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特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成22年8月11日(水曜日)15時00分~18時00分

2.場所

旧文部省庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 就学相談・就学先決定の在り方について自治体からのヒアリング
  2. 自由討議
  3. その他

4.議事録

【宮﨑委員長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第2回中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会を始めさせていただきます。
 本日は大変暑い中、そして御多忙の中、御出席をいただきましてありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、大南委員、木舩委員が御欠席、そのほかの委員は御出席でございます。 本日の議題に入る前に、事務局から前回御欠席された委員の御紹介と、今回、事務局に異動があったようですので、併せて御紹介をお願いいたします。
 なお、委員会の運営についてのお願いがございます。本委員会においては発言をされる場合には必ず挙手をした上で、お名前を述べてから発言いただきますようにお願いいたします。また、通訳の方のために、発言の際にはゆっくり発言をしていただきますようにお願い申し上げます。
 それでは、事務局からお願いいたします。 

【齋藤補佐】 私から、前回御欠席された委員の皆様の御紹介をさせていただきます。
 まず、青山委員でいらっしゃいます。

【青山委員】 初めまして、青山でございます。よろしくお願いします。

【齋藤補佐】 北住委員でいらっしゃいます。

【北住委員】 北住です。よろしくお願いします。

【齋藤補佐】 山岡委員でいらっしゃいます。

【山岡委員】 山岡でございます。よろしくお願いいたします。

【齋藤補佐】 続きまして、事務局でも異動がありましたので紹介させていただきます。
 山中初等中等教育局長でございます。

【山中初等中等教育局長】 山中でございます。よろしくお願いいたします。

【齋藤補佐】 中岡初等中等教育企画課長でございます。

【中岡初等中等教育企画課長】 中岡でございます。よろしくお願いいたします。

【齋藤補佐】 千原特別支援教育課長でございます。

【千原特別支援教育課長】 千原でございます。よろしくお願い申し上げます。

【齋藤補佐】 助川特別支援教育課課長補佐でございます。

【助川補佐】 助川でございます。よろしくお願いいたします。

【齋藤補佐】 以上となります。

【宮﨑委員長】 本日、高井文部科学大臣政務官に御出席をいただいておりますので、ここで一言御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【高井文部科学大臣政務官】 本日は猛暑の中、特別支援教育の在り方に関する特別委員会第2回ということで、皆様御多用の中、地方自治体の関係者、委員の皆様はじめ、御出席いただいきまして、本当にありがとうございます。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
 特に本日の議題の「就学相談・就学先決定の在り方について」に関しましては、かねてから議論がなされているところであり、「インクルーシブ教育システムの構築」という理念の実現という観点から、本当に重要な課題であると思っています。御出席いただいております皆様の中には、地方自治体の関係者の方もいらっしゃり、とりわけ現場で直接携わられているところですが、その各地域の実情に応じたそれぞれの取組事例について、御指導なり、御発表なりいただきたいと思っています。それを踏まえた上で、委員の皆様におかれては、この障害者権利条約に示された子どもの能力を最大限度まで発達させるという観点から、障害のある子どもにとって最適最善の制度改革がなされるように活発な御議論をいただきたいと思っています。
 何かとこの間、裁判であったり、いろいろなことがありますが、やはり本当にお互いにとってベストな在り方を、丁寧に議論を行う中で見つけていきたいと思いますので、どうぞ、現場の御意見、実直な御意見をお寄せいただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは、議事に入ります。本日は、「就学相談・就学先決定の在り方について」をテーマといたしまして、まず、事務局からの説明、2番目に自治体からのヒアリング、そして関連して、髙橋委員、中澤委員からの発表、その後、自由討議に入りたいと思います。なお、途中、16時30分前後を目途として、若干の休憩時間を予定しています。それでは、まず、事務局から説明をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 配布資料は、議事次第のとおり、資料1から資料11まで準備しています。このほか、資料番号をつけていませんが、大久保委員、品川委員から提出された資料があります。不足等がありましたら、随時お申しつけください。
 それでは、資料について説明いたします。
 まずは資料2を御覧ください。こちらは前回お示しした論点(例)ですが、今回議論いただくのは、2.就学相談・就学先決定の在り方等になります。今回のヒアリングでは、各自治体で実施されている就学先決定の現状等について情報提供をいただくこととなっています。今回、合理的配慮についても併せて情報提供いただくこととしていますが、これについては、論点(例)3として、次回、集中的に御議論いただくこととしていますので、今回は論点(例)2について、御議論を賜りたいと考えています。
 続きまして、資料3を御覧ください。こちらは「障害のある児童生徒の就学先決定について」という資料ですが、まず1ページ目に、現在の就学先の決定の流れを示しています。学齢簿が編成され、就学時健康診断で就学基準に該当する場合には就学指導委員会等において、保護者の意見、教育学、医学、心理学等の観点から専門家の意見を聞いた上で、市町村等の教育委員会が就学先を決定することとなっています。市町村の教育委員会が小・中学校において適切な教育が受けることができる特別な事情があると認める者を除き、特別支援学校において教育することとなっています。
 2ページ目を御覧ください。これまでの就学先決定の手続の見直し等について整理したものです。平成14年に次の3点について改正をしております。第1に、医学や科学技術の進歩を踏まえて、特別支援学校に就学すべき障害の程度を見直しました。詳細は、3ページに示しているとおりです。第2に、就学基準に該当する場合でも、市町村等の教育委員会が小・中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認められる者については、小・中学校に就学する認定就学制度を導入しました。第3に、就学先の決定に際しては、専門的知識を有する者の意見の聴取を義務付けました。また、平成19年には、就学先の決定に際し、保護者の意見聴取を義務付けるように学校教育法の施行令を改正するなど、制度改善を進めてきているところです。
 さらに、前回も紹介いたしましたが、文部科学省の「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議」の昨年2月の審議の中間取りまとめにおいて、就学先の決定について提言をいただいております。具体的には、4ページを御覧ください。上の図が先ほど説明いたしました現行の図ですが、下の図に示されるように、個別の教育支援計画の作成・活用を通じて、障害の程度が就学基準に該当するか否かに加え、障害の状態から必要とされる教育ニーズ、保護者の意見、専門家の意見、学校・地域の状況等を市町村等の教育委員会が総合的に判断して、本人の教育的ニーズに最も適切に対応できる学校を就学先として決定するという提言をいただいています。
 参考ですけれども、7ページは特別支援学校に就学する幼児児童生徒の障害の種類・程度について、関係法令を整理したものです。また、8ページには、先ほどの認定就学制度の現状についてお示ししております。平成21年度は3万7,480人が就学指導委員会等による調査・審議の対象となっており、うち9,035人が就学基準に該当したとして、特別支援学校に就学した者が6,087人で約67%、小学校に就学した者が2,927人で約32%となっています。
 続きまして、資料4を御覧ください。本年6月にまとめられました「障がい者制度改革推進会議」の第一次意見の教育関係部分を抜粋したものです。前回紹介しましたので、今回は詳細に紹介しませんけれども、1ページ目では障害者制度改革の基本的考え方が示されており、その上で、3ページ目において、教育の推進会議側の問題認識といたしまして、「地域における就学と合理的配慮の確保」という項目があります。3ページ真ん中やや下に3点、問題意識として実施すべきものが挙げられています。以上で説明を終わらせていただきます。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは、これから自治体からのヒアリングを行いたいと思います。まず、大阪府教育委員会よりお願いいたします。それでは、大阪府教育委員会教育振興室支援教育課、中島首席指導主事からお願いいたします。

【大阪府教育委員会中島首席指導主事】 大阪府教育委員会の中島です。よろしくお願いいたします。大阪府では、すべての幼児児童生徒が「ともに学び、ともに育つ」教育を基本として、支援教育を推進しております。ちなみに、大阪府では、特別支援教育ではなくて、「支援教育」としています。私どもの課も支援教育課となっています。
 府内には多くの支援学級在籍の生徒がいるわけですけれども、平成21年度は支援学校の小・中学部には3,819人の児童生徒が在籍しています。支援学校の小・中学部の児童生徒は大変増加しており、10年間で1.4倍となっています。支援学級には、そのさらに3.7倍の児童生徒が在籍しており、小学校で1万440人、中学校で3,619人、合計で1万4,059人となっています。
 支援学級は府内のほとんどの小・中学校に設置されており、未設置のところはほんの数校程度です。そのような状況がありまして、特に支援学級に在籍の児童生徒の中には、重度であったり、重複障害の児童生徒が大変増加しています。重度の記載につきましては明確に規定はありませんが、府内では学校教育法施行令第22条の3に該当することで重度と捉えて記載しています。2.の○3では「重度・重複障がい」と重度と重複を分けて記載していますけれども、「重複障がい」の児童生徒数の中に「重度障がい」の児童生徒数も含んでいますので、少し不適切な表現であったかなとも思っています。なお、「重複障がい」について申し上げますと、小・中学校の合計で7,807人という数字になっています。
 もう一つ、支援学級の状況ですが、医療的ケアの必要な児童生徒で、特に看護師対応が必要である児童生徒が85名在籍しています。23市町64校です。
 児童生徒の就学についてですが、府内の各市町村の教育委員会は、学校教育法施行令第18条の2に基づきまして、名称は様々ですが、「就学支援委員会」等を設置して、本人及び保護者の意向を尊重した取組の充実を図っています。特に障害の程度だけで判断をせず、専門的知識を有する方の意見や保護者の意向等を踏まえて、市町村の教育委員会が総合的に判断し決定することとしています。
 就学先の決定につきまして、保護者の意向と齟齬が生じた場合ですが、本人にとってより適切な就学になるという観点により、各市町村の教育委員会は合意が得られるまで話し合いを継続しているという状況です。その結果、本人や保護者の意に沿わない形で就学をしたというケースは無いと、私どもは把握・認識しています。
 就学後の継続した相談機能についてですが、就学後も相談の継続に努めています。その結果、平成21年度における年度途中での小・中学校と府立支援学校間の学籍異動は1件のみでした。なお、この事例は府立の聴覚支援学校から地域の小学校へ転学した事例です。
 次に、合理的配慮ですが、通常の学級に限らず、医療的ケアの必要な児童生徒が在籍する小・中学校に看護師を配置した市町村に対しては、府から補助を行うという事業を実施しています。対象となるのは、先ほど申し上げましたとおり、今年度は85名の児童です。この中には1人、通常の学級に在籍している児童がおりますが、あとは支援学級籍の子どもとなります。
 それから「○4聴覚障がい、視覚障がい等のある児童が通常の小・中学校に在籍した場合の配慮」ですが、この場合、視覚支援学校や聴覚支援学校との連携、センター的機能の活用が必要であると考えています。先ほど申し上げた転学の事例においても、聴覚支援について、地域の小学校が、センター校等にはなっていない小学校でしたので、元の聴覚支援学校の先生に毎週来ていただき、小学校と連携しながら当該児童の支援に努めた結果、現在も元気に通っているという状況です。
 それから、通常の学級に在籍する児童生徒ということでは明確に数を出すことが非常に難しくて、数的には把握はできていないのですけれども、1つ、事例といたしまして、拡大教科書の使用ですが、採択している支援学級の児童生徒が72名おりますが、それに対しまして、通常学級で拡大教科書使用の子どもが22名います。このことからも、通常の学級にさまざまな支援を要する児童生徒が在籍していると把握しています。
 事例1ですけれども、この市は府の中心部に位置しており、大変丁寧な就学相談を行っていまして、これは先ほど申し上げた聴覚支援の必要な児童が支援学校から地域の小学校に転学した、その市です。この市では就学した後にも継続した相談体制を充実しており、年間3回の追跡調査等を実施しています。その結果、就学の後も相談に乗っていただけるということで、保護者からもいろいろな意見を聞いているところです。
 事例2ですけれども、こちらの市は福祉部と連携しまして、教育委員会で幼稚園や保育所についても所管しています。その結果、就学支援委員会は設けられていますけれども、そこへ上がってくるまでにさまざまな支援の場、お母さん方を集めて遊びを指導する場や、学校を窓口とするという形で相談が図られていますので、実際に就学支援委員会に事例として上がってきている案件はゼロから1件程度と聞いているところです。2つの市の事例を紹介させていただきました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。続きまして、大阪市教育委員会より5分で発表をお願いいたします。大阪市教育委員会指導部特別支援教育担当課、島田課長、お願いいたします。

【大阪市教育委員会島田課長】 大阪市教育委員会の島田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、本市の就学に関する基本的な考え方について説明申し上げます。本市では、昭和53年に大阪市就学指導委員会から大阪市の当時の養護教育における就学指導について意見具申を受けており、その内容は次の4点です。1つ、就学の決定に際しては、盲・聾・養護学校、小・中学校、養護学級、通常学級のいずれかといった固定的な捉え方をせず、障害の状況、教育内容、教育条件を十分に考慮する。2つ、障害のある子どもの将来を見通し、実態に即し総合的・弾力的に措置し、教育諸条件を改善する。3つ、就学指導は専門家の診断・判定等に基づき、保護者の意見を十分尊重しながら指導すること。教育に当たっては、生活実態やニーズ、発達段階に即した教育課程のもとに健常児との交流を図り、地域社会と遊離しないよう留意する。4つ、全市校園ですべての教員が障害のある子どもの理解を深め、積極的に教育に取り組むこと。このように約30年前から以上の内容を基本的な考え方として就学指導を進めてまいりました。
 それでは、資料6をもとに、障害のある子どもの就学の流れについて説明いたします。ポイントとしましては、上段3点にまとめていますが、本市では小学校がすべての就学相談の窓口となり、本人・保護者の意向を十分に尊重した相談に努め、幼稚園、保育所等と平素より連携しながら、障害の状況等を踏まえた早期からの就学相談を実施しています。
 また、小学校への就学を希望する場合、就学時健康診断や精密検査を行い、医療、福祉等関係機関の意見を参考に学びの場を決定しています。
 なお、特別支援学校への就学を希望する場合も、小学校がまず相談を受けて、特別支援学校へ繋ぎ、その上で就学指導委員会の判断結果を踏まえ、小学校と保護者が就学先について最終確認を行い、教育委員会が学校指定を行います。
 それでは、実際にどう進められているか、具体的な事例を通して説明いたします。重度知的障害で自閉症の新就学児につきまして、保護者が地域の小学校か、知的障害特別支援学校かで迷っていたケースです。対応の実際ですが、まず、次年度就学予定児につきましては、幼稚園と小学校が連携し、毎年ケース会議を開いて実態把握に努めています。その中で、今回のケースについては早期に対応することが必要と確認され、早速、5月の段階で幼稚園は保護者に小学校への相談を勧めました。幼稚園の担任、管理職が付き添って、本人・保護者とともに小学校で教育相談を行いました。小学校では、管理職、特別支援教育コーディネーターを中心に相談に当たり、保護者からは、子どもが教室で座って授業を受けられるか、子どもにとってわからない授業を受けることにならないかなどの思いが伝えられました。幼稚園からは、園での子どもの実態や支援体制について伝えられました。小学校からは、同様のケースで以前に入学した児童の様子や周りの児童との係わり方が豊かになったことなどを具体に紹介し、同年齢の子どもとの係わりが本人の社会性を育むことなどを伝えました。さらに、小学校の特別支援学級では個別指導や通常の学級との交流学習が行われること、自閉症の指導に関しては知的障害特別支援学校からも地域支援が得られること、そして、特別支援学校に就学した場合でも両校で交流学習に取り組む用意があることなども伝えました。秋には就学時健康診断で校医から精密検査の受診を勧められ、発達検査等を受けまして、学校生活における配慮や学習時の指導支援について、さらに相談を深めました。また、保護者は、この間、小学校の管理職とともに特別支援学校の見学も行い、指導方針等について説明を受け、その上で最終的に小学校の特別支援学級に入級することを選択されました。小学校では、本児以外に肢体不自由等の複数の障害のある児童も入学するため、教育委員会は小学校長からの要望を踏まえ、特別支援学級の設置や必要な人的配置等の条件整備を整えました。
 このように就学先の決定については、小学校が本人・保護者の意向を十分に尊重した相談に努め、小学校、特別支援学校それぞれのメリットについて十分伝え、医療機関や関係機関からの情報も得ながら、本人・保護者との共通理解を図っていくことが重要であると考えています。また、教育委員会も必要に応じて個々のケースに入るなど、学校、保護者、教育委員会の三者で連携をとり、就学相談を進めますとともに、必要な条件整備や校内体制の支援に努めています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。高井文部科学大臣政務官が所用のため、ここで御退出されます。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。ただいま、大阪府教育委員会と大阪市教育委員会から発表いただきました。質問等がございましたら、お受けしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。清原委員、お願いいたします。

