実際的な内容をしっかりつけられるような体制がなければ、いくら形の上での研修を整えても生きたものにはならないと実感しています。そういう中で、こういう形式だけではなくて、ベテランの方が、初任の先生方、あるいは教員としての任期は長くても特別支援教育はまだまだという先生方、現場での経験を、現場でお互いが研鑽を積みながらいろいろなスキルを継承していって、相対的な力量を高めるための方策としてどのようなことを考えているのか。それは文科省に対してもご質問したい点です。
 それは具体的にどういう形でシステムに反映されるかというと、例えば、教員の異動の問題です。私たちが見ていて、この先生、もっと頑張ってずっとここにいて若い人を指導してもらいたいなと思っても、それが今までの経験を生かされない形の異動をしてしまうことがある。ベテランの先生はせっかく身につけた専門性を生かせる、それから、それを新しい人に伝える、そのための体制として、教員の異動の年限の問題や専門領域の問題も大きなテーマで、このようなものに関してきちんと抑えていかなければ、いくら形の上でこういう研修をしていますといっても、それはそれである程度意味はあるけれども、生きたものになっていかないと思います。その辺で、今回、福井県教育委員会や鹿児島県教育委員会は、実質的な面でどう取組なりの方向性を持っておられるのか。
 それから、文部科学省については、このような面で、例えば教員の異動の年限や専門間の異動の問題について、どのようにお考えになっているかをお聞きしたいと思います。

【宮﨑委員長】 それでは、特に人事異動等で両県の現状をおわかりになる範囲でお話しいただき、また、文部科学省から御意見を伺うということでいいですか。まずは文部科学省からお願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。先ほど御紹介した資料8の中にも人事につきましては幾つか書かれております。例えば特別支援学校の教員の専門性のところですけれども、3の採用・配置のところで、専門性につきましては人事異動が強く影響するということが書かれております。3ページの中ほどですが、担当教員が短期間で異動することは大きな影響を生ずるため、各地方公共団体の判断により、特別支援学校としての障害種ごとの専門性の確保を考慮しつつ、同一校における教員の在職年数の延長、それから適切な異動など弾力的な人事上の配慮を行うことが求められるということが書かれておりますし、(2)の担当教員の専門性のところでも、同じく5ページ目の下のあたりですが、短期間の人事異動は大きな影響があるためということで、同じようなことが書かれております。各県におきましても、おそらくそういうことについてはある程度御考慮いただいているのではないかと考えていますが、文部科学省としては、この協力者会議の提言を各都道府県の方にお伝えすることで、より一層これに努めていただきたいと考えているところです。

【宮﨑委員長】 前回の特別支援教育特別委員会等の人事異動等に関する考え方などを整理した報告も出ておりまして、これが基本的な前の会議の結論だったかと思います。具体的に他県ということで、福井県教育委員会と鹿児島県教育委員会、お願いいたします。

【鹿児島県教育委員会堂免特別支援教育係長】 まず、鹿児島県の人事異動についてお話をさせていただきます。先ほど、資料3ページにより、特別支援学校の人事異動の標準ができて、来年度から施行されると説明いたしました。本県の場合は離島もありますので、県下全域をすべての教員が担うことから、ある地域を決めて、その中で異動するというのではなくて、県下全域を異動するというシステムになっています。その上で、同一校における勤務年数を7年と設定したところです。また、初任者につきましては4年、離島に2校特別支援学校がありますが、その中では5年の標準勤務年数という形が定められておりまして、これまで明確な勤務年数はなかったものですから、今回7年という標準勤務年数ができましたので、指導の継続であるとか積み上げであるとかがある程度できていくのではないかと考えています。
 それから、ライフステージに応じて求められる資質につきましては、初任期であるとか中堅期であるとか円熟期についてどういったものが必要であるかまでは定めておりまして、それを例えば初任者研修であり、5年経験者研修であり、10年経験者研修の中に研修内容としては組み込んでいますけども、それがほんとうに教員の力になっているのかどうか、そのあたりも十分今後考えていかなければいけないことではないかと思っていますし、円熟期の教員の力が増すことによって、先ほど話をしました、業務を通していろいろな力を身につけられるオン・ザ・ジョブ・トレーニングというような形での研修にもつながっていくことになっていくのではないかと考えているところです。

【福井県教育委員会原口特別支援教育室長】 福井県においては、専門性の確保は重要であるということは十分認識しておりまして、人事担当者もそのように認識していると聞いていますが、担当ではありませんので、今鹿児島県の方が言われたような規定などそういうことについてはわかりません。ただ、特別支援学校及び特別支援学級においても、校内の研修をして、その専門性を次に引き継いでいくということで、校内研修にはどの学校も非常に力を入れております。以上です。

【北住委員】 この問題は、教員の異動などの問題と、あとは、今までも議論が出てきましたけれども、ある程度の教員がグループとしていることによって専門性が継承される、力量が形成される、そういう意味では、一定の規模が必要であるということ。できるだけ身近での教育、例えば離島だけではなくて山間地でも、身近での教育を優先した場合には、教員としての一定のグループ性が保てないので、その辺の力量あるいはスキル、いろいろなことの継承がしにくい。その基本的な問題が1つあると思います。それはインクルーシブ教育の根幹にかかわるシステムの問題、在り方に関する問題で、できるだけ身近なところで教育を受けられる形と、教員が専門的に力を持った形とを、どう両立させていくか。生徒たちの一定の数がないと生徒たちの活性が保てないという、そういう問題も1つありますが、教員の力もそういう問題があって、それをできるだけ地域に分散しながら教員の専門性を、力を保つというのは大きなテーマだと思います。それをなしにして単純に分散して身近なシステムだけつくっても、生きたものにならないと思います。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。今、北住委員から具体的な教員研修の在り方、異動も含めたシステム、それから内容にまで含んだお話をしていただきました。これがまさにここから協議の中身だろうと考えます。
 ここで5分ほど休憩をして、今の北住委員の御発言など、これまでの各県の御発表を踏まえて討議を進めてまいりたいと思います。それでは、5分ほど休憩をいたします。

(休憩)

【宮﨑委員長】 それでは、これ以降、自由討議の時間とさせていただきます。50分ぐらいを時間として充てたいと思います。まだもう一つ、今日の報告が残っていますので、50分ぐらい協議をしたいと思います。
 北住委員から、具体的に教員の力量をどう高めていくかという人事上の異動の問題、それから校内の組織整備の問題、具体的に提案をいただきましたが、非常に重要な課題であろうかと思います。御意見含めて、もう少し北住委員、今のお話を続けてお願いします。

【北住委員】 ほかの委員からも資料が提出されていますので、ほかの委員の発言をまずいただきたいと思います。

【宮﨑委員長】 わかりました。それでは、ほかの委員からお願いいたします。それでは、佐竹委員お願いします。

【佐竹委員】 全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会の佐竹です。前回のときに、発言し損なってしまいましたので2つほど発言させていただきます。副籍、支援籍についてですが、保護者の方からいろいろな経験を伺いましたので、少し保護者目線で発言させていただきます。今までの資料、発表内容等を拝見しますと、とても良い取組であるというような印象を受けるのですが、保護者から見た実態ですので、「いやいや、本県はそんなことはない」という御意見もあるかと思いますが、その辺はご容赦ください。
 副籍、支援籍ですが、現在の副籍、支援籍は、無理のない交流の機会としてうまく使えば、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒のお互いの交流を深めたり進めたりすることができると保護者は理解しています。ただし、現状では、先ほどから資料にも出ていますように、その移動、通学は保護者の負担を強いております。保護者が一緒であることで校内でも子どもたちの交流がままならない。何しろ後ろに親が立っているわけですから、子ども同士の交流というのがなかなか難しいという親御さんの感想があるようです。要は、お客さんになりがちという意味かと思います。また、学校同士のつながりが希薄な場合、特別支援学校から通常の居住地の学校に行くケースが多いわけですから、特別支援学校の近隣の学校は何らかの交流がありますが、そうでない学校では見学に終始してしまうという事例も多く、「自由に見てください」程度になりがちという親御さんの御意見を伺いました。そういったことを、まず安定した財源をもって教員、または通常の学級に文部科学省の予算で配置されている支援員など、こういった方も使えないだろうか、何らかの人材確保が望ましいと思います。何らかといいますと、必ず出てくるのがボランティアの活用ですが、ボランティアは、好きなときにかかわり、都合の悪いときにはかかわらないということが基本ですので、安定した制度としては取り組みにくいのではないかと思います。ボランティアではなく、しっかりとした財源のもとに配置をお願いしたいと考えています。
 もう一つは、今日の議題であります、先ほど北住委員からも出てまいりました教職員の確保と専門性の向上、また人事異動などにつきまして、皆様もご承知のとおりとは思いますが、平成13年に特別支援教育の整備に伴って免許状の総合化に向けたワーキンググループが設置されて、教員の免許状の見直し等の議論がされました。これにより教員の免許状の取得に幅広い内容と知識を習得することなど、また、特別支援学校のセンター的機能を広げるコーディネーターの育成なども必要と、かなり議論をされてまいりました。それを踏まえた上で現在の特別支援教育というものはあるわけです。
 教職員の専門性とは、障害種別に特化した指導力と考えられますが、現状、子どもたちは重度重複化が顕著です。多様な要求、これは子どもの障害だけではなくて、親御さんの家庭力にも影響してまいります。経済力、生活力、また母子家庭、父子家庭、そういったことにも左右されています。そういった保護者と子どもたちの多様な要求に応えられるという教員が求められているのだと思います。
 ただ、1人の教員がすべての障害種別に対応できるようになるまでには時間と経験が必要です。そのため、それぞれの専門性を出し合えるようなチームティーチングなども考えられますが、保護者の目線から見れば、特別支援教育制度の効果というのか、もっと子どものニーズに応じた教育の成果ですかね、我が子がこういうふうに成長してきた、見通しとして小学校の間にこういう力をつけたい、中学生、高校生になったら、こういう力がつくのではないだろうか、そういったことを先生方が寄り添って考えられるような、そういった先生を親御さんは望んでいるものと思います。
 これまで先生方も大変努力をしてくださっています。ただ、それは個々の努力であって、学校全体であったであろうかということは、疑問が残ります。学校全体として、子どもたちの一人一人のニーズに応じた教育。そのために特別支援教育というのは、教育支援計画、指導計画などを踏まえた上で総合的に学校として支えていくのだという理念が大前提であったと思います。そのことをもっともっと進めていただけたらと思います。
 先ほどの北住委員の人事権の話ですが、全国的に見ますと、県下よりも大都市圏、東京などでは人材の異動が、例えば30代の頼りになる中堅どころの先生が全く違う障害種別の学校に異動になってしまうということが実際に行われました。大分混乱いたしまして、肢体不自由で言えば、例えば子どもたちの給食の時間の摂食指導をしたことがない先生が出てくるわけですね。これは誤飲にもつながりますし、子どもたちの命にもかかわります。そういったこともしっかりと踏まえた人事異動をお願いしたい。先生方が障害種別を超えて赴任されてはいけないわけではないのですが、また、総合的にいろいろな御経験をされるということも大変いいことだと思いますが、それでも、チームとしてクラスが成り立たないような人事異動であっては、これは保護者として大変不安の原因になります。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、続いて河本委員、お願いします。

