資料7:大南委員提出資料

「特別支援教室」構想と教職員の配置等―論点整理についての意見―

全国特別支援教育推進連盟
副理事長  大南英明

1 『特別支援教室』構想について

 『特別支援教室』構想については、これまでの当委員会においても審議されてきているところであるが、今回、改めて試案を示したい。

(1)『特別支援教室』構想の概要について

 『特別支援教室』構想と現在の特別支援学級及び通級指導教室(通級による指導)とを対比すると次のような違いがある。

○1 学籍について

 現在の特別支援学校と小学校・中学校の特別支援学級、通級指導教室

特別支援学校

小学校・中学校

通常の学級

通級指導教室

特別支援学級

特別支援学校に籍がある

小学校・中学校の通常の学級に籍がある

特別支援学級に籍がある

 ◎ 特別支援教室(通級による指導)

特別支援学校

小学校・中学校

特別支援教室1

特別支援教室2

特別支援教室3

特別支援学校に籍がある

小学校・中学校の通常の学級に籍がある。

*特別支援教室1
  ほとんどの時間を特別支援教室で学習・生活する(現在の特別支援学級とほぼ同じ)          

 特別支援教室2
  1週間のうち、特定の時間特別支援教室で学習する(現在の通級指導教室とほぼ同じ)

 特別支援教室3
  ほとんどの時間を通常の学級で学習し、特定の時間を特別支援教室で学習する(例えば、LD,ADHDなど)

○2 教職員の配置について

特別支援教室1については、現在の特別支援学級と同じ考え方を踏襲する。
  児童生徒8人に対し1名の教員を定数配置

特別支援教室2については、現在の通級指導教室と同じ考え方を踏襲する。
  一定の児童生徒に対し1名の教員を加配

特別支援教室3については、専門の教員が複数の学校について「巡回による指導」を行うことになる。そのために必要な教員を市町村単位に加配する。

教職員の確保及び専門性の向上のための方策

1 教職員の確保

  • 特別支援学校の教育についてPRをする。
  • 障害のある児童生徒に対する理解を深めるための研修の機会を設ける。
  • 特別支援学級は、小学校・中学校の一つの学級であることを周知徹底する。
  • 交流及び共同学習を推進する。

2 専門性の向上

  • 特別支援学校に勤務する場合には、特別支援学校教諭免許状の所持を義務付ける。
    「当分の間、特別支援学校教諭免許状がなくても、特別支援学校の教諭になることができる」こととなっていることを早期に撤廃する。
    早期に撤廃できない合理的な理由があるのであれば、小学校教諭免許状等で特別支援学校に勤務する場合には、特別な手当て(調整額)は、支給しないなどの臨時的な措置を考慮する。(交流及び共同学習、支援籍・副籍等の実施が拡大した時には、特別支援学校免許状を所持しない教諭への特別な手当ての支給は大きな課題となる。)
  • 特別支援学級、通級指導教室を担当する場合には、特別支援学校教諭免許状の所持が望ましいとする。この場合についても、特別支援学校教諭免許状を所持しない場合には、特別な手当て(調整額)は、支給しないなどの臨時的な措置を考慮する。
  • この場合、免許法が改正されるまでの当分の間、教育委員会の開催する研修で一定のポイントを取得したり、学会等が発行する資格を取得したりした場合、特別支援学校教諭免許状に準ずることを考慮する。
  • 免許法の改正があり、義務教育教諭免許状等、学校種別ごとになっている現行の免許状が変わり、特別支援教育教諭免許状が制度として認められれば、特別支援学級、通級指導教室担当者は、子の免許状の所持を義務付ける。
  • 交流及び共同学習が本格的に行われるようになった場合、専門的な免許状の所持、不所持と特別な手当て(調整額)の支給は、大きな課題となる。
  • 現職研修については、学級経営、授業研究を主とした内容とし、学級経営、授業の展開等に豊かな経験と指導力のある教員等経験者を活用し、身近なところで日常的に研修ができるように計画、実施を至急検討する。

研修の内容等(試案)

 

 基礎 

 応用 

 専門 

 備考 

児童生徒理解
  (1)
  (2)

 

 

 

 

障害についての理解

 

 

 

 

特別支援教育の理解

 

 

 

 

教育課程の編成について
  (1)
  (2)

 

 

 

 

指導計画の作成について

 

 

 

 

個別の教育支援計画について

 

 

 

 

個別の指導計画について
  (1)
  (2)

 

 

 

 

学級経営について

 

 

 

 

保護者との協力等について

 

 

 

 

交流及び共同学習について

 

 

 

 

進路支援について

 

 

 

 

地域へのPR

 

 

 

 

1 都道府県教育委員会、市区町村教育委員会が実施する。

2 基礎コースは、
    初任者、新任者を対象とする。
    実施時期については、学級経営、児童生徒への指導等を考慮し、
    4-6月の間に終了するように計画する。授業を基に研修ができるような内容・方法を工夫する。
  応用コースは、2-7年の経験者を対象とする。基礎コースを修了。
    実施時期については、年間を通じて計画する。
    研修内容を複数年に分けて実施することも考えられる。
  専門コースは、8年以上の経験者を対象とする。応用コースを修了。
    実施時期については、年間を通じて計画する。
    研修内容を複数年に分けて計画することも考えられる。

3 各コースともに、1講座を受講すると1ポイントとし、12ポイント以上取得すると上位のコースを受講することができる。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)