【清原委員】 三鷹市長の清原です。本日は貴重な御報告ありがとうございました。1点ずつ質問させていただきます。
 まず、大阪府教育委員会の中島様に質問させていただきます。具体的な事例として、大阪府教育委員会と大阪市教育委員会の連携の中から把握されている有効な就学相談の例を紹介いただいたのですが、就学相談の際には、各市が、各市の実情に応じて取組をしていると思います。就学相談の開始時期について、特に留意をされていることがありましたら、教えてください。三鷹市では、小学校入学前の年度より以前に取組を始めていますので、就学時期について、府内の動向などでお気づきの点がありましたら教えていただければと思います。
 それから、大阪市教育委員会の島田様に質問させていただきますが、大阪市教育委員会の場合、小学校が第一義的な就学相談の窓口になっているとのことでしたが、三鷹市の場合には、幼稚園、保育園等から市の保健部門や福祉部門に最初に相談があり、そこから小学校等との連携の中で就学相談が開始されるということが少なくないものですから、教育委員会の中でも小学校が第一義的な窓口になるメリットを教えていただければと思います。私どもの場合には、幼稚園、保育園から保健センターですとか、障害児のセンター機能を持つ施設に相談があり、そういう関係を通して教育委員会や小学校との連携を始めるケースがより一般的なものですから、まず小学校が窓口になることの意義、そしてその効果ということについて教えていただければと思います。以上、よろしくお願いいたします。

【宮﨑委員長】 それでは、よろしくお願いいたします。

【大阪府教育委員会中島首席指導主事】 大阪府教育委員会の中島です。就学相談につきましては、御発言いただいたとおり、可能な限り早い時期からと申し上げています。その際に、幼稚園や保育所では、どうしても保育士さんや幼稚園の先生方は障害名を特定するなど、そういうことに気持ちが行きがちになりますが、そうではなくて、目の前の子どもが困っていること、あるいは保護者の方がいろいろ困っていることを受けとめて、きちんと支援に努めることが最も大事です。そういう中で、保護者や子どもの困っていることなどを把握して支援をしようという流れで市町村には申しているところです。早期からの支援が課題だと我々も認識しておりまして、8月17日には、まさにそういったことをテーマにした大きなフォーラムを府で開催することを予定しています。先ほどのB市は、非常に早い時期から相談の機会が得られた結果、就学支援の委員会にはあまり事例として挙がってこなくなったということだと把握しているところです。以上です。

【大阪市教育委員会島田課長】 大阪市教育委員会の島田です。小学校が窓口になるメリットですけれども、本市では、小学校を中心に校下の保育所、それから幼稚園と日常的に連携しておりまして、来年就学予定の児童のみならず、2年後、3年後に就学予定の子どもの状況までお互いに情報を交換し合って実態把握に努めている状況ですので、小学校を窓口にすることのほうが、より一層きめ細かく子どもなり保護者の、障害の状態からニーズまでつかめるということがあります。本市の広報の中で就学相談の窓口は小学校と案内をさせていただいており、長くこのシステムで行っていますので、円滑に進められていると把握しています。以上です。

【清原委員】 ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 ほかにありますか。どうぞ。

【向山委員】 全国連合小学校長会の向山です。どうもありがとうございました。大阪府教育委員会に1点お聞きしたいのですが、2ページの3「○1就学相談体制や就学先決定の流れ」の5つ目から6つ目の丸において、「十分な話し合い」「本人のニーズに合った教育環境の整備などに努めている」とあり、最後に「結果として、保護者との合意が得られないまま、就学先決定した事例はないと認識している」という報告があります。保護者の側から見ると合意が得られないままの就学先決定した事例はないということですが、府下の市町村の教育委員会や、あるいは管下の学校から見て、納得していない、合意していないという、そういう逆の側から見たケースはないのでしょうか。

【大阪府教育委員会中島首席指導主事】 大阪府教育委員会の中島です。それも把握はしておりません。今の、保護者との合意が得られないまま就学先を決定した事例はないという報告は、市町村からヒアリングを行った結果でして、当然、市町村の教育委員会が形としては決定をして就学先決定を進めていますが、その場合に保護者からももちろん、学校からも意に反した就学先決定はないと報告を受けています。

【宮﨑委員長】 向山委員、よろしいですか。

【向山委員】 はい。ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 それでは、齋藤委員、お願いします。

【齋藤委員】 足立区教育委員会教育長の齋藤と申します。先ほど、重度障害の子どもが通常の学校の特別支援学級に入ったときに、介助者や看護師を配置しているという発表がありました。私どももそのようなことは最終的には可能と思ってはいますが、専門性を持って訓練をするというところに、どうしても躊躇してしまいます。そのあたりも含めて、特別支援学校との関係、それから専門性の担保、このあたりをどう考えているのかを教えていただければと思います。

【宮﨑委員長】 お願いいたします。

【大阪府教育委員会中島首席指導主事】 大阪府教育委員会の中島です。そのあたりについては、発言いただいたように、特別支援学校、大阪府では支援学校と呼んでいますが、連携が非常に重要だと考えています。大阪府では地域支援整備事業という事業がありまして、府立の支援学校の先生方がリーディングスタッフという形で市町村に巡回相談等、地域の支援に出て行くときに、非常勤講師を配置するという事業を行っていまして、積極的に支援学校の先生を中心として、地域での支援体制というものをつくるように現在進めているところです。
 先ほどの事例でいいますと、例えば聴覚支援学校から転学してきた子どもの場合には、聴覚支援学校の先生が、だんだん間隔はあけるんですけれども、最初の頃は毎日来ていただいて支援を進めた事例があります。また、今年においては、全盲の児童が市の複数の小学校に4名在籍していますけれども、全盲の児童を小学校1年生に受け入れられた小学校では、視覚の支援学校から点字の指導なども含めまして連携をしながら、この子どもの支援に努めているという事例があります。ですから、専門性を高めるということも非常に重要で課題だと思っていますけれども、一方で、支援学校の先生と適切に連携していくことが重要な課題と考えています。

【宮﨑委員長】 よろしいでしょうか。山岡委員、お願いします。

【山岡委員】 大阪府教育委員会にお聞きしたいのですが、大阪府は支援学級の在籍数が非常に多いように聞いています。それから、大阪府の全児童生徒数はどのぐらいでしょうか。70万人ぐらいはいますでしょうか。

【大阪府教育委員会中島首席指導主事】 政令市も含んだ数では、小・中学校で48万2,178名です。

【山岡委員】 そうすると、支援学級に在籍している児童生徒が2%程度いることとなりますが、相当多い数ですね。大阪府の場合は、交流や共同学習が以前から非常に多いという特徴を持っており、在籍が特別支援学級であっても、通常の学級にいることの方が多い場合もあると聞いていますので、就学指導もこのような形態を前提にして行われているのではないかと思っています。その辺のところがどんな感じなのか、説明いただけないでしょうか。

【大阪府教育委員会中島首席指導主事】 交流及び共同学習の状況ですが、一日中、支援学級で全部の授業を受けたり、ほかの特別活動も支援学級で過ごしたりする児童生徒は非常にまれで、ほとんどいないと考えています。このため、例えば国語と算数の時間は支援学級で学ぶけれども、社会や理科は通常の学級で学ぶなど、児童生徒のニーズ、状況等に応じて、支援教育を進めています。交流及び共同学習という点では、各学校でかなり進めていただいていると認識しています。

【山岡委員】 この支援学級の在籍数が非常に多いということは、支援学級在籍となると、通常であればほとんどの時間を基本的には支援学級で過ごすという制度ですけれども、大阪府の場合は、基本的には通常の学級にいるという支援学級籍の生徒が結構多くいるというような認識でよいのでしょうか。

【大阪府教育委員会中島首席指導主事】 それはさまざまです。

【山岡委員】 その辺が割とフレキシブルに出来ているということが、この在籍数の多さに表れているのではないかと思っているのですけど。

【大阪府教育委員会中島首席指導主事】 そのような側面もあるかもしれませんが、児童生徒の状況はさまざまです。例えば障害の状況によっては、体育を一緒に受けるのは無理だというように、個々の子どものニーズや保護者のニーズなども含めまして、判断しています。しかし、基本的には交流及び共同学習を進めていくということを非常に重要視して支援教育を進めているところです。

【山岡委員】 ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。それでは、河本委員、お願いいたします。

【河本委員】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本と申します。大阪市教育委員会の方に質問したいのですけれども、先ほど、窓口を各地域の小学校に置くという話がありました。その点で、各学校の校長先生方が、親御さんの願いや考えを的確に把握するだけの力量といいますか、校長先生方が持っている特別支援教育に関する様々な知識、ノウハウ、あるいは障害自体に対しての識見などということに関して、大阪市の各学校の校長にどのような形で、例えば研修制度を設けているなど、各学校の校長先生たちの力量を高める、レベルアップを図る取組を行っているようであれば教えていただきたいと思います。

【大阪市教育委員会島田課長】 大阪市教育委員会の島田です。ただいまの質問ですが、教育センター所管ではありますけれども、研修制度ということで管理職を対象に、就学相談の進め方や発達障害も含めた障害の理解に対する対応の仕方など、そういった研修を、少なくとも年間に3回は実施しています。3回というのは、年度当初、就学児の情報が集まる夏前の7月、そして9月以降となります。また、教育委員会が校長に対してヒアリングを実施してまいりますけれども、その際にも、個別に、対応について担当と校長とでやりとりをさせていただく。その3回を主な研修の場として活用しています。これは校長のみならず、教頭も対象となっています。

【宮﨑委員長】 まだまだ質問等はあると思いますが、報告をいただいた方々に最後まで残っていただいて、後ほどまた質問や協議に参加していただければ思います。
 次に、長野県教育委員会より10分で発表をお願いいたします。発表いただけるのは、長野県教育委員会特別支援教育課、岸田指導係長です。どうぞよろしくお願いいたします。

【長野県教育委員会岸田指導係長】 長野県教育委員会の岸田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。長野県は人口215万人、うち義務教育段階の児童生徒数は約18万7,000人です。また、現在、県立の特別支援学校が18校ございまして、2,400人余りの児童生徒が学んでいます。
 まず、長野県の就学相談に係わる概況について申し上げます。資料7を御覧ください。1ページですが、長野県は資料のとおり、市町村教育委員会が77あります。また、就学相談委員会の業務を委託している町村が1割以上あります。委託をしている町村はいずれも山間地の小規模町村であるため、就学相談件数自体が少ないこと、また、単独で医療や専門機関等から専門家を要請して就学相談委員会を組織することが困難であること等が理由として挙げられます。
 委員会の委員構成は、特別支援学校のコーディネーター、特別支援学級担任等教員がほぼ半分を占めており、人事異動等により、委員会の運営が影響を受けることも見られます。
 以下1ページから3ページまで概況を記載していますが、これからお話しする長野県の3つの特徴ある取組と重なりますので、先に進めさせていただきます。
 長野県における就学相談に係る特徴的な取組を3点、これから挙げさせていただきます。4ページからを御覧ください。特に3点目の追跡調査を中心に説明させていただきます。まず1つ目ですが、特別支援教育の地域化の推進に係る取組です。長野県では、平成16年の養護学校地域化推進協議会において、「ノーマライゼーションの理念に基づき、障害のある者もない者も地域で豊かに学べる教育環境づくりを進める」という地域化のねらいを定め、モデル研究を進めています。現在、特別支援学校の分教室を10教室設置しています。
 地域化の成果として、高等部の分教室については、比較的障害の軽い生徒を対象にした作業学習や教科学習を設定することで、進路の選択肢を広げることができています。また、受け入れた農業高校は、農業高校独自の教育機能を生かし、交流及び共同学習を推進することができました。さらに、小・中・高等部共通の成果は、通学の利便性が向上したことだけでなく、日常的に設置校の児童生徒と交流ができることにより、お互いの理解が深まったことにあります。ただ、その一方で、分教室では集団としての一定の規模を継続的に確保することが難しいこと、また、保護者の皆さんは、単に通学の利便性を求めるのみでなく、専門性の高い支援を望んでおられることも明らかになってきています。このような地域化の動きを受けて、来年度は長野県初の市立特別支援学校を長野市近郊の須坂市に設置することが決定されています。市町村が主体となり、特別支援学校を設置しようとする今回の試みは、地域化を進めてきた長野県の成果であると考えています。
 続いて、6ページを御覧ください。2つ目が、地域に根差した就学相談体制づくりを目指し、教育と福祉が連携した早期からの相談支援体制の充実へ向けての取組です。文部科学省管轄の学校教育課と、厚労省管轄の母子保健、児童福祉の業務を含む支援体制の一元化を図ることで一貫した支援を行うことを目指しています。例として挙げました長野県駒ヶ根市では、乳幼児健診から相談後の療育システムに繋がる支援体制の構築を目指しています。このような組織づくりを試みたことで、妊娠初期から青少年期までの一貫した施策の実現を図ることが可能となりつつあります。
 駒ヶ根市のような5歳児健診に取り組む市町村も、平成21年度には本県の中で8市町村となりました。集団生活が始まる時期に5歳児健診を行うことで、早期からの支援が可能となってきています。また、個別の支援手帳の活用や特別支援学校のセンター的機能を活用した教育相談等にも取り組んでいます。
 最後に、7ページからの「就学時の判断と異なる教育措置の追跡調査」についてです。長野県では、毎年就学相談の状況調査を市町村に行っています。県全体の就学相談の件数は年々増加しており、平成16年度は1,513件であったものが、平成21年度には2,144件に増加しています。また、就学時に判断と異なる教育措置となった児童生徒については、平成16年度には245件、16.2%となっていましたが、平成21年度には198件、9.2%でした。異なる教育措置の割合は近年減少傾向にあります。
 なお、判断と異なる就学をされた198件の主な理由は、複数の理由を回答していらっしゃるものを合わせると、保護者の希望によるものが84%に上ります。
 本県では、このように異なる教育措置となった児童生徒について追跡調査を行っています。これは就学時に出された判断が実際の就学と異なった児童について、中学校卒業時まで追跡を行うものです。この調査のねらいは、異なる教育措置となった児童生徒の就学について、その後の経過を調査することにより、現在の教育環境が適切であるかを確認し、就学相談が就学時の判断で終了するものではなく、継続して行われるべきものであることを市町村に示し、フォローアップの体制づくりを促すことにあります。どちらに就学されてからも、保護者は本当にこの学校で良かったのかなと常に迷われることと思います。そのときにサポートできるシステムこそが大切であると考えます。
 平成13年度に異なる措置で入学した85名を9年間追跡した調査結果について、そのページの2に示しています。この調査からは以下のようなことが示唆されています。4点申し上げます。修学年限が進むにつれて、就学時に出された判断に戻られる傾向が見られる。2点目として、最終的にほぼ9割の子どもが就学時の判断に戻られます。3つ目として、判断が変わる節目が小学校4年生、中学校1年生にあること。4年生については、中学年からの節目であり、中学校については、学習環境が小学校から大きく変化するため、それまでの学校での育ちや適応力から、より適切な学習環境を考慮して、再判断を行う市町村の就学相談委員会が多いこと。それから4つ目ですが、また一方、逆に、判断と同じ就学をされても、実際に就学した後に就学変更を希望される児童生徒や保護者もおられます。児童生徒の発達段階に沿って、より専門的な教育支援を常に考慮し、対応できる支援体制が必要であると考えます。
 最後に、調査を通じて見えてきた今後の課題ですが、まず、就学相談に係る市町村への県の支援の在り方です。市町村教育委員会は、それぞれの独自性、自主性を発揮し、子どもに即し地域に即し、一貫した理念で就学相談を進めることを創意工夫しながら取り組んでいただいています。このような市町村の取組を県としてどうやって支えていくかということ。2点目として、市町村就学相談委員会の専門性の担保であります。3点目として、継続した就学相談の支援体制づくりに向けての連携です。県内には、先ほど申し上げた母子健康保健、児童福祉、学校教育を進める機能が一体となって支援を推進するため、組織改編を行って取り組んでいる自治体か幾つかあります。今後このような取組を県下に広めて、実践を共有していくことが必要と考えます。課題を3点申し上げました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは、次に、千葉県教育委員会より10分間で発表をお願いして、その後に質疑としたいと思います。千葉県教育委員会特別支援教育課、中川室長と千葉県立東金特別支援学校、千葉校長、お願いいたします。