【河本委員】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。資料15を御覧ください。私どもの全国特別支援学級設置学校長協会、通称で全特協と呼ばせていただきますけれども、全特協では、近年の特別支援学級担当教員の専門性向上については喫緊の課題であると数年前から考えておりました。全国的には、設置校が約2万2,500校ありますけれども、今回、抽出で調査をさせていただきました。本日御提示いたしました調査結果は、昨年の5月下旬から昨年の9月30日までの回答をいただいた学校をまとめたものです。本日のこの機会に設置校の実態をご提供し、論議の資料にしていただければと思い、持参いたしました。
 最初に、本調査は、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所の全面的な御協力のもとでまとめたものです。その目的として、大きな1番、2つあります。設置校の現状の把握、そして2つ目として設置校の校長の意識ということで、時間が大分ありませんので、私のほうから最初の設置校の現状のことについてだけ、まずとりあえずお話をさせていただくと。そして、時間がありましたら、それの打開策として、どんなことが考えられるかということをお話させていただければなと思います。
 まず、その調査の方法ですけれども、全国の1,775市町村と東京都の23区、合わせまして小学校1、中学校1、合計で、下のほうに書いてありますけれども、3,596校を調査対象にいたしました。回収率は68.2%ということです。
 そして、我々全特協では、教員の専門性ということを、その四角の中に書いてあります4つの指標と内容的な具体的な質問項目ということで質問を設定いたしました。例えばテクニカル、コンセプチュアル、ヒューマン、マネジメントと、この4つを専門性としてとらえました。これは曽余田浩史氏の2006年、新・ティーチングプロフェッションの文献を参考にして、全特協として最後にマネジメントということを1項目つけ加えて調査をいたしました。
 1ページおめくりください。結果について簡単に御説明いたします。先ほどお話しましたように、抽出校ですので悉皆ではありませんので、それぞれの学校の中で担任が複数いる場合はだれか1人を想定して、おそらく主任級を想定して、そして、1人しかいない場合は、その担任を想定してということで、最初に聞きました。「特別支援学級担当者に特別支援学校での教職経験がある学校」、全体的には、「ある」と答えた学校が約4分の1、特別支援学校での経験がありました。先ほど申し上げましたように、主任級の担当教員も入っていますので、こういう数字が出てきているだろうと解釈しています。
 そして「 2)特別支援学級を担当した経験年数について」です。その棒グラフのように、0年から2年――0年、1年、2年の経験者が約30%、そして3年、4年、5年の経験者が25%、合わせますと55%の教員が0年から5年までの特別支援学級での経験しかないということがわかりました。その教員たちに、これからどう研修を進めていって、あるいはどう経験を積ませて、そして専門性を高めていくかということが大きな課題だろうと考えています。
 3ページを御覧ください。そして、先ほど来、幾つか出てきましたけれども、「特別支援学級担当者の特別支援学校教員免許の必要性について」、校長に聞いたところ、「必要である」と答えている数が、「特にそう思う」が18%、「そう思う」が56%、合わせて74%の4分の3の校長が、やっぱり特別支援学級の担当教員には特別支援学校の教員の免許状が必要であると答えています。
 実際はどうかといいますと、先ほど福井県教育委員会から話がありましたけれども、全国的には平成21年度、小・中学校合わせて31.6%の保有率です。これは各都道府県によって多い少ないがありますけれども、最高は福井県で平成21年度で70.9%、一番少なかった県が三重県の17.1%です。平均すると31.6%の免許の保有率となります。特別支援学級の教員が特別支援学校の教員の免許をこれだけしか持ってないということが1つわかりました。
 それから、その下のところ、「特別支援学級担当者に対する特別支援学校や特別支援学級での指導の経験の必要性について」ということで、これも校長に聞いています。特に経験が必要だと、「特にそう思う」と「そう思う」、16%と62%ですので、「思う」と答えた校長が78%、これも約4分の3を超えております。経験がやっぱり必要だということです。
 最後の4ページ目ですけれども、校長として、それぞれの特別支援学級の各担当者にどんなことを望むかということで、冒頭でお話しました専門性の中の特にヒューマン、人間的なものを望む校長が多くおりました。それだけではなくて、そこの大きな3本の柱がありますけれども、1つは知見を持っている教員、この知見は特別支援教育に関する知見、あるいは障害そのものについての知見ですが、この知見を持っている教員を望んでいると。そして、3番目に多かったのが保護者や同僚との人間関係をうまく保てるような、そんな社会性を持った教員であるということが1つわかりました。
 これは1つのデータですので、これをそれぞれの学校の中でどうしていくかということで、少しつけ加えますと、第2弾の調査を今年度実施しました。9月末日に全部集計をして今まとめているところですけれども、今回の調査は校長みずからに校長自身のことについて聞くような調査を入れました。どういうことかといいますと、先ほどお話しましたように、それぞれの学校の中で若い教員、あるいは経験年数の少ない担当教員が増えていますので、専門性をどう高めるかと。先ほどから出ています行政からの研修というのは、もちろん必要だろうと思います。実際は、教員がそれぞれ日々、子どもたちと接していますので、一番大事なのは学校の中で、その若い、あるいは経験年数の少ない教員をどう養成していくかということだろうと考えています。
 ということで、今年度は、それぞれの学校の中で、校長がそれぞれの学校の中の教員をどう育成を図っていけているかということの調査をしています。具体的には特別支援学級の教育課程を編成するときに、校長が学校経営方針を特別支援学級の教育課程にどう反映するかだとか、あるいは日々の授業観察のときに特別支援学級の担任をどう指導できるかという校長みずからの質を高めるような、そんな項目を幾つか入れて調査をしました。また、機会がありましたら、その結果も提示していきたいと思っています。現状だけ、少しお話をしました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。

【杉山委員】 今のことについて質問をしたいのですが、よろしいでしょうか。

【宮﨑委員長】 それでは、どうぞ。

【杉山委員】 浜松医科大学児童精神医学講座の杉山と申します。児童精神科医です。今のところで私が注目しましたのは、3ページの特別支援教育の免許の必要性を「思わない」という校長が4分の1いるということです。ぜひこれ、クロス集計していただければと思いますが、「思わない」という校長のところの免許取得率は多分低いだろうと思いますので、多分有意差が出るんじゃないかと思うのですが、これ、なぜ「思わない」のかということを聞きたいのですが、教えていただけますでしょうか。

【河本委員】 全特協の河本です。クロス集計も国立特別支援教育総合研究所で集計していただきました。今回お持ちしている資料は、その中の抜粋の抜粋ぐらいなので、そのあたりが出てませんけれども、集計によりますと、特別支援学校の免許状が即特別支援学級に果たして必要かどうかと考えている校長が何人かいたということで、我々全特協のほうでは、それなら特別支援学校の免許状じゃなくて特別支援学級の免許状ということが、これから考えられる1つの要素になっていくのではないかというような話も出てきています。以上です。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。

【大南委員】 今の件で、発言してよろしいですか。

【宮﨑委員長】 それでは、今の件でお願いします。

【大南委員】 思うか思わないかということとかかわって、実はこれは校長を含めて、教員の意識改革というのが必要なのだろうと思います。福井県教育委員会にお願いしたいのですが、70%近い保有率というのは、この数字をいいとすれば、ほぼぎりぎりまでできているということですね。実際はもっと多いと思います。どういうことかというと、校長先生の中には、「まあ、ごめんなさい、あなた、1年だけ学級やってくれない? 来年はいいよ」と、平気でそういうことを言っている校長先生が全国に結構いますよね。だから、教員の意識改革をして専門性を高めなければならないというなら、そうしなければいけないのですけれども、福井県では、これだけ高いことができているというのは、先生はどういうふうにお考えでしょうか。校長が免許をとるのに熱心なのか、教員自身が使命感というか、必要性を感じてとっているのか、ここが大事だと思います。どっちでもいいよという校長先生のところで教員が免許をとりに行こうなんて気持ちは起こるはずがありません。だから、私は、先ほど質問しようと思ったのですが、河本委員からこういういいデータが出てきましたから、これを根拠に、こんなにたくさん、どっちでもいいという人がいるということは、やっぱり特別支援学級というのは、そこそこにしか評価されてないのかな。私も十何年やりましたけれども、そうなのかなと思って。すいません。お願いします。

【宮﨑委員長】 それでは、福井県教育委員会、お願いします。

【福井県教育委員会原口特別支援教育室長】 福井県の原口です。両方あると思います。先ほど説明させていただきましたように、管理職が長年ずっと引き継いでおります特別支援学級の担任には免許を持っている者をということを優先しているということが一番大きいと思います。そのほかに担当者もやはり自己の努力をされておりまして、免許認定講習を受けるとか、放送大学を活用するとか、そのような努力と両方相まって、このような保有率になっていると考えています。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。

【大南委員】 はい。

【宮﨑委員長】 それでは、今の議論は、非常に重要な調査資料を河本委員からいただきました。この後段の今調査されている中身も、またできたら報告いただければと思います。

 それでは、尾崎委員、お願いします。

【尾崎委員】 全国特別支援学校長会の尾崎です。私は、資料14に基づいて、教員の専門性、その向上のための方策等について、お話をさせていただきたいと思います。
 資料14の最初に書きましたのは、障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援をするための教員の専門性とは何かということです。そこで、今後、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学級、それから特別支援学校等で、こういう必要な専門性があるわけですが、最初に書いてある(1)から(6)は、特別支援教育に係る教育は、とにかく身につけなければならない内容だと理解しているものです。この中には障害の理解だけではなくて、教育活動を実際に担うのが教員ですので、そのための教育課程とか、教育方法、指導内容、個別の指導計画の作成、それから教材・教具の活用、そして将来に向けてのキャリア教育をできるような、そういうような専門性まで見つけなければいけないというのがまず基本にあって、なおかつ、視覚障害とか、聴覚障害とか、それぞれ5障害でまとめさせていただきましたが、それぞれの障害に応じた専門性も当然持っていかないといけないと。ですから、教員がどういう専門性が必要なのかは、どういう障害を持っている人に出会うのかによって大いに異なるわけですけれども、厳密に考えれば、ニーズに応じた教育をするのだということであれば、こういうものが必要だということです。
 それから、下の段に通常学級への支援を確保する方法ということですが、ここでは特別支援教育のセンター的機能の活用ということで書きました。センター的機能については、今現在、特別支援学校が取り組んでいる大きなものは、個別の指導計画とか、個別の教育支援計画の作成への支援をというのがよく言われるところです。
 それから、特別支援教育の支援員の活用を図るということも、各都道府県教育委員会でもう取り組まれているということですが、今、一番問題なのは支援員の質向上です。支援員そのものの質をどういうふうに高めて、それから支援に当てていくのかというような、支援員の専門性をどういうふうに考えて、どう育成していくのかということも今後非常に重要ではないかなと考えます。
 それから、障害種ごとの専門性の確保ということで言えば、ただ、教員がすべての専門性を担うのではなくて、特に医療的ケアの問題とか、重症心身障害の問題の場合は指導医、北住委員がいらっしゃいますけれども、そういう方々との協力、それから外部専門家の協力をいただきながら教育活動も進めていくということも必要だということを示しています。
 その下に専門性向上のための方策と書いてありますが、基本は、特別支援学校独自で、各学校で、自校で専門研修を継続してやっていくというのがまず基本だろうと思います。それに加えて教育委員会、それから文部科学省、その他外部機関が実施している研修に大いに参加していくということを考えるということ。そして最後は、大学等における教員養成にもかかわってくる話ではないかなということで、大学にも非常に期待したいということです。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、山岡委員、お願いします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。資料21に基づいて、お話をさせていただきます。今回、教職員の確保及び専門性の向上の方策のところで1点、制度的な問題について、御提言を申し上げます。これは日本発達障害ネットワークのほうで議論をさせていただいて、団体としての意見として出させていただくものです。
 1点ですが、先ほど河本委員からもお話が出ておりましたけれども、教職員の免許状ですが、現行は特別支援学校教諭免許状となっていますけれども、今後の特別支援教育を推進する上で特別支援教育の教員免許状とすべきだということを、ここで提言させていただきます。
 先ほど佐竹委員からお話が出ておりました中央教育審議会のワーキンググループですが、これは断続的に開催されておりまして、私が調べたところでは、2005年4月、平成17年の4月に報告が出ておりまして、そのときの主査が大南委員、それから副主査が宮﨑委員で、教員の免許の総合化について報告が出ております。その折、やはり特別支援学校の教員免許状ではなく、特別支援教育教諭免許状とすべきだという意見も出ていましたけれども、これはさらに検討すべきということで、長期的な課題として検討していくことが適当とうたわれております。既に5年もたっておりまして、これから申し上げるような理由もありまして、ここでは見直すべきだと思います。
 まず1つは、今回、国連の障害者の権利に関する条約に基づいて、インクルーシブな教育制度、あるいは合理的配慮というのが求められており、それは特別支援学校のみならず、通常の幼稚園、小・中学校等においても求められております。特別支援教育の確かな専門性の向上のためには、こういった人材の配置というのが特別支援学校だけではなく、通常の幼・小・中・高にも必要だということがあります。
 それから、もう1点、2007年の4月に学校教育法が改正されまして、第81条の前段におきまして、ここがこの改正により加わったところですけれども、通常の小・中学校、高等学校においても特別支援教育が必要なお子さんに対する特別な教育を行うということが条文にうたわれておりまして、この法律に基づいて、通常の幼稚園、小・中学校、高等学校においても特別支援教育を行うのだとされてきているわけです。
 それから、2002年の文部科学省調査によりますと、全国的な調査の結果ですが、LD、ADHD、高機能自閉症等の発達障害の可能性のある児童生徒が小・中学校に6.3%程度在籍するという推計値が出ておりまして、通常の学級においても支援の必要な児童生徒がいるということが明らかになっています。
 それから、現在の特別支援教育を受けている生徒の数ですが、特別支援教育資料というのが毎年5月1日現在で作成されておりますけれども、それによりますと、2008年5月現在、2年ほど前の数字になりますが、児童生徒の数で見ますと、小・中学部で見ますと、全体の70%ぐらいは小・中学校に在籍している生徒が対象になっている。要するに特別支援学級にいる生徒、あるいは通級による指導を受けている生徒の数のほうが既に多くなっているということです。
 それから、教員の数でいいますと、特別支援学校の幼稚部から高等部の教員の数が全体の60%を占めていますが、それの特別支援学級、あるいは通級による指導の担当の教員が40%になっているということです。
 それから、もう1点大きな点としまして、先ほど河本委員も言われていましたけれども、今、通常の小・中学校や高等学校で求められている特別支援教育は、従来は、そこで行われている教育は特別支援学校の教育に準じた教育という考え方があったようですが、そういう考え方ではもう通用しない時代になっていると思います。2年ほど前に改訂されました学習指導要領ですけれども、準じた教育というときに、例えば小・中学校の教育において、学習指導要領は改訂されましたが、その中で通常の小・中学校においても、ニーズのあるお子さんについては個別の教育支援計画等に準じたものを作成して指導するとなっておりますが、それらの指導の教育課程とか内容については、小・中学校の学習指導要領にうたわれていません。何をひもとくかというと、特別支援学校の学習指導要領を参考にしながら指導するとなっています。
 ところが、例えば発達障害、LDやADHDとか自閉症の場合は、特別支援学校には自閉症とか、発達障害という障害種別がないものですから、それに適した教育課程というのは示されてないわけですね。唯一、今回の学習指導要領の改訂の中でいきますと、自立活動の中に幾つか発達障害を意識したような項目が設定されて、学習指導要領の解説版を見ると、その事例が幾つか出ているのです。ひもといて、ひもといていくと、ようやく通常の学校の中での発達障害に対する指導方法が出てくるという形になっています。もはやそういうことではなくて、通常の小・中学校、特別支援学級、通級による指導、あるいは通常の学級における指導に適したような教員免許状に変更するべきだろうと思っています。この特別支援教育教諭免許状にすることによって、例えば大学におけるカリキュラムにおいても、特別支援学校におけるカリキュラムだけではなく、通級における指導や通常の学級における発達障害等のあるお子さんに対する指導も意識したようなカリキュラムができるだろうと思っておりまして、このことを1点、提案をさせていただきます。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、中澤委員、お願いいたします。

【中澤委員】 中澤です。配付資料に基づいての情報提供と意見を述べさせていただきます。配付資料19を御覧ください。
 前回、合理的配慮についての自由討議がありましたが、そのときに漏れていたなと感じたことがありましたので、資料として提出しました。それは合理的配慮は日々の教育の場で提供するものと、あともう一つ、大変大きいのが、全国で行われる共通試験であるとか、そういったものを実施するときの合理的配慮を整理していくことが必要かと思います。そこで、資料19では、アメリカの例をとりまして、その紹介をさせていただきました。
 基本的に、試験においては、その結果がその合理的配慮によって影響を受けてしまうということを避けなければなりませんので、その合理的配慮というのは、あくまでも試験を受けることのアクセスを容易にしますが、そのテストのパフォーマンスのプラスにならないような配慮が必要とされています。時間が限られていますので1つの、アメリカの場合は各州が合理的配慮の幾つかの標準的なリストを出すことが求められておりまして、アリゾナ州のが、たまたまアルファベット順で最初のほうにありましたので翻訳をして書きましたので、御参考にしていただけたらと思います。
 それから、専門性のことについて、今、山岡委員から出された御意見は、アメリカとかイギリスにおいては既に実行に移されている内容で、やはりそれぞれの国でも分離型の特別な場での特殊教育のトレーニングと、通常学級の中で障害のある子どものニーズに対応したり、配慮したりしていく教育のやり方というのは決して同じではないということが長い年月の中で示されまして、現在、アメリカに関しての大きな教員養成の動向としては、特に幼少時、3歳から8歳とか10歳までの早期教育及び小学部低学年の免許は、多くの州がデュアルサーティフィケートといいまして、特別支援教育と通常教育、両方とらざるを得ない。しかも、その実習というのは通常学級の中で行うことをたくさんやっているということになっています。日本も、そういったことについては検討していく必要があるかと思いました。
 また一方、議論をするときに、専門性の向上において高発生頻度障害。日本の場合、実は高発生頻度障害が通常学級の中であまり特定されないまま中に入れ込まれてしまっているというのが最大の問題かとは思いますが、通常学級に既にいるたくさんの支援を必要としている子どもたちへの高発生頻度障害への配慮と、それから、盲・ろう、重度・重複等の低発生頻度障害の専門性の養成及び維持については、別々な検討が必要なのではないかと考えています。また、イギリスやアメリカにおけるこういった取組が、やはりそれに分かれて進められているということを情報提供させていただきます。必要に応じて、より詳しいものは、また紙面にて提供できたらと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、大久保委員、お願いします。