【千葉県教育委員会中川室長】 千葉県教育委員会の中川です。よろしくお願いいたします。
 本県におきましては、現在54市町村がありますが、うち53市町村において就学指導委員会を設置し、就学先の決定につきましては、年数回にわたる就学指導委員会を招集しまして、審議結果をもとに、それぞれ該当幼児の就学先を総合的に判断しているということです。そして、1市については、平成20年4月より就学指導委員会を廃止しまして、医師やその他の専門家で構成するチームが年間を通じて就学相談を実施し、保護者の意向に基づいて就学先を決定すると、このようなシステムで動いています。
 実際に保護者との共通理解醸成のための方策等について、どのように進めているかということで説明申し上げます。市町村教育委員会のほとんどでは、関係学校への学校見学や体験学習を保護者に勧め、特別支援教育に関する情報提供を行いながら就学先を検討しています。特に小学校への就学直前の時期だけではなくて、早期からの就学相談にも応じています。この早期からの相談については、教育委員会、福祉担当部局、特別支援学校が連携して相談体制を整備し、福祉担当部局と教育委員会が連携して支援ファイル等を作成いたしまして、就学への移行期ということで、これを実際に活用していこうという動きが生まれてきています。これについては、この後、県内のA市の事例について説明申し上げます。
 2点目に、保護者の意向と齟齬がある場合の調整手法です。これについては、基本的に市町村教育委員会では、やはり個別のケースで何度も保護者と話し合うようにしたり、子どもが在籍、あるいは通園している保育所、幼稚園、あるいは小・中学校等の教員等の協力を得たりしながら理解を求めているという実態です。そして、最終的には就学段階になりますけれども、保護者の意見を尊重しながら、また、あるときは理解を得ながら進めるわけですが、保護者の意向に沿う方向になることが多いというのが実態です。
 今、少し触れました実際に就学移行期における「支援ファイル・シート」の活用ということで事例を1点報告いたします。私どものほうで今回54市町村に聞き取りを行いましたが、全体の37%に当たる20の市で「支援ファイル・シート」、それぞれの市町村で形式等は異なりますけれども、独自に作成しているということで、今年度はさらに10市町で検討しているということです。
 資料8のA市は、「就学支援シート」ということで、今年度、就学対象児について、実際に活用した事例です。市内の465名の小学校に就学予定の全児童を対象に実施しました。小学校での入学説明会で全員に配付し、保護者が記入後、市教委で保育園、あるいは幼稚園から回収すると。そういう具体的な手続で実施されました。この全児童というのは、障害のある・なしに係わらず、すべての就学を迎える子どもが対象ということです。資料の8ページ以降に書式がありますが、保護者ができるだけ簡便にチェックできるように、子どもの良いところ、好きなこと、基本的生活習慣等々、親御さんが簡便に判断してチェックできる、そういった書式で作成されています。
 次に、判断結果と実際の就学先の関係について触れさせていただきます。これは市町村教育委員会がある程度受けとめているという前提ですけれども、大きく分けて4点ほどの回答がありました。1つは、保護者が特別支援学級や特別支援学校の制度について十分に理解されていないと思われたケース。2つ目は、保護者が特別支援学級や特別支援学校の実情を見て、これらの学級や学校への就学を望んでいないと思われたケース。3点目は、保護者自身は子どもの障害の状態や程度を把握されているわけですが、むしろ親族の中でなかなか理解が得られず、結果として特別支援学級や特別支援学校への就学を望んでいないと思われるケース。そして4点目に、子どもの障害の状態や程度についての把握が、保護者と教育委員会で異なる場合、結果的に特別支援学級や特別支援学校への就学を望んでいないと思われるケース。大きく分けてこのようなケースがあるだろうということです。
 ただ、就学後のフォローアップについては、各市町村教育委員会は、それぞれ就学後もできるだけ一人一人の対象児童についてのフォローアップに努めているという現状があります。中でも、市町村教育委員会が得た情報について、就学指導委員会で報告した市町村は、全体の半数近くあります。
 時間の都合によりまとめますが、今事例で挙げました支援シート等もツールとしてどう精度を上げて、関係者、関係機関が共通情報として活用していくかというのは、まだ途についたばかりです。これから本県の各市町村教育委員会でも、より精度の上がる形で使っていけるようにしていく必要があるものと思います。
 最後になりますが、本県は「障害がある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」を策定、実施しています。これについては、この後、千葉県立東金特別支援学校の千葉校長より策定過程等について報告申し上げます。

【千葉県立東金特別支援学校千葉校長】 千葉県立東金特別支援学校、千葉と申します。よろしくお願いします。
 唐突に条例という話が出たようで、なぜかという疑問を持たれた委員もいらっしゃるかもしれませんが、千葉県では全国に先駆けて、障害者の教育だけではなく、さまざまな分野の差別等を無くすための条例づくりということに取り組んできた県です。その中で教育に関する分野で、特に就学に係る部分が条例づくりの中では大きな話題になっておりましたので、そこに絞って経過を説明させていただきたいと思います。
 最初に、資料8の14ページからが私の発表の資料になりますが、申し訳ありません、17ページの資料2について訂正をお願いします。「H19年10月に成立した条例」とタイトルを入れておりますが、これは「H18年10月」の誤りです。申し訳ございませんが、訂正をお願いいたします。
 それでは、経過を説明いたします。千葉県において平成18年10月に制定され、平成19年7月から施行されています「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」の制定の経緯について、特に教育の分野に関する議論の概要を紹介させていただきます。
 条例制定までの経過ですが、この条例の制定は、平成16年7月に第三次千葉県障害者計画が策定されまして、その中で掲げられた新たな地域福祉像「誰もが、ありのままにその人らしく、地域で暮らす」ことの実現のため、千葉県独自の条例の制定を検討することが必要ということが盛り込まれたことに始まっています。
 その経過についてですが、大きく分けますと、3つの節目となるかと思います。1つ目が差別に当たると思われる事例を広く県民から募集して、まず、その実態を把握するという動きから始まっています。この中で、全体としては769件、後には800件を超す事例が県民の皆さんから寄せられていますが、その中で教育の分野における事例というのは213件ありました。一番多いのは、学校における教員の、障害のある子どもへの対応の仕方が非常に差別的ではないかという訴えがかなり多くありましたが、そのほかには保護者の意見を踏まえないで就学先が決められたといった訴え、そういったものが多く出されたのが差別の事例でした。
 そして、2つ目は、その差別の事例の分析、あるいはその中から千葉県で必要な条例の素案づくりのために研究会が組織されまして、これには教育関係者、企業関係者、自営業、医療関係者など29名の公募の委員が約1年間議論をして素案づくりに取り組んだという経過があります。
 3つ目の大きな柱となりますが、これは県議会等での審議が行われていますが、大雑把に申し上げますと、2月の県議会に提案をされましたが、内容をもう一度検討すべきと指摘され、一旦継続審議となり、その後、6月に内容の修正が必要ということで、一旦撤回されて、さらに9月の議会に再提案をされたという経過の中で策定されたものです。
 制定過程での議論についてですが、資料の15ページから16ページに議論の経過を記載していますので、後ほどお読みいただければと思いますが、大きな柱としては、「統合教育」、つまり、分けないで、すべての子どもたちが同じ場で教育できるようにということを盛り込むべきではないかという意見と、一方では、「一人一人の障害やニーズに応じた教育」が必要で、そのようなものを適切に位置付けることが必要ではないかという意見、あるいは財政上の負担の問題、現行の学校教育制度、国の制度との関係といったことからの意見など、非常に多様な形での議論が行われました。
 また、県議会等、市町村教育委員会の中からの意見・議論としては、障害がある人もない人も支え合いながら共に豊かに暮らせる社会の建設を目指すことには賛成、これについてはどなたも反対する方がいなかった状況です。一方では、その社会を実現する方法について、それぞれに、さまざまな立場からの議論が行われました。
 その結果、条例の案についてですが、先ほど申し上げました17ページに、2月に出されて継続審議の結果、一旦撤回された条例案の中での教育に関する部分、それから平成18年10月に成立した条例の中での教育に関する部分を載せてあります。この中で、成立した条例の教育に関するところのロに、就学に関する規定が盛り込まれていまして、この解釈、運用につきましては、県の示したものを、後ろのほうの資料に掲載していますので、後ほど御覧いただければと思います。
 時間が参りましたので、私のほうからの説明はこれで終わりにさせていただきます。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。時間の制約があって意を尽くせないと思いますので、また質問等でお答えいただければと思います。
 それでは、長野県教育委員会、千葉県教育委員会の発表について、質問がありましたらお願いいたします。
 向山委員、お願いします。

【向山委員】 全国連合小学校長会の向山です。どうもありがとうございました。長野県教育委員会、千葉県教育委員会、1点ずつ教えてください。長野県教育委員会の資料の7ページで、就学した後の措置変更率について4年生が45.6%、中学校1年生が75.5%とありますが、8ページでは最終的にほぼ9割の児童生徒が就学時の判断に戻ったとなっています。この変更が、どのような変更なのかを教えてください。例えば、1番目、通常の学級に入ったけれども、特別支援学級や特別支援学校に変更した。2番目、特別支援学級や特別支援学校に入ったけれども、通常の学級に行った。3番目、その他、などが想定されます。
 それから、もう一つは千葉県教育委員会にお聞きしたいのですが、資料8の2ページの上から5つの目の丸の最後のところで、いろいろな話し合いを進めていった、幾つかの市町村の教育委員会からは「保護者の意見を尊重しながら、また、あるときは理解を得ながら進められるが、最終的には保護者の意向に沿う方向になることが多い」とあります。ここでの文意について教えてください。つまり、教育委員会、就学指導委員会としてはこういうことを提案したと、しかし、その提案がなかなか受け入れられなくて、最終的に保護者のニーズに沿うことになってしまうと、そのようなことを担当者としてはいろいろな思いの中で書いたのか。その辺を聞かせてください。

【宮﨑委員長】 それでは、お願いいたします。

【長野県教育委員会岸田指導係長】 長野県教育委員会の岸田です。措置変更になるパターンですが、一番多いのが、特別支援学級の判断で通常の学級に在籍していた子どもが特別支援学級へ変わられる。その次に通級による指導が適切との判断を受けて、通常の学級に在籍していた子どもが通級による指導の学級へ変更されるというパターン。3つ目が、特別支援学校判断で小学校に在籍していた子どもが特別支援学校へ変更になるというパターンです。個々の事情によって、一概には言えないですが、特に特別支援学校へ小学校から動かれる、変更される方については、中学校1年段階で異動されるケースが多いと思います。以上です。

【千葉県教育委員会中川室長】 千葉県教育委員会の中川です。お尋ねのところですが、私どもの取りまとめの中で、市町村教育委員会の担当者の意見ということが前提ですけれども、結果的には、保護者の意見を最大限尊重して就学先を決定しているということです。

【宮﨑委員長】 よろしいでしょうか。

【向山委員】 はい。

【宮﨑委員長】 ほかにありますか。それでは、品川委員、お願いします。

【品川委員】 教育ジャーナリストの品川です。どうぞよろしくお願いします。御報告ありがとうございました。長野県教育委員会に質問があります。インクルーシブ教育を実質的に行い、すべての子どもの教育権を保障するためには、とにかく受け入れるというのではうまくいくとは思えません。インクルーシブ教育という以上、単なる場の共有ではないわけですから、受け入れる側の教育と、受け入れられる側の教育内容の担保といいますか、専門性の担保が必要だと考えています。措置変更が最終的には9割という御報告でしたけれども、この数字だけを拝見しても、私にはよくわかりませんのでお伺いしたいのですが、措置変更の主な理由は何なのでしょうか。受け入れられたとしてもその子のニーズに応じた教育がなければ変更するのは当然と考えます。そういった変更理由に対して、例えば、教育委員会側はどのような指導を学校側になさったのかなさっていないのか。あるいは、先ほど「連携」とおっしゃっておられました。私自身、長野県はよく取材しておりますのである程度の実態は把握しているつもりですが、受け入れる段階での「連携」、つまり担任や学年主任、学年団、学校長らとの「連携」、あるいはそれぞれの専門性の担保についてはどのようなことをなさっておられるのか、教えていただけませんしょうか。宜しくお願いいたします。

【長野県教育委員会岸田指導係長】 長野県教育委員会の岸田です。措置変更をされていく主な理由ですが、子どもの現在置かれている学習環境での育ちが一番大きいと思います。それを一番身近で見ている学校の校内就学相談委員会で判断をして、その時々に最も適切であると考える教育を考えていくことが一番の元だと思います。そして、それを保護者、また本人にお伝えして、今後の進路を考えていくということだと思います。
 それから、2番目の専門性の担保についてですが、校内、あるいは管理職に対する就学相談に係る専門性というのは、長野県教育委員会で義務付けられている校長・教頭の新任研修では特別支援教育、就学相談に係る内容については悉皆研修となっています。県でさまざまな研修会、協議会等を設けて、管理職にも参加を促しています。以上です。

【品川委員】 おっしゃることは大変よくわかるのですが、インクルーシブと申します以上、受け入れられた先の担任の先生の専門性などはどのように担保されているのでしょうか。と申しますのも、担任の先生の専門性がないままに、ただ生徒を受け入れるということであれば、当然ながら、学習環境として望ましくないことが年齢に応じて顕著になってくると思われます。

【長野県教育委員会岸田指導係長】 長野県教育委員会の岸田です。委員の御指摘のとおりです。そのために、例えば障害の重い子どもを通常の学級で受け入れる場合、校内では担任だけでは対応が難しいこともあると思います。そのようなときには、市町村教育委員会からの支援加配、また、校内に特別支援学級等があれば、指導内容、指導方法についての助言を受けながら指導を検討していきます。個別の指導計画等の作成に当たっては、担任が主体となるのはもちろんですが、校内の委員会等で十分議論を重ねて教育対応を考えていく方法をとっています。以上です。

【宮﨑委員長】 よろしいでしょうか。それでは、清原委員、お願いします。

【清原委員】 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。本日は御報告ありがとうございました。千葉県の方に質問させていただきます。資料8の2ページの就学移行期における「支援ファイル・シート」等についての市町村の取組について紹介いただきました。就学相談というのは、何よりも児童生徒本人の可能性を最大限に発見するというところ、そして適切な対応をするというところに趣旨がありますが、併せて保護者の心情をどれだけ共感的に理解できるかということも重要ですし、保護者に教育に関する情報を適切に提供しつつ、判断を共にしていくというプロセスが大切になります。三鷹市でも就学支援シートというものを活用しているのですが、この支援ファイル・シート、各論になってしまうかもしれないですが、就学相談の趣旨や、とりわけ適切な就学支援プラス就学後のフォローアップのために、この支援ファイル・シートに各市町村が取り組んでいることの意義と課題といいますか、そこから見えてくる就学相談の実効性を上げるためのその他の手法の可能性などについて、お気づきの点がありましたら、もう少し詳しく教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【千葉県教育委員会中川室長】 千葉県教育委員会の中川です。
 今、委員から御指摘のあった支援ファイル、あるいはシートの作成・活用ですが、まず、この事例について若干補足させていただきます。今日、事例で挙げましたA市は県内の銚子市の事例ですが、今回、なぜ銚子市の事例を挙げたかといいますと、資料にありますように、市内在住の就学を迎える全児童を対象にしたという点に特長があります。つまり、障害のある・なしにかかわらず、保護者にお渡しして、まず子どもについてお気付きのところを書いてくださいということを行ったということで、これは概略報告を受けておりますが、概ね保護者の皆さんからは好評であったようです。
 問題は、御指摘のとおり、就学段階で受け取ったファイルあるいはシートをどう活用していくかということと思います。この辺については、まず入学した子どもについては、それぞれの学校で保護者と新担任、あるいは学校がきちんと相対して話をして、その子どもの学校生活、学習について、随時活用していくという確認を、まず4月段階で行ったと聞いています。
 2点目に、県内の20市で作成しているということで申し上げましたが、御指摘のように支援のツールとして、例えば就学前の早い段階で、保健師や、マザーズホームなどの様々なそういうところに通っている子どもであれば、早いうちに情報をキャッチできる。それを就学の段階で情報をどう繋いでいくか。学校に上がったときには教育支援計画ということに名称はなるわけですけれども、実態として、それをツールとしてどう引き継いで、今度はより広がる、福祉や地域の社会資源、例えば放課後活動にその子が行くのであれば、どのようにその機関の方たちに理解してもらうか。県内のいろいろな情報を市町村段階で聞いておりますが、今いわゆる地域レベルの連携協議会がようやく稼働してきまして、従来の縦割り型から一人の子どもについてもできるだけ情報を共有していこうという流れになってきています。ただ、情報の共有については当然プライバシーの問題もありますので、やはり保護者の意向等確認しながら進めているということで、これからは精度を高めて、どう活用していくかということが課題になるものと思います。

【清原委員】 極めてプライバシーにかかわる個人情報ですので、三鷹市でも個人情報保護委員会に報告をして取り組んでいますが、本当に意義ある機関連携のための基本的なシートになると思いますし、この点については、手法の1つですけれども、適切な就学相談を進めていく上で、地域を超えてこのシートの有効性と連携・協働のために果たす役割について議論ができたら良いと思いました。ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 それでは、佐竹委員、お願いします。

【佐竹委員】 全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会の佐竹と申します。千葉県教育委員会の方と長野県教育委員会の方、1つずつお伺いしたいのですが、千葉県で条例が制定され、「共に地域で学ぶ」というところがなされてきた結果、特別支援学校、特別支援学級の関わり方がどのように変わったのか教えていただきたいと思います。また、通常の学校、学級において、その条例制定後、生徒の異動なり、支援の仕方がどのように変わったのか教えていただきたい。
 もう一つ、長野県教育委員会ですが、資料7の8ページの「今後の課題」に「市町村が求める支援はより具体的なところ(人材、費用)」とありますが、そのことは、今後の議論にも、どこでも出てくる問題かと思いますので、何か今後の課題に対して方策なり、例えば人材におきましては教職員の養成、育成というところが時間のかかる問題と思いますので、何か見通しや方策がありましたら教えていただきたいと思います。

【宮﨑委員長】 それでは、お願いします。

【千葉県教育委員会中川室長】 千葉県教育委員会の中川です。1点目ですが、条例ができてどう変わったかという点ですが、まず、千葉県教育委員会が、市町村教育委員会側から、例えば就学決定について上がってくるケースにつきまして、直接その条例との齟齬がどうかということは、話題としてはあまり直接的に上がってまいりません。と申しますのは、それは市町村教育委員会段階で、先ほど報告しましたように、一人一人の子どもについては、保護者と十分相対してお話をして就学決定をして、最終的に、特別支援学校へ就学する場合などは県で決定するわけですけれども、実際に市町村教育委員会の担当者会議等で話題が及ぶことがあるのですが、やはり条例の趣旨も尊重して、市の就学担当者が一番直接保護者と相対するものですから、十分な説明を尽くして保護者の理解を得る、このことが一番大きなところかと思います。

【長野県教育委員会岸田指導係長】 長野県教育委員会の岸田です。今、委員に御指摘いただいたところは非常に苦しいところですが、人材については、個々の市町村に県のほうからというのは大変難しい状況です。ただ、今年、長野県では、発達障害支援専門員ということで各県域における支援体制を構築するための人員を15名配置してあります。各圏域が自分たちで専門性の高い、相互にサポートし合えるような人材のリストアップをしたり、あるいは情報交換をするための地域の連携協議会の立ち上げに向けて、個々の支援というよりは、圏域の体制づくりのための人材を県として配置しているということがあります。これもずっとというわけではありませんが、なるべく時間を区切って早く体制を構築することで、地域が自分たちで作り上げていってくれるような体制に結びつくといいなという、そのきっかけづくりのための支援員を配置しています。以上です。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。それでは、石川委員、お願いします。

【石川委員長代理】 石川です。御報告ありがとうございました。長野県の岸田係長に質問させていただきます。判断と異なる教育措置の事例について追跡調査されていらっしゃいますけれども、多くの場合、変更となっているということですが、こういう条件が整っていれば、変更しなくても済んだであろうというケースは、その中でどの程度あるのか、感触だけでも結構ですが、教えていただけないでしょうか。
 例えば、教員へのサポートや学校へのサポートなどのさまざまなサポートですね、そういったものがあったら変更しなくても済んだのではないかという事例、言い換えると、変更はされているけれども、もっと良い選択があると気付いて、希望を持って変更されているケースと、現状に失望されて、やむなく変更されているケース、これも感触になると思いますけれども、教えていただけないでしょうか。

【長野県教育委員会岸田指導係長】 長野県教育委員会の岸田です。感触ということで私見の部分も入ってしまうかもしれませんが、やはり一番の理由は、より専門性のある教育支援を受けたいという保護者の願いではないかなと思います。しかし、現状、専門性の高い教育を受けられない、あるいは設備面で十分な配慮等が行き届かなくて変更になっているケースというのは確かにあるのではないかなと思います。
 ただ、そういうマイナス的な考え方だけではなくて、例えば聴覚に障害をお持ちの方のケース等では、通常の学級へ、インテグレーションで入られた子どもも聾学校で定期的に集まって、聴能やコミュニケーションのスキルの学習をするほかに、聴覚障害の方たちがずっと長年培ってこられた文化があり、そういうものを同じ障害の子どもたち同士、保護者同士が触れ合うことで自分たちの在り方に自信を持っていくということもありますので、すべてが専門性とか教育環境だけではなく、お望みになって、ある程度の年齢を迎えたところで変更されていくこともあるのではないかなと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 次に、岩手県教育委員会より10分で発表をお願いいたします。岩手県教育委員会学校教育室、鈴木特別支援教育担当課長、お願いいたします。

【岩手県教育委員会鈴木課長】 岩手県教育委員会の鈴木です。よろしくお願いいたします。まず資料の中身に沿って説明申し上げたいと思います。
 それでは、お手元の資料9の1ページを御覧いただきたいと思います。本県の特別支援教育の現在取り組んでいる内容ですが、平成21年12月に「いわて特別支援教育推進プラン」を策定し、平成24年度までの3年間に重点的に取り組む施策を示し、実施を始めています。このプランの策定に当たりましては、在り方を検討していただく検討会議を設けまして、さらに県民のパブリックコメントを経まして、答申を受けた内容に沿って定めたものです。その理念は、『共に学び 共に育つ教育』としており、目指す姿としては、身近な地域において、一人一人の教育的ニーズに応じた教育、それから一人一人の子どもが学校生活において生き生きと自己実現を図ることができる教育を目指しています。そのポイントとしては、早期からの継続した一貫性のある支援体制をつくるための取組であり、資料に記載しております○1から○10までを具体的な項目としています。
 同じく1ページの就学指導の現状を御覧ください。市町村の就学指導体制ですが、34市町村すべてで単独設置となっています。主な委員の構成は、教育関係者、この中には特別支援学校の校長等も入っていますけれども、それが大体6割。それから医療関係者1割。そのほか市町村の保健福祉担当職員、あるいは相談機関職員等が入っている例が多く見られています。
 保護者との共通理解醸成のための方策といたしましては、市町村教育委員会の就学指導担当者が本人や保護者の意向を聴取しながら相談を進めている例が多く、実際に特別支援学校や特別支援学級を見てもらう機会や相談できる機会を積極的につくる取組も行われています。
 なお、保護者との齟齬が大きいケースも時々ありまして、その場合に所管する教育事務所や教育委員会の担当課が相談に応じる場合もあります。
 それでは、資料の2ページに移っていただきたいと思います。判断結果と実際の就学先との関係につきまして、平成21年度の状況についてお話しさせていただきます。小学校1年生、いわゆる新就学児童につきましてですけれども、特別支援学校への就学が適当とされた児童のうち15名、16.5%に当たりますが、この方々が地域の小学校に就学しています。また、小・中学校に在籍している特別支援学校で教育を受けることが適当と思われる児童生徒は107名。パーセンテージにしますと4.2%となっています。また、通常の学級に在籍する特別支援学級で教育を受けることが適当と思われる児童生徒は289名。率にして11.3%となっています。この判断と異なる就学の場合の要因ですけれども、保護者の希望によるものは27市町村に例がありまして、77%でございます。以下、特別支援学級等がまだ未設置だということを理由とするものは11市町村で31%、特別支援学級への通学困難を理由とするものは5市町村で14%となっています。
 就学後の継続的な就学相談体制及び就学指導の見直しについてですけれども、本県では、判断と異なる就学となるケースは、もしかしたら他の都道府県に比べ、まだ少ないと感じていますが、一人一人のニーズに応じた教育を保護者と共通理解のもとで進めるということについては、これは非常に大事だと思っていますので、その方策について検討を行ってきているところです。
 続きまして、同じく2ページの特別支援学校の分校・分教室の設置状況です。本県では、御存じのように交通が不便な県でございまして、すべての地域に特別支援学校をまだ設置するわけにはいかないという状況です。そこで、ある程度の希望者がいると思われる特別支援学校の未設置の地域に特別支援学校の分教室を設置しています。今年の4月現在、3つの市に小学部の分教室を各1箇所、計9学級。それから、そのうちの1つの市に学年進行で中学部に入る生徒が出てきましたので、中学部の分教室を1学級設置しています。その形態といたしましては、建物は市の学校の一部を市から県が借用するということで、そのほかの教員配置、費用負担、あるいは権限等については、県が所掌している状況です。実際には、本校となる特別支援学校が管理しているということになっています。
 資料の3ページを御覧いただきたいと思います。就学指導の改善とその実践についてです。就学指導の改善の必要性については、近年、理想や理念の実現に向けた取組が教育にも求められてきていること。また、これまでの就学指導については、保護者、就学指導委員会、あるいは学校等、それぞれの立場で課題があり、今後を見据えた改善が必要であるとの判断から取組を開始したところです。その具体的な方策として、今後の就学指導のためのガイドラインを作成したところです。そのポイントとしましては、やはり丁寧な就学相談による保護者との合意形成を大切にするということをねらいとしています。そのために必要なことは、早期からの相談支援と就学指導及び学校間の引き継ぎとの関連付け、そしてその方策としては、支援ファイルの作成と活用と考えています。
 この支援ファイルは、その子どもの支援の必要性に気づいた時点から、例えば幼稚園、あるいは保育所の先生方、そういう方々に作っていただく。その子どもの支援者、いわゆる支援機関で作成すること。また、就学移行期には、就学指導委員会の検討の資料の一部として活用すること。また、その後、個別の教育支援計画や個別の指導計画作成のための基礎情報として就学先に次々と引き継いでいくということを考えています。そのためには、現在の就学指導の期間というものも見直していかなければならないと考えているところです。ただ、やはり留意しなければならないことは、保護者の理解を十分に得るとともに、やはり保護者の承諾を得て進めることと、個人の情報の管理を確実に行うこと考えています。
 なお、本ガイドラインの実際的な運用をイメージしていただくために、まだ試行段階ではありますが、別冊資料に4つの事例を紹介いたしました。4つ目の資料は、沿岸部にある宮古市で自立支援協議会等の保健福祉、教育が連携した枠組みで運用を始めている例です。
 以上のように就学指導に十分な期間を確保し、関係機関との連携の中で、子どもの指導や支援の計画づくりに保護者の参画を促すことにより、望ましい就学指導、あるいは就学支援といったものを可能とするように取組を始めたところです。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの岩手県の発表、それから先ほど発表いただいた自治体のことでも質問があれば、併せてお願いしたいと思います。齋藤委員、お願いします。

【齋藤委員】 特別区教育長会の齋藤です。1点だけ、お願いいたします。
 特別支援学校が遠隔地の通常の学校で学級を形成するというお話があったと思います。これは専門性の担保という意味ではとても良いと思いますが、特別支援学校が学校長であって、そして管理もすべてそこで行うということですので、なかなか1つの学校の形成として、新たな課題があるのかなと思います。
 質問したいのは、課題が見えてきたのかという点と、もう1点、特別支援学校の先生たちは専門性が担保されていると思っていますが、通常の学校での特別支援学級の先生たちと特別支援学校の教師との人事的な交流はあるのかという点です。

【岩手県教育委員会鈴木課長】 質問の内容は、分教室と管理の課題、それからもう1点が、通常の学級の先生と特別支援学校との人事の交流の2点でしょうか。

【齋藤委員】 通常の学校での特別支援学級の教師と特別支援学校の教師のです。

【岩手県教育委員会鈴木課長】 分教室の運営につきまして、現場の校長等から分散することに関して学校運営の工夫が求められることは、私たちも指摘を受けています。ただし、逆に言うと、運営の仕方によっては、非常に良い取組が生まれる形態でもあります。実際、小学校に設置している特別支援学校の分教室の中では、その小学校に対する支援も行いますし、その地域の周辺の別な小学校、中学校への支援も実際行っています。教育活動では、可能な行事は一緒に行うという状況も生まれまして、地域の方からはかなり認知されている、そういう取組になってきています。
 2つ目の人事交流のことですけれども、特別支援学校と市町村の学校との人事交流が一定の枠の中ですけれども、約3年を目処に行われています。

【宮﨑委員長】 よろしいでしょうか。

【齋藤委員】 ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 ほかにありますでしょうか。それでは、河本委員、お願いします。