【大久保委員】 全日本手をつなぐ育成会の大久保です。少し話が戻るところがありますけれども、専門性の確保というところで、福井県教育委員会並びに鹿児島県教育委員会から、その取組の状況をお話しいただきました。積極的に取り組んでいるということで評価できますけれども、大体は取組を行ったときに、その成果をどういうふうに検証していくかということが重要と思います。つまり、これだけ研修を行ったと。そうしたら、その結果として特別支援教育の質、あるいは学級経営という言葉がありましたけれども、そういったところにどのように反映されているのか。そういった検証は、どのように行われているのか、あるいは評価されているのか、この辺が少し気になりました。
 それともう一つは、評価と関連しますけれども、特別支援教育が実際に行われている評価というか、あるいは特別支援学級・学校の評価、こういったものというのは、何か制度、あるいは仕組上、私はよく承知しておりませんが、そのようなものがあるのかどうかということです。自己点検、第三者評価、あるいは苦情解決、これ全部福祉の分野ですけど、福祉の分野では、そのような形での一応評価というか、チェックできる仕組みがあります。実際に成果を上げているかどうかというのは、別としてですが。ですので、その辺のところとの、いわゆる評価というのか、検証、その関係の中で研修をより効果的なもの、効率的なものにできるのかなということを感じています。もしくは、そういった具体的な評価の取組というか、そういったことがあれば教えていただきたいと思います。
 あともう1点、これも意見になるかもしれませんが、特別支援学級校長会の調査結果というか、資料をいただきました。この中でやはり、これはごく当然と言えば当然ですけれども、障害に対する知見を持っているということを校長さんが望んでいるという、これは当然の話だと思いますけれども、いわゆる生徒や保護者の悩みに共感しとか、あるいは生徒、保護者、同僚と適切な関係がつくれることを望んでいるとありました。これもごく当然と言えば当然ですけれども、最も専門性の中で1つ、マネジメントという言葉が先ほどつけ加えられたということがありますけれども、それと専門性の中に最も重要なのはファミリーサポート、これ、福祉でよく使う言葉ですけれども、こういった家族支援みたいなことが非常に大きなポイントになるのかなと。そして、校長の皆さんもこういうことを望んでいるのかなという感じがします。
 ですから、いわゆる家族支援ということを重要な形として位置付けるべきじゃないか。つまり、教育は育ちの中の1つであるということをやっぱり特に強調したいということと、特別支援教育の個別の教育支援計画は、その中身は教育だけでなく、福祉とか、労働とか、さまざまな分野との連携というのが前提になっているはずです。ということになると、さらにその専門性の中に、いわゆるそういった連携ですね。まあ、本来使いたいのは地域との連携というか、そういう言葉を使いたいのですけれども、そういった福祉、こういったところとの連携とか、そういう制度・仕組みについても、やはり一定の基本的な知識は持っておく必要があるのかなと思いました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。特に今、家族支援のことについてお話がありましたが、ヨーロッパ等で教員養成の仕組みの中に、早期支援の考え方と家族支援というのが教員養成の一番最初のスタートのところの重要なカリキュラムになっているという状況を見てまいりましたけれども、重要なご指摘かなと考えました。
 それでは、太田委員、よろしくお願いします。

【太田委員】 品川区立鈴ヶ森小学校の校長の太田です。私からは、まず、先ほどの河本委員が御指摘いただいた特別支援学級の先生方が特別支援学校の免許状取得の件について、少し意見を述べさせていただき、あと、資料13についてのお話をさせていただきたいと思います。
 まず、先ほどからご意見がいろいろ出ているところですが、私も今、小学校の校長になってみて、特別支援学級というものをいろいろ見て、やはりここに特別支援学校の免許状が必ず必要なのかどうかということについては、私は校長として少し疑問を持っているところです。特別支援学校の教員免許状をとるためのいろいろな単位、それから学習する、講習する内容を見たときに、今、かなり軽度のお子さんもいる特別支援学級の担任の先生が、そこまでいろいろな労力や、あるいはある程度お金もかかるような、そしてかなり時間もかかる、免許状をとるだけのことをあえて強く強制しなければいけないかどうかということについては私はやっぱり疑問を持ちます。
 ですから、その点、やはり専門性を担保するために、特別支援学級の教員に何らかの少し、免許状のようなものを課すとしたら、やはりそこの中身をきちんと、ほんとうに直接役立つようなものにして特別支援学級の担任のための免許状とか、あるいは、今かなり多くの教員が自主的に研修をして、例えばいろいろな学会資格のようなものを持っている教員がいます。そうしたものをみなしてあげるとか、あるいは免許状までいかない幾つかの研修をクリアしたことで、それを認めてあげるとか、そういうような形にしてもいいのではないかなと思っています。
 やはり先生方、結構忙しいし、そして、免許状をとるために時間を割くか、あるいは目の前の子どもたちの例えば事例研究をするとか、教材研究をするとか、そういう直接なことのために時間を割くか。そういうことを考えたときに、特別支援学校の免許状を特別支援学級の担任が必ずとらなければいけないとして考えていくかどうかということについては疑問がありますし、それを言うには、少しそこのところをきちんと整えてから、そういう要求をしてあげたいと思っています。それが1番目です。
 それから2番目が、私の資料13ですが、今日の流れを私も読み違えて、もう少し子どもたちが小・中学校に入学したときの合理的な配慮のお話になるのかなと思って資料をつくりましたので、この細かいところについては申し上げません。ただ、私のほうでお願いしたいのは、現在、認定就学者という形で、小・中学校に昔の言い方で言いますと盲・ろう・養護学校、特別支援学校に該当する障害のお子さんが入っている事例が幾つもあると思います。やはり今後、こうしたことを検討していくときに、認定就学者の事例とかデータについても少し提供していただけたらなと思います。
 それから、もう一つは、いろいろな障害のある子どもたちが通常の学級に入ったときの支援について、ちょっと調べておりましたら、独立行政法人の日本学生支援機構から『教職員のための障害学生修学支援ガイド』という立派なものが出ておりまして、これは大きい学生さんの例ですけれども、それぞれの障害種別に、きちんとどのような支援をしたら通常の大学とか高校で学べるかどうかということがきれいにまとめられています。それから、同じように『教員のための研修プログラム』というのも1冊ついておりまして、こうしたものもお互いに共通のベースとして今あるものを使いながら、議論を深めていければいいかなと思ったところです。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。先ほど大久保委員から御質問があったことに関しては、ちょっと飛ばしてしまいましたが、時間の関係でまた後でというふうにしたいと思います。久松委員、お願いいたします。

【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。鹿児島県教育委員会の報告の中に1つ、テーマとして障害のある教職員の受け入れ状態、また環境整備というテーマでお話がありました。これまで、こういうテーマでの議論をするということがなかなか難しいということがありました。こういったテーマが上がるという機会が少なかったと思います。教職員の専門性の向上とこういったテーマについては非常に密接な関係があるという理解の上で、お話していきたいと思います。
 今、共生社会、インクルーシブ社会ということで、それを目指していくときに、通常、私たちは障害のある人、障害のない人が共に生きていくということで社会をつくっていく。地域社会で障害者も参加し、参加を広げていくという、その機会を広げていく必要があると考えています。今ある学校の先生方の中に日常的に障害者と接することが非常に少ないです。共生社会をつくっていくときに、インクルーシブ社会を進めていくときには、日常的に障害のある人と障害のない人が接触していく、交流していくという機会を増やしていくことが非常に大事です。障害のある人と接することをどのように増やしていくかということが今後の教育の担い手である教職員になったときに、少なくとも今の教職員の障害に対する見方、意識が、将来、そういった触れ合いの中で育っていった人たちが教職員になった場合には立場は全く違ってくるだろうと思います。
 それで、今回、本特別委員会に意見を私も出しました。資料20になります。6ページを御覧ください。11番に「障害を持つ教職員等の配置と合理的配慮」というテーマで意見を出させていただきました。障害のある児童生徒のロールモデルであり、かつ学校卒業後の社会生活への道先案内人となるべく、同じ障害のある教員、支援員、職員を特別支援学校、特別支援学級、寄宿舎あるいは障害のある児童生徒が在籍する一般学級のある学校に一定数配置することが必要であるということです。このように意見を出しています。
 今、学校の教職員というのは、障害のある教職員が非常に極めて少ないです。また、大学の教職員の養成の中でも障害のある教職員が非常に少ないです。例えばアメリカですとか、ヨーロッパの場合には、特別支援教育に専門家を紹介されると当事者が専門家として紹介される。専門性を持った学者や障害当事者が多いということです。日本の現状を見ますと、障害のある人は非常に少ないですし、障害のない人が、こういったテーマでずっと論議をしているということが多いということを考えたときに、今の教職員、先ほど向山委員がお話しされたように、大変忙しい教職員の方々が、それだけ自分の研さんを高めていくという時間をつくるということが非常に難しい状況を考えましたときに、もっと身近に障害のある教職員がいるということが非常に大切なことではないかと思っています。ですので、先ほど鹿児島教育委員会の御報告にもありましたが、こういったテーマで出されたこと、このテーマでももっと議論をして、すべての教職員の専門性の向上につながるような問題の整理の仕方を討議していくべきだと思っています。
 次に、現状の問題について提起したいと思います。私もいろいろな教職員のお話を聞いて思うことなんですけれども、例えば障害のある教職員を採用することが必要ではないかというお話をしますけれども、なかなか環境整備ができないのではないかという。具体的な例として、聾学校に勤めているろうの先生が、特に埼玉県の場合には支援員籍という形で地域の学校に通う聞こえない子どもたちをサポートするシステムがありますけれども、そのときに、ろうの先生もサポートしますけれども、その地域の学校で聞こえる先生とコミュニケーションができないという状況です。また、地域の学校に通う親ともコミュニケーションができないこともあるので手話通訳者の配置が必要。しかし、地域の学校で自分の子どもが障害のある場合にロールモデルとなる障害のある先生の話を聞くとことができるということは、親にとっても、将来、自分の子どもが育っていく姿を考えるときに非常に大事なものになります。ですから、障害のある教職員の配置は積極的に広げていくことが必要ですし、今のところ、鹿児島の例もありましたように、秋田県でも特別支援教育の課長として一番に障害のある教職員が採用されたということがあります。
 障害のある子どもがこれから社会参加の幅を広げていくために、どのように支援していけるかという大きなテーマで意見を出されたこと、大変心強く思いましたので、今後もこれについての議論をぜひお願いしたいと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 関連して、石川委員、お願いします。

【石川委員長代理】 石川です。関連で、専門外ですが、あえて事実確認ということで質問させていただきます。
 先ほど尾崎委員から特別支援学校の教員の専門性についての話があって、その中で聾学校の場合、3つ挙げられていましたが、少し気になったのは2つ目です。読話を中心とした口話法と手話となっていますけれども、読話を中心とした口話法は、現状、聾学校で依然として行われているのでしょうか。
 もともと合理的配慮というのは社会モデルという考え方に基づいていて、障害者の問題というのは、障害者が幾ら頑張っても頑張り切れない、社会の側の環境を変えていくことによって問題が解決する、あるいは障害を削減できるということであったわけですが、そういう観点から、口話という方法は、耳の聞こえない人が聞こえる人の側に合わせるための、不十分だけれども、ないよりはましといったような意味合いで、恐縮ですけれども、そういう技術として長年、聾学校の教育の中心にあったと思うのですが、そもそも合理的配慮とか、社会モデルという哲学の根底にある考え方と全然違うのではないかというように思うので、手話を中心とした専門性が強調されるべきなのではないでしょうか。今、久松委員のほうから当事者の重要性、ロールモデルも含めてという話がありましたけれども、そことも関連するかと思いますけれども、これについて現状、聾学校の教育で口話法はいまもって行われているのかどうかを教えていただきたいと思います。

【尾崎委員】 全国特別支援学校長会の尾崎です。聾学校の現状として、あらゆる手段のコミュニケーションについては指導しているといつも聞いていますが、現状、どの程度行われているかというのは、手元に今資料がありませんので、お調べして次回お答えいたします。

【宮﨑委員長】 まだたくさん、いろいろ御意見等があろうかと思うんですが、もう一つ、課題が残っているので、その後のところでまたお願いいたします。
 その他の検討課題として、進路指導、職業教育、就労支援について、有識者からのヒアリングを行うということで前回お話をいたしました。今回、5月にキャリア教育・職業教育の在り方について中央教育審議会が取りまとめをした内容について、中心で取りまとめをいただいた立教大学の渡辺三枝子先生にお越しいただきましたので、渡辺先生から10分ほど。それから、それに続いて、このキャリア教育について、特別支援学校への導入を検討され、具体的な提案をされた北海道伊達高等養護学校の木村宣孝先生より10分ということで、お二方にお話を承ります。どうぞよろしくお願いいたします。

【渡辺立教大学大学院教授】 立教大学の渡辺と申します。全くの素人がここにお邪魔し、今までほんとうに特別支援の抱えている課題と理想と現実とのギャップとか、教員養成とか、そういう身につまされるお話を伺っておりまして、私自身、頭がパンクしそうでして、ここの中でキャリア教育なんていう何か少し的外れなお話をすると、多分皆様も、そんなのわかっていると思っておられ、より重要な課題の議論に進んでいきたいとお思いになるかもしれませんけれども、一言、私の経験の中からお話しさせていただきたいと思います。限られた時間ですので、一応、私は資料11ということで、特別支援教育にかかわってではなく、広くキャリア教育というものについて、今、とても流行しておりまして、マスメディアなんかでも取り上げられており、それが必ずしも正しく理解されていない。その誤解の上に学校教育が成り立ってしまうおそれもないわけではないので、このお時間をいただきまして、キャリア教育の理念と今後の課題について、お話しさせていただきたいと思います。
 今伺っていますと、まさにキャリア教育の理念というのが特別支援の理念と共通し、なおかつ、今、私どもがキャリア教育をやっている中での今後の課題というのが、やっぱり教員の質の向上と教員の意識改革というところにあるものですから、全く2つは別のものではないというように私は理解していますけれども、簡単に、資料に沿ってというよりも、時間もありませんから、ポイントだけお話しさせていただきたいと思います。
 私自身は決して、特別支援教育の専門どころか全くかかわりのない素人です。むしろ、私は障害のあるお子さんとか、若い人たちと接する機会というのは、学校を卒業した後、雇用労働に入っていかれた方々、雇用率の問題とか、その受け入れた企業さんとか、そういう方々を通して、またはそういうところにいらっしゃる障害のある方々に接する機会があったと。そういうことから私自身、個人的にはとても関心を持っている分野で、特に学校教育がどんなに大きな意味を持つかというのは感じている人間です。
 他方、私自身、いろいろな理由でキャリア教育というものにかかわるようになったわけですけれども、キャリア教育を通して、私自身が特別支援学校、特別支援学級に接する機会がこのごろとても増えまして、それを通して感じたことは、まさにキャリア教育の前身と言ったらいいのでしょうか、根っこは特別支援にあったのだと。昔流に言えば、特殊教育と言ったらいいのか、養護教育と言ったらいいのでしょうか、そういうような特別支援学級・学校の中で行われきた自立支援、社会的共生に向かっての学校の努力、これ自身がキャリア教育の前身であり、根っこが同じであると私は理解しています。なぜかというと、キャリア教育そのものが、先ほども少しお話にありましたけれども、社会的な障害も含めて、非常に平均像よりも社会の中で自立していくことが困難な人たちのためにという配慮から生まれてきた思想でして、あるいは運動と言ったらいいかと思います。ですから、そういう意味では非常に近いのが当たり前なのかもしれません。
 でも、これは私の理解している限り、まあ、経験の範囲ですけれども、特別支援学級、特別支援学校で行われてきている自立支援とか、職業教育とか、職場体験とか、そういうものはさらに発展し、進化していかないといけない。特に環境の変化が大きくなっていく中に子どもたちが出ていくとしたらならば、もしかしたら従来の、あるいは今やっていらっしゃる自立支援、職業教育というものをさらに発展せていくために今問われているキャリア教育の理念とか考え方をご理解いただいて、それと統合していただくと、さらに発展するのではないかなと、そういう意味で今日お話しさせていただきたいと思います。
 しかし、そのためにはキャリア教育とは一体何なのかということですが、先ほども向山委員が少し発言されました。学校は忙しくて、英語教育だ、キャリア教育だと言われまして、そのようなことを聞くたびに、いつも頭が痛くなりますけれども、別にキャリアについて特別な教育をやってほしいとか、カリキュラムをつくってほしいと言っているのがキャリア教育ではありません。むしろほんとうに将来、子どもたちが社会の一員として自立していくために必要な能力とか態度を徐々に発達させていく。社会に出る前に、その土台となるものを築いていけるようにしてあげる。そういう子どもたちの自立に向かって必要な能力、態度を育てていくという視点で、今やっている教育活動を見直しましょうということです。だから、見直しということは、我々教員に常に自分たちのやっていることを問い直し、発展させていかないといけないと。
 その1つのとてもいいのは、先ほど河本委員がくださいましたコンセプチュアルとか、それからマネジメント能力とかの4つの能力は、まさに一般教員にも求められる能力で、それを言っているのがキャリア教育です。ですから、キャリア教育を言いかえますと、ほんとうに社会の変化と子どもたちの成育環境がすごく変わってきたことによって生活年齢と発達段階との間にギャップができてしまっている。だから、子どもたちを育てる役割を持っている学校教育としては、このギャップを縮めていかないといけない。
 もちろん社会も働きかけないといけないけれども、子どもたちを育てるという教育の理念を持った活動としては、教育活動そのものが、このギャップを認識して、どう埋めていくのかという努力もしていかないといけないという1つの考え方であり理念です。だから、それぞれの学校で何をするかは、そこに在籍するお子さん、先生方、保護者、それから地域の環境、時代背景、こういうものによって、それぞれの学校で工夫していただく。さらに、もうキャリア教育と言わなくとも、そういうことを実践している学校は、むしろほかの学校のモデルになっていただければいいのですけれども、少し我々教員が社会の変化に目を向けながら。
 と同時に、こういう変化が激しい中で、教育の原点は一体何なのか、教育の役割は何なのか、というのをもう一度見直すと。ですから、特別支援教育というのは、おそらく非常に幅の広い障害を含むわけですから、どの障害のお子さんのことを言っているのか、何によって浮かべるイメージは変わってくると思いますけれども、いずれにしましても、生きにくい社会の中に、まだまだ生きにくい社会の中に子どもたちが生きていくといったときに、我々教員は、まず子どもたちに力をつけることと社会に働きかけていくという2つの大きな役割があるだろう。それを認識して我々教員が今やっている活動を見直しましょうという、簡単に言ってしまえば、それだけのことです。
 それをあえてなぜキャリアと、キャリア教育と言うかというと、学校教育の改変とか、教員の意識改革をしていくというのは、これは昔から言われていることで今さら始まったことではないので、新しい「キャリア」という言葉を使うことによって、その根源を指し示そうとしているわけです。それが、私が第5番目にまとめておきましたキャリア教育を理解するための提言というところで書きました。これは学校教育活動の中でいうと、もしかすると教員の教育方法とか、教授法とかに影響を与えていく、あるいは教員の日々の行動に影響を与えていくものではないかと思いますが、まず、「キャリア」という言葉の意味するものは何かと。これが非常に誤解を与えていて、職業教育と一緒にさせられてしまったり、進路指導の新しい呼び方であったり、エリート教育じゃないかとか、職業教育じゃないかとかと言われてしまいますけれども、キャリア教育の「キャリア」という言葉というのは非常に歴史的に意味のある言葉ですけれども、誤解も招く言葉ですけれども、その言葉に共通する理念というのは、時間的経過の中で「今」という時間をきちんと意味をとらえて、時間的経過、過去と現在と未来の中で今やることは何なのか。今という現実、まさに最も現実的なものに目を向けていったときに、過去の影響を受けながらも、それを克服して未来に備えますけど、未来を計画することではなくて、今をきちんとやっておけば未来が来るという発想ですね。
 それからもう一つは、空間的な広がりを意味する言葉で、今、子どもたちがいるこの足場は、どれだけの空間で広がっているのかということを意識しながら教育ということを行っていく。そのために職場体験とか、キャリア・スタート・ウイークとかといって企業訪問とかということがあるわけですけど、訪問することが目的なのではなくて、それが今いる学校、家庭とどうつながっているか、学校の勉強とどうつながっているかということを認識させながら実践していく、これがキャリアの意味することと思います。
 もう一つは、キャリアというのは非常に個に焦点を当てる、まさに特別支援教育が子どもたちの一人一人の対応ということを考えているのですが、まさにそれは言わずもがなのことかと思います。職業との違いというのは、どちらかというと職業というのは職業が求める能力をつけていくということから始まって教育をしていくのに対して、キャリアというのは働くということに対しての一人一人の体験や価値付けというもののほうに目を向けていって、働くということが自分にとってどういう意味があるのかを認識しながら社会の一員として動いていく。キャリアというのは、実は社会の中の役割の連続でもあると。だから、すべての人が生きている限り、役割があるという前提に立って、子どもたちが自分の役割、他の人の役割というものと共存していくというのが、「キャリア」という言葉の中に含まれている言葉です。
 それを共通してまとめていったときに、学校教育において働くこととかというのは別に雇用労働を意味することでもないです。職業でもない。むしろ子どもにとって働くというのは、発達的に考えれば学ぶことです。生涯学習時代において学ぶ態度と学びへの挑戦と未知へ挑戦していく、学んでいくという姿勢がなかったならば、ほんとうにどんなに優秀な子どもでも生き延びられないと言われているわけで、その逆も言えるわけですから、働くということが発達段階においてどういう意味を持つかということを認識しながら学校教育を見直すと。
 それから、これは先生方に言うまでもなく、学ぶとか発達というのは自然には起こらないからこそ教育が意味を持つという、その当たり前のことをもう一度、我々教員の意識改革と教員の教育の中で考えて、それを実現する道を考えていく。そういう1つの教育運動と御理解いただけたらいいかなと思います。
 短い時間でしたので、ポイントだけお話しさせていただきました。ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは、木村先生、お願いします。