【河本委員】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。これは岩手県に限ったことではありませんが、就学支援で常に大きな課題として存在する問題として、就学支援の各委員の判断をもとにして、委員会としての最終的な判断を出す際の判断に、どの程度の精度というか、妥当性があるのかという問題があります。その問題というのは常について回る問題と思っています。いかに精度を高めていくかが、今後の大きな課題であると私も思っています。今、資料9の1ページ目「2就学指導の現状」の(1)○3で、岩手県の主な委員構成ということで教育関係者が約6割と記載されていますけれども、精度を高めるための教育関係者の具体的な内訳を教えていただければと思います。お願いいたします。

【岩手県教育委員会鈴木課長】 教育関係者の中には、特別支援学校の校長、あるいは教頭、本県では副校長と呼んでいますけれども、あるいはその特別支援学校で就学相談に当たっている者、いわゆるセンター的機能等で携わっている者ということで一定の専門性を持っている者が入っていますし、そのほかには、市町村ですので、市町村の小・中学校の校長の代表が入っている例があります。以上です。

【宮﨑委員長】 河本委員、よろしいですか。

【河本委員】 しつこいようで恐縮ですけれども、この専門性の問題、今話が出ましたけれども、校長、副校長は当然専門性を持っていなければならないと私も思っています。そして、各6割の、例えば今お話があった教育相談的な仕事をしている先生や、あるいは実際学校現場で子どもたちを指導している先生などが入っていると思うのですけれども、その一人一人の専門性を担保するというか、教育委員会ではどのようなことをやっているのかとを最後にお聞かせください。

【岩手県教育委員会鈴木課長】 これについて、就学指導委員会に入っている教員に対して特別な研修はまだ行っていません。ただし、通常のそれぞれの学校に対応した研修でカバーしているという状況です。

【宮﨑委員長】 品川委員、お願いします。

【品川委員】 品川です。御報告、ありがとうございます。2点お伺いいたします。先ほど御紹介いただきました事例にありました対象児A児のところですが、幼・小の連携が非常に大事なのは全くそのとおりだと考えますが、この支援ファイルというものについてもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。この支援ファイルは、例えば、幼稚園の先生や、保育園の先生が子どもに課題があると思ったときに登場するものなのでしょうか。それとも、例えば、今、全国でも少しずつ自治体によっては、出生時の段階から子どもをフォローしようというような形で手帳をつくり始めるところもありますよね。そういった役割、つまりすべての子どもを対象にしたものなのでしょうか。このファイルの性格と申しますか、どういう役割なのか。学校でいう個別の指導計画の幼稚園版なのかなどというようなことを教えてください。
 2点目ですが、幼児の段階の子どもの問題行動や遅れといいますのは、子ども自身に課題がある場合もありますけれども、保護者の方に課題がある場合もあります。幼稚園の先生から御覧になったら多動に見えるけれども、実は母親が父親からDVを受けているとか家庭内に葛藤があるなど、いろいろな状況が想定されると思われます。そういったことはどういった形でフォローされておられるのでしょうか。お子さんに課題があるなしに関わらず、子どもさんに何らかのニーズがあると思われるときの保護者フォローといいますか、ペアレントトレーニング的なものなど導入されておられるのかなど、何かなさっておられるか教えていただけますでしょうか。

【岩手県教育委員会鈴木課長】 支援ファイルの作成の起点ですけれども、最初におっしゃったように、現在子どもを支援している機関で、気づいたときから作成するということを起点と考えています。
 それから、2つ目については、具体的にこういう形でペアレントトレーニングを行っているということはありませんが、こういう形で子どもさんへの気付きを保護者と一緒に、こういうものをつくり上げていくということ自体も、1つはそういったものの理解に繋がっていくのかなと考えています。

【品川委員】 わかりました。どうもありがとうございます。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。各自治体からの意見発表をいただきました。
 ここで一旦休憩に入りたいと思います。講堂の時計で4時55分からまた再開をしたいと思いますので、5分ほど休憩をさせていただきます。

(休憩)

【宮﨑委員長】 再開したいと思います。それでは、次に、髙橋委員より東海村の状況について資料を提出いただいていますので、10分程度で説明をお願いいたします。

【髙橋委員】 茨城県東海村の教育委員会教育長の髙橋と申します。大きな府や県の発表の後、一番末端であります町村のほうの発表をさせていただきます。参考になればと思います。
 まず、従来の東海村障害児就学指導委員会の流れは大きな県とほぼ同様ですので、省略させていただきます。そこで、就学指導に係る課題、大きく4点についてお話しします。まず、保護者の思いとしまして、就学指導委員会から特別支援学校が適当、特別支援学級が適当と判定を受けるのですが、これが今までの場合ですと突然判定される。したがいまして、短時間に機械的に振り分けられるという印象がありました。
 2つ目としまして、そういったことを反省しますと、早い時期からの継続的な就学指導というのが必要になると。就学指導を円滑に進めていくためには、早期からの教育、医療、福祉などの関係機関の連携が重要となります。そのためには、幼児から成人までの持続的・総合的な資料を作成することが必要となります。
 3つ目としまして、適切な教育支援体制の整備といたしまして、市町村教育委員会が保護者へ説明したり、教職員に指導・助言をしたりして適切な教育支援を行うためには、専門的な知識を持った職員を配置してアドバイスやアセスメントができるようにする必要がある。今までのトラブルの中では、主に幼稚園、保育所の先生ですと、どうしても専門家ではないという見方が保護者のほうにあったものと思っています。
 その他、特別支援学校へ行くと地域との交流が少なくなる。できれば大きな集団の中で社会性を育てたい。それから就学指導委員会と医療機関との見識の違いもありました。医師は、情緒障害に対しましても、「薬を服用すれば通常の学級で十分勤まります」というような意見をして、そこで話し合いがうまくいかなかったという例もあります。
 そこで、東海村の就学指導の現状ですが、これは文部科学省の資料にもありますように、就学指導委員会にかける人数も特別支援学級在籍者も、特別支援を必要とする児童生徒の数も毎年増えています。それらに対応するためには、どうしても調整機関といいますか、ネットワークの中のまとめ役としての機関が一つ必要であるということに結論いたしました。そして、就学相談と就学先の決定の改善として3つ挙げています。1つは、発達支援センターを中心とした体制の充実であります。東海村包括支援センターの中に「なごみ」という東海村総合支援センターがあります。3歳の幼児から中学校修了までの生徒、特別な支援を必要とする子どもの望ましい発達を促すため、平成19年度に設置しました。個々の発達に応じた療育・訓練の教育的な支援をしています。機能は、「相談支援」「療育支援・発達支援」「普及のための啓発・研修」となります。その特色としましては、障害に応じた専門職の配置となります。職員は、村の職員1人と指導員2人が常駐していまして、非常勤として発達支援コーディネーター1人、言語聴覚士1人、臨床発達心理士1人、臨床心理士1人が、専門的な立場から相談や教育支援を行っています。
 主な相談活動としましては、家庭訪問も含めて「来者相談」「巡回相談」「電話相談」「出向き相談」を実施しています。来室相談では、保護者からの聞き取り、本人への心理検査などを実施して、適切なアセスメントをしています。さらに、本人の定期的な通級による認知、言語、運動の分野に関する個別指導も実施しています。
 巡回相談では、幼稚園、小・中学校を巡回して適切な支援ができるよう、個別の相談やアセスメントをしています。さらに必要に応じて、教育・保健・福祉・医療分野の連携を図り、現場の先生方と適切な支援の在り方について相談を行っています。
 電話相談では、発達支援コーディネーターや指導員による保護者や幼稚園、保育所、小・中学校の教員からの相談への対応もしています。
 療育支援・発達支援としまして、発達の状態に応じて、臨床心理士が専門的な検査を行い、その結果に応じて言葉の理解や対人関係、コミュニケーション技術など発達を促すための支援活動を行います。
 啓発・研修といたしましては、特別支援学級を担当する教職員や村の職員の資質向上を図るため、講演会の開催等を行っています。発達支援センターが各関係機関をつなげ共通理解を図ったり、特別支援教育を普及するための啓発活動を行っています。
 早期からの教育相談・支援の充実。発達支援センターでは、幼児期から「個別の支援計画」を立て教育相談や支援指導をしていまして、就学相談に大きく係わっています。通級する幼児を定期的に指導することにより、就学する際の情報を保護者や学校に提供することもできます。このことにより、保護者も就学指導の判定に対して今までよりは冷静に考えることができるようになっています。
 その他、3ページから6ページまで就学相談、就学先決定についての特色を記載していますが、時間もありますので、後ほど質問で聞かれた際にお答えしたいと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは、引き続きまして、中澤委員より国際比較についての資料を提出していただいておりますので、10分で説明をお願いいたします。

【中澤委員】 中澤恵江です。国立特別支援教育総合研究所の研究員です。本日はイギリスとアメリカの障害のある子どもの就学に係る制度の比較を通して、日本にとって示唆を得られる点を整理したいと思います。
 まず、障害者権利条約を批准しているイギリスから紹介いたします。イギリスの特別支援教育には2つの大きな特徴があります。1つは「特別な教育ニーズ」というとらえ方です。もう1つは子どものニーズに応じて3段階に分けて支援を提供する仕組みです。障害のない子どもでも特別な教育的対応を必要とする学習の困難があるならば、その子どもは特別な教育ニーズがあると看做されて、イギリスでは支援の対象となります。子どもの学習の困難というのはどういうものかといいますと、1は、同年齢の大多数の子どもよりも、学習において有意に大きな困難を有する場合。2、障害があり、学校において、同年齢の子どものために通常提供されているような教育施設を活用することを、その障害が阻む、あるいは妨げる場合としております。よって、障害がなくても、この第1段階の支援が受けられるようになります。
 次に、3段階に分けて支援を提供する枠組みです。第1段階は「スクール・アクション」と呼ばれていまして、軽度の特別な教育ニーズに対応します。子ども一人一人に個別教育計画が作成され、校内資源・コーディネーターの活用など学校の中の資源だけを用いて支援します。
 なお、各学校が柔軟に対応できるよう、学校の通常の予算にあらかじめ約10%上乗せがされています。低所得者層の住む地域は、さらに予算が多く追加されます。この段階では、障害がなくとも、学習の困難があれば支援の対象となります。また、障害があるのかどうか定かでない場合も即刻支援に入ることができるシステムのため、予防的な効果がございます。
 次に、第2段階の支援ですが、これは「スクール・アクション・プラス」と呼ばれています。第1段階のスクール・アクションでは効果が十分あらわれない場合は、スクール・アクションに加えて、地方行政局からの資金や巡回教師などの外部専門家の活用などによる支援が提供されます。
 最終段階が第3段階で、「判定書」、英語でステートメントと呼んでいますが、この段階になります。判定書とは、子どものあらゆる特別な教育ニーズ及びそのために必要な支援を記述した法的文書で、スクール・アクション・プラスでも効果が十分でない場合、初めて判定書を得るための法定アセスメントを申請することができます。ただし、顕著な障害を有している場合は、スクール・アクションを通さずに、そのまま直接判定書を得るための法定アセスメントの申請ができることになっています。
 特別な教育ニーズを有する3段階すべての子どもの数は、同年齢の子ども全体の中の約2割に上っています。判定書という最も濃密な支援を受ける子どもは、同年齢の全子どもの中の2.7%となっています。この2.7%というのは、日本の特別支援学校、学級、そして通級を合わせたパーセンテージにほぼ近いものです。
 次に、教育の場を決定するときの基準について紹介します。判定書を持っていない特別な教育ニーズのある子どもは通常の学校で教育されなければならないことになっています。判定書を持っている場合も、基本は通常の学校で教育されなければならないのですが、親が通常の学校以外を希望する場合と、他の子どもへの効果的な教育の提供と相容れない場合は通常の学校以外の教育の場が選ばれることになります。
 就学先の決定は、まず、判定書作成の中で子どものニーズと必要な支援が成立されてから行われます。地方行政局の教育担当部局が保護者の意見聴取を行って、最終決定は地方行政局が行います。
 なお、地方行政局が特殊学校を就学先として選ぶ可能性が高い状況が記されています。どこに記されているかというと、「特別な教育ニーズ」実施規範といいまして、教育法の中でこの実施規範がつくられることが定められていまして、これがつくられているのですが、その中の条件として、1つは重度、あるいは重複した特別な教育ニーズがあり、地域の学校では対応ができない場合。2、重度、あるいは重複した特別なニーズがあり、一貫したプログラムの提供が終日必要な場合。3、複雑な社会性及び学習のニーズがあり、地方行政局の監督のもとにある子どもの場合。そして、4、子どもが複雑な医療的なニーズと学習ニーズがあり、地域の学校では対応できない場合とされています。イギリスでは特殊学校に在籍する子どもの率は全体の1.02%、約1%となっています。ちなみに、日本は約0.6%です。
 地方行政局が下した決定について親に不服がある場合は、特別な教育ニーズと障害に関する調停を行う第一層調停所に申し立てることができます。必要な手順は、わかりやすく親に伝えられるようになっています。
 次に、アメリカの制度について紹介します。アメリカの制度がイギリスの制度と大きく違う点は、法的に定義されている障害カテゴリーがありまして、このいずれかの障害カテゴリーに入ることがアセスメントによって判定されませんと支援が受けられないという点です。学習の困難があっても、障害がないとみなされれば、支援の対象にはなりません。そのため状態が悪化して、初めて障害があることが判定され、支援の提供がおくれることが生じてきました。近年はこの弊害を軽減するため、障害があると判定される前の対応についての取組が進められています。
 また、イギリスとは異なり、軽度な障害であっても、障害があると判定されますと、イギリスの判定書に相当する個別化された教育プログラムがすべての障害のある子どもに策定され、それは法的な拘束力を持つようになります。アメリカで個別化された教育プログラムを持つ子どもの率は11.1%で約9人に1人です。障害カテゴリーで最も多いのは、特異的学習障害で人口の4.78%。最も小さい障害カテゴリーは盲ろう、目と耳が同時に障害を受けている状態ですが、これは0.02%です。教育の場を決定するときの基準は、最も制約の少ない環境と規定されていまして、これは基本的に通常の学級を意味します。
 通常の学級以外の場で教育を提供することが決定されるのは、次のように規定されています。支援機器や支援サービスを使っても、通常学級では満足のいく程度までに教育の成果が得られないくらいに障害の性質や程度が重度である場合のみとされています。
 就学先の決定はどこで行われるかといいますと、個別化された教育プログラムを策定する会議の中で決められます。この会議は学区の責任で行います。
 なお、注意を要するのは、アメリカの学区とは、教育に特化した独立した行政単位で、独自の税収を持っています。
 個別化された教育プログラム会議では、まず、子どものニーズとそれに適した支援が会議のメンバーの話し合いで決定されます。その上で初めて、どの教育の場でどのくらいの時間数、そこで教育を受けることがその子どもに適切かが話し合われ、決定されます。個別化された教育プログラムの会議は、次のようなメンバーから構成されることが多いです。親または保護者、これは不可欠です。適切なら子ども自身、特殊教育教師、通常教育教師、評価結果を翻訳できる人、子どもについての知識や特別な専門性のある人、学校、あるいは学区の代表で学校や学区の資源調達可能性について知識のある人などです。
 子どもの個別のニーズに応えられるよう、なお、アメリカではサービスの連続体、これは教育の場の連続的なバリエーションを用意しておくことが法律で規定されていまして、特殊学級、特殊学校、病院や家庭の訪問教育などは、そのために存在が確保されています。アメリカで特殊学校に在籍する障害のある子どもは、全子どもの中の率としては0.3%で、これは日本よりも低いです。
 不服審査については、申し立てができる手続が法律によって定められています。
 最後に、イギリスとアメリカの比較を通して、日本に示唆が得られる点を整理します。1つは就学の基準です。基本は通常の学級に置いていることが日本との違いになります。ただし、イギリスもアメリカも通常の学級以外の就学が子どもに適した教育を提供する場合、その必要性を認めています。
 2つ目は、特別支援学校に在籍している子どもの率です。イギリスは約1%、アメリカは約0.3%、そして日本は0.6%。すなわち数値的に日本は世界的に見ても低い部類に入ります、特別支援学校の在籍率が。しかしながら、これだけをもってしてインクルーシブとは言えないと思います。それは就学基準、それから通常学校に障害のある子どもが在籍しているときの支援が不足しているということから言えないと思います。
 3つ目は、特別支援教育の対象となる子どもの率の違いです。イギリスは約20%、約5人に1人。障害以外の学習困難も含まれますが、何らかの支援を受けています。アメリカは11.4%、約9人に1人が、これは全員障害を有すると判定されていますが、支援があります。日本は2.3%、約45人に1人です。ちなみにこれは加配云々等については入っていませんで、基本的に特別支援学校、特別支援学級、通級による指導を受けているパーセンテージのみの合計です。このような大きな違いがあります。
 イギリスの特別な教育ニーズのある子ども及びアメリカの障害のある子どもの大多数は、通常学校において特殊教育の支援を受けています。日本の通常の学級には、既に潜在的にとても多くの障害のある子どもがいることが推測されます。まず、それらの子どもを特定し、それぞれに適した支援を提供する必要が日本ではあるのではないかと思われます。
 4つ目は、障害があると判定されて、初めて支援を提供するアメリカの制度と、障害のある・なしにかかわらず、通常学級の中で学習の困難を呈している子どもたちに第一段階の支援を速やかに提供するというイギリスの制度との違いです。将来の日本の子どもたちにとってどちらの制度がより子どもたちによいのか、検討に値すると思います。
 最後に5つ目ですが、資源配分の在り方です。この比較の中で2つの在り方が参考になるように思います。1つは、イギリスとアメリカ共に障害のある子どもが在籍する教育の場に資源の配分が行くようになっていることです。第2は、イギリスでは、特に軽度の障害に対応する場合、学習困難を含めてなんですが、あらかじめ通常の学校に追加資源を提供し、学校が柔軟に対応できるようになっている。この資源配分は参考になることが多いのではないかと思います。
 以上、駆け足ですが、イギリスとアメリカの就学をめぐる比較についての報告を終わります。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの髙橋委員、それから中澤委員からの説明について、質問がありましたらお願いいたします。尾崎委員、お願いします。