【木村北海道伊達高等養護学校長】 北海道伊達高等養護学校の校長の木村と申します。キャリア教育の取組をしていて、主に知的障害教育のフィールドで取り組んできた経緯もありますので、説明にそういった色彩も濃くなるかと思いますが、御理解いただければ幸いです。
 今、渡辺先生からキャリア教育の本質的な意義ということについてお話しいただいたところですが、この特別支援教育においてもキャリア教育への関心、期待というのは非常に高まってきておりまして、文字どおり、従来から私たちの教育は、すべての子どもの社会参加、自立の促進、それから職業的な自立の促進という観点から、職業教育を重視しながら勤労観・職業観の育成を目指してきましたので、そういう文脈において、今御説明ありましたように、キャリア教育が目指す理念というのは特別支援教育が目指してきた中心理念と非常に重なり合って、この教育全体を一層充実させていく意義を有すると理解できるのではないかと思っています。
 特別支援教育においてキャリア教育が意識されて、体系的な研究ですとか、実践的な取組が行われるようになってから、まだ日が浅いところがありますけれども、今日の取組の状況を踏まえて、また、課題認識というような観点から、今後、力点を置くべき充実方策として7点を挙げてみました。1番は、特別支援学校における小・中・高等部の独自性と学部間の系統性を明確にした教育課程の改善、充実。2番目に、児童生徒の「キャリア発達」の育成を主眼とした進路指導や職業教育の充実。3番目に、障害の状態が重度である児童生徒のキャリア教育の在り方の明確化。4番目に、個別の指導計画、個別の教育支援計画の充実。第5に、中学校特別支援学級と特別支援学校高等部の接続の改善。第6に、小学校、中学校等における交流及び共同学習の充実。第7に、保護者及び福祉、労働等の関係機関と連携した就労・移行支援の拡充といったようなことが今日の状況から挙げられるのではないかと考えています。
 特別支援教育におけるキャリア教育の推進状況の概要ということで、幾つか最近の傾向や、代表的な取組ということを少し触れさせていただきたいと思います。まず、進路状況について、社会参加、障害者の雇用といった制度と非常に大きく密接に関連しているわけですが、特別支援学校高等部卒業生の就職者の割合については、文部科学省の、これは平成20年の特別支援教育資料のデータでありますが、全体としては24.3%になっておりまして、徐々にではありますが、近年、増加傾向にあると。この背景には、障害者雇用施策の強化ですとか、また、特別支援学校がハローワークや、就労・生活支援センターなどの労働・福祉等の関係機関と密接な連携のもと、就労移行支援を展開していますので、そういう成果のあらわれと認識ができるかと思います。
 職業教育の現状について、資料に触れておりませんでしたが、特別支援学校の状況によってカリキュラムについても随分違いがあるかと思いますが、例として知的障害の特別支援学校の場合ですと、学習指導要領上において、今回でなく前回の改訂において、高等部の専門教科に流通サービスという教科が設けられて、今回の改訂では福祉という教科が創設されるなど、職業的な自立の促進に向けての専門教科が整備されてきているという現状があります。今日、企業等の専門家の活用も含めて、比較的長期の産業現場等での実習などを行いつつ職業教育を進めており、非常に力を入れてきているという現状があります。
 また一方で、卒業後の進路として、施設、医療機関等を選択する割合というのは全体では63.2%という非常に高い割合で推移していること。それから、進学者については、障害種別に違いはありますけれども、全体では3.2%、教育訓練機関等を選択する割合についても3.2%というような状況になっています。平成21年度版では数字が若干変わっているかと思いますが、こういう関係機関と連携した就労移行支援に当たっては、今、個別の教育支援計画の活用が非常に重要視されてきておりまして、これらを活用して、生徒の特別支援学校での在学中のみならず、卒業後も継続して連携支援を行っているという学校がほとんどです。
 進路指導につきましては社会生活への移行ということを非常に重視して取り組んできていることから、小学校部段階からの早期からの進路指導の取組が意識されるようになってきています。進路指導の取組については、例えば職場見学や産業現場等での実習、専門教科における実習、学校設定教科の設定、総合的な学習の時間、ホームルーム、自立活動など、非常に幅広く多様な形で教育課程に位置付けられているという現状があります。
 最近生まれ始めてきたキャリア教育の取組として、小学部・中学部・高等部を設置する学校などで、一貫性のあるキャリア教育を推進するための枠組みづくりということが行われるようになってきています。これは資料の後ろに添付しましたが、国立教育政策研究所が作成しました「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み」、もう一つは、これは私の研究で作成したものですが、知的障害のある子どもの場合の小・中・高等部のキャリア発達として重視したい内容を試案として網羅したものであります。考え方は基本的に同じなんですけれども、現在、これらを参考にしながら、各学校における枠組みづくりや、並行して、教育課程の点検、見直しが行われつつあることが1つのトピックとして挙げられます。
 またもう1つ、高等支援学校におけるデュアルシステムの取組ということも、今、非常に注目されるようになってきています。京都市立の高等部のみの総合支援学校での実践がきっかけになっていますが、全国的な注目を集めるようになってきています。これはドイツの職業教育を参考に学校での教育と企業での教育・訓練を並行して行うという、そういうシステムですが、企業での実習で明らかになった生徒の具体的な課題を学校の学習や、家庭生活における支援に反映しやすい、そういう効果が高いこと、また企業にとっても生徒の適性や能力に応じた職種・職域の開発、職場環境の改善といったことに効果が見られているという報告がありまして、複数の県などで検討しているということを聞くところです。
 これまでの特別支援学校等での進路指導や職業教育の取組は、キャリア教育推進上、今後も必要な取組と認識できるところですが、本会の今の論点との関係で幾つか関係ありそうな、今後あるべき姿といいましょうか、期待を4点ほど述べさせていただきたいと思いますが、1つは、すべての子どもに個別的なキャリアプランを作成していくということがとても重要なのではないかと考えています。アメリカの研究などでもキャリアプラン作成の重要性が指摘されていますが、我が国においても、進路指導の実践において、子どもが自分の進路計画を自分でつくっていくというような取組なども随分始まっておりまして、子どものキャリア形成を支援する観点からも個別の教育支援計画の作成がシステム化されておりますので、これらの取組、仕組みというものを一層発展させる形での個別的なキャリアプランの作成が望まれるのではないかと考えています。
 また、こういうキャリアプランの中では、子どもが自分の学ぶ内容についても選択できるような幅といいましょうか、選択履修の在り方なども検討されていくと、より望ましいのではないかとも考えています。このことの意味は、私は、子どもが自分で考える自分のこれからの在り方、生き方、自分の希望、学びたいことというようなことをしっかりと制度として確保していくことによって、周りの大人が、その子どもがその時点で持つ価値観ですね、それをみんなが尊重するんだという姿勢を共有するという点において、すべての子どもの平等性を確保していくことにつながっていくのではないかという、そういう意味合いも持っているように感じています。
 それから、共生社会の実現を目指す観点から、交流及び共同学習の意味というのは子どものキャリア形成にも非常に大きな期待があるところです。その際、子どもがお互いに学び合ったり、気づき合ったり、教え合ったりするというような関係の深まりというのが実現できるようにすることがとても重要でありまして、例えば同学年、学年の近い集団の場合ですと、障害のある子どもたちが支援を受けながら、サポートを受けながら活動したり、フォロワーとして活動しやすいという傾向というのがやはり高いのではないかとも考えられます。この子たちも学びの場においてリーダーシップをとっていく、そういうような配慮というのは大変重要かなと。そういう意味では、例えば学校の枠や学年を超えた共同の学習の機会というのをより幅広く弾力的に設けていくということがとても大事ではないかと考えています。
 それから、障害の重度、または最重度とも言われる子どもたちのキャリア教育の在り方が今日の課題になっていることについて冒頭でも触れましたけれども、障害の重度の子どもたちのキャリアについては「ライフキャリア」の視点から、多様な生活の場における役割の遂行という視点で幅広くとらえて、その役割を果たす子ども本人の意味付けとか、価値付けを支援するというところにキャリア教育の意義があるものと理解することができます。この場合、障害の重い子どもたちのキャリア、またはキャリア発達をとらえるという点においては、必ずしも本人による言語によらなくても、その子の行動によって表現される、例えば要求実現行動ですとか、本人としての選択や価値付けと思われるような行動などを丁寧に読み取ることで推察できるのではないかとも考えています。
 こういう障害の重い子どもたちのキャリアを観察したり、洞察したりする力というのは教師の人間理解のために必要な重要な専門性の1つではないかとも考えます。発達障害がある子どもの理解に今日、フォーカスが強く当たっていますけれども、障害の重度の子どもたちのことを理解するという専門性はキャリア教育の視点から見ると非常に重視すべきものであって、そこによって得られる人間観の幅が広くなっていくのではないかとも思われます。
 最後ですが、知的障害の子どもたちの各教科の特徴を生かしたキャリア教育の推進ということについて1点述べたいと思いますが、現行の知的障害である子どもの各教科の特徴については、小学部から高等部までの内容の系統的な6段階による構成がされていまして、また、子どもの生活に確かに結びつく効果的な指導を行うという観点から、各教科等を合わせて指導できる特例を活用して、個に応じて工夫して指導しやすい構成としている点が特徴として挙げられます。キャリア教育の「学ぶこと」と「働くこと」、「生活すること」の関連付けを図ることの観点からしますと、知的障害の各教科の特徴を生かした教育課程の編成というのはとても有効な枠組みと言えるのではないかと考えます。
 そういう意味から、知的障害である子ども一人一人に応じた、その個別性に応じた目標、内容、方法を設けることを可能とする教育課程が必要であると考えますし、こういう教育課程編成自体が知的障害である子どもにとっては重要な合理的配慮の1つという認識ができるのではないか。でも、今日の中澤委員の資料を見ますと、この場合はモディフィケーションに当たるのかなとも思うところですが、やはり知的障害のある子どもたちには必要な配慮ではないかと思います。
 ただ今述べました事項については、現行の枠組みの中でも実現可能とも思いますが、現在の論点に即して考えますと、やはりすべての子どもが共に学べるようにするインクルーシブな視点による教育課程と、やはり一人一人の個別性に即した教育課程を並列して編成していけるようにすることが必要なのではないかという意味合いで述べさせていただきました。以上です。ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは、時間もかなり詰まっていますが、渡辺先生、木村先生の御発表についての御質問や御意見がありましたら、お願いいたします。
 それでは、中村委員、お願いします。