【尾崎委員】 全国特別支援学校長会会長の尾崎です。中澤先生にお伺いいたします。資料11の5ページですが、アメリカの初等教育の割合が92%、中等教育が89%となっていますが、8%、11%の児童生徒はどこにいるのでしょうか。教えていただければと思います。

【中澤委員】 中澤です。わかりません。申し訳ありません。これは国連で出しているデータを引用したものでして、それぞれの国のデータでは見つかりませんでした。ですので、いない子どもたちの状況についてはわかりません。ただ、1つ言えるのは、イギリスなどは退学が義務教育の段階でもあります。イギリスの場合、エクスクルードといって素行が非常に悪く、退学して、どの学校も受け入れを拒否するという子どもも実際いるということが記録にはあります。どういう子どもたちがほかに就学されていないのかわかりません。申し訳ありません。

【宮﨑委員長】 よろしいでしょうか。

【尾崎委員】 もしわかったら、後で結構ですのでお知らせ願いたいのと、病院に入院している人たちが就学しているかどうかという、そういう情報があれば教えていただきたいと思います。
 それから、日本の場合は99.9%と書いてありますが、これは率としてなのでしょうけれども、人数として、たしか猶予基準があると思うので、もしわかれば後ほど文部科学省のほうから教えていただければと思います。以上です。

【中澤委員】 中澤です。御指摘の点ですが、可能な限り調べますが、お答えが出ない場合には、どうぞ御容赦ください。

【尾崎委員】 はい。ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 続きまして、山口委員、お願いします。

【山口委員】 髙橋委員にお伺いしますけれども、村として非常に手厚い支援をさまざまな視点からなされていることに、感銘を受けました。そこで、村の財政規模に占める教育費の割合、さらにその教育費に占める特別支援教育の割合、あるいは特別支援教育対象者になっている1人当たりの教育費にどのくらいかけていらっしゃるか、参考までにお伺いしたい。例えば、これだけの財政的な裏付けがないと説明いただいたものはできないと、1つの目安として考えさせていただきたいので質問申し上げます。よろしくお願いします。

【髙橋委員】 結論として、今の御発言のように、財政的な裏づけがなかったら、今のようなことはできないと思っています。それから財政的な裏づけ、並びに村長、いわゆる首長の理解。村政の柱が福祉でありますので、東海村の村長は、そういう面につきましては、非常に理解のある村長。それから村の中でも比較的人口も多いです。3万7,000人。児童生徒数も3,700人います。それから村の予算全体に占める教育費ですが、今は資料を持ち合わせておりませんので、次回会議までには資料を持ってきたいと思います。
 といいますのは、今、耐震補強などしまして、古い学校は耐震補強せずに建て替えを行っています。そういう関係もありますので、教育予算がその年によって大分違ってきます。それから、その中でも一人一人に係る教育費、これも大きいかなと思っています。特にその中で大きいのは、環境整備の中で、現在特別支援学校に行かない、特別支援学級にも入らない、通常の学級でという目標があった場合、全部受け入れています。その場合には学級を一応維持するということ、それから本人の教育ということを考えまして、幼稚園には介助員12名。また現在、小・中学校に20名の生活指導員、内容は介助員と同じですが、そういう方も入れています。これらの教育費に占める割合は大きいです。でも、通常の学級に受け入れた以上はそういった人を配置しないと、クラスにとっても、その子にとっても教育がうまくいかないと思っています。細かい計算については、次回までに資料を調べてきたいと思っています。

【宮﨑委員長】 それでは、向山委員、お願いします。

【向山委員】 中澤委員に3点質問させてください。1点目は、資料11の3ページの事例ですが、一番上の不服審査のところで、地方行政局が下した決定について不服がある場合に、第一層調停所に申し出ることができるとありますが、ある行政の判断に対して、何か判断できるのは、普通は司法になるものと思います。第一層調停所の概要について、司法的な内容なのかどうか、また、構成員はどうなのか、その点について教えてください。
 2点目は、資料11の4ページ2-7ですけれども、親に不服がある場合、それを申し立てて審査を受けることができるとありますが、これは審査手続があるということかと思います。この不服があって審査を申し立てて、申し立てた結果、審査機関がある判断をすると。そうしたら保護者はその決定に従わなければいけない。つまり、審査の結果というのは、そういった一定の強い権限を持っているということと思いますが、そうなのかどうか。教えてください。
 最後、3点目ですけれども、委員としてのお考えをお聞かせいただきたいのですが、アメリカやイギリスのような不服についての手続や審査機関、これらは日本の風土になじむのかどうか、参考になることがあるのかどうか。個人的にどう思われているのか、お聞きしたいです。

【中澤委員】 中澤です。まず、この第一層調停所はイギリスのシステムですが、これは司法に属する組織です。そして、第一層調停所の中に幾つか領域がありますが、その中の特別な教育ニーズと障害に関する調停を行う部署が行いますが、その際の構成メンバーは裁判官1人、それから特別な教育ニーズに詳しい専門家2名の計3名の構成になっていると書かれていました。そして、そこから出された判断は法的な結果ですので、親も地方行政局も従わなければいけないことになっています。

【向山委員】 アメリカもそうですか。

【中澤委員】 アメリカの場合もそうです。ただ、アメリカの場合、資料には記載しなかったのですが、1975年からこういう教育のシステムになっていまして、裁判まで至ると両方に損害が大きい。時間もお金も。子どもはその間適切な教育を受けられないということで、できるだけそこに至る前に調整ができるようなシステムが入っています。英語でいうとメディエーションという手法ですが、これは法的な強制力はないです。最後のデュープロセスという不服申立ては、それは、やらなくてはいけないんですが、このメディエーションをやるかどうかは学区と親の任意です。そして、各州では公正な立場で両者から意見を聞いて、考えを整理することができる法律や、特別福祉教育に詳しい専門家のリストが常に公開されています。そういった方を仲介に入れて、先ほどの個別化された教育計画を策定する会議でなかなか結論に至らないときに、そこで話し合いをして、できるだけそこで解決を図っていくというワンクッションが入っています。
 なお、その会議の中身は完全に秘密にして、そこで話し合われたことは、将来もし法的な訴えに移行したときに決して使ってはならないという極めて限定的な使われ方をして、裁判に行く前にできるだけ調整ができるようなシステムになっています。日本にそのようなシステムが馴染むかどうかということですが、一委員の意見としてはなかなか発言しづらいところがあります。また、十分わかっておりません。ただ、1つ言えるのは、膠着状態になったときに、何らかの形での調整というのを用意していくことは必要なのかなとは思っています。あまり具体的な返事にならず、申し訳ございませんが、以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、久松委員、お願いします。

【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。中澤委員にお伺いしたいと思います。中澤委員の資料は、大変貴重なレポートと認識しています。「障がい者制度改革推進会議」の場で、今後、障害者基本法と障害者差別禁止法の2つのテーマの議論が始まります。これに当たり、この場で中澤先生のレポートという、教育に係る法制度の議論を見るとき、社会全体の背景ということをもう少し理解しないと、これを見てどう捉えるかというところがあると思います。例えば、イギリスの場合、DDA、イギリスの差別禁止法があります。アメリカにはリハビリテーション法がある。ADA法もある。イギリスの場合、インクルーシブ教育とは言ってはいないが、平等な機会と公平性という考えを踏まえ教育法の制度を組み立てている。この関連を把握すれば、障害者基本法の中の教育という項目をどうやって見ていくかという議論ができるし、また、差別禁止法の中の合理的配慮の部分についても議論できると思いますが、中澤先生の把握している範囲で、その関係について説明いただけたらありがたいと思います。
 もう1点、イギリスの場合、地域保護者パートナーシップという制度があります。保護者が就学決定をする際、アドバイスをするパートナーシップ制度というのがありますが、今回のレポートには含まれていませんので、このあたりどういう役割を持っているものなのか、状況についてもお示しいただければと思います。今後の大きな議論のテーマは、親の合意形成にどう取り組むのかということが非常に大きな議論のテーマになるかと思いますので、そのあたり踏まえた上で教えてください。

【中澤委員】 中澤です。大変広範な内容にわたっておりまして、私自身、文化的背景を含めて十分に研究しているわけではなく、このような場で曖昧な回答を出すのは大変危険かと思いますので、もし久松委員の許可を得られましたならば、宿題として受け止めさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。

【久松委員】 結構です。

【宮﨑委員長】 それでは、今の久松委員の質問には宿題ということで、可能な範囲で、また中澤先生、よろしくお願いします。それでは、品川委員、お願いいたします。

【品川委員】 品川です。先ほどイギリスとアメリカについての御質問がありましたけれども、現場の取材をしておりますので、その点につきまして御参考になればと思いまして、少し補足させていただけますでしょうか。
 公立学校で考えましたときに、アメリカと日本ではまず教師の条件や資質が全く異なります。このため、制度自体の比較は別ですが、教育の現状を考えましたときに一概に比較できないだろうと思われます。例えばアメリカの学校の先生は、あくまでもアカデミックスキルを指導するだけですが、日本の場合には、保護者対応から児童生徒のしつけ、規範意識の育成、集団の指導、部活動の指導、果ては給食費の回収まで多角的に対応しなければなりません。それから特別支援教育の教師は、アメリカの場合もイギリスの場合も通常の教師よりも専門性が確実に高いんですね。アメリカの場合、レベルアップするために特別支援の教師になる方がとても多いです。特別支援教育の教師になるためには大学院に行ってM.A.を取得しませんとなれません。そこは我が国の実態とはまったく異なり、同じように語ることはできないと常々感じております。
 それから、イギリスもアメリカもそうですが、大学の研究者たちとの具体的な連携が顕著な場合が多いようです。具体例で御説明いたしますと、イギリスの北部にヨーク州という地域がありますが、そこのヨーク大学には読み書き困難のための研究所があります。そこの専門家たちがつくったプログラムを地域の小学校におろして、地域の先生方はそこの専門家たちの仮説や理論に基づいた教育プログラムについて徹底訓練を受け、それを実践して研究者側にフィードバックし、学者たちはRCT等をさらにブラッシュアップしたプログラムを作成して、また地域に戻すという形の協力関係があります。つまり、制度を支える実質的に効果が上がると証明されているプログラムや子どもたち教師たちへのエビデンスベースの支援体制があります。日本の場合にはなかなかこういった形での協力関係が取りにくいという現状があります。
 それからアメリカでは息子の方のブッシュ大統領が2002年に署名したノー・チャイルド・レフト・ビハインド・アクトという法律が、イギリスではエブリ・チャイルド・マターズという政策提案書が出されてそれを受けて、翌年、チルドレンズアクトという法律ができております。それらがあるがゆえに、すべての子どもの教育権を保障すべく細かく規定がなされ、教育予算もある程度確保されているわけですが、実際に取材してみますと現実的には自治体レベルでの財政問題が大きな壁になっていることがわかります。アメリカの場合、保護者や学者たちを取材して浮き彫りになりますのは、診断があっても適切な指導が受けられないなど不服がある場合には申立ができるということになっておりますが、不服申立を受けても、お金がないから望むような指導はできないと保護者や本人にはっきり宣言する自治体もあるようです。その場合、保護者が裕福であれば私学に転校し、何百万もする教育費は自己負担になります。そんなお金はないからとにかく何回も不服申立てをするという場合、私立学校の費用を負担してそちらに送り込むというところもあります。稀ですけれども。
 つまり、アメリカもイギリスも、インクルージョンと言いながら当該児童生徒への実質的な教育保障はなかなか難しく、ディスレクシアやLD、自閉症スペクトラムなど発達障害については高度に専門教育を提供する私立学校が増えています。リバースストリームと呼んだりしているようですが、インクルーシブでは満足の教育を受けられないので教育的ニーズに応える専門教育を提供する学校を選ぶという流れもあるのが現状です。
 それから、先ほど東海村の事例を伺いました。東海村発達支援センターの職員さんの中に、認知や言語聴覚の先生が入っているということは非常に望ましいことだと賛同いたします一方で、専門家が増えれば増えるほど、担任の先生は、そういう専門家にお任せすれば良いという雰囲気になりがちになってしまうということは諸外国の論文にもありますし、実際、私が全国を取材していてよく見聞きすることでもあります。結局、一番の課題は教育観のパラダイムシフトといいますか、意識改革の面だと思うのですが、そういった点につきまして東海村教育委員会として現場の先生方にどういった支援や指導、あるいはサポートなどをなさっておられるのか、もし実施されている取組がありましたらお教えいただければと思います。宜しくお願いいたします。

【髙橋委員】 東海村教育委員会の髙橋です。発達支援センターの職員は非常勤職員であり、毎日勤務しているわけではありません。年間で約1,000万円の予算ですので、発達支援コーディネーターの場合には月1回。それから心理士など、そのほかの職員の場合は週1回ということで、また、言語聴覚士の方は検査を実施するようなときに来ていただきます。幼稚園や小学校の先生が検査するよりも、そのような資格を保有している人が検査してくれるということが、保護者にとっては非常に信頼性があり、安心感を与えます。そういう意味ではその存在は大きいと思います。ただ、それによって、小学校、幼稚園の先生が頼りきりになってしまうということではなくて、そういったことを自分たちも研修する機会として捉えています。そして、この研修にはかなり力を入れています。そういう意味で、東海村の教職員全体のレベルアップという中で、そういう専門家のお話を聞くことをしています。このようなところで、今のところ効果は上がっているものと思っています。

【品川委員】 わかりました。ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 北住委員、お願いします。

【北住委員】 北住です。重症児施設の施設長をしていますが、外来では毎日いろいろな障害の子どもを見ています。その中で、特別支援教育のサービスから抜け落ちるのは、いわゆるボーダーラインの知的障害の子どもです。未熟児だった子どもなどをフォローしていると、どうしてもボーダーラインの知的障害の子どもがサービスから落ちてしまう。ボーダーラインの知的障害の方、それから発達障害の方が、数としては日本で大きな問題。社会にとっても大きな、その方たちをどうサービスをして支えていくのか。「障がい者制度改革推進会議」で言われているシームレスなサービス、漏れ落ちる方のない、サービスの網から漏れ落ちないようにという方への支援がしっかりできるように、その中で、やはりボーダーラインの知的障害の方というのは一番気になるところで、中澤委員にお聞きしたいことは、その関連での質問が1つです。アメリカで、精神遅滞のある者は診断が出ないとサービスを受けられないということになると、それがどの程度のものなのか。例えば判定の仕方で、WISCであると60代から50代が出て、田中ビネーであると80そこそこ、そういう場合も多々あるわけですから、その辺の尺度。これは先ほどの就学相談のところでの判断でいろいろ合意がしにくい、判断に迷う方でもボーダーラインの方がかなり多いわけですけれども、その辺でどういう尺度になっているのか。それが1つの質問です。
 もう一つは、資料11の4ページ目、アメリカだったら、いわゆるIEPでしっかりと親御さんも入って、本人も入って検討しなければならないと思いますけれども、その4ページの上段で「通常の学級ではその生徒が教育の恩恵を受けられないと判断された場合にのみ、通常の学級以外の教育の場を考える」とありますが、その判断をどこで行うのか。あるいはどのような基準で行うのか。それが何らかの明文化されたものがあるのか。これも大きなポイントと思います。
 ボーダーラインの知的障害の方をどう対処するか。対象が10%ということからすると、おそらく抜け落ちていると思います。そういう方たちをどうしていくかが我々の課題だと思うのですけれども、ボーダーラインの問題と、それから通常の学級ではその生徒が教育を受けられないという判断というのは、どのように誰が行うのか。その2つをお聞きしたいと思います。

【中澤委員】 中澤です。まず、どこで教育を受けるのかという判断ですが、そして通常の学級では十分に成果が上がらないと誰が判断するのかといいますと、先ほど申し上げましたように、個別化された教育計画を策定する会議で、話し合いで決めることになっています。また、アメリカではたった1つのアセスメント方法でアセスメントをしてはいけないということが規定されています。その子どもに関係するさまざまな力のアセスメントを多角的にすべて行うということが規定されております。知的障害の定義ですが、すみません、正確な文言を言わないと、間違いがあるといけませんので、実は法律の本を持ってきましたので、休憩時間にでも改めてお伝えし、また、皆様には別な機会を持ってお伝えできればと思っております。
 ボーダーラインの子どもが、どうしてもどこかでこぼれてしまってシームレスにできないという課題、アメリカの障害のカテゴリーがあって、そこに入るか入らないかで決めるやり方であれば、必ずそれは出てくる問題です。それがイギリスのやり方では、障害ではなく、学習困難という言葉によって救い上げているのではないかと思います。そのためにイギリスでは、その範囲に入る特別な教育ニーズのある子どもが全体の約20%ということになっておりますので、委員の御指摘の点が、少なくとも制度の面では、理論的には支えられているのかなと思います。もちろん実際の現場に行きますと、さまざまな課題や地域差はあるかもしれませんが、この会議でとても大事なのは、国としての制度設計に寄与する考え方、取組であると思いまして、かなり大雑把な報告ですが、このようなところに焦点を当てました。以上です。

【宮﨑委員長】 よろしいでしょうか。

【北住委員】 はい。

【宮﨑委員長】 安彦委員、お願いします。

【安彦委員】 中澤先生に質問いたします。資料11の2ページのイギリスの場合の1-4-4に、教育の場を決定するときの基準があります。この(b)ですけれども、他の子どもへの効果的な教育の提供ということと相容れない場合というお話ですが、具体的にどういう中身を念頭に置いて考えたらいいのか。もう少し、ご存じであれば教えていただきたい。
 それから、今のアメリカ、イギリス両方比べた場合に、例えばアメリカの場合には、障害のカテゴリーがはっきり書かれてしまっているといいますか、それに対してイギリスの場合はそうでなく学習困難云々と発言されました。これから障害をどういう視点で捉えるかということは非常に重要になると思いますが、例えば私などは、学生がそういう問題を提起してきたのですけれども、どのレベルのものを障害と考えるか。例えば、私、眼鏡をかけていますけれども、これは軽度の目の障害だと思います。眼鏡をかける程度でその障害を克服できている場合には、通常の学級で何ら問題はないですけれども、いわば対応の方法が非常に困難だとか、現状では少なくともいろいろな方法でいいものがないため、通常の生活ができにくいというような、いろいろな障害の程度の決め方があると思います。私は、どちらかというと、むしろイギリス流の困難という言葉がいいかどうかわかりませんが、障害があるということは、むしろ通常とは連続体で見ていきたいほうですけれども、その辺の押さえ方を、例えば具体的にイギリスやアメリカなどではどういうふうに議論してきているのか。ご存じでしたら、要約的で結構ですので教えていただきたい。

【中澤委員】 中澤です。同じクラスの他の子どもの効果的な学習の妨げになるというのが具体的に何かというと、1つよく出されるのは、周りの子どもへ乱暴を振るってしまう場合なんかは入っていますが、これもこの会議では大変デリケートな部分であると思います。言葉がひとり歩きすることを私は恐れますので、もう少し正確に資料を整えてから回答したいと思います。また、何か宿題だらけになってどうしようかと思っているところですが、考えさせていただきたいと思います。
 それから、よく誤解されますが、イギリスはすべてを単純に特別な教育ニーズだけで割り切っているかというと、決してそうではありません。一番大事なことは、特に初期のところが、シームレスにするためには学習困難を入れないと、イギリスもかつては障害種別であると、同じクラスに障害とわかっている子どもと同じくらい勉強ができない子がいたら、障害がある子だけに支援が入って、なぜこっちに入らないのかという矛盾が必ず生じてしまいます。そういった中で編み出されてきた制度かと思います。また、同時に顕著な障害があれば、最初から判定書を要求することができる。ということは、障害というものも認めているということです。これはこの特別な支援教育と障害法の中で決めているのではなくて、別な教育法と障害差別法の中で、障害についてはある程度触れています。特に判定書までに至った場合、スクール・アクション・プラスもそうですが、障害種別の分類で統計も出しています。
 ですので、障害種別というのは、前回も認知特定がある特定の障害においてはあるとか、例えば私の専門領域の盲ろう、やっぱり障害特性がわかっていないと、どういうニーズがあるかというのが把握できないものも現にあると思います。ただ、一方、ボーダーラインであるとか、軽度のとても人数の多いところなんかについてはニーズで整理をしていって十分、あるいはそのほうが対応できるという場合があるのではないかなと思います。曖昧な回答ですが、特別な教育ニーズとか、学習の困難というふうに整理したほうがいい場合と、やはり障害種が整理されていることによって認識が深まるということが現にあると思います。アメリカの場合などは障害の種類が歴史の中で増えていって、まだ日本の中では障害として整理されていない外傷性脳損傷、交通事故や何かの場合ですね。あと私の専門領域の盲ろう、目と耳両方障害がある場合は、まだ障害としては日本では認定されていませんが、アメリカの場合は増えるたびに少しずつ増えていくという状況はあります。これで回答になったでしょうか。

【宮﨑委員長】 よろしいですか。それでは、山岡委員、お願いします。

【山岡委員】 すみません、中澤委員に宿題になってしまうかもしれませんが、今回、品川委員がおっしゃったこととも通じるのですけれども、就学指導ということで、就学時に決めてしまってよいのかと私ずっと思ってきました。おそらくその前の段階や、入学してからも必要なのではないかと思います。確かに小学校に入るとき、あるいは中学に入るときなんかは、どこに行くかを決めなくてはいけないと思いますが。
 アメリカでいくと、IEPというのは何年かに一度つくるのではなくて、毎年見直すことになっていたと思いますので、その時にどこで教育するのが良いかを決めればいいのではないかなと私は思っています。そういうことがないかということ。
 それから、例えば大阪府の場合は特別支援学級がすごく柔軟に運用されているので、保護者はそこを希望するケースが多い。大阪府の場合は逆に言うと、通級指導教室が少し少なかったりしますし、あるいはそういうふうに特別支援学級の希望が多いと、特別支援学校に行くケースが少なかったりすると思うのです。あるいは東京都や名古屋、大阪などの場合は、どこに住んでいても、特別支援学校が通学可能な範囲にありますけれども、地方に行ったら、通えるところになかったりとか、あるいはさっき品川委員がおっしゃったように、教師の質の問題が全然違うなど。それから通常の学級において、アメリカの場合は、通常の学級に在籍していても、IEPがつくられるので、個に応じた指導が行われているわけですよね。ということがあったりとか、その中でリソースルームが使えたりとか、いろいろな制度や仕組みが違うので、必ずしも就学指導だけをどうしたらいいかという問題ではなくて、全体の体制や仕組み等の関係で考える必要があります。私は、日本においてはおそらく、さっき言われた専門性のある教育的支援が今の通常の学級の中ではなかなか難しいと思われるので、現状の中においては何らかの特別な場における指導が必要だと思っています。けれども、そういう段階の中において、6歳の秋に1回就学指導で決めてしまったら、ずっと変えられないのかと、疑問に思っています。先ほどの長野県教育委員会の例ですと、判断と異なる措置があるということを言われていましたけれども、実は中学校1年生になったときに変わるケースが多いとおっしゃっていました。うちの子どもはそうですけれども、6歳のときと12歳のときと明らかに状況が違いました。ですから、6歳のときに決められた状況判断が正しかったのではなくて、それは中学校1年生のときには正しいかもしれませんけれども、小学校の1年生から6年生の間は通常の学校にいたほうがよかったのかもしれない。そのところが全くわからないわけです。中学校1年生のときに特別支援学校の中学部に通われたかもしれませんけれども、振り返ってみたら、小学校の1年生から例えば3年生ぐらいまでは通常の学級のほうがよかったのではという判断はなかったのか、などですね。そういうふうに考えると、もう少し毎年柔軟に、就学指導とか言わないで、教育相談の中で、この学年においてはどうしたらいいのかとかいうような考え方というのはないのかとかいう問題提起と、アメリカの例でいくと、就学時とか、IEPとかの関係はどうなのか、という点について中澤委員にお聞きしたいと思います。

【中澤委員】 中澤です。私の知っている範囲でお答えします。アメリカの場合ですけれども、実はアメリカの場合、特別支援教育についての法律は幾つかのパーツに分かれていまして、ゼロ歳から2歳までと3歳から21歳と大きく2つに分かれています。ゼロ歳、できるだけ早く発見して対応するということになっておりまして、特別な支援が必要な子どもについては、ゼロ歳から21歳までカバーされております。ゼロ歳から2歳までは個別の家族支援プログラムというもので、子どもというよりも家族を視野に入れた支援計画がつくられます。
 それから、御指摘のように、小学校入学の時点で急に決めるというのではなく、実はアメリカの場合、可能な限り3歳から個別化された教育プログラムがつくられることになっています。そして3歳の段階で障害がわかってプログラムをつくりましたら、その子に対しては優先的に何らかのプログラムが、幼稚園だとか、キンダーといいまして小学校の1年前、小学校の中にあるんですけれども、かなり多くの学校が、そういったところで支援が受けられるようになっていまして、3歳からそういうプログラムがある子どもは、当然その延長上で就学先というのが継続的な検討の中で決められていきます。
 あともう一つは、在学してから、やはりちょっと違うぞと思われて診断をされる場合には、入ってからですが、山岡委員の御指摘のように、IEPというのは毎年必ず見直しをするという規定がありまして、これはイギリスの判定書も同じです。ですので、一度決めてしまったらずっと続くというものではありません。その計画に沿ってやった効果がどうであったか。もうこの場で教育しないで普通学級に行っても大丈夫か、そういったことも含めて毎年の見直しで行われるということになっています。

【山岡委員】 もう1点だけ、IEPは誰がつくるかというところをもう一度、お願いします。アメリカの例で結構ですので。

【中澤委員】 アメリカのIEPは法的な拘束力を持つ強いものです。単純な教育の計画ではありません。このアメリカのIEPの場合は、まずこれを管轄するのは学区です。そして、メンバーの構成は、先ほど申し上げましたように、保護者は不可欠です。必要ならば子ども本人、それから特殊教育の教師、それから普通学級の教師、それから先ほど言いましたように、アメリカではアセスメントは単一のものでやってはいけないことになっていまして、多角的に該当する領域のアセスメントを全部やらなければいけませんが、そのアセスメント結果がどういう支援の必要性を意味するかということを翻訳できる専門家が中に入る必要が指摘されています。それから、そういった資源というのがどこにあって、どういうふうに調達可能かというようなことを把握している学校の、多くの場合、校長さんであるとか、あるいは学区の担当者が入って話し合いをして、その中で、話し合いで決定されていくというのが原則になっています。

【山岡委員】 要は日本でいうと、個別の指導計画は担任の先生や、実際に生徒を教えていらっしゃる先生がつくられるんですけれども、アメリカの場合はつくるのは、そういう指導される先生ではないというふうに理解していますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

【中澤委員】 学校の中でやるいろいろなプランは別として、今言った法定文書としてのIEPはそういった方々の中でつくられて、結果は法的な拘束力を持つものです。一言付け加えますと、大変お金がかかります。毎年の見直しにも膨大なお金と、それから膨大な書類仕事が増えて、実は功罪相半ばしているところで、先生方への負担も大変多いと聞いています。
 イギリスのほうの判定書についても、1回やるたびに何十万円かかってしまうというようなことで、そこにお金を入れるよりは、スクール・アクション・プラスでもっと柔軟に使ったほうがいいのではないかという意見も実践者の中にはあるようです。ただ、親としては、判定書があったほうが確実に法的に守られるので欲しいというところもあって、ただ、イギリスは去年よりも少し判定書を持っている率が低くなっているというデータは出ています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。このあたりについては、また議論をさせてもらうことになるかと思います。新藤委員、お願いします。

【新藤委員】 全日本中学校校長会の新藤です。中澤委員にお聞きしたいのですけれども、イギリスの判定書、ステートメントというのがかなり拘束力が強い、法的拘束力を持つということならば、当然のことながら、そこで示す、特別な教育は、質だとか、内容について、間違いなくその子どもにとって必要なものだ、健全な発達を保証するものとして明確に示す必要があるのではないかなと思っています。日本の場合は、これは学習指導要領で教育内容等は保証し、あとは教員の学校の努力とか、そういうところがあるわけですけれども、今、中央教育審議会の中では教員の養成にかかわる教員の資質能力向上に関する委員会も開かれて、教員の資質能力をどう高めていくか。養成段階からもありますけれども、当然ここまで強く言っている限りは、イギリスも特殊教育の質を保証するための明確な何か指針だとか、いろいろなものを示しているのでないかと思いますし、そのことに対する国民の絶対的な信頼がなければ、こういう制度って成り立たないのではないかと思いますけれども、その辺のところはどうなんでしょうか。