【中村委員】 若駒ライフサポートから参りました中村です。先ほどの論議の中で1つ言いそびれたものがありますから、それもあわせて申し上げさせていただきます。
 先ほどの専門性の部分で、どうしても特別支援学校と特別支援学級、もしくは地域の通常級における支援という部分の専門性というのが二分化されていたように私は聞き取れましたが、現実には今の特別支援学校の中には高発生率の発達障害を中心とする支援をとても必要とする生徒さんの数が高等部を中心に大変増えています。ですから、私は、特別支援学校においても、この部分の専門性が担保されないというのは、ある意味、危機的状況ではないかなと感じていますので、決して分けることなく、あわせて論議をいただけたらうれしいなと思います。
 今の渡辺先生、木村先生、貴重なお話、ありがとうございました。キャリア教育の部分は、実は前段の専門性の部分にとても深くつながる部分だなと思いながら拝聴させていただきました。その中で1つ、先ほど大久保委員から出ておりました家族支援という視点をあわせて、キャリア教育の中で私は感じたものがあります。私の個人的な思いですので、ずれていたら、ぜひ渡辺先生に修正をお願いしたいのですが、キャリア教育の根本的な部分は、まず家庭の中で、その子どもがきちんと存在し、1人の大事な存在として位置付けられていることから始まると思います。現在の家庭の状況を考えますに、大変残念ながら、そこの部分が保障されないまま成長していっている子どもの数は決して少なくないのではないかなと思います。その保障されない内容にもとても差があって、保護者の中には完全な支援を必要とされるような方もいらっしゃれば、前の委員会の際に私が申し上げたように、保護者の思いと本人のニーズのずれから来る、なかなか納得できない部分のというようなレベルのもの等もありますが、やはりキャリア教育を考えるときに家族支援、特に保護者支援の視点をきちんと組み入れながら、保護者がどうきちんと押さえられていくんだというのはとても大事な部分ではないかなと思います。
 特に支援度が高い家庭についてですが、私は先生方の専門性の中にソーシャルワークという視点がとても大事ではないかと思います。家族支援を大事だと思って先生方が全部自分でやろうとしたら、先生方は確実にパンクしてしまうと思います。いくらやっても切りがないと思いますので、そこを逆に地域の中できちんとつないでいけるソーシャルワークの機能がどこに存在するかという視点を学校もしくは地域の中できちんと押さえられているかどうかというのがとても大きな部分ではないかと思います。子どもの支援を考えていくと、実は高齢者の支援がかかわってきたり、保護者の方の就労の支援がかかわってきたりとか、とても多岐に及ぶと思います。その際にそういう部分の関係の方ともつながれる視点を学校もしくは地域が持っているか、持っていないかで、その子どもにとっての成長というのは大きく変わってくるんではないかと思います。
 私の思いの中での発言ですので、修正等が必要でしたら、ぜひお願いできたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 渡辺先生、何か御意見等ありますか。

【渡辺立教大学大学院教授】 御指摘のとおりです。キャリア教育の話の中では、必ず家族、保護者、それから地域との連携というのは非常に重要な要素になっています。今日はそこまで私は細かく言いませんでしたけど、もちろん家族が子どもの生涯には影響を与えるし、責任もありますから、家族を支援というのですか、家族の理解、それを通して家族を育てるという結果にもなると思いますから、ほんとうに家族との連携を学校がどうとっていくかというのはとても重要です。もう一方で、子どもは親を選べません。そうだとすると、小学校の意味は何かといったら、親の影響を超えるということだと私は思います。ですから、もちろん親を援助することはとても大切なことで否定することはできない、やらなければいけないのですけど、私は中核は子どもを支援することを通して子どもを平等に扱って、家庭の影響を超えて、学校を通して同じものが得られることを通して親を支援していけるというのが、もしかしたら理想かなと。でも、年はどんどんたちますから、もちろん両方、とても必要だと思っています。ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 よろしいでしょうか。

【中村委員】 はい。

【宮﨑委員長】 それでは、杉山委員、お願いします。

【杉山委員】 浜松医科大学の杉山です。私は先ほどからの議論の専門性のところでの専門性とは何かということを考えたときに、将来の予測ができること、今、何が必要かということを将来の予測のもとに立って行うことができる能力というのが専門性と考えていますので、このキャリア教育の問題と全く重なると考えていました。
 その視点から考えますと、むしろ将来、どんなぐあいになるのかという目がないといけないわけです。私、実は特別支援学校の1つの役割というのは、そこにあると考えておりまして、高等部で将来の自立につながる子どもたちを見た上で、だんだんと遡るというか、若いほうに自分の教育の実践を重ねていくということが非常に必要で、それをさらに先ほど宮﨑委員長が言われた幼児教育まで遡らせたいんですね。早期療育にまさる治療法というのはありませんので、そういう視点が必要かと思います。
 それから、1つ意見させていただきますが、木村先生の御提示になられたことは非常に切実な、非常に重視した内容ですが、この一番最後のページを拝見しますと、高発生頻度の高発生発達障害の子で考えた場合には、例えば小学校の低学年、中学年の一番大事な課題は何かと考えたら愛着の形成です。先ほどの御指摘と同じと思います。
 それから、この5ページ目の障害の重度の子どものキャリア教育についてですが、これがキャリア教育というのかどうかわかりませんけれども、一番大事な課題は何かと考えた場合には二次障害の予防です。二次障害が生じた場合には、著しく将来の適応を損ないます。これ、モデルがやはり知的障害のモデルだと思います。一番発生頻度が高い自閉症圏の問題からもう一度見直してほしいと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 木村先生、よろしいですか。