【中澤委員】 これまた大変大きな課題をありがとうございます。またさらなる宿題としてリストに追加させていただいてよろしいでしょうか。イギリスにおける専門性向上の取組ということで。

【新藤委員】 はい。

【中澤委員】 ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 前回御欠席された委員の方も既に今いろいろお話をいただいているところですが、大久保委員からの提出の意見書もあるようですので、このあたりについて、今日のお話を踏まえて、簡単にお話をいただければと思います。

【大久保委員】 全日本手をつなぐ育成会の大久保です。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。資料ですけれども、これはあくまで参考ということです。先にこの議論はとっておいたほうがいいということと、私自身も内容については、まだ説明できるような感じでもないということであります。ただ、前回の「障がい者制度改革推進会議」で配られた資料ですので、一応御参考までに皆さんにお配りしたいということです。
 そのように申しますのも、我が国はまだ障害者権利条約を批准していませんので、今モニタリング云々ということは実際にどうこうないですけれども、間違いなく政府は批准するということになると思います。既に国連のほうにはモニタリング機関が設置してあります。そして、障害者権利条約でもそれぞれの締結国にモニタリング機関を設置することを求めていますので、我が国にもできると思います。そういうところで、今のところはこういった視点で一応監視なり、チェックされるということを、まず知っていただいたほうがいいのかなということで参考までにお配りしたということです。
 意見というか、自由討議ということですので。私、長野県教育委員会のデータを非常に興味深く見させていただきました。いわゆるこの追跡調査ですね。この中で、いわゆる判断と異なる教育措置の追跡調査ということで判断と異なった場合、つまり、判断というのは、教育委員会の判断と、それと異なるというのは、多くが親御さんの意向と少し違っていたということだと思いますけれども、その結果、かなりの部分で措置変更という状況が起きているということです。この措置変更ということについて、これはどういうふうに考えるかというところによってはちょっと危険かなと。というのは、親御さんの意向を尊重すると、こういう結果になるみたいな、下手すればですね。こういう分析じゃなくて、むしろ重要なのは、措置先を変更したということは、結局、その間、適切な教育支援が行われていなかったのではないかということと、ここにおけるリスクというか、ひょっとしたらここで二次障害が起きているのかなとか、こういう心配さえするということです。ということは、この間、つまり、親御さんの意向とはあまり一致しなかったということは、その間のプロセス、つまり、親御さんに理解していただけるようなプロセスが十分ではなかったのではないかと。つまり、このプロセスが最も重要であると思ったということです。
 それと、本当に簡単に事例としてしか挙げておられませんでしたけれども、判断と同じ教育措置であったものの就学先を変更したと。ここに書いてある例というのは、最もいい例なんじゃないかと思うわけです。適切な教育、いわゆる適切な就学が行われた。その成果が出たということだと思います。ですから、こういった部分を考えたとき、まずポイントとしては、特に知的障害、発達障害の方もそうかもしれませんけれども、変化する障害であるということと、成長と言ってもいいかもしれません。こういった視点を考えたときに、就学先の決定という、ここの時点だけをあまり集中的に考えないで、先ほどどなたかがおっしゃいましたけれども、非常に柔軟に対応していくような、つまり、モニタリングも含めて柔軟な対応というのが求められるということかなという感想を持ちました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。中村委員、お願いします。

【中村委員】 NPO法人若駒ライフサポートの中村です。自由討議ということで、先ほどから私が漠然と感じていたことを2点ほど申し上げたいと思います。今回の就学決定に関する部分の論議の中でポイントになるのは、先ほどお隣におります委員の方もおっしゃっていましたが、まず、その子に必要なニーズが何であるかということを成長の過程の中で明確にしていくということと、もう一つ、親御さんの思いをどう受けとめて、それを実際のニーズにどうつなげていくか。要するに親御さんがどのように決定に関して納得いく形になるかというのがとても大きいのではないかと思います。
 いろいろな本の中で、どうしても本人・保護者というふうに中点があって1つにまとめられていますが、現実的には多分、長い人生を考えて、私は保護者の思いと本人のニーズは確実に違ってくると思っています。そうすると、保護者の思いは決してニーズではない。だけど、思いは思いとしてきちんと受け止めて、それを本人に必要なものは何なのかということをきちんと合致していくというプロセスが大変必要なのではないかと、そのように感じています。
 その中で、私が子どもを育ててきた経験の中で一番大きいのは、子どもが変わることです。必要な支援を受けたときに子どもが変化することが、保護者がその支援が必要だということを納得するのには一番早い道だと思います。そうなると、ここはあくまで就学決定というところから話が始まっていますが、長野県や東海村にありますように、現実的には乳幼児期から必要な支援をどのように提供していくのかというところをきちんと押さえていかないと、本当に子どもの必要なニーズをきちんと保障できるだけの就学決定というのは保障できないのではないかと思います。確かに子どもの状態は変わってきますので、長いプロセスの中できちんと学校を決めていくということは必要かもしれませんが、逆に小さい時期に絶対に必要な支援というのはやはりあると思います。それをどのようにそれぞれの場で保障していくのか。逆に、次回の検討課題になると思いますが、この場で合理的配慮としていくのが困難な場合は、それをどのように保護者の方にきちんとわかっていただくか。この部分がこれからの検討の中で確実に押さえていかなければならない部分ではないかなというふうに私は感じております。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは、杉山委員、お願いします。

【杉山委員】 長野県のフォローアップスタディーが非常に不評ですが、結局、中学校3年生のところで区切っているというところが1つ問題であると思います。フォローするのであれば、就労段階までフォローしてほしいです。僕は長野県教育委員会の途中で変更になったケースが9割というのは、すごく納得ができます。自分の外来でフォローしている子ども、こちらが勧めた学校選択と保護者の意向というのが違うということはよくあって、そのときに、なぜこういう選択をしたほうがいいのかということは説明しますけれども、僕自身は非常に単純に、子どもが学校の中で参加ができるかという、教育にですね。そこを焦点に当てていますけれども、大体二、三年すると、就学のときにこちらの言ったことというのはよく理解できたという感じで受け入れてくださって、場所が変わるというようなことがよくありますけどね。問題は、今、言われたように子どものニーズと親の希望というのはかなり食い違うわけで、そこら辺を混在させないほうがいいのではないかと。
 それからもう一つ、障害別でやっぱり違うと思います。例えば、前回のときに品川委員が触れていた特別な認知のケースというのは、知的には問題がなくても、個別の支援が絶対に必要ですね。そういうことに関してはまだあまり議論されていないわけです。
 それから、ちょっと宿題が増えてしまって申し訳ないんですけれども、例えば、ほかの指標も一緒に出してほしいんです。例えばイギリスの非行率とか、アメリカの非行率とか、つまり、子どもの問題というのは包括的にとらえないと、そこの部分だけ突出して議論をするとまずいのかなと思うんですね。

【中澤委員】 すみません、もう少し委員の御指摘の点を説明していただけますでしょうか。子どもの非行率、デリンクエンシーのほうですよね。それが整理されていると、どういったところが明らかになると先生がお考えになって今の質問をいただいたのか。もう一度お願いいたします。

【杉山委員】 アメリカで実際に教師をやっている特別支援の教員の友人がいまして、その人の話を聞いていると、IEPを請求する方々は社会階層のアッパークラスが多く、全員に行き届いていないと言われます。確かに州によって全然違います、アメリカというのは。だからそれもまた普遍化をするのは非常に危険なところがあるし、ただ、ここに資料として示されたように、法律によって非常にきちんと定義されていて、そして国の姿勢としてこういうものが示されているということが非常に大きい部分であると思います。ただ、資料11の5ページに関して、初等教育の8%、中等教育の11%はどこへ行ったのかという質問がありました。この子どもの11%が不在というのは大きな問題ですね。こういうところのデータも一緒に突き合わせを行わないといけないと思います。私、基本的には、日本の今のシステムを根本的に何とかするというよりも、今のシステムの優れたところに、さらに展開的に制度設定をしていくということが非常に現実的な方法であると思いますので、その点、全体的な子どもの状況というのを視野に入れた上での議論ができればと思います。

【中澤委員】 中澤です。ありがとうございました。アメリカは特殊教育についての統計が非常に詳しく出ている国です。通常の学級に入ってしまうと、一般的にわかりにくくなりますが、アメリカの場合、連邦政府のお金が少しでも入ったものは報告義務が生じるために非常に細かいデータがありまして、例えば、人種別にどのくらいIEPがあるかとか、あるいは経済階層でどうかというデータは整理されています。また、いわゆる矯正施設でも特殊教育というのは行われていまして、その率はどのくらいかとか、あともう一つ、とても重要なのはドロップアウト率、学校を辞めてしまう退学率というのもあります。実は膨大なデータがあります。そこをどのくらい整理して提示できるかわかりませんが、研究所のほかのスタッフとともに、できるだけ努力したいと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 かなり中澤先生に集中しており、申し訳ございません。このことは逆に言うと、私どもが目指すものがどういうところにあるかということの各委員の願いもあって、そういう意見が出ているんだろうと思っています。大変申し訳ないのですが、可能な範囲でお願いできれなと思います。佐竹委員、お願いします。

【佐竹委員】 全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会の佐竹です。私、肢体不自由の子どもの親ですので、親の目線から雰囲気を変えまして、発言させていただきます。私たち親の中で言われている都市伝説でしょうか、実は私たち親には試練が4回来るという話があります。1回目は出産をし、子どもに障害があると何らかの形で気が付いたとき、2回目が就学決定のとき、3回目が成長して思春期を迎え、成人間際の命の瀬戸際のとき。4回目が障害のある子どもたちが年齢を重ねて、親なき後の生活です。子ども達のライフステージ、これを親として将来的にどう考えていくか。この試練が4回来るということが、私たちPTAの親御さんたちが後輩の親御さんたちに口伝えにしているメッセージです。私も特別支援学校に、当時は養護学校でしたが、子どもが入学したときに、そういう話を親御さんたちから聞いて、「ああ、なるほどな」と思った一人です。
 その2回目の就学決定の場のお話が今日でございますので、資料3の2ページを見てください。一番下のところに参考として、「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議」の「審議の中間取りまとめ」という提言があります。ここに「個別の教育支援計画の作成・活用を通じて、障害の程度が就学基準に該当するかどうかに加えて、必要な教育的ニーズ、保護者や専門家の意見、就学先の学校における教育や支援の内容等を総合的に判断して決定する仕組みとするよう提言」とあります。この協力者会議の審議の取りまとめ、何だか宙に浮いてしまったような取りまとめになってしまったのですが、ここで話されたことは大変重要なことだと私たち保護者は思っています。
 平成19年(平成16年度以降)に保護者の意見を聞くという義務づけがありましてから、実は相談機能という、保護者が子どもの障害に対する相談をしたいと思っても、相談する機能が減ったような気がします。相談する場所が減ったような気がすると言い直したほうがいいでしょうか。私は気がするだけなので、実態調査をしたわけではありませんが、就学は親が決めるのであればと、相談機能が手薄になったのではないかなと私は個人的に印象を受けています。あまり過大に親御さん、私も含めた親の意見、私たち親は支援者の一人ですので、過分に評価をしないでほしい。やはりここは子どものニーズに応じた教育をどのように受けて、どのようにこの子が成長していくのか。就学は本人のためであって、親のためでもなければ、学校のためでもありません。先生の仕事先をつくっているわけでもありませんので、またちょっと辛口で申し上げさせていただきますと、養護学校から特別支援学校とかなり全国的に学校編成があり、名称を変える学校が増えています。でもこれは学校の名前を変えるための法改正ではなかったはずです。そこのところをもう少し、中身の充実というところ、それによって通常の学校へのセンター的機能を使った支援の仕組みなども見直していただきたい。まだまだ十分ではありません。そういった就学決定における就学先の学習の様子がわからなければ親御さんは判断に迷います。このことは強く申し上げて、今後、皆様方の議論をもとに就学決定のよいプロセスをつくっていただけたら幸いと思っています。以上です。

【宮﨑委員長】 貴重な意見をありがとうございました。久松委員、お願いします。

【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。まず、お願いします。先ほどの議論がありましたけれども、宮﨑委員長が言われたように、最初に議論のルール説明がありました。手を挙げて、名前を言ってから発言をするということ、このルールを是非守っていただきたいということ。今後も是非皆様にお願いしたいと思います。議論に参加することが保障されるようであれば、今の学校は安心できるのではないかと思っていますので、是非とも議論のルールをきちんと守るということをお願いしたいと思います。
 それで、意見ですが、ヒアリングのときに、今の特別支援学校、皆さんも経験的にいろいろな情報を持っているのでおわかりと思いますが、特別支援学校が増えている。逆に盲学校、聾学校の子どもが減っています。盲学校、聾学校が減っている。一般の特別支援学校が増えています。これを就学選択のときにどう見るのかということです。この分析がなかなか出てきていません。聾学校が減っているのはどういうことか。親が一般地域の学校に入るという、決めるということを尊重する、親の意向を尊重するのか。あるいは聾学校に魅力がないから地域の学校に入りたいと言うのか、その辺の議論が全くありません。ですので、個別ニーズに即したやり方が特別支援教育の考え方であるならば、先ほどから皆さんもおっしゃっているように、個別の障害には多様性があるということ、多様な障害にあわせて支援教育とは何なのかということの議論をして、個別のニーズに沿って支援をする体制、システム全体を個別データも十分に準備する必要があるのではないかと思っています。
 聾学校の教育に関するデータ、私も何とか責任を持って作りまして、資料を次回の会議には提供したいと思っています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。今の久松委員の特に盲学校、聾学校が減っているというようなことに関しては、数等については、全国的な状況を調査官等から次回提出していただきますでしょうか。
 今日は各委員からいろいろ御指摘があったようなことで、特に就学決定時を中心にということでしたが、必ずしもそこに限らないで、早期からの就学支援の在り方などについては、例えば厚生労働省で障害のある幼児の今後についての報告書が一昨年の7月に取りまとめられまして、その段階でも個に応じた対応の仕組みを文部科学省と一緒に整備をするというようなことについての報告書も出たりしています。早い段階からの就学指導の在り方について、先ほどお話があったように、「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議」でも取りまとめているところですので、必ずしも就学の決定の入り口のところだけで対応するという考え方ではないと思いますが、あえてきょうの報告については、就学指導がどのような形で各自治体において行われているかということの報告をいただきました。これを受けて、今後さらに少しディスカッションをしていきたいと思っています。これは事務局へお願いしたいと思います。
 次回については、論点の整理の仕方として、3番目の制度改革の実施に必要な体制・環境整備、合理的な配慮といったような問題を少し協議することになるかと思いますが、少し行きつ戻りつの議論をしていかなければまとまっていかないと思いますので、とりあえず次回は3を中心に対応しますが、また、非常に重要な就学相談・就学先決定の問題というのは制度設計にかかわるところですので、今後も引き続き協議をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、質問や自由討議の時間を十分確保できませんでしたので、本日の審議事項について、相当皆さんの御意見があるかと思いますので、ぜひ後日、文書等で事務局に提出をしていただければありがたいと思います。
 それでは、今後の日程について、事務局から説明をお願いいたします。

【齋藤補佐】 事務局です。次回は、先ほど宮﨑委員長おっしゃられたとおり、合理的配慮の在り方、必要な体制・環境整備等に係る事例紹介及び討議、それから今回に引き続き就学相談・就学先決定の在り方についてということで予定しています。
 なお、正式な日程につきましては、追って連絡させていただきます。以上となります。

【宮﨑委員長】 ただいまの事務局からの説明について質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、大変長時間になりまして、大分延長させていただいて申し訳ございませんでした。本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。

 

――了――

 

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成22年10月 --