【木村北海道伊達高等養護学校長】 御指摘のことは、今のキャリア教育の推進の中でも話題に上がる点でもありまして、今後の明確化といいましょうか、具体的な方策に結びつけていく必要性の高いものと考えています。発達障害の子どもたちの場合は特に、社会経験のもつ意味が大きく、環境との不適応の状態や適応行動の獲得の状況などが、何より本人の生活の中で行う活動や、役割を果たすことの意味付けに非常に大きな影響を及ぼすということが指摘されています。今日は知的障害のある子どもたちの取組を中心にお話をしてきたところですけれども、それぞれの子どもの状態に即して考えるべき部分と、共通の姿勢として、保護者も含めて子どもに向き合う我々の在り方、支援する側の役割の果たし方として考えるべき部分と、二軸で検討していくことが必要なのではないかと思います。御指摘ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 それでは、品川委員、お願いします。

【品川委員】 品川裕香です。先ほどのことをあわせて述べさせていただいます。先ほど中澤委員から、高発生頻度の障害と低発生頻度の障害は分けて考えるという考え方もあるのではないかということ、また、山岡委員からは特別支援教育免許状の発言がございました。新しくそういうものが必要なのではないかということをでしたが、私は両方とも必要だと考えています。
 今、教育現場の取材から見えることは、資料18に書いてありますので、そちらを御覧いただけますでしょうか。高発生発達障害も含めて、例えば読み書きだけに困難のある子どもたちがどれぐらいいるかということについて、先日講演の機会がありましたので計算してみましたら、例えば読み書きだけに困難のあるお子さんは4.5%、47万人おります。就労不安定者の苦手意識の中には読むのが苦手だという人が28%ぐらいいますし、書くのが苦手、それから計算が苦手、やっぱりそういった苦手意識が最終的には社会に出ていくときにリスクの一つになっていくという現実がある以上、こういった課題や傾向を持つ、人数の多い子どもたちを確実にすくい上げて、指導につなげていく必要があると痛感しています。
 同時に、先ほど中村委員がおっしゃっていたように、実は特別支援学校の中にも知的障害とLDを併せ有している、知的障害と自閉症を併せ有している、視覚障害とLDを併せ有している、聴覚障害とLDを併せ有しているなど、重複障害の子どもたちは少なくありません。ですので、特別支援教育を専門にされる方々は従来の盲教育、聾教育などだけでは不十分で、確実に発達障害の知識、発達的な視点を持つことが必要です。
 さらに、繰り返し申し上げていますように、発達障害は連続性や重複性があるというこということはすでにわかっていることですから、教育に携わるすべての人、これは資料18の2ページ目に書いていることですが、教育現場の先生だけではなくて、保育士さんや幼稚園の先生も、管理職や事務の方まで教育に携わるすべての人が、人間には認知に特性があるとか、学習スタイルに特性があるとか、見え方、聞こえ方、記憶、情報処理、注意、衝動性等に多様性があるんだという知識と指導方法を学ぶことを必須要件にして教員免状を出していく必要があります。あるいは、すでに免許を持っている人に対してはそういった知識を有さない限り、指導は続けられないなど何らかのルールを決めないと、インクルーシブ教育などということは絵に描いた餅になるのではないでしょうか。
 先ほど、渡辺先生にいただきましたキャリア教育の理念と課題はわかりやすくて、とても勉強になり、ほんとうにうれしく思いました。その上で敢えて付け加えさせていただきたいのは、例えばキャリア教育で教育者に求められることですが、ここに幾つかありますけれども、これらを推進していくためには、やはり、発達的な視点が必須なんですね。そう言った特性を踏まえた上でアプローチ方法を考え、実践していかなければ効果があがりにくい子は、落ちこぼれる子は必ず出てきます。
 例えば、「言葉で話しかけ、言葉で説明するという基礎を教職員が実践する」とありますが、自閉傾向のある子どもの中にはわかっていなくても、「はい、わかりました」と立派な返事をする子がよくいます。こういう場合、かかわる先生に知識や理解がなければ、こういう子たちの指導がはいったものと処理され、のちに彼らが失敗したときには「指導したときはわかったと言っていた、だから本人の問題」と意識的ではないまま、すり替えられてしまったりします。あるいは、診断がついていなくても、聴覚の情報処理が苦手だったり、視覚の処理が苦手な子がいるということを踏まえて指導していかなければ、やはり落ちこぼす子どもたちがでてきます。ですので、効果的なキャリア教育を実践していく上でも、発達的な視点は必須な知識なのです。それらはまさに教育者の基礎知識であり、インクルーシブ教育を実質的に実施していくのであれば必須なのです。それに加えて、特別支援学校の先生方には、さらなるエビデンスベースの高度な専門性を持っていただく必要があります。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、石川委員、お願いします。

【石川委員長代理】 キャリア教育に関連すると思われるので、1点紹介させてください。サマースクールの実践ですけれども、「科学でジャンプ」というプロジェクト、サマースクールがあります。これは統合教育に通っている中・高の視覚障害の生徒たち、及び盲学校に通っている生徒たち、両方対象としていて、夏、サマーキャンプのような形で募集をして、特に理科系の科学とか数学とか、ふだんなかなか、どこの環境にいても置き去りにされがちであるような、そういうものを勉強する体験をして、なおかつ、その講師は現役の先輩の視覚障害の企業で働いている技術者であったりとか、あるいは支援技術の開発企業のようなところに勤めている人であったりとか、あるいは学校の先生であったりとか、そして、それを支えているのが盲学校の先生たちや大学の視覚障害教育にかかわっている人たちとか、あるいはITでのアクセシビリティといったような分野で仕事をされている、さまざまな方たちが支えるという形で取り組まれています。
 これは現状、JSTの補助金があり、さまざまな寄附により行われている活動ですけれども、今後継続的にこういったことを行っていくための財政的な基盤をどうしていくかという大きな課題も抱えています。大変すぐれた実践だと思いますし、インクルーシブ教育と特別支援学校のコラボレーションという意味においてもそうだし、ロールモデル、あるいはピアグループの中に参加する体験がインクルーシブ教育の中で勉強していても体験できるとか、さまざまな多元的なメリットがあるのではないかと考えています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。先ほど大久保委員から出ました教育実践の検証の問題について、尾崎委員から一言だけお話をしたいということでしたので、お願いします。

【尾崎委員】 全国特別支援学校長会の尾崎です。先ほど大久保委員からありましたように、学校評価も含めて、研修の評価も含めて、特別支援学校をどう評価していくかということについては、今現在、全国的には学校運営連絡協議会等を行っているという現状があります。この時間で話をするのが非常に厳しいものですから、学校評価、特別支援教育そのものの評価の在り方をどうしたらいいかということを、この議題にしていただければありがたいかなというのが1点です。
 それからもう1点、お願いの中にファミリーサポートということが出ましたが、ここは教育の場の検討会で家族支援も当然検討されるべきだろうとは思いますが、実は特別支援学校では、当然、個別の教育支援計画を個別の指導計画とは別に作成して、今、実践しているわけです。地域とのかかわりもあるわけですが、これをどう発展させていくのかということも、このインクルーシブ教育システムを考える上では非常に重要なことなのかなという思いがありますので、それだけでも議題にしていただけるのかなということです。いかがでしょうか。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。今のことに関しては、また事務局と相談して、今後の日程の調整の中で対応ができたら考えたいということで、よろしいでしょうか。

【尾崎委員】 はい。

【宮﨑委員長】 今のところで、さまざまな課題が出されていると思いますので、このことを踏まえて、今後、共通認識がどんな形でできていくのか、この会議としてどんな結論を出していくかというのは、10月下旬から具体的な自由討議の中で、そのあたりは進めていかなければいけないと考えております。
 なお、本日の討議時間、十分にとれなかったことをお許しいただきたいし、それから、まだ話し足りないということがたくさんあろうかと思いますので、本日の審議事項について、さらに御意見がある場合には、後日、事務局まで文章で提出をしていただければということでお許しを願いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、今後の日程について、事務局から説明をお願いします。

【助川補佐】 特別支援教育課の助川です。次回につきましてですが、10月下旬に自由討議等をしていただくことを予定しています。なお、正式な日程につきましては、追って御連絡申し上げます。
 改めまして、事務連絡が、1点あります。委員の先生方には前回の議事録の案を配付しています。こちらにつきましては、お忙しいところ、まことに恐縮ですけれども、修正等があります場合には、1週間後の10月12日の火曜日までに私ども事務局まで送付いただきますよう、よろしくお願いいたします。以上です。

【宮﨑委員長】 何か進行上で御質問ありますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の会議はこれまでといたします。御出席をくださいました委員の皆様方、また、御報告をいただきました埼玉県、福井県、鹿児島県の各教育委員会の皆様方、さらに渡辺先生、木村先生には改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 それでは、閉会といたします。どうも長時間、ありがとうございました。

 

──了──

 

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)